漸増する放出速度を表す制御放出製剤
持続放出投薬形態物は製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなりかつ長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合され、該投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。該投薬形態物は、高用量の乏しく溶解性若しくはゆっくりと溶解する有効成分を送達することが可能である。付加的な製薬学的有効成分が存在する場合、該剤は該投薬形態物中の各有効成分のそれぞれの重量に比例する速度で該投薬形態物から放出される。ヒト患者において疾患若しくは状態を処置するための該投薬形態物の使用方法もまた開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般に、製薬学的剤を投与するための固体の投薬形態物、該投薬形態物の製造方法、およびそれの必要な患者への治療薬の提供方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
製薬学的有効成分の持続放出を提供するための経口投薬形態物は当該技術分野で既知である。これらの投薬形態物は、典型的に、患者での治療レベルを該薬物の最小有効濃度に依存する狭い範囲内に維持するという目的を伴い、有効成分の0次放出速度を数時間から1日若しくはそれ以上までの範囲にわたる時間提供することを意図している。しかしながら、ある種の薬物は、所望の治療効果を達成するために高投薬量でときに1日あたり数回投与しなければならない。高投薬量は、該投薬形態物の薬物組成物中の薬物装填量が、該組成物の総重量の約90%若しくはそれ以上であることを必要としうる。こうした高装填量の要件は、組成物の処方、および経口投与に適しかつ過度の困難を伴わずに嚥下し得る投薬形態物の作成において問題を提示する。高薬物装填量は、必要とされる大きな単位投与剤形のため、1日1回投薬のような1日あたりの制限された回数投与されるべきである投薬形態物を処方する場合に、より大きな問題さえ提示する。薬物の大きな1日用量は、1日を通じての複数の投薬により投与しうる一方、複数回投薬レジメンは、患者コンプライアンスの問題、潜在的な副作用および過剰投与の危険のため、しばしば好ましくない。従って、薬物の処方者は、高用量の薬物が長時間、例えば12時間ないし24時間にわたって送達させることが必要とされる場合でさえ、可能な場合は1日1回若しくは1日2回の投薬レジメンに適する製剤を製造することを試みてきた。
【0003】
加えて、薬物が迅速に代謝若しくは中和される場合、または耐性が発生する場合に、患者における薬物の必要な濃度を提供するのに十分である特定の送達プロファイルを提供することへの課題が存在する。漸増する放出速度で有効成分を送達する能力は、患者の血漿中の薬物の濃度を維持かつ制御する一方法である。最近、ALZA CorporationのConcerta(R)メチルフェニデート生成物のような、ある種の薬物をほぼ漸増する放出速度で送達するための投薬形態物が開示され、そして同時継続中の同一出願人による特許文献1、特許文献2;特許文献3;および特許文献4に記述されている。こうした開示された投薬形態物は、長時間にわたり増大する薬物送達濃度を生じさせるために、各薬物層中の連続して増大する薬物濃度を伴う複数の薬物層の使用、若しくは押し層中での浸透圧的に有効な溶質の比較的高濃度(最低約35%)を必要とする。こうした多層錠構成は当該技術に対する大きな進歩を表す一方、これらの装置は、低く溶解性の製薬学的剤、とりわけこうした剤の比較的高用量を伴うものを、患者が嚥下するために許容できる大きさで送達する制限された能力も有する。漸増する放出速度を提供するように開発された投薬形態物は二層若しくは三層錠剤核を利用し、それらは漸増する放出速度を生じさせる薬物濃度勾配を提供した。一定放出レジメンは、第二の即時放出用量の投与後の評価期間で即時放出レジメンに比較して低下された臨床的有効性(当該日の処置の経過にわたる該薬物に対する急性耐性の発生によることがありそうな効果)を有することが観察された。他方、漸増放出レジメンは、これらの評価期間の間に即時放出レジメンに匹敵する臨床的有効性を示した。従って、薬物濃度勾配を使用して提供される漸増放出レジメンは、耐性の発生により一定放出レジメンで見られる治療的有効性の低下を回避した。
【0004】
特許文献5は、薬物区画、ならびに、二層の内壁および外壁内に含有されかつ通路を有する製薬学的に許容できるポリマーヒドロゲル(マルトデキストリン、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレンオキシド、カルボキシアルキルセルロース)を含んでなる浸透圧投薬形態物を記述し、該ポリマーは、二層の内壁および外壁を横断する浸透圧勾配を表して
それにより液体を薬物区画中に吸収して該投薬形態物から通路を通って静水圧および浸透圧で送達される薬物を含んでなる溶液若しくは懸濁液を形成する。ある態様において、該投薬形態物は、膨張して薬物を該投薬形態物から排出する押し置換層をさらに含んでなる。この特許は、これらの投薬形態物の内壁が、水への該投薬形態物の増大された浸透性を提供して浸透物質(osmoagent)および/若しくは薬物が溶解しかつ該投薬形態物から放出される際に生じる浸透圧の駆動力の低下を補償する孔形成体を含んでなることを記述している。該投薬形態物は、浸透圧感受性の孔形成体が溶解するか若しくは内壁から浸出されるまでゆっくりとした薬物送達を表すことが報告された。溶出された孔形成体は内壁の浸透性を増大させ、それは対応して二層の内壁−外壁の正味の浸透性を長時間にわたり増大させた。浸透性のこの増大は浸透圧活性のいかなる低下も相殺することが報告され、また、直線的な薬物送達プロファイルを生じさせた。加えて、この特許は、孔形成体を含有する内壁および外壁で被覆した、オピオイド鎮痛薬および非オピオイド鎮痛薬ならびにポリマーヒドロゲルを含んでなる薬物区画を有する鎮痛薬を投与するのに適する投薬形態物を記述している。
【0005】
高薬物装填量を伴う応用に関して意図された利用性を有する多様な装置および方法が記述されている。例えば、特許文献6および7は、壁により形成される区画から薬物層を押す膨張可能な物質の層を含有する区画を規定する半透性壁を包含する、使用の環境に有益な剤を送達するためのディスペンサーを記述する。該装置中の出口オリフィスは、該壁により形成される区画の内径と実質的に同一の直径である。
【0006】
特許文献8は、有効成分の制御放出を提供するための高薬物装填量投薬形態物を記述する。この特許は、有効成分が長時間にわたり投薬形態物から均一に放出されること、および、投薬形態物からの有効成分の放出が、米国薬局方7型間隔放出装置(Interval Release Apparatus)で測定されるとおり、長時間にわたり、有効成分の平均放出速度から30%以上正に若しくは負に変動しないことを記述している。この特許はまた、高薬物装填量が所望の患者応答を導き出すために必要とされうるとは言え、有効成分の均一な放出速度を提供する投薬形態物が、1日に即時放出生成物を投与することが推奨される回数により即時放出生成物中の有効成分の用量を単純に乗算することから計算されうるより少ない1日あたりの1投薬形態物あたりの化合物の量の使用を可能にしうることも指摘している。加えて、この特許は、有効成分が薬物層組成物の40%から90重量%まで存在するが、しかし好ましくは、本発明の投薬形態物中の有効成分の重量パーセントが容易に嚥下しうる投薬形態物を見込むように75%若しくはそれ未満であり、かつ、薬物層組成物の75%を超えるとみられる量の薬物を投与することが望ましい環境では、通常、単一錠剤中で使用されるとみられるより多量に等しい総薬物装填量を伴う投薬形態物の2錠若しくはそれ以上を同時に投与することが好ましい、高投薬量レベルを記述している。
【0007】
しかしながら、十分な薬物が必要な患者に長時間にわたり十分な薬物を提供するか、耐性の発生を補償するか、若しくは該薬物の迅速な代謝を補償する、などのように漸増する放出速度で薬物を送達することが可能な投薬形態物に対する当該技術分野における必要性がなお存在する。乏しく溶解性かつ/若しくは処方することが困難な薬物を包含する薬物の高用量を漸増する放出速度で送達し得る投薬形態物に対する特定の必要性が存在する。
【特許文献1】Lamへの米国特許出願公開第2001/0012847号
【特許文献2】PCT特許出願公開第US 99/11920号(第WO 9/62496号)
【特許文献3】同第US 97/13816号(第WO 98/06380号)
【特許文献4】同第US 97/16599号(第WO 98/14168号)
【特許文献5】米国特許第6,245,357号
【特許文献6】米国特許第4,892,778号
【特許文献7】米国特許第4,940,465号
【特許文献8】米国特許第6,368,626号
【発明の開示】
【0008】
[発明の要約]
従って、長時間にわたり漸増する放出速度で薬物を送達するための新規方法および投薬形態物を提供することにより当該技術分野における前述の必要性を取り扱うことが、本発明の一主目的である。
【0009】
製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなりかつ長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された持続放出投薬形態物が提供され、該投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。好ましい態様において、該持続放出投薬形態物は、該製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5から約8ないし10時間まで、若しくはいくつかの場合にはより長時間提供する。該持続放出投薬形態物は、該製薬学的有効成分が高用量で患者に投与されることが必要とされる場合、または該有効成分が低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度を有する場合でさえ、有効成分を送達するのに有用である。
【0010】
好ましくは、その最大放出速度で該投薬形態物により表される放出速度は、その最小放出速度、典型的には投与若しくは溶解試験の開始後最初の1若しくは2時間に観察される放出速度より最低20%より大きい。典型的には、最大放出速度は、有効成分の約70%が放出されている場合に生じる。他の態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は、該投薬形態物により表される最小放出速度よりも最低40%より大きい。付加的な態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は、該投薬形態物により表される最小放出速度よりも最低60%より大きい。
【0011】
ある態様において、侵食可能な固体は結合剤および崩壊剤をさらに含んでなり、また、それは界面活性剤および浸透物質を包含し得る。好ましい結合剤は、ポリオキシアルキレン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースおよびポリビニルピロリドンなどを包含する。好ましい崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウムなどを包含する。
【0012】
好ましくは、該持続放出投薬形態物は、有効成分の約70%が放出されるまで製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供し、そして、漸増する放出速度の後に放出速度の急速な低下が存在する。好ましくは、該投薬形態物は約12時間以内に有効成分の最低90%を放出する。
【0013】
特定の態様において、侵食可能な固体は、非イオン性若しくはイオン性のいずれかの界面活性剤であり得る界面活性剤をさらに含んでなる。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、ポロキサマー、ポリオキシエチレンエステル、糖エステル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、およびそれらの混合物を包含する。好ましい非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステルおよび糖エステル界面活性剤を包含する。
【0014】
該持続放出投薬形態物は、いかなる薬物装填量でも漸増する放出速度で製薬学的有効成分を送達し得る。好ましくは、侵食可能な固体中の薬物装填量は最低約20重量%、およびより好ましくは最低約40重量%である。
【0015】
特定の態様において、該持続放出投薬形態物は、高用量の有効成分を送達しかつ有効成分の高装填量を提供するように適合される。ある態様において、製薬学的有効成分は最低約60重量パーセントのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在し、そして、一般に、約60パーセントから約95重量パーセントまでの範囲で侵食可能な固体中に存在する。特定の態様において、有効成分は約70パーセントから約90重量パーセントまでのパーセント組成で、若しくは約75パーセントから約85重量パーセントまでの薬物装填量ででさえ侵食可能な固体中に存在する。ある態様において、侵食可能な固体は約5から約15重量パーセントまでの結合剤および崩壊剤を含んでなる。付加的な態様において、侵食可能な固体は約1から約15重量パーセントまでの界面活性剤を含んでなり、かつ、典型的には10ないし15重量パーセント未満の浸透物質もまた含有し得る。
【0016】
ある態様において、該持続放出投薬形態物は、侵食可能な固体中に最低1種の付加的な製薬学的有効成分をさらに含んでなる。製薬学的有効成分は類似の若しくは異なる溶解性を有し得、そして投薬形態物中の各有効成分のそれぞれの重量に比例する速度で投薬形態物から放出される。
【0017】
該持続放出投薬形態物は乏しく溶解性である有効成分の送達に有用である。好ましい一態様において、製薬学的有効成分は、典型的には25℃で約50mg/ml未満の溶解性を有し、かつ、25℃で約10mg/ml未満の溶解性を有しうる。別の好ましい態様において、該持続放出投薬形態物は最低1種の付加的な製薬学的有効成分を含有し、そして有効成分の最低1種が25℃で約50mg/ml未満の溶解性を有する。
【0018】
ある付加的な態様において、該持続放出投薬形態物は、有効用量の最低1種の製薬学的有効成分を含んでなる即時放出薬物コーティングをさらに含み得る。付加的な有効成分が持続放出投薬形態物中に存在する場合、即時放出薬物コーティングもまた該付加的な有効成分を含み得る。即時放出薬物コーティングは有効成分の即時用量を患者に提供するように作用し、また、該持続放出投薬形態物は投薬間隔全体にわたる有効成分の持続放出を提供してそれによりそれの必要な患者に治療上有効な用量の有効成分を提供する。
【0019】
付加的な態様において、該持続放出投薬形態物は:(1)空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスをその中に包含する半透性壁;(2)空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置された、治療上有効な量の製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる薬物層;(3)空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置される押し置換層;(4)半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層を含んでなり;そして製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。該薬物層は侵食可能な組成物として使用の環境に露出される。より好ましくは、該投薬形態物は、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5から約8時間まで、若しくは10時間またはそれ以上提供する。好ましい態様において、漸増する放出速度の後に、該投薬形態物は放出速度の急速な低下を表す。好ましくは、該投薬形態物は約12時間以内に有効成分の最低90%を放出する。
【0020】
好ましくは、投薬形態物は有効成分の約70パ―セントが放出されるまで製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供する。典型的には、最小放出速度は、有効成分の約10ないし20%未満が放出された場合に該投薬形態物により表される。特定の態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は最小放出速度より最低20%より大きい。付加的な態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は最小放出速度より最低
40%より大きい。なお他の態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は、該投薬形態物により表される最小放出速度より最低60%より大きい。
【0021】
該持続放出投薬形態物は、製薬学的有効成分が高用量で患者に投与されることが必要とされる場合、または有効成分が低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度を有する場合でさえ、有効成分を送達するのに有用である。
【0022】
特定の態様において、薬物層は結合剤、崩壊剤若しくはそれらの混合物をさらに含んでなり、また、ある他の態様において、薬物層は界面活性剤および/若しくは浸透物質をさらに含んでなる。界面活性剤は非イオン性若しくはイオン性界面活性剤であり得る。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、ポロキサマー、ポリオキシエチレンエステル、糖エステル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、およびそれらの混合物を包含する。好ましい非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステルおよび糖エステル界面活性剤を包含する。
【0023】
該持続放出投薬形態物は、いかなる薬物装填量でも漸増する放出速度で製薬学的有効成分を送達し得る。好ましくは、薬物層は最低約20重量%の有効成分、およびより好ましくは最低約40重量%の有効成分を含有する。特定の態様において、該持続放出投薬形態物は、高用量の有効成分を送達しかつ有効成分の高装填量を提供するように適合される。ある態様において、製薬学的有効成分は最低60重量パーセントのパーセント組成で薬物層中に存在し、そして、一般に、約60パーセントから約95重量パーセントまでの範囲で薬物層中に存在する。特定の態様において、有効成分は約70パーセントから約90重量パーセントまでのパーセント組成で、若しくは約75パーセントから約85重量パーセントまでの薬物装填量ででさえ薬物層中に存在する。
【0024】
ある態様において、該持続放出投薬形態物は薬物層中に最低1種の付加的な製薬学的有効成分をさらに含んでなる。該製薬学的有効成分は同様の若しくは異なる溶解性を有し得る。加えて、該製薬学的有効成分は相互に比例する速度で投薬形態物から放出され得る。
【0025】
ある付加的な態様において、該持続放出投薬形態物は、有効用量の最低1種の製薬学的有効成分を含んでなる即時放出薬物コーティングをさらに含み得、そして、付加的な有効成分が持続放出投薬形態物中に存在する場合、即時放出薬物コーティングもまた付加的な有効成分を含み得る。即時放出薬物コーティングは有効成分の即時用量を患者に提供するように作用し、また、該持続放出投薬形態物は投薬間隔全体にわたる有効成分の持続放出を提供してそれによりそれの必要な患者に治療上有効な用量の有効成分を提供する。
【0026】
製薬学的有効成分はいかなる水溶解性も有し得る。該持続放出投薬形態物は乏しく溶解性である製薬学的有効成分を送達するのにとりわけ有用である。一般に、乏しく溶解性の有効成分は、25℃で約50mg/ml未満の溶解性を有し、かつ、25℃で約10mg/ml未満の溶解性を有しうる。製薬学的有効成分はいかなる製薬学的有効成分でもあり得、そして、好ましい態様においては、非オピオイド鎮痛薬、抗生物質、抗てんかん薬若しくはそれらの組合せから選択される。特定の態様において、最低1種の付加的な製薬学的有効成分が投薬形態物中に包含され、そして、オピオイド鎮痛薬、胃保護薬、5−HTアゴニスト若しくは他の有効成分から選択され得る。
【0027】
該持続放出投薬形態物は、増大する用量の製薬学的有効成分のそれの必要な患者への持続放出の提供方法で使用し得る。該持続放出投薬形態物は、処置の必要な患者に経口投与し、そして、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなり、かつ、該製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。
【0028】
特定の態様において、有効成分が高投薬量、低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度での患者への投与を特徴とする、治療上有効な用量の製薬学的有効成分の持続放出の提供方法が提供される。
【0029】
付加的な態様において、少なくとも部分的に半透性の壁により規定される空洞内に含有されかつそれに隣接して配置された出口手段を有する薬物層中に存在する治療上有効な量の製薬学的有効成分、使用の水性環境に置かれる場合に空洞からの組成物の持続放出を提供する出口手段から遠位に空洞内に配置された押し置換層、および半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間に配置された流動促進層を含んでなる組成物を経口投与することを含んでなる、それの必要な患者への治療上有効な用量の製薬学的有効成分の提供方法が提供され、該投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。該方法は、さらに、少なくとも部分的に半透性の壁の外側表面に配置された治療上有効な量の即時放出治療組成物を含んでなる持続放出投薬形態物上の薬物コーティングを利用することを含み得る。該治療組成物は、好ましくは、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5時間から約8時まで若しくはより長く提供する。好ましい態様において、薬物層は約60から約95重量%までの製薬学的有効成分、およびより好ましくは約75から約85重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる。特定の態様において、薬物層は約5から約15重量パーセントまでの結合剤および崩壊剤、ならびに場合によっては約1から約15重量パーセントまでの界面活性剤を含んでなる。
【0030】
付加的な態様において、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる治療組成物を経口投与することを含んでなる、比較的迅速に代謝される製薬学的有効成分の患者の血漿中の有効濃度の提供方法が提供され、該侵食可能な固体は製薬学的有効成分を含んでなり、また、前記治療組成物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。好ましい態様において、該投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約4時間から約8時間まで提供する。
【0031】
該治療組成物は、即時効果の必要な患者において即時効果を提供するのに十分な治療上有効な量の製薬学的有効成分を含んでなる、薬物コーティングをさらに含み得る。特定の態様において、治療組成物は、患者において製薬学的有効成分の実質的に0次の血漿プロファイルを提供する。付加的な態様において、治療組成物は、患者において該製薬学的有効成分の漸増する血漿プロファイルを提供する。ある他の態様において、治療組成物は、患者において該製薬学的有効成分の減少する血漿プロファイルを提供する。好ましい一態様において、該投薬形態物は、患者の血漿中で治療上有効な量の製薬学的有効成分を提供する即時放出薬物コーティングを含んでなり、そして、該治療組成物により提供される漸増する放出速度は、患者の血漿中の製薬学的有効成分の濃度を、長時間治療範囲に維持する。
【0032】
なお他の態様において、薬物層に含有される、それに対する耐性が比較的迅速に発生する製薬学的有効成分の有効用量、浸透圧押し層、少なくとも部分的に半透性の壁、および該投薬形態物から治療組成物を送達するための該壁中の出口手段、ならびに半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の外表面との間に配置される流動促進層を含んでなる治療組成物を経口投与することを含んでなる、患者においてそれに対する耐性が比較的迅速に発
生する製薬学的有効成分の有効用量の提供方法が提供され、前記薬物層および押し組成物は少なくとも部分的に半透性の壁により囲まれ、該薬物層は侵食可能な組成物として使用の環境に露出され、そしてさらに、前記投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供して、それにより患者の血漿中での製薬学的有効成分の増大する濃度を提供する。
【0033】
好ましい一態様において、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された非オピオイド鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる治療組成物を含んでなる投薬形態物を経口投与することを含んでなる、疼痛の処置の必要なヒト患者における疼痛の処置方法が提供され、非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬は相互に比例した速度で放出され、また、該治療組成物は非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。
【0034】
本発明の付加的な目的、利点および新規特徴は、後に続く記述に部分的に示されることができ、また、以下の検査に際して当業者に部分的に明らかになることができるか、若しくは本発明の実施により学習されうる。
【0035】
[発明の詳細な記述]
定義および概要
本発明を詳細に記述する前に、別の方法で示されない限り本発明は特定の製薬学的剤、賦形剤、ポリマー、塩などに制限されないことが理解されるべきである。こうしたものは変動しうるためである。本明細書で使用される専門用語は、特定の態様を記述する目的上のみであり、そして本発明の範囲を制限することを意図していないこともまた理解されるべきである。
【0036】
本明細書および請求の範囲で使用されるところの単数形「ある(a)」、「および」および「該(the)」は、文脈が別の方法で明瞭に指図しない限り複数の指示対象を包含することに注意しなくてはならない。従って、例えば、「ある担体(a carrier)」への言及は2種(個)若しくはそれ以上の担体を包含し;「ある製薬学的剤(a pharmaceutical agent)」への言及は2種若しくはそれ以上の製薬学的剤を包含する、などである。
【0037】
値の範囲が提供される場合、文脈が別の方法で明瞭に指図しない限り、その範囲の上限と下限の間の下限の単位の1/10までの各介在する値、およびその述べられた範囲のいかなる他の述べられた若しくは介在する値も、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限はより小さい範囲に独立に包含されることができ、そして、述べられた範囲のいずれかのとりわけ除外される限界に従って本発明内にもまた包含されうる。述べられた範囲が限界の一方若しくは双方を包含する場合、それらの包含される限界のいずれか若しくは双方を除外する範囲もまた本発明に包含される。
【0038】
本明細書の明確さおよび便宜性のため、薬物投与若しくは溶解試験の開始の時間をゼロ時間(t=0時間)、および適切な時間単位の投与後の時間、例えばt=30分若しくはt=2時間などとして呼称する規約を利用する。
【0039】
本明細書で使用されるところの「有効成分」という用語は製薬学的有効成分すなわち薬物を指し、そしてこれらの用語は互換性に使用されうる。
【0040】
本明細書で使用されるところの「漸増する血漿プロファイル」という句は、直に先行する時間間隔にわたり患者の血漿中に存在する薬物の量に関して最低2個の連続した時間間隔にわたる患者の血漿中の特定の薬物の量の増大を指す。一般に、漸増する血漿プロファ
イルは、漸増するプロファイルを表す時間間隔にわたり最低約10%だけ増大することができる。
【0041】
本明細書で使用されるところの「漸増放出速度」という句は、薬物が、投薬形態物が該薬物の最低約70%を枯渇するまで一定に留まるか若しくは減少するよりはむしろ時間とともに全般として増大する速度で使用の環境の液体に溶解するような、長時間に全般として増大する溶解速度を指す。
【0042】
本明細書で使用されるところの「AUC」という用語は、台形公式およびClast/k(ここでClastは最後に観察される濃度でありかつkは計算された排泄速度定数である)を使用して計算される、濃度時間曲線下面積を指す。
【0043】
本明細書で使用されるところの「AUCt」という用語は、台形公式を使用して計算される、最後に観察された濃度までの濃度時間曲線下面積を指す。
【0044】
本明細書で使用されるところの「Cmax」という用語は、本発明の組成物若しくは4時間ごとの比較対象(comparator)(NORCO(R))の経口摂取により生じられるそれぞれng/mLおよびμg/mLとして表されるTmaxでのヒドロコドンおよび/若しくはアセトアミノフェンの血漿濃度を指す。とくに示されない限り、Cmaxは全体的な最大の観察された濃度を指す。
【0045】
「送達する」および「送達」という用語は投薬形態物からの製薬学的剤の分離を指し、ここで製薬学的剤は使用の環境の液体に溶解することが可能である。
【0046】
「投薬形態物」により、製薬学的有効成分若しくはその製薬学的に許容できる酸付加塩を含んでなる製薬学的組成物若しくは装置を意味しており、該組成物若しくは装置は、場合によっては、薬理学的に不活性の成分、すなわち、活性の製薬学的剤を製造および送達するのに使用されるポリマー、懸濁化剤、界面活性剤、崩壊剤、溶解調節成分、結合剤、希釈剤、滑沢剤、安定剤、抗酸化剤、浸透物質、着色剤、可塑剤、コーティングなどのような製薬学的に許容できる賦形剤を含有する。
【0047】
本明細書で使用されるところの「高投薬量」という用語は、患者に高用量で投与される有効成分を指す。典型的には、高用量は1日あたり最低100mgであり、そして1日あたり10,000mg若しくはそれ以上までであり得る。
【0048】
本明細書で使用されるところの「即時放出」という用語は、投与若しくは溶解試験の開始後短い時間内、すなわち一般に数分ないし約1時間以内の薬物の実質的に完全な放出を指す。
【0049】
本明細書で使用されるところの「in vivo/in vitro相関」という句は、投薬形態物からの薬物のin vitro放出速度を測定するアッセイにより示されるところの投薬形態物からの薬物の放出と、経口投与された後の投薬形態物中の残余の薬物のアッセイにより示されるところのin vivoでの投薬形態物からの薬物の送達の間の対応を指す。
【0050】
本明細書で使用されるところの「低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度」という句は、約50mg/ml未満、および好ましくは約10mg/ml未満の溶解性を有し、かつ、約50mg/ml以上の溶解性を有する有効成分に関してゆっくりと溶解する有効成分を指す。
【0051】
さらに明記されない限り、本明細書で使用されるところの「患者」という用語は、疾患若しくは障害のための処置の必要な個々の患者および/若しくは患者の集団を意味している。
【0052】
本明細書で互換性に使用される「製薬学的に許容できる酸付加塩」若しくは「製薬学的に許容され得る塩」により、陰イオンが塩の毒性若しくは薬理学的活性に有意に寄与せず、そして、であるからそれらが塩基の形態の有効成分の薬理学的同等物である塩を意味している。塩形成の目的上有用である製薬学的に許容できる酸の例は、限定されるものでないが、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸およびマンデル酸を挙げることができる。製薬学的に許容され得る塩は、さらに、ムチン酸塩、N−オキシド、硫酸塩、酢酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、酢酸塩三水和物、二(ヘプタフルオロ酪酸塩)、二(メチルカルバミン酸塩)、二(ペンタフルオロプロピオン酸塩)、二(ピリジン−3−カルボン酸塩)、二(トリフルオロ酢酸塩)、重酒石酸塩、塩酸塩および硫酸塩五水和物、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重酒石酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシラート(edisylate)、エストレート(estolate)、エシラート(esylate)、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、アルサニル酸グリコリル(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩(subacetate)、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トリエチオジド、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、およびプロカイン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、プロピオン酸ナトリウム、亜鉛などを包含する。
【0053】
本明細書で使用されるところの「比例した」(投薬形態物からの非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬の放出速度若しくは送達を指す場合)という用語は、2種の鎮痛薬の相互に関しての放出若しくは放出の速度を指し、放出される量は投薬形態物中の各鎮痛薬の総量に対し正規化される。すなわち、放出される量は投薬形態物中に存在する各鎮痛薬の総量のパーセントとして表される。一般に、投薬形態物からの非オピオイド鎮痛薬若しくはオピオイド鎮痛薬の比例した放出速度は、各薬物の相対放出速度(放出パーセントとして表される)若しくは放出された量(該投薬形態物中に存在する総量のパーセントとしての累積放出として表される)が、他の薬物の放出速度若しくは放出された量の約20%以内、より好ましくは約10%以内、および最も好ましくは約5%以内であることを意味している。言い換えれば、いずれかの時点で、一方の剤の放出速度(投薬形態物中に存在するその総量のパーセントとして述べられる)は、同一時点での他方の剤の放出速度の約20%以上、より好ましくは約10%以上、および最も好ましくは約5%以上逸脱しない。
【0054】
薬物「放出速度」は、単位時間あたりに投薬形態物から放出される薬物の量、例えば1時間あたりに放出される薬物のミリグラム(mg/hr)を指す。薬物投薬形態物の薬物放出速度は、典型的にはin vitro溶解速度、すなわち適切な条件下および適する液体中で測定される単位時間あたりに投薬形態物から放出される薬物の量として測定される。例えば、溶解試験は、米国薬局方VII型浴指示計(bath indexer)に取付けた金属製コイルサンプルホルダーに入れかつ37℃の恒温水浴中で平衡化した約50mlの酸性化した水(pH=3)に浸積した投薬形態物で実施し得る。放出速度溶液の
アリコートを試験して、投薬形態物から放出された薬物の量を測定する。例えば、薬物をアッセイ若しくはクロマトグラフィー装置に注入して、試験間隔の間に放出された薬物の量を定量し得る。
【0055】
別の方法で明記されない限り、投与後の指定された時間で得られる薬物放出速度は、適切な溶解試験の実施後の指定された時間で得られるin vitro薬物放出速度を指す。投薬形態物内の薬物の指定されたパーセントが放出された時間を「Tx」値として参照することができ、ここで「x」は放出された薬物のパーセントである。例えば、投薬形態物からの薬物放出を評価するための一般に使用される参照測定値は、投薬形態物内の薬物の90%が放出された時間である。この測定値は該投薬形態物の「T90」と称される。
【0056】
本明細書で使用されるところの「持続放出」という用語は、何時間にもわたる投薬形態物からの薬物の放出を指す。一般に、持続放出は、投薬形態物を投与された患者の血液(例えば血漿)濃度が、約12時間にわたって治療範囲内、すなわち最小有効鎮痛濃度より上しかし毒性レベルより下に維持されるような速度で起こる。
【0057】
本明細書で使用されるところの「Tmax」という用語は、ヒドロコドンおよび/若しくはアセトアミノフェンの血漿濃度が最大血漿濃度に到達する、投薬形態物の投与後に経過する時間を指す。
【0058】
本明細書で使用されるところの「0次血漿プロファイル」という句は、特定の時間間隔にわたる患者の血漿中の特定の薬物の実質的に平坦なすなわち変化しない量を指す。一般に、0次血漿プロファイルは、1つの時間間隔からその後の時間間隔まで約30%を超えない、および好ましくは1つの時間間隔から次のものまでで約10%を超えないだけ変動することができ、そして、放出時間全体にわたって、実質的に一定の放出速度および放出速度対時間の平坦な曲線を示すことができる。
【0059】
本明細書で使用されるところの「0次放出速度」という句は、薬物が実質的に一定の速度で使用の環境で液体に溶解するような、実質的に一定の放出速度を指す。0次放出速度は、平均放出速度から約30%と同じくらい多いだけ、および好ましくは約10%を超えないだけ変動し得る。
【0060】
当業者は、特定の薬物の治療的レベルは、個々の患者の変動性、腎および肝機能のような健康状態、身体活動、耐性の発生、チトクロームP450の阻害若しくは代替の形態の存在、および障害若しくは疾患の性質を包含する多くの要因に従って変動するであろうことを理解するであろう。
【0061】
本発明の持続放出投薬形態物が、以前に達成されなかった新規利点を提供することが、驚くべきことに発見された。該持続放出製剤は、驚くべきことに、該投薬形態物からの製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。該持続放出投薬形態物は、漸増する放出速度での有効成分の放出を提供して、患者における血漿濃度を平行する血漿濃度、若しくは1種の剤が他の有効成分より遅い速度で代謝される場合に起こるであろうような異なる血漿濃度のいずれかに調整する独特の能力を提供する。有効成分は比例した放出速度で投薬形態物から放出され得る。有効成分は、それらの不活性化若しくは排泄速度が同様であり従って平行な血漿プロファイルを提供するように、または、それらの不活性化若しくは排泄速度が異なり従って分岐する血漿プロファイルを提供するように選ぶことができる。
【0062】
加えて、特定の有効成分に対する耐性すなわち脱感作が生じる場合には、漸増する放出速度は有効成分の有効な治療的レベルの維持における困難を克服する手段を提供する。従
って、耐性の発生による有効性のいかなる低下についても、増大する血漿濃度が、患者中の標的受容体が該有効成分に対しより少なく感受性になっている環境下でさえ、該有効成分のいかなる低下された有効性についても補償する手段を提供する。
【0063】
さらに、開示される製剤は、比較的不溶性の有効成分の高装填量を提供し得、そしてさらに、類似の若しくは極めて異なる溶解性を有する付加的な有効成分との可能な相乗的若しくは治療的組合せを提供し得る。該投薬形態物は、双方の有効成分(例えばヒドロコドンおよびアセトアミノフェン若しくはイブプロフェン)の物理特性(例えばそれらの溶解性)が相互と顕著に異なったとしても、該有効成分の比例した送達を表し得る。該製剤は、有効濃度の有効成分を比較的迅速に提供しかつ状態若しくは障害を処置するのに十分な有効成分のレベルを約12時間まで維持するための持続放出をさらに提供するような様式で、ヒト患者に投与し得る。
【0064】
提供される放出プロファイルは、1時間以内に放出される量が使用の環境に即時に放出されることを意図している量と緊密に似ている一方、持続放出プロファイルで放出される量が長時間にわたって放出されることを意図している量と似ているため、該投薬形態物の薬物コーティング(あれば)および持続放出部分中の有効成分の量と該投薬形態物からのそれらの放出プロファイルとの間の緊密な類似を示す。例えば、図5Aは好ましい一態様の溶解プロファイルを示し、そして、ヒドロコドン重酒石酸塩が溶解試験の最初の1時間におよそ5mg/hrの速度で放出され、それは即時放出薬物コーティングに組み込まれかつ投与の最初の1時間以内に放出されることを意図している量に緊密に似ていることを示す。図5Cは、アセトアミノフェンが溶解試験の最初の1時間におよそ163mg/hrの速度で放出され、それは即時放出薬物コーティングに組み込まれかつ投与の最初の1時間以内に放出されることを意図している量に緊密に似ていることを示す。図5Bおよび5Dは、有効成分の本質的に完全な放出が溶解試験の時間にわたり発生したことを示す。
【0065】
該製剤は、1種以上の有効成分が存在する場合に有効成分の相互に関して比例する放出もまた示す。例えば、下の実施例4の表3および4に示されるとおり、8時間製剤からの累積アセトアミノフェン放出は、溶解試験後2、4および7時間にそれぞれ42%、57%および89%である。同一製剤からの累積ヒドロコドン重酒石酸塩放出は、同一時点で42%、61%および95%である。従って、本製剤は、相互の0%、4%および6%以内であるアセトアミノフェンおよびヒドロコドンの比例した放出を表す。しかしながら、いくつかの目的上、すなわち特定の所望のin vitro放出プロファイル若しくは特定の血漿プロファイルを達成するため、比例しない放出プロファイルを企図している。
【0066】
界面活性剤の存在を伴わずに段階的に増大する放出速度を表す制御放出投薬形態物は、2003年8月22日出願の同時継続中の同一出願人による特許出願整理番号第ALZ5054号すなわち米国第60/497,162号に記述されている。これらの投薬形態物は、部分的に、放出して該投薬形態物からの段階的な若しくは漸増する放出速度を連続して生じさせる2薬物層組成物を特徴とする。「漸増する」放出速度は、第一の放出速度が第二の放出速度より小さく、かつ、各放出速度が送達のその時間にわたり実質的に均一である、第一の時間の第一の放出速度、次いで第二の時間の第二の放出速度と定義される。
【0067】
対照的に、漸増する薬物放出速度を長時間表す経口の浸透圧投薬形態物が、一定の薬物濃度の単一の薬物層、および単一の浸透圧押し組成物を使用して達成され得ることが、驚くべきことに発見された。孔形成体を含んでなる内壁若しくは第二の薬物層のような付加的な成分は、該薬物組成物が患者に送達される際の薬物放出速度を増大させるために必要とされない。米国特許第6,368,626号明細書に一般的に記述されるものに類似の技術を使用して製造される製剤が、より短い時間にわたり薬物を送達するように適合される場合、すなわち投薬形態物が約12時間未満で有効成分の送達を提供する場合に漸増す
る放出プロファイルを提供することもまた、驚くべきことに発見された。この発見は、長時間にわたり有効成分の均一な放出速度を提供する高薬物装填量の投薬形態物の以前の開発の進歩である。
【0068】
該投薬形態物は、長時間、好ましくは4時間若しくはそれ以上にわたり漸増する放出速度で有効成分を放出するように適合されている。放出速度の測定は、胃液中の状態の模擬を提供するために酸性化した水中でin vitroで典型的に行い、また、即時放出速度の近似を提供するために有限の増加する時間にわたり行う。特定の投薬形態物に関してのこうしたin vitro放出速度の情報を、所望のin vivoの結果を提供するであろう投薬形態物の選択において補助するために使用しうる。こうした結果は、利用可能な即時放出投薬形態物を処方するために実施者により利用される血漿アッセイおよび臨床観察のような現在の方法により決定しうる。
【0069】
漸増する放出速度プロファイルを有する投薬形態物が、該投薬形態物の投与後長時間にわたり、有効成分の実質的に一定の血漿濃度および持続的な治療効果を患者に提供し得ることが見出された。該持続放出投薬形態物は、被験体への投与後すぐに若しくは直後に薬物濃度の有意なピークを特徴的に創製する即時放出製剤が示すよりも、投与される場合に12ないし24時間にわたって薬物血漿濃度のより少ない変動性を示し得る。漸増する放出速度は、有効成分の代謝若しくは排泄の速度に依存して、または患者自身の医学的状態(腎および肝機能)に依存して、0次、漸増する若しくは減少する血漿プロファイルを患者に提供し得る。
【0070】
製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合された持続放出投薬形態物が提供され、該投薬形態物は、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。好ましい態様において、該持続放出投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5から約8ないし10時間まで、若しくはいくつかの場合にはより長時間提供する。該持続放出投薬形態物は、製薬学的有効成分が患者に高用量で投与されることが必要とされる場合、または有効成分が低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度を有する場合でさえ、有効成分を送達するのに有用である。
【0071】
好ましくは、該投薬形態物によりその最大放出速度で表される放出速度は、その最小放出速度、典型的には投与若しくは溶解試験の開始後最初の1若しくは2時間に観察される放出速度より最低20%より大きい。典型的には、最大放出速度は有効成分の約70%が放出される場合に生じる。他の態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は、該投薬形態物により表される最小放出速度より最低40%より大きい。付加的な態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は、該投薬形態物により表される最小放出速度より最低60%より大きい。
【0072】
ある態様において、侵食可能な固体は結合剤および崩壊剤をさらに含んでなり、また、それは界面活性剤および浸透物質を包含し得る。好ましい結合剤は、ポリオキシアルキレン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースおよびポリビニルピロリドンなどを包含する。好ましい崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウムなどを包含する。
【0073】
好ましくは、該持続放出投薬形態物は、有効成分の約70%が放出されるまで製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供し、そして、漸増する放出速度の後は放出速度の急速な低下が存在する。好ましくは、該投薬形態物は約12時間以内に有効成分の最低90%を放出する。
【0074】
特定の態様において、侵食可能な固体は、非イオン性若しくはイオン性のいずれかの界面活性剤であり得る界面活性剤をさらに含んでなる。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、ポロキサマー、ポリオキシエチレンエステル、糖エステル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、およびそれらの混合物を包含する。好ましい非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステルおよび糖エステル界面活性剤を包含する。
【0075】
持続放出投薬形態物は、約20ないし約95重量%の侵食可能な固体中の薬物装填量のようないかなる薬物装填量の漸増する放出速度も提供し得る。特定の態様において、持続放出投薬形態物は、高用量の有効成分を送達しかつ有効成分の高装填量を提供するように適合されている。ある態様において、製薬学的有効成分は最低60重量パーセントのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在し、そして、一般に、約60パーセントから約95重量パーセントまでの範囲で侵食可能な固体中に存在する。特定の態様において、有効成分は約70パーセントから約90重量パーセントまでのパーセント組成で、若しくは約75パーセントから約85重量パーセントまでの薬物装填量ででさえ、侵食可能な固体中に存在する。ある態様において、侵食可能な固体は、約5から約15重量パーセントまでの結合剤および崩壊剤を含んでなる。付加的な態様において、侵食可能な固体は約1から約15重量パーセントまでの界面活性剤を含んでなり、また、典型的には10〜15重量パーセント未満の浸透物質もまた含有し得る。
【0076】
ある態様において、該持続放出投薬形態物は、侵食可能な固体中に最低1種の付加的な製薬学的有効成分をさらに含んでなる。該製薬学的有効成分は乏しく溶解性であり得、類似若しくは異なる溶解性を有し得、そして相互に比例し得る速度で投薬形態物から放出される。製薬学的有効成分は、典型的には25℃で約50mg/ml未満の溶解性を有し、そして、25℃で約10mg/ml未満の溶解性を有しうる。
【0077】
ある付加的な態様において、該持続放出投薬形態物は、有効用量の最低1種の製薬学的有効成分を含んでなる即時放出薬物コーティングをさらに含み得、また、付加的な有効成分が持続放出投薬形態物中に存在する場合は、該即時放出薬物コーティングもまた該付加的な有効成分を含み得る。該即時放出薬物コーティングは有効成分の即時用量を患者に提供するように作用し、また、該持続放出投薬形態物は投薬間隔全体にわたる有効成分の持続放出を提供してそれによりそれの必要な患者に治療上有効な用量の有効成分を提供する。
【0078】
付加的な態様において、該持続放出投薬形態物は:(1)空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスをその中に包含する半透性壁;(2)空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置された、治療上有効な量の製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる薬物層;(3)空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置される押し置換層;(4)半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層を含んでなり;そして製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。該薬物層は侵食可能な組成物として使用の環境に露出される。より好ましくは、該投薬形態物は、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5から約8時間まで、若しくは10時間またはそれ以上提供する。好ましい態様において、漸増する放出速度の後に、該投薬形態物は放出速度の急速な低下を表す。好ましく
は、該投薬形態物は約12時間以内に有効成分の最低90%を放出する。
【0079】
好ましくは、該投薬形態物は、有効成分の約70パ―セントが放出されるまで製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供する。典型的には、最小放出速度は、有効成分の約10〜20%未満が放出される場合に該投薬形態物により表される。特定の態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は最小放出速度より最低20%より大きい。付加的な態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は最小放出速度より最低40%より大きい。なお他の態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は、該投薬形態物により表される最小放出速度より最低60%より大きい。
【0080】
該持続放出投薬形態物は、製薬学的有効成分が高用量で患者に投与されることが必要とされる場合、または有効成分が低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度を有する場合でさえ、有効成分を送達するのに有用である。
【0081】
特定の態様において、薬物層は結合剤、崩壊剤若しくはそれらの混合物をさらに含んでなり、また、ある他の態様において、薬物層は界面活性剤および/若しくは浸透物質をさらに含んでなる。界面活性剤は非イオン性若しくはイオン性界面活性剤であり得る。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、ポロキサマー、ポリオキシエチレンエステル、糖エステル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、およびそれらの混合物を包含する。好ましい非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステルおよび糖エステル界面活性剤を包含する。
【0082】
特定の態様において、該持続放出投薬形態物は、高用量の有効成分を送達しかつ有効成分の高装填量を提供するように適合されている。ある態様において、製薬学的有効成分は最低60重量パーセントのパーセント組成で薬物層中に存在し、そして、一般に、約60パーセントから約95重量パーセントまでの範囲で薬物層中に存在する。特定の態様において、有効成分は約70パーセントから約90重量パーセントまでのパーセント組成で、若しくは約75パーセントから約85重量パーセントまでの薬物装填量ででさえ薬物層中に存在する。
【0083】
ある態様において、該持続放出投薬形態物は、薬物層中に最低1種の付加的な製薬学的有効成分をさらに含んでなる。製薬学的有効成分は類似の若しくは異なる溶解性を有し得、そして、該投薬形態物中の各有効成分のそれぞれの重量に比例する速度で該投薬形態物から放出される。比例しない放出速度が望ましい場合、薬物層は各有効成分の濃度が各層中で独立に変動するように複数の層に形成し得る。これゆえに、漸増する放出速度は、全体の放出速度が漸増しているとしても、1種の有効成分の増大する放出速度および付加的な有効成分の減少する放出速度をもたらし得る。
【0084】
ある付加的な態様において、該持続放出投薬形態物は、有効用量の最低1種の製薬学的有効成分を含んでなる即時放出薬物コーティングをさらに含み得、そして、付加的な有効成分が持続放出投薬形態物中に存在する場合は、該即時放出薬物コーティングもまた付加的な有効成分を含み得る。該即時放出薬物コーティングは有効成分の即時用量を患者に提供するように作用し、また、該持続放出投薬形態物は投薬間隔全体にわたる有効成分の持続放出を提供して、それによりそれの必要な患者に治療上有効な用量の有効成分を提供する。
【0085】
製薬学的有効成分はいかなる溶解性でもあり得る。一般に、有効成分が乏しく溶解性である場合、該有効成分は25℃で約50mg/ml未満の溶解性を有し、そして25℃で約10mg/ml未満の溶解性を有しうる。製薬学的有効成分はいかなる製薬学的有効成分でもあり得、そして、好ましい態様においては非オピオイド鎮痛薬、抗生物質、抗てんかん薬若しくはそれらの組合せから選択される。特定の態様において、最低1種の付加的な製薬学的有効成分が投薬形態物に包含され、そして、オピオイド鎮痛薬、胃保護薬、5−HTアゴニスト若しくは他の有効成分から選択され得る。
【0086】
持続放出投薬形態物は、それの必要な患者への増大する用量の製薬学的有効成分の持続放出の提供方法において使用し得る。該持続放出投薬形態物は処置の必要な患者に経口投与され、そして、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなり、かつ、該製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。
【0087】
特定の態様において、有効成分が高投薬量、低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度での患者への投与を特徴とする、治療上有効な用量の製薬学的有効成分の持続放出の提供方法が提供される。
【0088】
付加的な態様において、少なくとも部分的に半透性の壁により規定される空洞内に含有されかつそれに隣接して配置された出口手段を有する薬物層中に存在する治療上有効な量の製薬学的有効成分、使用の水性環境に置かれる場合に空洞からの組成物の持続放出を提供する出口手段から遠位に空洞内に配置された押し置換層、および半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間に配置された流動促進層を含んでなる組成物を経口投与することを含んでなる、それの必要な患者への治療上有効な用量の製薬学的有効成分の提供方法が提供され、該投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。該方法は、さらに、少なくとも部分的に半透性の壁の外側表面に配置された治療上有効な量の即時放出治療組成物を含んでなる持続放出投薬形態物上の薬物コーティングを利用することを含み得る。該治療組成物は、好ましくは、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5時間から約8時間まで若しくはより長く提供する。好ましい態様において、薬物層は約60から約95重量%までの製薬学的有効成分、およびより好ましくは約75から約85重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる。特定の態様において、薬物層は約5から約15重量パーセントまでの結合剤および崩壊剤、ならびに場合によっては約1から約15重量パーセントまでの界面活性剤を含んでなる。
【0089】
付加的な態様において、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる治療組成物を経口投与することを含んでなる、比較的迅速に代謝される製薬学的有効成分の患者の血漿中での有効濃度の提供方法が提供され、該侵食可能な固体は製薬学的有効成分を含んでなり、また、前記治療組成物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。好ましい態様において、該投薬形態物は、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約4時間から約8時間まで提供する。
【0090】
該治療組成物は、即時効果の必要な患者において即時効果を提供するのに十分な治療上有効な量の製薬学的有効成分を含んでなる薬物コーティング(「即時放出薬物コーティング」)をさらに含み得る。特定の態様において、治療組成物は、患者において製薬学的有効成分の実質的に0次の血漿プロファイルを提供する。付加的な態様において、治療組成物は、患者において該製薬学的有効成分の漸増する血漿プロファイルを提供する。ある他の態様において、治療組成物は、患者において該製薬学的有効成分の減少する血漿プロファイルを提供する。好ましい一態様において、該投薬形態物は、患者の血漿中での治療上
有効な量の製薬学的有効成分を提供する即時放出薬物コーティングを含んでなり、そして、該治療組成物により提供される漸増する放出速度が、患者の血漿中の製薬学的有効成分の濃度を長時間治療範囲に維持する。
【0091】
なお他の態様において、薬物層に含有される、それに対する耐性が比較的迅速に発生する製薬学的有効成分の有効用量、浸透圧押し層、少なくとも部分的に半透性の壁、および該投薬形態物から治療組成物を送達するための該壁中の出口手段、ならびに半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の外表面との間に配置される流動促進層を含んでなる治療組成物を経口投与することを含んでなる、患者においてそれに対する耐性が比較的迅速に発生する製薬学的有効成分の有効用量の提供方法が提供され、前記薬物層および押し組成物は少なくとも部分的に半透性の壁により囲まれ、該薬物層は侵食可能な組成物として使用の環境に露出され、そしてさらに、前記投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供してそれにより患者の血漿中での製薬学的有効成分の増大する濃度を提供する。
【0092】
好ましい一態様において、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された非オピオイド鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる治療組成物を含んでなる投薬形態物を経口投与することを含んでなる、疼痛の処置の必要なヒト患者における疼痛の処置方法が提供され、前記治療組成物は非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。好ましい一態様において、非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬はそれぞれに比例する速度で放出される。
【0093】
該投薬形態物の態様およびそれらの使用方法をさらに詳細に下述する。
【0094】
有効成分の即時放出のための薬物コーティング
薬物コーティング製剤が場合によっては本明細書に記述される投薬形態物中に包含され得、そして、持続放出成分により提供される有効成分の持続放出と一緒に、有効成分の即時放出を提供する。当該技術分野で既知のいかなる薬物コーティング製剤も、本明細書に記述される発明の投薬形態物とともに使用し得、また、溶解性にしろ不溶性にしろいかなる製薬学的剤若しくは剤の組合せも、およびいかなる薬物装填量でも包含し得る。好ましい薬物コーティング製剤は、2003年9月26日付の代理人整理番号第ARC 3363 P1号として出願された同時係属中の共通に所有される特許出願第60/506,195号明細書(そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されている。
【0095】
ある種の好ましい薬物コーティングについて、簡潔には、薬物コーティングは水性コーティング製剤から形成し得、そして、最低1種の不溶性薬物および水溶解性薄膜形成剤を包含する。2種若しくはそれ以上の不溶性薬物、または1種若しくはそれ以上の溶解性薬物と組合せの1種若しくはそれ以上の不溶性薬物を薬物コーティング中に包含し得る。好ましい一態様において、薬物コーティングは1種の不溶性薬物および1種の溶解性薬物を包含する。好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される不溶性薬物は非オピオイド鎮痛薬であり、アセトアミノフェンがとりわけ好ましい不溶性薬物である。付加的な好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される溶解性薬物はオピオイド鎮痛薬であり、ヒドロコドン、オキシコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、コデインおよびメサドンがとりわけ好ましい溶解性薬物である。
【0096】
好ましい態様において、薬物コーティングは約85重量%から約97重量%までの不溶性薬物を包含し、約90重量%ないし約93重量%の不溶性薬物の装填量を表すコーティングがとりわけ好ましい。薬物コーティングに包含される溶解性薬物の総量は、好ましくは約0.5重量%から約15重量%までの溶解性薬物の範囲にわたり、そして約1重量%
ないし約3重量%の溶解性薬物を包含する薬物コーティングが最も好ましい。溶解性および不溶性双方の薬物を組み込む薬物コーティングに包含される不溶性薬物の総量は、好ましくは約60重量%から約96.5重量%までの範囲にわたり、約75重量%ないし約89.5重量%の不溶性薬物を包含する薬物コーティングがより好ましく、そして、約89重量%ないし約90重量%の不溶性薬物を包含する薬物コーティングが最も好ましい。薬物コーティングに包含される薬物の総量は約85重量%から約97重量%までの範囲にわたり、そして好ましい態様において、薬物コーティングに包含される薬物の総量は約90重量%から約93重量%までの範囲にわたる。
【0097】
薬物コーティングに包含される薄膜形成剤は水溶解性であり、そして薬物コーティングの約3重量%ないし約15重量%に相当し、約7重量%ないし約10重量%の薄膜形成剤を有する薬物コーティングが好ましい。薬物コーティングに包含される薄膜形成剤は水溶解性であり、そして好ましくは薬物コーティングに包含される不溶性薬物を可溶化するようはたらく。加えて、薄膜形成剤が薬物コーティングに包含される1種若しくはそれ以上の不溶性薬物と固体溶液を形成するような、薬物コーティングに包含される薄膜形成剤を選びうる。薬物コーティングの薬物装填量および薄膜形成の特徴は、該薬物コーティングに包含される1種若しくはそれ以上の不溶性薬物の最低1種と固体溶液を形成する薄膜形成剤を選択することにより高められると考えられる。薄膜形成剤内に分子レベルで溶解される薬物(固体溶液)はまた、薬物コーティングが分解若しくは溶解する際に、薬物が胃腸管中に放出されそして個別の分子として胃腸粘膜組織に提示されるため、より容易に生物学的に利用可能であることも期待される。
【0098】
好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される薄膜形成剤は、薄膜形成ポリマー若しくは最低1種の薄膜形成ポリマーを包含するポリマーブレンドである。薬物コーティングの薄膜形成剤として使用されるポリマー素材は水溶解性である。薬物コーティングの薄膜形成ポリマーとして使用しうる水溶解性ポリマー素材の例は、限定されるものでないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、低分子量HPMC、ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC」)(例えばKlucel(R))、ヒドロキシエチルセルロース(「HEC」)(例えばNatrasol(R))、コポビドン(例えばKollidon(R)VA 64)およびPVA−PEGグラフト共重合体(例えばKollicoat(R)IR)、ならびにそれらの組合せを挙げることができる。薬物コーティングに包含されるべき薬物(1種若しくは複数)とともに単一の薄膜形成ポリマーを使用して達成可能でないとみられる特徴を有する薬物コーティングを達成するために、ポリマーブレンド若しくは混合物を薄膜形成剤として使用しうる。例えば、HPMCおよびコポビドンの配合物は、所望の薬物装填量の特徴を表すのみならずしかし審美的に満足できかつ所望の物理特性を表すコーティングもまた提供する薬物コーティングの形成を可能にする薄膜形成剤を提供する。
【0099】
薬物コーティングは粘度増強剤もまた包含し得る。薬物コーティングは不溶性薬物を包含する水性コーティングであるため、薬物コーティングは典型的には水性懸濁液製剤から被覆される。懸濁液製剤からの実質的に均一な薬物分布をともなう薬物コーティングを提供するために、しかしながら、該懸濁液製剤は、コーティングに包含される不溶性薬物の実質的に均一な分散系を提供すべきである。薬物コーティングに包含される薄膜形成剤および薬物の相対量および性質に依存して、実質的に均一な薬物分散系を提供するのに十分な粘度を表しかつ不溶性薬物の実質的に均一な分布を有する薬物コーティングの製造を助長するコーティング製剤の創製を容易にするように、粘度増強剤を薬物コーティングに包含し得る。薬物コーティングに包含される粘度増強剤は好ましくは水溶解性であり、かつ、薄膜形成剤であり得る。薬物コーティング中で使用しうる粘度増強剤の例は、限定されるものでないがHPC(例えばKlucel(R))、HEC(例えばNatrasol(R))、Polyox(R)水溶解性樹脂製品、およびそれらの組合せを挙げることが
できる。
【0100】
薬物コーティングに包含される粘度増強物質の正確な量は、薬物コーティング中で使用されるべき薄膜形成ポリマーおよび薬物物質の量および型に依存して変動することができる。しかしながら、薬物コーティングに包含される場合、粘度増強剤は典型的に薬物コーティングの5重量%若しくはそれ未満に相当することができる。好ましくは、薬物コーティングは2重量%若しくはそれ未満の粘度増強剤を包含し、また、とりわけ好ましい態様において、薬物コーティングは1重量%若しくはそれ未満の粘度増強剤を包含する。
【0101】
薬物コーティングはまた、薬物コーティングが投与後に崩壊する速度を増大させる崩壊剤も包含し得る。薬物コーティングは典型的に大量の不溶性薬物を包含するため、薬物コーティングは投与後に所望されるほど迅速に分解若しくは崩壊しないことがある。コーティングに包含される崩壊剤は、崩壊剤が水を吸収しかつ膨潤する際にコーティングを構造的に損なうようにはたらく、水で膨潤可能な素材である。薬物コーティング中で使用しうる崩壊剤は、限定されるものでないが、加工デンプン、化学修飾セルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン素材を挙げることができる。薬物コーティング中で使用することができかつ商業的に入手可能である崩壊剤の特定の例は、Ac−Di−Sol(R)、Avicel(R)およびPVP XL−10を包含する。薬物コーティングに包含される場合、崩壊剤は、典型的にはコーティングの約6重量%までに相当し、約0.5重量%から約3重量%までを組み込むコーティングが好ましく、そして約1重量%から約3重量%までを組み込むコーティングがとりわけ好ましい。
【0102】
薬物コーティングはまた、投与後に薬物コーティングが溶解若しくは侵食する速度を増大させるための界面活性剤も包含し得る。界面活性剤は、水性液体に薬物コーティングを横断してより容易に広がらせるすなわち浸透させる「湿潤」剤としてはたらく。薬物コーティング中での使用に適する界面活性剤は好ましくは25℃で固体である。薬物コーティング中で使用しうる界面活性剤の例は、限定されるものでないがPoloxamerおよびPluronic(R)界面活性剤のような界面活性ポリマーを挙げることができる。界面活性剤が薬物コーティングに包含される場合、界面活性剤は、典型的には薬物コーティングの約6重量%までに相当することができ、約0.5重量%ないし約3重量%の界面活性剤を包含する薬物コーティングが好ましく、そして約1重量%ないし約3重量%の界面活性剤を包含する薬物コーティングがとりわけ好ましい。
【0103】
薬物コーティングの一態様において、薄膜形成剤はコポビドンおよびHPMCから形成されるポリマーブレンドを包含する。こうしたポリマーブレンドが薬物コーティングの薄膜形成剤として使用される場合、コポビドンおよびHPMCの量は、所望の物理的および薬物装填量の特徴を有する薬物コーティングを達成するように所望のとおり変動させ得る。しかしながら、薬物コーティングに包含される薄膜剤がコポビドンおよびHPMCの配合物から形成される場合、コポビドンおよびHPMCは、好ましくは約0.6:1ないし約0.7:1のコポビドン対HPLCの重量/重量比で包含され、1:1.5の重量/重量比が最も好ましい。HPMCおよびコポビドンの配合物は、審美的に満足できかつさらなる加工および長期の貯蔵寿命を耐えるのに十分堅牢であると考えられる薬物コーティングを提供する。さらに、コポビドンは薬物コーティングに包含される不溶性薬物を可溶化して不溶性薬物の固体溶液を包含する薬物コーティングを提供するようにはたらき得ると考えられている。
【0104】
好ましい一態様において、薬物コーティングは薄膜形成剤としてHPMCおよびコポビドンの配合物、ならびに不溶性薬物として非オピオイド鎮痛薬、好ましくはアセトアミノフェンを包含する。
【0105】
なお別の態様において、薬物コーティングは、薄膜形成剤としてHPMCおよびコポビドンの配合物、不溶性の非オピオイド鎮痛薬、および溶解性のオピオイド鎮痛薬を包含する。こうした一態様の特定の一例において、薬物コーティングは、ヒドロコドンおよびその製薬学的に許容され得る塩のようなオピオイド鎮痛薬を包含する。アセトアミノフェン若しくはイブプロフェンおよびオピオイド鎮痛薬の組合せを包含する投薬形態物は、鎮痛薬、抗炎症薬、解熱薬および鎮咳薬の作用の組合せを提供する。
【0106】
なおさらなる態様において、薬物コーティングは、薄膜形成剤としてのHPMCおよびコポビドンの配合物、不溶性の非オピオイド鎮痛薬、溶解性のオピオイド鎮痛薬、ならびに粘度増強剤若しくは崩壊剤を包含する。こうした一態様の特定の一例において、薬物コーティングは約1重量%と約2重量%との間のHPCのような粘度増強剤を包含する。こうした一態様の別の例において、薬物コーティングは約0.5重量%と約3重量%との間の崩壊剤を包含し、また、こうした一態様のなお別の例において、薬物コーティングは約0.5重量%と約3重量%との間の界面活性剤を包含する。
【0107】
薬物コーティングは、高薬物装填量を達成することが可能であるのみならず、しかし、薬物コーティングが2種若しくはそれ以上の異なる薬物を包含する場合は、薬物コーティングが該薬物コーティングに包含される薬物の量に直接比例する量の異なる薬物を放出することが見出されている。該比例した放出は、アセトアミノフェンおよびヒドロコドンのような劇的に異なる溶解性の特徴を表す薬物が薬物コーティングに包含されている場合であっても観察される。加えて、本発明の薬物コーティングは、その中に包含される薬物の実質的に全部を放出する。こうした性能の特徴は、確実かつ予測可能な薬物送達成績を助長し、そして、2種若しくはそれ以上の薬物を広範な異なる比で送達する薬物コーティングの製剤を可能にする。
【0108】
別の局面において、コーティング製剤は薬物コーティングを提供するのに使用し得る。コーティング懸濁液は、1種若しくはそれ以上の溶媒若しくは溶液内に物質に依存して溶解若しくは懸濁されている、薬物コーティングを形成するのに使用される物質を包含する。コーティング懸濁液に包含される1種若しくはそれ以上溶媒は有機溶媒でなく、そして好ましくは水性溶媒である。コーティング懸濁液で使用しうる水性溶媒は、限定されるものでないが精製水、pHを調節した水、酸性化した水若しくは水性緩衝溶液を挙げることができる。好ましい一態様において、コーティング懸濁液に包含される水性溶媒は米国薬局方精製水である。コーティング製剤は好ましくは水性製剤であり、そしてコーティング組成物の処方において有機溶媒の使用から生じ得る潜在的な問題および欠点を回避する。
【0109】
薬物コーティングは最低1種の不溶性薬物を包含するため、コーティング製剤は、典型的にはいずれかの適する方法を使用して水性懸濁液として製造し、また、好ましい態様において、コーティング製剤は、例えばパンコーティング、流動床コーティング若しくは薬物コーティングを提供するのに適するいずれかの他の標準的コーティング方法のような既知のコーティング方法による薬物コーティングの製造を助長するように処方される。コーティング懸濁液で使用される溶媒の正確な量は、例えば完成した薬物コーティングに包含されるべき物質、コーティング懸濁液の所望のコーティング成績、および完成した薬物コーティングの所望の物理的特徴に依存して変動しうるとは言え、コーティング懸濁液は、典型的には約30重量%までの固形物含量を包含し、コーティング懸濁液の残部は所望の溶媒よりなる。コーティング懸濁剤の好ましい一態様は約80重量%の所望の水性溶媒および約20重量%の固形物含量を包含する。コーティング懸濁液は、薬物コーティングの吹付塗を容易にするのに十分に低いがそれでもなおコーティング工程の間のコーティング懸濁液に包含される不溶性薬物の実質的に均一な分散を維持するのに十分高い粘度を表すように処方する。
【0110】
コーティング製剤の製造において、コーティング製剤に負荷される薬物は超微粉の形態で提供し得る。コーティング製剤に負荷される薬物の粒子径を低下させることにより、より外見上滑らかな薬物コーティングを達成しうる。加えて、コーティング製剤に負荷される薬物物質の粒子径を低下させることにより、コーティング製剤により製造される薬物コーティングから放出される場合の薬物の溶解速度を、とりわけ薬物が不溶性薬物である場合に向上させうる。コーティング製剤の一態様において、コーティング製剤は、100ミクロン未満の平均粒子径を表す超微粉薬物物質を包含する。別の態様において、コーティング製剤は50ミクロン未満の平均粒子径を表す超微粉薬物物質を包含し、また、なお別の態様において、コーティング製剤は10ミクロン未満の平均粒子径を表す超微粉薬物物質を包含する。薬物物質の超微粉砕は、例えば既知のビーズ微粉砕、ジェットミル微粉砕若しくは微小沈殿工程のような当該技術分野で公知の方法により容易に達成し得、そして、粒子径は、沈降場流動分画法、光子相関分光法若しくはディスク遠心分離(disk centrifugation)のようないずれかの慣習的粒子径測定技術を使用して測定し得る。
【0111】
コーティング製剤中に溶解若しくは懸濁された固体は、薬物コーティング中で使用されるものと同一の相対量でコーティング製剤に負荷される。例えば、コーティング製剤に包含される薬物は、該コーティング製剤に負荷される固体の約85重量%ないし約97重量%に相当する。好ましい態様において、コーティング製剤に包含される薬物は、該コーティング製剤に負荷される固体の約90重量%ないし約93重量%に相当する。コーティング製剤に包含される薄膜形成剤は、該コーティング製剤に負荷される固体の約3重量%ないし約15重量%に相当し、そして、好ましい態様において、コーティング製剤に包含される薄膜形成剤は、該コーティング製剤に負荷される固体の約7重量%ないし約10重量%に相当する。包含される場合、粘度増強剤は、典型的に、コーティング製剤に包含される固体の5重量%若しくはそれ未満に相当することができる。粘度増強剤が固体の2重量%若しくはそれ未満に相当するコーティング製剤が好ましく、そして、とりわけ好ましい態様において、コーティング製剤に包含される粘度増強剤は、該コーティング製剤に包含される固体の1重量%若しくはそれ未満に相当する。コーティング製剤により形成されるべきコーティングが崩壊剤を包含するべきである場合、崩壊剤は、典型的に、コーティング製剤に包含される固体の約6重量%までに相当する。好ましい態様において、崩壊剤は、コーティング製剤に包含される固体の約0.5重量%ないし約3重量%に相当することができ、そして、崩壊剤を包含するコーティング製剤のとりわけ好ましい態様において、崩壊剤はコーティング製剤に包含される固体の約1重量%ないし約3重量%に相当する。界面活性剤が本発明の薬物コーティングに包含される場合、界面活性剤は、典型的には該コーティング製剤に包含される固体の約6重量%までに相当することができる。好ましくは、界面活性剤がコーティング製剤に包含される場合、界面活性剤はコーティング製剤に包含される固体の約0.5重量%ないし約3重量%に相当することができ、そして、界面活性剤を包含するコーティング製剤のとりわけ好ましい態様において、界面活性剤はコーティング製剤に包含される固体の約1重量%ないし約3重量%に相当する。
【0112】
有効成分を含有する浸透圧投薬形態物の製造
OROS(R)技術は、薬物の即時放出を提供する薬物コーティングの使用を伴う若しくは伴わない、1種若しくはそれ以上の有効成分の持続放出を提供し得る、調節可能な持続放出投薬形態物を提供する。多様な型の浸透圧ディスペンサーは、米国特許第3,845,770号明細書に記述されるもののような簡単な浸透圧ポンプ、米国特許第3,995,631号、同第4,034,756号および同第4,111,202号明細書に記述されるもののようなミニ浸透圧ポンプ、ならびに米国特許第4,320,759号、同第4,327,725号、同第4,449,983号、同第4,765,989号および同第4,940,465号、Bhattへの同第6,368,626号明細書(それらの全部は引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されるもののようなプッシュプ
ル、プッシュメルトおよびプッシュスティック浸透圧ポンプと称される多室浸透圧装置を包含する。好ましく使用し得るOROS(R)の特定の改作はOROS(R)Push−StickTM系を包含する。浸透圧系に対する有意の一利点は、作動が実質的にpH非依存性であり、そして従って、投薬形態物が胃腸管を通過しかつ有意に異なるpH値を有する異なる微小環境に遭遇する際でさえ長時間を通じて浸透圧で決定される速度で継続することである。持続放出は、数時間程度の時間、若しくは投薬形態物が胃腸管に存する限り提供され得る。
【0113】
浸透圧投薬形態物は、水の拡散を可能にするがしかし存在する場合に薬物若しくは浸透物質の拡散を可能にしない半透性壁により少なくとも部分的に形成される区画中に液体を吸収するための駆動力を生成させるのに浸透圧を利用する。これらの浸透圧投薬形態物においては、有効成分リザーバ(1個若しくは複数)が、典型的には、場合によっては固体、液体若しくは懸濁液の形態の製薬学的剤を含有する有効成分区画、および胃から液体を吸収し、膨潤しかつ有効成分を投薬形態物からそして使用の環境に推し進めることができる親水性ポリマーの膨張可能な「押し」区画を伴い形成される。
【0114】
こうした浸透圧投薬形態物の総説は、SantusとBaker(1995)、“Osmotic drug delivery:a review of the patent literature”、Journal of Controlled Release 35:1−21(そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に見出される。とりわけ、本出願の譲受人であるALZA Corporationにより所有されかつ浸透圧投薬形態物に向けられた以下の米国特許、すなわち米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,995,631号;同第4,008,719号;同第4,111,202号;同第4,160,020号;同第4,327,725号;同第4,519,801号;同第4,578,075号;同第4,681,583号;同第5,019,397号;同第5,156,850号;同第5,912,268号;同第6,375,978号;同第6,368,626号;同第6,342,249号;同第6,333,050号;同第6,287,295号;同第6,283,953号;同第6,270,787号;同第6,245,357号;および同第6,132,420号明細書が、それぞれそっくりそのまま本明細書に組み込まれる。
【0115】
投薬形態物の核は、典型的には、一層としての結合剤および鎮痛薬ならびに第二の層としての膨張可能なすなわち押し層の圧縮により形成される水分を含まない組成物若しくは実質的に水分を含まない組成物を含んでなる薬物層を含んでなる。「水分を含まない組成物」若しくは「実質的に水分を含まない組成物」により、投薬形態物の薬物層を形成する組成物が栓様の状態で投薬形態物から排出され、該組成物が十分に乾燥しているか、若しくは押し層により発揮される圧下でそれが投薬形態物から液体流として容易に流動しないほど高度に粘性であることを意味している。薬物層それ自身は、薬物、結合剤および崩壊剤が十分に水和しておらず、そして薬物層がスラリー若しくは懸濁液として投薬形態物から流動しないため、押し層に関して非常にわずかの浸透圧活性を有する。薬物層は、薬物層がスラリー若しくは懸濁液として使用の環境に露出される代替の浸透圧投薬形態物と対照的に、侵食可能な組成物として使用の環境に露出される。薬物層は、提供される高薬物装填量ならびに送達されるべき薬物の乏しい溶解性により、あったとしても非常にわずかな浸透物質をそれが包含するために、侵食可能な組成物である。
【0116】
圧縮技術は当該技術分野で既知でありかつ実施例1に例示される。押し層が使用の環境から液体を吸収する際に膨張可能な層が出口オリフィスから薬物層を押し、そして、露出された薬物層が侵食されて使用の環境に薬物を放出することができる。これは図1を参照して理解されると思われる。投薬形態物からの放出に際して、薬物層は水を吸収して崩壊剤を膨潤させかつ可溶性の剤を溶解させて、使用の環境で液体に侵食可能な固体を分散さ
せかつ鎮痛薬を溶解させる。この「押し粘着(push−stick)」製剤が好ましい投薬形態物であり、そしてより詳細に下述する。
【0117】
浸透圧投薬形態物の特定の一態様は:空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスをその中に包含する半透性壁、空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置される最低1種の製薬学的有効成分を含んでなる薬物層、空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置される押し置換層、ならびに半透性壁の内表面と、該壁と正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層を含んでなる。該投薬形態物は、使用の環境での水と接触した後約12時間まで有効成分のin vitro放出速度を提供する。
【0118】
浸透圧投薬形態物の組成
被験体へのその投与の前、作動の間および有効成分の送達後の「押し粘着」構成を有する本発明の投薬形態物の好ましい一態様を、図1に具体的に説明する。該投薬形態物は空洞および出口オリフィスを規定する壁を含んでなる。空洞内にかつ出口オリフィスから離れて押し置換層があり、そして薬物層は空洞内で出口オリフィスに隣接して配置される。流動促進層は少なくとも薬物層と壁の内表面との間を伸長し、また、壁の内表面と押し置換層との間を伸長し得る。
【0119】
該投薬形態物はいかなる薬物装填量でもあり得、そして好ましくは最低約20重量%の有効成分の装填量である。特定の態様において、投薬形態物は高薬物装填量(すなわち薬物層の総重量に基づき薬物層中に60%若しくはそれ以上、しかしより一般的には70%若しくはそれ以上の有効成分)にあり、そして侵食可能な組成物として使用の環境に露出される。薬物層は、崩壊剤、結合剤、および場合によっては界面活性剤、ならびに浸透圧剤、若しくはそれらの混合物とともに最低1種の有効成分から形成される組成物を含んでなる。
【0120】
結合剤は一般に、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルアルキルセルロース、ポリ(アルキレン)オキシド、若しくはポリビニルピロリドン、またはそれらの混合物のような有効成分の放出速度および制御された送達パターンに貢献する親水性ポリマーである。これらの親水性ポリマーの代表例は、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(メチレンオキシド)、ポリ(メチレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)およびポリ(ヘキシレンオキシド)を制限なしに包含する100,000ないし750,000の数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド);ポリ(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリ(カルボキシメチルセルロースカリウム)およびポリ(カルボキシメチルセルロースリチウム)のようなポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)により表される40,000ないし400,000の数平均分子量のポリ(カルボキシメチルセルロース);ヒドロキシプロピルセルロースのような9,200ないし125,000の数平均分子量のヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロースおよびヒドロキシプロピルペンチルセルロースを制限なしに包含する9,200ないし125,000の数平均分子量のヒドロキシプロピルアルキルセルロースのようなヒドロキシプロピルアルキルセルロース;ならびに7,000ないし75,000の数平均分子量のポリ(ビニルピロリドン)である。それらのポリマーのなかで、100,000〜300,000の数平均分子量のポリ(エチレンオキシド)およびヒドロキシアルキルセルロースが好ましい。胃環境で侵食する担体すなわち生物侵食性担体がとりわけ好ましい。
【0121】
界面活性剤および崩壊剤を担体中で同様に利用しうる。崩壊剤は、一般に、デンプン、粘土、セルロース、アルギンおよびガムならびに架橋デンプン、セルロースおよびポリマーを包含する。代表的崩壊剤は、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、クロスカ
ルメロース、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、Veegum HV、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、低置換度カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、グアールガムなどを包含する。好ましい崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。
【0122】
例示的界面活性剤は、ポリエチレングリコール400モノステアレート、ポリオキシエチレン−4−ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン−20−モノラウレート、ポリオキシエチレン−40−ステアレート、オレイン酸ナトリウムなどのような約10〜25の間のHLB値を有するものである。有用である界面活性剤は一般に、陰イオン性、陽イオン性および両性イオン性界面活性剤を包含するイオン性界面活性剤ならびに非イオン性界面活性剤を包含する。非イオン性界面活性剤はある態様で好ましく、そして、例えば、ポリオキシエチレンステロイドエステルのようなポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、ならびに限定されるものでないがポリオキシル40ステアレート、ポリオキシル50ステアレート、ポリオキシル100ステアレート、ポリオキシル12ジステアレート、ポリオキシル32ジステアレートおよびポリオキシル150ジステアレートを挙げることができるポリオキシルステアレート、ならびに他のMyrjTM系列の界面活性剤若しくはそれらの混合物を包含する。薬物層中で有用である界面活性剤のなお別の分類は、商標名PluronicおよびPoloxamerで入手可能な一般式HO(C2H4O)a(−C3H6O)b(C2H4O)aHを有するポロキサマーとしてもまた知られるエチレンオキシド/プロピレンオキシド/エチレンオキシドのトリブロック共重合体である。この分類の界面活性剤では、界面活性剤分子の親水性のエチレンオキシド端および界面活性剤分子のプロピレンオキシドの疎水性の中央ブロックが薬物を溶解かつ懸濁するようにはたらく。これらの界面活性剤は室温で固体である。他の有用な界面活性剤は、糖エステル界面活性剤、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリエステルのようなソルビタン脂肪酸エステル、および他のSpanTM系列の界面活性剤、グリセロールモノステアレートのようなグリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル(例えばBrij 30、35、58、78および99)、ポリオキシエチレンステアレート(自己乳化する)、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル、ブチル化ヒドロキシアニソールを含むポリオキシエチレン2セチルエーテル、ポリオキシエチレン10セチルエーテル、ポリオキシエチレン20セチルエーテル、ポリオキシエチレン2ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン10ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン20ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン21ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン20オレイルエーテルのようなポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン4ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリステアレートのようなソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、ならびに、他のTweenTM系列の界面活性剤、リン脂質およびレシチンのようなリン脂質脂肪酸誘導体、脂肪酸酸化物、脂肪酸アルカノールアミド、硬化ヤシ油モノグリセリド、硬化ダイズ油モノグリセリド、硬化ヤシ油ステアリンモノグリセリド、硬化植物油モノグリセリド、硬化綿実油モノグリセリド、精製ヤシ油モノグリセリド、部分硬化ダイズ油モノグリセリド、綿実油モノグリセリドヒマワリ油モノグリセリド、ヒマワリ油モノグリセリド、カノーラ油モノグリセリド、コハク酸化モノグリセリド、アセチル化モノグリセリド、アセチル化硬化植物油モノグリセリド、アセチル化硬化ココナツ油モノグリセリド、アセチル化硬化ダイズ油モノグリセリド、グリセロールモノステアレート、硬化ダイズ油とのモノグリセリド、硬化ヤシ油とのモノグリセリド、スクシニル化モノグリセリドおよびモノグリセリド、モノグリセリドおよびナタ
ネ油、モノグリセリドおよび綿実油、プロピレングリコールモノエステルナトリウムステアロイルラクチレート二酸化ケイ素を含むモノグリセリドのようなプロピレングリコールモノエステルおよびモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、エチレンオキシドと重合したオクチルフェノールから製造され(ここで商品名中の数字「100」は構造中のエチレンオキシド単位の数に間接的に関係し、例えばTriton X−100TMは625の平均分子量を伴い分子あたりN=9.5個のエチレンオキシド単位の平均を有する)かつ商業的製品中により少ない量で存在するより少ないおよびより多い分子付加物を有するTriton−X系列の界面活性剤、ならびにIgepal CA−630TMおよびNonidet P−40M(NP−40TM、N−ラウロイルサルコシン、Sigma Chemical Co.、ミズーリ州セントルイス)を包含するTriton X−100TMに類似の構造を有する化合物などを包含する。上の界面活性剤のいずれも、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびクエン酸のような任意の添加された保存剤もまた包含し得る。加えて、界面活性剤分子中のいずれの炭化水素鎖も飽和若しくは不飽和、水素化若しくは非水素化であり得る。
【0123】
界面活性剤のとりわけ好ましい一群は、エチレンオキシド:プロピレンオキシド:エチレンオキシドのa:b:aのトリブロック共重合体であるポロキサマー界面活性剤である。「a」および「b」はポリマー鎖の各ブロックの単量体単位の平均数を表す。これらの界面活性剤は、多様な異なる分子量でかつ異なる値の「a」および「b」ブロックを伴い、ニュージャージー州マウントオリーブのBASF Corporationから商業的に入手可能である。例えば、Lutrol(R)F127は9,840ないし14,600の分子量範囲を有し、そしてここで「a」はおよそ101でありかつ「b」はおよそ56であり、Lutrol(R)F87は、「a」が64でありかつ「b」が37である6,840ないし8,830の分子量を表し、Lutrol(R)F108は、「a」が141でありかつ「b」が44である12,700ないし17,400の平均分子量を表し、そしてLutrol(R)F68は、「a」が約80の値を有しかつ「b」が約27の値を有する7,680ないし9,510の平均分子量を表す。
【0124】
他の界面活性剤は、脂肪酸の糖エステルである糖エステル界面活性剤である。こうした糖エステル界面活性剤は、糖脂肪酸モノエステル、糖脂肪酸ジエステル、トリエステル、テトラエステル、若しくはそれらの混合物を包含するとは言え、モノおよびジエステルが最も好ましい。好ましくは、糖脂肪酸モノエステルは6から24個までの炭素原子を有する脂肪酸を含んでなり、それらは直鎖状若しくは分枝状、または飽和若しくは不飽和のC6ないしC24脂肪酸でありうる。C6ないしC24脂肪酸は、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23およびC24をいずれかの部分的範囲若しくは組合せで包含する。これらのエステルは、好ましくは、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル(cocoate)、アラキドン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル、カルプレート(carprate)、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステルおよびそれらの混合物から選ばれる。
【0125】
好ましくは、糖脂肪酸モノエステルは、ショ糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、マンノース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、乳糖、ソルビトール、トレハロース若しくはメチルグルコースのような最低1個の糖単位を含んでなる。ショ糖エステルのような二糖エステルが最も好ましく、そしてショ糖ヤシ油脂肪酸エステル、ショ糖モノオクタン酸エステル、ショ糖モノデカン酸エステル、ショ糖モノ若しくはジラウリン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノ若しくはジパルミチン酸エステル、ショ糖モノおよびジステアリン酸エステル、ショ糖モノ、ジ若しくはトリオレイン酸エステル、ショ糖モノ若しくはジリノール酸エステル、ショ糖ペンタオレイン酸エステル、ヘキサオレイン酸エステル、ヘプタオレイン酸エステル若しくはオクトオレイン酸エステルのような
ショ糖ポリエステル、ならびにショ糖パルミチン酸エステル/ステアリン酸エステルのような混合エステルを包含する。
【0126】
これらの糖エステル界面活性剤のとりわけ好ましい例は、米国特許第3,480,616号明細書に記述されるようなエステル化度を制御する方法を使用して製造されるショ糖ステアリン酸エステルを含んでなる多様なモノ、ジおよびモノ/ジエステル混合物を示す、名称Crodesta F10、F50、F160およびF110でニュージャージー州パーシッパニーの企業Croda Incにより販売されるものを包含する。これらの好ましい糖エステル界面活性剤は、打錠の容易さおよび不鮮明でない(nonsmearing)造粒の付加される利益を提供する。
【0127】
例えば、20%のモノエステルおよび80%のジ、トリおよびポリエステルから形成されるショ糖ベヘン酸エステルに対応する参照B370で名称リョートーシュガーエステルで企業三菱により販売されるものもまた利用しうる。名称「Tegosoft PSE」で企業Goldschmidtにより販売されるショ糖モノおよびジパルミチン酸エステル/ステアリン酸エステルもまた利用しうる。これらの多様な製品の混合物もまた利用しうる。糖エステルは糖由来でない別の化合物との混合状態でもまた存在し得;そして、好ましい一例は、企業ICIにより名称「Arlatone 2121」で販売されるステアリン酸ソルビタンおよびショ糖ヤシ油脂肪酸エステルの混合物を包含する。他の糖エステルは、例えばブドウ糖トリオレイン酸エステル、ガラクトースジ、トリ、テトラ若しくはペンタオレイン酸エステル、アラビノースジ、トリ若しくはテトラリノール酸エステルまたはキシロースジ、トリ若しくはテトラリノール酸エステルあるいはそれらの混合物を包含する。脂肪酸の他の糖エステルは、メチルグルコースのエステルは、Tegocare 450の名称で企業Goldschmidtにより販売されるメチルグルコースおよびポリグリセロール−3のジステアリン酸エステルを包含するを包含する。メチルO−ヘキサデカノイル−6−D−グルコシドおよびO−ヘキサデカノイル−6−D−マルトースのようなブドウ糖若しくは麦芽糖モノエステルもまた包含し得る。ある種の他の糖エステル界面活性剤は、脂肪酸および糖のオキシエチレン化(oxyethylenated)エステルは、企業Amercholにより名称「Glucamate SSE20」で販売されるPEG−20メチルグルコースセスキステアリン酸エステルのようなオキシエチレン化誘導体を包含するを包含する。
【0128】
固体の界面活性剤を包含する界面活性剤の供給源およびそれらの特性は、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers、International Edition 1979およびMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers、North American Edition 1979で入手可能である。固体の界面活性剤の特性に関する情報の他の供給源は、BASF Technical Bulletin Pluronic & Tetronic Surfactants 1999およびGeneral Characteristics of Surfactants from ICI Americas Bulletin 0−1 10/8O 5M、ならびにEastman Food Emulsifiers Bulletin ZM−1K 1993年10月を包含する。
【0129】
これらの参考文献に表にされている界面活性剤の特徴の1つはHLB値、すなわち親水親油バランス値である。この値は界面活性剤分子の相対親水性および相対疎水性を表す。一般に、HLB値が大きくなるほど、界面活性剤の親水性は大きくなる一方、HLB値が小さくなるほど疎水性が大きくなる。例えば、Lutrol(R)分子について、エチレンオキシド画分は親水性部分を表し、そしてプロピレンオキシド画分は疎水性画分を表す。Lutrol(R)F127、F87、F108およびF68のHLB値はそれぞれ2
2.0、24.0、27.0および29.0である。好ましい糖エステル界面活性剤は約3ないし約15の範囲のHLB値を提供する。最も好ましい糖エステル界面活性剤、Crodesta F160は14.5のHLB値を有することを特徴とする。
【0130】
イオン性界面活性剤は、コール酸、およびデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸のようなコール酸の誘導体ならびにそれらの塩、ならびに陰イオン性界面活性剤(その最も一般的な例はドデシル(若しくはラウリル)硫酸ナトリウムである)を包含する。両性イオン性若しくは両性界面活性剤は、一般に陰イオンとしてカルボン酸若しくはリン酸基および陽イオンとしてアミノ若しくは四級アンモニウム部分を包含する。これらは、例えば、多様なポリペプチド、タンパク質、アルキルベタイン、ならびにレシチンおよびセファリンのような天然のリン脂質、アルキル−β−アミノプロピオン酸塩および2−アルキル−イミダゾリン四級アンモニウム塩、ならびにCHAPS系列の界面活性剤(例えばAldrichから入手可能な3−[3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオール]−1−プロパンスルホネート水和物)などを包含する。
【0131】
界面活性剤は、典型的には乏しい凝集特性を有し、そして従って硬い耐久性のある錠剤として圧縮しない。さらに、界面活性剤は、標準的な温度および条件で液体、ペースト若しくは蝋性固体の物理形態にあり、そして打錠される経口の製薬学的投薬形態物に不適切である。前述の界面活性剤は、高用量で送達される低溶解性薬物の溶解性および潜在的生物学的利用能を高めることにより機能することが見出された。
【0132】
界面活性剤は、1種の界面活性剤として若しくは界面活性剤の配合物として包含され得る。それらが薬物の溶解および溶解性を促進する値を有するような界面活性剤を選択する。特定の薬物が中間のHLB値を必要とする場合は、高HLB界面活性剤を低HLBの界面活性剤と配合してそれらの間である正味のHLB値を達成し得る。界面活性剤は送達されている薬物に依存して選択し;その結果適切なHLB等級を利用する。
【0133】
製薬学的有効成分は、送達時間、すなわち投薬形態物の連続した投与の間の時間にわたり維持されなければならない必要とされる投薬レベルに依存して、投薬形態物あたり約1マイクログラムから約1000mgまで、およびより典型的には約10から約600mgまでの量で薬物層中に提供され得る。例示的一態様において、製薬学的有効成分はアセトアミノフェン(例えば500mg)である。一般に、投薬形態物中の有効成分の装填量は、患者により必要とされる医薬品のレベルに依存して、1日あたり約3000mgまで、より通常は1日あたり約1000ないし2000mgまでの範囲にわたる用量を被験体に提供することができる。ときに、1日あたり約10,000mgまでの非常に高用量が必要とされる。
【0134】
付加的な製薬学的有効成分は、送達時間、すなわち投薬形態物の連続した投与の間の時間にわたり維持されなければならない必要とされる投薬レベルに依存して、投薬形態物あたり1マイクログラムから500mgまで、およびより典型的には約10mgから約100mgまでの量で薬物層中に提供され得る。例示的な好ましい一態様において、付加的な有効成分はオピオイド鎮痛薬(例えばヒドロコドン若しくはヒドロモルホン)であり、そしてより少量(例えば15mg)で包含される。一般に、投薬形態物中の付加的な製薬学的有効成分の装填量は、患者により必要とされる医薬品のレベルに依存して、1日あたり約2000mgまで、より典型的には1日あたり約10ないし60若しくは600mgの間の範囲にわたる有効成分の用量を被験体に提供することができる。
【0135】
押し層は、薬物層と直接若しくは間接的に接触する層状の配置で押し置換組成物を有する膨張可能な層である。押し層は一般に、水性若しくは生物学的液体を吸収しかつ膨潤し
て装置の出口手段を通して薬物組成物を押すポリマーを含んでなる。液体を吸収する置換ポリマーの代表は、500,000ないし3,500,000の数平均分子量のポリ(エチレンオキシド)およびポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)(ここでアルカリはナトリウム、カリウム若しくはリチウムである)により表されるところの100万ないし1500万の数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド)から選択されるメンバーを含んでなる。押し置換組成物の製剤のための付加的なポリマーの例は、Carbopol(R)酸性カルボキシポリマー、カルボキシポリメチレンとしてもまた知られるポリアリルショ糖で架橋されたアクリル酸のポリマー、および250,000ないし4,000,000の分子量を有するカルボキシビニルポリマー;Cyanamer(R)ポリアクリルアミド;架橋した水で膨潤可能な無水インデンマレイン酸(indenemaleic)ポリマー;80,000ないし200,000の分子量を有するGood−rite(R)ポリアクリル酸;ジエステル架橋ポリグルランのような縮合ブドウ糖単位から構成されるAqua−Keeps(R)アクリル酸ポリマー多糖;などのようなヒドロゲルを形成するポリマーを含んでなる浸透圧ポリマー(osmopolymer)を含んでなる。ヒドロゲルを形成する代表的ポリマーは、Hartopに交付された米国特許第3,865,108号明細書;Manningに交付された米国特許第4,002,173号明細書;Michaelsに交付された米国特許第4,207,893号明細書;およびHandbook of Common Polymers、ScottとRoff、Chemical Rubber Co.、オハイオ州クリーブランドにて従来技術に既知である。
【0136】
外壁および下塗りを横断する浸透圧勾配を表す浸透圧性の溶質(osmotic solute)および浸透圧性有効成分としてもまた知られる浸透物質は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、リン酸水素カリウム(potassium acid phosphate)、マンニトール、尿素、イノシトール、コハク酸マグネシウム、酒石酸ラフィノース、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、ソルビトール、無機塩、有機塩および炭水化物よりなる群から選択されるメンバーを含んでなる。
【0137】
流動促進層(簡潔さのための下塗りともまた呼ばれる)は、半透性壁の内表面および壁に正対する薬物層の少なくとも外表面と接触関係にあるが;とは言え流動促進層は、押し置換層の外表面に伸長し、囲みかつ接触してもよくかつ好ましくはすることができる。該壁は、典型的には、壁の内表面に正対する薬物層の外表面の少なくともその部分を囲むことができる。流動促進層は、薬物層および押し層を含んでなる圧縮した核の上に適用されるコーティングとして形成しうる。外側の半透性壁は内側の流動促進層を囲みかつ入れる。流動促進層は、好ましくは薬物層の少なくとも表面、ならびに場合によっては圧縮した薬物層および押し置換層の外表面全体の下塗りとして形成される。半透性壁が薬物層、押し層および流動促進層から形成される混成物の塗膜として形成される場合、流動促進層との半透性壁の接触が保証される。
【0138】
流動促進層は、半透性壁2と薬物層の外表面との間の摩擦力を低下させて従って該装置からの薬物のより完全な送達を見込むことにより本発明の投薬形態物からの薬物の放出を助長する。とりわけ、高費用を有する有効成分の場合は、こうした改良は実質的な経済的利点を提示する。必要とされる最少量の薬物が送達されることができることを保証するために過剰の薬物を薬物層に負荷することが必要でないからである。
【0139】
流動促進層は、典型的には0.01ないし5mm厚、より典型的には0.5ないし5mm厚であることができ、そして、それは、ヒドロゲル、ゼラチン、低分子量ポリエチレンオキシド(例えば100,000MW未満)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えばヒドロキシエチルセルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシイソプロピル
セルロース、ヒドロキシブチルセルロースおよびヒドロキシフェニルセルロース、ならびにヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ならびにそれらの混合物から選択されるメンバーを含んでなる。ヒドロキシアルキルセルロースは9,500ないし1,250,000の数平均分子量を有するポリマーを含んでなる。例えば、80,000ないし850,000の間の数平均分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースが有用である。流動促進層は、水性溶媒若しくは不活性有機溶媒中の前述の物質の慣習的溶液若しくは懸濁液から製造しうる。下塗りすなわち流動促進層に好ましい素材は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン[ポリ(ビニルピロリドン)]、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物を包含する。有機溶媒、とりわけ1〜8個の炭素原子を有する低級アルカノール、好ましくはエタノールのような有機極性溶媒中で調製したヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンの混合物、水性溶液中で調製したヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物、ならびに水性溶液中で調製したヒドロキシエチルセルロースおよびポリエチレングリコールの混合物がより好ましい。最も好ましくは、流動促進層はエタノール中で調製したヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンの混合物よりなる。便宜的には、二層核に適用される流動促進層の重量は、流動促進層の厚さ、および本明細書に記述されるような放出速度アッセイにおいて投薬形態物中に残存する残余の薬物と相関しうる。製造操作の間に、流動促進層の厚さは、コーティング操作中に取り込まれる下塗りの重量を制御することにより制御しうる。流動促進層が、下塗りとして、すなわち打錠された二層混成物薬物層および押し層上に被覆することにより形成される場合、該下塗りは打錠工程により二層核上に形成された表面の不規則性を充填し得る。生じる滑らかな外表面は、薬物の調剤の間の被覆された二層混成物と半透性壁との間の滑りを助長して、投薬期間の終了時により少量の装置中に残存する残余の薬物組成物をもたらす。流動促進層がゲル形成素材から二次加工される場合、使用の環境での水との接触が、半透性壁と薬物層との間の滑りを促進しかつ高めうる粘度を有するゲル若しくはゲル様の内塗膜の形成を助長する。
【0140】
該壁は、水および生物学的液体のような外的液体の通過に対し浸透性かつ有効成分、浸透物質、浸透圧ポリマーなどの通過に対し実質的に不透性の半透性組成物である。該壁を形成するのに使用される選択的に半透性の組成物は、本質的に侵食不可能であり、そして投薬形態物の寿命の間、生物学的液体に不溶性である。該壁はその全体が半透性である必要はないが、しかし、壁の少なくとも一部分は、押し層が使用の間に液体を吸収しかつ膨張し得るような押し置換層と液体を接触若しくは連絡させるように半透性である。該壁は、好ましくは、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート若しくはそれらの混合物を制限なしに包含するセルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレートのようなポリマーを含んでなる。壁を形成する素材はまた、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレン、エチレンの共重合体、Engage(R)(Dupont Dow Elastomers)のようなエチレンオキシド共重合体を包含するポリオレフィン、ポリアミド、セルロース誘導体素材、ポリウレタン、PEBAX(R)(Elf Atochem North America,Inc.)のようなポリエーテルブロックアミド共重合体、セルロースアセテートブチレートおよびポリビニルアセテートからも選択しうる。典型的には、該壁は、60重量パーセントないし100重量%のセルロース誘導体の壁を形成するポリマーを含んでなるか、または、該壁は0.01重量%ないし10重量%のポロキサマーとして知られるエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体、若しくは1重量%ないし35重量%のヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルアルキルセルロースよりなる群から選択されるセルロースエーテル、ならびに5重量%ないし15重量%のポリエチレングリコールを含み得る。壁を含んでなる全成分の総重量パーセントは100重量%に等しい。
【0141】
壁を形成するための代表的ポリマーは、半透性ホモポリマー、半透性共重合体などを含んでなる。こうした素材はセルロースエステル、セルロースエーテルおよびセルロースエステル−エーテルを含んでなる。セルロース誘導体ポリマーは、0以上から3までを包含するそれらのアンヒドログルコース単位の置換度(DS)を有する。置換度(DS)は、置換する基により置換されるか若しくは別の基に転化されるアンヒドログルコース単位上に元から存在するヒドロキシル基の平均数を意味している。アンヒドログルコース単位は、アシル、アルカノイル、アルケノイル、アロイル、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、カルボアルキル、アルキルカルバメート、アルキルカーボネート、アルキルスルホネート、アルキルスルファメート、半透性ポリマーを形成する基などのような基で部分的に若しくは完全に置換し得、該有機部部分は1から12個までの炭素原子、および好ましくは1から8個までの炭素原子を含有する。
【0142】
半透性組成物は、典型的には、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ、ジおよびトリセルロースアルカニレート、モノ、ジおよびトリアルケニレート、モノ、ジおよびトリアロイレートなどを包含する。例示的ポリマーは、1.8ないし2.3のDSおよび32ないし39.9%のアセチル含量を有するセルロースアセテート;1ないし2のDSおよび21ないし35%のアセチル含量を有するセルロースジアセテート;2ないし3のDSおよび34ないし44.8%のアセチル含量を有するセルローストリアセテート;などを包含する。より具体的なセルロース誘導体ポリマーは、1.8のDSおよび38.5%のプロピオニル含量を有するセルロースプロピオネート;1.5ないし7%のアセチル含量および39ないし42%のアセチル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート;2.5ないし3%のアセチル含量、39.2ないし45%の平均プロピオニル含量および2.8ないし5.4%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート;1.8のDS、13ないし15%のアセチル含量、および34ないし39%のブチリル含量を有するセルロースアセテートブチレート;2ないし29%のアセチル含量、17ないし53%のブチリル含量および0.5ないし4.7%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートブチレート;セルローストリバレレート、セルローストリラメート(trilamate)、セルローストリパルミテート、セルローストリオクタノエートおよびセルローストリプロピオネートのような2.6ないし3のDSを有するセルローストリアシレート;セルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジカプリレートなどのような2.2ないし2.6のDSを有するセルロースジエステル;ならびにセルロースアセテートバレレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースプロピオネートスクシネート、セルロースアセテートオクタノエート、セルロースバレレートパルミテート、セルロースアセテートヘプタノエートなどのような混合セルロースエステルを包含する。半透性ポリマーは米国特許第4,077,407号明細書で既知であり、また、それらはEncyclopedia of Polymer Science and Technology、Vol.3、pp.325−354、Interscience Publishers Inc.、ニューヨーク州ニューヨーク(1964)に記述される手順により合成し得る。
【0143】
外壁を形成するための付加的な半透性ポリマーは、セルロースアセトアルデヒドジメチルアセテート;セルロースアセテートエチルカルバメート;セルロースアセテートメチルカルバメート;セルロースジメチルアミノアセテート;半透性ポリアミド;半透性ポリウレタン;半透性スルホン化ポリスチレン;米国特許第3,173,876号;同第3,276,586号;同第3,541,005号;同第3,541,006号および同第3,546,142号明細書に開示されるところの陰イオンおよび陽イオンの共沈殿により形成される架橋選択的半透性ポリマー;米国特許第3,133,132号明細書にLoebらにより開示されるところの半透性ポリマー;半透性ポリスチレン誘導体;半透性ポリ(
スチレンスルホン酸ナトリウム);半透性ポリ(塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム);ならびに半透性壁を横断する静水圧若しくは浸透圧の差違の雰囲気により表される10−5ないし10−2(cc.ミル/cm hr.atm)の液体浸透性を表す半透性ポリマーを含んでなる。該ポリマーは米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号および同第4,160,020同明細書;ならびにHandbook of
Common Polymers、ScottとRoff編、CRC Press、オハイオ州クリーブランド(1971)で当該技術に既知である。
【0144】
該壁はまた流量調節剤も含みうる。流量調節剤は、液体浸透性すなわち壁を通る流量の調節において補助するために添加される化合物である。流量調節剤は流量増強剤若しくは流量減少剤であり得る。該剤は液体の流量を増大若しくは減少させるように予め選択し得る。水のような液体に対する浸透性の顕著な増大を生じる剤はしばしば本質的に親水性である一方、水のような液体に対する顕著な減少を生じるものは本質的に疎水性である。壁中の調節剤の量は、その中に組み込まれる場合に一般に約0.01%から20重量%まで若しくはそれ以上である。流量調節剤は、多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンジオール、アルキレングリコールのポリエステルなどを包含しうる。典型的な流量増強剤は、ポリエチレングリコール300、400、600、1500、4000、6000など;ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールおよびポリアミレングリコールのような低分子量グリコール:ポリ(1,3−プロパンジオール)、ポリ(1,4−ブタンジオール)、ポリ(1,6−ヘキサンジオール)などのようなポリアルキレンジオール;1,3−ブチレングリコール、1,4−ペンタメチレングリコール、1,4−ヘキサメチレングリコールなどのような脂肪族ジオール;グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオールなどのようなアルキレントリオール;エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールブチレート、ブチレングリコールジプロピオネート、グリセロール酢酸エステルなどのようなエステルを包含する。現在好ましい流量増強剤は、ポロキサマー(BASF)として知られるプロピレングリコールの二官能性ブロック共重合体ポリオキシアルキレン誘導体の群を包含する。代表的な流量減少剤は、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル、フタル酸ジメチルおよび[フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)]のようなアルキル若しくはアルコキシまたはアルキルおよびアルコキシ双方の基で置換されたフタル酸エステル、フタル酸トリフェニルおよびフタル酸ブチルベンジルのようなアリールフタル酸エステル;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウムなどのような不溶性の塩;二酸化チタンのような不溶性酸化物;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートおよびポリスルホンのような粉末、顆粒および類似の形態のポリマー;長鎖アルキル基でエステル化されたクエン酸エステルのようなエステル;不活性かつ実質的に水不浸透性の増量剤;セルロースに基づく壁を形成する素材と適合性の樹脂などを包含する。
【0145】
壁に可撓性および伸長特性を与えるため、壁をより少なく脆性ないし非脆性にするためかつ断裂強さにするために半透性壁素材に包含されうる他の素材。適する素材は、フタル酸ジベンジル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、6ないし11個の炭素の直鎖フタル酸エステル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシルなどのようなフタル酸エステル系可塑剤を包含する。該可塑剤は、トリアセチン、ジオクチルアゼレート、エポキシド化トール油、トリメリト酸トリイソクチル、トリメリト酸トリイソノニル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、エポキシド化ダイズ油などのような非フタル酸エステルを包含する。壁中の可塑剤の量は、その中に組み込まれる場合に約0.01%ないし20重量%若しくはそれ以上である。
【0146】
浸透圧投薬形態物の製造
簡潔には、該投薬形態物は、下により詳細に論考される以下の基礎段階を使用して製造
する。核は原則として複数の薬物層および複数の押し置換層を包含し得るが、とは言え漸増する放出速度は単一の薬物層および単一の押し置換層のみを使用して得ることが出来る。場合によっては、薬物層および押し層の比を調節して核からの薬物層のより大きい若しくはより小さい放出速度を提供し得る。従って、投薬形態物中へのより多量の押し置換層の追加が、漸増する放出速度を約8〜10時間より長い、より長い放出時間さえ提供し得る。
【0147】
核を最初に成形し、そして流動促進層で被覆し;被覆した核はその後乾燥し得るが、とは言えこれは任意であり;そして半透性壁をその後適用する。その後、オリフィスを適する手順(例えばレーザー孔あけ)により提供するが、とは言え後の時間に形成されるオリフィス(形成可能なオリフィス)を提供する代替手順を使用し得る。最後に、完成した投薬形態物を乾燥し、そして使用若しくは即時放出薬物コーティングで被覆するための準備ができている。
【0148】
薬物層は、非オピオイド鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬および結合剤ならびに他の成分を含有する混合物として形成する。薬物層は、本発明の様式(mode)および様式(manner)に従って、典型的には化合物を含有する核として、薬物の大きさおよび薬物層の二次加工に使用される付随するポリマーの大きさを生じる粉砕により粒子から形成し得る。粒子を製造するための手段は、意図されるミクロンの粒子径を生じさせるための造粒、噴霧乾燥、篩過、凍結乾燥、破砕、粉砕、ジェットミル微粉砕、超微粉砕および細断を包含する。該工程は、超微粉砕ミル、流動エネルギー細砕機、細砕機、ロールミル、ハンマーミル、磨砕機、チェイサーミル(chaser mill)、ボールミル、振動ボールミル、衝撃微粉砕ミル、遠心微粉砕機、粗破砕機および微破砕機のような大きさを低下させる機器により実施し得る。粒子の大きさは、グリズリ篩(grizzly screen)、平坦篩、振動(vibrating)篩、回転篩、振とう篩、振動(oscillating)篩および往復篩を包含する篩過により確かめ得る。薬物および結合剤を調製するための方法および機器は、Pharmaceutical Sciences、Remington、第17版、pp.1585−1594(1985);Chemical
Engineers Handbook、Perry、第6版、pp.21−13ないし21−19(1984);Journal of Pharmaceutical Sciences、Parrot、Vol.61、No.6、pp.813−829(1974);およびChemical Engineer、Hixon、pp.94−103(1990)に開示されている。
【0149】
本発明の投薬形態物中で利用されるそれぞれの壁、層、コーティングおよびサブコーティング(subcoating)を製造するのに適する例示的溶媒は、投薬形態物を二次加工するのに利用される物質に悪影響を及ぼさない水性および不活性有機溶媒を含んでなる。溶媒は、広範に、水性溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化溶媒、環状脂肪族、芳香族、複素環溶媒およびそれらの混合物よりなる群から選択されるメンバーを包含する。典型的な溶媒は、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルアセテート、メチレンジクロリド、エチレンジクロリド、プロピレンジクロリド、四塩化炭素ニトロエタン、ニトロプロパンテトラクロロエタン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、シクロヘキサン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、ナフサ、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグリム、水、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどのような無機塩を含有する水性溶媒、ならびにアセトンおよび水、アセトンおよびメタノール、アセトンおよびエチルアルコール、メチレンジクロリドおよびメタノール、ならびにエチレンジクロリドおよびメタノールのようなそれらの混
合物を包含する。
【0150】
パンコーティングは、出口オリフィスを除いて完成した投薬形態物を提供するのに便宜的に使用しうる。パンコーティング装置中で、壁を形成する組成物の下塗りを、回転パン中での混転により付随される薬物層および押し層を含んでなる二層核へのそれぞれの組成物の連続噴霧により付着させ得る。パンコーターは商業的規模でのその利用可能性のために使用し得る。他の技術を、薬物核を被覆するために使用し得る。被覆した投薬形態物を強制空気オーヴン若しくは温度および湿度を制御したオーヴン中で乾燥させて投薬形態物から溶媒をなくし得る。乾燥条件は、利用可能な装置、周囲条件、溶媒、コーティング、コーティング厚などに基づき便宜的に選ぶことができる。
【0151】
他のコーティング技術もまた使用し得る。例えば、投薬形態物の半透性壁および下塗りは、空気浮遊処置を使用する一技術で形成し得る。この処置は、空気、内側下塗り組成物および外側の半透性壁を形成する組成物の流れ中で、いずれかの操作で下塗りおよび外壁塗膜が二層核に適用されるまで二層核を浮遊かつ混転することよりなる。空気浮遊処置は投薬形態物の壁を独立に成形するのに十分に適する。空気浮遊処置は、米国特許第2,799,241号明細書;J.Am.Pharm.Assoc.、Vol.48、pp.451−459(1959);および上記、Vol.49、pp.82−84(1960)に記述されている。投薬形態物はまた、例えば補助溶媒としてメチレンジクロリドメタノールを使用してWurster(R)空気浮遊コーターでも被覆し得る。Aeromatic(R)空気浮遊コーターを、補助溶媒を使用して使用し得る。
【0152】
本発明の投薬形態物は標準技術により製造しうる。例えば、該投薬形態物は湿式造粒技術により製造しうる。湿式造粒技術において、薬物および第一層を含んでなる成分すなわち薬物組成物を、変性無水エタノールのような有機溶媒を造粒液体として使用して全般的に配合する。第一層を形成する成分すなわち薬物組成物は、予め選択した篩を個別に通過させ、そしてその後ミキサー中で徹底的に配合する。次に、第一層を含んでなる他の成分を、上述された溶媒のような造粒液体の一部分に溶解し得る。その後、後者の調製された湿潤配合物を、ブレンダー中で継続的混合を伴い薬物配合物にゆっくりと添加する。湿潤配合物が生じるまで造粒液体を添加し、その湿潤した塊の配合物をその後、予め決められた篩を通してオーヴントレイに上に進める。配合物を強制空気オーヴン中24℃ないし35℃で18ないし24時間乾燥する。乾燥した顆粒をその後大きさ分類する。次に、ステアリン酸マグネシウムを薬物造粒に添加し、その後微粉砕ジャーに入れ、そしてボールミルで10分間混合する。組成物を例えばManesty(R)プレスで一層にプレスする。プレスの速度は20rpmに設定し、また、最大負荷は2トンに設定する。第一層を、第二層を形成する組成物にプレスし、そして二層錠をKilian(R)ドライコータープレスにフィードし、そして薬物を含まない塗膜、次いで外壁溶媒コーティングで囲む。
【0153】
別の製造において、有効成分(例えば非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬)ならびに出口手段に面する第一層を含んでなる他の成分を配合しかつ固体層にプレスする。該層は、投薬形態物中で該層が占有するはずである領域の内側寸法に対応する寸法を有し、そしてそれはまた、第二層と接触する配置を形成するためにそれに対応する寸法も有する。薬物および他の成分はまた、ボールミル粉砕、圧延、攪拌若しくはロール練りのような慣習的方法により溶媒とも配合しかつ固体若しくは半固体の形態に混合し得、そしてその後、予め選択した形状にプレスし得る。次に、膨張可能な層、例えば浸透圧ポリマー組成物の層を、同様の様式で薬物の層と接触させる。薬物製剤および浸透圧ポリマー層の積層(layering)を、慣習的な二層プレス技術により二次加工し得る。2個の接触させた層を、最初に、流動を促進する下塗り、そしてその後外側半透性壁で被覆する。空気浮遊および空気混転処置は、プレスした接触している第一および第二の層を、該第一および第二の層が壁組成物により囲まれるまで、遅れて形成する組成物を含有する空気流中
に浮遊かつ混転することに含んでなる。
【0154】
区画形成組成物を提供するのに使用し得る別の製造方法は、流動床造粒機中で粉末成分を配合することを含んでなる。粉末成分を造粒機中で乾式配合した後に、造粒液体、例えば水中ポリ(ビニルピロリドン)を粉末に噴霧する。被覆された粉末をその後造粒機中で乾燥する。この工程は、造粒液体を添加する際に、その中に存在する全成分を造粒する。顆粒を乾燥した後に、ステアリン酸若しくはステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤をトート(tote)若しくはV−ブレンダーを使用して造粒に混合する。顆粒をその後、上述された様式でプレスする。
【0155】
流動促進層をその後、プレスした核に適用する。半透性壁を、プレスした核および/若しくは流動促進層の外表面上に被覆する。半透性壁の素材をアセトン若しくはメチレンクロリドのような適切な溶媒に溶解し、そしてその後、米国特許第4,892,778号および同第4,285,987号明細書に記述されるとおり、プレスした形状に壁素材の溶媒に基づく溶液を成型、空気噴霧、浸積若しくははけ塗りすることにより、該形状に適用する。半透性壁の他の適用方法は、米国特許第2,799,241号明細書に記述されるところの、プレスした形状を空気および壁を形成する素材の流れ中で浮遊かつ混転する空気浮遊処置、およびパンコーティング技術を包含する。
【0156】
プレスした形状への半透性壁の適用後に、乾燥段階が一般に必要とされ、そしてその後、有効成分の適する出口手段を、半透膜を通って形成しなければならない。空洞内の有効成分および他の成分の特性、ならびに該投薬形態物の所望の放出速度に依存して、有効成分の送達のための1個若しくはそれ以上のオリフィスを、機械的孔あけ、レーザー孔あけなどにより半透膜を通って形成する。
【0157】
出口オリフィスは、投薬形態物の製造の間、若しくは使用の液体環境での該投薬形態物による薬物送達の間に提供し得る。本発明の目的上使用されるところの「出口オリフィス」という表現は、通路;開口部;オリフィス;若しくはボアを包含する。オリフィスは、大きさが投薬形態物の実質的に表面全体を包含する単一の大きなオリフィスから、半透膜の表面上に選択的に配置される1個若しくはそれ以上の小型オリフィスまでの範囲にわたりうる。出口オリフィスは、投薬形態物からの薬物の放出のため、円形、三角形、正方形、楕円形などのようないかなる形状も有し得る。投薬形態物は、間隔を開けられた離れた関係の1個若しくはそれ以上の出口、または投薬形態物の1個若しくはそれ以上の表面を伴い構築し得る。
【0158】
出口オリフィスは、壁により形成される区画の内径の10%から100%まで、好ましくは30%から100%まで、および最も好ましくは50%から100%まででありうる。好ましい態様において、薬物層は、壁により形成される区画の内径の最低100ミルないし100%、典型的には約125ミル(1インチの1/1000)から約185ミルまで、すなわち約3.175から約4.7mmまでの大きさの比較的大きいオリフィスを通る侵食可能な固体として、投薬形態物から放出される。薬物層の放出のさらなる遅延を提供することが望ましい場合は、より小さいオリフィスの使用を使用しうる。
【0159】
出口オリフィスは、外塗膜、内塗膜若しくは双方を通る機械的およびレーザー孔あけを包含する孔あけにより実施し得る。出口および出口を形成するための装置は、例えばTheeuwesとHiguchiへの米国特許第3,845,770号および同第3,916,899号明細書;Saundersらへの米国特許第4,063,064号明細書;ならびにTheeuwesらへの米国特許第4,088,864号明細書に開示されている。
【0160】
出口はまた、例えば米国特許第4,200,098号および同第4,285,987号明細書に開示されるところの、外塗膜若しくは壁または内塗膜から侵食、溶解する若しくは浸出されて出口オリフィスを形成する物質若しくはポリマーから形成される1個のオリフィルでもあり得る。1個のオリフィス若しくは複数のオリフィスを形成するのに適する代表的な素材は、無機および有機塩、無機若しくは有機酸化物、炭水化物のような液体で除去可能な孔形成体、浸出可能なポリ(グリコール)酸若しくはポリ(乳)酸ポリマー、ゲル状フィラメント、ポリ(ビニルアルコール)、浸出可能な多糖のようなポリマー、壁から浸出し得るソルビトールのような糖のような浸出可能な化合物を含んでなる。例えば、1個の出口若しくは複数の出口は、ソルビトール、乳糖、果糖、ブドウ糖、マンノース、ガラクトース、タロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウムおよびマンニトールを壁から浸出させることにより形成し得る。
【0161】
加えて、いくつかの態様において、浸透圧投薬形態物は、共通に所有されるDongらへの米国特許第6,491,683号明細書に記述されるところの一端若しくは双方の端が開放の押出成型管の形態にあり得る。該押出成型管の態様において、付加的な出口手段を提供することは必要でない。
【0162】
有効成分
多様な有効成分を該投薬形態物中で使用しうる。本明細書に記述される投薬形態物は、有効成分が迅速に代謝若しくは中和される場合、または耐性が発生する場合にとりわけ望ましいことができる有効成分の漸増する放出速度を提供するのにとりわけ有用である。該投薬形態物はまた、とりわけ大用量のこれらの剤が長時間にわたり若しくは長時間にわたり漸増する速度で送達されることが必要とされる場合に、処方するのが困難な若しくは乏しく溶解性の有効成分の持続放出を提供するのにも有用である。該投薬形態物はまた、有効成分の組合せの持続放出および長時間送達を提供するのにも有用であり、そして、有効成分間に溶解性の大きな不均衡が存在する場合でさえ多様な有効成分の比例した送達を提供し得る。
【0163】
制御放出投薬形態物により送達され得る有効成分は無機および有機有効成分を含んでなる。有効成分は、制限なしに、末梢神経、アドレナリン作動性受容体、コリン作動性受容体、中枢神経系、骨格筋、心血管系、平滑筋、血液循環系、シナプス部位、神経効果器接合部、内分泌系、ホルモン系、免疫学的系、臓器系、身体通路、生殖器系、骨格系、オータコイド系、オータコイドおよびヒスタミン系の栄養および排出系阻害剤に作用する有効成分を包含する。これらのレシピエント(recipient)に作用するために送達させ得る有効成分は、抗痙攣薬、鎮痛薬、抗糖尿病薬、抗パーキンソン薬、抗炎症薬、麻酔薬、抗菌薬、抗マラリア薬、駆虫薬、降圧薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、抗ヒスタミン薬、解熱薬、α−アドレナリン作動性受容体アゴニスト、α−アドレナリン作動性受容体遮断薬、殺生剤、殺菌剤、気管支拡張薬、β−アドレナリン作動性興奮薬、β−アドレナリン作動性遮断薬、避妊薬、心血管系薬、カルシウム拮抗薬、抑制薬、診断薬、利尿薬、電解質、催眠薬、ホルモン剤、ステロイド、血糖降下剤、筋収縮薬、筋弛緩薬、眼科用薬(ophthalmic)、精神賦活薬、副交感神経興奮薬、鎮静薬、選択的アンドロゲン受容体調節薬、選択的エストロゲン受容体阻害薬、交感神経興奮薬、精神安定薬、尿路薬、膣薬およびビタミンを包含する。有効成分は、該持続放出投薬形態物中に、遊離塩基の形態、またはその塩、酸、アミド、エステル、多形、溶媒和物、水和物、脱水物(dehydrate)、共結晶、無水物若しくは無定形の形態で包含され得る。
【0164】
適する有効成分は、例えば、タンパク質、酵素、酵素阻害剤、ホルモン、ポリヌクレオチド、核タンパク質、多糖、糖タンパク質、リポタンパク質、ポリペプチド、ステロイド、催眠薬および鎮静薬、精神賦活薬、精神安定剤、抗痙攣薬、抗うつ薬、筋弛緩薬、抗パーキンソン薬、鎮痛薬、抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、局所麻酔薬、筋収縮薬、抗菌薬、抗
マラリア薬、抗ウイルス薬、抗生物質、抗肥満薬、避妊薬を包含するホルモン剤、交感神経興奮薬、生理学的効果を導き出すことが可能なポリペプチドおよびタンパク質、利尿薬、脂質調節薬、抗アンドロゲン薬、駆虫薬、新生薬(neoplastics)、抗新生物薬、血糖降下剤(antihyperglycemic)、血糖降下剤(hypoglycemic)、栄養剤および栄養補助食品、成長補助剤、脂肪、眼科用薬、抗腸炎薬、電解質ならびに診断薬から選択しうる。
【0165】
本発明で有用な特定の有効成分の例はとくに制限しない。使用され得るすべての剤の名前を挙げることを試みないが、有効成分は、エジシル酸プロクロルペラジン、硫酸鉄、アルブテロール、アミノカプロン酸、塩酸メカミルアミン、塩酸プロカインアミド、硫酸アンフェタミン、塩酸メタンフェタミン、塩酸ベンズフェタミン、硫酸イソプロテレノール、塩酸フェンメトラジン、塩化ベタネコール、塩化メタコリン、塩酸ピロカルピン、硫酸アトロピン、臭化スコポラミン、ヨウ化イソプロパミド、塩化トリジヘキセチル、塩酸フェンホルミン、塩酸メチルフェニデート、テオフィリンコリネート(teophylline cholinate)、塩酸セファレキシン、ジフェニドール、塩酸メクリジン、マレイン酸プロクロルペラジン、フェノキシベンザミン、マレイン酸トリエチルペラジン、アニシンジオン、ジフェナジオンエリトリチル四硝酸塩(diphenadione erythrityl tetranitrate)、ジゴキシン、イソフルロフェート、アセタゾラミド、ニフェジピン、メタゾラミド、ベンドロフルメチアジド、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、グリクラジド、トブタミド、クロルプロパミド(chlorproamide)、トラザミド、アセトヘキサミド、メトホルミン、トログリタゾン、オルリスタット、ブプロピオン、ネファゾドン、トラザミド、酢酸クロルマジノン、フェナグリコドール、アロプリノール、アスピリンアルミニウム、メトトレキセート、アセチルスルフイソキサゾール、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチコステロン、酢酸コルチゾン、デキサメサゾンおよびベタメタゾンのようなその誘導体、トリアムシノロン、メチルテストステロン、17−β−エストラジオール、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール3−メチルエステル、プレドニソロン、17−β−ヒドロキシプロゲステロン酢酸塩、19−ノルプロゲステロン、ノルゲストレル、ノルエチンドロン、ノルエチステロン、ノルエチエデロン、プロゲステロン、ノルゲステロン、ノルエチノドレル、テルフエナジン(terfandine)、フェキソフェナジン、アスピリン、アセトアミノフェン、インドメタシン、ナプロキセン、フェノプロフェン、スリンダク、インドプロフェン、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、プロプラノロール、チモロール、アテノロール、アルプレノロール、シメチジン、クロニジン、イミプラミン、レボドパ、セレギリン、クロルプロマジン、メチルドパ、ジヒドロキシフェニルアラニン、グルコン酸カルシウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、セファレキシン、エリスロマイシン、ハロペリドール、ゾメピラク、乳酸鉄、ビンカミン、フェノキシベンザミン、ジルチアゼム、ミルリノン、カプトプリル、マンドール、クアンベンズ、ヒドロクロロチアジド、ラニチジン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、フルプロフェン、トルメチン、アルクロフェナク、メフェナミク、フルフェナミク、ジフニナール(difuninal)、ニモジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、リドフラジン、チアパミル、ガロパミル、アムロジピン、ミオフラジン、リシノプリル、エナラプリル、カプトプリル、ラミプリル、エナラプリラート、ファモチジン、ニザチジン、スクラルファート、エチンチジン、テトラトロール、ミノキシジル、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、アミトリプチリンおよびイミプラミン、ならびにこれらの有効成分の製薬学的塩を包含し得る。さらなる例は、限定されるものでないがインスリン、コルヒチン、グルカゴン、甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone)、副甲状腺および下垂体ホルモン、カルシトニン、レニン、プロラクチン、コルチコトロピン、甲状腺刺激ホルモン(thyrotropic hormone)、卵胞刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ウシソマトトロピン、ブタソマトロピン、オキシトシン、バソプレシン、デスモプレシン、プロラクチン、ソマ
トスタチン、リプレシン、パンクレオザイミン、黄体化ホルモン、LHRH、インターフェロン、インターロイキン、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモンおよびブタ成長ホルモンのような成長ホルモン、プロスタグランジンのような受精能阻害剤、受精能促進剤、成長因子、ならびにヒト膵ホルモン放出因子を挙げることができるタンパク質およびペプチドである。
【0166】
抗うつ薬の領域の有効成分は、例えば、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミン、(+)−トリミプラミンのような三級アミン三環性抗うつ薬;例えばアモザピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン(nortiriptyline)、プロトリプチリン(protriptyline)のような二級アミン三環性抗うつ薬;例えばフルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、ベンラファジンのようなセロトニン再取込み阻害薬;およびブルプロピオン、ネファゾドン、トラゾドン、フェネルジン、トラニルシプロミルン、セレギリンのような特殊な抗うつ薬、ならびにそれらの製薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択しうる。該投薬形態物は、典型的に、有効成分を含む組成物中に担体、例えば親水性ポリマーを包含しうる。
【0167】
特定の投薬形態物の製造において考慮するための因子は、患者の血漿中での該薬物の半減期、上部および下部消化管中での特定の薬物の相対的生物学的利用能および吸収、所定の用量の薬物に対し耐性が発生するかどうか、薬物の不適合性、相乗作用若しくは相互作用が起こるかどうか、特定の血漿プロファイルを維持するのに必要とされる用量などである。
【0168】
例えば、非ステロイド性抗炎症薬若しくは非オピオイド鎮痛薬を、持続放出投薬形態物を使用して長時間にわたり送達して、血漿中で長い半減期を有する有効成分について1日2回投薬若しくは1日1回投薬のようなより少なく頻繁な投薬レジメンを可能にし得る。付加的な有効成分を、例えば胃保護のため非ステロイド性抗炎症薬とともに包含し得る。胃保護薬は、ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト(例えばシメチジン、ラニチジン、ファモチジン若しくはニザチジン)、細胞保護薬(例えばミソプロストール、レバミピド、エカベット若しくはカルベノキソロン)、またはプロトンポンプ阻害薬(例えば、例えば第EP−A1−0005129号、第EP−A1−174 726号、EP−A1−166 287号、第GB 2 163 747号および第WO90/06925号、同第WO91/19711号、同第WO91/19712号、同第WO95/01977号、同第WO94/27988号、ならびにLundbergへの米国特許第6,610,323号に開示されるような、例えば、制限なしに、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール若しくはエソメプラゾールのようなα−ピリジルメチルスルフィニルベンズイミダゾール)を包含する。
【0169】
5−HTアゴニストを、例えば偏頭痛の処置のためのNSAIDの送達のための投薬形態物に包含し得る。5−HTアゴニストは、限定されるものでないがスマトリプタン、エレトリプタン(欧州特許出願第379314号明細書に記述される)、Allelix ALX 1323、リザトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、および米国特許第4,816,470号明細書に記述されるようなナラトリプタンを挙げることができるトリプタンのようなインドール誘導体;ジヒドロエルゴコルニン、ジヒドロエルゴクリスチン、ジヒドロエルゴクリプチン(αおよびβ)ならびにメシル酸ジヒドロエルゴタミン(DHE 45)を包含し、かつPlachetkaへの米国特許第6,586,458号明細書に記述されるところの、エルゴタミン(例えば酒石酸エルゴタミン)、ジヒドロエルゴタミン、ブロモクリプチン、エルゴノビンおよびメチルエルゴノビン(例えばマレイン酸エルゴノビン)、メチセルギドならびにメシル酸エルゴロイドのような麦角アルカロイドを制限なしに包含する。
【0170】
抗生物質もまた、本明細書に記述される持続放出投薬形態物を使用する送達のために処方し得る。経口で投与し得るいかなる抗生物質も該制御放出投薬形態物に包含し得る。抗生物質は、抗原生動物薬;抗蠕虫薬;グラム陽性およびグラム陰性球菌、グラム陽性およびグラム陰性桿菌、抗酸菌、スピロヘータ、アクチノミセス属を包含する細菌種;カンジダ、ヒストプラスマ、パラコクシジオイデス、スポロトリクス、コウジカビ、ムコル真菌症(mucormycoses)、クリプトコックスのような真菌の種;ウイルス;ならびにウレアプラスマ、マイコプラスマ、リケッチア、クラミジア、ニューモシスチスのような雑多な生物体に対し有効な剤を包含する。例示的抗生物質はエリスロマイシン、アモキシシリン、クラリスロマイシン、テトラサイクリン若しくはメトロニダゾールを包含する。乏しく溶解性、不溶性若しくは乏しく溶解する抗生物質は、理想的に、本明細書に記述される投薬形態物を使用して送達する。例えば、エリスロマイシンは、典型的に、1日あたり1〜2グラムの総1日用量について1日4回服用される250mg(若しくはそれ以上)の1個若しくはそれ以上の経口用量で必要とされる。1日あたり約8グラムの用量が処方されている。
【0171】
該投薬形態物は、トピラメート、イブプロフェン、アセトアミノフェン、ゲムフィブロジルなどのような乏しく溶解性の化合物の処方および送達にとりわけ良好に適する。該投薬形態物は、必要とされるこれらの剤の大用量ならびに処置の必要な患者へのこれらの剤の処方および送達における困難により、非オピオイド鎮痛薬(とりわけアセトアミノフェン)若しくは非ステロイド性抗炎症薬(例えばイブプロフェン、ケトプロフェン)の持続放出製剤を提供するのに有利に使用し得る。この点に関して、オピオイド鎮痛薬および非オピオイド鎮痛薬の組合せが本明細書に記述される投薬形態物の好ましい一態様である。
【0172】
非オピオイド鎮痛薬は非ステロイド性抗炎症薬として知られる化合物の分類を包含する。非オピオイド鎮痛薬の例は、アセトアミノフェン、アミノ安息香酸カリウム、アミノ安息香酸ナトリウムにより例示される乏しく溶解性のパラアミノフェノール誘導体を包含するが、しかし、アスピリン、スルファサラジン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウムおよびサリチル酸カリウムのようなサリチル酸誘導体;ベノキサプロフェン、デシブプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナプロキソール、オキサプロジンを包含するアリールプロピオン酸;ジクロフェナク、ケトロラク、トルメチンのようなヘテロアリール酢酸;インドメタシン、スリンダクを包含するインドールおよびインデン酢酸;セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、エトドラク、イブフェナク、ニメスルフィド、JTE−522、L−745,337若しくはNS398のような選択的COX−2阻害剤;ナブメトンのようなアルカノン;メロキシカム、ピロキシカム、ロルノキシカム、シンノキシカム、スドキシカム、テノキシカムを包含するオキシカム;メフェナム酸およびメクロフェナム酸のようなアントラニル酸もまた包含し得る。好ましい非オピオイド鎮痛薬はアセトアミノフェンおよびイブプロフェンを包含する。単一投薬形態物中の非オピオイド鎮痛薬の量は典型的には0.5mgないし1000mg、およびより典型的には約200と約600mgとの間である。
【0173】
有効成分はオピオイド鎮痛薬でもまたあり得る。代表的オピオイド鎮痛薬は、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン(anileridne)、ベンジルモルヒネベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、デソモルヒネ、デキシトロモルアミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、プロピルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロエニタバス(hydroenitabas)、ヒドロキシペチジン(hydrocypethidine
)、イソメサドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボルフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン(myrophine)、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ(nicomorphine)、ノルレボルファノール、ノルメサドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、あへん、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルホン(phenomorphone)、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピルトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドールおよびチリジンを制限なしに包含する。オピオイド薬物14の用量は0.1μgないし700mgである。
【0174】
使用方法
上述された投薬形態物は多様な方法で使用し得る。例えば、該投薬形態物は、障害若しくは状態の処置のためのヒト患者の血漿中での有効成分(例えばオピオイド鎮痛薬および非オピオイド鎮痛薬)の有効濃度の提供方法で使用し得る。該投薬形態物はまた、有効成分の持続放出およびヒト患者の胃腸管への送達の提供方法でも使用し得る。特定の態様において、該投薬形態物は、例えば、疼痛を処置するための有効量の鎮痛組成物の提供においてヒト患者での疼痛の処置方法で使用し得る、などである。
【0175】
該投薬形態物は、とりわけ有効成分が付加的な有効成分とともに使用される場合に、乏しく溶解性若しくは不溶性の製薬学的有効成分の持続放出を提供するのにとりわけ有用である。該投薬形態物は漸増する放出速度での有効成分の放出を提供し、そして、該放出速度は相互に比例することができ、患者における血漿濃度を平行する血漿濃度に、若しくは1種の剤が他の有効成分より遅い速度で代謝される場合に起こるであろうような異なる血漿濃度のいずれかに調整する独特の能力を提供する。有効成分は、それらの不活性化若しくは排泄速度が同様であり従って平行な血漿プロファイルを提供するように、または、それらの不活性化若しくは排泄速度が異なり従って分岐する血漿プロファイルを提供するように選ぶことができる。
【0176】
加えて、特定の有効成分に対する耐性すなわち脱感作が生じる場合には、漸増する放出速度は有効成分の有効な治療的レベルの維持における困難を克服する手段を提供する。従って、耐性の発生もしくは阻害性受容体からの遅い解離速度による有効性のいかなる低下についても、増大する血漿濃度が、患者中の標的受容体が該有効成分に対しより少なく感受性になっている環境下でさえ、該有効成分のいかなる低下された有効性についても補償する手段を提供する。
【0177】
図8AおよびBに示されかつ下により詳細に論考されるとおり、ヒドロコドンの3種の異なる漸増する放出速度がヒト患者において変動する漸増する血漿プロファイルを生じた一方、アセトアミノフェンの同一の漸増する放出速度はヒト患者において漸増、0次若しくは減少する血漿プロファイルのいずれかを生じた。従って、該有効成分の血漿プロファイルは、有効成分の放出速度および代謝的不活性化の速度の双方に極めて感受性であるようである。
【0178】
実施例3に詳細に記述されるとおり、本明細書に記述される持続放出投薬形態物の生物学的利用能、ならびに4時間ごとに投薬される即時放出投薬形態物((NORCO(R))に対するそれらの生物学的同等性を決定するための臨床試験が実施された。ヒト患者で生じられる薬物動態パラメータは、これと同日付に出願された第ALZ5130号(その開示はそっくりそのまま引用することによりここに組み込まれる)に詳細に提示されている。
【0179】
この臨床試験において、数種の代表的投薬形態物の生物学的利用能、および即時放出投薬形態物(NORCO(R)、1錠を4時間ごとに3用量)とのそれらの生物学的同等性が示された。およそ6、8および10時間のT90を生じる多様な放出速度を有する投薬形態物を試験した。図8AおよびBは、およそ6、8および10時間のT90を有する代表的投薬形態物の投与後、ならびにアセトアミノフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩を含んでなる即時放出投薬形態物の4時間ごとの投与後に観察されるヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの平均in vivo血漿プロファイル間の比較を具体的に説明する。これらの図が具体的に説明するとおり、実施例1の手順に従って製造した3種の投薬形態物のそれぞれの2錠を受領する志願者は、時間0での経口投与後にヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの血漿濃度の急速な上昇を表した。該投薬形態物は、ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの血漿濃度の急速な上昇、次いで、1日2回の投薬に適する、患者の血漿中の治療上有効な濃度を長時間提供するのに十分なヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの持続放出を生じた。
【0180】
レジメンA、BおよびCの投薬形態物の全3種がヒドロコドンの漸増する血漿プロファイルを生じた(図8Aを参照されたい)一方、レジメンAのみがアセトアミノフェンの漸増する血漿プロファイルを生じた。それらのより遅い薬物放出速度を伴うレジメンBおよびCは、アセトアミノフェンの迅速な代謝により、この薬物の0次若しくは下降する血漿プロファイルさえ生じた速度でアセトアミノフェンを提供した。従って、薬物の薬物動態特性および個々の患者の代謝に依存して、in vitroでの薬物の漸増する放出速度は、in vivoで漸増、0次若しくは下降する血漿プロファイルとして明示され得る。
【0181】
その上本発明はその好ましい特定の態様とともに記述されたこと、上の記述ならびに後に続く実施例は具体的に説明することを意図しておりかつ本発明の範囲を制限することを意図していないことが理解されるべきである。本発明の実務は、別の方法で示されない限り、当該技術分野の熟練内にある有機化学、高分子化学、製薬学的製剤などの慣習的技術を使用することができる。本発明の範囲内の他の局面、利点および改変は、本発明が属する技術分野の当業者に明らかであろう。こうした技術は文献に完全に説明されている。
【0182】
上および下双方に本明細書に挙げられる全部の特許、特許出願および公開は、ここに引用することにより組み込まれる。
【0183】
以下の実施例において、使用される数字(例えば量、温度など)に関する正確さを確認するための努力がなされたが、しかし何らかの実験の誤差および偏差が計上されるべきである。別の方法で示されない限り、温度は℃でありかつ圧は大気圧若しくはそれ近くである。全部の溶媒はHPLC等級として購入した。
略語:
APAP:アセトアミノフェン
AUC:血漿濃度−時間曲線下面積
HBH:ヒドロコドン重酒石酸塩
HC:ヒドロコドン
HEC:ヒドロキシエチルセルロース
HM:ヒドロモルホン
HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース
HPC:ヒドロキシプロピルセルロース
PEO:ポリ(エチレンオキシド)
PVP:ポリビニルピロリドン
[実施例]
【実施例1】
【0184】
500mgのアセトアミノフェンおよび15mgのヒドロコドンを含有する投薬形態物を、後に続くところの手順を使用して製造した。
【0185】
薬物層造粒の製造
25キログラムロットの薬物層を、媒体流動床造粒機(medium fluid bed granulator)(mFBG)を使用して造粒した。実験的スケールアップ作業の間に確立されたところの圧縮した核中で標的薬物量を維持するために、5%製造過剰のヒドロコドン重酒石酸塩(HBH)を添加した。結合剤溶液を、精製水にポビドンを溶解して7.5重量%溶液を作成することにより調製した。
【0186】
指定された量のAPAP、ポリエチレンオキシド200K(ポリオックスN−80)、クロスカルメロースナトリウム(Ac−di−sol)およびポロキサマー188をFBGボウルに充填した。床を流動化し、そして結合剤溶液をその直後に噴霧した。1000gの結合剤溶液をボウルに計量した後に、造粒工程を停止し、予め秤量したHBHをその後、それを造粒中の穴に入れかつそれを完全に覆うことによりボウルに充填した。該技術を使用して、フィルター袋を通って喪失された薬物の量を最小限にした。予め決められた量の結合剤溶液を噴霧した後に、噴霧機の電源を切り、そして標的水分含量が達成されるまで造粒を乾燥した。造粒をその後、10メッシュ篩を取付けた流動空気ミルを使用しかつ2250rpmの微粉砕速度を使用して微粉砕した。
【0187】
微粉砕したBHTをその後、加工の間に造粒中のポリエチレンオキシドおよびポロキサマーから喪失されたBHTを補充するために添加した。BHTはポリエチレンオキシドおよびポロキサマー中で粘度を維持するために必要とされる。原料を、40メッシュ篩を通して手動篩過した。適切な量のBHTを、Gemcoブレンダーを使用するブレンダー中で造粒の上部に分散し、該混合物を10分間配合し、次いで同一のブレンダーを使用してステアリン酸およびステアリン酸マグネシウムを造粒中に1分間配合した。ステアリン酸およびステアリン酸マグネシウムは、ブレンダー中で原料に配合する前に40メッシュ篩を通して大きさ設定した。それらは、核圧縮の間のダイからの核の取出しを容易にするために添加した。
【0188】
浸透圧押し層造粒の製造
塩化ナトリウム(NaCl)および酸化鉄の凝集体を、21メッシュ篩を取付けたQuadro Comilにより微粉砕した。指定された量のポリエチレンオキシド、微粉砕したNaClおよび微粉砕した酸化鉄をトート中に積層した。ポリエチレンオキシドのおよそ半分が底にあり、そして物質の残りが中間にあった。残存するポリエチレンオキシドは上部にあった。このサンドイッチ効果はNaClが再凝集することを予防する。ポビドンを精製水に溶解して13%の固形物を含む結合剤溶液を作成した。適切な量の結合剤溶液を、造粒を作成するために調製した。
【0189】
トート中の乾燥成分をFBGボウルに充填した。床を流動化し、そして、結合剤溶液を所望の入口空気温度が達成されたらすぐに噴霧した。流動化空気流を、40003/時の最大空気流に達するまで、およそ3分ごとの噴霧について500m3/時ずつ増大させた。予め決められた量の結合剤溶液を噴霧した後(48.077kg)、噴霧機の電源を切り、そして造粒を標的水分含量まで乾燥した。造粒をその後、7メッシュ篩を取付けた流動空気ミルを使用して1530Lのトート中に微粉砕した。
【0190】
微粉砕したBHTを、ポリエチレンオキシドおよびポロキサマーの造粒の分解を予防するために添加した。原料を、40メッシュ篩を通して手動篩過した。適切な量のBHTをその後、トート中の造粒の上部に分散した。トートタンブラーを使用して、混合物を8r
pmで10分間配合し、次いで、ステアリン酸を造粒中にトートタンブラーを使用して8rpmで1分間配合した。ステアリン酸は、トート中で物質に配合する前に40メッシュ篩を通して大きさ設定した。それは圧縮の間のダイからの錠剤の取出しを容易にするために添加した。
【0191】
二層核の圧縮
薬物層造粒および浸透圧押し造粒を、標準的圧縮手順を使用して二層核に圧縮した。Korschプレスを使用して、二層が長軸方向に圧縮された錠剤(LCT)を製造した。該プレスは、丸い深い凹型のパンチおよびダイを伴う1/4インチLCTパンチおよびダイを用いて設定した。造粒を、プレス中の適切な位置若しくはステーションに至るホッパー中にすくい取った。適切な量の薬物層造粒をダイに添加し、そしてプレスの第一圧縮ステーション上で軽く詰めた。押し造粒をその後添加し、そして錠剤を、プレスの第二のステーションの主圧縮ロールの下で最終の錠剤の厚さまで圧縮した。
【0192】
打錠パラメータ(薬物層)の初期調節を、各錠剤中に典型的に330mgのAPAPおよび10mgのヒドロコドンを含有する413mgの均一な標的薬物層重量を伴う核を製造するように実施する。薬物層を浸透圧層に結合して均一な最終の核の重量、厚さ、硬度および脆性を伴う核を製造する打錠パラメータの第二層の調節(浸透圧押し層)を実施する。前述のパラメータは、充填空間および/若しくは力の設定を変動させることにより調節し得る。
【0193】
錠剤重量を制御するため、プレスは、ダイ中の充填深さを変えることにより造粒の充填量を調節する、圧縮力に基づく自動充填量制御装置を有する。圧縮力およびプレス速度を必要なように調節して、満足すべき特性をもつ錠剤を製造した。薬物層の標的重量は413mgであり、また、押し層の標的重量は138mgであった。前圧縮力は、質の高い核を得るのに必要なように調節された60Nであり、そして最終圧縮はまた必要なように調節された6000Nであった。プレス速度は13rpmであり、そして14個のステーションが存在した。
【0194】
下塗り溶液および下塗りした系の製造
圧縮した核を、17mg/核の標的下塗り重量まで被覆した。サブコーティング(subcoating)溶液は6重量%の固形物を含有し、そしてステンレス鋼製混合容器中で調製した。固形物(95%ヒドロキシエチルセルロースNFおよび5%ポリエチレングリコール3350)を100%水に溶解した。適切な量の水を最初に混合容器に移した。水を攪拌しながら、適切な量のポリエチレングリコール、次いでヒドロキシエチルセルロースを混合容器に充填した。物質は全部の固形物が溶解するまで該容器中で一緒に混合した。
【0195】
Vector Hi−Coaterを被覆処置に使用した。該塗布機を始動し、そして標的排気温度に到達した後、二層核(公称1ロットあたり9kg)を塗布機に入れた。コーティング溶液をその直後に回転錠剤床に噴霧した。コーティング工程を通じて規則的間隔で重量増加を測定した。所望の湿重量増加が達成された(核あたり17mg)場合に、コーティング工程を停止した。
【0196】
速度制御膜および膜コート系の製造
膜コーティング溶液は、二層核中への所望の水浸透速度を得るために、変動する比率のセルロースアセテート398−10およびポロキサマー188を含有し、そして下のA、BおよびCに記述されるとおり所望の重量増加量まで核上に被覆した。重量増加は、放出速度アッセイにおける変動する厚さの膜のT90と相関しうる。所望のT90のための所望の膜重量増加の獲得により便宜的に決定される十分な量の溶液を適用した場合に、膜コ
ーティング工程を停止した。
【0197】
コーティング溶液は5重量%の固形物を含有し、そして20ガロンの閉鎖ジャケット付ステンレス鋼製混合容器中で調製した。固形物(6若しくは8時間のT90を有する投薬形態物について、下のAおよびBに記述される75%セルロースアセテート398−10および15%ポロキサマー188、または下のCに記述される10時間のT90を有する投薬形態物について、80%セルロースアセテート398−10および20%ポロキサマー188、双方とも痕跡量のBHT、0.0003%を含有する)を、99.5%アセトンおよび0.5%水(w/w)よりなった溶媒に溶解し、そして適切な量のアセトンおよび水を該混合容器に移した。攪拌しながら該容器を25℃ないし28℃に加熱し、そしてその後熱水供給を止めた。適切な量のポロキサマー188、セルロースアセテート398−10およびBHTを、予熱したアセトン/水溶液を含有する混合容器に充填した。物質を、全部の固形物が溶解するまで容器中で一緒に混合した。
【0198】
下塗りした二層核(ロットあたりおよそ9kg)をVector Hi−Coaterに入れた。該塗布機を始動し、そして標的排気温度に到達した後に、コーティング溶液を回転錠剤床に噴霧した。コーティング工程を通じて規則的間隔で重量増加を測定した。所望の湿重量増加が達成された場合に、コーティング工程を停止した。
【0199】
特定のT90値を有するコート核を得るために、適切なコーティング溶液を、下のA、BおよびCに記述されるとおり、所望の膜重量増加が得られるまで回転錠剤床に均一に適用した。コーティング工程を通じて規則的間隔で重量増加を測定し、そしてサンプルの膜コート単位を、実施例4に記述されるところの放出速度アッセイで試験して、コート単位のT90を決定した。
【0200】
膜を40mgの重量増加まで二層核に被覆し、そして放出速度アッセイで約6時間のT90を有する投薬形態物を生じた(すなわち、薬物のおよそ90%が6時間で投薬形態物から放出される)。
【0201】
膜を59mgの重量増加まで二層核に被覆して、放出速度アッセイで決定されるところの約8時間のT90を有する投薬形態物を生じた。
【0202】
膜を、60mgの重量増加まで二層核に被覆し、そして放出速度アッセイで約10時間のT90を有する投薬形態物を生じた。
膜コート系の孔あけ
1個の出口を、膜コート系の薬物層端に孔あけした。
【0203】
孔あけ工程の間、サンプルを、オリフィスの大きさ、位置および出口の数について規則的間隔で確認した。
【0204】
孔あけしたコート系の乾燥
乾燥する前に、対になったおよび破損した系を必要なようにバッチから除去した。錠剤を、対になった系を選別しかつ除去するために孔あきトレイを人的に通過させた。1個の出口を、LCTレーザーを使用してコート核に孔あけした。出口直径は4.5mmを標的とし、これを膜コート核の薬物層ドームに孔あけした。孔あけ工程の間、3個の錠剤を、オリフィス大きさ測定のため定期的に取り出した。許容品質限界(AQL)検査を同様に実施した。
【0205】
上のとおり製造した、孔あけしたコート系を孔あきオーヴントレイに載せ、そして45℃および45%相対湿度の相対湿度オーヴン中の棚に入れ、そして72時間乾燥して残留
溶媒を除去した。湿式乾燥に次いで45℃および周囲相対湿度で最低4時間乾燥した。
【0206】
薬物コーティングの適用
薬物コーティングを上述された孔あけした投薬形態物上に提供した。コーティングは、HPMC 2910(Dowにより供給される)およびコポビドン(Kollidon(R)VA 64、BASFにより供給される)の配合物から形成される6.6重量%の薄膜形成剤を包含した。HPMCは薬物コーティングの3.95重量%に相当し、また、Kollidon(R)VA 64は薬物コーティングの2.65重量%に相当した。薬物コーティングはまた、粘度増強剤としてHPC(Klucel(R)MF)も包含した。HPCは薬物コーティングの1.0重量%に相当した。APAPおよびHBHを薬物コーティングに包含し、該2種の薬物は薬物コーティングの92.4重量%に相当した。APAPは薬物コーティングの90重量%に相当し、HBHは薬物コーティングの2.4重量%に相当した。
【0207】
薬物コーティングを形成するため、水性コーティング製剤を、溶媒として米国薬局方精製水を使用して創製した。コーティング製剤は20重量%の固形物含量および80重量%の溶媒含量を包含した。コーティング製剤に負荷した固形物は、完成した薬物コーティングを形成したものであり、そして、該固形物は、完成した薬物コーティング中に含有されると同一の相対比率でコーティング製剤に負荷した。2個のステンレス鋼製容器を、最初に2種の別個のポリマー溶液を混合するために使用し、そしてその後、該ポリマー溶液を、HBHおよびAPAPを添加する前に合せた。コポビドンは24kgの水(水全体の2/3)を含有する第一の容器中で溶解し、次いでHPMC E−5を添加した。この容器に2個のミキサーを装備し、その一方は上に配置しかつ他方は容器の底の側方に配置した。Klucel MF(HPC)を1200グラムの水(必要とされる水の1/3)を含有する第二の容器に溶解した。双方のポリマー溶液を溶液が澄明になるまで混合した。次に、HPC/水溶液を、コポビドン/HPMC/水を含有した容器に移した。その後HBHを添加し、かつ、完全に溶解するまで混合した。最後に、APAP(および場合によってはAc−di−sol)をポリマー/HBH/水溶液に添加した。混合物を均一な懸濁液が得られるまで継続して攪拌した。懸濁液は噴霧する間に混合された。
【0208】
コーティング製剤を形成した後、薬物コーティングを、2個のMarsterflex蠕動ポンプヘッドを装備した24インチHigh−Coater(CA番号66711−1−1)を使用して、孔あけした投薬形態物上に形成した。3ロットの全部を195mg/核の同一標的重量増加まで被覆した(199.7mgの平均コーティング重量)。
【0209】
色および透明保護被膜
任意の色若しくは透明塗膜溶液を、蓋の付いたステンレス鋼製容器中で調製した。色塗のため、88部分の精製水を12部分のOpadry IIと溶液が均一になるまで混合した。透明塗のため、90部分の精製水を10部分のOpadry Clearと溶液が均一になるまで混合した。上のとおり調製した乾燥した核を回転する穿孔パンコーティング装置に入れた。塗布機を始動し、そしてコーティング温度が達成された後(35〜45℃)、色塗溶液を回転錠剤床に均一に適用した。所望の色保護被膜重量増加が達成される場合に便宜的に決定されるところの十分な量の溶液を適用した場合に、色塗工程を停止した。次に、透明塗溶液を回転錠剤床に均一に適用した。十分な量の溶液を適用した、すなわち所望の透明塗重量増加が達成された場合に、透明塗工程を停止した。流動剤(例えばカルヌボ(Carnubo)蝋)を、場合によっては、透明塗適用後に錠剤床に適用し得る。
【0210】
上述された投薬形態物を構成する成分を、下の表1に重量パーセント組成として示す。
【0211】
【表1】
【0212】
上述されたとおり製造した投薬形態物を、実施例2に記述されるところの放出速度アッセイで試験し、また、下の実施例3に記述される臨床試験においてヒトで試験した。
【実施例2】
【0213】
上述された投薬形態物からの薬物の放出速度を、以下の標準化したアッセイで測定した。該方法は900mlの酸性化した水(pH3)中に系を放出することを必要とする。サンプル放出速度溶液のアリコートをクロマトグラフィー装置に注入して、指定された試験間隔の間に放出された薬物の量を定量した。薬物をC18カラムで分離し、そしてUV吸収(アセトアミノフェンについて254nm)により検出した。定量は、最低5個の標準点を含有する標準曲線からのピーク面積の直線回帰分析により実施した。
【0214】
サンプルを、米国薬局方7型間隔放出装置の使用を伴い調製した。試験されるべき各投薬形態物を秤量し、その後尖らせた一端を有するプラスチック製棒に接着し、そして各棒を放出速度パケットアームに取付けた。各放出速度パケットアームを、1周期あたり約3cmおよび2ないし4秒の振幅で作動する上下往復振とう器(米国薬局方7型間隔放出装置)に固定した。取付けた系を伴う棒の端を、37℃±0.5℃に制御した恒温水浴中で平衡化した50mlの酸性化したH2O(リン酸でpH3.00.+−.0.05に酸性化した)を含有する50mlの較正した試験管に継続的に浸積した。90分の各時間間隔の終了時に、投薬形態物を、新鮮な酸性化した水を含有する次の列の試験管に移した。該過程を、放出が完了するまで所望の数の間隔について反復した。その後、放出された薬物を含有する溶液チューブを取り出し、そして室温に冷まさせた。冷却した後、各チューブを酸性化した水で50ml標線まで満たし、溶液のそれぞれを徹底的に混合し、そしてその後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析のためサンプルバイアルに移した。薬物の標準溶液を、5マイクログラムないし約400マイクログラムの範囲を包含する濃度増分で調製し、そしてHPLCにより分析した。標準濃度曲線は直線回帰分析を使用して構築した。放出試験から得られる薬物のサンプルをHPLCにより分析し、そして薬物の濃度を直線回帰分析により決定した。各放出間隔に放出された薬物の量を計算した。
【0215】
本発明の多様な投薬形態物の放出速度アッセイの結果を図2〜7、および下の表2に具体的に説明する。59mgの75/25 CA398−10/Pluronic F68の膜コーティング重量を有する投薬形態物は、図2Aおよび2Bに示されるとおり約8時間のT90を表すことが示され、また、累積放出率グラフを図3および図5A〜Dに具体的に説明する。図2および3から知ることができるとおり、投薬形態物はアセトアミノフェンおよびヒドロコドンを漸増する放出速度で放出して、それにより、時間の関数としての放出された薬物のパーセントは一定の放出速度を表さないが、しかし、代わりに薬物の約80%ないし90%が放出されるまで時間とともにわずかに増大する。アセトアミノフェンおよびヒドロコドンの放出速度の増大は、薬物層が排出される際の押し置換層の増大された浸透圧活性により、そして薬物コーティングの非存在ならびに存在下で観察された。図2Aおよび2Bならびに図5Aに示されるとおり、薬物コーティングを有する投薬形態物もまた漸増する放出速度を表し、また、薬物コーティングからの総用量の約1/3の初期放出を表す。1時間以内に起こる初期ピークヒドロコドン放出速度が観察され、そして、放出アッセイの水性環境への該投薬形態物の導入後約5ないし7時間以内に起こる第二のピーク放出速度が観察された。図5Cもまた、薬物コーティングからのアセトアミノフェンの初期放出、次いで約7時間までのわずかに漸増する放出速度を示す。放出された累積薬物は、ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンについてそれぞれ図5Bおよび5Dに示され、そして、初期の薬物放出、次いでわずかに漸増する放出速度を示す。
【0216】
40mgの75/25 CA398−10/Pluronic F68の膜コーティング重量を有する投薬形態物が、図2Aおよび2Bならびに図6A〜Dに示されるとおり約6時間のT90を表すことが示された。図6Aに示されるとおり、薬物コーティングを有する投薬形態物は、薬物コーティングからのヒドロコドンの総用量の約1/3の初期放出
、次いで、約4ないし6時間以内に起こる第二のピーク放出速度までのヒドロコドンの漸増する放出速度を表す。図6Cは、薬物コーティングからのアセトアミノフェンの初期放出、次いで約5〜6時間のわずかに漸増する放出速度を示す。放出される累積薬物は、ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンについてそれぞれ図6Bおよび6Dに示され、そして初期の薬物放出、次いでわずかに漸増する放出速度を示す。
【0217】
60mgの80/20 CA398−10/Pluronic F68の膜コーティング重量を有する投薬形態物は、図2Aおよび2Bならびに図7A〜Dに示されるとおり約10時間のT90を表すことが示された。これらの投薬形態物は、6および8時間のT90値を有することを特徴とする先行する系より平坦な放出プロファイルを示す。図7Aに示されるとおり、薬物コーティングを有する投薬形態物は、該薬物コーティングからのヒドロコドンの総用量の約1/3の初期放出、次いで約7ないし8時間以内に起こる第二のピーク放出速度までのヒドロコドンのわずかに漸増する放出速度を表す。図7Cは、薬物コーティングからのアセトアミノフェンの初期放出、次いで約5〜6時間のわずかに漸増する放出速度を示す。放出される累積薬物は、ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンについてそれぞれ図7Bおよび7Dに示され、そして初期の薬物放出、次いでわずかに漸増する放出速度を示す。
【0218】
実施例1からのサンプルA、BおよびCで実施した放出速度アッセイの結果を、下の表2に示す。累積放出を表3および4に提示する。
【0219】
【表2】
【0220】
これらのデータが示すとおり、該投薬形態物は長時間にわたり漸増する放出速度を表す。薬物コーティングの存在により、該持続放出投薬形態物からの初期放出速度は1時間の時点で決定し得ない。しかしながら、該投薬形態物は、2時間の時点から約T70の時間間隔で生じる最大まで放出速度の増大を示し、6時間のT90を有する投薬形態物について時間2と5との間に存在するヒドロコドン重酒石酸塩およびアセトアミノフェンの放出速度のそれぞれ約69%および74%の増大;8時間のT90を有する投薬形態物について時間2と7との間に存在するヒドロコドン重酒石酸塩およびアセトアミノフェンの放出速度のそれぞれ約86%および96%の増大;ならびに10時間のT90を有する投薬形
態物について時間2と5との間に存在するヒドロコドン重酒石酸塩およびアセトアミノフェンの放出速度のそれぞれ約48%および20%の増大を表す。放出速度の増強は10時間未満のT90を有する投薬形態物について最も顕著である。
【0221】
【表3】
【0222】
【表4】
【実施例3】
【0223】
実施例1で製造した投薬形態物のin vivo有効性および安全性を後に続くとおり試験した:
24名の健康志願者(12名の男性および12名の女性)を、オープンラベル無作為化4期間交差試験デザインのフェーズI臨床試験に参入させた。等しい数の男性被験者および女性被験者を4群の1つに一緒に対にした。各性の範疇内の被験者を、順序の偏りならびに順序および性の交絡を回避するために、下述されるレジメンの4順序に無作為に割り当てた。
【0224】
4種の処置の選択肢を順番に試験し、単一処置レジメンを試験第1日に投与した。最低6日のウォッシュアウト期間を、投薬日を分離するために包含した。各処置群は、1例外を除き、下の表5に示されるとおり、試験の経過の間、4種の処置のそれぞれを受領した。その例外は薬物動態パラメータの解析に包含しなかった。4期間のそれぞれについて、被験者に、後に続くところの4種の処置の選択肢の1つを経口投与により与えた:
およそ6時間の標的T90値を有する、実施例1に記述された方法により製造した制御放出HBH/APAP生成物(合計で30mgのHBHおよび1000mgのAPAPになる2個の錠剤)(レジメンA);
およそ8時間の標的T90値を有する、実施例1に記述された方法により製造した制御放出HBH/APAP生成物(合計で30mgのHBHおよび1000mgのAPAPに
なる2個の錠剤)(レジメンB);
およそ10時間の標的T90値を有する、実施例1に記述された方法により製造した制御放出HBH/APAP生成物(合計で30mgのHBHおよび1000mgのAPAPになる2個の錠剤)(レジメンC);若しくは
参照薬物NARCO(R)、すなわち12時間にわたる合計3回の投与の間4時間ごとに投与される、10mgのHBHおよび325mgのAPAPを含有するHBHおよびAPAPの即時放出製剤(レジメンD)。
【0225】
【表5】
【0226】
レジメンA〜Cの制御放出生成物およびレジメンDの初回用量は、厳格な絶食条件下で試験第1日に投与した。処置レジメンA〜Cを受領する各被験者から、後に続くところの投与後の適切な時点で薬物動態サンプリングのため血液サンプルを収集した:0、0.25時間、0.5時間、0.75時間、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、36時間、48時間。処置レジメンDを受領する被験者について、後に続くところの初回用量の投与後の適切な時点で血液サンプルを収集した:0、0.25時間、0.5時間、0.75時間、1時間、2時間、4時間、4.25時間、4.5時間、5時間、6時間、8時間、8.25時間、8.5時間、9時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、36時間、48時間。
【0227】
血液サンプルを処理してさらなる分析のため血漿を分離し、そして、ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの血漿濃度を、ヒドロコドンについて0.092と92ng/mL、およびアセトアミノフェンについて5と10,000ng/mLの間の定量を伴う検証されたHPLC/MS/MS法を使用して測定した。
【0228】
ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの薬物動態パラメータの値を、非コンパートメント法を使用して推定した。血漿濃度を、薬物動態パラメータの決定における効力について調節した。
【0229】
最大の観察された血漿濃度(Cmax)およびCmaxまでの時間(ピーク時間、Tmax)を、血漿濃度−時間データから直接決定した。末期排泄速度定数(β)の値を、プロファイルの終末対数直線期からの時間データに対する血漿濃度の対数の最小二乗直線回帰の傾きから得た。終末対数直線期は、WinNonlin−ProfessionalTM、バージョン4.0.1(Pharsight Corporation、カリフォルニア州マウンテンビュー)および目視を使用して同定した。3個の濃度−時間データ点の最小を使用してβを決定した。末期排泄半減期(t1/2)をln(2)/βとして計算した。
【0230】
時間0から最後の測定可能な濃度の時間(AUCt)までの血漿濃度−時間曲線下面積(AUC)を、直線台形公式により計算した。AUCは、最後の測定可能な血漿濃度(C
t)をβにより除算することにより無限時間まで外挿した。AUCの外挿された部分をAUCextにより示して、時間0から無限時間までのAUC(AUC∞)を、後に続くとおり計算した:
AUC∞=AUCt+AUCext
AUC∞全体への外挿したAUC(AUCext)の寄与のパーセントを、AUCextをAUC∞により除算しかつこの商を100により乗算することにより計算した。見かけの経口クリアランス値(CL/F、式中Fは生物学的利用能である)を、投与された用量をAUC∞により除算することにより計算した。
【0231】
それらの薬物動態パラメータ値と一緒のヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの血漿濃度を、各被験者および各レジメンについて表にし、そして要約統計量を各サンプリング時間および各パラメータについて計算した。
【0232】
IRレジメンの生物学的利用能に関しての各CRレジメンの生物学的利用能を、AUCの自然対数の解析から得た90%信頼区間を介して、2つの片側検定手順により評価した。これらの信頼区間は、信頼区間の終点を平均対数の差違について累乗することにより得た。
【0233】
上の解析を、効力について補正した薬物動態パラメータで実施した。
結果
ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの血漿濃度を図8Aおよび8Bに示す。これらの図が具体的に説明するとおり、実施例1の手順に従って製造した3種の投薬形態物のそれぞれの2個の錠剤を受領する志願者は、時間0での経口投与後にヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの血漿濃度の急速な上昇を表した。ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの血漿濃度は、薬物コーティングからのヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの放出により初期ピークに達する。ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの初期放出の後に、該投薬形態物の持続放出が、患者へのヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの連続放出を提供する。
【0234】
試験レジメンA(6時間放出の原型)、B(8時間放出の原型)およびC(10時間放出の原型)は、生物学的同等性を評価するための90%信頼区間が0.80ないし1.25の範囲内に含有されたため、ヒドロコドンおよびアセトアミノフェン双方のAUCに関して参照レジメンD(NARCO(R))と同等であった。
【0235】
試験レジメンAは、生物学的同等性を評価するための90%信頼区間が0.80ないし1.25の範囲内に含有されたため、ヒドロコドンのCmaxに関して参照レジメンDと同等であった。レジメンDに比較して、レジメンBおよびCのヒドロコドンのCmaxの中央値は16%および25%より低かった。レジメンDに比較して、レジメンA、BおよびCのアセトアミノフェンのCmaxの中央値は9%ないし13%より低かった。
【実施例4】
【0236】
製剤を、ある種の製剤により提供されるin vitro/in vivo相関を検討するために製造した。該製剤は、薬物コーティングおよび透明塗をこれらの製剤から省いたことを除き、表6に示されるところの組成を使用して実施例1に記述されるとおり製造した。半透膜組成は75%セルロースアセテート/25%ポロキサマー188であった。製剤番号1は、滑沢剤として0.75%ステアリン酸および0.25%ステアリン酸マグネシウムもまた含有した一方、製剤番号2は滑沢剤として1.0%のステアリン酸を含有した。in vitro放出測定は実施例2で上述されたとおり行った。
【0237】
【表6】
【0238】
in vivoの性能を、3種の投薬形態物を2時間間隔で12時間投与することによりイヌで試験した。全部の系を13番目の時間後に取得し、そして残留薬物について分析した。in vivoでの該系の通過時間および堅牢性もまた測定した。残留薬物の量を通過時間と相関させた。
【0239】
in vivo試験の結果は、界面活性剤を有しない投薬形態物がin vitroで有効成分を送達したが、しかしin vivo送達は該投薬形態物への溶解されない薬物層の付着によりいくつかの場合に遅延されたことを示した。該投薬形態物からのアセトアミノフェンの完全送達および良好なin vitro/in vivo相関を達成するために、少なくとも、試験した高濃度のアセトアミノフェンを含有する投薬形態物では、より多量の界面活性剤の存在が望ましかったことが結論づけられた。
【実施例5】
【0240】
付加的な製剤を、高装填量のアセトアミノフェンおよびより少量のヒドロコドン重酒石酸塩を含有する投薬形態物の制御放出を提供するための代替の結合剤、崩壊剤、ポリオックスN−80および界面活性剤を検討するために製造した。これらの製剤は、以下の組成を使用して、実施例1に示された一般的手順に従って製造し、そして該製剤は薬物コーティング若しくは透明塗を欠いた。半透膜組成は75%セルロースアセテート/25%ポロキサマー188であった。全部の製剤は追加の1%の滑沢剤を含有した。
【0241】
【表7】
【0242】
これらの製剤を製造し、そして実施例2に記述されるところのin vitro放出速度アッセイで試験した。該製剤は、一般に、約20〜60mg/hrの速度でアセトアミノフェンを放出し、そして8〜9時間について平均およそ40mg/hrであった。界面活性剤Myrjを使用して製造した製剤は、Poloxamerを使用して製造した製剤に匹敵する放出速度および放出のパターンを有した。
【0243】
製剤4〜6は超微粉アセトアミノフェンを使用して製造し、そして放出速度はより変動性であるようであった。Tween 80およびCremophor ELの使用はPoloxamer若しくはMyrjに匹敵する放出速度をもたらした。製剤7〜9は超微粉でないアセトアミノフェンを使用して製造し、そしてより一貫した放出速度を表した。製剤番号8は、付加的な製剤でみられない、約80mg/hrの初期の突発放出を表した。
【0244】
製剤10および11は、代替の崩壊剤、デンプングリコール酸ナトリウムおよびアルギン酸ナトリウムを使用して製造した。これら2製剤は界面活性剤を用いずに製造し、そしてより顕著な漸増する放出速度を表した。
【0245】
製剤12〜15を記述されるとおり製造かつ試験した。製剤13および14中に0.5%コロイド状二酸化ケイ素もまた存在し、また、これらの製剤のそれぞれ中に滑沢剤ステアリン酸およびステアリン酸マグネシウムの量のわずかな変動が存在した。半透膜コーティングは、77%セルロースアセテート398−10および23%ポロキサマー188の比を使用して、これらの製剤のそれぞれ上で64mgであった。製剤番号12〜14からのアセトアミノフェンおよびヒドロコドンの累積放出率を図7AおよびBに示す。
【実施例6】
【0246】
350mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち80.86重量%イブプロフェン(米国薬局方、25ミクロン)、4.5重量%ポビドン、米国薬局方、Ph
Eur(K29−32)、4.5重量%HPC、JF、4.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3.0重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、1.74重量%ヒドロコドン重酒石酸塩、1.0重量%ステアリン酸、NF、0.4重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph
Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、75重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および25重量%ポロキサマー188、NFから構成された。
【0247】
本投薬形態物は、約9時間のT90を伴い、最初の1時間の14.5mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで9時間の約50mg/hrの最大放出速度までの漸増する放出速度、および基礎レベルまで急速に下落する前に全体で約9時間の持続放出を生じた。用量の大部分は漸増する放出速度で送達された。該結果を図9Aにグラフで示し、放出速度データを図9Aに、および累積放出を図9Bに示す。これらのデータは、ポビドンを含有しかつ浸透物質を含まない本製剤により提供される、突発放出の非存在および優勢な漸増する放出送達プロファイルを示す。
【実施例7】
【0248】
350mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち81.85重量%イブプロフェン(米国薬局方、25ミクロン)、8.0重量%HPC、NF、3.0重量%ポビドン、米国薬局方、Ph Eur(K29−32)、4.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3.0重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、1.75重量%ヒドロコドン重酒石酸塩、1.0重量%ステアリン酸、NF、0.4重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph
Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、75重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および25重量%ポロキサマー188、NFから構成された。
【0249】
本投薬形態物は、約9時間のT90を伴い、最初の1時間の8.2mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで8時間の約67mg/hrの最大放出速度までの漸
増する放出速度、および基礎レベルまで急速に下落する前に全体で約9時間の持続放出を生じた。用量の大部分は漸増する放出速度で送達された。該結果を図10にグラフで示す。これらのデータは、より大きな比率のヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンを含有しかつ浸透物質を含有しない本製剤により提供される、突発放出の非存在および優勢な漸増する放出送達プロファイルを示す。
【0250】
上述された例示的態様は、本発明の制限的よりはむしろ全部の点で具体的説明であることを意図している。従って、本発明は、当業者により本明細書の記述から得られることができる多くの変形および改変での実施を可能にする。全部のこうした変形および改変は、以下の請求の範囲により定義されるところの本発明の範囲および技術思想内にあるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0251】
【図1】本発明の投薬形態物の一態様の図解を示す。
【図2A−2B】1種の代表的な投薬形態物からのアセトアミノフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩のin vitroの漸増する放出速度を具体的に説明し、かつ、該2種の薬物の放出速度が比例することを示す。
【図3A−3B】持続放出に加え即時放出を提供する薬物コーティングを有する数種の代表的な投薬形態物からのそれぞれヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの累積in vitro放出速度を具体的に説明する。
【図4A−D】約8時間のT90を有する代表的な投薬形態物からのアセトアミノフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩のin vitro放出速度および累積放出を具体的に説明する。
【図5A−D】約6時間のT90を有する代表的な投薬形態物からのアセトアミノフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩のin vitro放出速度および累積放出を具体的に説明する。
【図6A−D】約10時間のT90を有する代表的な投薬形態物からのアセトアミノフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩のin vitro放出速度および累積放出を具体的に説明する。
【図7A−B】約8時間のT90を有する3種の代表的な投薬形態物からのアセトアミノフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩の累積in vitro放出を具体的に説明する。
【図8A−B】代表的な投薬形態物の単回投与後、ならびに0、4および8時間に投薬した即時放出投薬形態物の投与後に得られる48時間にわたるそれぞれヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの平均in vivo血漿プロファイル間の比較を具体的に説明する。
【図9A−B】イブプロフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩を含有する代表的な投薬形態物からのイブプロフェンの放出速度および累積in vitro放出を具体的に説明する。
【図10】イブプロフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩を含有する代表的な投薬形態物からのイブプロフェンのin vitro放出速度を具体的に説明する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般に、製薬学的剤を投与するための固体の投薬形態物、該投薬形態物の製造方法、およびそれの必要な患者への治療薬の提供方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
製薬学的有効成分の持続放出を提供するための経口投薬形態物は当該技術分野で既知である。これらの投薬形態物は、典型的に、患者での治療レベルを該薬物の最小有効濃度に依存する狭い範囲内に維持するという目的を伴い、有効成分の0次放出速度を数時間から1日若しくはそれ以上までの範囲にわたる時間提供することを意図している。しかしながら、ある種の薬物は、所望の治療効果を達成するために高投薬量でときに1日あたり数回投与しなければならない。高投薬量は、該投薬形態物の薬物組成物中の薬物装填量が、該組成物の総重量の約90%若しくはそれ以上であることを必要としうる。こうした高装填量の要件は、組成物の処方、および経口投与に適しかつ過度の困難を伴わずに嚥下し得る投薬形態物の作成において問題を提示する。高薬物装填量は、必要とされる大きな単位投与剤形のため、1日1回投薬のような1日あたりの制限された回数投与されるべきである投薬形態物を処方する場合に、より大きな問題さえ提示する。薬物の大きな1日用量は、1日を通じての複数の投薬により投与しうる一方、複数回投薬レジメンは、患者コンプライアンスの問題、潜在的な副作用および過剰投与の危険のため、しばしば好ましくない。従って、薬物の処方者は、高用量の薬物が長時間、例えば12時間ないし24時間にわたって送達させることが必要とされる場合でさえ、可能な場合は1日1回若しくは1日2回の投薬レジメンに適する製剤を製造することを試みてきた。
【0003】
加えて、薬物が迅速に代謝若しくは中和される場合、または耐性が発生する場合に、患者における薬物の必要な濃度を提供するのに十分である特定の送達プロファイルを提供することへの課題が存在する。漸増する放出速度で有効成分を送達する能力は、患者の血漿中の薬物の濃度を維持かつ制御する一方法である。最近、ALZA CorporationのConcerta(R)メチルフェニデート生成物のような、ある種の薬物をほぼ漸増する放出速度で送達するための投薬形態物が開示され、そして同時継続中の同一出願人による特許文献1、特許文献2;特許文献3;および特許文献4に記述されている。こうした開示された投薬形態物は、長時間にわたり増大する薬物送達濃度を生じさせるために、各薬物層中の連続して増大する薬物濃度を伴う複数の薬物層の使用、若しくは押し層中での浸透圧的に有効な溶質の比較的高濃度(最低約35%)を必要とする。こうした多層錠構成は当該技術に対する大きな進歩を表す一方、これらの装置は、低く溶解性の製薬学的剤、とりわけこうした剤の比較的高用量を伴うものを、患者が嚥下するために許容できる大きさで送達する制限された能力も有する。漸増する放出速度を提供するように開発された投薬形態物は二層若しくは三層錠剤核を利用し、それらは漸増する放出速度を生じさせる薬物濃度勾配を提供した。一定放出レジメンは、第二の即時放出用量の投与後の評価期間で即時放出レジメンに比較して低下された臨床的有効性(当該日の処置の経過にわたる該薬物に対する急性耐性の発生によることがありそうな効果)を有することが観察された。他方、漸増放出レジメンは、これらの評価期間の間に即時放出レジメンに匹敵する臨床的有効性を示した。従って、薬物濃度勾配を使用して提供される漸増放出レジメンは、耐性の発生により一定放出レジメンで見られる治療的有効性の低下を回避した。
【0004】
特許文献5は、薬物区画、ならびに、二層の内壁および外壁内に含有されかつ通路を有する製薬学的に許容できるポリマーヒドロゲル(マルトデキストリン、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレンオキシド、カルボキシアルキルセルロース)を含んでなる浸透圧投薬形態物を記述し、該ポリマーは、二層の内壁および外壁を横断する浸透圧勾配を表して
それにより液体を薬物区画中に吸収して該投薬形態物から通路を通って静水圧および浸透圧で送達される薬物を含んでなる溶液若しくは懸濁液を形成する。ある態様において、該投薬形態物は、膨張して薬物を該投薬形態物から排出する押し置換層をさらに含んでなる。この特許は、これらの投薬形態物の内壁が、水への該投薬形態物の増大された浸透性を提供して浸透物質(osmoagent)および/若しくは薬物が溶解しかつ該投薬形態物から放出される際に生じる浸透圧の駆動力の低下を補償する孔形成体を含んでなることを記述している。該投薬形態物は、浸透圧感受性の孔形成体が溶解するか若しくは内壁から浸出されるまでゆっくりとした薬物送達を表すことが報告された。溶出された孔形成体は内壁の浸透性を増大させ、それは対応して二層の内壁−外壁の正味の浸透性を長時間にわたり増大させた。浸透性のこの増大は浸透圧活性のいかなる低下も相殺することが報告され、また、直線的な薬物送達プロファイルを生じさせた。加えて、この特許は、孔形成体を含有する内壁および外壁で被覆した、オピオイド鎮痛薬および非オピオイド鎮痛薬ならびにポリマーヒドロゲルを含んでなる薬物区画を有する鎮痛薬を投与するのに適する投薬形態物を記述している。
【0005】
高薬物装填量を伴う応用に関して意図された利用性を有する多様な装置および方法が記述されている。例えば、特許文献6および7は、壁により形成される区画から薬物層を押す膨張可能な物質の層を含有する区画を規定する半透性壁を包含する、使用の環境に有益な剤を送達するためのディスペンサーを記述する。該装置中の出口オリフィスは、該壁により形成される区画の内径と実質的に同一の直径である。
【0006】
特許文献8は、有効成分の制御放出を提供するための高薬物装填量投薬形態物を記述する。この特許は、有効成分が長時間にわたり投薬形態物から均一に放出されること、および、投薬形態物からの有効成分の放出が、米国薬局方7型間隔放出装置(Interval Release Apparatus)で測定されるとおり、長時間にわたり、有効成分の平均放出速度から30%以上正に若しくは負に変動しないことを記述している。この特許はまた、高薬物装填量が所望の患者応答を導き出すために必要とされうるとは言え、有効成分の均一な放出速度を提供する投薬形態物が、1日に即時放出生成物を投与することが推奨される回数により即時放出生成物中の有効成分の用量を単純に乗算することから計算されうるより少ない1日あたりの1投薬形態物あたりの化合物の量の使用を可能にしうることも指摘している。加えて、この特許は、有効成分が薬物層組成物の40%から90重量%まで存在するが、しかし好ましくは、本発明の投薬形態物中の有効成分の重量パーセントが容易に嚥下しうる投薬形態物を見込むように75%若しくはそれ未満であり、かつ、薬物層組成物の75%を超えるとみられる量の薬物を投与することが望ましい環境では、通常、単一錠剤中で使用されるとみられるより多量に等しい総薬物装填量を伴う投薬形態物の2錠若しくはそれ以上を同時に投与することが好ましい、高投薬量レベルを記述している。
【0007】
しかしながら、十分な薬物が必要な患者に長時間にわたり十分な薬物を提供するか、耐性の発生を補償するか、若しくは該薬物の迅速な代謝を補償する、などのように漸増する放出速度で薬物を送達することが可能な投薬形態物に対する当該技術分野における必要性がなお存在する。乏しく溶解性かつ/若しくは処方することが困難な薬物を包含する薬物の高用量を漸増する放出速度で送達し得る投薬形態物に対する特定の必要性が存在する。
【特許文献1】Lamへの米国特許出願公開第2001/0012847号
【特許文献2】PCT特許出願公開第US 99/11920号(第WO 9/62496号)
【特許文献3】同第US 97/13816号(第WO 98/06380号)
【特許文献4】同第US 97/16599号(第WO 98/14168号)
【特許文献5】米国特許第6,245,357号
【特許文献6】米国特許第4,892,778号
【特許文献7】米国特許第4,940,465号
【特許文献8】米国特許第6,368,626号
【発明の開示】
【0008】
[発明の要約]
従って、長時間にわたり漸増する放出速度で薬物を送達するための新規方法および投薬形態物を提供することにより当該技術分野における前述の必要性を取り扱うことが、本発明の一主目的である。
【0009】
製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなりかつ長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された持続放出投薬形態物が提供され、該投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。好ましい態様において、該持続放出投薬形態物は、該製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5から約8ないし10時間まで、若しくはいくつかの場合にはより長時間提供する。該持続放出投薬形態物は、該製薬学的有効成分が高用量で患者に投与されることが必要とされる場合、または該有効成分が低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度を有する場合でさえ、有効成分を送達するのに有用である。
【0010】
好ましくは、その最大放出速度で該投薬形態物により表される放出速度は、その最小放出速度、典型的には投与若しくは溶解試験の開始後最初の1若しくは2時間に観察される放出速度より最低20%より大きい。典型的には、最大放出速度は、有効成分の約70%が放出されている場合に生じる。他の態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は、該投薬形態物により表される最小放出速度よりも最低40%より大きい。付加的な態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は、該投薬形態物により表される最小放出速度よりも最低60%より大きい。
【0011】
ある態様において、侵食可能な固体は結合剤および崩壊剤をさらに含んでなり、また、それは界面活性剤および浸透物質を包含し得る。好ましい結合剤は、ポリオキシアルキレン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースおよびポリビニルピロリドンなどを包含する。好ましい崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウムなどを包含する。
【0012】
好ましくは、該持続放出投薬形態物は、有効成分の約70%が放出されるまで製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供し、そして、漸増する放出速度の後に放出速度の急速な低下が存在する。好ましくは、該投薬形態物は約12時間以内に有効成分の最低90%を放出する。
【0013】
特定の態様において、侵食可能な固体は、非イオン性若しくはイオン性のいずれかの界面活性剤であり得る界面活性剤をさらに含んでなる。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、ポロキサマー、ポリオキシエチレンエステル、糖エステル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、およびそれらの混合物を包含する。好ましい非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステルおよび糖エステル界面活性剤を包含する。
【0014】
該持続放出投薬形態物は、いかなる薬物装填量でも漸増する放出速度で製薬学的有効成分を送達し得る。好ましくは、侵食可能な固体中の薬物装填量は最低約20重量%、およびより好ましくは最低約40重量%である。
【0015】
特定の態様において、該持続放出投薬形態物は、高用量の有効成分を送達しかつ有効成分の高装填量を提供するように適合される。ある態様において、製薬学的有効成分は最低約60重量パーセントのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在し、そして、一般に、約60パーセントから約95重量パーセントまでの範囲で侵食可能な固体中に存在する。特定の態様において、有効成分は約70パーセントから約90重量パーセントまでのパーセント組成で、若しくは約75パーセントから約85重量パーセントまでの薬物装填量ででさえ侵食可能な固体中に存在する。ある態様において、侵食可能な固体は約5から約15重量パーセントまでの結合剤および崩壊剤を含んでなる。付加的な態様において、侵食可能な固体は約1から約15重量パーセントまでの界面活性剤を含んでなり、かつ、典型的には10ないし15重量パーセント未満の浸透物質もまた含有し得る。
【0016】
ある態様において、該持続放出投薬形態物は、侵食可能な固体中に最低1種の付加的な製薬学的有効成分をさらに含んでなる。製薬学的有効成分は類似の若しくは異なる溶解性を有し得、そして投薬形態物中の各有効成分のそれぞれの重量に比例する速度で投薬形態物から放出される。
【0017】
該持続放出投薬形態物は乏しく溶解性である有効成分の送達に有用である。好ましい一態様において、製薬学的有効成分は、典型的には25℃で約50mg/ml未満の溶解性を有し、かつ、25℃で約10mg/ml未満の溶解性を有しうる。別の好ましい態様において、該持続放出投薬形態物は最低1種の付加的な製薬学的有効成分を含有し、そして有効成分の最低1種が25℃で約50mg/ml未満の溶解性を有する。
【0018】
ある付加的な態様において、該持続放出投薬形態物は、有効用量の最低1種の製薬学的有効成分を含んでなる即時放出薬物コーティングをさらに含み得る。付加的な有効成分が持続放出投薬形態物中に存在する場合、即時放出薬物コーティングもまた該付加的な有効成分を含み得る。即時放出薬物コーティングは有効成分の即時用量を患者に提供するように作用し、また、該持続放出投薬形態物は投薬間隔全体にわたる有効成分の持続放出を提供してそれによりそれの必要な患者に治療上有効な用量の有効成分を提供する。
【0019】
付加的な態様において、該持続放出投薬形態物は:(1)空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスをその中に包含する半透性壁;(2)空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置された、治療上有効な量の製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる薬物層;(3)空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置される押し置換層;(4)半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層を含んでなり;そして製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。該薬物層は侵食可能な組成物として使用の環境に露出される。より好ましくは、該投薬形態物は、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5から約8時間まで、若しくは10時間またはそれ以上提供する。好ましい態様において、漸増する放出速度の後に、該投薬形態物は放出速度の急速な低下を表す。好ましくは、該投薬形態物は約12時間以内に有効成分の最低90%を放出する。
【0020】
好ましくは、投薬形態物は有効成分の約70パ―セントが放出されるまで製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供する。典型的には、最小放出速度は、有効成分の約10ないし20%未満が放出された場合に該投薬形態物により表される。特定の態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は最小放出速度より最低20%より大きい。付加的な態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は最小放出速度より最低
40%より大きい。なお他の態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は、該投薬形態物により表される最小放出速度より最低60%より大きい。
【0021】
該持続放出投薬形態物は、製薬学的有効成分が高用量で患者に投与されることが必要とされる場合、または有効成分が低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度を有する場合でさえ、有効成分を送達するのに有用である。
【0022】
特定の態様において、薬物層は結合剤、崩壊剤若しくはそれらの混合物をさらに含んでなり、また、ある他の態様において、薬物層は界面活性剤および/若しくは浸透物質をさらに含んでなる。界面活性剤は非イオン性若しくはイオン性界面活性剤であり得る。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、ポロキサマー、ポリオキシエチレンエステル、糖エステル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、およびそれらの混合物を包含する。好ましい非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステルおよび糖エステル界面活性剤を包含する。
【0023】
該持続放出投薬形態物は、いかなる薬物装填量でも漸増する放出速度で製薬学的有効成分を送達し得る。好ましくは、薬物層は最低約20重量%の有効成分、およびより好ましくは最低約40重量%の有効成分を含有する。特定の態様において、該持続放出投薬形態物は、高用量の有効成分を送達しかつ有効成分の高装填量を提供するように適合される。ある態様において、製薬学的有効成分は最低60重量パーセントのパーセント組成で薬物層中に存在し、そして、一般に、約60パーセントから約95重量パーセントまでの範囲で薬物層中に存在する。特定の態様において、有効成分は約70パーセントから約90重量パーセントまでのパーセント組成で、若しくは約75パーセントから約85重量パーセントまでの薬物装填量ででさえ薬物層中に存在する。
【0024】
ある態様において、該持続放出投薬形態物は薬物層中に最低1種の付加的な製薬学的有効成分をさらに含んでなる。該製薬学的有効成分は同様の若しくは異なる溶解性を有し得る。加えて、該製薬学的有効成分は相互に比例する速度で投薬形態物から放出され得る。
【0025】
ある付加的な態様において、該持続放出投薬形態物は、有効用量の最低1種の製薬学的有効成分を含んでなる即時放出薬物コーティングをさらに含み得、そして、付加的な有効成分が持続放出投薬形態物中に存在する場合、即時放出薬物コーティングもまた付加的な有効成分を含み得る。即時放出薬物コーティングは有効成分の即時用量を患者に提供するように作用し、また、該持続放出投薬形態物は投薬間隔全体にわたる有効成分の持続放出を提供してそれによりそれの必要な患者に治療上有効な用量の有効成分を提供する。
【0026】
製薬学的有効成分はいかなる水溶解性も有し得る。該持続放出投薬形態物は乏しく溶解性である製薬学的有効成分を送達するのにとりわけ有用である。一般に、乏しく溶解性の有効成分は、25℃で約50mg/ml未満の溶解性を有し、かつ、25℃で約10mg/ml未満の溶解性を有しうる。製薬学的有効成分はいかなる製薬学的有効成分でもあり得、そして、好ましい態様においては、非オピオイド鎮痛薬、抗生物質、抗てんかん薬若しくはそれらの組合せから選択される。特定の態様において、最低1種の付加的な製薬学的有効成分が投薬形態物中に包含され、そして、オピオイド鎮痛薬、胃保護薬、5−HTアゴニスト若しくは他の有効成分から選択され得る。
【0027】
該持続放出投薬形態物は、増大する用量の製薬学的有効成分のそれの必要な患者への持続放出の提供方法で使用し得る。該持続放出投薬形態物は、処置の必要な患者に経口投与し、そして、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなり、かつ、該製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。
【0028】
特定の態様において、有効成分が高投薬量、低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度での患者への投与を特徴とする、治療上有効な用量の製薬学的有効成分の持続放出の提供方法が提供される。
【0029】
付加的な態様において、少なくとも部分的に半透性の壁により規定される空洞内に含有されかつそれに隣接して配置された出口手段を有する薬物層中に存在する治療上有効な量の製薬学的有効成分、使用の水性環境に置かれる場合に空洞からの組成物の持続放出を提供する出口手段から遠位に空洞内に配置された押し置換層、および半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間に配置された流動促進層を含んでなる組成物を経口投与することを含んでなる、それの必要な患者への治療上有効な用量の製薬学的有効成分の提供方法が提供され、該投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。該方法は、さらに、少なくとも部分的に半透性の壁の外側表面に配置された治療上有効な量の即時放出治療組成物を含んでなる持続放出投薬形態物上の薬物コーティングを利用することを含み得る。該治療組成物は、好ましくは、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5時間から約8時まで若しくはより長く提供する。好ましい態様において、薬物層は約60から約95重量%までの製薬学的有効成分、およびより好ましくは約75から約85重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる。特定の態様において、薬物層は約5から約15重量パーセントまでの結合剤および崩壊剤、ならびに場合によっては約1から約15重量パーセントまでの界面活性剤を含んでなる。
【0030】
付加的な態様において、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる治療組成物を経口投与することを含んでなる、比較的迅速に代謝される製薬学的有効成分の患者の血漿中の有効濃度の提供方法が提供され、該侵食可能な固体は製薬学的有効成分を含んでなり、また、前記治療組成物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。好ましい態様において、該投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約4時間から約8時間まで提供する。
【0031】
該治療組成物は、即時効果の必要な患者において即時効果を提供するのに十分な治療上有効な量の製薬学的有効成分を含んでなる、薬物コーティングをさらに含み得る。特定の態様において、治療組成物は、患者において製薬学的有効成分の実質的に0次の血漿プロファイルを提供する。付加的な態様において、治療組成物は、患者において該製薬学的有効成分の漸増する血漿プロファイルを提供する。ある他の態様において、治療組成物は、患者において該製薬学的有効成分の減少する血漿プロファイルを提供する。好ましい一態様において、該投薬形態物は、患者の血漿中で治療上有効な量の製薬学的有効成分を提供する即時放出薬物コーティングを含んでなり、そして、該治療組成物により提供される漸増する放出速度は、患者の血漿中の製薬学的有効成分の濃度を、長時間治療範囲に維持する。
【0032】
なお他の態様において、薬物層に含有される、それに対する耐性が比較的迅速に発生する製薬学的有効成分の有効用量、浸透圧押し層、少なくとも部分的に半透性の壁、および該投薬形態物から治療組成物を送達するための該壁中の出口手段、ならびに半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の外表面との間に配置される流動促進層を含んでなる治療組成物を経口投与することを含んでなる、患者においてそれに対する耐性が比較的迅速に発
生する製薬学的有効成分の有効用量の提供方法が提供され、前記薬物層および押し組成物は少なくとも部分的に半透性の壁により囲まれ、該薬物層は侵食可能な組成物として使用の環境に露出され、そしてさらに、前記投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供して、それにより患者の血漿中での製薬学的有効成分の増大する濃度を提供する。
【0033】
好ましい一態様において、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された非オピオイド鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる治療組成物を含んでなる投薬形態物を経口投与することを含んでなる、疼痛の処置の必要なヒト患者における疼痛の処置方法が提供され、非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬は相互に比例した速度で放出され、また、該治療組成物は非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。
【0034】
本発明の付加的な目的、利点および新規特徴は、後に続く記述に部分的に示されることができ、また、以下の検査に際して当業者に部分的に明らかになることができるか、若しくは本発明の実施により学習されうる。
【0035】
[発明の詳細な記述]
定義および概要
本発明を詳細に記述する前に、別の方法で示されない限り本発明は特定の製薬学的剤、賦形剤、ポリマー、塩などに制限されないことが理解されるべきである。こうしたものは変動しうるためである。本明細書で使用される専門用語は、特定の態様を記述する目的上のみであり、そして本発明の範囲を制限することを意図していないこともまた理解されるべきである。
【0036】
本明細書および請求の範囲で使用されるところの単数形「ある(a)」、「および」および「該(the)」は、文脈が別の方法で明瞭に指図しない限り複数の指示対象を包含することに注意しなくてはならない。従って、例えば、「ある担体(a carrier)」への言及は2種(個)若しくはそれ以上の担体を包含し;「ある製薬学的剤(a pharmaceutical agent)」への言及は2種若しくはそれ以上の製薬学的剤を包含する、などである。
【0037】
値の範囲が提供される場合、文脈が別の方法で明瞭に指図しない限り、その範囲の上限と下限の間の下限の単位の1/10までの各介在する値、およびその述べられた範囲のいかなる他の述べられた若しくは介在する値も、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限はより小さい範囲に独立に包含されることができ、そして、述べられた範囲のいずれかのとりわけ除外される限界に従って本発明内にもまた包含されうる。述べられた範囲が限界の一方若しくは双方を包含する場合、それらの包含される限界のいずれか若しくは双方を除外する範囲もまた本発明に包含される。
【0038】
本明細書の明確さおよび便宜性のため、薬物投与若しくは溶解試験の開始の時間をゼロ時間(t=0時間)、および適切な時間単位の投与後の時間、例えばt=30分若しくはt=2時間などとして呼称する規約を利用する。
【0039】
本明細書で使用されるところの「有効成分」という用語は製薬学的有効成分すなわち薬物を指し、そしてこれらの用語は互換性に使用されうる。
【0040】
本明細書で使用されるところの「漸増する血漿プロファイル」という句は、直に先行する時間間隔にわたり患者の血漿中に存在する薬物の量に関して最低2個の連続した時間間隔にわたる患者の血漿中の特定の薬物の量の増大を指す。一般に、漸増する血漿プロファ
イルは、漸増するプロファイルを表す時間間隔にわたり最低約10%だけ増大することができる。
【0041】
本明細書で使用されるところの「漸増放出速度」という句は、薬物が、投薬形態物が該薬物の最低約70%を枯渇するまで一定に留まるか若しくは減少するよりはむしろ時間とともに全般として増大する速度で使用の環境の液体に溶解するような、長時間に全般として増大する溶解速度を指す。
【0042】
本明細書で使用されるところの「AUC」という用語は、台形公式およびClast/k(ここでClastは最後に観察される濃度でありかつkは計算された排泄速度定数である)を使用して計算される、濃度時間曲線下面積を指す。
【0043】
本明細書で使用されるところの「AUCt」という用語は、台形公式を使用して計算される、最後に観察された濃度までの濃度時間曲線下面積を指す。
【0044】
本明細書で使用されるところの「Cmax」という用語は、本発明の組成物若しくは4時間ごとの比較対象(comparator)(NORCO(R))の経口摂取により生じられるそれぞれng/mLおよびμg/mLとして表されるTmaxでのヒドロコドンおよび/若しくはアセトアミノフェンの血漿濃度を指す。とくに示されない限り、Cmaxは全体的な最大の観察された濃度を指す。
【0045】
「送達する」および「送達」という用語は投薬形態物からの製薬学的剤の分離を指し、ここで製薬学的剤は使用の環境の液体に溶解することが可能である。
【0046】
「投薬形態物」により、製薬学的有効成分若しくはその製薬学的に許容できる酸付加塩を含んでなる製薬学的組成物若しくは装置を意味しており、該組成物若しくは装置は、場合によっては、薬理学的に不活性の成分、すなわち、活性の製薬学的剤を製造および送達するのに使用されるポリマー、懸濁化剤、界面活性剤、崩壊剤、溶解調節成分、結合剤、希釈剤、滑沢剤、安定剤、抗酸化剤、浸透物質、着色剤、可塑剤、コーティングなどのような製薬学的に許容できる賦形剤を含有する。
【0047】
本明細書で使用されるところの「高投薬量」という用語は、患者に高用量で投与される有効成分を指す。典型的には、高用量は1日あたり最低100mgであり、そして1日あたり10,000mg若しくはそれ以上までであり得る。
【0048】
本明細書で使用されるところの「即時放出」という用語は、投与若しくは溶解試験の開始後短い時間内、すなわち一般に数分ないし約1時間以内の薬物の実質的に完全な放出を指す。
【0049】
本明細書で使用されるところの「in vivo/in vitro相関」という句は、投薬形態物からの薬物のin vitro放出速度を測定するアッセイにより示されるところの投薬形態物からの薬物の放出と、経口投与された後の投薬形態物中の残余の薬物のアッセイにより示されるところのin vivoでの投薬形態物からの薬物の送達の間の対応を指す。
【0050】
本明細書で使用されるところの「低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度」という句は、約50mg/ml未満、および好ましくは約10mg/ml未満の溶解性を有し、かつ、約50mg/ml以上の溶解性を有する有効成分に関してゆっくりと溶解する有効成分を指す。
【0051】
さらに明記されない限り、本明細書で使用されるところの「患者」という用語は、疾患若しくは障害のための処置の必要な個々の患者および/若しくは患者の集団を意味している。
【0052】
本明細書で互換性に使用される「製薬学的に許容できる酸付加塩」若しくは「製薬学的に許容され得る塩」により、陰イオンが塩の毒性若しくは薬理学的活性に有意に寄与せず、そして、であるからそれらが塩基の形態の有効成分の薬理学的同等物である塩を意味している。塩形成の目的上有用である製薬学的に許容できる酸の例は、限定されるものでないが、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸およびマンデル酸を挙げることができる。製薬学的に許容され得る塩は、さらに、ムチン酸塩、N−オキシド、硫酸塩、酢酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、酢酸塩三水和物、二(ヘプタフルオロ酪酸塩)、二(メチルカルバミン酸塩)、二(ペンタフルオロプロピオン酸塩)、二(ピリジン−3−カルボン酸塩)、二(トリフルオロ酢酸塩)、重酒石酸塩、塩酸塩および硫酸塩五水和物、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重酒石酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシラート(edisylate)、エストレート(estolate)、エシラート(esylate)、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、アルサニル酸グリコリル(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩(subacetate)、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トリエチオジド、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、およびプロカイン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、プロピオン酸ナトリウム、亜鉛などを包含する。
【0053】
本明細書で使用されるところの「比例した」(投薬形態物からの非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬の放出速度若しくは送達を指す場合)という用語は、2種の鎮痛薬の相互に関しての放出若しくは放出の速度を指し、放出される量は投薬形態物中の各鎮痛薬の総量に対し正規化される。すなわち、放出される量は投薬形態物中に存在する各鎮痛薬の総量のパーセントとして表される。一般に、投薬形態物からの非オピオイド鎮痛薬若しくはオピオイド鎮痛薬の比例した放出速度は、各薬物の相対放出速度(放出パーセントとして表される)若しくは放出された量(該投薬形態物中に存在する総量のパーセントとしての累積放出として表される)が、他の薬物の放出速度若しくは放出された量の約20%以内、より好ましくは約10%以内、および最も好ましくは約5%以内であることを意味している。言い換えれば、いずれかの時点で、一方の剤の放出速度(投薬形態物中に存在するその総量のパーセントとして述べられる)は、同一時点での他方の剤の放出速度の約20%以上、より好ましくは約10%以上、および最も好ましくは約5%以上逸脱しない。
【0054】
薬物「放出速度」は、単位時間あたりに投薬形態物から放出される薬物の量、例えば1時間あたりに放出される薬物のミリグラム(mg/hr)を指す。薬物投薬形態物の薬物放出速度は、典型的にはin vitro溶解速度、すなわち適切な条件下および適する液体中で測定される単位時間あたりに投薬形態物から放出される薬物の量として測定される。例えば、溶解試験は、米国薬局方VII型浴指示計(bath indexer)に取付けた金属製コイルサンプルホルダーに入れかつ37℃の恒温水浴中で平衡化した約50mlの酸性化した水(pH=3)に浸積した投薬形態物で実施し得る。放出速度溶液の
アリコートを試験して、投薬形態物から放出された薬物の量を測定する。例えば、薬物をアッセイ若しくはクロマトグラフィー装置に注入して、試験間隔の間に放出された薬物の量を定量し得る。
【0055】
別の方法で明記されない限り、投与後の指定された時間で得られる薬物放出速度は、適切な溶解試験の実施後の指定された時間で得られるin vitro薬物放出速度を指す。投薬形態物内の薬物の指定されたパーセントが放出された時間を「Tx」値として参照することができ、ここで「x」は放出された薬物のパーセントである。例えば、投薬形態物からの薬物放出を評価するための一般に使用される参照測定値は、投薬形態物内の薬物の90%が放出された時間である。この測定値は該投薬形態物の「T90」と称される。
【0056】
本明細書で使用されるところの「持続放出」という用語は、何時間にもわたる投薬形態物からの薬物の放出を指す。一般に、持続放出は、投薬形態物を投与された患者の血液(例えば血漿)濃度が、約12時間にわたって治療範囲内、すなわち最小有効鎮痛濃度より上しかし毒性レベルより下に維持されるような速度で起こる。
【0057】
本明細書で使用されるところの「Tmax」という用語は、ヒドロコドンおよび/若しくはアセトアミノフェンの血漿濃度が最大血漿濃度に到達する、投薬形態物の投与後に経過する時間を指す。
【0058】
本明細書で使用されるところの「0次血漿プロファイル」という句は、特定の時間間隔にわたる患者の血漿中の特定の薬物の実質的に平坦なすなわち変化しない量を指す。一般に、0次血漿プロファイルは、1つの時間間隔からその後の時間間隔まで約30%を超えない、および好ましくは1つの時間間隔から次のものまでで約10%を超えないだけ変動することができ、そして、放出時間全体にわたって、実質的に一定の放出速度および放出速度対時間の平坦な曲線を示すことができる。
【0059】
本明細書で使用されるところの「0次放出速度」という句は、薬物が実質的に一定の速度で使用の環境で液体に溶解するような、実質的に一定の放出速度を指す。0次放出速度は、平均放出速度から約30%と同じくらい多いだけ、および好ましくは約10%を超えないだけ変動し得る。
【0060】
当業者は、特定の薬物の治療的レベルは、個々の患者の変動性、腎および肝機能のような健康状態、身体活動、耐性の発生、チトクロームP450の阻害若しくは代替の形態の存在、および障害若しくは疾患の性質を包含する多くの要因に従って変動するであろうことを理解するであろう。
【0061】
本発明の持続放出投薬形態物が、以前に達成されなかった新規利点を提供することが、驚くべきことに発見された。該持続放出製剤は、驚くべきことに、該投薬形態物からの製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。該持続放出投薬形態物は、漸増する放出速度での有効成分の放出を提供して、患者における血漿濃度を平行する血漿濃度、若しくは1種の剤が他の有効成分より遅い速度で代謝される場合に起こるであろうような異なる血漿濃度のいずれかに調整する独特の能力を提供する。有効成分は比例した放出速度で投薬形態物から放出され得る。有効成分は、それらの不活性化若しくは排泄速度が同様であり従って平行な血漿プロファイルを提供するように、または、それらの不活性化若しくは排泄速度が異なり従って分岐する血漿プロファイルを提供するように選ぶことができる。
【0062】
加えて、特定の有効成分に対する耐性すなわち脱感作が生じる場合には、漸増する放出速度は有効成分の有効な治療的レベルの維持における困難を克服する手段を提供する。従
って、耐性の発生による有効性のいかなる低下についても、増大する血漿濃度が、患者中の標的受容体が該有効成分に対しより少なく感受性になっている環境下でさえ、該有効成分のいかなる低下された有効性についても補償する手段を提供する。
【0063】
さらに、開示される製剤は、比較的不溶性の有効成分の高装填量を提供し得、そしてさらに、類似の若しくは極めて異なる溶解性を有する付加的な有効成分との可能な相乗的若しくは治療的組合せを提供し得る。該投薬形態物は、双方の有効成分(例えばヒドロコドンおよびアセトアミノフェン若しくはイブプロフェン)の物理特性(例えばそれらの溶解性)が相互と顕著に異なったとしても、該有効成分の比例した送達を表し得る。該製剤は、有効濃度の有効成分を比較的迅速に提供しかつ状態若しくは障害を処置するのに十分な有効成分のレベルを約12時間まで維持するための持続放出をさらに提供するような様式で、ヒト患者に投与し得る。
【0064】
提供される放出プロファイルは、1時間以内に放出される量が使用の環境に即時に放出されることを意図している量と緊密に似ている一方、持続放出プロファイルで放出される量が長時間にわたって放出されることを意図している量と似ているため、該投薬形態物の薬物コーティング(あれば)および持続放出部分中の有効成分の量と該投薬形態物からのそれらの放出プロファイルとの間の緊密な類似を示す。例えば、図5Aは好ましい一態様の溶解プロファイルを示し、そして、ヒドロコドン重酒石酸塩が溶解試験の最初の1時間におよそ5mg/hrの速度で放出され、それは即時放出薬物コーティングに組み込まれかつ投与の最初の1時間以内に放出されることを意図している量に緊密に似ていることを示す。図5Cは、アセトアミノフェンが溶解試験の最初の1時間におよそ163mg/hrの速度で放出され、それは即時放出薬物コーティングに組み込まれかつ投与の最初の1時間以内に放出されることを意図している量に緊密に似ていることを示す。図5Bおよび5Dは、有効成分の本質的に完全な放出が溶解試験の時間にわたり発生したことを示す。
【0065】
該製剤は、1種以上の有効成分が存在する場合に有効成分の相互に関して比例する放出もまた示す。例えば、下の実施例4の表3および4に示されるとおり、8時間製剤からの累積アセトアミノフェン放出は、溶解試験後2、4および7時間にそれぞれ42%、57%および89%である。同一製剤からの累積ヒドロコドン重酒石酸塩放出は、同一時点で42%、61%および95%である。従って、本製剤は、相互の0%、4%および6%以内であるアセトアミノフェンおよびヒドロコドンの比例した放出を表す。しかしながら、いくつかの目的上、すなわち特定の所望のin vitro放出プロファイル若しくは特定の血漿プロファイルを達成するため、比例しない放出プロファイルを企図している。
【0066】
界面活性剤の存在を伴わずに段階的に増大する放出速度を表す制御放出投薬形態物は、2003年8月22日出願の同時継続中の同一出願人による特許出願整理番号第ALZ5054号すなわち米国第60/497,162号に記述されている。これらの投薬形態物は、部分的に、放出して該投薬形態物からの段階的な若しくは漸増する放出速度を連続して生じさせる2薬物層組成物を特徴とする。「漸増する」放出速度は、第一の放出速度が第二の放出速度より小さく、かつ、各放出速度が送達のその時間にわたり実質的に均一である、第一の時間の第一の放出速度、次いで第二の時間の第二の放出速度と定義される。
【0067】
対照的に、漸増する薬物放出速度を長時間表す経口の浸透圧投薬形態物が、一定の薬物濃度の単一の薬物層、および単一の浸透圧押し組成物を使用して達成され得ることが、驚くべきことに発見された。孔形成体を含んでなる内壁若しくは第二の薬物層のような付加的な成分は、該薬物組成物が患者に送達される際の薬物放出速度を増大させるために必要とされない。米国特許第6,368,626号明細書に一般的に記述されるものに類似の技術を使用して製造される製剤が、より短い時間にわたり薬物を送達するように適合される場合、すなわち投薬形態物が約12時間未満で有効成分の送達を提供する場合に漸増す
る放出プロファイルを提供することもまた、驚くべきことに発見された。この発見は、長時間にわたり有効成分の均一な放出速度を提供する高薬物装填量の投薬形態物の以前の開発の進歩である。
【0068】
該投薬形態物は、長時間、好ましくは4時間若しくはそれ以上にわたり漸増する放出速度で有効成分を放出するように適合されている。放出速度の測定は、胃液中の状態の模擬を提供するために酸性化した水中でin vitroで典型的に行い、また、即時放出速度の近似を提供するために有限の増加する時間にわたり行う。特定の投薬形態物に関してのこうしたin vitro放出速度の情報を、所望のin vivoの結果を提供するであろう投薬形態物の選択において補助するために使用しうる。こうした結果は、利用可能な即時放出投薬形態物を処方するために実施者により利用される血漿アッセイおよび臨床観察のような現在の方法により決定しうる。
【0069】
漸増する放出速度プロファイルを有する投薬形態物が、該投薬形態物の投与後長時間にわたり、有効成分の実質的に一定の血漿濃度および持続的な治療効果を患者に提供し得ることが見出された。該持続放出投薬形態物は、被験体への投与後すぐに若しくは直後に薬物濃度の有意なピークを特徴的に創製する即時放出製剤が示すよりも、投与される場合に12ないし24時間にわたって薬物血漿濃度のより少ない変動性を示し得る。漸増する放出速度は、有効成分の代謝若しくは排泄の速度に依存して、または患者自身の医学的状態(腎および肝機能)に依存して、0次、漸増する若しくは減少する血漿プロファイルを患者に提供し得る。
【0070】
製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合された持続放出投薬形態物が提供され、該投薬形態物は、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。好ましい態様において、該持続放出投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5から約8ないし10時間まで、若しくはいくつかの場合にはより長時間提供する。該持続放出投薬形態物は、製薬学的有効成分が患者に高用量で投与されることが必要とされる場合、または有効成分が低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度を有する場合でさえ、有効成分を送達するのに有用である。
【0071】
好ましくは、該投薬形態物によりその最大放出速度で表される放出速度は、その最小放出速度、典型的には投与若しくは溶解試験の開始後最初の1若しくは2時間に観察される放出速度より最低20%より大きい。典型的には、最大放出速度は有効成分の約70%が放出される場合に生じる。他の態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は、該投薬形態物により表される最小放出速度より最低40%より大きい。付加的な態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は、該投薬形態物により表される最小放出速度より最低60%より大きい。
【0072】
ある態様において、侵食可能な固体は結合剤および崩壊剤をさらに含んでなり、また、それは界面活性剤および浸透物質を包含し得る。好ましい結合剤は、ポリオキシアルキレン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースおよびポリビニルピロリドンなどを包含する。好ましい崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウムなどを包含する。
【0073】
好ましくは、該持続放出投薬形態物は、有効成分の約70%が放出されるまで製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供し、そして、漸増する放出速度の後は放出速度の急速な低下が存在する。好ましくは、該投薬形態物は約12時間以内に有効成分の最低90%を放出する。
【0074】
特定の態様において、侵食可能な固体は、非イオン性若しくはイオン性のいずれかの界面活性剤であり得る界面活性剤をさらに含んでなる。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、ポロキサマー、ポリオキシエチレンエステル、糖エステル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、およびそれらの混合物を包含する。好ましい非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステルおよび糖エステル界面活性剤を包含する。
【0075】
持続放出投薬形態物は、約20ないし約95重量%の侵食可能な固体中の薬物装填量のようないかなる薬物装填量の漸増する放出速度も提供し得る。特定の態様において、持続放出投薬形態物は、高用量の有効成分を送達しかつ有効成分の高装填量を提供するように適合されている。ある態様において、製薬学的有効成分は最低60重量パーセントのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在し、そして、一般に、約60パーセントから約95重量パーセントまでの範囲で侵食可能な固体中に存在する。特定の態様において、有効成分は約70パーセントから約90重量パーセントまでのパーセント組成で、若しくは約75パーセントから約85重量パーセントまでの薬物装填量ででさえ、侵食可能な固体中に存在する。ある態様において、侵食可能な固体は、約5から約15重量パーセントまでの結合剤および崩壊剤を含んでなる。付加的な態様において、侵食可能な固体は約1から約15重量パーセントまでの界面活性剤を含んでなり、また、典型的には10〜15重量パーセント未満の浸透物質もまた含有し得る。
【0076】
ある態様において、該持続放出投薬形態物は、侵食可能な固体中に最低1種の付加的な製薬学的有効成分をさらに含んでなる。該製薬学的有効成分は乏しく溶解性であり得、類似若しくは異なる溶解性を有し得、そして相互に比例し得る速度で投薬形態物から放出される。製薬学的有効成分は、典型的には25℃で約50mg/ml未満の溶解性を有し、そして、25℃で約10mg/ml未満の溶解性を有しうる。
【0077】
ある付加的な態様において、該持続放出投薬形態物は、有効用量の最低1種の製薬学的有効成分を含んでなる即時放出薬物コーティングをさらに含み得、また、付加的な有効成分が持続放出投薬形態物中に存在する場合は、該即時放出薬物コーティングもまた該付加的な有効成分を含み得る。該即時放出薬物コーティングは有効成分の即時用量を患者に提供するように作用し、また、該持続放出投薬形態物は投薬間隔全体にわたる有効成分の持続放出を提供してそれによりそれの必要な患者に治療上有効な用量の有効成分を提供する。
【0078】
付加的な態様において、該持続放出投薬形態物は:(1)空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスをその中に包含する半透性壁;(2)空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置された、治療上有効な量の製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる薬物層;(3)空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置される押し置換層;(4)半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層を含んでなり;そして製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。該薬物層は侵食可能な組成物として使用の環境に露出される。より好ましくは、該投薬形態物は、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5から約8時間まで、若しくは10時間またはそれ以上提供する。好ましい態様において、漸増する放出速度の後に、該投薬形態物は放出速度の急速な低下を表す。好ましく
は、該投薬形態物は約12時間以内に有効成分の最低90%を放出する。
【0079】
好ましくは、該投薬形態物は、有効成分の約70パ―セントが放出されるまで製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供する。典型的には、最小放出速度は、有効成分の約10〜20%未満が放出される場合に該投薬形態物により表される。特定の態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は最小放出速度より最低20%より大きい。付加的な態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は最小放出速度より最低40%より大きい。なお他の態様において、該投薬形態物により表される最大放出速度は、該投薬形態物により表される最小放出速度より最低60%より大きい。
【0080】
該持続放出投薬形態物は、製薬学的有効成分が高用量で患者に投与されることが必要とされる場合、または有効成分が低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度を有する場合でさえ、有効成分を送達するのに有用である。
【0081】
特定の態様において、薬物層は結合剤、崩壊剤若しくはそれらの混合物をさらに含んでなり、また、ある他の態様において、薬物層は界面活性剤および/若しくは浸透物質をさらに含んでなる。界面活性剤は非イオン性若しくはイオン性界面活性剤であり得る。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、ポロキサマー、ポリオキシエチレンエステル、糖エステル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、およびそれらの混合物を包含する。好ましい非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステルおよび糖エステル界面活性剤を包含する。
【0082】
特定の態様において、該持続放出投薬形態物は、高用量の有効成分を送達しかつ有効成分の高装填量を提供するように適合されている。ある態様において、製薬学的有効成分は最低60重量パーセントのパーセント組成で薬物層中に存在し、そして、一般に、約60パーセントから約95重量パーセントまでの範囲で薬物層中に存在する。特定の態様において、有効成分は約70パーセントから約90重量パーセントまでのパーセント組成で、若しくは約75パーセントから約85重量パーセントまでの薬物装填量ででさえ薬物層中に存在する。
【0083】
ある態様において、該持続放出投薬形態物は、薬物層中に最低1種の付加的な製薬学的有効成分をさらに含んでなる。製薬学的有効成分は類似の若しくは異なる溶解性を有し得、そして、該投薬形態物中の各有効成分のそれぞれの重量に比例する速度で該投薬形態物から放出される。比例しない放出速度が望ましい場合、薬物層は各有効成分の濃度が各層中で独立に変動するように複数の層に形成し得る。これゆえに、漸増する放出速度は、全体の放出速度が漸増しているとしても、1種の有効成分の増大する放出速度および付加的な有効成分の減少する放出速度をもたらし得る。
【0084】
ある付加的な態様において、該持続放出投薬形態物は、有効用量の最低1種の製薬学的有効成分を含んでなる即時放出薬物コーティングをさらに含み得、そして、付加的な有効成分が持続放出投薬形態物中に存在する場合は、該即時放出薬物コーティングもまた付加的な有効成分を含み得る。該即時放出薬物コーティングは有効成分の即時用量を患者に提供するように作用し、また、該持続放出投薬形態物は投薬間隔全体にわたる有効成分の持続放出を提供して、それによりそれの必要な患者に治療上有効な用量の有効成分を提供する。
【0085】
製薬学的有効成分はいかなる溶解性でもあり得る。一般に、有効成分が乏しく溶解性である場合、該有効成分は25℃で約50mg/ml未満の溶解性を有し、そして25℃で約10mg/ml未満の溶解性を有しうる。製薬学的有効成分はいかなる製薬学的有効成分でもあり得、そして、好ましい態様においては非オピオイド鎮痛薬、抗生物質、抗てんかん薬若しくはそれらの組合せから選択される。特定の態様において、最低1種の付加的な製薬学的有効成分が投薬形態物に包含され、そして、オピオイド鎮痛薬、胃保護薬、5−HTアゴニスト若しくは他の有効成分から選択され得る。
【0086】
持続放出投薬形態物は、それの必要な患者への増大する用量の製薬学的有効成分の持続放出の提供方法において使用し得る。該持続放出投薬形態物は処置の必要な患者に経口投与され、そして、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなり、かつ、該製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。
【0087】
特定の態様において、有効成分が高投薬量、低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度での患者への投与を特徴とする、治療上有効な用量の製薬学的有効成分の持続放出の提供方法が提供される。
【0088】
付加的な態様において、少なくとも部分的に半透性の壁により規定される空洞内に含有されかつそれに隣接して配置された出口手段を有する薬物層中に存在する治療上有効な量の製薬学的有効成分、使用の水性環境に置かれる場合に空洞からの組成物の持続放出を提供する出口手段から遠位に空洞内に配置された押し置換層、および半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間に配置された流動促進層を含んでなる組成物を経口投与することを含んでなる、それの必要な患者への治療上有効な用量の製薬学的有効成分の提供方法が提供され、該投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。該方法は、さらに、少なくとも部分的に半透性の壁の外側表面に配置された治療上有効な量の即時放出治療組成物を含んでなる持続放出投薬形態物上の薬物コーティングを利用することを含み得る。該治療組成物は、好ましくは、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5時間から約8時間まで若しくはより長く提供する。好ましい態様において、薬物層は約60から約95重量%までの製薬学的有効成分、およびより好ましくは約75から約85重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる。特定の態様において、薬物層は約5から約15重量パーセントまでの結合剤および崩壊剤、ならびに場合によっては約1から約15重量パーセントまでの界面活性剤を含んでなる。
【0089】
付加的な態様において、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる治療組成物を経口投与することを含んでなる、比較的迅速に代謝される製薬学的有効成分の患者の血漿中での有効濃度の提供方法が提供され、該侵食可能な固体は製薬学的有効成分を含んでなり、また、前記治療組成物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。好ましい態様において、該投薬形態物は、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約4時間から約8時間まで提供する。
【0090】
該治療組成物は、即時効果の必要な患者において即時効果を提供するのに十分な治療上有効な量の製薬学的有効成分を含んでなる薬物コーティング(「即時放出薬物コーティング」)をさらに含み得る。特定の態様において、治療組成物は、患者において製薬学的有効成分の実質的に0次の血漿プロファイルを提供する。付加的な態様において、治療組成物は、患者において該製薬学的有効成分の漸増する血漿プロファイルを提供する。ある他の態様において、治療組成物は、患者において該製薬学的有効成分の減少する血漿プロファイルを提供する。好ましい一態様において、該投薬形態物は、患者の血漿中での治療上
有効な量の製薬学的有効成分を提供する即時放出薬物コーティングを含んでなり、そして、該治療組成物により提供される漸増する放出速度が、患者の血漿中の製薬学的有効成分の濃度を長時間治療範囲に維持する。
【0091】
なお他の態様において、薬物層に含有される、それに対する耐性が比較的迅速に発生する製薬学的有効成分の有効用量、浸透圧押し層、少なくとも部分的に半透性の壁、および該投薬形態物から治療組成物を送達するための該壁中の出口手段、ならびに半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の外表面との間に配置される流動促進層を含んでなる治療組成物を経口投与することを含んでなる、患者においてそれに対する耐性が比較的迅速に発生する製薬学的有効成分の有効用量の提供方法が提供され、前記薬物層および押し組成物は少なくとも部分的に半透性の壁により囲まれ、該薬物層は侵食可能な組成物として使用の環境に露出され、そしてさらに、前記投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供してそれにより患者の血漿中での製薬学的有効成分の増大する濃度を提供する。
【0092】
好ましい一態様において、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された非オピオイド鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる治療組成物を含んでなる投薬形態物を経口投与することを含んでなる、疼痛の処置の必要なヒト患者における疼痛の処置方法が提供され、前記治療組成物は非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬の漸増する放出速度を最低約4時間提供する。好ましい一態様において、非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬はそれぞれに比例する速度で放出される。
【0093】
該投薬形態物の態様およびそれらの使用方法をさらに詳細に下述する。
【0094】
有効成分の即時放出のための薬物コーティング
薬物コーティング製剤が場合によっては本明細書に記述される投薬形態物中に包含され得、そして、持続放出成分により提供される有効成分の持続放出と一緒に、有効成分の即時放出を提供する。当該技術分野で既知のいかなる薬物コーティング製剤も、本明細書に記述される発明の投薬形態物とともに使用し得、また、溶解性にしろ不溶性にしろいかなる製薬学的剤若しくは剤の組合せも、およびいかなる薬物装填量でも包含し得る。好ましい薬物コーティング製剤は、2003年9月26日付の代理人整理番号第ARC 3363 P1号として出願された同時係属中の共通に所有される特許出願第60/506,195号明細書(そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されている。
【0095】
ある種の好ましい薬物コーティングについて、簡潔には、薬物コーティングは水性コーティング製剤から形成し得、そして、最低1種の不溶性薬物および水溶解性薄膜形成剤を包含する。2種若しくはそれ以上の不溶性薬物、または1種若しくはそれ以上の溶解性薬物と組合せの1種若しくはそれ以上の不溶性薬物を薬物コーティング中に包含し得る。好ましい一態様において、薬物コーティングは1種の不溶性薬物および1種の溶解性薬物を包含する。好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される不溶性薬物は非オピオイド鎮痛薬であり、アセトアミノフェンがとりわけ好ましい不溶性薬物である。付加的な好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される溶解性薬物はオピオイド鎮痛薬であり、ヒドロコドン、オキシコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、コデインおよびメサドンがとりわけ好ましい溶解性薬物である。
【0096】
好ましい態様において、薬物コーティングは約85重量%から約97重量%までの不溶性薬物を包含し、約90重量%ないし約93重量%の不溶性薬物の装填量を表すコーティングがとりわけ好ましい。薬物コーティングに包含される溶解性薬物の総量は、好ましくは約0.5重量%から約15重量%までの溶解性薬物の範囲にわたり、そして約1重量%
ないし約3重量%の溶解性薬物を包含する薬物コーティングが最も好ましい。溶解性および不溶性双方の薬物を組み込む薬物コーティングに包含される不溶性薬物の総量は、好ましくは約60重量%から約96.5重量%までの範囲にわたり、約75重量%ないし約89.5重量%の不溶性薬物を包含する薬物コーティングがより好ましく、そして、約89重量%ないし約90重量%の不溶性薬物を包含する薬物コーティングが最も好ましい。薬物コーティングに包含される薬物の総量は約85重量%から約97重量%までの範囲にわたり、そして好ましい態様において、薬物コーティングに包含される薬物の総量は約90重量%から約93重量%までの範囲にわたる。
【0097】
薬物コーティングに包含される薄膜形成剤は水溶解性であり、そして薬物コーティングの約3重量%ないし約15重量%に相当し、約7重量%ないし約10重量%の薄膜形成剤を有する薬物コーティングが好ましい。薬物コーティングに包含される薄膜形成剤は水溶解性であり、そして好ましくは薬物コーティングに包含される不溶性薬物を可溶化するようはたらく。加えて、薄膜形成剤が薬物コーティングに包含される1種若しくはそれ以上の不溶性薬物と固体溶液を形成するような、薬物コーティングに包含される薄膜形成剤を選びうる。薬物コーティングの薬物装填量および薄膜形成の特徴は、該薬物コーティングに包含される1種若しくはそれ以上の不溶性薬物の最低1種と固体溶液を形成する薄膜形成剤を選択することにより高められると考えられる。薄膜形成剤内に分子レベルで溶解される薬物(固体溶液)はまた、薬物コーティングが分解若しくは溶解する際に、薬物が胃腸管中に放出されそして個別の分子として胃腸粘膜組織に提示されるため、より容易に生物学的に利用可能であることも期待される。
【0098】
好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される薄膜形成剤は、薄膜形成ポリマー若しくは最低1種の薄膜形成ポリマーを包含するポリマーブレンドである。薬物コーティングの薄膜形成剤として使用されるポリマー素材は水溶解性である。薬物コーティングの薄膜形成ポリマーとして使用しうる水溶解性ポリマー素材の例は、限定されるものでないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、低分子量HPMC、ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC」)(例えばKlucel(R))、ヒドロキシエチルセルロース(「HEC」)(例えばNatrasol(R))、コポビドン(例えばKollidon(R)VA 64)およびPVA−PEGグラフト共重合体(例えばKollicoat(R)IR)、ならびにそれらの組合せを挙げることができる。薬物コーティングに包含されるべき薬物(1種若しくは複数)とともに単一の薄膜形成ポリマーを使用して達成可能でないとみられる特徴を有する薬物コーティングを達成するために、ポリマーブレンド若しくは混合物を薄膜形成剤として使用しうる。例えば、HPMCおよびコポビドンの配合物は、所望の薬物装填量の特徴を表すのみならずしかし審美的に満足できかつ所望の物理特性を表すコーティングもまた提供する薬物コーティングの形成を可能にする薄膜形成剤を提供する。
【0099】
薬物コーティングは粘度増強剤もまた包含し得る。薬物コーティングは不溶性薬物を包含する水性コーティングであるため、薬物コーティングは典型的には水性懸濁液製剤から被覆される。懸濁液製剤からの実質的に均一な薬物分布をともなう薬物コーティングを提供するために、しかしながら、該懸濁液製剤は、コーティングに包含される不溶性薬物の実質的に均一な分散系を提供すべきである。薬物コーティングに包含される薄膜形成剤および薬物の相対量および性質に依存して、実質的に均一な薬物分散系を提供するのに十分な粘度を表しかつ不溶性薬物の実質的に均一な分布を有する薬物コーティングの製造を助長するコーティング製剤の創製を容易にするように、粘度増強剤を薬物コーティングに包含し得る。薬物コーティングに包含される粘度増強剤は好ましくは水溶解性であり、かつ、薄膜形成剤であり得る。薬物コーティング中で使用しうる粘度増強剤の例は、限定されるものでないがHPC(例えばKlucel(R))、HEC(例えばNatrasol(R))、Polyox(R)水溶解性樹脂製品、およびそれらの組合せを挙げることが
できる。
【0100】
薬物コーティングに包含される粘度増強物質の正確な量は、薬物コーティング中で使用されるべき薄膜形成ポリマーおよび薬物物質の量および型に依存して変動することができる。しかしながら、薬物コーティングに包含される場合、粘度増強剤は典型的に薬物コーティングの5重量%若しくはそれ未満に相当することができる。好ましくは、薬物コーティングは2重量%若しくはそれ未満の粘度増強剤を包含し、また、とりわけ好ましい態様において、薬物コーティングは1重量%若しくはそれ未満の粘度増強剤を包含する。
【0101】
薬物コーティングはまた、薬物コーティングが投与後に崩壊する速度を増大させる崩壊剤も包含し得る。薬物コーティングは典型的に大量の不溶性薬物を包含するため、薬物コーティングは投与後に所望されるほど迅速に分解若しくは崩壊しないことがある。コーティングに包含される崩壊剤は、崩壊剤が水を吸収しかつ膨潤する際にコーティングを構造的に損なうようにはたらく、水で膨潤可能な素材である。薬物コーティング中で使用しうる崩壊剤は、限定されるものでないが、加工デンプン、化学修飾セルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン素材を挙げることができる。薬物コーティング中で使用することができかつ商業的に入手可能である崩壊剤の特定の例は、Ac−Di−Sol(R)、Avicel(R)およびPVP XL−10を包含する。薬物コーティングに包含される場合、崩壊剤は、典型的にはコーティングの約6重量%までに相当し、約0.5重量%から約3重量%までを組み込むコーティングが好ましく、そして約1重量%から約3重量%までを組み込むコーティングがとりわけ好ましい。
【0102】
薬物コーティングはまた、投与後に薬物コーティングが溶解若しくは侵食する速度を増大させるための界面活性剤も包含し得る。界面活性剤は、水性液体に薬物コーティングを横断してより容易に広がらせるすなわち浸透させる「湿潤」剤としてはたらく。薬物コーティング中での使用に適する界面活性剤は好ましくは25℃で固体である。薬物コーティング中で使用しうる界面活性剤の例は、限定されるものでないがPoloxamerおよびPluronic(R)界面活性剤のような界面活性ポリマーを挙げることができる。界面活性剤が薬物コーティングに包含される場合、界面活性剤は、典型的には薬物コーティングの約6重量%までに相当することができ、約0.5重量%ないし約3重量%の界面活性剤を包含する薬物コーティングが好ましく、そして約1重量%ないし約3重量%の界面活性剤を包含する薬物コーティングがとりわけ好ましい。
【0103】
薬物コーティングの一態様において、薄膜形成剤はコポビドンおよびHPMCから形成されるポリマーブレンドを包含する。こうしたポリマーブレンドが薬物コーティングの薄膜形成剤として使用される場合、コポビドンおよびHPMCの量は、所望の物理的および薬物装填量の特徴を有する薬物コーティングを達成するように所望のとおり変動させ得る。しかしながら、薬物コーティングに包含される薄膜剤がコポビドンおよびHPMCの配合物から形成される場合、コポビドンおよびHPMCは、好ましくは約0.6:1ないし約0.7:1のコポビドン対HPLCの重量/重量比で包含され、1:1.5の重量/重量比が最も好ましい。HPMCおよびコポビドンの配合物は、審美的に満足できかつさらなる加工および長期の貯蔵寿命を耐えるのに十分堅牢であると考えられる薬物コーティングを提供する。さらに、コポビドンは薬物コーティングに包含される不溶性薬物を可溶化して不溶性薬物の固体溶液を包含する薬物コーティングを提供するようにはたらき得ると考えられている。
【0104】
好ましい一態様において、薬物コーティングは薄膜形成剤としてHPMCおよびコポビドンの配合物、ならびに不溶性薬物として非オピオイド鎮痛薬、好ましくはアセトアミノフェンを包含する。
【0105】
なお別の態様において、薬物コーティングは、薄膜形成剤としてHPMCおよびコポビドンの配合物、不溶性の非オピオイド鎮痛薬、および溶解性のオピオイド鎮痛薬を包含する。こうした一態様の特定の一例において、薬物コーティングは、ヒドロコドンおよびその製薬学的に許容され得る塩のようなオピオイド鎮痛薬を包含する。アセトアミノフェン若しくはイブプロフェンおよびオピオイド鎮痛薬の組合せを包含する投薬形態物は、鎮痛薬、抗炎症薬、解熱薬および鎮咳薬の作用の組合せを提供する。
【0106】
なおさらなる態様において、薬物コーティングは、薄膜形成剤としてのHPMCおよびコポビドンの配合物、不溶性の非オピオイド鎮痛薬、溶解性のオピオイド鎮痛薬、ならびに粘度増強剤若しくは崩壊剤を包含する。こうした一態様の特定の一例において、薬物コーティングは約1重量%と約2重量%との間のHPCのような粘度増強剤を包含する。こうした一態様の別の例において、薬物コーティングは約0.5重量%と約3重量%との間の崩壊剤を包含し、また、こうした一態様のなお別の例において、薬物コーティングは約0.5重量%と約3重量%との間の界面活性剤を包含する。
【0107】
薬物コーティングは、高薬物装填量を達成することが可能であるのみならず、しかし、薬物コーティングが2種若しくはそれ以上の異なる薬物を包含する場合は、薬物コーティングが該薬物コーティングに包含される薬物の量に直接比例する量の異なる薬物を放出することが見出されている。該比例した放出は、アセトアミノフェンおよびヒドロコドンのような劇的に異なる溶解性の特徴を表す薬物が薬物コーティングに包含されている場合であっても観察される。加えて、本発明の薬物コーティングは、その中に包含される薬物の実質的に全部を放出する。こうした性能の特徴は、確実かつ予測可能な薬物送達成績を助長し、そして、2種若しくはそれ以上の薬物を広範な異なる比で送達する薬物コーティングの製剤を可能にする。
【0108】
別の局面において、コーティング製剤は薬物コーティングを提供するのに使用し得る。コーティング懸濁液は、1種若しくはそれ以上の溶媒若しくは溶液内に物質に依存して溶解若しくは懸濁されている、薬物コーティングを形成するのに使用される物質を包含する。コーティング懸濁液に包含される1種若しくはそれ以上溶媒は有機溶媒でなく、そして好ましくは水性溶媒である。コーティング懸濁液で使用しうる水性溶媒は、限定されるものでないが精製水、pHを調節した水、酸性化した水若しくは水性緩衝溶液を挙げることができる。好ましい一態様において、コーティング懸濁液に包含される水性溶媒は米国薬局方精製水である。コーティング製剤は好ましくは水性製剤であり、そしてコーティング組成物の処方において有機溶媒の使用から生じ得る潜在的な問題および欠点を回避する。
【0109】
薬物コーティングは最低1種の不溶性薬物を包含するため、コーティング製剤は、典型的にはいずれかの適する方法を使用して水性懸濁液として製造し、また、好ましい態様において、コーティング製剤は、例えばパンコーティング、流動床コーティング若しくは薬物コーティングを提供するのに適するいずれかの他の標準的コーティング方法のような既知のコーティング方法による薬物コーティングの製造を助長するように処方される。コーティング懸濁液で使用される溶媒の正確な量は、例えば完成した薬物コーティングに包含されるべき物質、コーティング懸濁液の所望のコーティング成績、および完成した薬物コーティングの所望の物理的特徴に依存して変動しうるとは言え、コーティング懸濁液は、典型的には約30重量%までの固形物含量を包含し、コーティング懸濁液の残部は所望の溶媒よりなる。コーティング懸濁剤の好ましい一態様は約80重量%の所望の水性溶媒および約20重量%の固形物含量を包含する。コーティング懸濁液は、薬物コーティングの吹付塗を容易にするのに十分に低いがそれでもなおコーティング工程の間のコーティング懸濁液に包含される不溶性薬物の実質的に均一な分散を維持するのに十分高い粘度を表すように処方する。
【0110】
コーティング製剤の製造において、コーティング製剤に負荷される薬物は超微粉の形態で提供し得る。コーティング製剤に負荷される薬物の粒子径を低下させることにより、より外見上滑らかな薬物コーティングを達成しうる。加えて、コーティング製剤に負荷される薬物物質の粒子径を低下させることにより、コーティング製剤により製造される薬物コーティングから放出される場合の薬物の溶解速度を、とりわけ薬物が不溶性薬物である場合に向上させうる。コーティング製剤の一態様において、コーティング製剤は、100ミクロン未満の平均粒子径を表す超微粉薬物物質を包含する。別の態様において、コーティング製剤は50ミクロン未満の平均粒子径を表す超微粉薬物物質を包含し、また、なお別の態様において、コーティング製剤は10ミクロン未満の平均粒子径を表す超微粉薬物物質を包含する。薬物物質の超微粉砕は、例えば既知のビーズ微粉砕、ジェットミル微粉砕若しくは微小沈殿工程のような当該技術分野で公知の方法により容易に達成し得、そして、粒子径は、沈降場流動分画法、光子相関分光法若しくはディスク遠心分離(disk centrifugation)のようないずれかの慣習的粒子径測定技術を使用して測定し得る。
【0111】
コーティング製剤中に溶解若しくは懸濁された固体は、薬物コーティング中で使用されるものと同一の相対量でコーティング製剤に負荷される。例えば、コーティング製剤に包含される薬物は、該コーティング製剤に負荷される固体の約85重量%ないし約97重量%に相当する。好ましい態様において、コーティング製剤に包含される薬物は、該コーティング製剤に負荷される固体の約90重量%ないし約93重量%に相当する。コーティング製剤に包含される薄膜形成剤は、該コーティング製剤に負荷される固体の約3重量%ないし約15重量%に相当し、そして、好ましい態様において、コーティング製剤に包含される薄膜形成剤は、該コーティング製剤に負荷される固体の約7重量%ないし約10重量%に相当する。包含される場合、粘度増強剤は、典型的に、コーティング製剤に包含される固体の5重量%若しくはそれ未満に相当することができる。粘度増強剤が固体の2重量%若しくはそれ未満に相当するコーティング製剤が好ましく、そして、とりわけ好ましい態様において、コーティング製剤に包含される粘度増強剤は、該コーティング製剤に包含される固体の1重量%若しくはそれ未満に相当する。コーティング製剤により形成されるべきコーティングが崩壊剤を包含するべきである場合、崩壊剤は、典型的に、コーティング製剤に包含される固体の約6重量%までに相当する。好ましい態様において、崩壊剤は、コーティング製剤に包含される固体の約0.5重量%ないし約3重量%に相当することができ、そして、崩壊剤を包含するコーティング製剤のとりわけ好ましい態様において、崩壊剤はコーティング製剤に包含される固体の約1重量%ないし約3重量%に相当する。界面活性剤が本発明の薬物コーティングに包含される場合、界面活性剤は、典型的には該コーティング製剤に包含される固体の約6重量%までに相当することができる。好ましくは、界面活性剤がコーティング製剤に包含される場合、界面活性剤はコーティング製剤に包含される固体の約0.5重量%ないし約3重量%に相当することができ、そして、界面活性剤を包含するコーティング製剤のとりわけ好ましい態様において、界面活性剤はコーティング製剤に包含される固体の約1重量%ないし約3重量%に相当する。
【0112】
有効成分を含有する浸透圧投薬形態物の製造
OROS(R)技術は、薬物の即時放出を提供する薬物コーティングの使用を伴う若しくは伴わない、1種若しくはそれ以上の有効成分の持続放出を提供し得る、調節可能な持続放出投薬形態物を提供する。多様な型の浸透圧ディスペンサーは、米国特許第3,845,770号明細書に記述されるもののような簡単な浸透圧ポンプ、米国特許第3,995,631号、同第4,034,756号および同第4,111,202号明細書に記述されるもののようなミニ浸透圧ポンプ、ならびに米国特許第4,320,759号、同第4,327,725号、同第4,449,983号、同第4,765,989号および同第4,940,465号、Bhattへの同第6,368,626号明細書(それらの全部は引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されるもののようなプッシュプ
ル、プッシュメルトおよびプッシュスティック浸透圧ポンプと称される多室浸透圧装置を包含する。好ましく使用し得るOROS(R)の特定の改作はOROS(R)Push−StickTM系を包含する。浸透圧系に対する有意の一利点は、作動が実質的にpH非依存性であり、そして従って、投薬形態物が胃腸管を通過しかつ有意に異なるpH値を有する異なる微小環境に遭遇する際でさえ長時間を通じて浸透圧で決定される速度で継続することである。持続放出は、数時間程度の時間、若しくは投薬形態物が胃腸管に存する限り提供され得る。
【0113】
浸透圧投薬形態物は、水の拡散を可能にするがしかし存在する場合に薬物若しくは浸透物質の拡散を可能にしない半透性壁により少なくとも部分的に形成される区画中に液体を吸収するための駆動力を生成させるのに浸透圧を利用する。これらの浸透圧投薬形態物においては、有効成分リザーバ(1個若しくは複数)が、典型的には、場合によっては固体、液体若しくは懸濁液の形態の製薬学的剤を含有する有効成分区画、および胃から液体を吸収し、膨潤しかつ有効成分を投薬形態物からそして使用の環境に推し進めることができる親水性ポリマーの膨張可能な「押し」区画を伴い形成される。
【0114】
こうした浸透圧投薬形態物の総説は、SantusとBaker(1995)、“Osmotic drug delivery:a review of the patent literature”、Journal of Controlled Release 35:1−21(そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に見出される。とりわけ、本出願の譲受人であるALZA Corporationにより所有されかつ浸透圧投薬形態物に向けられた以下の米国特許、すなわち米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,995,631号;同第4,008,719号;同第4,111,202号;同第4,160,020号;同第4,327,725号;同第4,519,801号;同第4,578,075号;同第4,681,583号;同第5,019,397号;同第5,156,850号;同第5,912,268号;同第6,375,978号;同第6,368,626号;同第6,342,249号;同第6,333,050号;同第6,287,295号;同第6,283,953号;同第6,270,787号;同第6,245,357号;および同第6,132,420号明細書が、それぞれそっくりそのまま本明細書に組み込まれる。
【0115】
投薬形態物の核は、典型的には、一層としての結合剤および鎮痛薬ならびに第二の層としての膨張可能なすなわち押し層の圧縮により形成される水分を含まない組成物若しくは実質的に水分を含まない組成物を含んでなる薬物層を含んでなる。「水分を含まない組成物」若しくは「実質的に水分を含まない組成物」により、投薬形態物の薬物層を形成する組成物が栓様の状態で投薬形態物から排出され、該組成物が十分に乾燥しているか、若しくは押し層により発揮される圧下でそれが投薬形態物から液体流として容易に流動しないほど高度に粘性であることを意味している。薬物層それ自身は、薬物、結合剤および崩壊剤が十分に水和しておらず、そして薬物層がスラリー若しくは懸濁液として投薬形態物から流動しないため、押し層に関して非常にわずかの浸透圧活性を有する。薬物層は、薬物層がスラリー若しくは懸濁液として使用の環境に露出される代替の浸透圧投薬形態物と対照的に、侵食可能な組成物として使用の環境に露出される。薬物層は、提供される高薬物装填量ならびに送達されるべき薬物の乏しい溶解性により、あったとしても非常にわずかな浸透物質をそれが包含するために、侵食可能な組成物である。
【0116】
圧縮技術は当該技術分野で既知でありかつ実施例1に例示される。押し層が使用の環境から液体を吸収する際に膨張可能な層が出口オリフィスから薬物層を押し、そして、露出された薬物層が侵食されて使用の環境に薬物を放出することができる。これは図1を参照して理解されると思われる。投薬形態物からの放出に際して、薬物層は水を吸収して崩壊剤を膨潤させかつ可溶性の剤を溶解させて、使用の環境で液体に侵食可能な固体を分散さ
せかつ鎮痛薬を溶解させる。この「押し粘着(push−stick)」製剤が好ましい投薬形態物であり、そしてより詳細に下述する。
【0117】
浸透圧投薬形態物の特定の一態様は:空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスをその中に包含する半透性壁、空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置される最低1種の製薬学的有効成分を含んでなる薬物層、空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置される押し置換層、ならびに半透性壁の内表面と、該壁と正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層を含んでなる。該投薬形態物は、使用の環境での水と接触した後約12時間まで有効成分のin vitro放出速度を提供する。
【0118】
浸透圧投薬形態物の組成
被験体へのその投与の前、作動の間および有効成分の送達後の「押し粘着」構成を有する本発明の投薬形態物の好ましい一態様を、図1に具体的に説明する。該投薬形態物は空洞および出口オリフィスを規定する壁を含んでなる。空洞内にかつ出口オリフィスから離れて押し置換層があり、そして薬物層は空洞内で出口オリフィスに隣接して配置される。流動促進層は少なくとも薬物層と壁の内表面との間を伸長し、また、壁の内表面と押し置換層との間を伸長し得る。
【0119】
該投薬形態物はいかなる薬物装填量でもあり得、そして好ましくは最低約20重量%の有効成分の装填量である。特定の態様において、投薬形態物は高薬物装填量(すなわち薬物層の総重量に基づき薬物層中に60%若しくはそれ以上、しかしより一般的には70%若しくはそれ以上の有効成分)にあり、そして侵食可能な組成物として使用の環境に露出される。薬物層は、崩壊剤、結合剤、および場合によっては界面活性剤、ならびに浸透圧剤、若しくはそれらの混合物とともに最低1種の有効成分から形成される組成物を含んでなる。
【0120】
結合剤は一般に、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルアルキルセルロース、ポリ(アルキレン)オキシド、若しくはポリビニルピロリドン、またはそれらの混合物のような有効成分の放出速度および制御された送達パターンに貢献する親水性ポリマーである。これらの親水性ポリマーの代表例は、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(メチレンオキシド)、ポリ(メチレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)およびポリ(ヘキシレンオキシド)を制限なしに包含する100,000ないし750,000の数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド);ポリ(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリ(カルボキシメチルセルロースカリウム)およびポリ(カルボキシメチルセルロースリチウム)のようなポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)により表される40,000ないし400,000の数平均分子量のポリ(カルボキシメチルセルロース);ヒドロキシプロピルセルロースのような9,200ないし125,000の数平均分子量のヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロースおよびヒドロキシプロピルペンチルセルロースを制限なしに包含する9,200ないし125,000の数平均分子量のヒドロキシプロピルアルキルセルロースのようなヒドロキシプロピルアルキルセルロース;ならびに7,000ないし75,000の数平均分子量のポリ(ビニルピロリドン)である。それらのポリマーのなかで、100,000〜300,000の数平均分子量のポリ(エチレンオキシド)およびヒドロキシアルキルセルロースが好ましい。胃環境で侵食する担体すなわち生物侵食性担体がとりわけ好ましい。
【0121】
界面活性剤および崩壊剤を担体中で同様に利用しうる。崩壊剤は、一般に、デンプン、粘土、セルロース、アルギンおよびガムならびに架橋デンプン、セルロースおよびポリマーを包含する。代表的崩壊剤は、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、クロスカ
ルメロース、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、Veegum HV、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、低置換度カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、グアールガムなどを包含する。好ましい崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。
【0122】
例示的界面活性剤は、ポリエチレングリコール400モノステアレート、ポリオキシエチレン−4−ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン−20−モノラウレート、ポリオキシエチレン−40−ステアレート、オレイン酸ナトリウムなどのような約10〜25の間のHLB値を有するものである。有用である界面活性剤は一般に、陰イオン性、陽イオン性および両性イオン性界面活性剤を包含するイオン性界面活性剤ならびに非イオン性界面活性剤を包含する。非イオン性界面活性剤はある態様で好ましく、そして、例えば、ポリオキシエチレンステロイドエステルのようなポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、ならびに限定されるものでないがポリオキシル40ステアレート、ポリオキシル50ステアレート、ポリオキシル100ステアレート、ポリオキシル12ジステアレート、ポリオキシル32ジステアレートおよびポリオキシル150ジステアレートを挙げることができるポリオキシルステアレート、ならびに他のMyrjTM系列の界面活性剤若しくはそれらの混合物を包含する。薬物層中で有用である界面活性剤のなお別の分類は、商標名PluronicおよびPoloxamerで入手可能な一般式HO(C2H4O)a(−C3H6O)b(C2H4O)aHを有するポロキサマーとしてもまた知られるエチレンオキシド/プロピレンオキシド/エチレンオキシドのトリブロック共重合体である。この分類の界面活性剤では、界面活性剤分子の親水性のエチレンオキシド端および界面活性剤分子のプロピレンオキシドの疎水性の中央ブロックが薬物を溶解かつ懸濁するようにはたらく。これらの界面活性剤は室温で固体である。他の有用な界面活性剤は、糖エステル界面活性剤、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリエステルのようなソルビタン脂肪酸エステル、および他のSpanTM系列の界面活性剤、グリセロールモノステアレートのようなグリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル(例えばBrij 30、35、58、78および99)、ポリオキシエチレンステアレート(自己乳化する)、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル、ブチル化ヒドロキシアニソールを含むポリオキシエチレン2セチルエーテル、ポリオキシエチレン10セチルエーテル、ポリオキシエチレン20セチルエーテル、ポリオキシエチレン2ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン10ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン20ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン21ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン20オレイルエーテルのようなポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン4ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリステアレートのようなソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、ならびに、他のTweenTM系列の界面活性剤、リン脂質およびレシチンのようなリン脂質脂肪酸誘導体、脂肪酸酸化物、脂肪酸アルカノールアミド、硬化ヤシ油モノグリセリド、硬化ダイズ油モノグリセリド、硬化ヤシ油ステアリンモノグリセリド、硬化植物油モノグリセリド、硬化綿実油モノグリセリド、精製ヤシ油モノグリセリド、部分硬化ダイズ油モノグリセリド、綿実油モノグリセリドヒマワリ油モノグリセリド、ヒマワリ油モノグリセリド、カノーラ油モノグリセリド、コハク酸化モノグリセリド、アセチル化モノグリセリド、アセチル化硬化植物油モノグリセリド、アセチル化硬化ココナツ油モノグリセリド、アセチル化硬化ダイズ油モノグリセリド、グリセロールモノステアレート、硬化ダイズ油とのモノグリセリド、硬化ヤシ油とのモノグリセリド、スクシニル化モノグリセリドおよびモノグリセリド、モノグリセリドおよびナタ
ネ油、モノグリセリドおよび綿実油、プロピレングリコールモノエステルナトリウムステアロイルラクチレート二酸化ケイ素を含むモノグリセリドのようなプロピレングリコールモノエステルおよびモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、エチレンオキシドと重合したオクチルフェノールから製造され(ここで商品名中の数字「100」は構造中のエチレンオキシド単位の数に間接的に関係し、例えばTriton X−100TMは625の平均分子量を伴い分子あたりN=9.5個のエチレンオキシド単位の平均を有する)かつ商業的製品中により少ない量で存在するより少ないおよびより多い分子付加物を有するTriton−X系列の界面活性剤、ならびにIgepal CA−630TMおよびNonidet P−40M(NP−40TM、N−ラウロイルサルコシン、Sigma Chemical Co.、ミズーリ州セントルイス)を包含するTriton X−100TMに類似の構造を有する化合物などを包含する。上の界面活性剤のいずれも、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびクエン酸のような任意の添加された保存剤もまた包含し得る。加えて、界面活性剤分子中のいずれの炭化水素鎖も飽和若しくは不飽和、水素化若しくは非水素化であり得る。
【0123】
界面活性剤のとりわけ好ましい一群は、エチレンオキシド:プロピレンオキシド:エチレンオキシドのa:b:aのトリブロック共重合体であるポロキサマー界面活性剤である。「a」および「b」はポリマー鎖の各ブロックの単量体単位の平均数を表す。これらの界面活性剤は、多様な異なる分子量でかつ異なる値の「a」および「b」ブロックを伴い、ニュージャージー州マウントオリーブのBASF Corporationから商業的に入手可能である。例えば、Lutrol(R)F127は9,840ないし14,600の分子量範囲を有し、そしてここで「a」はおよそ101でありかつ「b」はおよそ56であり、Lutrol(R)F87は、「a」が64でありかつ「b」が37である6,840ないし8,830の分子量を表し、Lutrol(R)F108は、「a」が141でありかつ「b」が44である12,700ないし17,400の平均分子量を表し、そしてLutrol(R)F68は、「a」が約80の値を有しかつ「b」が約27の値を有する7,680ないし9,510の平均分子量を表す。
【0124】
他の界面活性剤は、脂肪酸の糖エステルである糖エステル界面活性剤である。こうした糖エステル界面活性剤は、糖脂肪酸モノエステル、糖脂肪酸ジエステル、トリエステル、テトラエステル、若しくはそれらの混合物を包含するとは言え、モノおよびジエステルが最も好ましい。好ましくは、糖脂肪酸モノエステルは6から24個までの炭素原子を有する脂肪酸を含んでなり、それらは直鎖状若しくは分枝状、または飽和若しくは不飽和のC6ないしC24脂肪酸でありうる。C6ないしC24脂肪酸は、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23およびC24をいずれかの部分的範囲若しくは組合せで包含する。これらのエステルは、好ましくは、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル(cocoate)、アラキドン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル、カルプレート(carprate)、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステルおよびそれらの混合物から選ばれる。
【0125】
好ましくは、糖脂肪酸モノエステルは、ショ糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、マンノース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、乳糖、ソルビトール、トレハロース若しくはメチルグルコースのような最低1個の糖単位を含んでなる。ショ糖エステルのような二糖エステルが最も好ましく、そしてショ糖ヤシ油脂肪酸エステル、ショ糖モノオクタン酸エステル、ショ糖モノデカン酸エステル、ショ糖モノ若しくはジラウリン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノ若しくはジパルミチン酸エステル、ショ糖モノおよびジステアリン酸エステル、ショ糖モノ、ジ若しくはトリオレイン酸エステル、ショ糖モノ若しくはジリノール酸エステル、ショ糖ペンタオレイン酸エステル、ヘキサオレイン酸エステル、ヘプタオレイン酸エステル若しくはオクトオレイン酸エステルのような
ショ糖ポリエステル、ならびにショ糖パルミチン酸エステル/ステアリン酸エステルのような混合エステルを包含する。
【0126】
これらの糖エステル界面活性剤のとりわけ好ましい例は、米国特許第3,480,616号明細書に記述されるようなエステル化度を制御する方法を使用して製造されるショ糖ステアリン酸エステルを含んでなる多様なモノ、ジおよびモノ/ジエステル混合物を示す、名称Crodesta F10、F50、F160およびF110でニュージャージー州パーシッパニーの企業Croda Incにより販売されるものを包含する。これらの好ましい糖エステル界面活性剤は、打錠の容易さおよび不鮮明でない(nonsmearing)造粒の付加される利益を提供する。
【0127】
例えば、20%のモノエステルおよび80%のジ、トリおよびポリエステルから形成されるショ糖ベヘン酸エステルに対応する参照B370で名称リョートーシュガーエステルで企業三菱により販売されるものもまた利用しうる。名称「Tegosoft PSE」で企業Goldschmidtにより販売されるショ糖モノおよびジパルミチン酸エステル/ステアリン酸エステルもまた利用しうる。これらの多様な製品の混合物もまた利用しうる。糖エステルは糖由来でない別の化合物との混合状態でもまた存在し得;そして、好ましい一例は、企業ICIにより名称「Arlatone 2121」で販売されるステアリン酸ソルビタンおよびショ糖ヤシ油脂肪酸エステルの混合物を包含する。他の糖エステルは、例えばブドウ糖トリオレイン酸エステル、ガラクトースジ、トリ、テトラ若しくはペンタオレイン酸エステル、アラビノースジ、トリ若しくはテトラリノール酸エステルまたはキシロースジ、トリ若しくはテトラリノール酸エステルあるいはそれらの混合物を包含する。脂肪酸の他の糖エステルは、メチルグルコースのエステルは、Tegocare 450の名称で企業Goldschmidtにより販売されるメチルグルコースおよびポリグリセロール−3のジステアリン酸エステルを包含するを包含する。メチルO−ヘキサデカノイル−6−D−グルコシドおよびO−ヘキサデカノイル−6−D−マルトースのようなブドウ糖若しくは麦芽糖モノエステルもまた包含し得る。ある種の他の糖エステル界面活性剤は、脂肪酸および糖のオキシエチレン化(oxyethylenated)エステルは、企業Amercholにより名称「Glucamate SSE20」で販売されるPEG−20メチルグルコースセスキステアリン酸エステルのようなオキシエチレン化誘導体を包含するを包含する。
【0128】
固体の界面活性剤を包含する界面活性剤の供給源およびそれらの特性は、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers、International Edition 1979およびMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers、North American Edition 1979で入手可能である。固体の界面活性剤の特性に関する情報の他の供給源は、BASF Technical Bulletin Pluronic & Tetronic Surfactants 1999およびGeneral Characteristics of Surfactants from ICI Americas Bulletin 0−1 10/8O 5M、ならびにEastman Food Emulsifiers Bulletin ZM−1K 1993年10月を包含する。
【0129】
これらの参考文献に表にされている界面活性剤の特徴の1つはHLB値、すなわち親水親油バランス値である。この値は界面活性剤分子の相対親水性および相対疎水性を表す。一般に、HLB値が大きくなるほど、界面活性剤の親水性は大きくなる一方、HLB値が小さくなるほど疎水性が大きくなる。例えば、Lutrol(R)分子について、エチレンオキシド画分は親水性部分を表し、そしてプロピレンオキシド画分は疎水性画分を表す。Lutrol(R)F127、F87、F108およびF68のHLB値はそれぞれ2
2.0、24.0、27.0および29.0である。好ましい糖エステル界面活性剤は約3ないし約15の範囲のHLB値を提供する。最も好ましい糖エステル界面活性剤、Crodesta F160は14.5のHLB値を有することを特徴とする。
【0130】
イオン性界面活性剤は、コール酸、およびデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸のようなコール酸の誘導体ならびにそれらの塩、ならびに陰イオン性界面活性剤(その最も一般的な例はドデシル(若しくはラウリル)硫酸ナトリウムである)を包含する。両性イオン性若しくは両性界面活性剤は、一般に陰イオンとしてカルボン酸若しくはリン酸基および陽イオンとしてアミノ若しくは四級アンモニウム部分を包含する。これらは、例えば、多様なポリペプチド、タンパク質、アルキルベタイン、ならびにレシチンおよびセファリンのような天然のリン脂質、アルキル−β−アミノプロピオン酸塩および2−アルキル−イミダゾリン四級アンモニウム塩、ならびにCHAPS系列の界面活性剤(例えばAldrichから入手可能な3−[3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオール]−1−プロパンスルホネート水和物)などを包含する。
【0131】
界面活性剤は、典型的には乏しい凝集特性を有し、そして従って硬い耐久性のある錠剤として圧縮しない。さらに、界面活性剤は、標準的な温度および条件で液体、ペースト若しくは蝋性固体の物理形態にあり、そして打錠される経口の製薬学的投薬形態物に不適切である。前述の界面活性剤は、高用量で送達される低溶解性薬物の溶解性および潜在的生物学的利用能を高めることにより機能することが見出された。
【0132】
界面活性剤は、1種の界面活性剤として若しくは界面活性剤の配合物として包含され得る。それらが薬物の溶解および溶解性を促進する値を有するような界面活性剤を選択する。特定の薬物が中間のHLB値を必要とする場合は、高HLB界面活性剤を低HLBの界面活性剤と配合してそれらの間である正味のHLB値を達成し得る。界面活性剤は送達されている薬物に依存して選択し;その結果適切なHLB等級を利用する。
【0133】
製薬学的有効成分は、送達時間、すなわち投薬形態物の連続した投与の間の時間にわたり維持されなければならない必要とされる投薬レベルに依存して、投薬形態物あたり約1マイクログラムから約1000mgまで、およびより典型的には約10から約600mgまでの量で薬物層中に提供され得る。例示的一態様において、製薬学的有効成分はアセトアミノフェン(例えば500mg)である。一般に、投薬形態物中の有効成分の装填量は、患者により必要とされる医薬品のレベルに依存して、1日あたり約3000mgまで、より通常は1日あたり約1000ないし2000mgまでの範囲にわたる用量を被験体に提供することができる。ときに、1日あたり約10,000mgまでの非常に高用量が必要とされる。
【0134】
付加的な製薬学的有効成分は、送達時間、すなわち投薬形態物の連続した投与の間の時間にわたり維持されなければならない必要とされる投薬レベルに依存して、投薬形態物あたり1マイクログラムから500mgまで、およびより典型的には約10mgから約100mgまでの量で薬物層中に提供され得る。例示的な好ましい一態様において、付加的な有効成分はオピオイド鎮痛薬(例えばヒドロコドン若しくはヒドロモルホン)であり、そしてより少量(例えば15mg)で包含される。一般に、投薬形態物中の付加的な製薬学的有効成分の装填量は、患者により必要とされる医薬品のレベルに依存して、1日あたり約2000mgまで、より典型的には1日あたり約10ないし60若しくは600mgの間の範囲にわたる有効成分の用量を被験体に提供することができる。
【0135】
押し層は、薬物層と直接若しくは間接的に接触する層状の配置で押し置換組成物を有する膨張可能な層である。押し層は一般に、水性若しくは生物学的液体を吸収しかつ膨潤し
て装置の出口手段を通して薬物組成物を押すポリマーを含んでなる。液体を吸収する置換ポリマーの代表は、500,000ないし3,500,000の数平均分子量のポリ(エチレンオキシド)およびポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)(ここでアルカリはナトリウム、カリウム若しくはリチウムである)により表されるところの100万ないし1500万の数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド)から選択されるメンバーを含んでなる。押し置換組成物の製剤のための付加的なポリマーの例は、Carbopol(R)酸性カルボキシポリマー、カルボキシポリメチレンとしてもまた知られるポリアリルショ糖で架橋されたアクリル酸のポリマー、および250,000ないし4,000,000の分子量を有するカルボキシビニルポリマー;Cyanamer(R)ポリアクリルアミド;架橋した水で膨潤可能な無水インデンマレイン酸(indenemaleic)ポリマー;80,000ないし200,000の分子量を有するGood−rite(R)ポリアクリル酸;ジエステル架橋ポリグルランのような縮合ブドウ糖単位から構成されるAqua−Keeps(R)アクリル酸ポリマー多糖;などのようなヒドロゲルを形成するポリマーを含んでなる浸透圧ポリマー(osmopolymer)を含んでなる。ヒドロゲルを形成する代表的ポリマーは、Hartopに交付された米国特許第3,865,108号明細書;Manningに交付された米国特許第4,002,173号明細書;Michaelsに交付された米国特許第4,207,893号明細書;およびHandbook of Common Polymers、ScottとRoff、Chemical Rubber Co.、オハイオ州クリーブランドにて従来技術に既知である。
【0136】
外壁および下塗りを横断する浸透圧勾配を表す浸透圧性の溶質(osmotic solute)および浸透圧性有効成分としてもまた知られる浸透物質は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、リン酸水素カリウム(potassium acid phosphate)、マンニトール、尿素、イノシトール、コハク酸マグネシウム、酒石酸ラフィノース、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、ソルビトール、無機塩、有機塩および炭水化物よりなる群から選択されるメンバーを含んでなる。
【0137】
流動促進層(簡潔さのための下塗りともまた呼ばれる)は、半透性壁の内表面および壁に正対する薬物層の少なくとも外表面と接触関係にあるが;とは言え流動促進層は、押し置換層の外表面に伸長し、囲みかつ接触してもよくかつ好ましくはすることができる。該壁は、典型的には、壁の内表面に正対する薬物層の外表面の少なくともその部分を囲むことができる。流動促進層は、薬物層および押し層を含んでなる圧縮した核の上に適用されるコーティングとして形成しうる。外側の半透性壁は内側の流動促進層を囲みかつ入れる。流動促進層は、好ましくは薬物層の少なくとも表面、ならびに場合によっては圧縮した薬物層および押し置換層の外表面全体の下塗りとして形成される。半透性壁が薬物層、押し層および流動促進層から形成される混成物の塗膜として形成される場合、流動促進層との半透性壁の接触が保証される。
【0138】
流動促進層は、半透性壁2と薬物層の外表面との間の摩擦力を低下させて従って該装置からの薬物のより完全な送達を見込むことにより本発明の投薬形態物からの薬物の放出を助長する。とりわけ、高費用を有する有効成分の場合は、こうした改良は実質的な経済的利点を提示する。必要とされる最少量の薬物が送達されることができることを保証するために過剰の薬物を薬物層に負荷することが必要でないからである。
【0139】
流動促進層は、典型的には0.01ないし5mm厚、より典型的には0.5ないし5mm厚であることができ、そして、それは、ヒドロゲル、ゼラチン、低分子量ポリエチレンオキシド(例えば100,000MW未満)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えばヒドロキシエチルセルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシイソプロピル
セルロース、ヒドロキシブチルセルロースおよびヒドロキシフェニルセルロース、ならびにヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ならびにそれらの混合物から選択されるメンバーを含んでなる。ヒドロキシアルキルセルロースは9,500ないし1,250,000の数平均分子量を有するポリマーを含んでなる。例えば、80,000ないし850,000の間の数平均分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースが有用である。流動促進層は、水性溶媒若しくは不活性有機溶媒中の前述の物質の慣習的溶液若しくは懸濁液から製造しうる。下塗りすなわち流動促進層に好ましい素材は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン[ポリ(ビニルピロリドン)]、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物を包含する。有機溶媒、とりわけ1〜8個の炭素原子を有する低級アルカノール、好ましくはエタノールのような有機極性溶媒中で調製したヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンの混合物、水性溶液中で調製したヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物、ならびに水性溶液中で調製したヒドロキシエチルセルロースおよびポリエチレングリコールの混合物がより好ましい。最も好ましくは、流動促進層はエタノール中で調製したヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンの混合物よりなる。便宜的には、二層核に適用される流動促進層の重量は、流動促進層の厚さ、および本明細書に記述されるような放出速度アッセイにおいて投薬形態物中に残存する残余の薬物と相関しうる。製造操作の間に、流動促進層の厚さは、コーティング操作中に取り込まれる下塗りの重量を制御することにより制御しうる。流動促進層が、下塗りとして、すなわち打錠された二層混成物薬物層および押し層上に被覆することにより形成される場合、該下塗りは打錠工程により二層核上に形成された表面の不規則性を充填し得る。生じる滑らかな外表面は、薬物の調剤の間の被覆された二層混成物と半透性壁との間の滑りを助長して、投薬期間の終了時により少量の装置中に残存する残余の薬物組成物をもたらす。流動促進層がゲル形成素材から二次加工される場合、使用の環境での水との接触が、半透性壁と薬物層との間の滑りを促進しかつ高めうる粘度を有するゲル若しくはゲル様の内塗膜の形成を助長する。
【0140】
該壁は、水および生物学的液体のような外的液体の通過に対し浸透性かつ有効成分、浸透物質、浸透圧ポリマーなどの通過に対し実質的に不透性の半透性組成物である。該壁を形成するのに使用される選択的に半透性の組成物は、本質的に侵食不可能であり、そして投薬形態物の寿命の間、生物学的液体に不溶性である。該壁はその全体が半透性である必要はないが、しかし、壁の少なくとも一部分は、押し層が使用の間に液体を吸収しかつ膨張し得るような押し置換層と液体を接触若しくは連絡させるように半透性である。該壁は、好ましくは、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート若しくはそれらの混合物を制限なしに包含するセルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレートのようなポリマーを含んでなる。壁を形成する素材はまた、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレン、エチレンの共重合体、Engage(R)(Dupont Dow Elastomers)のようなエチレンオキシド共重合体を包含するポリオレフィン、ポリアミド、セルロース誘導体素材、ポリウレタン、PEBAX(R)(Elf Atochem North America,Inc.)のようなポリエーテルブロックアミド共重合体、セルロースアセテートブチレートおよびポリビニルアセテートからも選択しうる。典型的には、該壁は、60重量パーセントないし100重量%のセルロース誘導体の壁を形成するポリマーを含んでなるか、または、該壁は0.01重量%ないし10重量%のポロキサマーとして知られるエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体、若しくは1重量%ないし35重量%のヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルアルキルセルロースよりなる群から選択されるセルロースエーテル、ならびに5重量%ないし15重量%のポリエチレングリコールを含み得る。壁を含んでなる全成分の総重量パーセントは100重量%に等しい。
【0141】
壁を形成するための代表的ポリマーは、半透性ホモポリマー、半透性共重合体などを含んでなる。こうした素材はセルロースエステル、セルロースエーテルおよびセルロースエステル−エーテルを含んでなる。セルロース誘導体ポリマーは、0以上から3までを包含するそれらのアンヒドログルコース単位の置換度(DS)を有する。置換度(DS)は、置換する基により置換されるか若しくは別の基に転化されるアンヒドログルコース単位上に元から存在するヒドロキシル基の平均数を意味している。アンヒドログルコース単位は、アシル、アルカノイル、アルケノイル、アロイル、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、カルボアルキル、アルキルカルバメート、アルキルカーボネート、アルキルスルホネート、アルキルスルファメート、半透性ポリマーを形成する基などのような基で部分的に若しくは完全に置換し得、該有機部部分は1から12個までの炭素原子、および好ましくは1から8個までの炭素原子を含有する。
【0142】
半透性組成物は、典型的には、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ、ジおよびトリセルロースアルカニレート、モノ、ジおよびトリアルケニレート、モノ、ジおよびトリアロイレートなどを包含する。例示的ポリマーは、1.8ないし2.3のDSおよび32ないし39.9%のアセチル含量を有するセルロースアセテート;1ないし2のDSおよび21ないし35%のアセチル含量を有するセルロースジアセテート;2ないし3のDSおよび34ないし44.8%のアセチル含量を有するセルローストリアセテート;などを包含する。より具体的なセルロース誘導体ポリマーは、1.8のDSおよび38.5%のプロピオニル含量を有するセルロースプロピオネート;1.5ないし7%のアセチル含量および39ないし42%のアセチル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート;2.5ないし3%のアセチル含量、39.2ないし45%の平均プロピオニル含量および2.8ないし5.4%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート;1.8のDS、13ないし15%のアセチル含量、および34ないし39%のブチリル含量を有するセルロースアセテートブチレート;2ないし29%のアセチル含量、17ないし53%のブチリル含量および0.5ないし4.7%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートブチレート;セルローストリバレレート、セルローストリラメート(trilamate)、セルローストリパルミテート、セルローストリオクタノエートおよびセルローストリプロピオネートのような2.6ないし3のDSを有するセルローストリアシレート;セルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジカプリレートなどのような2.2ないし2.6のDSを有するセルロースジエステル;ならびにセルロースアセテートバレレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースプロピオネートスクシネート、セルロースアセテートオクタノエート、セルロースバレレートパルミテート、セルロースアセテートヘプタノエートなどのような混合セルロースエステルを包含する。半透性ポリマーは米国特許第4,077,407号明細書で既知であり、また、それらはEncyclopedia of Polymer Science and Technology、Vol.3、pp.325−354、Interscience Publishers Inc.、ニューヨーク州ニューヨーク(1964)に記述される手順により合成し得る。
【0143】
外壁を形成するための付加的な半透性ポリマーは、セルロースアセトアルデヒドジメチルアセテート;セルロースアセテートエチルカルバメート;セルロースアセテートメチルカルバメート;セルロースジメチルアミノアセテート;半透性ポリアミド;半透性ポリウレタン;半透性スルホン化ポリスチレン;米国特許第3,173,876号;同第3,276,586号;同第3,541,005号;同第3,541,006号および同第3,546,142号明細書に開示されるところの陰イオンおよび陽イオンの共沈殿により形成される架橋選択的半透性ポリマー;米国特許第3,133,132号明細書にLoebらにより開示されるところの半透性ポリマー;半透性ポリスチレン誘導体;半透性ポリ(
スチレンスルホン酸ナトリウム);半透性ポリ(塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム);ならびに半透性壁を横断する静水圧若しくは浸透圧の差違の雰囲気により表される10−5ないし10−2(cc.ミル/cm hr.atm)の液体浸透性を表す半透性ポリマーを含んでなる。該ポリマーは米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号および同第4,160,020同明細書;ならびにHandbook of
Common Polymers、ScottとRoff編、CRC Press、オハイオ州クリーブランド(1971)で当該技術に既知である。
【0144】
該壁はまた流量調節剤も含みうる。流量調節剤は、液体浸透性すなわち壁を通る流量の調節において補助するために添加される化合物である。流量調節剤は流量増強剤若しくは流量減少剤であり得る。該剤は液体の流量を増大若しくは減少させるように予め選択し得る。水のような液体に対する浸透性の顕著な増大を生じる剤はしばしば本質的に親水性である一方、水のような液体に対する顕著な減少を生じるものは本質的に疎水性である。壁中の調節剤の量は、その中に組み込まれる場合に一般に約0.01%から20重量%まで若しくはそれ以上である。流量調節剤は、多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンジオール、アルキレングリコールのポリエステルなどを包含しうる。典型的な流量増強剤は、ポリエチレングリコール300、400、600、1500、4000、6000など;ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールおよびポリアミレングリコールのような低分子量グリコール:ポリ(1,3−プロパンジオール)、ポリ(1,4−ブタンジオール)、ポリ(1,6−ヘキサンジオール)などのようなポリアルキレンジオール;1,3−ブチレングリコール、1,4−ペンタメチレングリコール、1,4−ヘキサメチレングリコールなどのような脂肪族ジオール;グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオールなどのようなアルキレントリオール;エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールブチレート、ブチレングリコールジプロピオネート、グリセロール酢酸エステルなどのようなエステルを包含する。現在好ましい流量増強剤は、ポロキサマー(BASF)として知られるプロピレングリコールの二官能性ブロック共重合体ポリオキシアルキレン誘導体の群を包含する。代表的な流量減少剤は、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル、フタル酸ジメチルおよび[フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)]のようなアルキル若しくはアルコキシまたはアルキルおよびアルコキシ双方の基で置換されたフタル酸エステル、フタル酸トリフェニルおよびフタル酸ブチルベンジルのようなアリールフタル酸エステル;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウムなどのような不溶性の塩;二酸化チタンのような不溶性酸化物;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートおよびポリスルホンのような粉末、顆粒および類似の形態のポリマー;長鎖アルキル基でエステル化されたクエン酸エステルのようなエステル;不活性かつ実質的に水不浸透性の増量剤;セルロースに基づく壁を形成する素材と適合性の樹脂などを包含する。
【0145】
壁に可撓性および伸長特性を与えるため、壁をより少なく脆性ないし非脆性にするためかつ断裂強さにするために半透性壁素材に包含されうる他の素材。適する素材は、フタル酸ジベンジル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、6ないし11個の炭素の直鎖フタル酸エステル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシルなどのようなフタル酸エステル系可塑剤を包含する。該可塑剤は、トリアセチン、ジオクチルアゼレート、エポキシド化トール油、トリメリト酸トリイソクチル、トリメリト酸トリイソノニル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、エポキシド化ダイズ油などのような非フタル酸エステルを包含する。壁中の可塑剤の量は、その中に組み込まれる場合に約0.01%ないし20重量%若しくはそれ以上である。
【0146】
浸透圧投薬形態物の製造
簡潔には、該投薬形態物は、下により詳細に論考される以下の基礎段階を使用して製造
する。核は原則として複数の薬物層および複数の押し置換層を包含し得るが、とは言え漸増する放出速度は単一の薬物層および単一の押し置換層のみを使用して得ることが出来る。場合によっては、薬物層および押し層の比を調節して核からの薬物層のより大きい若しくはより小さい放出速度を提供し得る。従って、投薬形態物中へのより多量の押し置換層の追加が、漸増する放出速度を約8〜10時間より長い、より長い放出時間さえ提供し得る。
【0147】
核を最初に成形し、そして流動促進層で被覆し;被覆した核はその後乾燥し得るが、とは言えこれは任意であり;そして半透性壁をその後適用する。その後、オリフィスを適する手順(例えばレーザー孔あけ)により提供するが、とは言え後の時間に形成されるオリフィス(形成可能なオリフィス)を提供する代替手順を使用し得る。最後に、完成した投薬形態物を乾燥し、そして使用若しくは即時放出薬物コーティングで被覆するための準備ができている。
【0148】
薬物層は、非オピオイド鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬および結合剤ならびに他の成分を含有する混合物として形成する。薬物層は、本発明の様式(mode)および様式(manner)に従って、典型的には化合物を含有する核として、薬物の大きさおよび薬物層の二次加工に使用される付随するポリマーの大きさを生じる粉砕により粒子から形成し得る。粒子を製造するための手段は、意図されるミクロンの粒子径を生じさせるための造粒、噴霧乾燥、篩過、凍結乾燥、破砕、粉砕、ジェットミル微粉砕、超微粉砕および細断を包含する。該工程は、超微粉砕ミル、流動エネルギー細砕機、細砕機、ロールミル、ハンマーミル、磨砕機、チェイサーミル(chaser mill)、ボールミル、振動ボールミル、衝撃微粉砕ミル、遠心微粉砕機、粗破砕機および微破砕機のような大きさを低下させる機器により実施し得る。粒子の大きさは、グリズリ篩(grizzly screen)、平坦篩、振動(vibrating)篩、回転篩、振とう篩、振動(oscillating)篩および往復篩を包含する篩過により確かめ得る。薬物および結合剤を調製するための方法および機器は、Pharmaceutical Sciences、Remington、第17版、pp.1585−1594(1985);Chemical
Engineers Handbook、Perry、第6版、pp.21−13ないし21−19(1984);Journal of Pharmaceutical Sciences、Parrot、Vol.61、No.6、pp.813−829(1974);およびChemical Engineer、Hixon、pp.94−103(1990)に開示されている。
【0149】
本発明の投薬形態物中で利用されるそれぞれの壁、層、コーティングおよびサブコーティング(subcoating)を製造するのに適する例示的溶媒は、投薬形態物を二次加工するのに利用される物質に悪影響を及ぼさない水性および不活性有機溶媒を含んでなる。溶媒は、広範に、水性溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化溶媒、環状脂肪族、芳香族、複素環溶媒およびそれらの混合物よりなる群から選択されるメンバーを包含する。典型的な溶媒は、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルアセテート、メチレンジクロリド、エチレンジクロリド、プロピレンジクロリド、四塩化炭素ニトロエタン、ニトロプロパンテトラクロロエタン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、シクロヘキサン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、ナフサ、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグリム、水、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどのような無機塩を含有する水性溶媒、ならびにアセトンおよび水、アセトンおよびメタノール、アセトンおよびエチルアルコール、メチレンジクロリドおよびメタノール、ならびにエチレンジクロリドおよびメタノールのようなそれらの混
合物を包含する。
【0150】
パンコーティングは、出口オリフィスを除いて完成した投薬形態物を提供するのに便宜的に使用しうる。パンコーティング装置中で、壁を形成する組成物の下塗りを、回転パン中での混転により付随される薬物層および押し層を含んでなる二層核へのそれぞれの組成物の連続噴霧により付着させ得る。パンコーターは商業的規模でのその利用可能性のために使用し得る。他の技術を、薬物核を被覆するために使用し得る。被覆した投薬形態物を強制空気オーヴン若しくは温度および湿度を制御したオーヴン中で乾燥させて投薬形態物から溶媒をなくし得る。乾燥条件は、利用可能な装置、周囲条件、溶媒、コーティング、コーティング厚などに基づき便宜的に選ぶことができる。
【0151】
他のコーティング技術もまた使用し得る。例えば、投薬形態物の半透性壁および下塗りは、空気浮遊処置を使用する一技術で形成し得る。この処置は、空気、内側下塗り組成物および外側の半透性壁を形成する組成物の流れ中で、いずれかの操作で下塗りおよび外壁塗膜が二層核に適用されるまで二層核を浮遊かつ混転することよりなる。空気浮遊処置は投薬形態物の壁を独立に成形するのに十分に適する。空気浮遊処置は、米国特許第2,799,241号明細書;J.Am.Pharm.Assoc.、Vol.48、pp.451−459(1959);および上記、Vol.49、pp.82−84(1960)に記述されている。投薬形態物はまた、例えば補助溶媒としてメチレンジクロリドメタノールを使用してWurster(R)空気浮遊コーターでも被覆し得る。Aeromatic(R)空気浮遊コーターを、補助溶媒を使用して使用し得る。
【0152】
本発明の投薬形態物は標準技術により製造しうる。例えば、該投薬形態物は湿式造粒技術により製造しうる。湿式造粒技術において、薬物および第一層を含んでなる成分すなわち薬物組成物を、変性無水エタノールのような有機溶媒を造粒液体として使用して全般的に配合する。第一層を形成する成分すなわち薬物組成物は、予め選択した篩を個別に通過させ、そしてその後ミキサー中で徹底的に配合する。次に、第一層を含んでなる他の成分を、上述された溶媒のような造粒液体の一部分に溶解し得る。その後、後者の調製された湿潤配合物を、ブレンダー中で継続的混合を伴い薬物配合物にゆっくりと添加する。湿潤配合物が生じるまで造粒液体を添加し、その湿潤した塊の配合物をその後、予め決められた篩を通してオーヴントレイに上に進める。配合物を強制空気オーヴン中24℃ないし35℃で18ないし24時間乾燥する。乾燥した顆粒をその後大きさ分類する。次に、ステアリン酸マグネシウムを薬物造粒に添加し、その後微粉砕ジャーに入れ、そしてボールミルで10分間混合する。組成物を例えばManesty(R)プレスで一層にプレスする。プレスの速度は20rpmに設定し、また、最大負荷は2トンに設定する。第一層を、第二層を形成する組成物にプレスし、そして二層錠をKilian(R)ドライコータープレスにフィードし、そして薬物を含まない塗膜、次いで外壁溶媒コーティングで囲む。
【0153】
別の製造において、有効成分(例えば非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬)ならびに出口手段に面する第一層を含んでなる他の成分を配合しかつ固体層にプレスする。該層は、投薬形態物中で該層が占有するはずである領域の内側寸法に対応する寸法を有し、そしてそれはまた、第二層と接触する配置を形成するためにそれに対応する寸法も有する。薬物および他の成分はまた、ボールミル粉砕、圧延、攪拌若しくはロール練りのような慣習的方法により溶媒とも配合しかつ固体若しくは半固体の形態に混合し得、そしてその後、予め選択した形状にプレスし得る。次に、膨張可能な層、例えば浸透圧ポリマー組成物の層を、同様の様式で薬物の層と接触させる。薬物製剤および浸透圧ポリマー層の積層(layering)を、慣習的な二層プレス技術により二次加工し得る。2個の接触させた層を、最初に、流動を促進する下塗り、そしてその後外側半透性壁で被覆する。空気浮遊および空気混転処置は、プレスした接触している第一および第二の層を、該第一および第二の層が壁組成物により囲まれるまで、遅れて形成する組成物を含有する空気流中
に浮遊かつ混転することに含んでなる。
【0154】
区画形成組成物を提供するのに使用し得る別の製造方法は、流動床造粒機中で粉末成分を配合することを含んでなる。粉末成分を造粒機中で乾式配合した後に、造粒液体、例えば水中ポリ(ビニルピロリドン)を粉末に噴霧する。被覆された粉末をその後造粒機中で乾燥する。この工程は、造粒液体を添加する際に、その中に存在する全成分を造粒する。顆粒を乾燥した後に、ステアリン酸若しくはステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤をトート(tote)若しくはV−ブレンダーを使用して造粒に混合する。顆粒をその後、上述された様式でプレスする。
【0155】
流動促進層をその後、プレスした核に適用する。半透性壁を、プレスした核および/若しくは流動促進層の外表面上に被覆する。半透性壁の素材をアセトン若しくはメチレンクロリドのような適切な溶媒に溶解し、そしてその後、米国特許第4,892,778号および同第4,285,987号明細書に記述されるとおり、プレスした形状に壁素材の溶媒に基づく溶液を成型、空気噴霧、浸積若しくははけ塗りすることにより、該形状に適用する。半透性壁の他の適用方法は、米国特許第2,799,241号明細書に記述されるところの、プレスした形状を空気および壁を形成する素材の流れ中で浮遊かつ混転する空気浮遊処置、およびパンコーティング技術を包含する。
【0156】
プレスした形状への半透性壁の適用後に、乾燥段階が一般に必要とされ、そしてその後、有効成分の適する出口手段を、半透膜を通って形成しなければならない。空洞内の有効成分および他の成分の特性、ならびに該投薬形態物の所望の放出速度に依存して、有効成分の送達のための1個若しくはそれ以上のオリフィスを、機械的孔あけ、レーザー孔あけなどにより半透膜を通って形成する。
【0157】
出口オリフィスは、投薬形態物の製造の間、若しくは使用の液体環境での該投薬形態物による薬物送達の間に提供し得る。本発明の目的上使用されるところの「出口オリフィス」という表現は、通路;開口部;オリフィス;若しくはボアを包含する。オリフィスは、大きさが投薬形態物の実質的に表面全体を包含する単一の大きなオリフィスから、半透膜の表面上に選択的に配置される1個若しくはそれ以上の小型オリフィスまでの範囲にわたりうる。出口オリフィスは、投薬形態物からの薬物の放出のため、円形、三角形、正方形、楕円形などのようないかなる形状も有し得る。投薬形態物は、間隔を開けられた離れた関係の1個若しくはそれ以上の出口、または投薬形態物の1個若しくはそれ以上の表面を伴い構築し得る。
【0158】
出口オリフィスは、壁により形成される区画の内径の10%から100%まで、好ましくは30%から100%まで、および最も好ましくは50%から100%まででありうる。好ましい態様において、薬物層は、壁により形成される区画の内径の最低100ミルないし100%、典型的には約125ミル(1インチの1/1000)から約185ミルまで、すなわち約3.175から約4.7mmまでの大きさの比較的大きいオリフィスを通る侵食可能な固体として、投薬形態物から放出される。薬物層の放出のさらなる遅延を提供することが望ましい場合は、より小さいオリフィスの使用を使用しうる。
【0159】
出口オリフィスは、外塗膜、内塗膜若しくは双方を通る機械的およびレーザー孔あけを包含する孔あけにより実施し得る。出口および出口を形成するための装置は、例えばTheeuwesとHiguchiへの米国特許第3,845,770号および同第3,916,899号明細書;Saundersらへの米国特許第4,063,064号明細書;ならびにTheeuwesらへの米国特許第4,088,864号明細書に開示されている。
【0160】
出口はまた、例えば米国特許第4,200,098号および同第4,285,987号明細書に開示されるところの、外塗膜若しくは壁または内塗膜から侵食、溶解する若しくは浸出されて出口オリフィスを形成する物質若しくはポリマーから形成される1個のオリフィルでもあり得る。1個のオリフィス若しくは複数のオリフィスを形成するのに適する代表的な素材は、無機および有機塩、無機若しくは有機酸化物、炭水化物のような液体で除去可能な孔形成体、浸出可能なポリ(グリコール)酸若しくはポリ(乳)酸ポリマー、ゲル状フィラメント、ポリ(ビニルアルコール)、浸出可能な多糖のようなポリマー、壁から浸出し得るソルビトールのような糖のような浸出可能な化合物を含んでなる。例えば、1個の出口若しくは複数の出口は、ソルビトール、乳糖、果糖、ブドウ糖、マンノース、ガラクトース、タロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウムおよびマンニトールを壁から浸出させることにより形成し得る。
【0161】
加えて、いくつかの態様において、浸透圧投薬形態物は、共通に所有されるDongらへの米国特許第6,491,683号明細書に記述されるところの一端若しくは双方の端が開放の押出成型管の形態にあり得る。該押出成型管の態様において、付加的な出口手段を提供することは必要でない。
【0162】
有効成分
多様な有効成分を該投薬形態物中で使用しうる。本明細書に記述される投薬形態物は、有効成分が迅速に代謝若しくは中和される場合、または耐性が発生する場合にとりわけ望ましいことができる有効成分の漸増する放出速度を提供するのにとりわけ有用である。該投薬形態物はまた、とりわけ大用量のこれらの剤が長時間にわたり若しくは長時間にわたり漸増する速度で送達されることが必要とされる場合に、処方するのが困難な若しくは乏しく溶解性の有効成分の持続放出を提供するのにも有用である。該投薬形態物はまた、有効成分の組合せの持続放出および長時間送達を提供するのにも有用であり、そして、有効成分間に溶解性の大きな不均衡が存在する場合でさえ多様な有効成分の比例した送達を提供し得る。
【0163】
制御放出投薬形態物により送達され得る有効成分は無機および有機有効成分を含んでなる。有効成分は、制限なしに、末梢神経、アドレナリン作動性受容体、コリン作動性受容体、中枢神経系、骨格筋、心血管系、平滑筋、血液循環系、シナプス部位、神経効果器接合部、内分泌系、ホルモン系、免疫学的系、臓器系、身体通路、生殖器系、骨格系、オータコイド系、オータコイドおよびヒスタミン系の栄養および排出系阻害剤に作用する有効成分を包含する。これらのレシピエント(recipient)に作用するために送達させ得る有効成分は、抗痙攣薬、鎮痛薬、抗糖尿病薬、抗パーキンソン薬、抗炎症薬、麻酔薬、抗菌薬、抗マラリア薬、駆虫薬、降圧薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、抗ヒスタミン薬、解熱薬、α−アドレナリン作動性受容体アゴニスト、α−アドレナリン作動性受容体遮断薬、殺生剤、殺菌剤、気管支拡張薬、β−アドレナリン作動性興奮薬、β−アドレナリン作動性遮断薬、避妊薬、心血管系薬、カルシウム拮抗薬、抑制薬、診断薬、利尿薬、電解質、催眠薬、ホルモン剤、ステロイド、血糖降下剤、筋収縮薬、筋弛緩薬、眼科用薬(ophthalmic)、精神賦活薬、副交感神経興奮薬、鎮静薬、選択的アンドロゲン受容体調節薬、選択的エストロゲン受容体阻害薬、交感神経興奮薬、精神安定薬、尿路薬、膣薬およびビタミンを包含する。有効成分は、該持続放出投薬形態物中に、遊離塩基の形態、またはその塩、酸、アミド、エステル、多形、溶媒和物、水和物、脱水物(dehydrate)、共結晶、無水物若しくは無定形の形態で包含され得る。
【0164】
適する有効成分は、例えば、タンパク質、酵素、酵素阻害剤、ホルモン、ポリヌクレオチド、核タンパク質、多糖、糖タンパク質、リポタンパク質、ポリペプチド、ステロイド、催眠薬および鎮静薬、精神賦活薬、精神安定剤、抗痙攣薬、抗うつ薬、筋弛緩薬、抗パーキンソン薬、鎮痛薬、抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、局所麻酔薬、筋収縮薬、抗菌薬、抗
マラリア薬、抗ウイルス薬、抗生物質、抗肥満薬、避妊薬を包含するホルモン剤、交感神経興奮薬、生理学的効果を導き出すことが可能なポリペプチドおよびタンパク質、利尿薬、脂質調節薬、抗アンドロゲン薬、駆虫薬、新生薬(neoplastics)、抗新生物薬、血糖降下剤(antihyperglycemic)、血糖降下剤(hypoglycemic)、栄養剤および栄養補助食品、成長補助剤、脂肪、眼科用薬、抗腸炎薬、電解質ならびに診断薬から選択しうる。
【0165】
本発明で有用な特定の有効成分の例はとくに制限しない。使用され得るすべての剤の名前を挙げることを試みないが、有効成分は、エジシル酸プロクロルペラジン、硫酸鉄、アルブテロール、アミノカプロン酸、塩酸メカミルアミン、塩酸プロカインアミド、硫酸アンフェタミン、塩酸メタンフェタミン、塩酸ベンズフェタミン、硫酸イソプロテレノール、塩酸フェンメトラジン、塩化ベタネコール、塩化メタコリン、塩酸ピロカルピン、硫酸アトロピン、臭化スコポラミン、ヨウ化イソプロパミド、塩化トリジヘキセチル、塩酸フェンホルミン、塩酸メチルフェニデート、テオフィリンコリネート(teophylline cholinate)、塩酸セファレキシン、ジフェニドール、塩酸メクリジン、マレイン酸プロクロルペラジン、フェノキシベンザミン、マレイン酸トリエチルペラジン、アニシンジオン、ジフェナジオンエリトリチル四硝酸塩(diphenadione erythrityl tetranitrate)、ジゴキシン、イソフルロフェート、アセタゾラミド、ニフェジピン、メタゾラミド、ベンドロフルメチアジド、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、グリクラジド、トブタミド、クロルプロパミド(chlorproamide)、トラザミド、アセトヘキサミド、メトホルミン、トログリタゾン、オルリスタット、ブプロピオン、ネファゾドン、トラザミド、酢酸クロルマジノン、フェナグリコドール、アロプリノール、アスピリンアルミニウム、メトトレキセート、アセチルスルフイソキサゾール、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチコステロン、酢酸コルチゾン、デキサメサゾンおよびベタメタゾンのようなその誘導体、トリアムシノロン、メチルテストステロン、17−β−エストラジオール、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール3−メチルエステル、プレドニソロン、17−β−ヒドロキシプロゲステロン酢酸塩、19−ノルプロゲステロン、ノルゲストレル、ノルエチンドロン、ノルエチステロン、ノルエチエデロン、プロゲステロン、ノルゲステロン、ノルエチノドレル、テルフエナジン(terfandine)、フェキソフェナジン、アスピリン、アセトアミノフェン、インドメタシン、ナプロキセン、フェノプロフェン、スリンダク、インドプロフェン、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、プロプラノロール、チモロール、アテノロール、アルプレノロール、シメチジン、クロニジン、イミプラミン、レボドパ、セレギリン、クロルプロマジン、メチルドパ、ジヒドロキシフェニルアラニン、グルコン酸カルシウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、セファレキシン、エリスロマイシン、ハロペリドール、ゾメピラク、乳酸鉄、ビンカミン、フェノキシベンザミン、ジルチアゼム、ミルリノン、カプトプリル、マンドール、クアンベンズ、ヒドロクロロチアジド、ラニチジン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、フルプロフェン、トルメチン、アルクロフェナク、メフェナミク、フルフェナミク、ジフニナール(difuninal)、ニモジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、リドフラジン、チアパミル、ガロパミル、アムロジピン、ミオフラジン、リシノプリル、エナラプリル、カプトプリル、ラミプリル、エナラプリラート、ファモチジン、ニザチジン、スクラルファート、エチンチジン、テトラトロール、ミノキシジル、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、アミトリプチリンおよびイミプラミン、ならびにこれらの有効成分の製薬学的塩を包含し得る。さらなる例は、限定されるものでないがインスリン、コルヒチン、グルカゴン、甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone)、副甲状腺および下垂体ホルモン、カルシトニン、レニン、プロラクチン、コルチコトロピン、甲状腺刺激ホルモン(thyrotropic hormone)、卵胞刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ウシソマトトロピン、ブタソマトロピン、オキシトシン、バソプレシン、デスモプレシン、プロラクチン、ソマ
トスタチン、リプレシン、パンクレオザイミン、黄体化ホルモン、LHRH、インターフェロン、インターロイキン、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモンおよびブタ成長ホルモンのような成長ホルモン、プロスタグランジンのような受精能阻害剤、受精能促進剤、成長因子、ならびにヒト膵ホルモン放出因子を挙げることができるタンパク質およびペプチドである。
【0166】
抗うつ薬の領域の有効成分は、例えば、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミン、(+)−トリミプラミンのような三級アミン三環性抗うつ薬;例えばアモザピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン(nortiriptyline)、プロトリプチリン(protriptyline)のような二級アミン三環性抗うつ薬;例えばフルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、ベンラファジンのようなセロトニン再取込み阻害薬;およびブルプロピオン、ネファゾドン、トラゾドン、フェネルジン、トラニルシプロミルン、セレギリンのような特殊な抗うつ薬、ならびにそれらの製薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択しうる。該投薬形態物は、典型的に、有効成分を含む組成物中に担体、例えば親水性ポリマーを包含しうる。
【0167】
特定の投薬形態物の製造において考慮するための因子は、患者の血漿中での該薬物の半減期、上部および下部消化管中での特定の薬物の相対的生物学的利用能および吸収、所定の用量の薬物に対し耐性が発生するかどうか、薬物の不適合性、相乗作用若しくは相互作用が起こるかどうか、特定の血漿プロファイルを維持するのに必要とされる用量などである。
【0168】
例えば、非ステロイド性抗炎症薬若しくは非オピオイド鎮痛薬を、持続放出投薬形態物を使用して長時間にわたり送達して、血漿中で長い半減期を有する有効成分について1日2回投薬若しくは1日1回投薬のようなより少なく頻繁な投薬レジメンを可能にし得る。付加的な有効成分を、例えば胃保護のため非ステロイド性抗炎症薬とともに包含し得る。胃保護薬は、ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト(例えばシメチジン、ラニチジン、ファモチジン若しくはニザチジン)、細胞保護薬(例えばミソプロストール、レバミピド、エカベット若しくはカルベノキソロン)、またはプロトンポンプ阻害薬(例えば、例えば第EP−A1−0005129号、第EP−A1−174 726号、EP−A1−166 287号、第GB 2 163 747号および第WO90/06925号、同第WO91/19711号、同第WO91/19712号、同第WO95/01977号、同第WO94/27988号、ならびにLundbergへの米国特許第6,610,323号に開示されるような、例えば、制限なしに、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール若しくはエソメプラゾールのようなα−ピリジルメチルスルフィニルベンズイミダゾール)を包含する。
【0169】
5−HTアゴニストを、例えば偏頭痛の処置のためのNSAIDの送達のための投薬形態物に包含し得る。5−HTアゴニストは、限定されるものでないがスマトリプタン、エレトリプタン(欧州特許出願第379314号明細書に記述される)、Allelix ALX 1323、リザトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、および米国特許第4,816,470号明細書に記述されるようなナラトリプタンを挙げることができるトリプタンのようなインドール誘導体;ジヒドロエルゴコルニン、ジヒドロエルゴクリスチン、ジヒドロエルゴクリプチン(αおよびβ)ならびにメシル酸ジヒドロエルゴタミン(DHE 45)を包含し、かつPlachetkaへの米国特許第6,586,458号明細書に記述されるところの、エルゴタミン(例えば酒石酸エルゴタミン)、ジヒドロエルゴタミン、ブロモクリプチン、エルゴノビンおよびメチルエルゴノビン(例えばマレイン酸エルゴノビン)、メチセルギドならびにメシル酸エルゴロイドのような麦角アルカロイドを制限なしに包含する。
【0170】
抗生物質もまた、本明細書に記述される持続放出投薬形態物を使用する送達のために処方し得る。経口で投与し得るいかなる抗生物質も該制御放出投薬形態物に包含し得る。抗生物質は、抗原生動物薬;抗蠕虫薬;グラム陽性およびグラム陰性球菌、グラム陽性およびグラム陰性桿菌、抗酸菌、スピロヘータ、アクチノミセス属を包含する細菌種;カンジダ、ヒストプラスマ、パラコクシジオイデス、スポロトリクス、コウジカビ、ムコル真菌症(mucormycoses)、クリプトコックスのような真菌の種;ウイルス;ならびにウレアプラスマ、マイコプラスマ、リケッチア、クラミジア、ニューモシスチスのような雑多な生物体に対し有効な剤を包含する。例示的抗生物質はエリスロマイシン、アモキシシリン、クラリスロマイシン、テトラサイクリン若しくはメトロニダゾールを包含する。乏しく溶解性、不溶性若しくは乏しく溶解する抗生物質は、理想的に、本明細書に記述される投薬形態物を使用して送達する。例えば、エリスロマイシンは、典型的に、1日あたり1〜2グラムの総1日用量について1日4回服用される250mg(若しくはそれ以上)の1個若しくはそれ以上の経口用量で必要とされる。1日あたり約8グラムの用量が処方されている。
【0171】
該投薬形態物は、トピラメート、イブプロフェン、アセトアミノフェン、ゲムフィブロジルなどのような乏しく溶解性の化合物の処方および送達にとりわけ良好に適する。該投薬形態物は、必要とされるこれらの剤の大用量ならびに処置の必要な患者へのこれらの剤の処方および送達における困難により、非オピオイド鎮痛薬(とりわけアセトアミノフェン)若しくは非ステロイド性抗炎症薬(例えばイブプロフェン、ケトプロフェン)の持続放出製剤を提供するのに有利に使用し得る。この点に関して、オピオイド鎮痛薬および非オピオイド鎮痛薬の組合せが本明細書に記述される投薬形態物の好ましい一態様である。
【0172】
非オピオイド鎮痛薬は非ステロイド性抗炎症薬として知られる化合物の分類を包含する。非オピオイド鎮痛薬の例は、アセトアミノフェン、アミノ安息香酸カリウム、アミノ安息香酸ナトリウムにより例示される乏しく溶解性のパラアミノフェノール誘導体を包含するが、しかし、アスピリン、スルファサラジン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウムおよびサリチル酸カリウムのようなサリチル酸誘導体;ベノキサプロフェン、デシブプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナプロキソール、オキサプロジンを包含するアリールプロピオン酸;ジクロフェナク、ケトロラク、トルメチンのようなヘテロアリール酢酸;インドメタシン、スリンダクを包含するインドールおよびインデン酢酸;セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、エトドラク、イブフェナク、ニメスルフィド、JTE−522、L−745,337若しくはNS398のような選択的COX−2阻害剤;ナブメトンのようなアルカノン;メロキシカム、ピロキシカム、ロルノキシカム、シンノキシカム、スドキシカム、テノキシカムを包含するオキシカム;メフェナム酸およびメクロフェナム酸のようなアントラニル酸もまた包含し得る。好ましい非オピオイド鎮痛薬はアセトアミノフェンおよびイブプロフェンを包含する。単一投薬形態物中の非オピオイド鎮痛薬の量は典型的には0.5mgないし1000mg、およびより典型的には約200と約600mgとの間である。
【0173】
有効成分はオピオイド鎮痛薬でもまたあり得る。代表的オピオイド鎮痛薬は、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン(anileridne)、ベンジルモルヒネベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、デソモルヒネ、デキシトロモルアミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、プロピルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロエニタバス(hydroenitabas)、ヒドロキシペチジン(hydrocypethidine
)、イソメサドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボルフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン(myrophine)、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ(nicomorphine)、ノルレボルファノール、ノルメサドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、あへん、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルホン(phenomorphone)、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピルトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドールおよびチリジンを制限なしに包含する。オピオイド薬物14の用量は0.1μgないし700mgである。
【0174】
使用方法
上述された投薬形態物は多様な方法で使用し得る。例えば、該投薬形態物は、障害若しくは状態の処置のためのヒト患者の血漿中での有効成分(例えばオピオイド鎮痛薬および非オピオイド鎮痛薬)の有効濃度の提供方法で使用し得る。該投薬形態物はまた、有効成分の持続放出およびヒト患者の胃腸管への送達の提供方法でも使用し得る。特定の態様において、該投薬形態物は、例えば、疼痛を処置するための有効量の鎮痛組成物の提供においてヒト患者での疼痛の処置方法で使用し得る、などである。
【0175】
該投薬形態物は、とりわけ有効成分が付加的な有効成分とともに使用される場合に、乏しく溶解性若しくは不溶性の製薬学的有効成分の持続放出を提供するのにとりわけ有用である。該投薬形態物は漸増する放出速度での有効成分の放出を提供し、そして、該放出速度は相互に比例することができ、患者における血漿濃度を平行する血漿濃度に、若しくは1種の剤が他の有効成分より遅い速度で代謝される場合に起こるであろうような異なる血漿濃度のいずれかに調整する独特の能力を提供する。有効成分は、それらの不活性化若しくは排泄速度が同様であり従って平行な血漿プロファイルを提供するように、または、それらの不活性化若しくは排泄速度が異なり従って分岐する血漿プロファイルを提供するように選ぶことができる。
【0176】
加えて、特定の有効成分に対する耐性すなわち脱感作が生じる場合には、漸増する放出速度は有効成分の有効な治療的レベルの維持における困難を克服する手段を提供する。従って、耐性の発生もしくは阻害性受容体からの遅い解離速度による有効性のいかなる低下についても、増大する血漿濃度が、患者中の標的受容体が該有効成分に対しより少なく感受性になっている環境下でさえ、該有効成分のいかなる低下された有効性についても補償する手段を提供する。
【0177】
図8AおよびBに示されかつ下により詳細に論考されるとおり、ヒドロコドンの3種の異なる漸増する放出速度がヒト患者において変動する漸増する血漿プロファイルを生じた一方、アセトアミノフェンの同一の漸増する放出速度はヒト患者において漸増、0次若しくは減少する血漿プロファイルのいずれかを生じた。従って、該有効成分の血漿プロファイルは、有効成分の放出速度および代謝的不活性化の速度の双方に極めて感受性であるようである。
【0178】
実施例3に詳細に記述されるとおり、本明細書に記述される持続放出投薬形態物の生物学的利用能、ならびに4時間ごとに投薬される即時放出投薬形態物((NORCO(R))に対するそれらの生物学的同等性を決定するための臨床試験が実施された。ヒト患者で生じられる薬物動態パラメータは、これと同日付に出願された第ALZ5130号(その開示はそっくりそのまま引用することによりここに組み込まれる)に詳細に提示されている。
【0179】
この臨床試験において、数種の代表的投薬形態物の生物学的利用能、および即時放出投薬形態物(NORCO(R)、1錠を4時間ごとに3用量)とのそれらの生物学的同等性が示された。およそ6、8および10時間のT90を生じる多様な放出速度を有する投薬形態物を試験した。図8AおよびBは、およそ6、8および10時間のT90を有する代表的投薬形態物の投与後、ならびにアセトアミノフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩を含んでなる即時放出投薬形態物の4時間ごとの投与後に観察されるヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの平均in vivo血漿プロファイル間の比較を具体的に説明する。これらの図が具体的に説明するとおり、実施例1の手順に従って製造した3種の投薬形態物のそれぞれの2錠を受領する志願者は、時間0での経口投与後にヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの血漿濃度の急速な上昇を表した。該投薬形態物は、ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの血漿濃度の急速な上昇、次いで、1日2回の投薬に適する、患者の血漿中の治療上有効な濃度を長時間提供するのに十分なヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの持続放出を生じた。
【0180】
レジメンA、BおよびCの投薬形態物の全3種がヒドロコドンの漸増する血漿プロファイルを生じた(図8Aを参照されたい)一方、レジメンAのみがアセトアミノフェンの漸増する血漿プロファイルを生じた。それらのより遅い薬物放出速度を伴うレジメンBおよびCは、アセトアミノフェンの迅速な代謝により、この薬物の0次若しくは下降する血漿プロファイルさえ生じた速度でアセトアミノフェンを提供した。従って、薬物の薬物動態特性および個々の患者の代謝に依存して、in vitroでの薬物の漸増する放出速度は、in vivoで漸増、0次若しくは下降する血漿プロファイルとして明示され得る。
【0181】
その上本発明はその好ましい特定の態様とともに記述されたこと、上の記述ならびに後に続く実施例は具体的に説明することを意図しておりかつ本発明の範囲を制限することを意図していないことが理解されるべきである。本発明の実務は、別の方法で示されない限り、当該技術分野の熟練内にある有機化学、高分子化学、製薬学的製剤などの慣習的技術を使用することができる。本発明の範囲内の他の局面、利点および改変は、本発明が属する技術分野の当業者に明らかであろう。こうした技術は文献に完全に説明されている。
【0182】
上および下双方に本明細書に挙げられる全部の特許、特許出願および公開は、ここに引用することにより組み込まれる。
【0183】
以下の実施例において、使用される数字(例えば量、温度など)に関する正確さを確認するための努力がなされたが、しかし何らかの実験の誤差および偏差が計上されるべきである。別の方法で示されない限り、温度は℃でありかつ圧は大気圧若しくはそれ近くである。全部の溶媒はHPLC等級として購入した。
略語:
APAP:アセトアミノフェン
AUC:血漿濃度−時間曲線下面積
HBH:ヒドロコドン重酒石酸塩
HC:ヒドロコドン
HEC:ヒドロキシエチルセルロース
HM:ヒドロモルホン
HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース
HPC:ヒドロキシプロピルセルロース
PEO:ポリ(エチレンオキシド)
PVP:ポリビニルピロリドン
[実施例]
【実施例1】
【0184】
500mgのアセトアミノフェンおよび15mgのヒドロコドンを含有する投薬形態物を、後に続くところの手順を使用して製造した。
【0185】
薬物層造粒の製造
25キログラムロットの薬物層を、媒体流動床造粒機(medium fluid bed granulator)(mFBG)を使用して造粒した。実験的スケールアップ作業の間に確立されたところの圧縮した核中で標的薬物量を維持するために、5%製造過剰のヒドロコドン重酒石酸塩(HBH)を添加した。結合剤溶液を、精製水にポビドンを溶解して7.5重量%溶液を作成することにより調製した。
【0186】
指定された量のAPAP、ポリエチレンオキシド200K(ポリオックスN−80)、クロスカルメロースナトリウム(Ac−di−sol)およびポロキサマー188をFBGボウルに充填した。床を流動化し、そして結合剤溶液をその直後に噴霧した。1000gの結合剤溶液をボウルに計量した後に、造粒工程を停止し、予め秤量したHBHをその後、それを造粒中の穴に入れかつそれを完全に覆うことによりボウルに充填した。該技術を使用して、フィルター袋を通って喪失された薬物の量を最小限にした。予め決められた量の結合剤溶液を噴霧した後に、噴霧機の電源を切り、そして標的水分含量が達成されるまで造粒を乾燥した。造粒をその後、10メッシュ篩を取付けた流動空気ミルを使用しかつ2250rpmの微粉砕速度を使用して微粉砕した。
【0187】
微粉砕したBHTをその後、加工の間に造粒中のポリエチレンオキシドおよびポロキサマーから喪失されたBHTを補充するために添加した。BHTはポリエチレンオキシドおよびポロキサマー中で粘度を維持するために必要とされる。原料を、40メッシュ篩を通して手動篩過した。適切な量のBHTを、Gemcoブレンダーを使用するブレンダー中で造粒の上部に分散し、該混合物を10分間配合し、次いで同一のブレンダーを使用してステアリン酸およびステアリン酸マグネシウムを造粒中に1分間配合した。ステアリン酸およびステアリン酸マグネシウムは、ブレンダー中で原料に配合する前に40メッシュ篩を通して大きさ設定した。それらは、核圧縮の間のダイからの核の取出しを容易にするために添加した。
【0188】
浸透圧押し層造粒の製造
塩化ナトリウム(NaCl)および酸化鉄の凝集体を、21メッシュ篩を取付けたQuadro Comilにより微粉砕した。指定された量のポリエチレンオキシド、微粉砕したNaClおよび微粉砕した酸化鉄をトート中に積層した。ポリエチレンオキシドのおよそ半分が底にあり、そして物質の残りが中間にあった。残存するポリエチレンオキシドは上部にあった。このサンドイッチ効果はNaClが再凝集することを予防する。ポビドンを精製水に溶解して13%の固形物を含む結合剤溶液を作成した。適切な量の結合剤溶液を、造粒を作成するために調製した。
【0189】
トート中の乾燥成分をFBGボウルに充填した。床を流動化し、そして、結合剤溶液を所望の入口空気温度が達成されたらすぐに噴霧した。流動化空気流を、40003/時の最大空気流に達するまで、およそ3分ごとの噴霧について500m3/時ずつ増大させた。予め決められた量の結合剤溶液を噴霧した後(48.077kg)、噴霧機の電源を切り、そして造粒を標的水分含量まで乾燥した。造粒をその後、7メッシュ篩を取付けた流動空気ミルを使用して1530Lのトート中に微粉砕した。
【0190】
微粉砕したBHTを、ポリエチレンオキシドおよびポロキサマーの造粒の分解を予防するために添加した。原料を、40メッシュ篩を通して手動篩過した。適切な量のBHTをその後、トート中の造粒の上部に分散した。トートタンブラーを使用して、混合物を8r
pmで10分間配合し、次いで、ステアリン酸を造粒中にトートタンブラーを使用して8rpmで1分間配合した。ステアリン酸は、トート中で物質に配合する前に40メッシュ篩を通して大きさ設定した。それは圧縮の間のダイからの錠剤の取出しを容易にするために添加した。
【0191】
二層核の圧縮
薬物層造粒および浸透圧押し造粒を、標準的圧縮手順を使用して二層核に圧縮した。Korschプレスを使用して、二層が長軸方向に圧縮された錠剤(LCT)を製造した。該プレスは、丸い深い凹型のパンチおよびダイを伴う1/4インチLCTパンチおよびダイを用いて設定した。造粒を、プレス中の適切な位置若しくはステーションに至るホッパー中にすくい取った。適切な量の薬物層造粒をダイに添加し、そしてプレスの第一圧縮ステーション上で軽く詰めた。押し造粒をその後添加し、そして錠剤を、プレスの第二のステーションの主圧縮ロールの下で最終の錠剤の厚さまで圧縮した。
【0192】
打錠パラメータ(薬物層)の初期調節を、各錠剤中に典型的に330mgのAPAPおよび10mgのヒドロコドンを含有する413mgの均一な標的薬物層重量を伴う核を製造するように実施する。薬物層を浸透圧層に結合して均一な最終の核の重量、厚さ、硬度および脆性を伴う核を製造する打錠パラメータの第二層の調節(浸透圧押し層)を実施する。前述のパラメータは、充填空間および/若しくは力の設定を変動させることにより調節し得る。
【0193】
錠剤重量を制御するため、プレスは、ダイ中の充填深さを変えることにより造粒の充填量を調節する、圧縮力に基づく自動充填量制御装置を有する。圧縮力およびプレス速度を必要なように調節して、満足すべき特性をもつ錠剤を製造した。薬物層の標的重量は413mgであり、また、押し層の標的重量は138mgであった。前圧縮力は、質の高い核を得るのに必要なように調節された60Nであり、そして最終圧縮はまた必要なように調節された6000Nであった。プレス速度は13rpmであり、そして14個のステーションが存在した。
【0194】
下塗り溶液および下塗りした系の製造
圧縮した核を、17mg/核の標的下塗り重量まで被覆した。サブコーティング(subcoating)溶液は6重量%の固形物を含有し、そしてステンレス鋼製混合容器中で調製した。固形物(95%ヒドロキシエチルセルロースNFおよび5%ポリエチレングリコール3350)を100%水に溶解した。適切な量の水を最初に混合容器に移した。水を攪拌しながら、適切な量のポリエチレングリコール、次いでヒドロキシエチルセルロースを混合容器に充填した。物質は全部の固形物が溶解するまで該容器中で一緒に混合した。
【0195】
Vector Hi−Coaterを被覆処置に使用した。該塗布機を始動し、そして標的排気温度に到達した後、二層核(公称1ロットあたり9kg)を塗布機に入れた。コーティング溶液をその直後に回転錠剤床に噴霧した。コーティング工程を通じて規則的間隔で重量増加を測定した。所望の湿重量増加が達成された(核あたり17mg)場合に、コーティング工程を停止した。
【0196】
速度制御膜および膜コート系の製造
膜コーティング溶液は、二層核中への所望の水浸透速度を得るために、変動する比率のセルロースアセテート398−10およびポロキサマー188を含有し、そして下のA、BおよびCに記述されるとおり所望の重量増加量まで核上に被覆した。重量増加は、放出速度アッセイにおける変動する厚さの膜のT90と相関しうる。所望のT90のための所望の膜重量増加の獲得により便宜的に決定される十分な量の溶液を適用した場合に、膜コ
ーティング工程を停止した。
【0197】
コーティング溶液は5重量%の固形物を含有し、そして20ガロンの閉鎖ジャケット付ステンレス鋼製混合容器中で調製した。固形物(6若しくは8時間のT90を有する投薬形態物について、下のAおよびBに記述される75%セルロースアセテート398−10および15%ポロキサマー188、または下のCに記述される10時間のT90を有する投薬形態物について、80%セルロースアセテート398−10および20%ポロキサマー188、双方とも痕跡量のBHT、0.0003%を含有する)を、99.5%アセトンおよび0.5%水(w/w)よりなった溶媒に溶解し、そして適切な量のアセトンおよび水を該混合容器に移した。攪拌しながら該容器を25℃ないし28℃に加熱し、そしてその後熱水供給を止めた。適切な量のポロキサマー188、セルロースアセテート398−10およびBHTを、予熱したアセトン/水溶液を含有する混合容器に充填した。物質を、全部の固形物が溶解するまで容器中で一緒に混合した。
【0198】
下塗りした二層核(ロットあたりおよそ9kg)をVector Hi−Coaterに入れた。該塗布機を始動し、そして標的排気温度に到達した後に、コーティング溶液を回転錠剤床に噴霧した。コーティング工程を通じて規則的間隔で重量増加を測定した。所望の湿重量増加が達成された場合に、コーティング工程を停止した。
【0199】
特定のT90値を有するコート核を得るために、適切なコーティング溶液を、下のA、BおよびCに記述されるとおり、所望の膜重量増加が得られるまで回転錠剤床に均一に適用した。コーティング工程を通じて規則的間隔で重量増加を測定し、そしてサンプルの膜コート単位を、実施例4に記述されるところの放出速度アッセイで試験して、コート単位のT90を決定した。
【0200】
膜を40mgの重量増加まで二層核に被覆し、そして放出速度アッセイで約6時間のT90を有する投薬形態物を生じた(すなわち、薬物のおよそ90%が6時間で投薬形態物から放出される)。
【0201】
膜を59mgの重量増加まで二層核に被覆して、放出速度アッセイで決定されるところの約8時間のT90を有する投薬形態物を生じた。
【0202】
膜を、60mgの重量増加まで二層核に被覆し、そして放出速度アッセイで約10時間のT90を有する投薬形態物を生じた。
膜コート系の孔あけ
1個の出口を、膜コート系の薬物層端に孔あけした。
【0203】
孔あけ工程の間、サンプルを、オリフィスの大きさ、位置および出口の数について規則的間隔で確認した。
【0204】
孔あけしたコート系の乾燥
乾燥する前に、対になったおよび破損した系を必要なようにバッチから除去した。錠剤を、対になった系を選別しかつ除去するために孔あきトレイを人的に通過させた。1個の出口を、LCTレーザーを使用してコート核に孔あけした。出口直径は4.5mmを標的とし、これを膜コート核の薬物層ドームに孔あけした。孔あけ工程の間、3個の錠剤を、オリフィス大きさ測定のため定期的に取り出した。許容品質限界(AQL)検査を同様に実施した。
【0205】
上のとおり製造した、孔あけしたコート系を孔あきオーヴントレイに載せ、そして45℃および45%相対湿度の相対湿度オーヴン中の棚に入れ、そして72時間乾燥して残留
溶媒を除去した。湿式乾燥に次いで45℃および周囲相対湿度で最低4時間乾燥した。
【0206】
薬物コーティングの適用
薬物コーティングを上述された孔あけした投薬形態物上に提供した。コーティングは、HPMC 2910(Dowにより供給される)およびコポビドン(Kollidon(R)VA 64、BASFにより供給される)の配合物から形成される6.6重量%の薄膜形成剤を包含した。HPMCは薬物コーティングの3.95重量%に相当し、また、Kollidon(R)VA 64は薬物コーティングの2.65重量%に相当した。薬物コーティングはまた、粘度増強剤としてHPC(Klucel(R)MF)も包含した。HPCは薬物コーティングの1.0重量%に相当した。APAPおよびHBHを薬物コーティングに包含し、該2種の薬物は薬物コーティングの92.4重量%に相当した。APAPは薬物コーティングの90重量%に相当し、HBHは薬物コーティングの2.4重量%に相当した。
【0207】
薬物コーティングを形成するため、水性コーティング製剤を、溶媒として米国薬局方精製水を使用して創製した。コーティング製剤は20重量%の固形物含量および80重量%の溶媒含量を包含した。コーティング製剤に負荷した固形物は、完成した薬物コーティングを形成したものであり、そして、該固形物は、完成した薬物コーティング中に含有されると同一の相対比率でコーティング製剤に負荷した。2個のステンレス鋼製容器を、最初に2種の別個のポリマー溶液を混合するために使用し、そしてその後、該ポリマー溶液を、HBHおよびAPAPを添加する前に合せた。コポビドンは24kgの水(水全体の2/3)を含有する第一の容器中で溶解し、次いでHPMC E−5を添加した。この容器に2個のミキサーを装備し、その一方は上に配置しかつ他方は容器の底の側方に配置した。Klucel MF(HPC)を1200グラムの水(必要とされる水の1/3)を含有する第二の容器に溶解した。双方のポリマー溶液を溶液が澄明になるまで混合した。次に、HPC/水溶液を、コポビドン/HPMC/水を含有した容器に移した。その後HBHを添加し、かつ、完全に溶解するまで混合した。最後に、APAP(および場合によってはAc−di−sol)をポリマー/HBH/水溶液に添加した。混合物を均一な懸濁液が得られるまで継続して攪拌した。懸濁液は噴霧する間に混合された。
【0208】
コーティング製剤を形成した後、薬物コーティングを、2個のMarsterflex蠕動ポンプヘッドを装備した24インチHigh−Coater(CA番号66711−1−1)を使用して、孔あけした投薬形態物上に形成した。3ロットの全部を195mg/核の同一標的重量増加まで被覆した(199.7mgの平均コーティング重量)。
【0209】
色および透明保護被膜
任意の色若しくは透明塗膜溶液を、蓋の付いたステンレス鋼製容器中で調製した。色塗のため、88部分の精製水を12部分のOpadry IIと溶液が均一になるまで混合した。透明塗のため、90部分の精製水を10部分のOpadry Clearと溶液が均一になるまで混合した。上のとおり調製した乾燥した核を回転する穿孔パンコーティング装置に入れた。塗布機を始動し、そしてコーティング温度が達成された後(35〜45℃)、色塗溶液を回転錠剤床に均一に適用した。所望の色保護被膜重量増加が達成される場合に便宜的に決定されるところの十分な量の溶液を適用した場合に、色塗工程を停止した。次に、透明塗溶液を回転錠剤床に均一に適用した。十分な量の溶液を適用した、すなわち所望の透明塗重量増加が達成された場合に、透明塗工程を停止した。流動剤(例えばカルヌボ(Carnubo)蝋)を、場合によっては、透明塗適用後に錠剤床に適用し得る。
【0210】
上述された投薬形態物を構成する成分を、下の表1に重量パーセント組成として示す。
【0211】
【表1】
【0212】
上述されたとおり製造した投薬形態物を、実施例2に記述されるところの放出速度アッセイで試験し、また、下の実施例3に記述される臨床試験においてヒトで試験した。
【実施例2】
【0213】
上述された投薬形態物からの薬物の放出速度を、以下の標準化したアッセイで測定した。該方法は900mlの酸性化した水(pH3)中に系を放出することを必要とする。サンプル放出速度溶液のアリコートをクロマトグラフィー装置に注入して、指定された試験間隔の間に放出された薬物の量を定量した。薬物をC18カラムで分離し、そしてUV吸収(アセトアミノフェンについて254nm)により検出した。定量は、最低5個の標準点を含有する標準曲線からのピーク面積の直線回帰分析により実施した。
【0214】
サンプルを、米国薬局方7型間隔放出装置の使用を伴い調製した。試験されるべき各投薬形態物を秤量し、その後尖らせた一端を有するプラスチック製棒に接着し、そして各棒を放出速度パケットアームに取付けた。各放出速度パケットアームを、1周期あたり約3cmおよび2ないし4秒の振幅で作動する上下往復振とう器(米国薬局方7型間隔放出装置)に固定した。取付けた系を伴う棒の端を、37℃±0.5℃に制御した恒温水浴中で平衡化した50mlの酸性化したH2O(リン酸でpH3.00.+−.0.05に酸性化した)を含有する50mlの較正した試験管に継続的に浸積した。90分の各時間間隔の終了時に、投薬形態物を、新鮮な酸性化した水を含有する次の列の試験管に移した。該過程を、放出が完了するまで所望の数の間隔について反復した。その後、放出された薬物を含有する溶液チューブを取り出し、そして室温に冷まさせた。冷却した後、各チューブを酸性化した水で50ml標線まで満たし、溶液のそれぞれを徹底的に混合し、そしてその後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析のためサンプルバイアルに移した。薬物の標準溶液を、5マイクログラムないし約400マイクログラムの範囲を包含する濃度増分で調製し、そしてHPLCにより分析した。標準濃度曲線は直線回帰分析を使用して構築した。放出試験から得られる薬物のサンプルをHPLCにより分析し、そして薬物の濃度を直線回帰分析により決定した。各放出間隔に放出された薬物の量を計算した。
【0215】
本発明の多様な投薬形態物の放出速度アッセイの結果を図2〜7、および下の表2に具体的に説明する。59mgの75/25 CA398−10/Pluronic F68の膜コーティング重量を有する投薬形態物は、図2Aおよび2Bに示されるとおり約8時間のT90を表すことが示され、また、累積放出率グラフを図3および図5A〜Dに具体的に説明する。図2および3から知ることができるとおり、投薬形態物はアセトアミノフェンおよびヒドロコドンを漸増する放出速度で放出して、それにより、時間の関数としての放出された薬物のパーセントは一定の放出速度を表さないが、しかし、代わりに薬物の約80%ないし90%が放出されるまで時間とともにわずかに増大する。アセトアミノフェンおよびヒドロコドンの放出速度の増大は、薬物層が排出される際の押し置換層の増大された浸透圧活性により、そして薬物コーティングの非存在ならびに存在下で観察された。図2Aおよび2Bならびに図5Aに示されるとおり、薬物コーティングを有する投薬形態物もまた漸増する放出速度を表し、また、薬物コーティングからの総用量の約1/3の初期放出を表す。1時間以内に起こる初期ピークヒドロコドン放出速度が観察され、そして、放出アッセイの水性環境への該投薬形態物の導入後約5ないし7時間以内に起こる第二のピーク放出速度が観察された。図5Cもまた、薬物コーティングからのアセトアミノフェンの初期放出、次いで約7時間までのわずかに漸増する放出速度を示す。放出された累積薬物は、ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンについてそれぞれ図5Bおよび5Dに示され、そして、初期の薬物放出、次いでわずかに漸増する放出速度を示す。
【0216】
40mgの75/25 CA398−10/Pluronic F68の膜コーティング重量を有する投薬形態物が、図2Aおよび2Bならびに図6A〜Dに示されるとおり約6時間のT90を表すことが示された。図6Aに示されるとおり、薬物コーティングを有する投薬形態物は、薬物コーティングからのヒドロコドンの総用量の約1/3の初期放出
、次いで、約4ないし6時間以内に起こる第二のピーク放出速度までのヒドロコドンの漸増する放出速度を表す。図6Cは、薬物コーティングからのアセトアミノフェンの初期放出、次いで約5〜6時間のわずかに漸増する放出速度を示す。放出される累積薬物は、ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンについてそれぞれ図6Bおよび6Dに示され、そして初期の薬物放出、次いでわずかに漸増する放出速度を示す。
【0217】
60mgの80/20 CA398−10/Pluronic F68の膜コーティング重量を有する投薬形態物は、図2Aおよび2Bならびに図7A〜Dに示されるとおり約10時間のT90を表すことが示された。これらの投薬形態物は、6および8時間のT90値を有することを特徴とする先行する系より平坦な放出プロファイルを示す。図7Aに示されるとおり、薬物コーティングを有する投薬形態物は、該薬物コーティングからのヒドロコドンの総用量の約1/3の初期放出、次いで約7ないし8時間以内に起こる第二のピーク放出速度までのヒドロコドンのわずかに漸増する放出速度を表す。図7Cは、薬物コーティングからのアセトアミノフェンの初期放出、次いで約5〜6時間のわずかに漸増する放出速度を示す。放出される累積薬物は、ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンについてそれぞれ図7Bおよび7Dに示され、そして初期の薬物放出、次いでわずかに漸増する放出速度を示す。
【0218】
実施例1からのサンプルA、BおよびCで実施した放出速度アッセイの結果を、下の表2に示す。累積放出を表3および4に提示する。
【0219】
【表2】
【0220】
これらのデータが示すとおり、該投薬形態物は長時間にわたり漸増する放出速度を表す。薬物コーティングの存在により、該持続放出投薬形態物からの初期放出速度は1時間の時点で決定し得ない。しかしながら、該投薬形態物は、2時間の時点から約T70の時間間隔で生じる最大まで放出速度の増大を示し、6時間のT90を有する投薬形態物について時間2と5との間に存在するヒドロコドン重酒石酸塩およびアセトアミノフェンの放出速度のそれぞれ約69%および74%の増大;8時間のT90を有する投薬形態物について時間2と7との間に存在するヒドロコドン重酒石酸塩およびアセトアミノフェンの放出速度のそれぞれ約86%および96%の増大;ならびに10時間のT90を有する投薬形
態物について時間2と5との間に存在するヒドロコドン重酒石酸塩およびアセトアミノフェンの放出速度のそれぞれ約48%および20%の増大を表す。放出速度の増強は10時間未満のT90を有する投薬形態物について最も顕著である。
【0221】
【表3】
【0222】
【表4】
【実施例3】
【0223】
実施例1で製造した投薬形態物のin vivo有効性および安全性を後に続くとおり試験した:
24名の健康志願者(12名の男性および12名の女性)を、オープンラベル無作為化4期間交差試験デザインのフェーズI臨床試験に参入させた。等しい数の男性被験者および女性被験者を4群の1つに一緒に対にした。各性の範疇内の被験者を、順序の偏りならびに順序および性の交絡を回避するために、下述されるレジメンの4順序に無作為に割り当てた。
【0224】
4種の処置の選択肢を順番に試験し、単一処置レジメンを試験第1日に投与した。最低6日のウォッシュアウト期間を、投薬日を分離するために包含した。各処置群は、1例外を除き、下の表5に示されるとおり、試験の経過の間、4種の処置のそれぞれを受領した。その例外は薬物動態パラメータの解析に包含しなかった。4期間のそれぞれについて、被験者に、後に続くところの4種の処置の選択肢の1つを経口投与により与えた:
およそ6時間の標的T90値を有する、実施例1に記述された方法により製造した制御放出HBH/APAP生成物(合計で30mgのHBHおよび1000mgのAPAPになる2個の錠剤)(レジメンA);
およそ8時間の標的T90値を有する、実施例1に記述された方法により製造した制御放出HBH/APAP生成物(合計で30mgのHBHおよび1000mgのAPAPに
なる2個の錠剤)(レジメンB);
およそ10時間の標的T90値を有する、実施例1に記述された方法により製造した制御放出HBH/APAP生成物(合計で30mgのHBHおよび1000mgのAPAPになる2個の錠剤)(レジメンC);若しくは
参照薬物NARCO(R)、すなわち12時間にわたる合計3回の投与の間4時間ごとに投与される、10mgのHBHおよび325mgのAPAPを含有するHBHおよびAPAPの即時放出製剤(レジメンD)。
【0225】
【表5】
【0226】
レジメンA〜Cの制御放出生成物およびレジメンDの初回用量は、厳格な絶食条件下で試験第1日に投与した。処置レジメンA〜Cを受領する各被験者から、後に続くところの投与後の適切な時点で薬物動態サンプリングのため血液サンプルを収集した:0、0.25時間、0.5時間、0.75時間、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、36時間、48時間。処置レジメンDを受領する被験者について、後に続くところの初回用量の投与後の適切な時点で血液サンプルを収集した:0、0.25時間、0.5時間、0.75時間、1時間、2時間、4時間、4.25時間、4.5時間、5時間、6時間、8時間、8.25時間、8.5時間、9時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、36時間、48時間。
【0227】
血液サンプルを処理してさらなる分析のため血漿を分離し、そして、ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの血漿濃度を、ヒドロコドンについて0.092と92ng/mL、およびアセトアミノフェンについて5と10,000ng/mLの間の定量を伴う検証されたHPLC/MS/MS法を使用して測定した。
【0228】
ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの薬物動態パラメータの値を、非コンパートメント法を使用して推定した。血漿濃度を、薬物動態パラメータの決定における効力について調節した。
【0229】
最大の観察された血漿濃度(Cmax)およびCmaxまでの時間(ピーク時間、Tmax)を、血漿濃度−時間データから直接決定した。末期排泄速度定数(β)の値を、プロファイルの終末対数直線期からの時間データに対する血漿濃度の対数の最小二乗直線回帰の傾きから得た。終末対数直線期は、WinNonlin−ProfessionalTM、バージョン4.0.1(Pharsight Corporation、カリフォルニア州マウンテンビュー)および目視を使用して同定した。3個の濃度−時間データ点の最小を使用してβを決定した。末期排泄半減期(t1/2)をln(2)/βとして計算した。
【0230】
時間0から最後の測定可能な濃度の時間(AUCt)までの血漿濃度−時間曲線下面積(AUC)を、直線台形公式により計算した。AUCは、最後の測定可能な血漿濃度(C
t)をβにより除算することにより無限時間まで外挿した。AUCの外挿された部分をAUCextにより示して、時間0から無限時間までのAUC(AUC∞)を、後に続くとおり計算した:
AUC∞=AUCt+AUCext
AUC∞全体への外挿したAUC(AUCext)の寄与のパーセントを、AUCextをAUC∞により除算しかつこの商を100により乗算することにより計算した。見かけの経口クリアランス値(CL/F、式中Fは生物学的利用能である)を、投与された用量をAUC∞により除算することにより計算した。
【0231】
それらの薬物動態パラメータ値と一緒のヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの血漿濃度を、各被験者および各レジメンについて表にし、そして要約統計量を各サンプリング時間および各パラメータについて計算した。
【0232】
IRレジメンの生物学的利用能に関しての各CRレジメンの生物学的利用能を、AUCの自然対数の解析から得た90%信頼区間を介して、2つの片側検定手順により評価した。これらの信頼区間は、信頼区間の終点を平均対数の差違について累乗することにより得た。
【0233】
上の解析を、効力について補正した薬物動態パラメータで実施した。
結果
ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの血漿濃度を図8Aおよび8Bに示す。これらの図が具体的に説明するとおり、実施例1の手順に従って製造した3種の投薬形態物のそれぞれの2個の錠剤を受領する志願者は、時間0での経口投与後にヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの血漿濃度の急速な上昇を表した。ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの血漿濃度は、薬物コーティングからのヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの放出により初期ピークに達する。ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの初期放出の後に、該投薬形態物の持続放出が、患者へのヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの連続放出を提供する。
【0234】
試験レジメンA(6時間放出の原型)、B(8時間放出の原型)およびC(10時間放出の原型)は、生物学的同等性を評価するための90%信頼区間が0.80ないし1.25の範囲内に含有されたため、ヒドロコドンおよびアセトアミノフェン双方のAUCに関して参照レジメンD(NARCO(R))と同等であった。
【0235】
試験レジメンAは、生物学的同等性を評価するための90%信頼区間が0.80ないし1.25の範囲内に含有されたため、ヒドロコドンのCmaxに関して参照レジメンDと同等であった。レジメンDに比較して、レジメンBおよびCのヒドロコドンのCmaxの中央値は16%および25%より低かった。レジメンDに比較して、レジメンA、BおよびCのアセトアミノフェンのCmaxの中央値は9%ないし13%より低かった。
【実施例4】
【0236】
製剤を、ある種の製剤により提供されるin vitro/in vivo相関を検討するために製造した。該製剤は、薬物コーティングおよび透明塗をこれらの製剤から省いたことを除き、表6に示されるところの組成を使用して実施例1に記述されるとおり製造した。半透膜組成は75%セルロースアセテート/25%ポロキサマー188であった。製剤番号1は、滑沢剤として0.75%ステアリン酸および0.25%ステアリン酸マグネシウムもまた含有した一方、製剤番号2は滑沢剤として1.0%のステアリン酸を含有した。in vitro放出測定は実施例2で上述されたとおり行った。
【0237】
【表6】
【0238】
in vivoの性能を、3種の投薬形態物を2時間間隔で12時間投与することによりイヌで試験した。全部の系を13番目の時間後に取得し、そして残留薬物について分析した。in vivoでの該系の通過時間および堅牢性もまた測定した。残留薬物の量を通過時間と相関させた。
【0239】
in vivo試験の結果は、界面活性剤を有しない投薬形態物がin vitroで有効成分を送達したが、しかしin vivo送達は該投薬形態物への溶解されない薬物層の付着によりいくつかの場合に遅延されたことを示した。該投薬形態物からのアセトアミノフェンの完全送達および良好なin vitro/in vivo相関を達成するために、少なくとも、試験した高濃度のアセトアミノフェンを含有する投薬形態物では、より多量の界面活性剤の存在が望ましかったことが結論づけられた。
【実施例5】
【0240】
付加的な製剤を、高装填量のアセトアミノフェンおよびより少量のヒドロコドン重酒石酸塩を含有する投薬形態物の制御放出を提供するための代替の結合剤、崩壊剤、ポリオックスN−80および界面活性剤を検討するために製造した。これらの製剤は、以下の組成を使用して、実施例1に示された一般的手順に従って製造し、そして該製剤は薬物コーティング若しくは透明塗を欠いた。半透膜組成は75%セルロースアセテート/25%ポロキサマー188であった。全部の製剤は追加の1%の滑沢剤を含有した。
【0241】
【表7】
【0242】
これらの製剤を製造し、そして実施例2に記述されるところのin vitro放出速度アッセイで試験した。該製剤は、一般に、約20〜60mg/hrの速度でアセトアミノフェンを放出し、そして8〜9時間について平均およそ40mg/hrであった。界面活性剤Myrjを使用して製造した製剤は、Poloxamerを使用して製造した製剤に匹敵する放出速度および放出のパターンを有した。
【0243】
製剤4〜6は超微粉アセトアミノフェンを使用して製造し、そして放出速度はより変動性であるようであった。Tween 80およびCremophor ELの使用はPoloxamer若しくはMyrjに匹敵する放出速度をもたらした。製剤7〜9は超微粉でないアセトアミノフェンを使用して製造し、そしてより一貫した放出速度を表した。製剤番号8は、付加的な製剤でみられない、約80mg/hrの初期の突発放出を表した。
【0244】
製剤10および11は、代替の崩壊剤、デンプングリコール酸ナトリウムおよびアルギン酸ナトリウムを使用して製造した。これら2製剤は界面活性剤を用いずに製造し、そしてより顕著な漸増する放出速度を表した。
【0245】
製剤12〜15を記述されるとおり製造かつ試験した。製剤13および14中に0.5%コロイド状二酸化ケイ素もまた存在し、また、これらの製剤のそれぞれ中に滑沢剤ステアリン酸およびステアリン酸マグネシウムの量のわずかな変動が存在した。半透膜コーティングは、77%セルロースアセテート398−10および23%ポロキサマー188の比を使用して、これらの製剤のそれぞれ上で64mgであった。製剤番号12〜14からのアセトアミノフェンおよびヒドロコドンの累積放出率を図7AおよびBに示す。
【実施例6】
【0246】
350mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち80.86重量%イブプロフェン(米国薬局方、25ミクロン)、4.5重量%ポビドン、米国薬局方、Ph
Eur(K29−32)、4.5重量%HPC、JF、4.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3.0重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、1.74重量%ヒドロコドン重酒石酸塩、1.0重量%ステアリン酸、NF、0.4重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph
Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、75重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および25重量%ポロキサマー188、NFから構成された。
【0247】
本投薬形態物は、約9時間のT90を伴い、最初の1時間の14.5mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで9時間の約50mg/hrの最大放出速度までの漸増する放出速度、および基礎レベルまで急速に下落する前に全体で約9時間の持続放出を生じた。用量の大部分は漸増する放出速度で送達された。該結果を図9Aにグラフで示し、放出速度データを図9Aに、および累積放出を図9Bに示す。これらのデータは、ポビドンを含有しかつ浸透物質を含まない本製剤により提供される、突発放出の非存在および優勢な漸増する放出送達プロファイルを示す。
【実施例7】
【0248】
350mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち81.85重量%イブプロフェン(米国薬局方、25ミクロン)、8.0重量%HPC、NF、3.0重量%ポビドン、米国薬局方、Ph Eur(K29−32)、4.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3.0重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、1.75重量%ヒドロコドン重酒石酸塩、1.0重量%ステアリン酸、NF、0.4重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph
Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、75重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および25重量%ポロキサマー188、NFから構成された。
【0249】
本投薬形態物は、約9時間のT90を伴い、最初の1時間の8.2mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで8時間の約67mg/hrの最大放出速度までの漸
増する放出速度、および基礎レベルまで急速に下落する前に全体で約9時間の持続放出を生じた。用量の大部分は漸増する放出速度で送達された。該結果を図10にグラフで示す。これらのデータは、より大きな比率のヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンを含有しかつ浸透物質を含有しない本製剤により提供される、突発放出の非存在および優勢な漸増する放出送達プロファイルを示す。
【0250】
上述された例示的態様は、本発明の制限的よりはむしろ全部の点で具体的説明であることを意図している。従って、本発明は、当業者により本明細書の記述から得られることができる多くの変形および改変での実施を可能にする。全部のこうした変形および改変は、以下の請求の範囲により定義されるところの本発明の範囲および技術思想内にあるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0251】
【図1】本発明の投薬形態物の一態様の図解を示す。
【図2A−2B】1種の代表的な投薬形態物からのアセトアミノフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩のin vitroの漸増する放出速度を具体的に説明し、かつ、該2種の薬物の放出速度が比例することを示す。
【図3A−3B】持続放出に加え即時放出を提供する薬物コーティングを有する数種の代表的な投薬形態物からのそれぞれヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの累積in vitro放出速度を具体的に説明する。
【図4A−D】約8時間のT90を有する代表的な投薬形態物からのアセトアミノフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩のin vitro放出速度および累積放出を具体的に説明する。
【図5A−D】約6時間のT90を有する代表的な投薬形態物からのアセトアミノフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩のin vitro放出速度および累積放出を具体的に説明する。
【図6A−D】約10時間のT90を有する代表的な投薬形態物からのアセトアミノフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩のin vitro放出速度および累積放出を具体的に説明する。
【図7A−B】約8時間のT90を有する3種の代表的な投薬形態物からのアセトアミノフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩の累積in vitro放出を具体的に説明する。
【図8A−B】代表的な投薬形態物の単回投与後、ならびに0、4および8時間に投薬した即時放出投薬形態物の投与後に得られる48時間にわたるそれぞれヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの平均in vivo血漿プロファイル間の比較を具体的に説明する。
【図9A−B】イブプロフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩を含有する代表的な投薬形態物からのイブプロフェンの放出速度および累積in vitro放出を具体的に説明する。
【図10】イブプロフェンおよびヒドロコドン重酒石酸塩を含有する代表的な投薬形態物からのイブプロフェンのin vitro放出速度を具体的に説明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなり、かつ、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された持続放出投薬形態物であって、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する、上記投薬形態物。
【請求項2】
投薬形態物が、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5から約8時間まで提供する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項3】
投薬形態物が、有効成分の約70%が放出されるまで製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項4】
漸増する放出速度の後に、放出速度の急速な低下が存在する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項5】
投薬形態物が12時間以内に有効成分の最低90%を放出する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項6】
侵食可能な固体が界面活性剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項7】
製薬学的有効成分が25℃で約50mg/ml未満の溶解性を有する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項8】
製薬学的有効成分が25℃で約10mg/ml未満の溶解性を有する、請求項7に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項9】
界面活性剤が非イオン性若しくはイオン性界面活性剤である、請求項6に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項10】
非イオン性界面活性剤が、ポロキサマー、ポリオキシエチレンエステル、糖エステル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体.ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、およびそれらの混合物である、請求項9に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項11】
非イオン性界面活性剤が、ポロキサマー、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、糖エステル界面活性剤若しくはそれらの混合物である、請求項10に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項12】
侵食可能な固体が、約5から約15重量パーセントまでの結合剤および崩壊剤を含んでなる、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項13】
侵食可能な固体が約1から約15重量パーセントまでの界面活性剤を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
製薬学的有効成分が、最低約20重量パーセントのパーセント組成で侵食可能な固体中
に存在する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項15】
製薬学的有効成分が、最低約60重量パーセントのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在する、請求項14に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項16】
製薬学的有効成分が、約60パーセントから約95重量パーセントまでのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在する、請求項15に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項17】
製薬学的有効成分が、約20パーセントから約95重量パーセントまでのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在する、請求項14に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項18】
製薬学的有効成分が、約40パーセントから約95重量パーセントまでのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在する、請求項17に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項19】
製薬学的有効成分が、約60パーセントから約95重量パーセントまでのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在する、請求項18に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項20】
製薬学的有効成分が、約70パーセントから約90重量パーセントまでのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在する、請求項19に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項21】
製薬学的有効成分が、約75パーセントから約85重量パーセントまでのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在する、請求項20に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項22】
侵食可能な固体中に最低1種の付加的な製薬学的有効成分をさらに含んでなる、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項23】
製薬学的有効成分が類似の溶解性を有する、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項24】
製薬学的有効成分が異なる溶解性を有する、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項25】
製薬学的有効成分が、相互に関して比例する速度で投薬形態物から放出される、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項26】
有効用量の最低1種の製薬学的有効成分を含んでなる即時放出薬物コーティングをさらに含んでなる、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項27】
(1)空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスを包含する半透性壁;
(2)空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置された、治療上有効な量の製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる薬物層;
(3)空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置される押し置換層;
(4)半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層を含んでなる、製薬学的有効成分の経口投与のための持続放出投薬形態物であって、
該投薬形態物が、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する、上記投薬形態物。
【請求項28】
投薬形態物が、有効成分の約70パーセントが放出されるまで製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供する、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項29】
投薬形態物により表される最大放出速度が、該投薬形態物により表される最小放出速度
より最低20%より大きい、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項30】
薬物層が、結合剤、崩壊剤若しくはそれらの混合物をさらに含んでなる、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項31】
薬物層が界面活性剤をさらに含んでなる、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項32】
界面活性剤が非イオン性若しくはイオン性界面活性剤である、請求項31に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項33】
非イオン性界面活性剤が、ポロキサマー、ポリオキシエチレンエステル、糖エステル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体.ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、およびそれらの混合物である、請求項32に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項34】
非イオン性界面活性剤が、ポロキサマー、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、糖エステル界面活性剤若しくはそれらの混合物である、請求項33に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項35】
製薬学的有効成分が、最低約20重量パーセントのパーセント組成で薬物層中に存在する、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項36】
製薬学的有効成分が、約20パーセントから約95重量パーセントまでのパーセント組成で薬物層中に存在する、請求項35に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項37】
製薬学的有効成分が、約40パーセントから約95重量パーセントまでのパーセント組成で薬物層中に存在する、請求項36に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項38】
製薬学的有効成分が、約60パーセントから約95重量パーセントまでのパーセント組成で薬物層中に存在する、請求項37に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項39】
製薬学的有効成分が、約70パーセントから約90重量パーセントまでのパーセント組成で薬物層中に存在する、請求項38に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項40】
製薬学的有効成分が25℃で約50mg/ml未満の溶解性を有する、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項41】
製薬学的有効成分が25℃で約10mg/ml未満の溶解性を有する、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項42】
薬物層が、最低1種の付加的な製薬学的有効成分をさらに含んでなる、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項43】
製薬学的有効成分が類似の溶解性を有する、請求項42に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項44】
製薬学的有効成分が異なる溶解性を有する、請求項42に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項45】
製薬学的有効成分が、相互に関して比例する速度で投薬形態物から放出される、請求項42に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項46】
薬物層が侵食可能な組成物として使用の環境に露出される、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項47】
有効用量の最低1種の製薬学的有効成分を含んでなる即時放出薬物コーティングをさらに含んでなる、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項48】
製薬学的有効成分が、非オピオイド鎮痛薬、抗生物質、抗てんかん薬若しくはそれらの組合せから選択される、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項49】
最低1種の付加的な製薬学的有効成分が、オピオイド鎮痛薬、胃保護薬若しくは5−HTアゴニストから選択される、請求項42に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項50】
即時効果の必要な患者において即時効果を提供するのに十分な治療上有効な量の製薬学的有効成分を含んでなる薬物コーティングをさらに含んでなる、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項51】
それの必要な患者への増大する用量の製薬学的有効成分の持続放出の提供方法であって、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩、結合剤ならびに崩壊剤を含んでなる投薬形態物を経口投与することを含んでなり、該投薬形態物が該製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する、上記方法。
【請求項52】
高投薬量、低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度での患者への投与を特徴とする、治療上有効な用量の製薬学的有効成分の持続放出の提供方法であって、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる投薬形態物を経口投与することを含んでなり、該侵食可能な固体が製薬学的有効成分の最低60重量%を含んでなり、かつ、前記投薬形態物が、該製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する、上記方法。
【請求項53】
それの必要な患者への治療上有効な用量の製薬学的有効成分の提供方法であって、少なくとも部分的に半透性の壁により規定される空洞内に含有されかつそれに隣接して配置される出口手段を有する薬物層中に最低20重量%で存在する治療上有効な量の製薬学的有効成分、使用の水性環境に置かれる場合に該空洞からの組成物の持続放出を提供する出口手段から遠位の空洞内に配置される押し置換層、および該半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間に配置される流動促進層を含んでなる組成物を経口投与することを含んでなり、該薬物層は侵食可能な固体として使用の環境に露出され、かつ、該投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する、上記方法。
【請求項54】
少なくとも部分的に半透性の壁の外側表面に配置される治療上有効な量の即時放出治療組成物を含んでなる薬物コーティングをさらに含んでなる、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
治療組成物が、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5時間から約8時間まで提供する、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
侵食可能な固体が約20から約95重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる、請求
項53に記載の方法。
【請求項57】
侵食可能な固体が約40から約95重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
侵食可能な固体が約60から約95重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
侵食可能な固体が約75から約85重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
侵食可能な固体が約5から約15重量パーセントまでの結合剤および崩壊剤を含んでなる、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
侵食可能な固体が約1から約15重量パーセントまでの界面活性剤を含んでなる、請求項53に記載の方法。
【請求項62】
比較的迅速に代謝される製薬学的有効成分の患者の血漿中での有効濃度の提供方法であって、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる治療組成物を経口投与することを含んでなり、該侵食可能な固体が製薬学的有効成分を含んでなり、かつ、前記治療組成物が、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約4時間提供する、上記方法。
【請求項63】
治療組成物が、即時効果の必要な患者において即時効果を提供するのに十分な治療上有効な量の製薬学的有効成分を含んでなる薬物コーティングをさらに含んでなる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
治療組成物が、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約4時間から約8時間まで提供する、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
治療組成物が、患者において該製薬学的有効成分の実質的に0次の血漿プロファイルを提供する、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
治療組成物が、患者において該製薬学的有効成分の漸増する血漿プロファイルを提供する、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
治療組成物が、患者において該製薬学的有効成分の減少する血漿プロファイルを提供する、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
即時放出薬物コーティングが、患者の血漿中での治療上有効な量の製薬学的有効成分を提供し、かつ、該治療組成物により提供される漸増する放出速度が、該製薬学的有効成分の濃度を患者の血漿中で長時間治療範囲に維持する、請求項63に記載の方法。
【請求項69】
侵食可能な固体が、約20から約95重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる、請求項62に記載の方法。
【請求項70】
侵食可能な固体が、約60から約95重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
侵食可能な固体が、約5から約15重量パーセントまでの結合剤および崩壊剤を含んで
なる、請求項62に記載の方法。
【請求項72】
侵食可能な固体が、約1から約15重量パーセントまでの界面活性剤を含んでなる、請求項62に記載の方法。
【請求項73】
患者においてそれに対する耐性が比較的迅速に発生する製薬学的有効成分の有効用量の提供方法であって、薬物層中に含有される、それに対する耐性が比較的迅速に発生する製薬学的有効成分の有効用量、浸透圧押し組成物、少なくとも部分的に半透性の壁、および投薬形態物から治療組成物を送達するための壁中の出口手段、ならびに、半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間に配置される流動促進層を含んでなる治療組成物を経口投与することを含んでなり、前記薬物層および押し組成物は該少なくとも部分的に半透性の壁により囲まれ、該薬物層は侵食可能な組成物として使用の環境に露出され、かつ、さらに、前記投薬形態物が、該製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供してそれにより患者の血漿中で該製薬学的有効成分の増大する濃度を提供する、上記方法。
【請求項74】
疼痛の処置の必要なヒト患者における疼痛の処置方法であって、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された非オピオイド鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる治療組成物を含んでなる投薬形態物を経口投与することを含んでなり、非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬は相互に関して比例する速度で放出され、かつ、前記治療組成物は非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬の漸増する放出速度を最低約4時間提供する、上記方法。
【請求項75】
非オピオイド鎮痛薬が、侵食可能な固体の重量で約60%ないし約95%の重量パーセントで存在する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
非オピオイド鎮痛薬が、侵食可能な固体の重量で約70%ないし約90%の重量パーセントで存在する、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
製薬学的有効成分が、該投薬形態物中の各有効成分のそれぞれの重量に関して比例する速度で投薬形態物から放出される、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項78】
製薬学的有効成分が、該投薬形態物中の各有効成分のそれぞれの重量に関して比例する速度で投薬形態物から放出される、請求項42に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項1】
製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなり、かつ、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された持続放出投薬形態物であって、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する、上記投薬形態物。
【請求項2】
投薬形態物が、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5から約8時間まで提供する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項3】
投薬形態物が、有効成分の約70%が放出されるまで製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項4】
漸増する放出速度の後に、放出速度の急速な低下が存在する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項5】
投薬形態物が12時間以内に有効成分の最低90%を放出する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項6】
侵食可能な固体が界面活性剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項7】
製薬学的有効成分が25℃で約50mg/ml未満の溶解性を有する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項8】
製薬学的有効成分が25℃で約10mg/ml未満の溶解性を有する、請求項7に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項9】
界面活性剤が非イオン性若しくはイオン性界面活性剤である、請求項6に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項10】
非イオン性界面活性剤が、ポロキサマー、ポリオキシエチレンエステル、糖エステル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体.ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、およびそれらの混合物である、請求項9に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項11】
非イオン性界面活性剤が、ポロキサマー、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、糖エステル界面活性剤若しくはそれらの混合物である、請求項10に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項12】
侵食可能な固体が、約5から約15重量パーセントまでの結合剤および崩壊剤を含んでなる、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項13】
侵食可能な固体が約1から約15重量パーセントまでの界面活性剤を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
製薬学的有効成分が、最低約20重量パーセントのパーセント組成で侵食可能な固体中
に存在する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項15】
製薬学的有効成分が、最低約60重量パーセントのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在する、請求項14に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項16】
製薬学的有効成分が、約60パーセントから約95重量パーセントまでのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在する、請求項15に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項17】
製薬学的有効成分が、約20パーセントから約95重量パーセントまでのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在する、請求項14に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項18】
製薬学的有効成分が、約40パーセントから約95重量パーセントまでのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在する、請求項17に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項19】
製薬学的有効成分が、約60パーセントから約95重量パーセントまでのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在する、請求項18に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項20】
製薬学的有効成分が、約70パーセントから約90重量パーセントまでのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在する、請求項19に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項21】
製薬学的有効成分が、約75パーセントから約85重量パーセントまでのパーセント組成で侵食可能な固体中に存在する、請求項20に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項22】
侵食可能な固体中に最低1種の付加的な製薬学的有効成分をさらに含んでなる、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項23】
製薬学的有効成分が類似の溶解性を有する、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項24】
製薬学的有効成分が異なる溶解性を有する、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項25】
製薬学的有効成分が、相互に関して比例する速度で投薬形態物から放出される、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項26】
有効用量の最低1種の製薬学的有効成分を含んでなる即時放出薬物コーティングをさらに含んでなる、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項27】
(1)空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスを包含する半透性壁;
(2)空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置された、治療上有効な量の製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる薬物層;
(3)空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置される押し置換層;
(4)半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層を含んでなる、製薬学的有効成分の経口投与のための持続放出投薬形態物であって、
該投薬形態物が、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する、上記投薬形態物。
【請求項28】
投薬形態物が、有効成分の約70パーセントが放出されるまで製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供する、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項29】
投薬形態物により表される最大放出速度が、該投薬形態物により表される最小放出速度
より最低20%より大きい、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項30】
薬物層が、結合剤、崩壊剤若しくはそれらの混合物をさらに含んでなる、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項31】
薬物層が界面活性剤をさらに含んでなる、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項32】
界面活性剤が非イオン性若しくはイオン性界面活性剤である、請求項31に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項33】
非イオン性界面活性剤が、ポロキサマー、ポリオキシエチレンエステル、糖エステル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体.ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、およびそれらの混合物である、請求項32に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項34】
非イオン性界面活性剤が、ポロキサマー、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、糖エステル界面活性剤若しくはそれらの混合物である、請求項33に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項35】
製薬学的有効成分が、最低約20重量パーセントのパーセント組成で薬物層中に存在する、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項36】
製薬学的有効成分が、約20パーセントから約95重量パーセントまでのパーセント組成で薬物層中に存在する、請求項35に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項37】
製薬学的有効成分が、約40パーセントから約95重量パーセントまでのパーセント組成で薬物層中に存在する、請求項36に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項38】
製薬学的有効成分が、約60パーセントから約95重量パーセントまでのパーセント組成で薬物層中に存在する、請求項37に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項39】
製薬学的有効成分が、約70パーセントから約90重量パーセントまでのパーセント組成で薬物層中に存在する、請求項38に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項40】
製薬学的有効成分が25℃で約50mg/ml未満の溶解性を有する、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項41】
製薬学的有効成分が25℃で約10mg/ml未満の溶解性を有する、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項42】
薬物層が、最低1種の付加的な製薬学的有効成分をさらに含んでなる、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項43】
製薬学的有効成分が類似の溶解性を有する、請求項42に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項44】
製薬学的有効成分が異なる溶解性を有する、請求項42に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項45】
製薬学的有効成分が、相互に関して比例する速度で投薬形態物から放出される、請求項42に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項46】
薬物層が侵食可能な組成物として使用の環境に露出される、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項47】
有効用量の最低1種の製薬学的有効成分を含んでなる即時放出薬物コーティングをさらに含んでなる、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項48】
製薬学的有効成分が、非オピオイド鎮痛薬、抗生物質、抗てんかん薬若しくはそれらの組合せから選択される、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項49】
最低1種の付加的な製薬学的有効成分が、オピオイド鎮痛薬、胃保護薬若しくは5−HTアゴニストから選択される、請求項42に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項50】
即時効果の必要な患者において即時効果を提供するのに十分な治療上有効な量の製薬学的有効成分を含んでなる薬物コーティングをさらに含んでなる、請求項27に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項51】
それの必要な患者への増大する用量の製薬学的有効成分の持続放出の提供方法であって、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩、結合剤ならびに崩壊剤を含んでなる投薬形態物を経口投与することを含んでなり、該投薬形態物が該製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する、上記方法。
【請求項52】
高投薬量、低溶解性および/若しくは乏しい溶解速度での患者への投与を特徴とする、治療上有効な用量の製薬学的有効成分の持続放出の提供方法であって、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる投薬形態物を経口投与することを含んでなり、該侵食可能な固体が製薬学的有効成分の最低60重量%を含んでなり、かつ、前記投薬形態物が、該製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する、上記方法。
【請求項53】
それの必要な患者への治療上有効な用量の製薬学的有効成分の提供方法であって、少なくとも部分的に半透性の壁により規定される空洞内に含有されかつそれに隣接して配置される出口手段を有する薬物層中に最低20重量%で存在する治療上有効な量の製薬学的有効成分、使用の水性環境に置かれる場合に該空洞からの組成物の持続放出を提供する出口手段から遠位の空洞内に配置される押し置換層、および該半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間に配置される流動促進層を含んでなる組成物を経口投与することを含んでなり、該薬物層は侵食可能な固体として使用の環境に露出され、かつ、該投薬形態物は製薬学的有効成分の漸増する放出速度を最低約4時間提供する、上記方法。
【請求項54】
少なくとも部分的に半透性の壁の外側表面に配置される治療上有効な量の即時放出治療組成物を含んでなる薬物コーティングをさらに含んでなる、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
治療組成物が、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約5時間から約8時間まで提供する、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
侵食可能な固体が約20から約95重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる、請求
項53に記載の方法。
【請求項57】
侵食可能な固体が約40から約95重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
侵食可能な固体が約60から約95重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
侵食可能な固体が約75から約85重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
侵食可能な固体が約5から約15重量パーセントまでの結合剤および崩壊剤を含んでなる、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
侵食可能な固体が約1から約15重量パーセントまでの界面活性剤を含んでなる、請求項53に記載の方法。
【請求項62】
比較的迅速に代謝される製薬学的有効成分の患者の血漿中での有効濃度の提供方法であって、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる治療組成物を経口投与することを含んでなり、該侵食可能な固体が製薬学的有効成分を含んでなり、かつ、前記治療組成物が、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約4時間提供する、上記方法。
【請求項63】
治療組成物が、即時効果の必要な患者において即時効果を提供するのに十分な治療上有効な量の製薬学的有効成分を含んでなる薬物コーティングをさらに含んでなる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
治療組成物が、製薬学的有効成分の漸増する放出速度を約4時間から約8時間まで提供する、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
治療組成物が、患者において該製薬学的有効成分の実質的に0次の血漿プロファイルを提供する、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
治療組成物が、患者において該製薬学的有効成分の漸増する血漿プロファイルを提供する、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
治療組成物が、患者において該製薬学的有効成分の減少する血漿プロファイルを提供する、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
即時放出薬物コーティングが、患者の血漿中での治療上有効な量の製薬学的有効成分を提供し、かつ、該治療組成物により提供される漸増する放出速度が、該製薬学的有効成分の濃度を患者の血漿中で長時間治療範囲に維持する、請求項63に記載の方法。
【請求項69】
侵食可能な固体が、約20から約95重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる、請求項62に記載の方法。
【請求項70】
侵食可能な固体が、約60から約95重量%までの製薬学的有効成分を含んでなる、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
侵食可能な固体が、約5から約15重量パーセントまでの結合剤および崩壊剤を含んで
なる、請求項62に記載の方法。
【請求項72】
侵食可能な固体が、約1から約15重量パーセントまでの界面活性剤を含んでなる、請求項62に記載の方法。
【請求項73】
患者においてそれに対する耐性が比較的迅速に発生する製薬学的有効成分の有効用量の提供方法であって、薬物層中に含有される、それに対する耐性が比較的迅速に発生する製薬学的有効成分の有効用量、浸透圧押し組成物、少なくとも部分的に半透性の壁、および投薬形態物から治療組成物を送達するための壁中の出口手段、ならびに、半透性壁の内表面と該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間に配置される流動促進層を含んでなる治療組成物を経口投与することを含んでなり、前記薬物層および押し組成物は該少なくとも部分的に半透性の壁により囲まれ、該薬物層は侵食可能な組成物として使用の環境に露出され、かつ、さらに、前記投薬形態物が、該製薬学的有効成分の漸増する放出速度を提供してそれにより患者の血漿中で該製薬学的有効成分の増大する濃度を提供する、上記方法。
【請求項74】
疼痛の処置の必要なヒト患者における疼痛の処置方法であって、長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された非オピオイド鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬およびその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる治療組成物を含んでなる投薬形態物を経口投与することを含んでなり、非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬は相互に関して比例する速度で放出され、かつ、前記治療組成物は非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬の漸増する放出速度を最低約4時間提供する、上記方法。
【請求項75】
非オピオイド鎮痛薬が、侵食可能な固体の重量で約60%ないし約95%の重量パーセントで存在する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
非オピオイド鎮痛薬が、侵食可能な固体の重量で約70%ないし約90%の重量パーセントで存在する、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
製薬学的有効成分が、該投薬形態物中の各有効成分のそれぞれの重量に関して比例する速度で投薬形態物から放出される、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項78】
製薬学的有効成分が、該投薬形態物中の各有効成分のそれぞれの重量に関して比例する速度で投薬形態物から放出される、請求項42に記載の持続放出投薬形態物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【公表番号】特表2007−506775(P2007−506775A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528262(P2006−528262)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/031509
【国際公開番号】WO2005/030182
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/031509
【国際公開番号】WO2005/030182
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】
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