説明

潜熱回収型給湯機

【課題】 排気接続体で発生したドレン水が特定箇所に滞留することなく排気経路へ流入可能な潜熱回収型給湯機を提供する。
【解決手段】 取付部材26の底面29を排気経路10と接続する開口32に向けて下り傾斜させ、取付部材26と接続口部材27の間をシールするシール材28に取付部材26の底面29方向に屈曲したバーリング部37を設けることで、排気ダクト24内で発生したドレン水が取付部材26と接続口部材27との接続面から漏れることなくバーリング部37に沿って底面29に滴り落ち、底面29の下り傾斜によって開口32に案内されるので、ドレン水が排気接続体25の特定箇所に滞留することがなくなり、排気接続体25を構成する部材の腐食を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、潜熱を回収する二次熱交換器を備えた潜熱回収型給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものにおいては図5に示すように、装置本体101と、燃料を燃焼させるバーナ102と、バーナ102の燃焼で加熱された空気と熱交換する一次熱交換器を内部に備えた燃焼室103と、燃焼室103を通過した燃焼ガスと熱交換する二次熱交換器を内部に備えた二次熱交換室104と、二次熱交換室104内で発生したドレン水を回収して中和する中和器105と、二次熱交換室104下方にありドレン水を中和器105へ流入させるドレン排出経路106と、二次熱交換室104で熱交換された排ガスを装置本体101外へ排出する排気経路107と、排ガスを屋外へ導く排気ダクト108と、下端が排気経路107に接続され上端が排気ダクト108に接続された排気接続体109とを備え、排気ダクト108及び排気接続体109内を排ガスが通過して屋外へ排出されるものがあった。
【0003】
このような装置本体101において、二次熱交換室104では燃焼ガス中に含まれている潜熱の回収が行われた後に低温の排ガスとなるため、排ガス中に含まれている水分が凝集して強酸性のドレン水が発生する。このドレン水は排気ダクト108及び排気接続体109から下方に落下し、ドレン排出経路106から中和器105に流入して中和された後に排出される。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−29811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この従来のものでは、二次熱交換室104内で熱交換され温度が低下した排ガスが凝集して排気接続体109の内面に付着し、排気接続体109からうまく流れ落ちずに滞留することがあるため、強酸性のドレン水によって排気接続体109内を構成する特定箇所の部材を腐食させてしまうおそれがあった。
【0006】
また、排気接続体109を構成する部材の隙間からドレン水が外部に漏れることがあり、排気接続体109内部だけでなく外部にも損傷を与えるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では装置本体と、バーナの燃焼で熱媒体を加熱する一次熱交換器を内部に設置した燃焼室と、該燃焼室を通過した燃焼ガスから潜熱回収して熱媒体を加熱する二次熱交換器を内部に設置した二次熱交換室と、該二次熱交換室と接続され熱媒体と熱交換後の排ガスが通過する排気経路と、該排気経路を通過した排ガスを屋外へ排出する排気ダクトと、前記排気経路と前記排気ダクトとを接続する排気接続体とを備え、該排気接続体は底面に前記排気経路と接続された開口を設けた取付部材と、該取付部材と前記排気ダクトとに接続された接続口部材と、前記取付部材と前記接続口部材との間をシールするシール材とで構成された潜熱回収型給湯機において、前記取付部材の底面を前記開口に向けて下り傾斜させたものである。
【0008】
また、請求項2では前記シール材には取付部材の底面方向に屈曲したバーリング部を形成したものである。
【0009】
また、請求項3では前記取付部材の底面は横断面卵形に形成されたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の請求項1によれば、排気接続体を構成する取付部材の底面を排気経路と接続された開口へ向けて下り傾斜させたことで、底面の傾斜に沿ってドレン水が流動して開口に達するので、ドレン水が底面の特定箇所に滞留せずスムーズに排気経路まで案内され、排気接続体を構成する部材の腐食が防止できる。
【0011】
また、請求項2によれば、シール材に取付部材の底面方向に屈曲したバーリング部を形成することで、接続口部材と取付部材との接続面からドレン水が漏れることを確実に防ぎ、接続口部材から流れ落ちてきたドレン水を取付部材の底面に案内することができる。
【0012】
また、請求項3によれば、取付部材の底面を横断面卵形に形成することで、取付部材の底面に設ける開口の形成位置を設定することが容易になり、また、接続口部材及びシール材との接続面での位置ずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態を示す概略構成図
【図2】同実施形態の要部拡大図
【図3】同実施形態の要部拡大図
【図4】同実施形態の要部拡大図
【図5】従来の潜熱回収型給湯機の一実施形態を示す概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、この発明の一実施形態の潜熱回収型給湯機について図1に基づいて説明する。
1はこの実施形態の屋内設置タイプの装置本体、2は石油等を燃料とし下向きに火炎を発生するバーナ、3はバーナ2に燃焼用の空気を供給する送風機、4はバーナ2の下流に備えられた燃焼室、5は燃焼室4内に設けられバーナ2の燃焼に伴い発生する燃焼ガスの顕熱を回収するフィンチューブ式の一次熱交換器である。
【0015】
6は燃焼室4の下流側に配置され燃焼室4の底部に一端を連通しバーナ2で発生する燃焼ガスの排出に伴う騒音を低減させるサイレンサ、7は燃焼ガスの潜熱を回収する二次熱交換器、8は二次熱交換器7を内部に設置しステンレス製の箱体で形成された二次熱交換室、9はサイレンサ6と二次熱交換室8とを接続して燃焼ガスが通過する接続経路、10は二次熱交換室8を通過した排ガスを装置本体1外部に排出する排気経路であり、サイレンサ6を通過した燃焼ガスが露点以下になるまで二次熱交換器7で熱交換されることでドレン水が生成される。
【0016】
11は二次熱交換室8と連通し熱交換で生成されたドレン水を一旦貯留する中和器、12は二次熱交換室8と連通しドレン水を中和器11に流入するドレン排出経路、13は中和剤によって中和されたドレン水を排水するドレン排出口、14は中和器11内部のドレン水を全て排出可能な水抜き栓である。
【0017】
15は水道管と接続され一次熱交換器5及び二次熱交換器7へ水道水を給水する給水管、16は一次熱交換器5及び二次熱交換器7で加熱された湯を出湯する出湯管、17は給水管15から分岐した給水バイパス管、18は出湯管16からの湯と給水バイパス管17からの水道水とを混合して混合比を可変できる混合弁、19は混合弁18で混合された湯を給湯栓(図示せず)に給湯するための給湯管、20は給水管15に設けられ給水温度を検出する給水温度センサ、21は給水管15に設けられ流量を検出する流量センサ、22は給湯管19に設けられ給湯温度を検出する給湯温度センサである。
【0018】
23は装置本体1に内蔵され、マイクロコンピュータを主体としてこの装置本体1の各センサの信号を受け、各アクチュエータの駆動を制御する制御を行う制御部である。
【0019】
24は排ガスを屋外に排出する排気ダクト、25は装置本体1の排気経路10と排気ダクト24とを接続する排気接続体である。
【0020】
次に、この排気接続体25の構造に関して図2、図3に基づいて説明する。
排気接続体25は、排気経路10と接続する取付部材26と、下部が取付部材26と接続し上部が排気ダクト24と接続する接続口部材27と、取付部材26と接続口部材27との間に配置されたシール材28とで構成されている。
【0021】
取付部材26は、略円形の底面29の周縁に水平方向上部に突き出した円環状のリング部30を有し、底面29には中心からオフセットした位置に下方へ向けて突出した雄管部31を有した開口32が設けられ排気経路10と係合している。この底面29にはリング部30の全周から開口32が最下部になるようゆるやかな傾斜が付けられている。また、リング部30には、その中心から約90°ごとに固定用のネジ孔が形成されている。
【0022】
また、図4のように取付部材26の底面29は、開口32を形成する円周と同一の中心であり半径を大きくした円弧33と、リング部30の外周面を形成する円周と同一の中心であり半径を小さくした円弧34とを結合させた卵形を形成しており、底面29の周縁であるリング部30の内周面も卵形に形成されている。
【0023】
接続口部材27は、上部に排気ダクト24と嵌合する雌管部35を有し、下部にネジ孔が形成されたフランジ部36が設けられており、リング部30とフランジ部36のネジ孔が貫通する位置に設置して固定される。
【0024】
シール材28は、底面29方向に向けて略直角に屈曲したバーリング部37を有し、リング部30の内周面と当接するよう卵形に形成されている。リング部30の上部に設置される円環状の円周面38にはネジ孔が設けられており、リング部30及びフランジ部36のネジ孔と貫通する位置に合わせて接続面をシールする。
【0025】
このような構成にすることで、排気ダクト24内部で発生したドレン水は、接続口部材27の内壁からフランジ部36に流れ落ち、シール材28に形成されたバーリング部37に沿って落下を続け、バーリング部37の下端まで達したら取付部材26の底面29に滴り落ち、底面29に付けられた下り傾斜によって開口32にドレン水が流入するよう案内するので、ドレン水が排気接続体25の特定箇所に滞留することがなくスムーズに排気経路10へ流入する。
【0026】
また、取付部材26の底面29を卵形に形成することで、底面29に設ける開口32の形成位置を定めるにあたり、正円形に比べて開口32の形成位置について設計自由度が高まり、更に、シール材28のバーリング部37が取付部材26の底面29の周縁と同一形状であるリング部30の内周面に沿って形成されることで、シール材28の円周面38に形成されたネジ孔をリング部30及びフランジ部36のネジ孔と貫通する位置に合わせることが容易になるので作業効率が上がり、しかも、設置面が卵形に形成されているので位置ずれが発生するおそれがなく密着して固定可能となる。
【0027】
以上により、取付部材26の底面29に開口32を最下部とする下り傾斜を付け、シール材28に取付部材26の底面29に向けて略直角に屈曲したバーリング部37を形成することで、取付部材26と接続口部材27との接続面からドレン水が漏れることなく底面29に滴り落ち、底面29の下り傾斜に沿って開口32に案内されるので、排気接続体25の特定箇所にドレン水が滞留せず、構成部材の設置面から外部に漏れるおそれがないので、排気接続体25を構成する部材の腐食を防止できる。
【符号の説明】
【0028】
1 装置本体
2 バーナ
4 燃焼室
8 二次熱交換室
10 排気経路
24 排気ダクト
25 排気接続体
26 取付部材
27 接続口部材
28 シール材
29 底面
30 リング部
32 開口
37 バーリング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、バーナの燃焼で熱媒体を加熱する一次熱交換器を内部に設置した燃焼室と、該燃焼室を通過した燃焼ガスから潜熱回収して熱媒体を加熱する二次熱交換器を内部に設置した二次熱交換室と、該二次熱交換室と接続され熱媒体と熱交換後の排ガスが通過する排気経路と、該排気経路を通過した排ガスを屋外へ排出する排気ダクトと、前記排気経路と前記排気ダクトとを接続する排気接続体とを備え、該排気接続体は底面に前記排気経路と接続された開口を設けた取付部材と、該取付部材と前記排気ダクトとに接続された接続口部材と、前記取付部材と前記接続口部材との間をシールするシール材とで構成された潜熱回収型給湯機において、前記取付部材の底面を前記開口に向けて下り傾斜させたことを特徴とする潜熱回収型給湯機。
【請求項2】
前記シール材には前記取付部材の底面方向に屈曲したバーリング部を形成したことを特徴とする前記請求項1記載の潜熱回収型給湯機。
【請求項3】
前記取付部材の底面は横断面卵形に形成されたことを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の潜熱回収型給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−107815(P2012−107815A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257396(P2010−257396)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】