説明

潤滑層形成軸受、および、この軸受に潤滑層を形成する方法

【課題】 運転初期に必要となる必要最低限の軸受荷重を小さくすることができる潤滑層形成軸受を提供する。また、この潤滑層形成軸受に潤滑層を簡単に形成する方法を提供する。
【解決手段】 複数のころ4に内接する内接円Sから保持器11の最小内周面11dまでの間を、上記潤滑層Gが形成されない非潤滑空間12とした。また、多数のころを保持した筒状の保持器を外輪3に組み込んだ軸受を、この軸受の外輪外径以上の内径を有する成形型7に挿入する工程と、この成形型に熱可塑性樹脂を含んだ液状潤滑剤9を注入する工程と、成形型に潤滑剤を注入した状態で減圧して潤滑剤に含まれる気泡を取り除く工程と、保持器の最小内径S2以上の外形を有する円柱状の弾性体13をころに内接する内接円内に圧入する工程と、熱可塑性樹脂を加熱固化して潤滑層を形成する工程とによって上記軸受に潤滑層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、潤滑層を形成した軸受、および、軸受に潤滑層を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑層を形成した軸受として、特許文献1,2に示される軸受が従来から知られている。この従来の軸受について図7〜図10を用いて説明する。
図7に示す軸受1は、筒状の保持器2を外輪3の内側にはめ込んでなる。保持器2には、軸方向に伸びる複数のころ保持孔が円周上に均等間隔で設けられている。そして、このころ保持孔に針状ころ4が転動自在に保持されている。
上記の軸受1は、図8に示すように軸5を挿入し、この状態において外輪3と軸5との間にころ4が介在するとともに、このころ4が外輪3と軸5との間で転動して両者の相対回転をスムーズにしている。
【0003】
このような軸受1の内部には固形潤滑剤からなる潤滑層Gを満遍なく形成している。したがって、ころ4の外周面が、常に潤滑層Gに含浸される油等に満たされて、ころ4と外輪3及びころ4と軸5の相対回転をスムーズにするとともに、両者の接触部分に摩擦熱を生じさせない。なお、図8中符号Sは内接円を示すものであるが、ここでいう内接円とは保持器2に保持される全てのころ4に接触する仮想円のことをいう。ただし、全てのころ4に接触する円は、ころ4の内側に形成されるものと外側に形成されるものと2つあるが、ここでいう内接円とはころ4の内側に形成されるものを指し、図8においては、軸5の外周とほぼ一致することになる。
また、図9に示す軸受6は、軸5の外周面から保持器2側に潤滑層Gが形成されない空間xを僅かに形成している。このように潤滑層Gが形成されない部分を僅かに形成することで、潤滑層Gがころ4と軸5の転動面との間に入り込むのを防止している。
【0004】
次に、上記の軸受1,6内に潤滑層Gを形成する方法について図10を用いて説明する。
まず、外輪3に保持器2を組み込むとともに、保持器2の内側からころ保持孔2aにころ4を嵌め込んで軸受1を構成する。そして、外輪3の外径とほぼ等しい内径を有する成形型7に、上記軸受1を挿入するとともに、軸受1における複数のころ4の内接円径S1と等しいかあるいは僅かに小さな軸径を有するアルミ製軸部材8を軸受1(内接円S)内に挿入する。なお、内接円径S1とは保持器2に保持される複数のころ4の内接円Sの直径のことをいう。
【0005】
上記の状態で成形型7に熱可塑性樹脂を含んだ液状潤滑剤9を注入し、軸受1内に形成される空間に液状潤滑剤9を充満させた後、上記成形型7内を密封状態にするとともに減圧して液状潤滑剤9に含まれる気泡を取り除く。そして、成形型7全体を150℃程度に加熱して、液状潤滑剤9に含まれる熱可塑性樹脂を加熱固化させる。
このような方法によれば、図7、図8からも明らかなように、外輪3ところ4との接触部及び軸5ところ4との僅かな接触部を除いて、外輪3と保持器2との間、ころ保持孔2aところ4との間、ころ4の内接円S(軸5)と保持器2との間全てに満遍なく潤滑層Gを形成することができる。
【0006】
また、軸受6に潤滑層Gを形成する際に、軸受6の内側に図示しないスペーサを取り付けておけば、ころ4の内接円Sから上記スペーサの厚さ分だけ潤滑層Gが形成されない空間xを形成することができる。したがって、図9からも明らかなように、外輪3ところ4との接触部、及び内接円Sから保持器2側に形成される僅かな空間xを除いて、軸受6内に満遍なく潤滑層Gを形成することができる。言い換えると、上記スペーサの厚さ分に相当する空間xを、積極的に確保することができる。
【特許文献1】特開2004−257491
【特許文献2】特開平11−153144
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の軸受1によれば、その初期状態において外輪3ところ4との接触部及び軸5ところ4との接触部の極僅かな部分を除いて、ころ4のほぼ全周に潤滑層Gが満遍なく形成されることになる。つまり、初期状態においては、潤滑層Gがころ4のほぼ全周に密着した状態になっている。このように潤滑層Gがころ4のほぼ全周に密着した初期状態においては、ころ4に対する潤滑層Gの密着力が大きくなるので、この初期状態でころ4が転動するとき、上記密着力の影響でころ4に大きな回転力を必要とする。そのために、上記初期状態に、小さな荷重で外輪3を回転させると、ころ4がスムーズに転動せず、ころ4と外輪3とがすべり接触してしまう。このようにころ4と外輪3とがすべり接触すると、そのときの摩擦熱によって、ころ4と外輪3とが焼き付いたり、接触部が塑性変形したりすることがある。そのため、軸受1を使用する初期状態においては、正常に回転させるために基本動定格荷重の1%以上の荷重を作用させなければならないという問題があった。
【0008】
これに対して上記のように空間xを形成した軸受6は、ころ4外周面における潤滑層Gの接触面積が、軸受1の場合よりも、上記空間xの分だけ小さくなる。そのため、軸受6においては、初期状態といえども小さな回転力でころ4を回転させることができ、初期状態で必要となる軸受6に対する必要最低限の軸受荷重は、軸受1の場合よりも小さくできる。
しかし、上記の軸受6は、潤滑層Gを形成する際に、空間xを設けるためのスペーサが必要となる。したがって、軸受6の場合には、潤滑層を形成する過程で、上記スペーサを別個に設けなければならず、その分、製造コストが高くなるという問題があった。
【0009】
さらに、上記スペーサは、ころ4ところ4との間に形成される間隔の数分だけ必要とする小片単位のものなので、それらスペーサを配置する作業が難しいだけでなく、作業工数も多くなるので、その分、製造コストがかさむという問題があった。
【0010】
この発明の第1の目的は、運転初期に必要となる必要最低限の軸受荷重を小さくするとともに、安価に製造することができ、しかも、簡単に組み付けることができる潤滑層形成軸受を提供することである。
また、この発明の第2の目的は、潤滑層形成軸受に潤滑層を簡単に形成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明は、外輪に多数のころを保持する筒状の保持器を組み込み、この外輪内にころの表面を潤滑するための固形潤滑剤からなる潤滑層を形成した軸受を前提とする。そして、上記複数のころに内接する内接円から上記保持器の最小内周面までの間を、上記潤滑層が形成されない非潤滑空間とした点に特徴を有する。
第2の発明は、上記の軸受に潤滑層を形成する方法であり、多数のころを保持した筒状の保持器を外輪に組み込んだ軸受を、この軸受の外輪外径以上の内径を有する成形型に挿入する工程と、この成形型に熱可塑性樹脂を含んだ液状潤滑剤を注入する工程と、成形型に潤滑剤を注入した状態で減圧して潤滑剤に含まれる気泡を取り除く工程と、保持器の最小内径以上の外形を有する円柱状の弾性体をころに内接する内接円内に圧入する工程と、熱可塑性樹脂を加熱固化して潤滑層を形成する工程とからなる点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、複数のころに内接する内接円と保持器の最小内周面との間を、潤滑層が形成されない非潤滑空間としたので、言い換えると、保持器の最小内周面を非潤滑空間の最深レベルにしているので、上記非潤滑空間を形成するために、例えば、ころが内接する内接円側から保持器の最小内周面まで弾性体を押し込んだ状態で潤滑層を形成すれば、上記空間を簡単に形成することができる。したがって、非潤滑空間を保持した軸受を、従来の軸受と比べて、大幅にコストダウンさせることができる。つまり、非潤滑空間を保持していながら、製造コストを大幅に低減した軸受を得ることができる。
【0013】
また、上記のように非潤滑空間を形成しているので、この非潤滑空間に突出するころの外周面に潤滑層が密着することがない。したがって、ころが転動する際にころ外周面に作用する潤滑層によって生じるトルクを低減させることができ、運転初期において必要となる軸受の必要最低限の軸受荷重を小さくすることができる。
【0014】
第2の発明によれば、複数のころの内接円内に保持器の最小内径以上の外形を有する円柱状の弾性体を圧入しておくだけで、非潤滑空間を簡単に形成することができる。したがって、従来のように上記非潤滑空間を形成するために、たくさんのスペーサを用意したり、あるいはそのスペーサをころの間に配置したりする必要がなくなる。このようにスペーサを必要としないので、従来の軸受の製造方法に比べて、そのコストを大幅に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1〜図4を用いてこの発明の第1実施形態について説明する。なお、従来と同様の構成要素については同様の符号を付して説明する。
図1に示す軸受10は、後述する筒状の保持器11を外輪3の内側にはめ込んでなる。保持器11には、軸方向に伸びる複数のころ保持孔11aが円周上に均等間隔で設けられるとともに、このころ保持孔11aに針状ころ4が転動自在に保持されている。
上記軸受10は、軸5を挿入するが、この状態において外輪3と軸5との間にころ4が介在するとともに、このころ4が外輪3と軸5との間で転動して両者の相対回転をスムーズにする。
【0016】
上記保持器11は、外輪3と軸5との間からころ4が脱落しないようにころ4を保持しているが、その構成について図2を用いて説明する。
図2中(a)は、保持器11の軸方向断面図であり、(b)は保持器11の部分平面図である。図中一点鎖線で示すころ4は、保持器11のころ保持孔11a内において図に示す位置に保持されるが、これはころ4ところ保持孔11aとが次のような寸法関係を維持しているからである。すなわち、ころ保持孔11aは幅L2を有する底部11bと幅L3を有する案内部11cとによって形成される。そして、底部11bの幅L2はころ4の直径L1よりもわずかに小さく、案内部11cの幅L3はころ4の直径L1よりもわずかに大きい。したがって、図2(a)中上方から、ころ4をころ保持孔11aに位置させると、ころ4が底部11bに保持される。一方、ころ4はその上方においては、保持器11に対してフリーな状態となる。しかし、図1に示すように、保持器11を外輪3に組み込むと、ころ4が外輪3の内周面と底部11bとの間で保持されるため、ころ4がころ保持孔11aから脱落することはない。
【0017】
上記のようにころ保持孔11aにころ4を保持した保持器11を外輪3に組み込んだ状態で、図1および図3に示すように固形潤滑剤からなる潤滑層Gを軸受10内に形成する。ただし、この第1実施形態における軸受10においては、保持器11と軸5との間に潤滑層Gが形成されていない。言い換えれば、保持器11の最小内周面11dと複数のころ4の内接円Sとの間は、潤滑層Gが形成されない非潤滑空間12となるようにしている。したがって、保持器11の最小内周面11dよりも内接円S側に突出したころ4の外周面には潤滑層Gが密着しないことになる。
【0018】
次にこの第1実施形態における軸受10の作用について説明する。
軸受10に軸5を挿入した状態で軸5を固定し、外輪3に荷重を作用させながら外輪3と軸5とを相対回転させると、ころ4が外輪3と軸5との間で転動する。このとき、ころ4外周には潤滑層Gが密着しているので、潤滑層Gに含浸された油がころ4を潤滑して、ころ4の転動をスムーズにするとともに、外輪3と軸5との相対回転をスムーズにする。
ただし、保持器11の最小内周面11dと内接円Sとの間に形成された非潤滑空間12においては、潤滑層Gが形成されていない。
【0019】
このように、第1実施形態においては、複数のころ4に内接する内接円Sと保持器の最小内周面11dとの間を、潤滑層Gが形成されない非潤滑空間12としたので、言い換えると、保持器11の最小内周面11dを非潤滑空間12の最深レベルにしているので、上記非潤滑空間12を簡単に形成することができる。したがって、非潤滑空間12を保持した軸受は、従来の軸受に比べて、大幅にコストダウンさせることができる。つまり、非潤滑空間12を保持していながら、製造コストを大幅に低減した軸受を得ることができる。
また、上記のように非潤滑空間12を形成しているので、この非潤滑空間12に突出するころ4の外周面に潤滑層Gが密着することがない。したがって、ころ4が転動する際にころ4外周面に作用する潤滑層Gによって生じるトルクを低減させることができ、運転初期において最低限必要となる軸受荷重を小さくすることができる。
【0020】
次に、上記軸受10に潤滑層Gを形成する方法について図4を用いて説明する。
まず、外輪3に保持器11を組み込むとともに、保持器11のころ保持孔11aにころ4を嵌め込んで軸受10を形成する。このように形成した軸受10を、外輪3の外径とほぼ等しい内径を有する成形型7に挿入したら、この成形型7内に、熱可塑性樹脂を含んだ液状潤滑剤9を、軸受10内に形成される空間全てに充満するまで注入する。そして、上記成形型7内を密封状態にするとともに、減圧して潤滑剤に含まれる気泡を取り除く。
【0021】
上記の状態から、保持器11の最小内径S2と等しいか又はこれよりも僅かに大きな軸径を有する円柱状の弾性体13を軸受10内(内接円S内)に圧入する。なお、最小内径S2とは保持器11の最小内周面11dの直径をいう。また、弾性体13は、シリコンゴム等の耐熱性と弾力性を有する部材であるが、耐熱性と弾力性を有するものであれば、特にその部材は限定されない。
上記のように軸受10内(内接円S内)に弾性体13を圧入すると、図4に示すように、弾性体13の外周面がその弾性力により変形する。すなわち、弾性体13は保持器11の最小内周面11d及びころ4に押圧されるとともに、最小内周面11d及びころ4にぴったりと密着する。
【0022】
この状態で成形型7全体を加熱して、液状潤滑剤9に含まれる熱可塑性樹脂を加熱固化させると、図3に示すように、簡単に非潤滑空間12を形成することができるとともに、非潤滑空間12を除いて軸受10内に満遍なく潤滑層Gを形成することができる。いずれにしても、上記のように非潤滑空間12を簡単に形成できるのは、その非潤滑空間12の最深レベルを、保持器11の最小内周面11dに設定した結果である。
【0023】
次に、図5、図6を用いてこの発明の第2実施形態について説明する。なお、この第2実施形態においては、上記第1実施形態における保持器11の構成のみが異なり、他の構成要素及び潤滑層Gの形成方法については上記第1実施形態と同様である。したがって、同様の構成要素については同様の符号を付するとともに、その詳細な説明は省略する。
図5に示す軸受14は、筒状の保持器15を外輪3の内側にはめ込んでなる。保持器15には、軸方向に伸びる複数のころ保持孔15aが円周上に均等間隔で設けられるとともに、このころ保持孔15aに針状ころ4が転動自在に保持されている。
【0024】
図6は上記の保持器15を示しており、(a)は保持器15の軸方向断面図であり、(b)は保持器15の部分平面図である。図6(a)からも明らかであるように、この保持器15はその断面形状が薄い板状の部材からなり、その軸方向中央部に凹みが形成されている。そして、この凹みの底が保持器15の底部15bとなり、この底部15bの両側が平坦部15cとなる。そして、この平坦部15cから底部15bを横切るように上記ころ保持孔15aが形成されている。
【0025】
そして、ころ保持孔15aの幅は、底部15bに対応する部分において幅L2であり、平坦部15cに対応する部分において幅L3である。また、図中一点鎖線で示すころ4の直径をL1とすると、底部15bにおけるころ保持孔15aの幅L2はころ4の直径L1よりも小さく、平坦部15cにおけるころ保持孔15aの幅L3はころ4の直径L1よりも大きい。したがって、図6(a)中上方から、ころ4をころ保持孔15aに位置させると、ころ4が底部15bに保持される一方、ころ4の上方においては、保持器15に対してフリーな状態となる。ただし、図5に示すように、保持器15を外輪3に組み込むと、ころ4が外輪3の内周面と底部15bとの間で保持されるため、ころ4がころ保持孔15aから脱落することはない。
【0026】
上記のようにした軸受14に、上記第1実施形態と同様の弾性体13を用いて潤滑層Gを形成すると、図5に示すように保持器15の最小内周面15dと軸5(内接円S)との間に非潤滑空間12が形成される。この非潤滑空間12は、上記第1実施形態と同様潤滑層Gが形成されない空間であるが、この軸受14においては最小内周面15dと保持器15の平坦部15cとの間にも潤滑層Gが形成されている。ただし、上記第1実施形態と同様、最小内周面15dよりも内接円S側には潤滑層Gが形成されないので、この非潤滑空間12に突出するころ4の外周面に潤滑層Gが密着しない。したがって、上記第1実施形態と同様、ころ4が転動したときにころ4外周面に作用する潤滑層Gのトルクを低減することができ、運転初期において必要となる軸受14の最低限必要な軸受荷重を小さくすることができる。
また、非潤滑空間12の最深レベルは保持器15の最小内周面15dを基準に形成されるため、非潤滑空間12を設ける際にスペーサのような別部材が必要なく、安価に製造することができる。
【0027】
なお、上記第1,2実施形態では、ころ4の内側に軸5を直接挿入する軸受について説明したが、上記ころ4の内側に、図示していない内輪を組み込む軸受にも、この発明を適用できること当然である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態における軸受に軸を挿入した状態を示す断面図である。
【図2】第1実施形態における保持器を示す図である。
【図3】第1実施形態における軸受の一部を拡大して示す部分断面図である。
【図4】第1実施形態における軸受に潤滑層を形成する方法を示す図である。
【図5】第2実施形態における軸受に内輪を挿入した状態を示す断面図である。
【図6】第2実施形態における保持器を示す図である。
【図7】従来の軸受を示す図である。
【図8】従来の軸受の一部を拡大して示す部分断面図である。
【図9】従来の別の軸受の一部を拡大して示す部分断面図である。
【図10】従来の軸受に潤滑層を形成する方法を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
3 外輪
4 ころ
7 成形型
9 液状潤滑剤
10,14 軸受
11,15 保持器
11d,15d 最小内周面
12 非潤滑空間
13 弾性体
G 潤滑層
S 内接円
S2 最小内径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外輪に多数のころを保持した筒状の保持器を組み込み、この外輪内にころの表面を潤滑するための固形潤滑剤からなる潤滑層を形成した軸受において、上記複数のころに内接する内接円から上記保持器の最小内周面までの間を、上記潤滑層が形成されない非潤滑空間とした潤滑層形成軸受。
【請求項2】
多数のころを保持した筒状の保持器を外輪に組み込んだ軸受を、この軸受の外輪外径以上の内径を有する成形型に挿入する工程と、この成形型に熱可塑性樹脂を含んだ液状潤滑剤を注入する工程と、成形型に潤滑剤を注入した状態で減圧して潤滑剤に含まれる気泡を取り除く工程と、保持器の最小内径以上の外形を有する円柱状の弾性体をころに内接する内接円内に圧入する工程と、熱可塑性樹脂を加熱固化して潤滑層を形成する工程とからなる潤滑層形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−247739(P2007−247739A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−70810(P2006−70810)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000229335)日本トムソン株式会社 (96)
【Fターム(参考)】