説明

潤滑組成物

【課題】 有効寿命の長い潤滑剤組成物を提供する。
【解決手段】 大量の基油;および(i)アリール部分により置換されているトリアゾール化合物;(ii)式(I)
【化1】


(式中、RおよびRは、約6〜約30個の原子を含んでなる少なくとも1つアリール部分、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロおよびスルフォノからなる群から各々独立に選択される)により表される窒素含有化合物;および(iii)硫化化合物を含む少量の添加物組成物を含んでなる潤滑剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、添加物と潤滑剤組成物およびこれらを使用する方法に関する。
特に、本発明は、(i)アリール部分により置換されているトリアゾール化合物、(ii)窒素含有化合物および(iii)硫化化合物を含んでなる添加物組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車またはトラック内燃エンジンおよびトランスミッション中で使用されるような潤滑油は、使用時に厳しい環境にさらされる。この環境は、オイル中の不純物の存在により触媒作用され、そして使用時のオイルの高い温度によっても促進される、オイルの酸化を生じる。
【0003】
潤滑油の酸化は、オイル中のスラッジの形成と、潤滑剤の粘度特性の劣化に寄与する。この酸化は、適当な酸化防止剤添加物を選択することにより、しばしばある程度抑制され、潤滑油の寿命を著しく改善する。酸化防止剤添加物は、例えば許容し得ない粘度増加および/または堆積物形成を低下あるいは防止することにより、潤滑油の有用な寿命を延長することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加えて、潤滑組成物中の磨耗防止剤の適当なバランスを選択することにより、磨耗劣化に対してエンジンの金属表面を保護することは、金属表面の寿命を著しく増加することができる。磨耗防止剤は、金属接触に対して金属を保護する薄膜を金属表面上に形成し、磨耗量の減少を生じる。よく知られ、普通に使用される磨耗防止剤は亜鉛ジアルキルチオホスフェート(ZDDP)である。
【0005】
しかしながら、高温および/または高圧を含む潤滑油がさらされる厳しい環境は、潤滑油組成物中のZDDPを分解させる。研究によって、乗用車モーターオイルおよび重負荷ジーゼル配合物において過去50年間主力の磨耗防止剤であったZDDP化合物に大部分由来するリンにより、ある排ガス触媒は不活性化され得るということが示された。結果として、未来のエンジンオイルは低下したリンレベルを含有する。更には、ZDDPが分解し、亜鉛分子を放出するにつれて、これらの亜鉛分子は、潤滑組成物中に存在する他の性能添加物と反応能があり、そしてエンジン性能に悪影響を引き起こすことができるスラッジおよび他の粒子状物質を作り出す。酸化のこれらの望ましくない影響は、更に過酷なエンジン性能要求への合致という点で問題を提示する。
【0006】
ZDDPの量を単純に低下させることは、磨耗防止性の低下を伴うために、この問題に対する実際的な解決策でない。それゆえ、潤滑油組成物は、潤滑油の酸化劣化を低減する改善された添加物と妥協することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(i)アリール部分により置換されているトリアゾール化合物、(ii)窒素含有化合物および(iii)硫化化合物を含んでなる組成物が酸化を阻止することができる極めて有効な系を提供することができるということを見出した。
【0008】
この開示にしたがえば、(i)アリール部分により置換されているトリアゾール化合物;(ii)式(I)
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、RおよびRは、約6〜約30個の原子を含んでなる少なくとも1つアリール部分、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロおよびスルフォノからなる群から各々独立に選択される)により表される窒素含有化合物;および(iii)硫化化合物を含んでなる添加物組成物が提供される。
【0011】
一つの局面においては、大量の基油;および(i)アリール部分により置換されているトリアゾール化合物;(ii)式(I)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、RおよびRは、約6〜約30個の原子を含んでなる少なくとも1つアリール部分、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロおよびスルフォノからなる群から各々独立に選択される)により表される窒素含有化合物;および(iii)硫化化合物を含む少量の添加物組成物を含んでなる潤滑剤組成物を含んでなる、潤滑剤組成物も提供される。
【0014】
更には、大量の基油;および(i)アリール部分により置換されているトリアゾール化合物;(ii)式(I)
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、RおよびRは、約6〜約30個の原子を含んでなる少なくとも1つアリール部分、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロおよびスルフォノからなる群から各々独立に選択される)により表される窒素含有化合物;および(iii)硫化化合物を含む少量の添加物組成物を含んでなる潤滑剤組成物をマシンに供給することを含んでなる、潤滑剤組成物の酸化劣化を減少させる方法が提供される。
【0017】
更には、大量の基油;および(i)アリール部分により置換されているトリアゾール化合物;(ii)式(I)
【0018】
【化4】

【0019】
(式中、RおよびRは、約6〜約30個の原子を含んでなる少なくとも1つアリール部分、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロおよびスルフォノからなる群から各々独立に選択される)により表される
窒素含有化合物;および(iii)硫化化合物を含む少量の添加物組成物を含んでなる潤滑剤組成物をマシンに添加することを含んでなる、マシンを運転する方法が提供される。
【0020】
更には、大量の基油;および(i)アリール部分により置換されているトリアゾール化合物;(ii)式(I)
【0021】
【化5】

【0022】
(式中、RおよびRは、約6〜約30個の原子を含んでなる少なくとも1つアリール部分、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロおよびスルフォノからなる群から各々独立に選択される)により表される窒素含有化合物;および(iii)硫化化合物を含んでなる少量の添加物組成物を含む潤滑剤組成物と少なくとも1つ可動部を接触させることを含んでなる、マシンの少なくとも1つ可動部を潤滑する方法が提供される。
【0023】
この開示の更なる目的および利点は、次の説明において一部説明され、そして/あるいはこの開示の実施により学習可能である。この開示の目的および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘されている要素および組み合わせにより実現および達成される。
【0024】
前出の一般的な説明と次の詳細な説明の両方は、例示的で、そして単に説明的なものであり、そして特許請求されている、この開示を制限するものでないということを理解するべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本開示は、一般に、大量の基油と、(i)アリール部分により置換されているトリアゾール化合物;(ii)式(I)
【0026】
【化6】

【0027】
(式中、RおよびRは、約6〜約30個の原子を含んでなる少なくとも1つアリール部分、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロおよびスルフォノからなる群から各々独立に選択される)により表される窒素含有化合物;および(iii)硫化化合物を含む少量の添加物組成物を含んでなる潤滑剤組成物に関する。
【0028】
この明細書中で使用されるように、用語「大量」は、この組成物の全重量に対して50重量%以上あるいはそれに等しい量、例えば約80〜約98重量%の量を意味すると理解される。更には、この明細書中で使用されるように、用語「少量」は、この組成物の全重量に対して50重量%未満の量を意味すると理解される。
【0029】
この明細書中で使用されるように、「芳香族」または「アリール」は、明白に特記しない限り、通常の置換あるいは非置換の非脂肪族ヒドロカルビルまたはこの類のヘテロ環状部分、例えば融合されたあるいは共有結合された単環または多環(3環までの)を有することができる、多不飽和の、通常芳香族のヒドロカルビル環状あるいはヘテロ環状の置換
基を指す。通常のヒドロカルビル芳香族部分は、フェニル、ナフチル、ビフェニレニル、フェナントレニル、フェナレニルなどを含む。このような部分は、1つ以上のヒドロカルビル置換基により場合によっては置換されている。ビフェニルなどの他のアリール部分により置換されているアリール部分も含まれている。ヘテロ環状アリールあるいは芳香族部分は、環中に炭素原子と、通常、酸素、窒素、イオウおよび/またはリンである更に1つ以上のヘテロ原子を含有する、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、ピラニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、チアゾリルなどの不飽和の環状部分を指す。このような部分は、ヒドロキシ、場合によっては置換された低級アルキル、場合によっては置換された低級アルコキシ、アミノ、アミド、エステル部分およびカルボニル部分(例えば、アルデヒドあるいはケトン部分)などの1つ以上の置換基により場合によっては置換されている。
【0030】
この明細書中で使用されるように、「アルカリール」は、明白に特記しない限り、上述の通常の置換あるいは非置換の非脂肪族ヒドロカルビルまたはヘテロ環状部分により置換されているアルキル基を指す。通常のアリール部分は、フェニル、ナフチル、ベンジルなどを含む。このような部分は、ヒドロキシ、場合によっては置換されたアルキル、場合によっては置換されたアルコキシ、アミノ、アミド、エステル部分およびカルボニル部分(例えば、アルデヒドあるいはケトン部分)などの1つ以上の置換基により場合によっては置換されている。
【0031】
この明細書中で使用されるように、用語「炭化水素」、「ヒドロカルビル」または「炭化水素ベースの」は、記述されている基が本発明の文脈内でのほぼ炭化水素の性格を有するということを意味する。これらは、純粋に炭化水素の性状である基を含み、すなわち炭素および水素のみを含有する。これらは、基のほぼ炭化水素の性格を変えない置換基または原子を含有する基も含む。このような置換基は、ハロ−、アルコキシ−、ニトロ−などを含み得る。これらの基はヘテロ原子も含有し得る。好適なヘテロ原子は、当分野で熟練の者には明白であり、そして例えばイオウ、窒素および酸素を含む。それゆえ、本発明の文脈内でのほぼ炭化水素の性格を保つ一方で、これらの基は、さもなくば炭素原子から構成される鎖または環中に存在する炭素以外の原子を含有し得る。
【0032】
本開示の組成物での使用に好適なトリアゾール化合物は、置換あるいは非置換のトリアゾール化合物を含むいかなるトリアゾールでもあることができる。ある態様においては、このトリアゾール化合物は1,2,3−トリアゾール化合物である。他の態様においては、このトリアゾール化合物は1,2,4−トリアゾール化合物である。一つの態様においては、このトリアゾール化合物はアルキルビス−3−アミノ−1,2,4−トリアゾールでない。
【0033】
例として、このトリアゾール化合物は、単環または多環、例えば共有結合環を含んでなる置換あるいは非置換のアリール部分により置換可能である。共有結合環を含んでなる置換芳香族部分の非限定的な例は、ビフェニル、1,1’−ビナフチル、p,p’−ビトリル、ビフェニレニルなどを含む。もう一つの例として、このアリール部分は、融合多環を含んでなることができる。融合多環を含んでなるアリール部分の非限定的な例は、ナフチル、アントリル、ピレニル、フェナントレニル、フェナレニルなどを含む。更なる例として、このアリール部分は、トリアゾールに共有結合した単環を含んでなることができる。トリアゾールに共有結合した単環を含んでなるアリール部分の非限定的な例は、フェニルなどを含む。もう一つの例として、このアリール部分は、トリアゾールに融合した単環を含んでなることができる。トリアゾールに融合した単環を含んでなるアリール部分の非限定的な例は、ベンゾトリアゾールおよびトリルトリアゾールを含む。この明細書中での使用に好適な市販のトリアゾール化合物の例は、80〜83℃の範囲の融点、182℃の引火点および160℃の沸点を有する淡褐色粉末である、トリルトリアゾールである。
【0034】
一つの態様においては、このトリアゾール化合物は式(II)
【0035】
【化7】

【0036】
(式中、Rは水素および約1〜約24個の炭素原子を含んでなるアルキル部分からなる群から選択され、そしてRは水素および約1〜約24個の炭素原子を含んでなるアルキル部分および置換ヒドロカルビル部分からなる群から選択される)により表現可能である。もう一つの態様においては、式(II)により表されるトリアゾール化合物のRおよびRは、約1〜約16個の炭素原子を各々独立に含んでなることができる。
【0037】
このトリアゾール化合物は、開示されている潤滑剤および添加物組成物中にいかなる有効な量でも存在することができ、これは当分野で普通の技術の者ならば容易に決めることができる。一つの態様においては、本開示の潤滑組成物は、組成物の全重量に対して約0.05重量%〜約0.5重量%の、例えば約0.1重量%〜約0.3重量%のトリアゾール化合物を含んでなることができる。もう一つの態様においては、本開示の添加物組成物は、添加物組成物の全重量に対して約0.48重量%〜約5重量%のトリアゾール化合物を含んでなることができる。
【0038】
この開示されている組成物は、種々の使用のために窒素含有化合物を含んでなることもできる。本開示の開示されている組成物において使用可能な窒素含有化合物のタイプに対する特別な制約はない。一般に、この明細書中での使用に好適な窒素含有化合物は、式(I)
【0039】
【化8】

【0040】
(式中、RおよびRは、約6〜約30個の原子を含んでなる少なくとも1つアリール部分、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロおよびスルフォノからなる群から各々独立に選択される)により表現可能である。例えば、RおよびRは、約6〜約30個の原子を含んでなるアリール基を各々独立に含んでなることができる。RおよびRを含んでなることができるアリール基の非限定的な例は、フェニル、ベンジル、ナフチルおよびアルカリールを含む。もう一つの例として、RおよびRは、アルキル基が約4〜約30個の炭素原子、例えば約4〜約12個の炭素原子を含んでなる、アルカフェニルまたはアルカナフチルなどのアルカリールを各々独立に含んでなることができる。更にもう一つの例として、RおよびRは、置換あるいは非置換のアリール基を各々独立に含んでなることができる。アリール基の置換基の非限定的な例は、約1〜約20個の炭素原子を含んでなるアルキル基、ヒドロキシル、カルボキシルおよびニトロ部分を含むことができる。もう一つの例として、RおよびRは、各々独立にアルキル置換ベンジル、フェニル、ナフチルであることができる。
【0041】
好適である窒素含有化合物の他の非限定的な例は、フェニルアミン;ジフェニルアミン;トリフェニルアミン;種々のアルキル化フェニルアミン、ジフェニルアミンおよびトリフェニルアミン;N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−アルキルアミン;3−ヒドロキシジフェニルアミン;N−フェニル−1,2−フェニレンジアミン;N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン;ジブチルジフェニルアミン;ジオクチルジフェニルアミン;ジノニルジフェニルアミン;フェニル−アルファ−ナフチルアミン;フェニル−ベータナフチルアミン;ジヘプチルジフェニルアミン;およびp−配向スチレン化ジフェニルアミンを含む。好適な窒素含有化合物の更なる非限定的な例およびこれらの製造方法は、記述が引用によりこの明細書に組み込まれている、米国特許第6,218,576号で述べられているものを含む。
【0042】
この明細書中で使用される窒素含有化合物は、分子中で1つのみの窒素原子を示す上記で式(I)に示すもの以外の構造を含んでなることができる。このように、例えば二級窒素原子を有する種々のジアミンの場合におけるように少なくとも1つ窒素がこれに結合する少なくとも1つアリール基ならびにこの窒素の一つに結合するアリールを有するという前提ならば、この窒素含有化合物は、異なる構造を含んでなることができる。
【0043】
この明細書中で使用される窒素含有化合物は、単独で、あるいはこの明細書中で述べられている組み合わせで使用される場合には開示されている組成物中で酸化防止剤の性質を有することができる。この明細書中で使用される窒素含有化合物は、最終の潤滑剤組成物に可溶でなければならない。
【0044】
この潤滑組成物中の窒素含有化合物の量は、特定の要求および用途に依って変わることができる。一つの態様においては、本開示の潤滑組成物は、潤滑組成物の全重量に対して約0.2重量%〜約1.2重量%の、例えば約0.4重量%〜約1.0重量%のこの窒素含有化合物を含んでなることができる。もう一つの態様においては、本開示の添加物組成物は、潤滑組成物の全重量に対して約2重量%〜約12重量%のこの窒素含有化合物を含んでなることができる。
【0045】
本開示の組成物での使用に好適な硫化化合物は、潤滑剤組成物に可溶性であるという前提ならば、いかなる硫化化合物でもあることができる。例えば、この硫化化合物は硫化オレフィンであることができる。硫化オレフィンの非限定的な例は、硫化C−C24アルファ−オレフィン、硫化異性化C−C24アルファ−オレフィン、硫化分岐C−C24オレフィン、硫化環状C−C24オレフィンおよびこれらの組み合わせ物を含む。もう一つの例として、このオイル硫化化合物は硫化脂肪油であることができる。硫化脂肪油の非限定的な例は、硫化とうもろこし油、硫化カノーラ油、硫化綿実油、硫化ぶどう種油、硫化オリーブ油、硫化パーム油、硫化ピーナッツ油、硫化ココナッツ油、硫化菜種油、硫化ごま油、硫化大豆油、硫化ひまわり油、硫化獣脂、にしん油および鰯油を含む硫化魚油およびこれらの組み合わせ物を含む。この明細書中での使用に好適な市販の硫化化合物の例は、Afton Chemical Corporation(Richmond,Virginia)から入手し得るHiTEC(登録商標)7084である。
【0046】
この硫化化合物は、この開示されている潤滑剤および添加物組成物中にいかなる有効な量でも存在することができ、これは当分野で普通の技術の者ならば容易に決めることができる。一つの態様においては、本開示の潤滑組成物は、この組成物の全重量に対して約0.4重量%〜約1.2重量%の、例えば約0.6重量%〜約1.0重量%のこの硫化化合物を含んでなることができる。もう一つの態様においては、この開示の添加物組成物は、添加物組成物の全重量に対して約4重量%〜約12重量%のこの硫化化合物を含んでなることができる。
【0047】
この明細書中で開示されている組成物は、リン含有化合物、分散剤、灰含有洗浄剤、無灰洗浄剤、過塩基性洗浄剤、流動点降下剤、粘度指数変成剤、灰含有摩擦変成剤、無灰摩擦変成剤、窒素含有摩擦変成剤、窒素を含まない摩擦変成剤、エステル化摩擦変成剤、極圧剤、防錆剤、酸化防止剤、腐食防止剤、消泡剤、チタン化合物、チタン錯体、有機可溶性モリブデン化合物、有機可溶性モリブデン錯体、ホウ素含有化合物、ホウ素含有錯体およびこれらの組み合わせ物などの添加物を場合によっては含有する。一つの局面においては、潤滑剤組成物中のこのリン含有化合物、例えば亜鉛ジアルキルチオホスフェート塩は、潤滑剤組成物中で重量で約100〜約1000パーツ・パー・ミリオンの全リンを提供するのに充分な量で存在し得る。もう一つの局面においては、このリン含有化合物は、潤滑剤組成物中で重量の約600〜約800パーツ・パー・ミリオンの全リンを提供するのに充分な量で存在し得る。更にもう一つの局面においては、この組成物は、用途の必要性および要求に依って種々のレベルの少なくとも1つチタン含有化合物を含んでなることができる。
【0048】
開示されている組成物の配合での使用に好適な基油は、合成油または鉱油またはこれらの混合物のいずれかから選択可能である。鉱油は、動物油および植物油(例えば、ひまし油、ラード油)ならびに液体石油および溶剤処理あるいはパラフィン系、ナフテン系あるいは混合パラフィン系−ナフテン系タイプの酸処理された鉱物質潤滑油などの他の鉱物質潤滑油を含む。石炭または頁岩由来のオイルも好適である。更には、ガス−液体法由来のオイルも好適である。
【0049】
この基油は大量で存在することができ、ここで「大量」は、潤滑剤組成物の50重量%以上あるいはそれに等しい、例えば約80〜約98重量%を意味すると理解される。
【0050】
この基油は、通常、例えば約2〜約150cStの、そして更なる例として100℃で約5〜約15cStの粘度を有する。このように、この基油は、通常、約SAE15〜約SAE250の範囲の粘度を有し、通常、約SAE20W〜約SAE50の範囲にあることができる。好適な自動車オイルは、15W−40、20W−50、75W−140、80W−90、85W−140、85W−90などのクロスグレードも含む。
【0051】
合成油の非限定的な例は、重合および共重合オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレンイソブチレンコポリマーなど)などの炭化水素油;ポリ(1−ヘキセン)、ポリ−(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)などのポリアルファオレフィンおよびこれらの混合物;アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジ−ノニルベンゼン、ジ−(2−エチルヘキシル)ベンゼンなど);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニルなど);アルキル化ジフェニルエーテルおよびアルキル化ジフェニルスルフィドとこれらの誘導体、類似体および同族体などを含む。
【0052】
末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化などにより変成されたアルキレンオキシドポリマーおよびインターポリマーとこれらの誘導体は、使用可能な既知の合成油のもう一つの類を構成する。このようなオイルは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの重合により製造されるオイル、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキルおよびアリールエーテル(例えば、約1000の平均分子量を有するメチル−ポリイソプロピレングリコールエーテル、約500〜1000の分子量を有するポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、約1000〜1500の分子量を有するポリプロピレングリコールのジエチルエーテルなど)またはこれらのモノ−およびポリカルボン酸エステル、例えばテトラエチレングリコールの酢酸エステル、混合C3−8脂肪酸エステルまたはC13オキソ酸ジエステルにより例示される。
【0053】
使用可能な合成油のもう一つの類は、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノレン酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸など)と種々のアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールなど)とのエステルを含む。これらのエステルの特定な例は、ジブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジ−n−ヘキシルフマレート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソデシルアゼレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジアイコシルセバケート、リノレン酸二量体の2−エチルヘキシルジエステル、1モルのセバシン酸と2モルのテトラエチレングリコールおよび2モルの2−エチルヘキサン酸とを反応させることにより形成される複雑なエステルなどを含む。
【0054】
合成油として有用なエステルは、C5−12モノカルボン酸と、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどのポリオールおよびポリオールエーテルから製造されるものも含む。
【0055】
したがって、この明細書中で述べる組成物の製造に使用可能な使用される基油は、米国石油協会(API)基油互換性ガイドラインで規定されているようなグループI〜V中の基油のいずれかから選択可能である。このような基油グループは次の通りである。
【0056】
グループIは、90%未満の飽和物および/または0.03%以上のイオウを含有し、そして80以上あるいはそれに等しく、そして120未満の粘度指数を有し;グループIIは、90%以上あるいはそれに等しい飽和物および0.03%未満あるいはそれに等しいイオウを含有し、そして80以上あるいはそれに等しく、そして120未満の粘度指数を有し;グループIIIは、90%以上あるいはそれに等しい飽和物および0.03%未満あるいはそれに等しいイオウを含有し、そして120以上あるいはそれに等しい粘度指数を有し;グループIVはポリアルファオレフィン(PAO)であり;そしてグループVは、グループI、II、IIIまたはIVに含まれないすべての他のベースストックを含む。
【0057】
上記のグループの規定に使用される試験方法は、飽和物に対してはASTM D2007であり;粘度指数に対してはASTM D2270であり;そしてイオウに対してはASTM D2622、4294、4927および3120の一つである。
【0058】
グループIVベースストック、すなわちポリアルファオレフィン(PAO)は、アルファ−オレフィンの水素化オリゴマーを含み、オリゴマー化の最も重要な方法は、フリーラジカル法、チーグラー触媒法およびカチオン性のフリーデル−クラフツ触媒法である。
【0059】
このポリアルファオレフィンは、通常、100℃で2〜100cStの、例えば100℃で4〜8cStの範囲の粘度を有する。これらは、例えば約2〜約30個の炭素原子を有する分岐あるいは直鎖アルファ−オレフィンのオリゴマーであることができる。非限定的な例は、ポリプロペン、ポリイソブテン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−オクテンおよびポリ−1−デセンを含む。ホモポリマー、インターポリマーおよび混合物が含まれている。
【0060】
上記したベースストックのバランスに関しては、生成する混和物がグループIベースストックについて上記に規定されている特性の内に入る特性を有するという前提ならば、「
グループIベースストック」は、1つ以上の他のグループからのベースストックが混和可能なグループIベースストックも含む。
【0061】
例示のベースストックは、グループIベースストックおよびグループIIベースストックとグループIブライトストックとの混合物を含む。
【0062】
この明細書中での使用に好適なベースストックは、限定ではないが、蒸留、溶剤精製、水素処理、オリゴマー化、エステル化および再精製を含む、種々の異なる方法を用いて製造可能である。
【0063】
この基油は、フィッシャー・トロプシュ合成の炭化水素由来のオイルであることができる。フィッシャー・トロプシュ合成の炭化水素は、フィッシャー・トロプシュ触媒を用いてHとCOを含有する合成ガスから製造可能である。このような炭化水素は、基油として有用であるためには、更なる処理を通常必要とする。例えば、この炭化水素は、米国特許第6,103,099号または第6,180,575号で開示されている方法を用いて水素異性化可能であり;
米国特許第4,943,672号または第6,096,940号で開示されている方法を用いて水素分解および水素異性化可能であり;米国特許第5,882,505号で開示されている方法を用いて脱ワックス可能であり;あるいは米国特許第6,013,171号、第6,080,301号または第6,165,949号で開示されている方法を用いて水素異性化および脱ワックス可能である。
【0064】
この明細書中で上記に開示されているタイプの鉱物質あるいは合成質(ならびにこれらのいずれかの2つ以上の混合物)の非精製、精製および再精製油は、基油中で使用可能である。非精製油は、更なる精製処理なしで鉱物質あるいは合成質の源から直接に入手されるものである。例えば、レトルト操作から直接に得られる頁岩油、一次蒸留から直接に得られる石油、エステル化法から直接に得られ、そして更なる処理なしで使用されるエステルオイルは、非精製油である。精製油は、1つ以上の性質を改善するのに1つ以上の精製段階で更に処理されたものであることを除いて、非精製油に類似している。溶媒抽出、二次蒸留、酸あるいは塩基抽出、濾過、滲出などの多数のこのような精製技術が当分野の熟練の者には知られている。再精製油は、精製油を得るのに使用されるものに類似の、既に使用されている精製油に適用されている方法により得られる。このような再精製油は、再生油または再処理油としても知られ、使用済の添加物、混入物および油分解生成物の除去を目的とした技術によりしばしば更に処理される。
【0065】
種々の態様にしたがえば、潤滑剤組成物で粘度増加の開始を遅らせる方法が開示されている。この明細書中で使用されるように、用語「粘度増加の開始を遅らせる」は、この明細書中で開示されているアリール部分により置換されているトリアゾール化合物、窒素含有化合物および硫化化合物を含む、この出願の酸化防止剤組成物を含まない組成物と比較して、酸化工程による潤滑剤組成物の粘度の増加の開始をある時間にわたって遅らせることを意味すると理解される。潤滑剤組成物中の粘度増加の開始を遅らせる方法は、大量の基油;および(i)アリール部分により置換されているトリアゾール化合物;(ii)式(I)
【化9】

(式中、RおよびRは、約6〜約30個の原子を含んでなる少なくとも1つアリール部分、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロおよびスルフォノからなる群から各々独立に選択される)により表される窒素含有化合物;および(iii)硫化化合物を含む少量の添加物組成物を含んでなる潤滑剤組成物をマシンに供給することを含んでなることができる。
【0066】
種々の態様にしたがって、マシンの少なくとも1つ可動部を潤滑する方法も開示されている。この明細書中で使用されるように、「マシンの少なくとも1つ可動部」は、ギア、
ピストン、ベアリング、ロッド、スプリング、カムシャフト、クランクシャフトなどを含む、運動能のあるマシンの少なくとも1つの部分を意味すると理解される。マシンの少なくとも1つ可動部を潤滑する方法は、少なくとも1つ可動部を大量の基油;および少量の開示されている添加物組成物を含んでなる潤滑剤組成物と接触させることを含んでなる。
【0067】
他の態様においては、大量の基油と少量の開示されている添加物組成物を含んでなる潤滑剤組成物を添加することを含んでなる、マシンを運転する方法も開示されている。
【0068】
開示されている方法におけるマシンは、スパーク着火および圧縮着火式内燃エンジンからなる群から選択可能である。更には、この少なくとも1つ可動部は、ギア、ピストン、ベアリング、ロッド、スプリング、カムシャフト、クランクシャフトなどを含んでなることができる。
【0069】
この潤滑剤組成物は、マシンの潤滑に有効であるいかなる組成物でもあることができる。一つの局面においては、この組成物は、乗用車モーターオイル、中速ジーゼルエンジンオイルおよび重負荷ジーゼルエンジンオイルからなる群から選択される。
【実施例】
【0070】
次の実施例は本発明およびこれの有利な性質を例示する。この実施例において、ならびにこの出願書においては、特記しない限り、すべての部およびパーセントは重量によるものである。
【0071】
表1に示すように、アリール部分により置換されているトリアゾール化合物、窒素含有化合物および硫化化合物とベース組成物を含んでなる、この出願による酸化防止剤組成物を配合した。実施例組成物1で使用されているトリアゾール化合物は、市販のトリルトリアゾール(Cobratec TT−100,PMC Specialties Group(Cincinnati,Ohio))であった。この窒素含有化合物は、アルキル化ジフェニルアミン(Hi−TEC(登録商標)7190,Afton Chemical Corporation(Richmond,VA))であり、そしてこの硫化化合物は、市販の硫化C16−C18アルファオレフィン(HiTEC(登録商標)7084、AftonChemical Corporation(Richmond,VA))であった。表2に示すように、実施例1におけるように同一の窒素含有化合物、硫化化合物およびベース組成物を用いて、トリアゾール化合物なしで比較例を配合した。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
組成物1および2に対するベース組成物は、下記の表3のベース2に対して示される濃度範囲内の成分を含む。この実施例においては、SAEグレードの5W−30タイプモーターオイルであり、潤滑剤国際基準化および認定委員会(ILSAC)により示されているGF−4標準に合致する、ベースストックによりベース組成物を配合した。すべての値を重量パーセントとして示す。
【0075】
【表3】

【0076】
1996/1997231CID(3800c)シリーズII General Motors V−6燃料噴射型ガソリンエンジンを用いて、シーケンスIII Gエンジン試験を実施例組成物1および比較例組成物2について行った。この使用組成物を評価して、高温条件時のピストンデポジットの程度を求めた。ピストンデポジットの程度を重み付けピストンデポジット(WPD)等級の形で測定した。6ピストン全部をデポジットおよびワニス残渣について検査することにより、WPD等級を求めた。10が清浄である、1から10までの番号の清浄度コードにしたがってピストンデポジット形成の程度を評価した。「重み付けピストンデポジット」の結果は、6本のピストン全部についての清浄度等級の平均である。高いWPD等級ほど、特定の組成物によりエンジン中で生じるピストンデポジット形成が少なく、酸化性劣化が低いことを示す。
【0077】
動粘度を測定するための当分野でよく知られた方法により使用組成物を評価して、40℃での粘度増加も求めた。この組成物をサンプリングし、20時間ごとに分析した。粘度増加が大きいほど、潤滑剤組成物は酸化に対して低安定性である。150%以上の粘度増加を示す潤滑剤組成物は、この基準に不合格である。
【0078】
この結果は、開示されている組成物を使用して、潤滑剤組成物における粘度増加の開始を遅らせる利点を実証した。前出の実施例により示されるように、開示されている酸化防
止剤系を含んでなる実施例組成物1は、5.29のWPD等級と111.2%の粘度増加を示した。比較として、開示されている組成物を含まない実施例組成物2は、2.97のWPD等級と148.5%の粘度増加を示した。このように、驚くべきことには、開示されている組成物は、ピストンデポジットを著しく低下させ、潤滑剤組成物に対する動粘度を低減することが判る。
【0079】
この実施例は、単に例示的なものとして提示され、そしてこの明細書中で開示されている本発明の範囲を制約する意図ではないということが意図されている。当分野で普通の技術の者ならば理解するように、使用される特別な成分および成分の濃度は、実施例で使用されているものと異なることができる。例えば、上記の表3のベース1に示されている範囲内など、ベース2の範囲外の濃度で成分を使用する机上の実施例が考えられる。
【0080】
この明細書および添付のクレーム中で使用されるように、単数形は、1つの指示対象に明示的および疑いもなく限定されない限り複数の指示対象を含むということが特記される。このように、例えば「酸化防止剤」を参照することは、2つ以上の異なる酸化防止剤を含む。この明細書中で使用されるように、用語「含む」およびこの文法的な変形物は非限定的であると意図され、リスト中での項目の反復はリスト化された項目と置換あるいはそれに追加可能な他の類似の項目の排除するものでない。
【0081】
この明細書およびクレームの目的には、特記しない限り、この明細書および添付のクレーム中で使用される、量、パーセントまたは比率および他の数値を表すすべての数は、すべての場合、用語「約」により改変されるものと理解されるべきである。したがって、反対の表示がない限り、次の明細書および添付のクレームで示される数字パラメーターは、この開示により入手しようとする所望の性質に依って変わることができる近似値である。少なくとも、そして同等物の原則の適用をクレームの範囲に限定する試みとしてでなく、各数値パラメーターは、示された有意な桁の数により、そして通常の丸めの手法を適用することにより少なくとも解釈されるべきである。
【0082】
特別な態様を説明してきたが、現時点では予知されない、あるいは予知不能な代替物、改変物、変形物、改善物および実質的な同等物が当分野の熟練の出願者または他の人に想起可能である。したがって、出願および補正可能な添付の特許請求の範囲は、すべてのこのような代替物、改変物変形物、改善物および実質的な同等物を包含すると意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アリール部分により置換されているトリアゾール化合物;
(ii)式(I)
【化1】

(式中、RおよびRは、約6〜約30個の原子を含んでなる少なくとも1つアリール部分、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロおよびスルフォノからなる群から各々独立に選択される)
により表される窒素含有化合物;および
(iii)硫化化合物
を含んでなる、添加物組成物。
【請求項2】
トリアゾール化合物が多環を含んでなる置換アリール部分により置換されている、請求項1に記載の添加物組成物。
【請求項3】
トリアゾール化合物が単環を含んでなる置換アリール部分により置換されている、請求項1に記載の添加物組成物。
【請求項4】
トリアゾール化合物が式(II)
【化2】

(式中、Rは水素と約1〜約24個の炭素原子を含んでなるアルキル部分からなる群から選択され、そしてRは水素、約1〜約24個の炭素原子を含んでなるアルキル部分および置換ヒドロカルビル部分からなる群から選択される)
により表される、請求項1に記載の添加物組成物。
【請求項5】
硫化化合物が硫化オレフィン、硫化脂肪油およびこれらの組み合わせ物からなる群から選択される、請求項1に記載の添加物組成物。
【請求項6】
硫化オレフィンが硫化アルファ−オレフィン、硫化異性化アルファ−オレフィン、硫化分岐オレフィン、硫化環状オレフィンおよびこれらの組み合わせ物からなる群から選択される、請求項5に記載の添加物組成物。
【請求項7】
硫化脂肪油が硫化とうもろこし油、硫化カノーラ油、硫化綿実油、硫化ぶどう種油、硫化オリーブ油、硫化パーム油、硫化ピーナッツ油、硫化ココナッツ油、硫化菜種油、硫化ごま油、硫化大豆油、硫化ひまわり油、硫化獣脂、硫化魚油およびこれらの組み合わせ物からなる群から選択される、請求項5に記載の添加物組成物。
【請求項8】
トリアゾール化合物が約0.48重量%〜約5重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の添加物組成物。
【請求項9】
窒素含有化合物が約2重量%〜約12重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の添加物組成物。
【請求項10】
イオウ含有化合物が約4重量%〜約12重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の添加物組成物。
【請求項11】
リン含有化合物、分散剤、灰含有洗浄剤、無灰洗浄剤、過塩基性洗浄剤、流動点降下剤、粘度指数改善剤、灰含有摩擦変成剤、無灰摩擦変成剤、窒素含有摩擦変成剤、窒素を含まない摩擦変成剤、エステル化摩擦変成剤、極圧剤、防錆剤、補助酸化防止剤、腐食防止剤、消泡剤、チタン化合物、チタン錯体、有機可溶性モリブデン化合物、有機可溶性モリブデン錯体、ホウ素含有化合物およびホウ素含有錯体からなる群から選択される少なくとも1つ添加物を更に含んでなる、請求項1に記載の添加物組成物。
【請求項12】
大量の基油;および
(i)アリール部分により置換されているトリアゾール化合物;
(ii)式(I)
【化3】

(式中、RおよびRは、約6〜約30個の原子を含んでなる少なくとも1つアリール部分、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロおよびスルフォノからなる群から各々独立に選択される)
により表される窒素含有化合物;および
(iii)硫化化合物
を含む少量の添加物組成物
を含んでなる、潤滑剤組成物。
【請求項13】
トリアゾール化合物が約0.05重量%〜約0.5重量%の範囲の量で存在する、請求項12に記載の潤滑剤組成物。
【請求項14】
トリアゾール化合物が約0.1重量%〜約0.3重量%の範囲の量で存在する、請求項12に記載の潤滑剤組成物。
【請求項15】
窒素含有化合物が約0.2重量%〜約1.2重量%の範囲の量で存在する、請求項12に記載の潤滑剤組成物。
【請求項16】
窒素含有化合物が約0.4重量%〜約1.0重量%の範囲の量で存在する、請求項12に記載の潤滑剤組成物。
【請求項17】
硫化化合物が約0.4重量%〜約1.2重量%の範囲の量で存在する、請求項12に記載の潤滑剤組成物。
【請求項18】
硫化化合物が約0.6重量%〜約1.0重量%の範囲の量で存在する、請求項12に記載の潤滑剤組成物。
【請求項19】
リン含有化合物、分散剤、灰含有洗浄剤、無灰洗浄剤、過塩基性洗浄剤、流動点降下剤、粘度指数改善剤、灰含有摩擦変成剤、無灰摩擦変成剤、窒素含有摩擦変成剤、窒素を含まない摩擦変成剤、エステル化摩擦変成剤、極圧剤、防錆剤、補助酸化防止剤、腐食防止剤、消泡剤、チタン化合物、チタン錯体、有機可溶性モリブデン化合物、有機可溶性モリブデン錯体、ホウ素含有化合物およびホウ素含有錯体からなる群から選択される少なくとも1つ添加物を更に含んでなる、請求項12に記載の潤滑剤組成物。
【請求項20】
潤滑剤組成物が乗用車モーターオイル、中速ジーゼルエンジンオイルおよび重負荷ジーゼルエンジンオイルからなる群から選択される、請求項12に記載の潤滑剤組成物。
【請求項21】
少なくとも1つチタン化合物を更に含んでなる、請求項12に記載の潤滑剤組成物。
【請求項22】
リン含有化合物を潤滑剤組成物中で約100〜約1000ppmの全リンの範囲の量で更に含んでなる、請求項12に記載の潤滑剤組成物。
【請求項23】
リン含有化合物を潤滑剤組成物中で約600〜約800ppmの全リンの範囲の量で更に含んでなる、請求項12に記載の潤滑剤組成物。
【請求項24】
大量の基油;および
(i)アリール部分により置換されているトリアゾール化合物;
(ii)式(I)
【化4】

(式中、RおよびRは、約6〜約30個の原子を含んでなる少なくとも1つアリール部分、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロおよびスルフォノからなる群から各々独立に選択される)
により表される窒素含有化合物;および
(iii)硫化化合物
を含んでなる少量の添加物組成物
を含む潤滑剤組成物をマシンに供給することを含んでなる、潤滑剤組成物中の粘度増加の開始を遅らせる方法。
【請求項25】
マシンがスパーク着火および圧縮着火式内燃エンジンからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
大量の基油;および
(i)アリール部分により置換されているトリアゾール化合物;
(ii)式(I)
【化5】

(式中、RおよびRは、約6〜約30個の原子を含んでなる少なくとも1つアリール部分、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロおよびスルフォノからなる群から各々独立に選択される)
により表される窒素含有化合物;および
(iii)硫化化合物
を含む少量の添加物組成物
を含んでなる潤滑剤組成物と少なくとも1つ可動部を接触させることを含んでなる、マシンの少なくとも1つ可動部を潤滑する方法。
【請求項27】
マシンがスパーク着火および圧縮着火式内燃エンジンからなる群から選択される、請求
項26に記載の方法。
【請求項28】
大量の基油;および
(i)アリール部分により置換されているトリアゾール化合物;
(ii)式(I)
【化6】

(式中、RおよびRは、約6〜約30個の原子を含んでなる少なくとも1つアリール部分、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロおよびスルフォノからなる群から各々独立に選択される)
により表される窒素含有化合物;および
(iii)硫化化合物
を含む少量の添加物組成物
を含んでなる潤滑剤組成物をマシンに添加することを含んでなる、マシンを運転する方法。
【請求項29】
マシンがスパーク着火および圧縮着火式内燃エンジンからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。

【公開番号】特開2008−144145(P2008−144145A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287139(P2007−287139)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(391007091)アフトン・ケミカル・コーポレーション (123)
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
【Fターム(参考)】