説明

潤滑装置、オイル貯留装置、及びオイルパン仕切装置

【課題】 オイル排出がより迅速に行われるようにしつつ、第一室と第二室との連通の遮断が確実に行われ得るようにする。
【解決手段】 オイル排出口(154)は、オイルパン(150)の底板(151)に設けられていて、ドレイン閉塞部材(155)によって閉塞されている。オイルパンセパレーター(160)の底板(161)には、第一室(131)と第二室(132)とを連通させる連通口(164)が設けられている。フロート弁(170)は、第二室(132)内且つ連通口(164)の真下に設けられている。フロート弁(170)は、オイル内にて浮力を受けることで浮上し得るとともに、オイルパンセパレーター(160)の底板(161)と当接する上限位置にて第二室(132)側から連通口(164)を閉塞し且つ上限位置よりも下降した位置にて連通口(164)を開放し得るように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑のためのオイルを被潤滑機構(例えば、エンジンブロック、自動変速機構、等。)に向けて供給し得るように構成された、潤滑装置(例えば、エンジン、自動変速装置、等。)に関する。また、本発明は、前記オイルを貯留し得るように構成された、オイル貯留装置に関する。さらに、本発明は、前記オイルを内側の空間内に貯留可能に構成されたオイルパンに収容されることで、当該オイルパンの内部を、オイル吸引口が配置される第一室とその外側の第二室とに仕切り得るように構成された、オイルパン仕切装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の潤滑装置は、オイルポンプによって、前記オイルを、前記オイル貯留装置内から吸い出して前記被潤滑機構内の被潤滑部材(例えば、ギヤ、カムシャフト、クランクシャフト、ピストン、等。)に供給し得るように構成されている。また、この潤滑装置は、前記被潤滑部材にて潤滑作用を奏するとともに熱(摩擦熱等)を吸収した前記オイルが、重力の作用で前記被潤滑機構から前記オイル貯留装置内に還流(リターン)するように構成されている。
【0003】
前記オイル貯留装置として、暖機運転の進行を促進し得る所謂2槽式オイルパンが広く知られている(例えば、特開2003−222012号公報、等。)。この2槽式オイルパンにおいては、その内部の空間が、オイルパンセパレーターによって、第一室と第二室とに仕切られている。前記第一室には、前記オイルを吸い上げるための吸引口を構成するオイルストレーナーが配置されている。
【0004】
かかる構成によれば、前記オイル貯留装置内に貯留されている前記オイルのうちの、主として前記第一室内のものが、前記被潤滑機構内で循環する。よって、前記オイル貯留装置内の前記オイルの全量が前記被潤滑機構内で循環する場合よりも、前記オイル及び前記被潤滑部材が速やかに昇温する。これにより、暖機運転の進行が促進され、フリクションロスの低減による燃費低減の効果が得られる。
【0005】
また、この種のオイル貯留装置において、暖機中における前記第一室と前記第二室との遮断を確実にして良好な暖機性能を得るとともに、オイル交換等の際に前記オイルが迅速に排出されるための構成が提案されている(例えば、特開2006−77697号公報、特開2007−138792号公報、等。)。
【0006】
例えば、特開2006−77697号公報(特に段落0041、図9、及び図10参照。)に記載の構成においては、前記オイルパンと前記オイルパンセパレーターとに、それぞれオイルドレインが設けられている。また、前記オイルパンにおける前記オイルドレインを閉塞するためのドレインプラグに、前記オイルパンセパレーターにおける前記オイルドレインを閉塞するためのプラグが設けられている。
【0007】
かかる構成においては、前記ドレインプラグが取り外されることで、前記オイルパン及び前記オイルパンセパレーターにおける前記オイルドレインが開放される。これにより、前記第一室及び前記第二室内の前記オイルが排出される。
【0008】
一方、特開2007−138792号公報に記載の構成においては、フロート弁が設けられている。このフロート弁は、前記第一室側に配置されたフロート部材と、前記第二室側に配置された蓋部材と、前記フロート部材と前記蓋部材とを連結する連結部材と、から構成されている。前記フロート部材は、前記オイルよりも比重が低い材料で構成されている。前記蓋部材は、前記オイルパンセパレーターの底部に形成された貫通孔を前記第二室側から閉塞し得るように構成されている。前記連結部材は、前記貫通孔を貫通するように設けられている。
【0009】
かかる構成においては、前記第一室内の、前記オイルの液面高さ(以下、単に「オイルレベル」と称する)に応じて、前記フロート弁が上下動する。よって、運転中(暖機中を含む)は前記フロート弁が上昇して前記貫通孔が閉塞されることで、前記第一室と前記第二室との連通が遮断される。一方、前記オイルの排出時には、前記フロート弁が下降することで、前記貫通孔が開放される。これにより、前記オイルの迅速な排出が行われ得る。
【特許文献1】特開2003−222012号公報
【特許文献2】特開2006−77697号公報(段落0041、図9、及び図10)
【特許文献3】特開2007−138792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
例えば、特開2006−77697号公報の図9及び図10に記載の構成においては、前記オイルパンにおける前記オイルドレインと、前記オイルパンセパレーターにおける前記オイルドレインと、の正確な位置決めが必要になる。この位置決めが不正確であると、前記第一室と前記第二室との連通遮断の確実性が損なわれる可能性がある。また、両者を同時に閉塞するための専用のドレインプラグが必要となる。
【0011】
あるいは、かかる構成においては、前記ドレインプラグが装着されている間は前記オイルパンセパレーターにおける前記オイルドレインが開放されない。よって、公知のオイル交換装置(特開平6−263195号公報等参照)のノズルをオイルレベルゲージ挿入用の孔に挿入することによる、より迅速なオイル排出作業の実施が、困難となる。
【0012】
また、特開2007−138792号公報に記載の構成においては、前記フロートが前記オイルストレーナーとともに前記第一室内に配置されている。よって、前記フロート弁が前記オイルストレーナーにおける前記オイルの吸引力の影響を受けて不用意に移動することで、前記オイルパンセパレーターにおける前記オイルドレインでの、前記第一室と前記第二室との連通の遮断の確実性が損なわれる可能性がある。
【0013】
このように、この種の潤滑装置やオイル貯留装置においては、オイル排出がより迅速に行われるようにしつつ、前記第一室と前記第二室との連通の遮断が確実に行われ得るようにすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の潤滑装置は、潤滑のためのオイルを被潤滑機構に向けて供給し得るように構成されている。この潤滑装置は、オイル貯留装置と、オイル吸引口と、を備えている。
【0015】
前記オイル貯留装置は、前記オイルを貯留し得るように構成されている。前記オイル吸引口は、オイル供給経路の始端に設けられている。このオイル供給経路は、前記被潤滑機構へ前記オイルを供給し得るように構成されている。また、前記オイル吸引口は、前記オイルを吸引し得るように、前記オイル貯留装置内に配置されている。
【0016】
前記オイル貯留装置は、オイルパンと、オイルパンセパレーターと、ドレイン閉塞部材と、を備えている。
【0017】
前記オイルパンは、その内側の空間内に、前記オイルを貯留可能に構成されている。
【0018】
前記オイルパンセパレーターには、凹部が設けられている。この凹部は、前記被潤滑機構に向けて開口するように設けられている。この凹部には、前記オイル吸引口が配置されている。このオイルパンセパレーターは、前記オイルパンの内側の前記空間内に収容されることで、当該空間を第一室と第二室とに仕切り得るように構成されている。前記第一室は、前記凹部の内側に設けられている。前記第二室は、前記第一室の外側であって、当該第一室の側方及び下方に設けられている。前記凹部の底を構成する底板には、連通口が設けられている。この連通口は、貫通孔であって、前記第一室と前記第二室とを連通させ得るように形成されている。
【0019】
前記ドレイン閉塞部材は、オイル排出口を閉塞し得るように構成されている。このオイル排出口は、貫通孔であって、前記オイルパンの底板に設けられている。
【0020】
本発明のオイルパン仕切装置は、前記オイルパンに収容されることで、その内部を、前記第一室と前記第二室とに仕切り得るように構成されている。このオイルパン仕切装置は、前記オイルパンセパレーターを備えている。
【0021】
本発明の潤滑装置、オイル貯留装置、及びオイルパン仕切装置の特徴は、下記の通りのフロート弁をさらに備えたことにある。このフロート弁は、前記凹部の外側、すなわち、前記第二室内に設けられている。また、このフロート弁は、前記連通口の真下に設けられている。前記フロート弁は、前記オイル内にて浮力を受けることで浮上し得るように構成されている。また、前記フロート弁は、前記オイルパンセパレーターの前記底板と当接する上限位置にて、前記凹部の外側から、すなわち前記第二室側から、前記連通口を閉塞し得るように構成されている。さらに、前記フロート弁は、前記上限位置よりも下降した位置にて前記連通口を開放し得るように構成されている。
【0022】
前記潤滑装置、オイル貯留装置、及びオイルパン仕切装置は、以下のように構成され得る:前記オイルパンセパレーターの前記底板における、前記連通口に隣接する位置には、貫通孔であるガイド孔が形成されている。前記フロート弁は、フロートと、ステムと、ストッパーと、を備え得る。前記フロートは、前記ガイド孔の真下に設けられている。このフロートは、前記オイル内にて浮力を受けることで浮上し得るように構成されている。前記ステムは、前記ガイド孔を貫通しつつ、前記フロートから上方に突出するように設けられている。前記ストッパーは、前記ガイド孔からの前記ステムの脱落を防止し得るように、前記ステムの上端部に係止されている。
【0023】
前記フロートは、前記オイルパンセパレーターの前記底板と当接する上限位置にて、前記第二室側から前記連通口を閉塞し得るように構成され得る。また、このフロートは、前記上限位置よりも下降した位置にて前記連通口を開放し得るように構成され得る。
【0024】
前記連通口は、略C字状(あるいは略半円状)に形成され得る。この場合、前記ガイド孔は、前記C字状における中心寄りの位置(中心部)に設けられ得る。
【0025】
前記連通口における前記オイルの流路断面積が、前記オイル排出口よりも大きくなるように、前記潤滑装置、オイル貯留装置、及びオイルパン仕切装置が構成され得る。具体的には、前記連通口における最小の開口幅が、前記オイル排出口における最大の開口幅よりも大きくなるように、前記潤滑装置、オイル貯留装置、及びオイルパン仕切装置が構成され得る。
【発明の効果】
【0026】
本発明の構成においては、充分な量の前記オイルが前記第一室及び前記第二室内に貯留されている場合、前記フロート弁が前記オイル内に浸漬される。すると、前記フロート弁(前記フロート)が、前記上限位置まで浮上して前記オイルパンセパレーターの前記底板と当接する。これにより、前記連通口が、前記フロート弁によって、前記第二室側から閉塞される。すなわち、前記連通口における前記第一室と前記第二室との連通が、良好に遮断される(前記連通口が「閉塞」される、とは、前記連通口における前記第一室と前記第二室との連通が遮断されることを、社会通念及び技術常識に基づき理解しやすいように表現したものであって、前記連通口内に有体物が挿入されることに限定されるものではない。)。
【0027】
このとき、前記フロート弁(特に前記フロート)は、前記第二室側に設けられている。よって、当該フロート弁は、前記オイル吸引口における前記オイルの吸引力の影響を比較的受けにくい。したがって、前記被潤滑機構の動作中(特に暖機中)の、前記連通口における、前記第一室と前記第二室との連通の遮断の確実性が、良好に保たれ得る。
【0028】
一方、オイル交換等の際に、前記潤滑装置(前記オイル貯留装置)から、前記オイルが排出される。このとき、前記フロート弁が下降することで、前記連通口が開放される。特に、上述のようなオイル交換装置のノズルが前記第二室側に挿入されて、当該第二室内の前記オイルが強制的に排出されると、迅速に前記フロート弁の下降及び前記連通口の開放がなされる。これにより、前記オイルの排出がより迅速に行われる。
【0029】
このように、本発明によれば、オイル排出がより迅速に行われるようにしつつ、前記第一室と前記第二室との連通の遮断が確実に行われ得るようにすることができる。
【0030】
また、本発明の構成おいては、前記オイル排出口を閉塞するための前記ドレイン閉塞部材は、前記連通口をも閉塞するように構成される必要はない。よって、前記連通口と前記オイル排出口との正確な位置決めも、必須とはならない。あるいは、前記ドレイン閉塞部材として、号口(regular production)のドレインプラグ、すなわち、通常広く市販されている仕様のドレインプラグが、良好に適用され得る。
【0031】
さらに、本発明の構成においては、前記フロート弁が前記第二室側に設けられている。よって、前記オイル吸引口としてオイルストレーナーが用いられる場合に、当該オイルストレーナーと機械的に干渉し難い。したがって、装置の設計自由度が高まる他、装置の小型化や、前記フロート弁のスムーズな作動が実現され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について、図面を参照しつつ説明する。
【0033】
<エンジンの概略構成>
図1は、本発明の潤滑装置の一実施形態に係る直列複数気筒のエンジン100を、エンジン長手方向(気筒配列方向)に沿った方向から見た場合の一部側断面図である。
【0034】
被潤滑機構としてのシリンダヘッド110の内部には、被潤滑部材としてのカムシャフト111が、回転可能に収容されている。このシリンダヘッド110の下端面には、シリンダブロック120が接合されている。
【0035】
被潤滑機構としてのシリンダブロック120の内部には、被潤滑部材としての略円筒形状のシリンダライナー121が収容されている。このシリンダライナー121の内側には、被潤滑部材としてのピストン122が、図中上下方向に往復移動可能に収容されている。このピストン122の下方には、被潤滑部材としてのクランクシャフト123が、前記エンジン長手方向と平行に配置されている。ピストン122と、クランクシャフト123とは、被潤滑部材としてのコネクティングロッド124を介して互いに接続されている。
【0036】
シリンダブロック120の下端部には、ブロックフランジ125が形成されている。ブロックフランジ125は、シリンダブロック120の下端から側方かつ外側に向けて突出するように設けられている。ブロックフランジ125よりも下方には、オイルストレーナー126が配置されている。オイルストレーナー126の下端部には、オイル吸引口126aが形成されている。
【0037】
オイルストレーナー126は、オイル供給経路127の始端に設けられている。オイル供給経路127は、図示しないオイルポンプを備えている。このオイル供給経路127は、上述の各被潤滑部材へ、潤滑オイル(以下、単に「オイル」と称する。)を供給し得るように構成されている。すなわち、オイルストレーナー126は、オイル貯留装置130内に貯留された前記オイルを吸引し得るように、オイル貯留装置130内に配置されている。そして、エンジン100は、オイル貯留装置130内に貯留された前記オイルを、オイル供給経路127によって上述の各被潤滑部材へ供給し得るように構成されている。
【0038】
<実施形態のオイル貯留装置の構成>
本実施形態のオイル貯留装置130は、いわゆる2槽式オイルパン構造を有している。すなわち、オイル貯留装置130内には、第一室131と、第二室132と、の2つの空間が形成されている。第一室131は、オイルストレーナー126が収容される空間であって、オイル貯留装置130の最も内側に形成されている。第二室132は、第一室131と隣接する空間であって、第一室131の下方及び側方を囲むように、第一室131の外側に設けられている。以下、本実施形態のオイル貯留装置130の構成の詳細について説明する。
【0039】
ブロックフランジ125には、ロワーブロック140が接合されている。ロワーブロック140は、エンジン100におけるシリンダ中心軸方向(図中上下方向)に沿った中心軸を有する筒状部材であって、その上端部には上側フランジ141が設けられ、下端部には下側フランジ142が設けられている。
【0040】
上側フランジ141は、ロワーブロック140の上端から側方かつ外側に向けて突出するように設けられていて、ブロックフランジ125と接合されている。この上側フランジ141は、ボルトによってブロックフランジ125に固定されている。下側フランジ142は、ロワーブロック140の下端から側方に向けて設けられている。この下側フランジ142には、オイルパン150等が固定されている。
【0041】
<<オイルパン>>
オイルパン150は、上方のシリンダブロック120に向かって開口するように、バスタブ状に形成されている。具体的には、オイルパン150は、オイルパン底板151と、オイルパン側板152と、オイルパンフランジ153と、から構成されている。このオイルパン150は、鋼板をプレス加工することによって、一体に成形されている。
【0042】
オイルパン底板151の周縁には、当該オイルパン底板151を外側から囲むように、オイルパン側板152が設けられている。このオイルパン150は、オイルパン底板151とオイルパン側板152とによって囲まれた空間内に、前記オイルを貯留可能に構成されている。
【0043】
オイルパン側板152の上端側における周縁部には、オイルパンフランジ153が形成されている。オイルパンフランジ153は、オイルパン側板152の上端から外側に延びるように立設されている。このオイルパンフランジ153は、ロワーブロック140の下端部の下側フランジ142と接合されている。
【0044】
オイルパン底板151の最低位置には、オイル排出口154が設けられている(「最低位置」とは、エンジン100を含む所定の装置(例えば車両等)が水平な地面に置かれた場合の、重力作用方向における最も低い位置をいうものとする。)。オイル排出口154は、円形の貫通孔であって、低温(例えば0℃程度)で高粘度のオイルであっても良好に通過可能な程度の充分な大きさ(例えば直径14mm程度)に形成されている。オイル排出口154の内縁部には、ネジ山が形成されている。
【0045】
オイル排出口154には、本発明のドレイン閉塞部材としてのドレインプラグ155が装着されている。ドレインプラグ155は、号口のものであって、オイル排出口154に形成されたネジ山と適合するボルトとして形成されている。すなわち、ドレインプラグ155は、オイル排出口154を閉塞し得るように構成されている。
【0046】
このオイルパン150は、オイルパン底板151及びオイルパン側板152の上を、前記オイルがオイル排出口154に向かって重力の作用で淀みなくスムーズに流れ落ち得るような形状に構成されている。すなわち、オイル排出口154からドレインプラグ155を取り外すことにより、オイルパン150の内側の空間(特に第二室132)内に貯留された前記オイルの全量が、重力の作用によって当該オイル排出口154を通してオイル貯留装置130の外部に流出し得るように、オイルパン150が構成されている。
【0047】
<<オイルパンセパレーター>>
本発明のオイルパン仕切装置の一部を構成するオイルパンセパレーター160は、上方のシリンダブロック120に向かって開口するように、バスタブ状に形成されている。オイルパンセパレーター160は、ロワーブロック140及びオイルパン150の内側に形成された空間内に配置されることで、当該空間を、上述の第一室131と第二室132とに仕切り得るように構成されている。
【0048】
具体的には、オイルパンセパレーター160は、セパレーター底板161と、セパレーター側板162と、セパレーターフランジ163と、から構成されている。オイルパンセパレーター160は、耐油性及び耐熱性が高く熱伝導性の低い、合成樹脂製の板材によって、一体に成形されている。本実施形態においては、オイルパンセパレーター160は、ガラス繊維を重量%で30%含有することで強化された6ナイロン樹脂の、厚さ2〜3mmの板材によって形成されている。
【0049】
セパレーター底板161の周縁には、当該セパレーター底板161を外側から囲むように、セパレーター側板162が設けられている。このセパレーター側板162とセパレーター底板161とによって形成された、シリンダブロック120に向かって開口する凹部の、内側の空間によって、第一室131が構成されている。また、第一室131の下方及び側方の空間であって、オイルパン150とオイルパンセパレーター160とで挟まれた空間によって、上述の第二室132が構成されている。
【0050】
セパレーター側板162の上端における周縁部には、セパレーターフランジ163が形成されている。セパレーターフランジ163は、セパレーター側板162の上端から外側に向かって延びるように立設されている。このセパレーターフランジ163は、ロワーブロック140の下端部の下側フランジ142と接合されていて、当該下側フランジ142に対してボルトによって固定されている。
【0051】
第一室131の底を構成するセパレーター底板161には、本発明の連通口としてのドレイン孔164が形成されている。ドレイン孔164は、貫通孔であって、第一室131と第二室132とを連通させ得るように、セパレーター底板161の最低位置(第一室131の最低位置)に設けられている。
【0052】
図2Aは、図1に示されているドレイン孔164の周辺を拡大した平面図である。図2Aを参照すると、本実施形態においては、ドレイン孔164は、半円に近い略C字状に形成されている。また、2つのドレイン孔164が、互いに向き合うように設けられている。さらに、セパレーター底板161における、隣り合うドレイン孔164の間に設けられたブリッジ状の部分には、貫通孔であるガイド孔165が形成されている。
【0053】
本実施形態においては、ガイド孔165は、円形に形成されている。また、隣り合う2つのドレイン孔164は、ガイド孔165の中心に関して対称な形状に形成されている。すなわち、ガイド孔165は、ドレイン孔164の略C字形状における中心寄りの位置に設けられている。具体的には、ドレイン孔164は、ガイド孔165の中心と同心円状の円形の貫通孔を、セパレーター底板161における上述のブリッジ状の部分で2つに分割したような形状に形成されている。また、各ドレイン孔164は、その最小の開口幅(ドレイン孔164の円弧状の外形形状における半径方向に沿った幅)が、オイル排出口154の最大の開口幅(外径)よりも大きくなるように形成されている。すなわち、ドレイン孔164は、前記オイルの流路断面積がオイル排出口154よりも大きくなるように形成されている。
【0054】
再び図1を参照すると、エンジン幅方向(前記エンジン長手方向及び前記シリンダ中心軸方向と直交する方向:図1における左右方向)における一方側には、レベルゲージ支持部166が設けられている。レベルゲージ支持部166は、セパレーター側板162の上端部と、セパレーターフランジ163と、の間に形成された、略水平の部分であって、棒状のオイルレベルゲージLGや、図示しないオイル交換装置に備えられたチェンジャーノズルCNを、第二室132内に挿入された状態で支持し得るように構成されている。
【0055】
具体的には、レベルゲージ支持部166には、貫通孔であるレベルゲージ挿入孔166aが設けられている。また、レベルゲージ挿入孔166aを外側から囲むように、筒状部材からなるレベルゲージガイド166bが、上方に向かって突出するように設けられている。レベルゲージ挿入孔166a及びレベルゲージガイド166bは、オイルレベルゲージLGやチェンジャーノズルCNが挿通され得るように形成されている。また、レベルゲージガイド166bは、オイルレベルゲージLGやチェンジャーノズルCNの挿入をガイドするとともに、挿入後のこれらを支持し得るように構成されている。
【0056】
<<フロート弁>>
本発明のオイルパン仕切装置の一部を構成するフロート弁170は、セパレーター底板161に装着されている。このフロート弁170は、前記オイル内にて浮力を受けることで浮上し得るように構成されている。また、フロート弁170は、上下動することで、ドレイン孔164を開閉し得るように構成されている。
【0057】
図2Bは、図1に示されているドレイン孔164の周辺を拡大した側断面図である。図2Bを参照すると、本実施形態においては、フロート弁170の本体部を構成する弁体171は、第一室131の下側の第二室132内であって、ドレイン孔164の真下に配置されている。本発明のフロートとしての弁体171は、前記オイル内にて浮力を受けることで浮上し得るように構成されている。
【0058】
具体的には、弁体171は、円板状の部材であって、前記オイル内でフロート弁170が浮上し得る程度の充分な浮力が生じるように、前記オイルよりも比重の低い材料(発砲フェノール樹脂等)によって形成されている。弁体171の外縁部には、リング状の突出部171aが、セパレーター底板161に向けて突出するように設けられている。この突出部171aは、弁体171が上限位置(図中二点鎖線で示されている位置)まで上昇した場合にセパレーター底板161における第二室132側の表面と当接(密着)することで、第二室132側からドレイン孔164を実質的に閉塞する(ドレイン孔164における第一室131と第二室132との連通を遮断して前記オイルの通過を禁止する)ように形成されている。また、弁体171は、上述の上限位置から下降した位置にて、突出部171aがセパレーター底板161から離隔することで、ドレイン孔164を開放する(ドレイン孔164における第一室131と第二室132とを連通させて前記オイルの通過を許可する)ように構成されている。
【0059】
弁体171の中心部には、ガイド孔165と同径の円形の貫通孔が形成されていて、この貫通孔には、ステム172が挿通されている。ステム172は、円柱状の棒状部材であって、弁体171から上方に突出するように設けられている。ステム172の下端部は、eリング等の留め具によって弁体171に固定されている。ステム172は、ガイド孔165内にてスムーズに上下動することでフロート弁170の移動がガイドされ得るように、ガイド孔165内に挿通されている。ステム172の上端部には、ストッパー173が係止されている。ストッパー173は、eリングであって、ステム172がセパレーター底板161から脱落しないように、第一室131側に設けられている。
【0060】
<実施形態の装置構成による動作説明>
以下、本実施形態の装置構成による動作について、図1、図2A、及び図2Bを適宜参照しつつ説明する。
【0061】
<<エンジン停止中>>
エンジン100の停止中であって、オイル貯留装置130内に充分な量の前記オイルが貯留されている場合、フロート弁170は、前記オイル内に浸漬される。このとき、フロート弁170には、自重と前記オイル内での浮力とが作用する。ここで、弁体171には、フロート弁170を浮上させ得る程度に充分大きな浮力が作用している。したがって、フロート弁170は、弁体171の突出部171aがセパレーター底板161と当接する前記上限位置まで上昇する。
【0062】
<<エンジン運転中>>
エンジン100が始動されると、クランクシャフト123が回転駆動される。このクランクシャフト123の回転によって、図示しないオイルポンプが作動する。このオイルポンプの作動により、オイルストレーナー126のオイル吸引口126aによって、第一室131の底部から前記オイルが吸引される。そして、このオイルは、ピストン122やクランクシャフト123等の被潤滑部材に供給される。ピストン122やクランクシャフト123等の被潤滑部材に供給された前記オイルは、当該被潤滑部材にて潤滑作用を奏するとともに、当該被潤滑部材から摩擦熱等の熱を吸収する。その後、当該オイルは、重力の作用で、オイル貯留装置130(第一室131)に向かって還流する。
【0063】
このように、本実施形態の構成においては、第一室131内の前記オイルが優先的に、ピストン122やクランクシャフト123等の被潤滑部材に供給される。また、当該被潤滑部材にて熱を吸収した前記オイルによって、第一室131内のオイルが昇温する。このようにして、第一室131内のオイルが効率的に昇温する。これにより、暖機運転の進行が促進され、フリクションロスの低減・燃費向上の効果が得られる。
【0064】
このとき、(特に暖機中においては)第一室131内のオイルレベルの方が、第二室132内のオイルレベルよりも低くなる。このオイルレベルの差による水頭圧の作用で、弁体171は、セパレーター底板161と当接する方向(ドレイン孔164を実質的に閉塞する方向:図中上方)に押しつけられる。また、弁体171は第二室132側に配置されているため、第一室131側に設けられているオイルストレーナー126における吸引力が弁体171に作用し難い。仮に、オイルストレーナー126がドレイン孔164及びフロート弁170の近傍に配置されていて、この吸引力が弁体171に作用したとしても、この吸引力によって弁体171はセパレーター底板161と当接する方向に押しつけられる。したがって、本実施形態の構成においては、エンジン100の運転中(特に暖機中)における、ドレイン孔164を介しての第一室131と第二室132との不用意な連通が、効果的に抑制され得る。
【0065】
<<オイル交換時>>
ドレインプラグ155が取り外されたり、チェンジャーノズルCNがレベルゲージ支持部166にセットされてチェンジャーノズルCNによる前記オイルの吸引が開始されたりすることで、第二室132内の前記オイルが外部に排出され、第二室132内のオイルレベルが低下する。すると、第二室132内のオイルレベルの方が、第一室131内のオイルレベルよりも低くなる。このオイルレベルの差による水頭圧の作用で、弁体171は、上述の場合とは逆に、突出部171aがセパレーター底板161から離隔する方向に押し下げられる。これにより、ドレイン孔164が開放され、第一室131内の前記オイルが、第二室132内に流出する。このようにして、オイル交換の際の、オイル貯留装置130内からの前記オイルの排出が、迅速に行われる。
【0066】
<実施形態の装置構成による効果>
本実施形態の構成においては、フロート弁170の本体部を構成する弁体171が、第二室132側に配置されている。
【0067】
かかる構成によれば、オイルストレーナー126における前記オイルの吸引力の作用による、ドレイン孔164を介しての第一室131と第二室132との不用意な連通が、効果的に抑制され得る。したがって、エンジン100の運転中(特に暖機中)における、ドレイン孔164での第一室131と第二室132との連通の遮断の確実性が、良好に保たれ得る。一方、前記オイルをオイル貯留装置130から排出する際には、フロート弁170が下降することで、ドレイン孔164が良好に開放される。これにより、オイル貯留装置130内からの前記オイルの排出が、迅速に行われる。また、上述のオイル交換装置が、良好に適用可能となる。
【0068】
さらに、オイルストレーナー126とフロート弁170との機械的な干渉が発生し難い。よって、フロート弁170がスムーズに作動し得る。また、オイル貯留装置130について、設計自由度の向上及び小型化(大型化の抑制)が実現され得る。
【0069】
本実施形態の構成においては、ドレイン孔164が、オイル排出口154よりも大きな流路断面積となるように形成されている。よって、ドレインプラグ155を取り外すことによる前記オイルの排出の際に、第一室131内の前記オイルが第二室132へ迅速に流出する。したがって、ドレインプラグ155を取り外すことによる前記オイルの通常の排出作業が、より迅速に行われ得る。
【0070】
本実施形態の構成においては、オイルパン150のオイル排出口154を閉塞するためのドレインプラグ155とは別個に、オイルパンセパレーター160のドレイン孔164を閉塞するための部材であるフロート弁170が設けられている。よって、オイル排出口154とドレイン孔164との正確な位置決め、すなわち、オイルパン150とオイルパンセパレーター160との正確な位置決めは必要ない。また、ドレインプラグ155として号口のものが良好に適用され得る。
【0071】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の各実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0072】
したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0073】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたもの限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0074】
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態や、下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない。
【0075】
(1)本発明は、上述の実施形態にて開示されたエンジンの他、例えば、自動変速機等、オイルパンを備えた各種の装置にも適用可能である。本発明がエンジンに適用される場合、気筒数や気筒配列方式についても、特に限定はない。すなわち、本発明は、単気筒エンジンにも良好に適用され得る一方、V型12気筒エンジンにも良好に適用され得る。
【0076】
(2)オイル貯留装置130の構成は、上述の実施形態で開示されている具体例に限定されない。例えば、ロワーブロック140は、省略され得る。すなわち、ロワーブロック140は、シリンダブロック120あるいはオイルパン150と一体化され得る。
【0077】
(3)フロート弁170やその周囲(ドレイン孔164の周辺)の構成や配置も、上述の実施形態で開示されている具体例に限定されない。
【0078】
例えば、ドレイン孔164の数や形状は、上述の実施形態で示されているものに限定されない。具体的には、図2Aにおける2つのドレイン孔164が、ガイド孔165よりも図中右側又は左側にて、互いに結合されていてもよい。すなわち、ガイド孔165が設けられている上述のブリッジ状の部分は、片持ち梁状に形成されていてもよい。あるいは、オイル排出口154よりも若干大径の円形のドレイン孔164が、円周方向に沿って多数設けられていてもよい。
【0079】
フロート弁170の構成も、上述の実施形態で示されているものに限定されない。具体的には、弁体171は、セパレーター底板161における第二室132側の表面と密着し得るような平板状に形成されていてもよい。すなわち、突出部171aは、省略され得る。また、弁体171とステム172とは、一体に形成されていてもよい。あるいは、ドレイン孔164内に挿入されることで当該ドレイン孔164を塞ぐための部材(栓)が、フロート弁170に備えられていてもよい。
【0080】
(4)その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の範囲内に含まれることは当然である。
【0081】
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態・実施例や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能な、いかなる構造をも含む。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の潤滑装置の一実施形態に係る直列多気筒のエンジンを、エンジン長手方向(気筒配列方向)に沿った方向から見た場合の一部側断面図である。
【図2A】図1に示されているドレイン孔の周辺を拡大した平面図である。
【図2B】図1に示されているドレイン孔の周辺を拡大した側断面図である。
【符号の説明】
【0083】
100…エンジン 110…シリンダヘッド 120…シリンダブロック
126…オイルストレーナー 126a…オイル吸引口 127…オイル供給経路
130…オイル貯留装置 131…第一室 132…第二室
150…オイルパン 151…オイルパン底板 154…オイル排出口
155…ドレインプラグ
160…オイルパンセパレーター 161…セパレーター底板
164…ドレイン孔 165…ガイド孔
170…フロート弁 171…弁体
172…ステム 173…ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑のためのオイルを被潤滑機構に向けて供給し得るように構成された、潤滑装置において、
前記オイルを貯留し得るように構成された、オイル貯留装置と、
前記被潤滑機構へ前記オイルを供給するためのオイル供給経路の始端に設けられていて、前記オイルを吸引し得るように前記オイル貯留装置内に配置された、オイル吸引口と、
を備え、
前記オイル貯留装置は、
内側の空間内に前記オイルを貯留可能に構成された、オイルパンと、
前記被潤滑機構に向けて開口するとともに前記オイル吸引口が配置される凹部が設けられ、前記空間内に収容されることで前記凹部の内側の第一室とその外側であって側方及び下方の第二室とに前記空間を仕切り得るように構成され、前記凹部の底を構成する底板に貫通孔である連通口が前記第一室と前記第二室とを連通させ得るように形成された、オイルパンセパレーターと、
前記オイルパンの底板に設けられた貫通孔であるオイル排出口を閉塞し得るように構成された、ドレイン閉塞部材と、
前記第二室内における前記連通口の真下に設けられていて、前記オイル内にて浮力を受けることで浮上し得るとともに、前記オイルパンセパレーターの前記底板と当接する上限位置にて前記第二室側から前記連通口を閉塞し且つ前記上限位置よりも下降した位置にて前記連通口を開放し得るように構成された、フロート弁と、
を備えたことを特徴とする、潤滑装置。
【請求項2】
請求項1に記載の潤滑装置であって、
前記オイルパンセパレーターの前記底板における、前記連通口に隣接する位置には、貫通孔であるガイド孔が形成されていて、
前記フロート弁は、
前記ガイド孔の真下に設けられていて、前記オイル内にて浮力を受けることで浮上し得るように構成された、フロートと、
前記ガイド孔を貫通しつつ、前記フロートから上方に突出するように設けられた、ステムと、
前記ガイド孔からの前記ステムの脱落を防止し得るように、前記ステムの上端部に係止された、ストッパーと、
を備えたことを特徴とする、潤滑装置。
【請求項3】
請求項2に記載の潤滑装置であって、
前記フロートは、前記オイルパンセパレーターの前記底板と当接する上限位置にて前記第二室側から前記連通口を閉塞し且つ前記上限位置よりも下降した位置にて前記連通口を開放し得るように構成されたことを特徴とする、潤滑装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の潤滑装置であって、
前記連通口は、略C字状に形成されていて、
前記ガイド孔は、前記C字状における中心寄りの位置に設けられたことを特徴とする、潤滑装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の潤滑装置であって、
前記連通口における前記オイルの流路断面積が、前記オイル排出口よりも大きくなるように構成されたことを特徴とする、潤滑装置。
【請求項6】
請求項5に記載の潤滑装置であって、
前記連通口における最小の開口幅が、前記オイル排出口における最大の開口幅よりも大きくなるように構成されたことを特徴とする、潤滑装置。
【請求項7】
被潤滑機構の潤滑のためのオイルを貯留し得るように構成された、オイル貯留装置において、
内側の空間内に前記オイルを貯留可能に構成された、オイルパンと、
前記被潤滑機構に向けて開口する凹部が設けられ、前記空間内に収容されることで前記凹部の内側の第一室とその外側であって側方及び下方の第二室とに前記空間を仕切り得るように構成され、前記凹部の底を構成する底板に貫通孔である連通口が前記第一室と前記第二室とを連通させ得るように形成された、オイルパンセパレーターと、
前記オイルパンの底板に設けられた貫通孔であるオイル排出口を閉塞し得るように構成された、ドレイン閉塞部材と、
前記第二室内における前記連通口の真下に設けられていて、前記オイル内にて浮力を受けることで浮上し得るとともに、前記オイルパンセパレーターの前記底板と当接する上限位置にて前記第二室側から前記連通口を閉塞し且つ前記上限位置よりも下降した位置にて前記連通口を開放し得るように構成された、フロート弁と、
を備えたことを特徴とする、オイル貯留装置。
【請求項8】
請求項7に記載のオイル貯留装置であって、
前記オイルパンセパレーターの前記底板における、前記連通口に隣接する位置には、貫通孔であるガイド孔が形成されていて、
前記フロート弁は、
前記ガイド孔の真下に設けられていて、前記オイル内にて浮力を受けることで浮上し得るように構成された、フロートと、
前記ガイド孔を貫通しつつ、前記フロートから上方に突出するように設けられた、ステムと、
前記ガイド孔からの前記ステムの脱落を防止し得るように、前記ステムの上端部に係止された、ストッパーと、
を備えたことを特徴とする、オイル貯留装置。
【請求項9】
請求項8に記載のオイル貯留装置であって、
前記フロートは、前記オイルパンセパレーターの前記底板と当接する上限位置にて前記第二室側から前記連通口を閉塞し且つ前記上限位置よりも下降した位置にて前記連通口を開放し得るように構成されたことを特徴とする、オイル貯留装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載のオイル貯留装置であって、
前記連通口は、略C字状に形成されていて、
前記ガイド孔は、前記C字状における中心寄りの位置に設けられたことを特徴とする、オイル貯留装置。
【請求項11】
請求項7ないし請求項10のうちのいずれか1項に記載のオイル貯留装置であって、
前記連通口における前記オイルの流路断面積が、前記オイル排出口よりも大きくなるように構成されたことを特徴とする、オイル貯留装置。
【請求項12】
請求項11に記載のオイル貯留装置であって、
前記連通口における最小の開口幅が、前記オイル排出口における最大の開口幅よりも大きくなるように構成されたことを特徴とする、オイル貯留装置。
【請求項13】
潤滑のためのオイルを内側の空間内に貯留可能に構成されたオイルパンに収容されることで、その内部を、オイル吸引口が配置される第一室とその外側の第二室とに仕切り得るように構成された、オイルパン仕切装置において、
前記第一室を構成する凹部が設けられていて、当該凹部の底を構成する底板に貫通孔である連通口が形成された、オイルパンセパレーターと、
前記凹部の外側であって前記連通口の真下に設けられていて、前記オイル内にて浮力を受けることで浮上し得るとともに、前記オイルパンセパレーターの前記底板と当接する上限位置にて前記凹部の外側から前記連通口を閉塞し且つ前記上限位置よりも下降した位置にて前記連通口を開放し得るように構成された、フロート弁と、
を備えたことを特徴とする、オイルパン仕切装置。
【請求項14】
請求項13に記載のオイルパン仕切装置であって、
前記オイルパンセパレーターの前記底板における、前記連通口に隣接する位置には、貫通孔であるガイド孔が形成されていて、
前記フロート弁は、
前記ガイド孔の真下に設けられていて、前記オイル内にて浮力を受けることで浮上し得るように構成された、フロートと、
前記ガイド孔を貫通しつつ、前記フロートから上方に突出するように設けられた、ステムと、
前記ガイド孔からの前記ステムの脱落を防止し得るように、前記ステムの上端部に係止された、ストッパーと、
を備えたことを特徴とする、オイルパン仕切装置。
【請求項15】
請求項14に記載のオイルパン仕切装置であって、
前記フロートは、前記オイルパンセパレーターの前記底板と当接する上限位置にて前記第二室側から前記連通口を閉塞し且つ前記上限位置よりも下降した位置にて前記連通口を開放し得るように構成されたことを特徴とする、オイルパン仕切装置。
【請求項16】
請求項14又は請求項15に記載のオイルパン仕切装置であって、
前記連通口は、略C字状に形成されていて、
前記ガイド孔は、前記C字状における中心寄りの位置に設けられたことを特徴とする、オイルパン仕切装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公開番号】特開2009−85158(P2009−85158A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258254(P2007−258254)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)
【Fターム(参考)】