説明

潤滑離型剤の製造方法

【課題】乾燥体の発生しにくい潤滑離型剤の製造方法を提供することである。
【解決手段】脂肪酸金属塩水分散体を製造する工程(1)と、脂肪酸金属塩水分散体及びポリオキシアルキレン化合物を混合して潤滑離型剤を得る工程(2)とを含むことを特徴とする潤滑離型剤の製造方法を用いる。
工程(1)は、脂肪酸、金属水酸化物及びノニオン性界面活性剤、並びに必要に応じてアニオン性界面活性剤を用いて、脂肪酸と金属水酸化物とを水に分散させながら反応させて、脂肪酸金属塩水分散体を得る工程(1−1)と、
この脂肪酸金属塩水分散体及びアニオン性界面活性剤、並びに必要に応じてノニオン性界面活性剤を混合・微粒化して、体積平均粒子径が0.1〜7μmの脂肪酸金属塩水分散体を得る工程(1−2)とを含むことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑離型剤の製造方法に関する。さらに詳しくは、塗工紙用として好適な潤滑離型剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脂肪酸金属塩水分散体からなる潤滑離型剤は、界面活性剤の存在下で脂肪酸と金属水酸化物とを水に分散させながら反応させた後(前分散)、さらに、微粒子に分散させる(後分散)方法により得られることが知られている(特許文献1及び2)。
【0003】
【特許文献1】特公平2−022800号公報
【特許文献2】特公昭63−057414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の脂肪酸金属塩水分散体からなる潤滑離型剤は、密閉下においても経日的に乾燥体(皮張り){脂肪酸金属塩等から構成される}が発生するため、この乾燥体を取り除くのに多大の労力(スクリーンの目詰まり等)を要する他に、潤滑離型性能(バッキングロールやカレンダーロールに対するダスティング防止能等)が低下するという問題がある。
すなわち、本発明の目的は、乾燥体の発生しにくい潤滑離型剤の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者はこのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、後分散後にポリオキシアルキレン化合物を添加することにより本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の潤滑離型剤の製造方法の特徴は、脂肪酸金属塩水分散体を製造する工程(1)と、脂肪酸金属塩水分散体及びポリオキシアルキレン化合物を混合して潤滑離型剤を得る工程(2)とを含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法により得られる潤滑離型剤は乾燥体が発生しにくいという特徴を有する。よって、スクリーン詰まり等の取扱い上の問題や潤滑離型性能の低下という問題が解決できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
脂肪酸金属塩水分散体を製造する工程(1)は、公知の製造方法{たとえば、特許文献1及び2}をそのまま適用できる。
工程(1)において、脂肪酸金属塩水分散体は、脂肪酸金属塩を水に分散させて得ることもできるが、脂肪酸と金属水酸化物とを水に分散させながら反応させることにより得ることが好ましい。
【0008】
脂肪酸金属塩を水に分散させて脂肪酸金属塩水分散体を得る場合、脂肪酸金属塩の使用量(重量%)は、脂肪酸金属塩及び水の重量に基づいて、5〜90が好ましく、さらに好ましくは10〜85、特に好ましくは30〜80である。また、この場合、水の使用量(重量%)は、脂肪酸金属塩及び水の重量に基づいて、10〜95が好ましく、さらに好ましくは15〜90、特に好ましくは20〜70である。
【0009】
脂肪酸金属塩としては、脂肪酸(炭素数4〜30)の金属(元素の周期律表第2族金属、第12族金属及び第14族金属)塩等が含まれ、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸バリウム、オレイン酸亜鉛、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、リノール酸カルシウム、リノール酸マグネシウム、リノール酸バリウム、リノール酸亜鉛、リノレン酸カルシウム、リノレン酸マグネシウム、リノレン酸バリウム及びリノレン酸亜鉛等が挙げられる。これらの脂肪酸金属塩は1種又は2種以上の混合物のいずれでもよい。
これらのうち、炭素数8〜26の脂肪酸の金属(第2族金属又は第12族金属)塩が好ましく、さらに好ましくは炭素数12〜22の脂肪酸の金属(カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛又はカドミウム)塩、特に好ましくは炭素数14〜20の脂肪酸の金属(カルシウム、マグネシウム又は亜鉛)塩、最も好ましくはステアリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、ミリスチン酸カルシウム及びリノール酸カルシウムである。
【0010】
脂肪酸金属塩として、市場から入手できる商品として、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム及びステアリン酸亜鉛(日本油脂株式会社)等が挙げられる。
【0011】
なお、脂肪酸金属塩を水に分散させて脂肪酸金属塩水分散体を得る場合、ノニオン性界面活性剤及び/又はアニオン性界面活性剤を用いることができる。
ノニオン性界面活性剤及び/又はアニオン性界面活性剤を用いる場合、これらの使用量(重量%)は、脂肪酸金属塩及び水の重量に基づいて、0.1〜25が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10、特に好ましくは1〜6である。
ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤を用いる場合、ノニオン性界面活性剤の使用量(重量%)は、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、10〜95が好ましく、さらに好ましくは30〜90、特に好ましくは50〜85である。また、この場合、アニオン性界面活性剤の使用量(重量%)は、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、5〜90が好ましく、さらに好ましくは10〜70、特に好ましくは15〜50である。
【0012】
ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤としては、公知の界面活性剤が使用できる(たとえば、特許文献1及び2)。ノニオン性界面活性剤のうち、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキシド(炭素数2〜8)付加物(付加モル数1〜100)、多価(2〜10価)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル及びポリアルキレングリコール(炭素数2〜8、重合度1〜100)高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステルが好ましく、さらに好ましくは脂肪族アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキシド(炭素数2〜8)付加物(付加モル数1〜100)及び多価(2〜10価)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル、特に好ましくは脂肪族アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキシド(炭素数2〜8)付加物(付加モル数1〜100)である。
また、アニオン性界面活性剤のうち、炭素数8〜24のスルホン酸塩(塩:アルカリ金属塩及びアンモニウム塩等;以下同じ)、炭素数8〜24の硫酸エステル塩及びアルキル(炭素数8〜24)ポリオキシアルキレン(炭素数2〜3、重合度1〜100)カルボン酸塩が好ましく、さらに好ましくは炭素数8〜24のスルホン酸塩及び炭素数8〜24の硫酸エステル塩、特に好ましくは炭素数8〜24のスルホン酸塩である。
【0013】
脂肪酸金属塩を水に分散させて脂肪酸金属塩水分散体を得る場合、分散温度(℃)としては、10〜80が好ましく、さらに好ましくは15〜70、特に好ましくは20〜60である。
分散機としては、公知の分散機{たとえば、特許文献1及び2}をそのまま使用できる。これらのうち、高圧噴射式乳化分散機(ガウリンホモジナイザー等)、メディア式乳化分散機(サンドグラインダー等)、高速回転遠心放射型乳化分散機(コーレスミキサー等)及び高速回転剪断型乳化分散機(ホモミキサー等)が好ましい。
これらの分散機は1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0014】
脂肪酸と金属水酸化物とを水に分散させながら反応させて脂肪酸金属塩水分散体を得る場合、金属水酸化物の使用量(モル)は、脂肪酸1モルに対して、0.5〜0.75が好ましく、さらに好ましくは0.51〜0.7、特に好ましくは0.52〜0.65である。また、この場合、水の使用量(重量%)は、脂肪酸の重量に基づいて、10〜1000が好ましく、さらに好ましくは15〜400、特に好ましくは25〜200である。
脂肪酸としては、炭素数4〜30の飽和モノカルボン酸及び炭素数4〜30の不飽和モノカルボン酸等が含まれる。
飽和モノカルボン酸としては、ブタン酸、ペンタン酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸及びトリアコンタン酸等が挙げられる。これらの飽和モノカルボン酸には飽和直鎖モノカルボン酸、飽和分岐モノカルボン酸及び飽和環状モノカルボン酸等が含まれるが、飽和直鎖モノカルボン酸が好ましい。
【0015】
不飽和モノカルボン酸としては、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、テトラデセン酸、ヘキサデセン酸、オクタデセン酸、エイコセン酸、ドコセン酸、テトラコセン酸、リノール酸、エレオステアリン酸、リノレン酸、パリナリン酸、アラキドン酸、タリリン酸、ステアロール酸及びベヘノール酸等が挙げられる。これらの不飽和モノカルボン酸には不飽和直鎖モノカルボン酸、不飽和分岐モノカルボン酸及び不飽和環状モノカルボン酸等が含まれるが、不飽和直鎖モノカルボン酸が好ましい。
これらの脂肪酸は1種又は2種以上の混合物のいずれでもよく、動植物脂肪酸(牛脂脂肪酸、やし油脂肪酸及び魚油脂肪酸等)をそのまま用いてもよい。
【0016】
金属水酸化物としては、第2族金属、第12族金属又は第14族金属の水酸化物等が含まれる(族は元素の周期律表の族を意味する)。
第2族金属の水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム及び水酸化バリウム等が挙げられる。
第12族金属の水酸化物としては、水酸化亜鉛及び水酸化カドミウム等が挙げられる。
第14族の水酸化物としては、水酸化スズ及び水酸化鉛等が挙げられる。
これらの金属水酸化物は1種又は2種以上の混合物のいずれでもよい。
これらのうち、第2族金属の水酸化物、第12族金属の水酸化物が好ましく、さらに好ましくは水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化バリウム及び水酸化亜鉛である。
【0017】
脂肪酸と金属水酸化物とを水に分散させながら反応させて脂肪酸金属塩水分散体を得る場合、分散・反応温度(℃)としては、50〜95が好ましく、さらに好ましくは55〜90、特に好ましくは60〜85である。
分散・反応機としては公知の分散・反応機{たとえば、特許文献1及び2}をそのまま使用できる。このうち、高圧噴射式乳化分散機(ガウリンホモジナイザー等)、メディア式乳化分散機(サンドグラインダー等)、高速回転遠心放射型乳化分散機(コーレスミキサー等)及び高速回転剪断型乳化分散機(ホモミキサー等)が好ましい。これらの分散機は1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、分散・反応温度が70℃以上となる場合は、密閉容器内(耐圧密閉容器内)又は還流装置付容器で行うことが好ましい。
【0018】
脂肪酸と金属水酸化物とを水に分散させながら反応させて脂肪酸金属塩水分散体を得る場合、脂肪酸、金属水酸化物及びノニオン性界面活性剤、並びに必要に応じてアニオン性界面活性剤を用いて、脂肪酸と金属水酸化物とを水に分散させながら反応させて、脂肪酸金属塩水分散体を得る工程(1−1)と、
この脂肪酸金属塩水分散体及びアニオン性界面活性剤、並びに必要に応じてノニオン性界面活性剤を混合・微粒化して、体積平均粒子径が0.1〜7μmの脂肪酸金属塩水分散体を得る工程(1−2)とを、工程(1)に含むことが好ましい。
【0019】
工程(1−1)において、ノニオン性界面活性剤の使用量(重量部)は、脂肪酸100重量部に対して、1〜10が好ましく、さらに好ましくは2〜9.5、特に好ましくは3〜9である。また、アニオン性界面活性剤を使用する場合、この使用量(重量部)は、脂肪酸100重量部に対して、0.1〜5が好ましく、さらに好ましくは0.5〜4、特に好ましくは1〜3である。
ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤を使用する場合、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の使用重量比(ノニオン性界面活性剤/アニオン性界面活性剤)は、1〜25が好ましく、さらに好ましくは2〜20、特に好ましくは3〜15である。
これらの範囲であると、脂肪酸金属塩水分散体の分散安定性がさらに良好となる。
【0020】
脂肪酸と金属水酸化物とを水に分散させながら反応させて脂肪酸金属塩水分散体を得る工程(1−1)は公知の方法で行うことができるが、予め溶解した脂肪酸を、金属水酸化物水分散体に滴下(投入)して反応させることが好ましい。また、ノニオン性界面活性剤及び必要に応じて使用するアニオン性界面活性剤は、予め溶解した脂肪酸及び/又は金属水酸化物水分散体に溶解又は分散させておくことが好ましい。
分散・反応機としては公知の分散・反応機{たとえば、特許文献1及び2}をそのまま使用できる。このうち、高速回転剪断型乳化分散機等(ホモミキサー等)及び高速回転遠心放射型乳化分散機(コーレスミキサー等)が好ましい。これらの分散機は1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
工程(1−2)において、アニオン性界面活性剤の使用量(重量部)は、脂肪酸100重量部に対して、0.1〜5が好ましく、さらに好ましくは0.5〜4、特に好ましくは1〜3である。また、ノニオン性界面活性剤を使用する場合、この使用量(重量部)は、脂肪酸100重量部に対して、0.1〜5が好ましく、さらに好ましくは0.5〜4、特に好ましくは1〜3である。
ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤を使用する場合、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の使用重量比(ノニオン性界面活性剤/アニオン性界面活性剤)は、0.5〜25が好ましく、さらに好ましくは0.8〜20、特に好ましくは1〜15である。
この範囲であると、脂肪酸金属塩水分散体の分散安定性がさらに良好となる。
【0022】
工程(1−1)で得た脂肪酸金属塩水分散体及びアニオン性界面活性剤、並びに必要に応じてノニオン性界面活性剤を混合・微粒化して、体積平均粒子径が0.1〜7μmの脂肪酸金属塩水分散体を得る工程(1−2)は公知の方法で行うことができる。
混合・微粒化用の分散機としては公知の分散機{たとえば、特許文献1及び2}をそのまま使用できる。このうち、高圧噴射式乳化分散機(ガウリンホモジナイザー等)、メディア式乳化分散機(サンドグラインダー等)、高速回転遠心放射型乳化分散機(コーレスミキサー等)及び高速回転剪断型乳化分散機(ホモミキサー等)が好ましい。
これらの分散機は1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
工程(1)で得られる脂肪酸金属塩水分散体の体積平均粒子径(μm)は、0.1〜7が好ましく、さらに好ましくは0.5〜6、特に好ましくは1〜5である。この範囲であると、潤滑離型性能がさらに良好となる。
脂肪酸金属塩水分散体の体積平均粒子径は、分散・反応機及び混合・微粒化用の分散機の剪断力等により調節することができる。例えば、高圧噴射式乳化分散機においては吐出圧力を変化させる方法、高速回転剪断型乳化分散機や高速回転遠心放射型乳化分散機においてはタービンや撹拌翼の回転数を変化させる方法により調節することができる。また、処理時間を変化させることによっても調節することができる。すなわち、剪断力が強く、処理時間が長いほど、脂肪酸金属塩水分散体の粒子径は小さくなり、逆に、剪断力が弱く、処理時間が短いほど、粒子径は大きくなる。
なお、体積平均粒子径は、体積平均粒子径が1〜100μmの場合、レーザー回折式粒度分析計{例えば、日機装(株)製のマイクロトラックHRA粒度分析計}により測定される{JIS Z 8825−1:2001(粒子径解析−レーザー回折法−第1部:測定原理)、対応ISO;ISO 13320−1:1999(Particle size analysis-Laser diffraction methods-Part1:General principles.)に準拠}。また、体積平均粒子径が1μmより小さい場合、レーザードップラー式粒度分析計{日機装(株)製のマイクロトラックUPA粒度分析計}により測定される(たとえば、測定条件は以下の通りである)。
溶媒:電気伝導度0.1mS/m以下の水99部とノニオン性界面活性剤(高級アルコールのアルキレンオキシド付加物(HLB=13.3)、ナロアクティHN−100、三洋化成工業株式会社製)1部の水溶液
サンプル濃度:1重量%
溶媒屈折率:1.33
粒子屈折率:1.46
測定温度:25℃±10℃
粒子透過性:透過
粒子形状:非球形
【0024】
工程(2)において混合するポリオキシアルキレン化合物としては、ポリオキシアルキレングリコール及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が含まれる。
オキシアルキレン基としては、炭素数2〜4のオキシアルキレン{オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン及びこれらの混合}が含まれ、必ずオキシエチレンが含まれる。
アルキルとしては、炭素数1〜4のアルキル{メチル、エチル、プロピル及びt−ブチル}等が含まれる。
ポリオキシアルキレングリコールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシブチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリコール及びポリオキシプロピレングリコール等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素数1〜4)等が使用でき、ポリオキシアルキレングリコールモノメチルエーテル及びポリオキシアルキレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
【0025】
ポリオキシアルキレン化合物に複数種類のオキシアルキレン基を含むとき、オキシアルキレン基の結合様式は、ブロックでもランダムでもよい。
これらのポリオキシアルキレン化合物は、1種又は2種以上の混合物のいずれでもよい。
これらのうち、ポリオキシアルキレングリコールが好ましく、さらに好ましくはポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシブチレングリコール及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリコール、特に好ましくはポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、最も好ましくはポリオキシエチレングリコールである。
【0026】
ポリオキシアルキレン化合物がオキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基を含むとき、すべてのオキシアルキレン基の合計モル数に基づいて、オキシエチレン基の含有量(モル%)は60〜98が好ましく、さらに好ましくは80〜98、特に好ましくは90〜98である。また同様にオキシプロピレン基の含有量(モル%)は1〜30が好ましく、さらに好ましくは1〜15、特に好ましくは1〜7である。また同様に、オキシブチレン基の含有量(モル%)は1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3である。
【0027】
ポリオキシアルキレン化合物がオキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含むとき、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基の合計モル数に基づいて、オキシエチレン基の含有量(モル%)は70〜99が好ましく、さらに好ましくは85〜99、特に好ましくは93〜99である。また同様にオキシプロピレン基の含有量(モル%)は1〜30が好ましく、さらに好ましくは1〜15、特に好ましくは1〜7である。
【0028】
ポリオキシアルキレン化合物がオキシエチレン基及びオキシブチレン基を含むとき、オキシエチレン基及びオキシブチレン基の合計モル数に基づいて、オキシエチレン基の含有量(モル%)は90〜99が好ましく、さらに好ましくは95〜99、特に好ましくは97〜99である。また同様にオキシブチレン基の含有量(モル%)は1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3である。
【0029】
ポリオキシアルキレン化合物の数平均分子量は、2,500〜10,000が好ましく、さらに好ましくは2,700〜8,000、特に好ましくは2,900〜5,000である。この範囲であると、乾燥体がさらに発生しにくくなる。
なお、数平均分子量は、分子量既知のエチレンオキシドを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される{JIS K0124:2002(高速液体クロマトグラフィー通則)、対応ISO;ISO 11843−1:1997(Capability of detection-Part1:Terms and definitions.)に準拠}(たとえば、測定条件は以下の通りである)。
装 置:HLC−8120GPC(東ソー株式会社製)
カラム:型式TSKgelG5000PWXLと型式TSKgelG3000PWXL各々1本を直列接続したカラム
溶離液:電気伝導度0.1mS/m以下の水1000部と試薬特級の無水リン酸二水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社)7.0部及び試薬特級の無水リン酸水素二ナトリウム(和光純薬工業株式会社)7.1部との水溶液
検出器:示差屈折率検出器(RID)
【0030】
ポリオキシアルキレン化合物は、そのまま用いてもよいし、あるいは水溶液として用いてもよいが、水溶液として用いることが好ましい。水溶液として用いる場合、ポリオキシアルキレン化合物の含有量(重量%)は、ポリオキシアルキレン化合物及び水の重量に基づいて、5〜90が好ましく、さらに好ましくは10〜85、特に好ましくは30〜80である。
また、この場合、水の含有量(重量%)は、ポリオキシアルキレン化合物及び水の重量に基づいて、10〜95が好ましく、さらに好ましくは15〜90、特に好ましくは20〜70である。この範囲であると、潤滑離型剤の生産効率がさらに良好となる。
【0031】
ポリオキシアルキレン化合物の使用量(重量%)は、脂肪酸金属塩の重量に基づいて、0.5〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜8、特に好ましくは2〜7である。この範囲であると、乾燥体がさらに発生しにくくなる。
【0032】
脂肪酸金属塩水分散体とポリオキシアルキレン化合物とを混合する装置としては、脂肪酸金属塩水分散体の体積平均粒子径に変化を及ぼさない装置(低シアで撹拌混合できるもの)が好ましい。このような装置としては、公知のものが使用でき、通常の低シア撹拌機(プロペラ型翼撹拌機、パドル型翼撹拌機、タービン型翼撹拌機及びラインミキサー等)等が挙げられる。
【0033】
その他の添加剤(耐水化剤、分散剤、保水剤、流動性改良剤、消泡剤、湿潤剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、蛍光増白増強剤、紫外線吸収剤及び/又は防腐剤等)を、工程(1)、工程(2)又はこれらの後の工程において添加混合してもよい。
【0034】
本発明の製造方法により得られる潤滑離型剤は、潤滑離型性能を要求される用途に制限なく使用できるが、塗工紙用潤滑離型剤として好適である。
本発明の製造方法により得られる潤滑離型剤(本発明の塗工紙用潤滑離型剤)は、公知の潤滑離型剤と同様にして(たとえば、特開2003−292986号公報及び特開平2−215743号公報)、塗料化の際に添加使用される。添加量も、公知の潤滑離型剤と同様である。
そして、本発明の塗工紙用潤滑離型剤を用いて得られる塗工紙用塗料は、公知の方法によって、紙に塗工され、塗工紙とされる。
【実施例】
【0035】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下、特記しない限り部は重量部を、%は重量%を意味する。
<実施例1>
SUSビーカーに水酸化カルシウム90部、水500部、ノニオン性界面活性剤[高級アルコールのアルキレンオキシド付加物(HLB=13.3)、ナロアクティHN−100、三洋化成工業株式会社製]30部を仕込み、25℃にてホモミキサー(TKホモミクサーMARK2、特殊機化工業株式会社製、6000rpm、10分)で撹拌・混合した後、ホモミキサー(1000rpm)で撹拌させながら、40℃に調整して、水酸化カルシウム分散液を得た。引き続き、水酸化カルシウム分散液をホモミキサー(6000rpm)で撹拌させながら、これに、溶融したステアリン酸(60℃)(サザンアシッド社製)576部を、移送ポンプにて3時間連続滴下した後、50〜60℃で30分間撹拌を継続して、粗ステアリン酸カルシウム分散液を得た(工程1−1)。
【0036】
次に、プロペラ型翼撹拌機(MAZELA Z、type Z−2100、東京理化器械株式会社製、500rpm)で撹拌させながら、粗ステアリン酸カルシウム分散液に、アニオン界面活性剤{ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム60%水溶液、テイカパワーBN2060、テイカ株式会社製}25部を加え、15分間撹拌・混合した。さらに、パールミル[PM−RL−V、アシザワ・ファインテック(株)製、2000rpm]により、10分ごとに粗ステアリン酸カルシウムの体積平均粒子径をチェックしながら、体積平均粒子径が3μmとなるまで微粒化した後、水にて濃度調整して、脂肪酸金属塩水分散体(B1)(濃度55%、体積平均粒子径3μm)を得た(工程1−2)。
【0037】
脂肪酸金属塩水分散体(B1)100部及びポリオキシエチレングリコール(数平均分子量4,000)水溶液(濃度55%)4.55部{脂肪酸金属塩水分散体の脂肪酸金属塩の重量に基づくポリエチレングリコールの量:5%}をプロペラ型翼撹拌機(MAZELA Z、type Z−2100、東京理化器械株式会社製、500rpm、15分)で、撹拌・混合して、本発明の潤滑離型剤(1)(濃度55%、体積平均粒子径3μm)を得た(工程2)。
【0038】
<実施例2>
工程(1−2)において、体積平均粒子径が3μmとなるまで微粒化したことを、体積平均粒子径が0.1μmとなるまで微粒化したことに変更した以外、実施例1と同様にして脂肪酸金属塩水分散体(B2)(濃度55%、体積平均粒子径0.1μm)を得た。
工程(2)において、脂肪酸金属塩水分散体(B1)を、脂肪酸金属塩水分散体(B2)に変更した以外、実施例1と同様にして、本発明の潤滑離型剤(2)(濃度55%、体積平均粒子径0.1μm)を得た。
【0039】
<実施例3>
工程(1−2)において、体積平均粒子径が3μmとなるまで微粒化したことを、体積平均粒子径が7μmとなるまで微粒化したことに変更した以外、実施例1と同様にして脂肪酸金属塩水分散体(B3)(濃度55%、体積平均粒子径7μm)を得た。
工程(2)において、脂肪酸金属塩水分散体(B1)を、脂肪酸金属塩水分散体(B3)に変更した以外、実施例1と同様にして、本発明の潤滑離型剤(3)(濃度55%、体積平均粒子径7μm)を得た。
【0040】
<実施例4>
工程(1−2)において、体積平均粒子径が3μmとなるまで微粒化したことを、体積平均粒子径が10μmとなるまで微粒化したことに変更した以外、実施例1と同様にして脂肪酸金属塩水分散体(B4)(濃度55%、体積平均粒子径8μm)を得た。
工程(2)において、脂肪酸金属塩水分散体(B1)を、脂肪酸金属塩水分散体(B4)に変更した以外、実施例1と同様にして、本発明の潤滑離型剤(4)(濃度55%、体積平均粒子径8μm)を得た。
【0041】
<実施例5〜15>
工程(2)において、撹拌・混合したポリオキシエチレングリコール(数平均分子量4,000)水溶液(濃度55%)4.55部{脂肪酸金属塩水分散体の脂肪酸金属塩の重量に基づくポリエチレングリコールの量:5%}を、表1に示したポリオキシエチレングリコール水溶液及び使用量に変更した以外、実施例1と同様にして、本発明の潤滑離型剤(5)〜(15)(濃度55%、体積平均粒子径3μm)を得た。
【0042】
<実施例16>
工程(1−1)において、ノニオン性界面活性剤[高級アルコールのアルキレンオキシド付加物(HLB=13.3)]を、ノニオン性界面活性剤[ノニルフェノールのエチレンオキシド付加物(HLB=13.3)、ノニポール100、三洋化成工業株式会社製]に変更し、工程(1−2)において、アニオン性界面活性剤を使用したことを、アニオン性界面活性剤を使用しないことに変更し、パールミルにより微粒化したことを、ガウリンホモジナイザー(15M−8TA、GAULIN CORPORATION製、200〜300kg/cm2)により微粒化したことに変更した以外、実施例1と同様にして、脂肪酸金属塩水分散体(B5)(濃度55%、体積平均粒子径3μm)を得た。
工程(2)において、脂肪酸金属塩水分散体(B1)を、脂肪酸金属塩水分散体(B5)に変更した以外、実施例1と同様にして、本発明の潤滑離型剤(16)(濃度55%、体積平均粒子径3μm)を得た。
【0043】
【表1】

{注:脂肪酸金属塩水分散体の脂肪酸金属塩の重量に基づくポリエチレングリコールの量(%)}
【0044】
<比較例1>
脂肪酸金属塩水分散体(B1)をそのまま、比較用の潤滑離型剤(17)(濃度55%、体積平均粒子径3μm)とした。
【0045】
<比較例2>
工程(1−1)において、ノニオン性界面活性剤[高級アルコールのアルキレンオキシド付加物(HLB=13.3)、ナロアクティHN−100、三洋化成工業株式会社製]30部を、ノニオン性界面活性剤{高級アルコールのアルキレンオキシド付加物、ナロアクティHN−100:30部及び55%ポリオキシエチレングリコール水溶液:56部の混合液}に変更したこと、工程(2)を行わなかったこと以外、実施例1と同様にして、脂肪酸金属塩水分散体(B6)(濃度55%、体積平均粒子径3μm)を得た。この(B6)をそのまま、比較用の潤滑離型剤(18)とした。
【0046】
<比較例3>
工程(1−2)において、アニオン界面活性剤{ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム60%水溶液、テイカパワーBN2060、テイカ株式会社製}25部を、アニオン界面活性剤{ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム60%水溶液、テイカパワーBN2060、テイカ株式会社製}25部及び55%ポリオキシエチレングリコール水溶液56部に変更したこと、工程(2)を行わなかったこと以外、実施例1と同様にして、脂肪酸金属塩水分散体(B7)(濃度55%、体積平均粒子径3μm)を得た。この(B7)をそのまま、比較用の潤滑離型剤(19)とした。
【0047】
<比較例4>
工程(1−1)において、ノニオン性界面活性剤30部を、ノニオン性界面活性剤70部に変更したこと、工程(2)を行わなかったことに変更した以外、実施例1と同様にして、脂肪酸金属塩水分散体(B8)(濃度55%、体積平均粒子径3μm)を得た。この(B8)をそのまま、比較用の潤滑離型剤(20)とした。
【0048】
<比較例5>
工程(1−2)において、アニオン性界面活性剤25部を、アニオン性界面活性剤60部に変更したこと、工程(2)を行わなかったこと以外、実施例1と同様にして、脂肪酸金属塩水分散体(B9)(濃度55%、体積平均粒子径3μm)を得た。この(B9)をそのまま、比較用の潤滑離型剤(21)とした。
【0049】
<比較例6>
脂肪酸金属塩水分散体(B5)をそのまま、比較用の潤滑離型剤(22)(濃度55%、体積平均粒子径3μm)とした。
【0050】
潤滑離型剤(1)〜(22)について、乾燥体(皮ばり)の発生具合、潤滑離型性能及びピック強度を以下の評価測定方法により測定し、これらの結果を表2に示した。
【0051】
<乾燥体(皮ばり)の発生具合>
ガラスシャーレ(直径7cm、高さ1.5cm)に全面を覆うように評価試料20gを計りとり、温度23℃、湿度50RH%の条件下で、5時間放置し、1,2,3,4,5時間後の状態を、スパチュラを用いて観察し、以下の基準で評価した。
◎:乾燥体なし
○:薄い膜(乾燥体)がある
△:軟らかい膜(乾燥体)がある
×:硬い膜(乾燥体)がある
【0052】
<潤滑離型性能>
スチレン−ブタジエンラテックス{ジェイエスアール(株)製、JSR0695(ラテックス濃度48%、残りは水)}25部に、評価試料を1.82部及び水25.2部をそれぞれ加えて、撹拌混合し、濃度25%の紙塗工塗料を得た。
坪量64g/m2 の上質紙原紙{コクヨ(株)製、KB−34}に、上記紙塗工塗料をNo.12バーコーター(R.D.S WEBSTER N.Y 社製)で塗工した後、135℃にて20秒乾燥し、塗工紙(30×20cm)を作成した。
次いで、塗工紙を温度70℃、線圧100kg/cmでスーパーカレンダーに通紙し、ニップ通過2秒後にチルドロールにはりついた塗工紙のチルドロール面からの剥離強度を引張り強度測定機{日本特殊測器(株)製、LRU‐20N}を用いて測定した。剥離強度が小さい程、潤滑離型性能に優れていることを意味する。
【0053】
<ピック強度>
重質炭酸カルシウム{(株)ファイマテック製、FMT−97(75%水分散液)}66.7部、カオリン(CADAM製、AMAZON SB)50部、分散剤{サンノプコ(株)製、SNディスパーサント5040(40%水溶液)}0.5部、水酸化ナトリウム0.1部及び水65部を、ホモディスパー{(株)島崎製作所製、ROTARY AJITER SH2Z}(3000rpm)で30分間、混合・分散させて、分散体を得た。
次いで、この分散体に、スチレン−ブタジエンラテックス[ジェイエスアール(株)製、JSR0695(濃度48%、残りは水)]20.8部及び水に溶解したリン酸エステル化澱粉(濃度30%)[日本食品加工(株)製、MS−4600]10部を加えた後、評価試料を1.82部を加えて、ホモディスパー(3000rpm)で15分間、撹拌・混合して、濃度65%の紙塗工塗料を得た。
次に、この紙塗工塗料を坪量64g/m2 の上質紙原紙{コクヨ(株)製、KB−34}に塗工量(坪量)が15g/m2 になるように枚葉式ブレードコーター{(株)オースギ製 MLC−100L}(速度300m/s)で塗工した後、135℃で20秒間乾燥して塗工紙(30×20cm)を得た。
得られた塗工紙を、温度50℃、線圧80kg/cmでスーパーカレンダーに2回通紙し、印刷適性試験機{石川島産業機械(株)製、RI‐1型}及びピッキングインク(大日本インキ化学工業(株)製、TV=20)を用いて塗工紙のピック強度を測定した。評価は目視にて判断した。
○:紙面にムケはほとんど認められない。
△:紙面にかすかなムケが認められる。
×:紙面にムケが多く認められる。
【0054】
【表2】

【0055】
本発明の製造方法により得られる潤滑離型剤は、比較例の潤滑離型剤と比較して、乾燥体(皮ばり)が発生しにくかった。また、潤滑離型性能、印刷適性も良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の製造方法により得られる潤滑離型剤は、潤滑離型性能を要求される用途に制限なく使用できる。特に、塗工紙製造工程の操業性改善を目的として、塗工紙用塗料に使用される塗工紙用潤滑離型剤として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸金属塩水分散体を製造する工程(1)と、
脂肪酸金属塩水分散体及びポリオキシアルキレン化合物を混合して潤滑離型剤を得る工程(2)とを含むことを特徴とする潤滑離型剤の製造方法。
【請求項2】
工程(1)が、脂肪酸{100重量部}、金属水酸化物{脂肪酸1モルに対して0.5〜0.75モル}及びノニオン性界面活性剤{1〜10重量部}、並びに必要に応じてアニオン性界面活性剤{0.1〜5重量部}を用いて、脂肪酸と金属水酸化物とを水に分散させながら反応させて、脂肪酸金属塩水分散体を得る工程(1−1)と、
この脂肪酸金属塩水分散体及びアニオン性界面活性剤{0.1〜5重量部}、並びに必要に応じてノニオン性界面活性剤{0.1〜5重量部}を混合・微粒化して、体積平均粒子径が0.1〜7μmの脂肪酸金属塩水分散体を得る工程(1−2)とを含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
工程(2)において、ポリオキシアルキレン化合物の使用量が脂肪酸金属塩の重量に基づいて、0.5〜10重量%である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
ポリオキシアルキレン化合物がポリオキシエチレングリコールである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法で製造された潤滑離型剤からなる塗工紙用潤滑離型剤。
【請求項6】
請求項5に記載の塗工紙用潤滑離型剤を用いて製造された塗工紙。

【公開番号】特開2007−231446(P2007−231446A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53793(P2006−53793)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】