濁水処理システムおよび濁水処理方法
【課題】 薬剤を使用せず、濁水を処理することができ、脱水ケーキも再利用することができるシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】 このシステムは、複数の孔を有する板状部材から構成され、濁水が放出される水平方向に対して傾斜させて配置され、濁水に含まれる粒子を下側に向いた面に捕捉することにより濁水から粒子を分離するとともに、連続的に放出される濁水によりその面に捕捉された粒子を剥離させ、下方にその粒子からなる泥土を堆積させるフィルタ27と、その泥土を受け入れる脱水容器30を備え、脱水容器30内のガスを吸引することにより、泥土に含まれる水分を除去する脱水装置とを含む。
【解決手段】 このシステムは、複数の孔を有する板状部材から構成され、濁水が放出される水平方向に対して傾斜させて配置され、濁水に含まれる粒子を下側に向いた面に捕捉することにより濁水から粒子を分離するとともに、連続的に放出される濁水によりその面に捕捉された粒子を剥離させ、下方にその粒子からなる泥土を堆積させるフィルタ27と、その泥土を受け入れる脱水容器30を備え、脱水容器30内のガスを吸引することにより、泥土に含まれる水分を除去する脱水装置とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を使用することなく濁水を処理水と泥土とに分離し、泥土を充分に脱水して再利用を可能にする濁水処理システムおよび濁水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダム工事やトンネル工事等で発生する工事濁水は、凝集沈殿方式による濁水処理装置および汚泥脱水装置を含む濁水処理設備により処理されている(例えば、特許文献1参照)。なお、この濁水は、工事現場において発生する湧き水が土砂と混じり合って発生するものや、掘削、ずり運搬、吹付けコンクリート、コンクリート打設、洗浄水等に伴い発生するものである。
【0003】
図1に、従来の濁水処理設備の構成例を示す。工事濁水には、礫、砂、泥土が粒子として含まれる。このため、比較的大きい粒子径をもつ粒子を沈降させ、固液分離するために、まず、沈砂槽10へ供給される。沈砂槽10は、連続処理が可能なように一定量貯留し、また、比較的大きい粒子径をもつ礫および砂を泥水と分離する。沈砂槽10では、礫や砂を自然に沈降させることにより礫や砂は底に集まり、上澄み液が泥水として分離される。
【0004】
その後、上澄み液は、濁水処理装置11へ送られ、上澄み液のpH、濁度が計測される。セメント等のアルカリ成分を含む場合はpHが高くなることから、濁水処理装置11へ流入する手前で炭酸ガス等の中和用ガスを注入し、液を中和する。その後、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄等の凝集剤が添加され、これにより、粒子径の小さい集合体が形成される。また、濁水処理装置11では、ポリアクリルアミド系の高分子凝集剤等が添加され、これにより、粒子径の小さい集合体が集められ、大きな集合体(フロック)が形成される。
【0005】
濁水処理装置11は、フロックの沈降時間を確保するため、凝集沈殿槽(シックナー)12を備える。凝集沈殿槽12では、上記の2つの凝集剤が添加された上澄み液が、上層の上水と、下層の凝集されたフロックとに分離される。
【0006】
上水は、凝集沈殿槽12からオーバーフローし、放流水槽13へ送られ、pH計でpHが、濁度計で濁度が計測され、予め求めておいた濁度と浮遊物質量(SS)との相関関係式により、計測された濁度をSSへ換算し、放流基準を満たすpH値およびSSであれば河川等に放流される。pH値またはSSが放流基準を満たさない場合、破線で示されるように、沈砂槽10へ戻され、pHが調整される。
【0007】
一方、凝集沈殿槽12に沈殿したフロックは、汚泥貯留槽14へ送られ、固液分離を容易にするために脱水剤等の薬剤が添加される。その後、フロックは、フィルタプレス等の汚泥脱水装置15へ送られ、圧縮ろ過されて脱水ろ液と脱水ケーキとに分離される。脱水ケーキは、脱水剤や凝集剤を含み、高含水となることもあるため、所定の強度が得られない場合もある。このため、一般的には再利用が困難であるため、産業廃棄物として処分される場合が一般的である。一方、脱水ろ液は、沈砂槽10へ戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−307515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
濁水処理装置の処理水は、pH値およびSSを放流基準値以下にして河川等に排水するのが一般的であるが、その処理の際、上記の凝集剤を使用するため、自然環境が豊かな河川等へ放流する場合、このような薬剤は使用しない方が好ましい。それは、放流水中に薬剤が残留し、河川環境等への影響が懸念されるからである。
【0010】
凝集剤を使用する場合、フロックの沈降時間を確保するために凝集沈殿槽12を設ける必要があり、その結果、濁水処理装置が大型化し、広い設置スペースが必要となり、装置コストが高くなるという問題があった。
【0011】
また、脱水剤の使用も、河川環境等への影響が懸念される。脱水ケーキは、再利用が困難で、産業廃棄物として処分されることから、処分費用がかかる。
【0012】
したがって、凝集剤や脱水剤等の薬剤を使用せず、濁水を処理することができ、脱水ケーキも再利用することができ、また、小型化して安価で提供することができ、容易にメンテナンスができるシステムや方法の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の発明者らは、鋭意検討の結果、濁水に含まれる粒子を分離する分離手段としてのフィルタと、分離された粒子からなる泥土を受け入れる脱水容器を備え、該脱水容器内のガスを吸引することにより該泥土に含まれる水分を除去する脱水装置とを含む構成を採用することにより、上記の問題を解決することができることを見出した。
【0014】
フィルタは、濁水が放出される水平方向に対して傾斜させて配置される。このように傾斜させて配置する構成を採用することで、粒子によるフィルタの目詰まりを防止することができる。また、フィルタとして、高強度フィルタを採用することで、濁水の供給圧力を高めることができ、粒子の濃度が高い濁水の処理を実現することができる。高圧の濁水中の水は、フィルタを通して水平方向へ放出され、濁水に含まれる粒子は、フィルタの下側に向いた面に捕捉され、連続的に放出される濁水によりその面に捕捉された粒子は剥離し、装置の下部に粒子からなる泥土が堆積する。
【0015】
フィルタは、濁水中の懸濁物質(SS)を除去するが、濁水中にコロイドおよび粘土のような細かな土粒子分が多く混入していると、非常に細かな目幅のフィルタを選定する必要がある。しかし、フィルタの目幅を細かくすると、濁水中の粒子が時間の経過とともに圧密され、固結化されて、圧力上昇と目詰まりを発生させる。また、非常に細かな目幅のフィルタを使用すると一定の厚みがあるものの、軟らかいスクリーンが多く、SSを除去するためにブラッシングを行うと、擦り切れるおそれがある。
【0016】
本発明では、分離手段として、フィルタを、該フィルタの孔径より大きい孔径の複数の孔を有するベーススクリーンと、厚さ方向へV字状に打ち抜かれて形成された複数の孔を有するパンチングスクリーンとで挟み込んだものを採用することができる。このようにフィルタを挟み込む構成を採用することにより、フィルタの劣化を防止することができる。また、泥水は、パンチングスクリーンの複数の孔内へ集中して流れ、それらの孔内に略円錐状のSS塊を形成し、そのSS塊の濁水の流入側の断面が流出側の断面に比較して大きく、かつ傾斜して配置されることから、水流により容易に剥がれ、装置の下部に堆積させることができるので、フィルタ全面にSSが張り付くことをなくすことができる。これにより、凝集沈殿方法と同様な効果を期待できる。
【0017】
フィルタは、1つに限られるものではなく、水平方向に配列して複数設置することができ、複数設置した場合、そのフィルタに設けられる複数の孔の孔径を、濁水の流入側から順に小さくしていくことができる。このように複数のフィルタを設置することで、より確実に粒子を捕捉することができ、孔径を小さくしていくことで、より小さな粒径の粒子まで捕捉することができる。この場合も、上記のようなフィルタをベーススクリーンとパンチングスクリーンとで挟み込んだものを採用することができる。
【0018】
脱水容器内の空気および水蒸気を吸引するために、真空ポンプといったガス吸引手段を備えることができる。脱水容器内を吸引していくと、泥土に含まれる水分が気化し、それを吸引することにより泥土を乾燥させることができる。この乾燥を促進するために、マグネトロンや遠赤外線ヒータ等の加熱装置を採用することができる。また、脱水容器内へ圧縮ガスを送り、圧縮ガス中へ水分を気化させ、それを上記のガス吸引手段により吸引して乾燥を促進させることができ、そのために、空気圧縮機といった圧縮ガス供給手段を備えることができる。
【0019】
脱水容器は、水平方向に対し傾斜させて配置され、泥土を上方から入れ、脱水容器内を滑らせ、下方から取り出すようにすることで、脱水容器内において泥土を搬送するための搬送手段を設ける必要がなくなる。
【0020】
したがって、このシステムは、(a)濁水を供給するための濁水供給手段と、(b)上部に、濁水を受け入れるための入口ノズルおよび粒子が分離された後の水を排出するための出口ノズルと、底部に、泥土を排出するための排出口とを備え、入口ノズルと出口ノズルとの間にフィルタが配置された1以上の分離容器と、(c)排出口から排出された泥土を搬送する搬送手段と、(d)脱水容器と、該脱水容器内の圧縮空気を吸引するガス吸引手段とを備える脱水装置とから構成することができる。
【0021】
本発明では、このシステムを用いた濁水処理方法も提供することができる。この方法は、濁水が放出される水平方向に対して傾斜させて配置される分離手段の下側に向いた面に、該濁水に含まれる粒子を捕捉することにより該濁水から該粒子を分離するステップと、連続的に放出される濁水によりその面に捕捉された粒子を剥離させ、分離手段の下方に粒子からなる泥土として堆積させるステップと、泥土を脱水容器に受け入れ、該脱水容器内のガスを吸引することにより、該泥土に含まれる水分を除去するステップとを含む。
【0022】
また、この方法は、濁水供給手段により濁水を分離手段へ向けて放出させるステップと、
上部に、濁水を受け入れるための入口ノズルおよび粒子が分離された後の水を排出するための出口ノズルと、底部に、泥土を排出するための排出口とを備え、入口ノズルと出口ノズルとの間に分離手段が配置された1以上の分離容器の排出口から排出された泥土を搬送手段により搬送するステップとをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来の濁水処理設備の構成を示した図。
【図2】本発明の濁水処理システムの構成を例示した図。
【図3】濁水処理システムに用いられる分離手段の1つの構成例を示した図。
【図4】濁水処理システムに用いられる分離手段の別の構成例を示した図。
【図5】濁水処理システムに用いられる分離手段のさらに別の構成例を示した図。
【図6】図5に示す分離手段に用いられるパンチングスクリーンを例示した図。
【図7】分離手段に付着したSS塊を除去する除去手段の1つの構成を示した図。
【図8】分離手段に付着したSS塊を除去する除去手段の別の構成を示した図。
【図9】濁水処理システムに用いられる脱水装置の構成例を示した図。
【図10】脱水装置に用いられるガス吸引手段を例示した図。
【図11】脱水装置の別の構成例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の濁水処理システムは、自然環境に優しいシステムであり、ゼロエミッション化(廃棄物ゼロ)を実現するものである。
【0025】
図2は、濁水処理システムの1つの構成例を示した図である。図2に示すシステムは、1つの例であり、本発明はこれに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0026】
ダム工事やトンネル工事等においては、湧き水が発生し、この湧き水と掘削することにより出る土砂とが混じり合い、また、掘削、ずり運搬、吹付けコンクリート、コンクリート打設、洗浄水等に伴い、濁水が発生する。濁水には、コンクリート吹き付け等によりセメント材料の一部等も含まれるが、その多くは土砂である。濁水処理システムを連続運転するために、濁水は一度、図示しない原水槽へ貯留される。このため、原水槽において、比較的粒子径の大きい礫や砂は沈殿し、分離される。
【0027】
粒子径の小さい土粒子は、水とともに濁水を構成して図2に示すシステム内へ供給される。濁水処理システムは、高圧ポンプといった濁水供給手段20を備え、濁水供給手段20により濁水を圧送する。濁水供給手段20により圧送される濁水は、配管21および弁22を通り、分離容器23の入口ノズル24へ供給される。
【0028】
濁水をシステム内へ供給する際、必要に応じてpHを調整することができる。ダム工事やトンネル工事において発生する濁水は、ほぼ中性であるか、アルカリ性を呈することが多い。アルカリ性を呈する場合、炭酸ガスを注入し、液を中和することができる。一般排水基準値のpH値は5.8〜8.6であるから、この範囲に入るように、炭酸ガスを注入することができる。なお、中和剤としては、炭酸ガスのほか、希硫酸を用いることができる。
【0029】
分離容器23は、FRP等のプラスチック樹脂や、炭素鋼あるいはステンレス鋼等の金属材料から製造され、入口ノズル24のほか、水を排出するための出口ノズル25と、濁水に含まれる粒子(主に土粒子)からなる泥土を排出するための排出口26とを備えている。分離容器23の形状は、中空円筒と、その下側に頂点を下にした中空円錐状のものとが合体した形状とされている。入口ノズル24と出口ノズル25は、上部の円筒部分の曲面に、対向して配設され、排出口26は、円錐状のものの頂点部分に設けられている。このように下側を円錐状のものとしたのは、泥土を容易に1箇所に集めることができるからである。
【0030】
また、分離容器23内には、入口ノズル24と出口ノズル25との間に、複数の孔を有する板状部材から構成される分離手段としてのフィルタ27が、入口ノズル24から放出される濁水の放出方向に対し傾斜させて配置されている。濁水の放出方向は、地面に対して略水平方向であり、その水平方向に対し、下方に約45°傾斜させて配置されている。
【0031】
図2では、この分離容器23が、水平方向に3つ設けられ、隣り合う分離容器の出口ノズルと入口ノズルとをフランジ接続することにより連結されている。また、各分離容器23の排出口26には、弁28が設けられ、ある程度の量の泥土が堆積したところで弁28を開き、下方へ落下させることができるようになっている。
【0032】
1つの分離容器23の入口ノズル24へ供給された濁水は、例えば0.7〜2MPaといった高圧であり、ほぼ直進的に放出され、直進的に進む。したがって、その分離容器のフィルタおよび出口ノズル、隣り合う分離容器の入口ノズルおよびフィルタおよび出口ノズル、さらに隣り合う分離容器の入口ノズルおよびフィルタおよび出口ノズルを通り、処理水として排出される。
【0033】
その間、濁水に含まれる粒子は、各分離容器23内に配設されるフィルタ27に捕捉される。ここでの粒子は、主に土粒子であり、土粒子はその表面が水により覆われているため、土粒子同士が水を介在させてくっつき、ある程度の数の土粒子が集まって1つの集合体を形成する。しかしながら、この集合体は、傾斜したフィルタ27の下側に向いた面に形成されるため、連続して放出される濁水により容易に剥がれ落ち、分離容器23の底部へ向けて落下し、その途中、分離容器23の円錐状とされた内壁面を滑り落ち、その頂点部分に集められる。これを繰り返すことにより、泥土として分離容器23の底部に堆積する。
【0034】
このようにフィルタ27は、傾斜させて配置されるため、水を適切に通すことができ、粒子が付着したとしても容易に剥がれ落ちるので、粒子による目詰まりを防止することができる。また、後述する高強度フィルタを採用することで、濁水の供給圧力を高めることができる。
【0035】
フィルタ27の傾斜は、30°〜60°程度とすることができるが、図2に示すように45°が好ましい。傾斜角度が30°より小さくなると、水がフィルタ27を通りにくくなり、粒子の捕捉も困難になる。一方、傾斜角度が60°より大きくなると、粒子を捕捉するための面が濁水の放出口である入口ノズル24に向いた状態となるため、粒子を捕捉することができるにしても、連続的に供給される濁水によりその粒子が孔内へ押し込まれ、目詰まりを起こしてしまうからである。
【0036】
また、分離容器23は、その頂部に、開閉可能な蓋を備えており、フィルタ27のメンテナンスを行うことができるようになっている。このため、フィルタ27は、取り外し可能とされ、必要に応じてこのシステムの外部において簡易に洗浄するように構成されていてもよい。
【0037】
フィルタ27は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂材料から製造される樹脂フィルタを用いることが可能であるが、セラミックスや窒化ケイ素セラミックス等から製造されるセラミックフィルタ、チタンやステンレス鋼等の金属材料から製造される金属フィルタ等の高強度フィルタが好ましい。この高強度フィルタを採用することで、さらに濁水の供給圧力を高めることができるため、粒子の濃度が高い濁水の処理を実現することができる。フィルタ27は、上記の樹脂フィルタと高強度フィルタといったように、フィルタを組み合わせて使用することも可能である。
【0038】
土質材料は、粘土、シルト、細砂、中砂、粗砂、細礫、中礫、粗礫に分けることができ、粗粒分である細砂、中砂、粗砂、細礫、中礫、粗礫は、原水槽にて沈殿し、分離される。したがって、原水槽から濁水処理システムへ供給される濁水中には、粘土およびシルトが主成分として含まれる。粘土は、粒径が0.001mm〜0.005mm未満のものをいい、シルトは、粒径が0.005mm〜0.075mmの範囲のものをいう。
【0039】
フィルタ27は、複数の孔を有する板状部材とされ、その孔数および孔径は、放流基準に応じて適切なものを採用することができる。フィルタ27は、高強度のものが好ましいことから板状部材が好ましいが、網状に形成された布状物であってもよいものである。具体的には、上記の粘土やシルトを捕捉することができる複数の細孔を有する細目スクリーンを挙げることができる。
【0040】
図2に示す実施形態では、フィルタ27が水平方向に3つ配置されているが、分離容器23を1つもしくは2つ、または4つ以上とし、フィルタ27を1つもしくは2つ、または4以上としてもよい。フィルタ27の孔径は、配置する複数のフィルタのすべてにつき、同じ孔径のものを採用することができる。しかしながら、濁水中の粒子の小さいものまで確実に捕捉するために、すべてにつき、小さく同じ径のフィルタを採用すると、濁水の流入側にあるフィルタでほとんどの粒子が捕捉され、そのフィルタが目詰まりを起こしやすくなり、後流側へ水が通らなくなってしまう場合がありうる。このため、複数のフィルタを配置する場合、互いに異なる孔径のフィルタを採用することができ、また、濁水中の粒子の径に応じて分離することができるように、濁水の流入側から順に孔径が小さくなるように配置することができる。
【0041】
フィルタ27は、具体的には、図3に示すような構成とすることができる。なお、図3は、分離容器23の蓋を開き、上から見た図である。分離容器23の内部には、フィルタ27を傾斜させて差し込むことができる片側につき2枚の板から構成されるガイド23aが対向して設けられ、そのガイド23aに差し込むことにより設置することができる。フィルタ27は、分離容器23の内部を、入口ノズルおよび底部がある領域と出口ノズルがある領域の2つに分離し、中央部分に円形で、水が通過可能な複数の孔を有するフィルタ部27aと、分離容器23の内部を分離し、フィルタ部27aを通して以外、濁水を通過させないように遮蔽する遮蔽部27bとから構成される。
【0042】
フィルタ部27aは、円形の薄板状のものに限られるものではなく、矩形等であってもよい。遮蔽部27bは、略台形の薄板の中央部分を円形にくり抜いて形成され、フィルタ部27aを通過した水が、入口ノズルおよび底部がある領域へ逆流しないように、ガイド23aに挿嵌される。
【0043】
また、フィルタ27は、図4に示すような構成にすることもできる。図4も、分離容器23の蓋を開き、上から見た図である。図4に示すフィルタ27は、矩形で、水が通過可能な複数の孔を有するフィルタ部27aと、分離容器23の内部を分離し、フィルタ部27aを通して以外、濁水を通過させないように遮蔽する遮蔽部27bとから構成されるが、遮蔽部27bが、内部が中空とされ、一端と他端とに開口を有し、出口ノズルに取り外し可能に接続される一端から他端へ向けて拡張された構造とされ、他端の開口を覆うように、ゴムパッキン等のシール材を介してフィルタ部27aが連結されている。
【0044】
図4に示す構成では、他端の開口を覆うようにゴムパッキンを介してフィルタ部27aが連結され、一端が出口ノズルと接続されるため、遮蔽部27bの内部へ流れた水が、入口ノズルおよび底部がある側へ逆流するのを防止し、適切に次の分離容器23へ、あるいは処理水として排出することができる。このように、水が逆流し、底部に堆積する泥土へと流れるのを防止することで、泥土の脱水が容易になる。
【0045】
また、一端と出口ノズルとが、ボルトおよびナットによりフランジ接続される場合、ボルトおよびナットを外すことで、容易にフィルタ27を取り外すことができ、このシステムの外部において、遮蔽部27bからフィルタ部27aを取り外し、フィルタ部27aを洗浄することができる。
【0046】
この構成では、ガイド23aが存在しないので、フィルタ部27aの面積を大きくとることができる。また、一端の開口の高さ位置を、他端の開口の高さ位置より低くし、遮蔽部27b内に傾斜を設けることにより、遮蔽部27bの内部へ流れた水が、入口ノズルおよび底部がある側へ逆流するのを確実に防止することができる。
【0047】
フィルタ27は、濁水中の懸濁物質(SS)を除去するが、近年では、浄化目的でコロイド分の除去も進められており、コロイド分が微粒子であることから、フィルタの目が細かくなってきている。このため、フィルタ27を通過する水の流量は低下し、目詰まりが起こりやすくなる。コロイド分は、目の細かいフィルタに張り付き、時間の経過とともに圧密され、固結化されて、圧力上昇と目詰まりを発生させるからである。フィルタ27として上記の細目スクリーンを採用することができるが、この細目スクリーンの場合、一定の厚みがあるものの、軟らかいスクリーンが多く、SSを除去するためにブラッシングを行うと、擦り切れるおそれがある。
【0048】
このため、分離手段として、図5に示すように、フィルタ27を、フィルタ27の孔径より大きい孔径の複数の孔を有するベーススクリーン40と、プレス加工により厚さ方向へV字状に打ち抜かれて形成された複数の孔を有するパンチングスクリーン41とで挟み込んだものを採用することができる。このように両側から複数の孔を有する補強部材で挟み込んで補強する構成を採用することにより、フィルタ27の劣化を防止することができる。また、上記の構造を有するパンチングスクリーン41を採用することで、泥水は、パンチングスクリーン41の複数の孔41a内へ集中して流れ、SS塊42が、それらの孔41a内に形成されるものの、その孔41aが、濁水の流入側の断面が流出側の断面に比較して大きく、その流入側が流出側より下方に位置する構造であることから、流入側へ滑り落ちやすく、また、水流により容易に剥がれ、分離容器23の下部に堆積させることができる。これにより、フィルタ27の全面にSSが張り付くことをなくすことができ、凝集沈殿方法と同様な効果を期待できる。
【0049】
パンチングスクリーン41は、図6に示すように、一定間隔でプレス加工により円形に打ち抜かれた複数の孔41aを有し、その孔41aは、図5にも示すように、その厚さ方向へ行くにつれて孔径が小さくなるように形成されている。また、パンチングスクリーン41は、網目状のものではなく、一定の厚さを有しているので、その強度も高く、高圧で放出される濁水にも変形することなく充分に耐えうるものである。パンチングスクリーン41は、ベーススクリーン40とともに、フィルタ27を挟み込むように設けられ、濁水が放出される水平方向に対し、傾斜させて配置されるため、濁水の水圧をフィルタ27が直接受けることはなく、これにより、フィルタ27の劣化を防止している。
【0050】
この構成を採用することにより、SS塊42が容易に剥がれおちることから、パンチングスクリーン41の表面を洗浄する必要はないが、パンチングスクリーン41の複数の孔41a内に強く付着している場合、水流だけでは除去することができない場合がある。このため、図7に示すように、パンチングスクリーン41の表面にブラシ43を接触させ、ブラシ43を揺動もしくは往復動させることにより、パンチングスクリーン41の複数の孔41a内に形成されたSS塊42を除去することができる。ブラシ43には、動力手段としてのモータ44が取り付けられ、モータ44の回転数を制御することによりブラシ43の揺動もしくは往復動の速度を調節することができる。したがって、洗浄手段としてのブラシ43と、動力手段としてのモータ44とからなる除去手段を備えることができる。このモータ44は、放出される濁水と接触する可能性があることから、耐水圧型水中モータを採用することができる。
【0051】
そのほか、除去手段としては、図8に示すように、パンチングスクリーン41の表面に向けて配設されるノズル45と、ノズル45を接続し、高圧の水を噴射させる高圧洗浄機46とから構成されるものを用いることも可能である。ノズル45は、一定方向に回転させることができるようになっていて、高圧洗浄機46は、水を加圧してノズル45へと供給し、ノズル45から高圧水を回転させつつ噴射させることができる。このように高圧水を回転させつつ噴射することで、パンチングスクリーン41の複数の孔41a内に形成されたSS塊42を充分に除去することができる。高圧洗浄機46のほか、空気圧縮機を設けることもでき、パンチングスクリーン41の下方から圧縮空気を噴射させ、SS塊42を除去することも可能である。また、これらを併用し、圧縮空気と、高圧水とによりSS塊42を充分かつ効率的に除去することも可能である。
【0052】
再び図2を参照して、分離容器23の下部には、コンベアといった搬送手段29が設けられる。搬送手段29としては、スクリューフィーダー等を用いることができる。
【0053】
搬送手段29により搬送された泥土は、水分を多く含み、埋め立てや地盤改良等に再利用するにはその含水率が高い。したがって、再利用するためには、泥土を脱水しなければならない。
【0054】
脱水するための装置として脱水装置が挙げられるが、1つの実施形態として、脱水装置を、脱水容器30と、空気圧縮機といった圧縮ガス供給手段31と、真空ポンプといったガス吸引手段32とから構成することができる。
【0055】
脱水容器30は、中空円筒状の容器とされ、その両端に開閉可能な蓋30a、30bが設けられている。脱水容器30は、水平方向に対し傾斜させて配置され、搬送手段29により搬送された泥土が落下し、脱水容器30内へ受け入れる。このとき、蓋30aは開かれ、蓋30bは閉じられる。
【0056】
所定の量の泥土が入れられたところで、蓋30aを閉じ、圧縮ガス供給手段31により圧縮ガスを供給し、脱水容器30内の泥土をブローする。これにより、脱水容器30内は加圧されることになるため、脱水容器30は、耐圧性を有するものとされ、密閉性が良好なものとされる。このため、本体は、所定の厚さを有する炭素鋼やステンレス鋼等の金属から製造される中空円筒状のものとされ、蓋30a、30bも同様の金属から製造される円形の蓋とされ、その蓋には、密閉性を良好にするためにゴムパッキン等が設けられる。
【0057】
圧縮ガス供給手段31が空気圧縮機である場合、圧縮された空気は高温となり、この高温の圧縮空気が脱水容器30内へ供給される。すると、泥土に含まれる水分は、高温の空気によって蒸発し始め、また、内部の圧力が上昇することにより粒子間に介在する水分が押し出される。
【0058】
押し出された水分は、脱水容器30の傾斜した底面に沿って下方へ流れ、脱水容器30の下方に設けられた排水口33から適宜抜き出される。排水口33から抜き出された水分は、原水槽に戻すことができる。
【0059】
空気圧縮機を停止した後、真空ポンプを起動し、真空ポンプによって空気を吸引するとともに蒸発した水分も吸引する。脱水容器30内を減圧すると、泥土に含まれる水分が気化して水蒸気となり、その水蒸気が吸引されて除去され、その分の減容化が図られる。内部にある泥土は、水分の除去によりその容積が減少する。
【0060】
このようにして脱水された泥土は、傾斜した脱水容器30の蓋30bを開くことにより自然落下し、薬剤を含まないので地盤改良等に再利用することができる。なお、脱水された泥土は、容積および質量が減少するため、搬送が容易となる。
【0061】
圧縮ガスは、高圧窒素、高圧酸素や高圧炭酸ガス等であってもよいが、漏洩した場合の安全性を考慮すると、圧縮空気が好ましく、泥土に含まれる水分を除去する点において乾燥空気が好ましい。なお、高圧窒素、高圧酸素、高圧炭酸ガス等を供給する場合、ボンベやカードル等により供給することができる。
【0062】
図2では、濁水処理システムとして、濁水供給手段20と、分離容器23と、フィルタ27と、搬送手段29と、脱水容器30、圧縮ガス供給手段31、ガス吸引手段32を備える脱水装置とを備える構成としたが、所定圧力で濁水が供給されるのであれば、濁水供給手段20は備えていなくてもよい。また、フィルタ27により適切に処理水と泥土とに分離できれば分離容器23も備えていなくてもよく、泥土を脱水容器30へ入れることができれば搬送手段29も備えていなくてもよい。したがって、本発明の濁水処理システムは、フィルタ27と、脱水装置とから構成するものであってもよいものである。なお、ガス吸引手段32により、泥土に含まれる水分を気化させ、水蒸気として吸引することができるため、脱水装置は、圧縮ガス供給手段31を備えていなくてもよい。
【0063】
脱水装置は、脱水容器30内にろ布を備える構成にすることもできる。例えば、脱水装置は、図9に示すようなろ布からなる袋50を脱水容器30の中に備えることができる。この場合、その袋50の中に泥土51を入れ、その袋50の上に、下部に水分の排水が可能となるように隙間を設けた図示しない不透水製シートをかぶせ、または、その不透水製シートからなる袋で覆い、袋50の口を排水口33の方へ向けて配置し、蓋30a、30bを閉じ、圧縮ガス供給手段31を起動させて圧縮ガスを供給し、脱水容器30内を加圧する。ろ布は、泥土51の表面の水分を吸収し、また、不透水製シートは、脱水容器30内が加圧されることにより、周囲のガスによって内側に押し込まれ、それが押し込まれることにより袋50を内側へ押し込み、さらに内部にある泥土51を圧縮し、泥土51に含まれる水分を絞り出す。絞り出された水は、排水口33へと流れ、適宜排出される。
【0064】
その後、圧縮ガス供給手段31を停止させ、ガス吸引手段32により脱水容器30内のガスを、ガス中に蒸気として存在する水分とともに吸引する。このとき、ろ布に吸収された水分も吸い取られる。脱水容器30内を減圧すると、このようにして水分が除去され、その分の減容化が図れるため、内部にある泥土51もその容積が減少する。
【0065】
上記では、袋50の中に泥土を入れて圧縮および減圧して脱水する構成について説明したが、泥土51上を単にろ布および不透水製シートで覆った構成にすることもできる。この場合は、ろ布が、泥土51の表面の水分を吸収するとともに、脱水容器30内を加圧することにより、不透水製シートが内側へ押し込まれ、それが押し込まれることによりろ布を内側へ押し込み、さらに内部にある泥土51を圧縮し、泥土51に含まれる水分を絞り出すことができる。
【0066】
真空ポンプによる気化乾燥では、使用される真空ポンプがオイル粘性を用いて負圧化している。この場合、気化する際、水蒸気がオイルに混合され、真空ポンプがキャビテーションを発生し、故障の原因となる。このため、一度サンプルを凍結して固体化し、直接気化させて乾燥するドライフリージングが一般的に採用される。しかしながら、凍結にコストおよび時間がかかることから、この方法は、現状において食品等に限定されている。また、真空釜乾燥により常温で乾燥する方法も知られているが、これでは乾燥するのに1日半以上もかかる。さらに、真空釜を利用し、水蒸気乾燥を行う方法では、釜のボリュームに対し試料が多い場合、結露が発生するという問題がある。
【0067】
このため、真空ポンプを、オイル式から図10に示すような水封式のエルモ型ポンプにすることができる。エルモ型ポンプは、ケージング60が円形とされていて、水が封入されたケーシング60内でインペラ61を回転させ、水面と回転子間にて圧力変化を持たせ、主にガスを吸引するポンプである。このポンプは、水蒸気を吸引することができるため、脱水装置に適用することで、ドライフリージングのように昇華で気化させるために凍結する必要はなく、コストダウンと時間を短縮することができる。
【0068】
早期乾燥と結露を防止するために、脱水容器30内の泥土を加熱することができる。真空状態では熱を伝える物質が存在しないことから、図11に示すように、脱水容器30内に、マグネトロンによる電磁波や遠赤外線を利用して加熱する加熱手段70を設けることができる。また、上記の加熱手段70ではなく、脱水容器30内に伝熱ヒータを設けたり、脱水容器30の外部にジェットヒータを設け、脱水容器30内へジェットヒータからの熱風を供給して、脱水容器30内を予め所定温度に加熱しておいてから、ガス吸引手段32である真空ポンプで吸引することも可能である。
【0069】
真空ポンプにより真空気化を行い、水蒸気を吸引する場合、泥土51から水蒸気が発生するが、脱水容器30は、密閉されているため、泥土51に水分が多く含まれている場合、脱水容器30内に結露が発生し、水が溜まることが多い。このため、上記の圧縮ガス供給手段31により脱水容器30内に圧縮ガスを噴射し、圧縮ガスの噴射と、ガス吸引手段31による吸引とを繰り返し、脱水容器30の内部に存在する水蒸気を除去することができる。なお、脱水容器30は、ガス吸引手段31を使用して、あるいはガス吸引手段31と加熱手段70もしくはヒータまたは圧縮ガス供給手段31を併用して、さらにはガス吸引手段32と加熱手段70もしくはヒータと圧縮ガス供給手段31のすべてを併用して適切に水分を除去し、泥土を乾燥させることができれば、図9に示すように傾斜させて設置する必要はなく、図11に示すように、脱水容器30の長手方向を水平にして設置することも可能である。
【0070】
ここで、濁水処理システムを用いた濁水処理方法について簡単に説明する。複数の孔を有する板状部材から構成され、水平方向に対して傾斜させて配置されるフィルタ27に向けて濁水を放出すると、フィルタ27は複数の孔を有するため、水は孔を通して水平方向へ放出され、濁水に含まれる土粒子は孔を通らないため、フィルタ27の下側に向いた面に捕捉される。土粒子は、その面に連続的に捕捉されるが、連続して供給される濁水により容易に剥がれ落ち、フィルタ27の下方にその粒子からなる泥土として堆積する。
【0071】
その泥土を脱水容器30内に入れ、蓋をして密閉した後、図2に示す実施形態では、脱水容器30内に圧縮ガスを供給し、圧縮ガス中へ水分を蒸発させるとともに、泥土中の土粒子間に介在する水分を押し出して脱水し、その後、蒸発した水分を含むガスを吸引することにより、泥土に含まれる水分を除去し、泥土の容積を減少させる。これにより、低含水率で低容量化した脱水泥土となり、薬剤を含まないので、この脱水泥土は、再利用可能となる。
【0072】
濁水処理システムを用いた濁水処理方法では、必要に応じて濁水供給手段20により濁水を高圧にしてフィルタ27へ向けて放出させることができ、また、フィルタ27により土粒子を分離した後、分離容器23の排出口26から排出された泥土を搬送手段29により搬送し、自動で脱水容器30内へ入れ、その後、泥土を脱水することができる。
【0073】
これまで本発明の濁水処理システムおよび濁水処理方法について図面に示した実施形態を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0074】
10…沈砂槽、11…濁水処理装置、12…凝集沈殿槽、13…放流水槽、14…汚泥貯留槽、15…汚泥脱水装置、20…濁水供給手段、21…配管、22…弁、23…分離容器、23a…ガイド、24…入口ノズル、25…出口ノズル、26…排出口、27…フィルタ、27a…フィルタ部、27b…遮蔽部、28…弁、29…搬送手段、30…脱水容器、30a、30b…蓋、31…圧縮ガス供給手段、32…ガス吸引手段、33…排水口、40…ベーススクリーン、41…パンチングスクリーン、41a…孔、42…SS塊、43…ブラシ、44…モータ、45…ノズル、46…高圧洗浄機、50…袋、51…泥土、60…ケーシング、61…インペラ、70…加熱手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を使用することなく濁水を処理水と泥土とに分離し、泥土を充分に脱水して再利用を可能にする濁水処理システムおよび濁水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダム工事やトンネル工事等で発生する工事濁水は、凝集沈殿方式による濁水処理装置および汚泥脱水装置を含む濁水処理設備により処理されている(例えば、特許文献1参照)。なお、この濁水は、工事現場において発生する湧き水が土砂と混じり合って発生するものや、掘削、ずり運搬、吹付けコンクリート、コンクリート打設、洗浄水等に伴い発生するものである。
【0003】
図1に、従来の濁水処理設備の構成例を示す。工事濁水には、礫、砂、泥土が粒子として含まれる。このため、比較的大きい粒子径をもつ粒子を沈降させ、固液分離するために、まず、沈砂槽10へ供給される。沈砂槽10は、連続処理が可能なように一定量貯留し、また、比較的大きい粒子径をもつ礫および砂を泥水と分離する。沈砂槽10では、礫や砂を自然に沈降させることにより礫や砂は底に集まり、上澄み液が泥水として分離される。
【0004】
その後、上澄み液は、濁水処理装置11へ送られ、上澄み液のpH、濁度が計測される。セメント等のアルカリ成分を含む場合はpHが高くなることから、濁水処理装置11へ流入する手前で炭酸ガス等の中和用ガスを注入し、液を中和する。その後、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄等の凝集剤が添加され、これにより、粒子径の小さい集合体が形成される。また、濁水処理装置11では、ポリアクリルアミド系の高分子凝集剤等が添加され、これにより、粒子径の小さい集合体が集められ、大きな集合体(フロック)が形成される。
【0005】
濁水処理装置11は、フロックの沈降時間を確保するため、凝集沈殿槽(シックナー)12を備える。凝集沈殿槽12では、上記の2つの凝集剤が添加された上澄み液が、上層の上水と、下層の凝集されたフロックとに分離される。
【0006】
上水は、凝集沈殿槽12からオーバーフローし、放流水槽13へ送られ、pH計でpHが、濁度計で濁度が計測され、予め求めておいた濁度と浮遊物質量(SS)との相関関係式により、計測された濁度をSSへ換算し、放流基準を満たすpH値およびSSであれば河川等に放流される。pH値またはSSが放流基準を満たさない場合、破線で示されるように、沈砂槽10へ戻され、pHが調整される。
【0007】
一方、凝集沈殿槽12に沈殿したフロックは、汚泥貯留槽14へ送られ、固液分離を容易にするために脱水剤等の薬剤が添加される。その後、フロックは、フィルタプレス等の汚泥脱水装置15へ送られ、圧縮ろ過されて脱水ろ液と脱水ケーキとに分離される。脱水ケーキは、脱水剤や凝集剤を含み、高含水となることもあるため、所定の強度が得られない場合もある。このため、一般的には再利用が困難であるため、産業廃棄物として処分される場合が一般的である。一方、脱水ろ液は、沈砂槽10へ戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−307515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
濁水処理装置の処理水は、pH値およびSSを放流基準値以下にして河川等に排水するのが一般的であるが、その処理の際、上記の凝集剤を使用するため、自然環境が豊かな河川等へ放流する場合、このような薬剤は使用しない方が好ましい。それは、放流水中に薬剤が残留し、河川環境等への影響が懸念されるからである。
【0010】
凝集剤を使用する場合、フロックの沈降時間を確保するために凝集沈殿槽12を設ける必要があり、その結果、濁水処理装置が大型化し、広い設置スペースが必要となり、装置コストが高くなるという問題があった。
【0011】
また、脱水剤の使用も、河川環境等への影響が懸念される。脱水ケーキは、再利用が困難で、産業廃棄物として処分されることから、処分費用がかかる。
【0012】
したがって、凝集剤や脱水剤等の薬剤を使用せず、濁水を処理することができ、脱水ケーキも再利用することができ、また、小型化して安価で提供することができ、容易にメンテナンスができるシステムや方法の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の発明者らは、鋭意検討の結果、濁水に含まれる粒子を分離する分離手段としてのフィルタと、分離された粒子からなる泥土を受け入れる脱水容器を備え、該脱水容器内のガスを吸引することにより該泥土に含まれる水分を除去する脱水装置とを含む構成を採用することにより、上記の問題を解決することができることを見出した。
【0014】
フィルタは、濁水が放出される水平方向に対して傾斜させて配置される。このように傾斜させて配置する構成を採用することで、粒子によるフィルタの目詰まりを防止することができる。また、フィルタとして、高強度フィルタを採用することで、濁水の供給圧力を高めることができ、粒子の濃度が高い濁水の処理を実現することができる。高圧の濁水中の水は、フィルタを通して水平方向へ放出され、濁水に含まれる粒子は、フィルタの下側に向いた面に捕捉され、連続的に放出される濁水によりその面に捕捉された粒子は剥離し、装置の下部に粒子からなる泥土が堆積する。
【0015】
フィルタは、濁水中の懸濁物質(SS)を除去するが、濁水中にコロイドおよび粘土のような細かな土粒子分が多く混入していると、非常に細かな目幅のフィルタを選定する必要がある。しかし、フィルタの目幅を細かくすると、濁水中の粒子が時間の経過とともに圧密され、固結化されて、圧力上昇と目詰まりを発生させる。また、非常に細かな目幅のフィルタを使用すると一定の厚みがあるものの、軟らかいスクリーンが多く、SSを除去するためにブラッシングを行うと、擦り切れるおそれがある。
【0016】
本発明では、分離手段として、フィルタを、該フィルタの孔径より大きい孔径の複数の孔を有するベーススクリーンと、厚さ方向へV字状に打ち抜かれて形成された複数の孔を有するパンチングスクリーンとで挟み込んだものを採用することができる。このようにフィルタを挟み込む構成を採用することにより、フィルタの劣化を防止することができる。また、泥水は、パンチングスクリーンの複数の孔内へ集中して流れ、それらの孔内に略円錐状のSS塊を形成し、そのSS塊の濁水の流入側の断面が流出側の断面に比較して大きく、かつ傾斜して配置されることから、水流により容易に剥がれ、装置の下部に堆積させることができるので、フィルタ全面にSSが張り付くことをなくすことができる。これにより、凝集沈殿方法と同様な効果を期待できる。
【0017】
フィルタは、1つに限られるものではなく、水平方向に配列して複数設置することができ、複数設置した場合、そのフィルタに設けられる複数の孔の孔径を、濁水の流入側から順に小さくしていくことができる。このように複数のフィルタを設置することで、より確実に粒子を捕捉することができ、孔径を小さくしていくことで、より小さな粒径の粒子まで捕捉することができる。この場合も、上記のようなフィルタをベーススクリーンとパンチングスクリーンとで挟み込んだものを採用することができる。
【0018】
脱水容器内の空気および水蒸気を吸引するために、真空ポンプといったガス吸引手段を備えることができる。脱水容器内を吸引していくと、泥土に含まれる水分が気化し、それを吸引することにより泥土を乾燥させることができる。この乾燥を促進するために、マグネトロンや遠赤外線ヒータ等の加熱装置を採用することができる。また、脱水容器内へ圧縮ガスを送り、圧縮ガス中へ水分を気化させ、それを上記のガス吸引手段により吸引して乾燥を促進させることができ、そのために、空気圧縮機といった圧縮ガス供給手段を備えることができる。
【0019】
脱水容器は、水平方向に対し傾斜させて配置され、泥土を上方から入れ、脱水容器内を滑らせ、下方から取り出すようにすることで、脱水容器内において泥土を搬送するための搬送手段を設ける必要がなくなる。
【0020】
したがって、このシステムは、(a)濁水を供給するための濁水供給手段と、(b)上部に、濁水を受け入れるための入口ノズルおよび粒子が分離された後の水を排出するための出口ノズルと、底部に、泥土を排出するための排出口とを備え、入口ノズルと出口ノズルとの間にフィルタが配置された1以上の分離容器と、(c)排出口から排出された泥土を搬送する搬送手段と、(d)脱水容器と、該脱水容器内の圧縮空気を吸引するガス吸引手段とを備える脱水装置とから構成することができる。
【0021】
本発明では、このシステムを用いた濁水処理方法も提供することができる。この方法は、濁水が放出される水平方向に対して傾斜させて配置される分離手段の下側に向いた面に、該濁水に含まれる粒子を捕捉することにより該濁水から該粒子を分離するステップと、連続的に放出される濁水によりその面に捕捉された粒子を剥離させ、分離手段の下方に粒子からなる泥土として堆積させるステップと、泥土を脱水容器に受け入れ、該脱水容器内のガスを吸引することにより、該泥土に含まれる水分を除去するステップとを含む。
【0022】
また、この方法は、濁水供給手段により濁水を分離手段へ向けて放出させるステップと、
上部に、濁水を受け入れるための入口ノズルおよび粒子が分離された後の水を排出するための出口ノズルと、底部に、泥土を排出するための排出口とを備え、入口ノズルと出口ノズルとの間に分離手段が配置された1以上の分離容器の排出口から排出された泥土を搬送手段により搬送するステップとをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来の濁水処理設備の構成を示した図。
【図2】本発明の濁水処理システムの構成を例示した図。
【図3】濁水処理システムに用いられる分離手段の1つの構成例を示した図。
【図4】濁水処理システムに用いられる分離手段の別の構成例を示した図。
【図5】濁水処理システムに用いられる分離手段のさらに別の構成例を示した図。
【図6】図5に示す分離手段に用いられるパンチングスクリーンを例示した図。
【図7】分離手段に付着したSS塊を除去する除去手段の1つの構成を示した図。
【図8】分離手段に付着したSS塊を除去する除去手段の別の構成を示した図。
【図9】濁水処理システムに用いられる脱水装置の構成例を示した図。
【図10】脱水装置に用いられるガス吸引手段を例示した図。
【図11】脱水装置の別の構成例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の濁水処理システムは、自然環境に優しいシステムであり、ゼロエミッション化(廃棄物ゼロ)を実現するものである。
【0025】
図2は、濁水処理システムの1つの構成例を示した図である。図2に示すシステムは、1つの例であり、本発明はこれに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0026】
ダム工事やトンネル工事等においては、湧き水が発生し、この湧き水と掘削することにより出る土砂とが混じり合い、また、掘削、ずり運搬、吹付けコンクリート、コンクリート打設、洗浄水等に伴い、濁水が発生する。濁水には、コンクリート吹き付け等によりセメント材料の一部等も含まれるが、その多くは土砂である。濁水処理システムを連続運転するために、濁水は一度、図示しない原水槽へ貯留される。このため、原水槽において、比較的粒子径の大きい礫や砂は沈殿し、分離される。
【0027】
粒子径の小さい土粒子は、水とともに濁水を構成して図2に示すシステム内へ供給される。濁水処理システムは、高圧ポンプといった濁水供給手段20を備え、濁水供給手段20により濁水を圧送する。濁水供給手段20により圧送される濁水は、配管21および弁22を通り、分離容器23の入口ノズル24へ供給される。
【0028】
濁水をシステム内へ供給する際、必要に応じてpHを調整することができる。ダム工事やトンネル工事において発生する濁水は、ほぼ中性であるか、アルカリ性を呈することが多い。アルカリ性を呈する場合、炭酸ガスを注入し、液を中和することができる。一般排水基準値のpH値は5.8〜8.6であるから、この範囲に入るように、炭酸ガスを注入することができる。なお、中和剤としては、炭酸ガスのほか、希硫酸を用いることができる。
【0029】
分離容器23は、FRP等のプラスチック樹脂や、炭素鋼あるいはステンレス鋼等の金属材料から製造され、入口ノズル24のほか、水を排出するための出口ノズル25と、濁水に含まれる粒子(主に土粒子)からなる泥土を排出するための排出口26とを備えている。分離容器23の形状は、中空円筒と、その下側に頂点を下にした中空円錐状のものとが合体した形状とされている。入口ノズル24と出口ノズル25は、上部の円筒部分の曲面に、対向して配設され、排出口26は、円錐状のものの頂点部分に設けられている。このように下側を円錐状のものとしたのは、泥土を容易に1箇所に集めることができるからである。
【0030】
また、分離容器23内には、入口ノズル24と出口ノズル25との間に、複数の孔を有する板状部材から構成される分離手段としてのフィルタ27が、入口ノズル24から放出される濁水の放出方向に対し傾斜させて配置されている。濁水の放出方向は、地面に対して略水平方向であり、その水平方向に対し、下方に約45°傾斜させて配置されている。
【0031】
図2では、この分離容器23が、水平方向に3つ設けられ、隣り合う分離容器の出口ノズルと入口ノズルとをフランジ接続することにより連結されている。また、各分離容器23の排出口26には、弁28が設けられ、ある程度の量の泥土が堆積したところで弁28を開き、下方へ落下させることができるようになっている。
【0032】
1つの分離容器23の入口ノズル24へ供給された濁水は、例えば0.7〜2MPaといった高圧であり、ほぼ直進的に放出され、直進的に進む。したがって、その分離容器のフィルタおよび出口ノズル、隣り合う分離容器の入口ノズルおよびフィルタおよび出口ノズル、さらに隣り合う分離容器の入口ノズルおよびフィルタおよび出口ノズルを通り、処理水として排出される。
【0033】
その間、濁水に含まれる粒子は、各分離容器23内に配設されるフィルタ27に捕捉される。ここでの粒子は、主に土粒子であり、土粒子はその表面が水により覆われているため、土粒子同士が水を介在させてくっつき、ある程度の数の土粒子が集まって1つの集合体を形成する。しかしながら、この集合体は、傾斜したフィルタ27の下側に向いた面に形成されるため、連続して放出される濁水により容易に剥がれ落ち、分離容器23の底部へ向けて落下し、その途中、分離容器23の円錐状とされた内壁面を滑り落ち、その頂点部分に集められる。これを繰り返すことにより、泥土として分離容器23の底部に堆積する。
【0034】
このようにフィルタ27は、傾斜させて配置されるため、水を適切に通すことができ、粒子が付着したとしても容易に剥がれ落ちるので、粒子による目詰まりを防止することができる。また、後述する高強度フィルタを採用することで、濁水の供給圧力を高めることができる。
【0035】
フィルタ27の傾斜は、30°〜60°程度とすることができるが、図2に示すように45°が好ましい。傾斜角度が30°より小さくなると、水がフィルタ27を通りにくくなり、粒子の捕捉も困難になる。一方、傾斜角度が60°より大きくなると、粒子を捕捉するための面が濁水の放出口である入口ノズル24に向いた状態となるため、粒子を捕捉することができるにしても、連続的に供給される濁水によりその粒子が孔内へ押し込まれ、目詰まりを起こしてしまうからである。
【0036】
また、分離容器23は、その頂部に、開閉可能な蓋を備えており、フィルタ27のメンテナンスを行うことができるようになっている。このため、フィルタ27は、取り外し可能とされ、必要に応じてこのシステムの外部において簡易に洗浄するように構成されていてもよい。
【0037】
フィルタ27は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂材料から製造される樹脂フィルタを用いることが可能であるが、セラミックスや窒化ケイ素セラミックス等から製造されるセラミックフィルタ、チタンやステンレス鋼等の金属材料から製造される金属フィルタ等の高強度フィルタが好ましい。この高強度フィルタを採用することで、さらに濁水の供給圧力を高めることができるため、粒子の濃度が高い濁水の処理を実現することができる。フィルタ27は、上記の樹脂フィルタと高強度フィルタといったように、フィルタを組み合わせて使用することも可能である。
【0038】
土質材料は、粘土、シルト、細砂、中砂、粗砂、細礫、中礫、粗礫に分けることができ、粗粒分である細砂、中砂、粗砂、細礫、中礫、粗礫は、原水槽にて沈殿し、分離される。したがって、原水槽から濁水処理システムへ供給される濁水中には、粘土およびシルトが主成分として含まれる。粘土は、粒径が0.001mm〜0.005mm未満のものをいい、シルトは、粒径が0.005mm〜0.075mmの範囲のものをいう。
【0039】
フィルタ27は、複数の孔を有する板状部材とされ、その孔数および孔径は、放流基準に応じて適切なものを採用することができる。フィルタ27は、高強度のものが好ましいことから板状部材が好ましいが、網状に形成された布状物であってもよいものである。具体的には、上記の粘土やシルトを捕捉することができる複数の細孔を有する細目スクリーンを挙げることができる。
【0040】
図2に示す実施形態では、フィルタ27が水平方向に3つ配置されているが、分離容器23を1つもしくは2つ、または4つ以上とし、フィルタ27を1つもしくは2つ、または4以上としてもよい。フィルタ27の孔径は、配置する複数のフィルタのすべてにつき、同じ孔径のものを採用することができる。しかしながら、濁水中の粒子の小さいものまで確実に捕捉するために、すべてにつき、小さく同じ径のフィルタを採用すると、濁水の流入側にあるフィルタでほとんどの粒子が捕捉され、そのフィルタが目詰まりを起こしやすくなり、後流側へ水が通らなくなってしまう場合がありうる。このため、複数のフィルタを配置する場合、互いに異なる孔径のフィルタを採用することができ、また、濁水中の粒子の径に応じて分離することができるように、濁水の流入側から順に孔径が小さくなるように配置することができる。
【0041】
フィルタ27は、具体的には、図3に示すような構成とすることができる。なお、図3は、分離容器23の蓋を開き、上から見た図である。分離容器23の内部には、フィルタ27を傾斜させて差し込むことができる片側につき2枚の板から構成されるガイド23aが対向して設けられ、そのガイド23aに差し込むことにより設置することができる。フィルタ27は、分離容器23の内部を、入口ノズルおよび底部がある領域と出口ノズルがある領域の2つに分離し、中央部分に円形で、水が通過可能な複数の孔を有するフィルタ部27aと、分離容器23の内部を分離し、フィルタ部27aを通して以外、濁水を通過させないように遮蔽する遮蔽部27bとから構成される。
【0042】
フィルタ部27aは、円形の薄板状のものに限られるものではなく、矩形等であってもよい。遮蔽部27bは、略台形の薄板の中央部分を円形にくり抜いて形成され、フィルタ部27aを通過した水が、入口ノズルおよび底部がある領域へ逆流しないように、ガイド23aに挿嵌される。
【0043】
また、フィルタ27は、図4に示すような構成にすることもできる。図4も、分離容器23の蓋を開き、上から見た図である。図4に示すフィルタ27は、矩形で、水が通過可能な複数の孔を有するフィルタ部27aと、分離容器23の内部を分離し、フィルタ部27aを通して以外、濁水を通過させないように遮蔽する遮蔽部27bとから構成されるが、遮蔽部27bが、内部が中空とされ、一端と他端とに開口を有し、出口ノズルに取り外し可能に接続される一端から他端へ向けて拡張された構造とされ、他端の開口を覆うように、ゴムパッキン等のシール材を介してフィルタ部27aが連結されている。
【0044】
図4に示す構成では、他端の開口を覆うようにゴムパッキンを介してフィルタ部27aが連結され、一端が出口ノズルと接続されるため、遮蔽部27bの内部へ流れた水が、入口ノズルおよび底部がある側へ逆流するのを防止し、適切に次の分離容器23へ、あるいは処理水として排出することができる。このように、水が逆流し、底部に堆積する泥土へと流れるのを防止することで、泥土の脱水が容易になる。
【0045】
また、一端と出口ノズルとが、ボルトおよびナットによりフランジ接続される場合、ボルトおよびナットを外すことで、容易にフィルタ27を取り外すことができ、このシステムの外部において、遮蔽部27bからフィルタ部27aを取り外し、フィルタ部27aを洗浄することができる。
【0046】
この構成では、ガイド23aが存在しないので、フィルタ部27aの面積を大きくとることができる。また、一端の開口の高さ位置を、他端の開口の高さ位置より低くし、遮蔽部27b内に傾斜を設けることにより、遮蔽部27bの内部へ流れた水が、入口ノズルおよび底部がある側へ逆流するのを確実に防止することができる。
【0047】
フィルタ27は、濁水中の懸濁物質(SS)を除去するが、近年では、浄化目的でコロイド分の除去も進められており、コロイド分が微粒子であることから、フィルタの目が細かくなってきている。このため、フィルタ27を通過する水の流量は低下し、目詰まりが起こりやすくなる。コロイド分は、目の細かいフィルタに張り付き、時間の経過とともに圧密され、固結化されて、圧力上昇と目詰まりを発生させるからである。フィルタ27として上記の細目スクリーンを採用することができるが、この細目スクリーンの場合、一定の厚みがあるものの、軟らかいスクリーンが多く、SSを除去するためにブラッシングを行うと、擦り切れるおそれがある。
【0048】
このため、分離手段として、図5に示すように、フィルタ27を、フィルタ27の孔径より大きい孔径の複数の孔を有するベーススクリーン40と、プレス加工により厚さ方向へV字状に打ち抜かれて形成された複数の孔を有するパンチングスクリーン41とで挟み込んだものを採用することができる。このように両側から複数の孔を有する補強部材で挟み込んで補強する構成を採用することにより、フィルタ27の劣化を防止することができる。また、上記の構造を有するパンチングスクリーン41を採用することで、泥水は、パンチングスクリーン41の複数の孔41a内へ集中して流れ、SS塊42が、それらの孔41a内に形成されるものの、その孔41aが、濁水の流入側の断面が流出側の断面に比較して大きく、その流入側が流出側より下方に位置する構造であることから、流入側へ滑り落ちやすく、また、水流により容易に剥がれ、分離容器23の下部に堆積させることができる。これにより、フィルタ27の全面にSSが張り付くことをなくすことができ、凝集沈殿方法と同様な効果を期待できる。
【0049】
パンチングスクリーン41は、図6に示すように、一定間隔でプレス加工により円形に打ち抜かれた複数の孔41aを有し、その孔41aは、図5にも示すように、その厚さ方向へ行くにつれて孔径が小さくなるように形成されている。また、パンチングスクリーン41は、網目状のものではなく、一定の厚さを有しているので、その強度も高く、高圧で放出される濁水にも変形することなく充分に耐えうるものである。パンチングスクリーン41は、ベーススクリーン40とともに、フィルタ27を挟み込むように設けられ、濁水が放出される水平方向に対し、傾斜させて配置されるため、濁水の水圧をフィルタ27が直接受けることはなく、これにより、フィルタ27の劣化を防止している。
【0050】
この構成を採用することにより、SS塊42が容易に剥がれおちることから、パンチングスクリーン41の表面を洗浄する必要はないが、パンチングスクリーン41の複数の孔41a内に強く付着している場合、水流だけでは除去することができない場合がある。このため、図7に示すように、パンチングスクリーン41の表面にブラシ43を接触させ、ブラシ43を揺動もしくは往復動させることにより、パンチングスクリーン41の複数の孔41a内に形成されたSS塊42を除去することができる。ブラシ43には、動力手段としてのモータ44が取り付けられ、モータ44の回転数を制御することによりブラシ43の揺動もしくは往復動の速度を調節することができる。したがって、洗浄手段としてのブラシ43と、動力手段としてのモータ44とからなる除去手段を備えることができる。このモータ44は、放出される濁水と接触する可能性があることから、耐水圧型水中モータを採用することができる。
【0051】
そのほか、除去手段としては、図8に示すように、パンチングスクリーン41の表面に向けて配設されるノズル45と、ノズル45を接続し、高圧の水を噴射させる高圧洗浄機46とから構成されるものを用いることも可能である。ノズル45は、一定方向に回転させることができるようになっていて、高圧洗浄機46は、水を加圧してノズル45へと供給し、ノズル45から高圧水を回転させつつ噴射させることができる。このように高圧水を回転させつつ噴射することで、パンチングスクリーン41の複数の孔41a内に形成されたSS塊42を充分に除去することができる。高圧洗浄機46のほか、空気圧縮機を設けることもでき、パンチングスクリーン41の下方から圧縮空気を噴射させ、SS塊42を除去することも可能である。また、これらを併用し、圧縮空気と、高圧水とによりSS塊42を充分かつ効率的に除去することも可能である。
【0052】
再び図2を参照して、分離容器23の下部には、コンベアといった搬送手段29が設けられる。搬送手段29としては、スクリューフィーダー等を用いることができる。
【0053】
搬送手段29により搬送された泥土は、水分を多く含み、埋め立てや地盤改良等に再利用するにはその含水率が高い。したがって、再利用するためには、泥土を脱水しなければならない。
【0054】
脱水するための装置として脱水装置が挙げられるが、1つの実施形態として、脱水装置を、脱水容器30と、空気圧縮機といった圧縮ガス供給手段31と、真空ポンプといったガス吸引手段32とから構成することができる。
【0055】
脱水容器30は、中空円筒状の容器とされ、その両端に開閉可能な蓋30a、30bが設けられている。脱水容器30は、水平方向に対し傾斜させて配置され、搬送手段29により搬送された泥土が落下し、脱水容器30内へ受け入れる。このとき、蓋30aは開かれ、蓋30bは閉じられる。
【0056】
所定の量の泥土が入れられたところで、蓋30aを閉じ、圧縮ガス供給手段31により圧縮ガスを供給し、脱水容器30内の泥土をブローする。これにより、脱水容器30内は加圧されることになるため、脱水容器30は、耐圧性を有するものとされ、密閉性が良好なものとされる。このため、本体は、所定の厚さを有する炭素鋼やステンレス鋼等の金属から製造される中空円筒状のものとされ、蓋30a、30bも同様の金属から製造される円形の蓋とされ、その蓋には、密閉性を良好にするためにゴムパッキン等が設けられる。
【0057】
圧縮ガス供給手段31が空気圧縮機である場合、圧縮された空気は高温となり、この高温の圧縮空気が脱水容器30内へ供給される。すると、泥土に含まれる水分は、高温の空気によって蒸発し始め、また、内部の圧力が上昇することにより粒子間に介在する水分が押し出される。
【0058】
押し出された水分は、脱水容器30の傾斜した底面に沿って下方へ流れ、脱水容器30の下方に設けられた排水口33から適宜抜き出される。排水口33から抜き出された水分は、原水槽に戻すことができる。
【0059】
空気圧縮機を停止した後、真空ポンプを起動し、真空ポンプによって空気を吸引するとともに蒸発した水分も吸引する。脱水容器30内を減圧すると、泥土に含まれる水分が気化して水蒸気となり、その水蒸気が吸引されて除去され、その分の減容化が図られる。内部にある泥土は、水分の除去によりその容積が減少する。
【0060】
このようにして脱水された泥土は、傾斜した脱水容器30の蓋30bを開くことにより自然落下し、薬剤を含まないので地盤改良等に再利用することができる。なお、脱水された泥土は、容積および質量が減少するため、搬送が容易となる。
【0061】
圧縮ガスは、高圧窒素、高圧酸素や高圧炭酸ガス等であってもよいが、漏洩した場合の安全性を考慮すると、圧縮空気が好ましく、泥土に含まれる水分を除去する点において乾燥空気が好ましい。なお、高圧窒素、高圧酸素、高圧炭酸ガス等を供給する場合、ボンベやカードル等により供給することができる。
【0062】
図2では、濁水処理システムとして、濁水供給手段20と、分離容器23と、フィルタ27と、搬送手段29と、脱水容器30、圧縮ガス供給手段31、ガス吸引手段32を備える脱水装置とを備える構成としたが、所定圧力で濁水が供給されるのであれば、濁水供給手段20は備えていなくてもよい。また、フィルタ27により適切に処理水と泥土とに分離できれば分離容器23も備えていなくてもよく、泥土を脱水容器30へ入れることができれば搬送手段29も備えていなくてもよい。したがって、本発明の濁水処理システムは、フィルタ27と、脱水装置とから構成するものであってもよいものである。なお、ガス吸引手段32により、泥土に含まれる水分を気化させ、水蒸気として吸引することができるため、脱水装置は、圧縮ガス供給手段31を備えていなくてもよい。
【0063】
脱水装置は、脱水容器30内にろ布を備える構成にすることもできる。例えば、脱水装置は、図9に示すようなろ布からなる袋50を脱水容器30の中に備えることができる。この場合、その袋50の中に泥土51を入れ、その袋50の上に、下部に水分の排水が可能となるように隙間を設けた図示しない不透水製シートをかぶせ、または、その不透水製シートからなる袋で覆い、袋50の口を排水口33の方へ向けて配置し、蓋30a、30bを閉じ、圧縮ガス供給手段31を起動させて圧縮ガスを供給し、脱水容器30内を加圧する。ろ布は、泥土51の表面の水分を吸収し、また、不透水製シートは、脱水容器30内が加圧されることにより、周囲のガスによって内側に押し込まれ、それが押し込まれることにより袋50を内側へ押し込み、さらに内部にある泥土51を圧縮し、泥土51に含まれる水分を絞り出す。絞り出された水は、排水口33へと流れ、適宜排出される。
【0064】
その後、圧縮ガス供給手段31を停止させ、ガス吸引手段32により脱水容器30内のガスを、ガス中に蒸気として存在する水分とともに吸引する。このとき、ろ布に吸収された水分も吸い取られる。脱水容器30内を減圧すると、このようにして水分が除去され、その分の減容化が図れるため、内部にある泥土51もその容積が減少する。
【0065】
上記では、袋50の中に泥土を入れて圧縮および減圧して脱水する構成について説明したが、泥土51上を単にろ布および不透水製シートで覆った構成にすることもできる。この場合は、ろ布が、泥土51の表面の水分を吸収するとともに、脱水容器30内を加圧することにより、不透水製シートが内側へ押し込まれ、それが押し込まれることによりろ布を内側へ押し込み、さらに内部にある泥土51を圧縮し、泥土51に含まれる水分を絞り出すことができる。
【0066】
真空ポンプによる気化乾燥では、使用される真空ポンプがオイル粘性を用いて負圧化している。この場合、気化する際、水蒸気がオイルに混合され、真空ポンプがキャビテーションを発生し、故障の原因となる。このため、一度サンプルを凍結して固体化し、直接気化させて乾燥するドライフリージングが一般的に採用される。しかしながら、凍結にコストおよび時間がかかることから、この方法は、現状において食品等に限定されている。また、真空釜乾燥により常温で乾燥する方法も知られているが、これでは乾燥するのに1日半以上もかかる。さらに、真空釜を利用し、水蒸気乾燥を行う方法では、釜のボリュームに対し試料が多い場合、結露が発生するという問題がある。
【0067】
このため、真空ポンプを、オイル式から図10に示すような水封式のエルモ型ポンプにすることができる。エルモ型ポンプは、ケージング60が円形とされていて、水が封入されたケーシング60内でインペラ61を回転させ、水面と回転子間にて圧力変化を持たせ、主にガスを吸引するポンプである。このポンプは、水蒸気を吸引することができるため、脱水装置に適用することで、ドライフリージングのように昇華で気化させるために凍結する必要はなく、コストダウンと時間を短縮することができる。
【0068】
早期乾燥と結露を防止するために、脱水容器30内の泥土を加熱することができる。真空状態では熱を伝える物質が存在しないことから、図11に示すように、脱水容器30内に、マグネトロンによる電磁波や遠赤外線を利用して加熱する加熱手段70を設けることができる。また、上記の加熱手段70ではなく、脱水容器30内に伝熱ヒータを設けたり、脱水容器30の外部にジェットヒータを設け、脱水容器30内へジェットヒータからの熱風を供給して、脱水容器30内を予め所定温度に加熱しておいてから、ガス吸引手段32である真空ポンプで吸引することも可能である。
【0069】
真空ポンプにより真空気化を行い、水蒸気を吸引する場合、泥土51から水蒸気が発生するが、脱水容器30は、密閉されているため、泥土51に水分が多く含まれている場合、脱水容器30内に結露が発生し、水が溜まることが多い。このため、上記の圧縮ガス供給手段31により脱水容器30内に圧縮ガスを噴射し、圧縮ガスの噴射と、ガス吸引手段31による吸引とを繰り返し、脱水容器30の内部に存在する水蒸気を除去することができる。なお、脱水容器30は、ガス吸引手段31を使用して、あるいはガス吸引手段31と加熱手段70もしくはヒータまたは圧縮ガス供給手段31を併用して、さらにはガス吸引手段32と加熱手段70もしくはヒータと圧縮ガス供給手段31のすべてを併用して適切に水分を除去し、泥土を乾燥させることができれば、図9に示すように傾斜させて設置する必要はなく、図11に示すように、脱水容器30の長手方向を水平にして設置することも可能である。
【0070】
ここで、濁水処理システムを用いた濁水処理方法について簡単に説明する。複数の孔を有する板状部材から構成され、水平方向に対して傾斜させて配置されるフィルタ27に向けて濁水を放出すると、フィルタ27は複数の孔を有するため、水は孔を通して水平方向へ放出され、濁水に含まれる土粒子は孔を通らないため、フィルタ27の下側に向いた面に捕捉される。土粒子は、その面に連続的に捕捉されるが、連続して供給される濁水により容易に剥がれ落ち、フィルタ27の下方にその粒子からなる泥土として堆積する。
【0071】
その泥土を脱水容器30内に入れ、蓋をして密閉した後、図2に示す実施形態では、脱水容器30内に圧縮ガスを供給し、圧縮ガス中へ水分を蒸発させるとともに、泥土中の土粒子間に介在する水分を押し出して脱水し、その後、蒸発した水分を含むガスを吸引することにより、泥土に含まれる水分を除去し、泥土の容積を減少させる。これにより、低含水率で低容量化した脱水泥土となり、薬剤を含まないので、この脱水泥土は、再利用可能となる。
【0072】
濁水処理システムを用いた濁水処理方法では、必要に応じて濁水供給手段20により濁水を高圧にしてフィルタ27へ向けて放出させることができ、また、フィルタ27により土粒子を分離した後、分離容器23の排出口26から排出された泥土を搬送手段29により搬送し、自動で脱水容器30内へ入れ、その後、泥土を脱水することができる。
【0073】
これまで本発明の濁水処理システムおよび濁水処理方法について図面に示した実施形態を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0074】
10…沈砂槽、11…濁水処理装置、12…凝集沈殿槽、13…放流水槽、14…汚泥貯留槽、15…汚泥脱水装置、20…濁水供給手段、21…配管、22…弁、23…分離容器、23a…ガイド、24…入口ノズル、25…出口ノズル、26…排出口、27…フィルタ、27a…フィルタ部、27b…遮蔽部、28…弁、29…搬送手段、30…脱水容器、30a、30b…蓋、31…圧縮ガス供給手段、32…ガス吸引手段、33…排水口、40…ベーススクリーン、41…パンチングスクリーン、41a…孔、42…SS塊、43…ブラシ、44…モータ、45…ノズル、46…高圧洗浄機、50…袋、51…泥土、60…ケーシング、61…インペラ、70…加熱手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濁水を処理する濁水処理システムであって、
複数の孔を有する板状部材から構成され、前記濁水が放出される水平方向に対して傾斜させて配置され、該濁水に含まれる粒子を下側に向いた面に捕捉することにより該濁水から該粒子を分離し、連続的に放出される前記濁水により前記面に捕捉された前記粒子を剥離させ、下方に前記粒子からなる泥土として堆積させる分離手段と、
前記泥土を受け入れる脱水容器を備え、該脱水容器内のガスを吸引することにより、該泥土に含まれる水分を除去する脱水装置とを含む、濁水処理システム。
【請求項2】
前記分離手段が、複数の孔を備えるフィルタと、前記フィルタの孔径より大きい孔径の複数の孔を有するベーススクリーンと、厚さ方向へV字状に打ち抜かれて形成された複数の孔を有するパンチングスクリーンとから構成され、前記フィルタを、前記ベーススクリーンと前記パンチングスクリーンとで挟み込んだものとされる、請求項1に記載の濁水処理システム。
【請求項3】
前記分離手段が、前記水平方向に配列して複数設置される、請求項1または2に記載の濁水処理システム。
【請求項4】
複数設置される前記分離手段は、互いに異なる孔径を有するフィルタを含み、前記濁水の流入側から順に前記フィルタの前記孔径が小さくなるように配置される、請求項3に記載の濁水処理システム。
【請求項5】
前記分離手段は、前記粒子を分離させるフィルタ部と、前記分離容器の内部を分離し、前記濁水を通過させないように遮蔽する遮蔽部とから構成され、
前記遮蔽部が、内部が中空で一端と他端とに開口を有し、前記分離容器の出口ノズルに取り外し可能に接続される前記一端から前記他端へ向けて拡張された構造とされ、前記他端の開口を覆うようにシール材を介して前記フィルタ部が連結された、請求項4に記載の濁水処理システム。
【請求項6】
前記脱水装置は、前記脱水容器内のガスを吸引するガス吸引手段を備え、さらに、前記脱水容器内へ圧縮ガスを供給する圧縮ガス供給手段もしくは前記脱水容器内に収容された泥土を加熱する加熱手段またはその両方を備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の濁水処理システム。
【請求項7】
前記濁水を供給するための濁水供給手段と、
上部に、前記濁水を受け入れるための入口ノズルおよび前記粒子が分離された後の水を排出するための出口ノズルと、底部に、前記泥土を排出するための排出口とを備え、前記入口ノズルと前記出口ノズルとの間に前記分離手段が配置された1以上の分離容器と、
前記排出口から排出された泥土を搬送する搬送手段とをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の濁水処理システム。
【請求項8】
濁水を処理する濁水処理方法であって、
複数の孔を有する板状部材から構成され、前記濁水が放出される水平方向に対して傾斜させて配置される分離手段の下側に向いた面に、該濁水に含まれる粒子を捕捉することにより該濁水から該粒子を分離するステップと、
連続的に放出される前記濁水により前記面に捕捉された前記粒子を剥離させ、前記分離手段の下方に前記粒子からなる泥土として堆積させるステップと、
前記泥土を脱水容器に受け入れ、該脱水容器内のガスを吸引することにより、該泥土に含まれる水分を除去するステップとを含む、濁水処理方法。
【請求項9】
前記分離手段が、複数の孔を備えるフィルタと、前記フィルタの孔径より大きい孔径の複数の孔を有するベーススクリーンと、厚さ方向へV字状に打ち抜かれて形成された複数の孔を有するパンチングスクリーンとから構成され、前記フィルタを、前記ベーススクリーンと前記パンチングスクリーンとで挟み込んだものとされることを特徴とする、請求項8に記載の濁水処理方法。
【請求項10】
濁水供給手段により前記濁水を前記分離手段へ向けて放出させるステップと、
上部に、前記濁水を受け入れるための入口ノズルおよび前記粒子が分離された後の水を排出するための出口ノズルと、底部に、前記泥土を排出するための排出口とを備え、前記入口ノズルと前記出口ノズルとの間に前記分離手段が配置された1以上の分離容器の前記排出口から排出された泥土を搬送手段により搬送するステップとをさらに含む、請求項8または9に記載の濁水処理方法。
【請求項1】
濁水を処理する濁水処理システムであって、
複数の孔を有する板状部材から構成され、前記濁水が放出される水平方向に対して傾斜させて配置され、該濁水に含まれる粒子を下側に向いた面に捕捉することにより該濁水から該粒子を分離し、連続的に放出される前記濁水により前記面に捕捉された前記粒子を剥離させ、下方に前記粒子からなる泥土として堆積させる分離手段と、
前記泥土を受け入れる脱水容器を備え、該脱水容器内のガスを吸引することにより、該泥土に含まれる水分を除去する脱水装置とを含む、濁水処理システム。
【請求項2】
前記分離手段が、複数の孔を備えるフィルタと、前記フィルタの孔径より大きい孔径の複数の孔を有するベーススクリーンと、厚さ方向へV字状に打ち抜かれて形成された複数の孔を有するパンチングスクリーンとから構成され、前記フィルタを、前記ベーススクリーンと前記パンチングスクリーンとで挟み込んだものとされる、請求項1に記載の濁水処理システム。
【請求項3】
前記分離手段が、前記水平方向に配列して複数設置される、請求項1または2に記載の濁水処理システム。
【請求項4】
複数設置される前記分離手段は、互いに異なる孔径を有するフィルタを含み、前記濁水の流入側から順に前記フィルタの前記孔径が小さくなるように配置される、請求項3に記載の濁水処理システム。
【請求項5】
前記分離手段は、前記粒子を分離させるフィルタ部と、前記分離容器の内部を分離し、前記濁水を通過させないように遮蔽する遮蔽部とから構成され、
前記遮蔽部が、内部が中空で一端と他端とに開口を有し、前記分離容器の出口ノズルに取り外し可能に接続される前記一端から前記他端へ向けて拡張された構造とされ、前記他端の開口を覆うようにシール材を介して前記フィルタ部が連結された、請求項4に記載の濁水処理システム。
【請求項6】
前記脱水装置は、前記脱水容器内のガスを吸引するガス吸引手段を備え、さらに、前記脱水容器内へ圧縮ガスを供給する圧縮ガス供給手段もしくは前記脱水容器内に収容された泥土を加熱する加熱手段またはその両方を備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の濁水処理システム。
【請求項7】
前記濁水を供給するための濁水供給手段と、
上部に、前記濁水を受け入れるための入口ノズルおよび前記粒子が分離された後の水を排出するための出口ノズルと、底部に、前記泥土を排出するための排出口とを備え、前記入口ノズルと前記出口ノズルとの間に前記分離手段が配置された1以上の分離容器と、
前記排出口から排出された泥土を搬送する搬送手段とをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の濁水処理システム。
【請求項8】
濁水を処理する濁水処理方法であって、
複数の孔を有する板状部材から構成され、前記濁水が放出される水平方向に対して傾斜させて配置される分離手段の下側に向いた面に、該濁水に含まれる粒子を捕捉することにより該濁水から該粒子を分離するステップと、
連続的に放出される前記濁水により前記面に捕捉された前記粒子を剥離させ、前記分離手段の下方に前記粒子からなる泥土として堆積させるステップと、
前記泥土を脱水容器に受け入れ、該脱水容器内のガスを吸引することにより、該泥土に含まれる水分を除去するステップとを含む、濁水処理方法。
【請求項9】
前記分離手段が、複数の孔を備えるフィルタと、前記フィルタの孔径より大きい孔径の複数の孔を有するベーススクリーンと、厚さ方向へV字状に打ち抜かれて形成された複数の孔を有するパンチングスクリーンとから構成され、前記フィルタを、前記ベーススクリーンと前記パンチングスクリーンとで挟み込んだものとされることを特徴とする、請求項8に記載の濁水処理方法。
【請求項10】
濁水供給手段により前記濁水を前記分離手段へ向けて放出させるステップと、
上部に、前記濁水を受け入れるための入口ノズルおよび前記粒子が分離された後の水を排出するための出口ノズルと、底部に、前記泥土を排出するための排出口とを備え、前記入口ノズルと前記出口ノズルとの間に前記分離手段が配置された1以上の分離容器の前記排出口から排出された泥土を搬送手段により搬送するステップとをさらに含む、請求項8または9に記載の濁水処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−206660(P2011−206660A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75991(P2010−75991)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000195971)西松建設株式会社 (329)
【出願人】(599090062)有限会社アサヒテクノ (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000195971)西松建設株式会社 (329)
【出願人】(599090062)有限会社アサヒテクノ (19)
【Fターム(参考)】
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