説明

濾過、油水分離機能を持ったクーラントタンク

【課題】効率よく異物(ゴミ等)と液体との分離を可能とするとともに、タンクの底部に異物(ゴミ等)が堆積しない、且つ浮上している油も除去可能なサイクロン式クーラントタンクを提供する。
【解決手段】筒体10の上部に濾過された液を排出する排出口20を透設し、この排出口を介して前記筒体の内側と連通し、一時的に濾過された液を貯溜するサブタンク22を設け、このサブタンクと連通する排出管を設け、この排出管にバルブ30を設け、このバルブの開閉により前記濾過された液の流量を調整して、前記筒体の内側に形成された披処理液の水位を調整することによって、前記筒体の内側中心部に立設された油排出管32に流入する油の排出量を調整可能とし、前記円錐体の下部に側壁と底板からなる異物貯溜室40を設け、この異物貯溜室の側壁下端に異物排出口42を透設し、この異物排出口より異物を排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は披処理液に含まれる異物及び油を遠心分離する油分離可能なサイクロン式クーラントタンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、金属加工工程においては加工液の主流は火災等の安全面より水溶性となっている、水溶性の欠点として腐敗劣化があり、悪臭が発生して加工精度にも影響が出る為に定期的に全面入れ替えが行なわれている、この腐敗劣化の原因はバクテリアでありその餌となるのが混入して来る機械油、加工粉である、これ等を除去し、適切な濃度管理をすれば液の寿命は大幅に延長出来る、又どうしても重い異物(ゴミ等)はタンク底部に堆積する為に液を清浄に保てていても底部の異物(ゴミ等)を排出する為に液交換の必要が出て来る。
【0003】
上記の問題を解決する為、披処理液(汚染された加工液)に含まれる異物を分離する方法として、従来はサイクロン方式が利用されているが、筒の中を偏心させた方向よりポンプで送圧された高速の水流をこの筒の中に入れ、筒の中で渦を作ることにより比重の大きい異物は筒の下部に設けられた円錐体の底部に沈み、異物を分離した油を含む液体は上部に設けられた出口より外部に排出される仕組みとなっているのが大半であり、例えば、特開2006−159143に示されるように、外筒の内側に内筒を設けたもの、又、特開2007−54677に示されるように、外筒の内側に複数枚の円弧状の仕切り板を設けて構成したものがあるが、いずれも上部の披処理液が送圧される場所は、水流が早いが下部のほうになると水流が遅くなり、さらに油までは分離できなかった。
【特許文献1】特開2006−159143号公報
【特許文献2】特開2007−54677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のサイクロン方式は筒の中に披処理液(汚染された加工液)を偏心させて高速で導入する事により遠心力を働かせて比重の重いゴミを底部より排出する方法でゴミ取りだけの目的であった、一方遠心力を加えると液より比重の軽い油は上部の中心部に浮いて集中して来るが、従来のサイクロン方式はそこに披処理液(汚染された加工液)の出口がある為、又油が浮いて来るはずの上部より高速で披処理液(汚染された加工液)を入れる為、浮いて来た油も再び混ざってしまって油分は披処理液(汚染された加工液)と共に出て行き分離できなかった、本発明の目的は、効率よく異物(ゴミ等)と液体との分離を可能とするとともに、タンクの底部に異物(ゴミ等)が堆積しない、且つ浮上している油も除去可能なサイクロン式クーラントタンクを構成することによって、加工液の長寿命化と液交換コストが計れることを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
筒体の下部に円錐体を設け、前記筒体の内側面に偏心させた位置より披処理液を送圧することによって、披処理液に含まれる異物を遠心分離するサイクロン式クーラントタンクにおいて、前記筒体の上部に濾過された液を排出する排出口を透設し、この排出口を介して前記筒体の内側と連通し、一時的に濾過された液を貯溜するサブタンクを設け、このサブタンクと連通する排出管を設け、この排出管にバルブを設け、このバルブの開閉により前記濾過された液の流量を調整して、前記筒体の内側に形成された披処理液の水位を調整することによって、前記筒体の内側中心部に立設された油排出管に流入する油の排出量を調整可能とし、前記円錐体の下部に側壁と底板からなる異物貯溜室を設け、この異物貯溜室の側壁下端に異物排出口を透設し、この異物排出口より異物を排出することを特徴とする濾過、油水分離機能を持ったクーラントタンク。
【発明の効果】
【0006】
サイクロン式クーラントタンクにおいて、タンクの上部に濾過された液を排出する排出口を透設し、この排出口を介してタンクの内側と連通し、一時的に濾過された液を貯溜するサブタンクを設け、このサブタンクと連通する排出管を設け、この排出管にバルブを設け、このバルブの開閉により前記濾過された液の流量を調整して、前記筒体の内側に形成された披処理液(汚染された加工液)の水位を調整することによって、前記筒体の内側中心部に立設された油排出管に流入する油の排出量を調整可能とするよう構成したので、浮いて来た油と披処理液(汚染された加工液)とが混ざることがないので、効率のよい異物と液体との分離を可能とし、披処理液をゴミ、異物だけでなく油も効率よく調整分離して、液交換の周期を大幅に伸ばすことができるとともに、タンクの底部に設けられた異物貯溜室の側壁下端に異物排出口を透設し、この異物排出口より異物を排出するよう構成したので、タンクの底部に異物(ゴミ等)が堆積せず、タンクの底部の清掃回数を大幅に削減することができる。
【実施例】
【0007】
以下図面により、本発明の実施例について説明する。図1は本発明による濾過、油水分離機能を持ったサイクロン式クーラントタンクの全体斜視図で、筒体10の下部に円錐体12を設け、前記筒体10の内側面に、液19、油31、異物48からなる披処理液14をポンプ16によって送圧する送圧管18を設け、この送圧管18の排出管17を筒体10の壁を貫通して筒体10の内側面に固定して、披処理液14が筒体10内側面に沿って流入することによって、偏心させた位置より披処理液14が送圧されるとともに、筒体10の上部に濾過された液19を排出する排出口20を透設し、この排出口20を介して筒体10の内側と連通し、一時的に濾過された液19を貯溜するサブタンク22を設け、このサブタンク22の下部から上方に伸びる第一の排出管24とこの第一の排出管24と連通して上部から下方に伸びる第二の排出管26が設けられ、第一の排出管24の上端には、サイホンブレーカとなる空気排出口28が開口していて、さらに第一の排出管24内を流通する濾過された液の流量を調整する為のバルブ30が設けられている。
【0008】
筒体10及び円錐体12の内側中心部には油排出管32が立設され、この油排出管32の上端には効率よく油31を排出できるよう広い開口部34が設けられている。従って、上部中心部に浮上がった油31を吸入する開口部34と濾過された液の排出口20とは分離されているので、浮上がった油31と濾過された液19とが混ざることはなく、油と濾過水とは効率よく分離できる。
【0009】
図3(図1、図2のA−A矢視図)に示されるように、円錐体12の底部には側壁36と底板38からなる異物貯留室40が設けられ、側壁36の下端には異物排出口42が透設され、この異物排出口42を介して異物貯留室40の内側と連通する異物排出管44が設けられ、さらにポンプ46が設けられて、異物排出管44内の異物(ゴミ等)48を効率よく排出することができる。
【0010】
図2は本発明の他の実施例を示し、図4は図2のB−B矢視図を示し、この実施例では筒体10の外側面に沿って管50を螺旋状に巻きつけて、管50の排出口52は筒体10の内側に開口するよう構成し、この螺旋状の管50の内側に異物48、油31が混合した披処理液14をポンプ54で送圧流通することにより、螺旋状の管50の内側では、披処理液14に含まれる異物48は遠心力により、管50の内側で外方に押付けられて凝集し、液19より軽い油31は内方に押付けられて液19と分離されてクーラントタンク内に排出され、軽い油31は上部中心部に集まり、油排出管32の開口部34より油排出管32の内側を通って外部に排出され、重い異物48は円錐体12の内側底部に沈み、異物貯留室40内に貯留され、異物排出管44から外部に排出される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による濾過、油水分離機能を持ったサイクロン式クーラントタンクの全体斜視図を示す。
【図2】 本発明の他の実施例を示す。
【図3】 図1、図2のA−A矢視図を示す。
【図4】 図2のB−B矢視図を示す。
【符号の説明】
10 筒体
12 円錐体
14 披処理液
16 ポンプ
17 排出管
18 送圧管
19 濾過された液
20 排出口
22 サブタンク
24 第一の排出管
26 第二の排出管
28 空気排出口
30 バルブ
31 油
32 油排出管
34 開口部
36 側壁
38 底板
40 異物貯留室
42 異物排出口
44 異物排出管
46 ポンプ
48 異物
50 管
52 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体の下部に円錐体を設け、前記筒体の内側面に偏心させた位置より披処理液を送圧することによって、披処理液に含まれる異物を遠心分離するサイクロン式クーラントタンクにおいて、前記筒体の上部に濾過された液を排出する排出口を透設し、この排出口を介して前記筒体の内側と連通し、一時的に濾過された液を貯溜するサブタンクを設け、このサブタンクと連通する排出管を設け、この排出管にバルブを設け、このバルブの開閉により前記濾過された液の流量を調整して、前記筒体の内側に形成された披処理液の水位を調整することによって、前記筒体の内側中心部に立設された油排出管に流入する油の排出量を調整可能とし、前記円錐体の底部に側壁と底板からなる異物貯溜室を設け、この異物貯溜室の側壁下端に異物排出口を透設し、この異物排出口より異物を排出することを特徴とする濾過、油水分離機能を持ったクーラントタンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−274251(P2010−274251A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144688(P2009−144688)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(504325438)
【Fターム(参考)】