説明

濾過装置及びそれを用いた塗布装置

【課題】着色フォトレジストを塗布する塗布装置の供給系にて、中空柱状濾過フィルタを交換した後の、気泡を排出する液ヌキの時間を短縮し、液ヌキの作業の終点を正確に判断し、リーク箇所の特定に要する時間を短縮する塗布装置を提供する。
【解決手段】A)下面に注入口52、上面に注出口53を有し、上面は中央部から外縁に向けて高くなる傾斜、上面の外縁には気泡排出口60を有し、上面の外縁近傍には透明な材料70が用いられた中空筒状ケーシング51、B)中空筒状ケーシングの中空部57内で、下端部を注入口52に対向させ、締具56と台座55で中空筒状ケーシングに固定された中空柱状濾過フィルタ54を具備すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に着色フォトレジストなどを塗布する塗布装置用の濾過装置に関するものであり、特に、新しい中空柱状濾過フィルタに交換した後に行う、液ヌキの作業に要する時間を短縮することができ、また、その終点を正確に容易に判断することができ、更には、リーク箇所の特定に要する時間を短縮することができる濾過装置及び塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置やプラズマディスプレイパネルにおいて、カラー表示、反射率の低減、コントラストの改善、分光特性制御などの目的にカラーフィルタを用いることは有用な手段となっている。
この表示装置に用いるカラーフィルタは、多くの場合、画素として形成されて使用されるものである。表示装置用カラーフィルタの画素を形成する方法として、これまで実用されてきた方法には、フォトリソグラフィー法、印刷法などがあげられる。
【0003】
例えば、顔料分散法は、このフォトリソグラフィー法の一方法であるが、この顔料分散法において使用するカラーフィルタ形成用の着色フォトレジストは、ガラス基板上に、例えば、スピンコータを用いて回転塗布され、この塗膜にフォトマスクを介してUV露光、現像処理がおこなわれ表示装置用カラーフィルタの着色画素として形成される。
【0004】
従来、液晶表示装置の製造プロセスにおいて、着色フォトレジストなどの塗布装置としては、ノズルからガラス基板の中央部に塗布液を滴下した後、ガラス基板を回転させ塗布液を延展させる上記スピンコータが多く用いられてきた。
しかし、カラーフィルタを製造するガラス基板の大型化に伴い、例えば、550mm×650mm程度以上の大きさのガラス基板においては、着色フォトレジストの塗布装置として、スリットコータとスピンコータを併用したコータを用いる方法、すなわち、ガラス基板上に着色フォトレジストをスリットコータで塗布して塗布膜を形成し、塗布膜が形成されたガラス基板をスピンコータで回転し塗布膜を延展させ塗膜とする塗布装置が採用されはじめた。
【0005】
この塗布装置は、ガラス基板の大型化に伴い顕著に現れてくる上記スピンコータの弱点、すなわち、ガラス基板の中央部の塗布膜の膜厚と端部の塗布膜の膜厚の膜厚差を縮小させ、また、着色フォトレジストの利用率を向上させることを狙いとしたものである。この塗布装置により、ガラス基板が大型でも膜厚差の縮小した塗布膜が得られ、また、着色フォトレジストの利用率は大幅に改善された。
しかし、この塗布装置では、大型のガラス基板を回転させるモーターなどの機械的制約から、装置を更に大型化するのは難しい。
【0006】
これらのコータに代わって、精度の高いスリットコータの開発、実用が進んでいる。スリットコータは、ガラス基板を載置した定盤を、或いは塗布ヘッドを水平移動させながらスリットノズルから塗布液をガラス基板に塗布する方法であり、1m×1.3m、或いは1.5m×1.8m程度の大きさのガラス基板にも対応ができるようになった。
【0007】
一方、上記着色フォトレジストは、例えば、高分子樹脂に顔料を分散剤を用いて分散させ、この分散液に重合性モノマー、光重合開始剤、増感剤、溶剤などを添加して調製されるものであるが、着色フォトレジスト中の微小な顔料粒子は凝集し易く、この顔料粒子が核となって着色フォトレジスト中には凝集体が生じ易いものである。
着色フォトレジストは、着色フォトレジスト中においては、分散剤によって高分子樹脂に顔料を分散させ、分散した顔料の凝集を防ぎ、分散系としての平衡を保つ機能を果たすようにしている。しかし、着色フォトレジスト中で分散している粒径約1μm以下の微小な顔料粒子は凝集し易く、この顔料粒子が核となって、着色フォトレジストには凝集体が生じ易い。
【0008】
このような凝集体は、その粒径が数μmに達するものもあり、これが着色フォトレジストの中に存在したまま、塗布装置の吐出ノズルよりガラス基板上に滴下され、表示装置用カラーフィルタの画素が形成されると、カラーフィルタの画素上に凝集体が固着した状態になり、カラーフィルタとしては異物と称する欠陥となる。
【0009】
図1は、ガラス基板上に着色フォトレジストを塗布する塗布装置における着色フォトレジストの供給系の一例を模式的に示した説明図である。図1は、塗布装置がスピンコータの場合を例としたものである。
図1に示す着色フォトレジストの供給系(20)において、レジスト貯蔵容器(21)の中の着色フォトレジスト(22)は、外部からの空気又は窒素などの気体による加圧によって、流路の配管(23)、第1ポンプ(P1)、一次濾過装置(30)、流路の配管(25)、第2ポンプ(P1)、最終段フィルタ装置(26)を経て、吐出ノズル(27)よりスピンコータのハウジング(28)内のガラス基板(10)上に適量が滴下されるようになっている。
【0010】
図1に示す供給系(20)においては、上記凝集体や供給系内のパーティクルなどを一次濾過装置(30)によって捕捉し、吐出ノズル(27)の直前に設けられた最終段フィルタ装置(26)によって、更に小さな凝集体やパーティクルなどを捕捉し、吐出ノズル(27)の先端部よりガラス基板(10)上に着色フォトレジストを滴下すようにしている。
【0011】
図2は、図1中の一次濾過装置(30)の一例を拡大し、その断面を示す説明図である。図2に示すように、この一例として示す一次濾過装置(30)は、例えば、中空円筒状ケーシング(31)の下面の中央部に濾過する着色フォトレジストの注入口(32)、その上面の中央部に濾過した着色フォトレジストの注出口(33)が設けられている。
【0012】
中空円筒状ケーシング(31)の中空部(37)内には、中空柱状濾過フィルタ(34)が設けられている。中空柱状濾過フィルタ(34)は、例えば、中空円柱状のものであり、その上端部を注出口(33)に対向させ、締具(36)と中空円筒状ケーシング(31)の上面の内面に設けられた台座(35)で下端部と上端部が挟持されて台座(35)を介して中空円筒状ケーシング(31)に固定されている。
尚、中空円筒状ケーシング(31)の材料としては、不透明な材料を用いていることが多い。
【0013】
図1に示す流路の配管(23)は、注入口(32)に接続しており、第1ポンプ(P1)の作動により、レジスト貯蔵容器(21)の中の着色フォトレジスト(22)は吸引され、中空円筒状ケーシング(31)の中空部(37)内へと加圧注入される。図2中、矢印で示すように、中空部(37)内へと加圧注入された着色フォトレジスト(22)は、中空柱状濾過フィルタ(34)の外周壁から中空柱状濾過フィルタ(34)に入り内周壁から中空柱状濾過フィルタ(34)の中空部(38)に至り、中空円筒状ケーシング(31)の上面に設けらた注出口(33)から、図1に示す流路の配管(25)を経て第2ポンプ(P1)、最終段フィルタ装置(26)、吐出ノズル(27)に至る。この間、中空柱状濾過フィルタ(34)において、着色フォトレジスト(22)中の前記凝集体やパーティクルなどが捕捉される。
【0014】
しかしながら、図2に示すように、着色フォトレジスト(22)中に気泡(40)が混入していることがあっても、気泡(40)は、中空柱状濾過フィルタ(34)によって捕捉されず、気泡(40)は着色フォトレジスト(22)中に存在したまま吐出ノズル(27)よりガラス基板(10)上に滴下される。
着色フォトレジスト(22)中に混入した気泡(40)が、中空柱状濾過フィルタ(34)によって捕捉されず、吐出ノズル(27)より滴下されてしまうのは、図2に示すように、中空円筒状ケーシング(31)の上面が、上面の中央部に向かって高くなるような傾斜面でなく、平坦な構造の上面であっても同様である。
【0015】
着色フォトレジスト(22)中に気泡(40)が混入したまま吐出ノズル(27)よりガラス基板(10)上に滴下され、表示装置用カラーフィルタの着色画素が形成されると、カラーフィルタの着色画素上では、その部位の膜厚が薄くなったり、その部位の膜が欠落したピンホール等が生じ、カラーフィルタとしてはピンホールと称する欠陥となる。
【0016】
着色フォトレジスト(22)中に気泡(40)が混入するのは、例えば、新しい中空柱状濾過フィルタ(34)に交換した後に、着色フォトレジストの供給を再開すると、交換時の中空円筒状ケーシング(31)の開放によって、中空円筒状ケーシング(31)内、及び配管(23)内にては着色フォトレジスト(22)と空気が混ざり、着色フォトレジスト中に気泡が発生する場合、或いは、何らかの原因により、供給系(20)の気密が破れ、空気がリーク(混入)し、着色フォトレジスト中に気泡が発生する場合などである。
【0017】
従って、実際の作業においては、新しい中空柱状濾過フィルタ(34)に交換した後には、供給系(20)に混ざった空気(気泡)を排出するために、液ヌキと称する作業、すなわち、吐出ノズル(27)より着色フォトレジスト(22)を吐出させ、供給系(20)内の気泡を一掃する。
しかし、この液ヌキの作業には、当然、相応の時間、及び着色フォトレジストの損失が伴うといった問題がある。
【0018】
また、この液ヌキの作業では、供給系(20)内から気泡(40)が一掃されたか否かの終点を正確に判断するのは難しいことである。この判断を誤って、気泡(40)が一部残されたまま塗布作業を再開すると、ピンホールが発生することになる。或いは、安全を見込んで過度な着色フォトレジスト(22)の吐出を行うと、時間及び着色フォトレジストの損失が過度なものとなる。
従って、液ヌキの作業の終点を正確に容易に判断する方法が求められている。
【0019】
また、上記供給系(20)の気密の破れによる空気のリーク(混入)は、塗布装置の運転中に発生することが多い。この際に、供給系(20)のリーク箇所を短時間で特定することは難しく、装置の運転を停止して、その対応に時間を費やしてしまうこともある。
【特許文献1】特開平10−505828号公報
【特許文献2】特開平11−128817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、着色フォトレジストを用い顔料分散法により表示装置用カラーフィルタを製造する際に、着色フォトレジストを塗布する塗布装置の供給系において、新しい中空柱状濾過フィルタに交換した後に行う、供給系に混ざった気泡を排出するための液ヌキの作業に要する時間を短縮することができ、ま
た、液ヌキの作業の終点を正確に容易に判断することができ、更には、供給系の気密の破れたリーク箇所の特定に要する時間を短縮することができる濾過装置を提供することを課題とするものである。
【0021】
また、本発明は、上記濾過装置を、着色フォトレジストの供給系の濾過装置として用いた塗布装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、着色フォトレジストを塗布する塗布装置用の濾過装置であって、
A)1)その下面の中央部に配管と接続する注入口、上面の中央部に配管と接続する注出口を有し、
2)該上面は注出口の有る中央部から外縁に向けて徐々に高くなるように傾斜をしており、該上面の外縁には気泡排出口を有し、該上面の少なくとも外縁近傍の部位には中空部内を観視できる透明な材料が用いられている中空筒状ケーシング、
B)上記中空筒状ケーシングの中空部内にて、その下端部を注入口に対向させ、締具と中空筒状ケーシングの下面の内面に設けられた台座で上端部と下端部が挟持されて台座を介して中空筒状ケーシングに固定されている中空柱状濾過フィルタを少なくとも具備することを特徴とする濾過装置である。
【0023】
また、本発明は、上記発明による濾過装置において、前記透明な材料が用いられている外縁近傍の部位が、透明板を嵌めた窓であることを特徴とする濾過装置である。
【0024】
また、本発明は、請求項1又は請求項2記載の濾過装置を、着色フォトレジストの供給系の濾過装置として用いたことを特徴とする塗布装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、A)1)その下面の中央部に配管と接続する注入口、上面の中央部に配管と接続する注出口を有し、2)この上面は注出口の有る中央部から外縁に向けて徐々に高くなるように傾斜をしており、この上面の外縁には気泡排出口を有し、上面の少なくとも外縁近傍の部位には中空部内を観視できる透明な材料が用いられている中空筒状ケーシング、B)上記中空筒状ケーシングの中空部内にて、その下端部を注入口に対向させ、締具と中空筒状ケーシングの下面の内面に設けられた台座で上端部と下端部が挟持されて台座を介して中空筒状ケーシングに固定されている中空柱状濾過フィルタを少なくとも具備する濾過装置であるので、新しい中空柱状濾過フィルタに交換した後に行う、供給系に混ざった気泡を排出するための液ヌキの作業に要する時間を短縮することができ、また、液ヌキの作業の終点を正確に容易に判断することができ、更には、供給系の気密の破れたリーク箇所の特定に要する時間を短縮することができる濾過装置となる。
【0026】
また、本発明は、上記濾過装置を、着色フォトレジストの供給系の濾過装置として用いた塗布装置であるので、新しい中空柱状濾過フィルタに交換した後に行う、供給系に混ざった気泡を排出するための液ヌキの作業に要する時間を短縮することができ、また、液ヌキの作業の終点を正確に容易に判断することができ、更には、供給系の気密の破れたリーク箇所の特定に要する時間を短縮することができる塗布装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を実施の形態に基づいて以下に説明する。
図3は、本発明による濾過装置の一実施例を説明する断面図である。図3に示すように、この濾過装置(50)は、中空筒状ケーシング(51)の下面の中央部に濾過する着色フォトレジストを供給する配管と接続する注入口(52)、その上面の中央部に濾過した着色フォトレジストを排出する配管と接続する注出口(53)が設けられている。
【0028】
中空筒状ケーシング(51)の水平断面形状は限定されないが、円形であること、すなわち、中空円筒状ケーシングであることが好ましい。中空筒状ケーシング(51)の上面は、注出口(53)が設けられている中央部から外縁に向けて徐々に高くなるように傾斜をしている。また、この上面の外縁には気泡排出口(60)が設けられている。気泡排出口(60)の個数は限定されず、適宜に設定される。また、この上面の外縁近傍の部位には中空部(57)内を外部から観視できるように透明な材料(70)が用いられている。
【0029】
この上面は、上面の全面に透明な材料(70)が用いられていてもよいが、少なくとも、外縁近傍の部位には透明な材料(70)が用いられていることを要する。この部位は外縁の全周でなくてもよい。
また、この部位は透明な材料(70)に代わり、透明板を嵌めた密閉された窓でってもよい。この窓の個数は限定されない。
【0030】
中空筒状ケーシング(51)の中空部(57)内には、中空柱状濾過フィルタ(54)が設けられている。この水平断面形状は限定されないが、円形であること、すなわち、中空円柱状濾過フィルタであることが好ましい。
中空柱状濾過フィルタ(54)は、その下端部を注入口(52)に対向させ、締具(56)と中空筒状ケーシング(51)の下面の内面に設けられた台座(55)によって、その上端部と下端部が挟持された状態て台座(55)を介して中空筒状ケーシング(51)の下面の内面に固定されている。
【0031】
例えば、図2に示す一次濾過装置(30)に代わり、本発明による濾過装置(50)を図1に示す供給系(20)に用いた場合、濾過装置(50)の注入口(52)に、図1に示す流路の配管(23)が接続され、濾過装置(50)の注出口(53)に、流路の配管(25)が接続される。
第1ポンプ(P1)の作動により、レジスト貯蔵容器(21)の中の着色フォトレジスト(22)は吸引され、中空柱状濾過フィルタ(54)の中空部(58)内へと加圧注入される。
【0032】
図3中、矢印で示すように、中空部(58)内へと加圧注入された着色フォトレジスト(22)は、中空柱状濾過フィルタ(54)の内周壁から中空柱状濾過フィルタ(54)に入り外周壁から中空筒状ケーシング(51)の中空部(57)に至り、中空円筒状ケーシング(51)の上面に設けらた注出口(53)から、図1に示す流路の配管(25)を経て第2ポンプ(P1)、最終段フィルタ装置(26)、吐出ノズル(27)に至る。この間、中空柱状濾過フィルタ(54)において、着色フォトレジスト(22)中の前記凝集体やパーティクルなどが捕捉される。
【0033】
また、着色フォトレジスト(22)中に気泡(40)が混入していることがあっても、気泡(40)は、中空柱状濾過フィルタ(54)によって捕捉されずに通過する。しかし、中空筒状ケーシング(51)の上面は、中央部から外縁に向けて徐々に高くなるように傾斜をしているために、図3に示すように、中空筒状ケーシング(51)の上面の外縁に気泡(40)は滞留する。
従って、着色フォトレジスト(22)中に気泡(40)が存在したまま濾過装置(50)の注出口(53)から排出されることは大幅に減少し、気泡(40)が混入した着色フォトレジスト(22)がガラス基板(10)上に滴下されることはなくなる。
【0034】
本発明による濾過装置(50)を用いることにより、例えば、新しい中空柱状濾過フィルタ(34)に交換した後に、供給系(20)に混ざった空気(気泡)を排出する際には、主に、中空筒状ケーシング(51)の上面に設けられた気泡排出口(60)から気泡(
40)の排出を行うことができる。
【0035】
濾過装置(50)の気泡排出口(60)より気泡(40)を排出させる、この泡ヌキの作業では、気泡(40)は上面の外縁に滞留しているので、気泡排出口(60)から気泡排出配管(図示せず)を経て外部へと、短時間で気泡(40)を排出させることが可能となる。
すなわち、吐出ノズル(27)より着色フォトレジスト(22)を吐出させる、前記液ヌキの作業における、相応の時間は短縮され、また、着色フォトレジストの損失は減少する。
【0036】
また、この泡ヌキの作業において、気泡(40)が一掃されたか否かの終点の判断は、上面の外縁近傍の部位には透明な材料が用いられているので、気泡(40)の滞留の状態を観視することによって、より正確に行うことが可能となる。
【0037】
また、例えば、供給系(20)内から気泡(40)を一掃したときに、早合点で気泡は一掃されたものと判断を誤って塗布作業を再開しても、上面の外縁近傍の部位には透明な材料が用いられているので、早い時点で気泡(40)は未だ残留していることが容易に判り、上記泡ヌキの作業を再び行うこともできる。
【0038】
また、例えば、塗布装置の運転中に、供給系(20)の気密の破れによって空気のリーク(混入)が発生しても、外縁の透明な部位の状態を観視することによって、リークの発生を早い時点で認知することができ、また、供給系(20)のリーク箇所を特定する際には、少なくとも、供給系(20)の前半(レジスト貯蔵容器(21)〜濾過装置(50)の間)の箇所か、或いは供給系の後半の箇所かの判断は即座にできるので、リークへの対応時間は短縮されたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0039】

【図1】着色フォトレジストを塗布する塗布装置における着色フォトレジストの供給系の一例を模式的に示した説明図である。
【図2】一次濾過装置の一例を拡大し、その断面を示す説明図である。
【図3】本発明による濾過装置の一実施例を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10・・・ガラス基板
20・・・着色フォトレジストの供給系
21・・・レジスト貯蔵容器
22・・・着色フォトレジスト
23、25・・・配管
26・・・最終段フィルタ装置
27・・・吐出ノズル
28・・・ハウジング
30・・・一次濾過装置
31・・・中空円筒状ケーシング
32、52・・・着色フォトレジストの注入口
33、53・・・着色フォトレジストの注出口
34、54・・・中空柱状濾過フィルタ
35、55・・・台座
36、56・・・締具
37・・・中空円筒状ケーシングの中空部
38、58・・・中空柱状濾過フィルタの中空部
40・・・気泡
50・・・本発明による濾過装置
51・・・中空筒状ケーシング
57・・・中空筒状ケーシングの中空部
60・・・気泡排出口
70・・・透明な材料
P1・・・第1ポンプ
P2・・・第2ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色フォトレジストを塗布する塗布装置用の濾過装置であって、
A)1)その下面の中央部に配管と接続する注入口、上面の中央部に配管と接続する注出口を有し、
2)該上面は注出口の有る中央部から外縁に向けて徐々に高くなるように傾斜をしており、該上面の外縁には気泡排出口を有し、該上面の少なくとも外縁近傍の部位には中空部内を観視できる透明な材料が用いられている中空筒状ケーシング、
B)上記中空筒状ケーシングの中空部内にて、その下端部を注入口に対向させ、締具と中空筒状ケーシングの下面の内面に設けられた台座で上端部と下端部が挟持されて台座を介して中空筒状ケーシングに固定されている中空柱状濾過フィルタを少なくとも具備することを特徴とする濾過装置。
【請求項2】
前記透明な材料が用いられている外縁近傍の部位が、透明板を嵌めた窓であることを特徴とする請求項1記載の濾過装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の濾過装置を、着色フォトレジストの供給系の濾過装置として用いたことを特徴とする塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−41791(P2008−41791A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211684(P2006−211684)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】