説明

火災予防監視支援システム

【課題】 火災の原因となる前兆現象を検知して得られる火災危険度を評価することによって利用者への注意の喚起を行うとともに火災を未然に防止することができる火災予防監視支援システムを提供する。
【解決手段】 熱源に関する熱源情報と時間情報を計測するセンサーを備える検知部2と、検知部2で計測された熱源情報と時間情報を格納する状況情報格納部7と、検知部2で計測された熱源情報に対する通常時情報及び/又は異常時情報と時間情報を格納する基準情報格納部8と、状況情報格納部7から熱源情報を読み出し、基準情報格納部8から通常時情報及び/又は異常時情報を読み出して熱源情報と通常時情報及び/又は異常時情報の類似度又は非類似度から火災危険度を演算する解析部4と、この解析部4で得られた火災危険度に関する演算結果を信号出力する出力部5を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災を未然に防止する火災予防監視支援システムに係わり、特に、火災の原因となる前兆現象をセンサーによって検知し、それに基づいて火災危険度を定量的に評価して注意を喚起する火災予防監視支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の火災による逃げ遅れ死亡者は、判断機能や身体機能が衰えた75歳以上の後期高齢者や、それらが未熟な子供が多い。また、一般家庭で就寝中に発生する火災においては、年齢に関係なく犠牲者が出ている。これは、従来の火災報知器が火災の発生を正確に検知して、火災発生後に報知するものが一般的であり、後期高齢者や子供においては低い判断能力や身体能力によって避難に時間を要したり、また、就寝中であると火災の認知に遅れたりして、避難しようとしているうちに、時々刻々と進行する火災に巻き込まれて犠牲になることが原因の一つとして考えられる。すなわち、火災を報知する手段に対して、高齢者や子供においても十分に避難可能となる時間的余裕が持てるように、火災が発生する前の「ヒヤリハット」の段階での注意を喚起できることができれば、未然に火災を防止することができ、たとえ火災が発生しても尊い命が犠牲になることを低減できると考えられる。そこで、火災に関するデータを収集し、これらを利用して火災に関する事象を推測する技術が開発されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、「火災報知装置」という名称で、火災による煙濃度や温度をセンサーで検出したデータに基づいて、所定時間後に発報レベルに達することを予測してプリアラームを出力する発明が開示されている。また、このプリアラームを出力するプリアラーム手段には、発報レベルに達するまでに要する第1の時間と、警備員等が火災発生場所に到達するまでに要する第2の時間を表示する表示手段と、この第1の時間と第2の時間を比較して比較結果に応じたメッセージを出力するメッセージ出力手段を有している。
この特許文献1に開示された発明では、火災が発生した場合の発報レベルや発報レベルに達するまでの時間を予測してプリアラームを出力するので、熟練者や専任者でなくても、プリアラームの発生場所における火災状況を的確に把握することができるとともに、初期消火を確実に行うことができる。また、第1の時間と第2の時間の設定し、これらを比較して適切なメッセージを表示するので、火災の確認や消火に関わる人員の安全性が確保されている。
【0004】
また、特許文献2には、「滞在限界状態報知方法、火災性状報知方法及び火災情報伝達システム」という名称で、天井面に設置された温度検知手段を用いて天井面気流温度を一定時間毎に計測し、この計測温度値から計算した火災成長率に基づく煙層降下限界状態での予測天井面煙層温度と温度検知手段の天井面気流温度とを比較して滞在限界状態を報知する発明が開示されている。
この特許文献2に開示された発明では、天井面の温度検知手段からの天井面気流温度計測データに基づいて、出火原因や着火物等によって変化が大きい火災成長率に対応する滞在限界状態の検知方法が実現できるとともに、火災の発生を検知し、さらには、火災の進展状況を把握することが可能となる。したがって、火災の進展に応じて自動的に的確な防災設備の制御や、遠隔地への伝達が可能であるので、超高層ビルや大規模建築物において有効な防火管理手段となる。
【0005】
そして、特許文献3には、「非火災情報処理装置」という名称で、火災受信機の非火災報とその原因を入力して、これらの非火災報とその原因を含む非火災に関するデータをデータベースに記憶して確認するようにしておき、非火災判断告知部がデータベースのデータから感知器の非火災報の回数が閾値を越えたか否かを判別すると告知が行われ、さらに、対応策判断告知部によって非火災判断告知部で告知された感知器の非火災を低減するための対応策が告知される発明が開示されている。
この特許文献3に開示された発明では、自動火災報知設備で受信された非火災報に関するデータを蓄積して自由な閲覧を可能とし、また、非火災の原因の解析を行って適切な対策を提示するとともに、非火災報を効果的に減らすことを可能としている。
【0006】
一方、統計解析手法として広く利用されているマハラノビス距離については、特許文献4に、「マハラノビス距離を利用した異常原因診断方法及びプログラム」という名称で、診断対象の定常状態からマハラノビス空間を求め、次に診断しようとする対象から特徴量を抽出してマハラノビス距離を求めて予め設定した閾値とこのマハラノビス距離を比較して、マハラノビス距離が閾値よりも大きい場合に距離要素値を特定し、そして、特定した距離要素値に対応する特徴量を基準データの特徴量の平均値で置換し、置換した特徴量を用いて新たにマハラノビス距離を求めて、新たに求めたマハラノビス距離が閾値以下になるまでこれらの操作を繰り返す発明が開示されており、マハラノビス距離を利用したパターン認識における異常原因診断をより少ない計算処理によって実現している。
【特許文献1】特開平7−262485号公報
【特許文献2】特開2004−246542号公報
【特許文献3】特開平8−77483号公報
【特許文献4】特開2004−227279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の技術では、火災が発生した場合には、火災に関するデータに基づいて発報レベルに達するまでの所要時間を推測できるので、的確で安全な対処が可能であるが、火災の発生が前提となっているので、少なからず火災による被害が発生するという課題があった。また、火災に関するデータを利用して未然に火災を防止するという発想が開示されたものではなかった。
【0008】
また、特許文献2に記載された従来の技術においても、特許文献1の場合と同様に、火災の発生を前提としたものであり、火災による被害を未然に防止できないという課題があった。また、大規模建築物等に対応できるもので大掛かりな設備も想定されており、一般家庭等の小規模な空間には不向きであるという課題もあった。
【0009】
そして、特許文献3に記載された従来の技術では、非火災報の低減を目的にしており、火災に関するデータに基づいて火災の発生や防止に関する事象を計算したり、推測したりするものではなかった。
【0010】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、火災の原因となる前兆現象を検知して得られる火災危険度を評価することによって利用者への注意の喚起を行うとともに火災を未然に防止することができる火災予防監視支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である火災予防監視支援システムは、熱源に関する情報を計測可能な少なくとも1台のセンサーにより、火災の原因となる事象に関する火災危険度を定量的に評価するとともにその火災危険度に関する情報を出力する火災予防監視支援システムであって、熱源に関する情報を時間情報とともに計測する少なくとも1台のセンサーを備える検知部と、この検知部で計測された熱源に関する情報と時間情報を読み出し可能に格納する状況情報格納部と、検知部で計測された熱源に関する情報(以下、検知部で計測された熱源に関する情報を熱源情報という。)に対する通常時情報及び/又は異常時情報と時間情報を読み出し可能に格納する基準情報格納部と、状況情報格納部から時間情報をキーとして熱源情報を読み出し、基準情報格納部から時間情報をキーとして通常時情報及び/又は異常時情報を読み出して熱源情報と通常時情報及び/又は異常時情報の類似度又は非類似度から火災危険度を演算する解析部と、この解析部で得られた火災危険度に関する演算結果を信号出力する出力部とを有するものである。
なお、熱源情報に対する通常時情報とは、本火災予防監視支援システムの利用者(以下、単に利用者という場合がある。)による熱源の平均的な使用状況又は作動状況を経時的に示す情報をいい、熱源情報に対する異常時情報とは、本火災予防監視支援システムの利用者による熱源の平均的な使用状況又は作動状況とは異なり、火災の危険性を含むような使用状況又は作動状況を経時的に示す情報をいう。
上記構成の火災予防監視支援システムでは、まず、センサーを備える検知部によって熱源情報と時間情報が計測されて、状況情報格納部に読み出し可能に格納される。そして、解析部によって、状況情報格納部から時間情報をキーとして熱源情報を読み出すとともに、基準情報格納部に読み出し可能に格納される熱源情報に対する通常時情報及び/又は異常時情報を時間情報をキーとして読み出して、時間情報をキーとしながら、同時刻における熱源情報と通常時情報及び/又は異常時情報の類似度又は非類似度を求め、この類似度又は非類似度から火災危険度を演算するものであり、時間軸が同等になるように熱源情報と通常時情報及び/又は異常時情報を比較するので、熱源に関する火災予防監視支援システムの利用者の生活パターンを基準として火災危険度が演算され、火災のごく初期時における評価精度が高くなるという作用を有する。また、熱源情報のわずかな変化も見落とされることなく、類似度又は非類似度に反映されるので火災が進展する前の初期の段階において火災危険度を提示する作用を有する。
【0012】
また、請求項2に記載の発明である火災予防監視支援システムは、熱源に関する情報を計測可能な少なくとも1台のセンサーと、気温センサー及び/又は照度センサーにより、火災の原因となる事象に関する火災危険度を定量的に評価するとともにその火災危険度に関する情報を出力する火災予防監視支援システムであって、熱源に関する情報を時間情報とともに計測する少なくとも1台のセンサーと気温に関する情報を時間情報とともに計測する気温センサー及び/又は照度に関する情報を時間情報とともに計測する照度センサーを備える検知部と、この検知部で計測された熱源に関する情報と気温に関する情報及び/又は照度に関する情報と時間情報を読み出し可能に格納する状況情報格納部と、検知部で計測された熱源と気温及び/又は照度に関する情報(以下、検知部で計測された熱源に関する情報を熱源情報、気温に関する情報を気温情報、照度に関する情報を照度情報という。)の各々に対する通常時情報及び/又は異常時情報と時間情報を読み出し可能に格納する基準情報格納部と、状況情報格納部から時間情報をキーとして熱源情報と気温情報及び/又は照度情報を読み出し、基準情報格納部から時間情報をキーとして各情報の通常時情報及び/又は異常時情報を読み出して熱源情報と気温情報及び/又は照度情報と、各情報の通常時情報及び/又は異常時情報の類似度又は非類似度から火災危険度を演算する解析部と、この解析部で得られた火災危険度に関する演算結果を信号出力する出力部とを有するものである。
なお、気温情報に対する通常時情報とは、本火災予防監視支援システムの利用者による室内の暖房器具あるいは冷房器具の使用を考慮しながら、季節、曜日、時刻の変化に応じて得られる室内の平均的気温を経時的に示す情報をいい、気温情報に対する異常時情報とは、本火災予防監視支援システムの利用者による室内の暖房器具あるいは冷房器具の使用を考慮しながら、季節、曜日、時刻の変化に応じて得られる室内の想定される気温とは異なる気温を経時的に示す情報をいう。
また、照度情報に対する通常時情報とは、本火災予防監視支援システムの利用者による室内の照明器具の使用を考慮しながら、季節、曜日、時刻の変化に応じて得られる室内の平均的照度を経時的に示す情報をいい、照度情報に対する異常時情報とは、本火災予防監視支援システムの利用者による室内の照明器具の使用を考慮しながら、季節、曜日、時刻の変化に応じて得られる室内の想定される照度とは異なる照度を経時的に示す情報をいう。
上記構成の火災予防監視支援システムでは、センサーを備える検知部によって熱源情報と気温情報及び/又は照度情報と時間情報が計測されて、状況情報格納部に読み出し可能に格納される。そして、解析部によって、状況情報格納部から時間情報をキーとして熱源情報と気温情報及び/又は照度情報を読み出すとともに、基準情報格納部に読み出し可能に格納される各情報に対する通常時情報及び/又は異常時情報を時間情報をキーとして読み出して、同時刻における熱源情報と気温情報及び/又は照度情報と、各情報の通常時情報及び/又は異常時情報の類似度又は非類似度を求め、この類似度又は非類似度から火災危険度を演算するものである。従って、請求項1に記載の発明では、熱源情報のみについて生活パターンを考慮して類似度、非類似度を求めたが、請求項2に記載の発明では、熱源情報に加えて室内における利用者の存在の有無に関係する気温情報及び/又は照度情報について生活パターンを考慮しながら類似度や非類似度を求めるという作用を有する。
【0013】
そして、請求項3の発明である火災予防監視支援システムは、請求項1又は請求項2に記載の火災予防監視支援システムにおいて、熱源に関する情報を計測可能なセンサーは、電気機器の使用を電気的に検知する電気機器センサー、熱源機器の使用を熱的に検知する熱源機器センサー、熱源から発せられる光の位置と大きさを非接触で画像として光的に捉える熱源センサー、気体ガス濃度を化学的に検知する雰囲気センサーのうちいずれか1台又は複数台の組合せから構成されるものである。
上記構成の火災予防監視支援システムでは、一般的に生活に必要とされる熱源に対して多様なセンサーが、それぞれ異なる測定量で熱源情報を取得するという作用を有する。
【0014】
さらに、請求項4の発明である火災予防監視支援システムは、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の火災予防監視支援システムにおいて、解析部は、検知部で計測される情報と通常時情報及び/又は異常時情報の類似度をマハラノビス距離を演算して求めるものである。
上記構成の火災予防監視支援システムの作用は、請求項1乃至請求項3に記載された発明の作用と同様である。
【0015】
請求項5の発明である火災予防監視支援システムは、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の火災予防監視支援システムにおいて、出力部から信号出力される演算結果を通信ネットワーク手段に送信する情報発信部と、通信ネットワーク手段を介して演算結果を受信して閲覧可能な端末部とを有するものである。
上記構成の火災予防監視支援システムでは、出力部において信号出力された演算結果を、情報発信部が通信ネットワーク手段を介して端末部に送信する作用を有する。
【0016】
最後に、請求項6に記載の発明である火災予防監視支援システムは、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の火災予防監視支援システムにおいて、検知部から計測される情報を通信ネットワーク手段に送信する第1の情報発信部と、通信ネットワーク手段を介して接続される解析部と、出力部から信号出力される演算結果をさらに通信ネットワーク手段に送信する第2の情報発信部と、通信ネットワーク手段を介して演算結果を受信して閲覧可能な端末部を有するものである。
このように構成される火災予防監視支援システムでは、請求項5に記載の発明とは異なり、検知部で計測される情報を通信ネットワークを介して解析部に送信し、さらに、出力部から信号出力される演算結果を通信ネットワーク手段を介して端末部に送信するという作用を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の火災予防監視支援システムは、センサーが計測する熱源情報とこの熱源情報に時間情報が符合する通常時情報及び/又は異常時情報からの類似度又は非類似度に基づいて火災危険度を演算するので、利用者の生活パターンが考慮された上で、それとは異なる場合には通常時情報に対する類似度は小さく、非類似度は大きくなり、異常時情報に対する類似度は大きく、非類似度は小さくなり、熱源情報の微小変化を抽出することができる。その結果、火災が発生する前のいわゆる「ヒヤリハット」の段階、すなわち火災とは言えないごく初期段階の火災前事象の評価が可能となり、その時点において注意の喚起を可能にしている。
【0018】
また、特に、請求項2に記載の火災予防監視支援システムは、熱源情報に利用者の存在の有無に関係する気温情報及び/又は照度情報を加えて火災危険度を評価するので、請求項1に記載の効果よりさらに、利用者の日常生活に即したものとなり、火災発生前のごく初期段階であっても、より精度の高い火災危険度が得られ火災の未然発生防止に貢献することができる。
【0019】
そして、特に、請求項3に記載の火災予防監視支援システムは、利用者の生活において使用する熱源に合わせてセンサーを選択することで、利用者においては余分な設置コストを低減でき、また、火災危険度の評価においては、適切な熱源情報を得ることができる。さらに、測定量が異なる複数のセンサーを複数台設置することによれば、複数のセンサーから異なる熱源情報が得られるため、熱源情報から演算される類似度及び/又は非類似度、さらにこれらから演算される火災危険度の精度を向上させることができる。
【0020】
特に、請求項5及び請求項6に記載の火災予防監視支援システムは、遠隔地の利用者が、設置対象の火災危険度を随時確認することができるので、高い安全性を確保することができる。また、請求項6に記載の火災予防監視支援システムでは、解析部も検知部から離れた遠隔地に設けることができ、例えば複数の検知部からの情報を集中して解析を行い、演算結果を検知部や解析部とは更に異なる遠隔地に送信することができる。いわゆるサーバクライアント型の構成を取ることができるので多人数に関係する検知部から得られる情報を同時に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係る火災予防監視支援システムの最良の第1の実施の形態を図1乃至図7に基づき説明する。(特に、請求項1乃至請求項4に対応)
図1は、本実施の形態に係る火災予防監視支援システムの構成図である。
図1において、火災予防監視支援システム1は、計時機能を備えて時間情報を得ながら熱源に関する情報を検知するセンサー2と、このセンサー2からの情報を定期的に読み出して必要に応じてAD変換等の処理を施してデータベース6に格納する信号処理部3と、データベース6に格納される情報を読み出して類似度あるいは非類似度を演算して、火災危険度を演算する解析部4と、解析部4における演算結果を出力する出力部5から構成されている。
センサー2は、一般家庭等で使用される電気機器製品や熱源機器製品等に対して設置されるものであり、熱源情報や、気温情報及び照度情報を検知することができる。また、設置台数は特に限定されるものではなく、単独で用いても複数台を組み合わせて用いてもよい。
また、信号処理部3は、センサー2からの信号を定期的に読み出して、検知される情報がアナログデータの場合にはデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換処理(以下、AD変換処理という。)を行う。そして、検知される情報に対して、相対的な指標やレベルを設定する規格化処理も行う。なお、センサー2によって検知される情報がアナログデータでない場合は、AD変換処理は行わないで直接データベース6に格納し、また、規格化処理も必要に応じて行い、不要の場合は省略して直接データベース6に格納してもよい。
【0022】
そして、データベース6には、計測値データベース7、基準値データベース8及び火災危険度データベース9が設けられている。
計測値データベース7にはセンサー2によって検知された熱源情報、気温情報及び照度情報に関する計測値データ7aが四季、曜日、時刻などの時間情報とともに読み出し可能に格納され、基準値データベース8には熱源情報、気温情報及び照度情報に対応させたそれぞれの通常時情報及び異常時情報に関する通常時基準値データ8a及び異常時基準値データ8bが同様に四季、曜日、時刻などの時間情報と共に読み出し可能に格納されている。また、火災危険度データベース9には解析部4で演算された結果である類似度データ9a、非類似度データ9b及び火災危険度データ9cが、解析部4によってそれぞれ読み出し可能に格納される。さらに、火災危険度データ9cの判定に用いられる閾値等の情報が読み出し可能に格納されている。
なお、計測値データ7aは単一のセンサー2による熱源情報のみの場合もあれば、複数のセンサー2による複数の熱源情報の場合もあり、さらに、気温情報や照度情報が加わる場合もある。
また、基準値データベース8の異常時基準値データ8bは必ずしも必要なものでなく、異常時の情報が検知不能であったり想定不能である場合は省略してもよい。さらに、解析部4において、類似度データ9aと非類似度データ9bが常に両方演算されなくともよく、状況に応じていずれか一方のみを演算して、火災危険度データ9cを求めるようにしてもよい。従って、火災危険度データベース9においても常に両方のデータを格納しておく必要はない。
【0023】
次に、解析部4では、火災危険度の演算が行われるが、まず、評価対象とする熱源情報及び気温情報又は照度情報に関する計測値データ7aを、計測値データベース7から読み出す。また、基準値データベース8からこれらの情報に対する通常時情報及び異常時情報に関する通常時基準値データ8a及び異常時基準値データ8bを読み出す。その際には、いずれも時間情報をキーとして、計測値データ7aを通常時基準値データ8a及び異常時基準値データ8bと符合させるようにして読み出す。
そして、詳細については後述するが、熱源情報及び気温情報又は照度情報に関する計測値データ7aとこれらに対する各々の通常時情報及び異常時情報に関する通常時基準データ8a及び異常時基準値データ8bから類似度をマハラノビス距離を演算し、さらに、演算された類似度から火災危険度を演算する。
なお、本実施の形態においては、マハラノビス距離による類似度を演算したが、特にマハラノビス距離に限定するものではなく、このマハラノビス距離による統計処理に代えて一般的な相互相関分析を利用して類似度を求めることもできる。この場合、相互相関係数が類似度になり、相関が高いと相互相関係数は1に近づき、相関が低いと0に近づくものとなる。さらに、他の統計的な手法を用いて類似度あるいは非類似度を求めてもよい。
本願における類似度とは、ある事象における物理量あるいは物理量でなくとも何らかの指標で定量的に評価可能な量を検知したものと、予め特定の事象において得られている当該物理量あるいは何らかの指標で定量的に評価可能な量とを統計的手法を用いて比較し、ある事象がその特定の事象にどの程度近似するかを定量的に評価した指標あるいはレベルを言う。また、本願における非類似度とは、同様に、ある事象がその特定の事象にどの程度近似しないかを定量的に評価した指標あるいはレベルを言う。従って、類似度あるいは非類似度は統計的手法を用いた上で定量的に表現されるものであれば制限はなく、特にマハラノビス距離による評価に限定するものではない。
また、解析部4には、演算されるマハラノビス距離に対して重み付けを行う機能を具備するようにしてもよい。これば、例えば、複数のセンサー2によって計測値データ7aを取得して、各々のマハラノビス距離を用いて火災危険度を演算する際に、各センサー2の重要度が異なったり、あるいはセンサー2の感度や性能に差があり、得られたマハラノビス距離を同等に取り扱うことが不適切であるような場合等に重みを付けて火災危険度を演算するようにするものである。
最後に、出力部5は、解析部4における演算結果を表示したり、データベース6に格納される情報を閲覧可能に表示したりするものである。
【0024】
次に、センサーについて図2を用いて説明する。
図2は、本実施の形態に係る火災予防監視支援システムのセンサーの設置状況を示す概念図である。
図2において、符号10は一般家庭における室内を示しており、室内10には、電子レンジ12や電気ストーブ13を始めとする電気機器製品や、火を使用する石油ストーブ15や、火のついたタバコ17が置かれている。本実施の形態に係る火災予防監視支援システムにおいては、これらの熱源となる対象物に対して、各種センサーが設置されている。
まず、電子レンジ12や電気ストーブ13等の電気機器製品には、コンセント11に挿入される電源ケーブルに電気機器センサー14が設置されている。この電気機器センサー14は、電気機器のオンオフの状態を電源の通電変化に伴って発生する電源ケーブルの磁場の変動や電源部の電流変動或いは電気機器自体のオンオフ信号を利用して検知する。計測される熱源情報は、電気機器が稼働しているオン状態と、稼働していないオフ状態の2値として、例えば1と0に対応させて前述の信号処理部に定期的に読み出されて計測値データベースに計測値データとして格納される。
次に、石油ストーブ15や図示していないがガスコンロ等の電気を利用しない熱源機器に対しては熱源機器センサー16が設置されている。熱源機器センサー16は、熱源機器の筐体等、周囲に装着し、サーミスターや熱電対などの温度センサーを利用して筐体等周囲の計測温度が閾値を超えた場合に稼動のオン状態とし、閾値を超えない場合は無稼動のオフ状態として熱源情報を取得する。そして、電気機器センサー14の場合と同様に定期的に信号処理部に読み出されて、これらの2値、例えば1と0が、計測値データベースに計測値データとして格納される。
【0025】
また、タバコ17等の位置が特定されず、微少な火源を検知するために熱源センサー18が設置されている。熱源センサー18は、近赤外線域に反応域を持ったCCD素子を用いて、空間中の熱源の位置と大きさが計測できるセンサーであり、熱源の個数と大きさを数値として、位置を座標として熱源情報を取得し、取得された熱源情報は信号処理部によって計測値データベースに計測値データとして格納される。
そして、一酸化炭素(CO)ガスセンサー、臭いセンサー及び水素(H)ガスセンサーを用いて雰囲気センサー19が設置されており、各々のセンサーによって空気中のCO濃度、臭い物質濃度及びH濃度が計測される。計測される各種ガス濃度は、ガス濃度によって出力されるアナログデータのセンサー出力電圧であり、信号処理部においてAD変換処理されて計測値データベースに格納される。なお、上記のガス濃度成分だけでなく空気中の他のガス成分濃度を検知するセンサーを加えてもよい。
【0026】
さらに、気温センサー20と照度センサー21が設置されている。気温センサー20は、半導体センサーや熱電対を利用して室内の気温を計測するセンサーであり、計測される気温は、雰囲気センサー19と同様に信号処理部においてAD変換処理されて計測値データベースに計測値データとして格納される。
照度センサー21は、室内10の明るさを、硫化カドニウムセンサー等を利用して計測するセンサーであり、得られた信号は、アナログデータであるので信号処理部によってAD変換処理され、さらに、明るさに応じて任意の段階に規格化されて、計測値データベースに計測値データとして格納される。
なお、各種センサーは計時機能を備えており、上記の熱源情報とともに時間情報が取得されて計測値データベースに計測値データとして格納されるようになっている。
【0027】
ここで、熱源センサー18によって得られる画像例を図3を用いて説明する。
図3は、本実施の形態に係る火災予防監視支援システムの熱源センサーによる画像の一例を示す概念図である。
図3において、符号22及び符号23はいずれも熱源センサーが捉えた熱源であり、熱源センサーでは、まず、熱源の個数を計測して、そして、熱源の座標を決定して、最後に各々の熱源の大きさを計測する。図3では、熱源の個数は2となり、また、熱源22の中心座標を(10.5,20.5)とし、熱源23の中心座標を(15,20)とし、続いて、中心座標の小さい方から熱源の大きさを計測し、熱源22の大きさを4、熱源23の大きさを1としている。そして、計測値データベースに格納される計測値データは、例えば、「2(個数),(10.5,20.5)(1つ目の位置),4(1つ目の大きさ),(15,20)(2つめの位置),1(2つ目の大きさ)」となる。
【0028】
続いて、計測値データベースに格納される熱源情報、気温情報及び照度情報に関する計測値データについて図4を用いて説明する。
図4(a)乃至(f)は、本実施の形態に係る火災予防監視支援システムの計測値データベースに格納される熱源情報、気温情報及び照度情報に関する計測値データを示す概念図である。
図4(a)は、電気機器センサーからの熱源情報であり、各時刻に対応した電気ストーブや電子レンジ等の電気機器のオンオフ状態がオン状態を1、オフ状態を0として格納されている。
また、図4(b)は、熱源機器センサーからの熱源情報であり、電気機器センサーの場合と同様に、各時刻に対応した石油ストーブやコンロ等の熱源機器のオンオフ状態がオン状態を1、オフ状態を0として格納されている。
そして、図4(c)は、雰囲気センサーからの熱源情報であり、COセンサー、臭いセンサー及びHセンサーによって計測されるセンサー出力電圧が信号処理部によってAD変換処理されて各ガス濃度として時刻毎に格納されている。
さらに、図4(d)は、熱源センサーからの熱源情報であり、前述の通り、熱源の個数、各熱源の位置及び大きさが時刻毎に格納されている。なお、熱源センサーによって熱源が確認されない場合は、「0」として格納される。
続いて、図4(e)は、気温センサーからの気温情報であり、気温センサーによって計測され信号処理部においてAD変換処理された気温が時刻毎に格納されている。
最後に、図4(f)は、照度センサーからの照度情報であり、照度センサーによって計測される信号情報は、信号処理部においてAD変換処理され、また、4段階に規格化されて室内の明るさとして格納されている。
【0029】
なお、計測値データベースに格納されている熱源情報、気温情報及び照度情報の各情報に関する計測値データに対する通常時情報である通常時基準データ及び異常時情報である異常時基準値データは、これらの計測値データと同様の態様で、時間情報とともに基準値データベースに格納されている。
ここで、基準値データベースへの通常時基準データ及び異常時基準値データの登録方法について簡単に説明する。
まず、電気機器センサー、熱源機器センサー、熱源センサー、気温センサー及び照度センサーでは、異常時情報の測定・設定は、かなり困難と考えられるので、通常時における計測値データのみを計測して登録する。火災が発生しない状態で、これらのセンサーの出力を好ましくは1週間以上の一定期間計測して、信号処理部において1週間分のデータとなるように平均化処理を行い、時間情報とともに基準値データベースにそれぞれのセンサーにおける通常時基準データとして格納する。なお、これらのセンサーが設置される機器等は季節によって使用状況が異なるので、四季に合わせて4種類のデータを登録するとよい。また、火災予防監視支援システムを設置する利用者宅における通常時情報の計測が好ましいが、実験用住宅等で計測したものを用いてもよい。
一方、雰囲気センサーでは、異常時情報に関する計測がある程度容易であるので、通常時情報と異常時情報の両方を計測してそれぞれ通常時基準データ、異常時基準値データとして登録する。
機器を利用していない状態、コンロで調理している状態、石油ストーブを使用している状態等を通常の状態として雰囲気センサーで計測し、計測されたセンサー出力電圧は信号処理部によってAD変換処理されて通常時情報に関する通常時基準データとして時間情報とともに格納される。
また、コンロで火炎が発生した状態、石油ストーブ上に衣服が落下して発火するまでの状態等を異常の状態として雰囲気センサーで計測し、通常時情報と同様に、計測されたセンサー出力電圧を信号処理部によってAD変換処理して異常時情報に関する異常時基準値データとして時間情報とともに格納する。
なお、雰囲気センサーの通常時情報及び異常時情報の計測は利用者宅で行わずに、実験用住宅で行うものとする。
また、基準値データベースへの通常時基準データ及び異常時基準値データの登録は、本システムの利用以前に行っておくことが好ましく、さらに、処理精度の向上を目的として、本システムの利用開始後に、信号処理部は、基準値データベースの登録内容を更新する学習機能を具備するようにしてもよい。
【0030】
次に、解析部について図5を用いて詳細に説明する。
図5は、本実施の形態に係る火災予防監視支援システムの解析部の演算処理のステップを示すフローチャートである。
図5において、解析部は、まず、ステップS1において、基準値データベースに格納され、火災予防監視支援システムに設置されるセンサーから検知される計測値データに対する通常時基準データ又は異常時基準値データを、評価しようとする計測値データの時間軸に符合するように時間情報をキーとして読み出す。なお、異常時基準値データは前述のとおり、熱源情報、気温情報及び照度情報の全ての情報に対して必ずしも計測できるものではないので、計測可能であるものについてのみ読み出すものとする。
【0031】
次に、ステップS2において、解析部は、読み出した通常時基準データ又は異常時基準値データの平均値と標準偏差を算出する。ここで、通常時基準値データ又は異常時基準値データをyij、平均値をm、標準偏差をsとする。但し、iはセンサーの種類であり、jはデータの時間情報を示すサンプル番号である。なお、時間情報を無次元化してサンプル番号とする処理は、信号処理部において行うものとする。また、読み出される通常時基準値データ又は異常時基準値データは加工しない状態の生データを用いるものとする。
【0032】
続いて、ステップS3において、解析部はデータの規準化を行う。このステップS3では、ステップS2において算出した平均値mと標準偏差sを用いて、通常時基準値データ又は異常時基準値データyijの規準化値Yijを式(1)から算出する。
【0033】
【数1】

【0034】
このとき、標準偏差が0のものについては標準偏差を0.1×10−6として計算する。
【0035】
次に、ステップS4において、解析部は基準空間の作成を行う。このステップS4では、まず、ステップS3において算出された規準化値を用いて、自己相関及び各々のセンサー間の相関を式(2)から算出する。ここで、pはサンプル番号であり、nはサンプル数である。
【0036】
【数2】

【0037】
そして、全ての相関係数を算出すると式(3)に示す相関行列が作成される。
【0038】
【数3】

【0039】
さらに、得られた相関行列について、逆行列R−1を算出する。得られる逆行列R−1を式(4)に示す。
【0040】
【数4】

【0041】
続いて、ステップS5において、解析部は、計測値データベースに格納され、火災予防監視支援システムに設置されるセンサーから検知される熱源情報又は気温情報又は照度情報に関する計測値データについて、評価対象とする時刻範囲の各計測値データを時間情報をキーとして読み出す。そして、読み出された各計測値データをy’とし、式(5)に示すようにベクトルで表す。なお、読み出される各計測値データは加工しない状態の生データを用いるものとする。
【0042】
【数5】

【0043】
次に、ステップS6において、解析部はデータの規準化を行う。このステップS6では、ステップS2において算出した通常時基準値データ又は異常時基準値データの平均値mと標準偏差sを用いて、熱源情報又は気温情報又は照度情報に関する計測値データの規準化値Y’を式(6)から算出する。
【0044】
【数6】

【0045】
以上より、計測値データは式(7)のように表される。
【0046】
【数7】

【0047】
そして、ステップS7において、解析部は、マハラノビス距離の算出を行う。マハラノビス距離Dは式(8)から算出される。
【0048】
【数8】

【0049】
なお、ここで、Y’ はY’の転置行列である。また、異常時基準値データが計測可能な場合には、通常時基準値データと異常時基準値データの両方のマハラノビス距離を算出する。
また、マハラノビス距離は、0から∞までの値を取り得るが、その値が1付近の小さな値であれば基準空間に属する確率が高く、逆に、マハラノビス距離が大きくなれば基準空間から外れている確率が高い。マハラノビス距離のこのような性質に基づいて、算出されるマハラノビス距離から類似度を求めることができる。演算された類似度あるいは非類似度は、解析部によってそれぞれ類似度データあるいは非類似度データとして火災危険度データベースに読み出し可能に格納される。
【0050】
次に、ステップS8において、解析部は、火災危険度の算出を行う。火災危険度の算出においては、センサーによって検知される計測値データに対して異常時基準値データが計測できない場合と計測できる場合の2通りの方法がある。
まず、異常時基準値データが計測できない場合は、火災危険度をQとすると、マハラノビス距離Dを用いて火災危険度Qは式(9)から算出される。
【0051】
【数9】

【0052】
次に、異常時基準値データが計測できる場合は、マハラノビス距離は通常時基準値データとのマハラノビス距離Dnormalと異常時基準値データとのマハラノビス距離Dabnormalの2種類が得られるので、火災危険度をQとすると、火災危険度Qは式(10)から算出される。
【0053】
【数10】

【0054】
さらに、火災危険度Qと火災危険度Qの両方が得られる場合は、総合的な火災危険度をQallとすると、火災危険度Qと火災危険度Qを用いて、式(11)により火災危険度Qallが算出される。演算された火災危険度は、いずれも解析部によって、火災危険度データとして火災危険度データベースに格納される。
【0055】
【数11】

但し、Q<0の場合は、Qは0とする。
【0056】
最後に、ステップS9において、火災危険度の判定を行う。このステップS9では、解析部は、火災危険度に対して予め設定される閾値と、ステップS8において算出された火災危険度とを比較して、火災危険度の判定を行い、結果を出力部に送信する。閾値は、例えば火災危険度データベースあるいは基準値データベースに格納しておき、解析部が読み出すようにするとよい。
なお、本実施の形態においては、ステップS1〜S4の後にステップS5及びS6を実行するように記載したが、これらのステップの順序は逆でもよい。
また、火災危険度は、本実施の形態においては、類似度あるいは非類似度を用いて、式(9)及び(10)で演算されるようにしているが、必ずしもこのような式によって求める必要はなく、類似度や非類似度を用いてさらに理解容易な数値で表現するものである。従って、類似度あるいは非類似度そのものが火災危険度として表現される場合もある。すなわち、火災危険度とは、類似度あるいは非類似度そのものを含む概念である。
【0057】
ここで、解析部において演算処理に用いられる計測値データベース及び基準値データベースに格納される各情報のデータの前処理加工について図6を用いて説明する。
解析部では、計測値データベース及び基準値データベースに格納される各情報に関するデータを用いて演算処理を行うが、このデータには、前述の通り、加工しない状態の生データを用いる方法以外にも、生データと過去に所望時間遡った時点におけるデータ、例えば1分前、2分前等の過去の値をデータとして用いる方法や、生データを波形情報として捉える方法がある。
生データと過去1分前、2分前等の過去の値をデータとして用いる方法では、生データを用いる方法に比べて、1台のセンサーにより複数の値が得られることによってデータの変化についても判別できるので、判別率の向上が期待できる。
また、生データを波形情報として捉える方法では、センサーのデータの一定量を波形の特徴量として求め、この特徴量データを用いて演算処理を行うものである。図6を参照しながら、生データを波形情報として捉える方法について説明する。
まず、センサーが計測するデータ幅において、値の最大値と最小値を求める。次に、その値の取り得る範囲内で分割したい数に分割をする。そして、その分割した各線における接点数とその線より上に滞在している間の時間を計測する。この接点数、滞在時間、最大値と最小値の差及び平均値を用いて波形情報の特徴量を表す。
図6は、波形情報の抽出状況の一例を示す概念図である。
図6において、波形情報は、分割数4、データ幅10の際の抽出状況を示しており、この波形情報を特徴量抽出した結果を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
このように表1に示す特徴量データを用いて演算処理を行うので、前記の2つの方法よりもさらに精度が向上すると考えられる。
【0060】
次に、出力部について図7を用いて説明する。
図7は、本実施の形態に係る火災予防監視支援システムによる火災危険度の結果の一例を出力装置を用いて表示した状態を示す概念図である。
出力部は、液晶やプラズマディスプレイあるいは有機ELを用いたディスプレイ等の出力装置を用いて解析部における演算結果を信号出力すると、例えば、図7に示すような画面を閲覧可能に表示することができる。図7において、火災危険度は、電気機器センサーによる火災危険度と雰囲気センサーによる火災危険度に分けて表示されており、さらに、これら2つの火災危険度から算出される全体の火災危険度が表示されている。このように、各火災危険度は棒グラフを用いて表示しているので、利用者は火災危険度を容易に把握できるようになっている。
また、解析部における火災危険度の判定において、火災危険度が設定される閾値を超えた場合は、出力部は、警告音を発生したり、注意を喚起するメッセージを表示したりすることもできるので、さらに、利用者は危険性を認知しやすくなっている。なお、電気機器センサーによる火災危険度と雰囲気センサーによる火災危険度のように火災危険度を分けて表示する場合は、各火災危険度に対して、警告音を変更したり、メッセージの内容を変更したりすることもできる。
なお、警告音や警告メッセージは、出力部が読み出し可能なように、予めデータベース6に格納しておく。
【0061】
このように構成された本実施の形態においては、利用者が日常生活において使用し、火災の原因となりうる電気機器や熱源機器、或いは、熱源自体からの情報を各種センサーを単独又は複数台を組み合わせて設置して計測し、得られる熱源情報と、利用者の経時的な生活パターンを計測して得られる熱源情報に対する通常時情報又は異常時情報との類似度を求めて火災危険度を算出するので、熱源情報の異変に係る微小変化を捉えることができ、火災が発生する前の「ヒヤリハット」の段階の火災危険度の定量化して、利用者に注意を喚起することができるため、未然に火災の発生を防止することができる。
また、室内の気温や照度を計測するセンサーを設置することにより、得られる気温情報及び照度情報を熱源情報に加えて類似度から火災危険度を評価することにより、さらに、利用者の生活パターンを反映し、精度の高い火災危険度の判定を行うことができる。
そして、判定精度が高いマハラノビス距離を用いて類似度を演算するので、得られる類似度から演算される火災危険度についても精度の高いものとなる。
以下、本実施の形態に係る火災予防監視支援システムについて実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0062】
実施例1では、電気機器センサー、気温センサー及び照度センサーを組み合わせて設置して熱源情報、気温情報及び照度情報に関する計測値データを検知し、得られたデータに基づいて火災危険度の判定を行った。
まず、解析部において、評価対象とする時間範囲の時間情報をキーとして各情報に対する通常時基準値データを読み出す。読み出した通常時基準値データを表2に示す。このようなデータテーブルの形式で基準値データベースに格納されている。
【0063】
【表2】

【0064】
なお、表2に示す通常時基準値データは、信号処理部において時間情報を無次元化してサンプル番号としている。また、電気機器センサーでは、熱源情報として電気ストーブと電子レンジのオンオフ状態が計測され、気温センサーでは、気温情報として室内温度が計測され、また、照度センサーでは、照度情報として4段階に評価された照度状態が計測されている。
次に、解析部では、表2に示すデータの平均値と標準偏差を算出する。算出された平均値と標準偏差を表3に示す。
【0065】
【表3】

【0066】
続いて、解析部において、表3に示す平均値と標準偏差を用いて、式(1)より表3に示すデータの規準化を行う。規準化を行った結果を表4に示す。
【0067】
【表4】

【0068】
そして、表4に示す規準化されたデータの相関行列Rを式(2)より算出し、さらに、相関行列Rから逆行列R−1を算出する。得られた相関行列Rを式(12)に、逆行列R−1を式(13)に示す。
【0069】
【数12】

【0070】
【数13】

【0071】
次に、解析部は、評価対象とする時間情報をキーとして、計測値データベースに格納される熱源情報、気温情報及び照度情報に関する計測値データを読み出して、詳細についての説明は省略するが、データの規準化を行う。
そして、解析部は規準化された各計測値データを用いて、式(8)よりマハラノビス距離を算出する。なお、マハラノビス距離は、時間情報に対して複数得られるので、ここでは、ある時間におけるマハラノビス距離を算出する。例えば、温度を20℃の設定で電気ストーブと照明を使用しているという状態で、各センサーの出力が、電気ストーブ=1、電子レンジ=0、照度=3、室内温度=20の場合、マハラノビス距離は17.539529となる。一方、電気ストーブを使用しているのに照明がついていないという状態で、各センサーの出力が、電気ストーブ=1、電子レンジ=0、照度=1、室内温度=20の場合では、マハラノビス距離は49563.56552となる。
このように、前者の通常の状態で生活している場合と、後者の人の存在が無く電気ストーブがついている場合では、マハラノビス距離に大きな差が認められ、後者の場合は火災が発生する前兆現象を示していることがわかる。この場合では、火災の発生による煙や炎、有毒ガスなどの情報、測定値は与えられておらず、これらとは全く無関係に有意な差が演算されている。
【0072】
さらに、解析部において、得られたマハラノビス距離を用いて、式(9)より火災危険度Qを算出する。
式(13)に示される逆行列を、式(8)に代入して、通常時のマハラノビス距離を演算すると12.440179となり、異常時のマハラノビス距離は165143.3932となる。式(13)に示される逆行列は、通常時基準値データを用いて得られた逆行列であり、式(8)に入力される計測値データは通常時におけるデータである。一方、異常時のマハラノビス距離は、計測値データとして異常時のデータを入力して得られたものである。
これら通常時及び異常時のマハラノビス距離を式(9)に代入することで、通常時の火災危険度Qは12.078852となり、異常時の火災危険度Qは46.951625となる。通常状態とそうでない状態の火災危険度Qには明確な差違が現れていることがわかる。
最後に、解析部では、任意に設定される火災危険度Qの閾値と、算出された火災危険度Qを比較して、火災危険度の評価を行う。閾値が例えば20である場合、12.078852となる火災危険度Qは正常と判定され、一方、46.951625となる火災危険度Qは異常と判定され、警告が表示されるように、出力部への信号送信が行われる。
このように各種センサーを設置して、計測される熱源情報や気温情報や照度情報と各情報の通常時情報との類似度あるいは非類似度としてのマハラノビス距離を演算し、さらに、マハラノビス距離から火災危険度を評価することによって、個々の利用者の生活パターンにおいて、微小な火災の発生の前兆現象を検知して、注意を喚起するとともに火災発生を未然に防止することができる。利用者毎に異なる生活パターンに対応させるようにカスタマイズすることが可能であり、従来の画一的なセンサーによる火災検知装置とは全く異なるものである。
【実施例2】
【0073】
実施例2では、雰囲気センサーを単独で設置して熱源としてストーブを例にとり、熱源情報に関する計測値データを測定し、得られたデータに基づいて火災危険度の判定を行った。
まず、解析部において、評価対象とする時間範囲の時間情報をキーとして各計測値データに対すると通常時基準値データと異常時基準値データを基準値データベースから読み出す。読み出した通常時基準値データと異常時基準値データを表5に示す。
【0074】
【表5】

【0075】
なお、表5に示すように、雰囲気センサーでは、通常時情報としてストーブ通常燃焼時の各ガス濃度を計測し、異常時情報としてストーブ異常燃焼時の各ガス濃度を計測し、信号処理部において時間情報を無次元化してサンプル番号とした。これらを基準値データベースに格納しておく。
次に、解析部では、表5に示すデータの平均値と標準偏差を算出する。算出された平均値と標準偏差を表6に示す。
【0076】
【表6】

【0077】
続いて、解析部において、表6に示す平均値と標準偏差を用いて、式(1)より表5に示すデータの規準化を行う。規準化を行った結果を表7に示す。
【0078】
【表7】

【0079】
そして、表7に示す規準化されたデータの相関行列Rを式(2)より算出し、さらに、相関行列Rから逆行列R−1を算出する。得られた通常時基準値データの相関行列をR、異常時基準値データの相関行列をRとし、各々式(14)及び式(15)に示す。また、得られた通常時基準値データの逆行列をR−1、異常時基準値データの逆行列をR−1とし、各々式(16)及び式(17)に示す。
【0080】
【数14】

【0081】
【数15】

【0082】
【数16】

【0083】
【数17】

【0084】
次に、解析部は、時間情報をキーとして、計測値データベースに格納される評価対象の熱源情報に関する計測値データを読み出して、詳細についての説明は省略するが、データの規準化を行い、規準化された計測値データを用いて、式(8)よりマハラノビス距離を算出する。
【0085】
ここで、算出されるマハラノビス距離について図8及び図9を用いて説明する。
図8は、実施例2において石油ストーブが正常に使用されている状態の計測値データと基準空間とのマハラノビス距離を示すグラフ図である。
図8において、石油ストーブが正常に使用されている場合では、通常時基準値データに基づく基準空間とのマハラノビス距離と、異常時基準値データに基づく基準空間とのマハラノビス距離とを比較すると、評価対象時間の一部において逆転している部分もあるが、ほぼ、通常時基準値データに基づく基準空間とのマハラノビス距離の方が小さくなっており、評価対象の計測値データは通常時基準値データに基づく基準空間に属すると判断できる。
一方、石油ストーブが異常に使用されている例として、石油ストーブの上に衣服が載置されて発火が起こった場合の熱源情報を計測して、この異常使用時の熱源情報と基準空間とのマハラノビス距離を算出した。
図9は、実施例2において石油ストーブが異常に使用されている状態の計測値データと基準空間とのマハラノビス距離を示すグラフ図である。
図9において、石油ストーブが異常に使用されている場合では、通常時基準値データに基づく基準空間とのマハラノビス距離と、異常時基準値データに基づくマハラノビス距離とを比較すると、評価対象時間の初期において逆転している部分もあるが、異常時基準値データに基づく基準空間とのマハラノビス距離の方が小さくなっており、評価対象の計測値データは異常時基準値データに基づく基準空間に属すると判断できる。
このように、雰囲気センサーからの熱源情報に関する計測値データに基づいてマハラノビス距離を算出すると、正常に使用している場合と、異常に使用している場合では、その計測値データが属する基準空間が明確となることがわかる。
【0086】
次に、解析部では、得られたマハラノビス距離を用いて、式(10)より火災危険度Qを算出する。ここでは、図8及び図9で得られたマハラノビス距離から算出した火災危険度Qを図10及び図11を用いて説明する。
図10は、実施例2において石油ストーブが正常に使用されている状態の計測値データと基準空間とのマハラノビス距離から求めた火災危険度を示すグラフ図であり、また、図11は、実施例2において石油ストーブが異常に使用されている状態の計測値データと基準空間とのマハラノビス距離から求めた火災危険度を示すグラフ図である。
図10において、火災危険度Qは評価時間範囲内において低い値をとっていることがわかる。一方、図11において、火災危険度Qは時間とともに急激に増加しており、火災が発生する可能性が高いことを示していることがわかる。
そして、最後に、解析部では、所望に設定される火災危険度Qの閾値と、算出された火災危険度Qを比較して、火災危険度の評価を行う。この場合、図10に示す火災危険度Qは正常と判定され、一方、図11に示す火災危険度Qは異常と判定され、警告が表示されるように、出力部への信号送信が行われる。閾値は、いずれも基準値データベースあるいは火災危険度データベースに予め設定して格納しておくとよい。
このように雰囲気センサーでは、火災の原因となる可能性の高い燃焼現象に伴うガス濃度変化を計測するので、得られる熱源情報と通常時情報及び異常時情報とのマハラノビス距離による火災危険度から、精度よく火災の発生の前兆現象を検知することができる。また、雰囲気センサーに電気機器センサー等の各種センサーを組み合わせると、より利用者の生活習慣に密着した火災予防監視支援システムをカスタマイズして提供することができる。
なお、本実施の形態においては、類似度を用いて火災危険度を演算するようにしたが、非類似度を用いても同様に火災危険度を演算することが可能である。また、適宜、センサーを組合せることによってより精度の高い火災危険度を演算することが可能である。
【0087】
次に、本発明の第2の実施の形態について図12を参照しながら説明する。(特に、請求項5に対応)
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る火災予防監視支援システムの構成図である。
図12において、本実施の形態では、解析部4で演算される火災危険度等の情報を出力部5及び情報発信部24を介して広域ネットワーク25に乗せて緊急通報センター26に通報したり、遠隔利用者の端末27において様々な情報を閲覧したりすることを可能とするシステムを構築するものである。
情報発信部24は、出力部5から解析部4で求めた火災危険度等の演算結果を受信して、遠隔地にいる利用者に送信するが、その際、出力部5あるいはこの情報発信部24によって、情報発信部24から広域ネットワーク25を経由して端末27に送信されるような信号の形式に変換される。また、遠隔地への接続は電話回線やインターネット等を利用し、有事の際には、情報発信部24から遠隔利用者の端末27や緊急通報センター26(ここでの緊急通報センターには、一般の大規模なものだけではなく、社会福祉協議会やボランティア団体による中小規模なものも含む。以下、同じ。)に連絡するので、利用者は早急な対応が可能となり、安全性が向上する。逆に、遠隔利用者からの問い合わせがあった場合には、情報発信部24は、火災危険度等の情報を随時伝えることができる。
【0088】
最後に、本発明の第3の実施の形態について図13を参照しながら説明する。(特に、請求項6に対応)
図13は、本発明の第3の実施の形態に係る火災予防監視支援システムの構成図である。図13において、本実施の形態では、信号処理部3で処理された後の情報信号を、情報発信部28を介して広域ネットワーク25に乗せて、遠隔地にある緊急通報センター26に設置された解析部4に送信し、解析部4で演算される火災危険度等の情報を出力部5及び情報発信部24を介して、再び広域ネットワーク25に乗せて遠隔利用者の端末27において様々な情報を閲覧したりすることを可能とするシステムである。
情報発信部24,28は、第2の実施の形態と同様に広域ネットワーク25を経由して解析部4や端末27に送信されるような信号の形式に変換される。
本実施の形態における効果は、第2の実施の形態の効果を発揮することに加えて、複数の利用者宅にセンサー2を設置し、これらの複数の利用者宅からの情報に対して、解析部4を1箇所に設けて集中的に処理し、さらに火災危険度等の演算結果を遠隔の利用者へ送信することが可能である。
すなわち、いわゆるサーバクライアント型の構成を取ることが多数の利用者に関する情報処理を効率的に行うことができる。
なお、本実施の形態では、センサー2と利用者を特定可能なIDコードを熱源情報、気温情報、照度情報及び時間情報に加えて管理する必要があるが、このIDコードは予めセンサー2に組み込んでおき、計測値データや通常時基準値データ、異常時基準値データにもこのIDコードを付しておき、このIDコードをキーとして、利用者やセンサー2の特定を行えるようにしておく。もちろん、広域ネットワーク25に計測値データや演算結果などの情報信号を乗せる場合においてもこのIDコードを付しておく。
第1の実施の形態及び第2の実施の形態においても、少なくとも複数のセンサー2を取り扱う場合には、センサー2毎にIDコードを付しておいて、センサー2から得られる計測値データや予め基準値データベース8に格納されるそのセンサー2に対する通常時基準値データや異常時基準値データに対してもIDコードを付しておいて、解析部4でそのIDコードをキーとして各センサー2に対応した解析を行い、さらに、各センサー2に対応させて類似度データや非類似度データ、さらに火災危険度データを取り扱うようにすることが望ましいことは言うまでもない。
【0089】
このように構成された第2及び第3の実施の形態においては、例えば、離れて暮らす高齢者がいる家庭や子供だけを家に残すことが多い共働きの家庭においては、火災危険度が増した場合には、その情報が伝達されるので、利用者の早急な対応によって火災の未然発生防止を強化することができる。
また、火災が発生した場合においても、緊急通報センター26に情報が伝達されるので、初期消火を可能とし、火災による被害を最小限に抑えることができる。
さらに、広域ネットワークを通じて多数の一般家庭やビル等の建築物などの情報を集中管理することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上説明したように、本発明の請求項1乃至請求項6に記載された発明は、日常生活の微小変化を捉えて火災の発生を未然に防止する火災予防監視支援システムを提供可能であり、一般家庭を始め、学校や病院等の公共施設やオフィスビル等あらゆる施設において使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の形態に係る火災予防監視支援システムの構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る火災予防監視支援システムのセンサーの設置状況を示す概念図である。
【図3】第1の実施の形態に係る火災予防監視支援システムの熱源センサーによる画像の一例を示す概念図である。
【図4】(a)乃至(f)は第1の実施の形態に係る火災予防監視支援システムの計測値データベースに格納される熱源情報、気温情報及び照度情報に関する計測値データを示す概念図である。
【図5】第1の実施の形態に係る火災予防監視支援システムの解析部の演算処理のステップを示すフローチャートである。
【図6】波形情報の抽出状況の一例を示す概念図である。
【図7】第1の実施の形態に係る火災予防監視支援システムによる火災危険度の結果の一例を出力装置を用いて表示した状態を示す概念図である。
【図8】実施例2において石油ストーブが正常に使用されている状態の熱源情報に関する計測値データと基準空間とのマハラノビス距離を示すグラフ図である。
【図9】実施例2において石油ストーブが異常に使用されている状態の熱源情報に関する計測値データと基準空間とのマハラノビス距離を示すグラフ図である。
【図10】実施例2において石油ストーブが正常に使用されている状態の熱源情報に関する計測値データと基準空間とのマハラノビス距離から求めた火災危険度を示すグラフ図である。
【図11】実施例2において石油ストーブが異常に使用されている状態の熱源情報に関する計測値データと基準空間とのマハラノビス距離から求めた火災危険度を示すグラフ図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る火災予防監視支援システムの構成図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る火災予防監視支援システムの構成図である。
【符号の説明】
【0092】
1…火災予防監視支援システム 2…センサー 3…信号処理部 4…解析部 5…出力部 6…データベース 7…計測値データベース 7a…計測値データ 8…基準値データベース 8a…通常時基準値データ 8b…異常時基準値データ 9…火災危険度データベース 9a…類似度データ 9b…非類似度データ 9c…火災危険度データ 10…室内 11…コンセント 12…電子レンジ 13…電気ストーブ 14…電気機器センサー 15…石油ストーブ 16…熱源機器センサー 17…タバコ 18…熱源センサー 19…雰囲気センサー 20…気温センサー 21…照度センサー 22…熱源 23…熱源 24…情報発信部 25…広域ネットワーク 26…緊急通報センター 27…端末 28…情報発信部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源に関する情報を計測可能な少なくとも1台のセンサーにより、火災の原因となる事象に関する火災危険度を定量的に評価するとともにその火災危険度に関する情報を出力する火災予防監視支援システムであって、前記熱源に関する情報を時間情報とともに計測する少なくとも1台のセンサーを備える検知部と、この検知部で計測された熱源に関する情報と時間情報を読み出し可能に格納する状況情報格納部と、前記検知部で計測された熱源に関する情報(以下、検知部で計測された熱源に関する情報を熱源情報という。)に対する通常時情報及び/又は異常時情報と時間情報を読み出し可能に格納する基準情報格納部と、前記状況情報格納部から時間情報をキーとして前記熱源情報を読み出し、前記基準情報格納部から時間情報をキーとして通常時情報及び/又は異常時情報を読み出して前記熱源情報と前記通常時情報及び/又は異常時情報の類似度又は非類似度から火災危険度を演算する解析部と、この解析部で得られた火災危険度に関する演算結果を信号出力する出力部とを有することを特徴とする火災予防監視支援システム。
【請求項2】
熱源に関する情報を計測可能な少なくとも1台のセンサーと、気温センサー及び/又は照度センサーにより、火災の原因となる事象に関する火災危険度を定量的に評価するとともにその火災危険度に関する情報を出力する火災予防監視支援システムであって、前記熱源に関する情報を時間情報とともに計測する少なくとも1台のセンサーと気温に関する情報を時間情報とともに計測する気温センサー及び/又は照度に関する情報を時間情報とともに計測する照度センサーを備える検知部と、この検知部で計測された熱源に関する情報と気温に関する情報及び/又は照度に関する情報と時間情報を読み出し可能に格納する状況情報格納部と、前記検知部で計測された熱源と気温及び/又は照度に関する情報(以下、検知部で計測された熱源に関する情報を熱源情報、気温に関する情報を気温情報、照度に関する情報を照度情報という。)の各々に対する通常時情報及び/又は異常時情報と時間情報を読み出し可能に格納する基準情報格納部と、前記状況情報格納部から時間情報をキーとして前記熱源情報と気温情報及び/又は照度情報を読み出し、前記基準情報格納部から時間情報をキーとして各情報の通常時情報及び/又は異常時情報を読み出して前記熱源情報と気温情報及び/又は照度情報と、各情報の前記通常時情報及び/又は異常時情報の類似度又は非類似度から火災危険度を演算する解析部と、この解析部で得られた火災危険度に関する演算結果を信号出力する出力部とを有することを特徴とする火災予防監視支援システム。
【請求項3】
前記熱源に関する情報を計測可能なセンサーは、電気機器の使用を電気的に検知する電気機器センサー、熱源機器の使用を熱的に検知する熱源機器センサー、熱源から発せられる光の位置と大きさを非接触で画像として光的に捉える熱源センサー、気体ガス濃度を化学的に検知する雰囲気センサーのうちいずれか1台又は複数台の組合せから構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の火災予防監視支援システム。
【請求項4】
前記解析部は、前記検知部で計測される情報と前記通常時情報及び/又は異常時情報の類似度をマハラノビス距離を演算して求めることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の火災予防監視支援システム。
【請求項5】
前記出力部から信号出力される演算結果を通信ネットワーク手段に送信する情報発信部と、前記通信ネットワーク手段を介して前記演算結果を受信して閲覧可能な端末部とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の火災予防監視支援システム。
【請求項6】
前記検知部から計測される情報を通信ネットワーク手段に送信する第1の情報発信部と、前記通信ネットワーク手段を介して接続される前記解析部と、前記出力部から信号出力される演算結果をさらに前記通信ネットワーク手段に送信する第2の情報発信部と、前記通信ネットワーク手段を介して前記演算結果を受信して閲覧可能な端末部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の火災予防監視支援システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−285702(P2006−285702A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−105546(P2005−105546)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(391016082)山口県 (54)
【Fターム(参考)】