説明

火災報知システム

【課題】火災感知器から返信される応答メッセージを受信装置で確実に受信する。
【解決手段】全ての火災感知器10において他の火災感知器10から送信された応答メッセージを受信して記憶しておく。何れかの火災感知器10の応答メッセージが無線中継器(受信装置)1で受信できなかった場合、当該火災感知器10の応答メッセージの転送を要求する転送要求メッセージを無線中継器1から全ての火災感知器10に対して同報送信する。転送要求メッセージに応じて、当該他の火災感知器10の応答メッセージを受信して記憶していた他の火災感知器10が応答メッセージを転送する。よって、火災感知器10から返信される応答メッセージを無線中継器1で確実に受信することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災を感知する複数の火災感知器と、火災感知器との間で電波を媒体とする無線通信を行う受信装置とを有する火災報知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、火災を感知する複数の火災感知器と、火災を感知した火災感知器から有線で送信される火災感知信号を受信する受信装置とを有する火災報知システムが種々提供されてきた。これに対して、既存の施設等に新たに導入する場合に火災感知器と受信装置との間の配線が不要になるという利点から、火災感知器と受信装置との間で無線通信を行うようにした火災報知システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、有線式又は無線式の何れの通信方式においても、複数の火災感知器が正常に動作していることを確認するために、受信装置から各火災感知器に対して定期的に返信要求メッセージを送信し、各火災感知器が自器の動作状態を示す応答メッセージを受信装置に返信し、応答メッセージに基づいて当該火災感知器で電池切れなどの故障が生じているか否かを判断している。
【0004】
ここで、火災報知システムの信頼性を向上するためには、上述のような定期的な送信要求メッセージと応答メッセージの交換をできるだけ頻繁に行う必要がある。例えば、EN規格(欧州統一規格)においては、300秒に1回の割合で上記メッセージ交換を行うことを義務づけた規格(EN54−25)が策定される予定である。
【0005】
ところで、定期的なメッセージ交換が上述のように頻繁に行われ、しかも、システムに含まれる火災感知器の台数が多ければ多いほど火災感知器同士の送信タイミングが重なって衝突が生じる確率が高くなるので、かかる衝突を回避する必要がある。そのために特許文献1に記載のものでは、無線通信に使用されるキャリアが検出されている間は無線信号の送信を行わずにキャリアが検出されていないときに無線信号を送信するキャリアセンス方式が採用されている。
【特許文献1】特許第2840367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、キャリアセンス方式では無線回路の送信/受信の切り替えに一定の時間を要するために完全に衝突を回避することはできない。そこで、他の衝突回避方法として受信装置と複数の火災感知器との間の無線通信を時分割多重アクセス(TDMA)方式で行うことが考えられる。つまり、TDMA方式であれば、複数の火災感知器がそれぞれ個別に割り当てられるタイムスロットでメッセージを送信するために衝突が回避できるものである。しかしながら、かかるTDMA方式を採用した場合においても、外部環境(外来ノイズや妨害波など)の影響によって火災感知器からのメッセージが受信装置で受信できない場合が起こり得る。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、火災感知器から返信される応答メッセージを受信装置で確実に受信することができる火災報知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、火災を感知する複数の火災感知器と、火災感知器との間で電波を媒体とする無線通信を行う受信装置とを有し、火災感知器は、火災に伴って発生する温度変化や煙を検出することで火災を感知する感知手段と、無線信号を送信する無線送信手段と、無線信号を受信する無線受信手段と、少なくとも感知手段で火災が感知されたときに無線送信手段を制御して火災感知情報を無線信号により送信させる制御手段とを備え、受信装置は、無線信号を送信する無線送信手段と、無線信号を受信する無線受信手段と、無線送信手段並びに無線受信手段を制御する制御手段とを備え、受信装置の制御手段は、所定の応答を要求する送信要求メッセージを全ての火災感知器に対して無線送信手段から定期的に無線信号で送信し、火災感知器の制御手段は、送信要求メッセージを受け取ったときに自器の動作状態を示す所定の応答メッセージを受信装置に対して無線送信手段から無線信号で返信し、受信装置並びに火災感知器の制御手段は、受信装置から火災感知器への1つの下り方向のタイムスロットと、各火災感知器毎に割り当てられた火災感知器から受信装置への複数の上り方向のタイムスロットとで構成されるフレームが一定数集まったスーパーフレームの中で送信要求メッセージと応答メッセージを交換する火災報知システムであって、受信装置の制御手段は、応答メッセージが受信できなかった火災感知器の当該応答メッセージの転送を要求する転送要求メッセージを全ての火災感知器に対して下り方向タイムスロットで無線送信手段から無線信号で送信し、火災感知器の制御手段は、他の火災感知器から送信され且つ無線受信手段で受信できた無線信号の応答メッセージを記憶し、受信装置から転送要求メッセージを受け取った場合、記憶している当該他の火災感知器の応答メッセージを自器に割り当てられている上り方向タイムスロットで無線送信手段から無線信号で送信することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、火災感知器の制御手段は、自器に割り当てられた上り方向タイムスロットより前の上り方向タイムスロットで転送要求メッセージに対する応答メッセージの無線信号を無線受信手段で受信したら自器に割り当てられた上り方向タイムスロットで無線信号を送信しないことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、無線受信手段で受信する無線信号の信号強度を検出する信号強度検出手段を受信装置に備え、受信装置の制御手段は、前回以前のスーパーフレームの中で応答メッセージが受信できなかった火災感知器と、当該火災感知器の応答メッセージを転送した他の複数の火災感知器のうちで信号強度検出手段で検出する信号強度が最も高い火災感知器との組み合わせを記憶し、今回以降のスーパーフレームの中で再度同じ火災感知器の応答メッセージが受信できなかったときは当該火災感知器との組み合わせを記憶している他の火災感知器に対してのみ転送要求メッセージを送信することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、受信装置の制御手段は、前回以前のスーパーフレームの中で応答メッセージが受信できなかった火災感知器と、当該火災感知器の応答メッセージを転送した他の複数の火災感知器との組み合わせを記憶し、今回以降のスーパーフレームの中で再度同じ火災感知器の応答メッセージが受信できなかったときは当該火災感知器との組み合わせを記憶している何れか1つの他の火災感知器に対してのみ転送要求メッセージを送信するとともに転送要求メッセージの送信先とする他の火災感知器をスーパーフレーム毎に順次交代することを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、上記目的を達成するために、火災を感知する複数の火災感知器と、火災感知器との間で電波を媒体とする無線通信を行う受信装置とを有し、火災感知器は、火災に伴って発生する温度変化や煙を検出することで火災を感知する感知手段と、無線信号を送信する無線送信手段と、無線信号を受信する無線受信手段と、少なくとも感知手段で火災が感知されたときに無線送信手段を制御して火災感知情報を無線信号により送信させる制御手段とを備え、受信装置は、無線信号を送信する無線送信手段と、無線信号を受信する無線受信手段と、無線送信手段並びに無線受信手段を制御する制御手段とを備え、受信装置の制御手段は、所定の応答を要求する送信要求メッセージを全ての火災感知器に対して無線送信手段から定期的に無線信号で送信し、火災感知器の制御手段は、送信要求メッセージを受け取ったときに自器の動作状態を示す所定の応答メッセージを受信装置に対して無線送信手段から無線信号で返信し、受信装置並びに火災感知器の制御手段は、受信装置から火災感知器への1つの下り方向のタイムスロットと、各火災感知器毎に割り当てられた火災感知器から受信装置への複数の上り方向のタイムスロットとで構成されるフレームが一定数集まったスーパーフレームの中で送信要求メッセージと応答メッセージを交換する火災報知システムであって、各火災感知器毎に当該火災感知器と他の1乃至複数の火災感知器との組み合わせを記憶する記憶手段を受信装置に備え、受信装置の制御手段は、応答メッセージが受信できなかった火災感知器と組み合わされた他の火災感知器を記憶手段から検索し、当該応答メッセージの転送を要求する転送要求メッセージを当該他の火災感知器に対して下り方向タイムスロットで無線送信手段から無線信号で送信し、転送要求メッセージを受け取った他の火災感知器の制御手段は、前記火災感知器から送信された無線信号を無線受信手段で受信し且つ記憶していた応答メッセージを自器に割り当てられている上り方向タイムスロットで無線送信手段から無線信号で送信することを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、受信装置の記憶手段に記憶する火災感知器の組み合わせは、火災感知器同士の見通し距離若しくは無線信号の信号強度に基づいて決定されることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項5の発明において、受信装置の記憶手段に記憶する火災感知器の組み合わせは、一の火災感知器と当該火災感知器の周囲に設置される複数の他の火災感知器との組み合わせからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、各火災感知器が他の火災感知器の応答メッセージを受信して記憶し、受信装置で何れかの火災感知器の応答メッセージを受け取ることができなかった場合に当該火災感知器の応答メッセージの転送を要求する転送要求メッセージを全ての火災感知器に対して送信し、当該要求に応じて他の火災感知器から受信装置に応答メッセージが転送されるので、火災感知器から返信される応答メッセージを受信装置で確実に受信することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、他の複数の火災感知器が転送要求メッセージに対する応答メッセージの転送を重複して行わないので、トラフィックを減少させることができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、応答メッセージの受信ミスが同じ火災感知器で再び発生した場合、初回の受信ミスにおいて当該火災感知器の応答メッセージを転送した実績のある他の火災感知器のうちで信号強度が最も高い火災感知器に対して転送要求メッセージを送信し、当該他の火災感知器のみが応答メッセージを転送するので、応答メッセージを受信装置でより確実に受信できるとともにトラフィックを減少させることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、応答メッセージの受信ミスが同じ火災感知器で再び発生した場合、初回の受信ミスにおいて当該火災感知器の応答メッセージを転送した実績のある他の火災感知器に対して転送要求メッセージを送信し、当該他の火災感知器のみが応答メッセージを転送するので、応答メッセージを受信装置でより確実に受信できるとともにトラフィックを減少させることができ、しかも、転送要求メッセージの送信先の火災感知器を順次交代させるから、特定の火災感知器のトラフィックのみが増大するのを防ぐことができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、各火災感知器が予め組み合わされた他の火災感知器の応答メッセージを受信して記憶し、受信装置で何れかの火災感知器の応答メッセージを受け取ることができなかった場合に当該火災感知器の応答メッセージの転送を要求する転送要求メッセージを組み合わされた他の火災感知器に対して送信し、当該要求に応じて他の火災感知器から受信装置に応答メッセージが転送されるので、火災感知器から返信される応答メッセージを受信装置で確実に受信することができる。なお、前記組み合わせは、請求項6の発明のように、火災感知器同士の見通し距離若しくは無線信号の信号強度に基づいて決定するか、あるいは、請求項7の発明のように、一の火災感知器とその周囲に設置される複数の他の火災感知器とを組み合わせることが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0021】
図2は本実施形態のシステム構成図であり、それぞれに複数台の火災感知器10との間で無線通信を行う複数台の受信装置(無線中継器1)が信号線Lsを介して中央監視盤100に接続されることで火災報知システムが構成されている。すなわち、火災感知器10から送信される火災感知情報が無線中継器1から信号線Lsを介して中央監視盤100に伝送され、中央監視盤100の制御の下で警報音の鳴動や火災発生場所の報知、消防署への通報等の必要な対処が行われるものである。なお、以下では、複数台の火災感知器10を個別に示す場合は火災感知器101,102,…,10と表記し、総括して示す場合は火災感知器10と表記する。
【0022】
火災感知器10は、例えば施設の天井に設置されるものであって、図1に示すように火災に伴って発生する温度変化や煙を検出することで火災を感知する感知手段(図示せず)と、電波を媒体とする無線信号を送受信するためのアンテナ11と、後述するデータフォーマットを規定の周波数の搬送波に変調してアンテナ11に出力する感知器送信手段12と、アンテナ11で受信した無線信号からデータフォーマットを復調する感知器受信手段13と、感知器送信手段12並びに感知器受信手段13を制御して後述する火災感知情報や返信要求メッセージ並びに応答メッセージを無線信号により授受する感知器制御手段14とを備える。感知器制御手段14はマイコンとEEPROMなどの不揮発性メモリを主構成要素とし、不揮発性メモリに格納されているプログラムを実行することで後述する各種の処理を実行するものである。なお、各火災感知器10には固有のアドレスが製造時若しくは施工時に付与され、感知器制御手段14の不揮発性メモリに格納されている。
【0023】
一方、無線中継器1は、例えば火災感知器10との通信圏内に設置され、施設の管理室などに設置される中央監視盤100と信号線Lsで接続されるものであって、図1に示すように無線信号を送受信するためのアンテナ2と、データフォーマットを規定の周波数の搬送波に変調してアンテナ2に出力する中継器送信手段3と、アンテナ2で受信した無線信号からデータフォーマットを復調する中継器受信手段4と、中継器送信手段3並びに中継器受信手段4を制御して火災感知情報や返信要求メッセージ並びに応答メッセージを無線信号により授受する中継器制御手段5とを備える。中継器制御手段5はマイコンとEEPROMなどの不揮発性メモリを主構成要素とし、不揮発性メモリに格納されているプログラムを実行することで後述する各種の処理を実行するものである。なお、無線中継器1にも火災感知器10と異なる固有のアドレスが製造時若しくは施工時に付与され、中継器制御手段5の不揮発性メモリに格納されている。
【0024】
ここで、無線中継器1と火災感知器10との間の無線通信には免許が不要な周波数を利用する。例えば、日本では小電力セキュリティや特定小電力無線規格、米国ではFCC Regulations Part15 SubpartC、欧州ではShort Range Device規格に準拠した無線特性を満足しなければならない。
【0025】
無線中継器1と火災感知器10との間で授受されるデータのデータフォーマットを図3に示す。このデータフォーマットは、1と0が交番する32ビットのプリアンブル(ビット同期パターン)PRと、規定のビット列からなる16ビットのユニークワード(フレーム同期パターン)UWと、1台の無線中継器1並びにその無線中継器1と無線通信する複数台の火災感知器10からなるサブシステムに割り当てられる32ビットの固有のID(システムID)SysIDと、各火災感知器10に割り当てられた8ビットの固有のID(感知器ID)NodeIDと、16ビットのメッセージMsgと、16ビットの誤り検出符号CRCとで構成される。すなわち、火災感知器10の固有アドレスはシステムID+感知器IDとなり、無線中継器1の固有アドレスはシステムIDとなる。
【0026】
無線中継器1がサブシステム内の特定の火災感知器10を指定してメッセージを送信する場合は、データフォーマットの感知器IDに当該火災感知器10の感知器IDを指定し、サブシステム内の全ての火災感知器10に対してメッセージを同報送信する場合は、データフォーマットの感知器IDに「0」を指定して送信すればよい。また火災感知器10が無線中継器1に対して返信する場合、自器の感知器IDをデータフォーマットの感知器IDに設定して送信すればよい。
【0027】
一方、無線信号を受信した火災感知器10並びに無線中継器1では、感知器受信手段13および中継器受信手段4において受信信号を増幅し且つデータフォーマットを復調して感知器制御手段14および中継器制御手段5に出力する。感知器制御手段14および中継器制御手段5では、感知器受信手段13および中継器受信手段4で復調されたデータをマイコンが具備するデジタルの入力ポートでサンプリングし、プリアンブルPRの受信中にビットタイミングを抽出して、次に連続する16ビット分の受信ビットを規定のユニークワードと一致するまで1ビットずつシフトすることでユニークワードを検出する。さらに感知器受信手段13および中継器受信手段4は、受信したシステムIDと感知器IDを不揮発性メモリに格納されている固有アドレスと照合し、これらが一致し且つビット誤りが検出されなかった場合にメッセージMsgを受理する。
【0028】
ところで本実施形態においては、無線中継器1と複数の火災感知器10との間の無線通信を時分割多重アクセス(TDMA)方式で行っている。すなわち、図4に示すように1つの下り方向(無線中継器1→火災感知器10)のタイムスロットBと、複数(図示例では99)の上り方向(火災感知器10→無線中継器1)のタイムスロットD1〜D99とからなる複数(図示例では30)のフレームF1〜F30を集めてスーパーフレームSFを構成し、各フレームF1〜F30における上り方向のタイムスロットD1〜D99を各火災感知器10に個別に割り当てることによって、定期的なメッセージ交換(返信要求メッセージと応答メッセージの交換)の間隔が相対的に短い場合、例えば、上述のEN規格における300秒に1回というような場合であっても、火災感知器10から送信される無線信号同士の衝突を確実に回避することができる。下り方向及び上り方向のタイムスロットB,Di(i=1〜99)は周期が100ミリ秒であり、その内訳は上記データフォーマットに50ミリ秒、無線中継器1の中継器送信手段3並びに火災感知器10の感知器送信手段12が起動し安定した搬送波周波数で送信可能となるまでの時間(起動時間)に20ミリ秒、ガードタイムに前後各々15ミリ秒ずつが割り当てられている。なお、ガードタイムは火災感知器10と無線中継器1の動作クロック周波数(感知器制御手段14並びに中継器制御手段5を構成するマイコンの動作クロック周波数)の誤差に起因するタイミングの差を吸収するための空き時間である。また、各火災感知器10に対する上り方向のタイムスロットD1〜D99の割り当ては、例えば、火災感知器10に設けたディップスイッチによって設定したり、製造工程において感知器制御手段14の不揮発性メモリに予め格納しておいたり、あるいは、設置時に無線通信を用いて無線中継器1から順番に各火災感知器10に割り当てて感知器制御手段14の不揮発性メモリに格納するなどの方法で行えばよい。
【0029】
次に、本実施形態の動作を説明する。最初に、無線中継器1から全ての火災感知器10に対して返信要求メッセージを定期的に送信し、各火災感知器10から返信される応答メッセージを無線中継器1で受信することによって、各火災感知器10が正常に動作しているか否かを確認する動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0030】
電源がオンされると無線中継器1の中継器制御手段5はスーパーフレームSFの先頭のフレームF1の下り方向タイムスロットBにおいて、データフォーマットの感知器IDを「0」に設定し、メッセージMsgとして返信要求メッセージを全ての火災感知器10に向けて同報送信する。一方、火災感知器10では、電源オン直後に感知器制御手段14が感知器受信手段13を起動し、同期信号(返信要求メッセージ)を受信するまでの間は連続受信状態とする(図5のステップS1,S2)。返信要求メッセージが受信できれば、火災感知器10の感知器制御手段14は、マイコンに内蔵された第1のタイマ、第2のタイマ、第3のタイマを起動する(図5のステップS3)。第1のタイマは、先頭のフレームF1における下り方向タイムスロットBが終了した時点から当該スーパーフレームSFが終了するまでの時間(例えば、フレームF1〜F30が各々10秒、スーパーフレームSFが300秒、下り及び上りの各方向のタイムスロットが100ミリ秒とすれば、300−0.1=299.9秒)をカウントする。また第2のタイマは、各フレームFk(k=1〜30)において下り方向タイムスロットBが終了した時点から各火災感知器10に個別に割り当てられた上り方向タイムスロットDi(i=1〜99)の開始時点までの時間(例えば、0.1×(上り方向タイムスロットDiの番号i−1))をカウントする。さらに第3のタイマは、各フレームFk(k=1〜30)において下り方向タイムスロットBが終了した時点から当該フレームFkが終了する時点までの時間(例えば、10−0.1=9.9秒)をカウントする。
【0031】
各火災感知器10の感知器制御手段14では、第2のタイマのカウントが終了するまで感知器受信手段13を動作させて自器に割り当てられた上り方向タイムスロットより前の上り方向タイムスロットで無線信号を受信して他の火災感知器10からの応答メッセージを取得し、さらに取得した応答メッセージを当該他の火災感知器10の感知器IDと対応づけて不揮発性メモリに記憶する(図5のステップ4)。また感知器制御手段14においては、第2のタイマのカウントが終了することで自器に割り当てられた上り方向タイムスロットDiの開始時点を決定することができ、割り当てられた上り方向タイムスロットDiで無線中継器1の返信要求メッセージに対する自器の応答メッセージを感知器送信手段12から送信させ、その後、マイコンに内蔵された第4のタイマを起動し(図5のステップS5,S6)、さらに感知器受信手段13を動作させて自器に割り当てられた上り方向タイムスロットより後の上り方向タイムスロットで無線信号を受信して他の火災感知器10からの応答メッセージを取得するとともに、取得した応答メッセージを当該他の火災感知器10の感知器IDと対応づけて不揮発性メモリに記憶する(図5のステップ7)。なお、第4のタイマは、あるフレームFkにおいて自器に割り当てられた上り方向タイムスロットDiの終了時点から次のフレームFk+1において自器に割り当てられた上り方向タイムスロットDiの開始時点までの時間(例えば、10−0.1=9.9秒)をカウントする。
【0032】
一方、無線中継器1の中継器制御手段5は、返信要求メッセージを送信した先頭フレームF1における上り方向タイムスロットD1〜D99で各火災感知器10から返信される応答メッセージを受信する。応答メッセージの内容は、火災感知器10における異常(例えば、電池電圧がしきい値以下まで低下、あるいは感知部11の動作不良など)の有無であり、異常有りの応答メッセージを返信した火災感知器10の感知器IDを信号線Lsを介して中央監視盤100に伝送してシステム管理者に知らせるようになっている。
【0033】
火災感知器10の感知器制御手段14は、第3のタイマが終了したら感知器受信手段13を動作させることにより2番目のフレームF2における下り方向タイムスロットBを受信する(図5のステップS8,S9)。
【0034】
ところで、火災感知器10が正常であっても外来ノイズや妨害波などの影響により無線中継器1で火災感知器10からの応答メッセージが受信できない場合が起こり得る。例えば、2番目の上り方向タイムスロットD2の応答メッセージが無線中継器1で受信できなかったとすれば、無線中継器1の中継器制御手段5は、応答メッセージが受信できなかった上り方向タイムスロットD2が割り当てられている火災感知器102の感知器IDに対応する応答メッセージの転送を要求する転送要求メッセージをデータフォーマットのメッセージMsgとして、2番目のフレームF2の下り方向タイムスロットBで全ての火災感知器10に対して同報送信する。
【0035】
ここで、全ての火災感知器10からの応答メッセージが正常に無線中継器1で受信されていれば、2番目のフレームF2における下り方向タイムスロットBで転送要求メッセージを受信しないはずである。従って、火災感知器10の感知器制御手段14では転送要求メッセージを受信しなかった場合(図5のステップS10)、第1のタイマが終了するまで感知器送信手段12並びに感知器受信手段13の動作を停止し(図5のステップS11)、第1のタイマが終了して次のスーパーフレームSFが開始されたら、再び感知器送信手段12を動作させることにより先頭のフレームF1における下り方向タイムスロットBを受信し(図5のステップS12)、第1〜第3のタイマを起動して上述の処理を各スーパーフレームSF毎に繰り返す。
【0036】
一方、2番目のフレームF2における下り方向タイムスロットBで転送要求メッセージを受理した場合、他の火災感知器101,103,…の感知器制御手段14は、転送要求メッセージに含まれる感知器IDに対応する応答メッセージが不揮発性メモリに記憶されているか否かを調べ、記憶されていれば当該応答メッセージを読み出した後に第4のタイマが終了するまで待機し(図5のステップS13)、第4のタイマが終了したら、2番目のフレームF2において自器に割り当てられている上り方向タイムスロット(D1,D3,…)で読み出した応答メッセージを送信(転送)する(図5のステップS14)。なお、感知器制御手段14では、無線中継器1から転送要求メッセージを受け取ったフレーム(例えば、F2)においてはステップS13,S14の処理を繰り返し、転送要求メッセージを受け取らなかったフレーム(例えば、F3)から最後のフレームF30まで、すなわち、次のスーパーフレームSFが始まるまでは感知器送信手段12並びに感知器受信手段13の動作を停止させる。
【0037】
次に、何れかの火災感知器10で火災を感知した場合の動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。なお、火災を感知した場合に火災感知器10の制御部13が行う以下の処理は、常時に繰り返し行う上記処理(図5のフローチャートで示したメインルーチン)に対する割り込み処理(サブルーチン)である。
【0038】
火災感知器10の感知器制御手段14は、図示しない感知手段で火災を感知したら第2のタイマのカウント中であるか否かを判断する(図6のステップS1)。つまり、第2のタイマがカウント中であれば、当該フレームFkにおいて割り当てられた上り方向タイムスロットDiがまだ経過していないから、第2のタイマが終了した時点で自器に割り当てられた上り方向タイムスロットDiにより火災感知情報をメッセージMsgとして無線中継器1に送信し、送信後に第4のタイマを起動する(図6のステップS2,S3)。また、第2のタイマがカウント中でなければ当該フレームFkにおいて割り当てられた上り方向タイムスロットDiが既に経過しているから、感知器制御手段14は第4のタイマが終了した時点、すなわち、次のフレームFk+1において割り当てられた上り方向タイムスロットDiにより火災感知情報をメッセージMsgとして無線中継器1に送信し、送信後に第4のタイマを起動する(図6のステップS7,S3)。
【0039】
火災感知器10から火災感知情報を受信した無線中継器1の中継器制御手段5は、信号線Lsを介して中央監視盤100に火災感知情報を伝送するとともに、火災感知情報の送信元の火災感知器10の感知器IDを指定し、火災感知情報を受信したことを示す受信完了メッセージをメッセージMsgとして、火災感知情報を受信したフレームFk(又はFk+1)の次のフレームFk+1(又はFk+2)における下り方向タイムスロットBで送信する。
【0040】
火災感知情報を送信した火災感知器10の感知器制御手段14では、第3のタイマが終了したら感知器受信手段13を動作させることにより次のフレームFk+1(又はFk+2)における下り方向タイムスロットBを受信するとともに、第3のタイマを再び起動する(図6のステップS4,S5)。さらに感知器制御手段14は、当該下り方向タイムスロットBで無線中継器1から受信完了メッセージを受信すれば火災感知情報の再送信は行わずにメインルーチン(図5のフローチャート)に戻る。しかしながら、外来ノイズや妨害波などの影響により無線中継器1で火災感知器10からの火災感知情報が受信できなければ受信完了メッセージが無線中継器1から送信されないので、感知器制御手段14は、受信完了メッセージを受信しなければさらに次のフレームFk+2(又はk+3)において自器に割り当てられた上り方向タイムスロットで火災感知情報を再度送信し(図6のステップS8)、無線中継器1から受信完了メッセージを受信するまで火災感知情報の再送信を繰り返して無線中継器1に確実に火災発生を知らせるようにしている。すなわち、感知手段で火災を感知した火災感知器10が、遅くとも火災を感知した時点のフレームFkの次のフレームFk+1で火災感知情報を無線中継器1に送信するので、火災を感知してからフレーム周期の10秒以内に火災感知情報を無線中継器1に送信することができて、欧州のEN規格(EN54−25)の規格値(検出から10秒以内)を満足させることができる。
【0041】
上述のように本実施形態によれば、全ての火災感知器10において他の火災感知器10から送信された応答メッセージを受信して記憶しておき、何れかの火災感知器10の応答メッセージが無線中継器1で受信できなかった場合に、当該火災感知器10の応答メッセージの転送を要求する転送要求メッセージを無線中継器1から全ての火災感知器10に対して同報送信し、転送要求メッセージに応じて、当該他の火災感知器10の応答メッセージを受信して記憶していた他の火災感知器10が応答メッセージを転送するので、火災感知器10から返信される応答メッセージを無線中継器1で確実に受信することができる。
【0042】
ところで、本実施形態では該当する応答メッセージを記憶している他の全ての火災感知器10から転送要求メッセージに応じて応答メッセージを転送しているが、他の火災感知器10が応答メッセージを転送する無線信号を感知器受信手段13で受信した場合、感知器制御手段14が自器に割り当てられた上り方向タイムスロットでの応答メッセージの転送を行わないようにすれば、複数台の火災感知器10が転送要求メッセージに対する応答メッセージの転送を重複して行わないのでトラフィックを減少させることができる。
【0043】
また、例えば同一の火災感知器102において無線中継器1で応答メッセージが受信できない状況が続いた場合、無線中継器1の中継器制御手段5では、初回の転送要求メッセージに対して他の火災感知器101,103,…が転送した応答メッセージ(無線信号)の信号強度を計測し、そのうちで信号強度が最も高い火災感知器(例えば、103)との組み合わせを不揮発性メモリに記憶しておき、2回目以降の転送要求メッセージを信号強度が最も高いとして組み合わされた1台の火災感知器103に対してだけ送信し、当該1台の火災感知器103のみが応答メッセージを転送するように構成すれば、毎回複数台の火災感知器101,103,…に応答メッセージを転送させるよりも、応答メッセージを無線中継器1でより確実に受信できるとともにトラフィックを減少させることができる。
【0044】
あるいは、応答メッセージが受信された無かった火災感知器(例えば、102)と、初回の転送要求メッセージに対して応答メッセージを転送した他の火災感知器101,103,…との組み合わせを中継器制御手段5が不揮発性メモリに記憶しておき、2回目以降の転送要求メッセージについては記憶した組み合わせから順番に選択した1台、例えば、1回目は火災感知器101、2回目は火災感知器103に対してだけ送信し、当該1台の火災感知器101,103,…のみが応答メッセージを転送するように構成すれば、応答メッセージを無線中継器1でより確実に受信できるとともにトラフィックを減少させることができ、しかも、転送要求メッセージの送信先の火災感知器10を順次交代させるから、特定の火災感知器10のトラフィックのみが増大するのを防ぐことができる。
【0045】
ところで、各火災感知器10について、応答メッセージが無線中継器1で受信されなかったときにその火災感知器10の応答メッセージを転送する他の火災感知器10との組み合わせ、例えば、火災感知器101と102、102と103、…というような1台ずつのペア、あるいは101に対して102と103、102に対して103と104、…というように1台について複数台の組み合わせを予め決めて中継器制御手段5の不揮発性メモリに記憶しておき、何れかの火災感知器10からの応答メッセージが受信できなかった場合、中継器制御手段5が不揮発性メモリに記憶している当該火災感知器10と組み合わせされた何れか1台の火災感知器10に対してのみ転送要求メッセージを送信し、当該火災感知器10のみが応答メッセージを転送するように構成することも可能である。この場合、各火災感知器10の感知器制御手段14は、自器に割り当てられた上り方向タイムスロット以外の全ての上り方向タイムスロットを全て受信する必要はなく、組み合わされた1乃至複数台の火災感知器10に割り当てられている上り方向タイムスロットのみを受信して応答メッセージを記憶しておけばよい。
【0046】
なお、中継器制御手段5が不揮発性メモリに記憶する火災感知器10の前記組み合わせは、設置状態における火災感知器10同士の見通し距離、若しくは火災感知器10が他の火災感知器10の無線信号を受信したときの信号強度に基づいて決定するか、あるいは、1台の火災感知器10とその周囲に設置される複数台の他の火災感知器10とを組み合わせることが望ましく、1台の火災感知器10に対して複数台の火災感知器10を組み合わせれば、より確実に応答メッセージを転送させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上のシステム構成図である。
【図3】同上におけるデータフォーマットの説明図である。
【図4】同上におけるスーパーフレームの構成図である。
【図5】同上における定期的なメッセージ交換の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】同上における火災感知時の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1 無線中継器(受信装置)
5 中継器制御手段
10 火災感知器
12 感知器送信手段
13 感知器受信手段
14 感知器制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災を感知する複数の火災感知器と、火災感知器との間で電波を媒体とする無線通信を行う受信装置とを有し、
火災感知器は、火災に伴って発生する温度変化や煙を検出することで火災を感知する感知手段と、無線信号を送信する無線送信手段と、無線信号を受信する無線受信手段と、少なくとも感知手段で火災が感知されたときに無線送信手段を制御して火災感知情報を無線信号により送信させる制御手段とを備え、
受信装置は、無線信号を送信する無線送信手段と、無線信号を受信する無線受信手段と、無線送信手段並びに無線受信手段を制御する制御手段とを備え、
受信装置の制御手段は、所定の応答を要求する送信要求メッセージを全ての火災感知器に対して無線送信手段から定期的に無線信号で送信し、
火災感知器の制御手段は、送信要求メッセージを受け取ったときに自器の動作状態を示す所定の応答メッセージを受信装置に対して無線送信手段から無線信号で返信し、
受信装置並びに火災感知器の制御手段は、受信装置から火災感知器への1つの下り方向のタイムスロットと、各火災感知器毎に割り当てられた火災感知器から受信装置への複数の上り方向のタイムスロットとで構成されるフレームが一定数集まったスーパーフレームの中で送信要求メッセージと応答メッセージを交換する火災報知システムであって、
受信装置の制御手段は、応答メッセージが受信できなかった火災感知器の当該応答メッセージの転送を要求する転送要求メッセージを全ての火災感知器に対して下り方向タイムスロットで無線送信手段から無線信号で送信し、
火災感知器の制御手段は、他の火災感知器から送信され且つ無線受信手段で受信できた無線信号の応答メッセージを記憶し、受信装置から転送要求メッセージを受け取った場合、記憶している当該他の火災感知器の応答メッセージを自器に割り当てられている上り方向タイムスロットで無線送信手段から無線信号で送信することを特徴とする火災報知システム。
【請求項2】
火災感知器の制御手段は、自器に割り当てられた上り方向タイムスロットより前の上り方向タイムスロットで転送要求メッセージに対する応答メッセージの無線信号を無線受信手段で受信したら自器に割り当てられた上り方向タイムスロットで無線信号を送信しないことを特徴とする請求項1記載の火災報知システム。
【請求項3】
無線受信手段で受信する無線信号の信号強度を検出する信号強度検出手段を受信装置に備え、
受信装置の制御手段は、前回以前のスーパーフレームの中で応答メッセージが受信できなかった火災感知器と、当該火災感知器の応答メッセージを転送した他の複数の火災感知器のうちで信号強度検出手段で検出する信号強度が最も高い火災感知器との組み合わせを記憶し、今回以降のスーパーフレームの中で再度同じ火災感知器の応答メッセージが受信できなかったときは当該火災感知器との組み合わせを記憶している他の火災感知器に対してのみ転送要求メッセージを送信することを特徴とする請求項1記載の火災報知システム。
【請求項4】
受信装置の制御手段は、前回以前のスーパーフレームの中で応答メッセージが受信できなかった火災感知器と、当該火災感知器の応答メッセージを転送した他の複数の火災感知器との組み合わせを記憶し、今回以降のスーパーフレームの中で再度同じ火災感知器の応答メッセージが受信できなかったときは当該火災感知器との組み合わせを記憶している何れか1つの他の火災感知器に対してのみ転送要求メッセージを送信するとともに転送要求メッセージの送信先とする他の火災感知器をスーパーフレーム毎に順次交代することを特徴とする請求項1記載の火災報知システム。
【請求項5】
火災を感知する複数の火災感知器と、火災感知器との間で電波を媒体とする無線通信を行う受信装置とを有し、
火災感知器は、火災に伴って発生する温度変化や煙を検出することで火災を感知する感知手段と、無線信号を送信する無線送信手段と、無線信号を受信する無線受信手段と、少なくとも感知手段で火災が感知されたときに無線送信手段を制御して火災感知情報を無線信号により送信させる制御手段とを備え、
受信装置は、無線信号を送信する無線送信手段と、無線信号を受信する無線受信手段と、無線送信手段並びに無線受信手段を制御する制御手段とを備え、
受信装置の制御手段は、所定の応答を要求する送信要求メッセージを全ての火災感知器に対して無線送信手段から定期的に無線信号で送信し、
火災感知器の制御手段は、送信要求メッセージを受け取ったときに自器の動作状態を示す所定の応答メッセージを受信装置に対して無線送信手段から無線信号で返信し、
受信装置並びに火災感知器の制御手段は、受信装置から火災感知器への1つの下り方向のタイムスロットと、各火災感知器毎に割り当てられた火災感知器から受信装置への複数の上り方向のタイムスロットとで構成されるフレームが一定数集まったスーパーフレームの中で送信要求メッセージと応答メッセージを交換する火災報知システムであって、
各火災感知器毎に当該火災感知器と他の1乃至複数の火災感知器との組み合わせを記憶する記憶手段を受信装置に備え、
受信装置の制御手段は、応答メッセージが受信できなかった火災感知器と組み合わされた他の火災感知器を記憶手段から検索し、当該応答メッセージの転送を要求する転送要求メッセージを当該他の火災感知器に対して下り方向タイムスロットで無線送信手段から無線信号で送信し、
転送要求メッセージを受け取った他の火災感知器の制御手段は、前記火災感知器から送信された無線信号を無線受信手段で受信し且つ記憶していた応答メッセージを自器に割り当てられている上り方向タイムスロットで無線送信手段から無線信号で送信することを特徴とする火災報知システム。
【請求項6】
受信装置の記憶手段に記憶する火災感知器の組み合わせは、火災感知器同士の見通し距離若しくは無線信号の信号強度に基づいて決定されることを特徴とする請求項5記載の火災報知システム。
【請求項7】
受信装置の記憶手段に記憶する火災感知器の組み合わせは、一の火災感知器と当該火災感知器の周囲に設置される複数の他の火災感知器との組み合わせからなることを特徴とする請求項5記載の火災報知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−343982(P2006−343982A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168718(P2005−168718)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】