説明

災害発生時の車両移動装置

【課題】災害発生時に放置された車両を移動させる必要が生じた場合に、イグニッションキーが抜かれた車両についても第三者が車両を移動させることができ、かつ、車両の盗難を防止できること。
【解決手段】災害検知信号を受けた後、車両の走行停止を検知したとき、その車両のエンジンの停止位置を記憶し、その後は、イグニッションキーを使用することなく始動スイッチによってエンジンが始動可能なステップS21乃至ステップS25及びステップS27、ステップS28からなるエンジン強制始動手段と、前記エンジン強制始動手段による車両の走行を制限するステップS24、ステップS25、ステップS28からなる拘束手段とを具備するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震等の災害発生時において、乗員が避難する際に道路上に放置された自動車等の車両を、必要に応じて第三者が移動することができるようにする異常事態時の車両移動装置に関するもので、特に、エンジンキー等の駆動機関始動キーが抜かれた車両についても、第三者によって移動できる災害発生時の車両移動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、我が国では各地において大規模な地震が頻発している。このような大地震やトンネル内火災、洪水、津波等が発生した際には、自動車等の車両に乗っている運転者を含む乗員は、速やかに車両を停止させて避難することが必要となる。しかし、従来のカーナビゲーション装置においては、道路の渋滞情報等を表示したり、音声案内したりする機能はあっても、このような災害発生時に、的確な避難経路を指示する機能までは設置されていなかった。
【0003】
そこで、かかる問題に対処することを目的として、特許文献1には、車両用避難誘導システムが開示されている。
具体的には、閉塞区間において発生した災害発生位置情報を外部から取得する災害発生位置情報取得手段と、閉塞区間内における自車位置を検知する自車位置検知手段と、避難設備情報記憶手段に記憶された避難設備情報と災害発生位置情報と自車位置の情報とに基づいて、自車の乗員を閉塞区間から避難誘導するための避難誘導情報を作成する避難誘導情報作成手段と、作成された避難誘導情報を出力する避難誘導情報出力手段とを備え、乗員が災害に遭った際に、避難方法を案内するとともに、避難場所の適切な選択と他車の乗員の状況把握を可能にする技術思想を開示している。
この車両用避難誘導システムによって、車両の乗員が災害に遭った際に、避難方法を案内するとともに、避難場所の適切な選択と他車の乗員の状況把握を行うことができるようになるとしている。
【特許文献1】特開2008−021030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、乗員が避難した後に放置された車両を動かす必要が生じた場合の対処方法については、全く言及されていない。地震等の災害発生時においては、避難する際に車両を放置する場合には、第三者が必要に応じて放置車両を移動させることができるように、イグニッションキーを付けたままにすることが推奨されているが、盗難に遭う可能性もあるため、全ての運転者が実行することは期待できない。また、イグニッションキーを付けたまま車両を放置した善意の運転者に対しても、車両が盗難されてしまう事態を確実に防止する必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、災害発生時に放置された車両を移動させる必要が生じた場合に、イグニッションキーが抜かれた車両についても第三者が車両を移動させることができ、かつ、車両の盗難を防止できる災害発生時の車両移動装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1にかかる災害発生時の車両移動装置は、災害の発生を検知する災害発生検知手段の災害検知信号を受けた後、停止検知信号を出力する車両停止検知手段によって前記車両のエンジンの停止を検知した後は、イグニッションキーを使用することなく始動スイッチによってエンジンが始動可能とし、前記車両の走行を制限する拘束手段によって拘束を受けながら走行可能とするものである。
ここで、災害の発生を検知する災害発生検知手段とは、大規模な地震を始めとして、車両による避難が危険な大火災、トンネル内火災、津波、台風、洪水等が含まれる。
また、上記車両のエンジンの停止を検知して停止検知信号を出力する車両停止検知手段は、より正確には、イグニッションスイッチが切られたときである。即ち、上記車両のエンジンの停止を検知するのは、一般に「キーレスエントリー」と云われるドライバがエンジンキーを出さなくても身に付けていれば、エンジンキーから返送される電波を車両側の受信器が受信することによって、ドアを開けて乗車することができ、始動スイッチを押すだけでエンジンを始動できるシステムの場合には、車速のゼロまたはサイドブレーキのかかったときを、エンジンが停止したときとすることができる。また、エンジンとしては、ガソリン車のガソリンエンジン、ディーゼル車のディーゼルエンジン、燃料電池車の電動モータ等が含まれる。
そして、エンジン強制始動手段は、前記災害発生検知手段の災害検知信号を受け、かつ、前記車両停止検知手段で前記車両のエンジンの停止検知信号を得た後は、イグニッションキーを使用することなく始動できるものであればよく、イグニッションスイッチの如何を問うものではない。
更に、上記拘束手段は、前記エンジン強制始動手段による前記車両の走行を制限するものであり、距離的制限、停止からの経過時間の制限、走行時間、道路のリンクレベル、自宅方向等の特定方向等の制限を付すことができる。
【0007】
請求項2にかかる災害発生時の車両移動装置の前記災害発生検知手段は、地震の発生に伴うP波及び/またはS波を検知するか、地震の発生に伴って放送される地震情報を検知するものである。
ここで、上記災害発生検知手段は、地震の発生に伴うP波及び/またはS波を直接車両で検知するか、地震の発生に伴って放送される地震情報を検知するものである。勿論、地震の発生に伴うP波及び/またはS波の検知以外は放送される災害情報を検知することになる。
【0008】
請求項3にかかる災害発生時の車両移動装置の前記拘束手段は、前記車両停止検知手段によって車両のエンジンの停止が検知されてからの所定時間の経過を計測する経過時間計測手段と、前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動した場合、その車両走行距離を制限する走行距離制限手段によって、車両のエンジンの停止が検知されてから所定時間経過したか、または前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、車両が所定距離走行したかの何れかによって、車両のエンジンを停止することである。
ここで、上記拘束手段は、車両のエンジンの停止が検知されてからの所定時間の経過を計測する経過時間計測手段と、その停止位置から移動する車両走行距離を計測する走行距離制限手段によって停止時間からの時間的経過、停止位置からの距離的隔たりに制限を付すものであればよい。なお、上記経過時間計測手段は、車両停止検知手段によって車両のエンジンの停止が検知されてからの所定時間の経過を計測する手段であればよい。また、上記走行距離制限手段は、エンジン強制始動手段によってエンジンを始動した場合、その車両走行距離を制限する手段であればよい。
【0009】
請求項4にかかる災害発生時の車両移動装置の前記拘束手段は、前記車両停止検知手段によって車両のエンジンの停止が検知されたとき、車両管理センターに車両の管理を委託し、前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動する際には、そこからの許可を求めることにより可能とするものである。
ここで、例えば、車両管理センターとは、会員の車両の盗難防止を目的とし、電波を使用してエンジンを駆動するときの駆動許可、走行時に車両に対して車両位置の問いかけを行い、その車両の位置を管理する組織である。
【0010】
請求項5にかかる災害発生時の車両移動装置は、災害の発生を検知する災害発生検知手段の災害検知信号を受けた後、停止検知信号を出力する車両停止検知手段によって前記車両のエンジンの停止を検知したとき、自車両位置記憶手段によって前記車両の位置を記憶する。そして、前記車両停止検知手段で前記車両のエンジンの停止検知信号を得た後は、イグニッションキーを使用することなく始動スイッチによってエンジンが始動可能とし、前記車両の走行を制限する拘束手段によって拘束を受けながら走行可能とするものである。
ここで、災害の発生を検知する災害発生検知手段とは、大規模な地震を始めとして、車両による避難が危険な大火災、トンネル内火災、津波、台風、洪水等が含まれる。
また、上記車両のエンジンの停止を検知して停止検知信号を出力する車両停止検知手段は、より正確には、イグニッションスイッチが切られたときである。即ち、上記車両のエンジンの停止を検知するのは、一般に「キーレスエントリー」と云われるドライバがエンジンキーを出さなくても身に付けていれば、エンジンキーから返送される電波を車両側の受信器が受信することによって、ドアを開けて乗車することができ、始動スイッチを押すだけでエンジンを始動できるシステムの場合には、車速のゼロまたはサイドブレーキのかかったときを、エンジンが停止したときとすることができる。また、エンジンとしては、ガソリン車のガソリンエンジン、ディーゼル車のディーゼルエンジン、燃料電池車の電動モータ等が含まれる。
そして、上記自車両位置記憶手段は、前記災害発生検知手段の災害検知信号を受けた後、前記車両停止検知手段によって前記車両のエンジンの停止を検知したとき、GPSを使用した公知のナビゲーション機能によって現在位置を検知するものであり、そのデータは不揮発性メモリに格納される。
更に、エンジン強制始動手段は、前記災害発生検知手段の災害検知信号を受け、かつ、前記車両停止検知手段で前記車両のエンジンの停止検知信号を得た後は、イグニッションキーを使用することなく始動できるものであればよく、イグニッションスイッチの如何を問うものではない。
更にまた、上記拘束手段は、前記エンジン強制始動手段による前記車両の走行を制限するものであり、距離的制限、停止からの経過時間の制限、走行時間、道路のリンクレベル、自宅方向等の特定方向等の制限を付すことができる。
【0011】
請求項6にかかる災害発生時の車両移動装置の前記拘束手段は、前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、車両が走行できる距離は、車両のエンジンの停止位置を中心に半径が所定距離内としたものである。
ここで、避難したドライバに代わって第三者が車両を移動できる距離を、車両のエンジンの停止位置を中心に半径が所定距離内としたものでは、それを前提に車両の移動場所を選択することができる。なお、例えば、この車両のエンジンの停止位置を中心に半径が所定距離内とは、半径の所定距離が限界値として存在するものではなく、人の調査効率から決定されるものであり、その数割以上の値が使用できないものではない。円の面積は、半径の自乗に比例(πr2)するから、半径が大きくなると調査時間も半径の自乗に比例することになる。
【0012】
請求項7にかかる災害発生時の車両移動装置は、更に、前記拘束手段として、前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、前記車両の走行可能な残り距離及び/または残り時間を案内する音声案内手段を具備するものである。
ここで、上記音声案内手段は、突然に拘束手段によって車両の動きが停止させられる可能性があるので、車両のエンジンの停止までの条件を音声または可視的に知らせるものである。
【0013】
請求項8にかかる災害発生時の車両移動装置の前記拘束手段は、特定のパスワードの入力によってキャンセルするパスワード入力手段を具備するものである。
ここで、上記拘束手段は、特定のパスワードの入力によってその拘束条件を解除するようにするものである。
【0014】
請求項9にかかる災害発生時の車両移動装置は、更に、前記車両停止検知手段によって車両のエンジンの停止を検知したとき、その走行していた道路のリンクレベルを判別し、それによって、前記拘束手段の内容を前記リンクレベルに応じて設定するものである。
ここで、道路のリンクレベルとは、例えば、リンクレベル0が「高速」、リンクレベル1が「都市高速」、リンクレベル2が「国道」、リンクレベル3が「主要地方道」、リンクレベル4が「県道」等となっている。車両のエンジンの停止がリンクレベル0の「高速」の場合、インターチェンジまでは国道等に出られない可能性が大であるから、その移動可能な距離を長くするとか、リンクレベル1の「都市高速」で停車した車両は、リンクレベル2の「国道」等のようにリンクレベルを下げるのが一般的であるから、下げるのは許可するが、リンクレベルを上げるのは許可しないとかを設定することができる。
【0015】
請求項10にかかる災害発生時の車両移動装置は、更に、前記車両停止検知手段によって車両のエンジンの停止を検知したとき、その走行していた道路のリンクレベルを判別し、前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、車両が走行しているとき、前記車両が走行する道路の前記リンクレベルが上がったとき、前記拘束手段によって、前記車両を停止させるものである。
ここで、リンクレベル1の「都市高速」で停車した車両は、リンクレベル2の「国道」等のようにリンクレベルを下げて非難するのが一般的であるから、それをリンクレベル2の「国道」からリンクレベル0の「高速」のように、リンクレベルを上げるのは走行を許可しないとするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の災害発生時の車両移動装置は、災害の発生を検知して災害検知信号を受けた後、車両のエンジンの停止を検知して停止検知信号を検知した後は、イグニッションキーを使用することなく始動スイッチによってエンジンが始動可能となるものの、前記車両の走行は拘束手段によって制限されるものである。
したがって、災害が発生すると、災害発生検知手段によってその災害検知信号が出力され、運転者が避難するために車両を停止させると、車両停止検知手段によって停止検知信号が出力されるから、災害検知信号と停止検知信号の両者が受信される。その後は、エンジン強制始動手段によってイグニッションキーを使用することなく始動スイッチによってエンジンが始動可能となり、これによって、ドライバがイグニッションキーを抜いて避難した場合でも、エンジンが始動できる状態となる。したがって、イグニッションキーを持っていない第三者であっても、放置された車両を移動させることができる。
また、第三者が車両を移動させた場合でも、エンジン強制始動手段による前記車両の走行を制限する拘束手段の存在によって、距離的制限、停止からの経過時間の制限、走行時間、道路のリンクレベル、自宅方向等の特定方向等の制限を付すことによって、盗難防止機能を持たせることができる。
したがって、災害発生時に放置された車両を移動させる必要が生じた場合に、イグニッションキーが抜かれた車両についても第三者が車両を移動させることができ、かつ、車両の盗難を防止できる。
【0017】
請求項2の災害発生時の車両移動装置の前記災害発生検知手段は、地震の発生に伴うP波及び/またはS波を検知するか、地震の発生に伴って放送される地震情報の電波を検知するものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、地震の場合には、その揺れを検知するかまたは放送を受信することにより、災害発生時の対応をとることができ、しかも、規模が大きい大地震の際の災害対応が速やかに対応できるから、放置車両が災害復旧に支承をきたすことがない。
【0018】
請求項3の災害発生時の車両移動装置の前記拘束手段は、前記車両停止検知手段によって車両のエンジンの停止が検知されてからの所定時間の経過を計測する経過時間計測手段と、前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動した場合、その車両走行距離を制限する走行距離制限手段によって、車両のエンジンの停止が検知されてから所定時間経過したか、または前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、車両が所定距離走行したかの何れかによって、車両のエンジンを停止するものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、前記車両のエンジンの停止が検知されてからの所定時間の経過を計測する経過時間計測手段によって車両のエンジンの停止が検知されてから所定時間経過したか、または前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、走行距離制限手段によって車両が所定距離走行したかの何れかによって、車両のエンジンを停止するものであるから、その移動できる距離が限られており、ドライバが自分の車両を探す場合でも、限られた距離内を探せばよいから効率的である。
【0019】
請求項4の災害発生時の車両移動装置の前記拘束手段は、前記車両のエンジンの停止が検知されたとき、車両管理センターに車両の管理を委託し、前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動する際には、そこからの許可を求めることにより可能とするものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、車両管理センターが車両の移動場所を管理することになり、盗難、紛失の恐れがない。
【0020】
請求項5の災害発生時の車両移動装置は、災害の発生を検知して災害検知信号を受けた後、車両のエンジンの停止を検知して停止検知信号を検知したとき、前記車両の位置を記憶し、また、前記災害検知信号を受け、かつ、前記車両のエンジンの停止検知信号を得た後は、イグニッションキーを使用することなく始動スイッチによってエンジンが始動可能となるものの、前記車両の走行は拘束手段によって制限されるものである。
したがって、災害が発生すると、災害発生検知手段によってその災害検知信号が出力され、運転者が避難するために車両を停止させると、車両停止検知手段によって停止検知信号が出力されるから、災害検知信号と停止検知信号の両者が受信されて、まず、前記自車両位置記憶手段は車両の位置を記憶する。その後、エンジン強制始動手段によってイグニッションキーを使用することなく始動スイッチによってエンジンが始動可能となり、これによって、ドライバがイグニッションキーを抜いて避難した場合でも、エンジンが始動できる状態となる。したがって、イグニッションキーを持っていない第三者であっても、放置された車両を移動させることができる。
また、第三者が車両を移動させた場合でも、エンジン強制始動手段による前記車両の走行を制限する拘束手段の存在によって、距離的制限、停止からの経過時間の制限、走行時間、道路のリンクレベル、自宅方向等の特定方向等の制限を付すことによって、盗難防止機能を持たせることができる。
したがって、災害発生時に放置された車両を移動させる必要が生じた場合に、イグニッションキーが抜かれた車両についても第三者が車両を移動させることができ、かつ、車両の盗難を防止できる。
【0021】
請求項6の災害発生時の車両移動装置の前記拘束手段は、前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、車両が走行できる距離が、車両のエンジンの停止位置を中心に半径が所定距離内であるから、請求項5に記載の効果に加えて、その移動できる距離が限られており、ドライバが自分の車両を探す場合でも、限られた距離内を探せばよいから、殆んどの場合、特定時間以内に発見できるから、効率的である。
【0022】
請求項7の災害発生時の車両移動装置の前記拘束手段は、前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、前記車両の走行可能な残り距離及び/または残り時間を音声で案内する音声案内手段を具備するものであるから、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、前記車両の走行可能な残り距離及び/または残り時間を音声または表示によって可視的に案内されるから、車両の移動する残り距離及び/または残り時間がドライバとなっている第三者に理解でき、最適な対応を行うことができる。
【0023】
請求項8の災害発生時の車両移動装置の前記拘束手段は、特定のパスワードの入力によってキャンセルするパスワード入力手段を具備するものであるから、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の効果に加えて、特定のパスワードによって前記拘束手段による拘束を解くことができる。したがって、イグニッションキーを紛失しても、忘れても、正当なドライバであれば、車両を前記拘束手段の影響を受けることなく移動することができる。
【0024】
請求項9の災害発生時の車両移動装置は、前記車両停止検知手段によって車両のエンジンの停止を検知したとき、その走行していた道路のリンクレベルを判別し、それによって、前記拘束手段の内容を前記リンクレベルに応じて設定するものであるから、請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の効果に加えて、車両を停車させる道路によってその車両の移動条件が異なるので、道路のリンクレベルに応じた対応が可能となる。
【0025】
請求項10の災害発生時の車両移動装置は、更に、前記車両停止検知手段によって車両のエンジンの停止を検知したとき、その走行していた道路のリンクレベルを判別し、前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、車両が走行しているとき、前記車両が走行する道路の前記リンクレベルが上がったとき、前記拘束手段によって、前記車両を停止させるものであるから、請求項1乃至請求項9の何れか1つに記載の効果に加えて、例えば、リンクレベル0が「高速」、リンクレベル1が「都市高速」、リンクレベル2が「国道」、リンクレベル3が「主要地方道」、リンクレベル4が「県道」等と下に下がるのが通常の常識的な避難のあり方であるから、その逆の流れを断ち、道路のリンクレベルが下に下がる場合のみ走行可能となるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図中、同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここでは重複する説明を省略する。
図1は本発明の実施の形態1にかかる災害発生時の車両移動装置の全体構成図であり、ナビゲーション機能表現を含む全体構成を示すブロック図である。図2は本発明の実施の形態1にかかる災害発生時の車両移動装置の災害検知プログラムのフローチャートであり、図3は本発明の実施の形態1にかかる災害発生時の車両移動装置の災害対応プログラムのフローチャートである。図4は本発明の実施の形態1にかかる災害発生時の車両移動装置で使用するリンクレベルの順位を示す説明図である。図5は本発明の実施の形態1にかかる災害発生時の車両移動装置で拘束条件を半径約1Kmの範囲内とした説明図である。
【0027】
[実施の形態1]
図1において、本実施の形態の災害発生時の車両移動装置は、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うマイクロプロセッサからなる演算・制御部1と、ドライバ等の操作者からの操作を受け付ける各種キー入力、音声入力、タッチスイッチ等の操作部2と、操作者に対して操作情報、地図等の情報を表示する液晶からなるディスプレイ3と、ルート案内、交通規制情報、渋滞情報の案内に関する音声ガイダンスを行うスピーカ4を有している。なお、操作部2としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置等を使用することもできる。更に、ディスプレイ3の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0028】
マイクロプロセッサからなる演算・制御部1は、全体の制御を行う演算及び制御を行うCPU11、及びCPU11が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用すると共に、ルート探索や、ルートが探索されたときのルートデータ、交通規制情報、渋滞情報等が記憶されるRAM12、制御用プログラムの他、バイパス道路情報、合流地点毎の所要時間の算出を行うプログラム等が記憶されたROM13、そのROM13から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ14等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ15等を備えている。本実施の形態におけるタイマ15は、車両のエンジンの停止が検知されてからの所定時間の経過を計測する経過時間計測手段を構成するものである。
【0029】
ROM13には、各種のプログラムが記憶され、RAM12に各種のデータが記憶されるようになっており、また、プログラム、データ等を外部記憶装置、メモリカード等からプログラム、データ等を読み出してフラッシュメモリ14に書き込まれる。更に、メモリカード等を交換または外部から所定のプログラム、データ等をインストールすることによってプログラム、データ等を更新することができる。
演算・制御部1には、操作部2、ディスプレイ3、スピーカ4、通信部5等の各周辺装置が電気的に接続されている。操作部2は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う際等に操作され、各種キー等の複数の操作スイッチから構成される。演算・制御部1は、操作部2の各スイッチの操作により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。
【0030】
ディスプレイ3には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までのルート案内、ルート案内に沿った案内情報、後述のルート変更案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時間、メール、テレビ番組等が表示される。
なお、ディスプレイ3として液晶ディスプレイの代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、EL等を使用し、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することもできる。そして、ディスプレイ3は操作部2としてのタッチスイッチを兼ねてもよい。スピーカ4は、演算・制御部1からの指示に基づいて、本線道路、バイパス道路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、ルート案内のルート変更を案内する音声案内を出力する。なお、スピーカ4より出力される音声としては、合成された音声の他に、各種効果音、予めメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0031】
また、日本道路交通情報センター(JARTIC(登録商標):Japan Road Traffic Information Center(以下、単に「JARTIC」という))からのAM放送(周波数1620KHz)、及び/または、道路交通情報通信システムセンター(VICS(登録商標):Vehicle Information and Communication System(以下、単に「VICS」という))52等の情報センターとの間でネットワーク51を介して通信を行う通信部5を有している。
本実施の形態では、ネットワーク51を介してVICS52から警察、日本道路公団(登録商標)等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や、交通規制情報等の道路交通情報を所定時間毎に受信可能となっている。また、この道路交通情報は、例えば、道路の渋滞等に関する道路渋滞情報、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の道路交通情報に関する詳細情報である。該詳細情報としては、道路渋滞情報の場合、後述のVICSリンクID、渋滞の実際の長さ、渋滞解消の見込まれる時間等であり、交通規制情報の場合、VICSリンクID、道路工事、建築工事等の継続期間、通行止め、片側交互通行、車線規制等の交通規制の種類、交通規制の時間帯等である。
【0032】
また、ネットワーク51としては、例えば、無線LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステムのETC(Electronic Toll Collection System)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
【0033】
そして、通信部5は、例えば、VICS52等から送信された渋滞情報、交通規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報からなる道路交通情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するビーコンレシーバである。また、通信部5は、ネットワーク51として通信回線網等の通信系において通信を可能とするネットワーク機器である。更に、通信部5はVICS52からの情報の他に、災害情報、ニュース、天気予報等の情報からなるFM多重情報を、FM放送局を介してFM多重放送として受信するFM受信機を備える。なお、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0034】
更に、本実施の形態の災害発生時の車両移動装置は、現在の自車の位置、方位、目標位置(例えば、交差点)までの距離等を検知することが可能となるように各種センサからなる自車の現在地を検知する現在地検知部6と、同じく、地理的に各種のデータが記録され、書込み、読出しが可能な記憶容量が大きいハードディスクからなる地図情報処理部7を具備している。
【0035】
本実施の形態の災害発生時の車両移動装置を構成する特徴的な構成要素について図1に基づいて、更に、具体的に説明する。
自車の現在地を検知する現在地検知部6は、GPSセンサ61、地磁気センサ62、距離センサ63、ステアリングセンサ64、方位検知部としてのジャイロセンサ65、高度計66、更に、自車の走行速度及び走行距離を検知する車速センサ67等からなる。なお、この距離センサ63と車速センサ67は単一のものとすることもできる。
【0036】
特に、本実施の形態においては、GPSセンサ61のみを使用し、現在地検知部6とすることもできる。GPSセンサ61は、人工衛星から発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在地及び現在時間を検知する。地磁気センサ62は、地磁気を測定することによって自車方位を検知する。距離センサ63は、道路上の所定位置間の距離等を検知する。ここで、距離センサ63としては、例えば、自車の車輪の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検知するが、車速センサ67の出力を積分して距離を検知してもよい。
【0037】
また、ステアリングセンサ64は自車の操舵角を検知するものである。ここで、ステアリングセンサ64としては、例えば、ステアリングホイールの回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
そして、ジャイロセンサ65は自車の旋回角を検知するものである。ここで、ジャイロセンサ65としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ65によって検知された旋回角を積分することにより、自車方位を検知することができる。
【0038】
地図情報処理部7としては、本実施の形態ではハードディスクを使用した場合で説明する。このハードディスクに記憶された交通情報DB(データベース、以下、単に『DB』という)71、地図情報DB74、及び所定のプログラム等を読み出す機能を備えている。なお、本実施の形態においては、地図情報処理部7としてハードディスクを使用されているが、ハードディスクの他にメモリカード、DVD、光ディスク等を外部記憶装置の一部として使用することもできる。
【0039】
交通情報DB71には、VICS52から受信した渋滞の実際の長さ、渋滞解消の見込まれる時間等から構成される現況の道路の渋滞等に関する道路交通情報から作成した渋滞情報72が格納されている。また、この交通情報DB71には、VICS52から受信した交通規制のある道路工事、建築工事等による交通規制情報等に関する道路交通情報から作成した交通規制情報73が格納されている。なお、交通情報DB71には、本発明の実施の形態の放送局からの放送情報を用いるものではなく、VICSリンクIDによって得られる情報である。JARTIC、全国各地のNHK(登録商標)、民放の何れを受信するかを単数または複数に決定し、或いはその受信時間も設定することができる。
【0040】
VICS52から受信した各道路交通情報には、災害種別情報、位置、渋滞区間の距離、渋滞度等の情報と共に、VICSリンクIDが含まれる。VICSリンクIDは、道路を所定の交差点毎に分割して規格化された走行案内用リンクとしてのVICSリンクに付与された識別番号である。なお、前記道路交通情報には、各VICSリンクにおける始点及び終点の座標、始点から終点までの距離等の情報も含まれている。
【0041】
ここで、地図情報DB74に記憶される道路とVICSリンクとは同一情報を扱うものではない。即ち、一般的には、道路(リンク)の方がVICSリンクよりも細分化されている。そこで、交通情報DB71には、各道路に識別番号として付与されるリンクIDとVICSリンクIDとの間の変換テーブル(対照表)を有し、VICSリンクIDに基づいて、対応するリンクIDを特定することができるようになっている。そのため、ナビゲーション機能では、VICS52からVICSリンクIDを受信すると、該VICSリンクIDに基づいて渋滞情報等の道路交通情報を表示すべき道路の区間を特定することができる。そして、VICS52から受信した現況の道路の渋滞等に関する道路交通情報のVICSリンクIDは、リンクIDに変換されて渋滞情報72として格納される。また、VICS52から受信した交通規制情報等に関する道路交通情報のVICSリンクIDは、リンクIDに変換されて交通規制情報73として格納される。
【0042】
また、地図情報DB74には、本実施の形態の車載ナビゲーション登録地点消去処理装置のナビゲーション機能による走行案内やルート探索に使用されるナビ地図情報75が格納されている。ここで、ナビ地図情報75には、ルート案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、分岐地点に関する分岐地点のデータ、施設の一種である道路に関するリンクデータ、ルートを探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。そして、地図情報DB74の内容は、地図情報配信センターから通信部5を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0043】
そして、ルート探索データとしては、設定された目的地までのルートを探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、分岐地点を通過する際のコストや道路を構成するリンクのコストからなる探索コストを算出し、使用するコストデータ、ルート探索により選択された誘導ルートをディスプレイ3の地図上に表示するためのルート表示データ等から構成されている。
店舗データとしては、各地域のホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、観光施設等のPOIに関するデータがPOIを特定するIDと共に記録されている。なお、前記地図情報DB74には、所定の情報をナビゲーション装置のスピーカ4によって出力するための音声出力データも記録されている。
【0044】
更に、本実施の形態の災害発生時の車両移動装置の特徴部分の構成について説明する。
車載用バッテリー等からなる電源80は、イグニッションキーで操作するイグニッションスイッチ81を介して定電圧回路82に入力されている。定電圧回路82は演算・制御部1及び現在地検知部6及び地図情報処理部7に定電圧を供給している。
また、電源80は、始動スイッチ83を介して定電圧回路84に入力されている。定電圧回路84はマイクロコンピュータからなる災害演算・制御部86に定電圧を供給している。
【0045】
災害演算・制御部86の出力は、始動スイッチ83の両端に接続されている自己保持回路85に入力され、災害演算・制御部86の出力によって自己保持回路85が始動スイッチ83の操作に関係なく自己保持するようになっている。
地震センサ88は、地震の発生に伴うP波及び/またはS波を検知する振動センサ及び所定の帯域フィルタからなり、車両自体の振動の車両が道路から受ける振動を除外し、比較的低周期の振動を得ている。
【0046】
災害演算・制御部86には、現在地検知部6及び地図情報処理部7で演算していた現在位置情報を入力し、また、距離センサ63から距離情報を、タイマ15から年月日の日付及び時分の時間情報、各種フラグの状態を得ている。また、拘束情報記憶部87は、車両を移動できる距離の設定、車両を移動できる日数の設定、道路のリンクレベルの設定、車両を管理する管理センターとの通信によるパスワード、ID等の更新及び入力による設定、解除等を行う。また、災害の発生を車両管理センターとの通信によって受信してもよいし、災害の発生地区内であれば、エンジンの停止と同時に車両管理センター側の判断で当該車両を管理対象としてもよいし、車両側から災害発生を検知した後にエンジン停止されたとき、当該車両を管理センター側の管理対象としてもよい。
なお、破線で示すダイオードDは、その接続により、ナビゲーション機能も生かすことができるが、本実施の形態1では、災害対応時にはナビゲーション機能を使用しないものである。
道路のリンクレベルは、図4に示すように、リンクレベル0が「高速」、リンクレベル1が「都市高速」、リンクレベル2が「国道」、リンクレベル3が「主要地方道」、リンクレベル4が「県道」等と下がると生活の道路に密着した道路となる。
【0047】
次に、このように構成された本実施の形態の災害発生時の車両移動装置の災害演算・制御部86は、次のようにプログラム制御される。このプログラム制御は、車両を制御するメインプログラム中に所定時間間隔でコールされ、実行されるものである。
まず、ステップS1で災害の発生を放置する放送のトレモロ音等を受信したか、または地震センサ等が動作して災害の発生を検知したか否かを判断し、それらの何れも検知していないとき、ステップS11で災害フラグを降ろして("0"として)、このルーチンを脱する。
ステップS1で災害発生の放送を受信するか、または地震センサ等が動作して災害の発生を検知したとき、ステップS2で現在地検知部6及び地図情報処理部7のナビゲーション機能で演算した現在位置情報を入力する。そして、ステップS3でイグニッションスイッチ81がイグニッションキーでオフになったかを判断し、ステップS3でイグニッションスイッチ81がオフになるまでステップS2乃至ステップS3のルーチンを処理し、イグニッションスイッチ81がオフになったときに、その位置をステップS4で記憶する。
【0048】
また、ステップS5で道路のリンクレベルを記憶する。そして、ステップS6でその日付として、年月日及び時分の時間も記憶する。
ステップS7及びステップS8で車両のドアの開閉を判断し、ドライバ等の乗員が降りるのを検知する。ステップS7及びステップS8で車両のドアの開閉によりドライバ等の乗員が降りたことが確認されると、ステップS9で車両の全ドアのロックを解除する。そして、ステップS10で車両が災害の発生を検知して停車したことを記憶するため、災害フラグを立てる("1"とする)。
【0049】
次に、本実施の形態の災害発生時の車両移動装置の災害演算・制御部86は、図3のようにプログラム制御される。このプログラム制御は、車両の始動スイッチ83を押圧することによりコールされる。
ステップS21で始動スイッチ83が5秒以上押圧されているか判断する。この判断は、定電圧回路84及び災害演算・制御部86が立ち上がり時間以上に設定するものである。ステップS21で始動スイッチ83が5秒以上押圧されていないときには、このルーチンを脱する。ステップS21で始動スイッチ83が5秒以上押圧されているとき、ステップS22で車両の持ち主が所定時間内に、所定のパスワードを入力して、車両を動かそうとしているか否かを判断する。車両の持ち主が所定のパスワードを入力して、車両を動かそうとしているときには、ステップS27で再投入禁止フラグを降ろして("0"として)、ステップS28で自己保持回路85を閉(ON)状態とする。
このように、自己保持回路85を閉(ON)状態となると、定電圧回路84及び災害演算・制御部86の動作によって、エンジンが駆動自在となり、車両は拘束条件を受けることなく動作が可能となる。
【0050】
ステップS22で車両の持ち主が所定時間内に、所定のパスワードを入力して、車両を動かそうとしていると判断されないとき、ステップS23で災害フラグが立てられて("1"とされて)いるかを判断し、災害フラグが立てられていないとき、次のステップ以降の処理に入らない。
ステップS23で災害フラグが立てられて("1"とされて)いると判断したとき、ステップS24で再投入禁止フラグが立って("1"とされて)いるかを判断する。この再投入禁止フラグは、一度、拘束条件によって車両が停止に至ったことをステップS26で記憶させたものであり、拘束条件によって車両が停止に至ったときには、ステップS26で再投入禁止フラグが立っている。
即ち、再投入禁止フラグが立っており、拘束条件によって車両が停止に至っているときには、ステップS29で自己保持回路85を開(OFF)状態とする。
【0051】
ステップS24で再投入禁止フラグが降りて("0"とされて)いるとき、拘束条件によって車両が停止していないことを意味するから、ステップS25でその後、何らかの拘束条件に該当する要件が加わったか否かを判断し、拘束条件に該当する要件が加わっていないとき、ステップS27で再投入禁止フラグを降ろして("0"として)、ステップS28で自己保持回路85を閉(ON)状態とする。
しかし、ステップS24で再投入禁止フラグが立って("1"とされて)いるかを判断されて、1度もこのルーチンの処理を行っていなくとも、時間的要件等によって拘束される場合には、ステップS26で再投入禁止フラグを立てて("1"として)、ステップS29で自己保持回路85を開(OFF)状態とする。
このように、自己保持回路85を閉(ON)状態となると、定電圧回路84及び災害演算・制御部86の動作によって、エンジンが駆動自在となり、車両は拘束条件を受けた範囲内の動作が可能となる。図5はステップS25の拘束条件を半径約1Km以内とした事例を示すもので、車両停止位置から半径約1Km以内であれば、第三者が車両を移動できることを意味する。
【0052】
[実施の形態2]
図6は本発明の実施の形態2にかかる災害発生時の車両移動装置の全体構成図であり、ナビゲーション機能表現を含む全体構成を示すブロック図である。
実施の形態1は災害対応時にナビゲーション機能を使用しないものであるが、本実施の形態2では、定電圧回路82及び定電圧回路84を共通化して単一とすることができ、また、災害対応時にナビゲーション機能を使用することもできる。
災害演算・制御部86で行う災害発生時の災害検知プログラム及び車両移動を行う災害対応プログラムについては、図2及び図3の実施の形態1と相違するものではないので、その説明を省略する。
特に、本実施の形態では、災害演算・制御部86でナビゲーション機能により、災害発生時に停止した現在位置から軌跡表示を行ったり、所定の距離毎に、現在位置を電話回線網を通じてドライバに報知することもできる。
【0053】
以上のように、本発明の実施の形態1及び実施の形態2にかかる災害発生時の車両移動装置は、災害の発生を検知するステップS1からなる災害発生検知手段と、車両のエンジンの停止を検知して停止検知信号を出力するステップS3からなる車両停止検知手段と、ステップS1からなる災害発生検知手段の災害検知信号を受けた後、ステップS3からなる車両停止検知手段によって車両の走行停止を検知した後は、イグニッションキーを使用することなく始動スイッチ83によってエンジンが始動可能なステップS21乃至ステップS25及びステップS27、ステップS28からなるエンジン強制始動手段と、前記エンジン強制始動手段による前記車両の走行を制限するステップS24、ステップS25、ステップS28からなる拘束手段とを具備するものである。
【0054】
したがって、災害の発生を検知して災害検知信号を受けた後、車両のエンジンの停止をステップS3で検知した後は、イグニッションキーを使用することなく始動スイッチ83によってエンジンが始動可能となり、その車両の走行はステップS24からなる拘束手段によって制限されるものである。故に、災害が発生すると、ステップS1からなる災害発生検知手段によって災害検知信号が出力され、運転者が避難するために車両を停止させると、ステップS3からなる車両停止検知手段によって停止検知信号が出力される。その後、ステップS21乃至ステップS25及びステップS27、ステップS28からなるエンジン強制始動手段によってイグニッションキーを使用することなく始動スイッチ83によってエンジンが始動可能となり、これによって、ドライバがイグニッションキーを抜いて避難した場合でも、エンジンが始動できる状態となる。したがって、イグニッションキーを持っていない第三者であっても、放置された車両を移動させることができる。
【0055】
また、イグニッションキーを持っていない第三者が車両を移動させた場合でも、ステップS21乃至ステップS25及びステップS27、ステップS28からなるエンジン強制始動手段による車両の走行を制限するステップS24からなる拘束手段の存在によって、距離的制限、停止からの経過時間の制限、走行時間、道路のリンクレベル、自宅方向等の特定方向等の制限を付すことによって、盗難防止機能を持たせることができる。
したがって、災害発生時に放置された車両を移動させる必要が生じた場合に、イグニッションキーが抜かれた車両についても第三者が車両を移動させることができ、かつ、車両の盗難を防止することができる。
【0056】
ここで、災害発生検知手段は、ステップS1からなる災害の発生を検知する手段であれば、直接地震を検知する地震センサ88とすることができるし、電波を受信する放送とすることができる。また、上記実施の形態では、地震センサ88の使用を説明しているが、本発明を実施する場合には、冠水センサとして、車両の所定の位置に水による導通電極を配設したもの等とすることができる。
また、車両停止検知手段は、ステップS3からなる車両のエンジンの停止を検知して停止検知信号を出力する手段であればよい。特に、本実施の形態では、イグニッションキーを抜かない事例として説明するものであるが、イグニッションキーを抜いたとき、エンジンを停止したとき等の検知手段とすることができる。
【0057】
また、本発明の実施の形態1及び実施の形態2にかかる災害発生時の車両移動装置は、災害の発生を検知するステップS1からなる災害発生検知手段と、車両のエンジンの停止を検知して停止検知信号を出力するステップS3からなる車両停止検知手段と、ステップS1からなる災害発生検知手段の災害検知信号を受けた後、ステップS3からなる車両停止検知手段によって車両の走行停止を検知したとき、その車両のエンジンの停止位置を記憶するステップS4からなる自車両位置記憶手段と、ステップS1からなる災害発生検知手段の災害検知信号を受け、かつ、ステップS3からなる車両停止検知手段で車両のエンジンの停止検知信号を得た後は、イグニッションキーを使用することなく始動スイッチ83によってエンジンが始動可能なステップS21乃至ステップS25及びステップS27、ステップS28からなるエンジン強制始動手段と、前記エンジン強制始動手段による前記車両の走行を制限するステップS24、ステップS25、ステップS28からなる拘束手段とを具備するものである。
【0058】
したがって、災害が発生すると、ステップS1からなる災害発生検知手段によって災害検知信号が出力され、運転者が避難するために車両を停止させると、ステップS3からなる車両停止検知手段によって停止検知信号が出力されるから、災害検知信号と停止検知信号の両者が受信されて、まず、ステップS4からなる自車両位置記憶手段は車両の位置を記憶する。その後、ステップS21乃至ステップS25及びステップS27、ステップS28からなるエンジン強制始動手段によってイグニッションキーを使用することなく始動スイッチ83によってエンジンが始動可能となり、これによって、ドライバがイグニッションキーを抜いて避難した場合でも、エンジンが始動できる状態となる。したがって、イグニッションキーを持っていない第三者であっても、放置された車両を移動させることができる。
【0059】
また、イグニッションキーを持っていない第三者が車両を移動させた場合でも、ステップS21乃至ステップS25及びステップS27、ステップS28からなるエンジン強制始動手段による車両の走行を制限するステップS24からなる拘束手段の存在によって、距離的制限、停止からの経過時間の制限、走行時間、道路のリンクレベル、自宅方向等の特定方向等の制限を付すことによって、盗難防止機能を持たせることができる。
そして、自車両位置記憶手段は、ステップS4からなる車両のエンジンの停止検知信号を得た位置情報を記憶するものであればよい。したがって、災害発生時に放置された車両を移動させる必要が生じた場合に、イグニッションキーが抜かれた車両についても第三者が車両を移動させることができ、かつ、車両の盗難を防止することができる。
【0060】
更に、エンジン強制始動手段は、ステップS21乃至ステップS25及びステップS27、ステップS28からなるもので、車両停止検知手段で車両のエンジンの停止検知信号を得た後は、イグニッションキーを使用することなく始動スイッチ83によってエンジンが始動可能なものであればよい。勿論、始動スイッチ83はキースイッチ、タッチスイッチとすることもできる。
更にまた、拘束手段は、車両の走行を制限するステップS25からなるエンジン強制始動手段による車両走行を制限するものであり、この拘束要件としては、車両のエンジンの停止が検知されてから所定時間(日、時、分)経過したか否か。災害時の道路管理の必要性から、車両が所定距離走行したか否か。車両が停止された地点から半径何キロメータ内にいるか否か。車両が自宅方向に移動しているか否か、即ち、ナビゲーション装置の自宅登録からの車両の位置の半径が減少傾向にあるか否か。また、停止前に走行していた道路のリンクレベルを判別し、そのリンクレベルに応じた走行距離を設定し、また、道路のリンクレベルを下げる方向にあるか否か等の条件を拘束要件とすることができる。
【0061】
上記実施の形態にかかる災害発生時の車両移動装置におけるステップS1からなる災害発生検知手段は、地震の発生に伴うP波及び/またはS波を検知する地震センサか、地震の発生に伴って放送される地震情報の電波を受信し、それによって地震の発生検知する構成とすることができる。
この地震の場合には、その揺れを検知するかまたは放送を受信することにより、災害発生時の対応をとることができ、しかも、規模が大きい大地震の際の災害対応が速やかに対応できるから、放置車両が災害復旧に支承をきたすことがない。
ここでは、地震の場合で説明したが、道路の冠水、津波、崖崩れ等においても、JARTIC、VICS等の情報センターからの情報を音声認識によって、災害と認識することができる。特に、本実施の形態においては、ステップS1で災害の発生を検知しても、ドライバがそれに気づかないときには、運転が継続できる。即ち、災害の発生が車両の通行に支承のないかぎり、運転可能にしている。したがって、喩え、ドライバが5分後に認識した場合でも、本実施の形態の機能は動作することになる。
【0062】
また、上記実施の形態にかかる災害発生時の車両移動装置におけるステップS24からなる拘束手段は、ステップS21乃至ステップS25及びステップS27、ステップS28からなるエンジン強制始動手段によってエンジンを始動した場合、その車両走行距離を所定の走行距離に制限するか、ステップS3で車両のエンジンの停止が検知されてから所定時間(日、時、分)経過したかの何れかによって、車両のエンジンを停止させるものである。
なお、ステップS3からなる車両停止検知手段によって車両のエンジンの停止が検知されてからの所定時間の経過を計測する手段は、経過時間計測手段とすることができる。また、ステップS21乃至ステップS25及びステップS27、ステップS28からなるエンジン強制始動手段によってエンジンを始動した場合、その車両走行距離を制限する手段は、走行距離制限手段とすることができる。
したがって、ステップS3で車両のエンジンの停止が検知されてから所定時間経過したか、またはステップS21乃至ステップS25及びステップS27、ステップS28からなるエンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、車両が所定距離走行したかの何れかによって、車両のエンジンを停止するものであるから、その移動できる距離が限られており、ドライバが自分の車両を探す場合でも、限られた距離内を探せばよいから効率的である。
【0063】
そして、上記実施の形態にかかる災害発生時の車両移動装置における前記拘束手段は、ステップS3からなる車両停止検知手段によって車両のエンジンの停止が検知されたとき、図示しない車両を会員からの委託により監視する車両管理センターに車両の管理を委託し、ステップS21乃至ステップS25及びステップS27、ステップS28からなるエンジン強制始動手段によってエンジンを始動する際には、そこからの許可を求めることにより可能とすることができる。即ち、拘束手段としては、車両管理センターからの了解を受けることを拘束要件とすることができる。この場合には、車両の盗難を防止する車両管理センターが、車両の移動場所を管理することになり、盗難、紛失の恐れがなくなる。
【0064】
更に、上記実施の形態にかかる災害発生時の車両移動装置における前記拘束手段は、ステップS21乃至ステップS25及びステップS27、ステップS28からなるエンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、車両が走行できる距離は、車両のエンジンの停止位置を中心に半径約1Kmの範囲内とすることができる。
したがって、その移動できる距離が限られており、ドライバが自分の車両を探す場合でも、限られた距離内を探せばよいから、殆んどの場合、1時間以内に発見できるから、効率的である。
なお、図1の実施例では、ナビゲーション機能を動作させていないから、道程で所定距離を測定することになり、図6の実施の形態では、ナビゲーション機能を動作させているから車両のエンジンの停止位置を中心に半径が所定距離内とすることができる。
【0065】
上記実施の形態にかかる災害発生時の車両移動装置における前記拘束手段は、ステップS3からなる車両停止検知手段で車両のエンジンの停止を検知してからの所定時間の経過を10日以内としたものであるから、大規模な災害復旧状況からして、不用意に期間を延ばすものでないので、盗難が生じる可能性を低くできる。
【0066】
上記実施の形態にかかる災害発生時の車両移動装置における前記拘束手段には、ステップS21乃至ステップS25及びステップS27、ステップS28からなるエンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、車両の走行可能な残り距離及び/または残り時間を音声で案内する音声案内手段を具備するものである。即ち、例えば、「残り、何百メートル移動可能です」というように、避難誘導できる許容された内容をガイドすることによって、車両を最寄りの邪魔にならない位置に移動できる。したがって、車両の走行可能な残り距離及び/または残り時間を音声及び/または可視的表示で案内するから、車両の移動する残り距離及び/または残り時間がドライバとなっている第三者に理解でき、適当な対応を行うことができる。
【0067】
上記実施の形態にかかる災害発生時の車両移動装置における前記拘束手段には、特定のパスワードの入力によってキャンセルするステップS22からなるパスワード入力手段を具備するものである。
このように、災害発生時の車両移動に対しては、正当なるドライバであれば、イグニッションキーを持っていないときでも、パスワードの入力によって移動させることができる。したがって、イグニッションキーを紛失しても、忘れても、正当なドライバであれば、災害発生時の異常事態にイグニッションキーを捜さなくても、車両を前記拘束手段の影響を受けることなく、すぐに対応可能である。
【0068】
上記実施の形態にかかる災害発生時の車両移動装置におけるステップS3からなる車両停止検知手段は、車両のエンジンの停止を検知したとき、その走行していた道路のリンクレベルを判別し、それによって、前記拘束手段の内容を前記リンクレベルに応じて設定するものである。
例えば、高速道路を走行中に災害を検知した場合には、ナビゲーション機能によってインターチェンジまたはパーキングエリアまでの走行を所定の指定距離に代えて自在とすることができる。勿論、ナビゲーション機能によって、そのインターチェンジからの距離についても、避難場所として学校の校庭等の収容容積の大きな場所と特定することができる。したがって、車両を停車させる道路によってその車両の移動条件が異なるので、道路のリンクレベルに応じた対応が可能となる。
【0069】
上記実施の形態にかかる災害発生時の車両移動装置においては、ステップS3からなる車両停止検知手段によって車両のエンジンの停止を検知したとき、ステップS5でその走行していた道路のリンクレベルを判別し、ステップS21乃至ステップS25及びステップS27、ステップS28からなるエンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、車両が走行しているとき、車両が走行する道路の前記リンクレベルが上がったとき、前記拘束手段によって、前記車両を停止させるものである。
したがって、例えば、リンクレベル0が「高速」、リンクレベル1が「都市高速」、リンクレベル2が「国道」、リンクレベル3が「主要地方道」、リンクレベル4が「県道」等と下に下がるのが通常の常識的な避難のあり方であるから、その逆の流れを断ち、道路のリンクレベルが上がるような場合には、避難誘導の走行ではないとして、その走行を禁止するものであるから、盗難が生じ難くなる。
【0070】
上記実施の形態にかかる災害発生時の車両移動装置においては、ナビゲーション機能を使用して現在の自車両の位置を検知する装置で説明したが、本発明を実施する場合には、車両のエンジンの停止を検知するステップS3からなる車両停止検知手段で、検知された位置をゼロとすれば、ナビゲーション機能のないものにも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は本発明の実施の形態1にかかる災害発生時の車両移動装置の全体構成図であり、ナビゲーション機能表現を含む全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1にかかる災害発生時の車両移動装置の災害検知プログラムのフローチャートである。
【図3】図3は本発明の実施の形態1にかかる災害発生時の車両移動装置の災害対応プログラムのフローチャートである。
【図4】図4は本発明の実施の形態1にかかる災害発生時の車両移動装置で使用するリンクレベルの順位を示す説明図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1にかかる災害発生時の車両移動装置で拘束条件を半径約1Kmの範囲内とした説明図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態2にかかる災害発生時の車両移動装置の全体構成図であり、ナビゲーション機能表現を含む全体構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1 演算・制御部
3 ディスプレイ
4 スピーカ
6 現在地検知部
7 地図情報処理部
81 イグニッションスイッチ
82 定電圧回路
83 始動スイッチ
84 定電圧回路
85 自己保持回路
86 災害演算・制御部
88 地震センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害の発生を検知する災害発生検知手段と、
車両のエンジンの停止を検知する車両停止検知手段と、
前記災害発生検知手段の災害検知信号を受け、かつ、前記車両停止検知手段で前記車両のエンジンの停止検知信号を得た後は、イグニッションキーを使用することなく始動スイッチによってエンジンが始動可能なエンジン強制始動手段と、
前記エンジン強制始動手段による前記車両の走行を制限する拘束手段と
を具備することを特徴とする災害発生時の車両移動装置。
【請求項2】
前記災害発生検知手段は、地震の発生に伴うP波及び/またはS波を検知するか、地震の発生に伴って放送される地震情報の電波を検知することを特徴とする請求項1に記載の災害発生時の車両移動装置。
【請求項3】
前記拘束手段は、前記車両停止検知手段によって車両のエンジンの停止が検知されてからの所定時間の経過を計測する経過時間計測手段と、前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動した場合、その車両走行距離を制限する走行距離制限手段によって、災害の発生の検知によって車両のエンジンの停止が検知されてから所定時間経過したか、または前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、車両が所定距離走行したかの何れかによって、車両のエンジンを停止することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の災害発生時の車両移動装置。
【請求項4】
前記拘束手段は、前記車両停止検知手段によって車両のエンジンの停止が検知されたとき、車両のエンジンの始動を管理する車両管理センターに車両の管理を委託し、前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動する際には、前記車両管理センターからの許可を受信することにより可能とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の災害発生時の車両移動装置。
【請求項5】
災害の発生を検知する災害発生検知手段と、
車両のエンジンの停止を検知する車両停止検知手段と、
前記災害発生検知手段の災害検知信号を受けた後、前記車両停止検知手段によって前記車両のエンジンの停止を検知したとき、前記車両の位置を記憶する自車両位置記憶手段と、
前記災害発生検知手段の災害検知信号を受け、かつ、前記車両停止検知手段で前記車両のエンジンの停止検知信号を得た後は、イグニッションキーを使用することなく始動スイッチによってエンジンが始動可能なエンジン強制始動手段と、
前記エンジン強制始動手段による前記車両の走行を制限する拘束手段と
を具備することを特徴とする災害発生時の車両移動装置。
【請求項6】
前記拘束手段は、前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、車両が走行できる距離は、車両のエンジンの停止位置を中心に半径が所定距離内であることを特徴とする請求項5に記載の災害発生時の車両移動装置。
【請求項7】
更に、前記拘束手段には、前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、前記車両の走行可能な残り距離及び/または残り時間を案内する音声案内手段を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の災害発生時の車両移動装置。
【請求項8】
更に、前記拘束手段は、特定のパスワードの入力によってキャンセルするパスワード入力手段を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の災害発生時の車両移動装置。
【請求項9】
更に、前記車両停止検知手段によって車両のエンジンの停止を検知したとき、その走行していた道路のリンクレベルを判別し、それによって、前記拘束手段の内容を前記リンクレベルに応じて設定することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の災害発生時の車両移動装置。
【請求項10】
更に、前記車両停止検知手段によって車両のエンジンの停止を検知したとき、その走行していた道路のリンクレベルを判別し、前記エンジン強制始動手段によってエンジンを始動し、車両が走行しているとき、前記車両が走行する道路の前記リンクレベルが上がったとき、前記拘束手段によって、前記車両を停止させることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1つに記載の災害発生時の車両移動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−243351(P2009−243351A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89812(P2008−89812)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】