説明

炊飯器

【課題】放熱板の遠赤外線による放熱効果の向上及び内鍋の熱吸収を促進し遠赤効果により炊きムラの少ない炊飯器を提供する。
【解決手段】本体と、この本体内に着脱自在に収容される内鍋3と、本体を開閉自在に覆う蓋体と、内鍋3を収容する鍋収納部の底部に配設され内鍋3の底部を加熱する底部加熱手段と、鍋収納部の内周側面に配設され内鍋3の側面を加熱する胴ヒータ12を有する放熱板8と、を備え、放熱板8の内周面に炭塗装8bを施し、内鍋3の少なくとも外側面に炭塗装3cを施したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炊飯器に係り、特に、内鍋の熱吸収の向上を図った炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本体と、本体内に着脱自在に収容される内鍋と、本体の上部開口部を覆い下面側に内鍋の上部を覆う内蓋が着脱自在に装着された蓋体と、内鍋を収容する内鍋収納部の底部に配設され内鍋の底部を加熱する誘導加熱コイルと、鍋収納部の内周側面に配設された放熱板と、放熱板の内側に設けられ内鍋の外側面を加熱する胴ヒーターと、保温時に内鍋の上部を加熱する上部加熱手段を設けている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−270023号広報(段落0012〜0015、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の炊飯器は、炊飯、保温時において、内鍋の外側面を加熱する胴ヒーターが設けられている放熱板の内周面には錆防止用の塗装が施されているだけで、内鍋を加熱するために有効な遠赤外線放射が少なく、また、内鍋を構成する外面がステンレスのために放熱板からの熱を反射してしまい吸収し難く、内鍋の側面加熱が十分に行われず、炊きムラが生じる問題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、放熱板の遠赤外線による放熱効果の向上及び内鍋の熱吸収を促進し遠赤効果により炊きムラの少ない炊飯器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る炊飯器は、本体と、この本体内に着脱自在に収容される内鍋と、前記本体を開閉自在に覆う蓋体と、前記内鍋を収容する鍋収納部の底部に配設され前記内鍋の底部を加熱する底部加熱手段と、前記鍋収納部の内周側面に配設され前記内鍋の外側面を加熱する側面加熱手段を有する放熱板と、を備え、前記放熱板の内周面に施したものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、鍋収納部の内周側面に配設され内鍋の外側面を加熱する加熱手段を有する放熱板と、を備え、放熱板の内周面に炭塗装を施したので、放熱板の遠赤外線による放熱効果の向上及び内鍋の熱吸収を促進し遠赤効果により炊きムラを少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1を示す炊飯器の縦断面図、図2は図1の要部Aの拡大図である。
図1において、炊飯器は、上部が開口した炊飯器本体1、炊飯器本体1の上部開口部を開閉自在に覆うように取り付けられた蓋体2、炊飯器本体1内に着脱自在に収容される内鍋3、炊飯器本体1内に設けられた内鍋3を電磁誘導加熱する誘導加熱コイル4が設けられている。
炊飯器本体1の本体ケース5は、上ケース6と、下ケース7からなり、内部には、炊飯器本体1の内側壁を形成し、かつ、内鍋3の鍋収容部10を形成する放熱板8と、内鍋3の下部を覆う形状に形成され、かつ上端部が放熱板8の下端部に結合されて内鍋3の鍋収容部10を形成し、下面側に誘導加熱コイル4が配設されたコイル台9が設けられている。
【0009】
また、上ケース6の前面側上部には炊飯スイッチや予約スイッチ等を有する操作パネル11が設けられている。また、内鍋3の底部に接触して内鍋3の温度を検知する内鍋用温度センサ13がコイル台9のほぼ中心部に設けられ、コイル台9の下方には、誘導加熱コイル4の磁気の外方への洩れを防止するフェライト14が設けられている。また、炊飯器本体1内の前方側に、制御基板15a等を有し、炊飯器の動作を制御する制御部15が設けられ、後方側に電源コードリール16が設けられている。
【0010】
蓋体2を構成する蓋ケース17は、ほぼ中心部に、蒸気口20aを有する蒸気排出装置20、蓋体2の上面側を形成する上蓋18と、上面に蓋ヒータ21が設けられていて、蓋体2の下面側を形成する下蓋19とによって構成されている。
また、下蓋19の上面側には、蓋ヒータ21を密着させるための固定板22が設けられ、下蓋19の下面側には、開口孔19aに対応する位置に蒸気孔23aを有し、蓋体2を閉塞したときに内鍋3の上部を覆う内蓋23が設けられている。そして、内蓋23の外周縁部には、内鍋3内を気密に保持する蓋パッキン24が取り付けられている。
【0011】
図2において、内鍋3は外側にステンレス3a、内側にアルミニウム3b等で構成されており、内鍋3の外面には炭(カーボン)塗装3cが施されている。この炭塗装3cは内鍋3の外側面及び底面の全体が好ましいが外側面だけでもよい。
外周側に設けられ、内鍋3の側面を加熱する、例えば、コードヒータからなる胴ヒータ12が取り付けられている円筒形の放熱板8内周面には、炭塗装8bが施されている。
内鍋3の炭塗装3cは、例えば、フッ素系塗料に遠赤吸収性の高い炭を混合したものであり、放熱板8の炭塗装8bは、例えば、ポリエステル系塗料に遠赤外線放射の高い炭を混合したものである。
なお、炭塗装の炭の他、遠赤外線放射の高い材料の黒鉛、セラミックス、天然鉱物等を用いた塗装でもよい。
【0012】
この構成において、炊飯を行う場合、まず、所定量の米と水が入った内鍋3を炊飯器本体1内の放熱板8およびコイル台9からなる鍋収容部10に収容して蓋体2を閉める。このとき、内鍋3の底面と内鍋用温度センサ13の上面は密接している。ついで、炊飯器の電源を入れて炊飯器本体1の前面側に設けられた操作パネル11の炊飯スイッチを押下すると、炊飯器本体1内に設けられた制御部15は、誘導加熱コイル4、胴ヒ−タ12および蓋ヒータ21に通電して、誘導加熱コイル4により内鍋3の底面に渦電流を発生させて内鍋3底面を発熱させるとともに、胴ヒータ12によって放熱板8の炭塗装8bより遠赤外線を放射し、内鍋3の外面の炭塗装3cで遠赤外線が吸収され、内鍋3は側面側から加熱される。また、蓋ヒータ21により内鍋3の上面側から加熱され、炊飯工程を開始する。そして、内鍋用温度センサ13の検知温度に基づいて予熱、炊飯、むらしの各工程を実行し、内鍋3内の米を炊き上げる。
【0013】
炊飯工程が終了すると、制御部15は胴ヒータ12、誘導加熱コイル4等に通電を続け、炊き上がったご飯が一定の温度に保たれるように保温工程を実行する。このとき、胴ヒータ12によって放熱板8の炭塗装8bの表面より遠赤外線を放射し、内鍋3の外面の炭塗装3cで遠赤外線を吸収して加熱される。
【0014】
以上のように、本体1と、この本体1内に着脱自在に収容される内鍋3と、本体1を開閉自在に覆う蓋体2と、内鍋3を収容する鍋収納部10の底部に配設され内鍋3の底部を加熱する誘導加熱コイル4と、鍋収納部10の内周側面に配設され内鍋3の側面を加熱する胴ヒータ12を有する放熱板8と、を備え、放熱板8の内周面に炭塗装8bを施したので、放熱板8の遠赤外線による放熱効果により、内鍋3の側面加熱が十分に行われ、炊きムラを少なくすることができる。
【0015】
また、内鍋3の少なくとも外側面に炭塗装3cを施したので、内鍋3の遠赤外線の熱吸収を促進し、より炊きムラをより少なくすることができる。
また、内鍋3の底面にも炭塗装を施せば、底面側の誘導加熱コイル4の熱吸収もよく、さらに炊きムラを少なくすることができる。
【0016】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態1を示す炊飯器の要部拡大図である。
実施の形態1では、内鍋3の外側をステンレス3a、内側をアルミニウム3bで構成し、内鍋3の外面に炭塗装3cを施したが、実施の形態は、図3に示すように内鍋3の素材を炭で構成したものである。他は実施の形態1と同じであり説明を省略する。
内鍋3は、例えば、粒状の炭に耐熱樹脂を添加した複合材料を焼結して成形する。
なお、内鍋3をグラファイトで構成してもよい。
【0017】
この構成において、誘導加熱コイル4により内鍋3の底面が発熱されるとともに、胴ヒータ12によって放熱板8の炭塗装8bより放射された遠赤外線が、内鍋3側面部全体で吸収され、内鍋3は加熱される。また、蓋ヒータ21により内鍋3の上面側から加熱され、予熱、炊飯、むらしの各工程により内鍋3内の米を炊き上げ、保温行程に移行する。
【0018】
以上のように、内鍋3を炭で構成したので、内鍋3の遠赤外線の熱吸収をよりよく促進し、より炊きムラをより少なくすることができる。
また、内鍋3の底面側の誘導加熱コイル4の熱吸収もよく、さらに炊きムラを少なくすることができる。
また、内鍋3の比重が小さく、熱伝導性がよいので、良好に炊飯ができるとともに、使い勝手もよく、腐食も生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施の形態1を示す炊飯器の縦断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】この発明の実施の形態2を示す炊飯器の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0020】
1 炊飯器本体、3 内鍋、3c 炭塗装、4 誘導加熱コイル、8 放熱板、8b 炭塗装、12 胴ヒータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、この本体内に着脱自在に収容される内鍋と、前記本体を開閉自在に覆う蓋体と、前記内鍋を収容する鍋収納部の底部に配設され前記内鍋の底部を加熱する底部加熱手段と、前記鍋収納部の内周側面に配設され前記内鍋の外側面を加熱する側面加熱手段を有する放熱板と、を備え、
前記放熱板の内周面に炭塗装を施したことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記内鍋の少なくとも外側面に炭塗装を施したことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記内鍋を炭で構成したことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−282783(P2007−282783A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112109(P2006−112109)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】