炊飯器
【課題】内蓋の操作を軽減し、炊飯性能も安定させることを目的とする。
【解決手段】鍋1と、加熱手段2と、鍋1を収納する本体16と、鍋1の開口部を覆う蓋4と、蓋4に取り付けられる内蓋7と、内蓋7を蓋4に対して所定角度で係止させた状態で着脱自在に保持する内蓋係止手段8と、内蓋7に設けられ鍋1内の圧力を調整する圧力調整手段13と、内蓋7を蓋4の所定位置で装着する内蓋装着手段9と、内蓋7が内蓋係止手段8を支点として蓋4側へ回転移動するとき所定位置に到達するよう内蓋7の回転移動を案内する内蓋案内手段23とを備え、内蓋係止手段8は、内蓋7の取り外し方向へのすべりを防止するすべり止め部(8a、22)を有し、内蓋7が係止状態で蓋4を閉じるとき、蓋4が閉じるまでの間内蓋7を係止状態に保持するものである。
【解決手段】鍋1と、加熱手段2と、鍋1を収納する本体16と、鍋1の開口部を覆う蓋4と、蓋4に取り付けられる内蓋7と、内蓋7を蓋4に対して所定角度で係止させた状態で着脱自在に保持する内蓋係止手段8と、内蓋7に設けられ鍋1内の圧力を調整する圧力調整手段13と、内蓋7を蓋4の所定位置で装着する内蓋装着手段9と、内蓋7が内蓋係止手段8を支点として蓋4側へ回転移動するとき所定位置に到達するよう内蓋7の回転移動を案内する内蓋案内手段23とを備え、内蓋係止手段8は、内蓋7の取り外し方向へのすべりを防止するすべり止め部(8a、22)を有し、内蓋7が係止状態で蓋4を閉じるとき、蓋4が閉じるまでの間内蓋7を係止状態に保持するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力を利用した炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯器は、精白米に水を吸収させる浸水工程、吸水した精白米に熱を加え米内のデンプンを糊化させる炊き上げ工程や沸騰維持工程、および鍋内に残った余分な水分を除去するとともにさらに糊化を促進させる蒸らし工程を実行し炊飯を行っている。鍋内の圧力をほぼ大気圧で炊飯するという意味で、以下では通常炊飯とも呼ぶ。
【0003】
炊飯とは、含水率15%前後の精白米に水を加え、加熱し、人間の胃が消化できる含水率65%前後のご飯に仕上げることである。また、精白米の約80%を占めるデンプンの糊化を行うことである。そもそも米のデンプンは、アミロースとアミロペクチンが固く結合した構造となっているため水を与えただけでは糊化は行われないが、吸水した状態の米を加熱すると、アミロースとアミロペクチンの分子運動が活発化し、アミロース、アミロペクチンの結合が崩れ、その間に水の分子が入り込み、糊化が行われるとされる。
【0004】
しかしながら、精白米に比べて栄養素がより豊富な玄米、発芽玄米、雑穀米などの炊飯には、上記の通常炊飯では約2倍程度の長時間の炊飯が必要であり、これを解決する方法として、特許文献1、2で知られるように、炊飯の炊き上げ工程で鍋の内部の圧力を1気圧以上にし、100℃〜110℃で炊飯することも行われる。この炊飯工程において、米は通常炊飯に比べて高温高圧に置かれ、大きな圧力が加えられるという意味で、以下では圧力炊飯とも呼び、通常炊飯と区別する。
【0005】
圧力炊飯を行うためには鍋内の圧力を制御する圧力調整手段が必要であるが、これを作動することで、通常炊飯と圧力炊飯の両方を行え、また圧力を多段階に制御する炊飯器もある。これらでは、圧力を切り替えることで、精白米を単なるかため、やわらかめの差だけでなく、粘りや弾力など食感の異なるご飯に炊き上げることもできるものである。
【0006】
以上のような炊飯工程を行う毎に、使用者は内蓋を蓋から取り外して洗い再度蓋に装着する必要があり、例えば特許文献3のように内蓋の取り外しを簡便にするものがある。特許文献3には、蓋の外部に露出した操作ボタンを操作し、内蓋の係合解除手段を作動させ、蓋から内蓋を落下させることなく、一定の傾斜角で停止させる構成が示されている。
【特許文献1】特許第2722781号公報
【特許文献2】特許第3349665号公報
【特許文献3】特開2002−95580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、内蓋の取り外しは容易になるものの、内蓋を蓋に装着する際には、蓋を閉じた時に鍋と蓋パッキンのシール性能を確保し鍋内から蒸気漏れせず所定の炊飯性能を発揮できるように、使用者が内蓋を常に蓋の所定位置にセットする必要があった。特に圧力炊飯では、炊飯時の鍋内の圧力が1気圧を超え1.5気圧に達するものがあり、炊飯中には内蓋全体では100kgを越える内部圧力が発生するものであるので、このような高温高圧条件下において、鍋と蓋の間の密封性、特に蓋に着脱自在に設けられた内蓋と鍋との間の密封性を確保し、所定の炊飯性能を発揮するためには、内蓋と蓋と鍋のそれぞれが所定の位置に正確に収納されて、内蓋に設けたシール部材が鍋と適切に密着し、鍋内で発生する蒸気の漏れを防止する必要があった。
【0008】
また、炊飯中は鍋内が高圧であるため、内蓋の強度を高める必要があった。このため圧力炊飯でない通常炊飯を行うものに比べ板厚の大きいステンレス鋼板で内蓋を構成することが一般的であり、圧力炊飯での内蓋は通常炊飯のものに比べ、板厚および質量で約2倍程度になることが多い。すなわち、内蓋が重くなり、着脱自在の内蓋を蓋にセットする操作における使用者の負担が大きかった。さらに、炊飯後に取り外して洗浄したり乾燥させたりする場合など、お手入れする時にも、重くて大変であった。
【0009】
また、炊飯中の鍋内が高温であるため、内蓋の温度が通常炊飯を行うものに比べ高温となり、しかも板厚が大きいために内蓋の熱容量が大きくなる。このため通常炊飯を行う炊飯器の内蓋に比べて冷めにくく、炊飯直後や保温終了後に本体の電源を切っても、内蓋の温度は短時間では低下しないという問題点があった。
【0010】
さらに、内蓋を傾斜させた状態で、内蓋を蓋に装着せずに蓋を閉じると、蓋を閉じる途中で内蓋が蓋から落下したり、不適切な位置に装着されたりする恐れがある。このような場合には、鍋内を高温高圧にした圧力炊飯では、鍋と蓋パッキンによるシール部から蒸気漏れが発生し、所定の炊飯性能を発揮できない恐れがあった。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、内蓋の蓋への装着が確実に行えて炊飯性能が安定し、且つその操作の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の炊飯器は、鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋を収納する本体と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、前記蓋に取り付けられる内蓋と、前記内蓋を前記蓋に対して所定角度で係止させた状態で着脱自在に保持する内蓋係止手段と、前記内蓋に設けられ前記鍋内の圧力を調整する圧力調整手段と、前記内蓋を前記蓋の所定位置で装着する内蓋装着手段と、前記内蓋が前記内蓋係止手段を支点として前記蓋側へ回転移動するとき前記所定位置に到達するよう前記内蓋の回転移動を案内する内蓋案内手段とを備え、前記内蓋係止手段は、前記内蓋の取り外し方向へのすべりを防止するすべり止め部を有し、前記内蓋が係止状態で前記蓋を閉じるとき、前記蓋が閉じるまでの間前記内蓋を係止状態に保持するものである。
【0013】
内蓋を蓋に取り付ける時に、内蓋係止手段によって内蓋を蓋に対して傾斜角度を有して係止状態に保持するものであり、内蓋係止手段に設けたすべり止め部により内蓋は確実に蓋に係止状態で保持される。このため、内蓋が係止状態で保持された蓋を閉じると、内蓋は内蓋係止手段から外れることなく蓋とともに回転し、鍋に当たると係止手段を支点として内蓋が蓋側に回転移動し、回転移動中に内蓋案内手段によって蓋の所定位置に案内され、内蓋装着手段により蓋に装着される。同時に、装着が確実であるから、圧力調整手段で鍋内の圧力を調整しながら、所定の炊飯性能を安定して発揮することができる。
【0014】
また、炊飯終了後等に内蓋を取り外す際は、内蓋装着手段を解除すると内蓋は内蓋係止手段を支点として回転移動し係止状態になるが、すべり止め部を設けているため重い内蓋であっても内蓋係止手段から外れることなく、確実に係止状態にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の炊飯器によれば、内蓋の操作を簡便にしつつ炊飯性能も安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1の発明は、鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋を収納する本体と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、前記蓋に取り付けられる内蓋と、前記内蓋を前記蓋に対して所定角度で係止させた状態で着脱自在に保持する内蓋係止手段と、前記内蓋に設けられ前記鍋内の圧力を調整する圧力調整手段と、前記内蓋を前記蓋の所定位置で装着する内蓋装着手段と、前記内蓋が前記内蓋係止手段を支点として前記蓋側へ回転移動するとき前記所定位置に到達するよう前記内蓋の回転移動を案内する内蓋案内手段とを備え、前記内蓋係止手段は、前記内蓋の取り外し方向へのすべりを防止するすべり止め部を有し、前記内蓋が係止状態で前記蓋を閉じるとき、前記蓋が閉じるまでの間前記内蓋を係止状態に保持するものである。
【0017】
これらの構成により、内蓋を蓋に取り付ける時に、内蓋係止手段によって内蓋を蓋に対して傾斜角度を有して係止状態に保持するものであり、内蓋係止手段に設けたすべり止め部により内蓋は確実に蓋に係止状態で保持される。このため、内蓋が係止状態で保持された蓋を閉じると、内蓋は内蓋係止手段から外れることなく蓋とともに回転し、鍋に当たると係止手段を支点として内蓋が蓋側に回転移動し、回転移動中に内蓋案内手段によって蓋の所定位置に案内され、内蓋装着手段により蓋に装着される。同時に、装着が確実であるから、圧力調整手段で鍋内の圧力を調整しながら、所定の炊飯性能を安定して発揮することができる。
【0018】
また、炊飯終了後等に内蓋を取り外す際は、内蓋装着手段を解除すると内蓋は内蓋係止手段を支点として回転移動し係止状態になるが、すべり止め部を設けているため重い内蓋であっても内蓋係止手段から外れることなく、確実に係止状態にすることができる。
【0019】
使用者は内蓋の蓋への収納を自身の操作手順として実施せずとも、蓋の閉操作だけで、内蓋が蓋に装着され、内蓋を蓋に対して所定の位置に装着するという使用者の操作の負担が軽減できる。
【0020】
第2の発明は、前記第1の発明において、圧力調整手段は内蓋と蓋との間に配置され、前記蓋は本体に対して90度以上開くよう構成され、前記蓋の開状態で前記内蓋を係止手段に取り付けたとき、前記圧力調整手段の重みで前記蓋側へ回転移動するものである。
【0021】
炊飯の準備作業として、蓋を本体に対して90度以上開いた状態にし、本体に米と水を入れた鍋を収納し、内蓋を内蓋係止手段によって略鉛直方向に蓋に係止させる。このとき、内蓋には蓋側に圧力調整手段が設けられているため、内蓋は圧力調整手段の重みにより内蓋は蓋側へ回転移動し、内蓋案内手段によって内蓋装着手段へと案内されて所定の位置に装着される。内蓋と鍋が所定の位置に配置されるので、内蓋と鍋のシールが確実にでき、通常炊飯はもちろん、高温高圧での圧力炊飯による炊飯性能が安定する。
【0022】
使用者は内蓋の蓋への収納を自身の操作手順として実施せずとも、内蓋を内蓋係止手段に装着するだけで、内蓋が蓋に装着され、内蓋を蓋に対して所定の位置に装着するという使用者の操作の負担が軽減できる。
【0023】
第3の発明は、前記第1の発明において、内蓋の温度を検知する内蓋温度検知手段と、内蓋装着手段による装着を解除し前記内蓋を傾斜させて係止状態にする解除手段とを備え、前記解除手段は前記内蓋の温度に基づいて、前記内蓋装着手段による内蓋の装着解除を停止する第1の解除手段制御部を有するものである。
【0024】
内蓋の温度を検知する内蓋温度検知手段と、内蓋装着手段から内蓋を開放する解除手段の動作を停止する解除手段制御部とを有し、これらを連動させることで内蓋の温度が高温の場合に内蓋を開放しないようにできるので、使用者が高温の内蓋を誤って持ってしまい火傷するのを防ぐことができる。炊飯器は通常、鍋温度検知手段や内蓋温度検知手段などにより、鍋および調理物の温度が適正に推移するように鍋加熱手段を制御する制御手段を備えており、この制御手段の指令に基づき解除手段制御部の動作を制御することができる。また、解除手段制御部が内蓋温度に連動して内蓋の開放を制御する機構であっても同様である。
【0025】
第4の発明は、前記第1の発明において、蓋の開放状態を検知する蓋状態検知手段を備え、解除手段は蓋の開放状態が所定時間以上継続すると自動的に内蓋を開放する第2の解除手段制御部を有することを特徴とする。
【0026】
蓋状態検知手段は蓋が開放状態であることを検知し、蓋の開放状態が予め設定された所定時間以上である場合に、炊飯器の動作を制御する制御手段が第2の解除手段制御部により内蓋を開放することで、内蓋を係止状態とし、内蓋の両面を露出して短時間で温度を低下させることができる。
【0027】
第5の発明は、前記第1の発明において、内蓋装着手段による装着を解除し前記内蓋を傾斜させて係止状態にする解除手段を備え、保温停止後に蓋を開放すると、解除手段は自動的に内蓋を開放することを特徴とする。
【0028】
使用者は保温停止後には蓋を開放し、鍋や内蓋を取り出して洗うなどのお手入れを行う。すなわち、保温停止後に蓋を開放するときには、解除手段により内蓋が自動的に蓋から開放されるので、簡単に内蓋を取り外せる。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における炊飯器の本体の断面図である。炊飯器の本体16は、米や水等の被調理物を収容する鍋1を着脱自在に内部に有し、炊飯器の本体16の上面および鍋1の開口部を覆う蓋4を開閉自在に上部に有している。
【0031】
鍋1は、鍋1の底面に設けられた加熱コイル等の鍋加熱手段2、側面に設けられた鍋側面加熱手段3により加熱される。蓋ヒンジ5は本体16の一端にて蓋4を支持し、蓋4は蓋ヒンジ5を支点として回転する。蓋ロック6は本体16の他端にて蓋4を本体16に固定するものである。蓋4には金属材料で形成された内蓋7が取り付けられている。蓋4を閉じた状態で、内蓋7は鍋1の開口部を覆うとともに、鍋1内の蒸気を排出する蒸気孔7aと、鍋1内の蒸気や水分の流出を防止するループ状のパッキン7bとを有している。
【0032】
図2は本発明の実施の形態1における炊飯器の開放した蓋に内蓋を係止した状態の断面図である。図2に示すように、蓋4には内蓋7を蓋4に対して角度α傾斜させた状態で着脱自在に係止状態に保持する内蓋係止手段8が設けられており、内蓋7が内蓋係止手段8を支点として矢印B方向または反対方向に回転移動する。また、蓋4を閉じたときパッキン7bが鍋1と適切に密着する所定位置に内蓋7を着脱自在に装着する内蓋装着手段9が蓋4に設けられている。さらに、内蓋7を誘導加熱するための加熱コイル等の内蓋加熱手段10が蓋4に設けられている。
【0033】
鍋温度検知手段11は、鍋1の底部に設けられ鍋1の温度を検知する。内蓋温度検知手段12は内蓋7の温度を検知する。圧力調整手段13は、内蓋7に設けられた鍋1内の蒸気を放出する蒸気孔7aと、球状の弁体である調圧ボール13aを移動させて蒸気孔7aを開閉する調圧ボール移動手段13bと、鍋1内の圧力を検知する圧力検知手段13cとにより構成され、内蓋7と蓋4の間であって内蓋7に設けられている。また、蒸気孔7aを閉じて鍋1内に蒸気を充満させることより鍋1内の圧力を大気圧以上にし、蒸気孔7aを開放して蒸気孔7aと蓋4に設けられた第2の蒸気孔14とで構成される蒸気通路を通じて鍋1内の蒸気を機外へ放出することにより鍋1内の圧力を大気圧と同等にする。
【0034】
制御手段15は、加熱手段制御部15aと温度計測制御部15bを有し、炊飯器の本体16の前面に設けられた入力操作部17により入力された信号、および記憶手段(図示せず)に記憶された、浸水工程を実行する所定時間、炊き上げ工程における温度上昇速度、炊飯の各工程での圧力値等の値に基づいて、炊飯工程を実行する。炊飯工程において、加熱手段制御部15aは鍋温度検知手段11および内蓋温度検知手段12の検知信号に基づいて鍋加熱手段2、鍋側面加熱手段3および内蓋加熱手段10を制御する。
【0035】
図3は、本発明の実施の形態1における炊飯器の内蓋係止手段を示す拡大断面図である。内蓋7は、その後端部に内蓋係止手段8へ装着する内蓋係止部20を有しており、内蓋係止手段8に対して内蓋7が矢印A方向から挿入され、内蓋係止手段8に設けた内蓋係止孔8aに対し、内蓋7の内蓋係止部20に設けた下方へ突出する係止部すべり止め部22が嵌合する。同時に、内蓋7が内蓋係止手段8を支点として自重により矢印Bと反対方向へ回転しようとする動作を、内蓋係止部20に設けた上方へ突出する係止部回り止め部21が内蓋7と係止することで停止させ、内蓋7を蓋4に対して傾斜角度αで係止する構造である。また、係止部回り止め部21の係止が外れたとしても、係止部すべり止め部22が内蓋係止孔8aに嵌合しているため、内蓋7の取り外し方向、すなわち矢印Aと逆方向へすべるのを防止することができる。
【0036】
このように、内蓋係止孔8aと係止部すべり止め部22とで内蓋7の取り外し方向のすべりを防止するすべり止め部を構成している。
【0037】
なお、内蓋係止孔8aは少なくとも一部が貫通しており、内蓋係止手段8に内蓋7などから滴下した水滴が滞留することなく流出するので、乾燥しやすく、清潔性を維持しやすい構造である。
【0038】
また、内蓋7に孔部を設け、その孔部に嵌合する突起形状のすべり止め部を内蓋係止手段8に設けてもよく、内蓋7が取り外し方向へすべるのを防止できる構成であればよい。
【0039】
図4は、本発明の実施の形態1における炊飯器の内蓋を装着した状態の断面図、図5は、同炊飯器の内蓋を装着した蓋の平面図である。内蓋7を、内蓋係止手段8を支点として図2に示す矢印B方向に回転移動させると、内蓋7は蓋4に設けた内蓋案内手段23によって回転移動の動きが規制され、蓋4の所定位置にくるよう案内される。このようにして所定位置に到達した内蓋4は、内蓋7の前端に設けられた内蓋装着部24が蓋4に設けられた内蓋装着手段9に固定され、図5に示すように内蓋7が蓋4に装着される。なお、内蓋7は、使用者により内蓋7が蓋4側に押されたり、内蓋7を係止状態で蓋4が使用者により閉じられると鍋1と蓋4に挟まれて内蓋7が蓋4に近づくことにより、内蓋7を回転移動させることができる。
【0040】
内蓋案内手段23は、図5に示すように蓋4の内面に設けられた下方へ突出するリブ形状の突起であり、略円形の内蓋7の外周を突起に略当接させることで、所定の位置に回転移動するように案内するものである。したがって、内蓋案内手段23の形状は内蓋7の外形に合わせて任意に変更可能であり、単なるリブ形状でなく、蓋4の内面の全体形状で所定の位置に案内しても良いものである。また、内蓋7が略円形であることで、洗浄と乾燥などのお手入れ性が優れる。なお、内蓋7の外形が略円形のシンプルな形状でなく、比べるとお手入れ性が低下するとはいえ、内蓋案内手段23を内蓋7に設けて、蓋4に内蓋案内手段23に対応した凹凸を設けてもよい。
【0041】
実際の炊飯における準備作業として、使用者は本体16に米と水を入れた鍋1を収納し、内蓋7を内蓋係止手段8によって係止させた状態で、蓋4の閉操作を行う。このときに内蓋7は内蓋係止手段8によって蓋4に係止した状態で、蓋4の回転とともに内蓋案内手段23によって内蓋7が内蓋装着手段9へと案内されて所定の位置に装着される。内蓋7が蓋4の所定の位置で装着されるので、内蓋7と鍋1が適切な位置で接触するため、内蓋7と鍋1のシールが確実にでき、大気圧での通常炊飯はもちろん、高温高圧での圧力炊飯において蒸気の漏れが無く炊飯性能が安定する。
【0042】
このような準備作業で、使用者は内蓋7の蓋4への収納を自身の操作手順として実施せずとも、蓋4の閉操作だけで、内蓋7が蓋4に自動的に装着されるのであり、内蓋7を蓋4に対して所定の位置に装着するという使用者の操作の負担がさらに省略できる。
【0043】
図6は、本発明の実施の形態1における炊飯器の入力操作部の正面図である。入力操作部17は、使用者が所望の運転コース等を設定したり炊飯工程等をスタートさせたりするときに操作されるものであり、炊飯工程を開始する炊飯スイッチ17a、ご飯の炊き上がりを設定するかたさ設定スイッチ17b等の各スイッチと、表示部18を有している。表示部18は、炊飯終了時や選択されたコース等を表示するメイン表示部18a、炊飯工程中であることを示す炊飯ランプ18b、保温工程中であることを示す保温ランプ18c、冷やご飯を温める再加熱工程中であることを示す再加熱処理ランプ18d、圧力工程中であることを示す圧力処理ランプ18e等を有している。
【0044】
次に、本発明の実施の形態1における炊飯工程の各工程について説明する。図7は、本発明の実施の形態1における炊飯器の各工程における鍋内の温度変化を示す温度チャートである。本発明の実施の形態1における炊飯器の炊飯工程は、図7に示すように浸水工程、炊き上げ工程(その一部を沸騰維持工程という)および蒸らし工程の順で構成され、続いて保温工程(図示は省略)が実行される。
【0045】
浸水工程では、使用者により米量に対する所定量の水が鍋内に供給され、鍋加熱手段2等による加熱を行い、鍋温度検知手段11で鍋1の温度を検知しながら。糊化が行われない最高温度(55〜58℃程度)以下で所定時間だけ行い、次に炊き上げ工程を実行する。
【0046】
炊き上げ工程では、主として鍋加熱手段2で鍋1を加熱し、沸騰させる。また、圧力調整手段13により蒸気孔7aを閉じて鍋1内を密閉し、蒸気を充満させて鍋1内の圧力を大気圧よりも高め、炊飯水を100℃以上で沸騰させる。
【0047】
加熱途中で、鍋1の温度が60℃前後になるとデンプンの糊化が始まる。この炊き上げ工程において、米は含水率が低いため吸水に時間を要し糊化に時間がかかる。また、炊飯時間を短縮するために急激に沸騰させると、米表面が先に糊化してしまい米内部への水や熱の伝達が十分に行えず、特に米中心部の糊化が完了しない状態で炊飯工程が終了するため、粘りのないパサパサしたごはんになってしまう。そこで、鍋加熱手段2の加熱を調整しながら、適度な温度上昇速度となるように制御する。また、鍋1内の圧力が大気圧よりも高いため、100℃以上の水で炊き上げることで、100℃の水で炊く場合に比べて加熱量が増え糊化を促進させる。鍋1内の水が沸騰したことを内蓋温度検知手段12が検知すると、沸騰維持工程に移る。
【0048】
沸騰維持工程では、圧力調整手段13により蒸気孔7aを開放して鍋1内の圧力を大気圧と同等にしながら、沸騰を維持する。沸騰により水が対流するため、水が米同士の間を激しく流れることにより、鍋1内の米全体に水と熱がまんべんなく供給され糊化が促進される。また、鍋1内の水が蒸発すると、蒸気孔7aが開放されたことにより蒸気の流れができ、蒸気は米の間を通過して上昇して蒸気孔7aから炊飯器外へ放出され、蒸気が米の間を通過することにより米に熱を与え、さらに糊化が促進される。
【0049】
鍋1内の炊飯水が蒸発してほぼ無くなると鍋1の温度が急激に上昇する。この急激な上昇により所定の温度を鍋温度検知手段11が検知したとき、沸騰維持工程を終了し、次の蒸らし工程に移る。
【0050】
蒸らし工程では、鍋加熱手段2、鍋側面加熱手段3および内蓋加熱手段10により追い炊き加熱を行い、ご飯の温度を維持し、糊化の継続と余分な水分の蒸発を行う。
【0051】
所定時間蒸らし工程を行った後、鍋1内の温度を所定温度(例えば、70℃前後)に維持する保温工程を行う。
【0052】
以下、図1〜図7を用いて本発明の実施の形態1における炊飯器について、動作および作用を説明する。
【0053】
本体16に米と水を収納した鍋1をセットし、時刻t0において、使用者によって炊飯スイッチ17aが押圧されると、炊飯ランプ18bを点灯させ浸水工程を開始する。主として鍋加熱手段2により鍋1内の米と水を一定温度に加熱して、保持する。
【0054】
時刻t1において、炊き上げ工程を開始する。圧力調整手段13により蒸気孔7aを閉じ、蒸気を充満させて鍋1内の圧力を大気圧以上にした状態で、鍋加熱手段2、鍋側面加熱手段3および内蓋加熱手段10により鍋1を加熱し鍋1内の水を沸騰させる。圧力処理ランプ18eを点滅させる。
【0055】
時刻t2において、鍋1内の水が沸騰し、炊き上げ工程の一部として沸騰維持工程を開始する。圧力調整手段13により蒸気孔7aを開放して蒸気を機外へ逃がし、沸騰を維持することにより水と熱を米に供給して糊化を促進させる。
【0056】
時刻t3において、鍋1内の水分がなくなり、鍋1の温度が急激に上昇し所定の温度に達したことを鍋温度検知手段11が検知すると、蒸らし工程を開始する。さらに、時刻t4において、炊飯工程を終了し、保温工程に移行する。
【0057】
また、本実施の形態1では、入力操作部17に炊飯する米種を選択する米種入力部(図示せず)を設け、各米種に適切な圧力値を記憶手段にそれぞれ記憶しておき、選択された米種に応じた圧力値になるよう圧力調整手段13により調節することにより、各米種に適切な温度、圧力で炊飯することができる。例えば、玄米の場合は、白米が選択された場合よりも圧力値を高くすることにより、かたさやぱさつきがなく炊き上げることができる。また、軟質米と硬質米、新米と古米、白米と玄米などより細かく米種を選択できるようにすることにより、より各米種に対して適切な炊飯を行うことができる。
【0058】
また、本実施の形態1における炊飯器では、鍋加熱手段2、鍋側面加熱手段3および内蓋加熱手段10は、誘導加熱によるものを用いているが、それぞれ電気ヒータやガス燃焼など熱源は何でもよく、鍋加熱手段2以外は設けなくてもよい。また、それぞれが単一のリング形状であってもよく、複数個に分割されてあってもよい。もちろん、複数個のコイルで構成されてもよい。
【0059】
また、鍋温度検知手段11および内蓋温度検知手段12は、通常運転での温度から異常時の高温度までの範囲を検知できるものであれば、どのような検知原理でもよい。
【0060】
また、本実施の形態1における炊飯器では、圧力調整手段13は内蓋7の蒸気孔7aを開閉することにより鍋1内の圧力を調節したが、鍋1内の圧力を制御できるものであればどのようなものでもよい。
【0061】
以上のような実施の形態1における炊飯器について、使用者の操作と炊飯性能という観点を中心にさらに説明する。
【0062】
第1に、内蓋7が係止状態で蓋4を矢印C方向に閉じると、内蓋係止手段8は内蓋7を係止状態に保持しつづけ、内蓋7が鍋1の上端部に達すると蓋4がさらに閉まるにつれて内蓋係止手段8を支点として矢印B側へ回転し、内蓋案内手段23により所定位置に案内され、所定位置に到達すると蓋4と鍋1に挟まれて内蓋装着部24が蓋4の内蓋装着手段9に装着される。
【0063】
実際の炊飯における準備作業として、使用者は本体16に米と水を入れた鍋1を収納し、内蓋7を内蓋係止手段8によって蓋4に係止させ、蓋4の閉操作を行う。このときに内蓋7は内蓋係止手段8によって蓋4に係止した状態で、蓋4の回転とともに内蓋案内手段23によって内蓋7が内蓋装着手段9へと案内されて所定の位置に装着される。内蓋7が蓋4の所定の位置で装着され、内蓋7が鍋1の所定の位置に配置されるので、内蓋7と鍋1のシールが確実にでき、大気圧での通常炊飯はもちろん、高温高圧での圧力炊飯において蒸気の漏れが無く炊飯性能が安定する。
【0064】
このような準備作業で、使用者は内蓋7の蓋4への収納を自身の操作手順として実施せずとも、蓋4の閉操作だけで、内蓋7が蓋4に自動的に装着されるのであり、内蓋7を蓋4に対して所定の位置に装着するという使用者の操作の負担がさらに省略できる。
【0065】
なお、本実施の形態1ではパッキン7bの形状は単純な断面形状として記載されているが、現実的には先端部が薄く、鍋1内の内圧により変形してよりシール性能を強化できる形状を備えたものとするものである。しかしながら、従来から一般的な技術でもあり、具体的な形状は様々に可能であり、詳細な図示は省略する。
【0066】
続いて、炊飯あるいは保温終了後には内蓋装着手段9によって内蓋7を蓋4から開放すると、内蓋7は内蓋係止手段8を支点として矢印Bとは逆方向に回転移動し、装着状態から係止状態へと変更し、内蓋7の一部を片手で保持して、取り外すことができるので、お手入れ時の負担も軽減される。
【0067】
なお、内蓋7を蓋4に取り付ける時に、図2に示すように内蓋係止手段8によって内蓋7を蓋4に対して傾斜角度αを有して係止状態に保持し、内蓋係止手段8を支点として内蓋7を矢印B方向に回転移動させ、回転移動中の内蓋7の動きを内蓋案内手段23により規制し蓋4の所定位置に到達させ、内蓋装着手段9によって内蓋7を蓋4の所定位置に装着するようにしてもよい。これらの構成により、使用者は内蓋7の一部を片手で保持し、内蓋7の回転移動の軌道を調整する必要がなく蓋4側に押すだけで係止状態から装着状態へと操作できるので、使用者が内蓋7を装着する操作の負担が軽減される。
【0068】
同時に、内蓋7の蓋4への装着が片手で確実に実行され、所定の位置に装着されるから、蓋4を閉じたときには鍋1と内蓋7のパッキン7bとのシール性能が確保される。鍋1内を高温高圧とする圧力炊飯において蒸気の漏れが無く、圧力調整手段13で鍋1内の圧力を精度よく調整しながら、所定の炊飯性能を安定して発揮するものである。
【0069】
なお、本実施の形態1では使用者が持つ部位が明確ではないが、内蓋7の外縁部に専用の取っ手を設けてもよいものである。
【0070】
第2に、内蓋係止手段8を蓋ヒンジ5寄りに、内蓋装着手段9を蓋ロック6寄りに配置したことを特徴とする。
【0071】
この構成において蓋4の開状態で、蓋ヒンジ5は略鉛直方向に置かれた蓋4の下部に位置し、蓋ロック6は蓋4の上部に位置するものであるから、内蓋係止手段8を蓋ヒンジ5寄りに設けたことで、内蓋7が鉛直方向の下端あるいは下部で支持されるものである。すなわち、圧力炊飯を行うために通常炊飯に比べると重い内蓋7であるものの、使用者はこの内蓋7を上方あるいは斜め上方から自重によってスライドするように収納し、内蓋7を係止状態とすることができて、自然な収納作業であり、操作の負担が軽減される。
【0072】
また、内蓋装着手段9を蓋ロック6寄りに設けたことで、内蓋7は下方の内蓋係止手段8を支点に回転させればよいものであり、比較的重い内蓋7であっても、内蓋係止手段8での回転における摩擦抵抗は小さいので、矢印Bのように内蓋7の上部を押して内蓋装着手段9へと装着させるための操作力は僅かでよいものである。
【0073】
第3に、内蓋装着手段9は内蓋装着部24を蓋4から開放する解除手段25を有し、内蓋係止手段8に保持された内蓋係止部20を支点として回転移動することにより形成する内蓋7の移動空間の外側に解除手段25を配置したことを特徴とする。なお、内蓋7の移動空間を内蓋7の移動範囲や内蓋移動空間とも呼ぶ。
【0074】
炊飯や保温終了後に、内蓋7を取り外すためには、まず蓋ロック6を外し、蓋4を開放し、次に内蓋7を蓋4から取り外すべく解除手段25を操作する。この時に、内蓋係止手段8を支点として、装着状態から係止状態へと回転移動する内蓋7に解除手段25を操作する手指が触れないので、炊飯直後や保温中など内蓋7の温度が高温時にも、使用者が直接触れないで内蓋7を係止状態にすることができる。さらに内蓋7が係止状態であることで、熱容量が大きく高温である内蓋7の両面から放熱させて短時間でその表面温度が下がる。
【0075】
なお、解除手段25の具体的な構造は図示を省略するが、内蓋装着手段9から内蓋装着部24を取り出す構造であればよく、従来からの機構技術でバネとラッチなどを組み合わせ利用して実現できるものである。
【0076】
第4に、内蓋装着手段9は内蓋7が装着されていない場合に蓋4が閉じない蓋ロック停止手段26を有する(図5参照)。
【0077】
内蓋7を蓋4に装着するための内蓋装着手段9が、内蓋7の装着がない時に、例えば蓋4の内部に収納されない凸部を有すると、内蓋装着手段9の凸部が本体16に当たることで、蓋4が鍋1に対して閉状態まで回転することを途中で制止する。このため蓋4が本体16に装着できない。すなわちこの内蓋装着手段9の凸部が蓋ロック停止手段26となるものである。
【0078】
さらに、蓋ロック停止手段26は、予め内蓋装着部24が内蓋装着手段9に所定の位置に完全に収納された場合はもちろん、ほぼ収納された場合に伸縮自在となり蓋4に収納されるような構成とすることで、内蓋7が係止状態で蓋4を閉じた場合にも、内蓋7が蓋4に装着されるものである。
【0079】
この蓋ロック停止手段26があるので、蓋4および内蓋7が正しく装着されない場合に、炊飯や保温の運転動作を停止することができる。結果として内蓋7の装着忘れによる不完全な炊飯性能や保温性能にならないようにできる。また、使用者が蓋4から手を離すと、通常は蓋ヒンジ5の開放力により蓋4が開状態となり、内蓋7が装着されていないことが明確に分かる。しかも、本実施の形態1では内蓋7が装着されず蓋ロック停止手段26が作用する場合は、蓋ヒンジ5の作用により蓋4が開状態となり、使用者がより確実に内蓋7が装着されていないことを確認できるので、炊飯や保温など必要なタイミングで内蓋7を忘れずに装着することになる。
【0080】
なお、図8は本発明の実施の形態1における炊飯器の他の例の内蓋係止手段を示す拡大断面図であり、図8に示すように、内蓋係止手段8を、内蓋係止部20を中心に内蓋7を傾斜角度αまで回転させる係止部軸受け30と、内蓋7の回転を傾斜角度αで停止させる係止部回り止め21で構成してもよい。蓋4に対して内蓋7を係止させる係止状態に関し、内蓋係止手段8の係止部軸受け30にて内蓋係止部20、特に内蓋係止部軸20aを略中心に内蓋7をその自重によって傾斜角度αまで回転させるものである。また、係止部回り止め21にて内蓋7の回転を傾斜角度αで停止させるものである。回転の抵抗が少なく停止が行えるので、操作が軽く、耐久性も優れる。
【0081】
なお、この回転の駆動源には内蓋7の自重や蓋4あるいは内蓋7に設けたばねの反発力など、従来の技術でさまざまな構成があり得るが、内蓋係止手段8が内蓋7の回転と停止を制御するものであれば、余分な部品を使用せずシンプルな構成であり、蓋4や本体16の大きさや質量は従来と殆ど同様の程度の大きさで実現でき、蓋4および内蓋7の質量増大による操作性の低下や部品の大型化がない。
【0082】
なお、図9は本発明の実施の形態1における炊飯器の他の例の内蓋を示す断面図であり、図9に示すように、内蓋係止手段8に係止した内蓋7が傾斜角度を有す係止状態から略鉛直方向の装着状態まで回転する範囲において、内蓋係止手段8を中心として蓋4と反対側に内蓋7の重心Pがあるよう構成してもよい。内蓋7は所定の傾斜角度より鉛直方向に立った角度でセットしても、内蓋係止手段8に係止した状態では内蓋7の重心Pが内蓋係止手段8を中心として蓋4と反対側にあるので、所定の傾斜角度αまで内蓋7の自重(矢印Wで示す)を駆動源として、回転モーメント(D×W)にて自動的に回転する。また、蓋4および内蓋7に若干の外力、振動が加わっても、傾斜角度αへと回転する力が常時作用するので、係止状態で安定する。
【0083】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2における炊飯器の内蓋を装着した蓋の平面図、図11は、同炊飯器の内蓋を装着した蓋の断面図である。図10に示すように、内蓋装着手段9の解除手段25は内蓋係止部20を支点として蓋4から内蓋7を前方に押し出す内蓋押し出しピン32を有する。炊飯器としての基本構成は実施の形態1と同様であり、図示およびその説明を省略する。
【0084】
内蓋装着手段8の解除手段25により蓋4から内蓋7を取り外すため、内蓋係止部20を支点として内蓋7を前方に押し出す内蓋押し出しピン32を設けたことで、図11において矢印Fとして示す比較的小さい力でもって、内蓋係止手段8から距離Lで内蓋7の一端を前方に押し出すことができて、確実に内蓋装着部24を蓋4から分離する。
【0085】
内蓋押し出しピン32はバネ力が付勢され(図示は省略)、内蓋7の内蓋装着部24を所定の力で押し出し、内蓋7の自重による回転を滑らかに開始する。なお、バネ力の他に、永久磁石やソレノイドなどの磁力で駆動してもよい。
【0086】
また、圧力調整手段13、特に調圧ボール13aを内蓋7と蓋4の間に配置したことを特徴とする。
【0087】
圧力調整手段13(圧力調整弁や調圧ボールなどとも呼ばれる)が内蓋7と蓋4の間に配置され、高温高圧の蒸気を密封するため、ある程度の重量と大きさを有する圧力調整手段13、特に調圧ボール13aを内蓋7に取り付けることで、内蓋係止手段8に係止した内蓋7が傾斜角度αを有す係止状態から略鉛直方向の装着状態まで回転する範囲において、内蓋7の重心が蓋4に近いものである。したがって、内蓋7を内蓋係止手段8に係止し、続いて蓋4に装着する場合には、内蓋7の重心が蓋4に近い分だけ、小さい力で内蓋7を蓋4の方向に回転させて内蓋装着手段9にて装着できる。
【0088】
また、内蓋7を開放する時には、内蓋7の重心が蓋4に近いことにより、装着状態から係止状態へと変化する間に作用する力が圧力調整手段13の質量に相当する分だけ低減されて、係止状態で内蓋7が停止するときの衝撃力が小さくなる。内蓋7の開閉に伴う変形が少なく、耐久性に優れる。
【0089】
(実施の形態3)
図12は、本発明の実施の形態3における炊飯器本体の断面図を示しており、図12に示すように、内蓋の温度を検知する内蓋温度検知手段12を備え、解除手段25の動作を内蓋7の温度に基づいて内蓋装着手段9からの内蓋7の開放を停止するように制御手段15に第1の解除手段制御部35を有する。炊飯器としての基本構成は実施の形態1と同様であり、図示およびその説明を省略する。
【0090】
制御手段15は内蓋7の温度を検知する内蓋温度検知手段12の検知温度に基づき、内蓋装着手段9から内蓋7を開放する解除手段25の動作の運転停止を判断し、その結果を実行する第1の解除手段制御部35とを有する。制御手段15がこれらを連動させることで、たとえば炊飯直後や内蓋7の温度が高温の場合に内蓋7を開放しないようにすることで、使用者が高温であることに気づかず内蓋7を取り出そうとして火傷することを防ぐことができる。
【0091】
炊飯器は通常、鍋温度検知手段11や内蓋温度検知手段12などにより、鍋1および調理物の温度が適正に推移するように鍋加熱手段2を制御する加熱手段制御部15aや温度計測制御部15bを有する制御手段15を備えており、この制御手段15の指令に基づき同様に第1の解除手段制御部35の動作を制御することができる。
【0092】
なお、実施の形態3としては制御手段15の第1の解除手段制御部35で内蓋7の開放を制御しているが、内蓋7の温度に連動して内蓋7の開放を実行する感熱素子を有する機構であってもよいものである。
【0093】
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4における炊飯器本体の断面図を示しており、図13に示すように、蓋4の開放状態を検知する蓋状態検知手段37を備え、解除手段25は蓋4の開放状態が所定時間以上継続すると自動的に内蓋を開放する第2の解除手段制御部38を有することを特徴とする。炊飯器としての基本構成は実施の形態1と同様であり、図示およびその説明を省略する。
【0094】
蓋状態検知手段37は蓋4が開放状態であることを検知し、蓋4の開放状態が予め設定された所定時間以上である場合に、炊飯器の動作を制御する制御手段15が第2の解除手段制御部38により内蓋7を開放することで、内蓋7を係止状態とし、内蓋7の両面を露出して短時間で温度を低下させる。蓋状態検知手段37は、炊飯器の蓋4に取り付けられることで雰囲気温度は室温より高い場合が多いとはいえ、球状のマグネットとホール素子など、種々のセンサーで構成することが可能であり、特に限定するものではない。
【0095】
また、図14は、本発明の実施の形態4における炊飯器の各工程における鍋内の温度変化を示す温度チャートを示しており、図14に示すように保温停止後に蓋4を開放すると、制御手段15の指令により解除手段25が自動的に内蓋7を開放することを特徴とする。
【0096】
通常、使用者は保温停止後には蓋4を開放し、鍋1や内蓋7を取り出して洗うなどのお手入れを行う。すなわち、保温停止後に蓋4を開放するときには、解除手段25により内蓋7が自動的に蓋4から開放されるので、内蓋7の温度が短時間で低下するとともに、簡単に内蓋7を取り外せる。
【0097】
(実施の形態5)
図15は、本発明の実施の形態5における炊飯器の内蓋を係止した状態の断面図を示しており、図15に示すように、蓋4は本体16に対して90度以上開いた状態で自立し、内蓋7は矢印Aで示すように略鉛直方向から内蓋係止手段8に装着されると、圧力調整手段13の重みにより矢印B側へ回転移動し、蓋4に装着されることを特徴とする。炊飯器としての基本構成は実施の形態1と同様であり、図示およびその説明を省略する。
【0098】
内蓋7は、上面側すなわち内蓋7と蓋4との間に圧力調整手段13を有しており、図15から容易に推測できるように、内蓋7を内蓋係止手段8へ矢印A方向に装着すると、内蓋7は圧力調整手段13の重みにより矢印B側へ回転移動し、内蓋案内手段23により案内されて蓋4の所定位置まで到達し、内蓋装着手段9により蓋4に装着される。使用者は、係止角度を考えずに矢印A方向である略鉛直方向に内蓋7を内蓋係止手段8に装着するだけで内蓋7を蓋4に装着することができ、操作が簡単である。
【0099】
なお、内蓋7が略鉛直方向よりもさらに蓋4側へ傾斜した状態で内蓋係止手段8に装着されても、内蓋7は蓋4側へ回転移動することは言うまでもない。
【0100】
また、圧力調整手段13を内蓋7に設けなくとも、内蓋7を略鉛直方向に取り付けたとき内蓋7の重心を蓋4側に近くなるよう構成することで、内蓋7の自重により矢印B方向に回転移動し、自動的に蓋4に装着させることができる。
【0101】
また、内蓋4を内蓋係止手段8に係止させると回転移動することなく自立する構成とし、使用者により矢印B側へ押されることで回転移動するように構成してもよい。内蓋7が蓋4に装着した状態を解除すると、実施の形態2で説明した内蓋押し出しピン32等を設け、係止状態となるように構成すると、係止状態では内蓋7は前後に揺動するものの、係止状態に止まるときに内蓋係止部20および内蓋係止手段8に発生する衝撃力が小さく、耐久性に優れる。なお、傾斜角度αは使用者が操作できる最小の角度であれば、さらに衝撃力が小さくなる。
【0102】
なお、上記の各実施の形態において、図16に示すように内蓋7に複数個の内蓋係止部20および内蓋装着部24を設けてもよい。内蓋7を蓋4に装着するときに、内蓋7は略円形でその外周部に内蓋係止部20および内蓋装着部24が複数個あるので、内蓋7の装着方向が円周方向で複数通りに選べるので、使用者は内蓋7の上下方向や取り付け角度をそれほどは意識しないで簡単に装着できるので、内蓋7の使い勝手が高い。
【0103】
なお、上記の各実施の形態における鍋加熱手段2、鍋側面加熱手段3、内蓋加熱手段9は鍋1や内蓋7を誘導加熱する加熱コイルで構成しているが、ヒータや蒸気など他の熱源であってもよいものである。したがって、鍋1や内蓋7は誘導加熱できる金属材料で構成しているが、熱源に応じて他の材料であってもよいものである。
【0104】
なお、上記の各実施の形態には鍋1内の圧力を検知する圧力検知手段13cを有しているが、内蓋温度検知手段12や他の温度検知手段により鍋1内の温度を検出し、鍋1内の圧力を推定することで、運転を制御するものであってもよい。
【0105】
なお、実施の形態1〜5における発明は、一つの炊飯器に実装してもよく、それぞれの上記効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、内蓋の操作を軽減し、炊飯性能も安定させることができるので、より高温高圧の業務用炊飯器や調理器等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器本体の断面図
【図2】同炊飯器の内蓋を係止した状態の断面図
【図3】同炊飯器の内蓋係止手段を示す拡大断面図
【図4】同炊飯器の内蓋を装着した状態の断面図
【図5】同炊飯器の内蓋を装着した蓋の平面図
【図6】同炊飯器の入力操作部の正面図
【図7】同炊飯器の各工程における鍋内の温度変化を示す温度チャート
【図8】同炊飯器の係止部軸受けを示す拡大断面図
【図9】同炊飯器の内蓋を装着した蓋の断面図
【図10】本発明の実施の形態2における炊飯器の内蓋を装着した蓋の平面図
【図11】同炊飯器の内蓋を装着した蓋の断面図
【図12】本発明の実施の形態3における炊飯器本体の断面図
【図13】本発明の実施の形態4における炊飯器本体の断面図
【図14】同炊飯器の各工程における鍋内の温度変化を示す温度チャート
【図15】本発明の実施の形態5における炊飯器の内蓋を係止した状態の断面図
【図16】本発明の実施の形態1〜5における炊飯器の内蓋を装着した蓋の平面図
【符号の説明】
【0108】
1 鍋
2 鍋加熱手段
3 鍋側面加熱手段
4 蓋
7 内蓋
8 内蓋係止手段
9 内蓋装着手段
10 内蓋加熱手段
11 鍋温度検知手段
12 内蓋温度検知手段
13 圧力調整手段
16 本体
22 係止部すべり止め部
23 内蓋案内手段
25 解除手段
35 第1の解除手段制御部
37 蓋状態検知手段
38 第2の解除手段制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力を利用した炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯器は、精白米に水を吸収させる浸水工程、吸水した精白米に熱を加え米内のデンプンを糊化させる炊き上げ工程や沸騰維持工程、および鍋内に残った余分な水分を除去するとともにさらに糊化を促進させる蒸らし工程を実行し炊飯を行っている。鍋内の圧力をほぼ大気圧で炊飯するという意味で、以下では通常炊飯とも呼ぶ。
【0003】
炊飯とは、含水率15%前後の精白米に水を加え、加熱し、人間の胃が消化できる含水率65%前後のご飯に仕上げることである。また、精白米の約80%を占めるデンプンの糊化を行うことである。そもそも米のデンプンは、アミロースとアミロペクチンが固く結合した構造となっているため水を与えただけでは糊化は行われないが、吸水した状態の米を加熱すると、アミロースとアミロペクチンの分子運動が活発化し、アミロース、アミロペクチンの結合が崩れ、その間に水の分子が入り込み、糊化が行われるとされる。
【0004】
しかしながら、精白米に比べて栄養素がより豊富な玄米、発芽玄米、雑穀米などの炊飯には、上記の通常炊飯では約2倍程度の長時間の炊飯が必要であり、これを解決する方法として、特許文献1、2で知られるように、炊飯の炊き上げ工程で鍋の内部の圧力を1気圧以上にし、100℃〜110℃で炊飯することも行われる。この炊飯工程において、米は通常炊飯に比べて高温高圧に置かれ、大きな圧力が加えられるという意味で、以下では圧力炊飯とも呼び、通常炊飯と区別する。
【0005】
圧力炊飯を行うためには鍋内の圧力を制御する圧力調整手段が必要であるが、これを作動することで、通常炊飯と圧力炊飯の両方を行え、また圧力を多段階に制御する炊飯器もある。これらでは、圧力を切り替えることで、精白米を単なるかため、やわらかめの差だけでなく、粘りや弾力など食感の異なるご飯に炊き上げることもできるものである。
【0006】
以上のような炊飯工程を行う毎に、使用者は内蓋を蓋から取り外して洗い再度蓋に装着する必要があり、例えば特許文献3のように内蓋の取り外しを簡便にするものがある。特許文献3には、蓋の外部に露出した操作ボタンを操作し、内蓋の係合解除手段を作動させ、蓋から内蓋を落下させることなく、一定の傾斜角で停止させる構成が示されている。
【特許文献1】特許第2722781号公報
【特許文献2】特許第3349665号公報
【特許文献3】特開2002−95580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、内蓋の取り外しは容易になるものの、内蓋を蓋に装着する際には、蓋を閉じた時に鍋と蓋パッキンのシール性能を確保し鍋内から蒸気漏れせず所定の炊飯性能を発揮できるように、使用者が内蓋を常に蓋の所定位置にセットする必要があった。特に圧力炊飯では、炊飯時の鍋内の圧力が1気圧を超え1.5気圧に達するものがあり、炊飯中には内蓋全体では100kgを越える内部圧力が発生するものであるので、このような高温高圧条件下において、鍋と蓋の間の密封性、特に蓋に着脱自在に設けられた内蓋と鍋との間の密封性を確保し、所定の炊飯性能を発揮するためには、内蓋と蓋と鍋のそれぞれが所定の位置に正確に収納されて、内蓋に設けたシール部材が鍋と適切に密着し、鍋内で発生する蒸気の漏れを防止する必要があった。
【0008】
また、炊飯中は鍋内が高圧であるため、内蓋の強度を高める必要があった。このため圧力炊飯でない通常炊飯を行うものに比べ板厚の大きいステンレス鋼板で内蓋を構成することが一般的であり、圧力炊飯での内蓋は通常炊飯のものに比べ、板厚および質量で約2倍程度になることが多い。すなわち、内蓋が重くなり、着脱自在の内蓋を蓋にセットする操作における使用者の負担が大きかった。さらに、炊飯後に取り外して洗浄したり乾燥させたりする場合など、お手入れする時にも、重くて大変であった。
【0009】
また、炊飯中の鍋内が高温であるため、内蓋の温度が通常炊飯を行うものに比べ高温となり、しかも板厚が大きいために内蓋の熱容量が大きくなる。このため通常炊飯を行う炊飯器の内蓋に比べて冷めにくく、炊飯直後や保温終了後に本体の電源を切っても、内蓋の温度は短時間では低下しないという問題点があった。
【0010】
さらに、内蓋を傾斜させた状態で、内蓋を蓋に装着せずに蓋を閉じると、蓋を閉じる途中で内蓋が蓋から落下したり、不適切な位置に装着されたりする恐れがある。このような場合には、鍋内を高温高圧にした圧力炊飯では、鍋と蓋パッキンによるシール部から蒸気漏れが発生し、所定の炊飯性能を発揮できない恐れがあった。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、内蓋の蓋への装着が確実に行えて炊飯性能が安定し、且つその操作の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の炊飯器は、鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋を収納する本体と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、前記蓋に取り付けられる内蓋と、前記内蓋を前記蓋に対して所定角度で係止させた状態で着脱自在に保持する内蓋係止手段と、前記内蓋に設けられ前記鍋内の圧力を調整する圧力調整手段と、前記内蓋を前記蓋の所定位置で装着する内蓋装着手段と、前記内蓋が前記内蓋係止手段を支点として前記蓋側へ回転移動するとき前記所定位置に到達するよう前記内蓋の回転移動を案内する内蓋案内手段とを備え、前記内蓋係止手段は、前記内蓋の取り外し方向へのすべりを防止するすべり止め部を有し、前記内蓋が係止状態で前記蓋を閉じるとき、前記蓋が閉じるまでの間前記内蓋を係止状態に保持するものである。
【0013】
内蓋を蓋に取り付ける時に、内蓋係止手段によって内蓋を蓋に対して傾斜角度を有して係止状態に保持するものであり、内蓋係止手段に設けたすべり止め部により内蓋は確実に蓋に係止状態で保持される。このため、内蓋が係止状態で保持された蓋を閉じると、内蓋は内蓋係止手段から外れることなく蓋とともに回転し、鍋に当たると係止手段を支点として内蓋が蓋側に回転移動し、回転移動中に内蓋案内手段によって蓋の所定位置に案内され、内蓋装着手段により蓋に装着される。同時に、装着が確実であるから、圧力調整手段で鍋内の圧力を調整しながら、所定の炊飯性能を安定して発揮することができる。
【0014】
また、炊飯終了後等に内蓋を取り外す際は、内蓋装着手段を解除すると内蓋は内蓋係止手段を支点として回転移動し係止状態になるが、すべり止め部を設けているため重い内蓋であっても内蓋係止手段から外れることなく、確実に係止状態にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の炊飯器によれば、内蓋の操作を簡便にしつつ炊飯性能も安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1の発明は、鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋を収納する本体と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、前記蓋に取り付けられる内蓋と、前記内蓋を前記蓋に対して所定角度で係止させた状態で着脱自在に保持する内蓋係止手段と、前記内蓋に設けられ前記鍋内の圧力を調整する圧力調整手段と、前記内蓋を前記蓋の所定位置で装着する内蓋装着手段と、前記内蓋が前記内蓋係止手段を支点として前記蓋側へ回転移動するとき前記所定位置に到達するよう前記内蓋の回転移動を案内する内蓋案内手段とを備え、前記内蓋係止手段は、前記内蓋の取り外し方向へのすべりを防止するすべり止め部を有し、前記内蓋が係止状態で前記蓋を閉じるとき、前記蓋が閉じるまでの間前記内蓋を係止状態に保持するものである。
【0017】
これらの構成により、内蓋を蓋に取り付ける時に、内蓋係止手段によって内蓋を蓋に対して傾斜角度を有して係止状態に保持するものであり、内蓋係止手段に設けたすべり止め部により内蓋は確実に蓋に係止状態で保持される。このため、内蓋が係止状態で保持された蓋を閉じると、内蓋は内蓋係止手段から外れることなく蓋とともに回転し、鍋に当たると係止手段を支点として内蓋が蓋側に回転移動し、回転移動中に内蓋案内手段によって蓋の所定位置に案内され、内蓋装着手段により蓋に装着される。同時に、装着が確実であるから、圧力調整手段で鍋内の圧力を調整しながら、所定の炊飯性能を安定して発揮することができる。
【0018】
また、炊飯終了後等に内蓋を取り外す際は、内蓋装着手段を解除すると内蓋は内蓋係止手段を支点として回転移動し係止状態になるが、すべり止め部を設けているため重い内蓋であっても内蓋係止手段から外れることなく、確実に係止状態にすることができる。
【0019】
使用者は内蓋の蓋への収納を自身の操作手順として実施せずとも、蓋の閉操作だけで、内蓋が蓋に装着され、内蓋を蓋に対して所定の位置に装着するという使用者の操作の負担が軽減できる。
【0020】
第2の発明は、前記第1の発明において、圧力調整手段は内蓋と蓋との間に配置され、前記蓋は本体に対して90度以上開くよう構成され、前記蓋の開状態で前記内蓋を係止手段に取り付けたとき、前記圧力調整手段の重みで前記蓋側へ回転移動するものである。
【0021】
炊飯の準備作業として、蓋を本体に対して90度以上開いた状態にし、本体に米と水を入れた鍋を収納し、内蓋を内蓋係止手段によって略鉛直方向に蓋に係止させる。このとき、内蓋には蓋側に圧力調整手段が設けられているため、内蓋は圧力調整手段の重みにより内蓋は蓋側へ回転移動し、内蓋案内手段によって内蓋装着手段へと案内されて所定の位置に装着される。内蓋と鍋が所定の位置に配置されるので、内蓋と鍋のシールが確実にでき、通常炊飯はもちろん、高温高圧での圧力炊飯による炊飯性能が安定する。
【0022】
使用者は内蓋の蓋への収納を自身の操作手順として実施せずとも、内蓋を内蓋係止手段に装着するだけで、内蓋が蓋に装着され、内蓋を蓋に対して所定の位置に装着するという使用者の操作の負担が軽減できる。
【0023】
第3の発明は、前記第1の発明において、内蓋の温度を検知する内蓋温度検知手段と、内蓋装着手段による装着を解除し前記内蓋を傾斜させて係止状態にする解除手段とを備え、前記解除手段は前記内蓋の温度に基づいて、前記内蓋装着手段による内蓋の装着解除を停止する第1の解除手段制御部を有するものである。
【0024】
内蓋の温度を検知する内蓋温度検知手段と、内蓋装着手段から内蓋を開放する解除手段の動作を停止する解除手段制御部とを有し、これらを連動させることで内蓋の温度が高温の場合に内蓋を開放しないようにできるので、使用者が高温の内蓋を誤って持ってしまい火傷するのを防ぐことができる。炊飯器は通常、鍋温度検知手段や内蓋温度検知手段などにより、鍋および調理物の温度が適正に推移するように鍋加熱手段を制御する制御手段を備えており、この制御手段の指令に基づき解除手段制御部の動作を制御することができる。また、解除手段制御部が内蓋温度に連動して内蓋の開放を制御する機構であっても同様である。
【0025】
第4の発明は、前記第1の発明において、蓋の開放状態を検知する蓋状態検知手段を備え、解除手段は蓋の開放状態が所定時間以上継続すると自動的に内蓋を開放する第2の解除手段制御部を有することを特徴とする。
【0026】
蓋状態検知手段は蓋が開放状態であることを検知し、蓋の開放状態が予め設定された所定時間以上である場合に、炊飯器の動作を制御する制御手段が第2の解除手段制御部により内蓋を開放することで、内蓋を係止状態とし、内蓋の両面を露出して短時間で温度を低下させることができる。
【0027】
第5の発明は、前記第1の発明において、内蓋装着手段による装着を解除し前記内蓋を傾斜させて係止状態にする解除手段を備え、保温停止後に蓋を開放すると、解除手段は自動的に内蓋を開放することを特徴とする。
【0028】
使用者は保温停止後には蓋を開放し、鍋や内蓋を取り出して洗うなどのお手入れを行う。すなわち、保温停止後に蓋を開放するときには、解除手段により内蓋が自動的に蓋から開放されるので、簡単に内蓋を取り外せる。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における炊飯器の本体の断面図である。炊飯器の本体16は、米や水等の被調理物を収容する鍋1を着脱自在に内部に有し、炊飯器の本体16の上面および鍋1の開口部を覆う蓋4を開閉自在に上部に有している。
【0031】
鍋1は、鍋1の底面に設けられた加熱コイル等の鍋加熱手段2、側面に設けられた鍋側面加熱手段3により加熱される。蓋ヒンジ5は本体16の一端にて蓋4を支持し、蓋4は蓋ヒンジ5を支点として回転する。蓋ロック6は本体16の他端にて蓋4を本体16に固定するものである。蓋4には金属材料で形成された内蓋7が取り付けられている。蓋4を閉じた状態で、内蓋7は鍋1の開口部を覆うとともに、鍋1内の蒸気を排出する蒸気孔7aと、鍋1内の蒸気や水分の流出を防止するループ状のパッキン7bとを有している。
【0032】
図2は本発明の実施の形態1における炊飯器の開放した蓋に内蓋を係止した状態の断面図である。図2に示すように、蓋4には内蓋7を蓋4に対して角度α傾斜させた状態で着脱自在に係止状態に保持する内蓋係止手段8が設けられており、内蓋7が内蓋係止手段8を支点として矢印B方向または反対方向に回転移動する。また、蓋4を閉じたときパッキン7bが鍋1と適切に密着する所定位置に内蓋7を着脱自在に装着する内蓋装着手段9が蓋4に設けられている。さらに、内蓋7を誘導加熱するための加熱コイル等の内蓋加熱手段10が蓋4に設けられている。
【0033】
鍋温度検知手段11は、鍋1の底部に設けられ鍋1の温度を検知する。内蓋温度検知手段12は内蓋7の温度を検知する。圧力調整手段13は、内蓋7に設けられた鍋1内の蒸気を放出する蒸気孔7aと、球状の弁体である調圧ボール13aを移動させて蒸気孔7aを開閉する調圧ボール移動手段13bと、鍋1内の圧力を検知する圧力検知手段13cとにより構成され、内蓋7と蓋4の間であって内蓋7に設けられている。また、蒸気孔7aを閉じて鍋1内に蒸気を充満させることより鍋1内の圧力を大気圧以上にし、蒸気孔7aを開放して蒸気孔7aと蓋4に設けられた第2の蒸気孔14とで構成される蒸気通路を通じて鍋1内の蒸気を機外へ放出することにより鍋1内の圧力を大気圧と同等にする。
【0034】
制御手段15は、加熱手段制御部15aと温度計測制御部15bを有し、炊飯器の本体16の前面に設けられた入力操作部17により入力された信号、および記憶手段(図示せず)に記憶された、浸水工程を実行する所定時間、炊き上げ工程における温度上昇速度、炊飯の各工程での圧力値等の値に基づいて、炊飯工程を実行する。炊飯工程において、加熱手段制御部15aは鍋温度検知手段11および内蓋温度検知手段12の検知信号に基づいて鍋加熱手段2、鍋側面加熱手段3および内蓋加熱手段10を制御する。
【0035】
図3は、本発明の実施の形態1における炊飯器の内蓋係止手段を示す拡大断面図である。内蓋7は、その後端部に内蓋係止手段8へ装着する内蓋係止部20を有しており、内蓋係止手段8に対して内蓋7が矢印A方向から挿入され、内蓋係止手段8に設けた内蓋係止孔8aに対し、内蓋7の内蓋係止部20に設けた下方へ突出する係止部すべり止め部22が嵌合する。同時に、内蓋7が内蓋係止手段8を支点として自重により矢印Bと反対方向へ回転しようとする動作を、内蓋係止部20に設けた上方へ突出する係止部回り止め部21が内蓋7と係止することで停止させ、内蓋7を蓋4に対して傾斜角度αで係止する構造である。また、係止部回り止め部21の係止が外れたとしても、係止部すべり止め部22が内蓋係止孔8aに嵌合しているため、内蓋7の取り外し方向、すなわち矢印Aと逆方向へすべるのを防止することができる。
【0036】
このように、内蓋係止孔8aと係止部すべり止め部22とで内蓋7の取り外し方向のすべりを防止するすべり止め部を構成している。
【0037】
なお、内蓋係止孔8aは少なくとも一部が貫通しており、内蓋係止手段8に内蓋7などから滴下した水滴が滞留することなく流出するので、乾燥しやすく、清潔性を維持しやすい構造である。
【0038】
また、内蓋7に孔部を設け、その孔部に嵌合する突起形状のすべり止め部を内蓋係止手段8に設けてもよく、内蓋7が取り外し方向へすべるのを防止できる構成であればよい。
【0039】
図4は、本発明の実施の形態1における炊飯器の内蓋を装着した状態の断面図、図5は、同炊飯器の内蓋を装着した蓋の平面図である。内蓋7を、内蓋係止手段8を支点として図2に示す矢印B方向に回転移動させると、内蓋7は蓋4に設けた内蓋案内手段23によって回転移動の動きが規制され、蓋4の所定位置にくるよう案内される。このようにして所定位置に到達した内蓋4は、内蓋7の前端に設けられた内蓋装着部24が蓋4に設けられた内蓋装着手段9に固定され、図5に示すように内蓋7が蓋4に装着される。なお、内蓋7は、使用者により内蓋7が蓋4側に押されたり、内蓋7を係止状態で蓋4が使用者により閉じられると鍋1と蓋4に挟まれて内蓋7が蓋4に近づくことにより、内蓋7を回転移動させることができる。
【0040】
内蓋案内手段23は、図5に示すように蓋4の内面に設けられた下方へ突出するリブ形状の突起であり、略円形の内蓋7の外周を突起に略当接させることで、所定の位置に回転移動するように案内するものである。したがって、内蓋案内手段23の形状は内蓋7の外形に合わせて任意に変更可能であり、単なるリブ形状でなく、蓋4の内面の全体形状で所定の位置に案内しても良いものである。また、内蓋7が略円形であることで、洗浄と乾燥などのお手入れ性が優れる。なお、内蓋7の外形が略円形のシンプルな形状でなく、比べるとお手入れ性が低下するとはいえ、内蓋案内手段23を内蓋7に設けて、蓋4に内蓋案内手段23に対応した凹凸を設けてもよい。
【0041】
実際の炊飯における準備作業として、使用者は本体16に米と水を入れた鍋1を収納し、内蓋7を内蓋係止手段8によって係止させた状態で、蓋4の閉操作を行う。このときに内蓋7は内蓋係止手段8によって蓋4に係止した状態で、蓋4の回転とともに内蓋案内手段23によって内蓋7が内蓋装着手段9へと案内されて所定の位置に装着される。内蓋7が蓋4の所定の位置で装着されるので、内蓋7と鍋1が適切な位置で接触するため、内蓋7と鍋1のシールが確実にでき、大気圧での通常炊飯はもちろん、高温高圧での圧力炊飯において蒸気の漏れが無く炊飯性能が安定する。
【0042】
このような準備作業で、使用者は内蓋7の蓋4への収納を自身の操作手順として実施せずとも、蓋4の閉操作だけで、内蓋7が蓋4に自動的に装着されるのであり、内蓋7を蓋4に対して所定の位置に装着するという使用者の操作の負担がさらに省略できる。
【0043】
図6は、本発明の実施の形態1における炊飯器の入力操作部の正面図である。入力操作部17は、使用者が所望の運転コース等を設定したり炊飯工程等をスタートさせたりするときに操作されるものであり、炊飯工程を開始する炊飯スイッチ17a、ご飯の炊き上がりを設定するかたさ設定スイッチ17b等の各スイッチと、表示部18を有している。表示部18は、炊飯終了時や選択されたコース等を表示するメイン表示部18a、炊飯工程中であることを示す炊飯ランプ18b、保温工程中であることを示す保温ランプ18c、冷やご飯を温める再加熱工程中であることを示す再加熱処理ランプ18d、圧力工程中であることを示す圧力処理ランプ18e等を有している。
【0044】
次に、本発明の実施の形態1における炊飯工程の各工程について説明する。図7は、本発明の実施の形態1における炊飯器の各工程における鍋内の温度変化を示す温度チャートである。本発明の実施の形態1における炊飯器の炊飯工程は、図7に示すように浸水工程、炊き上げ工程(その一部を沸騰維持工程という)および蒸らし工程の順で構成され、続いて保温工程(図示は省略)が実行される。
【0045】
浸水工程では、使用者により米量に対する所定量の水が鍋内に供給され、鍋加熱手段2等による加熱を行い、鍋温度検知手段11で鍋1の温度を検知しながら。糊化が行われない最高温度(55〜58℃程度)以下で所定時間だけ行い、次に炊き上げ工程を実行する。
【0046】
炊き上げ工程では、主として鍋加熱手段2で鍋1を加熱し、沸騰させる。また、圧力調整手段13により蒸気孔7aを閉じて鍋1内を密閉し、蒸気を充満させて鍋1内の圧力を大気圧よりも高め、炊飯水を100℃以上で沸騰させる。
【0047】
加熱途中で、鍋1の温度が60℃前後になるとデンプンの糊化が始まる。この炊き上げ工程において、米は含水率が低いため吸水に時間を要し糊化に時間がかかる。また、炊飯時間を短縮するために急激に沸騰させると、米表面が先に糊化してしまい米内部への水や熱の伝達が十分に行えず、特に米中心部の糊化が完了しない状態で炊飯工程が終了するため、粘りのないパサパサしたごはんになってしまう。そこで、鍋加熱手段2の加熱を調整しながら、適度な温度上昇速度となるように制御する。また、鍋1内の圧力が大気圧よりも高いため、100℃以上の水で炊き上げることで、100℃の水で炊く場合に比べて加熱量が増え糊化を促進させる。鍋1内の水が沸騰したことを内蓋温度検知手段12が検知すると、沸騰維持工程に移る。
【0048】
沸騰維持工程では、圧力調整手段13により蒸気孔7aを開放して鍋1内の圧力を大気圧と同等にしながら、沸騰を維持する。沸騰により水が対流するため、水が米同士の間を激しく流れることにより、鍋1内の米全体に水と熱がまんべんなく供給され糊化が促進される。また、鍋1内の水が蒸発すると、蒸気孔7aが開放されたことにより蒸気の流れができ、蒸気は米の間を通過して上昇して蒸気孔7aから炊飯器外へ放出され、蒸気が米の間を通過することにより米に熱を与え、さらに糊化が促進される。
【0049】
鍋1内の炊飯水が蒸発してほぼ無くなると鍋1の温度が急激に上昇する。この急激な上昇により所定の温度を鍋温度検知手段11が検知したとき、沸騰維持工程を終了し、次の蒸らし工程に移る。
【0050】
蒸らし工程では、鍋加熱手段2、鍋側面加熱手段3および内蓋加熱手段10により追い炊き加熱を行い、ご飯の温度を維持し、糊化の継続と余分な水分の蒸発を行う。
【0051】
所定時間蒸らし工程を行った後、鍋1内の温度を所定温度(例えば、70℃前後)に維持する保温工程を行う。
【0052】
以下、図1〜図7を用いて本発明の実施の形態1における炊飯器について、動作および作用を説明する。
【0053】
本体16に米と水を収納した鍋1をセットし、時刻t0において、使用者によって炊飯スイッチ17aが押圧されると、炊飯ランプ18bを点灯させ浸水工程を開始する。主として鍋加熱手段2により鍋1内の米と水を一定温度に加熱して、保持する。
【0054】
時刻t1において、炊き上げ工程を開始する。圧力調整手段13により蒸気孔7aを閉じ、蒸気を充満させて鍋1内の圧力を大気圧以上にした状態で、鍋加熱手段2、鍋側面加熱手段3および内蓋加熱手段10により鍋1を加熱し鍋1内の水を沸騰させる。圧力処理ランプ18eを点滅させる。
【0055】
時刻t2において、鍋1内の水が沸騰し、炊き上げ工程の一部として沸騰維持工程を開始する。圧力調整手段13により蒸気孔7aを開放して蒸気を機外へ逃がし、沸騰を維持することにより水と熱を米に供給して糊化を促進させる。
【0056】
時刻t3において、鍋1内の水分がなくなり、鍋1の温度が急激に上昇し所定の温度に達したことを鍋温度検知手段11が検知すると、蒸らし工程を開始する。さらに、時刻t4において、炊飯工程を終了し、保温工程に移行する。
【0057】
また、本実施の形態1では、入力操作部17に炊飯する米種を選択する米種入力部(図示せず)を設け、各米種に適切な圧力値を記憶手段にそれぞれ記憶しておき、選択された米種に応じた圧力値になるよう圧力調整手段13により調節することにより、各米種に適切な温度、圧力で炊飯することができる。例えば、玄米の場合は、白米が選択された場合よりも圧力値を高くすることにより、かたさやぱさつきがなく炊き上げることができる。また、軟質米と硬質米、新米と古米、白米と玄米などより細かく米種を選択できるようにすることにより、より各米種に対して適切な炊飯を行うことができる。
【0058】
また、本実施の形態1における炊飯器では、鍋加熱手段2、鍋側面加熱手段3および内蓋加熱手段10は、誘導加熱によるものを用いているが、それぞれ電気ヒータやガス燃焼など熱源は何でもよく、鍋加熱手段2以外は設けなくてもよい。また、それぞれが単一のリング形状であってもよく、複数個に分割されてあってもよい。もちろん、複数個のコイルで構成されてもよい。
【0059】
また、鍋温度検知手段11および内蓋温度検知手段12は、通常運転での温度から異常時の高温度までの範囲を検知できるものであれば、どのような検知原理でもよい。
【0060】
また、本実施の形態1における炊飯器では、圧力調整手段13は内蓋7の蒸気孔7aを開閉することにより鍋1内の圧力を調節したが、鍋1内の圧力を制御できるものであればどのようなものでもよい。
【0061】
以上のような実施の形態1における炊飯器について、使用者の操作と炊飯性能という観点を中心にさらに説明する。
【0062】
第1に、内蓋7が係止状態で蓋4を矢印C方向に閉じると、内蓋係止手段8は内蓋7を係止状態に保持しつづけ、内蓋7が鍋1の上端部に達すると蓋4がさらに閉まるにつれて内蓋係止手段8を支点として矢印B側へ回転し、内蓋案内手段23により所定位置に案内され、所定位置に到達すると蓋4と鍋1に挟まれて内蓋装着部24が蓋4の内蓋装着手段9に装着される。
【0063】
実際の炊飯における準備作業として、使用者は本体16に米と水を入れた鍋1を収納し、内蓋7を内蓋係止手段8によって蓋4に係止させ、蓋4の閉操作を行う。このときに内蓋7は内蓋係止手段8によって蓋4に係止した状態で、蓋4の回転とともに内蓋案内手段23によって内蓋7が内蓋装着手段9へと案内されて所定の位置に装着される。内蓋7が蓋4の所定の位置で装着され、内蓋7が鍋1の所定の位置に配置されるので、内蓋7と鍋1のシールが確実にでき、大気圧での通常炊飯はもちろん、高温高圧での圧力炊飯において蒸気の漏れが無く炊飯性能が安定する。
【0064】
このような準備作業で、使用者は内蓋7の蓋4への収納を自身の操作手順として実施せずとも、蓋4の閉操作だけで、内蓋7が蓋4に自動的に装着されるのであり、内蓋7を蓋4に対して所定の位置に装着するという使用者の操作の負担がさらに省略できる。
【0065】
なお、本実施の形態1ではパッキン7bの形状は単純な断面形状として記載されているが、現実的には先端部が薄く、鍋1内の内圧により変形してよりシール性能を強化できる形状を備えたものとするものである。しかしながら、従来から一般的な技術でもあり、具体的な形状は様々に可能であり、詳細な図示は省略する。
【0066】
続いて、炊飯あるいは保温終了後には内蓋装着手段9によって内蓋7を蓋4から開放すると、内蓋7は内蓋係止手段8を支点として矢印Bとは逆方向に回転移動し、装着状態から係止状態へと変更し、内蓋7の一部を片手で保持して、取り外すことができるので、お手入れ時の負担も軽減される。
【0067】
なお、内蓋7を蓋4に取り付ける時に、図2に示すように内蓋係止手段8によって内蓋7を蓋4に対して傾斜角度αを有して係止状態に保持し、内蓋係止手段8を支点として内蓋7を矢印B方向に回転移動させ、回転移動中の内蓋7の動きを内蓋案内手段23により規制し蓋4の所定位置に到達させ、内蓋装着手段9によって内蓋7を蓋4の所定位置に装着するようにしてもよい。これらの構成により、使用者は内蓋7の一部を片手で保持し、内蓋7の回転移動の軌道を調整する必要がなく蓋4側に押すだけで係止状態から装着状態へと操作できるので、使用者が内蓋7を装着する操作の負担が軽減される。
【0068】
同時に、内蓋7の蓋4への装着が片手で確実に実行され、所定の位置に装着されるから、蓋4を閉じたときには鍋1と内蓋7のパッキン7bとのシール性能が確保される。鍋1内を高温高圧とする圧力炊飯において蒸気の漏れが無く、圧力調整手段13で鍋1内の圧力を精度よく調整しながら、所定の炊飯性能を安定して発揮するものである。
【0069】
なお、本実施の形態1では使用者が持つ部位が明確ではないが、内蓋7の外縁部に専用の取っ手を設けてもよいものである。
【0070】
第2に、内蓋係止手段8を蓋ヒンジ5寄りに、内蓋装着手段9を蓋ロック6寄りに配置したことを特徴とする。
【0071】
この構成において蓋4の開状態で、蓋ヒンジ5は略鉛直方向に置かれた蓋4の下部に位置し、蓋ロック6は蓋4の上部に位置するものであるから、内蓋係止手段8を蓋ヒンジ5寄りに設けたことで、内蓋7が鉛直方向の下端あるいは下部で支持されるものである。すなわち、圧力炊飯を行うために通常炊飯に比べると重い内蓋7であるものの、使用者はこの内蓋7を上方あるいは斜め上方から自重によってスライドするように収納し、内蓋7を係止状態とすることができて、自然な収納作業であり、操作の負担が軽減される。
【0072】
また、内蓋装着手段9を蓋ロック6寄りに設けたことで、内蓋7は下方の内蓋係止手段8を支点に回転させればよいものであり、比較的重い内蓋7であっても、内蓋係止手段8での回転における摩擦抵抗は小さいので、矢印Bのように内蓋7の上部を押して内蓋装着手段9へと装着させるための操作力は僅かでよいものである。
【0073】
第3に、内蓋装着手段9は内蓋装着部24を蓋4から開放する解除手段25を有し、内蓋係止手段8に保持された内蓋係止部20を支点として回転移動することにより形成する内蓋7の移動空間の外側に解除手段25を配置したことを特徴とする。なお、内蓋7の移動空間を内蓋7の移動範囲や内蓋移動空間とも呼ぶ。
【0074】
炊飯や保温終了後に、内蓋7を取り外すためには、まず蓋ロック6を外し、蓋4を開放し、次に内蓋7を蓋4から取り外すべく解除手段25を操作する。この時に、内蓋係止手段8を支点として、装着状態から係止状態へと回転移動する内蓋7に解除手段25を操作する手指が触れないので、炊飯直後や保温中など内蓋7の温度が高温時にも、使用者が直接触れないで内蓋7を係止状態にすることができる。さらに内蓋7が係止状態であることで、熱容量が大きく高温である内蓋7の両面から放熱させて短時間でその表面温度が下がる。
【0075】
なお、解除手段25の具体的な構造は図示を省略するが、内蓋装着手段9から内蓋装着部24を取り出す構造であればよく、従来からの機構技術でバネとラッチなどを組み合わせ利用して実現できるものである。
【0076】
第4に、内蓋装着手段9は内蓋7が装着されていない場合に蓋4が閉じない蓋ロック停止手段26を有する(図5参照)。
【0077】
内蓋7を蓋4に装着するための内蓋装着手段9が、内蓋7の装着がない時に、例えば蓋4の内部に収納されない凸部を有すると、内蓋装着手段9の凸部が本体16に当たることで、蓋4が鍋1に対して閉状態まで回転することを途中で制止する。このため蓋4が本体16に装着できない。すなわちこの内蓋装着手段9の凸部が蓋ロック停止手段26となるものである。
【0078】
さらに、蓋ロック停止手段26は、予め内蓋装着部24が内蓋装着手段9に所定の位置に完全に収納された場合はもちろん、ほぼ収納された場合に伸縮自在となり蓋4に収納されるような構成とすることで、内蓋7が係止状態で蓋4を閉じた場合にも、内蓋7が蓋4に装着されるものである。
【0079】
この蓋ロック停止手段26があるので、蓋4および内蓋7が正しく装着されない場合に、炊飯や保温の運転動作を停止することができる。結果として内蓋7の装着忘れによる不完全な炊飯性能や保温性能にならないようにできる。また、使用者が蓋4から手を離すと、通常は蓋ヒンジ5の開放力により蓋4が開状態となり、内蓋7が装着されていないことが明確に分かる。しかも、本実施の形態1では内蓋7が装着されず蓋ロック停止手段26が作用する場合は、蓋ヒンジ5の作用により蓋4が開状態となり、使用者がより確実に内蓋7が装着されていないことを確認できるので、炊飯や保温など必要なタイミングで内蓋7を忘れずに装着することになる。
【0080】
なお、図8は本発明の実施の形態1における炊飯器の他の例の内蓋係止手段を示す拡大断面図であり、図8に示すように、内蓋係止手段8を、内蓋係止部20を中心に内蓋7を傾斜角度αまで回転させる係止部軸受け30と、内蓋7の回転を傾斜角度αで停止させる係止部回り止め21で構成してもよい。蓋4に対して内蓋7を係止させる係止状態に関し、内蓋係止手段8の係止部軸受け30にて内蓋係止部20、特に内蓋係止部軸20aを略中心に内蓋7をその自重によって傾斜角度αまで回転させるものである。また、係止部回り止め21にて内蓋7の回転を傾斜角度αで停止させるものである。回転の抵抗が少なく停止が行えるので、操作が軽く、耐久性も優れる。
【0081】
なお、この回転の駆動源には内蓋7の自重や蓋4あるいは内蓋7に設けたばねの反発力など、従来の技術でさまざまな構成があり得るが、内蓋係止手段8が内蓋7の回転と停止を制御するものであれば、余分な部品を使用せずシンプルな構成であり、蓋4や本体16の大きさや質量は従来と殆ど同様の程度の大きさで実現でき、蓋4および内蓋7の質量増大による操作性の低下や部品の大型化がない。
【0082】
なお、図9は本発明の実施の形態1における炊飯器の他の例の内蓋を示す断面図であり、図9に示すように、内蓋係止手段8に係止した内蓋7が傾斜角度を有す係止状態から略鉛直方向の装着状態まで回転する範囲において、内蓋係止手段8を中心として蓋4と反対側に内蓋7の重心Pがあるよう構成してもよい。内蓋7は所定の傾斜角度より鉛直方向に立った角度でセットしても、内蓋係止手段8に係止した状態では内蓋7の重心Pが内蓋係止手段8を中心として蓋4と反対側にあるので、所定の傾斜角度αまで内蓋7の自重(矢印Wで示す)を駆動源として、回転モーメント(D×W)にて自動的に回転する。また、蓋4および内蓋7に若干の外力、振動が加わっても、傾斜角度αへと回転する力が常時作用するので、係止状態で安定する。
【0083】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2における炊飯器の内蓋を装着した蓋の平面図、図11は、同炊飯器の内蓋を装着した蓋の断面図である。図10に示すように、内蓋装着手段9の解除手段25は内蓋係止部20を支点として蓋4から内蓋7を前方に押し出す内蓋押し出しピン32を有する。炊飯器としての基本構成は実施の形態1と同様であり、図示およびその説明を省略する。
【0084】
内蓋装着手段8の解除手段25により蓋4から内蓋7を取り外すため、内蓋係止部20を支点として内蓋7を前方に押し出す内蓋押し出しピン32を設けたことで、図11において矢印Fとして示す比較的小さい力でもって、内蓋係止手段8から距離Lで内蓋7の一端を前方に押し出すことができて、確実に内蓋装着部24を蓋4から分離する。
【0085】
内蓋押し出しピン32はバネ力が付勢され(図示は省略)、内蓋7の内蓋装着部24を所定の力で押し出し、内蓋7の自重による回転を滑らかに開始する。なお、バネ力の他に、永久磁石やソレノイドなどの磁力で駆動してもよい。
【0086】
また、圧力調整手段13、特に調圧ボール13aを内蓋7と蓋4の間に配置したことを特徴とする。
【0087】
圧力調整手段13(圧力調整弁や調圧ボールなどとも呼ばれる)が内蓋7と蓋4の間に配置され、高温高圧の蒸気を密封するため、ある程度の重量と大きさを有する圧力調整手段13、特に調圧ボール13aを内蓋7に取り付けることで、内蓋係止手段8に係止した内蓋7が傾斜角度αを有す係止状態から略鉛直方向の装着状態まで回転する範囲において、内蓋7の重心が蓋4に近いものである。したがって、内蓋7を内蓋係止手段8に係止し、続いて蓋4に装着する場合には、内蓋7の重心が蓋4に近い分だけ、小さい力で内蓋7を蓋4の方向に回転させて内蓋装着手段9にて装着できる。
【0088】
また、内蓋7を開放する時には、内蓋7の重心が蓋4に近いことにより、装着状態から係止状態へと変化する間に作用する力が圧力調整手段13の質量に相当する分だけ低減されて、係止状態で内蓋7が停止するときの衝撃力が小さくなる。内蓋7の開閉に伴う変形が少なく、耐久性に優れる。
【0089】
(実施の形態3)
図12は、本発明の実施の形態3における炊飯器本体の断面図を示しており、図12に示すように、内蓋の温度を検知する内蓋温度検知手段12を備え、解除手段25の動作を内蓋7の温度に基づいて内蓋装着手段9からの内蓋7の開放を停止するように制御手段15に第1の解除手段制御部35を有する。炊飯器としての基本構成は実施の形態1と同様であり、図示およびその説明を省略する。
【0090】
制御手段15は内蓋7の温度を検知する内蓋温度検知手段12の検知温度に基づき、内蓋装着手段9から内蓋7を開放する解除手段25の動作の運転停止を判断し、その結果を実行する第1の解除手段制御部35とを有する。制御手段15がこれらを連動させることで、たとえば炊飯直後や内蓋7の温度が高温の場合に内蓋7を開放しないようにすることで、使用者が高温であることに気づかず内蓋7を取り出そうとして火傷することを防ぐことができる。
【0091】
炊飯器は通常、鍋温度検知手段11や内蓋温度検知手段12などにより、鍋1および調理物の温度が適正に推移するように鍋加熱手段2を制御する加熱手段制御部15aや温度計測制御部15bを有する制御手段15を備えており、この制御手段15の指令に基づき同様に第1の解除手段制御部35の動作を制御することができる。
【0092】
なお、実施の形態3としては制御手段15の第1の解除手段制御部35で内蓋7の開放を制御しているが、内蓋7の温度に連動して内蓋7の開放を実行する感熱素子を有する機構であってもよいものである。
【0093】
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4における炊飯器本体の断面図を示しており、図13に示すように、蓋4の開放状態を検知する蓋状態検知手段37を備え、解除手段25は蓋4の開放状態が所定時間以上継続すると自動的に内蓋を開放する第2の解除手段制御部38を有することを特徴とする。炊飯器としての基本構成は実施の形態1と同様であり、図示およびその説明を省略する。
【0094】
蓋状態検知手段37は蓋4が開放状態であることを検知し、蓋4の開放状態が予め設定された所定時間以上である場合に、炊飯器の動作を制御する制御手段15が第2の解除手段制御部38により内蓋7を開放することで、内蓋7を係止状態とし、内蓋7の両面を露出して短時間で温度を低下させる。蓋状態検知手段37は、炊飯器の蓋4に取り付けられることで雰囲気温度は室温より高い場合が多いとはいえ、球状のマグネットとホール素子など、種々のセンサーで構成することが可能であり、特に限定するものではない。
【0095】
また、図14は、本発明の実施の形態4における炊飯器の各工程における鍋内の温度変化を示す温度チャートを示しており、図14に示すように保温停止後に蓋4を開放すると、制御手段15の指令により解除手段25が自動的に内蓋7を開放することを特徴とする。
【0096】
通常、使用者は保温停止後には蓋4を開放し、鍋1や内蓋7を取り出して洗うなどのお手入れを行う。すなわち、保温停止後に蓋4を開放するときには、解除手段25により内蓋7が自動的に蓋4から開放されるので、内蓋7の温度が短時間で低下するとともに、簡単に内蓋7を取り外せる。
【0097】
(実施の形態5)
図15は、本発明の実施の形態5における炊飯器の内蓋を係止した状態の断面図を示しており、図15に示すように、蓋4は本体16に対して90度以上開いた状態で自立し、内蓋7は矢印Aで示すように略鉛直方向から内蓋係止手段8に装着されると、圧力調整手段13の重みにより矢印B側へ回転移動し、蓋4に装着されることを特徴とする。炊飯器としての基本構成は実施の形態1と同様であり、図示およびその説明を省略する。
【0098】
内蓋7は、上面側すなわち内蓋7と蓋4との間に圧力調整手段13を有しており、図15から容易に推測できるように、内蓋7を内蓋係止手段8へ矢印A方向に装着すると、内蓋7は圧力調整手段13の重みにより矢印B側へ回転移動し、内蓋案内手段23により案内されて蓋4の所定位置まで到達し、内蓋装着手段9により蓋4に装着される。使用者は、係止角度を考えずに矢印A方向である略鉛直方向に内蓋7を内蓋係止手段8に装着するだけで内蓋7を蓋4に装着することができ、操作が簡単である。
【0099】
なお、内蓋7が略鉛直方向よりもさらに蓋4側へ傾斜した状態で内蓋係止手段8に装着されても、内蓋7は蓋4側へ回転移動することは言うまでもない。
【0100】
また、圧力調整手段13を内蓋7に設けなくとも、内蓋7を略鉛直方向に取り付けたとき内蓋7の重心を蓋4側に近くなるよう構成することで、内蓋7の自重により矢印B方向に回転移動し、自動的に蓋4に装着させることができる。
【0101】
また、内蓋4を内蓋係止手段8に係止させると回転移動することなく自立する構成とし、使用者により矢印B側へ押されることで回転移動するように構成してもよい。内蓋7が蓋4に装着した状態を解除すると、実施の形態2で説明した内蓋押し出しピン32等を設け、係止状態となるように構成すると、係止状態では内蓋7は前後に揺動するものの、係止状態に止まるときに内蓋係止部20および内蓋係止手段8に発生する衝撃力が小さく、耐久性に優れる。なお、傾斜角度αは使用者が操作できる最小の角度であれば、さらに衝撃力が小さくなる。
【0102】
なお、上記の各実施の形態において、図16に示すように内蓋7に複数個の内蓋係止部20および内蓋装着部24を設けてもよい。内蓋7を蓋4に装着するときに、内蓋7は略円形でその外周部に内蓋係止部20および内蓋装着部24が複数個あるので、内蓋7の装着方向が円周方向で複数通りに選べるので、使用者は内蓋7の上下方向や取り付け角度をそれほどは意識しないで簡単に装着できるので、内蓋7の使い勝手が高い。
【0103】
なお、上記の各実施の形態における鍋加熱手段2、鍋側面加熱手段3、内蓋加熱手段9は鍋1や内蓋7を誘導加熱する加熱コイルで構成しているが、ヒータや蒸気など他の熱源であってもよいものである。したがって、鍋1や内蓋7は誘導加熱できる金属材料で構成しているが、熱源に応じて他の材料であってもよいものである。
【0104】
なお、上記の各実施の形態には鍋1内の圧力を検知する圧力検知手段13cを有しているが、内蓋温度検知手段12や他の温度検知手段により鍋1内の温度を検出し、鍋1内の圧力を推定することで、運転を制御するものであってもよい。
【0105】
なお、実施の形態1〜5における発明は、一つの炊飯器に実装してもよく、それぞれの上記効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、内蓋の操作を軽減し、炊飯性能も安定させることができるので、より高温高圧の業務用炊飯器や調理器等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器本体の断面図
【図2】同炊飯器の内蓋を係止した状態の断面図
【図3】同炊飯器の内蓋係止手段を示す拡大断面図
【図4】同炊飯器の内蓋を装着した状態の断面図
【図5】同炊飯器の内蓋を装着した蓋の平面図
【図6】同炊飯器の入力操作部の正面図
【図7】同炊飯器の各工程における鍋内の温度変化を示す温度チャート
【図8】同炊飯器の係止部軸受けを示す拡大断面図
【図9】同炊飯器の内蓋を装着した蓋の断面図
【図10】本発明の実施の形態2における炊飯器の内蓋を装着した蓋の平面図
【図11】同炊飯器の内蓋を装着した蓋の断面図
【図12】本発明の実施の形態3における炊飯器本体の断面図
【図13】本発明の実施の形態4における炊飯器本体の断面図
【図14】同炊飯器の各工程における鍋内の温度変化を示す温度チャート
【図15】本発明の実施の形態5における炊飯器の内蓋を係止した状態の断面図
【図16】本発明の実施の形態1〜5における炊飯器の内蓋を装着した蓋の平面図
【符号の説明】
【0108】
1 鍋
2 鍋加熱手段
3 鍋側面加熱手段
4 蓋
7 内蓋
8 内蓋係止手段
9 内蓋装着手段
10 内蓋加熱手段
11 鍋温度検知手段
12 内蓋温度検知手段
13 圧力調整手段
16 本体
22 係止部すべり止め部
23 内蓋案内手段
25 解除手段
35 第1の解除手段制御部
37 蓋状態検知手段
38 第2の解除手段制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋を収納する本体と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、前記蓋に取り付けられる内蓋と、前記内蓋を前記蓋に対して所定角度で係止させた状態で着脱自在に保持する内蓋係止手段と、前記内蓋に設けられ前記鍋内の圧力を調整する圧力調整手段と、前記内蓋を前記蓋の所定位置で装着する内蓋装着手段と、前記内蓋が前記内蓋係止手段を支点として前記蓋側へ回転移動するとき前記所定位置に到達するよう前記内蓋の回転移動を案内する内蓋案内手段とを備え、前記内蓋係止手段は、前記内蓋の取り外し方向へのすべりを防止するすべり止め部を有し、前記内蓋が係止状態で前記蓋を閉じるとき、前記蓋が閉じるまでの間前記内蓋を係止状態に保持する炊飯器。
【請求項2】
圧力調整手段は内蓋と蓋との間に配置され、前記蓋は本体に対して90度以上開くよう構成され、前記蓋の開状態で前記内蓋を係止手段に取り付けたとき、前記圧力調整手段の重みで前記蓋側へ回転移動する請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
内蓋の温度を検知する内蓋温度検知手段と、内蓋装着手段による装着を解除し前記内蓋を傾斜させて係止状態にする解除手段とを備え、前記解除手段は前記内蓋の温度に基づいて、前記内蓋装着手段による内蓋の装着解除を停止する第1の解除手段制御部を有する請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
蓋の開放状態を検知する蓋状態検知手段と、内蓋装着手段による装着を解除し前記内蓋を傾斜させて係止状態にする解除手段とを備え、前記解除手段は前記蓋の開放状態が所定時間以上継続すると自動的に前記内蓋の装着を解除する第2の解除手段制御部を有する請求項1記載の炊飯器。
【請求項5】
内蓋装着手段による装着を解除し前記内蓋を傾斜させて係止状態にする解除手段を備え、保温停止後に蓋を開放すると、解除手段は自動的に内蓋の装着を解除する請求項1記載の炊飯器。
【請求項1】
鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋を収納する本体と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、前記蓋に取り付けられる内蓋と、前記内蓋を前記蓋に対して所定角度で係止させた状態で着脱自在に保持する内蓋係止手段と、前記内蓋に設けられ前記鍋内の圧力を調整する圧力調整手段と、前記内蓋を前記蓋の所定位置で装着する内蓋装着手段と、前記内蓋が前記内蓋係止手段を支点として前記蓋側へ回転移動するとき前記所定位置に到達するよう前記内蓋の回転移動を案内する内蓋案内手段とを備え、前記内蓋係止手段は、前記内蓋の取り外し方向へのすべりを防止するすべり止め部を有し、前記内蓋が係止状態で前記蓋を閉じるとき、前記蓋が閉じるまでの間前記内蓋を係止状態に保持する炊飯器。
【請求項2】
圧力調整手段は内蓋と蓋との間に配置され、前記蓋は本体に対して90度以上開くよう構成され、前記蓋の開状態で前記内蓋を係止手段に取り付けたとき、前記圧力調整手段の重みで前記蓋側へ回転移動する請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
内蓋の温度を検知する内蓋温度検知手段と、内蓋装着手段による装着を解除し前記内蓋を傾斜させて係止状態にする解除手段とを備え、前記解除手段は前記内蓋の温度に基づいて、前記内蓋装着手段による内蓋の装着解除を停止する第1の解除手段制御部を有する請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
蓋の開放状態を検知する蓋状態検知手段と、内蓋装着手段による装着を解除し前記内蓋を傾斜させて係止状態にする解除手段とを備え、前記解除手段は前記蓋の開放状態が所定時間以上継続すると自動的に前記内蓋の装着を解除する第2の解除手段制御部を有する請求項1記載の炊飯器。
【請求項5】
内蓋装着手段による装着を解除し前記内蓋を傾斜させて係止状態にする解除手段を備え、保温停止後に蓋を開放すると、解除手段は自動的に内蓋の装着を解除する請求項1記載の炊飯器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−307024(P2007−307024A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137532(P2006−137532)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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