説明

炊飯器

【課題】鍋に入れた調理物の重量を検知する機能を有する炊飯器において、米量算出忘れによる水量の目安の表示不能を回避する炊飯器を提供する。
【解決手段】炊飯器本体10内の鍋12の着脱を鍋検知手段204により検知し、鍋12および鍋12内の調理物の重量を重量検知手段40により検知し、米量の算出を要求する要求手段208からの信号入力による第1のタイミングで、算出手段206により重量検知手段40の出力信号より米量を算出し、第1のタイミングより後に入力した重量検知手段40の出力信号より米量に最適な水量の目安を算出し、算出した米量やその米量に最適な水量の目安を表示手段207により表示し、報知手段209により報知を行う。報知手段209は、第1のタイミングより前に鍋検知手段204により鍋12を炊飯器本体10内から抜き取られる第2のタイミングを検知したとき報知するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋に入れた調理物の重量を検知する機能を有する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器は、鍋下方に重量を検出する重量検出手段を備え、この重量検出手段により鍋内の米量を検出し、表示するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
さらに米量を表示した後に、引き続き重量検出手段で検出する重量により、米量に対して最適な水量の目安を表示するようにしている。
【0004】
使用者は、まず中に何も入れていない空の鍋(以下、空鍋という)を炊飯器本体内にセットし、この空鍋の重量検出手段からの出力を記憶する。続いて、鍋内に米を入れ、さらに米量の算出を要求する米計量スイッチを操作することで、このときの重量検出手段の出力を読み、この出力値からメモリに記憶している空鍋時の出力値の差をとることで、米のみの重量値を知ることができる。
【0005】
例えば、空鍋の重量を600gとし、その状態から米を入れた状態の重量が900gとすると、その差は300gであり、それが米の重量ということになる。米1カップは約150gなので、検出した米重量から150gを割ることでカップ数を知ることができる。この場合300gなので、2カップであり、それを表示部に表示することで、使用者は鍋内に入れた米量が2カップであることを認知できる。
【0006】
米計量スイッチを操作し米量を算出した後は、その米量に対して最適な水量を算出し、使用者が水を鍋内に足していき、その最適な水量に近づいたとき、その目安を示すランプを点灯するようにしている。例えば、2カップに対して、最適な標準水量が450gであるとするとき、重量が300+450=750gになったとき「標準」のランプを点灯させ、その重量を中心に例えば水が10g少なければ「かため」のランプを、水が10g多ければ「やわらかめ」のランプを点灯するようにしている。
【0007】
ここで、炊飯器と鍋とはセットで販売されているので、空鍋の重量値のメモリへの記憶は一度行うだけで良い。二度目からは鍋内に直接米をセットした状態でも、米量は検出できる。さらに工場出荷時に予め記憶しておくことで、使用者は空鍋の重量値の記憶の手間を省くことができる。
【0008】
よって、使用者は鍋に所望の米を入れ、米計量スイッチを操作するだけで、米量を知ることができ、その操作の後に水を入れていくと、米量に対する最適な水量の目安を知ることができる。
【特許文献1】特開2005−218653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記従来の構成では、使用者が鍋に所望の米を入れたとき、米計量スイッチの操作を忘れると、重量検出手段の出力から米量を算出することができず、結果そのあとの米量に対する最適な水量の目安を表示することができない。一般に、鍋内に米を入れた後は、使用者は一旦炊飯器本体から鍋を取り去り、洗米を行う。洗米後、鍋を炊飯器本体に再セットしたとき、このときに米計量スイッチを操作しても、米自体が水を含んでしまっているため、重量検出手段の出力から、米量を算出することはできず、その後の水量の目安を表示することができないという問題があった。
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、米量算出忘れによる水量の目安の表示不能を回避する炊飯器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために、上面が開口した炊飯器本体内に鍋を着脱自在に収納し、炊飯器本体を蓋により開閉自在に覆い、鍋を加熱する加熱手段の通電を制御手段により制御し、炊飯器本体内の鍋の着脱を鍋検知手段により検知し、鍋および鍋内の調理物の重量を重量検知手段により検知し、米量の算出を要求する要求手段からの信号入力による第1のタイミングで、算出手段により重量検知手段の出力信号より米量を算出し、また第1のタイミングより後に入力した重量検知手段の出力信号より第1のタイミングで算出した米量に最適な水量の目安を算出し、算出手段が算出した米量やその米量に最適な水量の目安を表示手段により表示し、鍋検知手段と要求手段からの信号を受け報知手段により報知を行うよう構成し、報知手段は、第1のタイミングより前に鍋検知手段により鍋を炊飯器本体内から抜き取られる第2のタイミングを検知したとき報知するよう構成したものである。
【0012】
これにより、要求手段からの信号入力による第1のタイミングより前に、鍋が炊飯器本体内から抜き取られる第2のタイミングを検知したとき報知手段により報知するので、使用者はその報知を確認したとき、要求手段により米量の算出ができていないことを認知することができ、水量の目安の表示不能を回避することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の炊飯器は、要求手段からの信号入力による第1のタイミングより前に、鍋が炊飯器本体内から抜き取られる第2のタイミングを検知したとき報知手段が報知するので、使用者はその報知を確認したとき、要求手段により米量の算出ができていないことを認知することができ、水量の目安の表示不能を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1の発明は、上面が開口した炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱自在に収納される鍋と、前記炊飯器本体を開閉自在に覆う蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記加熱手段の通電を制御する制御手段と、前記炊飯器本体内の前記鍋の着脱を検知する鍋検知手段と、前記鍋および鍋内の調理物の重量を検知する重量検知手段と、米量の算出を要求する要求手段と、前記要求手段からの信号入力による第1のタイミングで前記重量検知手段の出力信号より米量を算出し、また前記第1のタイミングより後に入力した前記重量検知手段の出力信号より前記第1のタイミングで算出した米量に最適な水量の目安を算出する算出手段と、前記算出手段が算出した米量やその米量に最適な水量の目安を表示する表示手段と、前記鍋検知手段と前記要求手段からの信号を受け報知を行う報知手段とを備え、前記報知手段は、前記第1のタイミングより前に前記鍋検知手段により前記鍋を前記炊飯器本体内から抜き取られる第2のタイミングを検知したとき報知するよう構成したものであり、使用者はその報知を確認したとき、要求手段により米量の算出ができていないことを認知でき、鍋を抜き取る前、すなわち洗米を行うよりも前に要求手段による米量の算出忘れを防止することができ、水量の目安の表示不能を回避することができる。
【0015】
第2の発明は、上記第1の発明において、鍋検知手段は、重量検知手段の出力信号からの重量と所定値とを比較することにより鍋の着脱を判定する鍋重量判定手段で構成したものであり、重量検知手段の出力信号だけで鍋の着脱を検知できるので、少ない部品構成で鍋検知手段を実現でき、製品を軽量化できる。
【0016】
第3の発明は、上記第1の発明において、算出手段は、第1のタイミングより前に第2のタイミングを検知したとき、要求手段からの信号入力がなくとも、第2のタイミングの直前の重量検知手段の出力信号より米量を算出するようにしたものであり、使用者が米量の算出を忘れたまま鍋を取り外したとき、その直前の重量検知手段の出力信号により米量を自動で算出し表示できる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の炊飯器のブロック図を示し、図2は同炊飯器の一部切欠した側面図を示し、図3は同炊飯器の一部ブロック化した要部回路図を示し、図4は同炊飯器の操作・表示部の上面図を示すものである。なお、図面を簡潔にするために、電気的接続のためのリード線等は省略してある。
【0019】
図2に示すように、炊飯器本体10は、上面を開口し、その上面開口部を覆う蓋20を開閉自在に設置している。炊飯器本体10の収納部30は上方の上枠32と下方のコイルベース31とで構成しており、収納部30に磁性体製の鍋12を着脱自在に収納するよう構成している。コイルベース31の鍋12の底部に対向する部分に鍋12を誘導加熱する加熱コイル13を配設している。
【0020】
回路基板14は、図1に示すように、加熱手段201を構成する駆動手段202、加熱手段201の通電を制御する制御手段203や、表示手段207などで構成し、加熱手段201を構成する加熱コイル13の動作を制御して鍋12を誘導加熱し、鍋12内の調理物19を加熱調理する。ここで、制御手段203は、図3に示すマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)100によって実現している。また、マイコン100は米量などを算出する算出手段206も含んでいる。
【0021】
算出手段206は、米量の算出を要求する要求手段208からの信号入力による第1のタイミングで重量検知手段40の出力信号より米量を算出し、また第1のタイミングより後に入力した重量検知手段4の出力信号より第1のタイミングで算出した米量に最適な水量の目安を算出するよう構成している。表示手段207は算出手段206が算出した米量やその米量に最適な水量の目安を表示するものであり、詳細は後述する。報知手段209は鍋検知手段204と要求手段208からの信号を受け報知を行うものであり、この報知手段209は、第1のタイミングより前に鍋検知手段204により鍋12を炊飯器本体10内から抜き取られる第2のタイミングを検知したとき報知するよう構成している。なお、重量検知手段40、鍋検知手段204などの詳細は後述する。
【0022】
調理物19は、炊飯前の米、米と水との混合物または炊き上がったご飯等である。この炊飯器は図示しない電源コードを有し、電源コードから商用電源が供給されたときに「電源オン」の状態になる。
【0023】
鍋温度検知手段15は、コイルベース31の底部に配設し、鍋12の温度を検知するもので、この鍋温度検知手段15は、鍋12が収納部30に収納されると鍋12の底の中央部に当接し、鍋12の温度を検知することで調理物19の温度を検知し、その出力を制御手段203に入力している。鍋検知スイッチ16は鍋12の着脱を検知する鍋検知手段204を構成し、鍋12が炊飯器本体10内の収納部30に収納されているか否かを検知するもので、この鍋検知スイッチ16は、炊飯器本体10に剛体接続されたマイクロスイッチで構成し、鍋12が収納部30に収納されると、鍋温度検知手段15の底に設けた突起部がマイクロスイッチを押下し、鍋検知スイッチ16はオン信号を出力する。
【0024】
蓋開閉検知手段21は、蓋20の開閉を検知するもので、この蓋開閉検知手段21は炊飯器本体10に設け、マイクロスイッチで構成し、蓋20が開くと蓋20のヒンジ部がマイクロスイッチを押下し、蓋開閉検知手段21はオン信号を出力する。蓋開閉検知手段21は、炊飯器の電源が入っている状態では常に動作しており、オン信号またはオフ信号を出力している。
【0025】
重量検知手段40は、鍋12の重量を検知するもので、この重量検知手段40の主要部は、支持部17およびロードセル18で構成し、ロードセル18は、ロバーバル型のロードセル(荷重変換器)であり、炊飯器本体10に剛体接続している。ロードセル18に抵抗線ひずみゲージ(図示せず)を取り付けている。ロードセル18が歪んだときのひずみゲージの抵抗変化をブリッジ回路で電気信号として取り出すよう構成している。
【0026】
支持部17は、薄板に3つの突起部を設けた形状を有し、薄板はロードセル18の一端にねじ止めしている。支持部17の突起部は、コイルベース31の底部に設けた3つの孔をそれぞれ貫通しており、鍋12が収納部30に収納されていない場合、ロードセル18は支持部17の重量を検知する。鍋12が収納部30に収納されると、鍋12の底部が支持部17の突起部の先端に当接し、ロードセル18が歪む。鍋12が収納部30に収納されると、ロードセル18は、支持部17、鍋12および鍋12の中の調理物19の総重量を検知する。すなわち、重量検知手段40は、鍋12の底面を3点支持する支持部17を通して、正確に鍋12および被加熱物(調理物19)の重量を測定するよう構成している。
【0027】
鍋温度検知手段15、鍋検知スイッチ16、蓋開閉検知手段21、重量検知手段40からの電気信号は、それぞれ回路基板14に入力される。
【0028】
本実施の形態の炊飯器本体10の前面には、図4に示すように、操作・表示部50を設けている(図2では図示しない)。操作・表示部50に、キー入力手段51、水量表示部52、液晶表示素子53を配置している。キー入力手段51として、米計量スイッチ51a、保温スイッチ51b、タイマ予約を行う予約スイッチ51c、炊飯コースを選択するコーススイッチ51d、炊飯スイッチ51e、取消/切スイッチ51f、予約時刻(時と分)を合わせる時スイッチ51gおよび分スイッチ51hを配置している。キー入力手段51はマイコン100へ接続されている。
【0029】
ここで、米計量スイッチ51aは、算出手段206へ算出要求を行う要求手段208として機能する。
【0030】
水量表示部52は、操作・表示部50の上部に配置された5個のランプ52a〜52eを有する。ご飯の固さは米量および水量に依存する。鍋12に米を入れた後、米計量スイッチ51aを押して米量を測定し、その後に水を入れる。本実施の形態の炊飯器は、使用者が鍋12に入れた米量を測定し、米量および水量に対応するご飯の固さに応じて、水量表示部52のランプ52a〜52eのうち該当するランプを点灯または点滅させる。ランプ52aの左上に「かため」、ランプ52cの上に「ふつう」、ランプ52eの右上に「やわらかめ」の文字が印刷されており、ユーザは、水量表示部52を確認しながら、好みの固さのご飯を炊くための水加減を行うことができる。
【0031】
液晶表示素子53には、操作案内表示部54および米量表示部55、時刻表示部56を配置している。操作案内表示部54は、使用者が次に行うべき操作または現在の状態を表示するための表示部である。操作案内表示部54には「水加減」表示部および「炊飯を押す」表示部を配置している。ユーザがつぎに行うべき操作は、各表示部の文字(「水加減」または「炊飯」の文字)の背景部分が黒く表示されることで示される。米量表示部55は、鍋12の絵と使用者が鍋12に入れた米量(カップ数)の測定結果を表示する。
【0032】
図4の表示例は、米および水の計量が終了した状態での表示である。鍋12の絵と米量「2.3カップ」が米量表示部55に表示されている。「炊飯を押す」表示部の「炊飯」の文字の背景が黒く表示され、ユーザに炊飯スイッチ51eを押すことを促している。
【0033】
このように液晶表示素子53は表示手段207を構成し、米量表示部55とそれ以外の表示部とから構成されている。
【0034】
つぎに、図3に示すように、加熱コイル13は、鍋12を誘導加熱する。交流電源120から交流電力が供給され、ダイオードブリッジ102によって整流し、平滑コンデンサ103、共振コンデンサ104、スイッチング素子105、加熱コイル13よりなるインバータ回路により誘導加熱のための高周波電力を発生させる。インバータ回路は駆動手段202を構成するドライブIC107と誘導加熱制御用IC108によって駆動されている。
【0035】
電源IC106は交流電源120から動作のための直流電源を各回路に供給している。交流電源120が開放されている場合は、電池121により直流電源を各回路に供給している。この電池121は主としてマイコン100に内蔵しているRAMの内容保持の目的に使用している。
【0036】
サーミスタ109は底温度検知手段15の中に内蔵されており、サーミスタ109が温度によって抵抗値が変化するのを利用して鍋12の温度を検知している。水晶発振子110の発振によって、マイコン100内のタイマをカウントして計時を行っている。そして、マイコン100に入力された温度や計時している時間をもとに誘導加熱制御用IC108を制御することにより、鍋12の加熱を制御して、炊飯を行っている。
【0037】
蓋開閉検知スイッチ111は、蓋開閉検知手段21を構成し、蓋20が開くとスイッチがオフし、蓋20が閉じるとスイッチがオンすることにより、蓋開閉の検知を行う。表示は液晶表示パネル53並びにランプ52によって行っている。
【0038】
重量検知は、ロードセル18からの信号は微小なのでオペアンプと抵抗よりなる差動増幅回路112によって増幅し、マイコン100に入力するようにしている。ロードセル18からの出力は、ロードセル18にかかっている重量に比例している。マイコン100では、この差動増幅回路112によって増幅した信号をマイコン100に内蔵の12bitのAD変換器でAD変換し電圧信号を数値に変換している。本実施の形態の炊飯器では、1LSBあたり1gとなるように差動増幅回路112を調整している。よって、AD変換結果が1500ならば、これは1500gの信号に相当する。以下、各入力信号の値はこのAD変換した値で説明する。
【0039】
上記構成において重量検知の動作を説明する。重量検知手段40の出力は、鍋12が炊飯器本体10に入っていない無負荷のときでも出力が出ている。重量検知手段40の無負荷時のマイコン100への入力を無負荷信号Zとし、マイコン100のRAMである記憶手段205に記憶する。さらに鍋12が炊飯器本体10にセットされているとき(鍋12の中には何も入っていない空鍋状態)の入力をNとするとき、無負荷信号Zとの差(N−Z)が空鍋の重量分の信号となる。これを鍋検知信号N1とし記憶手段205に記憶する。
【0040】
鍋12が炊飯器本体10にセットされており、鍋12の中に調理物19が入っている場合の重量検知手段40のマイコン100への入力をMとすると、調理物19の重量M1は、
M1=M−N1−Z・・・・・・(1)
となる。算出手段206は、この(1)式に従い、重量検知手段40からの信号を重量値に変換する。また、1カップあたり約150gなので、算出した重量M1を150で割ることで、重量をカップ数に変換できる。要求手段208である米計量スイッチ51aを使用者が操作したとき、検出した重量をカップ数に変換することができる。
【0041】
ここで、重量検知手段40の無負荷時のマイコン100への入力である無負荷信号Zはロードセル18の経年劣化や室温などで出力値が変化する。その出力値の変化が重量検知の誤差の原因となる。そこで、重量検知直前に無負荷信号Zを入力することでロードセル18の無負荷時の出力変化に対応し、誤差をなくすというゼロリセットが必要となってくる。本実施の形態では、蓋開閉検知手段21によって蓋開を検知し、鍋検知スイッチ16で鍋12が炊飯器本体10にセットされていないとき無負荷と判断して無負荷時の入力を行い、記憶手段205に記憶することによって、ゼロリセットしている。
【0042】
鍋検知信号N1は、鍋12が他のものと交換されない限り、ほとんど変化はない。よって、一度記憶手段205に記憶すると、毎回記憶をし直す必要はない。本実施の形態では、蓋開閉検知手段21によって蓋開を検知し、鍋検知スイッチ16で鍋12を炊飯器本体10にセットしていると判定しているときに、計量スイッチ51aを5秒以上連続で押すことで、記憶手段205はそのときの入力Nから無負荷信号Zとの差である鍋検知信号N1を算出し記憶している。
【0043】
このように、要求手段208である米計量スイッチ51aを操作したとき、算出手段206は(1)式に従い、調理物19を米の重量M1として算出するともにカップ数としても算出し、米量表示部55に表示する。さらに、米計量スイッチ51aを操作した後は、その後の重量増加分を使用者による水の投入とし、その米量に対する水量の目安表示を、水量表示部52のランプ52a〜52eに表示する。ここで、米計量スイッチ51aの操作後の水の重量M2は次のようにして計算できる。
【0044】
M2=M−N1−Z−M1・・・・・(2)
つまり、米計量スイッチ51aの操作時点で調理物19の重量は米の重量M1として算出されているので、その後の調理物19の重量から米の重量M1を差し引いたものとなる。
【0045】
さて、マイコン100内のROM上には様々な米量に対して最適な標準水量(重量値)が予め記憶されており、米量が決定すると、自動で最適な標準水量の重量Mtが決定される。例えば、2カップ=300gに対しては最適な標準水量の重量Mtは450gというふうに決定される。
【0046】
標準水量の重量Mtが定まった後は、水の重量M2の値により(表1)の該当する条件によりランプ52a〜52eを点灯または点滅表示する。
【0047】
【表1】

【0048】
例えば、2カップ=300gに対しては最適な標準水量の重量Mtは450gなので、M2が420gであるならば(表1)の(Mt×0.91)≦M2<(Mt×0.94)の範囲になるので、炊き上がりのご飯の硬さが硬めを示す「かため」ランプ52aが点灯し、448gであるならば(表1)の(Mt×0.97)≦M2<(Mt×1.03)の範囲となるため、炊き上がりが標準の硬さを示す「ふつう」のランプ52cが点灯する。
【0049】
このように米計量スイッチ51aの操作後は、鍋12内に水を投入したとき、炊き上がり時のご飯の硬さを表す水量の目安を表示することができる。なお、(表1)のM2<(Mt×0.91)の条件時、硬めを示す「かため」ランプ52aが点滅しているが、これはこの条件であるときは、水の量が少なすぎてうまく炊けないことを表している。
【0050】
ふつう使用者は米計量スイッチ51aを操作した後は、鍋12内の米を洗米するため、一旦炊飯器本体10内から鍋12ごと取り出す。ここで、米計量スイッチ51aを操作する前に、鍋12を炊飯器本体10内から取り出し、鍋12内の米を洗米してしまうと、鍋12内の米は水分を含んでしまうため、米の重量M1を算出することができなくなってしまい、結果炊き上がり時のご飯の硬さを表す水量の目安も表示できなくなってしまう。そこで、本発明の炊飯器では、米計量スイッチ51aを操作する前に鍋12を取り出したときに、報知手段208で報知するようにしている。このときの動作を図5のフローチャートを用いて説明する。なお、報知手段208はマイコン100がブザー113に鳴動信号を出力する構成としている。
【0051】
まず、ステップS1で初期動作として、算出手段206が算出する米量のデータを初期化する。ここでは、0カップ(0g)をセットすることとする。続いて、ステップS2で鍋スイッチ16はオフ状態かどうか判定し、オフ状態ならばステップS3へ進み、そうでなければステップS7へ進む。ステップS2で鍋検知スイッチ16がオフであるということは、鍋12が炊飯器本体10内にはないということになる。ステップS3ではさらに鍋検知スイッチ16がオンからオフに変化したのか判定する。オンからオフに変化ということは、鍋12が炊飯器本体10内から取り出された直後ということになる。
【0052】
ステップS3でオンからオフに変化したのであればステップS4へ進み、そうでなければステップS2へ戻る。ステップS4では、米量算出がされているかどうかを判定し、されているならステップS2に戻り、されてなければステップS5に進み、ブザー113を鳴動し、ステップS2へ戻る。
【0053】
ステップS2で鍋スイッチ16がオンであったとき、すなわち鍋12が炊飯器本体10内にあると判定されたときはステップS7へ進み、米計量スイッチ51aが操作されたかどうか判定する。操作されたならばステップS8へ進み、操作されていなければステップS9へ進む。ステップS8では算出手段206が(1)式により重量検知手段40からの入力により米量を算出する。ステップS9では米量が算出済みなのかどうかを判定し、算出済みならステップS10へ進み、算出がまだならステップS11へ進む。一度でも米計量スイッチ51aを操作すれば、ステップS8で米量が算出されるため、ステップS10へ進むこととなる。
【0054】
ステップS10では、算出した米量をもとに算出手段206が(2)式に基づき水量を算出する。ステップS11では、炊飯スイッチ51eが操作され、炊飯開始を行うかの判定を行う。操作されてないならステップS2へ戻り、操作されたならば炊飯を開始する。
【0055】
このように炊飯開始の判定はステップS2で鍋12が炊飯器本体10内にあることを確認した後のみ行っているので、鍋12が炊飯器本体10内にないときは、炊飯は開始できないようにできる。
【0056】
このように、鍋12が炊飯器本体10内から取り出されたとき、米計量スイッチ51aが一度でも操作され米量が算出されているなら、ブザー113は鳴動しないが、算出されていないなら鳴動を行うものである。よって、使用者が鍋12を取り出したときに、ブザー113が鳴動しているときは、米計量スイッチ51aの押し忘れということが認知でき、押し忘れを防止することができる。
【0057】
以上のように、本実施の形態においては、報知手段209は、第1のタイミングより前に鍋検知手段204により鍋12を炊飯器本体10内から抜き取られる第2のタイミングを検知したとき報知するよう構成したので、使用者はその報知を確認したとき、要求手段208により米量の算出ができていないことを認知でき、鍋12を抜き取る前、すなわち洗米を行うよりも前に要求手段208による米量の算出忘れを防止することができ、水量の目安の表示不能を回避することができる。
【0058】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2の炊飯器のブロック図を示すものである。
【0059】
図6に示すように、鍋検知手段204は、重量検知手段40の出力信号からの重量と所定値とを比較することにより鍋12の着脱を判定する鍋重量判定手段210で構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0060】
上記構成において動作を説明する。鍋重量判定手段210は、重量検知手段40からの信号をマイコン100が受け取り、空の状態の鍋12をセットしているときの信号より小さい値をしきい値として、そのしきい値より、大きい信号を受けているときは「鍋あり」、小さい信号を受けているときは、「鍋なし」と判定することで実現できる。
【0061】
以上のように、本実施の形態においては、鍋検知手段204は、重量検知手段40の出力信号からの重量と所定値とを比較することにより鍋12の着脱を判定する鍋重量判定手段210で構成しているので、鍋検知手段204をマイコン100で実現できるので、鍋検知スイッチ16を設ける必要がなく、重量検知手段40の出力信号だけで鍋12の着脱を検知できるので、少ない部品構成で鍋検知手段204を実現でき、製品を軽量化できる。
【0062】
(実施の形態3)
図1に示す算出手段206は、第1のタイミングより前に第2のタイミングを検知したとき、要求手段208からの信号入力がなくとも、第2のタイミングの直前の重量検知手段40の出力信号、すなわち、鍋検知手段204が鍋12の有りから無し状態を検知したとき、例えばその1秒前といった確実に鍋12がセットされていたときの重量検知手段40からの出力信号を基に米量を算出するようにしている。他の構成は上記実施の形態1と同じである。
【0063】
上記構成において動作を説明する。使用者が要求手段208を操作していなくても、鍋12を炊飯器本体10内から取り出したときに自動で確実に鍋12がセットされていたときの重量検知手段40からの信号を基に米量を算出することができる。
【0064】
以上のように、本実施の形態においては、算出手段206は、第1のタイミングより前に第2のタイミングを検知したとき、要求手段208からの信号入力がなくとも、第2のタイミングの直前の重量検知手段40の出力信号より米量を算出するようにしたので、使用者が米量の算出を忘れたまま鍋12を取り外したとき、その直前の重量検知手段40の出力信号により米量を自動で算出し表示できる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、要求手段からの信号入力による第1のタイミングより前に、鍋が炊飯器本体内から抜き取られる第2のタイミングを検知したとき報知手段が報知するので、使用者はその報知を確認したとき、要求手段により米量の算出ができていないことを認知することができ、水量の目安の表示不能を回避することができるので、鍋に入れた調理物の重量を検知する機能を有する炊飯器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態1の炊飯器のブロック図
【図2】同炊飯器の一部切欠した側面図
【図3】同炊飯器の一部ブロック化した要部回路図
【図4】同炊飯器の操作・表示部の拡大上面図
【図5】同炊飯器の報知手段の動作フローチャート
【図6】本発明の実施の形態2の炊飯器のブロック図
【符号の説明】
【0067】
10 炊飯器本体
12 鍋
20 蓋
40 重量検知手段
201 加熱手段
203 制御手段
204 鍋検知手段
206 算出手段
207 表示手段
208 要求手段
209 報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱自在に収納される鍋と、前記炊飯器本体を開閉自在に覆う蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記加熱手段の通電を制御する制御手段と、前記炊飯器本体内の前記鍋の着脱を検知する鍋検知手段と、前記鍋および鍋内の調理物の重量を検知する重量検知手段と、米量の算出を要求する要求手段と、前記要求手段からの信号入力による第1のタイミングで前記重量検知手段の出力信号より米量を算出し、また前記第1のタイミングより後に入力した前記重量検知手段の出力信号より前記第1のタイミングで算出した米量に最適な水量の目安を算出する算出手段と、前記算出手段が算出した米量やその米量に最適な水量の目安を表示する表示手段と、前記鍋検知手段と前記要求手段からの信号を受け報知を行う報知手段とを備え、前記報知手段は、前記第1のタイミングより前に前記鍋検知手段により前記鍋を前記炊飯器本体内から抜き取られる第2のタイミングを検知したとき報知するよう構成した炊飯器。
【請求項2】
鍋検知手段は、重量検知手段の出力信号からの重量と所定値とを比較することにより鍋の着脱を判定する鍋重量判定手段で構成した請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
算出手段は、第1のタイミングより前に第2のタイミングを検知したとき、要求手段からの信号入力がなくとも、第2のタイミングの直前の重量検知手段の出力信号より米量を算出するようにした請求項1記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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