説明

炊飯器

【課題】水の沸点以上の高温蒸気を利用して炊飯性能を向上させる炊飯器において、使用者が水供給を行った形跡を検知したときは炊飯開始時の水量確認の注意喚起表示は中止し、水供給時の誤解を回避することを目的とする。
【解決手段】着脱自在な水タンク4内に水を入れ、高温蒸気供給手段6により水タンク4内の水から蒸気を発生させこの蒸気を加熱して鍋2内に供給する。水タンク4は炊飯器本体1内に着脱自在に設けられており、その着脱状態は着脱検知手段9により検知する。判定手段11は、炊飯開始前に着脱検知手段9の着脱の変化を検知したときは、水供給の形跡ありと判定するようにする。表示手段10は、判定手段11が水供給の形跡ありと判定しなかったときに水タンク4内の水量確認の旨を表示するよう構成することにより、水供給時の誤解を回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炊飯中に水の沸点以上の蒸気を投入して炊飯性能を向上させる炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器は、鍋内の飯と水を加熱するために鍋底部に配置した加熱手段の他、鍋上方の加熱量を増加させるために鍋上方から高温の蒸気を供給するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、特許文献1に記載された従来の炊飯器を示すもので、以下、その構成について説明する。図8に示すように、炊飯器本体1は、磁性体製の鍋2を着脱自在に収納するとともに、磁性体製の水タンク4を着脱自在に収納している。鍋2は米や水を入れるもので、鍋誘導加熱コイル20により誘導加熱される。炊飯器本体1には、その上面を覆う蓋5を開閉自在に設置している。また、炊飯器本体1には、鍋2の温度を検知する鍋サーミスタ21、水タンク4を誘導加熱する水タンク誘導加熱コイル22などを設けている。
【0004】
水タンク4内の水は沸騰することにより蒸気が発生する。水タンク4と鍋2の上面の一部は、蓋5内に設けた蒸気経路23によって接続されている。蒸気経路23の鍋2上面の開口部を蒸気孔24とする。蓋5は、磁性体製の加熱板25と、この加熱板25を誘導加熱する鍋開口部誘導加熱コイル26と、加熱板25の温度を検知する加熱板サーミスタ27とを有している。
【0005】
水タンク4内の水は、炊飯をする際に使用者が適宜供給する。このとき、使用者が水供給を忘れると、炊飯中の蒸気発生不足によりご飯の食味低下の原因となるため、炊飯開始の際にLCDに水タンクの水量確認の注意喚起表示をするように従来の炊飯器では構成している(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−290659号公報
【特許文献2】特開2006−212198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、使用者が水タンク4内に水供給を行っていても炊飯開始の際にLCDに水タンクの水量確認の注意喚起表示が無条件に行われてしまうので、結果その表示を確認した使用者は水供給を行ったにもかかわらず水量確認の注意喚起表示が出るので、水供給の不備や故障発生など水供給時に誤解を与える恐れがあった。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、使用者が水供給を行った形跡を検知したときは水量確認の注意喚起表示は中止し、水供給時の誤解を回避する炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に収納され米や水を入れる着脱自在な鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記炊飯器本体内に収納され水を入れる着脱自在な水タンクと、前記鍋と前記水タンクの上部開口部
を覆う開閉自在な蓋と、前記水タンクを加熱し前記水タンク内の水から蒸気を発生させこの蒸気を加熱し前記鍋内に供給する高温蒸気供給手段と、炊飯の開始を要求する開始手段と、前記開始手段の信号を受け、前記加熱手段と前記高温蒸気供給手段を制御し炊飯を行う制御手段と、前記水タンクの着脱状態を検知する着脱検知手段と、少なくとも前記水タンク内の水量確認の旨を表示する表示手段と、前記制御手段と前記開始手段と前記着脱検知手段からの信号を受け前記水タンクへの水供給の形跡の有無を判定する判定手段とを備え、前記判定手段は前記制御手段が炊飯の制御を終了した後、前記開始手段からの開始要求が入力されるまで前記着脱検知手段により前記水タンクの着脱状態を監視し、着脱の変化があったときに水供給の形跡有りと判定結果を残し、該判定結果が前記開始手段からの開始要求が入力されたときに水供給の形跡無しのときは信号を出力し、前記表示手段は前記判定手段からの信号を受けたとき、前記水タンク内の水量確認の旨を一定時間表示するものである。
【0010】
これによって、制御手段が炊飯を終了した後、開始手段による開始要求までの間に、着脱検知手段により水タンクの着脱状態の変化を判定手段が判定し着脱の変化がないときのみ、判定手段は信号を出力し、該信号により表示手段は水タンク内の水量確認の旨を一定時間表示でき、使用者が水供給を行った形跡を検知したときは水量確認の注意喚起表示は中止し、水供給時の誤解を回避するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の炊飯器は、炊飯終了後に水タンクを炊飯器本体内から取り外し、そして炊飯器本体内へ装着したことを検知したときは使用者が水供給を行った形跡と判定手段が判定し、開始手段を操作したときに表示手段に水量確認の旨は表示しないので、水タンクへ水供給を行ったにもかかわらず水量確認の旨を表示するという水供給時の誤解を回避することができ、利用者に使いやすい炊飯器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図3】本発明の実施の形態1における炊飯器の判定手段の動作フローチャート
【図4】本発明の実施の形態2における炊飯器のブロック図
【図5】本発明の実施の形態2における炊飯器の判定手段の動作フローチャート
【図6】本発明の実施の形態4における炊飯器のブロック図
【図7】本発明の実施の形態4における炊飯器の判定手段の動作フローチャート
【図8】従来の炊飯器の断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に収納され米や水を入れる着脱自在な鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記炊飯器本体内に収納され水を入れる着脱自在な水タンクと、前記鍋と前記水タンクの上部開口部を覆う開閉自在な蓋と、前記水タンクを加熱し前記水タンク内の水から蒸気を発生させこの蒸気を加熱し前記鍋内に供給する高温蒸気供給手段と、炊飯の開始を要求する開始手段と、前記開始手段の信号を受け、前記加熱手段と前記高温蒸気供給手段を制御し炊飯を行う制御手段と、前記水タンクの着脱状態を検知する着脱検知手段と、少なくとも前記水タンク内の水量確認の旨を表示する表示手段と、前記制御手段と前記開始手段と前記着脱検知手段からの信号を受け前記水タンクへの水供給の形跡の有無を判定する判定手段とを備え、前記判定手段は前記制御手段が炊飯の制御を終了した後、前記開始手段からの開始要求が入力されるまで前記着脱検知手段により前記水タンクの着脱状態を監視し、着脱の変化があったときに水供給の形跡有りと判定結果を残し、該判定結果が前記開始手段からの開始要求が入力されたときに水供給の形跡無しのときは信号を出力し、前記表示手段は前記判定手段からの信号を受けたとき、前記
水タンク内の水量確認の旨を一定時間表示するよう構成することにより、制御手段が炊飯を終了した後、開始手段による開始要求までの間に、着脱検知手段により水タンクの着脱状態の変化を判定手段が判定し着脱の変化がないときのみ、判定手段は信号を出力し、該信号により表示手段は水タンク内の水量確認の旨を一定時間表示できるので、使用者が水タンクに水供給を行う際に水タンクを炊飯器本体内から取り外し、そして炊飯器本体内へ装着したことを検知したときは使用者が水供給を行った形跡と判定手段が判定し、開始手段を操作したときに表示手段に水量確認の旨は表示しないので、水タンクへ水供給を行ったにもかかわらず水量確認の旨を表示するという水供給時の誤解を回避することができる。
【0014】
第2の発明は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に収納され米や水を入れる着脱自在な鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記炊飯器本体内に収納され水を入れる着脱自在な水タンクと、前記鍋と前記水タンクの上部開口部を覆う開閉自在な蓋と、前記水タンクを加熱し前記水タンク内の水から蒸気を発生させこの蒸気を加熱し前記鍋内に供給する高温蒸気供給手段と、炊飯の開始を要求する開始手段と、前記開始手段の信号を受け、前記加熱手段と前記高温蒸気供給手段を制御し炊飯を行う制御手段と、前記水タンクの温度を検知する水タンク温度検知手段と、少なくとも前記水タンク内の水量確認の旨を表示する表示手段と、前記制御手段と前記開始手段と水タンク温度検知手段からの信号を受け前記水タンクへの水供給の形跡の有無を判定する判定手段とを備え、前記判定手段は前記制御手段が炊飯の制御を終了した後、前記開始手段からの開始要求が入力されるまで前記水タンク温度検知手段により前記水タンクの温度を監視し、前記水タンクの温度の低下があったときに水供給の形跡有りと判定結果を残し、該判定結果が前記開始手段からの開始要求が入力されたときに水供給の形跡無しのときは信号を出力し、前記表示手段は前記判定手段からの信号を受けたとき、前記水タンク内の水量確認の旨を一定時間表示するよう構成することにより、制御手段が炊飯を終了した後、開始手段による開始要求までの間に、水タンク温度検知手段により水タンク温度を判定手段が判定し水タンクの温度の低下がないときのみ、判定手段は信号を出力し、該信号により表示手段は水タンク内の水量確認の旨を一定時間表示できるので、使用者が水タンクに水供給を行ったときに水タンク温度の低下があれば使用者が水供給を行った形跡と判定手段が判定し、開始手段を操作したときに表示手段に水量確認の旨は表示しないので、水タンクへ水供給を行ったにもかかわらず水量確認の旨を表示するという水供給時の誤解を回避することができる。
【0015】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の判定手段は、水供給の形跡有りと判定した後に前記開始手段からの開始要求が所定時間ないならば判定結果を水供給の形跡無しとするようにしたことにより、判定手段が水供給の形跡ありと判定しても所定時間以内に開始手段からの開始要求がないときは水供給の形跡無しの判定に変更できるので、例えば、前回の炊飯完了後、次の炊飯開始までに24時間の間隔がある場合、前回炊飯完了直後に水タンクの取り外しなどの情報があっても、この時点の水タンク取り外しは水供給とは無関係の可能性が高く、炊飯開始直前の情報で判定することで、より炊飯開始前の使用実態にあった状態で判定でき、判定の正確性が向上する。
【0016】
第4の発明は、特に、第1または第2の発明の蓋の開閉を検知する蓋開閉検知手段を備え、前記判定手段は前記蓋開閉手段の情報が蓋開状態のときに、判定するようにしたことにより、水タンクへの水供給は蓋を開けた状態で行われるので、使用実態にあった状態で判定でき、判定の正確性が向上する。
【0017】
第5の発明は、特に、第1の発明の判定手段は、前記着脱検知手段による水タンクの取り外しが所定時間連続で経過していないときは、着脱の変化はないと判定するようにしたことにより、水タンク装着状態で本体の振動などにより一瞬水タンクが外れた状態になっても、このとき判定手段は着脱の変化なしと判定するので、このまま使用者が水タンクに
水供給を行わなかった場合、炊飯開始時に水量確認の旨を表示手段に適切に表示できる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器のブロック図を示すものであり、図2は、同炊飯器の断面図を示すものである。
【0020】
図2に示すように、炊飯器本体1は、磁性体製の鍋2を着脱自在に収納するとともに、磁性体製の水タンク4を着脱自在に収納している。鍋2は米や水を入れるもので、加熱手段3(図1参照)により加熱される。炊飯器本体1には、その上面を覆う蓋5を開閉自在に設置している。また、炊飯器本体1には、鍋2を誘導加熱する鍋誘導加熱コイル20、鍋2の温度を検知する鍋サーミスタ21、水タンク誘導加熱コイル22、水タンク4の着脱を検知する着脱検知スイッチ29、水タンクサーミスタ28などを設けている。
【0021】
加熱手段3は、誘導加熱コイル20と、図示していないインバータ回路により構成し、誘導加熱コイル20にインバータ回路が高周波電流を供給することで、火力自在に鍋2を加熱するようにしている。また、水タンク4は、水タンク誘導加熱コイル22と、この水タンク誘導加熱コイル22に高周波電流を供給する図示していないインバータ回路により加熱し、水タンク4内の水は沸騰することにより蒸気が発生する。水タンク4と鍋2の上面の一部は、蓋5内に設けた蒸気経路23によって接続されている。蒸気経路23の鍋2上面の開口部を蒸気孔24とする。
【0022】
蓋5は、さらに、磁性体製の加熱板25と、この加熱板25を加熱する鍋開口部誘導加熱コイル26と、加熱板25の温度を検知する加熱板温度サーミスタ27と、制御回路30を有している。加熱板温度サーミスタ27は加熱板25に当設して設けている。
【0023】
水タンク4内で発生した蒸気は蒸気経路23を通って、蒸気孔24より鍋2内へと送られる。図示していないが、蒸気経路23にはヒータを設けており、この蒸気経路23を通過する蒸気は、このヒータにより、略130℃の温度に加熱されている。このように、水タンク4を加熱する水タンク誘導加熱コイル22と、この水タンク誘導加熱コイル22に高周波電流を供給する図示していないインバータ回路と、蒸気経路23と蒸気孔24とにより、図1に示す高温蒸気供給手段6を構成している。
【0024】
着脱検知スイッチ29は、水タンク4の着脱を検知するもので、マイクロスイッチで構成し、水タンク4と当接するよう配置している。水タンク4が炊飯器本体1内に装着されているときはオン信号を出力し、取り外されているときは、オフ信号を出力するようにしている。以下、着脱検知スイッチ29のオン信号を「水タンクあり」、オフ信号を「水タンクなし」と呼ぶこととする。着脱検知スイッチ29の信号は、制御回路30上に実装したマイクロコンピュータ(以下、マイクロコンピュータと単に呼ぶ)に入力するようにしている。
【0025】
ここで、鍋サーミスタ21による鍋2の温度(以下、鍋温度と呼ぶ)の検知について説明する。鍋2の温度変化により鍋サーミスタ21の抵抗値が変化するので、その抵抗変化分を抵抗分圧により電圧値に置き換え、制御回路30上のAD変換器に入力し、このAD変換器の変換結果をマイクロコンピュータが判定することで、底温度の検知を行っている。
加熱板温度サーミスタ27による加熱板25の温度(以下、加熱板温度と呼ぶ)と水タンクサーミスタ28による水タンク4の温度(以下、水タンク温度と呼ぶ)も同様に検知し
ている。
【0026】
つぎに、図1に示すように、開始手段7は炊飯の開始を要求するもので、制御基板30上に設けたスイッチである。このスイッチを使用者が押下するとスイッチがショートとなり、この信号を制御手段8へ入力するようにし、制御手段8は開始手段7からの信号を受けて約1秒後に炊飯を開始するようにしている。この制御手段8は、加熱手段3と高温蒸気供給手段6を制御し、炊飯および炊飯終了後には保温を行う。制御手段8は、制御回路30に実装したROM内蔵のマイクロコンピュータであり、ROM上に記録している炊飯シーケンスの情報に従い、鍋温度が所定の温度カーブを描くよう、加熱手段3と高温蒸気供給手段6の制御している。
【0027】
制御手段8の実施する炊飯シーケンスには、米に水を吸水させる浸漬工程、強い火力で炊上げる炊上げ工程、鍋サーミスタ21による鍋2のドライアップ検知後に弱い火力で蒸らす蒸らし工程の3工程のほか浸漬工程と炊上げ工程との間に水タンク4内の水温を上昇させる予熱工程により構成され、蒸らし工程終了で炊飯動作を終了し、加熱手段3の加熱を止めるようにしている。このとき、蒸らし工程では、高温蒸気供給手段6により、鍋2の上方に高温の蒸気を投入し、鍋2上部の米の火力不足を補うよう制御している。
【0028】
着脱検知手段9は着脱検知スイッチ29で、この着脱検知スイッチ29の信号は、マイクロコンピュータに入力し、水タンク4が炊飯器本体1内に装着されているとき「水タンクあり」、取り外されているとき「水タンクなし」を判定する。
【0029】
表示手段10は、制御回路30上の液晶表示素子とその表示内容を制御するマイクロコンピュータで構成し、該液晶表示素子には現在時刻や炊飯メニューのほか、水タンク4内の水量確認を示す「タンク水確認」の表示を行うことができる。
【0030】
判定手段11は、水タンク4への水供給の形跡を判定するもので、開始手段7と制御手段8と着脱検知手段9の信号を受け、水供給の形跡がなければ表示手段10に表示要求信号を出力するようにしている。この判定手段11は、マイクロコンピュータで実現している。表示手段10は、この表示要求信号を受けた時、水タンク4内の水量確認を示す「タンク水確認」の表示を約10秒間行うようにしている。
【0031】
上記構成において判定手段11(マイクロコンピュータ)の動作を図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0032】
図3は判定手段11の動作フローチャートである。まず、ステップS1で、制御手段8の情報から炊飯中であるかどうかを判定する。炊飯中であればステップS2へ進み、そうでなければステップS5へ進む。ステップS2では、マイクロコンピュータのRAM上に水供給の形跡を示す水供給フラグをクリアし、続くステップS3では水タンク取り外しの形跡を示す水タンク取り外しフラグをクリアする。続くステップS4では、表示手段10への表示要求信号の出力を停止する。このようにステップS1〜S4で、炊飯中ならば水供給フラグと水タンク取り外しフラグのクリア、表示要求信号の出力の停止を行う。
【0033】
ステップS1で炊飯中ではないならステップS5へ進み、着脱検知手段9の信号を入力し、「水タンクなし」かどうかを判定する。「水タンクなし」であればステップS6へ進み、
「水タンクなし」ではない、すなわち「水タンクあり」ならばステップS7へ進む。ステップS6では、水タンク取り外しの形跡を示す水タンク取り外しフラグをセットし、ステップS9へと進む。ステップS5で「水タンクあり」だったときはステップS7で、水タンク取り外しフラグがセットされているかどうか判定する。水タンク取り外しフラグがセ
ットされていればステップS8へ進み、そうでなければステップS9へと進む。ステップS8では、水供給の形跡を示す水供給フラグをセットし、ステップS9へと進む。このようにステップS5〜S8で、着脱検知手段9により「水タンクなし」から「水タンクあり」を検知できたときに、水供給の形跡を示す水供給フラグがセットされる。
【0034】
ステップS9では、開始手段7による開始要求があるか判定し、開始要求があればステップS10へと進み、開始要求がなければステップS1へと戻る。ステップS10では水供給フラグがセットされているか判定し、セットされていればステップS1と戻るが、セットされていなければステップS11へと進む。ステップS11では、表示手段10であるマイクロコンピュータに表示要求信号を出力しステップS1へと戻る。このようにステップS9〜S11で、開始手段7により開始要求があったときに、水供給フラグがセットされていなければ、表示手段10へ表示要求信号を出力する。
【0035】
以上のように、本実施の形態においては、判定手段11が炊飯中ではないとき、すなわち炊飯完了後から開始手段7による炊飯開始までの間に、水タンク4の取り外しから装着の情報を検知できないときは水タンク4への水供給の形跡がないということで、開始手段7により炊飯開始されたときに、表示手段10に「タンク水確認」の表示を行い、水タンク4の取り外しから装着の情報を検知できたときは、水タンク4への水供給が行われた形跡があるということで、開始手段7により炊飯開始されたときに、表示手段10に「タンク水確認」の表示は行わないものである。本実施の形態の炊飯器では、水タンク4が炊飯器本体1から着脱自在であるため、使用者が炊飯前に水タンク4への水供給を行おうと水タンク4を取り外すと、判定手段11がそのことを検知し、その後炊飯開始時には表示手段10に「タンク水確認」の表示は行わないので、適切な表示が行えるものである。
【0036】
(実施の形態2)
図4は、本発明の第2の実施の形態における炊飯器のブロック図を示すものであり、第1の実施の形態の炊飯器と比較して、着脱検知手段9の替わりに水タンク4の温度を検知する水タンク温度検知手段12が追加されていることが相違する。また、判定手段11は水タンク温度検知手段12からの情報で判定するようにしていることも相違する。その他の構成は第1の実施の形態の炊飯器と同じである。同一の箇所には同一の符号を付し、説明を省略する。
上記構成において判定手段11(マイクロコンピュータ)の動作を図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0037】
図5のフローチャートは、図3の本発明の実施の形態1における判定手段11の動作フローチャートに比べ、ステップS2の次にステップS3がステップS12に、ステップS5〜S8がステップS13〜S15に変化していることが相違している。
【0038】
ステップS1で炊飯中と判定された場合、ステップS2の次のステップS12でマイクロコンピュータのRAM上の水タンク温度を記録する。また、ステップS1で炊飯中ではないと判定された場合、ステップS13に進み、水タンク温度が記録より2℃低下したかを判定する。2℃以上低下があればステップS14へ進み、なければステップS15へと進む。ステップS14では、水供給の形跡を示す水供給フラグをセットし、ステップS15へ進む。ステップS15では、1秒ごとに水タンク温度の記録を最新の値に更新しステップS9へと進む。
【0039】
以上のように構成することで、本実施の形態においては、判定手段11が炊飯中ではないとき、すなわち炊飯完了後から開始手段7による炊飯開始までの間に、水タンク温度が1秒以内に2℃以上の温度の低下を検知できないときは水タンク4への水供給の形跡がないということで、開始手段7により炊飯開始されたときに、表示手段10に「タンク水確
認」の表示を行い、水タンク温度が1秒以内に2℃以上の温度の低下を検知できたときは、水タンク4への水供給が行われた形跡があるということで、開始手段7により炊飯開始されたときに、表示手段10に「タンク水確認」の表示は行わないものである。通常の炊飯器の炊飯器本体1内は断熱構造をもっており、本実施の形態の炊飯器では、水タンク4が炊飯器本体1内にあるので、炊飯終了後に炊飯器を放置していても水タンク温度の急激な変化は発生しない。本実施の形態のような1秒以内に2℃以上というような短期間に温度低下があるようなケースは、使用者が蓋5を開けて水タンク4を取り出した瞬間に水タンクサーミスタ28が外気に触れる場合や、使用者が水タンク4内の水を取り替え再び炊飯器本体1内に装着した場合が考えられる。つまり、このようなケースは水供給を実施した形跡として判定し、適切な表示が行えるものである。
【0040】
(実施の形態3)
本実施の形態における判定手段11は、第1の実施の形態の炊飯器と比較して、水供給の形跡ありと判定しても1時間以内に開始手段7からの開始要求がないときは水供給の形跡なしの判定に変更することが相違する。その他の構成は第1の実施の形態の炊飯器と同じであり、図1を流用し、同一の箇所には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0041】
以上のように構成することで、本実施の形態においては、水供給の形跡ありと判定しても1時間以内に開始手段7からの開始要求がないときは水供給の形跡なしの判定に変更するようにしているので、この変更後に開始手段7からの開始要求が入るまでの間に、再度水供給の形跡ありと判定したときは、開始手段7からの開始要求時に表示手段10により「タンク水確認」の表示を行わないが、水供給の形跡ありと判定できなかったときは「タンク水確認」の表示を行うものである。つまり、炊飯開始から1時間前という直近の期間に限定して、表示手段10により「タンク水確認」の表示の有無を制御するものである。
【0042】
例えば、前回の炊飯完了後、次の炊飯開始までに24時間の間隔がある場合、前回炊飯完了直後に水タンクの取り外しなどの情報があっても、この時点の水タンク取り外しは使用後の片付けやお手入れなどの場合で炊飯開始時の水供給とは無関係の可能性が高く、このときに水供給の形跡ありと判定しても判定から1時間経過でその情報は水供給の形跡なしに戻すことができる。炊飯開始前に判定した結果を、炊飯開始時に使用することにより使用者の使用実態にあった状態で判定でき、判定の正確性が向上する。
【0043】
(実施の形態4)
図6は、本発明の第4の実施の形態における炊飯器のブロック図を示すものであり、第1の実施の形態の炊飯器と比較して、蓋5の開閉を検知する蓋開閉検知手段13を追加し、判定手段11へ作用させることが相違する。その他の構成は第1の実施の形態の炊飯器と同じである。同一の箇所には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0044】
蓋開閉検知手段13は図2において蓋5内に設けたリードスイッチ31と炊飯器本体1内に設けたマグネット32により構成している。リードスイッチ31とマグネット32は、蓋5を閉めているときに近接するように配置し、蓋5を閉めているときリードスイッチ31はオン、蓋5を開けるとリードスイッチ31はオフの信号を出力するようにしている。制御基板30上のマイクロコンピュータは、このリードスイッチ31からの信号を入力し、オン信号のときは「蓋閉」、オフ信号のときは「蓋開」と判定するようにしている。この判定結果を、判定手段11であるマイクロコンピュータは受け、「蓋開」のときにのみ判定するようにしている。
【0045】
上記構成において判定手段11(マイクロコンピュータ)の動作を図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0046】
図7のフローチャートは、図3の本発明の実施の形態1における判定手段11の動作フローチャートに比べ、ステップS1で炊飯中ではないと判定されたとき、ステップS5の前にステップ16が追加されていることが相違している。
【0047】
ステップS16では、蓋開閉検知手段13の情報を入力し、「蓋開」状態かを判定し、「蓋開」状態であればステップS5へ進み、そうでなければステップS9へと進む。
【0048】
以上のように構成することで、本実施の形態においては、蓋開閉検知手段13からの情報が「蓋開」のときのみ着脱検知手段9の水タンク4の着脱の状態を判定できるものである。本実施の形態の炊飯器では、水タンク4が炊飯器本体1内に収められているので、水タンク4に水を供給するときは、蓋5を開ける作業が必ず伴う。この蓋5が開けられているときに水供給の形跡を判定することにより、使用実態にあった状態で判定でき、判定の正確性が向上する。
【0049】
(実施の形態5)
本実施の形態における判定手段11は、第1の実施の形態の炊飯器と比較して、着脱検知手段9による水タンク4の取り外しが5秒間連続で経過していないときは、水タンク4の取り外しはなく、その後炊飯器本体1内に装着しても着脱の変化はなし、すなわち水供給の形跡はないと判定するように構成している。その他の構成は第1の実施の形態の炊飯器と同じであり、図1を流用し、同一の箇所には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0050】
以上のように構成することで、本実施の形態においては、水タンク4を取り外しても、それが5秒以上経過した状態で炊飯器本体1内に装着しなければ、水供給の形跡がありと判定されないものである。
【0051】
例えば、本実施の形態の炊飯器において、振動などを与えたとき、瞬間的に「水タンクなし」の状態が発生しても、それは水供給の形跡として扱わなくできるものである。実際に水タンク4を炊飯器本体1から取り外し水供給を行う場合、どんなに短くても5秒はかかると想定しているので、この時間より短いときは水供給のための水タンク4の取り外しから除外できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、蒸気水量不足のときは、その旨を表示するので、蒸気を使用した調理機器等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 炊飯器本体
2 鍋
3 加熱手段
4 水タンク
5 蓋
6 高温蒸気供給手段
7 開始手段
8 制御手段
9 着脱検知手段
10 表示手段
11 判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に収納され米や水を入れる着脱自在な鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記炊飯器本体内に収納され水を入れる着脱自在な水タンクと、前記鍋と前記水タンクの上部開口部を覆う開閉自在な蓋と、前記水タンクを加熱し前記水タンク内の水から蒸気を発生させこの蒸気を加熱し前記鍋内に供給する高温蒸気供給手段と、炊飯の開始を要求する開始手段と、前記開始手段の信号を受け、前記加熱手段と前記高温蒸気供給手段を制御し炊飯を行う制御手段と、前記水タンクの着脱状態を検知する着脱検知手段と、少なくとも前記水タンク内の水量確認の旨を表示する表示手段と、前記制御手段と前記開始手段と前記着脱検知手段からの信号を受け前記水タンクへの水供給の形跡の有無を判定する判定手段とを備え、前記判定手段は前記制御手段が炊飯の制御を終了した後、前記開始手段からの開始要求が入力されるまで前記着脱検知手段により前記水タンクの着脱状態を監視し、着脱の変化があったときに水供給の形跡有りと判定結果を残し、該判定結果が前記開始手段からの開始要求が入力されたときに水供給の形跡無しのときは信号を出力し、前記表示手段は前記判定手段からの信号を受けたとき、前記水タンク内の水量確認の旨を一定時間表示するよう構成した炊飯器。
【請求項2】
炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に収納され米や水を入れる着脱自在な鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記炊飯器本体内に収納され水を入れる着脱自在な水タンクと、前記鍋と前記水タンクの上部開口部を覆う開閉自在な蓋と、前記水タンクを加熱し前記水タンク内の水から蒸気を発生させこの蒸気を加熱し前記鍋内に供給する高温蒸気供給手段と、炊飯の開始を要求する開始手段と、前記開始手段の信号を受け、前記加熱手段と前記高温蒸気供給手段を制御し炊飯を行う制御手段と、前記水タンクの温度を検知する水タンク温度検知手段と、少なくとも前記水タンク内の水量確認の旨を表示する表示手段と、前記制御手段と前記開始手段と水タンク温度検知手段からの信号を受け前記水タンクへの水供給の形跡の有無を判定する判定手段とを備え、前記判定手段は前記制御手段が炊飯の制御を終了した後、前記開始手段からの開始要求が入力されるまで前記水タンク温度検知手段により前記水タンクの温度を監視し、前記水タンクの温度の低下があったときに水供給の形跡有りと判定結果を残し、該判定結果が前記開始手段からの開始要求が入力されたときに水供給の形跡無しのときは信号を出力し、前記表示手段は前記判定手段からの信号を受けたとき、前記水タンク内の水量確認の旨を一定時間表示するよう構成した炊飯器。
【請求項3】
前記判定手段は、水供給の形跡有りと判定した後に前記開始手段からの開始要求が所定時間ないならば判定結果を水供給の形跡無しとするようにした請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記蓋の開閉を検知する蓋開閉検知手段を備え、前記判定手段は前記蓋開閉手段の情報が蓋開状態のときに、判定するようにした請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記判定手段は、前記着脱検知手段による水タンクの取り外しが所定時間連続で経過していないときは、着脱の変化はないと判定するようにした請求項1に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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