説明

炊飯器

【課題】おねば戻し穴に設けた開閉弁が意図しないときに脱落するのを抑制することのできる炊飯器を得る。
【解決手段】炊飯器本体1と、炊飯器本体1内に着脱可能に収容される内釜2と、炊飯器本体1の上部開口部を覆う蓋体10と、内釜2を加熱する加熱手段3と、蓋体10に設けられ、炊飯中に内釜2内で発生した蒸気を炊飯器本体1の外部に排出する蒸気口ユニット20とを有し、蒸気口ユニット20は、内釜2内で発生した蒸気を蒸気口ユニット20内部に導く導入孔22aと、蒸気口ユニット20内のおねばを内釜2内に戻すおねば戻し穴28と、内釜2内の圧力に依存しておねば戻し穴を開閉させる開閉弁29と、を備え、開閉弁29の平面視における外径よりも小さい直径の第1小孔31aを有し、開閉弁29を内釜2側から覆うフィルター30を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炊飯器に係り、より詳しくは、加熱により生じた蒸気に含まれるおねばを内釜に戻す穴に開閉弁を設けた炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯器として、「蒸気口ユニット10内と内蓋5の蒸気孔5bを介して内釜6と連通する複数のおねば戻し穴19が設けられており、このおねば戻し穴19は開口部18に上下動可能に設けられた開閉弁20により開閉される。」というものが提案されている。この炊飯器は、内釜の内圧が上昇しているときには開閉弁が押し上げられておねば戻し穴を塞ぎ、内釜の内圧が低下すると開閉弁が下降しておねば戻し穴を開口させておねば戻し穴から内釜内におねばを戻す。このように、おねばを内釜内のご飯に戻すことにより、つやや粘りのあるご飯を炊くことができるようになっている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3820541号公報(第4頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように開閉弁は炊飯する上で重要な部品である。しかし、この開閉弁は、炊飯器の蓋を開けたときに露出する部位に取り付けられている。このため、清掃時等に開閉弁にユーザの手が触れて開閉弁が脱落するおそれがあった。また、開閉弁は小さな部品であるため、ユーザが気付かないうちに脱落すると紛失してしまうおそれもあった。そして、開閉弁が取り付けられていないと、上述したような開閉弁の機能が発揮されず、炊飯の品質が低下しうる。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、おねば戻し穴に設けた開閉弁が意図しないときに脱落するのを抑制することのできる炊飯器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る炊飯器は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱可能に収容される内釜と、前記炊飯器本体の上部開口部を覆う蓋体と、前記内釜を加熱する加熱手段と、前記蓋体に設けられ、炊飯中に前記内釜内で発生した蒸気を前記炊飯器本体の外部に排出する蒸気口ユニットとを有し、前記蒸気口ユニットは、前記内釜内で発生した蒸気を蒸気口ユニット内部に導く導入孔と、前記蒸気口ユニット内のおねばを前記内釜内に戻すおねば戻し穴と、前記内釜内の圧力に依存して前記おねば戻し穴を開閉させる開閉弁と、を備え、前記開閉弁の平面視における外径よりも小さい直径の第1小孔を有し、前記開閉弁を前記内釜側から覆うフィルターを設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る炊飯器は、開閉弁の平面視における外径よりも小さい第1小孔を有し、開閉弁を内釜側から覆うフィルターを設けたので、開閉弁が露出せず、意図しないときに開閉弁が脱落するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1に係る炊飯器の縦断面図である。
【図2】実施の形態1に係る蒸気口ユニットの主要部を示す縦断面図である。
【図3】実施の形態1に係る蒸気口ユニットの主要部の断面斜視図である。
【図4】実施の形態1に係る開閉弁近傍を下から見た図である。
【図5】実施の形態1に係るフィルターの平面図である。
【図6】実施の形態1に係る仕切板を説明する断面模式図である。
【図7】実施の形態1に係る開閉弁とフィルターとの位置関係を説明する図である。
【図8】実施の形態2に係る小孔の断面模式図である。
【図9】実施の形態3に係るフィルターを説明する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る炊飯器の縦断面図である。図2は、図1の蒸気口ユニットの主要部を示す縦断面図、図3は、同じく図1の蒸気口ユニットの主要部を示す断面斜視図である。また、図4は、実施の形態1に係る開閉弁近傍を下から見た図、図5は、実施の形態1に係るフィルターの平面図である。
図1において、炊飯器本体1は上部に開口部を有し、この開口部は蓋体10により開閉されるようになっている。そして、蓋体10の下面には内蓋本体11が着脱可能に装着されている。内蓋本体11の周縁部には、蓋体10を閉じたときに内釜2(後述)の上面と蓋体10との間から蒸気が外部に漏れないように、内釜2の開口部をシールする環状の固定枠(シールゴム)12が設けられている。
【0010】
炊飯器本体1には水、米などが入れられる有底筒状で上面が開口した内釜2が着脱可能に収容されており、電磁誘導コイルの如き加熱手段3により加熱して炊飯するようになっている。そして、炊飯器の蓋体10を閉じたときに、内蓋本体11の周縁部の固定枠12が内釜2の上端部外周に設けたフランジ2aに密接するようになっている。なお、本実施の形態1では、内蓋本体11と後述する導入孔形成部13とによって、本発明の内蓋を構成している。
【0011】
蓋体10と内蓋本体11との間には、内釜2内で発生した蒸気を内釜2の内部から炊飯器本体1の外部に排出するとともに、蒸気に含まれるおねばの一部を内釜2内に戻すための蒸気口ユニット20が設けられている。
【0012】
図1〜図4に示すように、蒸気口ユニット20は、内釜2内で発生した蒸気を蒸気口ユニット20内部へと導入させるほぼ円筒状の案内筒22を有する。この案内筒22の下端には蒸気を導入させるための導入孔22aが開口しており、上端には案内筒22から蒸気を排出する排出孔22bが開口している。排出孔22bの下流側には、例えばほぼ円筒状のケースからなるおねばを含む蒸気が通過する流路23が設けられている。なお、本実施の形態1では、製品高さを抑えるために流路23の蒸気が流れる方向をほぼ水平にしているが、流路23の蒸気が流れる方向を製品(地面)に対して垂直になるようにしてもよい。
【0013】
流路23の出口側(下流側)のほぼ中心部には、蒸気排出口24が設けられており、流路23の下流側の下部外周側にはおねば排出口25が設けられている(図1参照)。蒸気排出口24の下流側には、蒸気を炊飯器本体1の外部に排出するための出口である外部排出口27と蒸気排出口24とを結ぶほぼ筒状の蒸気排出筒24aが設けられている。
【0014】
案内筒22の下部周囲には、流路23の底面よりも低くなるよう形成された溜まり凹部21が設けられている。なお、流路23の底面は、溜まり凹部21におねばが溜まりやすいように、溜まり凹部21に向かって下降する傾斜面となっている。溜まり凹部21の底面には、溜まり凹部21内と内釜2内とを連通させるおねば戻し穴28が設けられている。おねば戻し穴28は、平面視ほぼ円形の開口部28aと、この開口部28aの外周縁の一部を切り欠いて構成された切欠部28bとを有している。切欠部28bの内径は、開口部28aの外径よりも大きい。おねば戻し穴28には、上下動可能に設けられた開閉弁29が取り付けられている。
【0015】
開閉弁29は、頭部29a、柱部29b、及び基板29cからなる。頭部29aの外径は、おねば戻し穴28の開口部28aの内径より大きいが、切欠部28bの外径より小さい。柱部29bの外径はおねば戻し穴28の開口部28aの内径より小さく、かつ、柱部29bの高さは溜まり凹部21の底部の厚みより長く形成されている。また、基板29cの外径はおねば戻し穴28の切欠部28bの外径より大きい。
このため、内釜2内の内圧が低いときには開閉弁29は下降して、頭部29aがおねば戻し穴28の開口部28aの上面部周縁側に係止して、開閉弁29が脱落するのを防ぐとともに、おねば戻し穴28の切欠部28bを開口状態に保持する。また、炊飯中、すなわち内釜2の内圧が高いときにはこの内圧により開閉弁29は上昇し、基板29cの上面がおねば戻し穴28の下面周縁に当接し、おねば戻し穴28の開口部28a及び切欠部28bを塞ぐ。なお、開閉弁29は、耐熱性を有し、経年変化しにくい例えばシリコンゴムの如き材料からなる。そして、開閉弁29は、その弾性力により変形させつつ頭部29a側から開口部28aに嵌入可能である。
【0016】
本実施の形態1では、導入孔22a及びおねば戻し穴28は、内蓋の一部を構成する導入孔形成部13に設けられている。そして、導入孔形成部13は内蓋本体11に着脱可能に装着されている。なお、内蓋本体11と導入孔形成部13とを別体として構成したのは、導入孔形成部13を取り外すことで蒸気口ユニット20の清掃を容易にするためであるが、導入孔形成部13を設けず、内蓋本体11に導入孔22a及びおねば戻し穴28を設けてもよい。
【0017】
図2、図3、図5に示すように、フィルター30は、開閉弁29を、下側(すなわち内釜2側)から覆う部材である。本実施の形態1では、底部30aと周壁30bとにより、平面視ほぼ円形の皿状に形成されている。また、本実施の形態1では、フィルター30は導入孔22aをも覆う大きさで形成されている。このフィルター30は、導入孔形成部13の外周の外側と螺合させることにより内蓋に固定される。
【0018】
フィルター30の底部30aには、複数の小孔31が設けられている。小孔31は、開閉弁29の平面視における外径(すなわち基板29cの平面視における外径)よりも小さい直径を有する複数の第1小孔31aと、第1小孔31aよりも直径が小さい複数の第2小孔31bとにより構成されている。例えば、開閉弁29の平面視における直径が15〜20mm程度であるとすると、小孔31は2〜15mm程度の範囲とすることができる。第1小孔31aは、後述するようにおねばを内釜2内へ戻すための穴であるので、開閉弁29の直径より小さくしつつも、おねばの流れを確保できるようになるべく大きくするとよい。第2小孔31bは、導入孔22aへ蒸気を侵入させるための穴であるので、なるべく小さくすることで米粒等が導入孔22aに侵入するのを抑制できる。なお、本実施の形態1では、図5に示すように第1小孔31aは、直径の異なる複数種類の小孔により構成されているが、これらは同じ直径としてもよい。
【0019】
また、第1小孔31aと第2小孔31bは、フィルター30の平面視において上下方向及び左右方向に対して線対称の位置に設けられている。
【0020】
フィルター30の周壁30bには、外側に向かって突出する突起部32が平面視で左右対称に2つ設けられている。突起部32は、フィルター30を内蓋から着脱する際の手掛かりとするためのものである。フィルター30を着脱する際には、この突起部32に手を掛けて周方向に回転させることで、導入孔形成部13と螺合させあるいは螺合を解除できる。また、底部30aの下面には、フィルター30を取り付ける際に位置合わせするための位置決めマーク33が平面視で上下対称に2つ設けられている。いずれかの位置決めマーク33を、導入孔形成部13に設けられた位置決めマーク14に合わせるようにして、フィルター30を取り付ける。
【0021】
図4に示すように、導入孔形成部13の下面には、下方に向かって突出する縦リブにより構成され、導入孔22a側とおねば戻し穴28側とに仕切る仕切板26が設けられている。仕切板26は、導入孔22a側よりもおねば戻し穴28側の空間の方が面積が広くなるように仕切っている。図6は、仕切板26を説明する断面模式図である。図6に示すように、仕切板26の下端部と、フィルター30の底部30aの上面との隙間Sは、第2小孔31bの直径より小さくなるよう構成されている。なお、フィルター30の上面に、上方に向かって突出する縦リブにより構成される仕切板を設けてもよい。この場合も、仕切板の上端部と、導入孔形成部13の下面との隙間Sは、第2小孔31bの直径よりも小さくなるよう構成する。なお、図6では、説明のため、隙間Sの大きさを誇張して描いている。
【0022】
図7は、実施の形態1に係る開閉弁29とフィルター30との位置関係を説明する図であり、フィルター30を取り付けたときの、第1小孔31a、第2小孔31b、導入孔22a、及び開閉弁29の位置を示している。フィルター30は、導入孔22aの下に直径の小さい小孔である第2小孔31bが位置するようにして導入孔22a及び開閉弁29を下側から覆うように取り付けられる。開閉弁29の下側には、第1小孔31aの一部及び第2小孔31bが位置する。
【0023】
次に、蒸気口ユニット20を備えた炊飯器の動作を説明する。水と米を入れた内釜2を炊飯器本体1内に収容して蓋体10を閉じ、操作部(図示せず)に設けた電源スイッチをONすると、加熱手段3の作用によって内釜2が加熱される。内釜2内の水が沸騰すると、おねばを含んだ蒸気が発生する。このとき、内釜2の内圧が上昇しているため、蒸気口ユニット20の開閉弁29は、押し上げられておねば戻し穴28を閉塞している。このため、おねばを含む蒸気は、フィルター30に設けられた第2小孔31b、導入孔22aを経由して案内筒22内に入り、流路23内に導かれる。
【0024】
案内筒22を出たおねばを含む蒸気は、流路23内を進むとき、空冷されあるいは流路23の周壁に衝突して凝縮し、水滴として溜まり凹部21に溜まる。また、蒸気に含まれるおねばも、流路23内を蒸気が流れる過程で蒸気から分離され、溜まり凹部21に溜まる。流路23内を流れた蒸気は、蒸気排出口24を通って蒸気排出筒24aに入り、外部排出口27から炊飯器本体1の外部へ排出される。なお、蒸気排出筒24a内を通過する過程において、蒸気が凝縮されて生じた水滴及び蒸気から分離されたおねばは、おねば排出口25を通って溜まり凹部21に溜まる。なお、蒸気排出筒24aの底面は、水滴及びおねばがおねば排出口25を通過しやすいように、おねば排出口25に向かって下降する傾斜面となっている。
【0025】
加熱が停止して内釜2の内圧が低下すると、開閉弁29は、自重及びおねばや水滴の重量によって下降し、溜まり凹部21の底面に設けられたおねば戻し穴28の切欠部28bが開口する。これにより、溜まり凹部21内に溜まったおねばは、おねば戻し穴28から落下し、さらに、開閉弁29の下方に設けられた小孔31から内釜2内に落下する。おねばが内釜2内のご飯に戻ることにより、おねばに含まれるおいしさの成分がご飯に与えられて、つやや粘りのあるおいしいご飯を炊くことができる。
【0026】
このように、本実施の形態1では、開閉弁29の平面視における外径よりも小さい直径の小孔31を有し、開閉弁29を内釜2側から覆うフィルター30を設けた。このため、フィルター30に覆われることにより開閉弁29が露出しないので、清掃時やご飯をよそうときなどに意図せず開閉弁29が脱落するのを抑制できる。また、小孔31は開閉弁29の平面視における外径よりも小さい直径であるので、小孔31を通って開閉弁29が脱落することもない。また、フィルター30には複数の小孔31が設けられているので、仮に米粒等が貼り付いていずれかの小孔31が閉塞されたとしても、他の小孔31からおねばを落下させることができおねばの落下を妨げることもない。
【0027】
また、フィルター30は、内釜2内で発生したおねばを含む蒸気を蒸気口ユニット20の内部に導く導入孔22aをも覆うように構成し、導入孔22aの下側には第1小孔31aよりも直径が小さい第2小孔31bを設けた。このため、導入孔22a内に米粒や炊き込みご飯の具材、雑穀等が侵入するのを抑制することができる。導入孔22a内に米粒等が侵入して詰まると、内釜2内の圧力が高まりすぎるおそれがあるが、本実施の形態1によればそのようなことを回避できる。
【0028】
また、導入孔22aとおねば戻し穴28が設けられた導入孔形成部13とフィルター30の上面との間に形成される空間を、導入孔22a側とおねば戻し穴28側とに仕切る仕切板26を設けた。このため、第2小孔31bよりも直径の大きい第1小孔31aからフィルター30内に米粒等が侵入したとしても、仕切板26に阻止されて導入孔22a内にその米粒等が侵入するのを抑制できる。
【0029】
また、仕切板26の下端部とフィルター30の上面との隙間を、第2小孔31bの直径よりも小さくしたので、米粒等が導入孔22a内に侵入するのをさらに抑制できる。また、仕切板26の下端部とフィルター30の上面との間に隙間を設けることにより、導入孔22a側とおねば戻し穴28側とで蒸気等の流通が可能である。このため、仮に第2小孔31bが米粒等により閉塞された場合でも、第1小孔31aから侵入した蒸気が隙間を通って導入孔22aに入ることができるので、蒸気の排出口が確保でき、内釜2内の内圧が高まりすぎるのを抑制できる。
【0030】
また、仕切板26は、導入孔22a側よりもおねば戻し穴28側の空間の方が面積が広くなるよう仕切っているので、おねば戻し穴28から落下したおねばを、効率よく内釜2内へ戻すことができる。
【0031】
また、フィルター30を着脱自在に設けたので、フィルター30を取り付けた状態においては開閉弁29が落下するのを防止しつつも、フィルター30を取り外すことで容易に清掃できる。
【0032】
また、第1小孔31aを、フィルター30の平面視において上下方向及び左右方向に対して線対称に設けたので、フィルター30を180度回転させても、フィルター30を同じように取り付けることができる。このため、フィルター30の向きを気にすることなくフィルター30の取り付けが行え、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0033】
実施の形態2.
本実施の形態2では、前述の実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図8は、実施の形態2に係るフィルター30の小孔31の断面模式図である。本実施の形態2では、小孔31の上面側(開閉弁29に面する側)周縁部を面取りしている。図8(a)は、小孔31の上面側周縁部の稜線をC面にして面取り部34aを設けた例を、図8(b)は、小孔31の上面側周縁部の稜線をR面にして面取り部34bを設けた例(丸面取り)をそれぞれ示している。小孔31の上面側周縁部を面取りすることにより、おねば戻し穴28を通ってフィルター30内(底部30aの上面側)に落下したおねばは、小孔31の中へ流れやすくなる。このため、内釜2内へ速やかにおねばを戻すことができる。
【0034】
実施の形態3.
実施の形態3では、前述の実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図9は、実施の形態3に係るフィルター30Aを説明する縦断面図である。本実施の形態3では、フィルター30Aの底部30aAは、内釜2の方向に向かって突出するすり鉢形状に構成されており、外周側から中央に向かって下降する傾斜面となっている。また、これに伴い、仕切板26Aの高さを実施の形態1のものよりも高くしている。フィルター30Aの底部30aAを、内釜2の方向に向かって突出するすり鉢形状とすることで、フィルター30内(底部30aの上面側)に落下したおねばは、底部30aAが傾斜していることにより底部30aAの中央に向かって流れ、小孔31から内釜2内へと落下する。微量のおねばも、底部30aAの中央に向かって流れて集まることで、小孔31から落下しやすくなり、おねばを効率よく内釜2へ戻すことができる。
【0035】
なお、図9ではフィルター30Aの底部30aAが断面円弧状である例を示したが、断面形状を例えば断面V字状や台形状にしてもよい。いずれにしても、底部30aAに傾斜を設けることで、同様の効果を得ることができる。
また、実施の形態2と実施の形態3を組み合わせてもよく、同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0036】
1 炊飯器本体、2 内釜、2a フランジ、3 加熱手段、10 蓋体、11 内蓋本体、12 固定枠、13 導入孔形成部、14 位置決めマーク、20 蒸気口ユニット、21 溜まり凹部、22 案内筒、22a 導入孔、22b 排出孔、23 流路、24 蒸気排出口、24a 蒸気排出筒、25 排出口、26 仕切板、26A 仕切板、27 外部排出口、28 おねば戻し穴、28a 開口部、28b 切欠部、29 開閉弁、29a 頭部、29b 柱部、29c 基板、30 フィルター、30A フィルター、30a 底部、30aA 底部、30b 周壁、31 小孔、31a 第1小孔、31b 第2小孔、32 突起部、33 位置決めマーク、34a 面取り部、34b 面取り部、S 隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、
前記炊飯器本体内に着脱可能に収容される内釜と、
前記炊飯器本体の上部開口部を覆う蓋体と、
前記内釜を加熱する加熱手段と、
前記蓋体に設けられ、炊飯中に前記内釜内で発生した蒸気を前記炊飯器本体の外部に排出する蒸気口ユニットとを有し、
前記蒸気口ユニットは、
前記内釜内で発生した蒸気を蒸気口ユニット内部に導く導入孔と、
前記蒸気口ユニット内のおねばを前記内釜内に戻すおねば戻し穴と、
前記内釜内の圧力に依存して前記おねば戻し穴を開閉させる開閉弁と、を備え、
前記開閉弁の平面視における外径よりも小さい直径の第1小孔を有し、前記開閉弁を前記内釜側から覆うフィルターを設けた
ことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記フィルターは、前記開閉弁に加え前記導入孔をも覆い、
前記導入孔及び前記おねば戻し穴が設けられた一面と前記フィルターとの間に形成される空間を、前記導入孔側と前記おねば戻し穴側とに仕切る仕切部を設け、
前記第1小孔よりも直径が小さい第2小孔を、前記導入孔の下側に設けた
ことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記仕切部は、前記導入孔及び前記おねば戻し穴が設けられた一面から下方に向かって突出する縦リブであり、
前記仕切部の下端部と前記フィルターとの隙間を、前記第2小孔の直径よりも小さくした
ことを特徴とする請求項2記載の炊飯器。
【請求項4】
前記仕切部は、前記フィルターの上面から上方に向かって突出する縦リブであり、
前記仕切部の上端部と前記導入孔及び前記おねば戻し穴が設けられた一面との隙間を、前記第2小孔の直径よりも小さくした
ことを特徴とする請求項2記載の炊飯器。
【請求項5】
前記蓋体の下面に着脱可能に装着されて前記内釜の上部開口部を覆う内蓋を備え、
前記内蓋と前記蓋体との間に、前記導入孔から流入したおねばを含む蒸気を流す流路を設けた
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記おねば戻し穴が設けられた一面は、前記内蓋の一部を構成している
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記フィルターを着脱自在に設けたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記第1小孔を、前記フィルターの平面視における上下方向及び左右方向に対して線対称に設けた
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項9】
前記第1小孔の上面側周縁部を面取りしたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の炊飯器。
【請求項10】
前記フィルターの底部を傾斜面としたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−5558(P2012−5558A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142239(P2010−142239)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】