説明

炊飯器

【課題】炊飯直後でも、内釜を素手で本体から取り出すことができ、かつすべり難い内釜を備えた炊飯器を提供する。
【解決手段】本体1と、開口縁部にフランジ2aを有し本体1に着脱自在に収納される内釜2と、内釜2を加熱する加熱手段12と、本体1の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体4とを備え、内釜2のフランジ2aに、このフランジ2aを構成する材料よりも熱の伝わりにくい弾性体で構成されたリング30Aを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、炊飯器は、本体と、開口縁部にフランジを有し前記本体に着脱自在に収納される金属製の内釜と、内釜を加熱する加熱手段、例えば内釜を誘導加熱する誘導加熱コイルと、本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体とを有し、蓋体の下部に内蓋と環状のパッキンが設けられ、内釜のフランジと内蓋の間がパッキンにてシールされるようになっている。このようなものにおいて、内釜のフランジに金属製のフランジリングを配し、内釜を持ち易くして、使い勝手を向上させたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3617332号公報(図1、図2、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、金属製の内釜のフランジに金属製のフランジリングを配したものにあっては、フランジリングに熱が伝わり易い。そのため、炊飯直後のフランジリングは熱くなり、炊飯直後の内釜を本体から素手で取り出すことはできなかった。
【0005】
また、金属製の内釜は、洗った後など、すべり易く、落としたりすることがあった。
【0006】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、炊飯直後でも、内釜を素手で本体から取り出すことができ、かつすべり難い内釜を備えた炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る炊飯器は、本体と、開口縁部にフランジを有し本体に着脱自在に収納される内釜と、内釜を加熱する加熱手段と、本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体とを有する炊飯器において、内釜のフランジに、このフランジを構成する材料よりも熱の伝わりにくい弾性体で構成されたリングを設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の炊飯器においては、内釜のフランジに、このフランジを構成する材料よりも熱の伝わりにくい弾性体で構成されたリングを設けたので、このリング部分が炊飯直後でも熱くならず、このリング部分を持ち手として内釜を素手で本体から取り出すことができる。さらに、弾性体で構成されたリングは金属に比べてすべり難いので、使い勝手のよい内釜が得られ、落としたりすることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明が適用される炊飯器の平面図である。
【図2】本発明が適用される炊飯器を側方より見た断面図である。
【図3】本発明が適用される炊飯器を正面より見た断面図及び要部拡大図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る炊飯器の内釜のフランジ部を拡大して部分的に示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る炊飯器の内釜のフランジ部を拡大して部分的に示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態3に係る炊飯器の内釜のフランジ部を拡大して部分的に示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態4に係る炊飯器の内釜のフランジ部を拡大して部分的に示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態5に係る炊飯器の内釜のフランジ部と蓋パッキンとの関係を拡大して部分的に示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態6に係る炊飯器の内釜のフランジ部と内蓋との関係を拡大して部分的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態1.
まず、本発明が適用される炊飯器について説明する。図1は本発明が適用される炊飯器の平面図、図2は本発明が適用される炊飯器を側方より見た断面図、図3は本発明が適用される炊飯器を正面より見た断面図及び要部拡大図である。
図1乃至図3に示すように、本発明が適用される炊飯器は、開口縁部にフランジ2aを有する内釜2が着脱自在に収容される本体1と、調理中に発生する蒸気を本体外に放散させるための排気口3を有し本体1の後部にヒンジ結合されて内釜2の上部開口を開閉自在に閉塞する蓋体4と、内釜2と排気口3との間に介在して調理中に内釜2内の被加熱物から発生する蒸気を蒸気導入口5より導入して排気口3に導く蒸気通路6を形成するおねば分離ケース10とを有している。また、おねば分離ケース10には、蒸気と分離されたおねばを溜めるための溜まり凹部7と、溜まり凹部7に溜まったおねばを内釜2内に戻すためのおねば戻し穴8と、おねば戻し穴8を開閉する開閉弁9が設けられている。
【0011】
内釜2は、内側がアルミニウム材、外側がステンレス材で構成された積層板からなり、内面にフッ素コーティング加工が施され、後述のコイルの磁界によりステンレス材が発熱し、アルミ材へ伝導されるものである。内釜2のフランジ2aは、本体1への内釜収納時に、本体1に支持される係止部となるものである。つまり、内釜2は、本体1への収納時にフランジ2aが支持されることで、本体1内で吊下支持されるものである。また、内釜2のフランジ2aは、本体1内より内釜2を取り出す際の持ち部となるものである。
【0012】
本体1の正面には、蓋体4の係合解除ボタン11が設けられている。本体1内の内釜2の下方には、内釜底部外面に対向するコイル台20が設けられており、コイル台20の外面に内釜2を誘導加熱する加熱手段である誘導加熱コイル12を当接させて巻き付けてある。また、本体1内の底部中央には、上方に付勢されて内釜2の底面に接触して中央部付近の発熱温度を検出する温度センサー13が取り付けられている。また、本体1内の内釜2の側方には、外周側面に胴ヒータ21を張り付けたステンレス製の円筒状の遮熱板22が設けられている。
【0013】
蓋体4は、下部に内蓋14が着脱自在に設けられている。内蓋14は、蓋ヒーター15により加熱される放熱板16と、内蓋14と内釜2のフランジ2aとの間をシールする可撓性を備えた例えばシリコンゴムからなる環状の蓋パッキン17とを有している。なお、蓋ヒーター15による放熱板16の加熱は、炊飯・保温時に、内蓋14に結露するのを避けるために行われるものである。
【0014】
図4は本発明の実施形態1に係る炊飯器の内釜のフランジ部を拡大して部分的に示す断面図である。
本発明の実施形態1に係る炊飯器は、図4のように内釜2のフランジ2aの手で持つときに触れる部分、ここではフランジ上面の外周側からフランジ先端を折り返し、フランジ下面の全域を覆う範囲を、このフランジ2aを構成する金属(ステンレスやアルミニウム)よりも熱の伝わり難い弾性体、例えばシリコンゴムで構成された断面J字状のリング30Aで覆ったものである。なお、シリコンゴムで構成されたリング30Aは、その伸縮性を利用してフランジ2aに嵌め込むことで、フランジ2aに取り付けられるようになっているが、フランジ2aに接着してもよいものである。
【0015】
本発明の実施形態1の炊飯器においては、内釜2のフランジ2aを手で持つときに触れる可能性のある範囲を、このフランジ2aを構成する金属よりも熱が伝わり難く、かつ耐熱性を有するシリコンゴム製のリング30Aで覆ったので、内釜2のフランジ2aの手で持つときに触れる部分が炊飯直後でも熱くならない。このため、炊飯直後でも内釜2を素手で本体1から取り出すことができる。
【0016】
また、弾性体(シリコンゴム)で構成されたリング30Aは金属(ステンレスやアルミニウム)に比べてすべり難いので、使い勝手のよい内釜2が得られ、落としたりすることがなくなる。
【0017】
実施形態2.
図5は本発明の実施形態2に係る炊飯器の内釜のフランジ部を拡大して部分的に示す断面図であり、図中、前述の実施形態1のものに相当する部分には同一符号を付し、説明を省略する。
本発明の実施形態2に係る炊飯器は、図5のように内釜2のフランジ2aの周方向の複数箇所に穴2bを開け、この穴2bにもシリコンゴムが流れ込むように、シリコンゴムを流し込むことでリング30Bを内釜2のフランジ2aと一体になるように成形し、これによって、リング30Bの上面31と下面32との連結部33が形成されるようにしたものである。それ以外の構成は前述の実施形態1のものと同様であり、実施形態1のもつ機能を全て有しているものである。
【0018】
本発明の実施形態2に係る炊飯器においては、シリコンゴムで構成されるリング30Bを、内釜2のフランジ2aに一体に成形したので、前述の実施形態1のもつ機能に加え、リング30Bの脱落を防止できるという効果が得られる。
【0019】
実施形態3.
図6は本発明の実施形態3に係る炊飯器の内釜のフランジ部を拡大して部分的に示す断面図であり、図中、前述の実施形態1のものに相当する部分には同一符号を付し、説明を省略する。
本発明の実施形態3に係る炊飯器は、図6のように内釜2のフランジ2aの外周縁部に、下方向の環状の段部2cを設けるとともに、フランジ2a下面の内周側に、環状の凹部2dを形成している。一方、弾性体(シリコンゴム)で構成されたリング30Cは、その上面34が、段部2cの高さと等しい肉厚に設定され、かつ段部2c内に嵌入可能に形成されていて、内釜2のフランジ2aの上面と面一となるように構成されている。また、リング30Cには、下面35の内周縁部に、フランジ2aの凹部2d内に嵌入可能な環状の鉤状膨出部36が形成されている。それ以外の構成は前述の実施形態1のものと同様であり、実施形態1のもつ機能を全て有しているものである。
【0020】
本発明の実施形態3に係る炊飯器においては、シリコンゴムで構成されるリング30Cを、内釜2のフランジ2aの上面と面一となるように設けたので、前述の実施形態1のもつ機能に加え、内釜2から水をこぼす時、水切りが良く、使い勝手が向上するという効果が得られる。
【0021】
実施形態4.
図7は本発明の実施形態4に係る炊飯器の内釜のフランジ部を拡大して部分的に示す断面図であり、図中、前述の実施形態1のものに相当する部分には同一符号を付し、説明を省略する。
本発明の実施形態4に係る炊飯器は、図7のようにシリコンゴムで構成されるリング30Dに、そのフランジ2aに取り付けられる基部からフランジ2aの下方に延出する延長部37を設け、延長部37によって、内釜2のフランジ2aから当該内釜2の胴部外周に向かうコーナー部2eを覆うようにしたものである。それ以外の構成は前述の実施形態1のものと同様であり、実施形態1のもつ機能を全て有しているものである。
【0022】
本発明の実施形態4に係る炊飯器においては、内釜2のフランジ2aを手で持つときに触れる可能性のある範囲を内釜2の胴部にまで広げて、シリコンゴムで構成されるリング30Dの延長部37で覆っているので、炊飯直後に内釜2を素手で本体1から取り出す際の安全性をさらに向上させることができる。
【0023】
実施形態5.
図8は本発明の実施形態5に係る炊飯器の内釜のフランジ部を拡大して部分的に示す断面図であり、図中、前述の実施形態1のものに相当する部分には同一符号を付し、説明を省略する。
本発明の実施形態5に係る炊飯器は、図8のようにシリコンゴムで構成されるリング30Eの上面の内周縁部に、蓋パッキン17と当接可能な位置まで延出して、末端に向かうほど肉厚が薄くなるように設定されたシール部38を設け、蓋閉時に、シリコンゴムからなる蓋パッキン17とシリコンゴムで構成されるリング30Eとが接触することで、蓋体4と内釜2のフランジ2aとの間がシールされるように構成したものである。それ以外の構成は前述の実施形態1のものと同様であり、実施形態1のもつ機能を全て有しているものである。
【0024】
本発明の実施形態5に係る炊飯器においては、蓋体4と内釜2のフランジ2aとの間を、シリコンゴムからなる蓋パッキン17とシリコンゴムで構成されるリング30Eとの接触によってシールするようにしたので、前述の実施形態1のもつ機能に加え、密着性が良くなり、シール性が向上するという効果が得られる。
【0025】
実施形態6.
図9は本発明の実施形態6に係る炊飯器の内釜のフランジ部を拡大して部分的に示す断面図であり、図中、前述の実施形態1のものに相当する部分には同一符号を付し、説明を省略する。
本発明の実施形態6に係る炊飯器は、図9のようにシリコンゴムで構成されるリング30Fに、そのフランジ2aに取り付けられる基部から上面の内周側に向けて延出し、蓋閉時に、蓋体4の内蓋14と接触して、蓋体4と内釜2のフランジ2aとの間をシールするリップ部39を設けたものである。それ以外の構成は前述の実施形態1のものと同様であり、実施形態1のもつ機能を全て有しているものである。
【0026】
本発明の実施形態6に係る炊飯器においては、シリコンゴムで構成されるリング30Fに、蓋体4と内釜2のフランジ2aとの間をシールするリップ部39を設け、シール機能も持たせたので、前述の実施形態1のもつ機能に加え、蓋体4の蓋パッキン17を不要にすることができ、その分、コストを低減できるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0027】
1 本体、2 内釜、2a フランジ、2b 穴、2c 環状の段部、2d 環状の凹部、3 排気口、4 蓋体、5 蒸気導入口、6 蒸気通路、7 溜まり凹部、8 戻し穴、9 開閉弁、10 おねば分離ケース、11 係合解除ボタン、12 加熱コイル(加熱手段)、13 温度センサー、14 内蓋、15 蓋ヒーター、16 放熱板、17 蓋パッキン、22 遮熱板、30A,30B,30C,30D,30E,30F リング、31,34 上面、32,35 下面、33 連結部、36 鉤状膨出部、37 延長部、38 シール部、39 リップ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、開口縁部にフランジを有し前記本体に着脱自在に収納される内釜と、該内釜を加熱する加熱手段と、前記本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体とを有する炊飯器において、
前記内釜のフランジに、該フランジを構成する材料よりも熱の伝わりにくい弾性体で構成されたリングを設けたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記リングを構成する弾性体は、シリコンゴムであることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記リングは、前記内釜のフランジに一体に成形されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の炊飯器。
【請求項4】
前記リングは、前記内釜の前記フランジの上面と面一となるように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の炊飯器。
【請求項5】
前記リングには、その前記フランジに取り付けられる基部から該フランジ下方に延出する延長部が設けられており、
前記延長部によって、前記内釜の前記フランジから前記内釜の胴部外周に向かうコーナー部が覆われてなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の炊飯器。
【請求項6】
前記蓋体は、蓋閉時に前記内釜のフランジ側に押圧される可撓性を備えた環状の蓋パッキンを有し、
前記リングは、その上面が、蓋閉時に前記蓋パッキンと接触して、該蓋パッキンと共に前記蓋体と前記内釜の前記フランジとの間をシールするシール部として構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の炊飯器。
【請求項7】
前記蓋体は、内蓋を有し、
前記リングには、その前記フランジに取り付けられる基部から内周側に向けて延出し、蓋閉時に前記蓋体の前記内蓋と接触して、前記蓋体と前記内釜の前記フランジとの間をシールするリップ部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−102811(P2013−102811A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246501(P2011−246501)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】