説明

炊飯器

【課題】炊飯器の蓋ブレーキ構造に関し、金属ブレーキ部に潤滑剤をコーティングさせていることから、膜厚が均一で作業時に潤滑剤が手に付着することがなく扱いやすく、蓋開き品位を安定させることを提供する。
【解決手段】蓋41と本体1のヒンジ部にブレーキ構造を有し、ブレーキ構造はブレーキ部材130とブレーキ受け部からなり、蓋41が開くと、そのブレーキ部材130とブレーキ受け部が擦れてブレーキ効果を発揮するブレーキ構造を備えた炊飯器であって、このブレーキ構造のブレーキ部材130のブレーキ面130aに樹脂を焼成コーティングしたコーティング部131を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気口を備えた炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、炊飯器で蒸し料理ができるよう容器内に設置できる蒸し板(特許文献1参照)の構成が提案されている。また、炊飯器に利用される蒸し器(特許文献2参照)の構成が提案されている。
【0003】
従来、蓋開き品位を向上安定させる為、蓋部と本体のヒンジ部に、蓋側に金属ブレーキ部を設け、本体ブレーキ部を樹脂で構成し、ブレーキ部を擦れさせブレーキするものが一般的ではある。
【0004】
従来はコードリールを本体に配置する場合、コードリール端子近傍には延焼防止用の部品を取り付けなければならず、無駄な部品、工数がかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−129911号公報
【特許文献2】特開2002−45298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし従来の方法では、製品の使用状況により、ブレーキ部に潤滑剤を塗布する場合もあったが、潤滑剤塗膜の膜厚ばらつきにより蓋の開き方にもばらつきが生じるため、潤滑剤膜厚を均一にする必要があった。また、金属ブレーキ部に塗布した潤滑剤は作業時に手や製品に付着する恐れもあり扱いにも困っていた。
【0007】
さらに、従来の構成では防炎部品の取り付けを数箇所にわたり行っており、作業も複雑であった。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点を解決して、炊飯器の蓋ブレーキ構造に関し、金属ブレーキ部に潤滑剤をコーティングさせていることから、膜厚が均一で作業時に潤滑剤が手に付着することがなく扱いやすく、蓋開き品位を安定させることを第1の目的とする。
【0009】
さらに本発明は、簡単な構成でコードリール周辺の延焼防止対策を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明の炊飯器では、蓋と本体のヒンジ部にブレーキ構造を有し、前記ブレーキ構造は金属部と樹脂部からなり、前記蓋が開くと、前記金属部と前記樹脂部が擦れてブレーキ効果を発揮する前記ブレーキ構造を備えた炊飯器であって、前記金属部表面にコーティングを施したことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明の炊飯器では、前記コーティングをステンレス入りの焼成コーティングとしたことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明の炊飯器では、前記コーティングをモリブデン化合物を焼成コーティングとしたものとしたことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明の炊飯器では、炊飯器本体にコードリールを取り付けるコードリールカバーを備え、前記コードリールカバーに前記コードリールの端子部を被覆可能な端子カバーを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明の炊飯器では、前記コードリールカバーに、制御部を被覆可能な制御部カバーを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、ブレーキ部のコーティングの膜厚が安定し蓋開きの品位も安定する。
【0016】
請求項2の発明によれば、耐摩耗性、潤滑性に優れたブレーキ構造とすることができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、潤滑性に優れ、微小部品に均一処理が可能なブレーキ構造とすることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、コードリールの端子カバー部はコードリールの端子部の延焼防止をし、コードリールの端子の接続を先に行えることで組立を簡素化している。
【0019】
請求項5の発明によれば、延焼防止対策を1部品にてまかなうことができるため、加熱基板の延焼防止を目的としたカバーをコードリールカバーと接合し、共有することにより部品点数を減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例を示す炊飯器の全体断面図である。
【図2】同上可動フック付近の拡大断面図である。
【図3】同上可動フック付近の拡大断面図であり、蓋体が開く途中の状態を示している。
【図4】同上可動フック付近の拡大断面図であり、内蓋を装着していない状態を示している。
【図5】同上可動フックの斜視図である。
【図6】同上ヒンジ部付近の拡大断面図である。
【図7】同上蒸気口付近の拡大断面図である。
【図8】同上蒸気パッキンの拡大断面図である。
【図9】同上炊飯器全体の平面図である。
【図10】同上ヒンジ部付近を示す炊飯器の分解斜視図である。
【図11】同上蓋体後部の斜視図である。
【図12】同上ブレーキ部材の斜視図である。
【図13】同上図10において、図13(a)は矢視aからの蓋を開いた状態を示す側面図であり、図13(b)は矢視bからの蓋を開いた状態を示す断面図である。
【図14】同上図10において、図14(a)は矢視aからの蓋を閉じた状態を示す側面図であり、図14(b)は矢視bからの蓋を開いた状態を示す断面図である。
【図15】同上本体下部を示す斜視図である。
【図16】同上本体下部にコードリールカバーを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図17】同上図16の状態からコードリールを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図18】同上本体下部を示す断面図である。
【図19】同上本実施例の炊飯器に係る印刷物を開いた状態を示す平面図である。
【図20】同上閉じた状態の印刷物を示す斜視図である。
【図21】同上異なる印刷物が混入した印刷物を閉じた状態の印刷物を示す斜視図である。
【図22】同上本実施例の炊飯器に係る別の印刷物のページを示す平面図である。
【図23】同上異なる印刷物のページを示す平面図である。
【図24】同上異なる印刷物のページが混入された印刷物の閉じた状態を示す斜視図である。
【図25】同上本実施例の炊飯器に係る別の印刷物のページを示す平面図である。
【図26】同上異なる印刷物のページを示す平面図である。
【図27】同上異なる印刷物のページが混入された印刷物の閉じた状態を示す斜視図である。
【図28】同上炊飯器に使用するカップの側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、本発明における炊飯器の好ましい各実施例を説明する。なお、これらの各実施例において、同一箇所には同一符号を付し、共通する部分の説明は重複するため極力省略する。
【0022】
図1〜図28に本発明の炊飯器の一実施例を示しており、同図において、1は炊飯器本体に相当する本体であり、この本体1は、外枠2とその下面開口を覆う底板3とにより外郭が形成される。外枠2は、その上端より内側に向けて下方に落ち込む折返し部4が別に形成されており、この折返し部4の下端開口を塞ぐように、椀状の内枠5が本体1の内部に設けられている。6は米や水などの被調理物を収容する容器たる鍋であり、前記折返し部4と内枠5とにより有底筒状に形成される鍋収容部7内に挿脱自在に収容される。この鍋6は、その上部開口部の周囲にフランジ状に形成された把手部8が鍋収容部4の上縁部上に載ることにより、鍋収容部7内に支持されるものである。外枠2と底板3は、本体1の前方外面および両外側面がやや丸みのある三次元形状を有している。
【0023】
本実施例において本体1の底部若しくは底部部材とは、底板3のことをいう。この底板3の材質は、ポリプロピレンやABS樹脂などの外観光沢性および耐衝撃性に優れた熱可塑性合成樹脂を使用している。なお、本実施例では外枠2と底板3が別体に形成されるが、これらは一体に形成されてもよい。
【0024】
鍋6は、アルミニウムを主体にして、その外側の側面下部から底面にかけて、電磁誘導加熱用の磁性金属からなる発熱体9が接合される。また、前記鍋収容部7の外側には、鍋6の底面と側面下部に対向して、発熱体9を電磁誘導加熱により発熱させるための加熱手段たる加熱コイル10が設けられる。この内枠5の外側に設けた加熱コイル10は、コイルカバー11により外側から覆われている。12は、鍋6の底面に弾性的に当接する鍋温度検出手段たる鍋温度検出センサである。この鍋温度検出センサ12は、鍋6の温度を検出するもので、これにより前記加熱コイル10などによる加熱が制御される。
【0025】
有底筒状の鍋6は、上部から底部に至るにしたがって、直径が小さくなる形状に形成されており、鍋収容部7の内側面も、鍋6の側面に相似した形状に形成される。鍋収容部7は、本体1の外郭を形成する外枠2の内部に形成されており、外枠2と鍋収容部7との間に形成される本体側面部たる隙間13は、鍋6の側面形状に対応して、上部から下部に至るにしたがって水平方向の隙間が拡大する形状を有している。本体1内部の隙間13は、鍋収容部7の外周を囲むように、筒状の内部空間を形成している。
【0026】
15は、本体1前方の内底部(底板3の底部内側)に配置され、加熱コイル10に高周波電流を供給するためのインバータ回路を備えた加熱基板である。この加熱基板15は鍋収容部7の底部に配置されており、底板3の内底面16に臨んで、インバータ回路を構成するスイッチング素子17などの電装部品が装着されている。特に発熱部品としてのスイッチング素子17は、加熱基板15の本体1前方側よりその背面が露出しており、ここにアルミニウム製のヒートシンク18が密着して取付けられる。放熱器としてのヒートシンク18は縦長板状に形成され、本体1の前方の隙間13すなわち内側面部に縦置き状に配置されており、本体1の内部に備えたスイッチング素子17などの発熱部品を冷却し、温度上昇を抑制する目的で設けられている。そして、炊飯すなわち調理加熱中は、スイッチング素子17から放出される熱を蓄熱し、炊飯が終了してスイッチング素子17の発熱が低減した期間に、それまで蓄えていた熱を自然放熱する作用を有する。このため、ヒートシンク18は常時放熱性を確保する必要がなく、ヒートシンク18の外周囲にある本体1の外枠2や底板3には、吸気用若しくは排気用の開口を意図的に形成しない構成になっている。また、加熱コイル10を配置した鍋収容部7の側面下部は、前記隙間13がそれよりも上部に比べて広く形成されており、本体1の前方内側面に沿って設けられたヒートシンク18は、その下部において、加熱コイル10から離れた状態に配置される。
【0027】
前記加熱基板15を構成するインバータ回路は、加熱コイル10に所定の高周波電流を供給するもので、これにより加熱コイル10に発生する交番磁界中に設けた発熱体9が自己発熱し、鍋6を加熱する構成となっている。この場合、万一インバータ回路のスイッチング素子17が100℃以上の高温になった場合でも、炊飯時の加熱量を低減または一時的に停止して、スイッチング素子17の温度上昇を抑止する機能が付加されている。本体1の内部には、スイッチング素子17やヒートシンク18を冷却するための冷却ファンを設けない構造を有している。
【0028】
21は、コードリール22から印加される電源電圧を、所定の動作電圧に変換して炊飯器の各部に供給する電源基板である。この電源基板21は、電源電圧を所定の動作電圧に変換調整するトランス24などの電源電圧調整手段や、後述する蓋ヒータの通断電制御手段(例えば、リレーや半導体スイッチ)などを備えており、本体1の背面(後方)の内側面部すなわち鍋収容部7と外枠2との隙間13に、トランス25に支持されて縦置き状に配置される。
【0029】
また、本体1の内底部であって、加熱基板15の下方に位置する部分には、マイカ,ガラス,鉄などの材料で形成される難燃部材32が設けられ、また、前記底板3の外底面33には、複数の脚部34が下方に向けて突出形成される。
【0030】
41は、本体1の上側に開閉自在に設けられた蓋体である。この蓋体41は、その外殻をなす蓋外郭部材42と、この蓋外郭部材42の下側に固定された内側カバー43と、この内側カバー43の下側に固定され、蓋体41の蓋下面部材を構成する放熱板44とを主たる構成要素としている。また、蓋体41の下面には、前記放熱板44との間に所定の隙間を形成して、前記鍋6の上部開口部を直接覆う内蓋46が着脱自在に装着されている。この内蓋46の外周部には、環状の蓋パッキン47が環状のパッキンホルダ48とともにビス49によって固定されている。蓋パッキン47は弾性部材からなり、内蓋46を装着した蓋体41を閉じたときに、本体1に収容された鍋6の把手部8上に密着するものである。なお、前記蓋体41の外側にはハンドル50が蓋体41の上を跨いで回動可能に設けられている。
【0031】
放熱板44の裏面つまり上面には、この放熱板44を加熱する蓋ヒータ51が設けられており、前記内蓋カバー43には、放熱板44の裏面に弾性的に当接する蓋温度センサ52が設けられている。この蓋温度センサ52は、放熱板44の温度を検出するもので、これにより前記蓋ヒータ51などによる加熱が制御されるようになっている。
【0032】
蓋体41は、その後部のヒンジ部55において本体1に回動自在に支持されている。より詳しく説明すると、内側カバー43の左右一対に備えた後部43aが前記外枠2の後上部2aを左右方向から挟持して左右方向のヒンジ軸56により回動自在に支持されている。また、このヒンジ軸56には、蓋付勢手段としてのねじりコイルばねからなるヒンジばね57が巻装されており、このヒンジばね57は、一端部が外枠2に係合されているとともに、他端部が内側カバー43に係合されている。これにより、蓋体41には開方向の力が常時作用するようになっている。43bはヒンジ軸56が挿通可能な蓋側ヒンジ孔である。
【0033】
内側カバー43の後部43aに形成された切欠部43cには、板状の金属板を側面視略J型形状に折り曲げて、一側に長手片130a、他側に短手片130bを備え、中央連結部130cにより各片130a,130bの上部を連結して形成されたブレーキ部材130が係止されており、ブレーキ部材130の長手片130aの外側面にはコーティング部131が形成されている。
【0034】
外枠2の後上部2aには、前述のブレーキ部材130のコーティング部131が当接可能に形成されたブレーキ受け部132が各ブレーキ部材130に対向するように左右一対に備えており、ブレーキ部材130とブレーキ受け部132の位置関係は、蓋体41の開放に伴うブレーキ部材130の回転半径(図中、R方向)上にブレーキ受け部132が存在するとともに、ブレーキ部材130の長手片130aの先端をブレーキ受け部132に向けて傾斜させて設けられており、蓋体41の開放の最大開放角に到達する手前から、ブレーキ部材130に当接し、開放角が増すにつれブレーキ効果が増す。これは、ブレーキ部材130とブレーキ受け部132とが接触状態で重なり合うラップ代が増えるとともに当接面積が増え、摩擦力が大きくなり、結果蓋体41は滑らかに開放状態にて停止する構成となっている。
【0035】
さらに図12に示すようにコーティング部131としては、潤滑性に優れ、微小部品に均一処理が可能なステンレス箔入り弗素、モリブデン化合物が使用される。ここでモリブデン化合物よりステンレス箔入り弗素の方が、耐摩耗性、潤滑性に優れている。また、モリブデン化合物には、弗素を含まないものとする。
【0036】
一方、蓋体41の前部には、ヒンジばね57の力に抗して、本体1に対し蓋体41を閉じた状態に保持する係止装置58が設けられている。この係止装置58は、蓋外郭部材42に形成された開口部59から上面が上方に突出した蓋開手段たる蓋開ボタン60と、後側上部に前記蓋開ボタン60を有するとともに、前側下部に爪部61を有し、蓋体41内で軸支部62に回動自在に軸支される係合部材たる可動フック63とにより構成される。また、可動フック63の爪部61に係合して本体1に対し蓋体41を係止部たる固定部64Aを有する固定フック64が、蓋外郭部材2の前側上部に形成されている。また、前記係止装置58には前記可動フック63の爪部61を前記固定フック64の固定部64Aに係合するための付勢手段たるトーションばね65を有している。このトーションばね65は、図5に示すように、全体としてコ字型に折曲形成され、その両側を前記可動フック63の軸支部62に巻き回して枢着するとともに、固定端となるトーションばね65の一端側には前記可動フック63に引っ掛けるように内側に折曲したL型の係止折曲部66を形成し、一方、自由端となるトーションばね65の他端側は前記蓋開ボタン60の下面側に潜り込むように、くの字状に屈曲した屈曲部67が形成されている。この屈曲部67は、蓋体41を閉じたとき、内蓋46に当接し、内蓋46によって屈曲部67を押し上げることによって、トーションばね65の係止折曲部66が可動フック63を弾発的に押圧する。これにより、可動フック63に固定フック64へと向かう付勢力が付与され、可動フック63の爪部61と固定フック64の固定部64Aとが係合する。そして蓋外郭部材42の上面より露出した蓋開ボタン60の上面を押動操作すると、トーションばね65の力に抗して、可動フック63が軸支部62を支点として回動する。これにより、本体1に対する蓋体41の係合が外れ、ヒンジばね57の力によって蓋体41がヒンジ軸56を中心として自動的に開く構造となっている。また、内蓋46が装着されていなければ、内蓋46によってトーションばね65を押し上げないから、可動フック63にはトーションばね65の付勢力が作用せず、可動フック63と固定フック64とは係合しないようになっている。
【0037】
また、前記内蓋46の周縁に固定したパッキンホルダ48は、ヒンジ部55側に位置して部分的に突出した鈎状の係止突起70を有し、この係止突起70を前記蓋体41の内部に軸支した弾性突部たるクランプ71に係合させることによって前記内蓋46を押えている。この内蓋46を押えるクランプ71は下部側に前記係止突起70と係止する係止爪72を形成するとともに、クランプ71の上部にはストッパ片73が突設されている。また、クランプ71は前記ヒンジ部55の近傍に設けた取付板74に軸75によって回動自在に軸支され、この取付板74とクランプ71との間に介在するコイルばね76によって、クランプ71は、常に係止爪72が前記内蓋46の係止突起70に係止するように係止突起70側に回転するように付勢されている。このように、クランプ71はコイルばね76によって係止突起70側に回転するように付勢されているが、クランプ71に突設するストッパ片73が取付板74に形成する係止孔77と係止してクランプ71の回動範囲が規制される。これにより、内蓋46を装着する際、内蓋46の係止突起70とクランプ71の係止爪72とが確実に突き当たる。こうして内蓋46の装着時に、内蓋46の係止突起70とクランプ71の係止爪72とを突き当てることによってクランプ71は内蓋46の係止突起70に押されてコイルばね76の付勢力に抗して回動し、クランプ71の係止爪72が内蓋46の係止突起70を乗り越えるとクランプ71がコイルばね76によって復帰し、蓋体41の下面側に内蓋46が保持される。
【0038】
前記蓋外郭部材42の上面の最頂部には、蒸気口収容部として鍋6側に陥没した凹部80が設けられており、この凹部80に、蓋体41の上方から垂直方向に装着または外すことができる蒸気口81が備えてある。この蒸気口81は、図7に示すように上部側の蒸気口キャップ83と下部側の蒸気口ケース84とからなり、これら蒸気口キャップ83および蒸気口ケース84は、いずれも耐スチーム性に優れたプラスチック樹脂材料からなっている。
【0039】
そして、蒸気口キャップ83と蒸気口ケース84とは、回転操作にて嵌合して結合する構成になっている。すなわち、蒸気口ケース84の外周上部にほぼ水平方向に外側へ突出した外凸部85が形成され、蒸気口キャップ83の内周下部には外凸部85の下側に係止する内凸部86が形成され、この外凸部85と内凸部86とを係合することによって、互いに係止されるようになっている。そして、蒸気口キャップ83と蒸気口ケース84との嵌合時に蒸気口キャップ83を一方向に回転させると、前記外凸部85の下面に沿って内凸部86を締め付けられる構成になっている。
【0040】
前記蓋外郭部材42の凹部80の底部には、鍋6内の空間と連通する開口孔87が形成されており、この開口孔87に嵌め入れた弾性部材からなる蒸気口パッキン88に蒸気口ケース84の外底面中央部から下方へ延出する筒状の突出部89を挿入している。この突出部89の外周面下部には前記蒸気口パッキン88と係合する湾曲状の凸部90が外側に向かって突出形成し、前記蒸気口ケース84の内部には、その底部の突出部89から同軸的に立ち上がる蒸気筒部91が形成してある。この蒸気筒部91の内部は、突出部89の内部を介して鍋6の内部に連通するものである。
【0041】
また、蒸気筒部91上部には、板材135が取り外し可能に水平に架設されており、この板材135には開口孔87と蒸気筒部91内部、つまり鍋6内部とを連通する複数個の貫通孔135aが形成されている。ここで、板材135の上面は、卵をはじめとする蒸気によって加熱調理される被調理物が載置される載置部135bとなっている。
【0042】
また、図7にしめすように、蒸気口ケース84の底部内面84Aから開口上端84Bまでの上下方向の寸法Hを40mm以上とし、蒸気口81内部で40mm以下の被調理物を調理可能としている。一方、前記蒸気口キャップ83の中央部には、下方へ垂下する筒壁部92が形成されており、この筒壁部92の上部には、この筒壁部92の上面開口部を閉じる調圧弁93が取り付けられている。この調圧弁93は、前記筒壁部92の内周面に挿入する筒周壁94を有し、この筒周壁94の下端部に形成された複数の係止爪95が筒壁部92の下端部に係合していることにより、筒壁部92に対して抜け止めされている。また、前記蒸気筒部91の根元部には、蒸気口ケース84の底部から突出部89内に通じるおねば戻し孔96が開口形成されている。また、前記蓋体41の下面部材を構成する放熱板44と蓋体41の下面に着脱自在に取り付けた内蓋46には前記凹部80の開口孔87に対向する位置に炊飯時に発生する蒸気の通路となる孔97,98が形成されている。なお、放熱板44には孔97から一体にカール状の折曲部99が上向き、すなわち、蒸気口81側に向かって一体形成され、一方、内蓋46に形成される孔98は複数個の小穴によって構成している。
【0043】
前記蒸気口パッキン88は、前記蓋外郭部材42と放熱板44及び放熱板44と内蓋46との間に介在してその間の隙間を塞ぐもので有り、シリコーンゴムなどの弾性部材によって成形されている。この蒸気口パッキン88の中央には前記蒸気口ケース84の突出部89を貫通させる挿通孔101が形成され、この挿通孔101の内周面から前記突出部89の外周面に係止する突部102を一体形成している。また、蒸気口パッキン88の上面側には前記凹部80の開口孔87に嵌め入れる断面L型の溝部103を形成し、その溝部103の下部に形成するフランジ部104の外端縁に環状の周壁部105を一体形成している。この周壁部105の外側ほぼ中間部には薄肉状の第1のシール部106が一体形成され、さらに、フランジ部104の内端縁に位置する前記挿通孔101の内周面から前記第1のシール部106と同様な薄肉状の第2のシール部107が一体的に垂設されている。これら各シール部106,107は、断面くの字をなして環状に形成され、上下方向に伸縮自在に構成されている。そして、第1のシール部106は前記第2のシール部107の外側に位置して周壁部105から下方に突出するように一体形成されている。また、図8に示すように第1のシール部106の外径R2は前記放熱板44に形成する孔97の内径R1より径大に形成され、一方、第2のシール部107の外径Rは孔97の内径R1より径小に形成されるとともに、第2のシール部107は放熱板44と内蓋46の隙間S(図7に示す)より長く形成されている。これにより、第2のシール部107が放熱板44の孔97の内側に臨んで放熱板44から下方に突出して孔97の周縁に密着する。
【0044】
そして、蓋外郭部材42の凹部80内に蒸気口81を上方から垂直方向に挿入すると、蒸気口ケース84の突出部89が開口孔87に装着した蒸気口パッキン88の挿通孔101内に挿入され、この挿通孔101に一体形成した突部102を弾性変形させて蒸気口ケース84の突出部89に密着させることにより、蓋体41に蒸気口81が装着される構成になっている。また、開口孔87に装着した蒸気口パッキン88により、蓋外郭部材42と放熱板44及び放熱板44と内蓋46との隙間を塞ぎ、炊飯時に発生する蒸気が蓋体41の内部に漏れないようになっている。
【0045】
蓋外郭部材42の前方寄りには、炊飯器の表示や操作に関わる表示基板107とともに炊飯や保温の動作や停止指示などを行なう操作手段たる操作部108や、表示手段たる表示部109を備えた操作パネル110が取付けられている。表示基板107には、炊飯や保温動作および表示などの各種制御管理用のマイクロコンピュータ111の他に、後述する各種の操作スイッチ116〜124に対応して操作信号を発生する操作部108を構成するスイッチ112と、表示部109をなす行程ランプ用LED113および表示部用LCD114などが搭載される。なお、各スイッチ112は、それぞれ操作子たる操作スイッチ116〜124を介して操作パネル110の外側から押圧操作できるようになっている。
【0046】
操作パネル110には、図9に示すように、炊飯開始手段としての炊飯スイッチ116と、予約手段としての予約スイッチ117と、保温手段としての保温スイッチ118と、切手段としての切スイッチ119と、コース選択手段としてのコーススイッチ120と、保温選択手段としての保温スイッチ121と、時刻調整手段としての時計スイッチ122,時スイッチ123および分スイッチ124が各々設けられる。これらのスイッチ116〜124は、操作パネル110の内側の表示基板107にある各スイッチ112にそれぞれ対応している。これとともに、操作パネル110には、3つの前記行程ランプ用LED113と表示部用LCD114が設けられる。
【0047】
前記炊飯スイッチ116は、炊飯を開始するものである。前記予約スイッチ117は、予約炊飯を行なうために、炊き上がりの時刻を呼出すものである。前記保温スイッチ118は、切状態から保温を開始するものである。前記切スイッチ119は、炊飯,保温および予約炊飯動作を停止するものである。前記コーススイッチ120は、白米ふつう炊飯,白米かため炊飯,白米やわらかめ炊飯,早炊き炊飯,玄米炊飯,おかゆ炊飯などの炊飯コースを選択するものであり、選択された炊飯コースは、前記表示部用LCD114により設定内容が表示される。前記保温スイッチ121は、普通保温と高温保温とを選択するものである。前記時計スイッチ122は、表示部用LCD114により表示される時計の時刻を調整するときに使用するものである。前記時スイッチ123は、時計の時刻または予約炊飯における予約時刻のうち時を調整するためのものであり、前記分スイッチ124は、分を調整するためのものである。
【0048】
図15乃至図18に示すように、本体1下部には、本体1下部に備えた内枠組立140側に取り付けられるコードリールカバー141おり、このコードリールカバーは設置された加熱基板15をこの加熱基板15周囲を保持する基板ケース15aごと下方から被覆して収容可能に形成され、その平面形状を本体1の平面形状の略1/4とした略扇形状とする基板カバー部142と、コードリール143の端子部144を非接触状態で収納可能な円形凹状の端子カバー部145を備え、コードリール143の底面143aと基板カバー部142の底面142aと略面一とした状態でコードリール143を収納可能なコードリール収納部146が一体に形成されている。
【0049】
また、コードリールカバー141は、図16に示す内枠組立140に端子先端147aを下向きに配置された熱版端子充電部147を、下方から被覆して収納可能に形成された充電部収納部148を一体に形成している。
【0050】
つぎに、前記の構成について、その作用を説明する。内蓋46が汚れた場合、この内蓋46を蓋体41から外して洗浄できる。内蓋46を外すには、蓋体41を開け、内蓋46に形成する図示しない取手部を摘んで引っ張り出すようにすれば、パッキンホルダ48に形成する係止突起70と蓋体41に軸支するクランプ71との係合が外れ、蓋体41を取り外すことができる。また、洗浄後、内蓋46を蓋体41に取り付けるには、まず蓋体41の係止突起70と蓋体41に軸支するクランプ71とを軽く合わせ、ついで、蓋体41を押し込むことにより、内蓋46の係止突起70とクランプ71の係止爪72とが突き当たり、係止突起70とクランプ71とが係合する。この係止突起70とクランプ71の係合状態はコイルばね76の付勢により保持され、内蓋46が蓋体41に組み付けられる。また、蓋体41を内蓋46に装着すると、内蓋46の周縁がトーションばね65の自由端側に位置する屈曲部67と当接し、内蓋46によって屈曲部67を押し上げる。これにより、トーションばね65の固定端側の係止折曲部66が可動フック63を弾発的に押圧し、蓋体41を閉じるとき、前述したように内蓋46を装着しておけば、可動フック63にトーションばね65の付勢力が作用し、可動フック63の爪部61が本体1に形成する固定フック64の固定部64Aと係合して蓋体41を閉じた状態で保持することができる。そして、蓋体41を開く場合、蓋外郭部材42の上面より露出した蓋開ボタン60の上面を押動操作すると、可動フック63がトーションばね65の力に抗して軸支部62を支点として固定部64Aの係合が解除される方向に回動する。これにより、本体1に対する蓋体41の係合が外れ、ヒンジばね57の力によって蓋体41がヒンジ軸56を中心として自動的に開く構造となっている。したがって、内蓋46が装着されていなければ、内蓋46によってトーションばね65を押し上げないから、可動フック63にはトーションばね65の付勢力が作用せず、可動フック63と固定フック64とは係合しない。このため、蓋体41を閉じた状態で保持することが不可能となり、蓋体41から手を離せば、ヒンジばね57の付勢により蓋体41が開いてしまう。
【0051】
また、内蓋46を装着した蓋体41が閉じた状態では、内蓋46の周縁に取り付けた蓋パッキン47が鍋6の開口部周縁に密着し、鍋6の開口部が塞がれる。そして、凹部80の開口孔87に装着した蒸気口パッキン88は、この蒸気口パッキン88に一体形成する突部102が蒸気口81の突出部89に密着する。すなわち、蓋外郭部材42の凹部80内に蒸気口81を上方から垂直方向に挿入すると、蒸気口パッキン88に一体形成した突部102が弾性変形して蒸気口ケース84の突出部89に密着して蓋体41に蒸気口81が装着される構成になっている。このため、蒸気口81の着脱が容易であり、蒸気口81を取り外して簡単に水洗いすることができ、蒸気口81の清掃性が向上する。また、蒸気口81の装着時においては、蒸気口パッキン88に一体形成する突部102が蒸気口81の突出部89に密着して蓋外郭部材42と放熱板44及び放熱板44と内蓋46との隙間が塞がれる。さらに、開口孔87に装着した蒸気口パッキン88のフランジ部104は凹部80の開口孔87の後面周縁部と孔97から一体形成するカール状の折曲部99とで挟着され、凹部80の底部と放熱板44の折曲部99に蒸気口パッキン88のフランジ部104が密着するため、蓋外郭部材42と蓋外郭部材42の下面に取り付けた放熱板44との隙間を確実に密封できる。また、凹部80の開口孔87に蒸気口パッキン88を装着した状態では、フランジ部104の外周に一体形成する周壁部105が凹部80の開口孔87と放熱板44の孔97の周縁部を取り囲んで凹部80と放熱板44との隙間を確実に密封することができる。さらに、フランジ部104の外周に一体形成する第1のシール部106が放熱板44の上面に密着して放熱板44の孔97の周縁部に密着し、孔97の内側に第2のシール部107が臨み、この第2のシール部107が内蓋46の上面に密着するため、蒸気口パッキン88によって蓋外郭部材42と放熱板44との隙間及び放熱板44と内蓋46との隙間がそれぞれ密閉されることになる。こうして炊飯時、鍋6内で発生した蒸気の漏れを確実に防ぐことができる。なお、内蓋46に突き当てる第2のシール部107の外形Rは、放熱板44の孔97の内径R1より小さいことから、放熱板44の下面側に内蓋46を装着した際、内蓋46の取付位置が多少ずれたとしても放熱板44の孔97の内側に第2のシール部107が位置する。一方、第1のシール部106の外径R2は前記孔97の内径R1より径大に形成しているから、放熱板44と内蓋46の組付時に放熱板44に挟まれることはない。さらに、第2のシール部107は放熱板44と内蓋46の隙間Sより長く形成しているため、放熱板44と内蓋46の隙間Sが多少大きくなっても第2のシール部107を確実に内蓋46に密着することができるため、炊飯時、鍋6内で発生した蒸気の漏れを防止することができる。これにより、炊飯時に発生した蒸気は蒸気口ケース84の蒸気筒部91内を上昇して、この蒸気筒部91の蒸気口ケース84内に吹き出す。ここで、蒸気と水分とが互いに分離され、蒸気は、蒸気口キャップ83の蒸気放出孔87を通って蒸気口81の外へ放出される。一方、蒸気と分離された水分は、筒壁部92の下端部と蒸気筒部91の上端部との間の隙間を通って蒸気口ケース84の下部へ落下する。このように蒸気口ケース84の内部で蒸気と水分とが分離されることにより、水分が蒸気口81の上面の蒸気放出孔87から吹きこぼれる現象が抑制される。
【0052】
以上のように、前記実施例の構成によれば、可動フック63を復帰するトーションばね65を内蓋46に当接させることにより、内蓋46が装着されていなければ、内蓋46によってトーションばね65を押し上げないから、可動フック63にはトーションばね65の付勢力が作用せず、可動フック63と固定フック64とは係合しないため、蓋体41を閉じた状態で保持することが不可能となる。すなわち、蓋体41を押し下げて閉じたつもりでも、可動フック63が固定フック64に係合していないため、蓋体41から手を離せば、ヒンジばね57の付勢により蓋体41が開いてしまう。これにより、使用者は、内蓋46を付け忘れていることを明確に知ることができるし、また、内蓋46を取り付けていない限りは、炊飯器を使用することができない。逆に蓋体41を閉成できれば、内蓋46が取り付けられていることを確認できることになる。これにより、内蓋46の未装着時には炊飯器を使用することができないため、蓋体41内に炊飯時の蒸気が侵入して蓋体41内に設けた電子部品に悪影響を与えることもないので、蓋体41に過度な防水処置を施す必要がない。また、内蓋46のつけ忘れによる炊飯時の吹きこぼれや、保温時の露だれやご飯の乾燥も防止することができるため、ご飯の食味の低下を招くおそれもない。また、単に可動フック63にはトーションばね65を内蓋46に当接させるだけで内蓋46のつけ忘れを防止することができるから、スイッチやセンサーなどによって内蓋46を電気的に検出するといった方法に比べはるかにコストを抑えることができる。さらに、可動フック63を内蓋46と別体で蓋体41に設け、この可動フック63と係合する固定フック64を本体1側に形成しているため、可動フック63にかかる炊飯時における蒸気による熱ストレスは本体1側の固定フック6に比べて少なくなる。また、内蓋46を装着した際の内蓋46の位置ずれあるいは内蓋46を中途半端に蓋体41に取り付けたとしても蓋体41に設けた可動フック63と本体1側に設けた固定フック64との係合には影響されることがない。このため、可動フック63と固定フック64との係合性が向上し、可動フック63と固定フック64とを確実に係合させることができる。したがって、蓋体41を閉めた際、蓋体41と本体1の隙間が大きくなったり、あるいは、炊飯時や保温時において外部からの衝撃などによって蓋体41が不用意に開く虞れもない。また、蓋開ボタン60を押せば、可動フック63と固定フック64との係合が解除され、蓋体41を確実に開くことができる。また、内蓋46を装着した際、その内蓋46でトーションばね65を押し上げることによって、可動フック63に固定フック64へと向かう付勢力を付与するように構成しているので、内蓋46の装着が多少不完全であっても、内蓋46がトーションばね65と確実に当接することから、可動フック63と固定フック64の係合性が悪化することがない。また、単に内蓋46を装着した際、その内蓋46の周縁にトーションばね65を突き当てているだけなので、スペース的にも無駄がなく、本体1の小型化の面でも有効である。また、蓋体41のヒンジ55側には内蓋46を押えるクランプ71が軸支されているため、内蓋46を装着する際、まず、内蓋46の先端側を蓋体41の先端側に装着した後、内蓋46の基部側に位置するヒンジ55側にてクランプ71と係合することになる。逆に内蓋46を取り外す場合、作業的に安定する内蓋46の基部側を引張ってヒンジ55側に位置するクランプ71との係合を外すことから、蓋体41とクランプ71との係合及び係合解除を行う際、内蓋46の先端の不安定な部分に力を加えないので内蓋46の装着も安定的に行える。しかも、ヒンジ部55側は、蓋体41と本体1とを軸支するためのスペースがあるため、このスペースを利用して内蓋46を押えるクランプ71を配置することができる、本体1を大型化することなく、内蓋46を確実に押えることが可能となる。
【0053】
また、前記実施例では、蒸気口パッキン88に蓋外郭部材42と蓋下面部材を構成する放熱板44との隙間を塞ぐ第1のシール部106と放熱板44と内蓋46との隙間を塞ぐ第2のシール部107とを一体形成することによって、蒸気口パッキン88によって同時に2個所の蒸気漏れを防止することができるため、一つの蒸気口パッキン88で蒸気の漏れを防止できるから、組付部品点数を削減することができる。このため、蓋体41への蒸気口パッキン88の組付作業も簡単かつ容易に行うことができる。また、蒸気口パッキン88の挿通孔101に蒸気口81の突出部89に押し当てる突部102を形成し、この突部102によって蒸気口81を取り付ける凹部80と蒸気口81との気密を保持することができるため、蒸気口パッキン88を蒸気口81の装着部として兼用できるため、極めて合理的である。このように、蒸気口パッキン88は凹部80と蒸気口81との気密を保持するのみならず、蒸気口81の装着部として兼用するとともに、第1,第2のシール部106,107によって蓋外郭部材42と放熱板44及び放熱板44と内蓋46のそれぞれ隙間を塞いで密閉することができるため、一つの蒸気口パッキン88に4つの機能を持たせることができる。そして、このように蓋体41の内部への蒸気の漏れを防止することによって、放熱板44の汚れを防止することができる。さらに、内蓋46に密着させる第2のシール部107の外形Rを放熱板44の孔97の径R1より小さく設定することによって放熱板44の下面側に内蓋46を装着した際、内蓋46の取付位置が多少ずれたとしても第2のシール部107が放熱板44の孔97の内側に位置して確実に内蓋46側に突出させることができる。しかも、第2のシール部107の外側に位置する第1のシール部106の径R2を放熱板44の孔97の径R1より大きく設定することによって、放熱板44の孔97の内外を第1、第2のシール部106、107で取り囲んで孔97から蓋体41の内部に侵入しようと蒸気を確実に防止することができる。しかも、予め凹部80の底部に形成する開口孔87に蒸気口パッキン88に装着しておくだけで、蓋外郭部材42に放熱板44を固定する際、放熱板44と内蓋46との隙間をシールする第2のシール部107が放熱板44の孔97に臨んで放熱板44の下方に突出するとともに、第2のシール部107の外側に形成する第2のシール部107が確実に放熱板44の孔97の周囲に密着し、第1、第2のシール部106,107が放熱板44及び内蓋46に挟まれてしまうこともなく、これら放熱板44及び内蓋46の組付け作業も簡略化することができる。
【0054】
蒸気筒部91を通って貫通孔135aから立ち上がってくる鍋6内部からの蒸気によって、載置部135bに載置された被調理物が加熱調理される構成となっているため、炊飯器の機外に排出される蒸気を利用するので、ご飯の食味は落さず、ご飯を炊くエネルギーで卵などの調理もでき、卵などを設置できるように複数の貫通孔135aを有する板材135を設けてきれいな卵を調理することができる。
【0055】
上記の通り、蓋体41のブレーキ構造において、ブレーキ部材130にコーティング部を焼成することにより、蓋体41が最大開き角に到達し摩擦力が上がっても滑らかかつ耐久性のある構造となる。
【0056】
蓋41の開放に伴うブレーキ部130の回転半径上にブレーキ受け部132が存在することで、蓋41の開放の最大開放角(最大開き角)に到達する手前から、ブレーキ部材130に当接し、開放角が増すにつれブレーキ効果を増す構造となっており。これによってブレーキ部材130とブレーキ受け部132とが接触状態で重なり合うラップ代が増えるとともに当接面積が増え摩擦力が大きくなり、結果蓋体41は滑らかに停止する。つまり、蓋体41の最大開放時のリバウンドを防止することができる点で従来の場合と同様の効果を発揮し、かつ、ブレーキ力は蓋に対してバランス良く作用するので、蓋41をスムーズに開閉することができる。
【0057】
ブレーキ部130とブレーキ受け部132を備えた容易な組立方式で、安価でコンパクトな蓋体41のブレーキ構造をすることができる。
【0058】
以下に、コードリール143の取り付け方法について説明する。まずは、コードリールカバー141の基板カバー部142及び充電部収納部148に加熱基板15及び熱版端子充電部147を収納して、コードリール143を内枠組立140にビス止め等により取り付ける。次に、コードリール143の端子部144を端子カバー部145に収納して、コードリール143をコードリール収納部146にビス止め等により取り付けて、最後に図18に示すように、コードリールカバー141及びコードリール143を下方から被覆するように、本体1下部に外枠2を取り付けることで、コードリール143の取り付けが完了する。
【0059】
このように、本体1下部に備えた内枠組立141にコードリール143を取り付けるコードリールカバー141を備え、コードリールカバー141にコードリール143の端子部144を被覆可能な端子カバー部145を備えたことにより、コードリールカバー141の端子カバー部145はコードリール143の端子部144の延焼防止をし、またコードリール143自体が内枠組立140側に取り付ける部品を兼ねており、組立上コードリール143が内枠組み立て140についていることで、コードリール143の端子144の接続を先に行えることで組立を簡素化している。
【0060】
また、コードリールカバー141に、加熱基板15を被覆可能な基板カバー部142を備えたことにより、コードリール143と同じ内枠組み立て140の底部にとりつけられたユニットケース下の加熱基板15の延焼防止を目的としたカバーをコードリールカバー141と接合し、共有することにより形状は大型化するが、部品点数ということにおいては減少することができる。 続いて、図19乃至図27に本実施例の炊飯器の使用方法等が記載された説明書等の印刷物について説明する。
【0061】
図19乃至図21に示すように、冊子状の印刷物150の各ページの下端に閉じた状態で右端から寸法M1(例えばM1=50mm)になる位置に各印刷物150固有の位置にインクによる印刷からなる第1の識別部たるマーク151を入れる。他の印刷物152は各ページの下端に閉じた状態で右端から寸法M2(例えばM2=60mm)になる位置にインクによる印刷からなる第2の識別部たるマーク153が入れられており、各印刷物150,152ごとに識別部151,153の位置をずらしている。このように、同一印刷物の各ページから構成されている印刷物であれば、図20に示すように印刷物150を閉じた状態にすると、各ページの同じ位置にマーク151が連続して表れるので、図21に示すように一つでも異なる印刷物152が混じるとマーク151と異なる位置にマーク153が表れるため容易に識別でき、差し替えページを他の印刷物へ間違えて差し替えた場合、容易に発見できる。さらに、差し替えページの間違えを改訂変更支持者だけでなく、印刷メーカーでも容易にわかることから、間違えを早期に発見できる。本実施例の形態は、各ページのマークを入れた端部が印刷物を閉じた状態でも端部になればよく、印刷物は冊子式でなく、折りたたみ式でもよいものとする。
【0062】
このように複数ページからなる印刷物150において、各ページの端部に印刷物150を閉じた状態の製品固有の位置にマーク151を入れることで、印刷物150を閉じた状態で他の印刷物152のページの混入を判別できるので、また、図22乃至図24に示すように、例えば製品Aの冊子状の印刷物160の各ページの横端に閉じた状態で上端から寸法N1(例えばN1=50mm)になる位置に各印刷物160固有の位置にインクによる印刷からなる第1の識別部たるマーク161を入れる。他の製品Bの印刷物162は各ページの横端に閉じた状態で上端から寸法N2(例えばN2=60mm)になる位置にインクによる印刷からなる第2の識別部たるマーク163が入れられており、各印刷物160,162ごとに識別部161,163の位置をずらしている。このように、同一印刷物の各ページから構成されている印刷物であれば、図24に示すように印刷物160を閉じた状態にすると、各ページの同じ位置にマーク161が連続して表れるので、図24に示すように一つでも異なる印刷物162が混じるとマーク161と異なる位置にマーク163が表れるため容易に識別でき、差し替えページを他の印刷物へ間違えて差し替えた場合、容易に発見できる。更に、バーコード読み取り機などの設備を投入することなく、容易に混入防止ができる。
【0063】
さらに、図25乃至図27に示すように、例えば製品Aの冊子状の印刷物170の各ページの横端に閉じた状態で上端から寸法L1(例えばL1=50mm)になる位置に各印刷物170固有の位置にインクによる印刷からなる塗潰しによる第1の識別部たるマーク171を入れる。他の製品Bの印刷物172は各ページの横端に閉じた状態で上端から寸法L2(例えばL2=50mm)になる位置にインクによる印刷からなる線を増やして二重線による第2の識別部たるマーク173が入れられており、各印刷物170,172ごとに識別部171,173の形状を変えている。このように、同一印刷物の各ページから構成されている印刷物であれば、図27に示すように印刷物170を閉じた状態にすると、各ページの同じ位置に同じマーク171が連続して表れるので、図27に示すように一つでも異なる印刷物172が混じるとマーク171と異なる形状のマーク173が表れるため容易に識別でき、差し替えページを他の印刷物へ間違えて差し替えた場合、容易に発見できる。更に、バーコード読み取り機などの設備を投入することなく、容易に混入防止ができる。ここで印刷物は冊子でなくとも、組立てる前の箱のような印刷物、例えば一般に印刷した段ボールが、上下面以外を接合状態で折り畳まれて工場に出荷され、梱包時に、まず下面を封止され、そして製品を入れてから、上面を封止する段ボールにおける、組立前の段ボールとしてもよい。
【0064】
また、図28に本実施例の炊飯器に使用される米を計量するためのカップ180について説明すると、有底円筒型のカップ180の表面には、カップ180の内容量における満量に対して、その満量値の1/4単位ごとに1/4、1/2、3/4と目盛を表す数字181と目盛線182を有しており、米の計量誤差の抑制を図ることができる。
【0065】
また、カップ180を透明又は半透明な樹脂製からなる材料から形成し、カップ180の側面外部からカップ180内の米の量を視認可能にするとともに、数字181及び目盛線182に色を付けて米の計量誤差をさらに抑制することができる。
【0066】
以上のように本実施例は請求項1に対応しており、炊飯器本体1と、炊飯器本体1に収容され、被調理物たる米と水を入れる容器としての鍋6と、鍋6を加熱する加熱手段たる加熱コイル10と、鍋6の温度を検知する温度検知手段たる鍋温度検出センサ12と、加熱コイル10を制御する制御手段たる加熱基板15と、鍋6と機外とを連通する炊飯器本体1に着脱可能な蒸気口81とを備え、蒸気口81は、開閉可能な蓋部たる蒸気口キャップ83と、おねばや水を留める蒸気口本体部たる蒸気口ケース84を備え、蒸気口81は高さH=40mm以上とし、蒸気口ケース84には複数の孔たる貫通孔135aの開いた板材135を設置可能としたことにより、貫通孔135aから立ち上がってくる鍋6内部からの蒸気によって、載置部135bに載置された被調理物が加熱調理される構成となっているため、炊飯器本体1の機外に排出される蒸気を利用するので、ご飯の食味は落さず、ご飯を炊くエネルギーで卵などの調理もでき、きれいな卵を調理することができる。
【0067】
また請求項1に対応しており、蓋41と本体1のヒンジ部55にブレーキ構造を有し、ブレーキ構造は金属部たるブレーキ部材130と樹脂部たるブレーキ受け部132からなり、蓋41が開くと、そのブレーキ部材130とブレーキ受け部132が擦れてブレーキ効果を発揮するブレーキ構造を備えた炊飯器であって、このブレーキ構造のブレーキ部材130のブレーキ面130aに樹脂を焼成コーティングしたコーティング部131を備えたことにより、蓋体41が閉じた水平状態からヒンジ部55を軸として最も上方へと開いた状態での蓋体41の仰角である最大開き角に到達し摩擦力が上がっても滑らかかつ耐久性のある構造とし、最大開き角での蓋体41の最大開放時に蓋体41が閉じようとするリバウンドを防止することができる点で従来の場合と同様の効果を発揮し、かつ、ブレーキ力は蓋41に対してバランス良く作用するので、蓋41をスムーズに開閉することができる。また、ブレーキ部130とブレーキ受け部132を備えた容易な組立方式で、安価でコンパクトな蓋体41のブレーキ構造とすることができる。
【0068】
さらに請求項2に対応しており、コーティングをステンレス箔入りの焼成コーティングとし、ブレーキ部材130にステンレス箔入りの焼成コーティングを施したことにより、耐摩耗性、潤滑性に優れたブレーキ構造とすることができる。
【0069】
また請求項3に対応しており、コーティングをモリブデン化合物を焼成コーティングとし、ブレーキ部材130にモリブデン化合物を焼成コーティングしたことにより、潤滑性に優れ、微小部品に均一処理が可能なブレーキ構造とすることができる。
【0070】
さらに請求項4に対応しており、炊飯器本体1にコードリール143を取り付けるコードリールカバー141を備え、コードリールカバー141にコードリール141の端子部144を被覆可能な端子カバー部145を備えたことにより、コードリールカバー141の端子カバー部145はコードリール143の端子部144の延焼防止をし、またコードリール143自体が内枠組立140側に取り付ける部品を兼ねており、組立上コードリール143が内枠組み立て140についていることで、コードリール143の端子144の接続を先に行えることで組立を簡素化している。
【0071】
また請求項5に対応しており、コードリールカバー141に、制御部である加熱基板15を被覆可能な制御部カバーである基板カバー部142を備えたことにより、コードリール143と同じ内枠組み立て140の底部にとりつけられたユニットケース下の加熱基板15の延焼防止を目的としたカバーをコードリールカバー141と接合し、共有することにより形状は大型化するが、部品点数ということにおいては減少することができる。
【0072】
以上、本発明の一実施例を詳述したが、本発明は、前記各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。各実施例上のH、M1、M2、N1、N2、L1、L2の各数値についても適宜変更可能である。また、実施例では、鍋6を電磁誘導により加熱するようにしたが、鍋6の加熱手段は電熱ヒータなどであってもよい。また、クランプ71は蓋体41を軸支するヒンジ部55側に軸支され、このクランプ71と係合する係止突起70もヒンジ部55側に突設されているが、必ずしもヒンジ部55側に限るものではない。また、内蓋46を保持するクランプ71の構造や可動フック63及び固定フック64の係合構造なども適宜設定すればよいものである。
【符号の説明】
【0073】
1 炊飯器本体
15 加熱基板(制御部)
41 蓋
55 ヒンジ部
130 ブレーキ部材(金属部)
130a ブレーキ面
132 ブレーキ受け部(樹脂部)
141 コードリールカバー
142 基板カバー部(基板カバー)
143 コードリール
144 端子部
145 端子カバー部(端子カバー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋と本体のヒンジ部にブレーキ構造を有し、前記ブレーキ構造は金属部と樹脂部からなり、前記蓋が開くと、前記金属部と前記樹脂部が擦れてブレーキ効果を発揮する前記ブレーキ構造を備えた炊飯器であって、前記金属部表面にコーティングを施したことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記コーティングをステンレス入りの焼成コーティングとしたことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記コーティングをモリブデン化合物を焼成コーティングとしたものとしたことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
炊飯器本体にコードリールを取り付けるコードリールカバーを備え、前記コードリールカバーに前記コードリールの端子部を被覆可能な端子カバーを備えたことを特徴とする炊飯器。
【請求項5】
前記コードリールカバーに、制御部を被覆可能な制御部カバーを備えたことを特徴とする請求項4記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−13790(P2013−13790A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−233241(P2012−233241)
【出願日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【分割の表示】特願2009−298361(P2009−298361)の分割
【原出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】