説明

炭化水素を分解する多孔質触媒体及びその製造方法、炭化水素から水素を含む混合改質ガスを製造する方法、並びに燃料電池システム

【課題】 少なくともマグネシウム、アルミニウム及びニッケルを含んだ炭化水素を分解する多孔質触媒体として、炭化水素の分解・除去に対して優れた触媒活性を示し、耐硫黄被毒性に優れ、低スチーム下においても耐コーキング性を有し、触媒内部でコーキングが発生しても粉砕、破裂することのない十分な強度を保持でき、優れた耐久性を有する触媒の提供を目的とする。
【解決手段】 少なくともマグネシウム、アルミニウム及びニッケルからなり、マグネシウムを10〜50wt%、アルミニウムを5〜35wt%、ニッケルを0.1〜30wt%含有し、細孔容積が0.01〜0.5cm/g、平均細孔径が300Å以下、平均圧壊強度が3kgf(29.4N)以上である炭化水素を分解する多孔質触媒体は、少なくともマグネシウム、アルミニウム及びニッケルを含有したハイドロタルサイトを成形し、700℃〜1500℃の範囲で焼成して得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともマグネシウム及びアルミニウム、ニッケルを含んだ炭化水素を分解する多孔質触媒体として、より安価であり、炭化水素の分解・除去に対して優れた触媒活性を示し、耐硫黄被毒性に優れ、低スチーム下においても耐コーキング性を有し、触媒内部でコーキングが発生しても粉砕、破裂することのない十分な強度を保持でき、優れた耐久性を有する触媒の提供を目的とする。
【0002】
また、本発明は、少なくともマグネシウム及びアルミニウム、ニッケルからなる炭化水素を分解する多孔質触媒体及びその製造方法に関するものであり、微小な気孔を多量に含み、大きな比表面積、細孔容積を有し、しかも、高い強度を有する炭化水素を分解する多孔質触媒体及びその製造方法の提供を目的とする。
【0003】
また、本発明は、前記触媒を用いることによって、効果的に炭化水素を分解・除去するとともに、水素を製造することを目的とする。
【背景技術】
【0004】
近年、地球環境の問題より新エネルギーの早期実用化技術が脚光を浴びている。その手段の一つとして燃料電池が注目されている。燃料電池は、水素と酸素とを電気化学的に反応させることにより、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するものであって、エネルギーの利用効率が高いという特徴を有しており、民生用、産業用あるいは自動車用等として、実用化研究が積極的になされている。燃料電池には使用する電解質の種類に応じて、リン酸型(PEFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体酸化物型(SOFC)、固体高分子型(PEFC)等のタイプが一般的に知られている。
【0005】
燃料電池に用いる水素の発生燃料源としては、灯油、イソオクタン、ガソリン等の石油系、LPG又は都市ガスなど幅広い炭化水素含有原料が検討されている。
【0006】
炭化水素含有燃料を改質して水素を主成分とする改質ガスを得る方法として、SR(スチーム改質)、POX(部分酸化)、SR+POX(オートサーマル)等の技術がある。このような改質技術の中、高い水素濃度の改質ガスを得られることから、スチーム改質(SR)のコージェネレーションへの適用検討に最も力点が置かれている。
【0007】
スチーム改質(SR)は以下の反応式によって行われる。
2n+2 + nHO → nCO + (2n+1)H
CO + HO → CO + H
一般に、この反応は600℃〜800℃で行われ、S/C(水蒸気/炭素比:Steam/Carbon比)が2.0〜3.5付近で行われる。この反応は吸熱反応であり、温度が高い程、反応を促進することができる。
【0008】
一般に、燃料電池システムでは、脱硫器を用いて燃料中の硫黄分をほぼ完全に除去し、次いで、炭化水素の分解を行って水素を主成分とした改質ガスを得、該改質ガスを燃料電池セルスタックに導く工程を経る。このような従来法では、改質触媒により炭化水素類の改質を行っているが、長時間にわたって運転する間に改質触媒の性能が低下する。特に、脱硫器をスリップした極微量の硫黄分などにより、改質触媒が被毒され触媒活性が低下してしまう。加えて、C以上の炭化水素を燃料として用いた場合、燃料中の炭化水素が熱分解を起こして、カーボン析出したり、縮重合物が生成したりして、改質触媒の性能を低下させる可能性がある。また、一般に、燃料電池システムのうちPAFC、PEFCの改質触媒は一般的にビーズ状等の成型物として用いられる。この場合、コーキングがビーズ内部で発生すると甚だしい場合は触媒が破裂、粉化して反応管の閉塞を招いてしまう。
【0009】
都市ガス、LPG、灯油、ガソリン、ナフサ等の燃料にはC以外の炭化水素、すなわち、C以上の炭化水素が含まれる。例えば、都市ガス13Aの成分は、メタン:88.5%、エタン:4.6%、プロパン:5.4%、ブタン:1.5%程度であり、主成分であるメタンに加えて炭素数C〜Cの炭化水素が11.5%も含まれている。また、LPGの成分は、エタン:0.7%、プロパン:97.3%、プロピレン:0.2%、ブタン:1.8%程度であり、Cの炭化水素が1.8%含まれている。C以上の炭化水素は容易に熱分解を起こして、カーボン析出をする。
【0010】
現在、スチーム改質触媒における活性金属種として、貴金属系ではPt、Rh、Ru、Ir、Pd等が用いられ、卑金属系ではNi、Co、Fe等が用いられている。このうち、触媒活性の高さから、Ni、Ruの金属元素を担持した触媒が主に使用されている。
【0011】
貴金属系元素Ru等では、S/C(水蒸気/炭素比)が低い条件下でも炭素析出を起こしにくいが、原料中に含まれる硫黄分によって、容易に硫化被毒されて触媒活性が短時間で劣化してしまう。硫化被毒された触媒上には炭素析出が極めて起こり易く、硫黄被毒が炭素析出の引き金になる欠点を持っている。また、貴金属が高価であることから、これを用いた燃料電池システムの値段は非常に高価になってしまい、燃料電池システムのより一層の普及を妨げる要因となりうる。
【0012】
また、卑金属系元素のNiでは比較的炭素析出を起こしやすいため、水蒸気を理論組成よりも過剰に水蒸気/炭素比が高い条件下で使用する必要があり、運転操作が複雑になる他、水蒸気原単位が増加して経済的でない。さらにシステムの連続運転可能条件が狭められ、これを全うするために高価な制御システムが必要になるばかりでなく、システム全体が非常に複雑になるため、製造コストとメンテナンスの面において経済的ではない。
【0013】
スチーム改質反応は高温反応であり、燃料電池システムではDSS運転(Daily Start−up and Shutdown)を行うため、外部加熱による反応器の伸縮・膨脹により触媒体が密に詰まっていき、これの繰り返しにより触媒体の破裂を招いてしまう。そのため、比較的圧壊強度の高いα−アルミナが担体種に一般的に用いられている。
【0014】
しかし、α−アルミナは圧壊強度を高くするため、一般的に高温で焼成することにより製造されているため、BET比表面積や細孔容積が極端に小さい。このことから、α−アルミナに担持された活性金属種は熱被爆により容易にシンタリングされてしまい、触媒活性の劣化を招いてしまう。
【0015】
また、比較的炭素析出を起こしやすいNiを活性金属種とした場合には、炭素析出を抑えるために、CaOやMgO等のアルカリ性元素を添加することがある。しかし、その含有量が多くなりすぎると触媒強度が極端に低下するという問題がある。
【0016】
また、炭素析出を抑制するためにMgO担体のみで打錠成形やプレス成形等で無理に強度を高めると触媒活性が低下するため、高い活性を付与するのが非常に困難になるという問題もある。
【0017】
これらのことから、炭化水素を分解する触媒としては、より安価であり、機能面では優れた炭化水素を分解除去する触媒活性を示し、低スチーム下においても耐コーキング性を有し、触媒内部でコーキングが発生しても粉砕、破裂することのない十分な強度を保持でき、優れた耐久性を有する触媒が望まれている。
【0018】
従来、α−アルミナや酸化マグネシウム、酸化チタンなどの担体に、白金、パラジウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ルテニウム、ニッケルなどを触媒活性金属として担持した触媒が、炭化水素分解用触媒として報告されている(特許文献1〜4など)。また、Niを含有するハイドロタルサイト化合物を前駆体として炭化水素分解用触媒を製造することが知られている。(特許文献5〜7など)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平9−173842号公報
【特許文献2】特開2001−146406号公報
【特許文献3】特開2004−82034号公報
【特許文献4】特開2003−284949号公報
【特許文献5】特表2000−503624号公報
【特許文献6】特開2003−135967号公報
【特許文献7】特開2004−255245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
前記特許文献1の技術は、α―アルミナを担体に、Ruを活性金属種として灯油等の炭化水素を含む燃料の水蒸気改質にて水素の製造方法を示している。しかし、Ru系触媒は原料中に含まれる硫黄分によって硫化し、その硫化によりコーキングが促され触媒活性を失ってしまうと考えられる。
【0021】
前記特許文献2、3に記載の技術は、耐硫黄被毒性の向上は得られるものの、未だ十分とは言い難い。
【0022】
前記特許文献4ではMgOのみで高強度な成形体の製造方法について記載されているが、破壊強度が0.3〜1.2kg/mmと非常に弱い。BET比表面積や細孔容積等の記載はないが、小さいと容易に推測される。
【0023】
また、前記特許文献5〜7の技術は、Niを含有するハイドロタルサイト化合物を前駆体として得られた炭化水素分解用触媒であるが、触媒自体の強度については考慮されていない。
【0024】
また、一般的に用いられるスチーム改質触媒の担体としては、γ―アルミナやα―アルミナ、シリカ、ゼオライト等が用いられているが、マグネシウムを多量に含み、且つ、大きな比表面積を持ち、高い圧壊強度を有する炭化水素を分解する多孔質触媒体の報告はない。
【0025】
また、ハイドロタルサイトを前駆体として、成形体を作製する方法についてはこれまでに報告はない。
【0026】
本発明は、少なくともマグネシウム及びアルミニウム、ニッケルを含んだ炭化水素を分解する多孔質触媒体として、より安価であり、炭化水素の分解・除去に対して優れた触媒活性を示し、耐硫黄被毒性に優れ、低スチーム下においても耐コーキング性を有し、触媒内部でコーキングが発生しても粉砕、破裂することのない十分な強度を保持でき、優れた耐久性を有する触媒の提供を目的とする。
【0027】
また、本発明は、少なくともマグネシウム及びアルミニウム、ニッケルからなる炭化水素を分解する多孔質触媒体及びその製造方法に関するものであり、微小な気孔を多量に含み、大きな比表面積、細孔容積を有し、しかも、高い強度を有する炭化水素を分解する多孔質触媒体及びその製造方法の提供を目的とする。
【0028】
また、本発明は、前記触媒を用いることによって、効果的に炭化水素を分解・除去するとともに、水素を製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0030】
即ち、本発明は、炭化水素を分解する多孔質触媒体であって、少なくともマグネシウム、アルミニウム及びニッケルからなり、マグネシウム及びアルミニウムが複合酸化物として存在し、ニッケルが金属ニッケルとして存在し、マグネシウム元素を10〜50wt%、アルミニウム元素を5〜35wt%、ニッケル元素を0.1〜30wt%含有し、細孔容積が0.01〜0.5cm/gであり、平均細孔径が300Å以下であり、平均圧壊強度が3kgf(29.4N)以上であることを特徴とする炭化水素を分解する多孔質触媒体である(本発明1)。
【0031】
また、本発明は、金属ニッケルが微粒子として存在し、該金属ニッケル微粒子の平均粒子径が1〜20nmである本発明1の炭化水素を分解する多孔質触媒体である(本発明2)。
【0032】
また、本発明は、BET比表面積が10〜100m/gであることを特徴とする炭化水素を分解する多孔質触媒体である(本発明3)。
【0033】
本発明は、少なくともマグネシウム、アルミニウム及びニッケルを含有したハイドロタルサイトを成形し、700℃〜1500℃の範囲で焼成することを特徴とする炭化水素を分解する多孔質触媒体の製造方法である(本発明4)。
【0034】
さらに、本発明は、本発明1乃至3に記載の炭化水素を分解する多孔質触媒体に、平均粒径が50nm以下の金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の活性金属種を担持することを特徴とする炭化水素を分解する多孔質触媒体である(本発明5)。
【0035】
また、本発明は、本発明1、2、3又は5のいずれかに記載の炭化水素を分解する多孔質触媒体を用いて、反応温度が250℃〜850℃であり、スチームとカーボンのモル比(S/C)が1.0〜6.0であり、空間速度(GHSV)が100〜100000h−1の条件下で、炭化水素と水蒸気を反応させることを特徴とする炭化水素から水素を含む混合改質ガスを製造する方法である(本発明6)。
【0036】
また、本発明は、本発明1、2、3又は5のいずれかに記載の炭化水素を分解する多孔質触媒体を用いることを特徴とする燃料電池システムである(本発明7)。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は大きなBET比表面積、細孔容積を有しており、金属ニッケルを非常に微細な粒子の状態で担持されているため、活性金属種である金属ニッケルが水蒸気に接触する面積が増大し、優れた触媒活性を有するものである。
【0038】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は高温焼成により作製するため、高温においても大きなBET比表面積、細孔容積を維持し触媒活性を長期に亘り維持することができる。
【0039】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は高温焼成することでマグネシウム及びアルミニウム、ニッケル及びアルミニウムからなるスピネル相が生成することにより高い圧壊強度を有しているため、スチーム改質反応中にコーキングが起こったとしても、触媒成形体が破裂、粉化することなく優れた触媒活性を維持することができる。
【0040】
また、前記のとおり、本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は、高い触媒活性を有するので、低スチーム下においても耐コーキング性に優れ高い触媒活性を示すことができる。
【0041】
さらに、本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体に金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンなどの活性金属種を担持することで、触媒活性、耐コーキング性さらに耐酸化性を向上させることができる。
【0042】
また、本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体はマグネシウムを多量に含んでいることから耐硫黄被毒性に極めて優れており、耐久性の面でも優れた触媒活性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体について述べる。
【0044】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は少なくともマグネシウム及びアルミニウム、ニッケルから構成された化合物である。そして、マグネシウム及びアルミニウムが複合酸化物として存在し、ニッケルが金属ニッケルとして存在する。マグネシウム及びアルミニウム、ニッケルの他に特に限定されないが、ナトリウム、カルシウム、ケイ素、鉄、亜鉛などの元素が含まれてもよい。
【0045】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体のマグネシウムの含有量は10〜50wt%である。マグネシウムの含有量が10wt%未満の場合はBET比表面積が小さくなり多孔質でなくなり、さらに、耐硫黄被毒性も低下する。また、50wt%を超える場合は機械的強度が低くなる。好ましいマグネシウムの含有量は15〜45wt%であり、より好ましくは20〜40wt%である。
【0046】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体のアルミニウムの含有量は5〜35wt%である。アルミニウムの含有量が5wt%未満の場合には機械的強度が低くなる。また、35wt%を超える場合はBET比表面積が小さくなり多孔質でなくなる。好ましいアルミニウムの含有量は10〜30wt%である。
【0047】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体のニッケルの含有量は0.1〜30wt%である。ニッケルの含有量が0.1wt%未満の場合には炭化水素の転化率が低下する。また、30wt%を超える場合は金属ニッケル微粒子の粒子サイズが20nmを超え、耐コーキング性が著しく低下してしまう。好ましいニッケルの含有量は0.2〜25wt%である。
【0048】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体のマグネシウムとアルミニウムとの比率は特に限定されないが、アルミニウムに対してマグネシウムが多い方が好ましく、マグネシウムとアルミニウムのモル比はMg:Al=5:1〜1:1が好ましい。マグネシウムが前記範囲を超える場合には十分な強度を有する触媒体を容易に得ることが困難となり、前記範囲未満の場合には多孔質体としての特性が得られ難くなる。
【0049】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体の細孔容積は0.01〜0.5cm/gである。細孔容積が0.01cm/g未満の場合は活性種金属を十分に分散担持できなくなる。また0.5cm/gを超える場合には機械的強度が弱くなる。細孔容積は好ましくは0.02〜0.45cm/gであり、より好ましくは0.05〜0.4cm/gである。
【0050】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体の平均細孔径は300Å以下である。平均細孔径が300Åを超えると活性種金属を十分に分散担持できなくなる。好ましい平均細孔径は290Å以下、より好ましくは50〜280Åである。
【0051】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は、マグネシウム及びアルミニウムからなる複合酸化物に金属ニッケルが存在するものである。
【0052】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体において、金属ニッケルは微粒子として存在し、平均粒子径は20nm以下であり、水素製造に最適で優れた触媒活性を有する。金属ニッケルの平均粒子径が20nmを超えると炭化水素ガスと水蒸気とを混合して水素を製造するスチーム改質において触媒活性が低下してしまう。好ましい金属ニッケルの平均粒子径は15nm以下、より好ましくは10nm以下である。金属ニッケルの平均粒子径の下限値は0.5nm程度である。
【0053】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体のBET比表面積は10〜100m/gが好ましい。BET比表面積が10m/g以下の場合には、平均細孔径が大きくなり、活性種金属の十分に分散担持できなくなる。100m/gを超えたものは工業的な生産ができないため現実的ではない。好ましくは15〜80m/g、より好ましくは20〜60m/gである。
【0054】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体の平均圧壊強度は3kgf(29.4N)以上である。平均圧壊強度が3kgf(29.4N)未満の場合には、高温での使用時に割れが発生してしまう。さらに内部でコーキングが発生した場合に破壊、粉化してしまう。好ましくは4〜50kgf(39.2〜490N)、より好ましくは5〜40kgf(49〜392N)である。
【0055】
本発明1乃至3のいずれかに記載の炭化水素を分解する多孔質触媒体に、平均粒径が50nm以下の金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の活性金属種を担持させてもよい(本発明5)。前記活性金属種を担持させることで、さらに炭化水素を分解することが可能である。
上記活性金属種は炭化水素を分解する多孔質触媒体を作製する際に同時に含ませることも可能であり、炭化水素を分解する多孔質触媒体を作製後に担持させても良く、特に限定されるものではない。担持方法に関しても特に限定されず、スプレードライ法や含浸法など一般に行われている手法で良い。
【0056】
金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンなどの活性金属種の平均粒径が50nmを超えると粘土鉱物に担持する効果が得られにくくなる。好ましくは35nm、より好ましくは20nmである。
【0057】
炭化水素を分解する多孔質触媒体に担持される活性金属種の量は、特に限定されないが、例えば、炭化水素を分解する多孔質触媒体に対して重量対比で0.01〜30wt%でよい。
【0058】
また、本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体に担持されるニッケルの担持方法は種々の方法を用いることも可能である。例えば、マグネシウムとアルミニウムからなる炭化水素を分解する多孔質触媒体にニッケルを通常の沈殿法、加熱含浸法、常温含浸法、真空含浸法、平衡吸着法、蒸発乾固法、競争吸着法、イオン交換、スプレー法又は塗布法等により担持する方法、また、ニッケルをマグネシウムとアルミニウムからなるスピネル結晶構造化合物として固溶させ、熱処理によって金属ニッケルをマグネシウムとアルミニウムからなるスピネル担体に析出させる方法である。
【0059】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は、前駆体として、構成する元素を共沈反応によってハイドロタルサイト粒子を製造した後、加熱焼成して多孔質触媒体とし、次いで、加熱還元して作製することがより好ましい。
【0060】
また、ハイドロタルサイト粒子粉末を焼成して複合酸化物粒子を得、次いで、該複合酸化物粒子をアニオンを含有する水溶液によって水和して層状複水酸化物粒子粉末を得る方法が知られている。本発明においては、下記製造方法によってニッケルを担持しても良い。ニッケルを担持したハイドロタルサイト粒子粉末は、必要により加熱焼成を行った後、加熱還元すればよい。
【0061】
即ち、炭化水素を分解する多孔質触媒体に、ニッケルを含む溶液に含浸させることにより、多孔質酸化物粉末あるいは成形体の表面近傍にニッケルを含むハイドロタルサイト相を再生させる方法を用いて担持しても良い。
【0062】
また、前記製造法に従って粒子表面にニッケルが存在する炭化水素を分解する多孔質触媒体に、さらにニッケルを含む溶液に含浸させることにより、成形体の表面近傍にニッケルを含むハイドロタルサイト相を再生させる方法を用いて担持しても良い。
【0063】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体の製造方法について述べる。
【0064】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体の製造方法は、前駆体としてマグネシウム及びアルミニウム、ニッケルを含有するハイドロタルサイト化合物粉末の成形体を作製した後、700℃〜1500℃の温度範囲で熱処理して得ることができる。
【0065】
本発明に係るマグネシウム及びアルミニウム、ニッケルを含有するハイドロタルサイト化合物粉末は、アニオンを含有したアルカリ性水溶液とマグネシウム原料とアルミニウム原料、ニッケル原料水溶液を混合し、pH値が7.0〜13.0の範囲の混合溶液とした後、該混合溶液を50〜300℃の温度範囲で熟成し、その後、濾別分離し、乾燥して得ることができる。
【0066】
熟成時間は特に限定されるものではないが、1〜80時間、好ましくは、3〜24時間、より好ましくは、5〜18時間である。80時間を超える成長反応は工業的ではない。
【0067】
マグネシウム、アルミニウム、ニッケル原料としては硝酸塩など水溶性のものであれば特に限定しない。
【0068】
マグネシウム原料としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム等を用いることができる。
【0069】
アルミニウム原料としては、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、塩基性アンモニウムアルミニウム等を用いることができる。
【0070】
ニッケル塩原料としては、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、安息香酸ニッケル、塩基性炭酸ニッケル、ギ酸ニッケル、クエン酸ニッケル、硫酸ニッケル二アンモニウム等を用いることができる。
【0071】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体の前駆体であるマグネシウム及びアルミニウム、ニッケルを含有するハイドロタルサイト化合物粉末の平均板面径は0.05〜0.4μmが好ましい。平均板面径が0.05μm未満の場合には、濾別・水洗が困難となり工業的な生産が困難であり、0.4μmを超える場合には、炭化水素を分解する多孔質触媒体を作製することが困難である。
【0072】
本発明におけるハイドロタルサイト化合物粉末の結晶子サイズD006は0.001〜0.08μmが好ましい。結晶子サイズD006が0.001μm未満の場合には、水性懸濁液の粘度が非常に高く工業的な生産が難しく、0.08μmを超える場合には、炭化水素を分解する多孔質触媒体を作製するのが困難である。より好ましくは0.002〜0.07μmである。
【0073】
本発明におけるマグネシウム及びアルミニウム、ニッケルを含有するハイドロタルサイト化合物粉末のBET比表面積は3.0〜300m/gが好ましい。比表面積が3.0m/g未満の場合には、炭化水素を分解する多孔質触媒体を作製するのが困難であり、300m/gを超える場合には、水性懸濁液の粘度が非常に高く、また濾別・水洗が困難となり工業的に生産が困難である。より好ましくは5.0〜250m/gである。
【0074】
本発明におけるマグネシウム及びアルミニウムを含有するハイドロタルサイトのマグネシウムとアルミニウムとの比率は特に限定されないが、マグネシウムとアルミニウムのモル比はMg:Al=4:1〜1:1がより好ましい。
【0075】
ハイドロタルサイト化合物粉末の二次凝集粒子径は0.1〜200μmである。0.1μm未満の場合には粉砕処理が困難となり工業的に生産が困難である。200μm以上の場合には成形体を作製することが困難である。好ましくは0.2〜100μmである。
【0076】
粉砕処理は一般的な粉砕装置(アトマイザー、ヤリヤ、ヘンシェルミキサー等)を用いて行うことができる。
【0077】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体の成形では、炭化水素を分解する多孔質触媒体の前駆体である少なくともマグネシウム及びアルミニウム、ニッケルを含有するハイドロタルサイト化合物粉末に成形助剤、結合剤、さらに分散媒体として水及びアルコールを添加し、混練機(スクリューニーダー等)で粘土状混練とした後に成形する。成形する方法には、圧縮成形、プレス成形、打錠成形で行うことができる。
【0078】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体の成形体は、特に制約されず、通常の触媒に採用されている形状であれば良い。例えば、球状、円柱状、中空円柱状、ペレット状等である。
【0079】
球状の場合、その触媒体のサイズは、通常1〜10mmφであり、好ましくは2〜8mmφである。
【0080】
成形助剤には脂肪酸、セルロース、ポリビニルアルコール、でんぷん、メチルセルロース、マルトース、カルボキシメチルセルロース等を用いることができ、その中の2種以上を併用してもよい。焼成処理により、燃焼消失し炭化水素を分解する多孔質触媒体には残留しない。添加量はマグネシウム及びアルミニウム、ニッケルを含有するハイドロタルサイト化合物粉末100重量部に対して、例えば1〜50重量部である。
【0081】
結合剤には再水和性のないアルミナ、αーアルミナ、アルミニウム塩、シリカ、粘土、タルク、ベントナイト、ゼオライト、コージェライト、チタニアアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、希土類金属塩、ジルコニア、ムライト、セピオライト、モンモリロナイト、ハロサイト、サポライト、スチブンサイト、ヘクトライト、シリカアルミナ等を用いることができ、その中の2種以上を併用してもよい。酸化物以外の塩を添加した場合は、焼成で塩が分解し酸化物となることが重要である。添加量はマグネシウム及びアルミニウムを含有するハイドロタルサイト化合物粉末100重量部に対して、例えば1〜50重量部である。
【0082】
アルコール類としては、例えばエタノール、プロパノールなどの1価アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類、グリセリンなどの多価アルコール類等を用いることができ、その中の2種以上を併用してもよい。添加量はマグネシウム及びアルミニウムを含有するハイドロタルサイト化合物粉末100重両部に対して、例えば50〜150重量部である。
【0083】
また、燃焼性物質として、木屑、コルク粒、石炭末、活性炭、結晶性セルロース粉末、でんぷん、蔗糖、グルコン酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレン、ポリスチレン等及びこれらの混合物を添加しても良い。前記燃焼物質の添加量が多いほど細孔容積が大きくなるが、添加しすぎると強度低下を起こすので強度を考慮して添加量の調整を行えばよい
【0084】
別にハニカム状とする場合には、必要に応じて自由に手法を選択すればよい。
【0085】
前記方法により成形した粘土状混練物の乾燥は、自然乾燥、熱風乾燥、真空乾燥などの方法により乾燥することができる。
【0086】
さらに、乾燥した粘土状混練物を熱処理することにより本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体を得ることができる。熱処理は700℃〜1500℃である。熱処理温度が700℃未満の場合には圧壊強度を保つため長時間の熱処理が必要となり、工業的ではない。また1500℃を超える場合には、炭化水素を分解する多孔質触媒体の細孔が潰れてしまう。好ましくは800℃〜1400℃、より好ましくは900℃〜1300℃である。
【0087】
熱処理の時間は1〜72時間である。1時間未満の場合では圧壊強度が低下し、72時間を超える場合には炭化水素を分解する多孔質触媒体の細孔が潰れてしまう上に、長時間の熱処理は工業的ではない。好ましくは2〜60時間であり、より好ましくは3〜50時間である。
【0088】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は、前記炭化水素を分解する多孔質触媒体の焼成物を700℃〜1000℃の範囲で還元処理することにより得られる。還元温度が700℃未満の場合には、ニッケルが金属化しないので本発明の目的とする触媒活性が得られない。1000℃を超える場合にはニッケルのシンタリングが進み金属ニッケル微粒子の粒子サイズが大きくなるため低温における低級炭化水素の転化率が低下し、さらに耐コーキング性も低下する。好ましくは700〜950℃である。
還元時の雰囲気は、水素を含んだガスなど還元雰囲気であれば特に限定されない。
還元処理の時間は特に限定されないが0.5〜24時間が望ましい。24時間を越えると工業的にメリットが見出せない。好ましくは1〜10時間である。
【0089】
次に、本発明に係る炭化水素から水素を含む混合改質ガスを製造する方法について述べる。
【0090】
本発明の炭化水素を分解する多孔質触媒体は、炭化水素と接触させることで水素を含んだ混合改質ガスを得ることができる。
【0091】
本発明に係る炭化水素から水素を含む混合改質ガスを製造する方法は、反応温度が250℃〜850℃であり、水蒸気と炭化水素とのモル比(S/C)が1.0〜6.0であり、空間速度(GHSV)が100〜100000h−1である条件下で、炭化水素を含む原料ガス及び水蒸気を本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体に接触させる。
【0092】
反応温度が250℃未満の場合には低級炭化水素の転化率が低く、長時間にわたり反応を行うとコーキングが起こりやすくなり終には触媒活性が失活することもある。850℃を超える場合には活性金属がシンタリングを起こしやすくなり触媒特性が失活することもある。好ましくは300〜700℃、より好ましくは400〜700℃である。
【0093】
水蒸気(S)と炭化水素(C)のモル比S/Cが1.0未満の場合には耐コーキング性が低下する。また、S/Cが6.0を超える場合には水素製造に多量の水蒸気を必要としコストがかさみ現実的ではない。好ましくは1.5〜6.0、より好ましくは1.8〜5.0である。
【0094】
なお、空間速度(GHSV)は100〜100000h−1が好ましく、より好ましくは1000〜10000h−1である。
【0095】
本発明に使用する炭化水素は特に制限はなく、種々の炭化水素が使用できる。例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素、エチレン、プロピレン、ブテン等不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等芳香族炭化水素及びこれらの混合物が上げられる。工業的に使用できる好適な原料としては、都市ガス13A、天然ガス、LPG、灯油、ガソリン、軽油、ナフサ等である。
【0096】
本発明に使用する炭化水素が灯油、ガソリン、軽油等の室温において液状であるものは気化器を用いて気化させて用いることができる。
【0097】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は、オートサーマルリフォーミング反応で起動した後にスチーム改質に切り替わった場合でも、さらには長時間スチーム改質を行った場合でも十分な触媒活性、耐久性、耐コーキング性、耐硫黄被毒性を発揮でき、DSS(Daily start−up shut−down)を導入した燃料電池システムにおいて最適な触媒である。
【0098】
<作用>
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体が大きな比表面積、細孔容積、高い圧壊強度を有し、且つ、優れた触媒活性、耐硫黄被毒性、耐コーキング性を有する理由については、本発明者は次のように推定している。
【0099】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は層状複水酸化物であるハイドロタルサイトを成形したものを前駆体として焼成することで炭化水素を分解する多孔質触媒体を作製するため、高温焼成してもハイドロタルサイト中の水分が脱水され微細な細孔を大量に含むマグネシウム及びアルミニウム、ニッケルからなる酸化物となるため、比表面積、細孔容量が非常に大きい。また、焼成によりハイドロタルサイトの層間の水分や炭酸イオン等が無くなることにより細孔が形成されるため、細孔径は小さくできる。
【0100】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は、前記理由により、高温で焼成しても高比表面積を維持することができるため、焼結により圧壊強度を高くすることができる。
【0101】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は、高温焼成することでマグネシウム及びアルミニウム、ニッケル及びアルミニウムからなるスピネル相が生成することにより高い圧壊強度を発現できる。
【0102】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は、金属ニッケルが非常に微細な粒子の状態で担持されているため、活性金属種である金属ニッケルが水蒸気に接触する面積が増大し、優れた触媒活性を有する。
【0103】
また、前記のとおり、本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は、高い触媒活性を有するので、低スチーム下においても耐コーキング性に優れ高い触媒活性を示すことができる。
【0104】
さらに、本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体に金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンなどの活性金属種を担持することで、触媒活性、耐コーキング性さらに耐酸化性を向上させることができる。
【0105】
また、本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体はマグネシウムを多量に含んでいることから耐硫黄被毒性に極めて優れており、耐久性の面でも優れた触媒活性を有する。
【実施例】
【0106】
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
【0107】
BET比表面積は、窒素によるB.E.T.法により測定した。
【0108】
平均細孔径及び細孔容積は、島津製作所社製TriStar3000を用いBJH法により求めた
【0109】
触媒成形体の圧壊強度測定は、IMADA社製デジタルフォースゲージを用いて、JIS Z 8841(造粒物−強度試験方法)に準拠して行い、100個の平均から値を求めた。
【0110】
金属ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの粒子の大きさは、電子顕微鏡写真から測定した数値の平均値で示したものである。また10nmを超える金属微粒子の大きさは、「X線回折装置RINT−2500(理学電機(株)製)」(管球:Cu、管電圧:40kV、管電流:300mA、ゴニオメーター:広角ゴニオメーター、サンプリング幅:0.020°、走査速度:2°/min、発散スリット:1°、散乱スリット:1°、受光スリット:0.50mm)を使用し、シェラーの式を用いて微粒子の大きさを計算で求めた。このX線回折装置より求めた金属ニッケル並びに金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの粒子サイズは、電子顕微鏡写真より求めたものと同じであった。
【0111】
マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンの含有量は、試料を酸で溶解し、プラズマ発光分光分析装置(セイコー電子工業(株)、SPS4000)を用い分析して求めた。
【0112】
本発明の代表的に実施の形態は次の通りである。
【0113】
実施例1 <ハイドロタルサイト化合物粉末の調整>
MgSO・7HO 1927.7gとAl(SO・8HO 1001.2g、NiSO・6HO 541.2gとを純水で溶解させ12000mlとした。別にNaOH 8044ml(14mol/L濃度)とNaCO 305.5gを溶解させたものを合わせた23000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩、ニッケル塩との混合溶液を加え、95℃で8時間熟成を行ってハイドロタルサイト化合物を得た。これを濾別分離後、乾燥、粉砕しハイドロタルサイト化合物粉末を得た。得られたハイドロタルサイト化合物粉末のBET比表面積は43.2m/gであった。また粉砕処理後の二次凝集粒子の平均粒子径は13.7μmであった。
【0114】
<炭化水素を分解する多孔質触媒体の調整>
得られたハイドロタルサイト化合物粉末 1058.7gにベーマイト 127.1gとPVA 121.2g、さらに水 105.8gとプロピレングリコール 741.1gを混合し、スクリューニーダーで5時間混練した。混練後の粘土状混練物を圧縮成形法により直径5.1mmφの球状に成形後、105℃で乾燥し、1100℃で3時間熱処理を行った。さらにその後、780℃にて水素/アルゴン体積比が10/90のガス気流中において3時間還元処理を行い、炭化水素を分解する多孔質触媒体を得た。
【0115】
得られた球状(直径4.5mmφ)の炭化水素を分解する多孔質触媒体のBET比表面積は58.5m/gであり、平均細孔径は166Åであり、細孔容積は0.185cm/gであった。またMg含有量は分析の結果、25.07wt%であり、Al含有量は22.48wt%、Ni含有量は15.93wt%であり、金属ニッケル微粒子の大きさは7.8nmであった。平均圧壊強度は32.6kgfであった。
【0116】
<炭化水素を分解する多孔質触媒体を用いた反応>
炭化水素を分解する多孔質触媒体の性能評価は、触媒を直径20mmのステンレス製反応管に10〜50g充填して触媒管を作った。
この触媒管(反応器)に対して、原料ガス及び水蒸気を、反応圧力0.1MPa、反応温度300℃〜800℃、空間速度を10000h−1として流通させた。この時の水蒸気/炭素比は1.0、水蒸気/炭素比は3.0である。なお、炭化水素を含有する原料ガスとして原料ガスには都市ガス(13A)を用いて反応を行った。
【0117】
以上の炭化水素はメタン、CO、CO、Hとして分解されるため、Cn転化率(全炭化水素転化率)を用いた。また、都市ガス(13A)を用いた場合、原料ガス中に含まれるC以上の炭化水素(エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等)の転化率を13A転化率として算出した。
例)原料ガスにプロパンを用いた場合
プロパン転化率
=100×(CO+CO+CH+C)/(CO+CO+CH+C+C

Cn転化率(全炭化水素転化率)
=(CO+CO)/(CO+CO+CH+C+C
【0118】
炭化水素を分解する多孔質触媒体の触媒性能について表1乃至2に示す。
表1には、原料ガスとして都市ガス(13A)を用いGHSVが3000h−1、50000h−1、水蒸気/炭素(S/C)が3.0、反応時間が24hの反応条件における、反応温度(300℃〜700℃)と転化率との関係を示す。
表2には、原料ガスとして都市ガス(13A)を用い、GHSVが3000h−1、反応温度が700℃、水蒸気/炭素(S/C)が1.5の場合における、反応時間とプロパン転化率及び触媒活性測定前後の炭素析出量、さらに水蒸気/炭素(S/C)が1.5の場合における、反応時間と圧壊強度、BET比表面積、細孔容積の関係を示す。
【0119】
実施例2
MgCl・6HO 5619.8gとAlCl・9HO 741.5g、NiCl・6HO 142.9gを純水で溶解させ12000mlとした。別にNaOH 9924ml(14mol/L濃度)とNaCO 455.8gを溶解させたものを合わせた28000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩、ニッケル塩の混合溶液を加え、180℃で8時間熟成を行ってハイドロタルサイト化合物を得た。これを濾別分離後、乾燥、粉砕しハイドロタルサイト化合物粉末を得た。得られたハイドロタルサイト化合物粉末のBET比表面積は12.2m/gであった。また粉砕処理後の二次凝集粒子の平均粒子径は32.2μmであった。
【0120】
得られたハイドロタルサイト化合物粉末 2601gにタルク 78.05gとデンプン 546.3g、さらに水 1170.6gとエチレングリコール 780.5gを混合し、スクリューニーダーで1.5時間混練した。混練後の粘土状混練物をプレス成形により直径5.2mmφの球状に成形後、120℃で乾燥し、1250℃で10時間熱処理を行った。さらにその後、850℃にて水素/アルゴン体積比が90/10のガス気流中において1.5時間還元処理を行い、炭化水素を分解する多孔質触媒体を得た。
【0121】
得られた球状(直径2.6mmφ)の炭化水素を分解する多孔質触媒体のBET比表面積は11.9m/gであり、平均細孔径は208Åであり、細孔容積は0.112cm/gであった。またMg含有量は分析の結果、44.65wt%であり、Al含有量は10.78wt%、Ni含有量は2.344wt%であり、金属ニッケル微粒子の大きさは2.2nmであった。平均圧壊強度は48.2kgfであった。
【0122】
実施例3
Mg(NO・6HO 864.3gとAl(NO・9HO 549.8g、Ni(NO・6HO 639.2gとを純水で溶解させ10000mlとした。別にNaOH 2638ml(14mol/L濃度)とNaCO 217.5gを溶解させたものを合わせた24000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩、ニッケル塩との混合溶液を加え、70℃で6時間熟成を行って含水複水酸化物を得た。これを濾別分離後、乾燥、粉砕しハイドロタルサイト化合物粉末を得た。得られたハイドロタルサイト化合物粉末のBET比表面積は119.2m/gであった。また粉砕処理後の二次凝集粒子の平均粒子径は52.1μmであった。
【0123】
得られたハイドロタルサイト化合物粉末 642.8gにγ−アルミナ 35.35gとメチルセルロース 60.75g、さらに水 128.6gとエチレングリコール 385.7gを混合し、スクリューニーダーで2時間混練した。混練後の粘土状混練物を押出成形により直径2.1mmφの円柱状に成形後、120℃で乾燥し、750℃で18時間熱処理を行った。さらにその後、730℃にて水素/アルゴン体積比が50/50のガス気流中において4.5時間還元処理を行い、炭化水素を分解する多孔質触媒体を得た。
【0124】
得られた円柱状(直径1.8mmφ)の炭化水素を分解する多孔質触媒体のBET比表面積は98.5m/gであり、平均細孔径は82.4Åであり、細孔容積は0.462cm/gであった。またMg含有量は分析の結果、18.21wt%であり、Al含有量は21.74wt%、Ni含有量は28.69wt%であり、金属ニッケル微粒子の大きさは3.5nmであった。さらに平均圧壊強度は3.3kgfであった。
【0125】
実施例4
MgSO・7HO 3223.3gとAl(SO・8HO 1272.1g、NiSO・6HO 1100.3gとを純水で溶解させ15000mlとした。別にNaOH 4552ml(14mol/L濃度)とNaCO 388.3gを溶解させたものを合わせた23000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩、ニッケル塩との混合溶液を加え、80℃で6時間熟成を行ってハイドロタルサイト化合物を得た。これを濾別分離後、乾燥、粉砕しハイドロタルサイト化合物粉末を得た。得られたハイドロタルサイト化合物粉末のBET比表面積は72.4m/gであった。また粉砕処理後の二次凝集粒子の平均粒子径は2.2μmであった。
【0126】
得られたハイドロタルサイト化合物粉末 1701gにカオリナイト 144.6gとPVA 160.8g、さらに水 85.08gとプロピレングリコール 1395.3gを混合し、スクリューニーダーで8時間混練した。混練後の粘土状混練物を圧縮成形法により直径4.9mmφの球状に成形後、105℃で乾燥し、1050℃で12時間熱処理を行った。さらにその後、880℃にて水素/アルゴン体積比が95/5のガス気流中において8時間還元処理を行い、炭化水素を分解する多孔質触媒体を得た。
【0127】
得られた球状(直径3.8mmφ)の炭化水素を分解する多孔質触媒体のBET比表面積は27.5m/gであり、平均細孔径は122Åであり、細孔容積は0.142cm/gであった。またMg含有量は分析の結果、27.30wt%であり、Al含有量は14.72wt%、Ni含有量は21.11wt%であり、金属ニッケル微粒子の大きさは18.5nmであった。平均圧壊強度は17.4kgfであった。
【0128】
実施例5
MgCl・6HO 1597.3gとAlCl・9HO 431.1g、NiCl・6HO 664.8g、CoCl・6HO 169.9を純水で溶解させ8000mlとした。別にNaOH 4755ml(14mol/L濃度)とNaCO 265.0gを溶解させたものを合わせた22000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩、ニッケル塩、コバルト塩の混合溶液を加え、140℃で10時間熟成を行ってハイドロタルサイト化合物を得た。これを濾別分離後、乾燥、粉砕しハイドロタルサイト化合物粉末を得た。得られたハイドロタルサイト化合物粉末のBET比表面積は13.2m/gであった。また粉砕処理後の二次凝集粒子の平均粒子径は22.2μmであった。
【0129】
得られたハイドロタルサイト化合物粉末 1134gにタルク 34.03gとPVA 158.8g、さらに水 260.9gとエチレングリコール 680.6gを混合し、スクリューニーダーで3.3時間混練した。混練後の粘土状混練物をプレス成形により直径10mmφの球状に成形後、120℃で乾燥し、1150℃で10時間熱処理を行った。さらにその後、810℃にて水素/アルゴン体積比が90/10のガス気流中において3.5時間還元処理を行い、炭化水素を分解する多孔質触媒体を得た。
【0130】
得られた球状(直径6.5mmφ)の炭化水素を分解する多孔質触媒体のBET比表面積は17.5m/gであり、平均細孔径は251Åであり、細孔容積は0.121cm/gであった。またMg含有量は分析の結果、26.65wt%であり、Al含有量は13.01wt%、Ni含有量は22.63wt%であり、Co含有量は5.681wt%であった。また、金属ニッケル微粒子の大きさは9.8nmであり、金属コバルト微粒子の大きさは12.2nmであった。平均圧壊強度は34.2kgfであった。
【0131】
実施例6
実施例1と同様にして直径5.2mmφの球状に成形した粘土状混練物を、120℃で乾燥し、1000℃で8時間熱処理を行った。その後、金属換算でRuを2.2wt%となるようにスプレー担持させ、乾燥後、760℃にて水素/アルゴン体積比が10/90のガス気流中において2時間還元処理を行った。
【0132】
得られた球状(直径4.7mmφ)の炭化水素を分解する多孔質触媒体のBET比表面積は41.5m/gであり、平均細孔径は138Åであり、細孔容積は0.161cm/gであった。またMg含有量は分析の結果、24.52wt%であり、Al含有量は21.98wt%、Ni含有量は15.58wt%であり、Ru含有量は2.182wt%であった。また、金属ニッケル微粒子の大きさは5.5nmであり、金属ルテニウム微粒子の大きさは6nmであった。平均圧壊強度は15.4kgfであった。
【0133】
実施例7
Mg(NO・6HO 1523.1gとAl(NO・9HO 618.9gとを純水で溶解させ10000mlとした。別にNaOH 2400ml(14mol/L濃度)とNaCO 244.9gを溶解させたものを合わせた15000mlのアルカリ混合溶液を用意した。このアルカリ混合溶液に前記マグネシウム塩とアルミニウム塩との混合溶液を加え、85℃で4時間熟成を行って含水複水酸化物を得た。これを濾別分離後、乾燥、粉砕しハイドロタルサイト化合物粉末を得た。得られたハイドロタルサイト化合物粉末のBET比表面積は86.5m/gであった。また粉砕処理後の二次凝集粒子の平均粒子径は42.1μmであった。
【0134】
得られたハイドロタルサイト化合物粉末 487.6gにγ−アルミナ 41.17gとメチルセルロース 49.41g、さらに水 179.7gとエチレングリコール 396.8gを混合し、スクリューニーダーで1.5時間混練した。混練後の粘土状混練物を、押出成形により直径2.5mmφの円柱状に成形し、95℃で乾燥し、次いで、950℃で20時間熱処理を行った。
その後、金属換算でNiを8.0wt%となるようにニッケル塩をスプレー担持させ、乾燥後、760℃にて水素/アルゴン体積比が50/50のガス気流中において5時間還元処理を行い、炭化水素を分解する多孔質触媒体を得た。
【0135】
得られた円柱状(直径2.1mmφ)の炭化水素を分解する多孔質触媒体のBET比表面積は78.5m/gであり、平均細孔径は102.4Åであり、細孔容積は0.371cm/gであった。またMg含有量は分析の結果、29.61wt%であり、Al含有量は22.73wt%、Ni含有量は7.944wt%であり、金属ニッケル微粒子の大きさは4.2nmであった。さらに平均圧壊強度は8.2kgfであった。
【0136】
比較例1
MgO 895.6gとγ−アルミナ 9.652gとPVA 71.52gと水521.3gを混合し、スクリューニーダーで1時間混練した。混練後の粘土状混練物を圧縮成形法により直径5.1mmφの球状に成形後、120℃で乾燥し、1250℃で8時間熱処理を行った。その後、金属換算でNiを34wt%となるようにスプレー担持させ、乾燥後、800℃にて水素/アルゴン体積比が10/90のガス気流下において3時間還元処理を行った。
得られた球状(直径3.2mmφ)の触媒体のBET比表面積は2.2m/gであり、平均細孔径は382Åであり、細孔容積は0.009cm/gであった。また、マグネシウムの含有量は39.77wt%であり、アルミニウムの含有量は0.563wt%であり、Ni含有量は33.33wt%であった。また、金属ニッケル微粒子の大きさは35.5nmであった。さらに平均圧壊強度は4.3kgfであった。
【0137】
比較例2
γ−アルミナ 845.3gにPVA 22.54gを混合したものを、転動造粒機にて純水をスプレーしながら造粒し、直径4.8mmφの球状のγ−アルミナ成形体を得た。得られた成形体を120℃で乾燥し、850℃で10時間熱処理を行った。その後、金属換算でNiを20wt%となるようにスプレー担持させ、乾燥後、780℃にて水素/アルゴン体積比が10/90のガス気流下において2時間還元処理を行った。
得られた球状(直径2.7mmφ)の触媒体のBET比表面積は185.5m/gであり、平均細孔径は322Åであり、細孔容積は0.532cm/gであった。また、アルミニウムの含有量は42.96wt%であり、Ni含有量は18.79wt%であった。また、金属ニッケル微粒子の大きさは25.5nmであった。さらに平均圧壊強度は1.2kgfであった。
【0138】
比較例3
実施例1で作製したハイドロタルサイト化合物粉末 847.2gに水 440.4gを混合し、スクリューニーダーで5時間混練した。混練後の粘土状混練物を圧縮成形法により直径5.3mmφの球状に成形後、105℃で乾燥し、1100℃で3時間熱処理を行った。さらにその後、780℃にて水素/アルゴン体積比が10/90のガス気流中において3時間還元処理を行い、炭化水素を分解する多孔質触媒体を得た。
得られた球状(直径4.5mmφ)の炭化水素を分解する多孔質触媒体のBET比表面積は65.2m/gであり、平均細孔径は144Åであり、細孔容積は0.198cm/gであった。またMg含有量は分析の結果、29.42wt%であり、Al含有量は17.19wt%、Ni含有量は18.71wt%であり、金属ニッケル微粒子の大きさは6.5nmであった。平均圧壊強度は1.1kgfであった。
【0139】
【表1】

【0140】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は大きなBET比表面積、細孔容積を有しており、金属ニッケルを非常に微細な粒子の状態で担持されているため、活性金属種である金属ニッケルが水蒸気に接触する面積が増大し、優れた触媒活性を有するものである。
【0142】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は高温焼成により作製するため、高温においても大きなBET比表面積、細孔容積を維持し触媒活性を長期に亘り維持することができる。
【0143】
本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は高温焼成することでマグネシウム及びアルミニウム、ニッケル及びアルミニウムからなるスピネル相が生成することにより高い圧壊強度を有しているため、スチーム改質反応中にコーキングが起こったとしても、触媒成形体が破裂、粉化することなく優れた触媒活性を維持することができる。
【0144】
また、前記のとおり、本発明に係る炭化水素を分解する多孔質触媒体は、高い触媒活性を有するので、低スチーム下においても耐コーキング性に優れ高い触媒活性を示すことができる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素を分解する多孔質触媒体であって、少なくともマグネシウム、アルミニウム及びニッケルからなり、マグネシウム及びアルミニウムが複合酸化物として存在し、ニッケルが金属ニッケルとして存在し、マグネシウム元素を10〜50wt%、アルミニウム元素を5〜35wt%、ニッケル元素を0.1〜30wt%含有し、細孔容積が0.01〜0.5cm/gであり、平均細孔径が300Å以下であり、平均圧壊強度が3kgf以上であることを特徴とする炭化水素を分解する多孔質触媒体。
【請求項2】
金属ニッケルが微粒子として存在し、該金属ニッケル微粒子の平均粒子径が1〜20nmである請求項1記載の炭化水素を分解する多孔質触媒体。
【請求項3】
BET比表面積が10〜100m/gである請求項1又は2記載の炭化水素を分解する多孔質触媒体。
【請求項4】
少なくともマグネシウム、アルミニウム及びニッケルを含有したハイドロタルサイトを成形し、700℃〜1500℃の範囲で焼成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の炭化水素を分解する多孔質触媒体の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の炭化水素を分解する多孔質触媒体に、平均粒径が50nm以下の金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、レニウム、銅、マンガン、クロム、バナジウム、チタンから選ばれる一種または二種以上の活性金属種を担持する炭化水素を分解する多孔質触媒体。
【請求項6】
請求項1、2、3又は5のいずれかに記載の炭化水素を分解する多孔質触媒体を用いて、反応温度が250℃〜850℃であって、スチームとカーボンのモル比(S/C)が1.0〜6.0であって、空間速度(GHSV)が100〜100000h−1の条件下で、炭化水素と水蒸気を反応させることを特徴とする炭化水素から水素を含む混合改質ガスを製造する方法。
【請求項7】
請求項1、2、3又は5のいずれかに記載の炭化水素を分解する多孔質触媒体を用いることを特徴とする燃料電池システム。

【公開番号】特開2009−233662(P2009−233662A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52519(P2009−52519)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000166443)戸田工業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】