炭化水素燃料の発熱量および相対密度を決定するための方法ならびに装置
燃料の発熱量を決定するための方法であって、燃料は、最高モル濃度中に含まれる第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素から成り、燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定するステップと、測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定するステップと、第1の炭化水素のモル濃度を測定するステップと、理想的モル発熱量(HVm,i)および第1の炭化水素のモル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定するステップとを含む、方法が開示される。また、装置も開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素燃料の発熱量および相対密度(または、比重)を決定するための方法ならびに装置に関する。これらの値を使用して、炭化水素燃料のエネルギー含量および/またはウォッベ指数を定義する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素燃料の供給契約は、1時間または1日毎のガスのエネルギー含量の平均値に基づく。従って、燃料のエネルギー含量の測定のための機器の設計者の主要な懸念は、測定の精度であった。今日、燃料ガスのエネルギー含量を測定するための最も一般的に使用される産業用器具は、プロセスガスクロマトグラフ(PGC)である。本器具は、「BTU分析器」と称される場合があるが、高精度であると同時に、約数分、通常は、3から5分の長時間の分析時間を有することを特徴とする。さらに、本器具は、構築、操作、および維持が複雑であって、較正するために、多成分ガスを必要とする。これらの要因は、高速かつ正確である一方、構築、操作、および維持が簡単である、燃料のエネルギー含量を測定するための改良型手段の必要性をもたらす。
【0003】
ウォッベ指数は、異なる燃料流、特に、気体燃料の燃焼エネルギー出力の比較を提供するために使用される計算値である。異なる燃料のウォッベ指数を比較することによって、燃焼の間のそれらの異なるエネルギー出力の指標を求めることが可能である。したがって、類似ウォッベ指数を有する異なる組成の2つの燃料は、所与の条件集合下、燃焼時、類似エネルギー出力を提供するであろう。
【0004】
ウォッベ指数(Wl)は、燃料の発熱量(HV)および相対密度(RD)から計算され、以下の公式によって定義される。
WI=HV/√RD
【0005】
ウォッベ指数は、異なる炭化水素燃料、特に、炭化水素燃料ガスの燃焼エネルギー出力を比較するために、商業規模で使用される。従って、ウォッベ指数の正確な決定は、広範囲の産業、最も顕著には、天然ガス産業にとって、重要である。
【0006】
燃料バーナ設備、特に、ガスバーナ設備における用途のための高速かつ正確である、ウォッベ指数を決定する手段に対して、特定の必要性が存在する。本必要性は、バーナ設備の操作に関連する安全および環境問題の結果として生じる。また、ウォッベ指数を決定するためのそのような改良型手段は、燃料供給システム内で採用される緩衝系の内部容積を低減するために、高速分析時間が必要とされる燃料混合ステーションにおいて、非常に役に立つであろう。
【0007】
エネルギーおよび/またはウォッベ指数を決定するための高速計測器は、周知である。第1の種類は、非特許文献1の要件に基づく。D−4891は、ある組成範囲内のガスの発熱量の決定に関する。本方法は、規格内に開示される天然ガスの発熱量と化学量論的ガス酸化流との間の線形関係に基づく。燃料は、酸素(または、空気)によって燃焼され、化学量論的酸化ガス流動条件を決定するために、燃焼温度あるいは出口における酸素(または、空気)流量のいずれかが、測定される。D−4891に開示される方法は、高速であって、15秒未満の応答時間を有し、比較的正確であって、約0.4%の精度を伴う。また、本方法は、高価かつ時間のかかる再較正を必要とすることなく、広範囲のガス組成に適用可能であるという利点を有する。しかしながら、ウォッベ指数を決定するために、D−4891の方法は、同レベルの精度および応答速度を有する燃料ガスの密度を測定するための方法と併用されなければならない。
【0008】
燃料のエネルギー含量および/またはウォッベ指数を決定するための第2の種類の高速計測器は、炭化水素の探鉱および生産活動の結果として産生される天然ガスである、いわゆる一般的燃料ガスの測定に適用される。一般的天然ガスの組成は、4つの依存性成分(窒素(N2)、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)およびいわゆる「等価炭化水素」(CH))から成ると考えられている。等価炭化水素は、本質的に、アルカンから成ると考えられている、ガスの高級炭化水素を表す。概して、一般的ガスに適用可能な3分の1原則によると、連続的高級炭化水素のモル比は、約3分の1であって、すなわち、例えば、プロパン対エタンのモル比は、約1/3であって、ガス内のプロパン対ブタンのモル比は、約1/3である等である。これらの特徴によって、一般的天然ガスは、「一般的天然ガスの相関原理」と称されるガスの3つの独立特性を使用して、特徴付けられる。3分の1原則の原理に基づいて作用する一般的天然ガスのエネルギー含量および/またはウォッベ指数の決定のための計測器は、「相関計測器」と称され、3つの独立特性の測定を適用する。好適な独立特性の実施例として、ガスの発熱量、ガスの密度、ガス内の音速、ガスの熱容量、ガスの熱伝導性、および二酸化炭素の濃度を含む。そのような計測器は、高速応答時間(通常は、15秒未満)と、ガスの発熱量および密度の両方の測定の容認可能な精度(通常は、0.5%以内)とを組み合わせることを特徴とする。しかしながら、これらの計測器が作用する原理、特に、等価炭化水素理論および3分の1原則の結果として、それらの適用は、天然産生燃料ガスに限定される。相関計測器は、例えば、プロパンおよびブタンを除去するために処理された、または窒素と混合された天然ガス、ならびに生物ガス、精製ガス等の他の燃料ガス等、他の燃料ガスに適用することは不可能である(そのような燃料は、3分の1原則に従う組成を有していないため)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】米国材料試験協会規格D−4891「Standard Test Method for Heating Value of Gases in Natural Gas Range by Stoichiometric Combusiton」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、高速度の応答と高度の精度とを組み合わせた、天然ガスだけではなく、広範囲の燃料のエネルギーおよび/またはウォッベ指数を決定するための手段の必要性が存在する。また、そのような手段が、殆どまたは全く較正および整備を必要とせず、簡単に構築ならびに操作可能である場合、有益となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の局面では、本発明は、燃料の発熱量を決定するための方法であって、燃料は、最高モル濃度中に含まれる第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素から成り、
燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定するステップと、
測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定するステップと、
第1の炭化水素のモル濃度を測定するステップと、
理想的モル発熱量(HVm,i)および第1の炭化水素のモル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定するステップと
を備える、方法を提供する。
【0012】
理想的モル発熱量(HVm,i)は、化学量論的酸素(または、空気)/燃料比と線形関係にあって、HVm,iは、周知の方法で決定可能である。しかしながら、実質モル発熱量(HVm,r)は、HVm,iから相当量逸脱することが分かっている。これは、次に、周知の技術を使用するHVm,rの決定精度を約±0.40%に制限する。従って、HVm,iに基づく、燃料燃焼設備の操作等の操作は、不正確であって、燃料の非効率的な使用へとつながるであろう。本発明の第1の局面の方法では、HVm,rは、燃料の炭化水素組成に基づく補正と組み合わせて、HVm,iから決定される。このように、非常に広範囲の天然ガスに対しては、±0.05%、非常に広範囲の液化石油ガス(LPG)燃料に対しては、±0.10%の高精度まで、HVm,iを決定可能であることが分かっている。
【0013】
本発明の方法は、気体および液体燃料の両方を含む、広範囲の炭化水素燃料に適用されてもよい(液体燃料は、測定デバイス内への注入前に気化される必要がある)。実際には、炭化水素燃料の発熱量およびウォッベ指数の測定は、燃料の沸点および粘度によって限定されるであろう。これは、本方法の実際的使用が、原油の加熱用オイル蒸留留分以下に限定されることを意味する(沸点200−350°C、炭化水素鎖長C15−C18)。高級原油由来炭化水素留分、例えば、潤滑油、アスファルト、および残渣は、加熱または燃焼用途のための燃料として使用されることはほとんどない。実際には、炭化水素を気化する必要性のため、本発明の方法を使用して、それらの発熱量およびウォッベ指数を測定することは、技術的に困難であるだろう。したがって、本発明の方法は、概して、液化石油ガス(LPG)、ガソリン、ならびにディーゼル、灯油、ジェット燃料、および加熱用オイル等の軽質燃料油等の分留生成物を伴う、軽質原油留分(A級と称される場合がある)内の液体燃料により適用可能である。
【0014】
本発明の本局面の方法は、気体燃料のモル発熱量を決定するために特に好適である。一般的天然ガス同様に、精製ガス、処理済み天然ガス、合成天然ガス(SNG)、生物ガス等の他の燃料ガスを含む、広範囲の気体燃料組成に適用されてもよいことは、本方法の利点である。換言すると、本発明の方法は、一般的および非一般的燃料(3分の1原則に従わない燃料)の両方に適用されてもよい。
【0015】
上述のように、本発明の方法は、最高モル濃度の燃料中に含まれる炭化水素成分である、第1の炭化水素成分の識別と、その濃度の測定とを必要とする。また、上述のように、一般的または処理済み天然ガスの場合、本成分は、メタンである。世界的に市販されている天然ガスのモル組成は、概して、以下の範囲内で異なる。
【0016】
【表1】
【0017】
他の燃料の場合、第1の炭化水素成分は、高級炭化水素、例えば、エタン、プロパン、またはブタン等であってもよい。LPGの場合、炭化水素モル組成は、「プロパン」−LPGと「ブタン」−LPGでは異なるであろう。英国規格BS4250:1997「Specification for commercial butane and commercial propane」は、これらの燃料の成分濃度に対して、以下の上限を指定している(LPGの発熱量またはウォッベ指数に影響を及ぼさないため、硫黄およびアンモニア等の微量成分は、無視し、示されない)。
【0018】
【表2】
【0019】
本発明の方法では、LPGの場合、第1の炭化水素は、これらの成分のいずれかが、最高モル濃度中に存在する炭化水素であり、対象となるLPGの種類に応じて、プロパンまたはブタンであって、プロパンまたはブタンのモル濃度が、HVm,rを決定する際に使用するために測定される。
【0020】
実際には、燃料内の第1の炭化水素の濃度が、単一成分測定デバイスを使用して測定されるべき場合、測定デバイスは、第1の炭化水素として、本成分を有する燃料の分析にその適用が限定されるであろう。したがって、例えば、所与の炭化水素に対して特有の帯域幅を伴う、単一赤外線(IR)検出器を採用するデバイスは、第1の炭化水素として、本所与の炭化水素を有する炭化水素燃料専用となるであろう。あるいは、測定デバイスは、2つ以上の炭化水素の濃度を測定するように作動可能であってもよい。例えば、デバイスは、それぞれ、異なる炭化水素に対して特有の帯域幅を有する、複数のIR検出器を備えてもよい。このように、測定デバイスは、より広範囲の燃料に適用可能に生成されてもよい。
【0021】
本発明の第1の局面の方法は、少なくとも1つの炭化水素から成る燃料に適用される。燃料は、単独で、あるいは1つ以上の他の非炭化水素成分、例えば、窒素および/または二酸化炭素と組み合わせて、単一炭化水素、例えば、天然ガスの場合、メタンから成ってもよい。より一般的には、燃料は、複数の炭化水素の混合物から成る。したがって、天然ガスの場合、燃料は、1つ以上の非炭化水素成分、特に、窒素および二酸化炭素とともに、より低濃度の高級炭化水素を伴う、主要炭化水素として、メタンから成るであろう。デバイスの適用範囲が定義された後、最高モル濃度中に含まれる成分は、周知の方法で決定される。それらの主要炭化水素成分を伴う可能性のある適用範囲の実施例として、以下を含む:
天然ガス、生物ガス、CNG、およびSNG(メタン)
LPG(プロパンまたはブタン)
液体燃料(高級アルカン、通常は、オクタン)。
【0022】
HVm,iの補正は、最高濃度中に含まれる炭化水素成分のモル濃度の決定に基づく。
【0023】
天然ガスの場合、一般的または処置済みであるかにかかわらず、最高モル濃度中に含まれる炭化水素成分は、メタンである。従って、天然ガスの場合、HVm,iは、ガスの化学量論的酸化モル流量比とHVm,iとの間の線形関係から決定される。HVm,rを求めるために、HVm,iは、メタンの測定濃度を使用して補正される。
【0024】
燃料の化学量論的酸化モル流量比は、当該分野において周知の技術を使用して、決定されてもよい。酸素(または、空気)対燃料のモル比のある範囲にわたる燃料の燃焼または酸化は、酸素(または、空気)対燃料の化学量論的比率において、最大あるいはピーク温度を呈する温度分布をもたらすであろう。図1を参照すると、所与の天然ガスの酸化温度と対比して、酸素(または、空気)のモル流量対燃料のモル流量の比率のグラフが示される。示されるように、燃焼温度は、あらゆる他の燃焼パラメータは一定に維持されたまま、酸素(または、空気)対燃料のモル比に伴って変動する。温度分布は、化学量論的酸化燃料比に対応する明確なピークを呈する。図1に例示されるガスの場合、本比率は、2.0である。
【0025】
ピーク温度測定は、少なくとも±0.5°C、より好ましくは、少なくとも±0.1°Cの精度で決定されることが好ましい。
【0026】
化学量論的酸化流量比を決定する他の方法として、燃焼チャンバの出口における、酸素(または、空気)濃度の継続的測定を含む。希薄から濃厚条件の酸素(または、空気)/ガス流量比の変動によって、酸素(または、空気)枯渇点が定義可能となり、その点は、化学量論的流量比に対応する。
【0027】
理想的モル発熱量HVm,iは、化学量論的酸化モル流量比から決定される。これは、当該分野において周知の技術を使用して、達成されてもよい。例えば、上述のように、HVm,iが、化学量論的モル流量比と線形関係を呈することは周知である。図2aを参照すると、成分のそれぞれに対してある限度を伴う、非常に広範囲の無作為天然ガス組成の理想的発熱量HVm,iと対比して、化学量論的酸化モル流量比(酸素(または、空気)のモル流量/燃料のモル流量)のグラフが示される。
【0028】
図2aに表示される天然ガス範囲の場合、これらの限度は、以下となる。
【0029】
【表3】
【0030】
0.999987の相関係数R2を伴うこれらの天然ガス試料に対しても、線形関係が当てはまることが分かる。従って、本関係を本発明の方法において使用し、HVm,iを決定してもよい。
【0031】
また、理想的モル密度(Dm,i)と化学量論的モル流量比との間にも類似線形関係が存在することが分かっている。この点において、上述の広範囲の無作為天然ガス組成の相関係数R2は、0.9827である。理想的モル密度(Dm,i)と化学量論的モル流量比との間の関係は、図2bに示される。
【0032】
本発明の方法は、最高モル濃度中に含まれる炭化水素成分である、第1の炭化水素のモル濃度成分を決定するステップをさらに備える。上述のように、天然ガスの場合、第1の炭化水素成分は、メタンである。しかしながら、第1の炭化水素成分は、燃料に応じて、別の炭化水素、特に、エタン、プロパン、またはブタン等の高級アルカンであってもよい。
【0033】
第1の炭化水素のモル濃度を測定するための方法は、当該分野において周知である。第1の炭化水素のモル濃度を決定するための好適な方法として、上述のように、当該分野において周知の赤外線測定技術を含む。非分散型赤外線(NDIR)技術は、赤外線領域内の特定波長における赤外線光の成分吸収を測定するステップから成る。炭化水素燃料内の炭化水素成分の基本振動モードは、中赤外線波長スペクトル内に位置する。着目成分の共鳴振動周波数に対応する入射赤外線光のための適切なフィルタの選択によって、本成分の濃度は、比較的高速かつ正確な方法で測定可能である。
【0034】
また、第1の炭化水素のモル濃度を測定するための他の技術も、当該分野において周知であって、当業者には明白となるであろう。例えば、光吸収技術は、近赤外線(NIR、700−2500nm)および遠赤外線(FIR、25−1000μm)等の他の波長においても適用され得るが、炭化水素の光吸収は、中赤外線領域におけるように顕著ではない。炭化水素の場合、FIR領域内の吸収は、分子の回転エネルギーの変化によるものである一方、NIR領域内の吸収は、振動エネルギー周波数の調波によるものである。場合によっては、吸収は、これらの波長における燃料内の他の分子の吸収スペクトルの影響によってあまり影響を受けない場合あり、その場合、特に注意が必要とされ、信号強度の損失を補償しなければならない。
【0035】
本発明の方法において使用するための燃料内の個々の炭化水素濃度を測定するための別の技術は、ガスクロマトグラフィであって、個々の成分は、カラムの固定相内の成分の溶解度の差異に基づいて、分離カラム内で互いに分離され、熱伝導度検出器または熱イオン化検出器等、カラムの出口における検出器によって個々に測定される。燃料内の個々の炭化水素濃度を測定するためのさらなる技術は、質量分析であって、成分は、イオン化され、電磁場内で互いに分離され、その値は、着目成分を除いて、全成分が検出器経路から偏向されるように設定される。
【0036】
第1の炭化水素のモル濃度は、少なくとも±2%の最大測定限界、より好ましくは、±1%の最大測定限界を超える精度まで決定されることが好ましい。
【0037】
上述のように、実質モル発熱量HVm,rは、理想的モル発熱量HVm,iおよび第1の炭化水素に対して決定されたモル濃度から決定される。上述のように、HVm,rは、HVm,iから相当量逸脱する可能性がある。図3は、多数の一般的天然ガス組成に対するHVm,iからのHVm,rの逸脱を示す。示されるように、本逸脱は、ガス組成に応じて、±0.4%である。本誤差は、燃料の成分の圧縮率Zの結果として生じる。しかしながら、HVm,rと圧縮率係数Zとの間の関係の相関係数は不十分であって、十分な精度を伴って、HVm,iからHVm,rを決定するために使用することは不可能である。
【0038】
現在、広範囲の燃料に対するHVm,iからのHVm,rの逸脱は、燃料内の第1の炭化水素の濃度の変動と非常に密接に相関することが分かっている。図4を参照すると、世界的規模で市販されている天然ガス燃料のある範囲に対するモル化学量論的酸化流量比と対比して、HVm,iからのHVm,rの逸脱のグラフが示される。図5を参照すると、同一天然ガス燃料の化学量論的酸化流量比と対比して、図4に類似するメタンのモル濃度のプロット図が示される。示されるように、燃料のHVm,iからのHVm,rの逸脱は、天然ガス燃料内のメタンである、第1の炭化水素のモル濃度と非常に相関する。同一の相関は、上述の燃料等のメタン以外の第1の炭化水素を伴う燃料にも当てはまる。
【0039】
HVm,rは、第1の炭化水素のHVm,iおよびモル濃度から決定される。HVm,rを決定する方法は、以下のようになる:
1.燃料内の第1の炭化水素の化学量論的酸化流量および濃度を測定する;
2.上述および図2に示されるように、測定される燃料範囲のHVm,iと化学量論的酸化モル流量比との間の相関係数R2を決定する;
3.測定される燃料の理想的モル密度(Dm,i)を測定する;
4.測定される燃料範囲の理想的モル密度(Dm,i)と化学量論的酸化モル流量比との間の相関係数R2を決定する;
5.固定値として、測定された第1の炭化水素の濃度によって、測定の必要がある燃料の開始組成を定義する;
6.周知の方法(例えば、ISO6976またはGPA2172に定義されるもの)を使用して、HVm,iおよびDm,iを計算する;
7.順に、わずかな増加によって、開始組成内の各成分の濃度を変動させ、新組成を提供する;
8.周知の方法を使用して、新組成のHVm,iおよびDm,iを計算する;
9.計算されたHVm,iおよびDm,iの値をそれぞれに対して相関係数R2を使用する化学量論的酸化モル流量比との相関曲線から導出されたものと比較する;
10.組成を使用して計算されたものと相関係数R2を使用して決定されたものとのHVm,iの値の差異が、0.01%未満である場合、その組成を使用して、燃料の圧縮率を計算する。そうではない場合、ステップ7から9を繰り返す;
11.相関係数R2を使用して化学量論的酸化モル流量比から得られた最終組成のHVm,iの値を圧縮率で除算することによって、HVm,rを計算する。
【0040】
上述の方法では、ステップ7において、相関曲線および係数R2を使用して化学量論的酸化モル流量比から計算された対応値から、それぞれ、0.1%および0.5%未満異なるHVm,iおよびDm,iの値へとつながる組成変化のみ考慮されている。
【0041】
HVm,rの決定の実施例として、図6を参照すると、それらのモル化学量論的酸化流量比の観点から表される、非常に広範囲の気体燃料組成のHVm,iからのHVm,rの計算のグラフが示される。示されるように、本発明の方法によって、実質モル発熱量HVm,rは、±0.05%の精度で決定可能となる。
【0042】
第2の局面では、本発明は、燃料の発熱量を決定するための装置であって、燃料は、最高モル濃度中に含まれる第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素から成り、
燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定するための手段と、
測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定するための手段と、
第1の炭化水素のモル濃度を測定するための手段と、
理想的モル発熱量(HVm,i)および第1の炭化水素のモル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定するための手段と
を備える、装置を提供する。
【0043】
燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定するための手段と、第1の炭化水素のモル濃度を測定するための手段は、上述の技術を実装するための任意の好適な手段であってもよい。
【0044】
理想的および実質モル発熱量(HVm,iおよびHVm,r)を決定するための手段は、任意の好適なプロセッサまたはコンピュータであってもよい。好適なプロセッサは、当業者には周知であって、市販されている。
【0045】
上述のように、燃料のウォッベ指数の決定は、ガスの実質モル発熱量HVm,rおよび相対密度または比重の計算を必要とする。当然、ウォッベ指数の正確な計算は、HVm,rおよび相対密度の両方の正確な決定を必要とすることになる。
【0046】
さらなる局面では、本発明は、少なくとも1つの炭化水素成分から成る、燃料の相対密度を決定する方法であって、
燃料の実質発熱量を決定するステップと、
燃料の音速を測定するステップと、
燃料内の二酸化炭素の濃度を測定するステップと、
実質発熱量、音速、および二酸化炭素の濃度から、燃料の相対密度を決定するステップと
を備える、方法を提供する。
【0047】
本発明の本局面の方法は、上述のように、液体および気体燃料の両方を含む、広範囲の炭化水素燃料に適用されてもよい。本方法は、気体燃料、特に、一般的または処理済み天然ガス、精製ガス、燃料ガス、生物ガス、SNG(合成天然ガス)等の相対密度の決定において特に有益である。
【0048】
相対密度を決定する方法は、燃料の実質発熱量の決定を必要とする。任意の好適な方法が、採用されてもよい。しかしながら、本発明の第1の局面および上述のHVm,rを決定する方法を採用することは、特に好ましい。
【0049】
燃料内の音速は、当該分野において周知の任意の技術を使用して、決定されてもよい。本方法が、液体燃料に適用される場合、燃料は、上述のように、最初に、気化されなければならない。概して、燃料内の音速の測定は、音の速度の測定を実行する装置の上流の圧力が既知であることを必要とする。燃料の下流の圧力は、通常は、周囲圧力またはそれに近い圧力である。下流の圧力の変動は、本方法に悪影響を及ぼさないが、但し、装置を通して流動する燃料の圧力低下が、音速条件が有効である、すなわち、下流の圧力が、測定される上流の燃料の圧力の0.52倍未満であることを条件とする。
【0050】
気体燃料内の音速を測定するための好適な技術は、当該分野において周知であって、当業者には明白となるであろう。音速を測定するための好適な技術の1つは、音速条件が音速ノズルの喉部内で生成されるような上流および下流の圧力設定による、音速ノズルの喉部内の流量の実際の測定である。流量センサ、好ましくは、薄膜金属センサは、オリフィスの喉部内に設置される。金、白金、ロジウム、イリジウム、またはパラジウム等の貴金属が、好ましい。センサは、4線式構成で電子的に内蔵される。一方の対は、センサを通るヒータ電流、他方の対は、測定電流を供給する。上流および下流温度センサを使用して、実際の音速と比例する、喉部前後の温度差を測定する。第2のセンサ集合は、測定される燃料の密度、粘度、および熱容量の影響を補償するために、第2の条件集合において、音速の測定を行なうことが必要とされる。これは、同一圧力条件下であるが、異なる周囲温度設定を伴う並列チャネルにおいて、またはオリフィス喉部の上流または下流の同一チャネルにおいて、行なうことが可能である。後者の構成では、第2の測定は、同一周囲温度条件であるが、異なる圧力設定において、行なわれる。
【0051】
音速を測定するための別の好適な技術として、1つ以上の好適な送信機および/または受信機を使用する、既知の長さの経路にわたる音響信号の走時の測定を含む。音速を測定するために適用され得る代替技術として、周知の特徴との空洞の共鳴条件の決定を含む。そのような方法は、当該分野において周知である。
【0052】
燃料内の音速を測定するために採用される技術は、好ましくは、少なくとも±0.5m/s、より好ましくは、±0.1m/sの精度を有する。
【0053】
後述のように、本発明の方法は、推定開始点から反復的に行なわれてもよい。その結果、燃料ガス内の音速が、計算される必要がある。計算は、任意の一般に認められている状態方程式を使用して、行なわれてもよい。そのような状態方程式は、当該分野において周知である。好ましくは、燃料ガス内の音速は、AGA Report No. 10−Speed of Sound in Natural Gas and Other Related Hydrocarbon Gases(American Gas Association 2003)に記載の方法を使用して、計算される。
【0054】
さらなるステップでは、本方法は、燃料内の二酸化炭素の濃度の決定を必要とする。二酸化炭素の濃度を決定するための技術は、当該分野において周知である。好適な方法の1つは、非分散型赤外線技術を採用する。非分散型赤外線(NDIR)技術は、赤外線領域内の特定の波長における赤外線光の成分吸収を測定するステップから成る。二酸化炭素の基本振動モード(分子結合の非対称伸縮振動)は、中赤外線波長スペクトル内に位置する。本周波数と対応する入射赤外線光のための適切なフィルタの選択によって、二酸化炭素の濃度は、比較的高速かつ正確な方法で測定可能である。また、代替例として、光吸収技術は、近赤外線(NIR、700−2500nm)および遠赤外線(FIR、25−1000μm)等の他の波長において適用され得るが、二酸化炭素の光吸収は、中赤外線領域におけるように顕著ではない。二酸化炭素の場合、FIR領域内の吸収は、分子の結合の屈曲によるものである一方、NIR領域内の吸収は、振動エネルギー周波数の調波によるものである。場合によっては、吸収は、これらの波長における燃料内の他の分子の吸収スペクトルの影響によってあまり影響を受けない場合あり、その場合、特に注意が必要とされ、信号強度の損失を補償しなければならない。
【0055】
燃料内の二酸化炭素濃度を測定するための別の技術として、ポリマーまたはヘテロポリシロキサンを基材とする感応層を伴う、化学二酸化炭素ガスセンサの使用を含む。これらの技術は、非常に低エネルギー消費という重要な利点を有し、超小型電子技術系システムに適合するサイズに縮小可能である。しかしながら、短期および長期ドリフト効果同様に、NDIR測定原理と比較して、全体的寿命がやや短いことは、大きな障害である。
【0056】
燃料内の二酸化炭素濃度を測定するためのさらなる技術は、ガスクロマトグラフィであって、個々の成分は、カラムの固定相内の成分の溶解度差に基づいて、分離カラム内で互いに分離され、熱伝導度検出器または熱イオン化検出器等、カラムの出口における検出器によって個々に測定される。加えて、また、質量分析が採用されてもよく、成分は、イオン化され、電磁場内で互いに分離され、その値は、着目成分を除いて、全成分が検出器経路から偏向されるように設定される。同様に、燃料内の二酸化炭素の濃度を測定するためのそのような技術および方法の使用は、当該分野において周知である。
【0057】
二酸化炭素のモル濃度を測定するために採用される技術は、好ましくは、±2.0%を超える、より好ましくは、±1.0%の最大測定限界を超える精度を有する。
【0058】
HVm,r、音速、および二酸化炭素のモル濃度を使用して、燃料の相対密度を決定する。相対密度は、以下のように決定されてもよい。
i.上述のように、燃料の実質モル発熱量Hm,rを測定する。
ii.燃料の実質モル音速VOSm,rを測定する。
iii.固定値として、第1の炭化水素および二酸化炭素の測定濃度によって、測定の必要のある燃料の開始組成を定義する。
iv.開始組成のVOSm,rを計算する。
v.VOSm,rの計算値を実際に測定された値と比較する。
vi.わずかな増加によって、開始組成内の各成分の濃度を変動させ、新組成を提供する。
vii.新組成のVOSm,rを計算する。
viii.組成に対して計算されたものと、測定されたもののVOSm,rの値の間の差異が、0.002未満となるまで、ステップ5から7を繰り返す。
ix.最終組成を使用して、実質モル相対密度RDm,rを計算する。
【0059】
燃料の相対密度は、本発明の方法を使用して、0.1%内の精度まで決定され得ることが分かっている。図7を参照すると、−0.1m/sおよび+0.1m/sの音速の測定における逸脱を伴う、広範囲の天然ガスに対して決定される化学量論的酸素(または、空気)/燃料比と対比して、相対密度の誤差のグラフが示される。示されるように、相対密度は、±0.1%の精度内まで決定されている。
【0060】
さらなる局面では、本発明は、少なくとも1つの炭化水素成分から成る、燃料の相対密度を決定するための装置であって、
燃料の実質発熱量を決定するための手段と、
燃料内の音速を測定するための手段と、
燃料内の二酸化炭素の濃度を測定するための手段と、
実質発熱量、音速、および二酸化炭素の濃度から、燃料の相対密度を決定するための手段と
を備える、装置を提供する。
【0061】
燃料の実質発熱量を決定するための手段、音速を決定するための手段、および二酸化炭素のモル濃度を測定するための手段は、上述の技術を実装するための任意の好適な手段であってもよい。
【0062】
相対密度を決定するための手段は、任意の好適なプロセッサまたはコンピュータであってもよい。好適なプロセッサは、当業者に周知であって、市販されている。
【0063】
本発明のさらなる局面は、燃料のウォッベ指数を決定するための方法であって、燃料は、最高モル濃度中に含まれる第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素から成り、
燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定するステップと、
測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定するステップと、
第1の炭化水素のモル濃度を測定するステップと、
理想的モル発熱量(HVm,i)および第1の炭化水素のモル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定するステップと
によって、燃料の発熱量を決定するステップと、
燃料の実質発熱量を決定するステップと、
燃料内の音速を測定するステップと、
燃料内の二酸化炭素の濃度を測定するステップと、
実質発熱量(HVm,r)、音速、および二酸化炭素の濃度から燃料の相対密度を決定するステップと
によって、燃料の相対密度を決定するステップと、
実質発熱量(HVm,r)および相対密度からウォッベ指数を計算するステップと
を備える、方法を提供する。
【0064】
さらなる局面では、本発明は、燃料のウォッベ指数を決定するための装置であって、燃料は、最高モル濃度中に含まれる第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素から成り、
燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定するための手段と、
測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定するための手段と、
第1の炭化水素のモル濃度を測定するための手段と、
理想的モル発熱量(HVm,i)および第1の炭化水素のモル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定するための手段と
を備える、燃料の発熱量を決定するための手段と、
燃料の実質発熱量を決定するための手段と、
燃料内の音速を測定するための手段と、
燃料内の二酸化炭素の濃度を測定するための手段と、
実質発熱量(HVm,r)、音速、および二酸化炭素の濃度から燃料の相対密度を決定するための手段と
を備える、燃料の相対密度を決定するための手段と、
実質発熱量(HVm,r)および相対密度からウォッベ指数を計算するための手段と
を備える、装置を提供する。
【0065】
また、本発明は、本発明の先行局面の方法の測定および決定を行なうための操作の種々の装置および特定の方法を提供する。ある範囲の機器設計が、本発明の先行局面の方法のステップを実践するように想定され得るが、本方法は、微小電気機械システム(MEMS)(マイクロシステム技術(MST)とも称される)内に適用されることが特に好適であることが分かっている。MEMSデバイスの使用は、ピーク燃焼温度を決定する技術を使用する、化学量論的酸素(または、空気)/燃料モル比の測定において、特に有益である。MEMS技術によって、本測定は、無炎モードで実行可能となり、燃料パイプラインおよび設備のライン内での使用に好適なシステムをもたらす。さらに、MEMSデバイスは、約数ml以下/分の非常に低燃料流量を使用して作動可能である。
【0066】
従って、本発明は、炭化水素燃料のための酸素(または、空気)/燃料の化学量論的モル比を決定するための装置であって、
酸化反応炉としての役割を果たす空洞と、
入口から空洞までの燃料の通過のための導管と、
入口から空洞までの酸素(または、空気)の通過のための導管と、
を有して形成される、不活性材料の基板を備える、装置を提供する。
【0067】
本装置は、最も好ましくは、MEMSデバイス、上述のように、例えば、不活性材料のチップ内に形成される導管および空洞を伴う装置である。不活性材料は、後述のように、任意の好適な材料であってもよい。導管および空洞は、任意の好適な技術、例えば、エッチングによって、不活性材料内に形成されてもよい。MEMSデバイスの利点は、装置が非常に小型であって、非常に小量の燃料流量のみで作動可能であって、非常に高表面積対容積率、したがって、内部プロセスの優れた制御をもたらす。そのようなデバイスを使用して、燃料のための酸素(または、空気)/燃料の化学量論的モル比を非常に高精度まで決定可能であることが分かっている。本装置は、測定される燃料の酸素(または、空気)/燃料の化学量論的モル比を必要とする任意の方法に関連して使用されてもよい。例えば、本装置は、ASTM Standard D−4891「Standard Test Method for Heating Value of Gases in Natural Gas Range by Stoichiometric Combustion」に規定される方法を含む、本発明あるいは従来技術の方法のいずれかを使用する、燃料の発熱量および/またはウォッベ指数の計算において使用されてもよい。
【0068】
本装置は、それらそれぞれの導管に沿って供給される燃料および酸素(または、空気)が、空洞に進入する前に混合されるように、空洞への入口に配置される混合器をさらに備えてもよい。
【0069】
導管は、燃料あるいは酸素(または、空気)が、空洞への通過のために導入され得る、入口またはオリフィスとともに形成される。
【0070】
空洞は、空であってもよく、本装置は、燃料および酸素(または、空気)の単なる燃焼に依存する。あるいは、空洞は、活性エネルギーを低減し、特定の反応生成物を有利に作用させることによって、炭化水素の酸化を促進し、反応速度を改善する際に活性する1つ以上の触媒組成から成ってもよい。好適な触媒の実施例として、白金、イリジウム、パラジウム、またはロジウム等の貴金属を含む。
【0071】
不活性材料の基板は、好ましくは、半導体の製造において採用される生産技術を使用して形成される、すなわち、成分は、基板からの材料の除去および/または基板上への材料の蒸着によって形成される。不活性材料は、MEMSデバイス内の使用のために周知の材料、特に、ポリマー、金属、シリコン、またはガラスのいずれかであってもよい。好適なポリマー材料は、周知かつ市販されており、燃料の無炎酸化によって発生する条件に耐性でなければならない。ポリマー材料は、当該分野において周知の技術、特に、射出成形、エンボス加工、およびステレオリソグラフィによって、装置の成分とともに形成されてもよい。金属は、不活性材料、特に、金、ニッケル、アルミニウム、クロム、チタニウム、白金、タングステン、銀、パラジウム、イリジウム、およびロジウムとして、採用されてもよい。金属は、電気めっき、蒸着、およびスパッタリングプロセス等の技術を使用して、形成されてもよい。本発明の装置内の基板材料として使用するために好ましい材料は、蒸着、リソグラフィ、およびエッチング技術の組み合わせを使用して形成される、シリコンおよびガラスである。
【0072】
酸化反応炉としての役割を果たす基板内に形成される空洞は、非常に低容積であることが可能であって、作動のために非常に低容量の燃料および酸素(または、空気)を必要とし、非常に高速応答時間を有するコンパクトなデバイスをもたすことが利点である。空洞は、1ml未満、より好ましくは、500μl未満の容積を有してもよく、約1μl以下の容積を有する空洞が、特に好ましい。空洞への流体の通過を提供するための導管は、空洞内で測定されたガスの滞留時間が、供給および出口導管内の滞留時間と比較して長くなるように、空洞の容積に対応する寸法、特に、内径を有するであろう。
【0073】
基板は、好ましくは、不活性材料のチップ、特に、シリコンおよび/またはガラスのチップとして、形成される。
【0074】
装置は、好ましくは、空洞内で生じる酸化反応の温度を監視するために、基板内または基板上に形成される温度センサをさらに備える。
【0075】
空洞に供給される燃料および酸素(または、空気)の通過を提供するために形成される導管は、反応するために必要とされる流量の燃料および酸素(または、空気)を提供するように定寸される。導管およびそれらそれぞれのオリフィスが、必要とされる流体流量を提供するように正確に形成されてもよく、したがって、流体流量を制御するためのデバイス内の任意の可動部の必要性を回避することは、MEMSデバイス特有の利点である。あるいは、本装置は、空洞への導管を通る流体の流量を制御するための手段が提供されてもよい。
【0076】
本装置は、好ましくは、1つ以上のヒータをさらに備え、空洞に進入し、酸化反応に関与する前に、それぞれの導管に沿って流動する燃料および/または酸素(または、空気)を予熱する、および/または装置の温度を制御する。ヒータおよびセンサとして、装置内で使用するための好ましい材料は、金、白金、ロジウム、イリジウム、およびパラジウム等の貴金属である。
【0077】
一好ましい実施形態では、本装置は、不活性材料のブロック、特に、チップから形成され、ベースおよびカバーを備え、空洞および導管はそれぞれ、酸素(または、空気)および燃料のためのものであって、温度センサおよびヒータは、存在する場合、カバーおよびベースのうちの一方内に形成される。一好ましい配列では、一体型オリフィスならびに酸素(または、空気)および燃料の両方のための混合器を伴う、空洞ならびに導管は、カバーおよびベースのうちの一方、好ましくは、ベース内に形成され、カバーおよびベースのうちの他方は、温度センサおよび1つ以上のヒータの両方を有して形成される。
【0078】
単一装置は、上述のように、導管を通る流体の流量を変動させるための手段が提供され、酸素(または、空気)対燃料比のある範囲における燃料の酸化の温度を測定するように使用されてもよい。これは、空洞への燃料および/または酸素(または、空気)の流量を変動させることによって、達成されてもよい。しかしながら、上述のように、導管を通る流体の流量が、導管の寸法、特に、導管のオリフィスの断面を決定され得ることは、本発明およびMEMS技術使用の特有の利点である。したがって、所与の装置は、空洞に所定の流量の酸素(または、空気)および所定の流量の燃料を提供するように形成されてもよく、したがって、装置は、固定酸素(または、空気)/燃料比で作動可能となる。
【0079】
上述のように、所与の燃料のための酸素(または、空気)および燃料の化学量論的モル流量比は、ピーク酸化温度あるいは燃焼チャンバの出口における酸素(または、空気)濃度を測定することによって、決定される。これは、酸素(または、空気)/燃料比のある範囲に対して、酸化温度あるいは燃焼チャンバの出口における酸素(または、空気)濃度を測定することによって、達成される。
【0080】
一実施形態では、これは、上述の装置を使用して、単一反応炉アセンブリを有し、それらのそれぞれの導管を通して、混合器、次いで、空洞へと供給される燃料および酸素(または、空気)の一方あるいは両方の流量を変動させるための手段を装置に提供することによって、達成される。燃料および酸素(または、空気)の一方あるいは両方の流量を変動させるための手段は、好ましくは、基板内に組み込まれる。
【0081】
導管を通る空洞への燃料および/または酸素(または、空気)の流量を変動させるための手段の1つは、わずかな下流の圧力変動にも関係なく、臨界流量がオリフィス内で発生されるように、オリフィスの上流の流体圧力を測定および調整することによるものである。次いで、実際の流量が、上流圧力の測定およびオリフィスの幾何学形状から計算可能である。2つの流体の流量を変動させるための代替手段は、オリフィスの上流および下流の流体圧力を測定ならびに調整することによるものである。次いで、実際の流量が、上流および下流圧力の測定ならびにオリフィスの幾何学形状から計算可能である。上述の技術のガスの圧力調整は、機械的および/または電子的圧力調整器によって達成可能である。
【0082】
2つの流体の流量を変動させるための代替手段は、それぞれ、同一圧力条件下、作動するが、並列構成によって、上流および下流圧力の規定設定を前提として、ガスのために必要とされる流量の完全範囲が、提供可能であるように、異なるオリフィス区画を有して組み込まれる、異なる流路の並列構成を採用することである。
【0083】
燃焼空洞を通る流動を変動させるさらなる代替手段は、所定の圧力まで、固定容積チャンバを流体で充填することによるものである。固定容積チャンバへの入口が閉鎖され、オリフィスを通して、燃焼空洞へと流体を誘導する出口が、開放される。固定容積チャンバ内の圧力および酸化反応の温度の両方を継続的に監視することによって、化学量論的燃焼点におけるモル流量が、定義可能となる。
【0084】
2つの流体の流量を変動させるためのさらなる代替手段は、熱流動測定に基づく、各供給ガスの質量流量制御器の使用によるものである。そのような制御器は、本質的に、チューブの外側に巻装される2つの抵抗温度計要素を伴う小口径チューブである、熱センサを備える。センサチューブは、電流を要素に印加することによって、加熱される。一定の割合のガスが、センサチューブを通して流動し、冷却効果によって、2つの要素間の温度差をもたらす。温度差による抵抗の変化は、電気信号として、測定される。これは、制御信号として使用され、比例制御弁を作動させ、順に、弁を通る導管内へのガスの流量を制御する。
【0085】
作動時、燃料および酸素(または、空気)の両方が、酸化空洞の混合器へと送られ、燃料が、酸化され、酸化温度あるいは出口の酸素(または、空気)濃度が、記録される。燃料および酸素(または、空気)のうちの一方のモル流量は、一定に維持される。燃料および酸素(または、空気)の他方のモル流量は、段階的または継続的に変更され(増減のいずれか)、空洞へ供給される酸素(または、空気)および燃料のモル比を変動させる。このように、異なる酸素(または、空気)/燃料モル比のある範囲にわたって、酸化温度あるいは出口の酸素(または、空気)濃度が測定され、化学量論的酸化率に対応するピーク温度あるいは酸素(または、空気)枯渇点が、識別されてもよい。ある成分の流量を変動させるサイクルは、繰り返されてもよい。
【0086】
従って、さらなる局面では、本発明は、燃料の化学量論的酸化率を決定する方法であって、
酸素(または、空気)によって、燃料の酸化を導くための反応炉を提供するステップと、
酸素(または、空気)を反応炉に供給するステップと、
燃料を反応炉に供給するステップと、
反応炉への燃料および酸素(または、空気)のうちの一方の流量を一定に維持するステップと、
反応される燃料および酸素(または、空気)のモル比を変動させるために、反応炉への燃料および酸素(または、空気)のうちの他方の流量を変動させるステップと、
あるモル比の範囲にわたって、酸化反応の温度あるいは燃焼空洞の出口における酸素(または、空気)濃度を測定するステップと、
ピーク温度あるいは燃焼空洞の出口における酸素(または、空気)濃度から、化学量論的酸化率を決定するステップと
を備える、方法を提供する。
【0087】
上述のように、本方法は、好ましくは、流入燃料および酸素(または、空気)が、反応炉内の燃焼あるいは酸化前に十分に混合されるように、反応炉の上流に混合器を採用する。
【0088】
代替配列では、モル流量比の必要とされる範囲は、複数の別個の反応炉アセンブリ(それぞれのモル流量比に対して1つ)を使用して、分析されてもよい。本発明の装置は、並列の複数の反応炉アセンブリとともに配列され、単一源の燃料および酸素(または、空気)を使用する一連の酸化反応を監視し、ピーク酸化温度を識別可能としてもよい。これは、異なるオリフィス区画を伴う導管を有する複数のデバイスを並列に配列することによって、達成され、単一源から、それぞれ燃料および酸素(または、空気)の異なるモル流量を可能にする。一配列では、複数の別個のデバイスが、反応炉アセンブリとともに並列に配列される。代替配列では、単一デバイスは、複数の空洞が提供され、各酸化空洞は、空洞に酸素(または、空気)および燃料のある流量を提供するために、特定のオリフィスサイズを伴う、それぞれの導管を有し、各空洞の導管は、特定のオリフィスサイズによって、特定の所定のモル比において、空洞に燃料および酸素(または、空気)を提供するように配列される。
【0089】
同様に、混合器は、好ましくは、各空洞の上流に採用される。
【0090】
導管を通る流体の異なるモル流量は、いくつかの方法で達成されてもよい。例えば、酸素(または、空気)の通過のための導管はすべて、同一断面積のオリフィスとともに形成されてもよい一方、燃料の通過のための導管は、異なる断面積のオリフィスを有する。あるいは、燃料の通過のための導管は、同一のものであってもよく、モル比の変動は、酸素(または、空気)導管内の開口のサイズを異ならせることによって、達成される。さらに、より複雑な代替例は、必要に応じて、酸素(または、空気)および燃料導管の両方内で、異なるオリフィス区画を採用することである。この点において、アプローチの選択は、デバイスを調製するために使用される技術によって達成され得るオリフィス区画の範囲として、そのような要因に依存してもよい。
【0091】
従って、さらなる局面では、本発明は、燃料の酸化のための化学量論的モル流量比を決定するための装置であって、
燃料のための第1の入口と、
酸素(または、空気)のための第2の入口と、
反応流体のための出口と、
複数の反応炉アセンブリであって、各反応炉アセンブリは、
空洞と、
空洞と空洞への燃料の通過のための第1の入口との間に延在する第1の導管と、
空洞と空洞への酸素(または、空気)の通過のための第2の入口との間に延在する第2の導管と、
空洞と出口との間に延在する出口導管と、
酸化空洞内で反応する流体の温度を測定するための温度センサ、あるいは酸化空洞の出口における酸素(または、空気)濃度を測定するためのセンサと
を備える、反応アセンブリと
を有して形成される、不活性材料の基板を備え、
各反応炉アセンブリは、異なる所定のモル比において、空洞へ燃料および酸素(または、空気)を提供するように配列される、装置を提供する。
【0092】
上述のように、混合器は、好ましくは、空洞に進入する前に、燃料および酸素(または、空気)の適切な混合を保証するように提供される。
【0093】
並列に配列される反応炉アセンブリを有する装置は、酸素(または、空気)/燃料モル比のある範囲において、酸化温度の同時測定を可能にする。これは、非常に高速応答時間かつ高精度および高再現性を装置に提供する。
【0094】
本装置は、各反応炉アセンブリのための1つ以上のヒータをさらに備え、空洞内への進入前に、燃料または酸素(または、空気)の一方あるいは両方を予加熱する、および/または酸化反応前あるいはその間に、空洞内の温度を制御してもよい。
【0095】
本装置は、最も有利には、単一ブロックまたはチップ内に、全反応炉アセンブリとともに配列される。本装置は、最も好ましくは、MEMS技術を採用する(配列の詳細は、上述の通りである)。このように、単一デバイスは、分析される燃料および酸素(または、空気)の各々の単一供給を受容し、異なる酸素(または、空気)/燃料比のある範囲において、燃料の酸化のための温度測定値範囲を生成可能であるように提供されてもよい。温度センサの出力は各々、それぞれの反応炉アセンブリのオリフィスの相対寸法に従って、特定の流量比と相関する。好適なプロセッサは、ピーク酸化温度および化学量論的酸素(または、空気)/燃料比を識別するために、出力温度を外挿および内挿可能である。
【0096】
本発明は、燃料の酸化のための化学量論的モル流量比を決定するための対応方法であって、
複数の反応炉アセンブリを提供するステップであって、各反応アセンブリは、
酸化空洞と、
空洞への燃料の通過のための第1の導管と、
空洞への酸素(または、空気)の通過のための第2の導管と
を備え、各反応炉アセンブリは、異なる所定のモル比において、空洞へ燃料および酸素(または、空気)を提供するように配列される、ステップと、
各反応炉アセンブリの第1の導管へ燃料を供給するステップと、
各反応炉アセンブリの第2の導管へ酸素(または、空気)を供給するステップと、
内部オリフィスによって、各導管内の流体のモル流量を制御するステップと、
燃料の酸化を各空洞内で生じさせるステップと、
各空洞内の酸化の温度あるいは空洞の出口における酸素(または、空気)濃度を測定するステップと、
測定された温度および所定のモル流量比から化学量論的酸化モル流量比を決定するステップと
を備える、方法を提供する。
【0097】
上述のように、化学量論的酸化モル流量比は、複数の反応炉アセンブリにわたる酸化温度/モル流量比関係を内挿することによって、決定される。本方法は、最も有利には、単一源から供給される燃料および酸素(または、空気)と並行して、同時に作動する全反応炉アセンブリによって実行される。
【0098】
理解されるように、決定の精度は、より多くの並列反応炉アセンブリによって、改善されるであろう。本装置および方法は、好ましくは、少なくとも4つの並列反応炉アセンブリ、より好ましくは、少なくとも8つのアセンブリを採用する。少なくとも10、より好ましくは、少なくとも20の並列反応炉アセンブリを採用する配列は、LPG等の重質燃料に特に有益である。MEMS技術の利点は、多数の並列反応炉アセンブリが、単一チップまたはデバイス内に形成されてもよいことである。
【0099】
上述のように、空洞は、空であってもよく、または1つ以上の触媒が提供されてもよい。触媒の特定の種類および配置は、分析される燃料の種類に依存してもよい。炭化水素燃料の酸化のための可能性のある触媒として、白金、イリジウム、パラジウム、およびロジウムを含む。
【0100】
ピーク酸化温度を容易に識別するために、本装置は、適合され、本方法は、酸素(または、空気)対燃料のモル流量比のある範囲にわたって作動されるべきである(分析される燃料範囲の化学量論的酸化モル流量比を包含する)。したがって、天然ガスおよび液化天然ガス(LNG)の場合、本比率は、1.0から3.0、より好ましくは、1.3から2.6であってもよい一方、軽質燃料の場合、モル比の範囲は、より大きくなるであろう。例えば、LPGの分析の場合、モル流量比は、2.5から5.5、より好ましくは、3.0から5.0となるであろう。
【0101】
上記で詳述されたように、理想的モル発熱量HVm,iは、燃料の化学量論的酸化モル流量比から決定され、次いで、第1の炭化水素の濃度の測定を使用して補正され、実質モル発熱量HVm,rを提供する。従って、本発明の上述の装置は、第1の炭化水素の濃度を測定するための手段をさらに備えてもよい。そのような手段は、上述のように、任意の好適な測定技術、例えば、装置の入口に送られる燃料の赤外線分析を採用してもよい。
【0102】
また、上記で詳述されたように、燃料の相対密度の決定は、ウォッベ指数が計算されるべき場合、必要とされる。論じられるように、相対密度は、好ましくは、燃料内の音速および燃料内の二酸化炭素の濃度の測定を使用して、決定される。有利なことに、上述の装置は、燃料内の音速および燃料内の二酸化炭素の濃度を測定するための手段をさらに備える。
【0103】
燃料内の音速は、既知の直径のオリフィスを通る特定の流量において、燃料を通過させることによって測定され、その音速は、適切なセンサを使用して測定されてもよい。好適なオリフィスまたは喉部を有する導管が、上述の技術を使用して、基板内に形成されてもよいことは、MEMS技術の利点である。好ましくは、導管は、反応炉アセンブリおよび他の成分として、同一基板ブロックまたはチップ内に形成される。このように、同一燃料供給および入口が、酸化温度および音速の決定のために使用されてもよい。
【0104】
通常は、導管のオリフィスまたは喉部は、1000μm2未満の断面積を有するだろう。薄膜センサは、燃料の速度が音速に到達する導管内の場所にエッチングされてもよい。導管を通過する燃料の速度は、音速の測定が、密度、粘度、および熱容量の影響に対して補正されるために、導管内の別の場所で測定されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
ここで、添付の図面を参照して、例示のみによって、本発明の実施形態を説明する。
【図1】図1は、酸素(または、空気)/ガスモル比の変動と対比して、酸素(または、空気)内の気体燃料の燃焼温度のグラフを示す。
【図2a】図2aは、燃料の化学量論的酸化率と対比して、1000の無作為天然ガス組成範囲の理想的モル発熱量HVm,iのグラフを示す。
【図2b】図2bは、燃料の化学量論的酸化率と対比して、1000の無作為天然ガス組成範囲の理想的モル相対密度RDm,iのグラフを示す。
【図3】図3は、燃料の化学量論的酸化率と対比して、図2aの無作為天然ガス組成範囲の実質モル発熱量HVm,rの誤差のグラフを示す。
【図4】図4は、燃料の化学量論的酸化率と対比して、世界的に市販されている天然ガスの範囲の実質モル発熱量HVm,rの誤差のグラフを示す。
【図5】図5は、図4の燃料の化学量論的酸化率と対比して、モルメタン濃度のグラフを示す。
【図6】図6は、図2aの燃料組成範囲の化学量論的酸化率と対比して、第1の炭化水素(表示される範囲の場合、メタン)の測定からの補正後の実質モル発熱量HVm,rの誤差のグラフを示す。
【図7】図7は、燃料の化学量論的酸化率と対比して、第1の炭化水素および二酸化炭素濃度の測定からの補正後の音速の測定に基づく、図2bのガス組成範囲の相対密度の決定の誤差のグラフを示す。
【図8】図8aは、燃料のピーク酸化温度の決定のための本発明の一実施形態による、装置の斜視図を示す。図8bは、図8aの装置のベースの実施例を示す。図8cは、図8aの装置のカバーの実施例を示す。
【図9a】図9aは、炭化水素燃料内の音速を測定するためのセンサの実施形態を示す。
【図9b】図9bは、図9aのセンサの一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0106】
(本発明の詳細な説明)
図8aを参照すると、燃料/酸素(または、空気)混合物の酸化温度を測定するための装置(概して、2として示される)の実施例が示される。装置2は、シリコンまたはガラスのチップの形態であって、ベース4と、カバー6とを備え、その詳細は、それぞれ、図8bおよび8cに示される。
【0107】
図8bで除去されるカバー6とともに平面図で示されるベース4は、一主表面内にエッチングされる合計8つの反応炉アセンブリ8を有する。各反応炉アセンブリ8は、空洞10を備え、燃料および酸素(または、空気)が、無炎酸化反応として反応を生じさせる。空洞10は、そこから延在する酸素(または、空気)/燃料混合物のための入口導管12と、燃焼生成物のための出口14とを有する。入口導管12は、その遠位端にガス混合器16を有し、酸素(または、空気)導管18および燃料導管20が開放される。酸素(または、空気)および燃料導管18、20はそれぞれ、オリフィスあるいは喉部22ならびに24が提供され、そのサイズは、それぞれの導管内を流動するガスのモル流量を決定するために選択される。ベース6は、各燃料導管20に接続され、供給源(便宜上図示せず)から燃料を受容するための入口28を有する、燃料入口ヘッダ導管26がさらに提供される。類似ヘッダ導管(便宜上図示せず)が、各酸素(または、空気)導管18への酸素(または、空気)の供給のために提供される。出口ヘッダ30は、各出口導管14に接続され、燃焼生成物の除去のための出口32を有する。
【0108】
各空洞10は、無炎酸化反応を開始するために、ベース6内にエッチングされる点火回路(図示せず)が提供される。
【0109】
図8cを参照すると、カバー6は、それらのそれぞれの導管内の酸素(または、空気)および燃料の温度を制御し、空洞10に供給されるためのヒータ要素34のアレイを備える。カバー6は、空洞内のガスの温度を測定するために、各空洞10のための温度センサ要素36をさらに備える。温度センサ要素36はすべて、センサの出力を受信および処理するために、中央プロセッサ(便宜上図示せず)に連結される。
【0110】
空洞10および反応炉アセンブリ8の導管は、薄膜シールによって密閉される。
【0111】
チップは、コンパクトな多重反応炉装置であって、通常は、幅約10mmおよび長さ10mmの寸法を有する。
【0112】
作動時、分析される燃料は、入口28に供給され、燃料入口ヘッダ導管26に進入し、燃料導管20のそれぞれ内へと流動する。導管を通る空洞への燃料のモル流量は、燃料導管20内の喉部24の寸法によって、決定される。同様に、酸素(または、空気)は、各酸素(または、空気)導管18に供給され、各導管内のそのモル流量は、喉部22の寸法によって、決定される。各反応炉アセンブリ8は、燃料および酸素(または、空気)の異なる既知のモル比で作動する。
【0113】
酸素(または、空気)および燃料は、反応が生じるそれぞれの空洞10への入口導管12に沿って通過する前に、混合器16内で完全に混合される。各空洞10内の酸化反応温度は、センサ36によって、測定される。酸化生成物は、出口導管14に沿って、空洞から流出し、出口ヘッダ30および出口32を経由して、装置から排出される。
【0114】
このように、酸素(または、空気)および燃料の8つの異なるモル比において、合計8つの酸化反応が、同時に行なわれ、その温度が測定され、中央プロセッサに送信される。ピーク酸化温度は、測定された温度値および決定された対応する化学量論的酸化流量比を内挿することによって、決定される。
【0115】
図9aを参照すると、ガス、特に、気体炭化水素燃料内の音速を決定する際に使用するためのセンサが示される。センサ(概して、102として示される)は、不活性材料のチップから形成されるベース104を備える。センサは、長さ10mmおよび幅1mmである。チャネル106は、ベース104の表面内にエッチングされる。チャネル106は、入口端108と、出口端110とを有する。
【0116】
チャネルは、図9bに詳細に示される、入口108の領域内のその長さの一部の縮小断面積である、狭窄112を有する。センサは、四角形の接触パッドで終端する、貴金属、特に、銀、金、白金、ロジウム、イリジウム、またはパラジウムの薄膜トラックの形態の温度センサ114および116が提供される、温度センサ114および116と同一の一般的構成および構造のヒータ要素118は、温度センサ間に配置される。
【0117】
オリフィス120は、出口110領域内に配置され、狭窄と同一配列および種類において、3つのセンサを有する。
【0118】
カバー(便宜上図示せず)は、ベース上に延在するように提供される。カバーは、チャネル106を密閉する役割を果たす。加えて、カバーは、外部制御および測定デバイスからのヒータおよびセンサへの接続を提供するための接点を有する。
【0119】
(実施例)
燃料ガスのHVrealおよびRDrealの決定は、以下のように、本発明の方法を使用して実行される。
【0120】
本発明の方法を実証するために、以下のガス組成(各成分量は、%モルで指定される)が集められた。
【0121】
【表4】
【0122】
本組成は、2.120の酸素/ガスモル比および435.0m/sの音速(VOSm,r)を有するように決定された。通常は、本分野において遭遇される不正確性をシミュレートするために、誤差がデータ内に導入された。特に、VOSは、0.1m/sの不確実性が提供される。CH4およびCO2の両方の濃度は、1%の誤差が提供された。最後に、酸素/ガスの化学量論的比は、0.1°Cの不確実性に匹敵する0.01%の誤差が提供された。
【0123】
本組成は、1/3原則に従っておらず、約20のエタン対プロパン比と、同等濃度のC4、C5、およびC6を有することに留意されたい。従って、相関計測器等の器具は、ガス組成を分析するために、使用不可能である。
【0124】
本組成は、42.245MJ/m3のHVr、0.6712のRDr、および0.9969の圧縮率係数Zを有するように計算された。
【0125】
以下のアルゴリズムを使用して、開始組成を決定した。
【0126】
【数1】
式中、Ciは、上述の組成内の成分iの濃度であって、C1は、第1の炭化水素の濃度(測定された値、固定)であって、Nは、燃料内で期待される有意成分の数(天然ガスの場合、9)であって、LIMITiは、以下に求められるように、本方法が適用可能な成分iの最大濃度である。
【0127】
【表5】
【0128】
ガス組成のHVrealおよびRDrealの決定のための開始組成(%モル)は、以下のように定義された。
【0129】
【表6】
【0130】
(実質モル発熱量(HVm,r)の決定)
初期ガス燃料組成から開始し、本組成から計算されるHVm,i(モル理想的HV)が、相関曲線(HVcorr=455.152*Φ+0.0654)から計算されるHVm,iに収束するように、上述のアルゴリズムを使用する反復が、異なる成分のそれぞれの組成を徐々に変化させるように行なわれた。反復は、以下のように、ΔHVm,iおよびΔDm,iに対するある制限によって誘導される。
1.初期組成ψ0から開始し、2(N−2)組成が、ガス内の成分の数N(天然ガスの場合、9)とともに、反復ステップ毎に提案される。各組成は、1成分のみの濃度だけ互いに異なり、±(Δ*Ci,j)に等しい(Δは、あるステップ値であって、Ci,jは、仮定組成jの成分iの濃度である)。
2.各組成に対して、ΔHVm,iおよびΔDm,iが、ISO6976またはGPA2172(あるいは、基礎条件において、燃料組成から発熱量、密度、および圧縮率を計算するための任意の別の規格)に従って、計算される。上限を超える組成は、次のステップに考慮されない。
3.新組成ψHは、2(N−2)仮定組成のΔHVm,iの最小値によって、定義される。ここから、2(N−2)新組成が、ステップ1で記載された同一方法で生成され、ψHは、新初期組成として使用される。
4.本プロセスは、ΔHVm,i<0.01となるまで、繰り返される。
5.このように定義された組成から、基礎条件Zbaseにおける圧縮率が、ISO6976またはGPA2172(あるいは、基礎条件において、燃料組成から発熱量、密度、および圧縮率を計算するための別の規格)の方法を使用して決定される。
6.次いで、ガスの実質モル発熱量は、以下によって定義される。
HVm,r=HVm,i/Zbase
その結果、HVrealは、42.215MJ/m3であると決定された。
【0131】
(実質モル音速(VOSm,r)の決定)
前のステップにおいて計算された最終ガス組成から開始し、本組成から計算されるVOSm,r(実質モル音速)が、測定されたVOSm,r値に収束するように、異なる成分の組成を徐々に変化させる反復が適用される。反復は、ΔHVm,rおよびΔDm,rに対するある制限によって誘導される。
1.アルゴリズム1によって計算されたガス組成ψ0から開始し、2(N−3)組成が、反復ステップ毎に提案される。各組成は、1成分のみの濃度だけ互いに異なり、±(Δ*Ci,j)に等しい(「Δ」は、あるステップ値であって、Ci,jは、仮定組成jの成分iの濃度である)。
2.各組成に対して、ΔHVm,rおよびΔDm,rが、AGA−8(あるいは、圧力および温度の規定設定において、燃料組成から実質発熱量、密度、および圧縮率を計算するための任意の別の規格、例えば、ISO6976またはGPA2172)によって定義される状態方程式を使用して、計算される。上限を超える組成は、次のステップに考慮されない。
3.新組成ψHは、2(N−3)仮定組成のΔVOSm,rの最小値によって、定義される。ここから、2(N−3)新組成が、ステップ1で記載された同一方法で生成され、ψHは、新初期組成として使用される。
4.本プロセスは、ΔVOSm,r<0.002となるまで、繰り返される。
5.次いで、炭化水素燃料の実質モル相対密度は、以下、または圧力および温度の規定設定において、燃料組成から実質相対密度を計算するための任意の別の規格によって定義される。
RDm,r=AGA8(ψH)
結果として、RDm,rは、0.6711であると決定された。
【0132】
RDm,rの上述の決定の最終反復において計算された最終組成は、HVm,rおよびRDm,rの両方の再計算における開始組成として使用して、最終結果の精度をさらに改善してもよい。このように、これらの値は、それぞれ、99.95%および99.9%を超える精度まで決定されてもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素燃料の発熱量および相対密度(または、比重)を決定するための方法ならびに装置に関する。これらの値を使用して、炭化水素燃料のエネルギー含量および/またはウォッベ指数を定義する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素燃料の供給契約は、1時間または1日毎のガスのエネルギー含量の平均値に基づく。従って、燃料のエネルギー含量の測定のための機器の設計者の主要な懸念は、測定の精度であった。今日、燃料ガスのエネルギー含量を測定するための最も一般的に使用される産業用器具は、プロセスガスクロマトグラフ(PGC)である。本器具は、「BTU分析器」と称される場合があるが、高精度であると同時に、約数分、通常は、3から5分の長時間の分析時間を有することを特徴とする。さらに、本器具は、構築、操作、および維持が複雑であって、較正するために、多成分ガスを必要とする。これらの要因は、高速かつ正確である一方、構築、操作、および維持が簡単である、燃料のエネルギー含量を測定するための改良型手段の必要性をもたらす。
【0003】
ウォッベ指数は、異なる燃料流、特に、気体燃料の燃焼エネルギー出力の比較を提供するために使用される計算値である。異なる燃料のウォッベ指数を比較することによって、燃焼の間のそれらの異なるエネルギー出力の指標を求めることが可能である。したがって、類似ウォッベ指数を有する異なる組成の2つの燃料は、所与の条件集合下、燃焼時、類似エネルギー出力を提供するであろう。
【0004】
ウォッベ指数(Wl)は、燃料の発熱量(HV)および相対密度(RD)から計算され、以下の公式によって定義される。
WI=HV/√RD
【0005】
ウォッベ指数は、異なる炭化水素燃料、特に、炭化水素燃料ガスの燃焼エネルギー出力を比較するために、商業規模で使用される。従って、ウォッベ指数の正確な決定は、広範囲の産業、最も顕著には、天然ガス産業にとって、重要である。
【0006】
燃料バーナ設備、特に、ガスバーナ設備における用途のための高速かつ正確である、ウォッベ指数を決定する手段に対して、特定の必要性が存在する。本必要性は、バーナ設備の操作に関連する安全および環境問題の結果として生じる。また、ウォッベ指数を決定するためのそのような改良型手段は、燃料供給システム内で採用される緩衝系の内部容積を低減するために、高速分析時間が必要とされる燃料混合ステーションにおいて、非常に役に立つであろう。
【0007】
エネルギーおよび/またはウォッベ指数を決定するための高速計測器は、周知である。第1の種類は、非特許文献1の要件に基づく。D−4891は、ある組成範囲内のガスの発熱量の決定に関する。本方法は、規格内に開示される天然ガスの発熱量と化学量論的ガス酸化流との間の線形関係に基づく。燃料は、酸素(または、空気)によって燃焼され、化学量論的酸化ガス流動条件を決定するために、燃焼温度あるいは出口における酸素(または、空気)流量のいずれかが、測定される。D−4891に開示される方法は、高速であって、15秒未満の応答時間を有し、比較的正確であって、約0.4%の精度を伴う。また、本方法は、高価かつ時間のかかる再較正を必要とすることなく、広範囲のガス組成に適用可能であるという利点を有する。しかしながら、ウォッベ指数を決定するために、D−4891の方法は、同レベルの精度および応答速度を有する燃料ガスの密度を測定するための方法と併用されなければならない。
【0008】
燃料のエネルギー含量および/またはウォッベ指数を決定するための第2の種類の高速計測器は、炭化水素の探鉱および生産活動の結果として産生される天然ガスである、いわゆる一般的燃料ガスの測定に適用される。一般的天然ガスの組成は、4つの依存性成分(窒素(N2)、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)およびいわゆる「等価炭化水素」(CH))から成ると考えられている。等価炭化水素は、本質的に、アルカンから成ると考えられている、ガスの高級炭化水素を表す。概して、一般的ガスに適用可能な3分の1原則によると、連続的高級炭化水素のモル比は、約3分の1であって、すなわち、例えば、プロパン対エタンのモル比は、約1/3であって、ガス内のプロパン対ブタンのモル比は、約1/3である等である。これらの特徴によって、一般的天然ガスは、「一般的天然ガスの相関原理」と称されるガスの3つの独立特性を使用して、特徴付けられる。3分の1原則の原理に基づいて作用する一般的天然ガスのエネルギー含量および/またはウォッベ指数の決定のための計測器は、「相関計測器」と称され、3つの独立特性の測定を適用する。好適な独立特性の実施例として、ガスの発熱量、ガスの密度、ガス内の音速、ガスの熱容量、ガスの熱伝導性、および二酸化炭素の濃度を含む。そのような計測器は、高速応答時間(通常は、15秒未満)と、ガスの発熱量および密度の両方の測定の容認可能な精度(通常は、0.5%以内)とを組み合わせることを特徴とする。しかしながら、これらの計測器が作用する原理、特に、等価炭化水素理論および3分の1原則の結果として、それらの適用は、天然産生燃料ガスに限定される。相関計測器は、例えば、プロパンおよびブタンを除去するために処理された、または窒素と混合された天然ガス、ならびに生物ガス、精製ガス等の他の燃料ガス等、他の燃料ガスに適用することは不可能である(そのような燃料は、3分の1原則に従う組成を有していないため)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】米国材料試験協会規格D−4891「Standard Test Method for Heating Value of Gases in Natural Gas Range by Stoichiometric Combusiton」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、高速度の応答と高度の精度とを組み合わせた、天然ガスだけではなく、広範囲の燃料のエネルギーおよび/またはウォッベ指数を決定するための手段の必要性が存在する。また、そのような手段が、殆どまたは全く較正および整備を必要とせず、簡単に構築ならびに操作可能である場合、有益となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の局面では、本発明は、燃料の発熱量を決定するための方法であって、燃料は、最高モル濃度中に含まれる第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素から成り、
燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定するステップと、
測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定するステップと、
第1の炭化水素のモル濃度を測定するステップと、
理想的モル発熱量(HVm,i)および第1の炭化水素のモル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定するステップと
を備える、方法を提供する。
【0012】
理想的モル発熱量(HVm,i)は、化学量論的酸素(または、空気)/燃料比と線形関係にあって、HVm,iは、周知の方法で決定可能である。しかしながら、実質モル発熱量(HVm,r)は、HVm,iから相当量逸脱することが分かっている。これは、次に、周知の技術を使用するHVm,rの決定精度を約±0.40%に制限する。従って、HVm,iに基づく、燃料燃焼設備の操作等の操作は、不正確であって、燃料の非効率的な使用へとつながるであろう。本発明の第1の局面の方法では、HVm,rは、燃料の炭化水素組成に基づく補正と組み合わせて、HVm,iから決定される。このように、非常に広範囲の天然ガスに対しては、±0.05%、非常に広範囲の液化石油ガス(LPG)燃料に対しては、±0.10%の高精度まで、HVm,iを決定可能であることが分かっている。
【0013】
本発明の方法は、気体および液体燃料の両方を含む、広範囲の炭化水素燃料に適用されてもよい(液体燃料は、測定デバイス内への注入前に気化される必要がある)。実際には、炭化水素燃料の発熱量およびウォッベ指数の測定は、燃料の沸点および粘度によって限定されるであろう。これは、本方法の実際的使用が、原油の加熱用オイル蒸留留分以下に限定されることを意味する(沸点200−350°C、炭化水素鎖長C15−C18)。高級原油由来炭化水素留分、例えば、潤滑油、アスファルト、および残渣は、加熱または燃焼用途のための燃料として使用されることはほとんどない。実際には、炭化水素を気化する必要性のため、本発明の方法を使用して、それらの発熱量およびウォッベ指数を測定することは、技術的に困難であるだろう。したがって、本発明の方法は、概して、液化石油ガス(LPG)、ガソリン、ならびにディーゼル、灯油、ジェット燃料、および加熱用オイル等の軽質燃料油等の分留生成物を伴う、軽質原油留分(A級と称される場合がある)内の液体燃料により適用可能である。
【0014】
本発明の本局面の方法は、気体燃料のモル発熱量を決定するために特に好適である。一般的天然ガス同様に、精製ガス、処理済み天然ガス、合成天然ガス(SNG)、生物ガス等の他の燃料ガスを含む、広範囲の気体燃料組成に適用されてもよいことは、本方法の利点である。換言すると、本発明の方法は、一般的および非一般的燃料(3分の1原則に従わない燃料)の両方に適用されてもよい。
【0015】
上述のように、本発明の方法は、最高モル濃度の燃料中に含まれる炭化水素成分である、第1の炭化水素成分の識別と、その濃度の測定とを必要とする。また、上述のように、一般的または処理済み天然ガスの場合、本成分は、メタンである。世界的に市販されている天然ガスのモル組成は、概して、以下の範囲内で異なる。
【0016】
【表1】
【0017】
他の燃料の場合、第1の炭化水素成分は、高級炭化水素、例えば、エタン、プロパン、またはブタン等であってもよい。LPGの場合、炭化水素モル組成は、「プロパン」−LPGと「ブタン」−LPGでは異なるであろう。英国規格BS4250:1997「Specification for commercial butane and commercial propane」は、これらの燃料の成分濃度に対して、以下の上限を指定している(LPGの発熱量またはウォッベ指数に影響を及ぼさないため、硫黄およびアンモニア等の微量成分は、無視し、示されない)。
【0018】
【表2】
【0019】
本発明の方法では、LPGの場合、第1の炭化水素は、これらの成分のいずれかが、最高モル濃度中に存在する炭化水素であり、対象となるLPGの種類に応じて、プロパンまたはブタンであって、プロパンまたはブタンのモル濃度が、HVm,rを決定する際に使用するために測定される。
【0020】
実際には、燃料内の第1の炭化水素の濃度が、単一成分測定デバイスを使用して測定されるべき場合、測定デバイスは、第1の炭化水素として、本成分を有する燃料の分析にその適用が限定されるであろう。したがって、例えば、所与の炭化水素に対して特有の帯域幅を伴う、単一赤外線(IR)検出器を採用するデバイスは、第1の炭化水素として、本所与の炭化水素を有する炭化水素燃料専用となるであろう。あるいは、測定デバイスは、2つ以上の炭化水素の濃度を測定するように作動可能であってもよい。例えば、デバイスは、それぞれ、異なる炭化水素に対して特有の帯域幅を有する、複数のIR検出器を備えてもよい。このように、測定デバイスは、より広範囲の燃料に適用可能に生成されてもよい。
【0021】
本発明の第1の局面の方法は、少なくとも1つの炭化水素から成る燃料に適用される。燃料は、単独で、あるいは1つ以上の他の非炭化水素成分、例えば、窒素および/または二酸化炭素と組み合わせて、単一炭化水素、例えば、天然ガスの場合、メタンから成ってもよい。より一般的には、燃料は、複数の炭化水素の混合物から成る。したがって、天然ガスの場合、燃料は、1つ以上の非炭化水素成分、特に、窒素および二酸化炭素とともに、より低濃度の高級炭化水素を伴う、主要炭化水素として、メタンから成るであろう。デバイスの適用範囲が定義された後、最高モル濃度中に含まれる成分は、周知の方法で決定される。それらの主要炭化水素成分を伴う可能性のある適用範囲の実施例として、以下を含む:
天然ガス、生物ガス、CNG、およびSNG(メタン)
LPG(プロパンまたはブタン)
液体燃料(高級アルカン、通常は、オクタン)。
【0022】
HVm,iの補正は、最高濃度中に含まれる炭化水素成分のモル濃度の決定に基づく。
【0023】
天然ガスの場合、一般的または処置済みであるかにかかわらず、最高モル濃度中に含まれる炭化水素成分は、メタンである。従って、天然ガスの場合、HVm,iは、ガスの化学量論的酸化モル流量比とHVm,iとの間の線形関係から決定される。HVm,rを求めるために、HVm,iは、メタンの測定濃度を使用して補正される。
【0024】
燃料の化学量論的酸化モル流量比は、当該分野において周知の技術を使用して、決定されてもよい。酸素(または、空気)対燃料のモル比のある範囲にわたる燃料の燃焼または酸化は、酸素(または、空気)対燃料の化学量論的比率において、最大あるいはピーク温度を呈する温度分布をもたらすであろう。図1を参照すると、所与の天然ガスの酸化温度と対比して、酸素(または、空気)のモル流量対燃料のモル流量の比率のグラフが示される。示されるように、燃焼温度は、あらゆる他の燃焼パラメータは一定に維持されたまま、酸素(または、空気)対燃料のモル比に伴って変動する。温度分布は、化学量論的酸化燃料比に対応する明確なピークを呈する。図1に例示されるガスの場合、本比率は、2.0である。
【0025】
ピーク温度測定は、少なくとも±0.5°C、より好ましくは、少なくとも±0.1°Cの精度で決定されることが好ましい。
【0026】
化学量論的酸化流量比を決定する他の方法として、燃焼チャンバの出口における、酸素(または、空気)濃度の継続的測定を含む。希薄から濃厚条件の酸素(または、空気)/ガス流量比の変動によって、酸素(または、空気)枯渇点が定義可能となり、その点は、化学量論的流量比に対応する。
【0027】
理想的モル発熱量HVm,iは、化学量論的酸化モル流量比から決定される。これは、当該分野において周知の技術を使用して、達成されてもよい。例えば、上述のように、HVm,iが、化学量論的モル流量比と線形関係を呈することは周知である。図2aを参照すると、成分のそれぞれに対してある限度を伴う、非常に広範囲の無作為天然ガス組成の理想的発熱量HVm,iと対比して、化学量論的酸化モル流量比(酸素(または、空気)のモル流量/燃料のモル流量)のグラフが示される。
【0028】
図2aに表示される天然ガス範囲の場合、これらの限度は、以下となる。
【0029】
【表3】
【0030】
0.999987の相関係数R2を伴うこれらの天然ガス試料に対しても、線形関係が当てはまることが分かる。従って、本関係を本発明の方法において使用し、HVm,iを決定してもよい。
【0031】
また、理想的モル密度(Dm,i)と化学量論的モル流量比との間にも類似線形関係が存在することが分かっている。この点において、上述の広範囲の無作為天然ガス組成の相関係数R2は、0.9827である。理想的モル密度(Dm,i)と化学量論的モル流量比との間の関係は、図2bに示される。
【0032】
本発明の方法は、最高モル濃度中に含まれる炭化水素成分である、第1の炭化水素のモル濃度成分を決定するステップをさらに備える。上述のように、天然ガスの場合、第1の炭化水素成分は、メタンである。しかしながら、第1の炭化水素成分は、燃料に応じて、別の炭化水素、特に、エタン、プロパン、またはブタン等の高級アルカンであってもよい。
【0033】
第1の炭化水素のモル濃度を測定するための方法は、当該分野において周知である。第1の炭化水素のモル濃度を決定するための好適な方法として、上述のように、当該分野において周知の赤外線測定技術を含む。非分散型赤外線(NDIR)技術は、赤外線領域内の特定波長における赤外線光の成分吸収を測定するステップから成る。炭化水素燃料内の炭化水素成分の基本振動モードは、中赤外線波長スペクトル内に位置する。着目成分の共鳴振動周波数に対応する入射赤外線光のための適切なフィルタの選択によって、本成分の濃度は、比較的高速かつ正確な方法で測定可能である。
【0034】
また、第1の炭化水素のモル濃度を測定するための他の技術も、当該分野において周知であって、当業者には明白となるであろう。例えば、光吸収技術は、近赤外線(NIR、700−2500nm)および遠赤外線(FIR、25−1000μm)等の他の波長においても適用され得るが、炭化水素の光吸収は、中赤外線領域におけるように顕著ではない。炭化水素の場合、FIR領域内の吸収は、分子の回転エネルギーの変化によるものである一方、NIR領域内の吸収は、振動エネルギー周波数の調波によるものである。場合によっては、吸収は、これらの波長における燃料内の他の分子の吸収スペクトルの影響によってあまり影響を受けない場合あり、その場合、特に注意が必要とされ、信号強度の損失を補償しなければならない。
【0035】
本発明の方法において使用するための燃料内の個々の炭化水素濃度を測定するための別の技術は、ガスクロマトグラフィであって、個々の成分は、カラムの固定相内の成分の溶解度の差異に基づいて、分離カラム内で互いに分離され、熱伝導度検出器または熱イオン化検出器等、カラムの出口における検出器によって個々に測定される。燃料内の個々の炭化水素濃度を測定するためのさらなる技術は、質量分析であって、成分は、イオン化され、電磁場内で互いに分離され、その値は、着目成分を除いて、全成分が検出器経路から偏向されるように設定される。
【0036】
第1の炭化水素のモル濃度は、少なくとも±2%の最大測定限界、より好ましくは、±1%の最大測定限界を超える精度まで決定されることが好ましい。
【0037】
上述のように、実質モル発熱量HVm,rは、理想的モル発熱量HVm,iおよび第1の炭化水素に対して決定されたモル濃度から決定される。上述のように、HVm,rは、HVm,iから相当量逸脱する可能性がある。図3は、多数の一般的天然ガス組成に対するHVm,iからのHVm,rの逸脱を示す。示されるように、本逸脱は、ガス組成に応じて、±0.4%である。本誤差は、燃料の成分の圧縮率Zの結果として生じる。しかしながら、HVm,rと圧縮率係数Zとの間の関係の相関係数は不十分であって、十分な精度を伴って、HVm,iからHVm,rを決定するために使用することは不可能である。
【0038】
現在、広範囲の燃料に対するHVm,iからのHVm,rの逸脱は、燃料内の第1の炭化水素の濃度の変動と非常に密接に相関することが分かっている。図4を参照すると、世界的規模で市販されている天然ガス燃料のある範囲に対するモル化学量論的酸化流量比と対比して、HVm,iからのHVm,rの逸脱のグラフが示される。図5を参照すると、同一天然ガス燃料の化学量論的酸化流量比と対比して、図4に類似するメタンのモル濃度のプロット図が示される。示されるように、燃料のHVm,iからのHVm,rの逸脱は、天然ガス燃料内のメタンである、第1の炭化水素のモル濃度と非常に相関する。同一の相関は、上述の燃料等のメタン以外の第1の炭化水素を伴う燃料にも当てはまる。
【0039】
HVm,rは、第1の炭化水素のHVm,iおよびモル濃度から決定される。HVm,rを決定する方法は、以下のようになる:
1.燃料内の第1の炭化水素の化学量論的酸化流量および濃度を測定する;
2.上述および図2に示されるように、測定される燃料範囲のHVm,iと化学量論的酸化モル流量比との間の相関係数R2を決定する;
3.測定される燃料の理想的モル密度(Dm,i)を測定する;
4.測定される燃料範囲の理想的モル密度(Dm,i)と化学量論的酸化モル流量比との間の相関係数R2を決定する;
5.固定値として、測定された第1の炭化水素の濃度によって、測定の必要がある燃料の開始組成を定義する;
6.周知の方法(例えば、ISO6976またはGPA2172に定義されるもの)を使用して、HVm,iおよびDm,iを計算する;
7.順に、わずかな増加によって、開始組成内の各成分の濃度を変動させ、新組成を提供する;
8.周知の方法を使用して、新組成のHVm,iおよびDm,iを計算する;
9.計算されたHVm,iおよびDm,iの値をそれぞれに対して相関係数R2を使用する化学量論的酸化モル流量比との相関曲線から導出されたものと比較する;
10.組成を使用して計算されたものと相関係数R2を使用して決定されたものとのHVm,iの値の差異が、0.01%未満である場合、その組成を使用して、燃料の圧縮率を計算する。そうではない場合、ステップ7から9を繰り返す;
11.相関係数R2を使用して化学量論的酸化モル流量比から得られた最終組成のHVm,iの値を圧縮率で除算することによって、HVm,rを計算する。
【0040】
上述の方法では、ステップ7において、相関曲線および係数R2を使用して化学量論的酸化モル流量比から計算された対応値から、それぞれ、0.1%および0.5%未満異なるHVm,iおよびDm,iの値へとつながる組成変化のみ考慮されている。
【0041】
HVm,rの決定の実施例として、図6を参照すると、それらのモル化学量論的酸化流量比の観点から表される、非常に広範囲の気体燃料組成のHVm,iからのHVm,rの計算のグラフが示される。示されるように、本発明の方法によって、実質モル発熱量HVm,rは、±0.05%の精度で決定可能となる。
【0042】
第2の局面では、本発明は、燃料の発熱量を決定するための装置であって、燃料は、最高モル濃度中に含まれる第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素から成り、
燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定するための手段と、
測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定するための手段と、
第1の炭化水素のモル濃度を測定するための手段と、
理想的モル発熱量(HVm,i)および第1の炭化水素のモル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定するための手段と
を備える、装置を提供する。
【0043】
燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定するための手段と、第1の炭化水素のモル濃度を測定するための手段は、上述の技術を実装するための任意の好適な手段であってもよい。
【0044】
理想的および実質モル発熱量(HVm,iおよびHVm,r)を決定するための手段は、任意の好適なプロセッサまたはコンピュータであってもよい。好適なプロセッサは、当業者には周知であって、市販されている。
【0045】
上述のように、燃料のウォッベ指数の決定は、ガスの実質モル発熱量HVm,rおよび相対密度または比重の計算を必要とする。当然、ウォッベ指数の正確な計算は、HVm,rおよび相対密度の両方の正確な決定を必要とすることになる。
【0046】
さらなる局面では、本発明は、少なくとも1つの炭化水素成分から成る、燃料の相対密度を決定する方法であって、
燃料の実質発熱量を決定するステップと、
燃料の音速を測定するステップと、
燃料内の二酸化炭素の濃度を測定するステップと、
実質発熱量、音速、および二酸化炭素の濃度から、燃料の相対密度を決定するステップと
を備える、方法を提供する。
【0047】
本発明の本局面の方法は、上述のように、液体および気体燃料の両方を含む、広範囲の炭化水素燃料に適用されてもよい。本方法は、気体燃料、特に、一般的または処理済み天然ガス、精製ガス、燃料ガス、生物ガス、SNG(合成天然ガス)等の相対密度の決定において特に有益である。
【0048】
相対密度を決定する方法は、燃料の実質発熱量の決定を必要とする。任意の好適な方法が、採用されてもよい。しかしながら、本発明の第1の局面および上述のHVm,rを決定する方法を採用することは、特に好ましい。
【0049】
燃料内の音速は、当該分野において周知の任意の技術を使用して、決定されてもよい。本方法が、液体燃料に適用される場合、燃料は、上述のように、最初に、気化されなければならない。概して、燃料内の音速の測定は、音の速度の測定を実行する装置の上流の圧力が既知であることを必要とする。燃料の下流の圧力は、通常は、周囲圧力またはそれに近い圧力である。下流の圧力の変動は、本方法に悪影響を及ぼさないが、但し、装置を通して流動する燃料の圧力低下が、音速条件が有効である、すなわち、下流の圧力が、測定される上流の燃料の圧力の0.52倍未満であることを条件とする。
【0050】
気体燃料内の音速を測定するための好適な技術は、当該分野において周知であって、当業者には明白となるであろう。音速を測定するための好適な技術の1つは、音速条件が音速ノズルの喉部内で生成されるような上流および下流の圧力設定による、音速ノズルの喉部内の流量の実際の測定である。流量センサ、好ましくは、薄膜金属センサは、オリフィスの喉部内に設置される。金、白金、ロジウム、イリジウム、またはパラジウム等の貴金属が、好ましい。センサは、4線式構成で電子的に内蔵される。一方の対は、センサを通るヒータ電流、他方の対は、測定電流を供給する。上流および下流温度センサを使用して、実際の音速と比例する、喉部前後の温度差を測定する。第2のセンサ集合は、測定される燃料の密度、粘度、および熱容量の影響を補償するために、第2の条件集合において、音速の測定を行なうことが必要とされる。これは、同一圧力条件下であるが、異なる周囲温度設定を伴う並列チャネルにおいて、またはオリフィス喉部の上流または下流の同一チャネルにおいて、行なうことが可能である。後者の構成では、第2の測定は、同一周囲温度条件であるが、異なる圧力設定において、行なわれる。
【0051】
音速を測定するための別の好適な技術として、1つ以上の好適な送信機および/または受信機を使用する、既知の長さの経路にわたる音響信号の走時の測定を含む。音速を測定するために適用され得る代替技術として、周知の特徴との空洞の共鳴条件の決定を含む。そのような方法は、当該分野において周知である。
【0052】
燃料内の音速を測定するために採用される技術は、好ましくは、少なくとも±0.5m/s、より好ましくは、±0.1m/sの精度を有する。
【0053】
後述のように、本発明の方法は、推定開始点から反復的に行なわれてもよい。その結果、燃料ガス内の音速が、計算される必要がある。計算は、任意の一般に認められている状態方程式を使用して、行なわれてもよい。そのような状態方程式は、当該分野において周知である。好ましくは、燃料ガス内の音速は、AGA Report No. 10−Speed of Sound in Natural Gas and Other Related Hydrocarbon Gases(American Gas Association 2003)に記載の方法を使用して、計算される。
【0054】
さらなるステップでは、本方法は、燃料内の二酸化炭素の濃度の決定を必要とする。二酸化炭素の濃度を決定するための技術は、当該分野において周知である。好適な方法の1つは、非分散型赤外線技術を採用する。非分散型赤外線(NDIR)技術は、赤外線領域内の特定の波長における赤外線光の成分吸収を測定するステップから成る。二酸化炭素の基本振動モード(分子結合の非対称伸縮振動)は、中赤外線波長スペクトル内に位置する。本周波数と対応する入射赤外線光のための適切なフィルタの選択によって、二酸化炭素の濃度は、比較的高速かつ正確な方法で測定可能である。また、代替例として、光吸収技術は、近赤外線(NIR、700−2500nm)および遠赤外線(FIR、25−1000μm)等の他の波長において適用され得るが、二酸化炭素の光吸収は、中赤外線領域におけるように顕著ではない。二酸化炭素の場合、FIR領域内の吸収は、分子の結合の屈曲によるものである一方、NIR領域内の吸収は、振動エネルギー周波数の調波によるものである。場合によっては、吸収は、これらの波長における燃料内の他の分子の吸収スペクトルの影響によってあまり影響を受けない場合あり、その場合、特に注意が必要とされ、信号強度の損失を補償しなければならない。
【0055】
燃料内の二酸化炭素濃度を測定するための別の技術として、ポリマーまたはヘテロポリシロキサンを基材とする感応層を伴う、化学二酸化炭素ガスセンサの使用を含む。これらの技術は、非常に低エネルギー消費という重要な利点を有し、超小型電子技術系システムに適合するサイズに縮小可能である。しかしながら、短期および長期ドリフト効果同様に、NDIR測定原理と比較して、全体的寿命がやや短いことは、大きな障害である。
【0056】
燃料内の二酸化炭素濃度を測定するためのさらなる技術は、ガスクロマトグラフィであって、個々の成分は、カラムの固定相内の成分の溶解度差に基づいて、分離カラム内で互いに分離され、熱伝導度検出器または熱イオン化検出器等、カラムの出口における検出器によって個々に測定される。加えて、また、質量分析が採用されてもよく、成分は、イオン化され、電磁場内で互いに分離され、その値は、着目成分を除いて、全成分が検出器経路から偏向されるように設定される。同様に、燃料内の二酸化炭素の濃度を測定するためのそのような技術および方法の使用は、当該分野において周知である。
【0057】
二酸化炭素のモル濃度を測定するために採用される技術は、好ましくは、±2.0%を超える、より好ましくは、±1.0%の最大測定限界を超える精度を有する。
【0058】
HVm,r、音速、および二酸化炭素のモル濃度を使用して、燃料の相対密度を決定する。相対密度は、以下のように決定されてもよい。
i.上述のように、燃料の実質モル発熱量Hm,rを測定する。
ii.燃料の実質モル音速VOSm,rを測定する。
iii.固定値として、第1の炭化水素および二酸化炭素の測定濃度によって、測定の必要のある燃料の開始組成を定義する。
iv.開始組成のVOSm,rを計算する。
v.VOSm,rの計算値を実際に測定された値と比較する。
vi.わずかな増加によって、開始組成内の各成分の濃度を変動させ、新組成を提供する。
vii.新組成のVOSm,rを計算する。
viii.組成に対して計算されたものと、測定されたもののVOSm,rの値の間の差異が、0.002未満となるまで、ステップ5から7を繰り返す。
ix.最終組成を使用して、実質モル相対密度RDm,rを計算する。
【0059】
燃料の相対密度は、本発明の方法を使用して、0.1%内の精度まで決定され得ることが分かっている。図7を参照すると、−0.1m/sおよび+0.1m/sの音速の測定における逸脱を伴う、広範囲の天然ガスに対して決定される化学量論的酸素(または、空気)/燃料比と対比して、相対密度の誤差のグラフが示される。示されるように、相対密度は、±0.1%の精度内まで決定されている。
【0060】
さらなる局面では、本発明は、少なくとも1つの炭化水素成分から成る、燃料の相対密度を決定するための装置であって、
燃料の実質発熱量を決定するための手段と、
燃料内の音速を測定するための手段と、
燃料内の二酸化炭素の濃度を測定するための手段と、
実質発熱量、音速、および二酸化炭素の濃度から、燃料の相対密度を決定するための手段と
を備える、装置を提供する。
【0061】
燃料の実質発熱量を決定するための手段、音速を決定するための手段、および二酸化炭素のモル濃度を測定するための手段は、上述の技術を実装するための任意の好適な手段であってもよい。
【0062】
相対密度を決定するための手段は、任意の好適なプロセッサまたはコンピュータであってもよい。好適なプロセッサは、当業者に周知であって、市販されている。
【0063】
本発明のさらなる局面は、燃料のウォッベ指数を決定するための方法であって、燃料は、最高モル濃度中に含まれる第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素から成り、
燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定するステップと、
測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定するステップと、
第1の炭化水素のモル濃度を測定するステップと、
理想的モル発熱量(HVm,i)および第1の炭化水素のモル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定するステップと
によって、燃料の発熱量を決定するステップと、
燃料の実質発熱量を決定するステップと、
燃料内の音速を測定するステップと、
燃料内の二酸化炭素の濃度を測定するステップと、
実質発熱量(HVm,r)、音速、および二酸化炭素の濃度から燃料の相対密度を決定するステップと
によって、燃料の相対密度を決定するステップと、
実質発熱量(HVm,r)および相対密度からウォッベ指数を計算するステップと
を備える、方法を提供する。
【0064】
さらなる局面では、本発明は、燃料のウォッベ指数を決定するための装置であって、燃料は、最高モル濃度中に含まれる第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素から成り、
燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定するための手段と、
測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定するための手段と、
第1の炭化水素のモル濃度を測定するための手段と、
理想的モル発熱量(HVm,i)および第1の炭化水素のモル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定するための手段と
を備える、燃料の発熱量を決定するための手段と、
燃料の実質発熱量を決定するための手段と、
燃料内の音速を測定するための手段と、
燃料内の二酸化炭素の濃度を測定するための手段と、
実質発熱量(HVm,r)、音速、および二酸化炭素の濃度から燃料の相対密度を決定するための手段と
を備える、燃料の相対密度を決定するための手段と、
実質発熱量(HVm,r)および相対密度からウォッベ指数を計算するための手段と
を備える、装置を提供する。
【0065】
また、本発明は、本発明の先行局面の方法の測定および決定を行なうための操作の種々の装置および特定の方法を提供する。ある範囲の機器設計が、本発明の先行局面の方法のステップを実践するように想定され得るが、本方法は、微小電気機械システム(MEMS)(マイクロシステム技術(MST)とも称される)内に適用されることが特に好適であることが分かっている。MEMSデバイスの使用は、ピーク燃焼温度を決定する技術を使用する、化学量論的酸素(または、空気)/燃料モル比の測定において、特に有益である。MEMS技術によって、本測定は、無炎モードで実行可能となり、燃料パイプラインおよび設備のライン内での使用に好適なシステムをもたらす。さらに、MEMSデバイスは、約数ml以下/分の非常に低燃料流量を使用して作動可能である。
【0066】
従って、本発明は、炭化水素燃料のための酸素(または、空気)/燃料の化学量論的モル比を決定するための装置であって、
酸化反応炉としての役割を果たす空洞と、
入口から空洞までの燃料の通過のための導管と、
入口から空洞までの酸素(または、空気)の通過のための導管と、
を有して形成される、不活性材料の基板を備える、装置を提供する。
【0067】
本装置は、最も好ましくは、MEMSデバイス、上述のように、例えば、不活性材料のチップ内に形成される導管および空洞を伴う装置である。不活性材料は、後述のように、任意の好適な材料であってもよい。導管および空洞は、任意の好適な技術、例えば、エッチングによって、不活性材料内に形成されてもよい。MEMSデバイスの利点は、装置が非常に小型であって、非常に小量の燃料流量のみで作動可能であって、非常に高表面積対容積率、したがって、内部プロセスの優れた制御をもたらす。そのようなデバイスを使用して、燃料のための酸素(または、空気)/燃料の化学量論的モル比を非常に高精度まで決定可能であることが分かっている。本装置は、測定される燃料の酸素(または、空気)/燃料の化学量論的モル比を必要とする任意の方法に関連して使用されてもよい。例えば、本装置は、ASTM Standard D−4891「Standard Test Method for Heating Value of Gases in Natural Gas Range by Stoichiometric Combustion」に規定される方法を含む、本発明あるいは従来技術の方法のいずれかを使用する、燃料の発熱量および/またはウォッベ指数の計算において使用されてもよい。
【0068】
本装置は、それらそれぞれの導管に沿って供給される燃料および酸素(または、空気)が、空洞に進入する前に混合されるように、空洞への入口に配置される混合器をさらに備えてもよい。
【0069】
導管は、燃料あるいは酸素(または、空気)が、空洞への通過のために導入され得る、入口またはオリフィスとともに形成される。
【0070】
空洞は、空であってもよく、本装置は、燃料および酸素(または、空気)の単なる燃焼に依存する。あるいは、空洞は、活性エネルギーを低減し、特定の反応生成物を有利に作用させることによって、炭化水素の酸化を促進し、反応速度を改善する際に活性する1つ以上の触媒組成から成ってもよい。好適な触媒の実施例として、白金、イリジウム、パラジウム、またはロジウム等の貴金属を含む。
【0071】
不活性材料の基板は、好ましくは、半導体の製造において採用される生産技術を使用して形成される、すなわち、成分は、基板からの材料の除去および/または基板上への材料の蒸着によって形成される。不活性材料は、MEMSデバイス内の使用のために周知の材料、特に、ポリマー、金属、シリコン、またはガラスのいずれかであってもよい。好適なポリマー材料は、周知かつ市販されており、燃料の無炎酸化によって発生する条件に耐性でなければならない。ポリマー材料は、当該分野において周知の技術、特に、射出成形、エンボス加工、およびステレオリソグラフィによって、装置の成分とともに形成されてもよい。金属は、不活性材料、特に、金、ニッケル、アルミニウム、クロム、チタニウム、白金、タングステン、銀、パラジウム、イリジウム、およびロジウムとして、採用されてもよい。金属は、電気めっき、蒸着、およびスパッタリングプロセス等の技術を使用して、形成されてもよい。本発明の装置内の基板材料として使用するために好ましい材料は、蒸着、リソグラフィ、およびエッチング技術の組み合わせを使用して形成される、シリコンおよびガラスである。
【0072】
酸化反応炉としての役割を果たす基板内に形成される空洞は、非常に低容積であることが可能であって、作動のために非常に低容量の燃料および酸素(または、空気)を必要とし、非常に高速応答時間を有するコンパクトなデバイスをもたすことが利点である。空洞は、1ml未満、より好ましくは、500μl未満の容積を有してもよく、約1μl以下の容積を有する空洞が、特に好ましい。空洞への流体の通過を提供するための導管は、空洞内で測定されたガスの滞留時間が、供給および出口導管内の滞留時間と比較して長くなるように、空洞の容積に対応する寸法、特に、内径を有するであろう。
【0073】
基板は、好ましくは、不活性材料のチップ、特に、シリコンおよび/またはガラスのチップとして、形成される。
【0074】
装置は、好ましくは、空洞内で生じる酸化反応の温度を監視するために、基板内または基板上に形成される温度センサをさらに備える。
【0075】
空洞に供給される燃料および酸素(または、空気)の通過を提供するために形成される導管は、反応するために必要とされる流量の燃料および酸素(または、空気)を提供するように定寸される。導管およびそれらそれぞれのオリフィスが、必要とされる流体流量を提供するように正確に形成されてもよく、したがって、流体流量を制御するためのデバイス内の任意の可動部の必要性を回避することは、MEMSデバイス特有の利点である。あるいは、本装置は、空洞への導管を通る流体の流量を制御するための手段が提供されてもよい。
【0076】
本装置は、好ましくは、1つ以上のヒータをさらに備え、空洞に進入し、酸化反応に関与する前に、それぞれの導管に沿って流動する燃料および/または酸素(または、空気)を予熱する、および/または装置の温度を制御する。ヒータおよびセンサとして、装置内で使用するための好ましい材料は、金、白金、ロジウム、イリジウム、およびパラジウム等の貴金属である。
【0077】
一好ましい実施形態では、本装置は、不活性材料のブロック、特に、チップから形成され、ベースおよびカバーを備え、空洞および導管はそれぞれ、酸素(または、空気)および燃料のためのものであって、温度センサおよびヒータは、存在する場合、カバーおよびベースのうちの一方内に形成される。一好ましい配列では、一体型オリフィスならびに酸素(または、空気)および燃料の両方のための混合器を伴う、空洞ならびに導管は、カバーおよびベースのうちの一方、好ましくは、ベース内に形成され、カバーおよびベースのうちの他方は、温度センサおよび1つ以上のヒータの両方を有して形成される。
【0078】
単一装置は、上述のように、導管を通る流体の流量を変動させるための手段が提供され、酸素(または、空気)対燃料比のある範囲における燃料の酸化の温度を測定するように使用されてもよい。これは、空洞への燃料および/または酸素(または、空気)の流量を変動させることによって、達成されてもよい。しかしながら、上述のように、導管を通る流体の流量が、導管の寸法、特に、導管のオリフィスの断面を決定され得ることは、本発明およびMEMS技術使用の特有の利点である。したがって、所与の装置は、空洞に所定の流量の酸素(または、空気)および所定の流量の燃料を提供するように形成されてもよく、したがって、装置は、固定酸素(または、空気)/燃料比で作動可能となる。
【0079】
上述のように、所与の燃料のための酸素(または、空気)および燃料の化学量論的モル流量比は、ピーク酸化温度あるいは燃焼チャンバの出口における酸素(または、空気)濃度を測定することによって、決定される。これは、酸素(または、空気)/燃料比のある範囲に対して、酸化温度あるいは燃焼チャンバの出口における酸素(または、空気)濃度を測定することによって、達成される。
【0080】
一実施形態では、これは、上述の装置を使用して、単一反応炉アセンブリを有し、それらのそれぞれの導管を通して、混合器、次いで、空洞へと供給される燃料および酸素(または、空気)の一方あるいは両方の流量を変動させるための手段を装置に提供することによって、達成される。燃料および酸素(または、空気)の一方あるいは両方の流量を変動させるための手段は、好ましくは、基板内に組み込まれる。
【0081】
導管を通る空洞への燃料および/または酸素(または、空気)の流量を変動させるための手段の1つは、わずかな下流の圧力変動にも関係なく、臨界流量がオリフィス内で発生されるように、オリフィスの上流の流体圧力を測定および調整することによるものである。次いで、実際の流量が、上流圧力の測定およびオリフィスの幾何学形状から計算可能である。2つの流体の流量を変動させるための代替手段は、オリフィスの上流および下流の流体圧力を測定ならびに調整することによるものである。次いで、実際の流量が、上流および下流圧力の測定ならびにオリフィスの幾何学形状から計算可能である。上述の技術のガスの圧力調整は、機械的および/または電子的圧力調整器によって達成可能である。
【0082】
2つの流体の流量を変動させるための代替手段は、それぞれ、同一圧力条件下、作動するが、並列構成によって、上流および下流圧力の規定設定を前提として、ガスのために必要とされる流量の完全範囲が、提供可能であるように、異なるオリフィス区画を有して組み込まれる、異なる流路の並列構成を採用することである。
【0083】
燃焼空洞を通る流動を変動させるさらなる代替手段は、所定の圧力まで、固定容積チャンバを流体で充填することによるものである。固定容積チャンバへの入口が閉鎖され、オリフィスを通して、燃焼空洞へと流体を誘導する出口が、開放される。固定容積チャンバ内の圧力および酸化反応の温度の両方を継続的に監視することによって、化学量論的燃焼点におけるモル流量が、定義可能となる。
【0084】
2つの流体の流量を変動させるためのさらなる代替手段は、熱流動測定に基づく、各供給ガスの質量流量制御器の使用によるものである。そのような制御器は、本質的に、チューブの外側に巻装される2つの抵抗温度計要素を伴う小口径チューブである、熱センサを備える。センサチューブは、電流を要素に印加することによって、加熱される。一定の割合のガスが、センサチューブを通して流動し、冷却効果によって、2つの要素間の温度差をもたらす。温度差による抵抗の変化は、電気信号として、測定される。これは、制御信号として使用され、比例制御弁を作動させ、順に、弁を通る導管内へのガスの流量を制御する。
【0085】
作動時、燃料および酸素(または、空気)の両方が、酸化空洞の混合器へと送られ、燃料が、酸化され、酸化温度あるいは出口の酸素(または、空気)濃度が、記録される。燃料および酸素(または、空気)のうちの一方のモル流量は、一定に維持される。燃料および酸素(または、空気)の他方のモル流量は、段階的または継続的に変更され(増減のいずれか)、空洞へ供給される酸素(または、空気)および燃料のモル比を変動させる。このように、異なる酸素(または、空気)/燃料モル比のある範囲にわたって、酸化温度あるいは出口の酸素(または、空気)濃度が測定され、化学量論的酸化率に対応するピーク温度あるいは酸素(または、空気)枯渇点が、識別されてもよい。ある成分の流量を変動させるサイクルは、繰り返されてもよい。
【0086】
従って、さらなる局面では、本発明は、燃料の化学量論的酸化率を決定する方法であって、
酸素(または、空気)によって、燃料の酸化を導くための反応炉を提供するステップと、
酸素(または、空気)を反応炉に供給するステップと、
燃料を反応炉に供給するステップと、
反応炉への燃料および酸素(または、空気)のうちの一方の流量を一定に維持するステップと、
反応される燃料および酸素(または、空気)のモル比を変動させるために、反応炉への燃料および酸素(または、空気)のうちの他方の流量を変動させるステップと、
あるモル比の範囲にわたって、酸化反応の温度あるいは燃焼空洞の出口における酸素(または、空気)濃度を測定するステップと、
ピーク温度あるいは燃焼空洞の出口における酸素(または、空気)濃度から、化学量論的酸化率を決定するステップと
を備える、方法を提供する。
【0087】
上述のように、本方法は、好ましくは、流入燃料および酸素(または、空気)が、反応炉内の燃焼あるいは酸化前に十分に混合されるように、反応炉の上流に混合器を採用する。
【0088】
代替配列では、モル流量比の必要とされる範囲は、複数の別個の反応炉アセンブリ(それぞれのモル流量比に対して1つ)を使用して、分析されてもよい。本発明の装置は、並列の複数の反応炉アセンブリとともに配列され、単一源の燃料および酸素(または、空気)を使用する一連の酸化反応を監視し、ピーク酸化温度を識別可能としてもよい。これは、異なるオリフィス区画を伴う導管を有する複数のデバイスを並列に配列することによって、達成され、単一源から、それぞれ燃料および酸素(または、空気)の異なるモル流量を可能にする。一配列では、複数の別個のデバイスが、反応炉アセンブリとともに並列に配列される。代替配列では、単一デバイスは、複数の空洞が提供され、各酸化空洞は、空洞に酸素(または、空気)および燃料のある流量を提供するために、特定のオリフィスサイズを伴う、それぞれの導管を有し、各空洞の導管は、特定のオリフィスサイズによって、特定の所定のモル比において、空洞に燃料および酸素(または、空気)を提供するように配列される。
【0089】
同様に、混合器は、好ましくは、各空洞の上流に採用される。
【0090】
導管を通る流体の異なるモル流量は、いくつかの方法で達成されてもよい。例えば、酸素(または、空気)の通過のための導管はすべて、同一断面積のオリフィスとともに形成されてもよい一方、燃料の通過のための導管は、異なる断面積のオリフィスを有する。あるいは、燃料の通過のための導管は、同一のものであってもよく、モル比の変動は、酸素(または、空気)導管内の開口のサイズを異ならせることによって、達成される。さらに、より複雑な代替例は、必要に応じて、酸素(または、空気)および燃料導管の両方内で、異なるオリフィス区画を採用することである。この点において、アプローチの選択は、デバイスを調製するために使用される技術によって達成され得るオリフィス区画の範囲として、そのような要因に依存してもよい。
【0091】
従って、さらなる局面では、本発明は、燃料の酸化のための化学量論的モル流量比を決定するための装置であって、
燃料のための第1の入口と、
酸素(または、空気)のための第2の入口と、
反応流体のための出口と、
複数の反応炉アセンブリであって、各反応炉アセンブリは、
空洞と、
空洞と空洞への燃料の通過のための第1の入口との間に延在する第1の導管と、
空洞と空洞への酸素(または、空気)の通過のための第2の入口との間に延在する第2の導管と、
空洞と出口との間に延在する出口導管と、
酸化空洞内で反応する流体の温度を測定するための温度センサ、あるいは酸化空洞の出口における酸素(または、空気)濃度を測定するためのセンサと
を備える、反応アセンブリと
を有して形成される、不活性材料の基板を備え、
各反応炉アセンブリは、異なる所定のモル比において、空洞へ燃料および酸素(または、空気)を提供するように配列される、装置を提供する。
【0092】
上述のように、混合器は、好ましくは、空洞に進入する前に、燃料および酸素(または、空気)の適切な混合を保証するように提供される。
【0093】
並列に配列される反応炉アセンブリを有する装置は、酸素(または、空気)/燃料モル比のある範囲において、酸化温度の同時測定を可能にする。これは、非常に高速応答時間かつ高精度および高再現性を装置に提供する。
【0094】
本装置は、各反応炉アセンブリのための1つ以上のヒータをさらに備え、空洞内への進入前に、燃料または酸素(または、空気)の一方あるいは両方を予加熱する、および/または酸化反応前あるいはその間に、空洞内の温度を制御してもよい。
【0095】
本装置は、最も有利には、単一ブロックまたはチップ内に、全反応炉アセンブリとともに配列される。本装置は、最も好ましくは、MEMS技術を採用する(配列の詳細は、上述の通りである)。このように、単一デバイスは、分析される燃料および酸素(または、空気)の各々の単一供給を受容し、異なる酸素(または、空気)/燃料比のある範囲において、燃料の酸化のための温度測定値範囲を生成可能であるように提供されてもよい。温度センサの出力は各々、それぞれの反応炉アセンブリのオリフィスの相対寸法に従って、特定の流量比と相関する。好適なプロセッサは、ピーク酸化温度および化学量論的酸素(または、空気)/燃料比を識別するために、出力温度を外挿および内挿可能である。
【0096】
本発明は、燃料の酸化のための化学量論的モル流量比を決定するための対応方法であって、
複数の反応炉アセンブリを提供するステップであって、各反応アセンブリは、
酸化空洞と、
空洞への燃料の通過のための第1の導管と、
空洞への酸素(または、空気)の通過のための第2の導管と
を備え、各反応炉アセンブリは、異なる所定のモル比において、空洞へ燃料および酸素(または、空気)を提供するように配列される、ステップと、
各反応炉アセンブリの第1の導管へ燃料を供給するステップと、
各反応炉アセンブリの第2の導管へ酸素(または、空気)を供給するステップと、
内部オリフィスによって、各導管内の流体のモル流量を制御するステップと、
燃料の酸化を各空洞内で生じさせるステップと、
各空洞内の酸化の温度あるいは空洞の出口における酸素(または、空気)濃度を測定するステップと、
測定された温度および所定のモル流量比から化学量論的酸化モル流量比を決定するステップと
を備える、方法を提供する。
【0097】
上述のように、化学量論的酸化モル流量比は、複数の反応炉アセンブリにわたる酸化温度/モル流量比関係を内挿することによって、決定される。本方法は、最も有利には、単一源から供給される燃料および酸素(または、空気)と並行して、同時に作動する全反応炉アセンブリによって実行される。
【0098】
理解されるように、決定の精度は、より多くの並列反応炉アセンブリによって、改善されるであろう。本装置および方法は、好ましくは、少なくとも4つの並列反応炉アセンブリ、より好ましくは、少なくとも8つのアセンブリを採用する。少なくとも10、より好ましくは、少なくとも20の並列反応炉アセンブリを採用する配列は、LPG等の重質燃料に特に有益である。MEMS技術の利点は、多数の並列反応炉アセンブリが、単一チップまたはデバイス内に形成されてもよいことである。
【0099】
上述のように、空洞は、空であってもよく、または1つ以上の触媒が提供されてもよい。触媒の特定の種類および配置は、分析される燃料の種類に依存してもよい。炭化水素燃料の酸化のための可能性のある触媒として、白金、イリジウム、パラジウム、およびロジウムを含む。
【0100】
ピーク酸化温度を容易に識別するために、本装置は、適合され、本方法は、酸素(または、空気)対燃料のモル流量比のある範囲にわたって作動されるべきである(分析される燃料範囲の化学量論的酸化モル流量比を包含する)。したがって、天然ガスおよび液化天然ガス(LNG)の場合、本比率は、1.0から3.0、より好ましくは、1.3から2.6であってもよい一方、軽質燃料の場合、モル比の範囲は、より大きくなるであろう。例えば、LPGの分析の場合、モル流量比は、2.5から5.5、より好ましくは、3.0から5.0となるであろう。
【0101】
上記で詳述されたように、理想的モル発熱量HVm,iは、燃料の化学量論的酸化モル流量比から決定され、次いで、第1の炭化水素の濃度の測定を使用して補正され、実質モル発熱量HVm,rを提供する。従って、本発明の上述の装置は、第1の炭化水素の濃度を測定するための手段をさらに備えてもよい。そのような手段は、上述のように、任意の好適な測定技術、例えば、装置の入口に送られる燃料の赤外線分析を採用してもよい。
【0102】
また、上記で詳述されたように、燃料の相対密度の決定は、ウォッベ指数が計算されるべき場合、必要とされる。論じられるように、相対密度は、好ましくは、燃料内の音速および燃料内の二酸化炭素の濃度の測定を使用して、決定される。有利なことに、上述の装置は、燃料内の音速および燃料内の二酸化炭素の濃度を測定するための手段をさらに備える。
【0103】
燃料内の音速は、既知の直径のオリフィスを通る特定の流量において、燃料を通過させることによって測定され、その音速は、適切なセンサを使用して測定されてもよい。好適なオリフィスまたは喉部を有する導管が、上述の技術を使用して、基板内に形成されてもよいことは、MEMS技術の利点である。好ましくは、導管は、反応炉アセンブリおよび他の成分として、同一基板ブロックまたはチップ内に形成される。このように、同一燃料供給および入口が、酸化温度および音速の決定のために使用されてもよい。
【0104】
通常は、導管のオリフィスまたは喉部は、1000μm2未満の断面積を有するだろう。薄膜センサは、燃料の速度が音速に到達する導管内の場所にエッチングされてもよい。導管を通過する燃料の速度は、音速の測定が、密度、粘度、および熱容量の影響に対して補正されるために、導管内の別の場所で測定されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
ここで、添付の図面を参照して、例示のみによって、本発明の実施形態を説明する。
【図1】図1は、酸素(または、空気)/ガスモル比の変動と対比して、酸素(または、空気)内の気体燃料の燃焼温度のグラフを示す。
【図2a】図2aは、燃料の化学量論的酸化率と対比して、1000の無作為天然ガス組成範囲の理想的モル発熱量HVm,iのグラフを示す。
【図2b】図2bは、燃料の化学量論的酸化率と対比して、1000の無作為天然ガス組成範囲の理想的モル相対密度RDm,iのグラフを示す。
【図3】図3は、燃料の化学量論的酸化率と対比して、図2aの無作為天然ガス組成範囲の実質モル発熱量HVm,rの誤差のグラフを示す。
【図4】図4は、燃料の化学量論的酸化率と対比して、世界的に市販されている天然ガスの範囲の実質モル発熱量HVm,rの誤差のグラフを示す。
【図5】図5は、図4の燃料の化学量論的酸化率と対比して、モルメタン濃度のグラフを示す。
【図6】図6は、図2aの燃料組成範囲の化学量論的酸化率と対比して、第1の炭化水素(表示される範囲の場合、メタン)の測定からの補正後の実質モル発熱量HVm,rの誤差のグラフを示す。
【図7】図7は、燃料の化学量論的酸化率と対比して、第1の炭化水素および二酸化炭素濃度の測定からの補正後の音速の測定に基づく、図2bのガス組成範囲の相対密度の決定の誤差のグラフを示す。
【図8】図8aは、燃料のピーク酸化温度の決定のための本発明の一実施形態による、装置の斜視図を示す。図8bは、図8aの装置のベースの実施例を示す。図8cは、図8aの装置のカバーの実施例を示す。
【図9a】図9aは、炭化水素燃料内の音速を測定するためのセンサの実施形態を示す。
【図9b】図9bは、図9aのセンサの一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0106】
(本発明の詳細な説明)
図8aを参照すると、燃料/酸素(または、空気)混合物の酸化温度を測定するための装置(概して、2として示される)の実施例が示される。装置2は、シリコンまたはガラスのチップの形態であって、ベース4と、カバー6とを備え、その詳細は、それぞれ、図8bおよび8cに示される。
【0107】
図8bで除去されるカバー6とともに平面図で示されるベース4は、一主表面内にエッチングされる合計8つの反応炉アセンブリ8を有する。各反応炉アセンブリ8は、空洞10を備え、燃料および酸素(または、空気)が、無炎酸化反応として反応を生じさせる。空洞10は、そこから延在する酸素(または、空気)/燃料混合物のための入口導管12と、燃焼生成物のための出口14とを有する。入口導管12は、その遠位端にガス混合器16を有し、酸素(または、空気)導管18および燃料導管20が開放される。酸素(または、空気)および燃料導管18、20はそれぞれ、オリフィスあるいは喉部22ならびに24が提供され、そのサイズは、それぞれの導管内を流動するガスのモル流量を決定するために選択される。ベース6は、各燃料導管20に接続され、供給源(便宜上図示せず)から燃料を受容するための入口28を有する、燃料入口ヘッダ導管26がさらに提供される。類似ヘッダ導管(便宜上図示せず)が、各酸素(または、空気)導管18への酸素(または、空気)の供給のために提供される。出口ヘッダ30は、各出口導管14に接続され、燃焼生成物の除去のための出口32を有する。
【0108】
各空洞10は、無炎酸化反応を開始するために、ベース6内にエッチングされる点火回路(図示せず)が提供される。
【0109】
図8cを参照すると、カバー6は、それらのそれぞれの導管内の酸素(または、空気)および燃料の温度を制御し、空洞10に供給されるためのヒータ要素34のアレイを備える。カバー6は、空洞内のガスの温度を測定するために、各空洞10のための温度センサ要素36をさらに備える。温度センサ要素36はすべて、センサの出力を受信および処理するために、中央プロセッサ(便宜上図示せず)に連結される。
【0110】
空洞10および反応炉アセンブリ8の導管は、薄膜シールによって密閉される。
【0111】
チップは、コンパクトな多重反応炉装置であって、通常は、幅約10mmおよび長さ10mmの寸法を有する。
【0112】
作動時、分析される燃料は、入口28に供給され、燃料入口ヘッダ導管26に進入し、燃料導管20のそれぞれ内へと流動する。導管を通る空洞への燃料のモル流量は、燃料導管20内の喉部24の寸法によって、決定される。同様に、酸素(または、空気)は、各酸素(または、空気)導管18に供給され、各導管内のそのモル流量は、喉部22の寸法によって、決定される。各反応炉アセンブリ8は、燃料および酸素(または、空気)の異なる既知のモル比で作動する。
【0113】
酸素(または、空気)および燃料は、反応が生じるそれぞれの空洞10への入口導管12に沿って通過する前に、混合器16内で完全に混合される。各空洞10内の酸化反応温度は、センサ36によって、測定される。酸化生成物は、出口導管14に沿って、空洞から流出し、出口ヘッダ30および出口32を経由して、装置から排出される。
【0114】
このように、酸素(または、空気)および燃料の8つの異なるモル比において、合計8つの酸化反応が、同時に行なわれ、その温度が測定され、中央プロセッサに送信される。ピーク酸化温度は、測定された温度値および決定された対応する化学量論的酸化流量比を内挿することによって、決定される。
【0115】
図9aを参照すると、ガス、特に、気体炭化水素燃料内の音速を決定する際に使用するためのセンサが示される。センサ(概して、102として示される)は、不活性材料のチップから形成されるベース104を備える。センサは、長さ10mmおよび幅1mmである。チャネル106は、ベース104の表面内にエッチングされる。チャネル106は、入口端108と、出口端110とを有する。
【0116】
チャネルは、図9bに詳細に示される、入口108の領域内のその長さの一部の縮小断面積である、狭窄112を有する。センサは、四角形の接触パッドで終端する、貴金属、特に、銀、金、白金、ロジウム、イリジウム、またはパラジウムの薄膜トラックの形態の温度センサ114および116が提供される、温度センサ114および116と同一の一般的構成および構造のヒータ要素118は、温度センサ間に配置される。
【0117】
オリフィス120は、出口110領域内に配置され、狭窄と同一配列および種類において、3つのセンサを有する。
【0118】
カバー(便宜上図示せず)は、ベース上に延在するように提供される。カバーは、チャネル106を密閉する役割を果たす。加えて、カバーは、外部制御および測定デバイスからのヒータおよびセンサへの接続を提供するための接点を有する。
【0119】
(実施例)
燃料ガスのHVrealおよびRDrealの決定は、以下のように、本発明の方法を使用して実行される。
【0120】
本発明の方法を実証するために、以下のガス組成(各成分量は、%モルで指定される)が集められた。
【0121】
【表4】
【0122】
本組成は、2.120の酸素/ガスモル比および435.0m/sの音速(VOSm,r)を有するように決定された。通常は、本分野において遭遇される不正確性をシミュレートするために、誤差がデータ内に導入された。特に、VOSは、0.1m/sの不確実性が提供される。CH4およびCO2の両方の濃度は、1%の誤差が提供された。最後に、酸素/ガスの化学量論的比は、0.1°Cの不確実性に匹敵する0.01%の誤差が提供された。
【0123】
本組成は、1/3原則に従っておらず、約20のエタン対プロパン比と、同等濃度のC4、C5、およびC6を有することに留意されたい。従って、相関計測器等の器具は、ガス組成を分析するために、使用不可能である。
【0124】
本組成は、42.245MJ/m3のHVr、0.6712のRDr、および0.9969の圧縮率係数Zを有するように計算された。
【0125】
以下のアルゴリズムを使用して、開始組成を決定した。
【0126】
【数1】
式中、Ciは、上述の組成内の成分iの濃度であって、C1は、第1の炭化水素の濃度(測定された値、固定)であって、Nは、燃料内で期待される有意成分の数(天然ガスの場合、9)であって、LIMITiは、以下に求められるように、本方法が適用可能な成分iの最大濃度である。
【0127】
【表5】
【0128】
ガス組成のHVrealおよびRDrealの決定のための開始組成(%モル)は、以下のように定義された。
【0129】
【表6】
【0130】
(実質モル発熱量(HVm,r)の決定)
初期ガス燃料組成から開始し、本組成から計算されるHVm,i(モル理想的HV)が、相関曲線(HVcorr=455.152*Φ+0.0654)から計算されるHVm,iに収束するように、上述のアルゴリズムを使用する反復が、異なる成分のそれぞれの組成を徐々に変化させるように行なわれた。反復は、以下のように、ΔHVm,iおよびΔDm,iに対するある制限によって誘導される。
1.初期組成ψ0から開始し、2(N−2)組成が、ガス内の成分の数N(天然ガスの場合、9)とともに、反復ステップ毎に提案される。各組成は、1成分のみの濃度だけ互いに異なり、±(Δ*Ci,j)に等しい(Δは、あるステップ値であって、Ci,jは、仮定組成jの成分iの濃度である)。
2.各組成に対して、ΔHVm,iおよびΔDm,iが、ISO6976またはGPA2172(あるいは、基礎条件において、燃料組成から発熱量、密度、および圧縮率を計算するための任意の別の規格)に従って、計算される。上限を超える組成は、次のステップに考慮されない。
3.新組成ψHは、2(N−2)仮定組成のΔHVm,iの最小値によって、定義される。ここから、2(N−2)新組成が、ステップ1で記載された同一方法で生成され、ψHは、新初期組成として使用される。
4.本プロセスは、ΔHVm,i<0.01となるまで、繰り返される。
5.このように定義された組成から、基礎条件Zbaseにおける圧縮率が、ISO6976またはGPA2172(あるいは、基礎条件において、燃料組成から発熱量、密度、および圧縮率を計算するための別の規格)の方法を使用して決定される。
6.次いで、ガスの実質モル発熱量は、以下によって定義される。
HVm,r=HVm,i/Zbase
その結果、HVrealは、42.215MJ/m3であると決定された。
【0131】
(実質モル音速(VOSm,r)の決定)
前のステップにおいて計算された最終ガス組成から開始し、本組成から計算されるVOSm,r(実質モル音速)が、測定されたVOSm,r値に収束するように、異なる成分の組成を徐々に変化させる反復が適用される。反復は、ΔHVm,rおよびΔDm,rに対するある制限によって誘導される。
1.アルゴリズム1によって計算されたガス組成ψ0から開始し、2(N−3)組成が、反復ステップ毎に提案される。各組成は、1成分のみの濃度だけ互いに異なり、±(Δ*Ci,j)に等しい(「Δ」は、あるステップ値であって、Ci,jは、仮定組成jの成分iの濃度である)。
2.各組成に対して、ΔHVm,rおよびΔDm,rが、AGA−8(あるいは、圧力および温度の規定設定において、燃料組成から実質発熱量、密度、および圧縮率を計算するための任意の別の規格、例えば、ISO6976またはGPA2172)によって定義される状態方程式を使用して、計算される。上限を超える組成は、次のステップに考慮されない。
3.新組成ψHは、2(N−3)仮定組成のΔVOSm,rの最小値によって、定義される。ここから、2(N−3)新組成が、ステップ1で記載された同一方法で生成され、ψHは、新初期組成として使用される。
4.本プロセスは、ΔVOSm,r<0.002となるまで、繰り返される。
5.次いで、炭化水素燃料の実質モル相対密度は、以下、または圧力および温度の規定設定において、燃料組成から実質相対密度を計算するための任意の別の規格によって定義される。
RDm,r=AGA8(ψH)
結果として、RDm,rは、0.6711であると決定された。
【0132】
RDm,rの上述の決定の最終反復において計算された最終組成は、HVm,rおよびRDm,rの両方の再計算における開始組成として使用して、最終結果の精度をさらに改善してもよい。このように、これらの値は、それぞれ、99.95%および99.9%を超える精度まで決定されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の発熱量を決定するための方法であって、該燃料は、最高モル濃度中に存在する第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素を含み、該方法は、
該燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定することと、
該測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定することと、
該第1の炭化水素のモル濃度を測定することと、
該理想的モル発熱量(HVm,i)および該第1の炭化水素の該モル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記燃料は、常態で気体の燃料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記気体燃料は、一般的天然ガス、精製ガス、処理済み天然ガス、合成天然ガス、または生物ガスである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記燃料は、液体燃料である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記液体燃料は、軽質原油留分(A級)である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記液体燃料は、液化石油ガス(LPG)、ガソリン、ディーゼル、灯油、ジェット燃料、または加熱用オイルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の炭化水素は、メタンである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の炭化水素は、高級炭化水素である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の炭化水素は、プロパンまたはブタンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記燃料は、2つ以上の炭化水素を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記燃料の前記化学量論的酸化モル流量比は、該燃料の燃焼のピーク温度を測定することによって決定される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記燃料の前記化学量論的酸化モル流量比は、燃焼後の該燃料ガスの酸素または空気濃度の測定によって決定される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記理想的モル発熱量(HVm,i)は、図2aに表される関係を使用して、前記測定された化学量論的酸化モル流量比から決定される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の炭化水素の前記モル濃度は、非分散型赤外線(NDIR)、ガスクロマトグラフィ、または質量分析を使用して、決定される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の炭化水素の前記モル濃度は、フルスケールの少なくとも+/−2%の精度で、より好ましくは、フルスケールの+/−1%を超える精度で決定される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記実質モル発熱量(HVm,r)は、
i.前記理想的モル発熱量(HVm,i)と測定される燃料範囲の前記化学量論的酸化モル流量比との間の相関係数R2を決定するステップと、
ii.測定される燃料の理想的モル密度(Dm,i)を測定するステップと、
iii.該理想的モル密度(Dm,i)と測定される燃料範囲の該化学量論的酸化モル流量比との間の相関係数R2を決定するステップと、
iv.固定値として、前記第1の炭化水素の前記測定濃度を伴う、測定が必要とされる該燃料の開始組成を定義するステップと、
v.該HVm,iおよびDm,iを計算するステップと、
vi.次に、新組成を提供するために、わずかな増加によって、該開始組成内の各成分の濃度を変動させるステップと、
vii.該新組成の該HVm,iおよびDm,iを計算するステップと、
viii.該計算されたHVm,iおよびDm,iの値を、各々に対する相関係数R2を使用して、該化学量論的酸化モル流量比との相関から導出される値と比較するステップと、
ix.該HVm,iの値に関して、該組成を使用して計算された値と該相関係数R2を使用して決定された値との間の差異が、0.01%未満である場合、該燃料の圧縮率を計算するために該組成を使用し、そうではない場合、viからviiiを繰り返すステップと、
x.該相関係数R2を使用して該化学量論的酸化モル流量比から得られる最終組成に対する該HVm,iの値を該圧縮率で除算することによって、HVm,rを計算するステップと
に従って、該HVm,iおよび該第1の炭化水素の該モル濃度から決定される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
燃料の発熱量を決定するための装置であって、該燃料は、最高モル濃度中に存在する第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素を含み、該装置は、
該燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定する手段と、
該測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定する手段と、
該第1の炭化水素のモル濃度を測定する手段と、
該理想的モル発熱量(HVm,i)および該第1の炭化水素のモル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定する手段と
を含む、装置。
【請求項18】
少なくとも1つの炭化水素成分を含む燃料の相対密度を決定する方法であって、該方法は、
該燃料の実質発熱量を決定することと、
該燃料の音速を測定することと、
該燃料内の二酸化炭素濃度を測定することと、
該実質発熱量、該音速、および該二酸化炭素濃度から、該燃料の相対密度を決定することと
を含む、方法。
【請求項19】
前記燃料は、常態で気体の燃料である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記気体燃料は、一般的天然ガス、精製ガス、処理済み天然ガス、合成天然ガス、または生物ガスである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記燃料は、液体燃料である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記液体燃料は、軽質原油留分(A級)である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記液体燃料は、液化石油ガス(LPG)、ガソリン、ディーゼル、灯油、ジェット燃料、または加熱用オイルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の炭化水素は、メタンである、請求項18から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の炭化水素は、高級炭化水素である、請求項18から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の炭化水素は、プロパンまたはブタンである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記燃料は、2つ以上の炭化水素を含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記実質発熱量は、請求項1から16のいずれか一項の中で請求される方法によって、決定される、請求項18から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記音速は、音速ノズルの喉部内で測定される、請求項18から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記音速は、状態方程式を使用して計算される、請求項18から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記二酸化炭素濃度は、非分散型赤外線(NDIR)またはガスクロマトグラフィを使用して決定される、請求項18から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
i.固定値として、前記第1の炭化水素および二酸化炭素の前記測定濃度を伴う、測定が必要とされる燃料の開始組成を定義するステップと、
ii.該開始組成のVOSm,rを計算するステップと、
iii.該計算されたVOSm,rの値を前記実際に測定された値と比較するステップと、
iv.新組成を提供するために、わずかな増加によって、該開始組成内の各成分の濃度を変動させるステップと、
v.該新組成のVOSm,rを計算するステップと、
vi.該組成に対して計算されたVOSm,rの値と測定されたVOSm,rの値の間の差異が、0.002未満となるまで、iiiからvを繰り返すステップと、
vii.最終組成を使用して、前記実質モル相対密度RDm,rを計算するステップと
が適用される、請求項18から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つの炭化水素成分を含む燃料の相対密度を決定する装置であって、該装置は、
該燃料の実質発熱量を決定する手段と、
該燃料内の音速を測定する手段と、
該燃料内の二酸化炭素濃度を測定する手段と、
該実質発熱量、該音速、および該二酸化炭素濃度から、該燃料の相対密度を決定する手段と
を含む、装置。
【請求項34】
燃料のウォッベ指数を決定するための方法であって、該燃料は、最高モル濃度中に含まれる第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素を含み、該方法は、
該燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定することと、
該測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定することと、
該第1の炭化水素のモル濃度を測定することと、
該理想的モル発熱量(HVm,i)および該第1の炭化水素の該モル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定することと
によって、該燃料の発熱量を決定することと、
該燃料の実質発熱量を決定することと、
該燃料内の音速を測定することと、
該燃料内の二酸化炭素濃度を測定することと、
該実質発熱量(HVm,r)、該音速、および該二酸化炭素濃度から該燃料の相対密度を決定することと
によって、該燃料の相対密度を決定することと、
該実質発熱量(HVm,r)および該相対密度から該ウォッベ指数を計算することと
を含む、方法。
【請求項35】
燃料のウォッベ指数を決定するための装置であって、該燃料は、最高モル濃度中に含まれる第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素を含み、該装置は、
該燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定する手段と、
該測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定する手段と、
該第1の炭化水素のモル濃度を測定する手段と、
該理想的モル発熱量(HVm,i)および該第1の炭化水素のモル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定する手段と
を含む、該燃料の発熱量を決定する手段と、
該燃料の実質発熱量を決定する手段と、
該燃料内の音速を測定する手段と、
該燃料内の二酸化炭素濃度を測定する手段と、
該実質発熱量(HVm,r)、該音速、および該二酸化炭素濃度から該燃料の相対密度を決定する手段と
を含む、該燃料の相対密度を決定するための手段と、
該実質発熱量(HVm,r)および該相対密度から該ウォッベ指数を計算する手段と
を含む、装置。
【請求項36】
炭化水素燃料のための酸素(または、空気)/燃料の化学量論的モル比を決定する装置であって、該装置は、
酸化反応炉としての役割を果たす空洞と、
入口から該空洞までの該燃料の通過のための導管と、
入口から該空洞までの酸素(または、空気)の通過のための導管と
を有して形成される、不活性材料の基板を備える、装置
【請求項37】
前記装置は、MEMSデバイスである、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記空洞への入口に配置される混合器をさらに備える、請求項36または37に記載の装置。
【請求項39】
前記空洞は、空である、請求項36から38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項40】
前記空洞は、触媒組成を含有する、請求項36から38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
前記不活性基板は、シリコンまたはガラスである、請求項36から40のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
前記空洞は、1ml未満、好ましくは、500μl未満、より好ましくは、約1μl以下の容積を有する、請求項36から41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
前記空洞の内部の温度を測定するために、前記基板内または該基板上に形成される温度センサをさらに備える、請求項36から41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
前記導管内の流体を予熱するための1つ以上のヒータをさらに備える、請求項36から42のいずれか一項に記載の装置。
【請求項45】
前記導管を通る流体流量を変動させるための手段をさらに備える、請求項36から44のいずれか一項に記載の装置。
【請求項46】
各導管は、複数の導管チャネルを備え、所与の導管の該導管チャネルは、異なる断面積のオリフィス区画を有し、定圧条件下、該導管を通るある流体流量の範囲を提供する、請求項36から45のいずれか一項に記載の装置。
【請求項47】
各導管は、質量流量制御器が提供される、請求項36から45のいずれか一項に記載の装置
【請求項48】
燃料の化学量論的酸化率を決定するための方法であって、該方法は、
酸素(または、空気)によって、該燃料の酸化を実行するための反応炉を提供するステップと、
酸素(または、空気)を該反応炉に供給するステップと、
該燃料を該反応炉に供給するステップと、
該反応炉への該燃料および酸素(または、空気)のうちの一方の流量を一定に維持するステップと、
反応される該燃料および酸素(または、空気)のモル比を変動させるために、該反応炉への該燃料および酸素(または、空気)のうちの他方の流量を変動させるステップと、
あるモル比の範囲にわたって、酸化反応の温度あるいは燃焼空洞の出口における酸素(または、空気)濃度を測定するステップと、
ピーク温度あるいは該燃焼空洞の出口における酸素(または、空気)濃度から、該化学量論的酸化率を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項49】
燃料の酸化のための化学量論的モル流量比を決定する装置であって、不活性材料の基板を備え、該基板は、
該燃料のための第1の入口と、
酸素(または、空気)のための第2の入口と、
反応した流体のための出口と、
複数の反応炉アセンブリであって、各反応アセンブリは、
空洞と、
該空洞と該空洞への該燃料の通過のための該第1の入口との間に延在する第1の導管と、
該空洞と該空洞への酸素(または、空気)の通過のための該第2の入口との間に延在する第2の導管と、
該空洞と該出口との間に延在する出口導管と、
該酸化空洞内で反応する流体の温度を測定する温度センサ、あるいは該酸化空洞の出口における酸素(または、空気)濃度を測定するセンサと
を備える、反応炉アセンブリと
を有して形成され、
各反応炉アセンブリは、異なる所定のモル比において、該空洞へ該燃料および酸素(または、空気)を提供するように配列される、装置。
【請求項50】
前記装置は、MEMSデバイスである、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
少なくとも4、より好ましくは、少なくとも10の並列に配列される反応炉アセンブリを備える、請求項49または50に記載の装置。
【請求項52】
前記燃料内の第1の炭化水素の濃度を測定する手段をさらに備える、請求項49から51のいずれか一項に記載の装置。
【請求項53】
前記燃料内の音速を測定する手段をさらに備える、請求項49から52のいずれか一項に記載の装置。
【請求項54】
燃料の酸化のための化学量論的モル流量比を決定するための方法であって、該方法は、
複数の反応炉アセンブリを提供することであって、各反応アセンブリは、
酸化空洞と、
該空洞への該燃料の通過のための第1の導管と、
該空洞への酸素(または、空気)の通過のための第2の導管と
を備え、各反応炉アセンブリは、異なる所定のモル比において、該空洞へ該燃料および酸素(または、空気)を提供するように配列される、ことと、
各反応炉アセンブリの該第1の導管へ燃料を供給することと、
各反応炉アセンブリの該第2の導管へ酸素(または、空気)を供給することと、
内部オリフィスによって、各導管内の流体のモル流量を制御することと、
該燃料の酸化が各空洞内で生じることを可能にすることと、
各空洞内の酸化の温度あるいは該空洞の出口における酸素(または、空気)濃度を測定することと、
該測定された温度および該所定のモル流量比から化学量論的酸化モル流量比を決定することと
を含む、方法。
【請求項55】
少なくとも4つの並列反応炉アセンブリ、より好ましくは、少なくとも10の並列反応炉アセンブリを提供することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記第1の炭化水素の濃度を測定することをさらに含む、請求項54または55に記載の方法。
【請求項57】
前記燃料内の音速を測定することをさらに含む、請求項54から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
燃料の発熱量を決定するための方法であって、該燃料は、最高モル濃度中に存在する第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素を含み、該方法は、
該燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定することと、
該測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定することと、
該第1の炭化水素のモル濃度を測定することと、
該理想的モル発熱量(HVm,i)および該第1の炭化水素の該モル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記燃料は、常態で気体の燃料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記気体燃料は、一般的天然ガス、精製ガス、処理済み天然ガス、合成天然ガス、または生物ガスである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記燃料は、液体燃料である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記液体燃料は、軽質原油留分(A級)である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記液体燃料は、液化石油ガス(LPG)、ガソリン、ディーゼル、灯油、ジェット燃料、または加熱用オイルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の炭化水素は、メタンである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の炭化水素は、高級炭化水素である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の炭化水素は、プロパンまたはブタンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記燃料は、2つ以上の炭化水素を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記燃料の前記化学量論的酸化モル流量比は、該燃料の燃焼のピーク温度を測定することによって決定される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記燃料の前記化学量論的酸化モル流量比は、燃焼後の該燃料ガスの酸素または空気濃度の測定によって決定される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記理想的モル発熱量(HVm,i)は、図2aに表される関係を使用して、前記測定された化学量論的酸化モル流量比から決定される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の炭化水素の前記モル濃度は、非分散型赤外線(NDIR)、ガスクロマトグラフィ、または質量分析を使用して、決定される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の炭化水素の前記モル濃度は、フルスケールの少なくとも+/−2%の精度で、より好ましくは、フルスケールの+/−1%を超える精度で決定される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記実質モル発熱量(HVm,r)は、
i.前記理想的モル発熱量(HVm,i)と測定される燃料範囲の前記化学量論的酸化モル流量比との間の相関係数R2を決定するステップと、
ii.測定される燃料の理想的モル密度(Dm,i)を測定するステップと、
iii.該理想的モル密度(Dm,i)と測定される燃料範囲の該化学量論的酸化モル流量比との間の相関係数R2を決定するステップと、
iv.固定値として、前記第1の炭化水素の前記測定濃度を伴う、測定が必要とされる該燃料の開始組成を定義するステップと、
v.該HVm,iおよびDm,iを計算するステップと、
vi.次に、新組成を提供するために、わずかな増加によって、該開始組成内の各成分の濃度を変動させるステップと、
vii.該新組成の該HVm,iおよびDm,iを計算するステップと、
viii.該計算されたHVm,iおよびDm,iの値を、各々に対する相関係数R2を使用して、該化学量論的酸化モル流量比との相関から導出される値と比較するステップと、
ix.該HVm,iの値に関して、該組成を使用して計算された値と該相関係数R2を使用して決定された値との間の差異が、0.01%未満である場合、該燃料の圧縮率を計算するために該組成を使用し、そうではない場合、viからviiiを繰り返すステップと、
x.該相関係数R2を使用して該化学量論的酸化モル流量比から得られる最終組成に対する該HVm,iの値を該圧縮率で除算することによって、HVm,rを計算するステップと
に従って、該HVm,iおよび該第1の炭化水素の該モル濃度から決定される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
燃料の発熱量を決定するための装置であって、該燃料は、最高モル濃度中に存在する第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素を含み、該装置は、
該燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定する手段と、
該測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定する手段と、
該第1の炭化水素のモル濃度を測定する手段と、
該理想的モル発熱量(HVm,i)および該第1の炭化水素のモル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定する手段と
を含む、装置。
【請求項18】
少なくとも1つの炭化水素成分を含む燃料の相対密度を決定する方法であって、該方法は、
該燃料の実質発熱量を決定することと、
該燃料の音速を測定することと、
該燃料内の二酸化炭素濃度を測定することと、
該実質発熱量、該音速、および該二酸化炭素濃度から、該燃料の相対密度を決定することと
を含む、方法。
【請求項19】
前記燃料は、常態で気体の燃料である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記気体燃料は、一般的天然ガス、精製ガス、処理済み天然ガス、合成天然ガス、または生物ガスである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記燃料は、液体燃料である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記液体燃料は、軽質原油留分(A級)である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記液体燃料は、液化石油ガス(LPG)、ガソリン、ディーゼル、灯油、ジェット燃料、または加熱用オイルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の炭化水素は、メタンである、請求項18から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の炭化水素は、高級炭化水素である、請求項18から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の炭化水素は、プロパンまたはブタンである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記燃料は、2つ以上の炭化水素を含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記実質発熱量は、請求項1から16のいずれか一項の中で請求される方法によって、決定される、請求項18から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記音速は、音速ノズルの喉部内で測定される、請求項18から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記音速は、状態方程式を使用して計算される、請求項18から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記二酸化炭素濃度は、非分散型赤外線(NDIR)またはガスクロマトグラフィを使用して決定される、請求項18から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
i.固定値として、前記第1の炭化水素および二酸化炭素の前記測定濃度を伴う、測定が必要とされる燃料の開始組成を定義するステップと、
ii.該開始組成のVOSm,rを計算するステップと、
iii.該計算されたVOSm,rの値を前記実際に測定された値と比較するステップと、
iv.新組成を提供するために、わずかな増加によって、該開始組成内の各成分の濃度を変動させるステップと、
v.該新組成のVOSm,rを計算するステップと、
vi.該組成に対して計算されたVOSm,rの値と測定されたVOSm,rの値の間の差異が、0.002未満となるまで、iiiからvを繰り返すステップと、
vii.最終組成を使用して、前記実質モル相対密度RDm,rを計算するステップと
が適用される、請求項18から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つの炭化水素成分を含む燃料の相対密度を決定する装置であって、該装置は、
該燃料の実質発熱量を決定する手段と、
該燃料内の音速を測定する手段と、
該燃料内の二酸化炭素濃度を測定する手段と、
該実質発熱量、該音速、および該二酸化炭素濃度から、該燃料の相対密度を決定する手段と
を含む、装置。
【請求項34】
燃料のウォッベ指数を決定するための方法であって、該燃料は、最高モル濃度中に含まれる第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素を含み、該方法は、
該燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定することと、
該測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定することと、
該第1の炭化水素のモル濃度を測定することと、
該理想的モル発熱量(HVm,i)および該第1の炭化水素の該モル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定することと
によって、該燃料の発熱量を決定することと、
該燃料の実質発熱量を決定することと、
該燃料内の音速を測定することと、
該燃料内の二酸化炭素濃度を測定することと、
該実質発熱量(HVm,r)、該音速、および該二酸化炭素濃度から該燃料の相対密度を決定することと
によって、該燃料の相対密度を決定することと、
該実質発熱量(HVm,r)および該相対密度から該ウォッベ指数を計算することと
を含む、方法。
【請求項35】
燃料のウォッベ指数を決定するための装置であって、該燃料は、最高モル濃度中に含まれる第1の炭化水素を含む、少なくとも1つの炭化水素を含み、該装置は、
該燃料の化学量論的酸化モル流量比を測定する手段と、
該測定された化学量論的酸化モル流量比から理想的モル発熱量(HVm,i)を決定する手段と、
該第1の炭化水素のモル濃度を測定する手段と、
該理想的モル発熱量(HVm,i)および該第1の炭化水素のモル濃度から実質モル発熱量(HVm,r)を決定する手段と
を含む、該燃料の発熱量を決定する手段と、
該燃料の実質発熱量を決定する手段と、
該燃料内の音速を測定する手段と、
該燃料内の二酸化炭素濃度を測定する手段と、
該実質発熱量(HVm,r)、該音速、および該二酸化炭素濃度から該燃料の相対密度を決定する手段と
を含む、該燃料の相対密度を決定するための手段と、
該実質発熱量(HVm,r)および該相対密度から該ウォッベ指数を計算する手段と
を含む、装置。
【請求項36】
炭化水素燃料のための酸素(または、空気)/燃料の化学量論的モル比を決定する装置であって、該装置は、
酸化反応炉としての役割を果たす空洞と、
入口から該空洞までの該燃料の通過のための導管と、
入口から該空洞までの酸素(または、空気)の通過のための導管と
を有して形成される、不活性材料の基板を備える、装置
【請求項37】
前記装置は、MEMSデバイスである、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記空洞への入口に配置される混合器をさらに備える、請求項36または37に記載の装置。
【請求項39】
前記空洞は、空である、請求項36から38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項40】
前記空洞は、触媒組成を含有する、請求項36から38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
前記不活性基板は、シリコンまたはガラスである、請求項36から40のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
前記空洞は、1ml未満、好ましくは、500μl未満、より好ましくは、約1μl以下の容積を有する、請求項36から41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
前記空洞の内部の温度を測定するために、前記基板内または該基板上に形成される温度センサをさらに備える、請求項36から41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
前記導管内の流体を予熱するための1つ以上のヒータをさらに備える、請求項36から42のいずれか一項に記載の装置。
【請求項45】
前記導管を通る流体流量を変動させるための手段をさらに備える、請求項36から44のいずれか一項に記載の装置。
【請求項46】
各導管は、複数の導管チャネルを備え、所与の導管の該導管チャネルは、異なる断面積のオリフィス区画を有し、定圧条件下、該導管を通るある流体流量の範囲を提供する、請求項36から45のいずれか一項に記載の装置。
【請求項47】
各導管は、質量流量制御器が提供される、請求項36から45のいずれか一項に記載の装置
【請求項48】
燃料の化学量論的酸化率を決定するための方法であって、該方法は、
酸素(または、空気)によって、該燃料の酸化を実行するための反応炉を提供するステップと、
酸素(または、空気)を該反応炉に供給するステップと、
該燃料を該反応炉に供給するステップと、
該反応炉への該燃料および酸素(または、空気)のうちの一方の流量を一定に維持するステップと、
反応される該燃料および酸素(または、空気)のモル比を変動させるために、該反応炉への該燃料および酸素(または、空気)のうちの他方の流量を変動させるステップと、
あるモル比の範囲にわたって、酸化反応の温度あるいは燃焼空洞の出口における酸素(または、空気)濃度を測定するステップと、
ピーク温度あるいは該燃焼空洞の出口における酸素(または、空気)濃度から、該化学量論的酸化率を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項49】
燃料の酸化のための化学量論的モル流量比を決定する装置であって、不活性材料の基板を備え、該基板は、
該燃料のための第1の入口と、
酸素(または、空気)のための第2の入口と、
反応した流体のための出口と、
複数の反応炉アセンブリであって、各反応アセンブリは、
空洞と、
該空洞と該空洞への該燃料の通過のための該第1の入口との間に延在する第1の導管と、
該空洞と該空洞への酸素(または、空気)の通過のための該第2の入口との間に延在する第2の導管と、
該空洞と該出口との間に延在する出口導管と、
該酸化空洞内で反応する流体の温度を測定する温度センサ、あるいは該酸化空洞の出口における酸素(または、空気)濃度を測定するセンサと
を備える、反応炉アセンブリと
を有して形成され、
各反応炉アセンブリは、異なる所定のモル比において、該空洞へ該燃料および酸素(または、空気)を提供するように配列される、装置。
【請求項50】
前記装置は、MEMSデバイスである、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
少なくとも4、より好ましくは、少なくとも10の並列に配列される反応炉アセンブリを備える、請求項49または50に記載の装置。
【請求項52】
前記燃料内の第1の炭化水素の濃度を測定する手段をさらに備える、請求項49から51のいずれか一項に記載の装置。
【請求項53】
前記燃料内の音速を測定する手段をさらに備える、請求項49から52のいずれか一項に記載の装置。
【請求項54】
燃料の酸化のための化学量論的モル流量比を決定するための方法であって、該方法は、
複数の反応炉アセンブリを提供することであって、各反応アセンブリは、
酸化空洞と、
該空洞への該燃料の通過のための第1の導管と、
該空洞への酸素(または、空気)の通過のための第2の導管と
を備え、各反応炉アセンブリは、異なる所定のモル比において、該空洞へ該燃料および酸素(または、空気)を提供するように配列される、ことと、
各反応炉アセンブリの該第1の導管へ燃料を供給することと、
各反応炉アセンブリの該第2の導管へ酸素(または、空気)を供給することと、
内部オリフィスによって、各導管内の流体のモル流量を制御することと、
該燃料の酸化が各空洞内で生じることを可能にすることと、
各空洞内の酸化の温度あるいは該空洞の出口における酸素(または、空気)濃度を測定することと、
該測定された温度および該所定のモル流量比から化学量論的酸化モル流量比を決定することと
を含む、方法。
【請求項55】
少なくとも4つの並列反応炉アセンブリ、より好ましくは、少なくとも10の並列反応炉アセンブリを提供することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記第1の炭化水素の濃度を測定することをさらに含む、請求項54または55に記載の方法。
【請求項57】
前記燃料内の音速を測定することをさらに含む、請求項54から56のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【公表番号】特表2011−502250(P2011−502250A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530586(P2010−530586)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003237
【国際公開番号】WO2009/063315
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(510118293)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003237
【国際公開番号】WO2009/063315
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(510118293)
【Fターム(参考)】
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