炭水化物誘導性疾患および状態の予防および処置用の製剤
本発明は、フルクトースおよびグルコースで進行する脂質生成に起因する糖質誘導性体重増加を抑制する新規な方法を提供する。糖質誘導性体重増加を抑制する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離された、好ましくは、スクテラリア属およびアカシア属の植物中のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含む組成物を投与することを含んで成る。本発明は、更に、高炭水化物摂取に起因する疾患および状態の予防および処置のための新規な方法を包含する。これら糖質誘導性疾患および状態を予防するおよび処置する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離された、好ましくは、スクテラリア属およびアカシア属の植物中のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物、および薬学的に許容しうる担体を含む治療的有効量の組成物を投与することを含んで成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、概して、高炭水化物摂取に起因する疾患および状態を予防するおよび処置する場合に使用するために製剤化された物質の組成物の使用に関する。具体的には、本発明は、体重増加および肥満症、更には、高炭水化物摂取に起因する他の疾患および状態の予防および処置に使用するための二つの具体的なクラスの化合物、すなわち、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類のブレンドの混合物を含んで成る物質の新規な組成物に関する。それら疾患および状態には、高脂血症;高コレステロール;動脈硬化症;アテローム性動脈硬化症;症候群X(代謝症候群);高血圧症;および肥満症および糖尿病によって引き起こされる全身性炎症状態が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0002】
発明の背景
生体内のエネルギーは、「食品」からのATPの生産によって生じる。より具体的には、食物を消費した場合、それは分解されて、単純炭水化物および複合炭水化物、脂肪、タンパク質および消化しにくいセルロースのような繊維から主に成るその構成部分となる。次に、それら炭水化物、脂肪およびタンパク質は、更に分解されて、それらの基本単位、すなわち、炭水化物は単純な糖、タンパク質はアミノ酸、そして脂肪は脂肪酸およびグリセロールとなる。次に、生体は、これら基本単位を利用して物質を生じるが、それは、成長、維持およびエネルギー生産に必要である。炭水化物、タンパク質および脂肪は、いずれも代謝されて、ATPの形のエネルギーを与えることができるが、しかしながら、炭水化物は、解糖およびクレブス回路を経るATPの生成のために生体によって利用される主要物質である。
【0003】
炭水化物は、その分子サイズに依って、単純かまたは複合と分類される。単純炭水化物は、低分子、具体的には、グルコース、フルクトース、ガラクトースおよびスクロースなどの単糖類および二糖類である。複合炭水化物または多糖類は、単純炭水化物の長鎖を含んで成る。最も重要な多糖類は、デンプン、グリコーゲンおよびセルロースであるが、それらは全て、グルコース分子が連結している方法だけが異なったグルコースのポリマーである。グリコーゲンは、動物のエネルギー貯蔵所であり、デンプンは、植物のエネルギー貯蔵所であり、そしてセルロースは、植物の主要構造成分である。デンプンの大部分の形態は、消化されやすいが、ヒトは、セルロースを消化するのに必要な酵素を欠いているので、それが、ヒトにとっての食物繊維部分となっている。
【0004】
ヒトによって消費される炭水化物の半分以上は、伝統的に、主食および穀類などのデンプン源から来ている。デンプンは、アミロースおよびアミロペクチンの混合物である。アミロースは、α−1,4結合によって共有結合したグルコース分子から成る直鎖多糖である。アミロペクチンは、約30個のα−1,4結合につき1個のα−1,6結合で共有結合したグルコース分子から成る分岐状多糖である。デンプンは、唾液腺および膵臓によって分泌されるα−アミラーゼによって速やかに加水分解される。加水分解時に、アミロースは、マルトース(α−1,4結合で2個のグルコース分子)およびマルトトリオース(α−1,4結合で3個のグルコース分子)のような低分子量直鎖オリゴ糖類へと分解される。アミロペクチンは、低分子量直鎖オリゴ糖類へと、更には、分岐状オリゴ糖α−デキストリン(α−1,4結合およびα−1,6結合双方によって連結した数個のグルコース分子)へと分解される。これら糖類は、酵素マルターゼおよびβ−アミラーゼによって更に分解されて、グルコースモノマーとなる。
【0005】
ヒトの食事で消費される他の炭水化物は、単糖のグルコースおよびフルクトース並びに二糖のスクロースのような単純炭水化物である。グルコースは、大部分の天然食物中に低レベルで存在しているが、フルクトースは、主として、加工食品、甘味料から、そして僅かながら、果実および若干の野菜から得られる。フルクトースは、デキストロースの酵素的異性化を経る合成によって生産される。(Bhosale et al. (1996) Microbiol. Rev. 60:280-300)。もう一つの周知の甘味料であるスクロースは、グルコースおよびフルクトースを、グルコースのC1とフルクトースのC2との間のα−1,2結合で含んで成る。スクロースは、腸粘膜中の酵素スクラーゼによって加水分解されて、グルコースおよびフルクトースを与える。(Dahlqvist (1972) Acta Med. Scand. Suppl. 542:13-18)。
【0006】
インスリンは、膵臓のB細胞によって分泌されるホルモンであり、生体がエネルギーのためにグルコースを利用することを可能にする。そのホルモンインスリンの重要な代謝作用の一つは、脂肪細胞および筋細胞中へのグルコース取込みを促進することによって血中糖レベルを調節することである。簡単にいうと、グルコースが細胞に入った場合、インスリンによって刺激され、そこで、GLUT4グルコース輸送体タンパク質のアップレギュレーションが起こり、それが、細胞の、具体的には、筋細胞および脂肪細胞の表面上に蓄積する。(Furtado et al. (2002) Biochem. Cell. Biol. 80:569-578)。次に、GLUT4の上昇した細胞表面レベルは、循環からの増大したグルコース取込み、および脂肪組織および筋組織中の貯蔵を容易にする。図1に関して、取込み時に、グルコースは、グルコキナーゼとしても知られる酵素ヘキソキナーゼDによって、グルコース6−リン酸へと直ちに変換されるが、その酵素は、ホスホリル基をATPからグルコースのC6に付加することによって、ADPおよびグルコース6−リン酸を生じる。次に、グルコース6−リン酸は、フルクトース6−リン酸へと変換され、それは、ホスホリル基をATPの第二分子からC1に付加するホスホフルクトキナーゼの作用によって、フルクトース1,6−二リン酸へと変換される。次に、酵素アルドラーゼB(アルドラーゼ)は、フルクトース1,6−二リン酸を、ジヒドロキシアセトンリン酸およびグリセルアルデヒド3−リン酸へと変換するが、ピルビン酸への最終変換に適する物質である後者は、次に、クレブス回路への進入時に、アセチルCoAへと変換される。追加のグリセルアルデヒド3−リン酸は、ジヒドロキシアセトンリン酸から、酵素トリオースリン酸イソメラーゼの作用によって生産される。したがって、解糖過程中に、2ATPが最初に使われるが、その過程の最後に2ATPが形成され、更には、グルコース1分子につき1分子のNADHが形成され、最終的には、それが変換されて、3ATP分子の純生産を与える。
【0007】
血液中に存在するグルコースの量が、現時点のエネルギー要求を超える場合、それは、肝および筋肉中にグリコーゲンとして貯蔵されうるし、またはそれは、主に肝中でトリグリセリドへと変換され、そして貯蔵用に脂肪組織へと輸送されうる。脂質生成には、脂肪酸合成およびその後のトリグリセリド合成の過程が含まれる。逆に、血液中のグルコースレベルが低い状態になった場合、その過程は逆行し、そしてアセチルCo−Aおよびピルビン酸からグルコースが生じる。糖新生とは、アセチルCoAおよびピルビン酸からグルコースを生じる過程を意味し、本質的には、解糖の逆である。糖新生も、脂質生成のように、主に肝中で起こり、グルコースを生成し且つ生体内の細胞による利用のために血流中に分泌する手段である。
【0008】
ここ20年にわたって加工食品に添加されている主な甘味料および保存剤およびスクロースの成分であるフルクトースは(Hanover and White (1993) Am. J. Clin. Nutr. 58(Supp.):724S-732S; Park and Yeltley (1993) Am. J. Clin. Nutr. 58(Supp.):737S-747S)、生体による主要エネルギー源として用いられてもいるが、それは、異なった機構を経て解糖経路に入る。フルクトースは、グルコースとは異なり、インスリンへの要求を免れ、解糖経路中に直接的に分岐進入する。(Elliott et al. (2002) Am. J. Clin. Nutr. 76:911-922)。フルクトースが血流に入るやいなや、その大部分(約70%)は、門脈を介して肝によって吸収される。(Toppings and Mayes (1971) Nutr. Metab. 13:331-338; Mayes (1993) Am. J. Clin. Nutr. 58(Supp.):754S-765S)。フルクトースは、主に肝中で、フルクトース1−リン酸経路を経て処理される。図1に関して、この経路の第一段階は、ホスホリル基をATPからフルクトースのC1へ付加することによって、ADPおよびフルクトース1−リン酸を生じるフルクトキナーゼの作用による、フルクトースのフルクトース1−リン酸へのリン酸化である。(Hers (1952) Biochim. Biophys. Acta 8:416-423)。次に、フルクトース−1−リン酸は、グリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸へと変換される。このアルドール開裂は、特異的フルクトース1−リン酸アルドラーゼによって触媒される。次に、そのグリセルアルデヒドは、解糖経路中に入るためのグリセルアルデヒド3−リン酸へと変換され、第二のATP分子の導入を必要とする。更に、ジヒドロキシアセトンリン酸は、解糖経路中に入るために、トリオースリン酸イソメラーゼの作用によってグリセルアルデヒド3−リン酸へと変換される。この過程は、2ATP分子を必要とする。肝によるフルクトースの選択的な急速取込みおよび利用は、大部分の他の組織(すなわち、脂肪および筋肉)中に不足している酵素フルクトキナーゼが肝細胞中に存在するためである。(Van den Berghe (1986) in: Metabolic Effects of Dietary Carbohydrates. Progress in Biochemical Pharmacology (Mcdonald & Vrana, eds), 21:1-32, Karger, Basel, Switzerland; Hallfrisch (1987) in: Metabolic Effects of Dietary Fructose (Reiser & Hallfrisch, eds), pp.25-40, CRC Press, Boca Raton, FL)。
【0009】
或いは、フルクトースは、酵素ヘキソキナーゼによってフルクトース6−リン酸へとリン酸化されうるが、それは、主に、腎臓、脂肪組織および骨格筋で起こる。摂取されたフルクトースの約20%は、腎臓で直ちに処理されるが、約10%は、脂肪組織および骨格筋によって速やかに吸収されると考えられる。(Froesch and Ginsberg (1962) J. Biol. Chem. 237:3317-3324; Bergstrom and Hultman (1967) Acta Med. Scand. 182:93-107)。腎臓、脂肪組織および骨格筋中のフルクトースの大部分は、フルクトース6−リン酸を経て代謝される。結果として、いずれの時点でも、血流中を循環しているフルクトースは、きわめて低濃度で存在する。(Macdonald and Turner (1968) Lancet 1:841-843; Crossley and Macdonald (1970) Nutr. Metab. 12:171-178)。腸のフルクトース取込みは、グルコースまたはスクロースの場合より少ないが、しかしながら、グルコースは、腸粘膜によるフルクトースの強い吸収応答を刺激する。(Truswell et al. (1988) Am. J. Clin. Nutr. 48:1424-1430)。高フルクトースレベルは、循環性グルコースレベルの観測可能な増加を全く引き起こさないと考えられる。(Schwarz et al., 1992; Tounian et al. (1994) Am. J. Physiol. 267:E710)。
【0010】
脂肪消費に起因するカロリーは、過去30年にわたって着実に減少しているが(Kennedy et al. (1999) J. Am. Coll. Nutr. 18:207-212)、食物デンプンまたは複合炭水化物摂取量は、むしろ一定の状態のままとなっている。しかしながら、これら傾向に反して、食品・飲料産業による添加糖の使用は、著しく増加している。家庭生活外の源より得られる糖質によるカロリーの増加量と相まって、現代の食産業におけるカロリーの大部分は、糖質および複合炭水化物源から来ている。(Krebs-Smith (2001) J. Nutr. 131:527S-535S; Nielsen et al. (2002) Prev. Med. 35:107-113)。
【0011】
過去30年にわたって、サトウキビおよびサトウダイコン甘味料の使用も、約40%降下している。(Kanter (1998) "A dietary assessment of the US Food Supply: Comparing per capita food consumption with food guide pyramid serving recommendations," from the Food and Rural Economics Division, Economics Research Service, U.S. Department of Agriculture, Agricultural Economic Report no. 772)。或いは、高フルクトーストウモロコシ甘味料の使用は、約300%増加している。西側世界における主要甘味料としてのスクロースからフルクトースへの移行の主な理由は、経済のためと考えられる。フルクトースは、スクロースおよびグルコース双方よりも甘く、製造するのに容易且つ安価でもある。フルクトーストウモロコシ甘味料は、米国において過去20年にわたって主要食品添加物となっており、清涼飲料および果実飲料が、添加フルクトースの43〜44%となっている。(Kanter (1998) "A dietary assessment of the US Food Supply: Comparing per capita food consumption with food guide pyramid serving recommendations," from the Food and Rural Economics Division, Economics Research Service, U.S. Department of Agriculture, Agricultural Economic Report no. 772)。総糖質消費量は、もっぱら、加工食品への高フルクトーストウモロコシシロップの添加のために、なお上昇している。(Krebs-Smith (2001) J. Nutr. 131:527S-535S)。
【0012】
添加糖の、具体的には、フルクトースの健康上の作用は、その使用が加工食品において遍在的になる以前には、実感されていなかった。ここ20年にわたるフルクトース使用量は、肥満症および糖尿病の劇的増加と一致している。(Flegal et al. (1998) Int. J. Obes. 22:39-47)。下に詳細に論じられるように、現在、研究は、増加した糖質、特に、フルクトース消費の慢性的長期作用は、炭水化物利用、プリン代謝、早老および脂質代謝に関してきわめて有害でありうるということを示している。更に、結果としての肥満症は、生体内において、腫瘍壊死因子(TNFα)、インターロイキン−6(IL−6)およびC反応性タンパク質(CRP)のような前炎症性サイトカインの生産を伴う持続した炎症作用を生じる。
【0013】
TNFαおよびIL−6の生産は、転写因子NFκBによって調節される。NFκBは、全身性炎症の調節およびその糖質誘導性肥満症への関係、およびその後の疾患の発症に重要な役割を果たしている(Lebovitz (2003) Int. J. Clin. Pract. Suppl. 134:18-27)。NFκBの活性化は、増殖因子、リンホカイン、サイトカイン、紫外線、薬理学的物質および食事を含めたいくつかの生物学的過程によって活性化されるストレス応答の一部分である。(Spencer et al. (1997) Int. Immunol. 9:1581-1588)。不活性形のNFκBは、抑制タンパク質のIκBファミリーによって結合した状態で、主に細胞質中に含有されている。増加したフルクトース摂取のような食事変化は、NFκBを活性化させ且つIκBのリン酸化を引き起こすことがあり、したがって、NFκBを放出して、核へのその分子の輸送が可能になる。核内では、NFκBは、いろいろな遺伝子の共通配列(5’GGGACTTTCC−3’)と結合して、それらの転写を活性化する。糖質誘導性肥満症によって引き起こされる全身性炎症の場合、これは、TNFαおよびIL−6の増加した発現をもたらす。次に、これら前炎症性タンパク質のこの増加は、CRPの増加を引き起こす。
【0014】
エネルギー源としてのフルクトースの継続した高利用は、炭水化物代謝を破壊して、多数の組織によるデンプンおよびグルコースの利用を減少させるということが報告された。(Bender and Thadini (1970) Nutr. Metab. 12:22-39; Tuovinen and Bender (1974) Nutr. Metab. 19:161-172)。具体的には、フルクトースの継続した消費は、肝内において、ヘキソキナーゼのダウンレギュレーションおよびグルコース−6−ホスファターゼのアップレギュレーションを引き起こす(図1;Freedland and Harper (1957) J. Biol. Chem. 228:743-751 を参照されたい)。この適応応答は、グルコースの肝グリコーゲンへの変換を減少させる。(Vrana et al. (1978) Nutr. Metab. 22:262-268; Vrana et al. (1978) Nutr. Metab. 22:313-320)。膵臓では、フルクトースは、β細胞中の低濃度のフルクトース輸送体GLUT5タンパク質のために、インスリン生産をアップレギュレーションしない(Grant et al. (1980) Diabetologia 19:114-117; Curry (1989) Pancreas 4:2-9; Sato et al. (1996) Tissue Cell 28:637-643)。これは、経時の血中グルコース上昇と、II型糖尿病の主因であるインスリン不感をもたらす。肝は、フルクトースを利用して、適応酵素応答を経てグリコーゲンを生じることができるが、グルコースよりはるかに低いレベルで、グリコーゲンへと変換することができる。(Freedland and Harper (1957) J. Biol. Chem. 228:743-751)。更に、スクロースまたはフルクトースの増加した且つ慢性的消費は、脂肪酸を合成する肝の能力を増加させ、それによって、肝グリコーゲン貯蔵を減少させるが、それは、グルコースが、解糖経路を介して処理されることができないからである。(Vrana et al. (1978) Metabolism 27:885-888)。この食事は、更に、エネルギー生産のためにグルコースを利用する脂肪および筋組織の能力を与える(Bender and Thadini (1970) Nutr. Metab. 12:22-39; Kelsay et al. (1977) Am. J. Clin. Nutr. 30:2016-2022)。
【0015】
フルクトースがエネルギー源として用いられる場合、解糖における中間体のレベルは上昇するが、これら中間体を生産するコストはきわめて高い。(Hers (1952) Biochim. Biophys. Acta 8:416-423)。上記のように、フルクトースが消費される場合、その大部分は、肝に入り、そしてフルクトース−1−リン酸へと変換される。したがって、多量のフルクトースを、本質的にグルコース代用として消費している個体は、ホスフェートイオンを、フルクトキナーゼの作用を経たフルクトース−1−リン酸の形で、その他の部分から引き離している(図1;Woods et al. (1970) Biochem. J. 119:501-510)。予備のホスフェートイオンは存在しないので、ADPの酸化的リン酸化は阻害されて、肝内のATPの不足を引き起こす。トリオキナーゼによるグリセルアルデヒドのグリセルアルデヒド−3−リン酸への変換は、更に、解糖のための基質を与えるホスフェートプールを激減させる。ホスフェートプールが充分に少なくなった場合、酵素AMPデアミナーゼおよび5’−ヌクレオチダーゼによって代謝されるAMPが多量に生産される。(Mayes (1993) Am. J. Clin. Nutr. 58(Suppl): 754S-765S)。そのAMPの代謝は、イノシンのレベルの上昇を引き起こし、最終的には、それが、多量の尿酸の形成および高尿酸血症の可能性をもたらす。
【0016】
高尿酸血症は、遺伝性フルクトース不耐性を有する正常者並びに小児にフルクトースを投与した研究で初めて認められた。(Perheentup and Raivio (1967) Lancet 2:528-31)。高尿酸血症の発病率の増加は、フルクトースを、糖尿病患者および痛風に罹患している患者双方に非経口投与した場合にも検出された。(Hallfrisch (1987) in: Metabolic Effects of Dietary Fructose (Reiser & Hallfrisch, eds), pp.25-40, CRC Press, Boca Raton, FL)。健康な被験者が、エネルギー要求の約18%をフルクトースとして消費した場合でさえも、多くが、高尿酸血症の徴候を示し、平均的な個体は、体内の減少するホスフェートイオンおよびATPの濃度に感受性であるということが示唆された。(Hallfrisch (1987) in: Metabolic Effects of Dietary Fructose (Reiser & Hallfrisch, eds), pp.25-40, CRC Press, Boca Raton, FL)。
【0017】
若年男性(14〜18歳)は、特に、高尿酸血症の危険が最もありうる。1977年〜1978年の U.S. Department of Agriculture Nationwide Food Consumption Survey によれば、この年齢群の男性は、約100g/日のフルクトースを、主にソーダから消費していた。当時以後、フルクトースも、特に米国において、一般的な補助食品中に導入されてきた。僅か2缶のソーダだけで、約50gのフルクトースを含有する。フルクトースの平均的消費量は、ここ20年にわたり、若年男性について約64g/日〜150g/日程度へと劇的に増加していると考えられる。(Kanter (1998) "A dietary assessment of the US Food Supply: Comparing per capita food consumption with food guide pyramid serving recommendations," from the Food and Rural Economics Division, Economics Research Service, U.S. Department of Agriculture, Agricultural Economic Report no. 772; Elliott et al. (2002) Am. J. Clin. Nutr. 76:911-922)。したがって、全世代の男性は、現在、体内のホスフェートおよびATPの利用可能なプールの低減を経験している。高尿酸血症の危険増加に加えて、これは、体内の多数の過程に有意の作用を有し、そして実際に、タンパク質および核酸の合成阻害を引き起こして、小児の不充分な発育、加齢時の疾患発病率の増加、および全般的な早老をもたらすことがありうる。(Maenpaa et al. (1968) Science 161:1253-1254; Bode et al. (1973) Eur. J. Clin. Invest. 3:436-441)。
【0018】
多量のスクロースおよび/またはフルクトースの消費に関する一つの具体的な関心事は、フルクトースが、核酸、タンパク質およびリポタンパク質のような巨大分子と糖とのグリケーションまたは非酵素的架橋(「Maillard Reaction」)を促進するということである。グリケーションは、Monnier によって初めて報告されたが、彼は、体内の加齢過程が、その Maillard 反応に起因しているかもしれないということを示唆した。(Monnier (1989) "Toward a Malliear reaction theory of aging. in: the Malliard Reaction in Aging, Diabetes, and Nutrition," (Baynes, JW & Monnier VM, eds.), pp.1-22, Alan R.Liss, New York, NY)。Maillard 反応では、グルコースおよびフルクトースなどの糖は、最初に、タンパク質または核酸のN末端アミノ基と反応して、反応活性なシッフ塩基を形成後、それが転移して、より安定な化合物を形成する。時間経過で、グリケーションしたタンパク質/アミノ酸に結合した糖部分は、化学的に修飾されて、Advanced Glycation Endproducts(AGE)と称される分子構造になる。AGEは、それらが結合しているタンパク質の適切な機能化を妨げることがありうる。更に、反応性酸素種(ROS)の存在下において、AGEは、隣接するタンパク質鎖と共有結合によって架橋することがありうる。したがって、タンパク質は、文字通り、他の巨大分子に共有結合形成を経て共役して、生体によってその後一掃されるに違いない大きい複合体を形成する。
【0019】
理論上は、アルドースもケトースも、Maillard 反応に関与しうるが(Yaylayan and Huyghues (1994) Crit. Rev. Food Sci. 34:321-369)、しかしながら、グルコースは、フルクトースよりはるかに反応性が小さいということが判明した(Bunn and Higgins (1981) Science 213:222-4; McPherson et al. (1988) Biochemistry 27: 1901-1907)。遊離アミノ基を有する分子は全て、in vivo において Malliard 反応を行うことができる。通常は、しかしながら、リシンのε−アミノ基が、グリケーションの原理反応物である。アルギニン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン、セリンおよびトレオニンなどの他のアミノ酸も、タンパク質と他の巨大分子との間の Malliard 反応に関与していた(Monnier (1989) "Toward a Malliear reaction theory of aging. in: the Malliard Reaction in Aging, Diabetes, and Nutrition," (Baynes, JW & Monnier VM, eds.), pp.1-22, Alan R. Liss, New York, NY)。
【0020】
糖尿病患者は、その食事にグルコースの代用品としてフルクトースが用いられた場合、グリケーションの作用に特に感受性である。上記のように、フルクトースは、概して、血液中に低濃度で存在しているが、糖尿病患者の場合、グルコースに対して等濃度またはそれより大の濃度のフルクトースが、角膜レンズおよび神経で見出される。(Jedziniak et al. (1981) Investig. Ophthalmol. Vis. Sci. 20:314-326; Mayhew et al. (1983) Diabetologia 24:13-15)。この高濃度のフルクトースは、レンズ中のタンパク質間にグリケーションを生じて、失明を引き起こす。(McPherson et al. (1988) Biochemistry 27: 1901-1907)。ここ20年にわたるフルクトース消費量の増加で(Park and Yeltley (1993) Am. J. Clin. Nutr. 58(supp):737S-747S)、失明が、糖尿病に関連した最も優勢な微小血管合併症であるということは、驚くべきことではない。(Jochmann and Hammes (2002) Z. Arztl. Forbild. Qualitatssich. 96:167-174)。
【0021】
高フルクトース摂取量に関連した全ての問題の内で、脂質蓄積、脂質生成および体重増加へのフルクトースの作用に匹敵するものはない。発展途上国では、心臓血管疾患の脂肪およびコレステロールの危険に関する極端な認識、糖尿病患者用の代用甘味料としてのフルクトースの承認、およびフルクトース消費の危険のについての認識不足のために、低脂肪高炭水化物食が優勢である。(Gerrits and Tsalikian (1993) Am. J. Clin. Nutr. 58(Spp.):796S-799S; Sonko et al. (1993) Acta Physiol. Scand. 147:99-108)。これは、下に論じられる理由のために、ここ30年にわたって、体重増加および肥満症の増加と相関したフルクトース消費量のおびただしい増加をもたらしている。
【0022】
単純な糖、特に、フルクトースが、現時点のエネルギー要求を超える程度に摂取された場合、脂質生成が起こる。(Kazumi et al. (1997) Endocrinol. J. 44(2):239-245; Noguchi and Tanaka (1995) Obes. Res. 3(Supp.2):195S-198S)。上記のように、脂質生成には、脂肪酸合成およびその後のトリグリセリド合成の過程が含まれる。多糖類を貯蔵する高等動物の限られた能力のゆえに、グルコースおよびフルクトースなどの単純糖類が、現時点のエネルギー要求および貯蔵能力を超えて摂取された場合、それらは、トリアシルグリセロールへと変換され、脂肪または脂肪組織中に貯蔵される。本明細書中に記載の組成物が、脂質生成に如何に影響を及ぼすかを理解するためには、最初に、体内の脂質形成経路を理解すべきである。図1は、アシルグリセロール、アセチル−CoA、そして最後には、超低密度脂質(VLDL)の形成におけるフルクトースとグルコースとの間の相互作用を示している。脂肪が炭水化物から生産されるには、二つの主な機構が存在する。第一に、過剰のグルコースは、アセチルCoAの蓄積を介する脂肪生産および de novo 脂質生成に対して分岐する。図1に関して、過剰のアセチルCoAは、アセチルCoAカルボキシラーゼによってマロニルCoAへと変換後、それが、アシルCoAへと変換される。アシルCoAは、エステル化反応を介して脂質生成に入った後、酵素グリセロール−2−リン酸アシルトランスフェラーゼの作用により、アシルグリセロールへと変換される。次に、コレステロールとの組合せのアシルグリセロールは、超低密度脂質(VLDL)へと変換される。インスリンは、de novo 脂質生成を駆動するこの過程に正の作用を有する。(Park et al. (1997) J. Lipid Res. 38:2529-2536)。
【0023】
第二に、過剰のフルクトースは、エネルギー要求を超えて、ジヒドロキシアセトンリン酸の蓄積を介する脂肪生産に対して分岐し、それが、グリセロール−3−リン酸へと変換される(図1を参照されたい)。次に、グリセロール−3−リン酸は、グリセロール−3−リン酸アシルトランスフェラーゼによりエステル化されて、アシルグリセロールを生じ、それが、コレステロールと一緒に、VLDLを生じる。解糖経路を介してフルクトースを処理する高エネルギーコストのために、VLDL生産を経る脂質生成は、生体にとってエネルギー節約である。グルコースからのグリコーゲン沈着(2.5mol ATP/moleグルコース)も、フルクトースの場合(3.5mol ATP/moleフルクトース)より有効である。(Tapp and Jequier (1993) Am. J. Clin. Nutr. 58:766S)。しかしながら、上述のように、フルクトース代謝は、解糖およびグリコーゲン沈着について負の作用を有し、不可欠な解糖酵素の遺伝子およびタンパク質発現を抑制し、肝からホスフェートを除去することによってATP生産を減少させ、そして最後に、フルクトース誘導性肥満症の全身代謝生産量を減少させる。
【0024】
いくつかの研究は、フルクトースが、グルコースより脂質生成性であるということを示した。多量のフルクトースを継続して供給されたラットは、血液中の増加したVLDLトリグリセリド濃度を示した。(Herman et al. (1970) Fed. Proc. 29:1302-1307; Steiner et al. (1984) Am. J. Physiol. 246:E187-E192; Kazumi et al. (1986) Am. J. Physiol. 250:E325-E330)。フルクトースが摂取された場合、高レベルの血漿トリグリセリドの即時形成、更には、グリセロールおよび脂肪酸の形成速度の増加があった。(Reiser (1987) "Lipogenesis and blood lipids," in: Metabolic effects of dietary fructose, (Reiser S & Hallfrisch J, eds.), pp.83-111, CRC Press, Boca Raton, FL; Hallfrisch (1990) FASEB J. 4:2652-2660)。フルクトースの慢性的消費も、脂肪酸シンターゼ(Bruckdorfer et al. (1972) Biochem. J. 129:439-446)およびグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(Borrebach et al. (1976) Circ. Res. 38:1-21; Declerecq et al. (1982) Biochem. J. 204:247-256)のような、脂質生成に関与する酵素またはmRNAのレベルを増加させた。逆に、慢性的フルクトース食は、ATPクエン酸リアーゼ(Moser and Berdamier (1974) J. Nutr. 104:687-94; Shafir et al. (1975) Isr. J. Med. Sci. 11:1150-1154; Winder et al. (1975) Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 148:1150-1154)、アセチル−CoAカルボキシラーゼ(Bruckdorfer et al. (1972) Biochem. J. 129:439-446; Winder et al. (1975) Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 148:1150-1154; Waterman et al. (1975) Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 150:220-225)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、NADPリンゴ酸デヒドロゲナーゼおよびピルビン酸キナーゼを含めた多数の不可欠な解糖酵素の活性を低下させた。しかしながら、デンプンの摂取は、これら酵素の活性を増大させた。(Vrana and Fabry (1983) World Res. Nutr. Diet 42:56-101)。特に、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼの誘導は、ジヒドロキシアセトンリン酸をグリセロール−3−リン酸へと変換することにより、肝中のVLDL含有量の増加をもたらす(図1を参照されたい)。
【0025】
脂質生成は、慢性的フルクトース食(Christophe and Mayer (1968) Am. J. Physiol. 197:55-59)またはスクロース食(Fabry et al. (1968) Nutr. Dieta 10:81-90; Tepperman and Tepperman (1970) Fed. Proc. 29:1284-1293)を供給されたラットの肝で増加することが分かった。高フルクトース食を供給されたラットは、標準的なデンプンまたはグルコース補充食の被験動物と比較して、増加した脂質含有量および器官重量の大きい増加も示した。(Wapnir and Devas (1995) Am. J. Clin. Nutr. 61:105-110)。腎臓は、高フルクトース食の被験動物において僅かながら影響を受けた。心臓および精巣の重量は、影響を受けなかった。高フルクトース食への高脂肪の添加は、これら研究での全肝重量を最小限に大きくし、フルクトース誘導性脂質生成が、脂肪が生産される主要経路であるということを示唆した。(Wapnir and Devas (1995) Am. J. Clin. Nutr. 61:105-110)。
【0026】
これまでに行われた研究の大部分は、食餌を厳密に管理することができるラットで行われた。しかしながら、増加したフルクトース消費量がヒトに労力を課している証拠が示されている。いくつかの研究は、フルクトースが、男性および女性の体重増加に一定の作用を有するということを示した。例えば、4人の糖尿病患者を含む14人の中年男性の食事に、追加の50〜60g/日のフルクトースまたは高フルクトーストウモロコシシロップの甘味料入りの2缶のソーダのほぼ同等物を補充した場合、彼らは全て正味体重増加を示した。(Anderson et al. (1989) Diabetes Care 12:337-344)。人工甘味料かまたはスクロース(50%フルクトース)をエネルギー要求の28%として消費している過体重個体を比較した別の研究では、スクロース補助食品を摂取した個体が、体重、脂肪質量および血圧の増加を10週間にわたって示した。(Atrup et al. (2002) Am. J. Clin. Nutr. 75(Suppl):405S(abstract))。更に、Raben et al. は、デンプンを与えられた個体が、体重の変化を示さなかったスクロース(50%フルクトース)を与えられた個体とは対照的に、体質量を14日間にわたって減少させたことを示した。(Raben et al. (1997) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 21:846-859)。これら知見は、細身および肥満双方の被験者においてフルクトース誘導性脂質生成の増加を示している、Schwarz et al. によって行われた研究と全て一致する。(Schwarz et al. (1995) J. Clin. Invest. 96:2735-2743)。
【0027】
若干の前炎症性マーカーは、体重増加および肥満症と関連している。これらの中には、TNFα、IL−6およびCRPがある。TNFαは、脂肪細胞によって発現され且つ分泌され、肥満症およびBMIとの直接的相間を示すが、インスリン不感および高インスリン血症とには必ずしも示さない(Hotamisligil et al. (1993) Science 259:87-91; Ronnemaa et al. (2000) J. Clin. Endocrinol. Metab. 85:2728-2732; Berberoglu (2001) J. Pediatr. Endocrinol. Metab. 14:543-547)。
【0028】
ボディマス指数(BMI)は、身長および体重に基づく体脂肪の尺度である。BMIは、全肥満症の尺度として用いられ、(心臓疾患、癌または糖尿病のような)慢性疾患を発症する可能性に関係した多数の因子の一つである。慢性疾患を発症する危険を評価する場合の他の重要な因子には、食事、身体的活動、ウェスト周囲寸法、血圧、血糖レベル、コレステロールレベルおよび家族病歴が含まれる。BMIは、次のように計算される。
【0029】
【数1】
【0030】
個体は、それらのBMIが25〜29.9kg/m2である場合に過体重とみなされ、BMI≧30kg/m2の場合に肥満とみなされる。BMIが<25kg/m2である個体は、正常体重であるとみなされる。
【0031】
体内脂肪過多には、皮下、内臓および器官の3タイプがある。(Cinti (2000) Eat Weight Disord. 5:132-142)。肝(器官)脂肪過多は、フルクトース消費量に大いに関連していることが分かった(Wapnir and Devas (1995) Am. J. Clin. Nutr. 61:105-110)。内臓脂肪過多は、もう一方において、種々の脂肪源およびフルクトース/スクロースを含めた炭水化物源の摂取量に関連している。(Tarui et al. (1991) Int. J. Obes. 2(Suppl):1-8; Keno et al. (1991) Int. J. Obes. 15:205-211)。内臓脂肪過多の量が多いほど、生体で生じるTNFαの量は多い。(Tsigos et al. (1999) Metabolism 48:1332-5; Vgontzas et al. (2000) J. Clin. Endocrinol. Metab. 85:1151-1158)。高スクロース/フルクトース食は、内臓脂肪過多を増加させることが判明した。
【0032】
TNFαは、脂肪組織からのIL−6の分泌を誘導するが、それは、グルココルチコイド誘導性脂質分解を引き起こし、それによって、de novo 脂肪合成のための追加のプールとして役立ちうる増加した濃度の循環性非エステル化脂肪酸を放出する。(Patton et al. (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8313-8317; Fried et al. (1998) Endocrinol. Metab. 83:847-850)。高フルクトース供給されたLDL受容体欠失マウスの場合、アテローム性動脈硬化症病変は、なお一層大きい病変形成を誘導するタンパク質の遺伝子発現を促進する転写因子を誘導した高レベルのTNFαを含有していた(Goetze et al. (2001) Atherosclerosis 159:93-101)。
【0033】
急性期は、IL−6が、CRPおよびフィブリノーゲンのような特異的炎症性タンパク質の遺伝子およびタンパク質発現を誘導する傷害または炎症の状態である(Heinrich et al. (1990) Biochem. J. 265:621-636)。急性期にこの機能を果たすサイトカインは他にない。増加したBMIと血清フィブリノーゲン濃度との間には、強い相関があることが知られていたが(Krobot et al. (1991) Arterioscler. Thromb. 12:780-788)、腹部脂肪細胞が、IL−6を生産し且つ分泌するということが発見されるまで、IL−6との関連は不明であった(Mohamed-Ali et al. (1997) J. Clin. Endocrinol. Metab. 82:4196-4200)。したがって、体内のIL−6レベルと、BMIと内臓脂肪過多との間には、直接的な相間がある。
【0034】
IL−6生産の第二の作用は、上記の場合よりなお大きい損傷でありうる。内蔵脂肪細胞からのIL−6分泌は、主に門脈によって吸収されるので、主に肝細胞に作用する。TNFαのように、IL−6も、肝内の脂質分解を促すが、それは、特に、フィブリノーゲン遺伝子発現を増加させて、血液中の高濃度のフィブロジェニンおよび増加した心臓血管疾患発病率をもたらす。(McCarty (1999) Medical Hypotheses 52:465-477)。
【0035】
その遺伝子発現活性に関連しているのは、循環中の増加するCRPレベルへのIL−6の作用である。IL−6は、肝のCRP合成を調節している(Heinrich et al. (1990) Biochem. J. 265:621-636; Bataille and Klein (1992) Arthritis Rheum. 35:982-983)。増加したBMIとTNFα濃度とIL−6濃度との間には相間があるので、研究者らは、CRPに関する相間を探求していた。CRP血清濃度とBMIとの間に直接的な相間があるということが発見された。(Visser et al. (1999) JAMA 282:2131-2135)。事実、BMIとCRP濃度との間には、ほぼ直線的な関係がある。
【0036】
TNFαおよびIL−6と比較すると、内臓脂肪過多とCRP濃度との間には、なお一層強い相関が見出され(Forouhi et al. (2001) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 25:1327-1331)、その結果大いに、それは、急性期心臓血管疾患の際の上腕動脈内皮機能の主な予兆でありうる(Brooks et al. (2001) Am. J. Cardiol. 88:1264-9)。過剰のフルクトースおよびスクロース摂取量は、高レベルのIL−6を誘導後、それがCRPの発現を誘導する増加したTNFα分泌のために、確実にCRPの増加をもたらすと考えられる。肝内のフルクトース誘導性脂質生成のアップレギュレーションによって最初に引き起こされるこのサイトカインカスケードは、肥満症、心臓血管疾患、糖尿病並びに多数の他の疾患における主要タンパク質決定因子に関与している。(McCarty (1999) Medical Hypotheses 52:465-477)。フルクトースおよび糖質誘導性体重増加の減少は、これら炎症に基づく疾患状態を予防する場合にきわめて重要である。
【0037】
「デンプン遮断薬」は、α−アミラーゼの作用を部分的に抑制する植物由来の化合物であり、したがって、消化管を通過するデンプンをグルコース源として十分に利用させない。具体的には、インゲンマメより単離された抽出物であるファセオラミン(phaseolamin)は、α−アミラーゼの阻害によって炭水化物分解を阻止するのに有効であることが判明した。(Marshall and Lauda (1975) J. Biol. Chem. 250:8030-8037)。種々の植物源より単離される多数の「デンプン遮断薬」は、現在、商業的に入手可能である。糖質誘導性体重増加を行う植物および植物抽出物についての参考文献の広範囲にわたる研究は、しかしながら、一つの結果を生じただけであった。伝統的な漢方薬である ボフツショサン(Bofu-tsusho-san)(BOF)は、肝内のトリグリセリド合成を抑制し、脂肪細胞中の脂質分解を促進した。(Morimoto et al. (2001) Nippon Yakurigaku Zasshi 117:77-86)。しかしながら、この抽出物の分析は、それが、脂肪細胞中のホスホジエステラーゼ(PDE)活性を抑制するエフェドリンおよびd−プソイドエフェドリンを含有していたことを示し、したがって、体重増加の抑制へのその作用を説明した。(Yoshida et al. (1995) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 19:717-722)。体重減少に用いられる別の周知の植物抽出物であるム・ファン(Mu Huang)も、エフェドリン様物質であるエフェドラ(ephedra)を含有する。(Boozer et al. (2002) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 26:593-604; Boozer et al. (2001) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 25:16-324)。いくつかの短期臨床研究は、Mu Huang が、カフェインおよびガラナとの組合せで安全であることを示したが、最近の報告は、エフェドラ含有体重減少標品が、重症の心臓副作用を有するということを示唆した。
【0038】
本明細書中に記載の物質の組成物は、デンプン分解を行うα−アミラーゼ阻害剤も、糖質代謝および体重増加を行うエフェドラ、エフェドリンまたはプソイドエフェドリンも含有していない。この抽出物は、フルクトース利用の低下による高糖質食での体重増加を低減させ、肥満症に関連した前炎症性サイトカインを減少させ、そして体重減少を助けることができる。
【0039】
フラボノイド類またはバイオフラボノイド類は、抗細菌活性、抗炎症活性、抗アレルギー活性、抗変異原活性、抗ウイルス活性、抗腫瘍活性、抗トロンビン活性および血管拡張活性を有することが報告された、広く分布する一群の天然産物である。この群の化合物に共通の構造単位は、次の一般的な構造式:
【0040】
【化1】
【0041】
によって示されるように、3炭素環の両側に2個のベンゼン環を含む。この一般的な三環構造に結合したヒドロキシル基、糖、酸素およびメチル基のいろいろな組合せは、いろいろなクラスのフラボノイド類を生じるが、それには、フラボノール類、フラボン類、フラバン−3−オール類(カテキン類)、アントシアニン類およびイソフラボン類が含まれる。
【0042】
フリーB環フラボン類およびフラボノール類は、特定のクラスのフラボノイド類であり、それらは、次の一般的な構造:
【0043】
【化2】
【0044】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H;−OH;−SH;OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示されるように、芳香族B環上に置換基を有していない。
【0045】
フラボノイド類は、広く分布する一群の天然産物であるが、フリーB環フラボノイド類は、比較的希少である。合成されたまたは天然源より単離された全9396種類のフラボノイド類の内、僅か231種類のフリーB環フラボノイド類が知られている。(The Combined Chemical Dictionary, Chapman & Hall/CRC, Version 5:1 June 2001)。フリーB環フラボノイド類は、多様な生物学的活性を有することが報告されている。例えば、ガランジン(galangin)(3,5,7−トリヒドロキシフラボン)は、抗酸化剤およびフリーラジカルスカベンジャーとして作用し、抗遺伝子毒性および癌化学的予防に有望な候補であると考えられる。(Heo et al. (2001) Mutat. Res. 488(2):135-150)。それは、チロシナーゼモノフェノラーゼの阻害剤であり(Kubo et al. (2000) Bioorg. Med. Chem. 8(7):1749-1755)、ウサギ心臓カルボニルレダクターゼの阻害剤であり(Imamura et al. (2000) J. Biochem. 127(4):653-658)、抗微生物活性(Afolayan and Meyer (1997) Ethnopharmacol. 57(3):177-181)および抗ウイルス活性(Meyer et al. (1997) J. Ethnopharmacol. 56(2):165-169)を有する。バイカレインおよびガランジン、二つの他のフリーB環フラボノイド類は、ヒト乳癌細胞に対して抗増殖活性を有する。(So et al. (1997) Cancer Lett. 112(2):127-133)。
【0046】
典型的には、フラボノイド類は、それらの利用可能性に基づいて無作為に、活性について調べられてきた。時々、B環上の置換の必要条件が、p−糖タンパク質への高親和性結合(Boumendjel et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. Lett. 11(1):75-77);強心作用(Itoigawa et al. (1999) J. Ethnopharmacol. 65(3):267-272)、リノール酸ヒドロペルオキシド誘導性毒性に対する内皮細胞への防御作用(Kaneko and Baba (1999) Biosci Biotechnol. Biochem 63(2):323-328)、COX−1阻害活性(Wang (2000) Phytomedicine 7:15-19);およびプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ活性(Kalkbrenner et al. (1992) Pharmacology 44(1):1-12)に必要なB環置換のように、特定の生物学的活性について強調された。僅かに少数の公報が、フリーB環フラボノイド類の未置換のB環の有意性を述べていた。一つの例は、2−フェニルフラボン類の使用であるが、それは、NAD(P)Hキノン受容体オキシドレダクターゼを、潜在的な抗凝固薬として抑制する。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11):1417-1427)。
【0047】
漢方薬用植物であるスクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria baicalensis)は、バイカレイン、バイカリン(baicalin)、ウォゴニン(wogonin)およびバイカレノシド(baicalenoside)を含めた、有意の量のフリーB環フラボノイド類を含有する。伝統的に、この植物は、発熱除去(clearing away heat)、炎症除去(purging fire)、湿・温(dampness-warm)および夏季熱症候群;高熱に起因する多渇症;カルブンケル、びらんおよび他の化膿性皮膚感染;急性扁桃炎、咽喉頭炎および猩紅熱などの上気道感染;ウイルス性肝炎;腎炎;腎盂炎(pelvitis);赤痢;吐血および鼻出血を含めた多数の状態を処置するのに用いられてきた。この植物は、更に、流産を防止するのに伝統的に用いられてきた(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine ShangHai Science and Technology Press, ShangHai, China, 1998)。臨床的には、スクテラリアは、現在、小児肺炎、小児細菌性下痢、ウイルス性肝炎、急性胆嚢炎症、高血圧症、切開および外科手術に起因する局所急性炎症、気管支喘息および上気道感染などの状態を処置するのに用いられている(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine ShangHai Science and Technology Press, ShangHai, China, 1998)。気管支喘息を処置するための スクテラリア根の薬理学的有効性は、報告によれば、フリーB環フラボノイド類の存在、およびそれらがエオタキシン(eotaxin)に関連した好酸球補充を抑制することに関係している。(Nakajima et al. (2001) Planta Med. 67(2):132-135)。
【0048】
これまでに、多数の天然に存在するフリーB環フラボノイド類が、いろいろな用途のために商業化されてきた。例えば、スクテラリア抽出物のリポソーム製剤は、スキンケア用に利用されてきた(米国特許第5,643,598号;第5,443,983号)。バイカリンは、癌遺伝子へのその阻害作用のために、癌を予防するのに用いられてきた(米国特許第6,290,995号)。バイカリンおよび他の化合物は、抗ウイルス薬、抗細菌薬および免疫調節薬として(米国特許第6,083,921号)および天然の抗酸化剤として(ポーランド公報第9,849,256号)用いられてきた。クリシンは、その不安低減性について用いられてきた(米国特許第5,756,538号)。抗炎症性フラボノイド類は、肛門直腸および結腸の疾患の抑制および処置(米国特許第5,858,371号)およびリポキシゲナーゼの阻害(米国特許第6,217,875号)に用いられている。これら化合物は、結合組織の修復および維持のために、グルコサミンコラーゲンおよび他の成分と一緒に製剤化されてもいる(Bath, 米国特許第6,333,304号)。フラボノイドエステルは、化粧用組成物中の活性成分を構成している(米国特許第6,235,294号)。2002年3月1日出願の「Identification of Free-B-Ring Flavonoids as Potent Cox-2 Inhibitors」と称する米国出願第10/091,362号は、シクロオキシゲナーゼ酵素COX−2を阻害する方法であって、それを必要としている宿主に、フリーB環フラボノイドを含む組成物またはフリーB環フラボノイド類の混合物を含有する組成物を投与することによる方法を開示している。これは、フリーB環フラボノイド類とCOX−2阻害活性との関連についての最初の報告である。この出願は、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる。
【0049】
フラバン類には、次の一般的な構造:
【0050】
【化3】
【0051】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0052】
カテキンは、主に緑茶に見出される、次の構造を有するフラバンである。
【0053】
【化4】
【0054】
カテキンは、単独でも、茶に見出される他のフラボノイド類と一緒でも作用し、抗ウイルス活性および抗酸化活性双方を有する。カテキンは、ウイルス性肝炎の処置に有効であることが分かった。それは、更に、心臓、腎臓、肺および脾臓への酸化的損傷を妨げると考えられる。カテキンは、更に、胃癌細胞の増殖を抑制することが分かった。
【0055】
種々の植物源、特に、緑茶葉からのカテキンおよびその誘導体は、HPV感染性の尖形コンジローム(Cheng, 米国特許第5,795,911号)および乳頭腫ウイルスによって引き起こされる過形成(Cheng, 米国特許第5,968,973号および第6,197,808号)の処置に用いられてきた。カテキンおよびその誘導体は、更に、皮膚癌、乾癬、クモ状静脈(spider veins)または眼下輪(under eye circles)などの哺乳動物組織の血管新生を抑制するために(Anderson, 米国特許第6,248,341号)、マウスでのUVB誘導性腫瘍形成に対して(Agarwal et al. (1993) Photochem. Photobiol. 58:695-700)、遺伝子発現および酵素活性のレベルでNOシンターゼを阻害するために(Chan, 米国特許第5,922,756号)、そして養毛剤として(Takahashi, 米国特許第6,126,940号)、局所に用いられてきた。カテキンを基剤とする組成物は、更に、座瘡の処置(Murad, 米国特許第5,962,517号)、消化器官の組織を無感化する(Shi, 米国特許第5,470,589号)、そしてアンドロゲン性障害関連疾患および癌を処置する場合に5α−レダクターゼ活性を抑制するために(Liao, 米国特許第5,605,929号)、他の抽出物およびビタミン類と一緒に製剤化された。緑茶抽出物は、COX−2酵素を阻害することによって炎症を減少させるために、具体的な活性成分を全く識別することなく、7種類の他の植物抽出物と一緒に製剤化された(Newmark, 米国特許第6,264,995号)。
【0056】
フラバン類であるクェルセチンおよびフィセチンは、脂質分解を刺激する場合の活性の抑制とは反対に、脂肪組織においてPDE活性を刺激することが分かっていた。(Kuppusamy and Das (1994) Biochem. Pharmacol. 47:521-529)。クェルセチンおよびフィセチンは、エピネフリンの存在下でも不存在下でも、用量依存方式でPDE活性を刺激して、サイクリックAMPの細胞内蓄積を引き起こした。更に、それらの作用は、既知の脂質分解性物質であるテオフィリンの添加によって増強されなかったが、それらの作用はむしろ、特異的β−アドレナリン受容体アゴニストであるイソプロテレノール(isoprterenol)の添加によって抑制され、クェルセチンおよびフィセチンは、β−アドレナリン受容体に結合することによってエピネフリンと共力作用するということが示唆された。カテキンも、PDE活性を刺激したが、エピネフリンの存在下では刺激せず、それはβ−アドレナリン受容体を弱く結合するということが示唆された。(Kuppusamy and Das (1992) Biochem. Pharmacol. 44:1307-1315)。更に、マウスでの1ヶ月にわたる研究において、緑茶カテキンは、アシルCoAオキシダーゼ、中位鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ、更には、肝におけるβ酸化活性を増加させ、したがって、脂質異化を増加させた。(Murase et al. (2002) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 26:1459-1464)。
【0057】
フルクトース誘導性肥満症へのカテキンの作用は知られていない。バイカレイン、バイカリンまたはウォゴニンが、フルクトース代謝を行うということも証明されていない。それにもかかわらず、両方の薬草の組合せを含有する抽出物は、下に詳述されるようにフルクトース代謝を変化させる。
【0058】
アカシア(Acacia)は、マメ科の木および低木の属である。このアカシア属には、マメ科(Leguminosae)の科およびミモソイデエ(Mimosoideae)の亜科に属する1000を超える種が含まれる。アカシアは、中・南米、アフリカ、アジアの一部並びにオーストラリアの熱帯および亜熱帯地域の世界中に分布していて、最大多数の固有種を有する。アカシアは、主に、乾燥し、かわききった地域にあるが、そこの森は、しばしば、開放的なとげのある低木の自然にある。アカシア属は、主に葉の形態に基づいて、3種類の亜属、すなわち、アカシア、アクリフェルム(Aculiferum)およびヘテロフィルム(Heterophyllum)に分類される。しかしながら、成木の葉の性質に基づいて、アカシア属は、二つの「俗」群、すなわち、典型的な二回羽状葉種および偽葉種に分けることができる。偽葉は、小葉のない葉状構造へと広がった変形葉柄であり、乾生植物状態への適応である。
【0059】
アカシアは、経済的にきわめて重要であり、タンニン類、ガム類、木材、燃料および飼料の原料を提供する。タンニン類は、主に樹皮から単離されるが、生皮をなめすのに広範囲に用いられている。若干のアカシア樹皮は、地酒の香り付けに用いられてもいる。A.シニュータ(A. sinuata)に似た若干の自生種も、サポニン類を生じるが、それは、水と一緒に混合し且つ撹拌した場合に石鹸状の泡を形成するいずれかの種々の植物グリコシドである。サポニン類は、洗剤、発泡剤および乳化剤に用いられる。若干のアカシア種の花は、香りがよく、香料を製造するのに用いられる。例えば、カシー香は、A.フェルジェニア(A. ferrugenea)より得られる。多数のアカシアの心材は、農機具を作るのに用いられ、そして更には、薪の原料を提供する。アカシアガム類は、医学および菓子製造業に、そして繊維工業においてはサイズ剤および仕上材料として、広範囲に用いられている。ラックカイガラムシ(lac insect)は、A.ニロティカ(A. nilotica)およびA.カテキュ(A. catechu)を含めたいくつかの種の上で成長することができる。若干の種は、ある程度の浸水に耐えることができるA.ニロティカを含めて、荒れ地の植林に用いられてきたが、数少ないこのような地域は、鳥類保護区になっている。
【0060】
これまでに、約330種類の化合物が、いろいろなアカシア種から単離された。水溶性タイプの植物色素であるフラボノイド類は、アカシア種から単離された主なクラスの化合物である。約180種類の異なったフラボノイド類が識別されたが、その111種類はフラバン類である。テルペノイド類は、アカシア属の種から単離された2番目に大きいクラスの化合物であり、48種類の化合物が識別された。アカシアから単離された他のクラスの化合物には、アルカロイド類(28)、アミノ酸/ペプチド(20)、タンニン類(16)、炭水化物(15)、酸素複素環(15)および脂肪族化合物(10)が含まれる。(Buckingham, The Combined Chemical Dictionary, Chapman & Hall CRC, version 5:2, Dec. 2001)。
【0061】
フェノール化合物、特に、フラバン類は、全てのアカシア種に中〜高濃度で見出される。(Abdulrazak et al. (2000) Journal of Animal Sciences. 13:935-940)。歴史的には、アカシア属の植物および抽出物の大部分が、収斂薬として、胃腸障害、下痢および消化不良を処置するのにおよび出血を止めるのに利用されてきた。(Vautrin (1996) Universite Bourgogne (France) European abstract 58-01C:177; Saleem et al. (1998) Hamdard Midicus. 41:63-67)。A.アラビカ・ウィルド(A. arabica Willd.)の樹皮およびサヤは、多量のタンニン類を含有し、収斂薬および去痰薬として利用されてきた。(Nadkarni (1996) India Materia Medica, Bombay Popular Prakashan, pp.9-17)。ソマリアからのA.トルティリス(tortilis)の茎皮より単離されたジアリールプロパノール誘導体は、平滑筋弛緩作用を有すると報告された。(Hagos et al. (1987) Planta Medica. 53:27-31,1987)。A.ヴィクトリエ(A. victoriae)より単離されたテルペノイドサポニン類は、ジメチルベンゾ(a)アントラセン誘導性ネズミ皮膚発癌への抑制作用を有し(Hanausek et al. (2000) Proceedings American Association for Cancer Research Annual Meeting 41:663)、アポトーシスを誘導する(Haridas et al. (2000) 3Proceedings American Association for Cancer Research Annual Meeting. 41:600)。A.ニロティカからの植物抽出物は、痙攣原活性、血管収縮活性および抗高血圧活性(Amos et al. (1999) Phytotherapy Research 13:683-685; Gilani et al. (1999) Phytotherapy Research. 13:6685-669)、および抗血小板凝集活性(Shah et al. (1997) General Pharmacology. 29:251-255)を有すると報告された。抗炎症活性は、A.ニロティカについて報告された。フラボノイド類、多糖類および有機酸は、潜在的な活性化合物であると考えられていた。(Dafallah and Al-Mustafa (1996) American Journal of Chinese Medicine. 24:263-269)。2002年3月22日出願の「Isolation of a Dual Cox-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitor from Acacia」と称する米国出願第10/104,477号は、参照により本明細書中にそのまま取り込まれるが、シクロオキシゲナーゼCOX−2および5−リポキシゲナーゼ(5−LO)酵素の同時二重阻害の方法であって、アカシア属の植物より単離されたフラバンまたはフラバン類の混合物を含む組成物を投与することによる方法を開示している。
【0062】
発明の要旨
本発明は、糖質誘導性体重増加および糖質誘導性肥満症を抑制する場合に有効である方法を包含する。糖質誘導性体重増加を抑制するおよび糖質誘導性肥満症を抑制する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含む組成物を投与することを含んで成る(この物質の組成物は、本明細書中において、DIAFINTMという商品名でも論じられる)。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の好ましい態様において、物質の組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0063】
本発明は、更に、他の糖質誘導性疾患および状態の予防および処置の方法を包含する。糖質誘導性疾患および状態を予防するおよび処置する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物、および薬学的に許容しうる担体を含む有効量の組成物を投与することを含んで成る。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の好ましい態様において、物質の組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0064】
本発明は、更に、フルクトースの触媒作用および解糖の経路における鍵酵素の特異的阻害、すなわち、特異的フルクトース−1−リン酸アルドラーゼの阻害の方法を包含する。図1に関して、これは、アルドラーゼによるフルクトース−1−リン酸のグリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸への変換を阻害する。この特異的阻害は、ジヒドロキシアセトンリン酸をグリセロール−3−リン酸へ、そして次にアシルグリセロールへと変換して、最終的にVLDLの生産を引き起こすのを妨げる。
【0065】
本発明は、更に、TNFαおよびIL−6の生産を誘導する転写因子NFκBのゲノム減少の方法を包含する。TNFαおよびIL−6は、肥満症および他の炎症性疾患のプライムマーカーである。NFκBおよびその後のTNFαおよびIL−6の減少方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含む有効量の組成物を投与することを含んで成る。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の好ましい態様において、物質の組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0066】
本明細書中においてフリーB環フラボン類およびフリーB環フラボノール類とも称される、次の発明によって用いることができるフリーB環フラボノイド類には、次の一般的な構造:
【0067】
【化5】
【0068】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H;−OH;−SH;OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0069】
次の発明によって用いることができるフラバン類には、次の一般的な構造:
【0070】
【化6】
【0071】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0072】
本発明の方法は、高脂血症;高コレステロール;動脈硬化症;アテローム性動脈硬化症;症候群X(代謝症候群);糖質誘導性肥満症および糖尿病によって引き起こされる全身性炎症状態;および高血圧症が含まれるがこれに制限されるわけではない多数の肥満症関連疾患および状態を処置するおよび予防するのに用いることができる。
【0073】
本発明のフリーB環フラボノイド類は、合成法によって得ることができるし、またはバンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクンシ科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、クスノキ科(Lauranceae)、Leguminosae、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、イノモトソウ科(Pteridaceae)、ヒメウラジロ科(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびショウガ科(Zingiberaceae)が含まれるがこれに制限されるわけではない植物の科より抽出することができる。それらフリーB環フラボノイド類は、次の、デスモス(Desmos)、アキロクリン(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス(Anaphalis)、コツラ(Cotula)、ハハコグサ(Gnaphalium)、ヘリクリスム(Helichrysum)、センタウレア(Centaurea)、フジバカモ(Eupatorium)、バッカリス(Baccharis)、シラキ(Sapium)、スクテラリア、モルサ(Molsa)、コレブローケア(Colebrookea)、スタキス(Stachys)、オリガヌム(Origanum)、ジジホラ(Ziziphora)、リンデラ(Lindera)、アクチノダフネ(Actinodaphne)、Acacia、デリス(Derris)、グリシリザ(Glycyrrhiza)、ミレティア(Millettia)、ポンガミア(Pongamia)、テフロシア(Tephrosia)、パンノキ(Artocarpus)、イチジク(Ficus)、ピチログランマ(Pityrogramma)、ノトレナ(Notholaena)、アカマツ(Pinus)、ハルニレ(Ulmus)およびハナミョウガ(Alpinia)が含まれるがこれに制限されるわけではない高等植物の属より抽出し、濃縮し、そして精製することができる。
【0074】
本発明のフラバン類は、アカシア属より選択される一つまたは複数の植物から得ることができる。好ましい態様において、その植物は、アカシア・カテキュ(Acacia catechu)(A. catechu)、A.コンシナ(A. concinna)、A.ファルネシアナ(A. farnesiana)、A.セネガル(A. Senegal)、A.スペシオサ(A. speciosa)、A.アラビカ(A. arabica)、A.シーシア(A. caesia)、A.ペナタ(A. pennata)、A.sinuata、A.ミールンシイ(A. mearnsii)、A.ピクナンタ(A. picnantha)、A.ディールバタ(A. dealbata)、A.アウリクリホルミス(A. auriculiformis)、A.ホロセレシア(A. holoserecia)およびA.マンギウム(A. mangium)から成る群より選択される。
【0075】
本発明の組成物は、当業者に知られているいずれの方法によっても投与することができる。投与方法には、経腸(経口)投与、非経口(静脈内、皮下および筋肉内)投与および局所適用が含まれるが、これに制限されるわけではない。本発明による処置方法は、それを必要としている患者に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の治療的有効量を体内にまたは局所に投与することを含む。
【0076】
前述の一般的な説明および次の詳細な説明は双方とも、単に例示し且つ説明するものであり、請求の範囲に記載の発明を制限するものではない。
発明の詳細な説明
本発明は、体重増加および肥満症、更には、高炭水化物摂取に起因する他の疾患および状態の予防および処置に使用するための二つの具体的なクラスの化合物、すなわち、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類のブレンドの混合物を含んで成る物質の新規な組成物に関する。それら疾患および状態には、高脂血症;高コレステロール;動脈硬化症;アテローム性動脈硬化症;症候群X(代謝症候群);肥満症および糖尿病によって引き起こされる全身性炎症状態;および高血圧症が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0077】
種々の用語が、本明細書中において本発明の側面を論じるのに用いられている。本発明の成分の説明を明確にする助けとなるように、次の定義を与える。
「ある」物質という用語は、一つまたはそれを超えるその物質を意味するということに留意すべきであり、例えば、あるフラボノイドは、一つまたはそれを超えるフラボノイド類を意味する。「ある」、「一つまたはそれを超える」および「少なくとも一つ」という用語は、そのままで、本明細書中において同じ意味に用いられる。
【0078】
本明細書中で用いられる「フリーB環フラボノイド類」は、次の一般的な構造:
【0079】
【化7】
【0080】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H;−OH;−SH;OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示されるように、芳香族B環上に置換基を有していない特定のクラスのフラボノイド類である。
【0081】
本明細書中で用いられる「フラバン類」とは、次の一般的な構造:
【0082】
【化8】
【0083】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって一般的に示される特定のクラスのフラボノイド類を意味する。
【0084】
本明細書中で用いられる「フルクトース誘導性脂質生成」とは、図1に図式的に示されるように、中間体ジヒドロキシアセトンリン酸の生産後、それをグリセロール−3−リン酸へと変換し、そして引き続き、アシルグリセロールへとエステル化することを介して生じる、フルクトースからの特定の脂質形成経路を意味する。
【0085】
本明細書中で用いられる「de novo 脂質生成」とは、図1に図式的に示されるように、中間体ピルベートの生産後、それをカルボキシル化反応でアセチル−CoAへと変換し、それをマロニル−CoAへと変換し、次に、それをアシル−CoAへと変換後、アシルグリセロールへとエステル化することを介して生じる、グルコースからの特定の脂質形成経路を意味する。
【0086】
本明細書中で用いられる「糖質誘導性脂質生成」とは、フルクトース誘導性脂質生成および de novo 脂質生成の双方を意味する。
本明細書中で用いられる「糖」とは、単糖類、二糖類および多糖類が含まれるがこれに制限されるわけではない単純および複合双方の炭水化物を意味する。単糖は、グルコース、フルクトースおよびガラクトースが含まれるがこれに制限されるわけではない単純な糖である。二糖は、二重の糖、またはスクロースなどの単純な糖を2分子含有する糖である。本明細書中で用いられる糖とは、複合炭水化物の破壊または分解によって生じる炭水化物をも意味する。複合炭水化物または多糖は、単純な糖を3分子またはそれを超えて含有する炭水化物である。複合炭水化物には、デンプンおよびグリコーゲンが含まれる。複合炭水化物の分解の結果として形成される糖には、マルトトリオース、α−デキストリン、マルトースおよび他の代謝的に活性な二糖類が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0087】
本明細書中で用いられる「治療的」には、処置および/または予防が含まれる。用いられる場合、治療的は、ヒト並びに他の動物に関している。
「薬学的にまたは治療的に有効な用量または量」とは、望ましい生物学的結果を引き起こすのに充分な投薬量レベルを意味する。その結果は、疾患の徴候、症状または原因の軽減、または生体系に望まれるいずれか他の変化であってよい。
【0088】
「プラシーボ」とは、疾患の徴候、症状または原因を軽減することができる望ましい生物学的結果を引き起こすのに充分な薬学的にまたは治療的に有効な用量または量の、非活性物質での代用を意味する。
【0089】
「宿主」は、本明細書中に記載の組成物が投与される生きている対象、ヒトまたは動物である。
本出願中にいろいろな引用が与えられていることに留意されたい。各々の引用は、参照により本明細書中にそのまま具体的に取り込まれる。
【0090】
本発明は、糖質誘導性体重増加および糖質誘導性肥満症を抑制する場合に有効である方法を包含する。糖質誘導性体重増加を抑制するおよび糖質誘導性肥満症を抑制する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含む組成物を投与することを含んで成る。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、物質の組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0091】
本発明は、更に、糖質誘導性疾患および状態の予防および処置の方法を包含する。糖質誘導性疾患および状態を予防するおよび処置する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物、および薬学的に許容しうる担体を含む有効量の組成物を投与することを含んで成る。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、物質の組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0092】
本発明は、更に、NFκBのゲノム減少と、その後の、肥満症および他の炎症性疾患のプライムマーカーであるTNFαおよびIL−6のレベルの低下の方法を包含する。NFκBのゲノム減少と、その後のTNFαレベルおよびIL−6レベルの低下の方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含む有効量の組成物を投与することを含んで成る。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、物質の組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0093】
次によって用いることができるフリーB環フラボノイド類には、上に挙げられた一般的な構造によって示される化合物が含まれる。本発明のフリーB環フラボノイド類は、合成法によって得ることができるし、またはバンレイシ科、キク科、ノウゼンカズラ科、シクンシ科、キク科、トウダイグサ科、シソ科、クスノキ科、マメ科、クワ科、マツ科、イノモトソウ科、ヒメウラジロ科、ニレ科およびショウガ科が含まれるがこれに制限されるわけではない植物の科より抽出することができる。それらフリーB環フラボノイド類は、次の、デスモス、アキロクリン、オロキシルム、ブケナビア、アナファリス、コツラ、ハハコグサ、ヘリクリスム、センタウレア、フジバカモ、バッカリス、シラキ、スクテラリア、モルサ、コレブローケア、スタキス、オリガヌム、ジジホラ、リンデラ、アクチノダフネ、アカシア、デリス、グリシリザ、ミレティア、ポンガミア、テフロシア、パンノキ、イチジク、ピチログランマ、ノトレナ、アカマツ、ハルニレおよびハナミョウガが含まれるがこれに制限されるわけではない高等植物の属より抽出し、濃縮し、そして精製することができる。
【0094】
それらフラボノイド類は、茎、茎皮、小枝、塊茎、根、根皮、新芽、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分が含まれるがこれに制限されるわけではない、いろいろな植物部分に見出されうる。フリーB環フラボノイド類の単離および精製の方法は、2002年3月1日出願の「Identification of Free-B-Ring Flavonoids as Potent COX-2 Inhibitors」と称する米国出願第10/091,362号に記載されているが、それは、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる。
【0095】
本発明の方法によって用いることができるフラバン類には、上に挙げられた一般的な構造によって示される化合物が含まれる。本発明のフラバン類は、アカシア属より選択される一つまたは複数の植物より単離される。好ましい態様において、その植物は、アカシア・カテキュ、アカシア・コンシナ、アカシア・ファルネシアナ、アカシア・セネガル、アカシア・スペシオサ、アカシア・アラビカ、A.シーシア、A.ペナタ、A.シニュータ、A.ミールンシイ、A.ピクナンタ、A.ディールバタ、A.アウリクリホルミス、A.ホロセレシアおよびA.マンギウムから成る群より選択される。
【0096】
それらフラバン類は、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、新芽、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分が含まれるがこれに制限されるわけではない、いろいろな植物部分に見出されうる。フラバン類の単離および精製の方法は、2002年3月22日出願の「Isolation of a Dual Cox-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitor from Acacia」と称する米国出願第10/104,477号に記載されているが、それは、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる。
【0097】
本発明の方法は、高脂血症;高コレステロール;動脈硬化症;アテローム性動脈硬化症;症候群X(代謝症候群);肥満症および糖尿病によって引き起こされる全身性炎症状態;および高血圧症が含まれるがこれに制限されるわけではない多数の肥満症関連疾患および状態を処置するおよび予防するのに用いることができる。
【0098】
本発明の組成物は、当業者に知られているいずれの方法によっても投与することができる。投与方式には、経腸(経口)投与、非経口(静脈内、皮下および筋肉内)投与および局所適用が含まれるが、これに制限されるわけではない。本発明による処置方法は、それを必要としている患者に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の治療的有効量を体内にまたは局所に投与することを含む。好ましい態様において、その組成物は、0.01〜200mg/kg体重より選択される投薬量で投与される。
【0099】
本発明は、フルクトース代謝が、体内の脂質および脂肪含有量の増加、代謝酵素の酵素活性、mRNA遺伝子発現への影響および一般的な脂質生成に関係しているので、一連の in vivo 体重測定研究、更には、in vitro の生化学的、細胞および遺伝子発現のスクリーニングを組み合わせる戦略を行って、フルクトース代謝を特異的に抑制する活性な植物抽出物を同定する。
【0100】
実施例1は、フルクトースまたは脂肪を補足した食餌3週間によって生じる体重増加へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用を決定するように設計された実験を記載している。それら結果は、図2に示されている。図2に関して、抽出物と一緒に脂肪を与えられた被験動物は、脂肪のみで抽出物を与えられなかったものとほぼ同量の体重増加があったということが分かる。しかしながら、抽出物と一緒にフルクトースを与えられたマウスは、普通食を与えられた対照群と同量の体重増加があった。この結果は、フリーB環フラボノイド類(HPLCに基づく60〜90%)およびフラバン類(HPLCに基づく10〜60%)の混合物を含んで成る物質の組成物が、フルクトース消費に起因する過剰の体重増加を妨げるのに有効であったということを示している。理論によって拘束されたくはないが、この結果は、脂質生成経路におけるフルクトース利用の変化のためであると考えられる。
【0101】
実施例2は、フルクトースおよびグルコースを補足した食餌8週間によって生じる体重増加へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用を示すように設計された実験を記載している。それら結果は、図3に示されている。図3に関して、抽出物と一緒にグルコースを与えられた被験動物は、グルコースのみで抽出物を与えられなかったものとほぼ同量の体重増加があったということが分かる。しかしながら、抽出物と一緒にフルクトースを与えられたマウスは、フルクトースのみで抽出物を与えられなかったマウスより有意に少ない体重増加であった。スクロースまたは市販のフルクトースシロップ原料を与えられたマウスは、この実験条件下において中間の体重増加を示した(データは示されていない)。
【0102】
実施例3は、分泌されるTNFα濃度へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用を示している。それら結果は、図4に示されている。図4に関して、抽出物は、細胞培養物上澄み中に分泌されるTNFαを、2〜100μg/mLの実質的に広範囲の濃度にわたって減少させたということが分かる。TNFαは、肥満症のマーカーであるので、その抽出物は、プライムされた炎症性細胞中でこの前炎症性サイトカインを減少させることによって有意に影響する。
【0103】
実施例4は、分泌されるIL−6濃度へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用を示している。それら結果は、図5に示されている。図5に関して、抽出物は、細胞培養物上澄み中に分泌されるIL−6を、2〜100μg/mLの実質的に広範囲の濃度にわたって減少させたということが分かる。IL−6は、肥満症のマーカーであるので、その抽出物は、プライムされた炎症性細胞中でこの前炎症性サイトカインを減少させることによって有意に影響する。
【0104】
TNFαおよびIL−6の降下は、転写因子NFκBの破壊によって引き起こされうると考えられるが、それは、双方の遺伝子プロモーターが、NFκBによって活性化されるからである。この仮説を調べるために、遺伝子発現転写因子NFκBへのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用を、実施例5に記載のように評価した。それら結果は、図6に示されているが、それは、抽出物の濃度の関数としての相対的NFκB遺伝子発現をグラフで示している。図6で分かるように、NFκBは、抽出物の最高濃度における発現の2.7倍のダウンレギュレーションを示した。NFκBの僅かな変化は、他の遺伝子の遺伝子発現を高度にダウンレギュレーションすることを示した。
【0105】
TNFαの遺伝子発現へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用は、図7に示されている。理解されうるように、TNFαについての相対的遺伝子発現は、実施例5に記載の条件下においてほぼ10倍ダウンレギュレーションされた。この結果は、タンパク質検定において見出されたサイトカインの減少とともに、NFκBが、フリーB環フラボノイド/フラバン抽出物によって抑制されるかもしれないということを示唆している。
【0106】
フルクトースおよびグルコースの代謝経路には、二つの鍵酵素、すなわち、アルドラーゼAおよびアルドラーゼBが存在し、それらは、フリーB環フラボノイド/フラバン抽出物の作用によって作用することがありうる。図1に関して、それぞれ、アルドラーゼBは、フルクトース−1−リン酸のグリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸への変換を触媒し、アルドラーゼAは、フルクトース−1,6−ビスリン酸のグリセルアルデヒド−3−リン酸およびジヒドロキシアセトンリン酸への変換を触媒する。トリオースイソメラーゼは、ジヒドロキシアセトンリン酸のグリセルアルデヒド−3−リン酸への変換を触媒するが、トリオキナーゼは、単一のATP分子の消費を伴って、グリセルアルデヒドのグリセルアルデヒド−3−リン酸への変換を触媒し、したがって、フルクトースの触媒作用および解糖の経路に関連している。アルドラーゼBは、商業的に入手可能ではないので、フルクトース−1,6−ビスリン酸のグリセルアルデヒド−3−リン酸およびジヒドロキシアセトンリン酸への変換を触媒することもできるアルドラーゼAを用いて、実施例6に記載のように、in vitro のこれら酵素への抽出物の潜在的な作用を決定した。それら結果は、図8に示されているが、それは、いろいろな阻害剤濃度における時間に対する反応混合物の吸光度をグラフで示している。この図は、抽出物の濃度が増加するにつれて、生成物の形成は減少するということを示している。この知見は、フルクトース−1−リン酸のグリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸への変換における抽出物によるアルドラーゼの直接的阻害を示唆している。したがって、理論によって拘束されたくはないが、フルクトース触媒作用経路におけるアルドラーゼの阻害は、フルクトースおよび抽出物を食餌に補足されたマウスで一層少ない体重増加を生じる機構に寄与しているかもしれない。
【0107】
実施例7は、ヒト体重減少への抽出物の有効性を調べるために始められたヒト臨床試験を記載している。それら結果は、図9〜13に示されている。図9は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、250mg/日を90日間にわたって経口投与された13個体における体重減少への作用を示す。個体の体重(初期および最終)を、各々の被験者について各測定値の上に示している。図9に関して、250mg/日の投薬量では、90日後に研究に残っていた14個体の内13人に、有意の体重減少が認められたということが分かる。一人の被験者(被験者4)だけが、体重減少を示さなかった。0日目と90日目との間の体重データの差は、p<0.001で統計的有意性を示した。
【0108】
図10は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、500mg/日を90日間にわたって経口投与された13個体における体重減少への作用を示す。個体の体重(初期および最終)を、各々の被験者について各測定値の上に示している。図10で分かるように、投薬量を500mg/日へと増加させた場合、体重減少は、異なったパターンを示した。より高いBMIを有する被験者は、より低いBMIを有する者より大きく体重を減少させる傾向があった。より少ない体重の被験者が、体重を減少させなかったかまたは、ある場合には、増加させもした(被験者3、15、43および47を参照されたい)層別化が生じた。このデータの統計的有意性は、p<0.011を示した。
【0109】
図11は、プラシーボを90日間にわたって経口投与された13個体における体重減少への作用を示す。個体の体重(初期および最終)を、各々のヒト被験者について各測定値の上に示している。この図で分かるように、プラシーボ群は、試験を終えた13人の被験者について、きわめて小さい体重変化を示した。
【0110】
図12は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、250mg/日および500mg/日をプラシーボに対して30日および90日に経口投与された個体におけるBMIへの作用を示す。図12で分かるように、三群全ての平均BMIをプロットした場合、有意差が認められる。プラシーボに対する250mg/日の用量では、p<0.075であったが、500mg/日用量は、p<0.005を示した。群内分析は、500mg/日用量のp<0.051に対して250mg用量についてp<0.004を示した。
【0111】
図13は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、250mg/日および500mg/日をプラシーボに対して0日、30日および90日に経口投与された個体における血中グルコースの変化への作用を示す。それによって、体重の減少およびBMIの有益な変化に加えて、血中グルコースレベルは、250mg/日および500mg/日の群で低下して、後者が最大の変化を示した。しかしながら、プラシーボを与えられた者の血中グルコースレベルは、試験期間中にわたって比較的未変化であった。空腹時血清グルコースデータは、ベースラインデータと比較したところ有意性を示し、500mg/日用量についてp<0.018および250mg/日用量についてp<0.014であった。
【0112】
フリーB環フラボノイドおよびフラバン混合物の純度および定量の決定は、HPLC分析により、実施例8および実施例9に記載の二つの異なった方法を用いて行った。それら結果は、図14および図15に示されている。図14に関して、フリーB環フラボノイド類(主に、バイカレインおよびバイカリン)は、HPLC分析後に、全溶離面積の>60%であると測定された。フラバン類は、より低い総吸光係数を有するので、実施例9に記載の方法を用いて、約3倍程度の抽出物をHPLCカラム上に充填し、無勾配条件下で溶離した。図15に関して、フラバン類(カテキンおよびエピカテキン)は、HPLC分析後に、全溶離面積の>10%であると測定された。
【0113】
高濃度のフリーB環フラボノイド類(HPLCに基づく60〜90%)およびフラバン類(HPLCに基づく10〜60%)を含有する個々の標準化された抽出物、並びにフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含有する組合せ抽出物を、慢性的および急性的双方の投与でのマウスにおける毒性について調べた。慢性的投与プロトコールの場合、マウスには、試験製品を経口強制飼養により、90mg/kg(500mgのヒト1日用量と同等)、450mg/kg(1日用量同等物の5倍)および900mg/kg(1日用量同等物の10倍)の1日用量で供給した。被処置マウスは、体重増加、肉体的外観および挙動の点で副作用を示さなかった。肉眼的剖検結果は、器官異常を示さなかったし、胃および肝双方の組織学は、未処置対照マウスと比較して差を示さなかった。電解質、血中タンパク質、血中酵素および肝酵素を測定する全血研究は、未処置対照マウスと比較して異常を示さなかった。
【0114】
急性的投与プロトコールの場合、高濃度のフリーB環フラボノイド類(HPLCに基づく60〜90%)およびフラバン類(HPLCに基づく10〜60%)を含有する個々の標準化された抽出物、並びにフリーB環フラボノイド類およびフラバン類双方の混合物を含有する組合せ抽出物を、2グラム/kg(1日用量同等物の20倍)で投与した。被処置マウスは、体重増加、外観、挙動、器官の肉眼的剖検外観、胃および肝の組織学、または血液研究に異常を示さなかった。
【0115】
糖質誘導性肥満症を直接的に抑制するフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の能力、更には、肥満症についての前炎症性サイトカインマーカーであるTNFαおよびIL−6の調節において不可欠な転写因子であるNFκBをゲノム減少させる場合のそれらの活性に基づいて、本明細書中に記載の組成物は、体重増加、糖質誘導性脂質生成および全身性炎症を効果的に抑制するであろう。更に、フルクトース−1−リン酸をグリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸へと変換するアルドラーゼを直接的に阻害するフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の能力は、de novo 脂質生成においても、フルクトース誘導性脂質生成においても、脂肪の合成に利用可能な基質の量を減少させるであろう。
【0116】
次の実施例は、単に例示の目的で与えられており、発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0117】
実施例1.フルクトースまたは脂肪を補足した食餌3週間によって生じる体重増加へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用
フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含んで成る物質の組成物が、体重を増加させるという作用を研究するために、スクテラリア・バイカレンシスより単離されたフリーB環フラボノイド類およびアカシア・カテキュより単離されたフラバン類を80:20(フリーB環フラボノイド類:フラバン類)の比率で含有する規定の植物抽出物を用いた。この物質の組成物は、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる、2003年4月30日出願の「Formulation With Dual Cox-2 And 5-Lipoxygenase Inhibitory Activity」と称する米国出願第10/427,746号に記載のように製剤化した。
【0118】
6週令ICR雌マウス(10匹/試験群)(Harlan Laboratories)に、水中の抽出物を100mg/kgの治療的用量で強制飼養した。一つのマウス群に、それらの普通食を供給し、そして飲料水として65%フルクトース溶液を与えて、随意投与した。第二群のマウスには、脂肪を補足した食餌を供給し、随意投与した。二つの試験群には、随意に、それらの水(抽出物不含)中で65%フルクトースを与えるかまたは、それらの食餌に脂肪を補足した(抽出物不含)。それら結果を図2に示す。
【0119】
実施例2.フルクトースおよびグルコースを補足した食餌8週間によって生じる体重増加へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用
この研究は、概して、実施例1に記載されたのと同様に、6週令ICR雌マウス(10匹/試験群)(Harlan Laboratories)を試験対象として、そして参照により本明細書中にそのまま取り込まれる、2003年4月30日出願の「Formulation With Dual Cox-2 And 5-Lipoxygenase Inhibitory Activity」と称する米国出願第10/427,746号に記載のように製剤化されたフリーB環フラボノイド類:フラバン類の80:20混合物を用いて行った。それら結果を図3に示す。
【0120】
図3に関して、「対照」群には、販売者が推奨する平衡食を供給した。もう一つの「対照」群にも、抽出物を100mg/kgで強制飼養によって与えた。二つの試験群には、それらの水中の随意の65%フルクトースを加えた対照食を与えた。これら群の一つに、100mg/kgの抽出物を毎日強制飼養した。最後の二つの試験群には、それらの水中の随意の65%グルコースを加えた対照食を与えた。これら群の一つに、100mg/kgの抽出物を毎日強制飼養した。8週間後に、平均体重を、グラフに示された平均の標準誤差(SEM)と一緒にプロットした。
【0121】
実施例3.TNFαの濃度へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用
ヒト血液ドナーからの末梢血単球(PBMC)を、Histopaque 勾配(Sigma)を用いて単離した。次に、それら細胞を、1%ウシ血清アルブミンを補足したRPMI 1640中で約12時間培養後、10mg/mLのリポ多糖(LPS)で処理して、いろいろな濃度の80:20のフリーB環フラボノイド:フラバン抽出物の存在下における1時間のインキュベーションで炎症を誘導した。それら結果を図4に示す。
【0122】
実施例4.IL−6の濃度へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用
ヒト血液ドナーからの末梢血単球(PBMC)を、Histopaque 勾配(Sigma)を用いて単離した。次に、それら細胞を、1%ウシ血清アルブミンを補足したRPMI 1640中で約12時間培養後、10μg/mLのリポ多糖(LPS)で処理して、いろいろな濃度の80:20のフリーB環フラボノイド:フラバン抽出物の存在下における6時間のインキュベーションで炎症を誘導した。それら結果を図5に示す。その抽出物は、細胞培養物上澄み中に分泌されるIL−6を、2〜100μg/mLの実質的に広範囲の濃度にわたって減少させた。IL−6は、肥満症のマーカーであるので、その抽出物は、プライムされた炎症性細胞中でこの前炎症性サイトカインを減少させることによって有意に影響する。
【0123】
実施例5.転写因子NFκBの遺伝子発現およびTNFαの遺伝子発現へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用
PBMCを、1mg/mLのLPSで18時間誘導させ、そして増加量のフリーB環フラボノイド:フラバン抽出物と一緒に共培養した。次に、RNAを単離し(Qiagen)、DNAに逆転写し、そして定量的PCR(ABI)においてTaqManシステムと、NFκBおよびTNFα双方についての予め確認されたプライマーを用いてPCRを行った。相対的遺伝子発現を、0〜100μg/mLの抽出物の存在下で測定した。それら結果を、図6および図7に示す。
【0124】
実施例6.酵素アルドラーゼAへのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用
1単位/μLのアルドラーゼA(Sigma)を、100μM EDTAおよび3.5mM硫酸ヒドラジンを含有するpH7.5の緩衝液中の4mMフルクトース−1−リン酸の溶液(Jagannathan et al. (1956) Biochem. J. 63:94-105)および0〜65μg/mLの濃度の抽出物に25℃で加えた。その反応を、酵素の添加によって開始させ、そして240nmで10分間監視した。それら結果を、図8に示すが、それは、いろいろな阻害剤濃度における時間に対する反応混合物の吸光度をグラフで示している。
【0125】
実施例7.ヒト体重減少へのフリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の作用
90日のIRB審査二重盲検プラシーボ対照試験を、3種類の異なった群、すなわち、(1)プラシーボ;(2)250mg/日(125mgで1日2回投与);および(3)500mg/日(250mgで1日2回投与)に、15人/群の被験者で開始した。それら被験者は、つり合った年齢および性別であった。被験者には、プラシーボまたは抽出物を隠された状態の丸剤の形で経口投与し、そして彼らの体重、BMIおよび血中グルコースレベルを、0日、30日、60日および90日目に監視した。それら患者には、彼らが体重減少用製品を与えられているかどうか、または彼らが食習慣または運動習慣を変更すべきかどうかについての助言を与えなかった。それら結果を、図9〜13に示す。
【0126】
実施例8.フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による定量(方法1)
80%:20%のメタノール:テトラヒドロフラン中のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物(1.13mg/mLの標準化抽出物20mL)を、Phenomenex Luna C−18カラム(250x4.6mm,5mmビーズサイズ)上に充填し、そして1.0mL/分、直線80%A〜20%A勾配19分間(A=0.1%(v/v)リン酸;B=アセトニトリル)で35℃において溶離した。図14で分かるように、これら条件下において、フリーB環フラボノイド類(バカレイン(bacalein)およびバカリン(bacalin))は、11〜14分に主要ピークとして溶離し、フラバン類(カテキン類およびエピカテキン類)は、約3〜5分に少ないピークとして溶離した。フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の量は、各々の曲線下面積を測定することおよび既知の標準との比較によって決定した。
【0127】
実施例9.フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の逆相無勾配HPLCによる定量(方法2)
80%:20%のメタノール:水中のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物(3.55mg/mLの標準化抽出物20mL)を、Phenomenex Luna C−18カラム(250x4.6mm,5mmビーズサイズ)上に充填し、そして80%A(A=0.1%(v/v)リン酸;B=アセトニトリル)で35℃において無勾配溶離した。図15で分かるように、これら条件下において、二つのフラバン類(カテキン類およびエピカテキン類)は、約4.5〜5.5分に溶離し、フリーB環フラボノイド類(バカレインおよびバカリン)は、洗浄中の12〜13.5分に溶離した。フラバンピークの定量は、実施例8に記載のように行った。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、肝内の解糖および脂質生成の経路におけるフルクトースおよびグルコースの代謝を図式的に示す。
【図2】図2は、実施例1に記載のように、普通食、65%フルクトースを補足した食餌、または脂肪を補足した食餌を供給されたICR雌マウスにおける、フルクトース誘導性体重増加および脂肪誘導性体重増加への、毎日3週間投与されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用をグラフで示す。マウスを普通食で維持して、対照とした。二つの試験群には、65%フルクトースのみかまたは脂肪のみを与えた。この図は、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物が、フルクトースの消費に起因する過剰の体重増加を妨げるということを示している。
【図3】図3は、実施例3に記載のように、普通食(対照)、65%フルクトースを補足した食餌8週間、および65%グルコースを補足した食餌8週間を供給されたICRマウスにおける、フルクトース対グルコースの誘導性体重増加への、毎日投与されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用をグラフで示す。体重を週1回測定し、各々の群について平均をプロットした。平均値の標準誤差(SEM)を、各群について毎週示している。
【図4】図4は、異なった濃度のフリーB環フラボノイドおよびフラバン混合物と一緒のリポ多糖(LPS)に1時間暴露後の末梢血単球(PBMC)における、リポ多糖誘導性のTNFαレベルへの、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の(80:20)混合物の作用を示す。TNFαのレベルは、pg/mLで表されている。標準偏差を、各々のデータポイントについて示している。
【図5】図5は、異なった濃度のフリーB環フラボノイドおよびフラバン混合物と一緒のリポ多糖(LPS)に6時間暴露後の末梢血単球(PBMC)における、リポ多糖誘導性のIL−6レベルへの、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の(80:20)混合物の作用を示す。IL−6のレベルは、pg/mLで表されている。標準偏差を、各々のデータポイントについて示している。
【図6】図6は、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物によるNFκB遺伝子発現の相対的抑制度をグラフで示す。相対的遺伝子発現は、0〜100μg/mLの抽出物の存在下で測定した。
【図7】図7は、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物によるTNFα遺伝子発現の相対的抑制度をグラフで示す。相対的遺伝子発現は、0〜100μg/mLの抽出物の存在下で測定した。
【図8】図8は、フルクトース−1−リン酸のグリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸への変換を触媒するフルクトース−1−リン酸特異的アルドラーゼの機能への、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用をグラフで示す。この鍵酵素の用量特異的阻害を、10分間にわたって示す。
【図9】図9は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、250mg/日を90日間にわたって経口投与された13個体における体重減少への作用を示す。個体の体重(初期および最終)を、各々のヒト被験者について各測定値の上に示している。
【図10】図10は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、500mg/日を90日間にわたって経口投与された13個体における体重減少への作用を示す。個体の体重(初期および最終)を、各々のヒト被験者について各測定値の上に示している。
【図11】図11は、プラシーボを90日間にわたって経口投与された13個体における体重減少への作用を示す。個体の体重(初期および最終)を、各々のヒト被験者について各測定値の上に示している。
【図12】図12は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、250mg/日および500mg/日をプラシーボに対して30日および90日に経口投与された個体におけるボディマス指数(BMI)への作用を示す。SEMも、各々の群について示されている。
【図13】図13は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、250mg/日および500mg/日をプラシーボ(ベースライン)に対して0日、30日および90日に経口投与された個体における血中グルコースの変化への作用を示す。
【図14】図14は、実施例8に記載の条件下で行われたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)クロマトグラムを示す。記載の条件を用いると、フリーB環フラボノイド類は、11〜14分に溶離し、フラバン類は、3〜5分に溶離した。
【図15】図15は、実施例9に記載の条件下で行われたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物のHPLCクロマトグラムを示す。記載の条件を用いると、2種類のフラバン類(カテキン類およびエピカテキン類)が、4.5〜5.5分に溶離し、フリーB環フラボノイド類(バカレイン(bacalein)およびバカリン(bacalin))は、12〜13.5分に溶離した。実施例9に記載の条件下での分離は、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類のモル吸光係数の差に基づいている。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、概して、高炭水化物摂取に起因する疾患および状態を予防するおよび処置する場合に使用するために製剤化された物質の組成物の使用に関する。具体的には、本発明は、体重増加および肥満症、更には、高炭水化物摂取に起因する他の疾患および状態の予防および処置に使用するための二つの具体的なクラスの化合物、すなわち、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類のブレンドの混合物を含んで成る物質の新規な組成物に関する。それら疾患および状態には、高脂血症;高コレステロール;動脈硬化症;アテローム性動脈硬化症;症候群X(代謝症候群);高血圧症;および肥満症および糖尿病によって引き起こされる全身性炎症状態が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0002】
発明の背景
生体内のエネルギーは、「食品」からのATPの生産によって生じる。より具体的には、食物を消費した場合、それは分解されて、単純炭水化物および複合炭水化物、脂肪、タンパク質および消化しにくいセルロースのような繊維から主に成るその構成部分となる。次に、それら炭水化物、脂肪およびタンパク質は、更に分解されて、それらの基本単位、すなわち、炭水化物は単純な糖、タンパク質はアミノ酸、そして脂肪は脂肪酸およびグリセロールとなる。次に、生体は、これら基本単位を利用して物質を生じるが、それは、成長、維持およびエネルギー生産に必要である。炭水化物、タンパク質および脂肪は、いずれも代謝されて、ATPの形のエネルギーを与えることができるが、しかしながら、炭水化物は、解糖およびクレブス回路を経るATPの生成のために生体によって利用される主要物質である。
【0003】
炭水化物は、その分子サイズに依って、単純かまたは複合と分類される。単純炭水化物は、低分子、具体的には、グルコース、フルクトース、ガラクトースおよびスクロースなどの単糖類および二糖類である。複合炭水化物または多糖類は、単純炭水化物の長鎖を含んで成る。最も重要な多糖類は、デンプン、グリコーゲンおよびセルロースであるが、それらは全て、グルコース分子が連結している方法だけが異なったグルコースのポリマーである。グリコーゲンは、動物のエネルギー貯蔵所であり、デンプンは、植物のエネルギー貯蔵所であり、そしてセルロースは、植物の主要構造成分である。デンプンの大部分の形態は、消化されやすいが、ヒトは、セルロースを消化するのに必要な酵素を欠いているので、それが、ヒトにとっての食物繊維部分となっている。
【0004】
ヒトによって消費される炭水化物の半分以上は、伝統的に、主食および穀類などのデンプン源から来ている。デンプンは、アミロースおよびアミロペクチンの混合物である。アミロースは、α−1,4結合によって共有結合したグルコース分子から成る直鎖多糖である。アミロペクチンは、約30個のα−1,4結合につき1個のα−1,6結合で共有結合したグルコース分子から成る分岐状多糖である。デンプンは、唾液腺および膵臓によって分泌されるα−アミラーゼによって速やかに加水分解される。加水分解時に、アミロースは、マルトース(α−1,4結合で2個のグルコース分子)およびマルトトリオース(α−1,4結合で3個のグルコース分子)のような低分子量直鎖オリゴ糖類へと分解される。アミロペクチンは、低分子量直鎖オリゴ糖類へと、更には、分岐状オリゴ糖α−デキストリン(α−1,4結合およびα−1,6結合双方によって連結した数個のグルコース分子)へと分解される。これら糖類は、酵素マルターゼおよびβ−アミラーゼによって更に分解されて、グルコースモノマーとなる。
【0005】
ヒトの食事で消費される他の炭水化物は、単糖のグルコースおよびフルクトース並びに二糖のスクロースのような単純炭水化物である。グルコースは、大部分の天然食物中に低レベルで存在しているが、フルクトースは、主として、加工食品、甘味料から、そして僅かながら、果実および若干の野菜から得られる。フルクトースは、デキストロースの酵素的異性化を経る合成によって生産される。(Bhosale et al. (1996) Microbiol. Rev. 60:280-300)。もう一つの周知の甘味料であるスクロースは、グルコースおよびフルクトースを、グルコースのC1とフルクトースのC2との間のα−1,2結合で含んで成る。スクロースは、腸粘膜中の酵素スクラーゼによって加水分解されて、グルコースおよびフルクトースを与える。(Dahlqvist (1972) Acta Med. Scand. Suppl. 542:13-18)。
【0006】
インスリンは、膵臓のB細胞によって分泌されるホルモンであり、生体がエネルギーのためにグルコースを利用することを可能にする。そのホルモンインスリンの重要な代謝作用の一つは、脂肪細胞および筋細胞中へのグルコース取込みを促進することによって血中糖レベルを調節することである。簡単にいうと、グルコースが細胞に入った場合、インスリンによって刺激され、そこで、GLUT4グルコース輸送体タンパク質のアップレギュレーションが起こり、それが、細胞の、具体的には、筋細胞および脂肪細胞の表面上に蓄積する。(Furtado et al. (2002) Biochem. Cell. Biol. 80:569-578)。次に、GLUT4の上昇した細胞表面レベルは、循環からの増大したグルコース取込み、および脂肪組織および筋組織中の貯蔵を容易にする。図1に関して、取込み時に、グルコースは、グルコキナーゼとしても知られる酵素ヘキソキナーゼDによって、グルコース6−リン酸へと直ちに変換されるが、その酵素は、ホスホリル基をATPからグルコースのC6に付加することによって、ADPおよびグルコース6−リン酸を生じる。次に、グルコース6−リン酸は、フルクトース6−リン酸へと変換され、それは、ホスホリル基をATPの第二分子からC1に付加するホスホフルクトキナーゼの作用によって、フルクトース1,6−二リン酸へと変換される。次に、酵素アルドラーゼB(アルドラーゼ)は、フルクトース1,6−二リン酸を、ジヒドロキシアセトンリン酸およびグリセルアルデヒド3−リン酸へと変換するが、ピルビン酸への最終変換に適する物質である後者は、次に、クレブス回路への進入時に、アセチルCoAへと変換される。追加のグリセルアルデヒド3−リン酸は、ジヒドロキシアセトンリン酸から、酵素トリオースリン酸イソメラーゼの作用によって生産される。したがって、解糖過程中に、2ATPが最初に使われるが、その過程の最後に2ATPが形成され、更には、グルコース1分子につき1分子のNADHが形成され、最終的には、それが変換されて、3ATP分子の純生産を与える。
【0007】
血液中に存在するグルコースの量が、現時点のエネルギー要求を超える場合、それは、肝および筋肉中にグリコーゲンとして貯蔵されうるし、またはそれは、主に肝中でトリグリセリドへと変換され、そして貯蔵用に脂肪組織へと輸送されうる。脂質生成には、脂肪酸合成およびその後のトリグリセリド合成の過程が含まれる。逆に、血液中のグルコースレベルが低い状態になった場合、その過程は逆行し、そしてアセチルCo−Aおよびピルビン酸からグルコースが生じる。糖新生とは、アセチルCoAおよびピルビン酸からグルコースを生じる過程を意味し、本質的には、解糖の逆である。糖新生も、脂質生成のように、主に肝中で起こり、グルコースを生成し且つ生体内の細胞による利用のために血流中に分泌する手段である。
【0008】
ここ20年にわたって加工食品に添加されている主な甘味料および保存剤およびスクロースの成分であるフルクトースは(Hanover and White (1993) Am. J. Clin. Nutr. 58(Supp.):724S-732S; Park and Yeltley (1993) Am. J. Clin. Nutr. 58(Supp.):737S-747S)、生体による主要エネルギー源として用いられてもいるが、それは、異なった機構を経て解糖経路に入る。フルクトースは、グルコースとは異なり、インスリンへの要求を免れ、解糖経路中に直接的に分岐進入する。(Elliott et al. (2002) Am. J. Clin. Nutr. 76:911-922)。フルクトースが血流に入るやいなや、その大部分(約70%)は、門脈を介して肝によって吸収される。(Toppings and Mayes (1971) Nutr. Metab. 13:331-338; Mayes (1993) Am. J. Clin. Nutr. 58(Supp.):754S-765S)。フルクトースは、主に肝中で、フルクトース1−リン酸経路を経て処理される。図1に関して、この経路の第一段階は、ホスホリル基をATPからフルクトースのC1へ付加することによって、ADPおよびフルクトース1−リン酸を生じるフルクトキナーゼの作用による、フルクトースのフルクトース1−リン酸へのリン酸化である。(Hers (1952) Biochim. Biophys. Acta 8:416-423)。次に、フルクトース−1−リン酸は、グリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸へと変換される。このアルドール開裂は、特異的フルクトース1−リン酸アルドラーゼによって触媒される。次に、そのグリセルアルデヒドは、解糖経路中に入るためのグリセルアルデヒド3−リン酸へと変換され、第二のATP分子の導入を必要とする。更に、ジヒドロキシアセトンリン酸は、解糖経路中に入るために、トリオースリン酸イソメラーゼの作用によってグリセルアルデヒド3−リン酸へと変換される。この過程は、2ATP分子を必要とする。肝によるフルクトースの選択的な急速取込みおよび利用は、大部分の他の組織(すなわち、脂肪および筋肉)中に不足している酵素フルクトキナーゼが肝細胞中に存在するためである。(Van den Berghe (1986) in: Metabolic Effects of Dietary Carbohydrates. Progress in Biochemical Pharmacology (Mcdonald & Vrana, eds), 21:1-32, Karger, Basel, Switzerland; Hallfrisch (1987) in: Metabolic Effects of Dietary Fructose (Reiser & Hallfrisch, eds), pp.25-40, CRC Press, Boca Raton, FL)。
【0009】
或いは、フルクトースは、酵素ヘキソキナーゼによってフルクトース6−リン酸へとリン酸化されうるが、それは、主に、腎臓、脂肪組織および骨格筋で起こる。摂取されたフルクトースの約20%は、腎臓で直ちに処理されるが、約10%は、脂肪組織および骨格筋によって速やかに吸収されると考えられる。(Froesch and Ginsberg (1962) J. Biol. Chem. 237:3317-3324; Bergstrom and Hultman (1967) Acta Med. Scand. 182:93-107)。腎臓、脂肪組織および骨格筋中のフルクトースの大部分は、フルクトース6−リン酸を経て代謝される。結果として、いずれの時点でも、血流中を循環しているフルクトースは、きわめて低濃度で存在する。(Macdonald and Turner (1968) Lancet 1:841-843; Crossley and Macdonald (1970) Nutr. Metab. 12:171-178)。腸のフルクトース取込みは、グルコースまたはスクロースの場合より少ないが、しかしながら、グルコースは、腸粘膜によるフルクトースの強い吸収応答を刺激する。(Truswell et al. (1988) Am. J. Clin. Nutr. 48:1424-1430)。高フルクトースレベルは、循環性グルコースレベルの観測可能な増加を全く引き起こさないと考えられる。(Schwarz et al., 1992; Tounian et al. (1994) Am. J. Physiol. 267:E710)。
【0010】
脂肪消費に起因するカロリーは、過去30年にわたって着実に減少しているが(Kennedy et al. (1999) J. Am. Coll. Nutr. 18:207-212)、食物デンプンまたは複合炭水化物摂取量は、むしろ一定の状態のままとなっている。しかしながら、これら傾向に反して、食品・飲料産業による添加糖の使用は、著しく増加している。家庭生活外の源より得られる糖質によるカロリーの増加量と相まって、現代の食産業におけるカロリーの大部分は、糖質および複合炭水化物源から来ている。(Krebs-Smith (2001) J. Nutr. 131:527S-535S; Nielsen et al. (2002) Prev. Med. 35:107-113)。
【0011】
過去30年にわたって、サトウキビおよびサトウダイコン甘味料の使用も、約40%降下している。(Kanter (1998) "A dietary assessment of the US Food Supply: Comparing per capita food consumption with food guide pyramid serving recommendations," from the Food and Rural Economics Division, Economics Research Service, U.S. Department of Agriculture, Agricultural Economic Report no. 772)。或いは、高フルクトーストウモロコシ甘味料の使用は、約300%増加している。西側世界における主要甘味料としてのスクロースからフルクトースへの移行の主な理由は、経済のためと考えられる。フルクトースは、スクロースおよびグルコース双方よりも甘く、製造するのに容易且つ安価でもある。フルクトーストウモロコシ甘味料は、米国において過去20年にわたって主要食品添加物となっており、清涼飲料および果実飲料が、添加フルクトースの43〜44%となっている。(Kanter (1998) "A dietary assessment of the US Food Supply: Comparing per capita food consumption with food guide pyramid serving recommendations," from the Food and Rural Economics Division, Economics Research Service, U.S. Department of Agriculture, Agricultural Economic Report no. 772)。総糖質消費量は、もっぱら、加工食品への高フルクトーストウモロコシシロップの添加のために、なお上昇している。(Krebs-Smith (2001) J. Nutr. 131:527S-535S)。
【0012】
添加糖の、具体的には、フルクトースの健康上の作用は、その使用が加工食品において遍在的になる以前には、実感されていなかった。ここ20年にわたるフルクトース使用量は、肥満症および糖尿病の劇的増加と一致している。(Flegal et al. (1998) Int. J. Obes. 22:39-47)。下に詳細に論じられるように、現在、研究は、増加した糖質、特に、フルクトース消費の慢性的長期作用は、炭水化物利用、プリン代謝、早老および脂質代謝に関してきわめて有害でありうるということを示している。更に、結果としての肥満症は、生体内において、腫瘍壊死因子(TNFα)、インターロイキン−6(IL−6)およびC反応性タンパク質(CRP)のような前炎症性サイトカインの生産を伴う持続した炎症作用を生じる。
【0013】
TNFαおよびIL−6の生産は、転写因子NFκBによって調節される。NFκBは、全身性炎症の調節およびその糖質誘導性肥満症への関係、およびその後の疾患の発症に重要な役割を果たしている(Lebovitz (2003) Int. J. Clin. Pract. Suppl. 134:18-27)。NFκBの活性化は、増殖因子、リンホカイン、サイトカイン、紫外線、薬理学的物質および食事を含めたいくつかの生物学的過程によって活性化されるストレス応答の一部分である。(Spencer et al. (1997) Int. Immunol. 9:1581-1588)。不活性形のNFκBは、抑制タンパク質のIκBファミリーによって結合した状態で、主に細胞質中に含有されている。増加したフルクトース摂取のような食事変化は、NFκBを活性化させ且つIκBのリン酸化を引き起こすことがあり、したがって、NFκBを放出して、核へのその分子の輸送が可能になる。核内では、NFκBは、いろいろな遺伝子の共通配列(5’GGGACTTTCC−3’)と結合して、それらの転写を活性化する。糖質誘導性肥満症によって引き起こされる全身性炎症の場合、これは、TNFαおよびIL−6の増加した発現をもたらす。次に、これら前炎症性タンパク質のこの増加は、CRPの増加を引き起こす。
【0014】
エネルギー源としてのフルクトースの継続した高利用は、炭水化物代謝を破壊して、多数の組織によるデンプンおよびグルコースの利用を減少させるということが報告された。(Bender and Thadini (1970) Nutr. Metab. 12:22-39; Tuovinen and Bender (1974) Nutr. Metab. 19:161-172)。具体的には、フルクトースの継続した消費は、肝内において、ヘキソキナーゼのダウンレギュレーションおよびグルコース−6−ホスファターゼのアップレギュレーションを引き起こす(図1;Freedland and Harper (1957) J. Biol. Chem. 228:743-751 を参照されたい)。この適応応答は、グルコースの肝グリコーゲンへの変換を減少させる。(Vrana et al. (1978) Nutr. Metab. 22:262-268; Vrana et al. (1978) Nutr. Metab. 22:313-320)。膵臓では、フルクトースは、β細胞中の低濃度のフルクトース輸送体GLUT5タンパク質のために、インスリン生産をアップレギュレーションしない(Grant et al. (1980) Diabetologia 19:114-117; Curry (1989) Pancreas 4:2-9; Sato et al. (1996) Tissue Cell 28:637-643)。これは、経時の血中グルコース上昇と、II型糖尿病の主因であるインスリン不感をもたらす。肝は、フルクトースを利用して、適応酵素応答を経てグリコーゲンを生じることができるが、グルコースよりはるかに低いレベルで、グリコーゲンへと変換することができる。(Freedland and Harper (1957) J. Biol. Chem. 228:743-751)。更に、スクロースまたはフルクトースの増加した且つ慢性的消費は、脂肪酸を合成する肝の能力を増加させ、それによって、肝グリコーゲン貯蔵を減少させるが、それは、グルコースが、解糖経路を介して処理されることができないからである。(Vrana et al. (1978) Metabolism 27:885-888)。この食事は、更に、エネルギー生産のためにグルコースを利用する脂肪および筋組織の能力を与える(Bender and Thadini (1970) Nutr. Metab. 12:22-39; Kelsay et al. (1977) Am. J. Clin. Nutr. 30:2016-2022)。
【0015】
フルクトースがエネルギー源として用いられる場合、解糖における中間体のレベルは上昇するが、これら中間体を生産するコストはきわめて高い。(Hers (1952) Biochim. Biophys. Acta 8:416-423)。上記のように、フルクトースが消費される場合、その大部分は、肝に入り、そしてフルクトース−1−リン酸へと変換される。したがって、多量のフルクトースを、本質的にグルコース代用として消費している個体は、ホスフェートイオンを、フルクトキナーゼの作用を経たフルクトース−1−リン酸の形で、その他の部分から引き離している(図1;Woods et al. (1970) Biochem. J. 119:501-510)。予備のホスフェートイオンは存在しないので、ADPの酸化的リン酸化は阻害されて、肝内のATPの不足を引き起こす。トリオキナーゼによるグリセルアルデヒドのグリセルアルデヒド−3−リン酸への変換は、更に、解糖のための基質を与えるホスフェートプールを激減させる。ホスフェートプールが充分に少なくなった場合、酵素AMPデアミナーゼおよび5’−ヌクレオチダーゼによって代謝されるAMPが多量に生産される。(Mayes (1993) Am. J. Clin. Nutr. 58(Suppl): 754S-765S)。そのAMPの代謝は、イノシンのレベルの上昇を引き起こし、最終的には、それが、多量の尿酸の形成および高尿酸血症の可能性をもたらす。
【0016】
高尿酸血症は、遺伝性フルクトース不耐性を有する正常者並びに小児にフルクトースを投与した研究で初めて認められた。(Perheentup and Raivio (1967) Lancet 2:528-31)。高尿酸血症の発病率の増加は、フルクトースを、糖尿病患者および痛風に罹患している患者双方に非経口投与した場合にも検出された。(Hallfrisch (1987) in: Metabolic Effects of Dietary Fructose (Reiser & Hallfrisch, eds), pp.25-40, CRC Press, Boca Raton, FL)。健康な被験者が、エネルギー要求の約18%をフルクトースとして消費した場合でさえも、多くが、高尿酸血症の徴候を示し、平均的な個体は、体内の減少するホスフェートイオンおよびATPの濃度に感受性であるということが示唆された。(Hallfrisch (1987) in: Metabolic Effects of Dietary Fructose (Reiser & Hallfrisch, eds), pp.25-40, CRC Press, Boca Raton, FL)。
【0017】
若年男性(14〜18歳)は、特に、高尿酸血症の危険が最もありうる。1977年〜1978年の U.S. Department of Agriculture Nationwide Food Consumption Survey によれば、この年齢群の男性は、約100g/日のフルクトースを、主にソーダから消費していた。当時以後、フルクトースも、特に米国において、一般的な補助食品中に導入されてきた。僅か2缶のソーダだけで、約50gのフルクトースを含有する。フルクトースの平均的消費量は、ここ20年にわたり、若年男性について約64g/日〜150g/日程度へと劇的に増加していると考えられる。(Kanter (1998) "A dietary assessment of the US Food Supply: Comparing per capita food consumption with food guide pyramid serving recommendations," from the Food and Rural Economics Division, Economics Research Service, U.S. Department of Agriculture, Agricultural Economic Report no. 772; Elliott et al. (2002) Am. J. Clin. Nutr. 76:911-922)。したがって、全世代の男性は、現在、体内のホスフェートおよびATPの利用可能なプールの低減を経験している。高尿酸血症の危険増加に加えて、これは、体内の多数の過程に有意の作用を有し、そして実際に、タンパク質および核酸の合成阻害を引き起こして、小児の不充分な発育、加齢時の疾患発病率の増加、および全般的な早老をもたらすことがありうる。(Maenpaa et al. (1968) Science 161:1253-1254; Bode et al. (1973) Eur. J. Clin. Invest. 3:436-441)。
【0018】
多量のスクロースおよび/またはフルクトースの消費に関する一つの具体的な関心事は、フルクトースが、核酸、タンパク質およびリポタンパク質のような巨大分子と糖とのグリケーションまたは非酵素的架橋(「Maillard Reaction」)を促進するということである。グリケーションは、Monnier によって初めて報告されたが、彼は、体内の加齢過程が、その Maillard 反応に起因しているかもしれないということを示唆した。(Monnier (1989) "Toward a Malliear reaction theory of aging. in: the Malliard Reaction in Aging, Diabetes, and Nutrition," (Baynes, JW & Monnier VM, eds.), pp.1-22, Alan R.Liss, New York, NY)。Maillard 反応では、グルコースおよびフルクトースなどの糖は、最初に、タンパク質または核酸のN末端アミノ基と反応して、反応活性なシッフ塩基を形成後、それが転移して、より安定な化合物を形成する。時間経過で、グリケーションしたタンパク質/アミノ酸に結合した糖部分は、化学的に修飾されて、Advanced Glycation Endproducts(AGE)と称される分子構造になる。AGEは、それらが結合しているタンパク質の適切な機能化を妨げることがありうる。更に、反応性酸素種(ROS)の存在下において、AGEは、隣接するタンパク質鎖と共有結合によって架橋することがありうる。したがって、タンパク質は、文字通り、他の巨大分子に共有結合形成を経て共役して、生体によってその後一掃されるに違いない大きい複合体を形成する。
【0019】
理論上は、アルドースもケトースも、Maillard 反応に関与しうるが(Yaylayan and Huyghues (1994) Crit. Rev. Food Sci. 34:321-369)、しかしながら、グルコースは、フルクトースよりはるかに反応性が小さいということが判明した(Bunn and Higgins (1981) Science 213:222-4; McPherson et al. (1988) Biochemistry 27: 1901-1907)。遊離アミノ基を有する分子は全て、in vivo において Malliard 反応を行うことができる。通常は、しかしながら、リシンのε−アミノ基が、グリケーションの原理反応物である。アルギニン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン、セリンおよびトレオニンなどの他のアミノ酸も、タンパク質と他の巨大分子との間の Malliard 反応に関与していた(Monnier (1989) "Toward a Malliear reaction theory of aging. in: the Malliard Reaction in Aging, Diabetes, and Nutrition," (Baynes, JW & Monnier VM, eds.), pp.1-22, Alan R. Liss, New York, NY)。
【0020】
糖尿病患者は、その食事にグルコースの代用品としてフルクトースが用いられた場合、グリケーションの作用に特に感受性である。上記のように、フルクトースは、概して、血液中に低濃度で存在しているが、糖尿病患者の場合、グルコースに対して等濃度またはそれより大の濃度のフルクトースが、角膜レンズおよび神経で見出される。(Jedziniak et al. (1981) Investig. Ophthalmol. Vis. Sci. 20:314-326; Mayhew et al. (1983) Diabetologia 24:13-15)。この高濃度のフルクトースは、レンズ中のタンパク質間にグリケーションを生じて、失明を引き起こす。(McPherson et al. (1988) Biochemistry 27: 1901-1907)。ここ20年にわたるフルクトース消費量の増加で(Park and Yeltley (1993) Am. J. Clin. Nutr. 58(supp):737S-747S)、失明が、糖尿病に関連した最も優勢な微小血管合併症であるということは、驚くべきことではない。(Jochmann and Hammes (2002) Z. Arztl. Forbild. Qualitatssich. 96:167-174)。
【0021】
高フルクトース摂取量に関連した全ての問題の内で、脂質蓄積、脂質生成および体重増加へのフルクトースの作用に匹敵するものはない。発展途上国では、心臓血管疾患の脂肪およびコレステロールの危険に関する極端な認識、糖尿病患者用の代用甘味料としてのフルクトースの承認、およびフルクトース消費の危険のについての認識不足のために、低脂肪高炭水化物食が優勢である。(Gerrits and Tsalikian (1993) Am. J. Clin. Nutr. 58(Spp.):796S-799S; Sonko et al. (1993) Acta Physiol. Scand. 147:99-108)。これは、下に論じられる理由のために、ここ30年にわたって、体重増加および肥満症の増加と相関したフルクトース消費量のおびただしい増加をもたらしている。
【0022】
単純な糖、特に、フルクトースが、現時点のエネルギー要求を超える程度に摂取された場合、脂質生成が起こる。(Kazumi et al. (1997) Endocrinol. J. 44(2):239-245; Noguchi and Tanaka (1995) Obes. Res. 3(Supp.2):195S-198S)。上記のように、脂質生成には、脂肪酸合成およびその後のトリグリセリド合成の過程が含まれる。多糖類を貯蔵する高等動物の限られた能力のゆえに、グルコースおよびフルクトースなどの単純糖類が、現時点のエネルギー要求および貯蔵能力を超えて摂取された場合、それらは、トリアシルグリセロールへと変換され、脂肪または脂肪組織中に貯蔵される。本明細書中に記載の組成物が、脂質生成に如何に影響を及ぼすかを理解するためには、最初に、体内の脂質形成経路を理解すべきである。図1は、アシルグリセロール、アセチル−CoA、そして最後には、超低密度脂質(VLDL)の形成におけるフルクトースとグルコースとの間の相互作用を示している。脂肪が炭水化物から生産されるには、二つの主な機構が存在する。第一に、過剰のグルコースは、アセチルCoAの蓄積を介する脂肪生産および de novo 脂質生成に対して分岐する。図1に関して、過剰のアセチルCoAは、アセチルCoAカルボキシラーゼによってマロニルCoAへと変換後、それが、アシルCoAへと変換される。アシルCoAは、エステル化反応を介して脂質生成に入った後、酵素グリセロール−2−リン酸アシルトランスフェラーゼの作用により、アシルグリセロールへと変換される。次に、コレステロールとの組合せのアシルグリセロールは、超低密度脂質(VLDL)へと変換される。インスリンは、de novo 脂質生成を駆動するこの過程に正の作用を有する。(Park et al. (1997) J. Lipid Res. 38:2529-2536)。
【0023】
第二に、過剰のフルクトースは、エネルギー要求を超えて、ジヒドロキシアセトンリン酸の蓄積を介する脂肪生産に対して分岐し、それが、グリセロール−3−リン酸へと変換される(図1を参照されたい)。次に、グリセロール−3−リン酸は、グリセロール−3−リン酸アシルトランスフェラーゼによりエステル化されて、アシルグリセロールを生じ、それが、コレステロールと一緒に、VLDLを生じる。解糖経路を介してフルクトースを処理する高エネルギーコストのために、VLDL生産を経る脂質生成は、生体にとってエネルギー節約である。グルコースからのグリコーゲン沈着(2.5mol ATP/moleグルコース)も、フルクトースの場合(3.5mol ATP/moleフルクトース)より有効である。(Tapp and Jequier (1993) Am. J. Clin. Nutr. 58:766S)。しかしながら、上述のように、フルクトース代謝は、解糖およびグリコーゲン沈着について負の作用を有し、不可欠な解糖酵素の遺伝子およびタンパク質発現を抑制し、肝からホスフェートを除去することによってATP生産を減少させ、そして最後に、フルクトース誘導性肥満症の全身代謝生産量を減少させる。
【0024】
いくつかの研究は、フルクトースが、グルコースより脂質生成性であるということを示した。多量のフルクトースを継続して供給されたラットは、血液中の増加したVLDLトリグリセリド濃度を示した。(Herman et al. (1970) Fed. Proc. 29:1302-1307; Steiner et al. (1984) Am. J. Physiol. 246:E187-E192; Kazumi et al. (1986) Am. J. Physiol. 250:E325-E330)。フルクトースが摂取された場合、高レベルの血漿トリグリセリドの即時形成、更には、グリセロールおよび脂肪酸の形成速度の増加があった。(Reiser (1987) "Lipogenesis and blood lipids," in: Metabolic effects of dietary fructose, (Reiser S & Hallfrisch J, eds.), pp.83-111, CRC Press, Boca Raton, FL; Hallfrisch (1990) FASEB J. 4:2652-2660)。フルクトースの慢性的消費も、脂肪酸シンターゼ(Bruckdorfer et al. (1972) Biochem. J. 129:439-446)およびグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(Borrebach et al. (1976) Circ. Res. 38:1-21; Declerecq et al. (1982) Biochem. J. 204:247-256)のような、脂質生成に関与する酵素またはmRNAのレベルを増加させた。逆に、慢性的フルクトース食は、ATPクエン酸リアーゼ(Moser and Berdamier (1974) J. Nutr. 104:687-94; Shafir et al. (1975) Isr. J. Med. Sci. 11:1150-1154; Winder et al. (1975) Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 148:1150-1154)、アセチル−CoAカルボキシラーゼ(Bruckdorfer et al. (1972) Biochem. J. 129:439-446; Winder et al. (1975) Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 148:1150-1154; Waterman et al. (1975) Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 150:220-225)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、NADPリンゴ酸デヒドロゲナーゼおよびピルビン酸キナーゼを含めた多数の不可欠な解糖酵素の活性を低下させた。しかしながら、デンプンの摂取は、これら酵素の活性を増大させた。(Vrana and Fabry (1983) World Res. Nutr. Diet 42:56-101)。特に、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼの誘導は、ジヒドロキシアセトンリン酸をグリセロール−3−リン酸へと変換することにより、肝中のVLDL含有量の増加をもたらす(図1を参照されたい)。
【0025】
脂質生成は、慢性的フルクトース食(Christophe and Mayer (1968) Am. J. Physiol. 197:55-59)またはスクロース食(Fabry et al. (1968) Nutr. Dieta 10:81-90; Tepperman and Tepperman (1970) Fed. Proc. 29:1284-1293)を供給されたラットの肝で増加することが分かった。高フルクトース食を供給されたラットは、標準的なデンプンまたはグルコース補充食の被験動物と比較して、増加した脂質含有量および器官重量の大きい増加も示した。(Wapnir and Devas (1995) Am. J. Clin. Nutr. 61:105-110)。腎臓は、高フルクトース食の被験動物において僅かながら影響を受けた。心臓および精巣の重量は、影響を受けなかった。高フルクトース食への高脂肪の添加は、これら研究での全肝重量を最小限に大きくし、フルクトース誘導性脂質生成が、脂肪が生産される主要経路であるということを示唆した。(Wapnir and Devas (1995) Am. J. Clin. Nutr. 61:105-110)。
【0026】
これまでに行われた研究の大部分は、食餌を厳密に管理することができるラットで行われた。しかしながら、増加したフルクトース消費量がヒトに労力を課している証拠が示されている。いくつかの研究は、フルクトースが、男性および女性の体重増加に一定の作用を有するということを示した。例えば、4人の糖尿病患者を含む14人の中年男性の食事に、追加の50〜60g/日のフルクトースまたは高フルクトーストウモロコシシロップの甘味料入りの2缶のソーダのほぼ同等物を補充した場合、彼らは全て正味体重増加を示した。(Anderson et al. (1989) Diabetes Care 12:337-344)。人工甘味料かまたはスクロース(50%フルクトース)をエネルギー要求の28%として消費している過体重個体を比較した別の研究では、スクロース補助食品を摂取した個体が、体重、脂肪質量および血圧の増加を10週間にわたって示した。(Atrup et al. (2002) Am. J. Clin. Nutr. 75(Suppl):405S(abstract))。更に、Raben et al. は、デンプンを与えられた個体が、体重の変化を示さなかったスクロース(50%フルクトース)を与えられた個体とは対照的に、体質量を14日間にわたって減少させたことを示した。(Raben et al. (1997) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 21:846-859)。これら知見は、細身および肥満双方の被験者においてフルクトース誘導性脂質生成の増加を示している、Schwarz et al. によって行われた研究と全て一致する。(Schwarz et al. (1995) J. Clin. Invest. 96:2735-2743)。
【0027】
若干の前炎症性マーカーは、体重増加および肥満症と関連している。これらの中には、TNFα、IL−6およびCRPがある。TNFαは、脂肪細胞によって発現され且つ分泌され、肥満症およびBMIとの直接的相間を示すが、インスリン不感および高インスリン血症とには必ずしも示さない(Hotamisligil et al. (1993) Science 259:87-91; Ronnemaa et al. (2000) J. Clin. Endocrinol. Metab. 85:2728-2732; Berberoglu (2001) J. Pediatr. Endocrinol. Metab. 14:543-547)。
【0028】
ボディマス指数(BMI)は、身長および体重に基づく体脂肪の尺度である。BMIは、全肥満症の尺度として用いられ、(心臓疾患、癌または糖尿病のような)慢性疾患を発症する可能性に関係した多数の因子の一つである。慢性疾患を発症する危険を評価する場合の他の重要な因子には、食事、身体的活動、ウェスト周囲寸法、血圧、血糖レベル、コレステロールレベルおよび家族病歴が含まれる。BMIは、次のように計算される。
【0029】
【数1】
【0030】
個体は、それらのBMIが25〜29.9kg/m2である場合に過体重とみなされ、BMI≧30kg/m2の場合に肥満とみなされる。BMIが<25kg/m2である個体は、正常体重であるとみなされる。
【0031】
体内脂肪過多には、皮下、内臓および器官の3タイプがある。(Cinti (2000) Eat Weight Disord. 5:132-142)。肝(器官)脂肪過多は、フルクトース消費量に大いに関連していることが分かった(Wapnir and Devas (1995) Am. J. Clin. Nutr. 61:105-110)。内臓脂肪過多は、もう一方において、種々の脂肪源およびフルクトース/スクロースを含めた炭水化物源の摂取量に関連している。(Tarui et al. (1991) Int. J. Obes. 2(Suppl):1-8; Keno et al. (1991) Int. J. Obes. 15:205-211)。内臓脂肪過多の量が多いほど、生体で生じるTNFαの量は多い。(Tsigos et al. (1999) Metabolism 48:1332-5; Vgontzas et al. (2000) J. Clin. Endocrinol. Metab. 85:1151-1158)。高スクロース/フルクトース食は、内臓脂肪過多を増加させることが判明した。
【0032】
TNFαは、脂肪組織からのIL−6の分泌を誘導するが、それは、グルココルチコイド誘導性脂質分解を引き起こし、それによって、de novo 脂肪合成のための追加のプールとして役立ちうる増加した濃度の循環性非エステル化脂肪酸を放出する。(Patton et al. (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8313-8317; Fried et al. (1998) Endocrinol. Metab. 83:847-850)。高フルクトース供給されたLDL受容体欠失マウスの場合、アテローム性動脈硬化症病変は、なお一層大きい病変形成を誘導するタンパク質の遺伝子発現を促進する転写因子を誘導した高レベルのTNFαを含有していた(Goetze et al. (2001) Atherosclerosis 159:93-101)。
【0033】
急性期は、IL−6が、CRPおよびフィブリノーゲンのような特異的炎症性タンパク質の遺伝子およびタンパク質発現を誘導する傷害または炎症の状態である(Heinrich et al. (1990) Biochem. J. 265:621-636)。急性期にこの機能を果たすサイトカインは他にない。増加したBMIと血清フィブリノーゲン濃度との間には、強い相関があることが知られていたが(Krobot et al. (1991) Arterioscler. Thromb. 12:780-788)、腹部脂肪細胞が、IL−6を生産し且つ分泌するということが発見されるまで、IL−6との関連は不明であった(Mohamed-Ali et al. (1997) J. Clin. Endocrinol. Metab. 82:4196-4200)。したがって、体内のIL−6レベルと、BMIと内臓脂肪過多との間には、直接的な相間がある。
【0034】
IL−6生産の第二の作用は、上記の場合よりなお大きい損傷でありうる。内蔵脂肪細胞からのIL−6分泌は、主に門脈によって吸収されるので、主に肝細胞に作用する。TNFαのように、IL−6も、肝内の脂質分解を促すが、それは、特に、フィブリノーゲン遺伝子発現を増加させて、血液中の高濃度のフィブロジェニンおよび増加した心臓血管疾患発病率をもたらす。(McCarty (1999) Medical Hypotheses 52:465-477)。
【0035】
その遺伝子発現活性に関連しているのは、循環中の増加するCRPレベルへのIL−6の作用である。IL−6は、肝のCRP合成を調節している(Heinrich et al. (1990) Biochem. J. 265:621-636; Bataille and Klein (1992) Arthritis Rheum. 35:982-983)。増加したBMIとTNFα濃度とIL−6濃度との間には相間があるので、研究者らは、CRPに関する相間を探求していた。CRP血清濃度とBMIとの間に直接的な相間があるということが発見された。(Visser et al. (1999) JAMA 282:2131-2135)。事実、BMIとCRP濃度との間には、ほぼ直線的な関係がある。
【0036】
TNFαおよびIL−6と比較すると、内臓脂肪過多とCRP濃度との間には、なお一層強い相関が見出され(Forouhi et al. (2001) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 25:1327-1331)、その結果大いに、それは、急性期心臓血管疾患の際の上腕動脈内皮機能の主な予兆でありうる(Brooks et al. (2001) Am. J. Cardiol. 88:1264-9)。過剰のフルクトースおよびスクロース摂取量は、高レベルのIL−6を誘導後、それがCRPの発現を誘導する増加したTNFα分泌のために、確実にCRPの増加をもたらすと考えられる。肝内のフルクトース誘導性脂質生成のアップレギュレーションによって最初に引き起こされるこのサイトカインカスケードは、肥満症、心臓血管疾患、糖尿病並びに多数の他の疾患における主要タンパク質決定因子に関与している。(McCarty (1999) Medical Hypotheses 52:465-477)。フルクトースおよび糖質誘導性体重増加の減少は、これら炎症に基づく疾患状態を予防する場合にきわめて重要である。
【0037】
「デンプン遮断薬」は、α−アミラーゼの作用を部分的に抑制する植物由来の化合物であり、したがって、消化管を通過するデンプンをグルコース源として十分に利用させない。具体的には、インゲンマメより単離された抽出物であるファセオラミン(phaseolamin)は、α−アミラーゼの阻害によって炭水化物分解を阻止するのに有効であることが判明した。(Marshall and Lauda (1975) J. Biol. Chem. 250:8030-8037)。種々の植物源より単離される多数の「デンプン遮断薬」は、現在、商業的に入手可能である。糖質誘導性体重増加を行う植物および植物抽出物についての参考文献の広範囲にわたる研究は、しかしながら、一つの結果を生じただけであった。伝統的な漢方薬である ボフツショサン(Bofu-tsusho-san)(BOF)は、肝内のトリグリセリド合成を抑制し、脂肪細胞中の脂質分解を促進した。(Morimoto et al. (2001) Nippon Yakurigaku Zasshi 117:77-86)。しかしながら、この抽出物の分析は、それが、脂肪細胞中のホスホジエステラーゼ(PDE)活性を抑制するエフェドリンおよびd−プソイドエフェドリンを含有していたことを示し、したがって、体重増加の抑制へのその作用を説明した。(Yoshida et al. (1995) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 19:717-722)。体重減少に用いられる別の周知の植物抽出物であるム・ファン(Mu Huang)も、エフェドリン様物質であるエフェドラ(ephedra)を含有する。(Boozer et al. (2002) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 26:593-604; Boozer et al. (2001) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 25:16-324)。いくつかの短期臨床研究は、Mu Huang が、カフェインおよびガラナとの組合せで安全であることを示したが、最近の報告は、エフェドラ含有体重減少標品が、重症の心臓副作用を有するということを示唆した。
【0038】
本明細書中に記載の物質の組成物は、デンプン分解を行うα−アミラーゼ阻害剤も、糖質代謝および体重増加を行うエフェドラ、エフェドリンまたはプソイドエフェドリンも含有していない。この抽出物は、フルクトース利用の低下による高糖質食での体重増加を低減させ、肥満症に関連した前炎症性サイトカインを減少させ、そして体重減少を助けることができる。
【0039】
フラボノイド類またはバイオフラボノイド類は、抗細菌活性、抗炎症活性、抗アレルギー活性、抗変異原活性、抗ウイルス活性、抗腫瘍活性、抗トロンビン活性および血管拡張活性を有することが報告された、広く分布する一群の天然産物である。この群の化合物に共通の構造単位は、次の一般的な構造式:
【0040】
【化1】
【0041】
によって示されるように、3炭素環の両側に2個のベンゼン環を含む。この一般的な三環構造に結合したヒドロキシル基、糖、酸素およびメチル基のいろいろな組合せは、いろいろなクラスのフラボノイド類を生じるが、それには、フラボノール類、フラボン類、フラバン−3−オール類(カテキン類)、アントシアニン類およびイソフラボン類が含まれる。
【0042】
フリーB環フラボン類およびフラボノール類は、特定のクラスのフラボノイド類であり、それらは、次の一般的な構造:
【0043】
【化2】
【0044】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H;−OH;−SH;OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示されるように、芳香族B環上に置換基を有していない。
【0045】
フラボノイド類は、広く分布する一群の天然産物であるが、フリーB環フラボノイド類は、比較的希少である。合成されたまたは天然源より単離された全9396種類のフラボノイド類の内、僅か231種類のフリーB環フラボノイド類が知られている。(The Combined Chemical Dictionary, Chapman & Hall/CRC, Version 5:1 June 2001)。フリーB環フラボノイド類は、多様な生物学的活性を有することが報告されている。例えば、ガランジン(galangin)(3,5,7−トリヒドロキシフラボン)は、抗酸化剤およびフリーラジカルスカベンジャーとして作用し、抗遺伝子毒性および癌化学的予防に有望な候補であると考えられる。(Heo et al. (2001) Mutat. Res. 488(2):135-150)。それは、チロシナーゼモノフェノラーゼの阻害剤であり(Kubo et al. (2000) Bioorg. Med. Chem. 8(7):1749-1755)、ウサギ心臓カルボニルレダクターゼの阻害剤であり(Imamura et al. (2000) J. Biochem. 127(4):653-658)、抗微生物活性(Afolayan and Meyer (1997) Ethnopharmacol. 57(3):177-181)および抗ウイルス活性(Meyer et al. (1997) J. Ethnopharmacol. 56(2):165-169)を有する。バイカレインおよびガランジン、二つの他のフリーB環フラボノイド類は、ヒト乳癌細胞に対して抗増殖活性を有する。(So et al. (1997) Cancer Lett. 112(2):127-133)。
【0046】
典型的には、フラボノイド類は、それらの利用可能性に基づいて無作為に、活性について調べられてきた。時々、B環上の置換の必要条件が、p−糖タンパク質への高親和性結合(Boumendjel et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. Lett. 11(1):75-77);強心作用(Itoigawa et al. (1999) J. Ethnopharmacol. 65(3):267-272)、リノール酸ヒドロペルオキシド誘導性毒性に対する内皮細胞への防御作用(Kaneko and Baba (1999) Biosci Biotechnol. Biochem 63(2):323-328)、COX−1阻害活性(Wang (2000) Phytomedicine 7:15-19);およびプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ活性(Kalkbrenner et al. (1992) Pharmacology 44(1):1-12)に必要なB環置換のように、特定の生物学的活性について強調された。僅かに少数の公報が、フリーB環フラボノイド類の未置換のB環の有意性を述べていた。一つの例は、2−フェニルフラボン類の使用であるが、それは、NAD(P)Hキノン受容体オキシドレダクターゼを、潜在的な抗凝固薬として抑制する。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11):1417-1427)。
【0047】
漢方薬用植物であるスクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria baicalensis)は、バイカレイン、バイカリン(baicalin)、ウォゴニン(wogonin)およびバイカレノシド(baicalenoside)を含めた、有意の量のフリーB環フラボノイド類を含有する。伝統的に、この植物は、発熱除去(clearing away heat)、炎症除去(purging fire)、湿・温(dampness-warm)および夏季熱症候群;高熱に起因する多渇症;カルブンケル、びらんおよび他の化膿性皮膚感染;急性扁桃炎、咽喉頭炎および猩紅熱などの上気道感染;ウイルス性肝炎;腎炎;腎盂炎(pelvitis);赤痢;吐血および鼻出血を含めた多数の状態を処置するのに用いられてきた。この植物は、更に、流産を防止するのに伝統的に用いられてきた(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine ShangHai Science and Technology Press, ShangHai, China, 1998)。臨床的には、スクテラリアは、現在、小児肺炎、小児細菌性下痢、ウイルス性肝炎、急性胆嚢炎症、高血圧症、切開および外科手術に起因する局所急性炎症、気管支喘息および上気道感染などの状態を処置するのに用いられている(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine ShangHai Science and Technology Press, ShangHai, China, 1998)。気管支喘息を処置するための スクテラリア根の薬理学的有効性は、報告によれば、フリーB環フラボノイド類の存在、およびそれらがエオタキシン(eotaxin)に関連した好酸球補充を抑制することに関係している。(Nakajima et al. (2001) Planta Med. 67(2):132-135)。
【0048】
これまでに、多数の天然に存在するフリーB環フラボノイド類が、いろいろな用途のために商業化されてきた。例えば、スクテラリア抽出物のリポソーム製剤は、スキンケア用に利用されてきた(米国特許第5,643,598号;第5,443,983号)。バイカリンは、癌遺伝子へのその阻害作用のために、癌を予防するのに用いられてきた(米国特許第6,290,995号)。バイカリンおよび他の化合物は、抗ウイルス薬、抗細菌薬および免疫調節薬として(米国特許第6,083,921号)および天然の抗酸化剤として(ポーランド公報第9,849,256号)用いられてきた。クリシンは、その不安低減性について用いられてきた(米国特許第5,756,538号)。抗炎症性フラボノイド類は、肛門直腸および結腸の疾患の抑制および処置(米国特許第5,858,371号)およびリポキシゲナーゼの阻害(米国特許第6,217,875号)に用いられている。これら化合物は、結合組織の修復および維持のために、グルコサミンコラーゲンおよび他の成分と一緒に製剤化されてもいる(Bath, 米国特許第6,333,304号)。フラボノイドエステルは、化粧用組成物中の活性成分を構成している(米国特許第6,235,294号)。2002年3月1日出願の「Identification of Free-B-Ring Flavonoids as Potent Cox-2 Inhibitors」と称する米国出願第10/091,362号は、シクロオキシゲナーゼ酵素COX−2を阻害する方法であって、それを必要としている宿主に、フリーB環フラボノイドを含む組成物またはフリーB環フラボノイド類の混合物を含有する組成物を投与することによる方法を開示している。これは、フリーB環フラボノイド類とCOX−2阻害活性との関連についての最初の報告である。この出願は、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる。
【0049】
フラバン類には、次の一般的な構造:
【0050】
【化3】
【0051】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0052】
カテキンは、主に緑茶に見出される、次の構造を有するフラバンである。
【0053】
【化4】
【0054】
カテキンは、単独でも、茶に見出される他のフラボノイド類と一緒でも作用し、抗ウイルス活性および抗酸化活性双方を有する。カテキンは、ウイルス性肝炎の処置に有効であることが分かった。それは、更に、心臓、腎臓、肺および脾臓への酸化的損傷を妨げると考えられる。カテキンは、更に、胃癌細胞の増殖を抑制することが分かった。
【0055】
種々の植物源、特に、緑茶葉からのカテキンおよびその誘導体は、HPV感染性の尖形コンジローム(Cheng, 米国特許第5,795,911号)および乳頭腫ウイルスによって引き起こされる過形成(Cheng, 米国特許第5,968,973号および第6,197,808号)の処置に用いられてきた。カテキンおよびその誘導体は、更に、皮膚癌、乾癬、クモ状静脈(spider veins)または眼下輪(under eye circles)などの哺乳動物組織の血管新生を抑制するために(Anderson, 米国特許第6,248,341号)、マウスでのUVB誘導性腫瘍形成に対して(Agarwal et al. (1993) Photochem. Photobiol. 58:695-700)、遺伝子発現および酵素活性のレベルでNOシンターゼを阻害するために(Chan, 米国特許第5,922,756号)、そして養毛剤として(Takahashi, 米国特許第6,126,940号)、局所に用いられてきた。カテキンを基剤とする組成物は、更に、座瘡の処置(Murad, 米国特許第5,962,517号)、消化器官の組織を無感化する(Shi, 米国特許第5,470,589号)、そしてアンドロゲン性障害関連疾患および癌を処置する場合に5α−レダクターゼ活性を抑制するために(Liao, 米国特許第5,605,929号)、他の抽出物およびビタミン類と一緒に製剤化された。緑茶抽出物は、COX−2酵素を阻害することによって炎症を減少させるために、具体的な活性成分を全く識別することなく、7種類の他の植物抽出物と一緒に製剤化された(Newmark, 米国特許第6,264,995号)。
【0056】
フラバン類であるクェルセチンおよびフィセチンは、脂質分解を刺激する場合の活性の抑制とは反対に、脂肪組織においてPDE活性を刺激することが分かっていた。(Kuppusamy and Das (1994) Biochem. Pharmacol. 47:521-529)。クェルセチンおよびフィセチンは、エピネフリンの存在下でも不存在下でも、用量依存方式でPDE活性を刺激して、サイクリックAMPの細胞内蓄積を引き起こした。更に、それらの作用は、既知の脂質分解性物質であるテオフィリンの添加によって増強されなかったが、それらの作用はむしろ、特異的β−アドレナリン受容体アゴニストであるイソプロテレノール(isoprterenol)の添加によって抑制され、クェルセチンおよびフィセチンは、β−アドレナリン受容体に結合することによってエピネフリンと共力作用するということが示唆された。カテキンも、PDE活性を刺激したが、エピネフリンの存在下では刺激せず、それはβ−アドレナリン受容体を弱く結合するということが示唆された。(Kuppusamy and Das (1992) Biochem. Pharmacol. 44:1307-1315)。更に、マウスでの1ヶ月にわたる研究において、緑茶カテキンは、アシルCoAオキシダーゼ、中位鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ、更には、肝におけるβ酸化活性を増加させ、したがって、脂質異化を増加させた。(Murase et al. (2002) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 26:1459-1464)。
【0057】
フルクトース誘導性肥満症へのカテキンの作用は知られていない。バイカレイン、バイカリンまたはウォゴニンが、フルクトース代謝を行うということも証明されていない。それにもかかわらず、両方の薬草の組合せを含有する抽出物は、下に詳述されるようにフルクトース代謝を変化させる。
【0058】
アカシア(Acacia)は、マメ科の木および低木の属である。このアカシア属には、マメ科(Leguminosae)の科およびミモソイデエ(Mimosoideae)の亜科に属する1000を超える種が含まれる。アカシアは、中・南米、アフリカ、アジアの一部並びにオーストラリアの熱帯および亜熱帯地域の世界中に分布していて、最大多数の固有種を有する。アカシアは、主に、乾燥し、かわききった地域にあるが、そこの森は、しばしば、開放的なとげのある低木の自然にある。アカシア属は、主に葉の形態に基づいて、3種類の亜属、すなわち、アカシア、アクリフェルム(Aculiferum)およびヘテロフィルム(Heterophyllum)に分類される。しかしながら、成木の葉の性質に基づいて、アカシア属は、二つの「俗」群、すなわち、典型的な二回羽状葉種および偽葉種に分けることができる。偽葉は、小葉のない葉状構造へと広がった変形葉柄であり、乾生植物状態への適応である。
【0059】
アカシアは、経済的にきわめて重要であり、タンニン類、ガム類、木材、燃料および飼料の原料を提供する。タンニン類は、主に樹皮から単離されるが、生皮をなめすのに広範囲に用いられている。若干のアカシア樹皮は、地酒の香り付けに用いられてもいる。A.シニュータ(A. sinuata)に似た若干の自生種も、サポニン類を生じるが、それは、水と一緒に混合し且つ撹拌した場合に石鹸状の泡を形成するいずれかの種々の植物グリコシドである。サポニン類は、洗剤、発泡剤および乳化剤に用いられる。若干のアカシア種の花は、香りがよく、香料を製造するのに用いられる。例えば、カシー香は、A.フェルジェニア(A. ferrugenea)より得られる。多数のアカシアの心材は、農機具を作るのに用いられ、そして更には、薪の原料を提供する。アカシアガム類は、医学および菓子製造業に、そして繊維工業においてはサイズ剤および仕上材料として、広範囲に用いられている。ラックカイガラムシ(lac insect)は、A.ニロティカ(A. nilotica)およびA.カテキュ(A. catechu)を含めたいくつかの種の上で成長することができる。若干の種は、ある程度の浸水に耐えることができるA.ニロティカを含めて、荒れ地の植林に用いられてきたが、数少ないこのような地域は、鳥類保護区になっている。
【0060】
これまでに、約330種類の化合物が、いろいろなアカシア種から単離された。水溶性タイプの植物色素であるフラボノイド類は、アカシア種から単離された主なクラスの化合物である。約180種類の異なったフラボノイド類が識別されたが、その111種類はフラバン類である。テルペノイド類は、アカシア属の種から単離された2番目に大きいクラスの化合物であり、48種類の化合物が識別された。アカシアから単離された他のクラスの化合物には、アルカロイド類(28)、アミノ酸/ペプチド(20)、タンニン類(16)、炭水化物(15)、酸素複素環(15)および脂肪族化合物(10)が含まれる。(Buckingham, The Combined Chemical Dictionary, Chapman & Hall CRC, version 5:2, Dec. 2001)。
【0061】
フェノール化合物、特に、フラバン類は、全てのアカシア種に中〜高濃度で見出される。(Abdulrazak et al. (2000) Journal of Animal Sciences. 13:935-940)。歴史的には、アカシア属の植物および抽出物の大部分が、収斂薬として、胃腸障害、下痢および消化不良を処置するのにおよび出血を止めるのに利用されてきた。(Vautrin (1996) Universite Bourgogne (France) European abstract 58-01C:177; Saleem et al. (1998) Hamdard Midicus. 41:63-67)。A.アラビカ・ウィルド(A. arabica Willd.)の樹皮およびサヤは、多量のタンニン類を含有し、収斂薬および去痰薬として利用されてきた。(Nadkarni (1996) India Materia Medica, Bombay Popular Prakashan, pp.9-17)。ソマリアからのA.トルティリス(tortilis)の茎皮より単離されたジアリールプロパノール誘導体は、平滑筋弛緩作用を有すると報告された。(Hagos et al. (1987) Planta Medica. 53:27-31,1987)。A.ヴィクトリエ(A. victoriae)より単離されたテルペノイドサポニン類は、ジメチルベンゾ(a)アントラセン誘導性ネズミ皮膚発癌への抑制作用を有し(Hanausek et al. (2000) Proceedings American Association for Cancer Research Annual Meeting 41:663)、アポトーシスを誘導する(Haridas et al. (2000) 3Proceedings American Association for Cancer Research Annual Meeting. 41:600)。A.ニロティカからの植物抽出物は、痙攣原活性、血管収縮活性および抗高血圧活性(Amos et al. (1999) Phytotherapy Research 13:683-685; Gilani et al. (1999) Phytotherapy Research. 13:6685-669)、および抗血小板凝集活性(Shah et al. (1997) General Pharmacology. 29:251-255)を有すると報告された。抗炎症活性は、A.ニロティカについて報告された。フラボノイド類、多糖類および有機酸は、潜在的な活性化合物であると考えられていた。(Dafallah and Al-Mustafa (1996) American Journal of Chinese Medicine. 24:263-269)。2002年3月22日出願の「Isolation of a Dual Cox-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitor from Acacia」と称する米国出願第10/104,477号は、参照により本明細書中にそのまま取り込まれるが、シクロオキシゲナーゼCOX−2および5−リポキシゲナーゼ(5−LO)酵素の同時二重阻害の方法であって、アカシア属の植物より単離されたフラバンまたはフラバン類の混合物を含む組成物を投与することによる方法を開示している。
【0062】
発明の要旨
本発明は、糖質誘導性体重増加および糖質誘導性肥満症を抑制する場合に有効である方法を包含する。糖質誘導性体重増加を抑制するおよび糖質誘導性肥満症を抑制する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含む組成物を投与することを含んで成る(この物質の組成物は、本明細書中において、DIAFINTMという商品名でも論じられる)。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の好ましい態様において、物質の組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0063】
本発明は、更に、他の糖質誘導性疾患および状態の予防および処置の方法を包含する。糖質誘導性疾患および状態を予防するおよび処置する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物、および薬学的に許容しうる担体を含む有効量の組成物を投与することを含んで成る。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の好ましい態様において、物質の組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0064】
本発明は、更に、フルクトースの触媒作用および解糖の経路における鍵酵素の特異的阻害、すなわち、特異的フルクトース−1−リン酸アルドラーゼの阻害の方法を包含する。図1に関して、これは、アルドラーゼによるフルクトース−1−リン酸のグリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸への変換を阻害する。この特異的阻害は、ジヒドロキシアセトンリン酸をグリセロール−3−リン酸へ、そして次にアシルグリセロールへと変換して、最終的にVLDLの生産を引き起こすのを妨げる。
【0065】
本発明は、更に、TNFαおよびIL−6の生産を誘導する転写因子NFκBのゲノム減少の方法を包含する。TNFαおよびIL−6は、肥満症および他の炎症性疾患のプライムマーカーである。NFκBおよびその後のTNFαおよびIL−6の減少方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含む有効量の組成物を投与することを含んで成る。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の好ましい態様において、物質の組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0066】
本明細書中においてフリーB環フラボン類およびフリーB環フラボノール類とも称される、次の発明によって用いることができるフリーB環フラボノイド類には、次の一般的な構造:
【0067】
【化5】
【0068】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H;−OH;−SH;OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0069】
次の発明によって用いることができるフラバン類には、次の一般的な構造:
【0070】
【化6】
【0071】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0072】
本発明の方法は、高脂血症;高コレステロール;動脈硬化症;アテローム性動脈硬化症;症候群X(代謝症候群);糖質誘導性肥満症および糖尿病によって引き起こされる全身性炎症状態;および高血圧症が含まれるがこれに制限されるわけではない多数の肥満症関連疾患および状態を処置するおよび予防するのに用いることができる。
【0073】
本発明のフリーB環フラボノイド類は、合成法によって得ることができるし、またはバンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクンシ科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、クスノキ科(Lauranceae)、Leguminosae、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、イノモトソウ科(Pteridaceae)、ヒメウラジロ科(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびショウガ科(Zingiberaceae)が含まれるがこれに制限されるわけではない植物の科より抽出することができる。それらフリーB環フラボノイド類は、次の、デスモス(Desmos)、アキロクリン(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス(Anaphalis)、コツラ(Cotula)、ハハコグサ(Gnaphalium)、ヘリクリスム(Helichrysum)、センタウレア(Centaurea)、フジバカモ(Eupatorium)、バッカリス(Baccharis)、シラキ(Sapium)、スクテラリア、モルサ(Molsa)、コレブローケア(Colebrookea)、スタキス(Stachys)、オリガヌム(Origanum)、ジジホラ(Ziziphora)、リンデラ(Lindera)、アクチノダフネ(Actinodaphne)、Acacia、デリス(Derris)、グリシリザ(Glycyrrhiza)、ミレティア(Millettia)、ポンガミア(Pongamia)、テフロシア(Tephrosia)、パンノキ(Artocarpus)、イチジク(Ficus)、ピチログランマ(Pityrogramma)、ノトレナ(Notholaena)、アカマツ(Pinus)、ハルニレ(Ulmus)およびハナミョウガ(Alpinia)が含まれるがこれに制限されるわけではない高等植物の属より抽出し、濃縮し、そして精製することができる。
【0074】
本発明のフラバン類は、アカシア属より選択される一つまたは複数の植物から得ることができる。好ましい態様において、その植物は、アカシア・カテキュ(Acacia catechu)(A. catechu)、A.コンシナ(A. concinna)、A.ファルネシアナ(A. farnesiana)、A.セネガル(A. Senegal)、A.スペシオサ(A. speciosa)、A.アラビカ(A. arabica)、A.シーシア(A. caesia)、A.ペナタ(A. pennata)、A.sinuata、A.ミールンシイ(A. mearnsii)、A.ピクナンタ(A. picnantha)、A.ディールバタ(A. dealbata)、A.アウリクリホルミス(A. auriculiformis)、A.ホロセレシア(A. holoserecia)およびA.マンギウム(A. mangium)から成る群より選択される。
【0075】
本発明の組成物は、当業者に知られているいずれの方法によっても投与することができる。投与方法には、経腸(経口)投与、非経口(静脈内、皮下および筋肉内)投与および局所適用が含まれるが、これに制限されるわけではない。本発明による処置方法は、それを必要としている患者に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の治療的有効量を体内にまたは局所に投与することを含む。
【0076】
前述の一般的な説明および次の詳細な説明は双方とも、単に例示し且つ説明するものであり、請求の範囲に記載の発明を制限するものではない。
発明の詳細な説明
本発明は、体重増加および肥満症、更には、高炭水化物摂取に起因する他の疾患および状態の予防および処置に使用するための二つの具体的なクラスの化合物、すなわち、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類のブレンドの混合物を含んで成る物質の新規な組成物に関する。それら疾患および状態には、高脂血症;高コレステロール;動脈硬化症;アテローム性動脈硬化症;症候群X(代謝症候群);肥満症および糖尿病によって引き起こされる全身性炎症状態;および高血圧症が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0077】
種々の用語が、本明細書中において本発明の側面を論じるのに用いられている。本発明の成分の説明を明確にする助けとなるように、次の定義を与える。
「ある」物質という用語は、一つまたはそれを超えるその物質を意味するということに留意すべきであり、例えば、あるフラボノイドは、一つまたはそれを超えるフラボノイド類を意味する。「ある」、「一つまたはそれを超える」および「少なくとも一つ」という用語は、そのままで、本明細書中において同じ意味に用いられる。
【0078】
本明細書中で用いられる「フリーB環フラボノイド類」は、次の一般的な構造:
【0079】
【化7】
【0080】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H;−OH;−SH;OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示されるように、芳香族B環上に置換基を有していない特定のクラスのフラボノイド類である。
【0081】
本明細書中で用いられる「フラバン類」とは、次の一般的な構造:
【0082】
【化8】
【0083】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルが含まれるがこれに制限されるわけではないもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって一般的に示される特定のクラスのフラボノイド類を意味する。
【0084】
本明細書中で用いられる「フルクトース誘導性脂質生成」とは、図1に図式的に示されるように、中間体ジヒドロキシアセトンリン酸の生産後、それをグリセロール−3−リン酸へと変換し、そして引き続き、アシルグリセロールへとエステル化することを介して生じる、フルクトースからの特定の脂質形成経路を意味する。
【0085】
本明細書中で用いられる「de novo 脂質生成」とは、図1に図式的に示されるように、中間体ピルベートの生産後、それをカルボキシル化反応でアセチル−CoAへと変換し、それをマロニル−CoAへと変換し、次に、それをアシル−CoAへと変換後、アシルグリセロールへとエステル化することを介して生じる、グルコースからの特定の脂質形成経路を意味する。
【0086】
本明細書中で用いられる「糖質誘導性脂質生成」とは、フルクトース誘導性脂質生成および de novo 脂質生成の双方を意味する。
本明細書中で用いられる「糖」とは、単糖類、二糖類および多糖類が含まれるがこれに制限されるわけではない単純および複合双方の炭水化物を意味する。単糖は、グルコース、フルクトースおよびガラクトースが含まれるがこれに制限されるわけではない単純な糖である。二糖は、二重の糖、またはスクロースなどの単純な糖を2分子含有する糖である。本明細書中で用いられる糖とは、複合炭水化物の破壊または分解によって生じる炭水化物をも意味する。複合炭水化物または多糖は、単純な糖を3分子またはそれを超えて含有する炭水化物である。複合炭水化物には、デンプンおよびグリコーゲンが含まれる。複合炭水化物の分解の結果として形成される糖には、マルトトリオース、α−デキストリン、マルトースおよび他の代謝的に活性な二糖類が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0087】
本明細書中で用いられる「治療的」には、処置および/または予防が含まれる。用いられる場合、治療的は、ヒト並びに他の動物に関している。
「薬学的にまたは治療的に有効な用量または量」とは、望ましい生物学的結果を引き起こすのに充分な投薬量レベルを意味する。その結果は、疾患の徴候、症状または原因の軽減、または生体系に望まれるいずれか他の変化であってよい。
【0088】
「プラシーボ」とは、疾患の徴候、症状または原因を軽減することができる望ましい生物学的結果を引き起こすのに充分な薬学的にまたは治療的に有効な用量または量の、非活性物質での代用を意味する。
【0089】
「宿主」は、本明細書中に記載の組成物が投与される生きている対象、ヒトまたは動物である。
本出願中にいろいろな引用が与えられていることに留意されたい。各々の引用は、参照により本明細書中にそのまま具体的に取り込まれる。
【0090】
本発明は、糖質誘導性体重増加および糖質誘導性肥満症を抑制する場合に有効である方法を包含する。糖質誘導性体重増加を抑制するおよび糖質誘導性肥満症を抑制する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含む組成物を投与することを含んで成る。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、物質の組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0091】
本発明は、更に、糖質誘導性疾患および状態の予防および処置の方法を包含する。糖質誘導性疾患および状態を予防するおよび処置する方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物、および薬学的に許容しうる担体を含む有効量の組成物を投与することを含んで成る。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、物質の組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0092】
本発明は、更に、NFκBのゲノム減少と、その後の、肥満症および他の炎症性疾患のプライムマーカーであるTNFαおよびIL−6のレベルの低下の方法を包含する。NFκBのゲノム減少と、その後のTNFαレベルおよびIL−6レベルの低下の方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含む有効量の組成物を投与することを含んで成る。フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド類:フラバン類〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド類:フラバン類の範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、物質の組成物中のフリーB環フラボノイド類対フラバン類の比率は、80:20である。好ましい態様において、フリーB環フラボノイド類は、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離され、フラバン類は、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0093】
次によって用いることができるフリーB環フラボノイド類には、上に挙げられた一般的な構造によって示される化合物が含まれる。本発明のフリーB環フラボノイド類は、合成法によって得ることができるし、またはバンレイシ科、キク科、ノウゼンカズラ科、シクンシ科、キク科、トウダイグサ科、シソ科、クスノキ科、マメ科、クワ科、マツ科、イノモトソウ科、ヒメウラジロ科、ニレ科およびショウガ科が含まれるがこれに制限されるわけではない植物の科より抽出することができる。それらフリーB環フラボノイド類は、次の、デスモス、アキロクリン、オロキシルム、ブケナビア、アナファリス、コツラ、ハハコグサ、ヘリクリスム、センタウレア、フジバカモ、バッカリス、シラキ、スクテラリア、モルサ、コレブローケア、スタキス、オリガヌム、ジジホラ、リンデラ、アクチノダフネ、アカシア、デリス、グリシリザ、ミレティア、ポンガミア、テフロシア、パンノキ、イチジク、ピチログランマ、ノトレナ、アカマツ、ハルニレおよびハナミョウガが含まれるがこれに制限されるわけではない高等植物の属より抽出し、濃縮し、そして精製することができる。
【0094】
それらフラボノイド類は、茎、茎皮、小枝、塊茎、根、根皮、新芽、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分が含まれるがこれに制限されるわけではない、いろいろな植物部分に見出されうる。フリーB環フラボノイド類の単離および精製の方法は、2002年3月1日出願の「Identification of Free-B-Ring Flavonoids as Potent COX-2 Inhibitors」と称する米国出願第10/091,362号に記載されているが、それは、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる。
【0095】
本発明の方法によって用いることができるフラバン類には、上に挙げられた一般的な構造によって示される化合物が含まれる。本発明のフラバン類は、アカシア属より選択される一つまたは複数の植物より単離される。好ましい態様において、その植物は、アカシア・カテキュ、アカシア・コンシナ、アカシア・ファルネシアナ、アカシア・セネガル、アカシア・スペシオサ、アカシア・アラビカ、A.シーシア、A.ペナタ、A.シニュータ、A.ミールンシイ、A.ピクナンタ、A.ディールバタ、A.アウリクリホルミス、A.ホロセレシアおよびA.マンギウムから成る群より選択される。
【0096】
それらフラバン類は、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、新芽、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分が含まれるがこれに制限されるわけではない、いろいろな植物部分に見出されうる。フラバン類の単離および精製の方法は、2002年3月22日出願の「Isolation of a Dual Cox-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitor from Acacia」と称する米国出願第10/104,477号に記載されているが、それは、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる。
【0097】
本発明の方法は、高脂血症;高コレステロール;動脈硬化症;アテローム性動脈硬化症;症候群X(代謝症候群);肥満症および糖尿病によって引き起こされる全身性炎症状態;および高血圧症が含まれるがこれに制限されるわけではない多数の肥満症関連疾患および状態を処置するおよび予防するのに用いることができる。
【0098】
本発明の組成物は、当業者に知られているいずれの方法によっても投与することができる。投与方式には、経腸(経口)投与、非経口(静脈内、皮下および筋肉内)投与および局所適用が含まれるが、これに制限されるわけではない。本発明による処置方法は、それを必要としている患者に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の治療的有効量を体内にまたは局所に投与することを含む。好ましい態様において、その組成物は、0.01〜200mg/kg体重より選択される投薬量で投与される。
【0099】
本発明は、フルクトース代謝が、体内の脂質および脂肪含有量の増加、代謝酵素の酵素活性、mRNA遺伝子発現への影響および一般的な脂質生成に関係しているので、一連の in vivo 体重測定研究、更には、in vitro の生化学的、細胞および遺伝子発現のスクリーニングを組み合わせる戦略を行って、フルクトース代謝を特異的に抑制する活性な植物抽出物を同定する。
【0100】
実施例1は、フルクトースまたは脂肪を補足した食餌3週間によって生じる体重増加へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用を決定するように設計された実験を記載している。それら結果は、図2に示されている。図2に関して、抽出物と一緒に脂肪を与えられた被験動物は、脂肪のみで抽出物を与えられなかったものとほぼ同量の体重増加があったということが分かる。しかしながら、抽出物と一緒にフルクトースを与えられたマウスは、普通食を与えられた対照群と同量の体重増加があった。この結果は、フリーB環フラボノイド類(HPLCに基づく60〜90%)およびフラバン類(HPLCに基づく10〜60%)の混合物を含んで成る物質の組成物が、フルクトース消費に起因する過剰の体重増加を妨げるのに有効であったということを示している。理論によって拘束されたくはないが、この結果は、脂質生成経路におけるフルクトース利用の変化のためであると考えられる。
【0101】
実施例2は、フルクトースおよびグルコースを補足した食餌8週間によって生じる体重増加へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用を示すように設計された実験を記載している。それら結果は、図3に示されている。図3に関して、抽出物と一緒にグルコースを与えられた被験動物は、グルコースのみで抽出物を与えられなかったものとほぼ同量の体重増加があったということが分かる。しかしながら、抽出物と一緒にフルクトースを与えられたマウスは、フルクトースのみで抽出物を与えられなかったマウスより有意に少ない体重増加であった。スクロースまたは市販のフルクトースシロップ原料を与えられたマウスは、この実験条件下において中間の体重増加を示した(データは示されていない)。
【0102】
実施例3は、分泌されるTNFα濃度へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用を示している。それら結果は、図4に示されている。図4に関して、抽出物は、細胞培養物上澄み中に分泌されるTNFαを、2〜100μg/mLの実質的に広範囲の濃度にわたって減少させたということが分かる。TNFαは、肥満症のマーカーであるので、その抽出物は、プライムされた炎症性細胞中でこの前炎症性サイトカインを減少させることによって有意に影響する。
【0103】
実施例4は、分泌されるIL−6濃度へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用を示している。それら結果は、図5に示されている。図5に関して、抽出物は、細胞培養物上澄み中に分泌されるIL−6を、2〜100μg/mLの実質的に広範囲の濃度にわたって減少させたということが分かる。IL−6は、肥満症のマーカーであるので、その抽出物は、プライムされた炎症性細胞中でこの前炎症性サイトカインを減少させることによって有意に影響する。
【0104】
TNFαおよびIL−6の降下は、転写因子NFκBの破壊によって引き起こされうると考えられるが、それは、双方の遺伝子プロモーターが、NFκBによって活性化されるからである。この仮説を調べるために、遺伝子発現転写因子NFκBへのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用を、実施例5に記載のように評価した。それら結果は、図6に示されているが、それは、抽出物の濃度の関数としての相対的NFκB遺伝子発現をグラフで示している。図6で分かるように、NFκBは、抽出物の最高濃度における発現の2.7倍のダウンレギュレーションを示した。NFκBの僅かな変化は、他の遺伝子の遺伝子発現を高度にダウンレギュレーションすることを示した。
【0105】
TNFαの遺伝子発現へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用は、図7に示されている。理解されうるように、TNFαについての相対的遺伝子発現は、実施例5に記載の条件下においてほぼ10倍ダウンレギュレーションされた。この結果は、タンパク質検定において見出されたサイトカインの減少とともに、NFκBが、フリーB環フラボノイド/フラバン抽出物によって抑制されるかもしれないということを示唆している。
【0106】
フルクトースおよびグルコースの代謝経路には、二つの鍵酵素、すなわち、アルドラーゼAおよびアルドラーゼBが存在し、それらは、フリーB環フラボノイド/フラバン抽出物の作用によって作用することがありうる。図1に関して、それぞれ、アルドラーゼBは、フルクトース−1−リン酸のグリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸への変換を触媒し、アルドラーゼAは、フルクトース−1,6−ビスリン酸のグリセルアルデヒド−3−リン酸およびジヒドロキシアセトンリン酸への変換を触媒する。トリオースイソメラーゼは、ジヒドロキシアセトンリン酸のグリセルアルデヒド−3−リン酸への変換を触媒するが、トリオキナーゼは、単一のATP分子の消費を伴って、グリセルアルデヒドのグリセルアルデヒド−3−リン酸への変換を触媒し、したがって、フルクトースの触媒作用および解糖の経路に関連している。アルドラーゼBは、商業的に入手可能ではないので、フルクトース−1,6−ビスリン酸のグリセルアルデヒド−3−リン酸およびジヒドロキシアセトンリン酸への変換を触媒することもできるアルドラーゼAを用いて、実施例6に記載のように、in vitro のこれら酵素への抽出物の潜在的な作用を決定した。それら結果は、図8に示されているが、それは、いろいろな阻害剤濃度における時間に対する反応混合物の吸光度をグラフで示している。この図は、抽出物の濃度が増加するにつれて、生成物の形成は減少するということを示している。この知見は、フルクトース−1−リン酸のグリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸への変換における抽出物によるアルドラーゼの直接的阻害を示唆している。したがって、理論によって拘束されたくはないが、フルクトース触媒作用経路におけるアルドラーゼの阻害は、フルクトースおよび抽出物を食餌に補足されたマウスで一層少ない体重増加を生じる機構に寄与しているかもしれない。
【0107】
実施例7は、ヒト体重減少への抽出物の有効性を調べるために始められたヒト臨床試験を記載している。それら結果は、図9〜13に示されている。図9は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、250mg/日を90日間にわたって経口投与された13個体における体重減少への作用を示す。個体の体重(初期および最終)を、各々の被験者について各測定値の上に示している。図9に関して、250mg/日の投薬量では、90日後に研究に残っていた14個体の内13人に、有意の体重減少が認められたということが分かる。一人の被験者(被験者4)だけが、体重減少を示さなかった。0日目と90日目との間の体重データの差は、p<0.001で統計的有意性を示した。
【0108】
図10は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、500mg/日を90日間にわたって経口投与された13個体における体重減少への作用を示す。個体の体重(初期および最終)を、各々の被験者について各測定値の上に示している。図10で分かるように、投薬量を500mg/日へと増加させた場合、体重減少は、異なったパターンを示した。より高いBMIを有する被験者は、より低いBMIを有する者より大きく体重を減少させる傾向があった。より少ない体重の被験者が、体重を減少させなかったかまたは、ある場合には、増加させもした(被験者3、15、43および47を参照されたい)層別化が生じた。このデータの統計的有意性は、p<0.011を示した。
【0109】
図11は、プラシーボを90日間にわたって経口投与された13個体における体重減少への作用を示す。個体の体重(初期および最終)を、各々のヒト被験者について各測定値の上に示している。この図で分かるように、プラシーボ群は、試験を終えた13人の被験者について、きわめて小さい体重変化を示した。
【0110】
図12は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、250mg/日および500mg/日をプラシーボに対して30日および90日に経口投与された個体におけるBMIへの作用を示す。図12で分かるように、三群全ての平均BMIをプロットした場合、有意差が認められる。プラシーボに対する250mg/日の用量では、p<0.075であったが、500mg/日用量は、p<0.005を示した。群内分析は、500mg/日用量のp<0.051に対して250mg用量についてp<0.004を示した。
【0111】
図13は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、250mg/日および500mg/日をプラシーボに対して0日、30日および90日に経口投与された個体における血中グルコースの変化への作用を示す。それによって、体重の減少およびBMIの有益な変化に加えて、血中グルコースレベルは、250mg/日および500mg/日の群で低下して、後者が最大の変化を示した。しかしながら、プラシーボを与えられた者の血中グルコースレベルは、試験期間中にわたって比較的未変化であった。空腹時血清グルコースデータは、ベースラインデータと比較したところ有意性を示し、500mg/日用量についてp<0.018および250mg/日用量についてp<0.014であった。
【0112】
フリーB環フラボノイドおよびフラバン混合物の純度および定量の決定は、HPLC分析により、実施例8および実施例9に記載の二つの異なった方法を用いて行った。それら結果は、図14および図15に示されている。図14に関して、フリーB環フラボノイド類(主に、バイカレインおよびバイカリン)は、HPLC分析後に、全溶離面積の>60%であると測定された。フラバン類は、より低い総吸光係数を有するので、実施例9に記載の方法を用いて、約3倍程度の抽出物をHPLCカラム上に充填し、無勾配条件下で溶離した。図15に関して、フラバン類(カテキンおよびエピカテキン)は、HPLC分析後に、全溶離面積の>10%であると測定された。
【0113】
高濃度のフリーB環フラボノイド類(HPLCに基づく60〜90%)およびフラバン類(HPLCに基づく10〜60%)を含有する個々の標準化された抽出物、並びにフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含有する組合せ抽出物を、慢性的および急性的双方の投与でのマウスにおける毒性について調べた。慢性的投与プロトコールの場合、マウスには、試験製品を経口強制飼養により、90mg/kg(500mgのヒト1日用量と同等)、450mg/kg(1日用量同等物の5倍)および900mg/kg(1日用量同等物の10倍)の1日用量で供給した。被処置マウスは、体重増加、肉体的外観および挙動の点で副作用を示さなかった。肉眼的剖検結果は、器官異常を示さなかったし、胃および肝双方の組織学は、未処置対照マウスと比較して差を示さなかった。電解質、血中タンパク質、血中酵素および肝酵素を測定する全血研究は、未処置対照マウスと比較して異常を示さなかった。
【0114】
急性的投与プロトコールの場合、高濃度のフリーB環フラボノイド類(HPLCに基づく60〜90%)およびフラバン類(HPLCに基づく10〜60%)を含有する個々の標準化された抽出物、並びにフリーB環フラボノイド類およびフラバン類双方の混合物を含有する組合せ抽出物を、2グラム/kg(1日用量同等物の20倍)で投与した。被処置マウスは、体重増加、外観、挙動、器官の肉眼的剖検外観、胃および肝の組織学、または血液研究に異常を示さなかった。
【0115】
糖質誘導性肥満症を直接的に抑制するフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の能力、更には、肥満症についての前炎症性サイトカインマーカーであるTNFαおよびIL−6の調節において不可欠な転写因子であるNFκBをゲノム減少させる場合のそれらの活性に基づいて、本明細書中に記載の組成物は、体重増加、糖質誘導性脂質生成および全身性炎症を効果的に抑制するであろう。更に、フルクトース−1−リン酸をグリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸へと変換するアルドラーゼを直接的に阻害するフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の能力は、de novo 脂質生成においても、フルクトース誘導性脂質生成においても、脂肪の合成に利用可能な基質の量を減少させるであろう。
【0116】
次の実施例は、単に例示の目的で与えられており、発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0117】
実施例1.フルクトースまたは脂肪を補足した食餌3週間によって生じる体重増加へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用
フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物を含んで成る物質の組成物が、体重を増加させるという作用を研究するために、スクテラリア・バイカレンシスより単離されたフリーB環フラボノイド類およびアカシア・カテキュより単離されたフラバン類を80:20(フリーB環フラボノイド類:フラバン類)の比率で含有する規定の植物抽出物を用いた。この物質の組成物は、参照により本明細書中にそのまま取り込まれる、2003年4月30日出願の「Formulation With Dual Cox-2 And 5-Lipoxygenase Inhibitory Activity」と称する米国出願第10/427,746号に記載のように製剤化した。
【0118】
6週令ICR雌マウス(10匹/試験群)(Harlan Laboratories)に、水中の抽出物を100mg/kgの治療的用量で強制飼養した。一つのマウス群に、それらの普通食を供給し、そして飲料水として65%フルクトース溶液を与えて、随意投与した。第二群のマウスには、脂肪を補足した食餌を供給し、随意投与した。二つの試験群には、随意に、それらの水(抽出物不含)中で65%フルクトースを与えるかまたは、それらの食餌に脂肪を補足した(抽出物不含)。それら結果を図2に示す。
【0119】
実施例2.フルクトースおよびグルコースを補足した食餌8週間によって生じる体重増加へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用
この研究は、概して、実施例1に記載されたのと同様に、6週令ICR雌マウス(10匹/試験群)(Harlan Laboratories)を試験対象として、そして参照により本明細書中にそのまま取り込まれる、2003年4月30日出願の「Formulation With Dual Cox-2 And 5-Lipoxygenase Inhibitory Activity」と称する米国出願第10/427,746号に記載のように製剤化されたフリーB環フラボノイド類:フラバン類の80:20混合物を用いて行った。それら結果を図3に示す。
【0120】
図3に関して、「対照」群には、販売者が推奨する平衡食を供給した。もう一つの「対照」群にも、抽出物を100mg/kgで強制飼養によって与えた。二つの試験群には、それらの水中の随意の65%フルクトースを加えた対照食を与えた。これら群の一つに、100mg/kgの抽出物を毎日強制飼養した。最後の二つの試験群には、それらの水中の随意の65%グルコースを加えた対照食を与えた。これら群の一つに、100mg/kgの抽出物を毎日強制飼養した。8週間後に、平均体重を、グラフに示された平均の標準誤差(SEM)と一緒にプロットした。
【0121】
実施例3.TNFαの濃度へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用
ヒト血液ドナーからの末梢血単球(PBMC)を、Histopaque 勾配(Sigma)を用いて単離した。次に、それら細胞を、1%ウシ血清アルブミンを補足したRPMI 1640中で約12時間培養後、10mg/mLのリポ多糖(LPS)で処理して、いろいろな濃度の80:20のフリーB環フラボノイド:フラバン抽出物の存在下における1時間のインキュベーションで炎症を誘導した。それら結果を図4に示す。
【0122】
実施例4.IL−6の濃度へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用
ヒト血液ドナーからの末梢血単球(PBMC)を、Histopaque 勾配(Sigma)を用いて単離した。次に、それら細胞を、1%ウシ血清アルブミンを補足したRPMI 1640中で約12時間培養後、10μg/mLのリポ多糖(LPS)で処理して、いろいろな濃度の80:20のフリーB環フラボノイド:フラバン抽出物の存在下における6時間のインキュベーションで炎症を誘導した。それら結果を図5に示す。その抽出物は、細胞培養物上澄み中に分泌されるIL−6を、2〜100μg/mLの実質的に広範囲の濃度にわたって減少させた。IL−6は、肥満症のマーカーであるので、その抽出物は、プライムされた炎症性細胞中でこの前炎症性サイトカインを減少させることによって有意に影響する。
【0123】
実施例5.転写因子NFκBの遺伝子発現およびTNFαの遺伝子発現へのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用
PBMCを、1mg/mLのLPSで18時間誘導させ、そして増加量のフリーB環フラボノイド:フラバン抽出物と一緒に共培養した。次に、RNAを単離し(Qiagen)、DNAに逆転写し、そして定量的PCR(ABI)においてTaqManシステムと、NFκBおよびTNFα双方についての予め確認されたプライマーを用いてPCRを行った。相対的遺伝子発現を、0〜100μg/mLの抽出物の存在下で測定した。それら結果を、図6および図7に示す。
【0124】
実施例6.酵素アルドラーゼAへのフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用
1単位/μLのアルドラーゼA(Sigma)を、100μM EDTAおよび3.5mM硫酸ヒドラジンを含有するpH7.5の緩衝液中の4mMフルクトース−1−リン酸の溶液(Jagannathan et al. (1956) Biochem. J. 63:94-105)および0〜65μg/mLの濃度の抽出物に25℃で加えた。その反応を、酵素の添加によって開始させ、そして240nmで10分間監視した。それら結果を、図8に示すが、それは、いろいろな阻害剤濃度における時間に対する反応混合物の吸光度をグラフで示している。
【0125】
実施例7.ヒト体重減少へのフリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の作用
90日のIRB審査二重盲検プラシーボ対照試験を、3種類の異なった群、すなわち、(1)プラシーボ;(2)250mg/日(125mgで1日2回投与);および(3)500mg/日(250mgで1日2回投与)に、15人/群の被験者で開始した。それら被験者は、つり合った年齢および性別であった。被験者には、プラシーボまたは抽出物を隠された状態の丸剤の形で経口投与し、そして彼らの体重、BMIおよび血中グルコースレベルを、0日、30日、60日および90日目に監視した。それら患者には、彼らが体重減少用製品を与えられているかどうか、または彼らが食習慣または運動習慣を変更すべきかどうかについての助言を与えなかった。それら結果を、図9〜13に示す。
【0126】
実施例8.フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による定量(方法1)
80%:20%のメタノール:テトラヒドロフラン中のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物(1.13mg/mLの標準化抽出物20mL)を、Phenomenex Luna C−18カラム(250x4.6mm,5mmビーズサイズ)上に充填し、そして1.0mL/分、直線80%A〜20%A勾配19分間(A=0.1%(v/v)リン酸;B=アセトニトリル)で35℃において溶離した。図14で分かるように、これら条件下において、フリーB環フラボノイド類(バカレイン(bacalein)およびバカリン(bacalin))は、11〜14分に主要ピークとして溶離し、フラバン類(カテキン類およびエピカテキン類)は、約3〜5分に少ないピークとして溶離した。フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の量は、各々の曲線下面積を測定することおよび既知の標準との比較によって決定した。
【0127】
実施例9.フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の逆相無勾配HPLCによる定量(方法2)
80%:20%のメタノール:水中のフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物(3.55mg/mLの標準化抽出物20mL)を、Phenomenex Luna C−18カラム(250x4.6mm,5mmビーズサイズ)上に充填し、そして80%A(A=0.1%(v/v)リン酸;B=アセトニトリル)で35℃において無勾配溶離した。図15で分かるように、これら条件下において、二つのフラバン類(カテキン類およびエピカテキン類)は、約4.5〜5.5分に溶離し、フリーB環フラボノイド類(バカレインおよびバカリン)は、洗浄中の12〜13.5分に溶離した。フラバンピークの定量は、実施例8に記載のように行った。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、肝内の解糖および脂質生成の経路におけるフルクトースおよびグルコースの代謝を図式的に示す。
【図2】図2は、実施例1に記載のように、普通食、65%フルクトースを補足した食餌、または脂肪を補足した食餌を供給されたICR雌マウスにおける、フルクトース誘導性体重増加および脂肪誘導性体重増加への、毎日3週間投与されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用をグラフで示す。マウスを普通食で維持して、対照とした。二つの試験群には、65%フルクトースのみかまたは脂肪のみを与えた。この図は、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物が、フルクトースの消費に起因する過剰の体重増加を妨げるということを示している。
【図3】図3は、実施例3に記載のように、普通食(対照)、65%フルクトースを補足した食餌8週間、および65%グルコースを補足した食餌8週間を供給されたICRマウスにおける、フルクトース対グルコースの誘導性体重増加への、毎日投与されたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用をグラフで示す。体重を週1回測定し、各々の群について平均をプロットした。平均値の標準誤差(SEM)を、各群について毎週示している。
【図4】図4は、異なった濃度のフリーB環フラボノイドおよびフラバン混合物と一緒のリポ多糖(LPS)に1時間暴露後の末梢血単球(PBMC)における、リポ多糖誘導性のTNFαレベルへの、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の(80:20)混合物の作用を示す。TNFαのレベルは、pg/mLで表されている。標準偏差を、各々のデータポイントについて示している。
【図5】図5は、異なった濃度のフリーB環フラボノイドおよびフラバン混合物と一緒のリポ多糖(LPS)に6時間暴露後の末梢血単球(PBMC)における、リポ多糖誘導性のIL−6レベルへの、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の(80:20)混合物の作用を示す。IL−6のレベルは、pg/mLで表されている。標準偏差を、各々のデータポイントについて示している。
【図6】図6は、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物によるNFκB遺伝子発現の相対的抑制度をグラフで示す。相対的遺伝子発現は、0〜100μg/mLの抽出物の存在下で測定した。
【図7】図7は、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物によるTNFα遺伝子発現の相対的抑制度をグラフで示す。相対的遺伝子発現は、0〜100μg/mLの抽出物の存在下で測定した。
【図8】図8は、フルクトース−1−リン酸のグリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸への変換を触媒するフルクトース−1−リン酸特異的アルドラーゼの機能への、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の作用をグラフで示す。この鍵酵素の用量特異的阻害を、10分間にわたって示す。
【図9】図9は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、250mg/日を90日間にわたって経口投与された13個体における体重減少への作用を示す。個体の体重(初期および最終)を、各々のヒト被験者について各測定値の上に示している。
【図10】図10は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、500mg/日を90日間にわたって経口投与された13個体における体重減少への作用を示す。個体の体重(初期および最終)を、各々のヒト被験者について各測定値の上に示している。
【図11】図11は、プラシーボを90日間にわたって経口投与された13個体における体重減少への作用を示す。個体の体重(初期および最終)を、各々のヒト被験者について各測定値の上に示している。
【図12】図12は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、250mg/日および500mg/日をプラシーボに対して30日および90日に経口投与された個体におけるボディマス指数(BMI)への作用を示す。SEMも、各々の群について示されている。
【図13】図13は、フリーB環フラボノイドおよびフラバン抽出物の、250mg/日および500mg/日をプラシーボ(ベースライン)に対して0日、30日および90日に経口投与された個体における血中グルコースの変化への作用を示す。
【図14】図14は、実施例8に記載の条件下で行われたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)クロマトグラムを示す。記載の条件を用いると、フリーB環フラボノイド類は、11〜14分に溶離し、フラバン類は、3〜5分に溶離した。
【図15】図15は、実施例9に記載の条件下で行われたフリーB環フラボノイド類およびフラバン類の混合物のHPLCクロマトグラムを示す。記載の条件を用いると、2種類のフラバン類(カテキン類およびエピカテキン類)が、4.5〜5.5分に溶離し、フリーB環フラボノイド類(バカレイン(bacalein)およびバカリン(bacalin))は、12〜13.5分に溶離した。実施例9に記載の条件下での分離は、フリーB環フラボノイド類およびフラバン類のモル吸光係数の差に基づいている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖質誘導性体重増加を抑制する方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物を含んで成る組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
物質の組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、約80:20である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フリーB環フラボノイドが、次の構造:
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H;−OH;−SH;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネートを含めた薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フラバンが、次の構造:
【化2】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルから成る群より独立して選択されるもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートが含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、有機合成によって得られているまたは植物より単離されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、新芽、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分から成る群より選択される植物部分より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記フリーB環フラボノイドが、バンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクンシ科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、クスノキ科(Lauranceae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、イノモトソウ科(Pteridaceae)、ヒメウラジロ科(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびショウガ科(Zingiberaceae)から成る群より選択される植物科より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記フリーB環フラボノイドが、デスモス(Desmos)、アキロクリン(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス(Anaphalis)、コツラ(Cotula)、ハハコグサ(Gnaphalium)、ヘリクリスム(Helichrysum)、センタウレア(Centaurea)、フジバカモ(Eupatorium)、バッカリス(Baccharis)、シラキ(Sapium)、スクテラリア(Scutellaria)、モルサ(Molsa)、コレブローケア(Colebrookea)、スタキス(Stachys)、オリガヌム(Origanum)、ジジホラ(Ziziphora)、リンデラ(Lindera)、アクチノダフネ(Actinodaphne)、アカシア(Acacia)、デリス(Derris)、グリシリザ(Glycyrrhiza)、ミレティア(Millettia)、ポンガミア(Pongamia)、テフロシア(Tephrosia)、パンノキ(Artocarpus)、イチジク(Ficus)、ピチログランマ(Pityrogramma)、ノトレナ(Notholaena)、アカマツ(Pinus)、ハルニレ(Ulmus)およびハナミョウガ(Alpinia)から成る群より選択される植物属より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記フラバンが、アカシア・カテキュ(Acacia catechu)、アカシア・コンシナ(Acacia concinna)、アカシア・ファルネシアナ(Acacia farnesiana)、アカシア・セネガル(Acacia Senegal)、アカシア・スペシオサ(Acacia speciosa)、アカシア・アラビカ(Acacia arabica)、A.シーシア(A. caesia)、A.ペナタ(A. pennata)、A.シニュータ(A. sinuata)、A.ミールンシイ(A. mearnsii)、A.ピクナンタ(A. picnantha)、A.ディールバタ(A. dealbata)、A.アウリクリホルミス(A. auriculiformis)、A.ホロセレシア(A. holoserecia)およびA.マンギウム(A. mangium)から成る群より選択される植物種より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記フリーB環フラボノイドが、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離されていて、前記フラバンが、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
組成物を、1日基準で0.01mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
投与経路が、経口投与、局所投与、坐剤投与、静脈内投与および皮内投与、胃内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
糖質誘導性疾患および状態を予防するおよび処置する方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物を含んで成る組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項15】
前記組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
物質の組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、約80:20である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フリーB環フラボノイドが、次の構造:
【化3】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H;−OH;−SH;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネートを含めた薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記フラバンが、次の構造:
【化4】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルから成る群より独立して選択されるもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートが含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、有機合成によって得られているまたは植物より単離されている、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、新芽、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分から成る群より選択される植物部分より単離されている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記フリーB環フラボノイドが、バンレイシ科、キク科、ノウゼンカズラ科、シクンシ科、キク科、トウダイグサ科、シソ科、クスノキ科、マメ科、クワ科、マツ科、イノモトソウ科、ヒメウラジロ科、ニレ科およびショウガ科から成る群より選択される植物科より単離されている、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記フリーB環フラボノイドが、デスモス、アキロクリン、オロキシルム、ブケナビア、アナファリス、コツラ、ハハコグサ、ヘリクリスム、センタウレア、フジバカモ、バッカリス、シラキ、スクテラリア、モルサ、コレブローケア、スタキス、オリガヌム、ジジホラ、リンデラ、アクチノダフネ、アカシア、デリス、グリシリザ、ミレティア、ポンガミア、テフロシア、パンノキ、イチジク、ピチログランマ、ノトレナ、アカマツ、ハルニレおよびハナミョウガから成る群より選択される植物属より単離されている、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記フラバンが、アカシア・カテキュ、アカシア・コンシナ、アカシア・ファルネシアナ、アカシア・セネガル、アカシア・スペシオサ、アカシア・アラビカ、A.シーシア、A.ペナタ、A.シニュータ、A.ミールンシイ、A.ピクナンタ、A.ディールバタ、A.アウリクリホルミス、A.ホロセレシアおよびA.マンギウムから成る群より選択される植物種より単離されている、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記フリーB環フラボノイドが、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離されていて、前記フラバンが、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離されている、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
組成物を、1日基準で0.01mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で投与する、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
投与経路が、経口投与、局所投与、坐剤投与、静脈内投与および皮内投与、胃内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
糖質誘導性疾患または状態が、高脂血症;高コレステロール;動脈硬化症;アテローム性動脈硬化症;症候群X;肥満症および糖尿病によって引き起こされる全身性炎症状態;および高血圧症から成る群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項28】
糖質誘導性肥満症の抑制方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物を含んで成る組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項29】
前記組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
物質の組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、約80:20である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記フリーB環フラボノイドが、次の構造:
【化5】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H;−OH;−SH;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネートを含めた薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記フラバンが、次の構造:
【化6】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルから成る群より独立して選択されるもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートが含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、有機合成によって得られているまたは植物より単離されている、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、新芽、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分から成る群より選択される植物部分より単離されている、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記フリーB環フラボノイドが、バンレイシ科、キク科、ノウゼンカズラ科、シクンシ科、キク科、トウダイグサ科、シソ科、クスノキ科、マメ科、クワ科、マツ科、イノモトソウ科、ヒメウラジロ科、ニレ科およびショウガ科から成る群より選択される植物科より単離されている、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記フリーB環フラボノイドが、デスモス、アキロクリン、オロキシルム、ブケナビア、アナファリス、コツラ、ハハコグサ、ヘリクリスム、センタウレア、フジバカモ、バッカリス、シラキ、スクテラリア、モルサ、コレブローケア、スタキス、オリガヌム、ジジホラ、リンデラ、アクチノダフネ、アカシア、デリス、グリシリザ、ミレティア、ポンガミア、テフロシア、パンノキ、イチジク、ピチログランマ、ノトレナ、アカマツ、ハルニレおよびハナミョウガから成る群より選択される植物属より単離されている、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記フラバンが、アカシア・カテキュ、アカシア・コンシナ、アカシア・ファルネシアナ、アカシア・セネガル、アカシア・スペシオサ、アカシア・アラビカ、A.シーシア、A.ペナタ、A.シニュータ、A.ミールンシイ、A.ピクナンタ、A.ディールバタ、A.アウリクリホルミス、A.ホロセレシアおよびA.マンギウムから成る群より選択される植物種より単離されている、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記フリーB環フラボノイドが、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離されていて、前記フラバンが、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離されている、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
組成物を、1日基準で0.01mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で投与する、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
投与経路が、経口投与、局所投与、坐剤投与、静脈内投与および皮内投与、胃内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
フルクトース−1−リン酸アルドラーゼを抑制する方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物を含んで成る組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項42】
転写因子NFκBのゲノム減少と、その後のTNFαレベルおよびIL−6レベルの低下の方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物を含んで成る組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項1】
糖質誘導性体重増加を抑制する方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物を含んで成る組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
物質の組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、約80:20である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フリーB環フラボノイドが、次の構造:
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H;−OH;−SH;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネートを含めた薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フラバンが、次の構造:
【化2】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルから成る群より独立して選択されるもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートが含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、有機合成によって得られているまたは植物より単離されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、新芽、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分から成る群より選択される植物部分より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記フリーB環フラボノイドが、バンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクンシ科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、クスノキ科(Lauranceae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、イノモトソウ科(Pteridaceae)、ヒメウラジロ科(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびショウガ科(Zingiberaceae)から成る群より選択される植物科より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記フリーB環フラボノイドが、デスモス(Desmos)、アキロクリン(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス(Anaphalis)、コツラ(Cotula)、ハハコグサ(Gnaphalium)、ヘリクリスム(Helichrysum)、センタウレア(Centaurea)、フジバカモ(Eupatorium)、バッカリス(Baccharis)、シラキ(Sapium)、スクテラリア(Scutellaria)、モルサ(Molsa)、コレブローケア(Colebrookea)、スタキス(Stachys)、オリガヌム(Origanum)、ジジホラ(Ziziphora)、リンデラ(Lindera)、アクチノダフネ(Actinodaphne)、アカシア(Acacia)、デリス(Derris)、グリシリザ(Glycyrrhiza)、ミレティア(Millettia)、ポンガミア(Pongamia)、テフロシア(Tephrosia)、パンノキ(Artocarpus)、イチジク(Ficus)、ピチログランマ(Pityrogramma)、ノトレナ(Notholaena)、アカマツ(Pinus)、ハルニレ(Ulmus)およびハナミョウガ(Alpinia)から成る群より選択される植物属より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記フラバンが、アカシア・カテキュ(Acacia catechu)、アカシア・コンシナ(Acacia concinna)、アカシア・ファルネシアナ(Acacia farnesiana)、アカシア・セネガル(Acacia Senegal)、アカシア・スペシオサ(Acacia speciosa)、アカシア・アラビカ(Acacia arabica)、A.シーシア(A. caesia)、A.ペナタ(A. pennata)、A.シニュータ(A. sinuata)、A.ミールンシイ(A. mearnsii)、A.ピクナンタ(A. picnantha)、A.ディールバタ(A. dealbata)、A.アウリクリホルミス(A. auriculiformis)、A.ホロセレシア(A. holoserecia)およびA.マンギウム(A. mangium)から成る群より選択される植物種より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記フリーB環フラボノイドが、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離されていて、前記フラバンが、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離されている、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
組成物を、1日基準で0.01mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
投与経路が、経口投与、局所投与、坐剤投与、静脈内投与および皮内投与、胃内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
糖質誘導性疾患および状態を予防するおよび処置する方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物を含んで成る組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項15】
前記組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
物質の組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、約80:20である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フリーB環フラボノイドが、次の構造:
【化3】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H;−OH;−SH;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネートを含めた薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記フラバンが、次の構造:
【化4】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルから成る群より独立して選択されるもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートが含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、有機合成によって得られているまたは植物より単離されている、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、新芽、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分から成る群より選択される植物部分より単離されている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記フリーB環フラボノイドが、バンレイシ科、キク科、ノウゼンカズラ科、シクンシ科、キク科、トウダイグサ科、シソ科、クスノキ科、マメ科、クワ科、マツ科、イノモトソウ科、ヒメウラジロ科、ニレ科およびショウガ科から成る群より選択される植物科より単離されている、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記フリーB環フラボノイドが、デスモス、アキロクリン、オロキシルム、ブケナビア、アナファリス、コツラ、ハハコグサ、ヘリクリスム、センタウレア、フジバカモ、バッカリス、シラキ、スクテラリア、モルサ、コレブローケア、スタキス、オリガヌム、ジジホラ、リンデラ、アクチノダフネ、アカシア、デリス、グリシリザ、ミレティア、ポンガミア、テフロシア、パンノキ、イチジク、ピチログランマ、ノトレナ、アカマツ、ハルニレおよびハナミョウガから成る群より選択される植物属より単離されている、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記フラバンが、アカシア・カテキュ、アカシア・コンシナ、アカシア・ファルネシアナ、アカシア・セネガル、アカシア・スペシオサ、アカシア・アラビカ、A.シーシア、A.ペナタ、A.シニュータ、A.ミールンシイ、A.ピクナンタ、A.ディールバタ、A.アウリクリホルミス、A.ホロセレシアおよびA.マンギウムから成る群より選択される植物種より単離されている、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記フリーB環フラボノイドが、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離されていて、前記フラバンが、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離されている、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
組成物を、1日基準で0.01mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で投与する、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
投与経路が、経口投与、局所投与、坐剤投与、静脈内投与および皮内投与、胃内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
糖質誘導性疾患または状態が、高脂血症;高コレステロール;動脈硬化症;アテローム性動脈硬化症;症候群X;肥満症および糖尿病によって引き起こされる全身性炎症状態;および高血圧症から成る群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項28】
糖質誘導性肥満症の抑制方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物を含んで成る組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項29】
前記組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、99.9:0.1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜0.1:99.9のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
物質の組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、約80:20である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記フリーB環フラボノイドが、次の構造:
【化5】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、−H;−OH;−SH;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネートを含めた薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記フラバンが、次の構造:
【化6】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、H;−OH;−SH;−OCH3;−SCH3;−OR;−SR;−NH2;−NHR;−NR2;−NR3+X−;置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルから成る群より独立して選択されるもの;アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学誘導体を含めた単一の糖または多数の糖組合せを有する炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバン類から成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートが含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、有機合成によって得られているまたは植物より単離されている、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、新芽、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分から成る群より選択される植物部分より単離されている、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記フリーB環フラボノイドが、バンレイシ科、キク科、ノウゼンカズラ科、シクンシ科、キク科、トウダイグサ科、シソ科、クスノキ科、マメ科、クワ科、マツ科、イノモトソウ科、ヒメウラジロ科、ニレ科およびショウガ科から成る群より選択される植物科より単離されている、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記フリーB環フラボノイドが、デスモス、アキロクリン、オロキシルム、ブケナビア、アナファリス、コツラ、ハハコグサ、ヘリクリスム、センタウレア、フジバカモ、バッカリス、シラキ、スクテラリア、モルサ、コレブローケア、スタキス、オリガヌム、ジジホラ、リンデラ、アクチノダフネ、アカシア、デリス、グリシリザ、ミレティア、ポンガミア、テフロシア、パンノキ、イチジク、ピチログランマ、ノトレナ、アカマツ、ハルニレおよびハナミョウガから成る群より選択される植物属より単離されている、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記フラバンが、アカシア・カテキュ、アカシア・コンシナ、アカシア・ファルネシアナ、アカシア・セネガル、アカシア・スペシオサ、アカシア・アラビカ、A.シーシア、A.ペナタ、A.シニュータ、A.ミールンシイ、A.ピクナンタ、A.ディールバタ、A.アウリクリホルミス、A.ホロセレシアおよびA.マンギウムから成る群より選択される植物種より単離されている、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記フリーB環フラボノイドが、スクテラリア属植物の一つまたは複数の植物より単離されていて、前記フラバンが、アカシア属植物の一つまたは複数の植物より単離されている、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
組成物を、1日基準で0.01mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で投与する、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
投与経路が、経口投与、局所投与、坐剤投与、静脈内投与および皮内投与、胃内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
フルクトース−1−リン酸アルドラーゼを抑制する方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物を含んで成る組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項42】
転写因子NFκBのゲノム減少と、その後のTNFαレベルおよびIL−6レベルの低下の方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物を含んで成る組成物の有効量を投与することを含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2006−519231(P2006−519231A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503820(P2006−503820)
【出願日】平成16年2月24日(2004.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/005353
【国際公開番号】WO2004/075844
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(504000568)ユニゲン・ファーマシューティカルス・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月24日(2004.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/005353
【国際公開番号】WO2004/075844
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(504000568)ユニゲン・ファーマシューティカルス・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】
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