説明

炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリ

中心部に第1の軸穴が開けられており、第1の軸穴の周りに、複数の第1の穴が開けられている炭素−セラミックブレーキディスクと、中心部に第2の軸穴が開けられており、第2の軸穴の周りに、複数の第2の穴が開けられているハットパーツと、炭素−セラミックブレーキディスクとハットパーツとを結合する結合部材と、を含み、結合部材は、第1の穴に挿入されるボディと、ボディから突出され、第2の穴の内周面を食い込むセレーションを備えたブッシュと、ブッシュの中心部を貫通するネジ穴に締結されるボルトと、を含んで構成される炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のブレーキは、ドラム式ブレーキとディスクブレーキの2つのカテゴリーに分けられる。ディスクブレーキは、ディスクとパッドとから構成される。
ディスクブレーキは、パッドを回転しているディスクに合わせることで動いている自動車を減速したり停止させたりする。ブレーキ操作は、運動エネルギーを熱に変える。従って、ディスクとパッドは、軽量で、かつ耐衝撃性、耐食性、耐摩耗性、高強度、高摩擦係数を持つ必要がある。このため、ディスクとパッドの製造には、シリコーン含侵炭素繊維強化カーボンが適した材料である。
【0003】
図1は、従来の炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリを示す分解斜視図である。図2は、図1のブッシュを示す斜視図である。
図1に示すように、従来の炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリ100は、炭素−セラミックブレーキディスク110と、ハットパーツ(hat part)120と、結合部材130とから構成される。
【0004】
炭素−セラミックブレーキディスク110は、シリコーン含侵炭素繊維強化カーボンから製造される。炭素−セラミックブレーキディスク110は、その中心部に第1の軸穴111が開けられ、その第1の軸穴111の周りに、複数の穴112が同一円上に同じ間隔(P1)に開けられている。
【0005】
炭素−セラミックブレーキディスク110は、横に貫通された冷却チャネル113を備えて、冷却チャネル113を介して空気が入ってきて、炭素−セラミックブレーキディスク110を冷却させる。
【0006】
ハットパーツ120は、ステンレス鋼などの金属材で作られる。ハットパーツ120の中心には、第2の軸穴121が開けられている。ハットパーツ120の縁には、複数の長穴122が同じ間隔(P2)に開けられている。長穴122は、前面が曲面であり、両側面が平面であり、後面が開いている。
前記複数の穴112と、前記複数の穴122とは向かい合っている。
【0007】
結合部材130は、炭素−セラミックブレーキディスク110とハットパーツ120とを結合する。結合部材130は、ブッシュ131とボルト132とから構成される。図2に示すように、ブッシュ131は、キャップ131aと、ヘッド131bと、ボディ131cとから構成される。
【0008】
ヘッド131bは、前面が曲面であり、両側面と背面とが平面である。ヘッド131bは、長穴122に挿入される。ヘッド131bの両側面が平面であり、長穴122の両側面も平面なので、ヘッド131bが長穴122に挿入されると、ブッシュ131が自転しない。従って、ブッシュ131が自転することによりボルト132が解けて炭素−セラミックブレーキディスク110とハットパーツ120とが分離するのが防止される。
【0009】
キャップ131aと、ヘッド131bと、ボディ131cとの中心部をネジ穴131dが貫通する。
ボルト132は、ネジ穴131dに締結される。
【0010】
以下、従来の炭素−セラミックブレーキディスクとハットパーツとを結合する方法を説明する。
炭素−セラミックブレーキディスク110上にハットパーツ120を載置して、長穴122と穴112とを向かい合うようにする。
ヘッド131bを長穴122に挿入し、ボディ131cを穴112に挿入する。ボルト132をネジ穴131dに締結して、炭素−セラミックブレーキディスク110とハットパーツ120とを結合させる。
【0011】
従来は、ブッシュ131が回転することを防止するために、ヘッド131bの前面を曲面に加工し、両側面と背面とを平面に加工し、ヘッド131bと同じ形状を持つ長穴122をハットパーツ120の縁に開けなければならない。しかしながら、ヘッド131bの前面を曲面に加工し、両側面と背面とを平面に加工し、ハットパーツ120の縁に、前面が曲面であり、両側面が平面であり、背面が開いている長穴122を形成するのが容易ではなかった。これにより、加工コストも高くなった。
【0012】
また、ヘッド131bが長穴122に挿入された後、回転しないためには、ヘッド131bを極めて小さな誤差で加工し、長穴122を極めて小さな誤差で開けなければならなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、炭素−セラミックブレーキディスクとハットパーツとを結合させる構造を簡単にし、加工コストも削減することにある。また、炭素−セラミックブレーキディスクとハットパーツとをしっかりと結合させるのに他の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するための本発明による炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリは、中心部に第1の軸穴が開けられており、第1の軸穴の周りに、複数の第1の穴が開けられている炭素−セラミックブレーキディスクと、中心部に第2の軸穴が開けられており、第2の軸穴の周りに、複数の第2の穴が開けられているハットパーツと、炭素−セラミックブレーキディスクとハットパーツとを結合させる結合部材と、を含み、結合部材は、第1の穴に挿入されるボディと、ボディから突出され、第2の穴の内周面を食い込むセレーションを備えたブッシュと、ブッシュの中心部を貫通するネジ穴に締結されるボルトと、を含む構成である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリを示す分解斜視図である。
【図2】図1のブッシュを示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリを示す分解斜視図である。
【図4】図3のブッシュを示す斜視図である。
【図5】図3のセレーションが第2の穴の内周面を食い込んだ状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリを詳細に説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリを示す分解斜視図である。図4は、図3のブッシュを示す斜視図である。図5は、図3のセレーションが第2の穴の内周面を食い込んだ図である。
【0017】
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリ200は、炭素−セラミックブレーキディスク210と、ハットパーツ220と、結合部材230とから構成される。
炭素−セラミックブレーキディスク210は、シリコーン含侵炭素繊維強化カーボンで作られる。
【0018】
炭素−セラミックブレーキディスク210の中心部には、第1の軸穴211が開けられている。第1の軸穴211の周囲に複数の第1の穴212が同一円上に同じ間隔(P1)に開けられている。
炭素−セラミックブレーキディスク210は、横に貫通された冷却チャネル213を備えている。冷却チャネル213を介して空気が入ってきて、炭素−セラミックブレーキディスク210を冷却させる。
【0019】
ハットパーツ220は、ステンレス鋼などの金属素材で作られる。好ましくは、SUS 304材質で作られる。ハットパーツ220の中心部には、第2の軸穴221が開けられている。ハットパーツ220には、第2の軸穴221の周りに、複数の第2の穴222が同一円上に同じ間隔(P2)で開けられている。
前記複数の第1の穴212と前記複数の第2の穴222とは、向かい合っている。
【0020】
結合部材230は、炭素−セラミックブレーキディスク210とハットパーツ220とを結合させる。結合部材230は、ブッシュ231と、ボルト232と、ナット233とから構成される。
【0021】
図4に示すように、ブッシュ231は、キャップ231aと、ボディ231bと、セレーション231cとから構成される。キャップ231a、ボディ231bの中心部を、ネジ穴231dが貫通する。
【0022】
ブッシュ231は、ハットパーツ220の材質よりも硬度が高い金属材質で作られる。好ましくは、ハットパーツ220の材質であるSUS 304よりも硬度が高いSUS 410材質で作られる。
【0023】
ボディ231bの直径は、第2の穴222の直径と同じであり、第1の穴221の直径よりも小さい。これにより、ボディ231bは、第1の穴221とは容易に着脱されるが、第2の穴222には、一度結合されると、分離が容易ではない。
【0024】
セレーション231cは、ボディ231bの外周面から突出する。セレーション231cは、ボディ231bの外周面を旋盤で加工して形成する。セレーション231cの高さ(H)は、0.1〜0.2mmであることが望ましい。セレーション231cは、ブッシュ231の長さ方向に形成される。セレーション231cの個数は、ブッシュ231が回転することを防止するために、20個〜30個であることが望ましい。
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る炭素−セラミックブレーキディスクとハットパーツとを結合させる方法を説明する。
図3及び図4を参照すると、第2の穴222にブッシュ231を打ち込む。図5に示すように、セレーション231cは、第2の穴222の内周面を食い込む。
【0026】
ブッシュ231は、ハットパーツ220の材質であるSUS304よりも硬度が高いSUS410材質で作られ、セレーション231cの高さが、0.1〜0.2mmであるため、セレーション231cは、第2の穴222の内周面を容易に食い込む。セレーション231cが第2の穴222の内周面を食い込めば、ブッシュ231が回転することが防止される。
【0027】
次に、第1の穴212と第2の穴222とを向かい合うようにし、ボディ231bを第1の穴212に挿入する。ネジ穴231dにボルト232を締結する。ネジ穴231dから抜け出たボルト232の端部にナット233を締結して、炭素−セラミックブレーキディスク210とハットパーツ220とを結合する。
【0028】
本発明に係る炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリは、第1に、従来とは異なり、ブッシュのヘッドの前面を曲面に、かつ両側面と背面を平面に加工し、ハットパーツの縁に、前面が曲面であり、両側面が平面であり、背面が開いている長穴を開ける代わりに、ブッシュにセレーションを形成し、ハットパーツにセレーションが食い込む第2の穴を開ける。これにより、炭素−セラミックブレーキディスクとハットパーツとを結合させる構造が簡素化され、加工コストも減る。また、炭素−セラミックブレーキディスクとハットパーツとがしっかりと結合される。
【0029】
第2に、ブッシュがヘッドを備える代わりに、セレーションを備えており、ブッシュの重量を従来に比べて40%減ることができる。
第3に、ブッシュのネジ穴から抜け出たボルトの端部にナットを締結して、炭素−セラミックブレーキディスクとハットパーツとを、さらにしっかりと結合させることができる。
【符号の説明】
【0030】
200;炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリ
210;炭素−セラミックブレーキディスク
211;第1の軸穴
212;第1の穴
213;冷却チャネル
220;ハットパーツ
221;第2の軸穴
222;第2の穴
230;結合部材
231;ブッシュ
231a;キャップ
231b;ボディ
231c;セレーション
231d;ネジ穴
232;ボルト
233;ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部に第1の軸穴が開けられており、前記第1の軸穴の周りに、複数の第1の穴が開けられている炭素−セラミックブレーキディスクと、
中心部に第2の軸穴が開けられており、前記第2の軸穴の周りに、複数の第2の穴が開けられているハットパーツと、
前記炭素−セラミックブレーキディスクと、前記ハットパーツとを結合する結合部材と、を含み、
前記結合部材は、前記第1の穴に挿入されるボディと、前記ボディから突出され、前記第2の穴の内周面を食い込むセレーションを備えたブッシュと、前記ブッシュの中心部を貫通するネジ穴に締結されるボルトと、を含んで構成されることを特徴とする炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリ。
【請求項2】
前記複数の第1の穴は、同一円上に同じ間隔で開けられており、前記複数の第2の穴は、同一円上に同じ間隔に開けられており、前記複数の第1の穴と、前記複数の第2の穴とは、互いに向かい合っていることを特徴とする請求項1に記載の炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリ。
【請求項3】
前記ブッシュは、前記ハットパーツよりも硬度の高い材質で作られることを特徴とする請求項1に記載の炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリ。
【請求項4】
前記ブッシュは、ステンレス鋼SUS410材質で作られ、前記ハットパーツは、ステンレス鋼SUS304材質で作られることを特徴とする請求項3に記載の炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリ。
【請求項5】
前記ブッシュのボディの直径は、前記第2の穴の直径と同じであり、前記第1の穴の直径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリ。
【請求項6】
前記セレーションの高さは、0.1〜0.2mmであることを特徴とする請求項1に記載の炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリ。
【請求項7】
前記結合部材は、前記ねじ穴から抜け出した前記ボルトの先端に締結されたナットをさらに含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の炭素−セラミックブレーキディスクアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−504022(P2013−504022A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527804(P2012−527804)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/KR2009/007392
【国際公開番号】WO2011/027945
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(512053060)デク カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】