説明

炭素材の製造方法、二次電池用負極材料及び二次電池

【課題】 リチウムイオン二次電池負極材に適用することができ、高効率、高容量である二次電池に用いられる炭素材を得ることができる炭素材用フェノール樹脂組成物と、これを炭化処理してなる炭素材及び製造方法を提供する。
【解決手段】 市販のレゾール型フェノール樹脂1000部を、電気炉中80℃で3時間、熱処理を行いながらメタノールを揮発除去させた後、400℃まで100℃/時で昇温し、400℃で3時間保持後、室温まで冷却し炭素前駆体を得た後、平均粒径が20μm程度になるまで粉砕を行い、粉末状の炭素前駆体を得た。
得られた粉末状の炭素前駆体を、水素:窒素=3:97(容積比)の雰囲気下、100℃/時で昇温して、1100℃に到達した後、3時間維持して炭素材を得た。
得られた炭素材をリチウムイオン二次電池用負極材に用いた場合、高充放電効率、高充放電容量を有する二次電池を得ることができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素材の製造方法、二次電池用負極材料及び二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、リチウムイオン二次電池の負極に使用されている材料としては、主として天然グラファイト、及び、人造グラファイトが挙げられる。この材料の特徴は、理論充放電容量が372mAh/gであり、充放電効率が90%以上と高いこと、また、難黒鉛化炭素材と比較して、密度が高いことが挙げられる。
グラファイトに関しては、電極密度を向上させるために様々な検討がなされており、燐片状、ミルド状、球状など、さまざまな形状を付与する検討がなされている。さらに、充放電効率を高めるなどの検討もなされているが、(例えば、特許文献1、非特許文献1参照。)更なる検討が必要とされている、
【0003】
また、黒鉛などの炭素材料の他に、フェノール樹脂などを出発原料とする難黒鉛化材などにも同様な検討がされているが、出発原料により製造方法が異なるため出発原料に対して適切な熱処理を行わないと良質の炭素材を得ることが難しいのが現状である。
【0004】
【特許文献1】特開平10−284061号公報
【非特許文献1】J.Electrochem.Soc.,Wt.142,No.8,1995
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、難黒鉛化材におけるこのような問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、フェノール樹脂組成物を炭化してなる炭素材をリチウムイオン二次電池用負極材に用いた場合、高充放電効率、高充放電容量を実現し得る炭素材の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、以下の[1]〜[6]に記載の本発明により達成される。
[1] フェノール樹脂組成物を熱処理してなる炭素材の製造方法であって、前記熱処理雰囲気が、水素ガスを1〜5容積%含有することを特徴とする炭素材の製造方法。
[2] フェノール樹脂組成物に対する水素ガス量が1〜5容積%である[1]項記載の炭素材の製造方法。
[3] 前記熱処理温度が900〜1400℃である[1]又は[2]項記載の炭素材の製造方法。
[4] [1]〜[3]項のいずれかに記載の炭素材の製造方法によって得られることを特徴とする炭素材。
[5] [4]項に記載の炭素材を含有することを特徴とする二次電池用負極材料。
[6] [5]項に記載の二次電池用負極材料を用いることを特徴とする二次電池。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特に、二次電池負極材として用いた場合に、高充放電容量、且つ高充放電効率の良質な炭素材を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
まず、本発明の炭素材の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある)について詳細に説明する。
【0009】
本発明の製造方法に用いられるフェノール樹脂組成物は、フェノール類とアルデヒド類とを公知の方法により反応させて得られるものであり、例えば、酸性触媒の存在下で反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂、塩基性触媒の存在下で反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂などが挙げられ、これらを単独又は併せて用いることができる
【0010】
上記フェノール樹脂の合成に用いられるフェノール類としては特に限定されないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、および1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン、およびその異性体等の多価フェノール類が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0011】
また、上記フェノール樹脂の合成に用いられるアルデヒド類としては特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0012】
ノボラック型フェノール樹脂を用いる場合は、樹脂とともに硬化剤を使用することができる。硬化剤としては特に限定されないが、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、トリオキサン、パラホルムアルデヒド等のアルデヒド源、レゾール樹脂、酸触媒、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0013】
硬化剤の使用量は特に限定されないが、通常、フェノール樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部使用することができる。なお、フェノール樹脂類は基本的に熱硬化性樹脂であるため、硬化処理を行うと三次元架橋反応により、第1の熱処理の際には主に固相状態を保持する。具体的には、フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂を用いる場合は、まず、ノボラック型フェノール樹脂に硬化剤であるヘキサメチレンテトラミンを添加して硬化反応を行う。本発明の製造方法においては、用いるフェノール樹脂類を完全に硬化させてもいいし、熱処理時にフェノール樹脂類の一部が溶融するように硬化剤を意識的に減らしても良い。また、硬化剤を添加しなくても良い。
また、自硬性のレゾール型フェノール樹脂を用いる場合は、レゾール型フェノール樹脂に対して、酸や硬化促進剤を加えても良いし、硬化度を低下させるためにノボラック型フェノール樹脂を加えても良い。また、それらを組合せて用いることもできる。
【0014】
本発明の製造方法では、上記フェノール樹脂類、および硬化剤、硬化促進剤などからなる混合物をフェノール樹脂組成物として用いるものとする。
【0015】
また、本発明の炭素材の製造方法は、フェノール樹脂組成物を、水素ガスを1〜5容積%含有する雰囲気で熱処理を行うものである。
本発明の熱処理を行う雰囲気は、水素ガスが1〜5容積%であればそれ以外は特に限定されないが、残りの95〜99重量%の雰囲気としては、大気、アルゴン、窒素、ヘリウム、ネオン、二酸化炭素などの不活性ガスが挙げられ、これらを2種以上組み合わせた熱処理雰囲気条件でも良い。
【0016】
また、熱処理雰囲気中の水素ガスのフェノール樹脂組成物に対する量は、1〜5容積%であることが好ましい。さらに好ましくは2〜4容積%である。フェノール樹脂組成物に対して雰囲気水素容積が上記範囲内であると、熱処理の際にフェノール樹脂組成物より発生する芳香族、および炭化水素系揮発分が効率よく雰囲気中の水素と反応するため、揮発分の分解が促進され、揮発分を炉系外に除去することが容易となる。揮発分が容易に除去されることにより、フェノール樹脂組成物よりなる炭素材の細孔構造が発達し、得られた炭素材をリチウムイオン二次電池に用いた場合にリチウムイオンがインターカレーションできる細孔の形成が促進されるため、得られた炭素材をリチウムイオン二次電池の負極として用いた場合には高い充放電効率、および放電容量を得ることができる。また、微量の水素雰囲気下で炭化することにより、フェノール樹脂中に含まれる酸素原子の除去が効率的に行われるため、得られる炭素材の炭素含有量を向上させることができる。炭素材中の炭素含有量が向上することにより、得られる炭素材をリチウムイオン二次電池に用いた場合に、電解液の分解反応などを抑制することができるため充放電効率、サイクル性などを向上させることができる。逆に、水素ガスが上記下限値未満の雰囲気で熱処理を行うと、揮発分の分解、除去がスムーズに行われないため、炭素材の細孔構造が未発達になりやすく、得られた炭素材をリチウムイオン二次電池に用いた場合にリチウムイオンがインターカレーションできる細孔が減少するため放電容量が低下してしまう。また、水素ガスが上記上限値を超えた雰囲気で熱処理を行うと、揮発分は完全に分解されるが、フェノール樹脂組成物を前駆体とする炭素材表面炭素が水素と反応してしまい、リチウムイオンのインターカレーションに寄与しない炭素材表面細孔が多く生成してしまう。結果として二次電池の充放電効率の低下、および炭素材収得量の低下などが引き起こされるため好ましくない。
【0017】
この熱処理を行う時間としては特に限定されないが、通常、最終熱処理温度まで1〜50時間で行うことが好ましい。また、最終熱処理温度は900℃〜1400℃であることが好ましく、より好ましくは1000℃〜1300℃である。この最終熱処理温度範囲で、熱処理を行う時間としては通常1〜15時間で行うことができるが特に限定されるものではない。
【0018】
最終熱処理温度を前記の温度範囲とすることにより、得られる炭素材をリチウムイオン二次電池負極材料としたときに好ましい比表面積、細孔構造とすることができる。上記温度以上で熱処理をすると、細孔構造が発達しすぎてしまい、環縮合に伴う細孔径の縮小が起こりリチウムイオンが入れない大きさの細孔が多く生成してしまう。そのため、リチウムイオン二次電池負極とした場合に充電容量が著しく低下してしまい重量エネルギー密度が低下するため好ましくない。
【0019】
最終熱処理温度範囲が、上記下限値以下であると、炭素材の細孔径がリチウムイオンに対して大きすぎるため、炭素材中にクラスター状態で収納されるリチウムイオンが増加するため、充電容量は増加するが充放電効率が低下してしまうため好ましくない。また、上記下限値以下で熱処理をすることにより、水素原子や酸素原子が炭素材中に多く残留してしまうためサイクル性が低下してしまう。同様に、細孔容積が大きく細孔径も大きいため、炭素材料の真密度が低下するため、リチウムイオン二次電池の体積エネルギー密度が低下するため好ましくない。
また、出発原料であるフェノール樹脂組成物にあわせ、途中の温度域で処理時間を遅めてもよいし、逆に早めてもよい。揮発成分が多く発生する温度域では、揮発分の除去を完全に行うために処理条件をホールドしてもよい。
【0020】
また、熱処理の昇温速度は特に限定されないが、通常、50〜200℃/時で昇温を行うことが好ましい。冷却速度についても特に限定されないが、通常、50〜400℃/時で冷却を行うことが好ましい。
【0021】
なお、不活性雰囲気を開放する温度は、室温〜100℃とすることができる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例により説明する。しかし、本発明は実施例に限定されるものではない。また、実施例、比較例で示される「部」及び「%」は、全て「重量部」及び「重量%」とする。
(実施例1)
市販のレゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製・「PR−50087」)1000部を、電気炉中80℃で3時間、熱処理を行いながらメタノールを揮発除去させた後、400℃まで100℃/時で昇温し、400℃で3時間保持後、室温まで冷却し炭素前駆体を得た後、平均粒径が20μm程度になるまで粉砕を行い、粉末状の炭素前駆体を得た。
得られた粉末状の炭素前駆体を、水素:窒素=3:97(容積比)の雰囲気下、100℃/時で昇温して、1100℃に到達した後、3時間維持して炭素材を得た。
【0023】
(実施例2)
市販のレゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製・「PR−50087」)1000部を、電気炉中80℃で3時間、熱処理を行いながらメタノールを揮発除去させた後、400℃まで100℃/時で昇温し、400℃で3時間保持後、室温まで冷却し炭素前駆体を得た後、平均粒径が20μm程度になるまで粉砕を行い、粉末状の炭素前駆体を得た。
得られた粉末状の炭素前駆体を、水素:窒素=3:97(容積比)の雰囲気下、100℃/時で昇温して、1100℃に到達した後、1時間維持して炭素材を得た。
【0024】
(実施例3)
市販のレゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製・「PR−50087」)1000部を、電気炉中80℃で3時間、熱処理を行いながらメタノールを揮発除去させた後、400℃まで100℃/時で昇温し、400℃で3時間保持後、室温まで冷却し炭素前駆体を得た後、平均粒径が20μm程度になるまで粉砕を行い、粉末状の炭素前駆体を得た。
得られた粉末状の炭素前駆体を、水素:アルゴン:窒素=2:1:97(容積比)の雰囲気下、100℃/時で昇温して、1100℃に到達した後、3時間維持して炭素材を得た。
【0025】
(実施例4)
市販のノボラック型フェノール樹脂住友ベークライト株式会社製・「PR−50731」)900部と、ヘキサメチレンテトラミン100部とを粉砕混合した後、400℃まで100℃/時で昇温し、400℃で3時間保持後、室温まで冷却し炭素前駆体を得た後、平均粒径が20μm程度になるまで粉砕を行い、粉末状の炭素前駆体を得た。
得られた粉末状の炭素前駆体を、水素:窒素=3:97(容積比)の雰囲気下、100℃/時で昇温して、1100℃に到達した後、3時間維持して炭素材を得た。
【0026】
(比較例1)
市販のレゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製・「PR−50087」)1000部を、電気炉中80℃で3時間、熱処理を行いながらメタノールを揮発除去させた後、400℃まで100℃/時で昇温し、400℃で3時間保持後、室温まで冷却し炭素前駆体を得た後、平均粒径が20μm程度になるまで粉砕を行い、粉末状の炭素前駆体を得た。
得られた粉末状の炭素前駆体を、水素:窒素=7:93(容積比)の雰囲気下、100℃/時で昇温して、1100℃に到達した後、3時間維持して炭素材を得た。
【0027】
(比較例2)
市販のノボラック型フェノール樹脂住友ベークライト株式会社製・「PR−50731」)900部と、ヘキサメチレンテトラミン100部とを粉砕混合した後、400℃まで100℃/時で昇温し、400℃で3時間保持後、室温まで冷却し炭素前駆体を得た後、平均粒径が20μm程度になるまで粉砕を行い、粉末状の炭素前駆体を得た。
得られた粉末状の炭素前駆体を、水素:窒素=0.1:99.9(容積比)の雰囲気下、100℃/時で昇温して、1100℃に到達した後、3時間維持して炭素材を得た。
(炭素材の評価)
【0028】
電池特性の評価
(1)正極の作製
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)を用い、これにアセチレンブラックとポリビニリデンフルオライド(PVDF)とをそれぞれ5%の割合で配合し、さらに、希釈溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを適量加えて混合し、スラリー状の正極混合物を調製した。
この正極スラリー状混合物を25μmのアルミ箔の両面に塗布し、その後、110℃で1時間真空乾燥した。真空乾燥後、ロールプレスによって電極を加圧成形した。これを幅40mmで長さ280mmの大きさに切り出し正極を作製した。この正極の両端10mmの部分はアルミ箔が露出しており、この一方に正極タブを圧着した。
【0029】
(2)負極の作製
上記で得られた炭素材を用い、これに対して結合剤としてポリフッ化ビニリデン10%、アセチレンブラック3%の割合でそれぞれ配合し、さらに、希釈溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを適量加え混合し、スラリー状の負極混合物を調製した。
この負極スラリー状混合物を10μmの銅箔の両面に塗布し、その後、110℃で1時間真空乾燥した。真空乾燥後、ロールプレスによって電極を加圧成形した。これを幅40mmで長さ290mmの大きさに切り出し負極を作製した。この負極の両端10mmの部分は銅箔が露出しており、この一方に負極タブを圧着した。
【0030】
(3)二次電池の作製
上記正極、セパレータ(ポリプロピレン製多孔質フィルム:幅45mm、厚さ25μm)、上記負極、セパレータ、上記正極…の順で上記負極が外側になるよう渦巻き状に捲回して電極を作製した。作製した電極を単三型の電池缶に挿入して、負極タブを缶底と溶接した。さらに、電解液としてエチレンカーボネートとジエチレンカーボネートの混合液(体積比が1:1)に、過塩素酸リチウムを1[モル/リットル]の濃度で溶解させたものを用意し、これを上記電池缶内に注入した後、正極タブを正極蓋に溶接し、正極蓋をしめ付けて二次電池を作製した。
【0031】
(4)評価
充電容量については、充電時の電流密度を25mA/gとして定電流充電を行い、電位が0Vに達した時点から、0Vで定電圧充電を行い、電流密度が1.25mA/gになるまでに充電した電気量を充電容量とした。
一方、放電容量については、放電時の電流密度も25mA/gとして定電流放電を行い、電位が2.5Vに達した時点から、2.5Vで定電圧放電を行い、電流密度が1.25mA/gになるまでに放電した電気量を放電容量とした。
上記各々の1サイクル目の充電容量を初期充電容量、放電容量を初期放電容量といい、両者の比率(初期放電容量/初期充電容量)を初期充放電効率とした。
以上の評価結果を表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
表1の結果より、実施例1〜4はいずれも、熱処理雰囲気中の水素ガス量が適切であったため、リチウムイオン二次電池用負極材に用いた場合、比較例1〜2よりも高充放電効率、高充放電容量を有する二次電池を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明で得られた炭素材をリチウムイオン二次電池用負極材として用いた場合、充放電特性に優れるリチウムイオン二次電池を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール樹脂組成物を熱処理してなる炭素材の製造方法であって、前記熱処理雰囲気が、水素ガスを1〜5容積%含有することを特徴とする炭素材の製造方法。
【請求項2】
フェノール樹脂組成物に対する水素ガス量が1〜5容積%である請求項1記載の炭素材の製造方法。
【請求項3】
前記熱処理温度が900〜1400℃である請求項1又は2記載の炭素材の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の炭素材の製造方法によって得られることを特徴とする炭素材。
【請求項5】
請求項4に記載の炭素材を含有することを特徴とする二次電池用負極材料。
【請求項6】
請求項5に記載の二次電池用負極材料を用いることを特徴とする二次電池。

【公開番号】特開2008−10224(P2008−10224A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177515(P2006−177515)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】