説明

炭素質供給原料由来の有用な生成物の調製方法および調製装置

【課題】独自の触媒、供給原料改質器において形成される合成ガスの含量を制御することで所望のアルコールを製造する方法の提供。
【解決手段】炭素質供給原料を供給原料改質器で改質し生成した合成ガスから二酸化炭素が除去して水素、一酸化炭素およびメタンを含む二酸化炭素除去合成ガスストリームを得る。次いで、この二酸化炭素除去合成ガスストリームをフィッシャー−トロプシュ反応器を通じて、最終的に、好ましくは大部分がエタノールである混合アルコール生成物を得る。上記除去された二酸化炭素ストリームは、フィッシャー−トロプシュ反応器で生成されるかまたはフィッシャー−トロプシュ反応器を通過したメタンとともにメタン改質器に通されて、主に一酸化炭素および水素とし、さらに触媒アルコール用反応器に通じさせる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、炭素質供給原料の有用な生成物への変換に関する。用語「炭素質」とは、本
明細書中で使用される場合、安定な炭素サイクルの一部である有機物だけではなく化石化
した有機物(例えば、石炭、石油および天然ガスならびにそれらの生成物、誘導体および
副生成物(例えば、プラスチック、石油コークスなど))も含む。このようなプロセスに
おける第1の工程は、いわゆる「改質器(reformer)」における、上記供給原料
の水素、一酸化炭素、二酸化炭素およびメタンのストリームへのガス化である。このスト
リームは合成ガスと呼ばれ、この合成ガスの発生については、特許文献1およびその他に
開示されている。この特許文献1は、酸化の第1工程を含み、この工程において、上記供
給原料の一部分に火をつけるために空気が使用される。次いで、得られたストリームは、
上記変換反応の第2段階において、「石炭スラリー」ストリームと混合される。特許文献
2は、水蒸気による上記供給原料の嫌気的反応を開示している。
【0002】
次いで、合成ガスストリームの中の種々の成分は、いわゆるフィッシャー−トロプシュ
反応器において他の化合物に変換され得る。この反応器において使用される触媒ならびに
使用される温度および圧力についてのある程度は、得られ得る生成物を決定する。
【0003】
非特許文献1に開示されるフィッシャー−トロプシュ反応は、コバルト−トリア触媒に
よる一酸化炭素および水素のアルカンへの変換を示す。特許文献3は、一酸化炭素および
水素からメタノールを生成するためのモリブデンまたはタングステン、コバルトまたはニ
ッケルおよびアルカリ促進剤またはアルカリ土類促進剤を含む3成分触媒を使用開示して
いる。特許文献4は、タンタル、ニオビウム、バナジウムまたはそれらの混合物と組み合
わせてルテニウムを使用することによって、メタンの生成を選択的に触媒する。特許文献
5(特許文献6)は、硫化モリブデン触媒または硫化タングステン触媒を使用し、供給源
中の硫黄放出物質の濃度を調節することによって、生成されるメタノールとより高級なア
ルコールとの比を制御する。
【0004】
一酸化炭素および水素の存在下で、メタノールをエタノールおよびより高級なアルコー
ルに変換することは、特許文献7および対応する特許文献8に開示されている。これらの
特許においては、モリブデンまたはタングステンおよびアルカリ元素またはアルカリ土類
元素から構成される不均一系触媒の使用によりこの変換を達成した。
【0005】
特許文献9は、合成ガスをメタノールに触媒的に変換し、そのメタノールをその反応混
合物から分離することによる、メタノールおよびエタノールの同時生成のためのプロセス
に係る。上記分離されたメタノールは、残りの過剰のガスとともに、コバルト触媒を用い
て高圧かつ高温でエタノールに変換される。この方法において、メタノールおよびエタノ
ールは、不均一系触媒系および均一系触媒系を用いて、2工程のプロセスで単一の原料物
質から生成される。均一化の前に上記過剰なガスが充分な一酸化炭素を含有しない場合、
新たな合成ガスが添加される。
【0006】
特許文献10において、天然ガスは、改質器中で一酸化炭素、二酸化炭素、水素および
未変換メタンの合成ガスストリームに変換される。この合成ガスストリーム全体は、フィ
ッシャー−トロプシュ反応器を通過してメタノールを生成する。上記未反応合成ガスは、
COストリーム、COストリームおよびCHストリームに分けられ、これらのストリ
ームは、上記改質器を介して再循環されて戻り;そして水素に富むストリームは、酸素と
混合され、燃焼されて、上記改質器に熱を提供する。
【0007】
特許文献11は、合成ガスストリームからCOを除去し、そして改質器を介して、水
蒸気および入ってくるメタンストリームとともにそのCOを再循環する。上記反応物は
、従ってCOが連続的に除去され、そして再循環される、合成ガスストリームを生成す
る。
【0008】
特許文献12は、より高級なアルコールがフィッシャー−トロプシュ反応器において供
給原料(石炭スラリー)合成ガスから生成され、生成された任意のメタノールは、上記フ
ィッシャー−トロプシュ反応器を介して再循環される技術の例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,872,886号明細書
【特許文献2】米国再発行特許発明第35,377号明細書
【特許文献3】米国特許第4,752,622号明細書
【特許文献4】米国特許第4,609,679号明細書
【特許文献5】米国特許第4,675,344号明細書
【特許文献6】カナダ国特許CA 1,267,160明細書
【特許文献7】米国特許第4.825.013号明細書
【特許文献8】カナダ国特許CA 1,268,189明細書
【特許文献9】独国特許出願公開第32 42 697号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第849,245号明細書
【特許文献11】国際公開第82/02547号パンフレット
【特許文献12】欧州特許出願公開第253,540号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】BrewsterおよびMcEwen、「Organic Chemisrty」、第3版、106頁下段、1961
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本発明の1つの局面は、アルコール変換方法のための炭素質供給原料を含み、この方法
において、二酸化炭素は、供給原料改質器から生じる合成ガスのストリームから除去され
、水素、一酸化炭素およびメタンを含有する二酸化炭素除去合成ガスストリームが得られ
る。次いで、この二酸化炭素除去合成ガスストリームは、フィッシャー−トロプシュ反応
器に通され、最終的に、好ましくは大部分がエタノールである混合アルコール生成物が得
られる。上記除去された二酸化炭素ストリームは、フィッシャー−トロプシュ反応器にお
いて生成されるかまたはフィッシャー−トロプシュ反応器を通過したメタンとともに、メ
タン改質器に通され、主に一酸化炭素および水素が得られる。上記メタン改質器からの一
酸化炭素および水素のストリームは、上記アルコール用反応器に通される。
【0012】
本発明の1つの局面は、独自の触媒、上記供給原料改質器において形成される合成ガス
の含量を制御するための方法および供給原料操作システムを含むが、これらに限定されな
い。本発明のこれらの特徴および他の特徴、利点ならびに局面は、書面の明細書および添
付の図面を参照することによって、完全に理解される(understand amd
appreciate)。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
炭素質供給原料をアルコールに変換するための方法であって、該方法は、
該供給原料を、水素、二酸化炭素および一酸化炭素を含有する第1の合成ガスの流れ
に改質する工程;
該二酸化炭素を該第1の合成ガスストリームから分離して、水素および一酸化炭素を
含有する第2の合成ガスストリームを得る工程であって、二酸化炭素は、該第2の合成ガ
スの流れから実質的に除去されている、工程;
該第2の合成ガスストリームを触媒反応器に通して、アルコールを生成する工程;
該方法において生成したメタンを、二酸化炭素とともにメタン改質器に向かわせて、
一酸化炭素および水素を生成する工程;
該メタン改質器からの該水素および一酸化炭素を、該触媒アルコール用反応器に通す
工程
を包含する、方法。
(項目2)
項目1に記載のプロセスであって、該プロセスにおいて生成したメタンは、前記アル
コール用反応器を通って、未反応の水素および未反応の一酸化炭素とともに再循環されて
戻され;
少なくとも数時間を除いて、少なくとも一部分の該未反応の水素、未反応の一酸化炭
素およびメタンは、前記メタン改質器に向けられる、プロセス。
(項目3)
項目2に記載のプロセスであって、前記アルコール用反応器は、エタノール生成を最
適化するために触媒される、プロセス。
(項目4)
項目3に記載のプロセスであって、前記触媒反応器は、本質的に、その主要な成分と
しての元素状コバルトからなる触媒によって触媒され、該触媒は、少量のマンガン、銅、
亜鉛、ならびにクロム、アルミニウムおよびそれらの混合物のうちの1つを含有する、プ
ロセス。
(項目5)
項目4に記載のプロセスであって、前記触媒は、アルカリ促進剤またはアルカリ土類
促進剤をさらに含有する、プロセス。
(項目6)
項目5に記載のプロセスであって、前記触媒は、本質的に、約65%〜約75%の元
素状コバルト、約4%〜約12%のマンガン、約4%〜約6%の銅、約4%〜約10%の
亜鉛、および約6%〜約10%のクロム、アルミニウムまたはそれらの混合物のうちの1
つからなる、プロセス。
(項目7)
項目4に記載のプロセスであって、前記使用される触媒は、本質的に、約65%〜約
75%の元素状コバルト、約4%〜約12%のマンガン、約4%〜約6%の銅、約4%〜
約10%の亜鉛、および約6%〜約10%のクロム、アルミニウムまたはそれらの混合物
のうちの1つからなる、プロセス。
(項目8)
項目1に記載のプロセスであって、前記触媒反応器は、本質的に、その主要な成分と
しての元素状コバルトからなる触媒によって触媒され、該触媒は、少量のマンガン、銅、
亜鉛、ならびにクロム、アルミニウムおよびそれらの混合物のうちの1つを含有する、プ
ロセス。
(項目9)
項目8に記載のプロセスであって、前記触媒は、アルカリ促進剤またはアルカリ土類
促進剤をさらに含有する、プロセス。
(項目10)
項目9に記載のプロセスであって、前記触媒は、本質的に、約65%〜約75%の元
素状コバルト、約4%〜約12%のマンガン、約4%〜約6%の銅、約4%〜約10%の
亜鉛、および約6%〜約10%のクロム、アルミニウムまたはそれらの混合物のうちの1
つからなる、プロセス。
(項目11)
項目8に記載のプロセスであって、前記使用される触媒は、本質的に、約65%〜約
75%の元素状コバルト、約4%〜約12%のマンガン、約4%〜約6%の銅、約4%〜
約10%の亜鉛、および約6%〜約10%のクロム、アルミニウムまたはそれらの混合物
のうちの1つからなる、プロセス。
(項目12)
項目1に記載のプロセスであって、前記炭素質供給原料を改質する工程は、供給原料
改質器において高温で実施され、そして、該合成ガスの意図される使用のために、所望の
割合に最も厳密に近づけるような一酸化炭素、水素およびメタンの割合を達成するように
、該改質器における高温での前記合成ガスの接触時間を調節し、そして該合成ガスが該改
質器から離れるにつれて該合成ガスの出口ガス温度を調節する工程を包含する、プロセス

(項目13)
項目12に記載のプロセスであって、該プロセスは、
約204℃(400°F)で、前記供給原料および過熱された水蒸気を前記供給原料
改質器に導入する工程;
該供給原料改質器を離れる前記合成ガスの前記出口温度を、約871℃(1600°
F)と約1204℃(2200°F)との間に調節する工程;
該改質器内の該合成ガスの前記接触時間を、約0.4秒〜約5.0秒の範囲内に調節
する工程
を包含する、プロセス。
(項目14)
項目13に記載のプロセスであって、前記合成ガス出口温度および接触時間は、該合
成ガス出口温度を約898℃(1650°F)〜約926℃(1700°F)に調節し、
そして該接触時間を約1.0秒〜約3.0秒に調節することによって、調節されて低級ア
ルコールを生成するために最も最適な割合の合成ガスを生成する、プロセス。
(項目15)
項目14に記載のプロセスであって、前記接触時間は、約1.0秒〜約2.0秒に調
節される、プロセス。
(項目16)
項目13に記載のプロセスであって、前記触媒反応器は、本質的に、その主要な成分
としての元素状コバルトからなる触媒によって触媒され、該触媒は、少量のマンガン、銅
、亜鉛、ならびにクロム、アルミニウムおよびそれらの混合物のうちの1つを含有する、
プロセス。
(項目17)
項目16に記載のプロセスであって、前記触媒は、アルカリ促進剤またはアルカリ土
類促進剤をさらに含有する、プロセス。
(項目18)
項目17に記載のプロセスであって、前記触媒は、本質的に、約65%〜約75%の
元素状コバルト、約4%〜約12%のマンガン、約4%〜約6%の銅、約4%〜約10%
の亜鉛、および約6%〜約10%のクロム、アルミニウムまたはそれらの混合物のうちの
1つからなる、プロセス。
(項目19)
項目16に記載のプロセスであって、前記使用される触媒は、本質的に、約65%〜
約75%の元素状コバルト、約4%〜約12%のマンガン、約4%〜約6%の銅、約4%
〜約10%の亜鉛、および約6%〜約10%のクロム、アルミニウムまたはそれらの混合
物のうちの1つからなる、プロセス。
(項目20)
項目12に記載のプロセスであって、前記触媒反応器は、本質的に、その主要な成分
としての元素状コバルトからなる触媒によって触媒され、該触媒は、少量のマンガン、銅
、亜鉛ならびにクロム、アルミニウムおよびそれらの混合物のうちの1つを含有する、プ
ロセス。
(項目21)
項目20に記載のプロセスであって、前記触媒は、アルカリ促進剤またはアルカリ土
類促進剤をさらに含有する、プロセス。
(項目22)
項目21に記載のプロセスであって、前記触媒は、本質的に、約65%〜約75%の
元素状コバルト、約4%〜約12%のマンガン、約4%〜約6%の銅、約4%〜約10%
の亜鉛、および約6%〜約10%のクロム、アルミニウムまたはそれらの混合物のうちの
1つからなる、プロセス。
(項目23)
項目20に記載のプロセスであって、前記使用される触媒は、本質的に、約65%〜
約75%の元素状コバルト、約4%〜約12%のマンガン、約4%〜約6%の銅、約4%
〜約10%の亜鉛、および約6%〜約10%のクロム、アルミニウムまたはそれらの混合
物のうちの1つからなる、プロセス。
(項目24)
項目1に記載のプロセスであって、前記供給原料を第1の合成ガスストリームに改質
する工程は、
該供給原料を粉砕する工程;
該粉砕された供給原料を不活性ガスストリーム中に取り込み、該粉砕された供給原料
を、供給ホッパーに運ぶ工程であって、該供給ホッパーにおいて、該粉砕された供給原料
は不活性ガス環境中に維持される、工程;
該供給原料が供給される回転バルブによって前記改質器に入る供給原料の流速を計量
する工程であって、該回転バルブは、該粉砕された供給原料がバルブ区画に供給されるバ
ルブ入口から、該粉砕された供給原料が該回転バルブから流れ出るバルブ出口まで回転す
る複数の別個の区画を備える、工程;
該回転バルブ出口から通じる供給導管を通して、加圧下水蒸気ストリームに該供給原
料を供給し、該供給原料は、該加圧下水蒸気ストリームに供給されて取り込まれる、工程

加圧下で、該供給導管に不活性ガスを供給して、該加圧下水蒸気が、該供給導管にお
いて背圧を生成することを防止する工程であって、該供給導管は、該粉砕された供給原料
が、該加圧水蒸気ストリームに供給されることを防止する、工程;
加圧下にある不活性ガスを該回転バルブに供給し、その結果、該不活性ガスが該回転
バルブ入口を通過した後で、かつ該不活性ガスが該回転バルブ出口に到達する前に、該不
活性ガスが区画に圧力をかける工程であって、この工程によって、該区画内に含まれる粉
砕された供給原料は、加圧下で維持される、工程;
該区画が回転する方向で、該回転バルブ内の該出口と該入口との間の位置に排出口を
提供し、その結果、該出口において空にされて該入口に戻る加圧下にある区画は、該不活
性ガスが該加圧下にある区画に供給される場合に、該空にされた区画が該回転バルブ入口
に到達する前に、導入された圧力を排出する、工程;
該水蒸気に取り込まれた粉砕された供給原料ストリームを、供給原料改質器に供給す
る工程
を包含する、プロセス。
(項目25)
項目24に記載のプロセスであって、前記粉砕された供給原料は、前記供給ホッパー
に供給される前に、約5%〜約20%の含水量に乾燥される、プロセス。
(項目26)
項目25に記載のプロセスであって、前記供給原料は、前記供給ホッパーに供給され
る前に、約9%〜約15%の含水量に乾燥される、プロセス。
(項目27)
項目26に記載のプロセスであって、前記不活性ガスストリームは煙道ガスを含む、
プロセス。
(項目28)
項目27に記載のプロセスであって、前記煙道ガスは、前記粉砕された供給原料およ
び水蒸気が供給される前記炭素質供給原料改質器からの排気ガスである、プロセス。
(項目29)
項目24に記載のプロセスであって、前記炭素質供給原料を改質する工程は、供給原
料改質器において高温で実施され、そして、該合成ガスの意図される使用のために、所望
の割合に最も厳密に近づけるような一酸化炭素、水素およびメタンの割合を達成するよう
に、該改質器における高温での前記合成ガスの接触時間を調節し、そして該合成ガスが該
改質器から離れるにつれて該合成ガスの出口ガス温度を調節する工程を包含する、プロセ
ス。
(項目30)
項目29に記載のプロセスであって、該プロセスは、
約204℃(400°F)で、前記供給原料および過熱された水蒸気を前記供給原料
改質器に導入する工程;
該供給原料改質器を離れる前記合成ガスの前記出口温度を、約871℃(1600°
F)と約1204℃(2200°F)との間に調節する工程;
該改質器内の該合成ガスの前記接触時間を、約0.4秒〜約5.0秒の範囲内に調節
する工程
を包含する、プロセス。
(項目31)
項目30に記載のプロセスであって、前記触媒反応器は、本質的に、その主要な成分
としての元素状コバルトからなる触媒によって触媒され、該触媒は、少量のマンガン、銅
、亜鉛、ならびにクロム、アルミニウムおよびそれらの混合物のうちの1つを含有する、
プロセス。
(項目32)
項目31に記載のプロセスであって、前記触媒は、アルカリ促進剤またはアルカリ土
類促進剤をさらに含有する、プロセス。
(項目33)
項目32に記載のプロセスであって、前記触媒は、本質的に、約65%〜約75%の
元素状コバルト、約4%〜約12%のマンガン、約4%〜約6%の銅、約4%〜約10%
の亜鉛、および約6%〜約10%のクロム、アルミニウムまたはそれらの混合物のうちの
1つからなる、プロセス。
(項目34)
項目24に記載のプロセスであって、該プロセスは、
約204℃(400°F)で、前記供給原料および過熱された水蒸気を前記供給原料
改質器に導入する工程;
該供給原料改質器を離れる前記合成ガスの前記出口温度を、約871℃(1600°
F)と約1204℃(2200°F)との間に調節する工程;
該改質器内の該合成ガスの前記接触時間を、約0.4秒〜約5.0秒の範囲内に調節
する工程
を包含する、プロセス。
(項目35)
項目34に記載のプロセスであって、前記触媒反応器は、本質的に、その主要な成分
としての元素状コバルトからなる触媒によって触媒され、該触媒は、少量のマンガン、銅
、亜鉛、ならびにクロム、アルミニウムおよびそれらの混合物のうちの1つを含有する、
プロセス。
(項目36)
項目35に記載のプロセスであって、前記触媒は、アルカリ促進剤またはアルカリ土
類促進剤をさらに含有する、プロセス。
(項目37)
項目36に記載のプロセスであって、前記触媒は、本質的に、約65%〜約75%の
元素状コバルト、約4%〜約12%のマンガン、約4%〜約6%の銅、約4%〜約10%
の亜鉛、および約6%〜約10%のクロム、アルミニウムまたはそれらの混合物のうちの
1つからなる、プロセス。
(項目38)
項目1に記載のプロセスであって、前記第2の合成ガスの流れの一部分は、タービン
を回転するために転用され、そして使用されて、前記プロセスにおいて使用されるコンプ
レッサおよび他の電気的駆動装置に電気供給するために発電する、プロセス。
(項目39)
本質的に、その主要な成分としての元素状コバルトからなり、少量のマンガン、銅、亜
鉛、ならびにクロム、アルミニウムおよびそれらの混合物のうちの1つを含有する、触媒

(項目40)
項目39に記載の触媒であって、アルカリ促進剤またはアルカリ土類促進剤をさらに
含有する、触媒。
(項目41)
項目40に記載の触媒であって、該触媒は、本質的に、約65%〜約75%の元素状
コバルト、約4%〜約12%のマンガン、約4%〜約6%の銅、約4%〜約10%の亜鉛
、および約6%〜約10%のクロム、アルミニウムまたはそれらの混合物のうちの1つか
らなる、触媒。
(項目42)
項目39に記載の触媒であって、該触媒は、本質的に、約65%〜約75%の元素状
コバルト、約4%〜約12%のマンガン、約4%〜約6%の銅、約4%〜約10%の亜鉛
、および約6%〜約10%のクロム、アルミニウムまたはそれらの混合物のうちの1つか
らなる、触媒。
(項目43)
触媒であって、該触媒は、
コバルト、マンガン、亜鉛、銅、ならびにクロム、アルミニウムおよびそれらの混合
物のうちの1つの塩、ならびにアルカリ塩またはアルカリ土類塩を混合する工程であって
、該コバルト、マンガン、亜鉛、銅、ならびにクロム、アルミニウムおよびそれらの混合
物のうちの1つの元素含量は、互いに対して、以下:
約65%〜約75%の元素状コバルト、約4%〜約12%のマンガン、約4%〜
約6%の銅、ならびに約4%〜約10%の亜鉛および約6%〜約10%のクロム、アルミ
ニウムまたはそれらの混合物のうちの1つ
のような割合である、工程;
該混合物のペレットを形成することによるかまたは該混合物を炭素ペレットに装填す
ることによるかのいずれかによって、該混合物をペレット化する工程;
得られたペレットを、該コバルト、マンガン、銅、亜鉛、ならびにクロム、アルミニ
ウムおよびそれらの混合物のうちの1つが実質的に還元されるまで、高温かつ高圧で還元
剤ドープ不活性ガスに曝す工程
によって作製される、触媒。
(項目44)
項目43に記載の触媒であって、前記得られたペレットを高温かつ高圧で還元剤ドー
プ不活性ガスに曝す工程は、
少量の水素でドープされた不活性ガスを、約200℃の温度まで予め加熱し、該ペレ
ットを、約172キロパスカル(KPa)(25(psig))〜約207キロパスカル
(KPa)(30(psig))の加圧下で還元剤ドープ不活性ガスに曝して、該ペレッ
トを約400℃まで加熱させる工程;
該ペレット温度および該ガス温度を測定して、該ペレット温度およびガス温度が低下
する際に、さらなる量の水素を該ガスストリームに導入して、約25%〜約30%の水素
レベルまで上昇させる工程;
圧力が約8273KPa(1200psig)〜約16,547KPa(2400p
sig)に達するまで、時間をかけて圧力を徐々に増大させる工程;
該ペレットおよびガス温度の維持においてさらなる水素が効果的でなくなった後、一
酸化炭素を、不活性ガスの該還元剤ドープストリームに添加し、そしてこのような添加が
、該ペレット温度およびガス温度が、一酸化炭素の添加の増加にもかかわらず低下し続け
るまで、継続する工程;
該ペレットを冷却して、該ペレットが使用のために用意されるまで、不活性ガスのパ
ージ下で該ペレットを保存する工程
を包含する、触媒。
(項目45)
供給原料改質器を離れる合成ガスストリーム中の一酸化炭素、水素およびメタンの割合
を制御するための方法であって、供給原料は高温の改質器に導入され、該プロセスは、
該改質器における高温での該合成ガスの接触時間を調節し、そして該合成ガスの出口
ガス温度を、該合成ガスが該改質器を離れる際に調節して、該合成ガスの意図される使用
を与える所望の割合に最も厳密に近づけるような一酸化炭素、水素およびメタンの割合を
達成する工程
を包含する、方法。
(項目46)
項目45に記載のプロセスであって、該プロセスは、
前記供給原料および過熱された水蒸気を、約204℃(400°F)で前記供給原料
改質器に導入する工程;
該供給原料改質器を離れる該供給原料の出口温度を、約871℃(1600°F)と
約1204℃(2200°F)との間に調節する工程;
該改質器内の前記合成ガスの前記接触時間を、約0.4秒〜約5.0秒の範囲内に調
節する工程
を包含する、プロセス。
(項目47)
項目46に記載のプロセスであって、前記合成ガス出口温度および接触時間は、該合
成ガス出口温度を約898℃(1650°F)〜約926℃(1700°F)に、そして
該接触時間を約1.0秒〜約3.0秒に調節することによって、低級アルコールを生成す
るために最も最適な割合の合成ガスを生成するために調節される、プロセス。
(項目48)
項目47に記載のプロセスであって、前記接触時間は、約1.4秒〜約2.0秒に調
節される、プロセス。
(項目49)
炭素質供給原料を合成ガスに変換するためのプロセスであって、該プロセスは:
該供給原料を粉砕する工程;
該粉砕された供給原料を不活性ガスストリーム中に取り込み、該粉砕された供給原料
を、供給ホッパーに運ぶ工程であって、該供給ホッパーにおいて、該粉砕された供給原料
は不活性ガス環境中に維持される、工程;
該供給原料が供給される回転バルブによって前記改質器に入る供給原料の流速を計量
する工程であって、該回転バルブは、該粉砕された供給原料がバルブ区画に供給されるバ
ルブ入口から、該粉砕された供給原料が該回転バルブから流れ出るバルブ出口まで回転す
る複数の別個の区画を備える、工程;
該回転バルブ出口から通じる供給導管を通して、加圧下水蒸気ストリームに該供給原
料を供給し、該供給原料は、該加圧下水蒸気ストリームに供給されて取り込まれる、工程

加圧下で、該供給導管に不活性ガスを供給して、該加圧下水蒸気が該供給導管におい
て背圧を生成することを防止する工程であって、該背圧は、該粉砕された供給原料が該加
圧水蒸気ストリームに供給されることを防止する、工程;
加圧下にある不活性ガスを該回転バルブに供給し、その結果、該不活性ガスが該回転
バルブ入口を通過した後で、かつ該不活性ガスが該回転バルブ出口に到達する前に、該不
活性ガスが区画に圧力をかける工程であって、この工程によって、該区画内に含まれる粉
砕された供給原料は、加圧下で維持される、工程;
該回転バルブにおいて、該区画が回転する方向で該出口と該入口との間の位置に排出
口を提供する工程であって、その結果、該出口で空にされて該入口に戻っている加圧下の
区画は、該空にされた区画が該回転バルブ入口に到達する前に、該不活性ガスが加圧下で
該区画に供給される場合に導入される圧力を排出する、工程;
該水蒸気に取り込まれた粉砕された供給原料ストリームを、供給原料改質器に供給す
る工程
を包含する、プロセス。
(項目50)
項目49に記載のプロセスであって、前記粉砕された供給原料は、前記供給ホッパー
に供給される前に、約5%〜約20%の含水量まで乾燥される、プロセス。
(項目51)
項目50に記載のプロセスであって、前記供給原料は、前記供給ホッパーに供給され
る前に、約9%〜約15%の含水量まで乾燥される、プロセス。
(項目52)
項目49に記載のプロセスであって、前記不活性ガスのストリームは、煙道ガスを含
む、プロセス。
(項目53)
項目52に記載のプロセスであって、前記煙道ガスは前記炭素質供給原料改質器から
の排気ガスであり、該炭素質供給原料改質器に前記粉砕された供給原料および水蒸気が供
給される、プロセス。
(項目54)
粉砕された炭素質供給原料を処理するための装置であって、該装置は、
供給原料を保持するためのホッパー;
回転バルブであって、該回転バルブを通って該供給原料が供給され、該回転バルブは
、粉砕された供給原料がバルブ区画に供給されるバルブ入口から、粉砕された供給原料が
該回転バルブから流れるバルブ出口に回転する複数の別個の区画を備える、回転バルブ;
該回転バルブ出口から、該供給原料が供給されて取り込まれる加圧水蒸気ストリーム
のための導管に通じる、供給導管;
不活性ガスを該供給導管に供給して、該供給導管において該加圧水蒸気が背圧を生じ
ることを防止するための供給導管であって、該背圧は、粉砕された供給原料が該加圧水蒸
気ストリームに供給されることを防止する、供給導管;
加圧下で不活性ガスを該回転バルブに供給するための第2の供給導管であって、その
結果、該不活性ガスが該回転バルブ入口を通過した後で、かつ該不活性ガスが該回転バル
ブ出口に達する前に、該不活性ガスが区画に加圧し、それにより、該区画に含まれる該粉
砕された供給原料は、加圧下で維持される、第2の供給導管;
該回転バルブにおいて、該区画が回転する方向で該出口と該入口との間のある地点に
排出口が存在し、その結果、該出口で空にされて該入口に戻っている加圧下の区画は、該
空にされた区画が該回転バルブ入口に到達する前に、該不活性ガスが加圧下で該区画に供
給される場合に導入される圧力を排出する、排出口
を備える、装置。
(項目55)
装置であって、
合成ガスを発生するための炭素質供給原料改質器;
合成ガスが流れる流路を規定する第1の導管;
該供給原料改質器から下流の該流路に位置する二酸化炭素分離器;
該一酸化炭素分離器から下流の該流路に位置するアルコール用触媒反応器;
該アルコール用触媒反応器を出る液体からガスを分離するためのガス分離器;
メタン改質器および第2の導管であって、該第2の導管は、該ガス分離器を該メタン
改質器に連結して、それにより、該ガス分離器において液体から分離される該ガスストリ
ームおよび該ガスストリーム中の任意のメタンは、該メタン改質器に運ばれる、第2の導
管;
第3の導管であって、該第3の導管は、該二酸化炭素分離器を該メタン改質器に連結
して、それにより、該ガスストリーム中のメタンは、二酸化炭素と反応されて一酸化炭素
および水素を形成し得る、第3の導管;
該メタン改質器を該第1の導管および該アルコール用反応器のうちの1つに連結する
第4の導管
を備える、装置。
(項目56)
項目55に記載の装置であって、
第5の導管が、前記ガス分離器から延びて該ガスストリームをリサイクルするための
前記アルコール用反応器に戻り;そして
前記第4の導管と該第5の導管との間のバイパスバルブが、時折活性化されて、該第
5の導管から前記第4の導管にガスを向かわせる、
装置。
(項目56’)
項目55に記載の装置であって、
第5の導管が、前記ガス分離器から延びて該ガスストリームをリサイクルするための
前記アルコール用反応器に戻り;そして
前記第2の導管と該第5の導管との間のバイパスバルブが、時折活性化されて、該第
5の導管から前記第2の導管にガスを向かわせる、
装置。
(項目57)
項目56に記載の装置であって、前記第5の導管において該第5の導管中のガスのメ
タン含量を測定するメーターを備え;前記バイパスバルブが該メーターに作動可能に連結
されており、そして特定のレベルのメタンを検知して該ガスを前記第4の導管に向かわせ
る該メーターに応答して作動する、装置。
(項目57’)
項目56’に記載の装置であって、前記第5の導管において該第5の導管中のガスのメ
タン含量を測定するメーターを備え;前記バイパスバルブが該メーターに作動可能に連結
されており、そして特定のレベルのメタンを検知して該ガスを前記第2の導管に向かわせ
る該メーターに応答して作動する、装置。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態で実施される基本的な操作を同定するプロセスフローシートである。
【図2】図2は、温度、供給原料改質器におけるガスの接触時間、使用される供給原料中の水素、炭素および酸素の比ならびに上記改質器に供給される供給原料に対する水蒸気の比の関数として得られる合成ガス生成物のバリエーションを示すグラフである。
【図3】図3は、供給原料調製装置の図解である。
【図4】図4は、供給原料改質器の図解である。
【図5】図5は、供給原料計量水蒸気混合装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
(イントロダクション)
用いられる好ましい実施形態の装置は、図1における3つの「ユニット」に分けられる
。ユニットIにおいて、炭素質供給原料は合成ガス3に変換され、そして二酸化炭素スト
リーム8は、酸性ガス除去装置160において上記合成ガスストリーム3から除去される
。ユニットIIにおいて、上記二酸化炭素除去合成ガスストリーム5は、フィッシャー−
トロプシュ反応器220に供され、混合アルコール生成物ストリームが得られる。それに
すぐ続いて、一酸化炭素および水素は、ガス液体分離器225を介して除去され、そして
ストリーム9を再循環して二酸化炭素除去合成ガスストリーム5(この二酸化炭素除去合
成ガスストリーム5は、ストリーム6と合わされる、下記)に戻す。また、このガス液体
分離相において、メタンは、上記混合アルコール生成物のストリームからパージされ、そ
してそのメタンは、ユニットIIIのメタン再循環改質器にストリーム13として供され
る。上記混合アルコール生成物ストリームは、230でメタノール蒸留に供される。その
メタノールは、上記混合アルコール生成物ストリームから除去されて、ストリーム10と
して再循環され、二酸化炭素除去合成ガスストリーム5、6に戻る。上記メタノール蒸留
の後、残りの混合アルコール生成物ストリーム11は、大部分がエタノールから構成され
る。ユニットIIIにおいて、二酸化炭素ストリーム8、メタンストリーム13および水
蒸気は、メタン改質器を介して再循環され、一酸化炭素および水素のストリーム6が生成
される。一酸化炭素および水素のストリーム6は、二酸化炭素除去ストリーム5と混和さ
れ、そしてその混合されたストリーム5、6は、上記アルコール用反応器220に供給さ
れる。
【0015】
先行技術の炭素質供給原料変換方法は、供給原料1トン当たり約424リットル(11
2ガロン)のエタノールを与え、先行技術の発酵方法は、供給原料1トン当たり約378
リットル(100ガロン)のエタノールを与える。それに対して、本発明は、供給原料1
トン当たり約757リットル(200ガロン)以上のエタノールを与える。
【0016】
(ユニットI:供給原料改質器(FR))
ユニットIにおいて、供給原料2は、供給原料改質器100において過熱された水蒸気
1により嫌気的に改質されて合成ガスストリーム3となり、この合成ガスストリーム3は
、その主要な成分として水素、二酸化炭素、一酸化炭素およびメタンを含有する。少量の
他の成分が形成され得る。供給原料改質器100への導入前の上記供給原料の調製は、図
3に示される。
【0017】
図3を参照すると、供給原料調製装置20は、粗い粉砕器26を備え、この粉砕器は、
供給原料の硬さに依存して使用され得る。上記供給原料は、主に木材および/または他の
有機物質である。粗い粉砕器26は、上記供給原料が、異常に大きな塊になって一緒に凝
集されている場合、または上記供給原料が、スクリーン32に供される前にさらに粉砕さ
れる必要がある場合に使用され得る。上記供給原料は、必要に応じて粗い粉砕器26に供
された後、第1のコンベアー29によってスクリーン32の上の位置に運ばれる。供給原
料は、上記第1のコンベアー29を離れてスクリーン32に落下し、このスクリーン32
において、ゴミ(dirt)33および鉄は、供給原料から分離される。鉄の除去は、磁
石の適切な配置によって達成される。供給原料は、第2のコンベアー36の先頭の位置3
4に分離される。第2のコンベアー36は、上記供給原料をコンベアー37に運ぶ。コン
ベアー37は、供給原料を供給ミル39に運ぶ。供給ミル39は、上記供給原料を粉砕し
てその供給原料を4.8ミリメートル(3/16インチ)のスクリーンを通過させるサイ
ズにする、粉砕器を備える。上記4.8ミリメートル(3/16インチ)のスクリーンを
通過した後、上記供給原料は、供給貯蔵ビン41に落下する。1時間当たり約181キロ
グラム(400lbs)の供給原料供給速度を有するプラントについては、供給貯蔵ビン
41は、直径約3メートル(10フィート)および高さ約3メートル(10フィート)で
ある。供給貯蔵ビン41から、供給原料は、振動ビン放出器44に入れられる。次いで、
振動乾燥器供給コンベアー47は、振動ビン放出器44から乾燥器50に供給原料を移動
させ、この乾燥器50において、上記供給原料は、約5%〜約20%、より好ましくは、
約9%〜約15%の含水量にまで乾燥される。
【0018】
煙道ガス入り口53は、木材乾燥器システム50に煙道ガス(供給原料改質器100の
熱供給源からのストリーム18)を供給する。煙道ガス入り口53は、コンプレッサ54
および/または燃料ガススタートアップ燃焼器55を含む。燃料ガススタートアップ燃焼
器55は、通常は必要ではない。しかし、上記乾燥器が停止した場合、燃焼器55は、燃
焼器55において上記煙道ストリームに供給される燃料ガスストリームに点火する。任意
の燃料が用いられ得る。
【0019】
上記煙道ガスは、乾燥器50に供給され、そして粉砕された供給原料と混合して、さら
なる処理のためにその供給原料を乾燥し、パージし、そして加熱する。上記煙道ガスは、
約80%の窒素および約20%のCOを含む。乾燥器50から、細粒およびより小さな
供給原料粒子は、煙道ガスによって、乾燥スタック51からサイクロン分離器59に運ば
れ、他方、より大きな供給原料粒子は、乾燥器50の下部にある振動スクリーンに沿って
その一端から通過し、それらの粒子は、閉鎖系振動スクリーンコンベアー67上に堆積さ
れる。サイクロン分離器59は、残っているより小さな供給原料粒子から上記細粒を分離
する。上記より小さな供給原料粒子は、乾燥器サイクロンダスト収集器62に流れ落ち、
次いで、乾燥器サイクロダスト収集器62から固体出口エアロック65に通過し、この固
体出口エアロック65において、次いで、上記供給原料のより小さな粒子は、閉鎖系振動
スクリーン供給コンベアー67上で上記供給原料のより大きな粒子と再び混合される。
【0020】
上記振動スクリーン供給コンベアー67は、上記乾燥された供給原料を送風器56Aに
運び、この送風機56Aは、上記乾燥された粉砕供給原料を、不活性煙道ガスとともにパ
イプ56を通して吹きつける。煙道ガスの「キャリア」としての使用は、このシステムへ
の空気の導入を最小限に抑える。上記乾燥された供給原料粒子は、送風器56Aによって
供給パイプ56を通して容器82に供給される(図4)。次いで、供給原料の細粒は、分
離器59から排出され、バグハウスダスト収集器69に運ばれる。上記細粒は、上記煙道
ストリームによって運ばれ、部分的に送風器70によって誘導される。バグハウスダスト
収集器69の下部に落下する供給原料の細粒は、スクリューコンベアー72を介して、回
転エアロック74を通って供給される。それらの供給原料の細粒は、供給パイプ56にお
いて煙道ガスを介して運ばれる供給原料の大きな粒子および小さな粒子の流れに供給され
る。
【0021】
送風器70および送風器54は、振動スクリーン乾燥器50において比較的中間的な圧
力を維持するように均衡が保たれる。乾燥器50を通って流れる煙道ガスを維持するため
にちょうど充分な圧力差が、存在する。
【0022】
供給原料は、煙道ガス供給パイプ56を介して供給ホッパーまたは容器82に供給され
る(図4)。パージガス入口83は、煙道ガスをホッパー82に供給する。約80%の窒
素および約20%の二酸化炭素である場合、煙道ガスは、改質器100における改質方法
が嫌気的に実施されることを確実にする助けとなる。ホッパー82はまた、煙道ガスを排
出するための排出口84を備える。
【0023】
ホッパー82から、供給原料は、ホッパー82の下部から延びている管85に収まる。
上記供給原料は、回転バルブ87によって計量されて供給管90に入り、この供給管90
の下部において、上記供給原料は、水蒸気ライン95から入る加圧下で、水蒸気に取り込
まれる。供給原料を水蒸気ストリームに流し続けるためおよび管90において水蒸気の背
圧に逆行するために、煙道ガス18の供給は、ライン75を通って、コンプレッサ76を
介して、供給管90の上部に近い入口91に移動される(図4および5)。管90におけ
る圧力が供給原料を吹きつけて回転バルブ87に戻すことを防止するために、上記煙道ガ
スのうちのいくらかはまた、ライン75から分かれて、回転バルブ87の入口88に供給
される。回転バルブ87は、複数の翼87aを有する中心ローターを備え、この複数の翼
87aは、バルブ87の内部を別個の区画に分割する。回転バルブ87の反対の入口88
は、出口圧力排出口89である。回転バルブ87が反時計回りに回転すると、上部にある
翼87aによって形成される区画は、供給原料で満たされる。次いで、その満たされた区
画は、開通するまで反時計回りに入口88まで回転し、この入口88において、その満た
された区画は、入ってくる煙道ガスで加圧される。上記ローターがさらに回転すると、上
記供給原料で満たされてかつ加圧されたチャンバは、供給管90に開通する。上記回転チ
ャンバにおける圧力は、管90における圧力と等しくされることから、上記供給原料は、
管90中に落下する。上記バルブローターがその反時計回りの行程を続けると、上記供給
原料は、最終的に排出口89を通って排出され、その結果、上記チャンバが供給管85に
再び到達する際、上記供給原料は加圧を解かれ、そして供給管85に排出して戻ることは
ない。供給原料は、回転バルブ87を通って供給管90に移動した後、管90の下部にあ
る混合チャンバ93に重力により供給され、この混合チャンバ93において、水蒸気ライ
ン95からの過熱された510℃の水蒸気(950°Fの水蒸気)は、供給原料と混合さ
れる。
【0024】
過熱された水蒸気は、上記供給原料を供給原料改質器100に運ぶ(図4)。上記供給
原料を加熱する工程において、上記水蒸気は、上記過熱された水蒸気および供給原料が木
材改質器100に近づく際に約204℃(400°F)まで冷却される。供給原料改質器
100内で、フロー分配器101は、上記冷却された水蒸気および供給原料を、水蒸気お
よび供給原料が通過する直径約76ミリメートル(3インチ)の管コイル102に分配す
る。供給原料改質器100において実施される供給原料の改質は、吸熱的である。上記供
給原料の改質工程のための熱は、供給原料改質器100の下部のバーナー103により提
供される。過剰な合成ガスまたは任意の他の燃料は、改質器100の下部のバーナー10
3において燃焼され得る。バーナー103からの煙道ガス18は、熱交換器104を通過
し、この熱交換器104は、入ってくる水1aのストリームを過熱して過熱された水蒸気
1とするのに役立つように使用され、次いで、煙道ガスライン53、83および75に入
る(図4)。工程全体のより大きなエネルギーの非依存性のためには、過剰の合成ガスさ
えも、タービンを回転させてコンプレッサおよび他の電気的駆動装置のために発電するた
めに、作製および使用され得る。
【0025】
供給原料改質器100に入る供給原料および過熱された水蒸気1の入口温度は、約20
4℃(400°F)である。供給原料改質器100を離れる合成ガスの出口温度は、87
1℃(1600°F)と1204℃(2200°F)との間であり、好ましくは、約89
8℃(1650°F)〜約926℃(1700°F)である。1093℃(2000°F
)以上、5.0秒間の接触時間では、1モルパーセント未満のメタンおよび多量のCO
が得られ、このことは、所望されない結果である。供給原料改質器100における圧力は
、重要ではないようである。上記改質器は、好ましくは、約241キロパスカル(KPa
)(35psig)〜約276KPa(40psig)の圧力で作動する。
【0026】
任意の所与の供給原料について、得られた合成ガスストリーム中に含まれる水素、一酸
化炭素、二酸化炭素およびメタンの割合は、上記改質器における接触時間、出口の温度、
導入される水蒸気の量、および圧力(より低い程度)の関数として、変化し得る(図2)
。合成ガス成分の特定の割合は、アルコールを生成するために他の割合よりも良好であり
、他方、他の割合は、アルカンを生成するために好ましい。一般的にいうと、アルカンを
生成したい場合、水素に対して、エタノールまたはメタノールを生成したい場合に所望さ
れるよりも多くの一酸化炭素およびメタンを含む合成ガスストリームが好ましい。
【0027】
図2は、898℃(1650°F)〜926℃(1700°F)の出口ガス温度での木
材での供給原料変換器の運転についての接触時間の関数としてのおよその合成ガス含量を
示す。上記ガス中の水含量および他の成分のモルパーセントは、図2には示されない。9
9パーセントの変換は0.4秒で起こる。見られ得るように、接触時間が増大するにつれ
て、得られた水素の量は増加し、一酸化炭素の量は減少し、二酸化炭素の量は増加し、そ
してメタンの量はわずかに減少する。上記接触時間を調節することによって、アルコール
生成のためにこれらの成分は最適化され得る。一般的にいうと、約0.4秒〜約5.0秒
の接触時間が必要とされ、エタノール生成のためには、約1.0秒〜約3.0秒が好まし
い。上記改質器において約1.0秒〜約2.0秒の接触時間で、約898℃(1650°
F)〜約926℃(1700°F)の出口温度で作動することが最も好ましい。接触時間
は、上記改質器の内部容量を上記改質器を出る合成ガスの流速で割ることによって計算さ
れる。
【0028】
図2は、異なる供給原料、異なる量の水蒸気、異なる作動温度および異なる作動圧力に
ついて、当然異なると考えられる。
【0029】
使用される過熱された水蒸気1の量は、使用される供給原料の性質の関数である。水蒸
気は、上記供給原料からのアルコール生成を最大にするために必要なさらなる水素を提供
する。低級アルコール(例えば、メタノールおよびエタノール)における炭素対水素の化
学量論比に関して、乾燥供給原料は、代表的に、水素に対する炭素の化学量論的な過剰量
を有する。従って、上記供給原料中にトラップされるかもしくは過熱された水蒸気の形態
にあるかまたはその両方のいずれかである水は、アルコール生成を最大にするためにさら
なる水素を提供する。好ましくは、上記供給原料は、比較的乾燥しており、そして上記必
要とされる水は、添加された過熱水蒸気の形態で提供される。木材供給原料からアルコー
ルを作製するために、好ましくは、「乾燥」供給原料1ポンド当たり約0.14キログラ
ム(0.3ポンド)〜約0.18キログラム(約0.4ポンド)の水蒸気が使用される。
本工程における上記「乾燥」供給原料は、約9%〜約15%の湿気を含むことから、約0
.4〜0.5の水全体対木材の比が保持される。このことにより、充分に効率的な作動が
得られる。
【0030】
使用され得る例示的な供給原料は、以下を含む:褐炭、石炭、レッドシダー、サザンパ
イン、堅材(例えば、オーク、シダー、カエデおよびアッシュ)、バガス、コメの籾殻、
コメのわら、ケナフ(タバコ)、下水のスラッジ、モーターオイル、シェールオイル、ク
レオソート、古い熱分解プラントからの熱分解オイル、古い線路の枕木、乾燥留出穀物、
トウモロコシの軸および穂軸、動物排泄物ならびにわら。種々の異なる木材材料について
の水素含量および酸素含量は、以下の表1に示される:
【0031】
【表1】


注1:これらのサンプルにおいて酸素は分析されていない。酸素は差によって計算されて
いる。
【0032】
上記水素含量および酸素含量が「炭素当たり」に基づいて表されることを除いて、表2
のいくつかの他の供給原料について、同様の情報が提供される:
【0033】
【表2】


maf:湿気および灰を含まない物質。
mf:湿気を含まない物質。
【0034】
反応(1)は、上記供給原料変換反応の例示的な仮定である:
+C+HO→H+CO+CO+CH
(1)。
【0035】
上記は、当然、単なる例示であり、定量的には示されない。当業者は、木材についての
実際の炭化水素分析は、この近似から有意に変化し得ることを理解する。上記合成ガスス
トリームの定量的含有量は、図2に関して上で議論したように、使用される供給原料、使
用される水蒸気の量、上記改質器における改質温度および接触時間の関数として決定され
る。
【0036】
合成ガスストリーム3は、供給原料改質器100から熱交換器110を通過し、この熱
交換器110において、水1aは予め加熱される。次いで、上記予め加熱された水/水蒸
気は、熱交換器104を通過し、この熱交換器104において、水/水蒸気は、改質器1
00からの煙道ガスによりさらに加熱され、そして約454℃(850°F)〜約510
℃(950°F)の温度の過熱された水蒸気1のストリームとなる。供給原料ストリーム
2と混合されて供給原料改質器100に供給されるのは、この過熱された水蒸気である。
【0037】
熱交換器110から、合成ガスストリーム3は、ガス濾過装置120およびサイクロン
130を通過し、これらの両方は、合成ガスストリーム3から灰を除去するために使用さ
れる。次いで、合成ガスストリーム3は、水洗浄ユニット140において、水でさらに洗
浄され、そして冷却される。水洗浄ユニット140は、従来の充填材料(例えば、銅チュ
ーブ、ポールリング、金属メッシュまたは他の不活性物質)を詰めたカラムを備える。合
成ガスストリーム3は、水洗浄カラムを上向きに通過し、他方、水は、その上昇してくる
合成ガスストリームを通り抜けて流れ落ちる。その水の洗浄は、合成ガスストリーム3を
周囲温度までさらに冷却し、濾過120の濾過バッグ中に裂け目が存在していない限り灰
は存在しないはずであるが、濾過器120およびサイクロン130を回避し得るいかなる
灰をも除去するために、役立つ。水洗浄ユニット140からの水は、ストリーム4として
再循環される。ストリーム4は、脱気され、濾過され、そして炭素床を通過して有機物を
除去する。次いで、上記水は、本システムにおいて必要とされるような再使用のために用
意される。
【0038】
周囲温度近くで、上記合成ガスストリーム3は油洗浄カラム150を通過する。カラム
150は、通常の充填材料(例えば、銅チューブ、ポールリング、金属メッシュまたは他
の不活性物質)を詰められている。合成ガスストリーム3は、油洗浄カラム150を上方
向に通過し、他方、C−20石油オイルは、その入ってくる合成ガスストリームを通過し
て流れ落ち、供給原料改質器100において生成され得る任意のベンゼン、トルエン、キ
シレンまたは重炭化水素を除去する。油洗浄カラム150に存在するオイル、ベンゼン、
トルエン、キシレンおよび重炭化水素は、供給原料改質器100を通ってストリーム16
として再循環される。
【0039】
次いで、ストリーム3は、アミン洗浄ユニット160を通過し、このアミン洗浄ユニッ
トは、合成ガスストリーム3から二酸化炭素を除去する。この工程において、上記合成ガ
スは、吸着カラムにおいてアミンベースの溶媒で洗浄される。水素の除去に関して下で議
論される圧力差吸着剤(pressure swing adsorbent)(PSA
)ユニットは、アミンスクラブ器の代わりに使用されて、上記二酸化炭素を除去し得る。
この溶媒は、第2のカラムにおいて再生され、それにより、高純度のCO生成物を放出
する。上記二酸化炭素は、ストリーム8としてユニットIVに進む。次いで、上記二酸化
炭素が除去された合成ガスストリーム5は、ユニットIIに進む。
【0040】
(ユニットII:エタノール生成)
ユニットIIにおいて、二酸化炭素除去合成ガスストリーム5および再循環改質器ユニ
ットIIIからの合成ガスストリーム6は、当該分野において一般的に「触媒保護床」と
呼ばれるスカベンジャー床210上を通過し、このスカベンジャー床210は、合成ガス
ストリーム5および6から任意の塩素、硫黄または重炭化水素の不純物質を除去する。床
210において使用され得る例示的な物質としては、炭化水素を除去するための活性炭、
硫黄を除去するための亜鉛酸化物および塩化物を除去するためのシリカゲルが挙げられる

【0041】
次いで、ストリーム5および6は、12,140KPa(1800psi)と16,5
47KPa(2400psi)との間の圧力でエタノール用触媒フィッシャー−トロプシ
ュ反応器220に進む。ストリーム5、6は、ガス液体分離器225からの一酸化炭素お
よび水素のストリーム9ならびに上記メタノール蒸留ユニット230からのストリーム1
0を再循環することによって混合される。その混合されたストリームは、エタノール用触
媒フィッシャー−トロプシュ反応器220に供給される。合成ガスストリーム5、6は、
コンプレッサを介して加圧下で供給され、そして全てのラインは背圧値を備えられ、その
それぞれのラインに逆流しないことを確実にする。
【0042】
フィッシャー−トロプシュ反応器220は、ステンレス鋼管を備え、各々のステンレス
鋼は、内径約25ミリメートル(1インチ)〜51ミリメートル(2インチ)である。上
記管には、エタノール生成物をもたらす触媒が詰められる。より大きな直径の管はより多
くの生成能力を与えるが、上記触媒に対して有害なより多くの熱もまた、発生させる。従
って、上記管の直径は、通常、所望される能力を通る流れと上記熱が制御され得える容易
さとの間の妥協点として選択される。
【0043】
エタノール生成は、メタノール生成で発生するよりも多くの熱を発生すると考えられる
。エタノール用触媒フィッシャー−トロプシュ反応器からは、メタノールを生成するため
に触媒されるフィッシャー−トロプシュ反応器からの約2.6倍多い熱が除去されなけれ
ばならない。
【0044】
エタノール生成のための閾値温度は、上記反応器が作動する圧力で、約250℃である
。上記エタノール用反応器は、約300℃〜約380℃で作動し、そして約12,410
KPa(1800psi)〜約16,547KPa(2400psi)の圧力で作動する
。好ましくは、上記反応器は、約320℃以下で作動し、これは、上記触媒に存在する銅
が約350℃〜約375℃で焼結するからである。約320℃より上で上記反応器を運転
することにより、上記触媒の寿命が減少する。上記エタノール用反応器の1時間当たりの
ガス空間速度は、1時間当たり約8,000と約50,000との間である。
【0045】
エタノール用触媒フィッシャー−トロプシュ反応器220において、多量の熱が発生さ
れ、この熱は、上記反応器の内部から除去されてその上記反応器の内部を過熱から保護し
なければならない。好ましい実施形態において、熱は除去され、そして温度は、上記反応
管にC−20石油オイルを直接導入することによって、上記反応器内で制御される。さら
に、または代替としてジャケット冷却が用いられ得るが、直接的な油冷却が好ましい。上
記反応器の反応管を通過する油は、その油を上記反応器から除去し、そして熱交換器に通
すことによって冷却され、この熱交換器において、その油は、水を沸騰させて本システム
において必要とされるような使用のための水蒸気を生成する。上記ガス反応物および反応
生成物は、上記油が上記反応器を通ってポンプ輸送される際に、その油の中を通過する。
【0046】
固有のエタノール触媒が、好ましい実施形態において用いられる。その触媒は、本質的
に、その主要な成分としての元素状コバルトからなり、少量のマンガン、亜鉛、銅、クロ
ムおよび/またはアルミニウム、ならびにアルカリ促進剤またはアルカリ土類促進剤(経
済的理由から、炭酸カリウムが好ましい)を含有する。好ましくは、上記触媒は、結合剤
を含まず、金属元素ベースで、約65%〜約75%の元素状コバルト、約4%〜約12%
のマンガン、約4%〜約10%の亜鉛、約4%〜約6%の銅、約6%〜約10%のクロム
および/または約6%〜約10%のアルミニウム含む。
【0047】
使用される触媒は主にそれらの元素状形態にある上記の元素からなるが、上記触媒は、
金属塩の混合物としても存在する。硝酸塩またはカルボン酸塩は、代表的に使用される。
上記触媒は、「条件調整」工程を受ける。上記条件調整工程において、上記塩は、大部分
がそれらの金属元素に還元されており、いくらかの酸化物が残って「スピネル」と呼ばれ
る格子構造を形成する。上記スピネルは、上記触媒にその全体としての間隙構造を与える

【0048】
上記触媒は、その「純粋な」(または濃縮された)形態で使用されても、炭素ペレット
上に装填することによって炭素で希釈されてもよい。後者は、しばしば、担持触媒と呼ば
れる。純粋な触媒は、担持触媒よりも高温で作用する傾向にあり、プロセスを冷却するこ
とが難しくなる。他方、より純粋な触媒はより活性であり、従って、より低い反応温度で
使用され得る。より低い反応温度が使用される場合、上記触媒はより長く持続する。従っ
て、より活性な触媒を使用することが所望されることと温度制御を容易にするためにいく
らか希釈する必要があることとの間で、しばしば妥協されなければならない。
【0049】
その純粋な形態での使用のために触媒を調製するために、適切な割合の塩は、約3重量
%〜約4重量%の結合剤および約1/4%〜約3/4%の潤滑剤と混合される。上記塩、
結合剤および潤滑剤の混合物は、ペレタイザー(基本的には打錠機)においてペレット化
され、このペレタイザーにおいて、直径約4ミリメートル〜約6ミリメートルおよび長さ
約6ミリメートル〜約10ミリメートルのペレットは、約262,000KPa(38,
000psi)で圧縮される。次いで、上記ペレットは、10分間当たり約60℃の速度
で約450℃までそれらを加熱することによってか焼(calcine)される。次いで
、上記ペレットは、条件調整の前に冷却される。
【0050】
担持触媒は、適切な割合の触媒の塩の溶液中に炭素ペレットを浸漬することによって調
製される。上記炭素ペレットの表面積は、代表的に、1200cm/gである。その水
は、エバポレートされて除かれ、触媒装填ペレットが残る。この工程は、触媒対炭素ペレ
ットの所望の比を得るために反復されなければならないかもしれない。上記触媒装填炭素
ペレットは、代表的に、約20%〜約40%の触媒を含む。上記触媒装填ペレットは、上
記反応管に充填されるために、充分に小さい必要がある。ダストは、上記管に留まってそ
の管を詰まらせることから、回避が望まれる。好ましくは、上記ペレットは、直径約2ミ
リメートル〜約4ミリメートルおよび長さ約4ミリメートル〜約10ミリメートルである

【0051】
次いで、上記純粋な触媒ペレットまたは上記触媒装填炭素ペレットのいずれかは、使用
される前に条件調整されなければならない。上記条件調整工程は、上記ペレットの床上に
還元剤ドープ窒素を通過させる工程を包含する。最初に、約1%の水素でドープされた窒
素で開始する。上記ドープされたガスは、約200℃に予め加熱され、そして上記触媒床
を通過する際、還元工程が開始され、この還元工程は、発熱的であり、そして上記反応床
を約400℃まで加熱する。上記反応は、まず、172KPa(平方インチ当たり25ポ
ンド(psig))〜約207KPa(30psig)で実施される。
【0052】
上記プロセスが進行する際、上記床の温度および上記ガスの温度が測定される。上記温
度が低下する場合、さらなる量の水素が添加されて、約25%〜約30%の水素レベルに
上昇させる。圧力はまた、約5515KPa(800psi)〜約16,547KPa(
2400psi)に達するまで、時間をかけて徐々に上昇する。さらなる水素が温度の維
持において有効でなくなった後、一酸化炭素が上記反応ストリームに添加される。合成ガ
スは、一酸化炭素供給源として使用され得る。上記水素のうちのいくらかは、上記合成ガ
スまたは一酸化炭素のストリームで置換される。上記工程全体は、完了するために1日を
要する。
【0053】
次いで、上記条件調整された触媒ペレットは、冷却されて、不活性ガスのパージ(例え
ば、窒素ブランケット)下で円筒容器に置かれる。空気が上記触媒に達することはできな
い。上記触媒が実質的に酸素を含まないことが重要である。ある程度の酸素は、上記触媒
に含有され、上記エタノール用反応器における水素と反応して、多量の過剰の所望されな
い熱を放出する。温度は、約1,600℃と同程度まで上昇し得る。
【0054】
本発明の方法は、1ポンドの触媒につき、1時間当たり約0.11キログラム(0.2
5ポンド)〜約0.14キログラム(0.30ポンド)のエタノールを生成する。
【0055】
多くの反応が、エタノール用触媒反応器300において起こり、主要な反応は、以下の
とおりである:
【0056】
【表3】


主な重要な反応は、反応(2〜5)である。反応(2)〜(4)は、それらがエタノー
ルを形成することから重要である。反応(5)は、メタノールを形成し、そのメタノール
のうちのいくらかは、反応(2)、(3)および(4)において反応し、そしてそのメタ
ノールのいくらかは、上記アルコール蒸留から再循環される。反応(7)および(8)は
、ある程度まで起こり、いくらかのメタンは上記供給原料改質器に再循環されて上記供給
原料改質器におけるメタンの継続する発生を最小限に抑えるが、最終的に、上記メタンお
よび二酸化炭素改質器(また、再循環改質器とも呼ばれる)において、メタンの一酸化炭
素および水素へのいくらかの変換を必要とする。
【0057】
上記触媒は、上記エタノール用反応器においてエタノールおよびメタノールを形成する
ように設計される。メタノールを化学量論的に過剰な量で存在させることは、それにより
上記反応をエタノールの生成に向かわせることから、所望される。いくつかのより高級な
アルコールおよびいくらかのアルカンがまた、形成される。二酸化炭素およびメタンはま
た、エタノール用反応器において形成される。少量のギ酸メチルおよびギ酸エチルがまた
、平衡反応において形成される。
【0058】
エタノール用反応器からの反応生成物は、ガス/液体冷却および分離ユニット225に
進む。ここで、上記アルコールは液体に冷却されて、ガス状元素、水素、二酸化炭素、一
酸化炭素およびメタンから分離される。上記アルコールは、ストリーム7としてメタノー
ル蒸留ユニット230に進む。
【0059】
上記ガス/液体冷却および分離ユニット225は、2つの冷却器を備える。一方は交差
交換ユニットであり、そして一方は水冷却塔である。上記冷却された液体/ガスストリー
ムは、ガス/液体分離器に進み、その液体は、ストリーム7として上記蒸留カラムに進み
、そしてそのガスストリームは、ストリーム9として再循環されてアルコール用反応器2
20に戻るか、またはストリーム13としてユニットIIIのメタン改質器215に向け
られる。反応器220からくるガスは、種々の量で、未反応一酸化炭素、未反応水素、二
酸化炭素およびメタンを含む。そのメタン含量がモニタリングされ、そしてそのメタン含
量が低い場合、上記ガスは、ストリーム9として反応器220を通って再循環される。上
記メタン含量が約30%になる場合、ガスストリーム9は、ガスストリーム13としてユ
ニットIIIの再循環改質器215に向けて送られる。
【0060】
(ユニットIII:メタンおよびCO再循環改質器)
供給原料100からの未反応メタンおよびフィッシャー−トロプシュ反応器220にお
いて形成されるメタンが再循環ストリーム9の約30%含量に達する場合、そのガススト
リームは、酸性ガス除去装置160から放出するストリーム8としてのCOとともに、
ガスストリーム13として上記再循環改質器215に向けて送られる。水蒸気がまた、再
循環改質器215に供給される。再循環改質器215は、標準的な様式で構築される。改
質器215において、上記メタン成分は、上記固定触媒の存在下で、COと反応される
。その反応は、843℃(1550°F)〜898℃(1650°F)で実施される。
【0061】
上記メタン改質器からの反応生成物は、主に一酸化炭素および水素を含む。これらの反
応生成物は、ガス冷却ユニット235に進む。上記生成物は冷却され、そして上記一酸化
炭素および水素は、未反応の水から分離される。上記回収された水は再循環され、そして
過熱された水蒸気に変換される。上記一酸化炭素、水素(および過剰のメタン)は、スト
リーム6として、ユニットIから放出する合成ガスストリーム5に再び導入される。
【0062】
上述は単に本発明の好ましい実施形態にすぎず、本発明の精神およびより広範な局面か
ら逸脱することなく、種々の変化および変更がなされ得ることが、当然理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−105726(P2011−105726A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265825(P2010−265825)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【分割の表示】特願2006−524045(P2006−524045)の分割
【原出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(506059609)ピアースン テクノロジーズ, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】