説明

点灯装置、点灯制御装置及びプロジェクター

【課題】簡易な構成で高電圧パルスの発生タイミングを設定できる点灯装置、点灯制御装置及びプロジェクターを提供すること。
【解決手段】放電灯の電極Eに電力を供給して、放電灯を点灯させる点灯装置6であって、入力される直流電流を交流電流に変換する変換回路62と、変換回路62から入力される交流電流から高電圧パルスを生成し、当該高電圧パルスを電極Eに印加するパルス生成回路64と、変換回路62とパルス生成回路64との間に設けられ、パルス生成回路64により高電圧パルスを電極Eに印加させるトリガー回路65とを備え、トリガー回路65は、変換回路62の駆動周波数の変動に応じて、パルス生成回路64に高電圧パルスを電極Eに印加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯を点灯させる点灯装置、点灯制御装置及びプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源と、当該光源から出射された光束を変調して、画像情報に応じた画像を形成する光変調装置と、当該画像を投射する投射光学装置とを備えたプロジェクターが知られている。このような光源として、内部に一対の電極及び放電物質が封入される放電空間が形成された超高圧水銀ランプ等の放電灯が採用されることが多く、この場合には、当該放電灯の点灯を制御する点灯制御装置が採用される。このような点灯制御装置として、放電灯にランプ電力を供給して当該放電灯を点灯させる点灯装置と、当該点灯装置の動作を制御する制御装置とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の点灯制御装置では、出力電流及び出力電力を調整する変換回路と、直流電流を交流電流に変換するインバーター回路と、イグナイター回路と、当該イグナイター回路に接続される一次巻線、及び、インバーター回路に接続される二次巻線を有するトランスと、当該各回路を複数の駆動回路を介して制御する制御回路(マイクロコンピューター)とを備える。そして、この点灯制御装置では、当該制御回路が駆動回路にシグナルを出力することで、イグナイター回路が高電圧のイグニッションパルスをトランスの一次巻線に供給する。これにより、当該トランスの二次巻線に生じた高電圧パルスが、放電灯に印加され、当該放電灯にて放電が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5463287号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の特許文献1に記載の点灯制御装置では、制御回路及び駆動回路とイグナイター回路とが制御線で接続されているので、当該制御線に高電圧が印加される可能性があり、これにより、制御回路が損傷する場合がある。また、この高電圧によってノイズが発生し、制御回路が誤動作する可能性がある。このため、制御回路に耐高電圧及びノイズ対策を施す必要があり、点灯制御回路の構成が複雑化するという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、簡易な構成で高電圧パルスの印加タイミングを設定できる点灯装置、点灯制御装置及びプロジェクターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明の点灯装置は、放電灯の電極に電力を供給して、前記放電灯を点灯させる点灯装置であって、入力される直流電流を交流電流に変換する変換回路と、前記変換回路から入力される交流電流から高電圧パルスを生成し、当該高電圧パルスを前記電極に印加するパルス生成回路と、前記変換回路と前記パルス生成回路との間に設けられ、前記パルス生成回路により前記高電圧パルスを前記電極に印加させるトリガー回路とを備え、前記トリガー回路は、前記変換回路の駆動周波数の変動に応じて、前記パルス生成回路に前記高電圧パルスを前記電極に印加させることを特徴とする。
【0008】
このような点灯装置により点灯される放電灯としては、超高圧水銀ランプ等の光源ランプを挙げることができる。
本発明によれば、変換回路の駆動周波数を変動させることにより、トリガー回路が、パルス生成回路に放電灯の電極へ高電圧パルスを印加させるので、当該高電圧パルスの印加時に、パルス生成回路を直接制御する必要が無い。これによれば、点灯装置を制御する制御装置が設けられる場合に、当該制御装置は、変換回路の駆動周波数を変動可能であればよく、高電圧が発生するパルス生成回路と制御装置とを制御線により接続する必要がない。従って、耐高電圧及びノイズ対策を施す必要がなく、簡易な構成で高電圧パルスの印加タイミングを設定できる。
【0009】
また、本発明の点灯制御装置は、前述の点灯装置と、前記点灯装置を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記高電圧パルスを前記電極に印加させるタイミングで、前記変換回路の駆動周波数を変動させることを特徴とする。
本発明によれば、制御装置が高電圧パルスの印加タイミングに応じて変換回路の駆動周波数を変動させるので、前述の構成により、当該印加タイミングに高電圧パルスを確実に印加することができる。また、前述のように耐高電圧及びノイズ対策を施す必要がないので、点灯制御装置の構成を簡略化できる。
【0010】
本発明では、前記パルス生成回路は、オン状態で、生成した前記高電圧パルスを前記電極に印加させるスイッチング素子を備え、前記トリガー回路は、入力される電流の周波数の変動に応じて、前記スイッチング素子をオン状態とするトリガー信号を出力することが好ましい。
【0011】
このようなスイッチング素子としては、FET(Field Effect Transistor)等のトランジスター及びサイリスターを例示できる。また、これらスイッチング素子の場合、トリガー信号としては、ゲート電流、ゲート電圧及びベース電流等を例示できる。
本発明によれば、トリガー回路が、変換回路から入力される交流電流の周波数変動に応じて、パルス生成回路のスイッチング素子をオン状態にするトリガー信号を出力する。これによれば、当該トリガー信号の入力に応じてスイッチング素子がオン状態となり、パルス生成回路が高電圧パルスを電極に印加できる。従って、変換回路の駆動周波数の変動を、交流電流の周波数変動を指標として検出することができ、当該周波数変動に応じて高電圧パルスを確実に印加できる。
【0012】
本発明では、前記トリガー回路は、積分回路と、前記積分回路に直列に接続され、当該積分回路を介して入力される電圧値が所定値を超えた場合に、前記トリガー信号を出力する信号出力回路とを備え、前記制御装置は、前記高電圧パルスを前記電極に印加させるタイミングで、前記変換回路の駆動周波数を下げることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、変換回路の駆動周波数、すなわち、トリガー回路に入力される交流電圧の周波数が下げられると、積分回路からの出力電圧が増大する。この出力電圧が所定値を超えると、信号出力回路がパルス生成回路にトリガー信号を出力する。これによれば、制御装置により変換回路の駆動周波数が下げられて、信号出力回路に入力される電圧が所定値を越えたタイミングで、スイッチング素子をオン状態にすることができ、高電圧パルスを電極に印加できる。従って、制御装置により変換回路の駆動周波数が下げられたタイミングで、高電圧パルスを確実に電極に印加できる。
【0014】
或いは、本発明では、前記トリガー回路は、所定の共振周波数を有する共振回路と、前記共振回路に直列に接続され、当該共振回路から入力される電圧値の変動に応じて、前記トリガー信号を出力する信号出力回路とを備え、前記制御装置は、前記高電圧パルスを前記電極に印加させるタイミングと、印加させないタイミングとで、前記共振回路から出力される電圧に変化が生じうる周波数に、前記変換回路の駆動周波数を設定することが好ましい。
【0015】
本発明によれば、変換回路の駆動周波数が変動されると、共振回路からの出力電圧が変動するので、当該出力電圧の変動に応じて、信号出力回路がパルス生成回路にトリガー信号を出力する。これによれば、前述の積分回路を採用した場合と同様に、変換回路の駆動周波数が変化されたタイミングで、スイッチング素子をオン状態にすることができ、ひいては、パルス生成回路により高電圧パルスを電極に印加できる。従って、高電圧パルスを所望のタイミングで、電極に確実に印加できる。
【0016】
本発明では、前記制御装置は、前記高電圧パルスを前記電極に印加させるタイミングで、前記変換回路の駆動周波数の奇数倍が前記所定の共振周波数に近い値となるように、当該駆動周波数を設定することが好ましい。
【0017】
ここで、共振回路の共振周波数に近い値とは、当該共振周波数を含む所定範囲の周波数を示し、当該所定範囲は、例えば、共振周波数の1割程度の範囲を示す。
本発明によれば、制御装置は、変換回路の駆動周波数を、当該駆動周波数の奇数倍が共振回路の共振周波数に近い値となるように設定する。換言すると、制御装置は、共振回路の共振周波数を奇数で除算した値に近い周波数に、変換回路の駆動周波数を設定する。これによれば、共振回路から信号出力回路に入力される電圧は、当該駆動周波数の偶数倍が共振回路の共振周波数に近い値となる場合に比べて高くなる。このため、共振周波数が駆動周波数の偶数倍である場合と奇数倍である場合とで、当該電圧の差が大きくなる。従って、信号出力回路に印加される電圧の変動を検出しやすくすることができ、駆動周波数の変動タイミングで、高電圧パルスを電極に確実に印加できる。
【0018】
本発明では、前記信号出力回路は、入力される電流の波形を整形して、前記トリガー信号を生成し、当該トリガー信号を前記スイッチング素子に出力することが好ましい。
本発明によれば、信号出力回路が、入力される電流の波形を整形してトリガー信号を生成するので、スイッチング素子に出力されるトリガー信号を別途生成する場合に比べ、信号出力回路の構成を簡略化することができる。
【0019】
本発明では、前記トリガー回路は、前記変換回路に対して、前記パルス生成回路と並列接続されていることが好ましい。
本発明によれば、トリガー回路が、変換回路からパルス生成回路に流れる電流の経路とは別の経路上に設けられる。これによれば、当該トリガー回路に異常が生じた場合でも、変換回路からパルス生成回路に電流を供給し続けることができる。従って、放電灯の点灯を継続できる。
また、共振回路を有するトリガー回路を採用した場合には、高電圧が印加される箇所は、当該トリガー回路の信号出力回路のみである。これによれば、パルス生成回路に高電圧が印加されないので、当該パルス生成回路の負荷を軽減することができるほか、共振回路に採用されるコンデンサーの容量を小さくすることができる。
【0020】
また、本発明のプロジェクターは、前述の点灯制御装置と、電極を有し、前記点灯制御装置により点灯される放電灯とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、前述の点灯制御装置と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプロジェクターの構成を示す模式図。
【図2】前記実施形態における点灯制御装置の構成を示す図。
【図3】前記実施形態におけるトリガー回路の構成を示す回路図。
【図4】前記実施形態におけるトリガー回路に入出力される電圧波形を示すグラフ。
【図5】本発明の第2実施形態に係るプロジェクターのトリガー回路の構成を示す回路図。
【図6】前記実施形態における共振周波数に対する交流電流の周波数の比率と、当該共振回路を介して出力される電圧との関係を示す図。
【図7】前記実施形態におけるトリガー回路に印加される電圧波形を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔1.第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の構成を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、内部に設けられた光源装置411から出射された光束を変調して、画像情報に応じた画像を形成し、当該画像をスクリーン等の被投射面上に拡大投射するものである。このプロジェクター1は、図1に示すように、外装筐体2、投射光学装置3及び画像形成装置4を備える。この他、プロジェクター1は、当該プロジェクター1内部を冷却する冷却ファン等で構成される冷却ユニット91、プロジェクター1内部の各構成部材に電力を供給する電源ユニット92、及び、プロジェクター1全体を制御する制御ユニット93等を備える。
【0023】
〔外装筐体及び投射光学装置の構成〕
外装筐体2は、合成樹脂又は金属により全体略直方体状に形成された筐体であり、前述の各装置3,4及び各ユニット91〜93等を内部に収納配置する。
投射光学装置3は、後述する画像形成装置4にて形成された画像を被投射面上に結像させるとともに、当該画像を拡大投射する。この投射光学装置3は、図示を省略するが、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成されている。
【0024】
〔画像形成装置の構成〕
画像形成装置4は、前述の制御ユニット93による制御の下、画像情報に応じた画像光を形成する光学装置である。この画像形成装置4は、照明光学装置41、色分離光学装置42、リレー光学装置43及び電気光学装置44と、これらを内部に設定された照明光軸A上の所定位置に収納配置するほか、投射光学装置3を支持する光学部品用筐体45とを備える。
【0025】
照明光学装置41は、光源装置411、一対のレンズアレイ412,413、偏光変換素子414及び重畳レンズ415を備える。
色分離光学装置42は、ダイクロイックミラー421,422及び反射ミラー423を備え、リレー光学装置43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433及び反射ミラー432,434を備える。
電気光学装置44は、フィールドレンズ441と、光変調装置としての3つの液晶パネル442(赤色光用、緑色光用及び青色光用の液晶パネルを、それぞれ442R,442G,442Bとする)と、それぞれ3つの入射側偏光板443、視野角補償板444及び出射側偏光板445と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム446とを備える。
【0026】
このような画像形成装置4では、照明光学装置41により照明領域内の照度が略均一化された光束が出射され、当該光束は、色分離光学装置42により、赤(R),緑(G),青(B)の3つの色光に分離される。これら分離された各色光は、各液晶パネル442にて画像情報に応じてそれぞれ変調され、色光毎の画像が形成される。そして、当該色光毎の画像は、クロスダイクロイックプリズム446にて合成され、投射光学装置3により被投射面上に拡大投射される。
【0027】
〔光源装置の構成〕
光源装置411は、図1に示すように、放電灯416と、主反射鏡417及び副反射鏡418と、平行化凹レンズ419と、これらを内部に収納するハウジング(図示省略)と、放電灯416の点灯を制御する点灯制御装置5とを備える。
このうち、放電灯416は、内部に形成された放電空間内に一対の電極E(E1,E2)(図2参照)及び放電物質が封入された略球状を有する発光部4161と、当該発光部4161の両端から互いに離間する方向に延出する一対の封止部4162,4163とを有する。このような放電灯として、例えば、超高圧水銀ランプ等を採用できる。
【0028】
主反射鏡417は、レンズアレイ412から離間する側の封止部4162に接着剤により固定される。この主反射鏡417の内側には、凹曲面状の反射面が形成されており、当該反射面により発光部4161から入射された光を反射させて、照明光軸A上の第2焦点に収束させる。
副反射鏡418は、発光部4161における封止部4163側(主反射鏡417側とは反対側)を覆うガラス製の成形品である。この副反射鏡418は、当該発光部4161の外形に沿う形状を有し、発光部4161と対向する面には、反射面が形成されている。そして、副反射鏡418は、発光部4161から出射された光のうち、主反射鏡417側とは反対側に射出された光を、当該反射面により反射させて、主反射鏡417の反射面に入射させる。これにより、発光部4161から光源装置411の光束出射方向の先端側に直接射出され、かつ、レンズアレイ412に入射しない光の発生を抑えることができる。
平行化凹レンズ419は、主反射鏡417にて反射され収束される光束を照明光軸Aに対して平行化する。
【0029】
〔点灯制御装置の構成〕
図2は、点灯制御装置5の構成を示すブロック図である。
点灯制御装置5は、図2に示すように、前述の電源ユニット92から供給される直流電流を交流電流に変換して放電灯416の電極E(E1,E2)に出力して、当該放電灯416を点灯させる点灯装置6と、前述の制御ユニット93の制御下で点灯装置6を制御する制御装置7とを備える。
【0030】
〔点灯装置の構成〕
点灯装置6は、降圧回路61、変換回路62、コンデンサー63、パルス生成回路64及びトリガー回路65を備える。
降圧回路61は、ダウンチョッパー回路であり、制御装置7の制御の下、電源ユニット92から入力される略380Vの直流電流を、放電灯416に適した電圧(例えば、略50V〜150V)に降下させる回路である。この降圧回路61は、詳しい図示を省略するが、例えば、直列接続されるスイッチング素子としてのFET(Field Effect Transistor)及びコイルと、これらの素子から分岐して接続されるダイオード及びコンデンサーとを備える。これらのうち、FETは、制御装置7により印加されるゲート電圧に応じて、入力される直流電流を所望の電圧に降下させる。また、コイル、ダイオード及びコンデンサーは、入力される直流電流の高周波成分の除去、整流及び定電力化を行う。
なお、降圧回路61の出力端は、後述する制御装置7と接続され、制御装置7により、当該降圧回路61から変換回路62に入力される電流、及び、当該電流の電圧が検出されるように構成されている。
【0031】
変換回路62は、インバーター回路であり、入力される直流電流を交流電流に変換する。この変換回路62は、一対のFET621及び一対のFET622を備えたブリッジ回路として構成されている。このブリッジ回路には、降圧回路61を経て整流された直流電流が入力される。そして、後述する制御装置7によりFET621及びFET622にゲート電圧が印加されると、一対のFET621を含む経路と、一対のFET622を含む経路とが交互に短絡して電流が流れ、これにより、交流電流が生成される。この変換回路62は、放電灯416の点灯前では高周波数(例えば10kHz以上)で駆動され、点灯後では低周波数(例えば1kHz以下)で駆動される。
コンデンサー63は、変換回路62とパルス生成回路64とを接続するカップリングコンデンサーである。
【0032】
パルス生成回路64は、イグナイター回路であり、放電灯416の点灯始動時に動作する。具体的に、パルス生成回路64は、電極Eに高電圧パルスを出力して当該電極E間の絶縁破壊を行い、放電灯416の始動を促す。このパルス生成回路64は、降圧回路61及び変換回路62と、放電灯416との間に、当該放電灯416と並列となるように接続されている。このようなパルス生成回路64は、一次回路641と、イグナイタートランス(以下、「トランス」と略す場合がある)642とを備える。
【0033】
一次回路641は、抵抗6411、ダイオード6412、コンデンサー6413及びスイッチング素子としてのFET6414を有する。この一次回路641では、変換回路62から入力される電圧は、抵抗6411を介してダイオード6412により整流された後、コンデンサー6413に印加され、当該コンデンサー6413に電荷が蓄積される。そして、コンデンサー6413に十分な電荷が蓄積された後、後述するトリガー回路65によりトリガー信号としてのゲート電圧が印加されると、FET6414はオン状態(導通状態)となり、コンデンサー6413に蓄えられた電荷が解放される。これにより、FET6414を介して、トランス642の一次巻線6421に大きなパルス電流が流れる。
【0034】
トランス642は、一次巻線6421及び二次巻線6422を有する。これらのうち、一次巻線6421は、一次回路641に接続される。また、二次巻線6422の入力端は変換回路62に接続され、出力端は電極E(E1,E2)に接続される。
このようなトランス642は、一次巻線6421に流れる電流に応じて、二次巻線6422に流れる電流を変圧する。このため、一次巻線6421に前述のパルス電流が流れると、二次巻線6422に略10kVの高電圧パルスが生じ、当該高電圧パルスは、電極Eに印加される。これにより、電極E1,E2間の絶縁が破壊され、当該電極E1,E2間の電気的導通が確保されて放電灯416が点灯する。
このようにして放電灯416が点灯すると、当該放電灯416は定電圧負荷(略10〜150V)で動作し、後述する制御装置7が検出した降圧回路61の出力電圧及び出力電流に基づいて、定電力制御される。
【0035】
図3は、トリガー回路65の構成を示す回路図である。
トリガー回路65は、変換回路62に対して、パルス生成回路64と並列に接続されている。このトリガー回路65は、当該変換回路62から入力される電流の周波数変動(具体的には、周波数低下)に応じて、FET6414にトリガー信号としてのゲート電圧を印加する。このようなトリガー回路65は、図3に示すように、積分回路651と、当該積分回路651に直列に接続された信号出力回路652とを備える。
【0036】
積分回路651は、抵抗6511及びコンデンサー6512を有し、入力端が変換回路62に接続され、出力端が信号出力回路652に接続されている。この積分回路651は、コンデンサー6512による充放電を行い、変換回路62の駆動周波数が高い場合(入力電流の周波数が高い場合)には低い電圧を出力し、当該駆動周波数が低い場合(入力電流の周波数が低い場合)には高い電圧を出力する。
【0037】
信号出力回路652は、一対の抵抗6521,6522により構成される分圧回路652Aと、当該分圧回路652Aの出力端に設けられるツェナーダイオード6523と、当該ツェナーダイオード6523に接続された抵抗6524及びコンデンサー6525により構成されるノイズ除去回路652Bとを備える。
【0038】
この信号出力回路652では、分圧回路652Aにより抵抗分圧されてツェナーダイオード6523に入力される電圧が、ツェナー電圧を超えた場合に、ノイズ除去回路652Bを介して、当該電圧をゲート電圧としてFET6414に印加する。
すなわち、信号出力回路652では、トリガー回路65に入力される電流の周波数が低下して、積分回路651から分圧回路652Aを介してツェナーダイオード6523に入力される電圧が大きくなり、当該電圧がツェナー電圧(定格の降伏電圧)を超えると、当該電圧をゲート電圧としてFET6414に印加する。これにより、一次回路641が動作して二次巻線6422に高電圧パルスが生成され、当該高電圧パルスが電極Eに供給される。
【0039】
図4は、トリガー回路65に入出力される電圧波形を示すグラフである。具体的に、図4(A)は、積分回路651に印加される電圧波形を示すグラフであり、図4(B)は、ツェナーダイオード6523に印加される電圧波形を示すグラフであり、図4(C)は、信号出力回路652から出力される電圧波形を示すグラフである。
具体的に、図4(A)に示す波形を有する電圧がトリガー回路65に印加された場合、積分回路651からの出力電圧波形は、図4(B)のようになる。そして、制御装置7の制御により、積分回路651に入力される交流電流の周波数がf1からf2に変化(低下)されると、図4(B)に示すように、積分回路651からの出力電圧が大きくなり、ツェナーダイオード6523に印加される電圧が大きくなる。この電圧がツェナー電圧Zを超えた場合、電流がツェナーダイオード6523を逆方向に流れ、図4(C)に示すように、当該ツェナーダイオードを超えた電圧がFET6414のゲートに印加される。これにより、当該FET6414がオン状態となる。
【0040】
なお、抵抗6511及びコンデンサー6512の各定数、ツェナー電圧、並びに、変換回路62の駆動周波数は、当該変換回路62から出力される交流電流の周波数がf1の時は、ツェナーダイオード6523に印加される電圧がツェナー電圧Zを超えず、当該周波数がf2の時に、当該電圧がツェナー電圧Zを超え、かつ、FET6414をオン状態にして一次回路641を動作させるのに十分な電圧が発生する値に、それぞれ設定される。
【0041】
〔制御装置の構成〕
制御装置7は、前述のように、制御ユニット93の制御の下、降圧回路61の出力電圧及び出力電流に基づいて、点灯装置6の動作を制御する。例えば、制御装置7は、前述のように、降圧回路61と接続され、降圧回路61のFETにゲート電圧を印加して、当該降圧回路61から変換回路62に供給される電流を降圧する。
また、制御装置7は、変換回路62を構成する各FET621,622と接続され、当該各FET621,622にゲート電圧を出力して、当該変換回路62により直流電流から交流電流を生じさせる。この際、制御装置7は、変換回路62の駆動周波数を変動させることで、前述の周波数の交流電流を生成し、前述のように、トリガー回路65により、一次回路641のFET6414にゲート電圧を印加させる。なお、この制御装置7による変換回路62の駆動周波数変動は、一次回路641のコンデンサー6413に十分な電荷が蓄積された後に行われるが、本実施形態では、制御装置7は、当該十分な電荷が蓄積される時点を、点灯装置6の駆動開始時からの経過時間で判断する。
【0042】
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1によれば、以下の効果がある。
(1)変換回路62の駆動周波数の変動、すなわち、当該変換回路62から出力される交流電流の周波数の変動に応じて、トリガー回路65が、パルス生成回路64に電極Eへの高電圧パルスの印加を行わせる。これによれば、高電圧パルスの印加時に、制御装置7がパルス生成回路64を直接制御する必要が無いので、当該制御装置7と高電圧を生じさせるパルス生成回路64とを制御線等により接続する必要がない。このため、制御装置7に高電圧が印加されることがないので、当該制御装置7に耐高電圧及びノイズ対策を施す必要がない。従って、点灯制御装置5の構成を簡略化することができるほか、任意のタイミングで高電圧パルスを電極に印加できる。
(2)制御装置7が高電圧パルスの印加タイミングに応じて変換回路62の駆動周波数を変動させるので、当該印加タイミングに高電圧パルスを確実に印加することができる。
【0043】
(3)トリガー回路65が、変換回路62から入力される交流電流の周波数変動に応じて、FET6414をオン状態にするゲート電圧(トリガー信号)を印加する。これによれば、入力される交流電流の周波数の変動を指標として、変換回路62の駆動周波数の変動を検出することができ、当該周波数変動に応じて高電圧パルスを確実に印加できる。
【0044】
(4)変換回路62の駆動周波数、すなわち、入力される交流電流の周波数が下げられると、積分回路651からの出力電圧が増大する。この出力電圧がツェナー電圧Zを超えた場合に、信号出力回路652がFET6414にゲート電圧を印加する。これによれば、制御装置7により変換回路62の駆動周波数が下げられたタイミングで、FET6414をオン状態にすることができ、高電圧パルスを電極Eに印加できる。従って、高電圧パルスを任意のタイミングで、確実に電極Eに印加できる。
【0045】
(5)信号出力回路652が、入力される電流の波形を整形してトリガー信号としてのゲート電圧を生成するので、当該ゲート電圧を別途生成する場合に比べ、信号出力回路652の構成を簡略化することができる。
(6)トリガー回路65が、変換回路62に対してパルス生成回路64と並列に設けられていることにより、当該トリガー回路65に異常が生じた場合でも、変換回路62からパルス生成回路64に電流を供給し続けることができる。従って、放電灯416の点灯を継続できる。
【0046】
〔2.第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、前述のプロジェクター1と同様の構成を備えるが、本実施形態のプロジェクターは、積分回路651に代えて共振回路661を備える点で、プロジェクター1と相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
図5は、本実施形態に係るプロジェクターが備えるトリガー回路66の構成を示す回路図である。
本実施形態のプロジェクターは、トリガー回路65に代えて、トリガー回路66を備えるほかは、前述のプロジェクター1と同様の構成を備える。
トリガー回路66は、図5に示すように、共振回路661、整流回路662及び信号出力回路652を備え、前述のトリガー回路65と同様に、変換回路62に対して、パルス生成回路64と並列に接続される。
【0048】
共振回路661は、コイル6611及びコンデンサー6612を備え、入力される電流に自由振動を発生させる。この共振回路661には、所定の共振周波数が設定されている。そして、前述の制御装置7は、電極Eに高電圧パルスを印加するために、FET6414をオン状態にする(ゲート電圧を印加する)際には、変換回路62の駆動周波数(生成される交流電流の周波数)の奇数倍が、当該共振周波数に近い値となるように設定する。
【0049】
整流回路662は、ダイオード6621及びコンデンサー6622を備え、共振回路661に直列に接続される。この整流回路662は、共振回路661から出力される電流を整流して、信号出力回路652に出力する。
信号出力回路652は、整流回路662に直列に接続され、前述のように、分圧回路652A、ツェナーダイオード6523及びノイズ除去回路652Bを備える。
【0050】
図6は、共振回路661の共振周波数に対する交流電流の周波数の比率と、当該共振回路661から出力される電圧との関係を示す図である。
トリガー回路66においては、変換回路62から入力された交流電流は、共振回路661及び整流回路662を介して、信号出力回路652に入力される。この際、当該交流電流の周波数の奇数倍が、共振回路661の共振周波数に近い値となる場合には、当該周波数の偶数倍が共振周波数に近い値となる場合に比べ、共振により当該共振回路661から出力される電圧が高くなる。換言すると、共振周波数を奇数で除算した周波数(例えば、図6における1、1/3及び1/5の位置)に近い値に交流電流の周波数が設定されている場合には、当該共振周波数を偶数で除算した周波数(例えば、図6における1/2及び1/4の位置)に近い値に交流電流の周波数が設定されている場合に比べ、共振により共振回路661から出力される電圧が高くなる。
【0051】
そして、分圧回路652Aを介してツェナーダイオード6523に印加される電圧がツェナー電圧Zを超えた場合に、電流がツェナーダイオード6523を逆方向に流れる。これにより、ノイズ除去回路652Bを介してFET6414にゲート電圧(トリガー信号)が印加され、当該FET6414がオン状態となって一次回路641が駆動する。
【0052】
図7は、トリガー回路66に印加される電圧波形を示すグラフである。具体的に、図7(A)は、共振回路661に印加される電圧波形を示すグラフであり、図7(B)は、ツェナーダイオード6523に印加される電圧波形を示すグラフである。
例えば、図7(A)に示すように、制御装置7により、変換回路62の駆動周波数(入力される交流電流の周波数)が、共振回路661の共振周波数の1/2に近い周波数f3に設定されている場合には、図7(B)に示すように、ツェナーダイオード6523に印加される電圧は電圧Vf3となり、ツェナー電圧Zを超えない。このため、ツェナーダイオード6523を介してFET6414にゲート電圧が印加されることはなく、一次回路641は起動しない。
【0053】
一方、制御装置7により、変換回路62の駆動周波数が共振回路661の共振周波数の1/3に近い周波数f4に設定されると、図7(B)に示すように、ツェナーダイオード6523に印加される電圧は、共振回路661での共振により電圧Vf3より大きな電圧Vf4となり、ツェナー電圧Zを超える。これにより、ツェナーダイオード6523を介してFET6414にゲート電圧が印加され、一次回路641ひいてはパルス生成回路64が起動する。
【0054】
なお、トリガー回路66のコイル6611、コンデンサー6612,6622及び抵抗5611,5612の定数、ツェナー電圧Z、並びに、変換回路62の駆動周波数は、当該変換回路62からの出力電流の周波数が、周波数f3に設定されている場合にツェナー電圧Zを越える電圧をツェナーダイオード6523に印加せず、また、当該周波数が、周波数f4に設定された場合にツェナー電圧Zを越える電圧をツェナーダイオード6523に印加して、FET6414をオン状態にするゲート電圧を発生させることができる値に、それぞれ設定されている。
【0055】
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターによれば、前述のプロジェクター1が奏する効果(1)〜(3)、(5)及び(6)と同様の効果がある他、以下の効果がある。
(7)制御装置7により変換回路62の駆動周波数が変動(低下)され、入力される交流電流の周波数が変動(低下)されると、共振回路661からの出力電圧が変動する(高くなる)。この出力電圧の変動に応じて、信号出力回路652がFET6414にトリガー信号としてのゲート電圧を印加する。これによれば、前述の積分回路651を採用した場合と同様に、変換回路62の駆動周波数が変化されたタイミングで、当該FET6414をオン状態にすることができ、ひいては、パルス生成回路64により高電圧パルスを電極Eに印加できる。従って、高電圧パルスを適切なタイミングで、確実に電極Eに印加できる。
【0056】
(8)制御装置7は、変換回路62の駆動周波数を、当該駆動周波数の奇数倍が共振回路661の共振周波数に近い値となるように設定する。換言すると、制御装置7は、共振回路661の共振周波数を奇数で除算した値に近い周波数に、変換回路62の駆動周波数を設定する。これによれば、共振回路661から信号出力回路652に入力される電圧は、当該駆動周波数の偶数倍が共振回路661の共振周波数近傍の値となる場合に比べて高くなる。これにより、信号出力回路652に印加される電圧の変動を検出しやすくすることができるので、当該駆動周波数の変動タイミング、すなわち、高電圧パルスの印加タイミングを検出しやすくすることができる。従って、駆動周波数の変動タイミングで、ゲート電圧を確実に印加でき、高電圧パルスを電極Eに確実かつ適切に印加できる。
【0057】
(9)トリガー回路66が、変換回路62に対してパルス生成回路64と並列に設けられていることにより、共振回路661の共振によって高電圧が生じる箇所は、トリガー回路66のみとなる。これによれば、パルス生成回路64に高電圧が印加されることがないので、当該パルス生成回路64の負荷を軽減することができる。また、信号出力回路652により検出可能な電圧の変化(ツェナー電圧Zを超える程度の電圧)を共振回路661により生じられればよいので、当該共振回路661に採用されるコンデンサー6612の容量を小さくすることができる。
【0058】
〔3.実施形態の変形〕
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記第1実施形態では、積分回路651及び信号出力回路652を備えるトリガー回路65を採用し、前記第2実施形態では、共振回路661、整流回路662及び信号出力回路652を備えるトリガー回路66を採用したが、本発明はこれに限らない。すなわち、変換回路62の駆動周波数の変動を検出し、当該変動に応じて、パルス生成回路64による高電圧パルスの電極Eへの印加を生じさせるトリガー信号を出力することができれば、回路構成は他の構成でもよい。
【0059】
前記各実施形態では、パルス生成回路64は、スイッチング素子として、FET6414を有するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、入力されるトリガー信号に応じて、所定の信号入力に応じて、高電圧パルスを電極Eに印加することが可能であれば、他の構成でもよい。また、他のトランジスター及びサイリスター等の他のスイッチング素子を採用してもよい。この場合、これらスイッチング素子に応じて、トリガー回路の構成を適宜変更可能である。
【0060】
前記第1実施形態では、制御装置7は、高電圧パルスの印加タイミングで、変換回路62の駆動周波数を高周波数から低周波数に変動させるとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、制御装置7が、当該駆動周波数を低周波数から高周波数に変動させてもよく、これに応じて、入力される交流電流の周波数の変動をトリガー回路が検出し、当該トリガー回路がトリガー信号をパルス生成回路に出力できればよい。
【0061】
前記第2実施形態では、FET6414にトリガー信号としてのゲート電圧を印加する前では、変換回路62の駆動周波数(すなわち、交流電流の周波数)を、共振回路661の共振周波数の1/2に設定し、当該ゲート電圧を印加する際に、変換回路62の駆動周波数を共振周波数の1/3に設定するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、当該ゲート電圧を印加する前及び印加時に、検出可能な電位差を生じることができればよい。例えば、ゲート電圧の印加前に、変換回路の駆動周波数を、共振周波数の1/4に設定し、当該ゲート電圧の印加時に、共振周波数の1/3に設定してもよい。更には、当該駆動周波数は、厳密に共振周波数を偶数で除算した値、及び、奇数で除算した場合に限定されず、検出可能な電位差を生じることができるのであれば、これらの数値に近い周波数としてもよい。また、共振周波数を偶数で除算した周波数に変換回路62の駆動周波数を設定し、ゲート電圧の印加時に、当該共振周波数を奇数で除算した周波数に変換回路62の駆動周波数を設定するようにしてもよい。
【0062】
前記各実施形態では、信号出力回路652は、ツェナーダイオード6523を逆方向に流れる電流を利用して、FET6414にゲート電圧を印加するとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、ツェナー電圧Zを超えたことを検出して、パルス生成回路のスイッチング素子を導通状態(オン状態)にするトリガー信号を生成し、当該トリガー信号を出力する構成としてもよい。
【0063】
前記各実施形態では、トリガー回路65,66は、変換回路62に対して、パルス生成回路64と並列に設けられるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、変換回路62とパルス生成回路64との間に設けられていればよく、変換回路、トリガー回路及びパルス生成回路が、それぞれ直列に接続されていてもよい。
【0064】
前記各実施形態では、3つの液晶パネル442R,442G,442Bを備えるプロジェクター1を挙げたが、本発明はこれに限らない。すなわち、2つ以下、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクターにも、本発明を適用可能である。
前記各実施形態では、画像形成装置4は平面視略L字形状を有した構成を説明したが、これに限らず、例えば、平面視略U字形状を有した構成を採用してもよい。
前記各実施形態では、光束入射面と光束射出面とが異なる透過型の液晶パネル442を用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
【0065】
前記各実施形態では、光変調装置として液晶パネル442を備えたプロジェクター1を例示したが、入射光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置であれば、他の構成の光変調装置を採用してもよい。例えば、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調装置を用いたプロジェクターにも、本発明を適用することも可能である。このような光変調装置を用いた場合、光束入射側及び光束射出側の偏光板443,445は省略することができる。
【0066】
前記各実施形態では、放電灯416の点灯を制御する点灯制御装置5を、プロジェクター1に採用したが、本発明はこれに限らない。すなわち、このような点灯制御装置5は、スタンド等の照明装置に利用することも可能である。更に、当該点灯制御装置5を構成する点灯装置6を単体で利用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、放電灯の点灯装置に利用でき、特にプロジェクターの点灯制御装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…プロジェクター、5…点灯制御装置、6…点灯装置、7…制御装置、416…放電灯、62…変換回路、64…パルス生成回路、65,66…トリガー回路、651…積分回路、652…信号出力回路、661…共振回路、6414…FET(スイッチング素子)、E(E1,E2)…電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電灯の電極に電力を供給して、前記放電灯を点灯させる点灯装置であって、
入力される直流電流を交流電流に変換する変換回路と、
前記変換回路から入力される交流電流から高電圧パルスを生成し、当該高電圧パルスを前記電極に印加するパルス生成回路と、
前記変換回路と前記パルス生成回路との間に設けられ、前記パルス生成回路により前記高電圧パルスを前記電極に印加させるトリガー回路とを備え、
前記トリガー回路は、前記変換回路の駆動周波数の変動に応じて、前記パルス生成回路に前記高電圧パルスを前記電極に印加させることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の点灯装置と、
前記点灯装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記高電圧パルスを前記電極に印加させるタイミングで、前記変換回路の駆動周波数を変動させることを特徴とする点灯制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の点灯制御装置において、
前記パルス生成回路は、オン状態で、生成した前記高電圧パルスを前記電極に印加させるスイッチング素子を備え、
前記トリガー回路は、入力される電流の周波数の変動に応じて、前記スイッチング素子をオン状態とするトリガー信号を出力することを特徴とする点灯制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の点灯制御装置において、
前記トリガー回路は、
積分回路と、
前記積分回路に直列に接続され、当該積分回路を介して入力される電圧値が所定値を超えた場合に、前記トリガー信号を出力する信号出力回路とを備え、
前記制御装置は、前記高電圧パルスを前記電極に印加させるタイミングで、前記変換回路の駆動周波数を下げることを特徴とする点灯制御装置。
【請求項5】
請求項3に記載の点灯制御装置において、
前記トリガー回路は、
所定の共振周波数を有する共振回路と、
前記共振回路に直列に接続され、当該共振回路から入力される電圧値の変動に応じて、前記トリガー信号を出力する信号出力回路とを備え、
前記制御装置は、前記高電圧パルスを前記電極に印加させるタイミングと、印加させないタイミングとで、前記共振回路から出力される電圧に変化が生じうる周波数に、前記変換回路の駆動周波数を設定することを特徴とする点灯制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の点灯制御装置において、
前記制御装置は、前記高電圧パルスを前記電極に印加させるタイミングで、前記変換回路の駆動周波数の奇数倍が前記所定の共振周波数に近い値となるように、当該駆動周波数を設定することを特徴とする点灯制御装置。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれかに記載の点灯制御装置において、
前記信号出力回路は、入力される電流の波形を整形して、前記トリガー信号を生成し、当該トリガー信号を前記スイッチング素子に出力することを特徴とする点灯制御装置。
【請求項8】
請求項2から請求項7のいずれかに記載の点灯制御装置において、
前記トリガー回路は、前記変換回路に対して、前記パルス生成回路と並列接続されていることを特徴とする点灯制御装置。
【請求項9】
請求項2から請求項8のいずれかに記載の点灯制御装置と、電極を有し、前記点灯制御装置により点灯される放電灯とを備えることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−60682(P2011−60682A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211375(P2009−211375)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】