説明

烏賊飯立煮器

【課題】詰米の生にえや煮汁が中に通らない鍋底にこげつく烏賊衣の煮色の付き具合のための裏返し等々こうした心配や不安ため煮鍋のそばを離れられない。詰米の煮上がりの確認のため一杯の烏賊を煮鍋の中で割って見ると中まで煮汁が通っていない。詰米がやわらかくなる頃には烏賊衣は黒ずんでしまう。
【解決手段】調理烏賊を軽く湯通しして詰米し据口の詰米部に押さえのための網籠を被せて天地を返して烏賊を立てて機器にセットし、その烏賊据受籠を受盤ごと鍋底より支柱を建てて浮かし、その支柱がパイプとして煮汁を烏賊頭迄勢いよく運ぶ。煮汁を運ぶ筒の差し込み部の切り込みをした烏賊頭には煮汁がよく入るように上戸を使って身の中に絶え間なく流れ込む法式で下からと上からと二方からの炊き込みにより煮汁は下から上へ、上から下へと詰米の間を順廻しはじめ詰米は順調に炊き上がる。調理の烏賊をさばいて湯通しをして詰米をして機器にセットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は海産鮮魚の烏賊の調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりの調理技術として烏賊頭頂部の切り込みによる煮汁の浸透技術は存在している。しかし縦切り込みにせよ、横切り込みにせよ切り込みを入れるだけの技術であり、古くから行なわれている技術である。
個別の烏賊を網籠に入れての吊し煮が烏賊据口を止め閉じにしたり、詰閉じにして量産化をはかる技術は存在するが、それ等の技術は本発明の技術とは異なり烏賊飯の個に対する煮汁順廻の技術とは異なる。
【0003】
烏賊飯調理の問題点は 1.衣は煮え過ぎなのに中まで煮汁が通らない。2.詰米の炊き具合が見えず生煮えとなる。3.鍋底にこげつく。4.そのため表裏、上下の煮返しが必要等とそれら調理の不安である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の「烏賊飯立煮器」は、上、下2台の機器の組み合わせにより立煮器を成す構成で、上器及び下器の基盤であるアルミニューム板又は、ステンレス板による穴明固定基盤(A−7)(B−2)の各隅部に嵌設しそれぞれが固定補助管(A−2)(B−8)によって固設されたアルミニューム管又はステンレス管による煮汁送管(A−1)(B−1)が上、下両器の中間で差し込み式となっており、上器(1−2)管の中に下器(1−1)の管が潜り込む形となる。その下器煮汁送管(A−1)の下辺吸口部には鋼機製によるラッパ型台座(A−3)が設置され、そのラッパ型台座の未広部にはそれぞれ復数の鋼機製による台座爪(A−4)が固設され煮汁送管吸口部への沸騰する煮汁が入りやすくなっている。
下器の固定基盤を固設させる下器固定補助管(A−2)がそれぞれの煮汁送管の立ち上がりをもビス止めで固設させて、更に固定基盤の形状と同型の烏賊据籠受盤(A−5)の台座ともなっている。その嵌め外し可能な綱籠受盤の中央に嵌め落としで設置する烏賊据受籠(A−6)は調理のさばいた烏賊に適量の詰米をして、据受籠を取り外して、その烏賊据口に被せて逆さに返して籠受け穴に差し込んでセットする。
【0005】
下器固定基盤(A−7)の各隅部より建ち上がる煮汁送管(A−2)と同位置に上器に建ち上がる上器煮汁送管は上器固定基盤(B−2)に嵌設され上器固定補助管(B−8)に固定されビス止めとなる。その固定補助管を台座にして上器上戸受盤(B−3)が取り外ずし可能に嵌め込みとなっている。その盤をはさんで煮汁送管のそれぞれに曲首煮汁排管(B−9)が落とし差しで嵌め込んであり、左、右自在に変向できる。
上器上戸受盤の中央の受穴には灰汁取り網(B−6)を内包した灰汁取り網付上戸(B−4)が嵌め込まれている。その上戸の先端排出口には上、下自在に動く煮汁送筒(B−5)が装着している。その筒は調理品がさばかれて詰米し下器にセットした烏賊の頭頂部に設けた煮汁流入口に差し込まれる筒で煮汁順回を可能にする筒で烏賊の大、小に対応できるよう長さは調整されている。
更に上戸受盤には沸騰する煮汁の勢いによっては受盤ごと持ち上げられるのを防ぐためにスプリング(B−7)を下器の烏賊据受籠の受盤に止め具で張りを取っている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の烏賊飯立煮器を使用することで調理烏賊の据口止めや、据口詰め込み止めの必要がなく、仕度の手順が良好になった。据口を開口する分詰米が20〜30%多くなった。据口とじや、炊き出し中の煮返しや鍋底のこげつき等の心配が一切なくなった。炊き出し中の調理品をいじるようなことは一切なく、調理品数のどれが欠けることもなく、同じ煮姿、同じ色調で痛みもなく煮上がり時間も一定した。更にこの立煮器に固設する煮汁送管装置及び灰汁取り網付上戸とその排出口に装着した煮汁送筒の働きも含めた集汁上戸装置の働きにより煮上がり烏賊に詰め込まれた米飯の炊き上がりは烏賊据口より頭頂部に至る隅々まで満面煮汁が行き渡り、上部、中程、据口と輪切りにしてもほぼ均一に炊き上がり、予想以上の成果は米飯がべちゃべちゃしないこと、更に灰汁取り網の効果は絶大で煮汁色した米飯は炊飯器の炊き上がりに似て烏賊特有の浮遊するぶつぶつ灰汁もなく煮汁一色のきれいな米飯である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この烏賊飯立煮器は調理烏賊を立てて、この機器にセットし煮鍋で煮込む調理であり適度な深鍋が良い。単品調理で深鍋使用は不経済で一般的家庭で考えると4杯から10杯位で記述すると、この機器の4杯用で直径15cmであり、市販の深鍋は18cmからあり、直径がこの位から様々な鍋が多くなる。よく家庭で使われている片手圧力鍋でも良い。圧力機能をはずして蓋を少々ずらせば可能である。他に広口ケトル3l、5l等も使用可能で、多機能鍋でも良い。蒸し鍋や寸胴鍋があれば最適で深さが20cmあれば平鍋でも可能である。
業務用としてのこの機器は深鍋の45cm鍋用で、1回の烏賊調理は35杯であるが業務用鍋は様々な業態のそれぞれの厨房には大型の鍋が多種多様にありこの機器の二段重ねも可能な深鍋も存在する。それ等もこの機器の使用は可能である。
【実施例1】
【0009】
真烏賊ツブ揃い10杯、中広だし混布20cm物5枚、ザラメ砂500g、醤油1l、米1kg、もち米1kgを用意、以上が素朴な最底限の味付けとなる。鍋は寸胴鍋の27cm物で、烏賊飯立煮器は10杯用で直径22cmを用いた。
先ず米ともち米混ぜ合わせてといでから水に浸しておく。次に家庭用ガスコンロに八部目迄水水を入れて掛け火を入れて沸騰させその中に烏賊飯立煮器を全機器空のままで入れて消毒をする。その間に烏賊をさばき、足、臓物、骨、ぬめりわた等を取り除いた素胴を一列に並べて頭頂部に煮汁挿入筒を差し込むための切り込みを入れる。烏賊に大小がある場合は一番小さい方に合わせて切り込みを入れる。次に消毒の済んだ機器を取り出し鍋の湯を捨てその鍋に調理でさばいた烏賊を湯通しするための水を4分の1程入れて再度火を入れて沸騰させて烏賊を入れると見ているうちに丸くふくらみ色がピンク色に変色してくると火を止めて鍋をガスコンロより下ろし長箸等で鍋の中の烏賊を取り出す。鍋に残る煮汁はそのまま再度コンロに掛けて火を入れて煮汁を作るための水を足して機器がスッポリ埋まって余りある位入れ、混布を入れて沸騰させる。沸騰迄の間、次に水に浸してある混米を水切りしてザルに取り湯通しした烏賊据口より詰米をしながら機器を上器、下器に分けて、下器に嵌め落としで設置してある烏賊据受籠を取り出し詰米した烏賊据に被せて順次下器に戻してセットする。全てがセット仕終えたら上器を下器の煮汁送管同志差し込んで合体させ上器の調理烏賊の真上に嵌置きしてある灰汁取り網付上戸より垂れ下がる煮汁送筒をセットされた烏賊頭頂部の切り込み口に差し込んで上器、下器の間をつなぎ押されるスプリングを止めてセット完了となる。次に沸騰する煮鍋に入れた混布を取り出し砂糖辛口好みの方で350g位、甘口好みの方で500gを入れ醤油1lを入れ沸騰させてからひしやく一杯分700から800ml分煮汁を取り出し容器に入れておく、それはセットした機器を入れて一定時間沸騰させる間に煮汁が蒸発して減少してしまうため注ぎ足しを要する場合がある。
煮汁沸騰の中にセット完了の機器を入れて蓋をして25分から30分ででき上がる。
煮汁が烏賊味と混布、醤油味に砂糖味が渾然一体となる頃合いが25分からになる。
少し冷まして取り皿上で真縦に切る。次は輪切りにする。それぞれを開腹して、1.烏賊衣にこげ跡や煮傷はなし。2.全体への煮汁の行き渡り。3.べちゃつきがない。4.ふっくらして炊飯機に近い炊き上がり。5.米飯の増量。6.煮汁が次の回も使用可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の烏賊飯立煮器の下器(1−1)(左)と上器(1−2)(右)図である。下段3図(B−4)(B−5)(B−6)図は上器(1−2)の中央に嵌め込まれた灰汁取り網(B−6)上戸(B−4)煮汁送筒(B−5)図である。
【図2】本発明の烏賊飯立煮器の連結機器図である。
【符号の説明】
【0011】
1−1 烏賊飯立煮器の下器
A−1 下器煮汁送管
A−2 固定補管
A−3 ラッパ型台座
A−4 台座爪
A−5 烏賊据口受籠盤
A−6 烏賊据口受籠
A−7 下器穴明個定基盤
1−2 烏賊飯立煮器の上器
B−1 上器煮汁送管
B−2 上器穴明基盤
B−3 上器上戸受盤
B−4 上戸
B−5 煮汁送筒
B−6 灰汁取り網
B−7 スプリング
B−8 上器固定補管
B−9 曲首煮汁排管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沸騰する煮汁を鍋底で一定の面積で捕捉し集汁した沸騰煮汁を煮物上部迄運び煮物に対する上、下二方炊きの上部からの、煮炊きを助けることにより、烏賊飯体内に煮汁順廻を発生させる骨格をなす煮汁送管装置。
【請求項2】
煮汁送管により吸み上がる沸騰煮汁と鍋壁面より立ち上がる沸騰煮汁とが交わる煮鍋の上面で灰汁取り網付上戸はその排水口に煮汁送筒を介して烏賊皮内の詰米の底温の中へ煮汁を絶え間なく送り込む装置で煮汁順廻の確立と灰汁取り装置による煮汁清汁をなす、灰汁取り網付上戸と煮汁送筒を組み合わせる煮汁集汁送筒装置。
【請求項3】
立煮式による烏賊の個別調理を可能にし、烏賊据口の開口と煮汁集汁送筒装置により上、下二方炊きを可能にし、更に煮汁順廻をも確立した。そのことによって、調理の無駄を排し、調理中の心配、不安を除去し誰にでも高級烏賊飯が調理できる調理法を確立した。
烏賊飯立煮器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−34823(P2013−34823A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202360(P2011−202360)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(591118948)
【Fターム(参考)】