説明

無停電電源システム

【課題】負荷設備への給電信頼性を低下させることなくオーバーラップ式切換装置で故障した無停電電源装置から健全機に切換える。
【解決手段】バイパス切換機能を有する無停電電源装置11、12と、無停電電源装置11、12の夫々の出力を、開閉器を介して2系統に分岐する出力分岐回路71、72と、これらの出力分岐回路双方から給電可能で、負荷設備91、92への給電を無瞬断で切換えるオーバーラップ切換装置81、82と、各々の無停電電源装置11、12の出力電圧指令及び出力周波数指令のうち少なくとも一方を与える電圧/周波数指令手段101とで構成する。電圧/周波数指令手段101は、オーバーラップ切換装置81、82から切換準備指令が与えられ、且つ無停電電源装置11、12の何れかが故障したとき、健全な無停電電源装置に与える出力電圧指令を、所定の一定電圧から、故障した無停電電源装置のバイパス電源の電圧に切換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商用電源が異常になっても安定した電力を負荷に給電を継続できる無停電電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常の無停電電源装置は、常時は商用電源から与えられる交流電力を、コンバータ(交流を直流に変える変換器)及びインバータ(直流を交流に変える変換器)によって商用電源と同一電圧、同一周波数の交流電力に変換して負荷設備へ給電し、交流電源が停電すると、コンバータの出力側に設けられた蓄電池からインバータを介して負荷設備に給電する構成となっている。そして、コンバータ乃至インバータに異常が生じた際にバイパス用商用電源より負荷設備へ給電するためのバイパス回路が設けられ、無瞬断切換回路によってインバータの出力との間で切換が可能な構成となっている。
【0003】
近年、上記のように各々が負荷設備を有する複数台の無停電電源装置に対し、1台の無停電電源装置に故障が生じたとき、他の無停電電源装置によって故障した無停電電源装置に対応する負荷設備に給電可能なように、負荷側にオーバーラップ式切換装置を設け、無停電電源装置間の給電切換を可能な構成とした無停電電源システムが採用されるようになってきた。(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−58738号公報(全体)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示された構成の無停電電源システムにおける各無停電電源装置のインバータは、通常は自らのバイパス電源の出力に合わせた一定電圧を出力する。そして、例えば2台の無停電電源装置によって上記無停電電源システムが構成させているとき、一方のインバータが故障すると、故障した側の無停電電源装置は自動的にバイパス給電に切換わる。そしてオーバーラップ式切換装置によって故障した側の一方のバイパス電源から健全な他方の無停電電源装置に給電を切換えようとすると、双方の電圧が一致するとは限らないため健全な他方の無停電電源装置のインバータに過大な横流が流れる恐れがある。
【0006】
このため、健全な他方の無停電電源装置の出力を一旦自らのバイパス電源からの給電に切換え、バイパス電源同士の給電切換をオーバーラップ式切換装置で行ったあと、健全な他方の無停電電源装置の出力を無瞬断切換回路によって自らのバイパス電源からインバータ給電へ切換える必要があった。このような複雑な切換を行うことによって、負荷設備への給電信頼性が低下することになる。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、オーバーラップ式切換装置で2台の無停電電源装置が突合せになっている無停電電源システムにおいて、一方の無停電電源装置に異常が発生した際に、負荷設備への給電信頼性を低下させることなく健全な無停電電源切換装置に切り換え可能な無停電電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の無停電電源システムは、商用電源の交流をコンバータによって直流に変換し、この直流をインバータによって再び交流に変換し、その出力を無瞬断切換回路によってバイパス入力用商用電源からのバイパス給電に切換可能な構成とした第1及び第2の無停電電源装置と、前記第1及び第2の無停電電源装置の夫々の出力を、各々開閉器を介して2系統に分岐する第1及び第2の出力分岐回路と、前記第1の出力分岐回路の一方の分岐出力と前記第2の出力分岐回路の一方の分岐出力とを入力とし、第1の負荷設備への給電を無瞬断で切換える第1のオーバーラップ切換装置と、前記第1の出力分岐回路の他方の分岐出力と前記第2の出力分岐回路の他方の分岐出力とを入力とし、第2の負荷設備への給電を無瞬断で切換える第2のオーバーラップ切換装置と、各々の前記インバータの出力電圧指令及び出力周波数指令のうち少なくとも一方を与える電圧/周波数指令手段とを具備し、前記電圧/周波数指令手段は、前記オーバーラップ切換装置から切換準備指令が与えられ、且つ何れかの前記無停電電源装置が故障したとき、健全な前記無停電電源装置に与える出力電圧指令を、所定の一定電圧から、故障した前記無停電電源装置のバイパス入力用商用電源の電圧に切換えるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、オーバーラップ式切換装置で2台の無停電電源装置が突合せになっている無停電電源システムにおいて、一方の無停電電源装置に異常が発生した際に、負荷設備への給電信頼性を低下させることなく健全な無停電電源切換装置に切り換え可能な無停電電源システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係る無停電電源システムの回路構成図。
【図2】本発明の実施例2に係る無停電電源システムの回路構成図。
【図3】本発明の実施例3に係る無停電電源システムの回路構成図。
【図4】実施例3で用いられる出力電圧/周波数指令回路のブロック構成図。
【図5】本発明の実施例4に係る無停電電源システムの回路構成図。
【図6】実施例4で用いられる出力電圧/周波数指令回路のブロック構成図。
【図7】本発明の実施例5に係る無停電電源システムの回路構成図。
【図8】本発明の実施例6に係る無停電電源システムの回路構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、この発明の実施例1に係る無停電電源システムの回路構成図である。
【0013】
図1において、商用電源1、2から無停電電源装置11、21に夫々交流が与えられる。無停電電源装置11、21のコンバータ11a、21aは夫々この交流を直流に変換してインバータ11b、21bに給電する。インバータ11b、21bの夫々の入力には、商用電源1、2が停電したときに直流電力を供給するための蓄電池31、41が夫々接続されている。インバータ11b、21bの夫々の出力は無瞬断切換回路11c、21cを介して出力分岐回路71、72に接続されている。無瞬断切換回路11c、21cにはバイパス入力用商用電源5が接続され、コンバータ11a乃至インバータ11b、また、コンバータ21a乃至インバータ21bに異常が生じた際に、バイパス入力用商用電源5よりバイパス給電し、夫々出力分岐回路71、72、オーバーラップ式切換装置81、82を介して負荷設備91、92への給電を継続することが可能な構成となっている。
【0014】
出力分岐回路71内の開閉器71a及び開閉器71bは、無停電電源装置11の出力をオーバーラップ切換装置81及び82に分岐するために設けられ、出力分岐回路72内の開閉器72a及び開閉器72bは無停電電源装置21の出力をオーバーラップ切換装置81及び82に分岐するために設けられている。
【0015】
電圧/周波数指令回路101は、図示しないインバータ11bの全体の制御回路の一部を抜き出したものであり、以下その内部構成を説明する。
【0016】
オーバーラップ式切換装置82からAND回路102の一方の入力として切換準備指令が与えられる。AND回路102の他方の入力として、無停電電源装置21からの故障信号が与えられる。この場合の故障信号は、コンバータ21aまたはインバータ21bの故障によって無瞬断切換回路21cがバイパス給電側になったという意味の信号とする。切換器103の出力は、インバータ11bの出力電圧指令を与える。AND回路102の出力によって、切換器103の出力を固定電圧基準104側から、開閉器72bの出力電圧を電圧検出器105で検出した電圧側に切換える。
【0017】
以下、図1の無停電電源システムの動作について説明する。
【0018】
通常時には、無停電電源装置11から出力分岐回路71の開閉器71a及びオーバーラップ式切換装置81を介して負荷設備91へ給電する。同様に、無停電電源装置21から出力分岐回路72の開閉器72b及びオーバーラップ式切換装置82を介して負荷設備92へ給電する。
【0019】
この状態において、例えば無停電電源装置21のコンバータ21aまたはインバータ21bに異常が生じた際について考察する。このとき、無停電電源装置21内の自動シーケンスによって無瞬断切換回路21cが作動し、負荷設備92への給電はバイパス入力用商用電源5からのバイパス給電に切換わる。すなわち、バイパス入力用商用電源から無瞬断切換回路21c、出力分岐回路72の開閉器72b及びオーバーラップ式切換装置82を介した給電となる。
【0020】
このとき、無停電電源装置21から電圧/周波数指令回路101のAND回路102に故障信号が与えられるので、予めオーバーラップ式切換装置82が切換準備指令をAND回路102に与えている状態であれば、切換器103はインバータ11bの出力電圧指令として、開閉器72bの出力電圧すなわち故障した無停電電源装置のバイパス電源電圧を選択する。
【0021】
このように、故障した無停電電源装置21からの故障信号及びオーバーラップ式切換装置82からの切換準備指令を受けて、健全な無停電電源装置11の出力電圧指令値が故障した無停電電源装置21のバイパス電圧に選択切換されることにより、無停電電源装置11から出力分岐回路71の開閉器71bを介してオーバーラップ式切換装置82に印加される電圧と、無停電電源装置21から出力分岐回路72の開閉器72bを介してオーバーラップ式切換装置82に印加される電圧とが一致する。この条件により、オーバーラップ式切換装置82によって負荷設備92への給電を出力分岐回路72の開閉器72bからのバイパス給電から、健全な無停電電源装置11から出力分岐回路71の開閉器71bを介した給電に切り換えたとき、無停電電源装置11と無停電電源装置21との間には横流が流れない。従って、健全な無停電電源装置11からの給電状態を変更することなく、容易に切換を行うことが可能となる。
【0022】
図1の場合、バイパス入力用商用電源5が無停電電電装置11及び21に対して共通となっているので、電圧検出器105の入力電圧を無停電電源装置11内のバイパス給電母線から得ることが考えられるが、配線による電圧降下の影響を考慮すると、なるべくオーバーラップ式切換装置82の入力に近い位置で検出することが望ましい。従って、本実施例では、実用性等も考慮して出力分岐回路72の開閉器72bの出力側から得るようにした。尚、周波数についてはバイパス入力用商用電源5の周波数を無停電電源装置11内で得ることが可能であるので、この実施例1の場合は周波数指令を切換える必要はない。
【0023】
また、図1においては無停電電源装置11用の電圧/周波数指令回路101のみについて図示し、無停電電源装置21用の電圧/周波数指令回路の図示を省略している。以下に示す他の実施例についても同様に図示を省略する。これらの電圧/周波数指令回路は夫々の無停電電源装置内に設置するのが普通であるか共通の制御部として個々の無停電電源装置とは分離して設置することも可能である。
【0024】
以上説明したように、故障した無停電電源装置からの故障信号及びオーバーラップ式切換装置からの切換準備指令を受けて、健全な無停電電源装置の出力電圧指令値を定格電圧(一定電圧)から故障した無停電電源装置側のバイパス電圧に選択切換を行う電圧/周波数指令回路を設けることにより、オーバーラップ式切換装置で2台の無停電電源装置が突合せになっている無停電電源システムにおいて、一方の無停電電源装置に異常が発生した際に、健全な無停電電源装置の給電状態を維持し、また健全な無停電電源装置から負荷設備への給電信頼性を維持した状態で健全な無停電電源装置に給電切換えすることが可能となる。
【実施例2】
【0025】
図2は本発明の実施例2に係る無停電電源システムの回路構成図である。この実施例2の各部について、図1の本発明の実施例1に係る無停電電源システムの回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例2が実施例1と異なる点は、バイパス入力用商用電源5を無停電電源装置11専用とし、無停電電源装置21用としてバイパス入力用商用電源6を設けた点、電圧/周波数指令回路101A内に切換器106を設け、AND回路102の出力によって、インバータ11bに与える周波数指令をバイパス電源5の周波数を検出する周波数検出器107側からバイパス電源6周波数を検出する周波数検出器108側に切換える構成とした点である。
【0026】
実施例1においては、オーバーラップ式切換装置で突合せになっている2台の無停電電源装置のバイパス電源が同一である場合について述べたが、図2のように、2台の無停電電源装置のバイパス電源が異なる場合に本発明を適用するためには、電圧だけではなく位相も合わせる必要があるため、故障した無停電電源装置からの故障信号及びオーバーラップ式切換装置からの切換準備指令を受けて出力電圧指令を定格電圧(一定電圧)から故障した無停電電源装置側のバイパス電圧に選択切替する回路だけではなく、同期制御基準値となる周波数指令を自号機のバイパス電源側から故障した無停電電源装置のバイパス電源側に選択切替する回路も設ける必要がある。同期制御基準値となる周波数指令とは、位相指令も含んだ周波数指令という意味であり、この周波数指令に基づいて図示しないインバータ11bの全体の制御回路内においてフェーズロックドループ等の制御を使用してインバータ11bの出力周波数及び位相をこの周波数指令に一致するようにしている。
【0027】
図2の回路構成によれば、例えば故障した無停電電源装置21からの故障信号及びオーバーラップ式切換装置82からの切換準備指令を受けて同期制御基準値となる周波数指令を自号機のバイパス電源5側から故障した無停電電源装置21のバイパス電源6側に切換器106によって選択切替する。
【0028】
このようにして、故障した無停電電源装置からの故障信号及びオーバーラップ式切換装置からの切換準備指令を受けて、健全な無停電電源装置の出力電圧指令値を定格電圧(一定電圧)から故障した無停電電源装置側のバイパス電圧に選択切換を行うだけではなく、上記の故障通知及び切換準備指令を受けて同期制御基準となる周波数指令を自号機のバイパス電源側から故障した無停電電源装置のバイパス電源側に選択切換するようにすれば、2台の無停電電源装置のバイパス電源が異なる無停電電源システムの場合であっても、実施例1と同様の効果が得られる。
【実施例3】
【0029】
以下、本発明の実施例3に係る無停電電源システムについて図3及び図4を参照して説明する。
【0030】
図3は本発明の実施例3に係る無停電電源システムの回路構成図である。この実施例3の各部について、図1の本発明の実施例1に係る無停電電源システムの回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例3が実施例1と異なる点は、商用電源3から給電される無停電電源装置12を無停電電源装置11と並列に設け、並列接続回路51内の開閉器51a、51bによって並列運転可能な構成としている点、同じく商用電源4から給電される無停電電源装置22を無停電電源装置21と並列に設け、並列接続回路52内の開閉器52a、52bによって並列運転可能な構成としている点、電圧/周波数指令回路101Aに対し無停電電源装置21と無停電電源装置22の故障信号を与える構成とした点である。
【0031】
電圧/周波数指令回路101Bの内部構成を図4に示す。図4に示したように、無停電電源装置21と無停電電源装置22の故障信号をOR回路109に与え、OR回路109の出力をAND回路102の一方の入力としている。その他の回路は基本的に実施例1の電圧/周波数指令回路101と基本的に同一である。図3においては、電圧/周波数指令回路101Bの出力である電圧指令をインバータ11bとインバータ12bに並列に与えるようにしているが、電圧/周波数指令回路を無停電電源装置11用と無停電電源装置12用に夫々設ける構成としても良い。
【0032】
また、無停電電源装置21と無停電電源装置22は並列運転されることが基本であるので、上述した個々の故障信号ではなく並列システムとしての故障信号を電圧/周波数指令回路101Bに与える構成としても良い。その場合はOR回路109が不要となる。
【0033】
図3における動作は実施例1の場合と基本的に同一である。
【0034】
すなわち、通常時には、無停電電源装置11、12は並列接続回路51内の開閉器51a、51bが閉路されて並列運転し、出力分岐回路71の開閉器71a及びオーバーラップ式切換装置81を介して負荷設備91へ給電する。同様に、無停電電源装置21、22は並列接続回路52内の開閉器52a、52bが閉路されて並列運転し、出力分岐回路72の開閉器72b及びオーバーラップ式切換装置82を介して負荷設備92へ給電する。
【0035】
この状態において、無停電電源装置21のコンバータ21aまたはインバータ21b、乃至、無停電電源装置22のコンバータ22aまたはインバータ22bに異常が生じた際について考察する。このとき、無停電電源装置21または無停電電源装置22内の自動シーケンスによって無瞬断切換回路21cと無瞬断切換回路22cが作動し、負荷設備92への給電はバイパス入力用商用電源5からのバイパス給電に切換わる。すなわち、バイパス入力用商用電源から無瞬断切換回路21cと無瞬断切換回路22c、出力分岐回路72の開閉器72b及びオーバーラップ式切換装置82を介した給電となる。
【0036】
このとき、無停電電源装置21または無停電電源装置22から電圧/周波数指令回路101BのOR回路109を介してAND回路102に故障信号が与えられるので、予めオーバーラップ式切換装置82が切換準備指令をAND回路102に与えている状態であれば、切換器103はインバータ11b、12bの出力電圧指令として、開閉器72bの出力電圧すなわち故障した無停電電源装置のバイパス電源電圧を選択する。
【0037】
このように、故障した無停電電源装置21または無停電電源装置22からの故障信号及びオーバーラップ式切換装置82からの切換準備指令を受けて、健全な無停電電源装置11、12の出力電圧指令値が故障した無停電電源装置21または無停電電源装置22のバイパス電圧に選択切換されることにより、無停電電源装置11、12から出力分岐回路71の開閉器71bを介してオーバーラップ式切換装置82に印加される電圧と、無停電電源装置21、22から出力分岐回路72の開閉器72bを介してオーバーラップ式切換装置82に印加される電圧が一致する。この条件によりオーバーラップ式切換装置82によって、負荷設備92への給電を、出力分岐回路72の開閉器72bからのバイパス給電から、健全な無停電電源装置11、12から出力分岐回路71の開閉器71bを介した給電に切り換えたとき、無停電電源装置11、12と無停電電源装置21、22との間には横流が流れない。従って、健全な無停電電源装置11、12からの給電状態を変更することなく、容易に切換を行うことが可能となる。
【実施例4】
【0038】
以下、本発明の実施例4に係る無停電電源システムについて図5及び図6を参照して説明する。
【0039】
図5は本発明の実施例4に係る無停電電源システムの回路構成図である。この実施例4の各部について、図3の本発明の実施例3に係る無停電電源システムの回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例4が実施例3と異なる点は、組を成す無停電電源装置11、12に対するバイパス入力用商用電源5と組を成す無停電電源装置21、22に対するバイパス入力用商用電源6とが別電源となる構成とした点、電圧/周波数指令回路101Cに与える信号としてバイパス入力用商用電源5の電圧を追加した点、また電圧/周波数指令回路101Cの出力信号としてインバータ11b、12b用の出力周波数指令を追加した点である。
【0040】
電圧/周波数指令回路101Cの内部構成を図6に示す。図6に示したように、無停電電源装置21と無停電電源装置22の故障信号をOR回路109に与え、OR回路109の出力をAND回路102の一方の入力としている。その他の回路は基本的に実施例2の電圧/周波数指令回路101Aと基本的に同一である。図6においては、電圧/周波数指令回路101Bの出力である出力電圧指令及び出力周波数指令をインバータ11bとインバータ12bに並列に与えるようにしているが、電圧/周波数指令回路を無停電電源装置11用と無停電電源装置12用に夫々設ける構成としても良い。
【0041】
本実施例のオーバーラップ式切換装置による切換動作は実施例3の場合と基本的に同一であり、その制御効果は実施例2の場合と基本的に同一であるので、これらの説明を省略する。
【実施例5】
【0042】
図7は本発明の実施例5に係る無停電電源システムの回路構成図である。この実施例5の各部について、図3の本発明の実施例3に係る無停電電源システムの回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例5が実施例3と異なる点は、無停電電源装置11及び12の夫々の内部に設けられていた個別の無瞬断切換回路11c、12cに代えて並列接続回路51の出力側に一括して無瞬断切換回路61を設ける構成とした点、同様に無停電電源装置21及び22の夫々の内部に設けられていた個別の無瞬断切換回路21c、22cに代えて並列接続回路52の出力側に一括して無瞬断切換回路62を設ける構成とした点である。
【0043】
前述したように無停電電源装置11及び12の組、及び無停電電源装置21及び22の組は通常時は夫々並列接続回路51、52によって並列運転を行う。そして、例えば並列運転中に何れかの無停電電源装置が故障したときには、同一組で並列運転を行っていた健全な無停電電源装置も停止させ、バイパス給電に切換える。これは無停電電源装置用の無瞬断切換回路6は個々に設ける必要はなく組みごとに1台あれば良いことになる。
【0044】
図7の無停電電源システムは上記考え方によるシステムであり、その動作は基本的に図3の実施例3に係る無停電電源システムと基本的に同一となる。従って、電圧/周波数指令回路101Bは図3の実施例3のものと同一となるので説明を省略する。
【実施例6】
【0045】
図8は本発明の実施例6に係る無停電電源システムの回路構成図である。この実施例6の各部について、図7の本発明の実施例5に係る無停電電源システムの回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例6が実施例5と異なる点は、組を成す無停電電源装置11、12に対するバイパス入力用商用電源5と組を成す無停電電源装置21、22に対するバイパス入力用商用電源6とが別電源となる構成とした点、電圧/周波数指令回路101Cに与える信号としてバイパス入力用商用電源5の電圧を追加した点、また電圧/周波数指令回路101Cの出力信号としてインバータ11b、12b用の出力周波数指令を追加した点である。
【0046】
実施例5において説明したように図8の無停電電源システムは、図5に示した実施例4に係る無停電電源システムと基本的に同一の動作となる。従って、電圧/周波数指令回路101Cは図5の実施例4のものと同一となるので説明を省略する。
【符号の説明】
【0047】
1,2,3,4 商用電源
5,6 バイパス入力用商用電源
11、12、21、22 無停電電源装置
11a、12a、21a、22a コンバータ
11b、12b、21b、22b インバータ
11c、12c、21c、22c、61、62 無瞬断切換回路
31、32、41、42 蓄電池
51、52 並列接続回路
51a、51b、52a、52b 開閉器
71、72 出力分岐回路
71a、71b、72a、72b 開閉器
81、82 オーバーラップ式切換装置
91、92 負荷設備
101 101A、101B、101C 電圧/周波数指令回路
102 AND回路
103、106 切換器
104 電圧設定器
105 電圧検出器
107、108 周波数検出器
109 OR回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源の交流をコンバータによって直流に変換し、この直流をインバータによって再び交流に変換し、その出力を無瞬断切換回路によってバイパス入力用商用電源からのバイパス給電に切換え可能な構成とした第1及び第2の無停電電源装置と、
前記第1及び第2の無停電電源装置の夫々の出力を、各々開閉器を介して2系統に分岐する第1及び第2の出力分岐回路と、
前記第1の出力分岐回路の一方の分岐出力と前記第2の出力分岐回路の一方の分岐出力とを入力とし、第1の負荷設備への給電を無瞬断で切換える第1のオーバーラップ切換装置と、
前記第1の出力分岐回路の他方の分岐出力と前記第2の出力分岐回路の他方の分岐出力とを入力とし、第2の負荷設備への給電を無瞬断で切換える第2のオーバーラップ切換装置と、
各々の前記インバータの出力電圧指令及び出力周波数指令のうち少なくとも一方を与える電圧/周波数指令手段と
を具備し、
前記電圧/周波数指令手段は、
前記オーバーラップ切換装置から切換準備指令が与えられ、且つ何れかの前記無停電電源装置が故障したとき、
健全な前記無停電電源装置に与える出力電圧指令を、所定の一定電圧から、故障した前記無停電電源装置のバイパス入力用商用電源の電圧に切換えるようにしたことを特徴とする無停電電源システム。
【請求項2】
前記第1及び第2の無停電電源装置の前記バイパス入力用商用電源は各々別系統から成り、
前記電圧/周波数指令手段は、
前記オーバーラップ切換装置から切換準備指令が与えられ、且つ何れかの前記無停電電源装置が故障したとき、
健全な前記無停電電源装置に与える出力周波数指令を、自らのバイパス入力用商用電源の周波数から、故障した前記無停電電源装置のバイパス入力用商用電源の周波数に切換えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項3】
商用電源の交流をコンバータによって直流に変換し、この直流をインバータによって再び交流に変換し、その出力を無瞬断切換回路によってバイパス入力用商用電源からのバイパス給電に切換え可能な構成とした複数台の無停電電源装置と、前記複数台の無停電電源装置の出力を並列接続することが可能な並列接続手段とで構成される第1及び第2の2組の無停電電源設備と、
前記並列接続手段の夫々の出力を、各々開閉器を介して2系統に分岐する第1及び第2の出力分岐回路と、
前記第1の出力分岐回路の一方の分岐出力と前記第2の出力分岐回路の一方の分岐出力とを入力とし、第1の負荷設備への給電を無瞬断で切換る第1のオーバーラップ切換装置と、
前記第1の出力分岐回路の他方の分岐出力と前記第2の出力分岐回路の他方の分岐出力とを入力とし、第2の負荷設備への給電を無瞬断で切換える第2のオーバーラップ切換装置と、
各々の前記インバータの出力電圧指令及び出力周波数指令のうち少なくとも一方を与える電圧/周波数指令手段と
を具備し、
前記電圧/周波数指令手段は、
前記オーバーラップ切換装置から切換準備指令が与えられ、且つ何れかの組の前記無停電電源装置が故障したとき、
健全な組の前記無停電電源装置に与える出力電圧指令を、所定の一定電圧から、故障した前記無停電電源装置のバイパス入力用商用電源の電圧に切換えるようにしたことを特徴とする無停電電源システム。
【請求項4】
商用電源の交流をコンバータによって直流に変換し、この直流をインバータによって再び交流に変換する複数台の無停電電源装置と、前記複数台の無停電電源装置の出力を並列接続することが可能な並列接続手段と、前記並列接続手段の出力をバイパス入力用商用電源からのバイパス給電に切換可能な無瞬断切換回路とで構成される第1及び第2の2組の無停電電源設備と、
前記無瞬断切換回路の夫々の出力を、各々開閉器を介して2系統に分岐する第1及び第2の出力分岐回路と、
前記第1の出力分岐回路の一方の分岐出力と前記第2の出力分岐回路の一方の分岐出力とを入力とし、第1の負荷設備への給電を無瞬断で切換る第1のオーバーラップ切換装置と、
前記第1の出力分岐回路の他方の分岐出力と前記第2の出力分岐回路の他方の分岐出力とを入力とし、第2の負荷設備への給電を無瞬断で切換える第2のオーバーラップ切換装置と、
各々の前記インバータの出力電圧指令及び出力周波数指令のうち少なくとも一方を与える電圧/周波数指令手段と
を具備し、
前記電圧/周波数指令手段は、
前記オーバーラップ切換装置から切換準備指令が与えられ、且つ何れかの組の前記無停電電源装置が故障したとき、
健全な組の前記無停電電源装置に与える出力電圧指令を、所定の一定電圧から、故障した前記無停電電源装置のバイパス入力用商用電源の電圧に切換えるようにしたことを特徴とする無停電電源システム。
【請求項5】
前記第1及び第2の組の無停電電源設備の前記バイパス入力用商用電源は各々別系統から成り、
前記電圧/周波数指令手段は、
前記オーバーラップ切換装置から切換準備指令が与えられ、且つ何れかの組の前記無停電電源装置が故障したとき、
健全な組の前記無停電電源装置に与える出力周波数指令を、自らのバイパス入力用商用電源の周波数から、故障した前記無停電電源装置のバイパス入力用商用電源の周波数に切換えるようにしたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の無停電電源システム。
【請求項6】
前記故障した無停電電源装置のバイパス入力用商用電源の電圧は、
前記出力分岐回路が前記負荷設備に給電している前記開閉器の出力側から得るようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の無停電電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−172427(P2011−172427A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35685(P2010−35685)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】