説明

無方向性電磁鋼板の製造方法

【課題】一次再結晶焼鈍時を急速加熱処理とした場合であっても、コイル内における磁気特性の変動が小さく、コイル全体にわたって優れた磁気特性を有する無方向性電磁鋼板を得る。
【解決手段】無方向性電磁鋼板の製造に際し、一次再結晶焼鈍を施すに当たり、まず直接加熱方式にて700℃以上の温度域に150℃/s以上の昇温速度で加熱し、ついで一旦、700℃以下の温度域まで降温したのち、間接加熱方式にて平均昇温速度:40℃/s以下の条件で均熱温度まで再加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として電気機器の鉄心材料に用いられる無方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギーの節減という観点から、電気機器等の高効率化に対する要求が高くなっている。電気機器等の効率を向上させる手段の一つとして、これらの機器の鉄心材料である無方向性電磁鋼板の磁気特性を改善することが挙げられる。特に、鉄損を改善する手段としては、電気抵抗の増大による渦電流損の低下を狙いとして、Si,Al,Mnなどの含有量を高める方法が一般的に用いられてきた。
しかし、この手法は、磁束密度の低下が避けられないという本質的な問題を抱えていた。
【0003】
上記以外の方法として、製造プロセスを変更し、製品板の集合組織を改善して磁気特性を向上させる方法が幾つか提案されている。
例えば、特許文献1には、温間圧延による集合組織改善技術が、特許文献2には、熱延板焼鈍と冷延圧下率の最適化によって集合組織を改善する技術が、特許文献3および特許文献4には、一次再結晶焼鈍時に急速加熱を施すことによって集合組織を改善する技術が、それぞれ開示されている。
【0004】
この中で、特許文献3や特許文献4に開示の一次再結晶焼鈍時に急速加熱処理を施す技術は、集合組織の改善効果が大きく、鉄損と磁束密度の両方を大きく改善できる技術である。
しかしながら、この技術を適用した場合、従来よりもコイル内における磁気特性の変動が大きいというところに問題を残していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭58-181822号公報
【特許文献2】特公平3-294422号公報
【特許文献3】特開平5-171291号公報
【特許文献4】特開2008-127612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、一次再結晶焼鈍時に急速加熱処理を施した場合であっても、コイル内における磁気特性の変動が小さい、無方向性電磁鋼板の有利な製造方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
さて、発明者らは、一次再結晶焼鈍に急速加熱処理を適用した場合に、磁気特性のコイル内変動が従来よりも大きくなる原因について調査を行った。
その結果、磁気特性のコイル内変動は、急速加熱によって生じる板幅方向の温度分布の不均一が原因であることが判明した。すなわち、急速加熱によって板幅方向に温度分布が生じると、この板幅方向温度分布は、その後の均熱時でも解消されないため、板幅方向の一次再結晶粒径が不均一となり、その結果、コイル内の磁気特性ばらつきを生じさせていたのである。
【0008】
そこで、発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、急速加熱によって生じた温度分布に起因した一次再結晶粒の不均一を解消するためには、一次再結晶焼鈍工程を、急速加熱工程、降温工程、再加熱工程、均熱工程および第二冷却工程とし、特に、急速加熱後の降温工程および再加熱工程における条件を適正に制御することが重要であることの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0009】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、
C:0.02%以下
を含み、かつ
Si:4.5%以下、
Mn:3.0%以下、
Al:3.0%以下および
P:0.50%以下
のうちから選んだ一種または二種類以上を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、冷間圧延または温間圧延を施して最終板厚とし、ついで一次再結晶焼鈍を施す無方向性電磁鋼板の製造方法において、
上記一次再結晶焼鈍に際し、まず直接加熱方式にて700℃以上の温度域に150℃/s以上の昇温速度で加熱し、ついで一旦、700℃以下の温度域まで降温したのち、間接加熱方式にて平均昇温速度:40℃/s以下の条件で均熱温度まで再加熱することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0010】
2.前記鋼スラブが、質量%でさらに、
Sn:0.5%以下、
Sb:0.5%以下および
Cr:5.0%以下
のうちから選んだ一種または二種類以上を含有することを特徴とする前記1に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一次再結晶焼鈍時に急速加熱処理を施した場合であっても、コイル内の磁気特性ばらつきを生じさせることなく、コイル全体にわたって優れた磁気特性を有する無方向性電磁鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コイルを幅方向に5分割した状態を示した図である。
【図2】温度の測定位置を示した図である。
【図3】一次再結晶焼鈍における昇温速度が鉄損(a)および磁束密度(b)に及ぼす影響を示した図である。
【図4】一次再結晶焼鈍時に800℃まで60℃/sおよび200℃/sの昇温速度で昇温した場合における板幅方向の鉄損(a)および磁束密度(b)の変動挙動を示した図である。
【図5】一次再結晶焼鈍時に800℃まで60℃/sおよび200℃/sの昇温速度で昇温した場合における鋼板の板幅方向にわたる一次再結晶粒の粒径の変動挙動を示した図である。
【図6】急速加熱終了時と均熱時における板幅方向の最大温度差の関係を示した図である。
【図7】急速加熱後、一旦冷却した際の降温温度と均熱時における板幅方向の温度差との関係を示した図である。
【図8】急速加熱後、一旦冷却した際の降温温度と板幅方向の鉄損(a)および磁束密度(b)との関係を示した図である。
【図9】再加熱時の昇温速度と均熱時の板幅方向の最大温度差との関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明を由来するに至った実験結果について説明する。
<実験1>
C:0.0025%,Si:2.5%,Mn:0.3%,Al:0.7%およびP:0.1%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1100℃に加熱後、熱間圧延により板厚:1.8mmの熱延板とし、900℃で80秒の熱延板焼鈍を施した。ついで、冷間圧延により板厚:0.35mmの冷延板に仕上げたのち、非酸化性雰囲気にて一次再結晶焼鈍を実施した。この一次再結晶焼鈍は、まず通電加熱方式によって20〜300℃/sの昇温速度で600〜800℃まで急速加熱し、ついでラジアントチューブによるガス加熱方式によって1000℃まで20℃/sの平均昇温速度で加熱し、1000℃に10秒間保持した。
【0014】
この実験は、磁気特性および一次再結晶粒の粒径を調べたものである。磁気特性の評価は、圧延方向に平行の試験片を半分、圧延方向に直角の試験片を半分用いて、せん断のままJIS C 2550に開示の方法に準拠して行った。以後の実験例、実施例でも同様の方法で磁気特性を評価した。また、板幅方向の磁性変動を調査するために、図1に示すようにコイルを幅方向に5分割し、それぞれの磁気特性を測定して比較した。一次再結晶粒の粒径は光学顕微鏡により組織観察し、円相等径に換算して求めた。急速加熱時の温度、昇温速度は、図2に示す板幅方向5箇所の測温位置で最も低い温度および昇温速度を採用した。
【0015】
図3(a),(b)に、幅方向中央位置において、急速加熱時の昇温速度が磁気特性に及ぼす影響について調べた結果を示す。
同図に示したとおり、少なくとも700℃まで昇温速度:150℃/s以上で急速加熱すれば、鉄損および磁束密度とも大幅に改善されることが分かる。
【0016】
次に、図4(a),(b)に、800℃まで60℃/sおよび200℃/sの昇温速度で昇温した場合に、昇温速度が鋼板の幅方向磁気特性に及ぼす影響について調べた結果を示す。
同図に示したとおり、磁気特性が大幅に改善された昇温速度(200℃/s)では、板幅方向の磁気特性の変動が大きいことが分かる。
【0017】
さらに、図5に、800℃まで60℃/sおよび200℃/sの昇温速度で昇温した場合の板幅方向にわたる一次再結晶粒の粒径について調べた結果を示す。
同図から明らかなように、磁気特性が大幅に改善される条件(200℃/s)では、一次再結晶粒径の板幅方向における変動が非常に大きく、板幅方向にわたる温度分布のばらつきが増大している可能性が示唆された。
【0018】
<実験2>
この実験は、急速加熱終了時の板幅方向温度分布と均熱時の板幅方向温度分布との関係を調べたものである。冷間圧延までは、実験1と同じ方法でサンプルを作製した。一次再結晶焼鈍は、まず通電加熱方式によって20〜600℃/sの昇温速度で800℃まで急速加熱し、ついでラジアントチューブによるガス加熱方式によって980℃まで10℃/sの平均昇温速度で加熱し、980℃に20秒間保持した。一次再結晶焼鈍雰囲気は、非酸化性雰囲気とした。
【0019】
図6に、急速加熱終了時と均熱時における板幅方向の最大温度差の関係を示す。板幅方向の温度差は、図2に示す5箇所の測温結果から求めた。
同図より、均熱時の温度分布を抑制するためには、急速加熱終了時の温度分布を抑制する必要があることが分かる。
【0020】
<実験3>
実験2で、急速加熱時の温度分布制御が重要であることが判明したが、急速加熱が可能な直接加熱方式は温度分布が生じやすく、従来の間接加熱方式レベルの75℃/s以下と同程度の温度分布にすることは極めて難しい。
そこで、急速加熱方法の見直しではなく、急速加熱後のヒートパターン変更により、均熱時における板幅方向温度分布の不均一を解消することについて検討した。具体的には、急速加熱後に一旦温度を下げる降温工程を設けることによる均熱時の板幅方向温度分布制御について検討した。
【0021】
C:0.0010%,Si:3.0%,Mn:0.15%,Al:0.2%およびP:0.2%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1050℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.0mmの熱延板としたのち、950℃で120秒の熱延板焼鈍を施した。ついで、冷間圧延により板厚:0.50mmの冷延板に仕上げたのち、非酸化性雰囲気にて一次再結晶焼鈍を実施した。一次再結晶焼鈍は、次の二つの加熱方式を利用して行った。まず、通電加熱方式によって600℃/sの昇温速度で850℃まで急速加熱したのち、一旦ある温度(800℃,750℃,700℃,650℃,600℃,550℃,500℃)まで降温し、ついでラジアントチューブによるガス加熱方式によって1000℃まで20℃/sの平均昇温速度で加熱し、1000℃に5秒間保持した。
【0022】
図7に、急速加熱後、一旦冷却した際の降温温度と均熱時における板幅方向の温度差との関係について調べた結果を示す。均熱時における温度差は、図2に示した板幅方向5箇所における温度測定により求めた。また、降温温度は、5箇所で最も温度が高い場所での温度を採用した。なお、急速加熱終了時における板幅方向温度差は約50℃であった。
同図に示したとおり、急速加熱後、一旦700℃以下まで降温することにより、均熱時における幅方向の温度差は格段に低減することが判明した。
【0023】
また、図8(a),(b)に、急速加熱後、一旦冷却した際の降温温度と板幅方向の磁気特性との関係について調べた結果を示す。
同図に示したとおり、一旦700℃以下まで降温することにより、均熱時における板幅方向温度分布が解消された場合には、板幅方向にわたる磁気特性のばらつきも解消されることが判明した。
【0024】
以上の実験により、急速加熱を実施したサンプルにおいて、板幅方向にわたる磁気特性のばらつきが大きくなるのは、直接加熱方式による急速加熱によって生じた温度分布が、均熱の時点でも解消されていなかったためであることが明らかになった。
【0025】
<実験4>
次に、上記した一旦降温後に行う再加熱時における昇温速度も均熱時の温度分布に影響を与える可能性があるので、この実験では、再加熱時の昇温速度と均熱時の温度分布との関係について調査した。冷間圧延までは、実験3と同じ方法でサンプルを作製した。一次再結晶焼鈍は、まず通電加熱方式によって400℃/sの昇温速度で900℃まで急速加熱し、一旦 600℃まで降温し、ついでラジアントチューブによるガス加熱方式によって1000℃まで10〜75℃/sの平均昇温速度で加熱し、1000℃に5秒間保持することにより行った。このとき、これまで同様、板幅方向5箇所で板温測定を行った。
【0026】
図9に、均熱時の板幅方向5箇所における最大温度差と再加熱時の昇温速度との関係について調べた結果を示す。なお、昇温速度は、図2の板幅方向での測定5箇所の平均昇温速度とした。
同図に示したとおり、再加熱時の昇温速度が40℃/sを超えると、板幅方向の温度差が増大する傾向が認められた。従って、均熱時の温度差を抑制するためには、温度分布が生じにくい間接加熱方式で行った場合でも、再加熱時の昇温速度を40℃/s以下に抑制する必要があることが判明した。
【0027】
以上述べたところから明らかなように、急速加熱処理による磁気特性改善において従来問題であったコイル内での磁気特性ばらつきが大きいという課題は、一次再結晶焼鈍において、急速加熱時には700℃以上の温度域へ150℃/s以上の昇温速度で加熱し、その後、一旦700℃以下の温度域まで降温したのち、引き続く再加熱時は均熱温度までの平均昇温速度を40℃/s以下とすることによって、解消されることが究明されたのである。
【0028】
次に、本発明において、鋼スラブの成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、本発明において鋼組成を表す%は、特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.02%以下
C量が0.02%を超えると磁気時効により鉄損が著しく劣化するため、C量は0.02%以下に制限する。
【0029】
Si:4.5%以下、Mn:3.0%以下、Al:3.0%以下およびP:0.50%以下のうちから選んだ一種または二種類以上
Si,Mn,AlおよびPはいずれも、添加することにより電気抵抗を高めることが可能で、この発明の趣旨を損なうことなく、更なる鉄損の改善に有用な元素である。
鉄損低減効果の面からは、Siは0.5%以上、Mnは0.05%以上、Alは0.1%以上、Pは0.01%以上含有させることが好ましい。一方、これらの元素を多量に添加すると加工性が劣化するので、Si:4.5%、Mn:3.0%、Al:3.0%、P:0.5%を上限とする。但し、これらの元素を添加しなくても、本発明の効果は十分に得られるので、Si:0.5%未満、Mn:0.05%未満、Al:0.1%未満、P:0.01%未満であってもなんら問題はない。
【0030】
以上、基本成分について説明したが、上記成分に加えて、磁気特性の改善元素として知られるSb,Sn,Crを単独でまたは複合して添加することができる。それらの元素の添加量は、Sn:0.5%以下、Sb:0.5%以下およびCr:5.0%以下とする。というのは、各元素とも、上限を超えて添加しても磁気特性改善効果は飽和に達し、それ以上の改善効果は期待できず、むしろ合金元素添加に伴うコストアップを招くからである。
【0031】
次に、本発明に従う無方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
まず、上記した好適成分組成に調整した溶鋼を、転炉または電気炉などで溶製した後、連続鋳造法または造塊−分塊圧延法により鋼スラブとする。ついで、得られたスラブを、熱間圧延し、必要に応じて熱延坂焼鈍を施したのち、一回または中間焼鈍を挟む二回以上の冷間圧延あるいは温間圧延を施して製品板厚とし、一次再結晶焼鈍を施す。この一次再結晶焼鈍に際してはコスト的に有利な連続焼鈍設備を用いることが有利である。この一次再結晶焼鈍は、急速加熱後、一旦降温し、ついで再加熱して、均熱したのち、冷却する工程を経る。
【0032】
上記した急速加熱工程では、直接加熱方式により700℃以上の温度域まで150℃/s以上の昇温速度で加熱する。ついで、一旦700℃以下の温度域まで降温したのち、間接加熱方式により、平均昇温速度:40℃/s以下の条件で均熱温度まで再加熱する。
ここに、急速加熱の目的は一次再結晶集合組織の改善なので、一次再結晶が完了する温度域まで昇温する必要があり、そのため急速加熱温度は700℃以上に限定した。また、前述したように、一次再結晶集合組織を改善させるためには150℃/s以上の昇温速度が必要である。
これらの温度制御は、鋼板全体にわたって行う必要があるので、板幅方向の最冷点についても、この要件を満足させる必要がある。
なお、効率性の観点より、急速加熱方式は、誘導加熱や通電加熱などの直接加熱方式に限定する。
【0033】
上記した急速加熱後に一旦700℃以下の温度域まで降温するのは、急速加熱時に発生した幅方向温度分布を均熱過程までに解消させるためである。
この降温処理における温度制御も、鋼板全体にわたって行う必要があるので、板幅方向の最熱点についても700℃以下とする必要がある。
【0034】
このようにして、板幅方向の温度分布を均一化したのちに行う再加熱は、温度分布が発生しにくい間接加熱方式とし、昇温速度を40℃/s以下に限定する。このときの昇温速度は、板幅方向にわたる平均昇温速度とする。
【0035】
なお、上記した均熱処理およびその後の冷却処理については、特に限定されることなく、常法に従って行えばよい。その後、絶縁被膜の塗布および焼き付け処理を行って製品とする。
以上の方法で製造することにより、コイル内の磁気特性ばらつきが少ない磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板を得ることができる。
【実施例】
【0036】
表1に示す成分組成からなる鋼を溶製し、連続鋳造により鋼スラブとしたのち、熱間圧延により2.4mm厚の熱延板とした。ついで、1050℃,30秒の熱延板焼鈍後、冷間圧延により板厚:0.35mmの最終板厚としたのち、表2に示す条件で一次再結晶焼鈍を施した。ついで、鋼板表面に公知の有機系、無機系あるいは有機−無機混合系の絶縁被膜を形成して製品板とした。
かくして得られた各製品板の板幅方向5箇所の平均磁気特性(W15/50,B50)および最大磁気特性差(ΔW15/50,ΔB50)について調べた結果を表2に併記する。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
表2に示したとおり、本発明に従い製造した無方向性電磁鋼板は、非常に良好な磁気特性が得られるだけでなく、幅方向ばらつきが極めて少ないことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、
C:0.02%以下
を含み、かつ
Si:4.5%以下、
Mn:3.0%以下、
Al:3.0%以下および
P:0.50%以下
のうちから選んだ一種または二種類以上を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、冷間圧延または温間圧延を施して最終板厚とし、ついで一次再結晶焼鈍を施す無方向性電磁鋼板の製造方法において、
上記一次再結晶焼鈍に際し、まず直接加熱方式にて700℃以上の温度域に150℃/s以上の昇温速度で加熱し、ついで一旦、700℃以下の温度域まで降温したのち、間接加熱方式にて平均昇温速度:40℃/s以下の条件で均熱温度まで再加熱することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項2】
前記鋼スラブが、質量%でさらに、
Sn:0.5%以下、
Sb:0.5%以下および
Cr:5.0%以下
のうちから選んだ一種または二種類以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−256437(P2011−256437A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132291(P2010−132291)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】