無機の表面構造を有するフィルム構造および関連する製造方法
【課題】透明基板の上に横たわっている複数の透明な無機の表面構造体から成る汚れ耐性フィルム構造体を形成するための方法と装置を提供する。
【解決手段】フィルム構造体を形成する方法は、透明基板102を提供することと、透明基板102の上に横たわっている複数の透明表面構造体を形成することとを有し、各々の透明表面構造は、無機材料からなる。
【解決手段】フィルム構造体を形成する方法は、透明基板102を提供することと、透明基板102の上に横たわっている複数の透明表面構造体を形成することとを有し、各々の透明表面構造は、無機材料からなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本願明細書に記載されている内容は、一般に電子ディスプレイシステムに関し、より詳しくは、実施形態は電子ディスプレイシステムのタッチ-センシングデバイスに用いる透明なフィルム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 伝統的に、電子ディスプレイは、ユーザがさまざまなシステムプロパティを制御または調整することができるように、ノブ、ボタンまたはスライダのように機械的なコントロールを介してユーザにインターフェースを提供してきた。タッチスクリーン技術で、多くのシステム・デザイナーは、ディスプレイに統合するかまたは機械の制御機能性を組み込むことによって電子ディスプレイシステムのスペース必要条件を減らすことができる。したがって、従来の機械的コントロールの電子的な均等物が、ユーザがタッチスクリーン・インタフェースを介してシステムプロパティを調整することができるように開発されてきた。
【0003】
[0003] タッチスクリーン・インタフェースの反復使用は、指紋、汚れ、かき傷および/またはタッチスクリーン・ディスプレイの表面の他のマークを結果として生じさせる。これらのマーキングは、ディスプレイのクリアーさを低減し、次第に、ディスプレイに表示される内容を読んだり、または、理解することの困難性を増大させる。例えば、指紋および/または汚れは、表面の反射を増やし、ディスプレイがかすんだように見えさせ、または、ぼやけさせ、若しくは、ユーザによって認められる画質を望ましくなく損傷させる。これらの課題は、飛行中、航空機のコックピットのような高い周囲照明状況において悪化する。したがって、表面反射を増やすことによってディスプレイ画質を低下させることなく、指紋、汚れ、かき傷、および/または、他のマークに抵抗する表示面を提供することが望ましい。
【0004】
[0004] ある提案された方法は、表面マークの形成を予防するためにタッチスクリーンに適用されることができる微細構造のポリマーフィルムを提供するために、モールディング、光化学作用放射線による硬化、エンボシング等のようなポリマープロセス技術を使用することを含む。しかし、ポリマーフィルムは、軍隊、航空電子工学および/または厳しい設計制約を有する産業用途での使用に関して、充分な表面の硬度および耐久性を提供することができない。その上、いくつかのポリマーフィルムは、他の表面の処理(例えば、表面反射を減らすために用いる反射防止コーティング、または、清浄能力を改良するために用いられる低部表面のエネルギー・コーティング)と、互換性を持ってはならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005] 方法は、フィルム構造体を形成して提供される。例示の方法は、透明基板を提供すること、および、透明基板の上に横たわっている複数の透明表面構造体を形成することとを備える。透明表面構造体の各々は、無機材料から成る。
【0006】
[0006] 他の実施形態では、装置はフィルム構造体のために提供される。フィルム構造体は、透明基板と、透明基板の上に横たわっている複数の透明表面構造体とを備える。複数の透明表面構造体の各々の透明表面構造体は、透明基板の上に横たわって形成される無機材料からなる。
【0007】
[0007] 実施形態は、以下の図面とともに、以下に記載し、同様の参照番号は同様のエレメントを示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】[0008] 図1は、フィルム構造および実施形態によるフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図2】図2は、フィルム構造および実施形態によるフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図3】図3は、フィルム構造および実施形態によるフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図4】図4は、フィルム構造および実施形態によるフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図5】[0009] 図5は、フィルム構造および他の実施形態によるフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図6】図6は、フィルム構造および他の実施形態によるフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図7】図7は、フィルム構造および他の実施形態によるフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図8】[0010] 図8は、フィルム構造および典型的な実施形態のフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図9】図9は、フィルム構造および典型的な実施形態のフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図10】[0011] 図10は、表示装置の表示面に添付される図1乃至4または図5乃至7の製造方法に従って形成されるフィルム構造を含むディスプレイシステムの典型的な実施形態を例示する断面図である。
【図11】[0012] 図11は、図1乃至4または図5乃至7の製造方法に従って形成されるフィルム構造を含むディスプレイシステムの典型的な他の実施形態を例示する断面図である。
【図12】[0013] 図12は、図1乃至4または図5乃至7の製造方法に従って形成されるフィルム構造の典型的な実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0014] 以下の詳細な説明は、単に現存を図示し、内容または出願の実施形態およびかかる実施形態の使用を制限することを目的とするものではない。ここで使用しているように、用語「典型的な」は、「例証として、例、または、説明すること」を意味する。例示として本願明細書において記載されている実装は、好ましく又は他の実装を超える利点として解釈される必要はない。さらに、前述の発明の技術分野、背景、概要または以下の詳細な説明に示される、表されるか意味された理論によっても拘束される意図はない。
【0010】
[0015] 本願明細書において記載する技術は、表示装置の用途に適している構造、タッチスクリーン、タッチパネルまたは望ましい他の装置が指紋、汚れ、かき傷および/または他の表面のマーキングから保護する透明なフィルムを加工品に仕上げるために利用することができる。透明なフィルム構造は、透明基板の上に横たわる透明な無機材料から形成される複数の表面構造を含む。表面構造は、透明基板の表面上の汚濁物の連続領域の形成を分解するか、再分配するか、または、さもなければ、阻害するように構成されるいかなる数の形づくられた機能から成るパターンを提供するように配置される。無機材料は、約6(例えば、6H)より大きい鉛筆硬度を備え、スクラッチ抵抗耐久性表面を提供する。透明なフィルム構造は、比較的低い表面の反射および比較的高い耐久性を有する表示面を提供するようにディスプレイ、タッチスクリーン、タッチパネルまたは他の表示装置の表面に添付されることができる。
【0011】
[0016] 図1を参照すると、ある具体例では、例示の製造方法は、基板102を提供することから始まり、基板102の上に横たわる無機材料104の層を形成し、フィルム構造100を結果としてなる。ここで使用しているように、無機材料は、カーボンを含まない非重合化合物として、理解されなければならない。この点に関して、重合材料と比較して、無機材料104は、物理的により固く、機械の摩滅に関してより大きな耐久性を呈する。後で詳しく述べるように、基板102は、構造上のサポートを無機材料104からその後形成される表面構造に提供する。ある具体例では、基板102は、可視光の約95パーセントより大きい透明度(または透過率)を有し、無機材料104は可視光の約90パーセントより大きい透明度(または透過率)を有する。この点に関して、基板102および無機材料104は各々、実質的に透明である。したがって、透明基板は、本願明細書において透明基板と称することがあり、無機材料104は本願明細書において透明無機材料と称することがある。
【0012】
[0017] 典型的な実施形態では、透明基板102は、約2.0未満の、好ましくは約1.4乃至約1.7の範囲の屈折率を有する材料からなる。実施形態に従って、透明基板102は、ソーダ石灰ガラスのようなガラス材料、または、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフサレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等のようなポリマー材料で実現されることができる。いうまでもなく、透明基板102がポリマー材料で実現されるとき、透明基板102が比較的可撓性および/または可鍛性がある構造的サポートを提供するのに対して、透明基板102がガラス材料で実現されるとき、透明基板102は、比較的固い構造的サポートをその後形成される表面構造に提供する。ある具体例では、透明基板102は、その後に形成する表面構造の上に実質的に平面の表面103を設ける。
【0013】
[0018] ある具体例では、基板102が、タッチスクリーン、タッチパネル、または、フィルム構造をその後添付することができる他のタッチ-センシングデバイスのタッチ-センシング能力を妨げないように、基板102に利用される材料のタイプおよびは厚みが選択される。例えば、電気抵抗であるか容量タッチ-センシング技術に関して、より薄い基板102が使われることは望ましく、赤外線または光学的タッチ-センシング技術は、より厚い基板102を許容することができる。その上、フィルム構造100が、いくつかの用途のためのより多くの剛性、または、ほかの用途のためのより多くの柔軟性を有することは望ましい。この点に関して、実際問題として、基板102として利用される特定の材料および透明基板102の厚みは、特定のアプリケーションの必要に従い変化する。例えば、剛性ガラス材料が透明基板102として使われる実施形態では、ガラス材料は、赤外線または他の光学的タッチセンシング技術で使われるとき、約2ミリメートルの以下の厚みを有することができ、電気抵抗または容量タッチセンシング技術で使われるとき、約50ミクロン(マイクロメートル)乃至約100ミクロンの範囲内の厚みを有する。可撓性ポリマー材料が透明基板102として使われる別の実施形態では、ポリマー材料は、約0.1ミリメートル乃至約0.3ミリメートルの範囲の中で、厚みを有することができる。
【0014】
[0019] 前述のように、ある具体例では、無機材料104は、約6(6H)より大きい鉛筆硬度を有する。一つ以上の実施形態において、無機材料104はスチールウールより大きな硬度を有し、その結果、無機材料104は、スクラッチおよび/または表面マーキングに耐性があり、さもなければ、スチールウールで無機材料104の表面を摩滅することを生じる。この点に関して、無機材料104は、指および/または指のつめ、スタイラス、ペン、または、透明なフィルム構造がその後添付されることができるタッチ-センシングデバイス(例えば、ディスプレイ、タッチスクリーン、タッチパネル等)とのインタフェースに使われることができる他のオブジェクトで無機材料104の表面をタッチすることによって生じる構造上のダメージ、または、スクラッチングに対して耐久性がある。ある具体例では、無機材料104はまた、流体に耐性があり、表示面を掃除するのに用いられる一般的な溶媒に耐性がある。例えば、ポリマー材料に損害を与えることができるいくつかの工業的溶媒は、それにダメージを与えることなく、無機材料104と接触することができる。
【0015】
[0020] ある具体例では、無機材料104は、シリコン酸化物(好ましくは二酸化ケイ素)で実現される。同じ一般的な特性および特徴を有する他の材料は、二酸化ケイ素の代わりに、例えば、窒化ケイ素、シリコンオキシナイトライド、酸化アルミニウムなどのような無機材料として使われることがでる点に留意する必要がある。二酸化ケイ素は、他の目的のために一般的に用いられ、産業ために、受け入れられて、実質的に文書化されている。したがって、好ましい実施形態は、無機材料104に関して二酸化ケイ素を使用し、明確にするため限定することなく、無機材料104は、本願明細書において別の実施形態として二酸化ケイ素と称し得る。
【0016】
[0021] ある具体例では、無機材料104の層は、プラズマ強化化学蒸気堆積(PECVD)または適切な他の堆積プロセス(例えばスパッタしている真空を使用している物理的な蒸気堆積)を使用して約4ミクロン乃至約50ミクロンの範囲内の厚みに透明基板102の上に横たわっている無機材料104を堆積させることによって形成される。図1に示すように、ある実施形態によれば、無機材料104の層は、無機材料104の層が、基板102の平坦面103と接触して、基板102の平坦面103全体で実質的に均一の厚みを有するように、適合して透明基板102の平坦面103に堆積される。後で詳しく述べるように、無機材料104の層の厚みは、無機材料104からその後形成される表面構造の高さを定める。
【0017】
[0022] ある実施形態では、二酸化ケイ素104の層は、反応体としてシランおよび亜酸化窒素を使用してPECVDによって形成される。ある具体例では、亜酸化窒素に対するシランの比率および他のチャンバ圧力および/または無線周波数力密度のような他のPECVDプロセス条件が制御され、その結果、二酸化ケイ素104は、可視光の約95パーセントより大きい透明度(または透過率)を有し、約6(6H)乃至約9(9H)の範囲の中の鉛筆硬度、および、透明基板102の屈折率に実質的に等しい屈折率を有する。例えば、ある実施形態では、基板102は、約1.5の屈折率を有するソーダ石灰ガラスで実現され、二酸化ケイ素104が約1.5の屈折率を有するように、亜酸化窒素に対するシランの比率は選択される。ある具体例では、二酸化ケイ素104の屈折率は、表面反射を最小化するために基板102の屈折率に実質的に等しい。
【0018】
[0023] 無機材料104を堆積させた後に、無機材料104の層を密度を高め、所望の屈折率および/または硬度を成し遂げるために、例えば、フィルム構造100は、アニール化されている急速熱処理または他の適切なアニールプロセスによってアニールされることができる。ガラス材が、透明基板102に使われるとき、堆積プロセスおよびアニーリングプロセスの温度は各々、ガラス材料の最大のプロセス温度能力(例えば、ガラス転移温度未満)より少く選択される。この点に関して、ある実施形態では、透明基板102が、ガラス材料から成るとき、堆積プロセスの温度およびアニーリングプロセスの温度は各々、約400℃未満である。あるいは、ポリマー材料が透明基板102に使われるとき、堆積プロセスおよびアニーリングプロセスの温度は各々、ポリマー材料の最大プロセス温度能力より少なく(例えば、ポリマー材料に関する軟化ポイントより低く)選ばれる。この点に関して、透明基板102がポリマー材料から成るとき、堆積プロセスの温度およびアニーリングプロセスの温度は各々、透明基板102として利用されている特定のポリマー材料に従い、約200℃未満である。
【0019】
[0024] 図2を参照すると、ある具体例では、製造プロセスは、無機材料104の上に横たわっているマスク108をつくり、定めるためにマスキングマスキング材料106の一部を選択的に除去し、フィルム構造100の上に横たわるマスキング材料106の層を形成することによって続く。後で詳しく述べるように、マスク108は、下にある無機材料104の一部から引き続き形成される表面構造(例えば、隣接面構造の間のスペースと表面構造の寸法および/または形状)のパターンを定める。ある具体例では、マスキング材料106は、フォトレジスト材料で実現され、マスク108は、従来のフォトリソグラフィを使用してフォトレジスト材料106の一部をフォトレジスト材料106で塗布し、パターニングし、除去することにより形成され、マスク108に結果としてなる。
【0020】
[0025] 図3乃至4を参照すると、ある具体例では、製造プロセスは、基板102の上に横たわっている複数の表面構造110を形成するためにマスク108を使用して無機材料104の一部を選択的に除去することにより続く。ある具体例では、無機材料104の露出部は、異方性(または指向的)エッチング・プロセスを使用して除去され、フィルム構造300に結果としてなる。例えば、二酸化ケイ素104の露出部は、異方性エッチャント(例えば、カーボン四フッ化素/酸素(CF4/O2)プラズマケミストリー、または、硫黄六フッ化物(SF6)プラズマケミストリー)を使用してプラズマ・ベース反応イオンエッチング(RIE)によって、異方性エッチングされることができる。無機材料104の露出部(すなわち、マスク108の基礎をなさない部分)が除去されると共に、マスク108は、異方性のエッチング・プロセスがマスク108の基礎をなしている無機材料104の部分を除去するのを防止する。この点に関しては、フォトレジスト材料106は、異方性のエッチャントに抵抗するのが好ましく、および/または、下にある汚れ止め表面構造110の上側表面が、エッチング・プロセスの間、露出されないような厚みを有する。ある具体例では、表面構造110間の基板102の平坦面103の領域が露出されるまで、無機材料104は、マスク108を使用してエッチングされる。無機材料104の露出部を除去した後、ある具体例では、製造プロセスは、マスク108を除去することによって続き、図4のフィルム構造400に結果としてなる。例えば、フォトレジスト材料106は、フォトレジスト材料106を除去して、無機材料104および実質的にそのままに基板102を残すアセトンのような周知の溶剤化学物質を使用してフォトレジスト除去プロセスによって除去(または剥離)される。
【0021】
[0026] 示すように、二酸化ケイ素104をエッチングし、フォトレジスト材料106を除去した後に、フィルム構造400は、透明基板102の表面103上の複数の表面構造110を含む。ある具体例では、表面構造110は、フィルム構造400の表面103上の汚濁物(例えば、油、あせおよび指紋、塵または他の環境汚濁物から生じているようなもの)の連続領域の形成を分解するか、再分配するか、さもなければ、阻害するように構成される基板102の表面のいかなる数の形状機能から成るパターンを提供するようにアレンジされる。この点に関して、表面構造110は、あるいは、本願明細書において汚れ止めまたはアンチ指紋表面構造と称されることができる。高さ112、幅114および/または隣接した構造110の間の分離距離116は、実際的な指タッチの圧力状況の下でユーザの指先によってタッチされることから表面103の実質的な部分を予防することによって、汚れ止めおよび反指紋パフォーマンスの所望の面を達成するために選ばれるのが好ましい。上記の通りに、基板102の表面103と関連する表面構造110の高さ112は、無機材料104の層の厚みと一致する。この点に関しては、実施形態によって、汚れ止め表面構造110は、約4ミクロン乃至約50ミクロンのレンジの基板102の表面と関連する高さ112を有することができる。ある具体例では、表面構造110の断面幅114は、約5ミクロンから約30ミクロンまで変動することができる。しかし、特定の高さ、幅および表面構造110の間隔が、特定のアプリケーションのために要求されるパターン、および/または、特定の形状に依存すると認められなければならず、実際的な実施形態は、より大きなおよび/またはより小さい高さおよび/または断面の幅を有する表面構造を使用することができる。さらに、図4を分離されさもなければ分離されるような汚れ止め表面構造110として描いてきたけれども、実際問題として、汚れ止め表面構造110は、一体的に形成され、および/または、基板102の表面の上に横たわっているさまざまな形状および/またはパターンを提供するために相互接続することができる。このように、汚れ止め表面構造110によって形成される特定の形状および/またはパターンは、実施形態に従い変化する。フィルム構造400が、ディスプレイ上の周期的なピクセル構造および/または他の周期的なパターンを備えたディスプレイでその後利用されるとき、汚れ止め表面構造110は、モアレパターンの生成を防止する仕方で配置されおよび/または間隔が隔てられる。この点に関して、断面幅114、および/または、隣接面構造110の間の間隔の距離116は、基板102の表面103全体で非周期的であるか非均一的であってもよい。したがって、これらはいかなる特定の幾何学的な形状も、装置および/または基板102の表面103上の表面構造110のパターンにも限定されない。
【0022】
[0027] 上記した異方性のエッチング・プロセスによって、汚れ止め表面構造110は、表面構造110の角の丸まりを無視すれば、実質的に垂直な(例えば、基板102の平坦面103に対して直角の)側壁118を有する。その上、基板102の平坦面103全体に均一に堆積される無機材料104の長所によって、表面構造110は、フィルム構造400全体に実質的に均一の高さを有すし、各々の表面構造110は、表面構造110の角の丸まりを無視すれば、実質的に水平(例えば、基板102の平坦面103と平行)である上側表面119を有する。垂直側壁118は、平坦面103に対して直角のフィルム構造400上の入社光の拡散および/または散乱を減らし、一方、横上方表面119は、基板102全体の表面構造110の間の拡散および/または散乱の量を減らし、それにより、その表示面に添付されるフィルム構造400を有する表示装置を見ているユーザによって認められる明快さおよび/または有効解像度を維持する。フォトレジスト材料106を除去した後、フィルム構造の製造は完了し、図8乃至11のコンテキストにおいて後で詳しく述べるようにフィルム構造は表示装置に添付される。
【0023】
[0028] 図5乃至7は、上記した製造方法の別の実施形態を例示する。この点に関しては、図5乃至7のコンテキストでここに記載されているステップは、図4のフィルム構造400を形成するように利用されることができる。例示の製造方法は、基板102の上に横たわっているフォトレジスト層材料502を形成することから始まる。ある具体例では、マスク層504は、フォトレジスト材料502の層の上に横たわって形成され、フォトレジスト材料506の第2層は、マスク層504の上に横たわって形成される。フォトレジスト材料506の上部層はパターニングされ、フォトレジスト材料506の一部は、従来のフォトリソグラフィを使用して除去される。フォトレジスト材料506の残りの部分は、湿式のエッチャントを使用してマスク層504をエッチングすることによってマスク508をつくるために選択的にマスク層504の露出部を除去するためのエッチング・マスクとして用いられ、図5のフィルム構造500に結果としてなる。後で詳しく述べるように、マスク508は、その後形成される汚れ止め表面構造のパターンを定める。
【0024】
[0029] 図5に続いて図6を参照すると、マスク508を形成した後、製造プロセスの例示の実施形態は、エッチング・マスクとしてマスク508を使用してフォトレジスト材料502の一部を選択的に除去することにより続く。ある具体例では、フォトレジスト材料502の露出部は、異方性のエッチング・プロセスを使用して除去され、フィルム構造600に結果としてなる。例えば、フォトレジスト材料502の露出部は、カーボン四フッ化素/酸素(CHF4/O2)プラズマ化学、硫黄六フッ化物(SF6)プラズマ化学、または、適切な他の化学を使用しているプラズマ・ベースの反応イオンエッチング(RIE)によって、異方性にエッチングされ得る。マスク508は、マスク508の下に横たわるフォトレジスト材料502の一部を除去することを防止し、またはさもなければ異方性エッチャントを保護し、一方、フォトレジスト材料502の露出部(すなわち、マスク508の下に横たわっていない部分)は除去される。ある具体例では、基板102の上側表面103が露出されるまで、フォトレジスト材料502はエッチングされる。全フィルム構造500が、反応イオンエッチング(RIE)環境さらされるので、異方性のエッチングはまた、フォトレジスト材料506の露出部を同時に除去する結果となる。図6に示すように、異方性のエッチングは、基板の平坦面103の複数の領域を露出する複数のすき間領域602を有するフォトレジスト材料502のパターニングされた層に結果としてなる。この点に関して、すき間領域602は、基板102の表面103に引き続いて形成される表面構造の断面幅および/または形状を画定する。
【0025】
[0030] 図7を参照すると、ある具体例では、製造プロセスは、フィルム構造600の上に横たわっている無機材料104の層を形成することによって続き、フィルム構造700に結果としてなる。ある具体例では、無機材料104の層は、図1のコンテキストにて説明したように、類似した方法で、プラズマ強化化学蒸気堆積(PECVD)プロセスまたは他の適切な堆積プロセス(例えば、真空蒸着またはスパッタ堆積)を使用して、透明基板102およびフォトレジスト材料502のパターニングされた層の上に横たわっている無機材料104を堆積させることによって形成される。しかし、堆積プロセスの温度は、フォトレジスト材料502の軟化点より低い。この点に関して、ある実施形態では、堆積プロセスの温度は、約200℃未満である。ある具体例では、無機材料104が、フォトレジスト材料502の垂直表面(または側壁)の全体に堆積されないように、無機材料104の層は、質量の輸送(mass-transport)制御状況下で堆積される。
【0026】
[0031] 再度図5および図7を参照すると、ある具体例では、基板102の表面に適用されるフォトレジスト材料502は、無機材料104の層の厚みより大きい厚み(例えば、その後形成される表面構造のための所望の高さより大きい厚み)を有する。ある具体例では、フォトレジスト層材料502の厚みは、無機材料104の層の厚みより厚く、約5乃至10ミクロンである。その結果、無機材料104の堆積は、すき間領域602を部分的に満たし、すき間領域602内の基板102の表面103に堆積される無機材料104と、フォトレジスト材料502に堆積される無機材料104との間に不連続を生じさせる。
【0027】
[0032] 再び図4および図7を参照すると、ある具体例では、フィルム構造700の上に横たわっている無機材料104を形成した後、製造プロセスは、湿式化学的処理を使用してフォトレジスト材料502を除去することによって続く。フォトレジスト材料502は、アセトンのような溶媒に溶かされ、一方、表面構造110の無機材料104をそのまま残す。このステップの結果、表面構造110を基板102の表面103上に残しつつ、フォトレジスト材料502の上に横たわっている無機材料104のいかなる部分も(いかなる残留するマスク層504も、および/または、フォトレジスト材料506も以前に取り除かれなくて)、フォトレジスト材料502によって除去される。フォトレジスト材料502を除去した後、結果として生じるフィルム構造700は、図4のコンテキストにて説明したように、同様の方法でアニールされることができる。
【0028】
[0033] 図8を参照すると、ある具体例では、製造プロセスは、フィルム構造400の上に横たわっている反射防止コーティング層120を形成することによって続き、フィルム構造800に結果としてなる。ある具体例では、反射防止コーティング層120は、フィルム構造400の表面に適用される高効率反射防止(HEA)コーティングを有する。ある実施形態では、反射防止コーティング層120は、フィルム構造800の表面の反射を減らすように配置され、またはさもなければ、構成される材料の一つ以上の層を適合して堆積させることによって形成される。例えば、ある具体例では、反射防止コーティング層120は、スパッタリング堆積プロセス、電子ビーム堆積プロセスまたはイオンビーム堆積プロセスを実行することによって堆積される、比較的小さな屈折率を有する材料(例えば二酸化ケイ素)および比較的大きな屈折率を有する材料(例えば、二酸化チタン)の交互の層から成る多層誘電スタックとして実現される。ある具体例では、反射防止コーティング層120の厚みは、約1ミクロン未満であり、約1パーセント未満であるフィルム構造800に関する表面の反射を生じる。
【0029】
[0034] 図9を参照すると、ある具体例では、反射防止コーティング層120を形成した後に、製造プロセスは、フィルム構造800の上に横たわっている低部表面エネルギー・コーティング層122を形成することによって続き、フィルム構造900に結果としてなる。この点に関しては、低部表面のエネルギー・コーティング層122は、センチメートル当たり約35ダイン未満の表面のエネルギーを有する材料(例えば、疎水性材料または油に対する親和性が欠如した(oleophobic)材料)の薄膜から成る。ある実施形態では、低部表面のエネルギー・コーティング層122は、ディッピング、潜水、または、例えばペルフルオロポリエーテル(perfluoropolyether、PFPE)または他のフルオロエーテルのような疎水性および/または油に対する親和性が欠如した(oleophobic)材料のフィルム構造800の上側表面をさらす(例えば、スピンコーティング、スプレー・コーティング等)によって形成される。ある具体例では、低部表面のエネルギー・コーティング層122の厚みは、約50乃至200ナノメートルである。
【0030】
[0035] 図10を参照すると、ある具体例では、フィルム構造900は、ディスプレイシステム1000の表示装置1002で利用される。ある実施形態では、ディスプレイシステム1000は航空機のコックピットにおいて利用される。フィルム構造900は、表示装置1002の近位に配置され、ユーザが表示装置1002に表示される内容を見るとき、ユーザと表示装置1002との間でフィルム構造900が照準線に配置されるように、表示装置1002に関して整列配置される。この点に関して、ユーザおよび/または表示装置1002の視聴者の見え方から、フィルム構造900は、少なくとも表示装置1002の一部の上に重なり、および/または、横たわる。
【0031】
[0036] ある具体例では、接着材は、対向する平坦面103であるフィルム構造900の表面902の上に形成され、フィルム構造900の表面902は、表示装置1002の表示面1004に添付される。接着材には、無機材料104の屈折率と実質的に同等である屈折率を有する圧力高感度接着剤からなる。例えば、ある実施形態では、無機材料104は、約1.5の屈折率を有する二酸化ケイ素からなり、接着材は、約1.5乃至約1.55の範囲内の屈折率を有する圧力高感度接着剤からなる。フィルム構造900は、フィルム構造900の底面902上の接着材によって表示装置1002の表示面1004に接着させる表示装置1002およびフィルム構造900に印加される圧縮力による表示装置1002の表示面1004に添付されるか、または、接着される。
【0032】
[0037] ある具体例では、表示装置1002は、ディスプレイ1006および透明なタッチパネル1008を備えたタッチスクリーンまたは他のタッチ-センシングデバイスとして実現される。実施形態に従い、表示1006は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、起電表示、または、処理モジュール(例えば、プロセッサ、コントローラ等)の制御下で、画像を表すことができる他の電子ディスプレイとして実現され得る。タッチパネル1008は、ユーザがディスプレイ1006に表示される内容を見るとき、照準線において、タッチパネル1008が配置されるように、ディスプレイ1006の近位に配置され、ディスプレイ1006に関して整列配置される。タッチパネル1008は、表示装置1002の活性化センシング領域、すなわち、接触を感知でき、及び/又は、外部オブジェクト(例えば、指および/または指の爪、スタイラス、ペン等)に充分近い表示装置1002の領域を提供し、または、確定する。この点に関して、フィルム構造900が表示装置1002のセンシング領域と重なりおよび/または上に横たわるように、フィルム構造900は配置される。実施形態に従い、タッチパネル1008は、電気抵抗タッチパネル、容量タッチパネル、赤外線タッチパネル、光学的タッチパネルまたは適切な他のタッチパネルとして実現されることができる。上記の通り、表面構造110に関する実質的に垂直側壁および実質的に横上側表面のおかげで、平坦面103に対して直角のフィルム構造900に入射する、ディスプレイ1006によって透過される光の散乱および/または拡散は、最小化され、またはさもなければ、わずかで感知できない。
【0033】
[0038] 図11は、表示装置1002を有するフィルム構造900を利用しているディスプレイシステム1100の他の実施形態を例示する。ユーザが表示装置1002に表示される内容を見るとき、フィルム構造900が、ユーザと表示装置1002の間に照準線に配置されるように、フィルム構造900は、表示装置1002の近位に配置され、表示装置1002に関して整列配置される。この点に関して、ユーザおよび/または表示装置1002の視者の見え方から、フィルム構造900は、表示装置1002の少なくとも一部の上に重なり、および/または、横たわる。例示の実施形態では、透明基板102は、剛性ガラス材料として実現され、透明基板102の底面902はエアギャップ1102によって表示面1004から分離される。この点に関して、適当な厚みを有する粘着テープのような接着材は、フィルム構造900と表示装置1002と間の結合を提供するために、表示面1004および/またはフィルム構造900の周辺に提供され得る。接着材の厚みは、フィルム構造900と表示面1004との間の分離距離1104を制御する。ある実施形態では、フィルム構造900および表示装置1002は、フィルム構造900の周辺周辺で、ベゼルを使用して包装されることができる。フィルム構造900と表示面1004の間の距離1104(例えば、エアギャップ1102の幅)は、約4ミリメートル未満である。ある具体例では、第2の反射防止被膜層1120は、図8のコンテキストで上述した通り同様の方法で、フィルム構造900の底面902の上に形成される。
【0034】
[0039] 図12は、透明基板1202の表面1203の上に形成される複数の表面構造1210から成る典型的なフィルム構造1200の上面図を例示する。実施形態に従い、表面構造1210は、図1乃至4のコンテキストにおいて上記した製造方法、または、図5乃至7のコンテキストにおいて上述した製造方法に従って形成され得る。例示の実施形態では、表面構造1210は、フィルム構造1200の表面1203上の汚濁物(例えば、油、あせおよび指紋、塵または他の環境汚濁物から生じている同様のもの)の連続領域の形成を解体し、再分配、または、阻害するように構成されるパターンを提供し、上記のようなモアレパターンの形成を予防するために基板1202の表面1203にランダムに配置される。高さ、幅および/または隣接した構造1210の間の分離距離は、実際的な指のタッチ圧力状況下で、ユーザの指先によってタッチされることから表面1203の相当な部分を予防することによって反汚れおよび反指紋パフォーマンスの所望の面を達成するように選ばれるのが好ましい。
【0035】
[0040] 簡単に要約すると、上記した透明なフィルム構造のある効果は、著しい画質の低減なしに、透明なフィルム構造が、指紋、スマッジングおよび他の表面マーキングに対する耐性を提供するように、無機の汚れ止め表面構造を利用するということである。無機の表面構造は、比較的高い耐久性を提供し、かくして、フィルム構造は、指紋、汚れ、かき傷、および/または、長時間にわたる他のマーキングに対する抵抗を維持する。無機の表面構造によって提供される耐久性に加えて、無機材料はまた、既存の表面の処理方法(例えば、反射防止コーティングおよび低部表面のエネルギー・コーティング)と互換性を持つ。その結果、指紋、汚れおよびかき傷に対しても耐性がある表面をきれいにし、永続的に提供しつつ、透明なフィルム構造は、比較的低い表面反射率を達成する。
【0036】
[0041] 簡潔さのために、光学、反射、屈折、反射防止コーティング、低部表面のエネルギー・コーティング、微細構造、堆積、エッチング、フォトリソグラフィ、タッチ-センシングデバイスおよび/または表示装置に関連した従来の技術は、本願明細書において詳述してはいない。少なくとも一つの典型的な実施形態が前述の詳細な説明で示されると共に、非常に多くのバリエーションが存在すると認められなければならない。典型的な実施形態が例示だけであって、いかなる形であれ範囲、適用性または内容の構成を限定することを目的としないこともまた、認められなければならない。むしろ、前述の詳細な説明は、当業者に内容の典型的な実施形態を実行するための便利なロードマップを提供する。以下の特許請求の範囲の主題の範囲から逸脱することなく、例示の実施形態に記載されたエレメントの機能および構成を種々変更することができることは理解されるであろう。
【技術分野】
【0001】
[0001] 本願明細書に記載されている内容は、一般に電子ディスプレイシステムに関し、より詳しくは、実施形態は電子ディスプレイシステムのタッチ-センシングデバイスに用いる透明なフィルム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 伝統的に、電子ディスプレイは、ユーザがさまざまなシステムプロパティを制御または調整することができるように、ノブ、ボタンまたはスライダのように機械的なコントロールを介してユーザにインターフェースを提供してきた。タッチスクリーン技術で、多くのシステム・デザイナーは、ディスプレイに統合するかまたは機械の制御機能性を組み込むことによって電子ディスプレイシステムのスペース必要条件を減らすことができる。したがって、従来の機械的コントロールの電子的な均等物が、ユーザがタッチスクリーン・インタフェースを介してシステムプロパティを調整することができるように開発されてきた。
【0003】
[0003] タッチスクリーン・インタフェースの反復使用は、指紋、汚れ、かき傷および/またはタッチスクリーン・ディスプレイの表面の他のマークを結果として生じさせる。これらのマーキングは、ディスプレイのクリアーさを低減し、次第に、ディスプレイに表示される内容を読んだり、または、理解することの困難性を増大させる。例えば、指紋および/または汚れは、表面の反射を増やし、ディスプレイがかすんだように見えさせ、または、ぼやけさせ、若しくは、ユーザによって認められる画質を望ましくなく損傷させる。これらの課題は、飛行中、航空機のコックピットのような高い周囲照明状況において悪化する。したがって、表面反射を増やすことによってディスプレイ画質を低下させることなく、指紋、汚れ、かき傷、および/または、他のマークに抵抗する表示面を提供することが望ましい。
【0004】
[0004] ある提案された方法は、表面マークの形成を予防するためにタッチスクリーンに適用されることができる微細構造のポリマーフィルムを提供するために、モールディング、光化学作用放射線による硬化、エンボシング等のようなポリマープロセス技術を使用することを含む。しかし、ポリマーフィルムは、軍隊、航空電子工学および/または厳しい設計制約を有する産業用途での使用に関して、充分な表面の硬度および耐久性を提供することができない。その上、いくつかのポリマーフィルムは、他の表面の処理(例えば、表面反射を減らすために用いる反射防止コーティング、または、清浄能力を改良するために用いられる低部表面のエネルギー・コーティング)と、互換性を持ってはならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005] 方法は、フィルム構造体を形成して提供される。例示の方法は、透明基板を提供すること、および、透明基板の上に横たわっている複数の透明表面構造体を形成することとを備える。透明表面構造体の各々は、無機材料から成る。
【0006】
[0006] 他の実施形態では、装置はフィルム構造体のために提供される。フィルム構造体は、透明基板と、透明基板の上に横たわっている複数の透明表面構造体とを備える。複数の透明表面構造体の各々の透明表面構造体は、透明基板の上に横たわって形成される無機材料からなる。
【0007】
[0007] 実施形態は、以下の図面とともに、以下に記載し、同様の参照番号は同様のエレメントを示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】[0008] 図1は、フィルム構造および実施形態によるフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図2】図2は、フィルム構造および実施形態によるフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図3】図3は、フィルム構造および実施形態によるフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図4】図4は、フィルム構造および実施形態によるフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図5】[0009] 図5は、フィルム構造および他の実施形態によるフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図6】図6は、フィルム構造および他の実施形態によるフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図7】図7は、フィルム構造および他の実施形態によるフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図8】[0010] 図8は、フィルム構造および典型的な実施形態のフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図9】図9は、フィルム構造および典型的な実施形態のフィルム構造を製造する典型的な方法を例示する断面図である。
【図10】[0011] 図10は、表示装置の表示面に添付される図1乃至4または図5乃至7の製造方法に従って形成されるフィルム構造を含むディスプレイシステムの典型的な実施形態を例示する断面図である。
【図11】[0012] 図11は、図1乃至4または図5乃至7の製造方法に従って形成されるフィルム構造を含むディスプレイシステムの典型的な他の実施形態を例示する断面図である。
【図12】[0013] 図12は、図1乃至4または図5乃至7の製造方法に従って形成されるフィルム構造の典型的な実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0014] 以下の詳細な説明は、単に現存を図示し、内容または出願の実施形態およびかかる実施形態の使用を制限することを目的とするものではない。ここで使用しているように、用語「典型的な」は、「例証として、例、または、説明すること」を意味する。例示として本願明細書において記載されている実装は、好ましく又は他の実装を超える利点として解釈される必要はない。さらに、前述の発明の技術分野、背景、概要または以下の詳細な説明に示される、表されるか意味された理論によっても拘束される意図はない。
【0010】
[0015] 本願明細書において記載する技術は、表示装置の用途に適している構造、タッチスクリーン、タッチパネルまたは望ましい他の装置が指紋、汚れ、かき傷および/または他の表面のマーキングから保護する透明なフィルムを加工品に仕上げるために利用することができる。透明なフィルム構造は、透明基板の上に横たわる透明な無機材料から形成される複数の表面構造を含む。表面構造は、透明基板の表面上の汚濁物の連続領域の形成を分解するか、再分配するか、または、さもなければ、阻害するように構成されるいかなる数の形づくられた機能から成るパターンを提供するように配置される。無機材料は、約6(例えば、6H)より大きい鉛筆硬度を備え、スクラッチ抵抗耐久性表面を提供する。透明なフィルム構造は、比較的低い表面の反射および比較的高い耐久性を有する表示面を提供するようにディスプレイ、タッチスクリーン、タッチパネルまたは他の表示装置の表面に添付されることができる。
【0011】
[0016] 図1を参照すると、ある具体例では、例示の製造方法は、基板102を提供することから始まり、基板102の上に横たわる無機材料104の層を形成し、フィルム構造100を結果としてなる。ここで使用しているように、無機材料は、カーボンを含まない非重合化合物として、理解されなければならない。この点に関して、重合材料と比較して、無機材料104は、物理的により固く、機械の摩滅に関してより大きな耐久性を呈する。後で詳しく述べるように、基板102は、構造上のサポートを無機材料104からその後形成される表面構造に提供する。ある具体例では、基板102は、可視光の約95パーセントより大きい透明度(または透過率)を有し、無機材料104は可視光の約90パーセントより大きい透明度(または透過率)を有する。この点に関して、基板102および無機材料104は各々、実質的に透明である。したがって、透明基板は、本願明細書において透明基板と称することがあり、無機材料104は本願明細書において透明無機材料と称することがある。
【0012】
[0017] 典型的な実施形態では、透明基板102は、約2.0未満の、好ましくは約1.4乃至約1.7の範囲の屈折率を有する材料からなる。実施形態に従って、透明基板102は、ソーダ石灰ガラスのようなガラス材料、または、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフサレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等のようなポリマー材料で実現されることができる。いうまでもなく、透明基板102がポリマー材料で実現されるとき、透明基板102が比較的可撓性および/または可鍛性がある構造的サポートを提供するのに対して、透明基板102がガラス材料で実現されるとき、透明基板102は、比較的固い構造的サポートをその後形成される表面構造に提供する。ある具体例では、透明基板102は、その後に形成する表面構造の上に実質的に平面の表面103を設ける。
【0013】
[0018] ある具体例では、基板102が、タッチスクリーン、タッチパネル、または、フィルム構造をその後添付することができる他のタッチ-センシングデバイスのタッチ-センシング能力を妨げないように、基板102に利用される材料のタイプおよびは厚みが選択される。例えば、電気抵抗であるか容量タッチ-センシング技術に関して、より薄い基板102が使われることは望ましく、赤外線または光学的タッチ-センシング技術は、より厚い基板102を許容することができる。その上、フィルム構造100が、いくつかの用途のためのより多くの剛性、または、ほかの用途のためのより多くの柔軟性を有することは望ましい。この点に関して、実際問題として、基板102として利用される特定の材料および透明基板102の厚みは、特定のアプリケーションの必要に従い変化する。例えば、剛性ガラス材料が透明基板102として使われる実施形態では、ガラス材料は、赤外線または他の光学的タッチセンシング技術で使われるとき、約2ミリメートルの以下の厚みを有することができ、電気抵抗または容量タッチセンシング技術で使われるとき、約50ミクロン(マイクロメートル)乃至約100ミクロンの範囲内の厚みを有する。可撓性ポリマー材料が透明基板102として使われる別の実施形態では、ポリマー材料は、約0.1ミリメートル乃至約0.3ミリメートルの範囲の中で、厚みを有することができる。
【0014】
[0019] 前述のように、ある具体例では、無機材料104は、約6(6H)より大きい鉛筆硬度を有する。一つ以上の実施形態において、無機材料104はスチールウールより大きな硬度を有し、その結果、無機材料104は、スクラッチおよび/または表面マーキングに耐性があり、さもなければ、スチールウールで無機材料104の表面を摩滅することを生じる。この点に関して、無機材料104は、指および/または指のつめ、スタイラス、ペン、または、透明なフィルム構造がその後添付されることができるタッチ-センシングデバイス(例えば、ディスプレイ、タッチスクリーン、タッチパネル等)とのインタフェースに使われることができる他のオブジェクトで無機材料104の表面をタッチすることによって生じる構造上のダメージ、または、スクラッチングに対して耐久性がある。ある具体例では、無機材料104はまた、流体に耐性があり、表示面を掃除するのに用いられる一般的な溶媒に耐性がある。例えば、ポリマー材料に損害を与えることができるいくつかの工業的溶媒は、それにダメージを与えることなく、無機材料104と接触することができる。
【0015】
[0020] ある具体例では、無機材料104は、シリコン酸化物(好ましくは二酸化ケイ素)で実現される。同じ一般的な特性および特徴を有する他の材料は、二酸化ケイ素の代わりに、例えば、窒化ケイ素、シリコンオキシナイトライド、酸化アルミニウムなどのような無機材料として使われることがでる点に留意する必要がある。二酸化ケイ素は、他の目的のために一般的に用いられ、産業ために、受け入れられて、実質的に文書化されている。したがって、好ましい実施形態は、無機材料104に関して二酸化ケイ素を使用し、明確にするため限定することなく、無機材料104は、本願明細書において別の実施形態として二酸化ケイ素と称し得る。
【0016】
[0021] ある具体例では、無機材料104の層は、プラズマ強化化学蒸気堆積(PECVD)または適切な他の堆積プロセス(例えばスパッタしている真空を使用している物理的な蒸気堆積)を使用して約4ミクロン乃至約50ミクロンの範囲内の厚みに透明基板102の上に横たわっている無機材料104を堆積させることによって形成される。図1に示すように、ある実施形態によれば、無機材料104の層は、無機材料104の層が、基板102の平坦面103と接触して、基板102の平坦面103全体で実質的に均一の厚みを有するように、適合して透明基板102の平坦面103に堆積される。後で詳しく述べるように、無機材料104の層の厚みは、無機材料104からその後形成される表面構造の高さを定める。
【0017】
[0022] ある実施形態では、二酸化ケイ素104の層は、反応体としてシランおよび亜酸化窒素を使用してPECVDによって形成される。ある具体例では、亜酸化窒素に対するシランの比率および他のチャンバ圧力および/または無線周波数力密度のような他のPECVDプロセス条件が制御され、その結果、二酸化ケイ素104は、可視光の約95パーセントより大きい透明度(または透過率)を有し、約6(6H)乃至約9(9H)の範囲の中の鉛筆硬度、および、透明基板102の屈折率に実質的に等しい屈折率を有する。例えば、ある実施形態では、基板102は、約1.5の屈折率を有するソーダ石灰ガラスで実現され、二酸化ケイ素104が約1.5の屈折率を有するように、亜酸化窒素に対するシランの比率は選択される。ある具体例では、二酸化ケイ素104の屈折率は、表面反射を最小化するために基板102の屈折率に実質的に等しい。
【0018】
[0023] 無機材料104を堆積させた後に、無機材料104の層を密度を高め、所望の屈折率および/または硬度を成し遂げるために、例えば、フィルム構造100は、アニール化されている急速熱処理または他の適切なアニールプロセスによってアニールされることができる。ガラス材が、透明基板102に使われるとき、堆積プロセスおよびアニーリングプロセスの温度は各々、ガラス材料の最大のプロセス温度能力(例えば、ガラス転移温度未満)より少く選択される。この点に関して、ある実施形態では、透明基板102が、ガラス材料から成るとき、堆積プロセスの温度およびアニーリングプロセスの温度は各々、約400℃未満である。あるいは、ポリマー材料が透明基板102に使われるとき、堆積プロセスおよびアニーリングプロセスの温度は各々、ポリマー材料の最大プロセス温度能力より少なく(例えば、ポリマー材料に関する軟化ポイントより低く)選ばれる。この点に関して、透明基板102がポリマー材料から成るとき、堆積プロセスの温度およびアニーリングプロセスの温度は各々、透明基板102として利用されている特定のポリマー材料に従い、約200℃未満である。
【0019】
[0024] 図2を参照すると、ある具体例では、製造プロセスは、無機材料104の上に横たわっているマスク108をつくり、定めるためにマスキングマスキング材料106の一部を選択的に除去し、フィルム構造100の上に横たわるマスキング材料106の層を形成することによって続く。後で詳しく述べるように、マスク108は、下にある無機材料104の一部から引き続き形成される表面構造(例えば、隣接面構造の間のスペースと表面構造の寸法および/または形状)のパターンを定める。ある具体例では、マスキング材料106は、フォトレジスト材料で実現され、マスク108は、従来のフォトリソグラフィを使用してフォトレジスト材料106の一部をフォトレジスト材料106で塗布し、パターニングし、除去することにより形成され、マスク108に結果としてなる。
【0020】
[0025] 図3乃至4を参照すると、ある具体例では、製造プロセスは、基板102の上に横たわっている複数の表面構造110を形成するためにマスク108を使用して無機材料104の一部を選択的に除去することにより続く。ある具体例では、無機材料104の露出部は、異方性(または指向的)エッチング・プロセスを使用して除去され、フィルム構造300に結果としてなる。例えば、二酸化ケイ素104の露出部は、異方性エッチャント(例えば、カーボン四フッ化素/酸素(CF4/O2)プラズマケミストリー、または、硫黄六フッ化物(SF6)プラズマケミストリー)を使用してプラズマ・ベース反応イオンエッチング(RIE)によって、異方性エッチングされることができる。無機材料104の露出部(すなわち、マスク108の基礎をなさない部分)が除去されると共に、マスク108は、異方性のエッチング・プロセスがマスク108の基礎をなしている無機材料104の部分を除去するのを防止する。この点に関しては、フォトレジスト材料106は、異方性のエッチャントに抵抗するのが好ましく、および/または、下にある汚れ止め表面構造110の上側表面が、エッチング・プロセスの間、露出されないような厚みを有する。ある具体例では、表面構造110間の基板102の平坦面103の領域が露出されるまで、無機材料104は、マスク108を使用してエッチングされる。無機材料104の露出部を除去した後、ある具体例では、製造プロセスは、マスク108を除去することによって続き、図4のフィルム構造400に結果としてなる。例えば、フォトレジスト材料106は、フォトレジスト材料106を除去して、無機材料104および実質的にそのままに基板102を残すアセトンのような周知の溶剤化学物質を使用してフォトレジスト除去プロセスによって除去(または剥離)される。
【0021】
[0026] 示すように、二酸化ケイ素104をエッチングし、フォトレジスト材料106を除去した後に、フィルム構造400は、透明基板102の表面103上の複数の表面構造110を含む。ある具体例では、表面構造110は、フィルム構造400の表面103上の汚濁物(例えば、油、あせおよび指紋、塵または他の環境汚濁物から生じているようなもの)の連続領域の形成を分解するか、再分配するか、さもなければ、阻害するように構成される基板102の表面のいかなる数の形状機能から成るパターンを提供するようにアレンジされる。この点に関して、表面構造110は、あるいは、本願明細書において汚れ止めまたはアンチ指紋表面構造と称されることができる。高さ112、幅114および/または隣接した構造110の間の分離距離116は、実際的な指タッチの圧力状況の下でユーザの指先によってタッチされることから表面103の実質的な部分を予防することによって、汚れ止めおよび反指紋パフォーマンスの所望の面を達成するために選ばれるのが好ましい。上記の通りに、基板102の表面103と関連する表面構造110の高さ112は、無機材料104の層の厚みと一致する。この点に関しては、実施形態によって、汚れ止め表面構造110は、約4ミクロン乃至約50ミクロンのレンジの基板102の表面と関連する高さ112を有することができる。ある具体例では、表面構造110の断面幅114は、約5ミクロンから約30ミクロンまで変動することができる。しかし、特定の高さ、幅および表面構造110の間隔が、特定のアプリケーションのために要求されるパターン、および/または、特定の形状に依存すると認められなければならず、実際的な実施形態は、より大きなおよび/またはより小さい高さおよび/または断面の幅を有する表面構造を使用することができる。さらに、図4を分離されさもなければ分離されるような汚れ止め表面構造110として描いてきたけれども、実際問題として、汚れ止め表面構造110は、一体的に形成され、および/または、基板102の表面の上に横たわっているさまざまな形状および/またはパターンを提供するために相互接続することができる。このように、汚れ止め表面構造110によって形成される特定の形状および/またはパターンは、実施形態に従い変化する。フィルム構造400が、ディスプレイ上の周期的なピクセル構造および/または他の周期的なパターンを備えたディスプレイでその後利用されるとき、汚れ止め表面構造110は、モアレパターンの生成を防止する仕方で配置されおよび/または間隔が隔てられる。この点に関して、断面幅114、および/または、隣接面構造110の間の間隔の距離116は、基板102の表面103全体で非周期的であるか非均一的であってもよい。したがって、これらはいかなる特定の幾何学的な形状も、装置および/または基板102の表面103上の表面構造110のパターンにも限定されない。
【0022】
[0027] 上記した異方性のエッチング・プロセスによって、汚れ止め表面構造110は、表面構造110の角の丸まりを無視すれば、実質的に垂直な(例えば、基板102の平坦面103に対して直角の)側壁118を有する。その上、基板102の平坦面103全体に均一に堆積される無機材料104の長所によって、表面構造110は、フィルム構造400全体に実質的に均一の高さを有すし、各々の表面構造110は、表面構造110の角の丸まりを無視すれば、実質的に水平(例えば、基板102の平坦面103と平行)である上側表面119を有する。垂直側壁118は、平坦面103に対して直角のフィルム構造400上の入社光の拡散および/または散乱を減らし、一方、横上方表面119は、基板102全体の表面構造110の間の拡散および/または散乱の量を減らし、それにより、その表示面に添付されるフィルム構造400を有する表示装置を見ているユーザによって認められる明快さおよび/または有効解像度を維持する。フォトレジスト材料106を除去した後、フィルム構造の製造は完了し、図8乃至11のコンテキストにおいて後で詳しく述べるようにフィルム構造は表示装置に添付される。
【0023】
[0028] 図5乃至7は、上記した製造方法の別の実施形態を例示する。この点に関しては、図5乃至7のコンテキストでここに記載されているステップは、図4のフィルム構造400を形成するように利用されることができる。例示の製造方法は、基板102の上に横たわっているフォトレジスト層材料502を形成することから始まる。ある具体例では、マスク層504は、フォトレジスト材料502の層の上に横たわって形成され、フォトレジスト材料506の第2層は、マスク層504の上に横たわって形成される。フォトレジスト材料506の上部層はパターニングされ、フォトレジスト材料506の一部は、従来のフォトリソグラフィを使用して除去される。フォトレジスト材料506の残りの部分は、湿式のエッチャントを使用してマスク層504をエッチングすることによってマスク508をつくるために選択的にマスク層504の露出部を除去するためのエッチング・マスクとして用いられ、図5のフィルム構造500に結果としてなる。後で詳しく述べるように、マスク508は、その後形成される汚れ止め表面構造のパターンを定める。
【0024】
[0029] 図5に続いて図6を参照すると、マスク508を形成した後、製造プロセスの例示の実施形態は、エッチング・マスクとしてマスク508を使用してフォトレジスト材料502の一部を選択的に除去することにより続く。ある具体例では、フォトレジスト材料502の露出部は、異方性のエッチング・プロセスを使用して除去され、フィルム構造600に結果としてなる。例えば、フォトレジスト材料502の露出部は、カーボン四フッ化素/酸素(CHF4/O2)プラズマ化学、硫黄六フッ化物(SF6)プラズマ化学、または、適切な他の化学を使用しているプラズマ・ベースの反応イオンエッチング(RIE)によって、異方性にエッチングされ得る。マスク508は、マスク508の下に横たわるフォトレジスト材料502の一部を除去することを防止し、またはさもなければ異方性エッチャントを保護し、一方、フォトレジスト材料502の露出部(すなわち、マスク508の下に横たわっていない部分)は除去される。ある具体例では、基板102の上側表面103が露出されるまで、フォトレジスト材料502はエッチングされる。全フィルム構造500が、反応イオンエッチング(RIE)環境さらされるので、異方性のエッチングはまた、フォトレジスト材料506の露出部を同時に除去する結果となる。図6に示すように、異方性のエッチングは、基板の平坦面103の複数の領域を露出する複数のすき間領域602を有するフォトレジスト材料502のパターニングされた層に結果としてなる。この点に関して、すき間領域602は、基板102の表面103に引き続いて形成される表面構造の断面幅および/または形状を画定する。
【0025】
[0030] 図7を参照すると、ある具体例では、製造プロセスは、フィルム構造600の上に横たわっている無機材料104の層を形成することによって続き、フィルム構造700に結果としてなる。ある具体例では、無機材料104の層は、図1のコンテキストにて説明したように、類似した方法で、プラズマ強化化学蒸気堆積(PECVD)プロセスまたは他の適切な堆積プロセス(例えば、真空蒸着またはスパッタ堆積)を使用して、透明基板102およびフォトレジスト材料502のパターニングされた層の上に横たわっている無機材料104を堆積させることによって形成される。しかし、堆積プロセスの温度は、フォトレジスト材料502の軟化点より低い。この点に関して、ある実施形態では、堆積プロセスの温度は、約200℃未満である。ある具体例では、無機材料104が、フォトレジスト材料502の垂直表面(または側壁)の全体に堆積されないように、無機材料104の層は、質量の輸送(mass-transport)制御状況下で堆積される。
【0026】
[0031] 再度図5および図7を参照すると、ある具体例では、基板102の表面に適用されるフォトレジスト材料502は、無機材料104の層の厚みより大きい厚み(例えば、その後形成される表面構造のための所望の高さより大きい厚み)を有する。ある具体例では、フォトレジスト層材料502の厚みは、無機材料104の層の厚みより厚く、約5乃至10ミクロンである。その結果、無機材料104の堆積は、すき間領域602を部分的に満たし、すき間領域602内の基板102の表面103に堆積される無機材料104と、フォトレジスト材料502に堆積される無機材料104との間に不連続を生じさせる。
【0027】
[0032] 再び図4および図7を参照すると、ある具体例では、フィルム構造700の上に横たわっている無機材料104を形成した後、製造プロセスは、湿式化学的処理を使用してフォトレジスト材料502を除去することによって続く。フォトレジスト材料502は、アセトンのような溶媒に溶かされ、一方、表面構造110の無機材料104をそのまま残す。このステップの結果、表面構造110を基板102の表面103上に残しつつ、フォトレジスト材料502の上に横たわっている無機材料104のいかなる部分も(いかなる残留するマスク層504も、および/または、フォトレジスト材料506も以前に取り除かれなくて)、フォトレジスト材料502によって除去される。フォトレジスト材料502を除去した後、結果として生じるフィルム構造700は、図4のコンテキストにて説明したように、同様の方法でアニールされることができる。
【0028】
[0033] 図8を参照すると、ある具体例では、製造プロセスは、フィルム構造400の上に横たわっている反射防止コーティング層120を形成することによって続き、フィルム構造800に結果としてなる。ある具体例では、反射防止コーティング層120は、フィルム構造400の表面に適用される高効率反射防止(HEA)コーティングを有する。ある実施形態では、反射防止コーティング層120は、フィルム構造800の表面の反射を減らすように配置され、またはさもなければ、構成される材料の一つ以上の層を適合して堆積させることによって形成される。例えば、ある具体例では、反射防止コーティング層120は、スパッタリング堆積プロセス、電子ビーム堆積プロセスまたはイオンビーム堆積プロセスを実行することによって堆積される、比較的小さな屈折率を有する材料(例えば二酸化ケイ素)および比較的大きな屈折率を有する材料(例えば、二酸化チタン)の交互の層から成る多層誘電スタックとして実現される。ある具体例では、反射防止コーティング層120の厚みは、約1ミクロン未満であり、約1パーセント未満であるフィルム構造800に関する表面の反射を生じる。
【0029】
[0034] 図9を参照すると、ある具体例では、反射防止コーティング層120を形成した後に、製造プロセスは、フィルム構造800の上に横たわっている低部表面エネルギー・コーティング層122を形成することによって続き、フィルム構造900に結果としてなる。この点に関しては、低部表面のエネルギー・コーティング層122は、センチメートル当たり約35ダイン未満の表面のエネルギーを有する材料(例えば、疎水性材料または油に対する親和性が欠如した(oleophobic)材料)の薄膜から成る。ある実施形態では、低部表面のエネルギー・コーティング層122は、ディッピング、潜水、または、例えばペルフルオロポリエーテル(perfluoropolyether、PFPE)または他のフルオロエーテルのような疎水性および/または油に対する親和性が欠如した(oleophobic)材料のフィルム構造800の上側表面をさらす(例えば、スピンコーティング、スプレー・コーティング等)によって形成される。ある具体例では、低部表面のエネルギー・コーティング層122の厚みは、約50乃至200ナノメートルである。
【0030】
[0035] 図10を参照すると、ある具体例では、フィルム構造900は、ディスプレイシステム1000の表示装置1002で利用される。ある実施形態では、ディスプレイシステム1000は航空機のコックピットにおいて利用される。フィルム構造900は、表示装置1002の近位に配置され、ユーザが表示装置1002に表示される内容を見るとき、ユーザと表示装置1002との間でフィルム構造900が照準線に配置されるように、表示装置1002に関して整列配置される。この点に関して、ユーザおよび/または表示装置1002の視聴者の見え方から、フィルム構造900は、少なくとも表示装置1002の一部の上に重なり、および/または、横たわる。
【0031】
[0036] ある具体例では、接着材は、対向する平坦面103であるフィルム構造900の表面902の上に形成され、フィルム構造900の表面902は、表示装置1002の表示面1004に添付される。接着材には、無機材料104の屈折率と実質的に同等である屈折率を有する圧力高感度接着剤からなる。例えば、ある実施形態では、無機材料104は、約1.5の屈折率を有する二酸化ケイ素からなり、接着材は、約1.5乃至約1.55の範囲内の屈折率を有する圧力高感度接着剤からなる。フィルム構造900は、フィルム構造900の底面902上の接着材によって表示装置1002の表示面1004に接着させる表示装置1002およびフィルム構造900に印加される圧縮力による表示装置1002の表示面1004に添付されるか、または、接着される。
【0032】
[0037] ある具体例では、表示装置1002は、ディスプレイ1006および透明なタッチパネル1008を備えたタッチスクリーンまたは他のタッチ-センシングデバイスとして実現される。実施形態に従い、表示1006は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、起電表示、または、処理モジュール(例えば、プロセッサ、コントローラ等)の制御下で、画像を表すことができる他の電子ディスプレイとして実現され得る。タッチパネル1008は、ユーザがディスプレイ1006に表示される内容を見るとき、照準線において、タッチパネル1008が配置されるように、ディスプレイ1006の近位に配置され、ディスプレイ1006に関して整列配置される。タッチパネル1008は、表示装置1002の活性化センシング領域、すなわち、接触を感知でき、及び/又は、外部オブジェクト(例えば、指および/または指の爪、スタイラス、ペン等)に充分近い表示装置1002の領域を提供し、または、確定する。この点に関して、フィルム構造900が表示装置1002のセンシング領域と重なりおよび/または上に横たわるように、フィルム構造900は配置される。実施形態に従い、タッチパネル1008は、電気抵抗タッチパネル、容量タッチパネル、赤外線タッチパネル、光学的タッチパネルまたは適切な他のタッチパネルとして実現されることができる。上記の通り、表面構造110に関する実質的に垂直側壁および実質的に横上側表面のおかげで、平坦面103に対して直角のフィルム構造900に入射する、ディスプレイ1006によって透過される光の散乱および/または拡散は、最小化され、またはさもなければ、わずかで感知できない。
【0033】
[0038] 図11は、表示装置1002を有するフィルム構造900を利用しているディスプレイシステム1100の他の実施形態を例示する。ユーザが表示装置1002に表示される内容を見るとき、フィルム構造900が、ユーザと表示装置1002の間に照準線に配置されるように、フィルム構造900は、表示装置1002の近位に配置され、表示装置1002に関して整列配置される。この点に関して、ユーザおよび/または表示装置1002の視者の見え方から、フィルム構造900は、表示装置1002の少なくとも一部の上に重なり、および/または、横たわる。例示の実施形態では、透明基板102は、剛性ガラス材料として実現され、透明基板102の底面902はエアギャップ1102によって表示面1004から分離される。この点に関して、適当な厚みを有する粘着テープのような接着材は、フィルム構造900と表示装置1002と間の結合を提供するために、表示面1004および/またはフィルム構造900の周辺に提供され得る。接着材の厚みは、フィルム構造900と表示面1004との間の分離距離1104を制御する。ある実施形態では、フィルム構造900および表示装置1002は、フィルム構造900の周辺周辺で、ベゼルを使用して包装されることができる。フィルム構造900と表示面1004の間の距離1104(例えば、エアギャップ1102の幅)は、約4ミリメートル未満である。ある具体例では、第2の反射防止被膜層1120は、図8のコンテキストで上述した通り同様の方法で、フィルム構造900の底面902の上に形成される。
【0034】
[0039] 図12は、透明基板1202の表面1203の上に形成される複数の表面構造1210から成る典型的なフィルム構造1200の上面図を例示する。実施形態に従い、表面構造1210は、図1乃至4のコンテキストにおいて上記した製造方法、または、図5乃至7のコンテキストにおいて上述した製造方法に従って形成され得る。例示の実施形態では、表面構造1210は、フィルム構造1200の表面1203上の汚濁物(例えば、油、あせおよび指紋、塵または他の環境汚濁物から生じている同様のもの)の連続領域の形成を解体し、再分配、または、阻害するように構成されるパターンを提供し、上記のようなモアレパターンの形成を予防するために基板1202の表面1203にランダムに配置される。高さ、幅および/または隣接した構造1210の間の分離距離は、実際的な指のタッチ圧力状況下で、ユーザの指先によってタッチされることから表面1203の相当な部分を予防することによって反汚れおよび反指紋パフォーマンスの所望の面を達成するように選ばれるのが好ましい。
【0035】
[0040] 簡単に要約すると、上記した透明なフィルム構造のある効果は、著しい画質の低減なしに、透明なフィルム構造が、指紋、スマッジングおよび他の表面マーキングに対する耐性を提供するように、無機の汚れ止め表面構造を利用するということである。無機の表面構造は、比較的高い耐久性を提供し、かくして、フィルム構造は、指紋、汚れ、かき傷、および/または、長時間にわたる他のマーキングに対する抵抗を維持する。無機の表面構造によって提供される耐久性に加えて、無機材料はまた、既存の表面の処理方法(例えば、反射防止コーティングおよび低部表面のエネルギー・コーティング)と互換性を持つ。その結果、指紋、汚れおよびかき傷に対しても耐性がある表面をきれいにし、永続的に提供しつつ、透明なフィルム構造は、比較的低い表面反射率を達成する。
【0036】
[0041] 簡潔さのために、光学、反射、屈折、反射防止コーティング、低部表面のエネルギー・コーティング、微細構造、堆積、エッチング、フォトリソグラフィ、タッチ-センシングデバイスおよび/または表示装置に関連した従来の技術は、本願明細書において詳述してはいない。少なくとも一つの典型的な実施形態が前述の詳細な説明で示されると共に、非常に多くのバリエーションが存在すると認められなければならない。典型的な実施形態が例示だけであって、いかなる形であれ範囲、適用性または内容の構成を限定することを目的としないこともまた、認められなければならない。むしろ、前述の詳細な説明は、当業者に内容の典型的な実施形態を実行するための便利なロードマップを提供する。以下の特許請求の範囲の主題の範囲から逸脱することなく、例示の実施形態に記載されたエレメントの機能および構成を種々変更することができることは理解されるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム構造体を形成するための方法であって、
透明基板(102)を提供するステップと、
前記透明基板(102)の上に横たわる複数の透明表面構造体(110)を形成するステップと、を有し、
透明表面構造体(110)の各々が、無機材料(104)からなることを特徴とする方法。
【請求項2】
透明基板(102)と、
前記透明基板(102)の上に横たわる複数の透明表面構造体(110)と、を有し、
前記複数の透明表面構造体(110)の各々の透明表面構造体(110)が、前記透明基板(102)の上に横たわって形成される無機材料(104)からなることを特徴とするフィルム構造体。
【請求項3】
ディスプレイ表面(1004)を備えたディスプレイデバイス(1002)と、
前記ディスプレイ表面(1004)の上に横たわるフィルム構造体(900)と、を有し、
前記フィルム構造体(100)が、
透明基板(102)と、
複数の表面構造体(110)と、を備え、複数の表面構造体(110)の各表面構造(110)が、透明基板(102)の第1の表面(103)上に形成される透明無機材料からなることを特徴とする、
ディスプレイシステム(1000)。
【請求項1】
フィルム構造体を形成するための方法であって、
透明基板(102)を提供するステップと、
前記透明基板(102)の上に横たわる複数の透明表面構造体(110)を形成するステップと、を有し、
透明表面構造体(110)の各々が、無機材料(104)からなることを特徴とする方法。
【請求項2】
透明基板(102)と、
前記透明基板(102)の上に横たわる複数の透明表面構造体(110)と、を有し、
前記複数の透明表面構造体(110)の各々の透明表面構造体(110)が、前記透明基板(102)の上に横たわって形成される無機材料(104)からなることを特徴とするフィルム構造体。
【請求項3】
ディスプレイ表面(1004)を備えたディスプレイデバイス(1002)と、
前記ディスプレイ表面(1004)の上に横たわるフィルム構造体(900)と、を有し、
前記フィルム構造体(100)が、
透明基板(102)と、
複数の表面構造体(110)と、を備え、複数の表面構造体(110)の各表面構造(110)が、透明基板(102)の第1の表面(103)上に形成される透明無機材料からなることを特徴とする、
ディスプレイシステム(1000)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−222012(P2011−222012A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−81971(P2011−81971)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81971(P2011−81971)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
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