説明

無機炭素の除去

サンプルの全有機炭素含有量を判定するための分析に先行して、流体サンプルからの揮発性有機化合物の損失を最少限にするために選択膜を使用して流体サンプルから無機炭素を選択的に除去する方法およびそれに関わる装置の開示。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特に、CO、HCO、および/またはCO−2の形態でありうる無機炭素(IC)の選択的除去のために、二酸化炭素に対して比較的高い透過性を有し、かつ揮発性有機化合物に対して比較的低い透過性を有するガス透過膜を使用して最初に水溶液を処理することによって水中の有機炭素化合物の選択的かつ高感度の検出を容易にする方法および装置に関する。さらに概括的には、本発明の方法は気体または液体の流れでありうる流体の流れから、その気体または液体の流れの揮発性有機化合物を実質的に除去または影響することなくICを分離するために応用することが可能である。
【背景技術】
【0002】
近年、水性サンプルの有機炭素含有量を数ppb程度の極めて低いレベルまで正確に再現性よく判定できることがますます重要になってきた。高感度の工業用途、例えば半導体製造は有機炭素の混入が実質的に無い極めて純粋な水を必要とする。別の範例は都市の飲料水システムであって、そこでは従来式の塩素処理の間の極めて少量の有機炭素混入物の存在でさえ有害な塩素化炭化水素を生じさせる。
【0003】
水性サンプル中で炭素は有機の形態、または無機の形態(例えば溶存二酸化炭素、または炭酸塩もしくは炭酸水素塩としてイオンの形)で存在する可能性があるので、有機炭素の正確な判定結果を得るために先行技術は長い間これら2つの形の炭素を区別する必要性を認識してきた。概して、この問題に対処するために2つの取り組み方が開発されてきた。
【0004】
その結果、従来式のTOC(全有機炭素)アナライザがサンプル中のIC(無機炭素)とTC(合計炭素)の濃度を別々に測定するか、または場合によっては、TOCの分析に先行してICがサンプルから除去されるかのいずれかである。最初のケースでは、TOC濃度を計算するためにTC濃度からIC濃度が差し引かれる。しかしながら、TOC濃度に比べてIC濃度が相対的に大きいときにこの技術の精度は低く、なぜならばICとTCの判定結果のわずかのパーセンテージの不正確さでさえTOCの算出に有意の影響を与えるからである。
【0005】
相対的に高いIC/TOC比を有するサンプルに関しては、第2の取り組み方が採用されるときにさらに優れた精度が得られる。TCの判定を行なう前にサンプルからICを実質的に除去することによってTOCが直接的に判定され、それにより、2つの大きな値(TCおよびIC)の間の差からTOC濃度を計算する必要性を回避している。付け加えると、最初にICが除去されると、ICとTCの両方が別々に測定されねばならないときよりも測定に要する時間がしばしば短くなる。
【0006】
いくつかの先行技術の特許および参照文献はTOCの測定のための処理法の中でICに対処する様々な取り組み方を教示している。これらのうちのいくつかはTCの判定を行なう前に水性サンプルからICを選択除去することを教示しているが、その他は教示していない。例えば、米国特許第4,209,299号、「Method and Apparatus for Determination of Volatile Electrolytes」(Robert M.Carlson)は揮発性有機化合物の判定におけるICの選択的除去に対する基準を有していない。米国特許第5,567,388号「Apparatus for Measuring Total Organic Carbon」(Moritaら)は、特に二酸化炭素のための除去/受容体媒質として塩基が添加されているサンプル溶液の使用を記述している。しかしながらこの特許は揮発性有機化合物の除去を防止するための選択性のある膜の使用を教示していない。米国特許第5,051,114号「Perfluorodioxole Membranes」(Nemserら)は気体/気体組成中での揮発性化合物の選択的濃縮および除去を記述している。米国特許第6,248,157号「Vacuum degassing」(Simsら)は揮発性有機物に相対したICの選択的除去を伴なわない真空脱ガスを記述している。米国特許第5,443,991号「Method for determination of dissolved carbon in water」(Godecら)はCO透過膜の使用を記述しているが、揮発性有機化合物の考え得る損失の問題に対処していない。前述の米国特許は本明細書に参照で組み入れられる。
【0007】
前述の特許に加えて、他の特許および技術文献がこの技術分野の様々な態様に対処している。TCの判定を行なう前に水性サンプルからICを除去する1つの確立した方法は、すべてのHCOおよびCO−2を二酸化炭素へと変換するためのpH約2以下へのサンプルの酸性化、およびそれに続いてCOを除去するためのガス流による数分間のサンプルのパージングを含む。多くの出版物および特許がIC除去のための酸性化およびガス・パージングを組み入れる方法と機器を記述してきた。そのような先行技術はKaplan,L.A.の「Comparison of Three TOC Methodologies」、J.AWWA、Vol.92、Issue 4、pp.149〜156、April、2000、Takahashi、Y.の「Sparging Device」、米国特許第3,958,945号(Envirotech Corporation)1976年5月25日、およびPurcell、M.W.、Yang,S.S.、Martin,J.T.、Reckner,R.R.とHarris、J.L.の「Liquid Sample Carbon Analyzer」、米国特許第6,007,777号(Tekmar Company)1999年12月28日を含み、それらの各々は本明細書に参照で組み入れられる。この手順の不都合は、元来サンプル中に存在する揮発性有機化合物の少なくともいくつかの不明確な部分がガス・パージング工程の中でサンプルから失われ易く、不正確なTOC測定につながることである(American Water Works Association、「Total Organic Carbon(TOC)」、Standard Method 5310C in Standard Methods for Examination of Water and Wastewater、19th Edition、補足、1996参照)。サンプル中のそのような揮発性でパージされ得る有機化合物の画分は「パージ性の有機炭素」(POC)と称され、その一方でパージング中に失われない有機化合物の画分は「非パージ性の有機炭素」(NPOC)と称される。いくつかのサンプルに関しては、ガス・パージングは受容可能であって不正確さの有意の発生源ではないが、なぜならばそのようなサンプルのPOC含有量は全体的なTOC含有量のわずかの部分にしか相当しないからである。
【0008】
しかしながら、現代の超高純度の工業的およびその他の用途で特に関心の対象となる多くのタイプの水性サンプルはかなりの濃度のPOCを有する(例えばBarcelona、M.J.、「TOC Determinations in Ground Water」、Ground Water、Vol.22(1)、pp.18〜24、1984参照)。これらのサンプルに関しては、ガス・パージングはICの除去に関して受け入れられる選択肢ではない。そのようなサンプルについては代替選択肢となる膜を基本とした技術が開発されてきた。1つの初期のそのような膜に基づく処理法では、ICを二酸化炭素に変換するためにサンプルが酸性化される。その後、この酸性化された溶液が無孔性でガス透過性のシリコン・ゴムの膜の一方の側へと流され、二酸化炭素が膜を通って拡散することを可能にする。膜の他方の側の塩基溶液がその二酸化炭素を吸収するが、なぜならば塩基は二酸化炭素を炭酸水素イオンおよび炭酸イオンへと変換するからである。そのような処理法はWest、S.J.、Frant、M.S.とRoss、J.W.、Jrの「Development of a Water Quality Monitor for Spacecraft Application」、SAE Paper 76−ENAS−10、Presented at International Conference on Environmental Systems、San Diego、CA、July 12〜15、1976によって教示されている。
【0009】
この処理法は引き続く開発の中で洗練化されたが、そのうちの1つはサンプルを2つの部分に分け、一方が酸性化され、他方が塩基性にされる工程を含む。その後、サンプルのこれら2つの部分は同じガス透過性膜の対向する側へと流され、それにより、酸性化された部分からICが膜を通過して塩基性の部分へと拡散する。West、S.J.、Frant,M.S.とFranks、S.H.の「Preliminary Design of a Preprototype Water Quality Monitor」、SAE Paper 77−ENAs−36、Presented at International Conference on Environmental Systems、San Francisco、CA、July 11〜14,1977を参照されたい。Lantz、J.B.、Davenport、R.J.、Wynveen、R.A.とCooper、W.J.の「Development of TOC/COD Analyzer for Process Applications」、Chemistry in Water Reuse、Volume 1,Cooper、W.J.(Ed.)、Ann Arbor Science Publishers、Inc.、1981もやはり参照されたい。この配置の1つの利点は、酸性化サンプル中の揮発性有機物が、膜の両側でそれらの分圧が事実上同じであり続けるせいで膜を通過して失われないことである。不利な点は、酸性と塩基性の両方の試薬が必要とされることである。
【0010】
しかしながらシリコン・ゴムは強い酸および塩基との長時間の接触によって劣化させられ、それゆえにさらに耐久性があって不活性な膜材料が必要とされた。この用途にミクロポーラス テフロン(登録商標)(Microporous Teflon(登録商標))が有用であることが見い出された。例えばWest、S.、Chrisos、J.とBaxter、W.の「Water Quality Monitor」、Final Report、NASA Contract NAS9−14229、Orion Research、Inc.、Cambridge、MA、March 1979を参照されたい。米国特許第5,567,388号(Moritaら)はポリテトラフルオロエチレン、シリコン・ゴム、酢酸セルロース、または多孔質ポリエチレンのフィルム、あるいはそれらの材料から作製される複合フィルムが酸性化されたサンプル流からICを除去するために使用されることが可能であり、二酸化炭素は塩基性にされている膜の他方の側のサンプル部分へと拡散することを教示している。
【0011】
しかしながら、それでもいくつかの問題および制限がこの取り組み方に存在する。1つの問題は、強い酸および塩基、ならびにいくつかの水サンプル成分が多くの従来の材料から作製された無孔性の膜を攻撃することである。シリコン・ゴムおよび酢酸セルロースはこのグループに入る。
【0012】
無孔性のポリテトラフルオロエチレンおよびポリエチレンは通常では強酸、強塩基、および通常の水サンプル成分に適合性があるが、しかしこれらの膜を通過して二酸化炭素が拡散する速度は遅く、それゆえに、そのような膜に基づいたIC除去装置は妥当な時間で通常のサンプルを処理するために極めて大きくならねばならない。しかしながら、大型のIC除去装置は、サンプルを測定した後に大幅に異なる濃度を有する新たなサンプルが測定されるとき、TOCアナライザの遅い応答性の原因となる。従来式の多孔質膜に問題が生じ得ることもやはり見出されてきた。1つの問題は、いくつかの水サンプルの成分がこれら多孔質膜の表面を濡らし、したがって膜の両側の溶液が混ざることを許容することである。これは測定誤差の原因となり、装置に付随する保守管理の労力を増大させる。別の問題は、従来式の多孔質膜は揮発性有機物が酸性化サンプル流から塩基性溶液へと急速に拡散することを可能にすることである。揮発性有機物のそのような消失、それによるTOC測定の精度の歪みを回避するために、上記で検討したように多孔質膜の各々の側でサンプルの2つの部分(1つは酸性化され、1つは塩基にされている)を使用することが必要である。しかしながらこれが為されると、装置はさらに複雑かつコスト高になり、サンプルを塩基性にするために追加的な試薬が必要とされる。
先行技術の方法のこれら、およびその他の問題および制限は本発明の方法と装置で全部または部分的に克服される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の全般的目的は、揮発性有機化合物の除去もしくは損失を最少限にしながら、本明細書に規定されるように無機炭素を選択的に除去するためのサンプル流体処理の方法およびそれに関わる装置を提供することである。
【0014】
本発明の他の全般的目的は、選択的ガス透過膜の一方の側に沿って流体サンプルを送り、その一方で同じ膜の反対の側に沿って受容体媒質を送り、それにより、流体サンプルの少なくとも1つの他の成分の含有量を有意に変えることなく膜を通して流体サンプルの少なくとも1つの成分を選択的に拡散させて受容体媒質に入れるためのシステム、およびそのようなシステムを使用する方法を提供することである。
【0015】
分析の前にサンプルから無機炭素を選択的に除去することによる、流体サンプルの全有機炭素含有量のさらに効率的、単純、小型、かつ正確な判定のための方法および装置を提供することが本発明の主な目的である。
【0016】
本発明の特別の目的は、二酸化炭素に対して比較的高い透過性を有し、かつ揮発性有機化合物に対して比較的低い透過性を有するガス透過膜を、分析の前に揮発性有機化合物の有意の消失を伴なわずに流体サンプルから無機炭素を選択的に除去するためのシステムの一部分として提供すること、それと共にそのようなシステムを操作する方法を提供することである。
【0017】
本発明の他の特別の目的は、水性サンプルを酸性化させるかまたは酸性化させず、その後、それを送り出してCO選択膜の一方の面と接触させ、その一方でその膜の他方の面を実質的にCOを含まない受容体媒質と接触させ、それにより、サンプルから無機炭素を除去することで全有機炭素含有量の分析のためのサンプルを調製するシステムおよび方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる特別の目的は、揮発性有機化合物を有意に除去することなく流体サンプル流から無機炭素を選択的に除去するための方法および装置において、テフロン(登録商標)AF、PFA、ポリフルオロポリマーおよびそれらに匹敵する材料で作製された膜をCO選択膜として使用することである。
【0019】
本発明の他の目的および利点はこれ以降である程度明らかになり、ある程度出て来るであろう。したがって本発明は、限定はされないが、以下の説明および添付の図面によって具体的に示されるようにいくつかの工程および様々な構成要素を含む方法とそれに関わる装置、および1つまたは複数のそのような工程および構成要素の他の各々に関する関係および順序を含む。本明細書に述べられるような方法および装置の様々な改造例および変形例は当業者にとって明らかであろうし、そのような改造例および変形例のすべては本発明の範囲内にあると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
第1の実施形態では、本発明は、二酸化炭素に対して比較的高い透過性を有し、かつ揮発性有機化合物に対して比較的低い透過性を有するガス透過膜を使用した流体からの無機炭素(IC)の選択的除去によって流体中の有機炭素化合物の選択的かつ高感度の検出を容易にするための方法およびそれに関わる装置を含む。本発明は、後に続く有機炭素の分析測定の精度に有意の影響を与えることなくサンプルの気体もしくは液体の流れからICを除去する簡単で信頼性のある方法を提供する。さらに特定すると、本発明は水サンプルのTOC含有量を有意に変えることなくその水サンプルからICを除去することに有用である。
【0021】
別の実施形態では、本発明は揮発性有機化合物の最少限の除去を伴なって液体の検体から無機炭素(CO、HCO、CO−2の濃度の合計として規定されるIC)を選択的に除去するための方法およびそれに関わる装置を含む。
【0022】
さらに別の実施形態では、本発明は供与体のサンプル流からの揮発性TOCの除去を最少限にしながら供与体のサンプル流から実質的に全部、または少なくとも余剰のICを受容体の流れへと除去することによる改善されたTOC測定に関する。したがって本発明は、その後にTOCについて分析されるように意図される揮発性有機化合物の有意の量を通常ではサンプルから除去する既存の非選択性の脱ガスおよびパージング技術に伴なう問題を克服する。
【0023】
水中の全炭素(TC)含有量は2つの成分、TOCとICで構成される。TCとIC各々が測定されることが可能であり、その後、TOCが式、TOC=TC−ICから計算されることが可能である。しかしながら、TOCの濃度がIC濃度よりも大幅に少ないとき、高いTCおよびICの濃度の間のわずかな差からTOC濃度を正確に判定することは本質的に不可能である。TCおよびICの測定の精度はどのような分析学的測定に付随する通常の「ノイズ」によっても悪影響を受け、そのような影響は、相対的に少ないがしかしそれでも有意であるTOC含有量に対してかなりの量である可能性がある。
【0024】
したがって、IC濃度がTOC濃度よりも高いとき、炭素測定の前にもしもICが除去されればTOC測定はさらに高精度になるであろう。それが為されると、TOC濃度は測定された全炭素濃度TCと、確実ではないとしても実質的に等しくなるであろう。先行技術ではICの除去は酸性化されたサンプルの非選択的な脱ガス、またはいわゆる酸スパージング処理を使用する。両方の方法が無機酸でサンプルを酸性化する工程を含む。その後、サンプルが(膜による分離を伴なうかまたは伴なわないで)脱ガスされるか、またはスパージングを受けるかのいずれかである。第1の技術は真空ポンプ、および普通では、酸性化されたサンプルの上を流れるあらゆるガスを浄化するための炭酸ガス吸収装置を必要とする。第2の技術は二酸化炭素を含まないガスの供給源を必要とする。これらの消耗品の効率、品質および純度はIC除去処理の効率、および/またはその後のTC測定の精度に影響を与えるような方式でしばしば変わる得る。
【0025】
先行技術とは対照的に、本発明の方法および装置は二酸化炭素に対して比較的高い透過性を有し、かつ揮発性有機化合物に対して比較的低い透過性を有する無孔性のガス透過膜の使用を基本としている。この膜は、本質的に初期にICを含まない(受容体の流れとも呼ばれることが可能な)第2の流体の流れから(供与体の流れとも呼ばれることが可能な)流体の検体を分離している。二酸化炭素は(いくつかの実施形態では炭酸イオンおよび炭酸水素イオンの二酸化炭素への変換を補助するために酸性化される)流体の検体から拡散し、膜を通過し、受容体の流れに入る。この方法の実行の結果として受容体の流れの中に拡散する二酸化炭素および炭酸水素イオンはその後、外部から供給される二酸化炭素を含まないガスによるか、またはイオン交換樹脂により除去されることが可能である。本発明のこれらの方法、およびそれに関わる装置は、全炭素量(TC)が測定される前に水サンプルからバックグラウンドのICを除去するために理想的である。前もって行なわれるICの除去によって、TOCは測定されるTCと同じになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、概して、後に続く全有機炭素(TOC)の判定のための流体媒質の分析に悪影響を与えないように揮発性有機化合物を殆どもしくは全く除去せずに流体媒質からCO、HCO、およびCO−2の濃度の合計として本明細書に規定された無機炭素(IC)を選択的に除去するための方法と装置に関連させた特定のタイプの膜材料の使用に関する。
【0027】
本発明によれば、流体の媒質からの選択的なICの除去を達成するために2つの方式が見い出された。第1は膜材料の選択に基づくものである。多孔質の材料はガスについて極めて高い透過速度を提供するけれども、それらはどのような選択性も与えない。他方で無孔質の膜は、もしも適切に選択されれば膜材料を通過する多様な化合物の透過率の違いが理由となって選択性を達成する機会を与える。少なくともICおよびTOCに関連して、検体中の他の化合物と比べて関心対象の化合物のための高い透過の速度を伴なう膜材料を選択することが可能であることをここで見出した。付け加えると、検体の滞留時間および温度の最適化がこの分離過程の選択性をさらに促進することが可能である。
【0028】
選択性を提供もしくは促進するための第2の方式はpHを変えることである。その結果、流体の検体の流れ(供与体側)が酸性化されることでサンプル溶液から「酸性ガス」を押し出すことが可能となる。例えば、本発明によると流体媒質のpH値は選択的なIC除去のために概して約7未満、好ましくは約4未満である。
【0029】
本発明の方法を実践するための装置は無機炭素(IC)移送ユニットを有し、そこでは適切な膜が第1の区画もしくは流体領域を第2の区画もしくは流体領域から隔絶し、それにより、サンプル媒質が膜の第1の(供与体の)側に接触し、それと同時に(いくつかの実施形態では少なくとも部分的減圧である可能性のある)受容体媒質が膜の反対の(受容体の)側に接触する。図1を参照して下記で検討されるように、一実施形態では本発明によるIC移送ユニットは平板状の設計であることが可能である。図2を参照して下記で検討されるように、別の選択肢の実施形態では本発明によるIC移送ユニットはチューブ状もしくは中空円筒状の設計であることが可能である。混成の設計を含むその他の膜/移送ユニット構造もまた本発明の範囲内にあると考えられる。
【0030】
図1は、IC移送ユニット11が平板状の設計である本発明の実施形態による装置10の概略の具体例である。図1では、移送ユニット11の膜素子12は概して平板状の選択膜材料のシートもしくは帯状片を有する。酸性化試薬13がサンプル流体14に添加されることも添加されないことも可能であり、サンプル流体は膜素子12の供与体面16に接触するように移送ユニット11の第1の区画15の中に送られる。実質的に二酸化炭素を含まない受容体媒質17は膜素子12の受容体面19に接触するように移送ユニット11の第2の(受容体)区画18の中に送られ、その結果、サンプル流体14からCOのような酸性ガスが膜12を通って拡散して受容体媒質へと入り、そこでそれは媒質17が水性流体であれば溶解し、および/または例えば炭酸水素イオンへとイオン化される可能性があり、媒質17がガス流であればガスとして運び去られる。図1に示されるように、流体の閉ループを回って受容体媒質17を循環させるためにインライン・ポンプ20、またはその他の適切な流体循環システムが使用される可能性があり、そのループは、受容体区画18から入来する受容体媒質からICを除去した後にICを含まない受容体媒質を区画18へと再循環させるためのIC除去システム22を含むことが可能であることが好ましい。やはり図1に示されるように、好ましい実施形態では受容体17はサンプル流体14の流体流方向に関して逆流方向でIC移送ユニット11を通して流される。
【0031】
図1に例示された方法および装置の好ましい実施形態では、膜素子12はCOに関して高い透過性を有し、揮発性有機化合物に関して低い透過性を有する。図1に例示されたような本発明の別の好ましい実施形態では、受容体媒質17は脱イオン(DI)水であり、IC除去システム22はイオン交換システムを有する。別の選択肢の実施形態では、受容体媒質17は、必要であればアルカリの添加によって塩基性(例えば8もしくはそれよりも高いpH)にされたサンプル流体の第2の部分を有する。さらに別の実施形態では、受容体媒質17は実質的に二酸化炭素を含まないガスである。もしも二酸化炭素を含まないガスが純粋の空気であれば、受容体区画18で二酸化炭素を受け取った受容体媒質17は閉ループ内で再循環されずに区画18の下流で排出されることが可能である。さらに別の実施形態では、受容体媒質17は受容体区画18内で少なくとも部分的減圧を有する可能性がある。
【0032】
図2は、IC移送ユニット31が概してチューブ状の設計である本発明の実施形態による装置30の概略の具体例である。図2では、移送ユニット31の膜素子32は選択膜材料の中空のチューブもしくは導管を有する。酸性化試薬33がサンプル流体34に添加される可能性があり、酸性化されるかまたは酸性化されていないサンプル流体は入り口マニホールド35を通して移送ユニット31の第1の(供与体の)区画36内に送られる。第1の区画36は、IC移送ユニットの入り口マニホールド35と出口マニホールド37の間に延びる膜素子32の長さによって境界を定められる中空のチューブ領域である。サンプル流体をIC移送ユニット31へと搬送するサンプル流体入り口導管は入り口マニホールド35で第1の区画36の入り口端部に接続する。IC移送ユニット31を離れるサンプル流体を搬送するサンプル流体出口導管は出口マニホールド37で第1の区画36の出口端部に接続する。入り口マニホールド35および出口マニホールド37にそれぞれ付随するシールもしくはブッシング素子43と44はマニホールドの内部領域からの流体の漏れを防止する。
【0033】
酸性化された、または酸性化されていないサンプル流体内側区画36はチューブ状膜素子32の供与体面38に接触する。実質的に二酸化炭素を含まない、あるいは分子上の酸性ガスを含まない受容体媒質39はチューブ状の膜素子32の受容体面41に接触するように移送ユニット31の第2の(受容体の)区画40へと送られ、その結果、サンプル流体34からCOのような酸性ガスが膜32を通って拡散して受容体媒質39の中に入り、そこでそれは媒質39が水性流体であれば溶解し、および/または例えば炭酸水素イオンへとイオン化され、媒質39がガス流であればガスとして運び去られる。
【0034】
図2に見られるように、受容体区画40は膜素子32を取り巻く環状領域であり、この環状領域は膜素子32の受容体面41傍の内側、および膜素子32よりも大きい直径であって入り口マニホールド35と出口マニホールド37の間で膜素子32に関して実質的に同心に配置されたスリーブもしくは導管42の内壁傍の外側で規定される。図2に示されるように、好ましい実施形態では実質的に二酸化炭素を含まない受容体媒質をIC移送ユニット31へと搬送する受容体媒質入り口導管は出口マニホールド37で受容体区画40の入り口端部に接続する。これに対して、IC移送ユニット31を離れる受容体媒質を搬送する受容体媒質出口導管は入り口マニホールド35で受容体区画40の出口端部に接続する。この構造は結果的に、IC移送ユニット31を通る酸性化サンプル流体の流れに関して逆流方向で受容体媒質がIC移送ユニット31を通って流れる好ましい実施形態につながる。
【0035】
図2に示されるように、流体の閉ループを回って受容体媒質を循環させるためにインライン・ポンプ46、またはその他の適切な流体循環システムが使用される可能性があり、そのループは、受容体区画40から入来する受容体媒質からICを除去した後にICを含まない受容体媒質を区画40へと再循環させるためのIC除去システム45を含むことが可能であることが好ましい。図2に例示された方法および装置の好ましい実施形態では、膜素子32はCOに関して高い透過性を有し、揮発性有機化合物に関して低い透過性を有する。図2に例示されたような本発明の別の好ましい実施形態では、受容体媒質39はDI水であり、IC除去システム45はイオン交換システムを有する。図1に関して述べたような本発明の実践での他の変形例が図2の装置構成で使用するために構成されることが可能である。
【0036】
明らかな小変更を伴なった図2に例示された装置が、酸性化された、または酸性化されていないサンプル流体が外側環状区画40を通して送られ、かつ受容体媒質39がIC移送ユニット31の内側管状区画36を通して送られる本発明の別の選択肢の実施例を実践するためにもやはり利用され得ることは理解されるであろう。もちろん、この変更された構造では区画40はサンプル流体(供与体)の区画であり、区画36は受容体媒質の区画であろう。また、この変更された構造ではサンプル流体は膜32の外側の面41に接触し、それに対して受容体媒質39は膜32の内側の面38に接触するであろう。
【0037】
また、図1および2は好ましい逆流の流れの構造を例示しているが、本発明のこれらの実施形態の両方が、それぞれIC移送ユニットを通るサンプル流体と受容体媒質の共通方向の流動の流れを使用して実践され得ることは理解されるであろう。
【0038】
本発明による膜材料は理論的にどのようなガス透過性材料でも使用でき、膜を通過する物質およびサンプル流体中に残される物質の化学構造に応じて決まる。サンプル流体から除去されない(複数)物質に関する低い透過率に相対して流体媒質から除去されるべき揮発性化合物に関する相対的に高い透過率を有する膜材料を使用することが好ましい。サンプル(供与体)の流れから受容体側へと移送される揮発性化合物の量Maccは次の式によって与えられ、
acc≒Ms(1−exp(−Presexp(−A/T)))
ここで
は、25℃での透過率、
Aは、活性化エネルギー、
Tは、膜の温度、
Msは、サンプル流中の揮発性化合物の初期濃度、
resは、IC除去モジュール内のサンプル流の滞留時間である。
したがって、除去される揮発性化合物の相対量RMは、
RM=Macc/Ms≒1−exp(−Presexp(−A/T))
である。モジュール内でサンプルが費やす時間が増加し、膜温度もやはり上昇すると、揮発性化合物の相対的除去量はどのような所定の透過率でも増加する。膜材料の選択はIC除去モジュールのサイズ決定およびIC除去処理の選択性に影響を与える。本発明のこれらの態様は、日常的な試行錯誤によって、および/またはコンピュータによるモデル化または同様の技術によって特定の用途のために最適化することが可能である。
【0039】
本発明による特に好ましい膜材料は商品名テフロン(登録商標)AF2400で市販されているDuPont Chemical Co.のポリマー製品である。本発明の方法と装置に関してテフロン(登録商標)AF2400を膜として使用することが、PFAまたはPTFEで作製された匹敵する寸法の膜と比較して同じ量の二酸化炭素を除去するために必要とされる滞留時間を約200から300の因数で短縮することが本発明に従って見出された。流体媒質を通って二酸化炭素が拡散する速度はそのような用途でICの除去に関する制限因子になる可能性がある。
【0040】
概して、膜の受容体側の受容体媒質はサンプル流から除去される分子状酸性ガス化合物を本質的に含まないどのようなものでも可能である。本発明による流体の受容体媒質は、
(a)アルカリ性サンプル流体、または他の実質的に二酸化炭素を含まない水溶液(すなわち脱イオン水)
この技術は酸性ガスの除去に特異的である。
(b)二酸化炭素を含まないガス流
このガス流は循環システム、例えばポンプと組み合わされた炭酸ガス吸収装置によって浄化された空気、または二酸化炭素を含まない圧縮ガスであることが可能である。通常、この方法は比較的コスト高であり、二酸化炭素の除去に特異的である。
(c)真空
この方法は真空ポンプを必要とし、したがって比較的コスト高であり、それに加えて真空の信頼性の問題が存在する。サンプル流からの液体の損失もやはりこの問題に伴なう考え得る大きな問題となる可能性がある。
【0041】
図3のグラフは上述した3タイプの受容体媒質、すなわちDI水、COを含まない空気、および真空について、IC移送ユニット内のサンプルの滞留時間に対してIC除去効率をプロットしている。図3は、上述の様々な受容体媒質の間で除去効率に有意の差が存在しないことを示している。
【実施例1】
【0042】
以下の試験は、温度を変えながら水性サンプルから二酸化炭素のような揮発性電解質を除去する処理での本発明の実践および効率を実証するために行った。
【0043】
図2に示すのと同様のチューブ型設計のガス移送モジュールをこの実施例に使用した。水中で28ppmのC濃度で二酸化炭素をチューブ状テフロン(登録商標)AF膜の内側を通して送った。脱イオン水である受容体の流れを加熱することによって温度を変化した。
【0044】
3通りの温度、30℃、50℃、および70℃でIC移送ユニット内のサンプルの滞留時間に対してIC除去効率をプロットしている図4に結果を示す。図4は、各々の温度で3分未満(180秒未満)にサンプル流からの本質的に100%のICの除去が達成されることを示している。
【実施例2】
【0045】
図1に例示した膜構造と同様の平坦もしくは平板状のPFA膜を有するIC移送モジュールを使用して別のセットの実験を行った。このセットの実験に関しては、IC移送モジュール内のサンプルの滞留時間はサンプルの流量を変化させることによって変えた。IC移送ユニット内のサンプルの滞留時間に対するIC除去効率をサンプル中のCおよびICの3通りの濃度、5ppmのC、25ppmのC、および50ppmのCでプロットしている図5に結果を示す。図5は、どのような所定の滞留時間についても除去効率が広範囲にわたるIC濃度で有意に変化しないことを示している。
【実施例3】
【0046】
概して、揮発性有機化合物を含む溶液は本発明のICモジュールを通って進む間に極めて微量のこの化合物を失うであろう。しかしながら、この方式で失われる量は膜材料の選択を通じて、およびサンプル滞留時間を最少限にすることによって最小にすることが可能である。
【0047】
この実施例では、本発明によるIC除去のために2つの異なる膜を試験した。本発明による2つのIC移送ユニットの各々を通してサンプルが送られる前後で水性サンプル流の中の様々な揮発性有機化合物の濃度が判定され、そのようなユニットの一方はテフロン(登録商標)AF膜を利用し、他方はゴルテックス(Gortex)膜を利用した。付け加えると、サンプル流は2つのIC移送ユニットの各々を通過する前後の両方でIC(COとしての)濃度について試験した。IC移送ユニット内の15秒という比較的短い滞留時間をこれらの試験に使用した。
【0048】
この実施例の結果を図6に示す。図6は、テフロン(登録商標)AFの約48%に比べてゴルテックス膜が約62%のICの除去を達成していることを示している。しかしながら、有機化合物の損失はテフロン(登録商標)AF膜に比べてゴルテックス膜でさらに有意であった。テフロン(登録商標)AF膜を使用したとき、大部分の揮発性有機化合物はサンプル内に残った(例えば、トルエンの除去はわずか16%であった)。
選択膜を使用してサンプル流体からICを選択的に除去するための上述の方法および装置に他の変形例および改造例が本発明の範囲から逸脱することなく為され得ることは当業者にとって明らかであり、以上の説明に含まれるすべての事項は具体的例示と解釈されるべきであって限定の意味ではないことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】平板状の膜素子を利用する本発明の一実施形態を示す概略の流れ図である。
【図2】チューブ状の膜素子を利用する本発明の別の実施形態を示す概略の流れ図である。
【図3】本発明に従って、3タイプの受容体媒質に関するIC除去効率を滞留時間に対してプロットしたグラフである。
【図4】3通りの温度でIC除去効率を滞留時間に対してプロットしたグラフである。
【図5】3通りの無機炭素濃度でIC除去効率を滞留時間に対してプロットしたグラフである。
【図6】本発明に従って実行されたIC除去がサンプル中の揮発性有機化合物のレベルに影響を及ぼす量を2つのタイプの膜材料各々について示す、流体サンプル中の様々な揮発性有機化合物の前後の濃度を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプル中の極めて低レベルの全有機炭素の濃度を正確に判定するために該サンプルを分析する前に、該サンプル中の全有機炭素成分の含有量に有意の影響を与えることなく該流体サンプルから二酸化炭素を含む、および/または二酸化炭素に変換可能である無機炭素を選択的に除去するための方法であって、前記流体サンプルを選択的ガス透過膜の供与体面と接触させる工程を含み、前記膜が供与体面と受容体面を有し、かつ二酸化炭素に対する比較的高い透過率と前記全有機炭素成分に対する比較的低い透過率を有し、その一方で前記膜の他方の側にある受容体媒質と前記膜の前記受容体面の接触を確立する工程を含む方法。
【請求項2】
前記全有機炭素含有量の少なくとも測定可能な部分が1つまたは複数の揮発性有機化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
HCOおよび/またはCO−2としてサンプル中に存在する無機炭素を二酸化炭素へと変換するために前記サンプルを酸性化する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記膜と接触の状態に至る前に前記流体サンプルを約7以下のpHへと酸性化する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記膜と接触の状態に至る前に前記流体サンプルを約4以下のpHへと酸性化する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記受容体媒質が、(i)脱イオン水、(ii)二酸化炭素受容能力を高めるために化学的に処理された流体サンプルの多様な部分、(iii)大幅に低含有量の二酸化炭素を有するガス流、(iv)少なくとも部分的な減圧で構成されるグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記受容体媒質が脱イオン水、または必要であれば約8以上のpHへとアルカリ性にされたサンプル流体である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記無機炭素の濃度を除去もしくは小さくするように前記受容体媒質が前記膜と接触した後に、前記受容体媒質をそれが多くの二酸化炭素を受容するように調製される状態へと再生させるために前記受容体媒質を処理する工程、その後に前記受容体媒質を前記膜の前記受容体面へと再循環させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記受容体媒質がイオン交換によって処理される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記受容体媒質が実質的に二酸化炭素を含まないガスで処理される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記膜が無孔質の膜である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記膜がテフロン(登録商標)AF、PFA、およびポリフルオロポリマーで構成されるグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記膜が形状で平板状である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記膜が形状でチューブ状である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記膜が平板状の膜ユニットを有し、さらに前記流体サンプルが前記膜の一方の面に沿って送られ、その一方で前記受容体媒質が前記膜の他方の面に沿って定着させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記膜が中空のチューブ状の膜ユニットを有し、さらに前記流体サンプルが前記チューブ状の膜ユニットの内部を通して送られ、その一方で前記受容体媒質が前記チューブ状膜ユニットの外壁を取り巻く環状領域に定着させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記膜が中空のチューブ状の膜ユニットを有し、さらに前記受容体媒質が前記チューブ状膜ユニットの内部に定着させられ、その一方で前記流体サンプルが前記チューブ状膜ユニットの外壁を取り巻く環状領域を占める、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
流体サンプル中の極めて低レベルの全有機炭素の濃度を正確に判定するために該サンプルを分析する前に、該サンプル中の全有機炭素成分の含有量に有意の影響を与えることなく該流体サンプルから二酸化炭素を含む、および/または二酸化炭素に変換可能である無機炭素を選択的に除去するための装置であって、
(a)供与体流体を含むための第1の流体領域と、前記第1の領域に隣接し、受容体媒質を含むため、もしくは定着させるための第2の領域であって、前記第1の領域に供与体面、前記第2の領域に受容体面を有する選択的ガス透過膜によって隔てられる前記第1と第2の領域と、
(b)前記第1の流体領域に出入りする供与体流体の流量を制御するための前記供与体流体の流量制御システムと、
(c)前記供与体流体が前記供与体面と接触状態にある間に前記受容体媒質の前記第2の領域への定着を制御するため、および受容体媒質が前記膜を通って拡散してきた二酸化炭素を受容した後に前記第2の領域を洗い流すための受容体媒質制御システムとを組み合わせで含む装置。
【請求項19】
前記膜が形状で平板状である、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記膜が形状でチューブ状である、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記膜が形状で平板状であり、前記第1の流体領域が前記膜の一方の面に隣接し、前記第2の流体領域が前記膜の他方の面に隣接する、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記膜が形状でチューブ状であり、前記第1の流体領域が前記膜によって規定されるチューブ状空間の中空内部を含み、前記第2の領域が前記膜を取り巻く環状領域を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
前記膜が形状でチューブ状であり、前記第2の流体領域が前記膜によって規定されるチューブ状空間の中空内部を含み、前記第1の領域が前記膜を取り巻く環状領域を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項24】
前記膜が無孔質の膜である、請求項18に記載の装置。
【請求項25】
前記膜が、COに関して比較的高い透過率を有し、揮発性有機化合物に関して比較的低い透過率を有する、請求項18に記載の装置。
【請求項26】
前記膜がテフロン(登録商標)AF、PFA、およびポリフルオロポリマーで構成されるグループから選択される、請求項18に記載の装置。
【請求項27】
結果的に生じる無機炭素の濃度を除去もしくは小さくするように前記受容体媒質が前記膜の受容体面と接触した後に、前記受容体媒質をそれが多くの二酸化炭素を受容するように調製される状態へと再生させるために前記受容体媒質を処理するための受容体媒質処理システムをさらに含む、請求項18に記載の装置。
【請求項28】
前記受容体媒質処理システムがイオン交換システムを含む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記受容体媒質処理システムが実質的に二酸化炭素を含まないガスで受容体媒質を処理するためのシステムを含む、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
処理された受容体媒質を前記第2の領域へと再循環させるための受容体媒質再循環システムをさらに含む、請求項27に記載の装置。
【請求項31】
前記供与体流体が前記膜の前記供与体面と接触状態に至る前に前記供与体流体を酸性化するための酸性化システムをさらに含む、請求項18に記載の装置。
【請求項32】
前記第1の領域が前記供与体流体を含み、前記第2の領域が前記受容体媒質を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項33】
前記供与体流体が約7以下のpHを有する、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記供与体流体が約4以下のpHを有する、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記受容体媒質が、(i)脱イオン水、(ii)二酸化炭素受容能力を高めるために化学的に処理された流体サンプルの多様な部分、(iii)実質的に二酸化炭素の含有量ゼロを有するガス流、および(iv)少なくとも部分的な減圧で構成されるグループから選択される、請求項32に記載の装置。
【請求項36】
前記供与体流体が、無機炭素および1つまたは複数の揮発性有機化合物の少なくとも測定可能な部分を有する水性サンプルである、請求項32に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−513438(P2006−513438A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508232(P2005−508232)
【出願日】平成15年8月7日(2003.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/024970
【国際公開番号】WO2005/019110
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(503048442)シーヴァーズ インスツルメンツ,インク. (1)
【Fターム(参考)】