説明

無機系の中空微粒子粉末原料の分離精製方法、高純度微粒子粉末および分離精製装置

【課題】無機系の中空微粒子粉末原料から、小孔や欠け等の欠陥のある中空微粒子や破壊された微粒子を高純度に含む微粒子粉末と、欠陥や破壊のない完全球体の中空微粒子を高純度に含む微粒子粉末とに分離し精製する分離精製方法を提供すること、簡単な操作により効率よく分離精製する方法を提供すること、それらの分離精製された微粒子粉末を提供すること。
【解決手段】無物系の中空微粒子粉末原料1を100℃以上の温度で加熱する加熱工程と、加熱された中空微粒子粉末原料1を室温以下の温度に保持された水107に投入して急冷し、水107中で沈降する沈降性成分2と水107中で浮上する浮上性成分3に分離する分離工程と、分離された浮上性成分3と沈降性成分2をそれぞれ回収する回収工程と、回収された浮上性成分3と沈降性成分2をそれぞれ乾燥させる乾燥工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機系の中空微粒子粉末原料の分離精製技術に関し、その分離精製方法と同方法により得られる高純度微粒子粉末、および分離精製装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火山噴出物である火山灰や、石油発電所から発生する燃え滓であるフライアッシュ等から得られる無機系の中空微粒子は、軽量で断熱性に優れるため、従来より、プラスチック成形品の充填フィラーや建築材料、断熱塗料などの用途に広く使われている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
また、同じく火山噴出物の堆積物であるシラスを原料として加熱処理し、微粉末化してこれを化粧品添加剤の用途に用いることも行われている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−32392号公報
【特許文献2】特開2007−146605号公報
【特許文献3】特開2007−186468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記中空微粒子は、天然原料として得られる他、ガラス素材等を加熱発泡させて中空成形し、分級して人工的に製造して得られる。しかしながら、このようにして得られた中空微粒子粉末原料は、小孔や欠け等の欠陥のある微粒子や殻厚が薄く壊れやすい微粒子を多く含み、中空微粒子本来の性能を低下させることから、これらの欠陥のある微粒子や破壊されやすい微粒子と完全球体で破壊されにくい中空微粒子とをいかに分離し精製するかが大きな課題とされてきた。
【0006】
本発明者は、上記従来技術の課題等について鋭意検討を重ねた結果、破壊されたり、不純物が混ざった中空セラミック微粒子粉末原料を焙煎した後、冷水に投入して急冷することにより、完全な形状の中空セラミック微粒子の中で殻厚の薄い部分があり破壊されやすくなっている微粒子は急冷による急激な収縮で破壊されて、沈降性成分として沈降し、完全な中空セラミック微粒子だけが浮上性成分として分離されることを見出した。かくして上記の課題はすべて解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、無機系の中空微粒子粉末原料から、小孔や欠け等の欠陥のある微粒子や殻厚が薄く破壊されやすい微粒子を高純度に含む微粒子粉末と、欠陥や破壊のない完全球体の微粒子を高純度に含む微粒子粉末とに分離し精製する分離精製方法を提供することを目的とする。また、簡単な操作により効率よく分離精製する方法と装置を提供すること、高純度に分離精製された微粒子粉末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る無機系の中空微粒子粉末原料の分離精製方法は、
無機系の中空微粒子粉末原料を加熱する加熱工程と、該加熱された中空微粒子粉末原料を液体に投入して急冷し、該液体中で沈降する沈降性成分と該液体中で浮上する浮上性成分に分離する分離工程と、分離された浮上性成分を回収する回収工程を有することを主要な特徴とする。
【0009】
無機系の中空微粒子原料のうち、小孔や欠け等の欠陥のある中空微粒子を液体に浸した場合、液体と空気の境界のミクロな界面張力により、小孔や欠け等があっても、当該中空微粒子の内部からの空気の排出と液体の流入が阻止されて、当該中空微粒子の嵩比重が依然と小さいままに留まることから、これらの欠陥のある中空微粒子も、小孔や欠け等の欠陥のない完全球体の中空微粒子と同様に、液体表面に浮上してしまう。
【0010】
これに対し、本発明に係る分離精製方法によれば、加熱した中空微粒子粉末原料を液体に投入して急冷することにより、急冷による急激な空気収縮を中空微粒子内部に生ぜしめ、小孔や欠け等のある中空微粒子にあっては液体を内部に吸引するから、その嵩比重が大きくなり、沈降性成分として液体中を沈降する。また、完全球体であっても、殻厚の薄い部分(例えば0.1μm未満)のある中空微粒子にあっては、急冷による急激な空気収縮により当該部分が破壊されて、沈降性成分となって液体中を沈降する。
【0011】
これに対し、小孔や欠け等のない完全球体であって、急冷によっても破壊されない比較的厚い(0.75〜10μm)殻厚をもつ中空微粒子にあっては、浮上性成分として液体中を浮上する。これにより、欠陥のある中空微粒子や破壊された微粒子を多く含む沈降性成分と、欠陥のない完全球体の中空微粒子を多く含む浮上性成分に分離される。沈降性成分には破壊された後の破壊片も含まれる。
【0012】
本発明に係る分離精製方法は、中空微粒子粉末原料が中空セラミック微粒子原料又は中空ガラス微粒子原料であることを第2の特徴とする。
【0013】
本発明に係る分離精製方法は、液体が水であることを第3の特徴とする。
【0014】
本発明に係る分離精製方法は、加熱工程における加熱温度が100℃以上であり、加熱された中空微粒子粉末原料を急冷する液体の温度が室温以下に保持されていることを第4の特徴とする。
【0015】
本発明に係る分離精製方法は、回収された浮上性成分を乾燥する乾燥工程を有することを第5の特徴とする。
【0016】
本発明に係る分離精製方法は、分離された沈降性成分を回収することを第6の特徴とする。
【0017】
本発明に係る分離精製方法は、回収された沈降性成分を乾燥することを第7の特徴とする。
【0018】
本発明に係る分離精製方法は、回収された浮上性成分を、再び中空微粒子粉末原料として加熱工程に戻すことを第8の特徴とする。欠陥のない中空微粒子の分離精度をさらに向上させ、欠陥のない中空微粒子をより高純度に含む中空微粒子粉末を得ることができる。
【0019】
本発明に係る分離精製方法は、中空微粒子粉末原料を液体に混合し、当該中空微粒子粉末原料と液体の混合物を攪拌しながら予熱する予熱工程をさらに有し、該液体が蒸発された後の予熱状態の中空微粒子粉末原料を加熱工程に供することを第9の特徴とする。粉末のままでは加熱を均一に効率よく行うことが困難な場合の、中空微粒子粉末原料の加熱を効率的に行える。
【0020】
本発明に係る微粒子粉末は、無機系の中空微粒子粉末原料を加熱し、該加熱した中空微粒子粉末原料を液体に投入して急冷して、該液体中で沈降する沈降性成分と浮上する浮上性成分に分離し、分離した浮上性成分を回収して、回収した浮上性成分を乾燥させることにより得られることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る微粒子粉末は、無機系の中空微粒子粉末原料を加熱し、該加熱した中空微粒子粉末原料を液体に投入して急冷して、該液体中で沈降する沈降性成分と浮上する浮上性成分に分離し、分離された沈降性成分を回収し、回収した沈降性成分を乾燥させることにより得られることを特徴とする。
【0022】
以上の方法で分離精製された沈降性成分、すなわち小孔や欠け等の欠陥のある中空微粒子や破壊された微粒子、破壊片を多く含む高純度沈降性微粒子粉末は、研磨力に優れた研磨剤として利用される。また、浮上性成分、すなわち完全球体で殻厚の厚い(0.75〜10μm)中空微粒子を多く含む高純度浮上性微粒子粉末は、研磨力がソフトで化粧品等の素材として優れている他、従来の断熱材料、成形品の充填フィラー等として利用される。
【0023】
本発明に係る無機系中空微粒子粉末原料の分離精製装置は、無機物系の中空微粒子粉末原料を加熱する加熱手段と、該加熱された中空微粒子粉末原料を液体に投入して急冷し、該液体中で沈降する沈降性成分と該液体中で浮上する浮上性成分に分離する急冷・分離手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によると、無機系の中空微粒子粉末原料から、極めて簡単な操作で、完全球体の割れ難い中空微粒子を高く含む浮上性成分と、小孔や欠け等の欠陥のある中空微粒子や破壊された微粒子、破壊片を多く含む沈降性成分に分離することができて、それぞれの微粒子粉末を効率よく得ることができるという優れた効果を奏する。
【0025】
また、上記の分離操作によって得られた完全球体の中空微粒子を多く含む高純度浮上性微粒子粉末は、研磨力がソフトであるため、ネイルケア用品やパック、日焼け止め等の化粧品その他の優れた素材として提供する一方、小孔や欠け等の欠陥のある中空微粒子や破壊された微粒子、破壊片を多く含む高純度沈降性微粒子粉末は、研磨力に優れるため、研磨剤として提供することができるという優れた効果を奏する。
【0026】
また、本発明に係る分離精製装置によると、極めて簡素な構造でもって、無機系の中空微粒子粉末原料の分離および精製の性能に優れた装置が得られるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明装置の全体構成図、
【図2】本発明方法による分離精製手順を示すフロー図、
【図3】本発明方法により中空セラミック微粒子が破壊される様子を示す図、
【図4】本発明方法により中空セラミック微粒子粉末原料が分離される様子を示す図、
【図5】本発明方法により分離精製される前の中空セラミック微粒子粉末原料の走査電子顕微鏡写真、
【図6】本発明方法により浮上性成分として分離された高純度中空セラミック微粒子粉末の走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明を実施するための最良の実施形態を図面を参照して説明する。図1ないし図6は本発明の一実施形態を示すもので、図1において、符号100は本発明に係る分離精製装置である。
【0029】
まず、分離精製装置100について説明すると、本分離精製装置100は、図1に示すように、加熱装置101と、急冷・分離装置102と、乾燥装置103と、回収手段104とを備えている。ここで、加熱装置101は、無機系の中空微粒子粉末原料、ここでは中空セラミック微粒子粉末原料1を100℃以上の温度(表面温度)に加熱する加熱用鍋105と、加熱用鍋105を加熱するヒーター106とを備えている。また、急冷・分離装置102は、室温以下に水温が保持された水107が貯留された有底筒形の攪拌容器108を備え、加熱された中空セラミック微粒子粉末原料1を攪拌容器108内に投入して急冷し、攪拌容器108内部の水107中で沈降する沈降性成分2と水107中で浮上する浮上性成分3に分離するようになっている。
【0030】
乾燥装置103は、回収手段104によって回収された沈降性成分2および浮上性成分3をそれぞれ乾燥させる乾燥用鍋109と、乾燥用鍋109を加熱するヒーター110とを備えている。なお、乾燥用鍋109およびヒーター110は、加熱装置101における加熱用鍋105およびヒーター106と兼用することもできる。また、回収手段104としては柄杓等を用いることができる。
【0031】
次に、上記分離精製装置100を用いて、中空セラミック微粒子粉末原料1を分離精製する手順について、図2以降を参照して、説明する。
【0032】
(加熱工程)
まず、図2に示す加熱工程S1において、ヒーター106により加熱された加熱用鍋105中に中空セラミック微粒子粉末原料1を投入し、加熱用鍋105中で中空セラミック微粒子粉末原料1を攪拌しながらその表面温度が100℃以上になるように加熱する。ここで中空セラミック微粒子粉末原料1の各中空セラミック微粒子は、平均粒径が20〜800μmである。
【0033】
(急冷・分離工程)
次に、図2に示す急冷・分離工程S2において、前記加熱された中空セラミック微粒子粉末原料1を、攪拌容器108内部に投入してその内部の水107中で急冷し、そして攪拌棒で攪拌しながら水107中の中空セラミック微粒子粉末原料1を均一に分散させ、その後静置する。すると、急冷による急激な空気収縮が中空セラミック微粒子4内部に生し、小孔や欠け等の欠陥のある中空セラミック微粒子4Aにあっては水107を内部に吸引してその嵩比重が大きくなり、沈降性成分2として水107中を沈降する。また、図3に示すように、完全球体であっても、殻厚の薄い部分(0.1μm未満)のある中空セラミック微粒子4A’にあっては、急冷による急激な空気収縮により当該肉薄部分が破壊されて、沈降性成分2として水107中を沈降する。
【0034】
これに対し、小孔や欠け等のない完全球体であって、急冷によっても破壊されなかった殻厚の比較的厚い(0.75〜10μm)中空セラミック微粒子4Bにあっては、浮上性成分3として液体中を浮上する。これにより、図4に示すように、欠陥や破壊のある中空セラミック微粒子4Aを多く含む沈降性成分2と、欠陥のない完全球体の中空セラミック微粒子4Bを多く含む浮上性成分3に分離される。沈降性成分2には破壊片も含まれる。
【0035】
(回収工程)
次に、図2に示す回収工程S3において、攪拌容器108中で上下に分離された浮上性成分3と沈降性成分2をそれぞれ回収手段104によって回収する。沈降性成分2は浮上性成分3を回収した後、攪拌容器108を傾けて水107を排水し、底に残る沈降性成分2を回収する。
【0036】
(乾燥工程)
次に、図2に示す乾燥工程S4において、回収された沈降性成分2と浮上性成分3をそれぞれ独立して乾燥用鍋109に投入し、前者の沈降性成分2にあっては、乾燥により小孔や欠け等の欠陥のある中空セラミック微粒子や破壊されたセラミック微粒子、破壊片を多く含むセラミック微粒子粉末、すなわち高純度沈降性セラミック微粒子粉末5が得られる。また、後者の浮上性成分3にあっては、完全球体の肉厚な中空セラミック微粒子を多く含むセラミック微粒子粉末、すなわち高純度浮上性セラミック微粒子粉末6が得られる。
【0037】
かくして、乾燥により小孔や欠け等の欠陥のある中空セラミック微粒子や破壊されたセラミック微粒子、破壊片を多く含む高純度沈降性セラミック微粒子粉末5にあっては、研磨力に優れた研磨剤として利用され、完全球体の肉厚な中空セラミック微粒子を多く含む高純度浮上性セラミック微粒子粉末6にあっては、研磨力がソフトで化粧品等の素材として利用される。
【0038】
本発明における無機物系の中空微粒子粉末原料は特に限定されるものではないが、好ましくは、中空セラミック微粒子原料又は中空ガラス微粒子原料のように見かけ比重が比較的小さく、その殻破壊により見かけ比重が大きくなるような原料が好適である。
【0039】
本発明において、加熱された中空微粒子粉末原料を急冷し、見かけ比重の差により分離精製する媒体として用いられる液体の種類は特に限定されるものではない。単なる水や液体状態にある有機物を使用することができる。また、比重や粘度調整のために砂糖や多糖類その他の水溶性物質を溶解させた水溶液などを使用することができる。
【0040】
さらに、単純な沈降と浮上による2成分への分離精製法を改良して、微粒子の浮力と液体の比重との平衡を利用して多成分に分離する分離原理を利用して、より精密な分離精製を実現する目的で、溶質の濃度勾配を施した溶液を使用することもできる。
【0041】
上記の分離精製方法において、回収された浮上性成分3を、加熱工程S1において、再び中空微粒子粉末原料として戻す工程を1回以上繰り返すことにより、無機物系の微粒子粉末の精製純度をさらに向上させることが可能である。
【0042】
また、中空微粒子粉末原料1を加熱する前に予備加熱用容器内の水(液体)に投入して懸濁し、該懸濁物を攪拌しながらヒーターで加熱して水を蒸発させ、該水が完全に蒸発した後も加熱を継続して100℃以上の温度に加熱することにより、粉末のままでは加熱を均一に効率よく行うことが困難である中空微粒子粉末原料1の加熱を効率的に行えるようになる。
【0043】
本発明に係る無機物系中空微粒子粉末の分離精製方法および該方法により得られる沈降性微粒子粉末、浮上性微粒子粉末は、上述のように構成されるものであるが、上記実施形態に限定されるものでなく、本発明の技術思想の範囲内で、種々変更等して実施することができる。
【実施例】
【0044】
本発明者は、乾燥・加熱用鍋に、市販の中空セラミック微粒子粉末原料(太平洋セメント株式会社製、商品名:E−SPHERES、平均粒径20〜800μm)1kgを投入し、木製の攪拌棒で同粉末原料を随時かき混ぜながら、鍋に蓋を施して電熱器で加熱した。粉末原料が十分に乾燥しその表面温度が120〜180℃になったら、粉末原料を金属製バケツに張った水の中に投入して急冷し、直ちに金属製攪拌棒で粉末原料の懸濁液を攪拌して懸濁液中の粉末原料を均一に分散させ、その後静置して沈降性成分と浮上性成分が分離するのを待った。両成分が上下に分離してバケツの底と水面に集積された時点で、水面の浮上性成分を金属製柄杓で掬い取って前述の乾燥・加熱用鍋に移し、バケツの底の沈降性成分は、バケツを傾けて極力排水した後、別の乾燥・加熱用鍋に移した。
【0045】
これら各成分の入った鍋はそれぞれ電熱器にかけて加熱して内容物を攪拌棒で随時かき混ぜながら乾燥した。以上の結果、高純度の沈降性セラミック微粒子粉末179gと高純度の浮上性セラミック微粒子粉末802gが得られた。図5に分離精製前の中空セラミック微粒子粉末原料、図6に分離精製後の浮上性セラミック微粒子粉末の走査電子顕微鏡写真をそれぞれ示す。本実施例によると、図5に示す分離精製前の微粒子粉末原料にあっては欠け等のある微粒子や破壊片が多数確認できるのに対し、図6に示す分離精製後の微粒子粉末にあっては完全球体の中空微粒子を高純度に含む微粒子粉末に分離精製されていることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る分離精製方法は、無機系の中空微粒子微粒子粉末原料を、小孔や欠け等の欠陥のある中空微粒子や破壊された微粒子を多く含む微粒子粉末と、欠陥のない完全球体の中空微粒子を多く含む微粒子粉末に分離して精製する方法として利用可能である。また、欠陥や破壊のある微粒子粉末を多く含む微粒子粉末は、研磨力の優れた研磨剤として提供され、クレンザーの素材としてあるいは工業用研磨剤として利用可能である。また、完全球体の中空微粒子を多く含む微粒子粉末は研磨力がソフトであるため、ネイルケア用品やパック、日焼け止め等の化粧品その他の素材として利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 中空セラミック微粒子粉末原料(無機系中空微粒子粉末原料)
2 沈降性成分
3 浮上性成分
4 中空セラミック微粒子
4A 小孔や欠け等の欠陥のある中空セラミック微粒子
4A’完全球体だが肉薄の中空セラミック微粒子
4B 欠陥のない完全球体の肉厚の中空セラミック微粒子
100 分離精製装置
101 加熱装置
102 急冷・分離装置
103 乾燥装置
104 回収手段
105 加熱用鍋
106,110 ヒーター
107 水
108 攪拌容器
109 乾燥用鍋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機系の中空微粒子粉末原料を加熱する加熱工程と、該加熱された中空微粒子粉末原料を液体に投入して急冷し、該液体中で沈降する沈降性成分と該液体中で浮上する浮上性成分に分離する分離工程と、分離された浮上性成分を回収する回収工程を有する、無機系中空微粒子粉末原料の分離精製方法。
【請求項2】
中空微粒子粉末原料が中空セラミック微粒子原料又は中空ガラス微粒子原料であることを特徴とする、請求項1記載の無機系中空微粒子粉末原料の分離精製方法。
【請求項3】
液体が水である、請求項1または請求項2記載の無機系中空微粒子粉末原料の分離精製方法。
【請求項4】
加熱工程における加熱温度が100℃以上であり、加熱された中空微粒子粉末原料を急冷する液体の温度が室温以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の無機系中空微粒子粉末原料の分離精製方法。
【請求項5】
回収された浮上性成分を乾燥する乾燥工程を有する、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の無機系中空微粒子粉末原料の分離精製方法。
【請求項6】
回収工程において、分離された沈降性成分を回収する、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の無機系中空微粒子粉末原料の分離精製方法。
【請求項7】
乾燥工程において、回収された沈降性成分を乾燥する、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の無機系中空微粒子粉末原料の分離精製方法。
【請求項8】
回収された浮上性成分を、再び中空微粒子粉末原料として加熱工程に戻す、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の無機系中空微粒子粉末原料の分離精製法。
【請求項9】
中空微粒子粉末原料を液体に混合し、当該中空微粒子粉末原料と液体の混合物を攪拌しながら予熱する予熱工程をさらに有し、該液体が蒸発された後の予熱状態の中空微粒子粉末原料を加熱工程に供する、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の無機系中空微粒子粉末原料の分離精製方法。
【請求項10】
無機物系の中空微粒子粉末原料を加熱し、該加熱された中空微粒子粉末原料を液体に投入して急冷して、該液体中で沈降する沈降性成分と浮上する浮上性成分に分離し、分離された浮上性成分を回収し、回収された浮上性成分を乾燥させることにより得られる、高純度無機系微粒子粉末。
【請求項11】
無機物系の中空微粒子粉末原料を加熱し、該加熱された中空微粒子粉末原料を液体に投入して急冷して、該液体中で沈降する沈降性成分と浮上する浮上性成分に分離し、分離された沈降性成分を回収し、回収された沈降性成分を乾燥させることにより得られる、高純度無機系微粒子粉末。
【請求項12】
無機物系の中空微粒子粉末原料を加熱する加熱手段と、該加熱された中空微粒子粉末原料を液体に投入して急冷し、該液体中で沈降する沈降性成分と該液体中で浮上する浮上性成分に分離する急冷・分離手段を有する、無機系中空微粒子粉末原料の分離精製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−194344(P2011−194344A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65299(P2010−65299)
【出願日】平成22年3月20日(2010.3.20)
【出願人】(308015186)株式会社福元技研 (4)
【Fターム(参考)】