説明

無機繊維ブロックと断熱構造体

【課題】耐熱性に優れ、さらに、加熱収縮による、セラミックファイバーの凹み、侵食が回避される無機繊維ブロックの提供。
【解決手段】セラミックファイバーブランケット3および多結晶質アルミナファイバーブランケット2の積層体より構成されa〜fの特徴を有する。a:セラミックファイバーブランケットおよび多結品質アルミナファイバーブランケットを交互に積層したものを圧縮して形成b:加熱によりその一部を結晶化させたセラミックファイバーよりなり、c:該セラミックファイバーのAl成分濃度が50重量%以上d:該セラミックファイバーのNa濃度が600ppm以下e:アルミナファイバーブランケットの圧縮率が、セラミックファイバーブランケットの圧縮率の1.2倍以上f:ブロックの状態のときの、セラミックファイバーブランケットの嵩密度が、アルミナファイバーブランケットの嵩密度の1.1倍以上

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックファイバーブランケット及びアルミナファイバーブランケットを用いて形成した無機繊維ブロックとその断熱構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工業炉の内張用耐火断熱材として、無機繊維製品が数多く使用されている。この無機繊維製品のひとつとして、無機繊維ブロックを挙げることができる。
【0003】
炉の内張に使用される無機繊維ブロックは、そのほとんどすべてが、次に示す方法により製造されている。第1の方法は、ブランケットを同じ大きさに切断して小片とし、これらの小片を積層して積層体とする方法である。第2の方法は、細長いブランケットを葛折りにして積層体を形成し、この積層体を圧縮しながらバンド締めや縫製によって所定の形状にする方法である。
【0004】
ブランケットの材料としては、主として、セラミックファイバーやアルミナファイバーが使用される。
【0005】
セラミックファイバーブランケットのみから作製したブロックは、1000℃以上の高温下で使用し続けると、ブロックに収縮が生じて、ブロック間の目地開きが生じ、炉壁を損傷する原因となる。
【0006】
一方、アルミナファイバーブランケットのみから作製したブロックは、素材となるアルミナファイバーが1300℃以上の高温においても優れた耐熱性を発現するため、それを素材として作製されたブロックも、優れた耐熱性を有する。しかしながら、アルミナファイバーが非常に高価であるため、ブロックも必然的に高価になってしまう。それ故に、その使用は特殊な用途に限定せざるをえない。
【0007】
このような状況において、安価でしかも耐熱性に優れた無機繊維ブロックが、例えば、特許文献1〜3として提案されている。
【0008】
特許文献1には、非晶質のセラミックファイバーブランケットと結晶質のアルミナファイバーブランケットとが交互に積層されて積層体として形成された無機繊維ブロックが開示されている。
【0009】
特許文献2には、セラミックファイバーブランケットとアルミナファイバーブランケットとを積層して形成したブロックであって、ブロック中央部およびブロックの両端部にアルミナファイバーブランケットを配設した無機繊維ブロックが開示されている。
【0010】
特許文献3には、セラミックファイバーブランケットの小片を積層することにより形成した積層体、またはセラミックファイバーブランケットを葛折りすることによって形成した積層体を、アルミナファイバーブランケットまたはアルミナファイバーマットで積層方向に挟み込んで作製された無機繊維ブロックが開示されている。
【特許文献1】特開平7−19754号公報
【特許文献2】特開2000−241081号公報
【特許文献3】特開平9−156989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述の特許文献1〜3に開示される従来の無機繊維ブロックにおいては、ブロック全体として見れば、加熱による収縮が分散されており、一定の改善効果が得られている。
【0012】
一般に、無機繊維ブロックは、図1および図2に示す面を炉内面として炉材に使用される。しかしながら、セラミックファイバーブランケットとアルミナファイバーブランケットとを交互に積層して形成した無機繊維ブロックを、図1および図2に示す面を炉内面として、より高温で使用し続けると、例えば、図2に示すように、無機繊維ブロック4を構成するアルミナファイバーブランケット2とセラミックファイバーブランケット5のうち、セラミックファイバーブランケット5の部分の端部に加熱収縮による凹み6が形成される。また、セラミックファイバーブランケット5の部分が、炉内で発生するスケール等により、選択的な侵食が顕著となることがあった。
【0013】
上記の問題点に鑑み、本発明の目的は、安価でしかも耐熱性に優れており、さらに、加熱収縮により、セラミックファイバー部分が選択的に凹むことが回避され、さらに、セラミックファイバー部分が選択的に侵食されることのない無機繊維ブロックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、積層体よりなる無機繊維ブロックを改良した。すなわち、積層体は、セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを交互に積層したものを圧縮して形成する。セラミックファイバーブランケットは、非晶質のセラミックファイバーを加熱することよってその一部を結晶化させたセラミックファイバーより作製する。
【0015】
さらに、積層体を次のように形成するのが好ましい。
【0016】
(1)積層体を20%以上圧縮して形成されたブロックを構成するアルミナファイバーブランケットの圧縮率を、該積層体を構成するセラミックファイバーブランケットの圧縮率の1.2倍以上とする。
【0017】
(2)積層体を20%以上圧縮して形成されたブロックの状態のときのセラミックファイバーブランケットの嵩密度を、該積層体を構成するアルミナファイバーブランケットの嵩密度の1.1倍以上とする。
【0018】
好ましくは、セラミックファイバーのAl成分濃度を50重量%以上とし、セラミックファイバーのNa濃度を600ppm以下とする。
【0019】
このようにして得られる無機繊維ブロックにおいては、セラミックファイバー部分が、加熱収縮によって凹む問題が解消される。
【0020】
さらに、このようにして得られる無機繊維ブロックにおいては、セラミックファイバーブランケットの部分が、スケール等により選択的に侵食されることがない。
【0021】
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0022】
本発明の解決手段を例示すると、次のとおりである。
【0023】
(1)セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを積層して形成した積層体よりなる無機繊維ブロックにおいて、
(a)該積層体は、セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを交互に積層したものを圧縮して形成されており、
(b)該セラミックファイバーブランケットは、非晶質のセラミックファイバーを加熱することによってその一部を結晶化させたセラミックファイバーよりなることを特徴とする無機繊維ブロック。
【0024】
(2)セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを積層して形成した積層体よりなる無機繊維ブロックにおいて、
(a)該積層体は、セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを交互に積層したものを圧縮して形成されており、
(b)該セラミックファイバーブランケットは、非晶質のセラミックファイバーを加熱することによってその一部を結晶化させたセラミックファイバーよりなり、
(c)積層体を20%以上圧縮して形成されたブロックを構成するアルミナファイバーブランケットの圧縮率が、該積層体を構成するセラミックファイバーブランケットの圧縮率の1.2倍以上であることを特徴とする無機繊維ブロック。
【0025】
(3)セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを積層して形成した積層体よりなる無機繊維ブロックにおいて、
(a)該積層体は、セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを交互に積層したものを圧縮して形成されており、
(b)該セラミックファイバーブランケットは、非晶質のセラミックファイバーを加熱することによってその一部を結晶化させたセラミックファイバーよりなり、
(d)積層体を20%以上圧縮して形成されたブロックの状態のときのセラミックファイバーブランケットの嵩密度が、該ブロックの状態のときのアルミナファイバーブランケットの嵩密度の1.1倍以上であることを特徴とする無機繊維ブロック。
【0026】
(4)セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを積層して形成した積層体よりなる無機繊維ブロックにおいて、
(a)該積層体は、セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを交互に積層したものを圧縮して形成されており、
(b)該セラミックファイバーブランケットは、非晶質のセラミックファイバーを加熱することによってその一部を結晶化させたセラミックファイバーよりなり、
(c)積層体を20%以上圧縮して形成されたブロックを構成するアルミナファイバーブランケットの圧縮率が、該積層体を構成するセラミックファイバーブランケットの圧縮率の1.2倍以上であり、
(d)積層体を20%以上圧縮して形成されたブロックの状態のときのセラミックファイバーブランケットの嵩密度が、該ブロックの状態のときのアルミナファイバーブランケットの嵩密度の1.1倍以上であることを特徴とする無機繊維ブロック。
【0027】
(5)セラミックファイバーブランケットのNa濃度が600ppm以下であることを特徴とする前述の無機繊維ブロック。
【0028】
(6)セラミックファイバーブランケットのAl成分濃度が50重量%以上であり、Na濃度が600ppm以下であることを特徴とする前述の無機繊維ブロック。
【0029】
(7)無機繊維ブロックを構成するブランケット積層体の積層方向の両端面がアルミナファイバーブランケットであることを特徴とする前述の無機繊維ブロック。
【0030】
(8)前述の無機繊維ブロックを1種類以上用いて形成したことを特徴とする断熱構造体。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、安価でしかも耐熱性に優れている無機繊維ブロックを提供することが可能となる。
【0032】
さらに、本発明によれば、加熱収縮によるセラミックファイバー部分の選択的な凹みの問題が解消された無機繊維ブロックが提供可能となる。セラミックファイバー部分が選択的にスケール等に侵食されることのない無機繊維ブロックが提供可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本出願の第1の発明の実施形態は、特許文献1に開示される無機繊維ブロックと同様に、図1に示すようにセラミックファイバーブランケット3および多結晶質アルミナファイバーブランケット2を交互に積層したものを圧縮して得られる積層体によりブロックを形成する。しかしながら、特許文献1に開示される無機繊維ブロックと異なる重要な点は、本願第1発明の実施の形態の次のとおりの特徴である。
【0034】
(1)積層体を構成するセラミックファイバーブランケット3が、非晶質のセラミックファイバーを加熱することによってその一部を結晶化させたセラミックファイバーより作製されている。
【0035】
本出願の第2発明の実施形態は、上記(1)に加え、次の特徴を有する。
【0036】
(2)ブロックを作製するために、ブランケットを積層して積層体とし、その積層体を20%以上圧縮してブロックを作製するとき、ブロックを構成するアルミナファイバーブランケット2の圧縮率が、ブロックを構成するセラミックファイバーブランケット3の圧縮率の1.2倍以上になるようにブロックを作製する。
【0037】
本出願の第3発明の実施形態は、上記(1)に加え、次の特徴を有する。
【0038】
(3)ブロックを作製するために、ブランケットを積層して積層体とし、その積層体を20%以上圧縮してブロックを作製するとき、ブロックの状態でのセラミックファイバーブランケット3の嵩密度が、ブロックの状態でのアルミナファイバーブランケット2の嵩密度の1.1倍以上になるようにブロックを作製する。
【0039】
本出願の第4発明の実施形態は、上記(1)〜(3)すべての条件を満たすようにブロックを作製する特徴を有する。
【0040】
本出願の第5発明の実施形態は、本出願の第1〜第4発明の実施形態の特徴に加え、次の特徴を有する。
【0041】
(6)セラミックファイバーブランケット3の素材として、Na濃度が600ppm以下のセラミックファイバーを選択する。
【0042】
本出願の第6発明の実施形態は、本出願の第1〜第5発明の実施形態の特徴に加え、次の特徴を有する。
【0043】
(7)セラミックファイバーブランケット3の素材として、Al濃度が50重量%以上のセラミックファイバーを選択する。
【0044】
本出願の第7発明の実施形態は、本出願の第1〜第6発明の実施形態の特徴に加え、次の特徴を有する。
【0045】
(8)無機繊維ブロックを構成するブランケット積層体の積層方向の両端面がアルミナファイバーブランケットであるようにブロックを作製する。
【0046】
本出願の第8発明の実施形態は、上記の本願の第1〜第7発明の無機繊維ブロックを1種類以上用いて形成した断熱構造体を特徴とするものである。
【0047】
セラミックファイバーは、アルミナ、シリカ等の固体原料を配合し、これを高温で溶融した後、その溶融物を繊維化することによって得られる。溶融物は繊維化の際に急冷されるため、この方法によって得られるセラミックファイバーは、もともとは非晶質である。このように、もともとは非晶質であるセラミックファイバーを、加熱処理(好適には1000〜1200℃で、例えば、15分間加熱処理)して、その一部を結晶化させて、ムライト化させる。そのように結晶化させたセラミックファイバーのブランケットを、本発明の無機繊維ブロックに使用する。また、酸化クロム成分を2重量%含有したセラミックファイバーを加熱処理して、その一部を結晶化させて、スピネル化させたセラミックファイバーブランケットを本発明の無機繊維ブロックに使用しても良い。
【0048】
使用するセラミックファイバーブランケットの素材となるセラミックファイバーに、予め、熱履歴を持たせておくと、そのセラミックファイバーのブランケットの耐熱性が増大する。そのため、最終的に得られるブロック中のセラミックファイバーブランケット部分の、加熱収縮による凹みを抑制するのに効果がある。また、得られるブロックの耐食性を増大させるのに効果がある。
【0049】
さらに、本発明に使用するセラミックファイバーのNa濃度は600ppm以下とする。Naは、セラミックファイバー中に含まれる不純物元素のひとつであるが、このナトリウムの濃度は、特に、高温でのセラミックファイバーの耐熱性の維持に大きな影響を及ぼす。セラミックファイバーのNa濃度が600ppm以下であれば、より高温でのセラミックファイバーの耐熱性の維持に効果がある。
【0050】
さらに、本発明では、ブロックを作製するためにブランケットを積層して積層体とし、その積層体を圧縮してブロックを作製したとき、ブロックを構成するアルミナファイバーブランケットの圧縮率が、ブロックを構成するセラミックファイバーブランケットの圧縮率の1.2倍以上となるように、ブロックを作製する。
【0051】
本願明細書中で述べている圧縮率は以下のような方法で決定される。すなわち、圧縮前の積層時の厚さ(Amm)と圧縮後の厚さ(Bmm)から圧縮率は次式で求められる。
【0052】
圧縮率(%)=((A−B)/A)×100
本発明の無機繊維ブロックは、アルミナファイバーブランケットとセラミックファイバーブランケットを交互に積層して積層体を形成し、これを圧縮してブロックを作製しているので、ブロックの状態で、そのブロックを構成する個々のブランケットに着目したとき、アルミナファイバーブランケットが、セラミックファイバーブランケットの1.2倍以上の圧縮率で圧縮されていると、ブロック中でセラミックファイバーブランケットがアルミナファイバーブランケットに強固に挟持されるため、高温に曝された際に、ブロック中のセラミックファイバーブランケットの部分の加熱収縮による縮みに起因する凹みを抑制するのに効果的である。
【0053】
さらに、本発明の最良の実施形態では、ブロックを作製するためにブランケットを積層して積層体とし、その積層体を圧縮してブロックを作製したとき、ブロック状態でのセラミックファイバーブランケットの嵩密度が、ブロック状態でのアルミナファイバーブランケットの嵩密度の1.1倍以上となるように、ブロックを作製する。
【0054】
本発明の最良の実施形態の無機繊維ブロックは、アルミナファイバーブランケットとセラミックファイバーブランケットを交互に積層して積層体を形成し、これを圧縮してブロックを作製しているので、ブロックの状態で、そのブロックを構成する個々のブランケットに着目したとき、セラミックファイバーブランケットの嵩密度が、アルミナファイバーブランケットの1.1倍以上の嵩密度となるように圧縮されていると、ブロック中のセラミックファイバーブランケットの部分の加熱収縮による縮みに起因する凹みを抑制するのに効果的である。さらに、得られるブロックの耐食性を増大させるのに効果的である。
【0055】
このように、本発明の最良の実施形態では、セラミックファイバーブランケットおよびアルミナファイバーブランケットを交互に積層した積層体を圧縮して得られる無機繊維ブロックにおいて、ブロックの状態としたときのブランケットの圧縮率と、ブロックの状態におけるブランケットの嵩密度を最適化することが、得られるブロックに優れた特性を発現させるための重要な特徴のひとつとなっている。
【0056】
アルミナファイバーブランケットは、セラミックファイバーブランケットに比べて、耐熱性に加え、復元力にも優れている。復元力を評価する指標のひとつとして、復元率が挙げられる。復元率は以下のように定義される。
【0057】
復元率(%)=((b−a)/a)×100
ここで、aは、ブランケットを30%圧縮したときの厚さ、bは、ブランケットを30%圧縮した状態で、所定の温度で24時間加熱した後、圧縮を解放したときのブランケットの厚さである。
【0058】
ブロックの素材となるブランケットの復元率を測定した結果、Al成分48重量%のセラミックファイバーブランケットの1000℃における復元率は0%であった。これに対して、Al成分72重量%のアルミナファイバーブランケットの1000℃における復元率は140%であった。
【0059】
それぞれのブランケットの復元率の値が示すように、アルミナファイバーブランケットの復元力は、セラミックファイバーブランケットの復元力よりもはるかに大きい。したがって、アルミナファイバーブランケットとセラミックファイバーブランケットを交互に積層し、ブロックの素材となっているブランケットが最適な圧縮率、嵩密度となるようにブロックを作製することにより、ブロック中のアルミナファイバーブランケットが、ブロック中のセラミックファイバーブランケットを強固に保持固定するようになり、結果として、ブロック中のセラミックファイバーブランケットの加熱による凹みが抑制されると考えることができる。
【0060】
このような観点から、本発明の最良の実施形態の無機繊維ブロックにおいては、上記の特徴の他に、無機繊維ブロックを構成するブランケット積層体の積層方向の両端面をアルミナファイバーブランケットとすることがより好適である。
【0061】
ブロックの状態のときの、セラミックファイバーブランケットおよびアルミナファイバーブランケットそれぞれの圧縮率および嵩密度は、ブロックの素材として使用するそれぞれのブランケットの密度および厚さ、積層体を構成するブランケットのそれぞれの枚数、得られるブロック全体として見た場合の圧縮率に依存する。ブロックを形成したときのアルミナファイバーブランケットの圧縮率が、ブロックを形成したときのセラミックファイバーブランケットの圧縮率の1.2倍以上となるようにするためには、または、ブロックの状態でのセラミックファイバーブランケットの嵩密度が、ブロックの状態でのアルミナファイバーブランケットの嵩密度の1.1倍以上になるようにするためには、例えば、アルミナファイバーブランケットの密度および厚さを、それぞれ、60〜130kg/mおよび10〜30mmとし、積層体を構成するアルミナファイバーブランケットの使用枚数を7〜10枚とし、セラミックファイバーブランケットの密度および厚さを、それぞれ、120〜160kg/mおよび10〜30mmとし、積層体を構成するセラミックファイバーブランケットの使用枚数を6〜9枚とし、さらに、得られるブロック全体として見た場合の圧縮率を20〜50%とするのがより好適である。
【0062】
また、より好ましくは、本発明に使用するセラミックファイバーのAl成分濃度を50重量%以上とし、かつ、該セラミックファイバーのNa濃度を600ppm以下とする。セラミックファイバーにはAl/SiO比が異なる種類のものが幾つか存在し、さらに、CrやZrO成分等を含む種類のものが存在するが、その中から、特に、Al成分が50重量%以上のセラミックファイバーを使用すれば、最終的に得られる無機繊維ブロックの、セラミックファイバー部分の耐熱性がより増大し、その部分の加熱収縮による凹みを抑制するのにより効果がある。
【0063】
さらに、本発明では、無機繊維ブロックを構成するブランケット積層体の積層方向の両端面がアルミナファイバーブランケットであるようにブロックを作製することが、より好ましい。アルミナファイバーブランケットは復元力に優れるため、炉壁に該無機繊維ブロックを施工した際、加熱によってブロックとブロックの間に生じ得る目地開きを抑制するのに有効である。
【0064】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0065】
本発明に係る実施例および比較例を表1に示す。なお、表1に示す実施例および比較例のすべてにおいて、無機繊維ブロックを構成するブランケット積層体の積層方向の両端面が、アルミナファイバーブランケットとなるように無機繊維ブロックを作製した。
【表1】

【0066】
実施例および比較例に係る無機繊維ブロックの評価方法を以下に示す。
【0067】
得られる無機繊維ブロックにより炉壁内張を作製し、炉内を1350℃において1ヶ月月間保持した。その後、炉壁内張を構成するブロック間の目地開きを計測した。さらに、個々のブロック中のセラミックファイバー部分の凹みを計測した。
【0068】
得られるブロックの耐食性は以下の方法によって評価した。まず、ブロックを50×100×150mmに切り出し、その100×150の面に、酸化鉄を主成分とするスケール5gおよびNaCO5gの混合物を50×75mmの大きさに均一に載せ、1350℃で24時間加熱する。加熱後、ブロックを半切し、切断面を観察して、侵食厚さを測定した。
【表2】

【実施例1】
【0069】
実施例1は、密度75kg/m、厚さが30mmのアルミナファイバーブランケット7枚と、表2のAに示される化学組成を有し、1050℃で15分間加熱処理された、密度160kg/m、厚さ30mmのセラミックファイバーブランケット6枚を交互に積層して得られた積層体を、積層方向の厚みが300mmとなるように圧縮して得られる無機繊維ブロックである(すなわち、ブロック全体としての圧縮率は23%である)。このとき、得られたブロック中の個々のアルミナファイバーブランケットの厚みは21mm、得られたブロック中の個々のセラミックファイバーブランケットの厚みは25mmとなった。圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの圧縮率を算出すると、アルミナファイバーブランケットの圧縮率は30%、セラミックファイバーブランケットの圧縮率は17%となり、アルミナファイバーブランケットの圧縮率/セラミックファイバーブランケットの圧縮率比は、1.8となる。また、圧縮前のブランケットの密度と、圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの密度を算出すると、アルミナファイバーブランケットの密度は110kg/m、セラミックファイバーブランケットの密度は190kg/mとなり、セラミックファイバーブランケットの密度/アルミナファイバーブランケットの密度比は1.7となる。得られたブロックは、加熱後も、目地開きおよびブロック中のセラミックファイバーブランケット部分の凹みが少なく、また、優れた耐食性を示した。
【実施例2】
【0070】
実施例2は、密度100kg/m、厚さが30mmのアルミナファイバーブランケット7枚と、表2のAに示される化学組成を有し、1050℃で15分間加熱処理された、密度160kg/m、厚さ30mmのセラミックファイバーブランケット6枚を交互に積層して得られた積層体を、積層方向の厚みが300mmとなるように圧縮して得られる無機繊維ブロックである(すなわち、ブロック全体としての圧縮率は23%である)。このとき、得られたブロック中の個々のアルミナファイバーブランケットの厚みは22mm、得られたブロック中の個々のセラミックファイバーブランケットの厚みは24mmとなった。圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの圧縮率を算出すると、アルミナファイバーブランケットの圧縮率は27%、セラミックファイバーブランケットの圧縮率は20%となり、アルミナファイバーブランケットの圧縮率/セラミックファイバーブランケットの圧縮率比は、1.3となる。また、圧縮前のブランケットの密度と、圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの密度を算出すると、アルミナファイバーブランケットの密度は140kg/m、セラミックファイバーブランケットの密度は200kg/mとなり、セラミックファイバーブランケットの密度/アルミナファイバーブランケットの密度比は1.4となる。得られたブロックは、加熱後も、目地開きおよびブロック中のセラミックファイバーブランケット部分の凹みが少なく、また、優れた耐食性を示した。
【実施例3】
【0071】
実施例3は、密度100kg/m、厚さが25mmのアルミナファイバーブランケット8枚と、表2のAに示される化学組成を有し、1000℃で15分間加熱処理された、密度140kg/m、厚さ25mmのセラミックファイバーブランケット7枚を交互に積層して得られた積層体を、積層方向の厚みが300mmとなるように圧縮して得られる無機繊維ブロックである(すなわち、ブロック全体としての圧縮率は20%である)。このとき、得られたブロック中の個々のアルミナファイバーブランケットの厚みは19mm、得られたブロック中の個々のセラミックファイバーブランケットの厚みは21mmとなった。圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの圧縮率を算出すると、アルミナファイバーブランケットの圧縮率は24%、セラミックファイバーブランケットの圧縮率は16%となり、アルミナファイバーブランケットの圧縮率/セラミックファイバーブランケットの圧縮率比は、1.5となる。また、圧縮前のブランケットの密度と、圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの密度を算出すると、アルミナファイバーブランケットの密度は130kg/m、セラミックファイバーブランケットの密度は170kg/mとなり、セラミックファイバーブランケットの密度/アルミナファイバーブランケットの密度比は1.3となる。得られたブロックは、加熱後も、目地開きおよびブロック中のセラミックファイバーブランケット部分の凹みが少なく、また、優れた耐食性を示した。
【実施例4】
【0072】
実施例4は、密度100kg/m、厚さが20mmのアルミナファイバーブランケット10枚と、表2のBに示される化学組成を有し、1000℃で15分間加熱処理された、密度160kg/m、厚さ20mmのセラミックファイバーブランケット9枚を交互に積層して得られた積層体を、積層方向の厚みが300mmとなるように圧縮して得られる無機繊維ブロックである(すなわち、ブロック全体としての圧縮率は21%である)。このとき、得られたブロック中の個々のアルミナファイバーブランケットの厚みは15mm、得られたブロック中の個々のセラミックファイバーブランケットの厚みは17mmとなった。圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの圧縮率を算出すると、アルミナファイバーブランケットの圧縮率は25%、セラミックファイバーブランケットの圧縮率は15%となり、アルミナファイバーブランケットの圧縮率/セラミックファイバーブランケットの圧縮率比は、1.7となる。また、圧縮前のブランケットの密度と、圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの密度を算出すると、アルミナファイバーブランケットの密度は130kg/m、セラミックファイバーブランケットの密度は190kg/mとなり、セラミックファイバーブランケットの密度/アルミナファイバーブランケットの密度比は1.5となる。得られたブロックは、加熱後も、目地開きおよびブロック中のセラミックファイバーブランケット部分の凹みが少なく、また、優れた耐食性を示した。
【実施例5】
【0073】
実施例5は、密度60kg/m、厚さが40mmのアルミナファイバーブランケット8枚と、表2Bに示される化学組成を有し、1100℃で15分間加熱処理された、密度120kg/m、厚さ30mmのセラミックファイバーブランケット7枚を交互に積層して得られた積層体を、積層方向の厚みが300mmとなるように圧縮して得られる無機繊維ブロックである(すなわち、ブロック全体としての圧縮率は43%である)。このとき、得られたブロック中の個々のアルミナファイバーブランケットの厚みは21mm、得られたブロック中の個々のセラミックファイバーブランケットの厚みは19mmとなった。圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの圧縮率を算出すると、アルミナファイバーブランケットの圧縮率は48%、セラミックファイバーブランケットの圧縮率は37%となり、アルミナファイバーブランケットの圧縮率/セラミックファイバーブランケットの圧縮率比は、1.3となる。また、圧縮前のブランケットの密度と、圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの密度を算出すると、アルミナファイバーブランケットの密度は110kg/m、セラミックファイバーブランケットの密度は190kg/mとなり、セラミックファイバーブランケットの密度/アルミナファイバーブランケットの密度比は1.7となる。得られたブロックは、加熱後も、目地開きおよびブロック中のセラミックファイバーブランケット部分の凹みが少なく、また、優れた耐食性を示した。
【実施例6】
【0074】
実施例6は、密度130kg/m、厚さが25mmのアルミナファイバーブランケット7枚と、表2のAに示される化学組成を有し、1100℃で15分間加熱処理された、密度130kg/m、厚さ25mmのセラミックファイバーブランケット6枚を交互に積層して得られた積層体を、積層方向の厚みが300mmとなるとように圧縮して得られる無機繊維ブロックである(すなわち、ブロック全体としての圧縮率は8%である)。このとき、得られたブロック中の個々のアルミナファイバーブランケットの厚みは23mm、得られたブロック中の個々のセラミックファイバーブランケットの厚みは23mmとなった。圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの圧縮率を算出すると、アルミナファイバーブランケットの圧縮率は8%、セラミックファイバーブランケットの圧縮率は8%となり、アルミナファイバーブランケットの圧縮率/セラミックファイバーブランケットの圧縮率比は、1.0となる。また、圧縮前のブランケットの密度と、圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの密度を算出すると、アルミナファイバーブランケットの密度は140kg/m、セラミックファイバーブランケットの密度は140kg/mとなり、セラミックファイバーブランケットの密度/アルミナファイバーブランケットの密度比は1.0となる。得られたブロックは、加熱後も目地開きおよびブロック中のセラミックファイバーブランケット部分の凹みが少なく、また、優れた耐食性を示した。
【実施例7】
【0075】
実施例7は、密度100kg/m、厚さが25mmのアルミナファイバーブランケット8枚と、表2のCに示される化学組成を有し、1000℃で15分間加熱処理された、密度160kg/m、厚さ25mmのセラミックファイバーブランケット7枚を交互に積層して得られた積層体を、積層方向の厚みが300mmとなるように圧縮して得られる無機繊維ブロックである(すなわち、ブロック全体としての圧縮率は20%である)。このとき、得られたブロック中の個々のアルミナファイバーブランケットの厚みは19mm、得られたブロック中の個々のセラミックファイバーブランケットの厚みは21mmとなった。圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの圧縮率を算出すると、アルミナファイバーブランケットの圧縮率は24%、セラミックファイバーブランケットの圧縮率は16%となり、アルミナファイバーブランケットの圧縮率/セラミックファイバーブランケットの圧縮率比は、1.5となる。また、圧縮前のブランケットの密度と、圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの密度を算出すると、アルミナファイバーブランケットの密度は130kg/m、セラミックファイバーブランケットの密度は190kg/mとなり、セラミックファイバーブランケットの密度/アルミナファイバーブランケットの密度比は1.5となる。得られたブロックは、加熱後も目地開きおよびブロック中のセラミックファイバーブランケット部分の凹みが少なく、また、優れた耐食性を示した。
【実施例8】
【0076】
実施例8は、密度100kg/m、厚さが25mmのアルミナファイバーブランケット8枚と、表2のDに示される化学組成を有し、1000℃で15分加熱処理された、密度130kg/m、厚さ25mmのセラミックファイバーブランケット7枚を交互に積層して得られた積層体を、積層方向の厚みが300mmとなるように圧縮して得られる無機繊維ブロックである(すなわち、ブロック全体としての圧縮率は20%である)。このとき、得られたブロック中の個々のアルミナファイバーブランケットの厚みは19mm、得られたブロック中の個々のセラミックファイバーブランケットの厚みは21mmとなった。圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの圧縮率を算出すると、アルミナファイバーブランケットの圧縮率は24%、セラミックファイバーブランケットの圧縮率は16%となり、アルミナファイバーブランケットの圧縮率/セラミックファイバーブランケットの圧縮率比は、1.5となる。また、圧縮前のブランケットの密度と、圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの密度を算出すると、アルミナファイバーブランケットの密度は130kg/m、セラミックファイバーブランケットの密度は、150kg/mとなり、セラミックファイバーブランケットの密度/アルミナファイバーブランケットの密度比は、1.2となる。得られたブロックは、加熱後も目地開きおよびブロック中のセラミックファイバーブランケット部分の凹みが少なく、また、優れた耐食性を示した。
【実施例9】
【0077】
実施例9は、密度130kg/m、厚さが25mmのアルミナファイバーブランケット7枚と、表2のDに示される化学組成を有し、1000℃で15分間加熱処理された、密度130kg/m、厚さ25mmのセラミックファイバーブランケット6枚を交互に積層して得られた積層体を、積層方向の厚みが300mmとなるように圧縮して得られる無機繊維ブロックである(すなわち、ブロック全体としての圧縮率は8%である)。このとき、得られたブロック中の個々のアルミナファイバーブランケットの厚みは23mm、得られたブロック中の個々のセラミックファイバーブランケットの厚みは23mmとなった。圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの圧縮率を算出すると、アルミナファイバーブランケットの圧縮率は8%、セラミックファイバーブランケットの圧縮率は8%となり、アルミナファイバーブランケットの圧縮率/セラミックファイバーブランケットの圧縮率比は、1.0となる。また、圧縮前のブランケットの密度と、圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの密度を算出すると、アルミナファイバーブランケットの密度は140kg/m、セラミックファイバーブランケットの密度は140kg/mとなり、セラミックファイバーブランケットの密度/アルミナファイバーブランケットの密度比は1.0となる。得られたブロックは、加熱後も目地開きおよびブロック中のセラミックファイバーブランケット部分の凹みが少なく、また、優れた耐食性を示した。
【比較例1】
【0078】
比較例1は、密度100kg/m、厚さが25mmのアルミナファイバーブランケット7枚と、表2のAに示される化学組成を有し、加熱処理していない、密度160kg/m、厚さ25mmのセラミックファイバーブランケット6枚を交互に積層して得られた積層体を、積層方向の厚みが300mmとなるように圧縮して得られる無機繊維ブロックである(すなわち、ブロック全体としての圧縮率は8%である)。このとき、得られたブロック中の個々のアルミナファイバーブランケットの厚みは23mm、得られたブロック中の個々のセラミックファイバーブランケットの厚みは23mmとなった。圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの圧縮率を算出すると、アルミナファイバーブランケットの圧縮率は8%、セラミックファイバーブランケットの圧縮率は8%となり、アルミナファイバーブランケットの圧縮率/セラミックファイバーブランケットの圧縮率比は、1.0となる。また、圧縮前のブランケットの密度と、圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの密度を算出すると、アルミナファイバーブランケットの密度は110kg/m、セラミックファイバーブランケットの密度は170kg/mとなり、セラミックファイバーブランケットの密度/アルミナファイバーブランケットの密度比は1.5となる。得られたブロックは、加熱後、目地開きおよびブロック中のセラミックファイバーブランケット部分の凹みが大きく、また、耐食性に劣っていた。
【比較例2】
【0079】
比較例2は、密度100kg/m、厚さが20mmのアルミナファイバーブランケット10枚と、表2のBに示される化学組成を有し、加熱処理していない、密度160kg/m、厚さ20mmのセラミックファイバーブランケット9枚を交互に積層して得られた積層体を、積層方向の厚みが300mmとなるように圧縮して得られる無機繊維ブロックである(すなわち、ブロック全体としての圧縮率は21%である)。このとき、得られたブロック中の個々のアルミナファイバーブランケットの厚みは15mm、得られたブロック中の個々のセラミックファイバーブランケットの厚みは17mmとなった。圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの圧縮率を算出すると、アルミナファイバーブランケットの圧縮率は25%、セラミックファイバーブランケットの圧縮率は15%となり、アルミナファイバーブランケットの圧縮率/セラミックファイバーブランケットの圧縮率比は、1.7となる。また、圧縮前のブランケットの密度と、圧縮前後のブランケットの厚みの値から、ブロック中のブランケットの密度を算出すると、アルミナファイバーブランケットの密度は130kg/m、セラミックファイバーブランケットの密度は190kg/mとなり、セラミックファイバーブランケットの密度/アルミナファイバーブランケットの密度比は1.5となる。得られたブロックは、加熱後、目地開きおよびブロック中のセラミックファイバーブランケット部分の凹みが大きく、また、耐食性に劣っていた。
【0080】
なお、比較例2は特許文献1に開示される無機繊維ブロックに相当する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の好適な実施例による無機繊維ブロックを示す斜視図。
【図2】従来の無機繊維ブロックを示す斜視図。
【符号の説明】
【0082】
1 本発明の無機繊維ブロック
2 アルミナファイバーブランケット
3 一部が結晶化したセラミックファイバーブランケット
4 従来の無機繊維ブロック
5 通常の非晶質セラミックファイバーブランケット
6 無機繊維ブロック炉内面における、非晶質セラミックファイバーブランケット部分の凹み


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを積層して形成した積層体よりなる無機繊維ブロックにおいて、
(a)該積層体は、セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを交互に積層したものを圧縮して形成されており、
(b)該セラミックファイバーブランケットは、非晶質のセラミックファイバーを加熱することによってその一部を結晶化させたセラミックファイバーよりなることを特徴とする無機繊維ブロック。
【請求項2】
セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを積層して形成した積層体よりなる無機繊維ブロックにおいて、
(a)該積層体は、セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを交互に積層したものを圧縮して形成されており、
(b)該セラミックファイバーブランケットは、非晶質のセラミックファイバーを加熱することによってその一部を結晶化させたセラミックファイバーよりなり、
(c)積層体を20%以上圧縮して形成されたブロックを構成するアルミナファイバーブランケットの圧縮率が、該積層体を構成するセラミックファイバーブランケットの圧縮率の1.2倍以上であることを特徴とする無機繊維ブロック。
【請求項3】
セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを積層して形成した積層体よりなる無機繊維ブロックにおいて、
(a)該積層体は、セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを交互に積層したものを圧縮して形成されており、
(b)該セラミックファイバーブランケットは、非晶質のセラミックファイバーを加熱することによってその一部を結晶化させたセラミックファイバーよりなり、
(d)積層体を20%以上圧縮して形成されたブロックの状態のときのセラミックファイバーブランケットの嵩密度が、該ブロックの状態のときのアルミナファイバーブランケットの嵩密度の1.1倍以上であることを特徴とする無機繊維ブロック。
【請求項4】
セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを積層して形成した積層体よりなる無機繊維ブロックにおいて、
(a)該積層体は、セラミックファイバーブランケットおよび多結晶質アルミナファイバーブランケットを交互に積層したものを圧縮して形成されており、
(b)該セラミックファイバーブランケットは、非晶質のセラミックファイバーを加熱することによってその一部を結晶化させたセラミックファイバーよりなり、
(c)積層体を20%以上圧縮して形成されたブロックを構成するアルミナファイバーブランケットの圧縮率が、該積層体を構成するセラミックファイバーブランケットの圧縮率の1.2倍以上であり、
(d)積層体を20%以上圧縮して形成されたブロックの状態のときのセラミックファイバーブランケットの嵩密度が、該ブロックの状態のときのアルミナファイバーブランケットの嵩密度の1.1倍以上であることを特徴とする無機繊維ブロック。
【請求項5】
セラミックファイバーブランケットのNa濃度が600ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の無機繊維ブロック。
【請求項6】
セラミックファイバーブランケットのAl成分濃度が50重量%以上であり、Na濃度が600ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の無機繊維ブロック。
【請求項7】
無機繊維ブロックを構成するブランケット積層体の積層方向の両端面がアルミナファイバーブランケットであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の無機繊維ブロック。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の無機繊維ブロックを1種類以上用いて形成したことを特徴とする断熱構造体。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−76015(P2006−76015A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259708(P2004−259708)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000221236)サンゴバン・ティーエム株式会社 (7)
【出願人】(000126609)株式会社エーアンドエーマテリアル (99)
【Fターム(参考)】