説明

無段変速機及びアクチュエータ

【課題】迅速な制御が可能であって、高い信頼性を確保できる無段変速機を提供する。
【解決手段】ボールねじ機構のねじ軸111をプーリ軸201と並列に配置し、揺動するフォーク部材300にて、ねじ軸111の軸線方向変位を可動シーブ207の軸線方向変位に変換しているため、ナット部材107の慣性を抑えることが出来、プーリ幅の高速制御を容易に行える。又、フォーク部材300を介在させることで、ベルト211の付勢力で可動シーブ207が傾いても、ねじ軸111の傾きを招来しないので、疲労寿命等の低下を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本本発明は無段変速機、特に車両用のVベルト式無段変速機及びそれに用いると好適なアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1〜3に示されるように、電動モータと、プーリ軸に固定された固定シーブとプーリ軸に軸線方向移動可能に支持された可動シーブとを有するプーリと、電動モータの回転力により可動シーブを軸線方向に変位させてプーリ溝幅を可変するストローク機構と、この電動モータの回転力をストローク機構へ伝達するギヤ機構とを備えた無段変速機が提案されている。
【特許文献1】特開2003−97656号公報
【特許文献2】特開2003−194179号公報
【特許文献3】特開2007−10103号公報
【特許文献4】特許第3948039号明細書
【特許文献5】特開2003−214195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1,2の無段変速機は、プーリ軸の周囲にボールねじ機構を配置し、特許文献3の無段変速機は、プーリ軸の周囲に送りねじ機構を配置しており、電動モータからの出力に応じて、ねじ軸を軸線方向に変位させることで、それに連結した可動シーブを軸線方向に変位させている。ここで、ねじ軸は中空であって、プーリ軸を挿通しているため、ねじ軸の径及びねじ軸を内包するナットの径が大きくなり、電動モータの回転力を受けて回転するナットの慣性が増大して、プーリ幅の高速制御が難しくなる(例えば、高速駆動時に短時間で目標位置に停止させることが困難)という問題がある。かかる問題は、ナットの外周に動力伝達用のギヤを設けた場合、より慣性が増大することから特に顕在化しやすいといえる。
【0004】
更に、ボールねじ機構の場合には、ねじ軸とナットとの間に螺旋状の転走路が形成されており、かかる転走路をボールが転動することで摩擦を低減している。ここで、可動シーブには半周程度しかベルトが係合していないため、ベルトの駆動力が高まると可動シーブが倒れる方向に押されて傾きやすくなる。ところが、可動シーブが傾くと、それに連結されたねじ軸も傾くこととなり、偏荷重がナットとの間に作用することで、螺旋状の転走路の空間が局所的に狭まり、ボールの転動不良や、各部の疲労寿命の低下を招く恐れがある。
【0005】
一方、特許文献4に記載されているスロットル制御装置においては、アルミ製のハウジングに形成された穴に軸を圧入固定しているが、かかる穴は、他の機能を有する穴に貫通している。ここで、他の機能を有する穴が外部と連通している場合、軸と穴との加工誤差によって、例え軸が圧入された場合でも穴の全周に亘り均一に接することが出来ないから、生じた微小な隙間を介して外部ら水やごみが侵入する恐れがある。
【0006】
また、特許文献1,2に記載のスロットル制御装置においては、アルミ製のハウジングの端面における樹脂カバーが当接する部分と、アルミ製のハウジングのギア支持用の軸を嵌合する穴の外周部が同一平面上にない。一方で、アルミ製のハウジングの端面にはシールが当接し、軸を嵌合する穴の外周部はギヤの端面が摺動する為、ダイキャストの鋳肌のままではなく、機械加工を施し表面粗さを滑らかにした方が好ましい。しかしながら、アルミ製のハウジングの端面と穴の外周部が同一平面にないと、二回に分けて端面加工を行わなくてはならず、製造の手間がかかるという問題がある。また、穴の外周部がハウジング端面より低い位置にあると、穴の外周部を加工する際、ハウジング端面に接触しない程度の径の小さなカッターで加工しなければならず、加工効率が悪化するという問題もある。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、迅速な制御が可能であって、高い信頼性を確保できる無段変速機を提供することを目的とする。更に本発明は、外部からの異物の侵入を効果的に抑制でき、加工効率を高めることができるアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明の無段変速機は、プーリ軸に固定され一体的に回転する固定シーブと、前記プーリ軸に沿って軸線方向移動可能に支持された可動シーブと、前記固定シーブと前記可動シーブとの間に配置されたベルトと、前記可動シーブを軸線方向に移動させてプーリ溝幅を可変するアクチュエータとを有する無段変速機において、
前記アクチュエータは、電動モータと、前記電動モータが発生した回転力を伝達する減速機構と、前記減速機構を介して前記電動モータの動力を入力する回転要素と、前記回転要素の回転量に応じて軸線方向に変位する軸線方向変位要素と、一端を前記軸線方向変位要素に連結し、他端を前記可動シーブに連結し揺動可能となっている揺動部材とを有することを特徴とする。
【0009】
際2の本発明のアクチュエータは、
ハウジング本体と、カバー部材とを含むハウジングと、
前記ハウジング本体に取り付けられ、回転軸を有する電動モータと、
前記回転軸から回転力を伝達されるギヤと、前記ギヤから回転力を伝達される回転要素と、前記回転要素の回転運動に応じて軸線方向運動する軸線方向変位要素とを含む駆動する駆動機構と、
前記軸線方向変位要素の軸線方向移動量を検出するセンサと、を有し、
前記ハウジング本体は、前記ギヤの支持軸を嵌合する第1の孔と、前記軸線方向変位要素を収容する第2の孔とを、それらの軸線が互いに平行になるように形成すると共に、前記センサを取り付けるための第3の孔を、前記第2の孔に対して交差させて形成しており、
前記第1の孔から前記第3の孔まで連通しており、前記第2の孔はシールにより密封され、前記第3の孔は前記センサにより密封されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1の本発明の無段変速機によれば、前記アクチュエータは、電動モータと、前記電動モータが発生した回転力を伝達する減速機構と、前記減速機構を介して前記電動モータの動力を入力する回転要素と、前記回転要素の回転量に応じて軸線方向に変位する軸線方向変位要素と、一端を前記軸線方向変位要素に連結し、他端を前記可動シーブに連結し揺動可能となっている揺動部材とを有するので、前記回転要素の慣性を抑えることが出来、プーリ幅の高速制御を容易に行える。又、前記揺動部材を介在させることで、前記可動シーブが傾いても、前記軸線方向変位要素の傾きを招来しないので、疲労寿命等の低下を抑制できる。
【0011】
前記揺動部材の他端と前記可動シーブとの間には、軸受が配置されていると、前記揺動部材の他端の摩耗を抑制できる。
【0012】
第2の本発明によれば、前記第1の孔から前記第3の孔まで連通しており、前記第2の孔はシールにより密封され、前記第3の孔は前記センサにより密封されているので、前記シールにより前記第2の孔が密封され、前記センサにより前記第3の孔が密封されて閉鎖空間となることから、前記第1の孔と前記支持軸との加工精度に関わらず、前記第1の孔を通って外部から異物が侵入することが抑制される。
【0013】
前記第1の孔は、前記ギヤの支持軸を嵌合する部分のみ機械加工すると、加工コストを低減させることができる。
【0014】
前記ハウジング本体は金属製であり、前記カバー部材は樹脂製であって、前記ハウジング本体の前記カバー部材に対する当接部と、前記第1の孔の外周部は、同一平面上にあると、比較的大型である同一の工具を用いて一度の加工で、前記当接部と前記外周部の加工を行うことが出来、加工効率を向上できる。
【0015】
前記軸線方向変位要素は、環状のセンサカラーを嵌合しており、前記ハウジング本体に対して円筒状のブッシュを介して支持されており、前記センサカラーが嵌合する部位の外径と、前記ブッシュの嵌合する部位の外径は、前記軸線方向変位要素の雄ねじ溝の溝底径より小さいと好ましい。このようにすることで、前記センサカラーを確実に嵌合でき、かつブッシュの嵌合する部位は滑らかな摺動が可能となる。
【0016】
前記センサカラーは前記軸線方向変位要素に圧入嵌合されており、前記センサは、アーム部の回転により変位量を測定する回転式ポテンショメータであって、内部のコイルバネによって前記アーム部を、前記軸線方向変位要素に圧入嵌合されたセンサカラーが抜けない方向に付勢していると好ましい。このように、前記センサのアーム部にかかるコイルバネのばね力を、軸線方向変位要素に嵌合した前記センサカラーが抜けない方向(嵌合する際の挿入方向)に押圧することにより、前記センサカラーが軸線方向変位要素からずれて前記センサの計測精度を低下させることを抑制できる。
【0017】
前記アーム部は、前記センサの前記第3の孔に嵌合するインロー部外径より外方に突出していると好ましい。
【0018】
前記アクチュエータは、前記無断変速機を覆っているハウジングに対して外部に設けられており、前記揺動部材は、前記ハウジングに設けられた開口部を介して延在していると好ましい。
【0019】
前記無断変速機は、それぞれ固定シーブ及び可動シーブを有する駆動プーリ部と従動プーリ部とを含み、前記アクチュエータは、前記駆動プーリ部の軸線直交方向に見たときに、前記駆動プーリ部と前記従動プーリ部との間に配置されていると好ましい。
【0020】
前記回転要素はナット又はねじ軸であり、前記軸線方向変位要素はねじ軸又はナットであり、前記ナット及び前記ねじ軸によりボールねじ機構を構成すると好ましい。
【0021】
前記アクチュエータは、前記回転要素の回転角度を検出する回転式ポテンシオメータを有すると好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態である無段変速機の断面図である。図2は、図1の構成をカバー部材を外した状態で矢印II方向に見た図であり、ギヤ歯を省略して示している。図3は、図1の構成をカバー部材を外した状態で矢印III方向に見た図である。図4は、図1の構成を矢印IV方向に見た図であるが、ハウジングは省略している。図5は、フォーク部材の正面図(a)、側面図(b)及び斜視図(c)である。
【0023】
図1に示すアクチュエータ100において、不図示のエンジンケースに固定されるハウジング101は、中空のハウジング本体101Aと、その端面に対して不図示のボルトにより組み付けられたカバー部材101Bとからなる。図2に示すように、ハウジング本体101Aの内部には、モータ室101aとねじ軸室101bとが形成されている。モータ室101a内には、外部の制御装置(不図示)によって制御されるモータ(ブレーキを有するサーボモータであると好ましい)102が固定されている。尚、アクチュエータ100は、本実施の形態ではエンジンケースに固定され、図1に示すように、後述する駆動側プーリ部200の上部に配置されているが、これに対する変形例として、駆動側プーリ部200と従動側プーリ部の間で、ベルト211の内側に配置されても良い。
【0024】
電動のモータ102の回転軸102aの端部には、金属製の駆動ギヤ103が圧入により取り付けられている。駆動ギヤ103に隣接して、図3に示すように、歯数の大きな大ギヤ105aと、歯数の小さな小ギヤ105bとが樹脂より一体的に形成されてなり、ハウジング本体101Aに植設された中間軸104により回転自在に支持されている。大ギヤ105aは、駆動ギヤ103に噛合しており、小ギヤ105bは樹脂製の従動ギヤ106に噛合している。駆動ギヤ103と、大ギヤ105aと、小ギヤ105bと、従動ギヤ106とで減速機構を構成する。
【0025】
図1において、従動ギヤ106の内周にはスプライン雌溝が形成され、中空円筒状のナット部材107の外周に形成されたスプライン雄溝に係合して一体的に回転するように結合されている。但し、従動ギヤ106とナット部材107とは二面幅(平行な二面で周面をカットした構成)により相対回転を制限されていても良い。ナット部材107の外周には、玉軸受108の内輪が嵌合しており、かかる内輪は、ナット部材107の周溝に係合した止め輪119により軸線方向の相対変位が制限されている。一方、玉軸受108の外輪は、ハウジング本体101Aの端部の段部101dに嵌合しており、ビスBによりハウジング本体101Aに固定される軸受ホルダ109により抑えられている。ナット部材107の先端(図1で右端)外周は、ハウジング本体101Aの内周に対してブッシュ110により回転方向に摺動自在に支持されている。
【0026】
ねじ軸111は、ナット部材107に挿通され、雄ねじ溝111cを有するねじ部111aと、それに連結された丸軸部111bとから一体的に形成されてなる。ナット部材107の内周面には、雄ねじ溝111cに対向して、雌ねじ溝107aが形成され、両ねじ溝111c、107aによって形成される螺旋状の空間(転走路)には、多数のボール112が転動自在に配置されている。ナット部材107は、玉軸受108を介して、ハウジング本体101Aに対して軸線方向変位が制限され、回転のみ可能となっている。一方、ねじ軸111は、回り止め(不図示)により、ねじ軸室101b内において、軸線方向に相対移動可能だが、相対回転不能となっている。尚、軸線方向変位要素であるねじ軸111と、回転要素であるナット部材107と、転動体であるボール112とでボールねじ機構を構成する。
【0027】
ねじ部111aの近傍における丸軸部111bの外周には、環状のセンサカラー113が圧入により嵌合し、丸軸部111bの周溝に係合した止め輪114により軸線方向の相対変位が制限されている。又、丸軸部111bの先端は、ハウジング本体101Aの内周に対してブッシュ115により支持されており、またブッシュ115の外方に配置されたシール116により、ハウジング本体101Aに対して密封されている。ハウジング本体101Aから突出したねじ軸111の端部には、ドーナツ板状の押圧部材117(図1では下半分のみ断面で示す)が圧入により嵌合している。
【0028】
ハウジング本体101Aは、側面(図1で上部)に長孔101eを形成している。長孔101eの外部を遮蔽するようにして、センサ118がハウジング本体101Aに取り付けられている。長孔101eを介して、センサ118側より円筒ピン状のセンサアーム118aが延在し、その先端をセンサカラー113に当接させている。センサアーム118aは、センサ118内部の回転式ポテンシオメータ(不図示)等に連結され一体的に回転する回転板118bに対して偏心した位置に植設されている(図4参照)。
【0029】
図4において、ねじ軸111が軸線方向右方に変位すると、センサカラー113によってセンサアーム118aが押され、回転板118bが回転する。この回転量に応じて、ポテンシャルメータが対応する信号を発生するので、外部の制御装置(不図示)は、センサ118が出力するこの信号に基づいて、ねじ軸111の軸線方向変位量を測定することができる。一方、センサ118内部に設けられた不図示のコイルスプリング等により、回転板118bは図4で時計回りに付勢されているため、ねじ軸111が逆方向(図4で軸線方向左方)に変位した場合には、センサアーム118aもそれに追従することとなり、その回転量に応じて、ポテンシャルメータが対応する信号を発生することとなる。
【0030】
次に、無段変速機の駆動側プーリ部200について説明する。図1において、不図示のエンジンの出力軸から動力を入力するプーリ軸201は、エンジンケース(不図示)に対して、玉軸受202により回転自在に支持されている。プーリ軸201の外周には、その先端側から、雄ねじ部201aと、スプライン雄溝201bとが形成されている。
【0031】
固定シーブ203は、図1で右側の面が円錐面203aとなっており、内周にスプライン雌溝203bを有している。スプライン雄溝201bにスプライン雌溝203bを係合させることにより、プーリ軸201に固定シーブ203が取り付けられ、一体的に回転するようになっている。円筒状のスリーブ206が、プーリ軸201の外周に圧入され、その図1で右端はストッパ210に突き当てられている。固定シーブ203は、円筒状のスリーブ206の左端に突き当てられた状態で、ワッシャ204を挟んで、雄ねじ部201aに螺合するナット215により押圧され、プーリ軸201に対して固定されている。
【0032】
スリーブ206の外周には、スプライン雄溝206aが形成されている。可動シーブ207は、中央筒部207aの左端がフランジ状に延在し、その左側の面が、固定シーブ203の円錐面203aと鏡像形状の円錐面207bとなっており、両者は半径方向外側にゆくに従って隔置している。中央筒部207aの内周にスプライン雌溝207cが形成されている。スプライン雄溝206aにスプライン雌溝207cを係合させることにより、スリーブ206に対して可動シーブ207が、軸線方向に移動可能であるが一体的に回転するように取り付けられている。尚、スプライン係合の代わりにキー連結を用いても良い。
【0033】
中央筒部207aの外周には、玉軸受208の内輪が圧入されている。玉軸受208の外輪は、軸受ホルダ209に嵌合している。軸受ホルダ209は、玉軸受208に嵌合した円筒部209aと、円筒部209aの図1で左端から半径方向外側に延在する外フランジ209bと、円筒部209aの図1で右端から半径方向内側に延在する内フランジ209cとを有する。玉軸受208の外輪は、内フランジ209cに突き当てられた状態である。固定シーブ203と可動シーブ207との間には、断面が台形状のベルト211が配設されている。尚、ベルト211の反対側は、無段変速機の従動側プーリ部のシーブ間に配設されている。車輪に動力を伝達する出力軸(不図示)に連結された従動側プーリ部は、駆動側プーリ部200と同様な構成であるため説明を省略する。
【0034】
次に、フォーク部材300について説明する。図5に示すように、揺動部材であるフォーク部材300は、例えばアルミダイキャスト製であって、並置された一対の略「く」字状のアーム部301、301と、アーム部301、301同士を中央で連結する板状の架橋部302とから一体的に形成されている。アーム部301、301の中央近傍には、円形の孔301a、301aが形成されており、架橋部302は、孔301a、301aにつながる断面円弧状の溝302aを有している。各アーム部301の上端の幅W1は、下端の幅W2より大きくなっている。尚、アーム部301、301の孔301a、301aから上端までの距離と、下端までの距離とは任意に設定できる。
【0035】
フォーク部材300は、図1に示すように、不図示のエンジンケースに植設されたシャフトSに対し、孔301a、301aを挿通させることにより、シャフトSの軸線回りに揺動可能となっている。溝302aは、シャフトSの外周面に当接した状態に維持される。このとき、アーム部301,301の上端は、アクチュエータ100の押圧部材117に右面において軸線を挟んで両側に当接し、アーム部301,301の下端は、駆動側プーリ部200における軸受ホルダ209の外フランジ209bの右面において軸線を挟んで両側に当接している。
【0036】
次に、無段変速機の動作について説明する。尚、ここでは説明を簡略化するために前進についてのみ説明し、後進については省略する。制御装置は、車速、エンジン回転数、アクセル開度等に基づいて、最適な変速比を選択する。選択した選択比に基づいて、アクチュエータ100を駆動する。尚、動力を伝達している間中、ベルト211は、固定シーブ203より可動シーブ207が離隔する方向に力を付与しているため、フォーク部材300は常に反時計回りの方向に付勢されている。
【0037】
ここで、制御装置が減速を指示したときは、モータ102に所定の極性の電力が供給され、図2において、回転軸102aが所定の方向に回転する。回転軸102aの回転力は、駆動ギヤ103,大ギヤ105a,小ギヤ105b、従動ギヤ106を介してナット部材107に伝達されるので、ナット部材107の回転に応じてねじ軸111が図1で右方へと変位する。ねじ軸111が右方に変位すると、押圧部材117も同方向に変位するので、それに当接しているアーム部301,301の上端が右方に押され、ベルト211の付勢力に抗して、フォーク部材300は図1で時計回りに揺動する。
【0038】
すると、アーム部301,301の下端が、軸受ホルダ209の外フランジ209bを左方に押圧するので、軸受ホルダ209は玉軸受208を介して可動シーブ207を左方に付勢する。このとき、可動シーブ207は回転しているが、フォーク部材300は回転していない。しかしながら、軸受ホルダ209と可動シーブ207との間には、玉軸受208が存在するので、摩擦等が生じず、早期摩耗や動力伝達ロス等を抑制できる。このように軸受ホルダ209を介して付勢されることで、プーリ軸201と共に回転しているスリーブ206に沿って、可動シーブ207が固定シーブ203に接近するように変位する(プーリ溝幅を小さくする)ので、ベルト211は、回転する円錐面203aと円錐面207bの間で挟持されながら、その半径方向外側へと移動する。一方、ベルト211により連結された、不図示の従動側プーリ部では、固定シーブから可動シーブが離隔するように駆動される。従って、駆動プーリ部200側ではベルト211のプーリ半径が大となり、従動プーリ側ではベルト211のプーリ半径が小となるので、入力軸の回転速度に対して出力軸の回転速度が低下し、減速を実現できる。制御装置は、センサ118からの信号に基づいて、所定位置までねじ軸111が変位したことを検知して、モータへの駆動制御を停止する。それにより、可動シーブ207の位置が固定されるので、ベルト211のプーリ半径が固定され、定速状態になる。
【0039】
これに対し、制御装置が増速を指示したときは、モータ102に上述とは逆の極性の電力が供給され、図2において、回転軸102aが逆方向に回転する。回転軸102aの回転力は、駆動ギヤ103,大ギヤ105a,小ギヤ105b、従動ギヤ106を介してナット部材107に伝達されるので、ナット部材107の回転に応じてねじ軸111が図1で左方へと変位する。ねじ軸111が左方に変位すると、押圧部材117も同方向に変位する。上述したように、フォーク部材300は、回転するベルト211によって反時計回りに付勢されているから、押圧部材117に当接しているアーム部301,301の上端は、それに追従して右方に変位し、よってフォーク部材300は図1で反時計回りに揺動する。すると、アーム部301,301の下端が右方に変位することで、軸受ホルダ209の抵抗が失せるので、可動シーブ207は、揺動した揺動部材300に制限される位置まで、ベルト211の付勢に従い右方に変位する(プーリ溝幅を大きくする)。これによりベルト211は、回転する円錐面203aと円錐面207bの間で挟持されながら、その半径方向内側へと移動する。一方、ベルト211により連結された、不図示の従動側プーリ部では、固定シーブに可動シーブが近接するように駆動される。従って、駆動プーリ部200側ではベルト211のプーリ半径が小となり、従動プーリ側ではベルト211のプーリ半径が大となるので、入力軸の回転速度に対して出力軸の回転速度が増大し、増速を実現できる。
【0040】
本実施の形態によれば、ボールねじ機構のねじ軸111をプーリ軸201と並列に配置し、揺動するフォーク部材300にて、ねじ軸111の軸線方向変位を可動シーブ207の軸線方向変位に変換しているため、ナット部材107の慣性を抑えることが出来、プーリ幅の高速制御を容易に行える。又、フォーク部材300を介在させることで、ベルト211の付勢力で可動シーブ207が傾いても、ねじ軸111の傾きを招来しないので、疲労寿命等の低下を抑制できる。
【0041】
図6は、別な実施の形態である無段変速機の断面図である。図7は、図6の構成を矢印VII方向に見た図である。図8は、図6の構成を矢印VIII方向に見た図である。図9は、図8の構成を矢印IX方向に見た図である。図10(a)は、図9の構成を矢印X方向に見た図であり、図10(b)は、図10(a)の構成をXB-XB線で切断して矢印方向に見た図である。図11は、アクチュエータを図8と同様な方向から見た図である、カバー部材を外して示している。図12は、図11の構成を矢印XII方向に見た図である。図13は、カバー部材を内側から見た図である。
【0042】
アクチュエータ100’のハウジング101は、図10(a)に示すように、ハウジング本体101Aに一体的に形成された4つのステー101jにより支持されて、不図示のエンジンケース等に取り付けられる。組み付け時には、対向する2本のステー101jに形成されたノックピン穴101kに、図10(b)に点線で示すようなエンジンケースの中空ノックピンNKを挿入することでハウジング101を位置決め仮固定し、更に残りのステー101jに形成されたボルト穴101k’に、不図示のボルトを挿入することでハウジング101を取り付けることができる。
【0043】
図6に示すように、ハウジング101は、中空アルミ製のハウジング本体101Aと、その端面に対してボルトBTにより組み付けられたカバー部材101Bとからなる。ハウジング本体101Aの内部には、袋穴状のモータ室101aと、貫通穴状のねじ軸室(第2の孔)101bとが互いに連通することなく並設されている。モータ室内には、後述するようにして、外部の制御装置(不図示)によって制御されるモータ(ブレーキを有するサーボモータであると好ましい)102(図12)が固定されている。尚、アクチュエータ100’は、本実施の形態ではエンジンケースに固定され、図6に示すように、後述する駆動側プーリ部200の上部に配置されているが、これに対する変形例として、駆動側プーリ部200と従動側プーリ部の間で、ベルト211の内側に配置されても良い。
【0044】
図12において、電動のモータ102の回転軸102aの端部には、金属製の駆動ギヤ103が圧入により取り付けられている。駆動ギヤ103に隣接して、更に図11に示すように、歯数の大きな大ギヤ105aと、歯数の小さな小ギヤ105bとが樹脂より一体的に形成されてなり、ハウジング本体101Aに植設された支持軸104により回転自在に支持されている。大ギヤ105aは、駆動ギヤ103に噛合しており、小ギヤ105bは樹脂製の従動ギヤ106に噛合している。駆動ギヤ103と、大ギヤ105a及び小ギヤ105bからなるギヤ105と、従動ギヤ106とで減速機構を構成する。
【0045】
図6において、従動ギヤ106の内周にはスプライン雌溝が形成され、中空円筒状のナット部材107の端部外周に形成されたスプライン雄溝に係合して一体的に回転するように結合されている。但し、従動ギヤ106とナット部材107とは二面幅(平行な二面で周面をカットした構成)により相対回転を制限されていても良い。ナット部材107の外周には、玉軸受108の内輪が嵌合しており、かかる内輪は、ナット部材107の周溝に係合した止め輪114により軸線方向の相対変位が制限されている。一方、玉軸受108の外輪は、ハウジング本体101Aの端部の段部101sに嵌合しており、ビスBによりハウジング本体101Aに固定される軸受ホルダ109により抑えられている。ナット部材107の先端(図6で右端)外周は、ハウジング本体101Aの内周に対してブッシュ110により回転方向に摺動自在に支持されている。
【0046】
ねじ軸111は、ナット部材107に挿通され、雄ねじ溝111cを有するねじ部111aと、それに連結された丸軸部111bとから一体的に形成されてなる。ナット部材107の内周面には、雄ねじ溝111cに対向して、雌ねじ溝107aが形成され、両ねじ溝111c、107aによって形成される螺旋状の空間(転走路)には、多数のボール112が転動自在に配置されている。ナット部材107は、玉軸受108を介して、ハウジング本体101Aに対して軸線方向変位が制限され、回転のみ可能となっている。一方、ねじ軸111は、回り止め(不図示)により、ねじ軸室101b内において、軸線方向に相対移動可能だが、相対回転不能となっている。尚、軸線方向変位要素であるねじ軸111と、回転要素であるナット部材107と、転動体であるボール112とでボールねじ機構を構成する。又、ギヤ105とボールねじ機構とで、駆動機構を構成する。
【0047】
ねじ軸111の詳細は後述するが、雄ねじ部111aの近傍における丸軸部111bの外周には、環状(ドーナツ円盤状)のセンサカラー113が圧入により固定され、雄ねじ部111aの段部(ランド部)に当接している。又、丸軸部111bは、ハウジング本体101Aの端部内周に対してブッシュ115により軸線方向に移動可能に支持されており、またブッシュ115の外方に隣接して配置されたシール116により、ハウジング本体101Aと丸軸部111bとの間が密封されている。ハウジング本体101Aから突出したねじ軸111の端部111dの外周には二面幅が形成されており、内周に対応する二面幅を有するドーナツ板状の押圧部材117(図6では下半分のみ断面で示す)が相対回転不能に嵌合している。
【0048】
ハウジング本体101Aは、センサ118を取り付けている。センサ118の取り付け態様については後述する。
【0049】
図13に一部点線で示すように、カバー部材101Bは、細長い金属製の板材を折り曲げてなる連結部材101x、101xを、樹脂製のカバー部材本体101zにインサート成形することによって形成されている。尚、カバー部材本体101zの端面の周囲は、O−リング用の溝101qが取り巻くように形成されており、その外方に突き出た部位には、金属製のチューブTBが5つインサート成形されており、チューブTB内に挿通されたボルト(不図示)により、ハウジング101Aに取り付けられるようになっている。又、カバー部材本体101zの最外周には、端面から紙面垂直方向に薄板状に突出したカバー部101wが形成されている。カバー部材101Bをハウジング本体101Aに組み付けたときに、カバー部101wがハウジング本体101Aの端面を取り巻くことで接合面のシール効果を高めるようになっている。
【0050】
連結部材101xの外方端部は、カバー部材本体101zに形成された角筒状の連結部101y内に突出するようにインサート成形されている。
【0051】
図13において、カバー部材本体101zにおけるギヤ105の収容部の底部には、ギヤ105を支持する支持軸104の逃げ部(窪み)101dと、ギヤ105(図11)が軸線方向に移動することを阻止する環状のストッパ部(突起)101eとが一体的に形成されている。又、カバー部材101Bにおけるギヤ106(図11)の収容部の底部には、ギヤ106が軸線方向に移動することを阻止する弓状のストッパ部(突起)101fが一体的に形成されている。
【0052】
カバー部材本体101zには、板金製の中間端子250の受け部101g、101gが角筒袋孔状に形成されている。受け部101g、101gの入口は奥側より寸法が小さく、中間端子250を受け部101gに取り付けた時、脱落しにくいようになっている。
【0053】
連結部材101xの内方端部は、カバー部材本体101zの受け部101g内に突出するようにそれぞれインサート成形され、受け部101gに挿入された中間端子250と導通している。
【0054】
図14は、ギヤとセンサを取り外した状態で示す図12と同様な図であるが、モータ及びボールねじ機構を取り付けた状態で示している。図15は、図14の構成を矢印XV方向に見た図である。図16は、図15の構成を矢印XVI-XVI線で切断して矢印方向に見た図である。図17は、図15の構成を矢印XVII-XVII線で切断して矢印方向に見た図である。図18は、モータを外した状態で示す図14と同様な図である。図19は、図18の構成をXIX-XIX線で切断して矢印方向に見た図である。図20は、図18の構成をXX-XX線で切断して矢印方向に見た図である。図21は、モータを外した状態で示す図15と同様な図である。図22は、図21の構成をXXII-XXII線で切断して矢印方向に見た図である。
【0055】
図16において、ハウジング本体101Aの端面に、ねじ軸111に平行して、円筒状の第1の孔101nが形成されおり、ねじ軸室(第2の孔)101bに交差する第3の孔101mに連通している。第1の孔101nには、支持軸104が圧入により嵌合している。入口が面取りされた第1の孔101nは、支持軸104の嵌合範囲のみ機械加工にて精度良く仕上げされている。但し、第1の孔101nに支持軸104を圧入したときに、ねじ軸室101bと第1の孔101nとの間に微小な隙間が生じる恐れもあるが、第1の孔101nの入口側は、カバー部材101B及びO−リングORによって密封されており、例え隙間が生じても、ここから塵埃等を内部に吸い込むことはない。又、ねじ軸室101bの図6で右端とねじ軸111との間は、シール116(図17参照)により密封されており、ねじ軸室101bの図6で左端側は、カバー部材101B及びO−リングORによって密封されているので、ここから塵埃等を内部に吸い込むこともない。
【0056】
又、図16に示すように、ハウジング本体101Aの端面において、第1の孔101nの周囲の円筒状の外周部101rは、ハウジング本体101Aの端面周囲の、カバー部材101Bに当接した際に溝101q内のO−リングのシール面となる部位(当接部)101pと、第1の孔101nの軸線方向における位置が同じ、即ち面一となっている。これにより、比較的大型である同一の工具を用いて一度の加工で、当接部101pと外周部101rの加工を行うことが出来、加工効率を向上できる。
【0057】
図20において、ねじ軸室101bは、カバー部材101B側(図20で右側)より、軸受ホルダ109が組み付けられる第1内径部b1と、玉軸受108が嵌合する第2内径部b2と、ナット部材107が内包される第3内径部b3と、ブッシュ110が嵌合する第4内径部b4と、センサ118のアーム部を内包する第5内径部b5と、ブッシュ115が嵌合する第6内径部b6とを段階的に形成しており、この順序で内径が小さくなっている。尚、第6内径部b6に隣接して、それより大径のシール116の取付部b7を形成している。
【0058】
図23は、センサ118を取り付けた状態で示すハウジング101の斜視図であり、図24は、センサ118を取り外した状態で示すハウジング101の斜視図である。図25は、センサ118の上面図であり、図26は、センサ118の側面図であり、図27は、センサ118の下面図である。図28は、ねじ軸111の側面図である。図29は、ねじ軸111にセンサカラー113を取り付けた状態で示す図である。図30は、図29の構成をXXX-XXX線で切断して矢印方向に見た図である。
【0059】
上述したように、ねじ軸111は、雄ねじ部111aと、丸軸部111bと、丸軸部111b側の端部111dとを、この順序で直接に連結した構成であるが、丸軸部111bの雄ねじ部111a側の部位がセンサカラー113の嵌合部111eであり、丸軸部111bの端部111d側の部位がブッシュ115(図6)の嵌合部(摺動部)111fである。ここで、センサカラー113の嵌合部111eの外径φ1と、ブッシュ115の嵌合部111fの外径φ2は、ねじ軸111の雄ねじ溝111cの溝底径φ3より小さく(φ1,φ2<φ3)なっている。このようにすることで、センサカラー113を嵌合部111eに確実に嵌合でき、かつブッシュ115は嵌合部111fに対して滑らかな相対摺動が可能となる。
【0060】
ねじ軸111を製造する場合、一本の丸棒を転造加工することにより雄ねじ溝111cを複数箇所に形成し、次に必要な寸法に切断し、一本の丸棒から複数本のねじ軸素材を形成する。例えば、本実施の形態のアクチュエータ100’で必要なねじ軸111の長さは100mm程度であり、1m程度の丸軸を転造加工することにより、9本程度の実際に使用するねじ軸素材を得ることができる。次に、ねじ軸素材に対して、センサカラー113の嵌合部111eと、ブッシュ115の嵌合部111fを切削加工し、熱処理を行い、最後に研削加工を行うことで加工精度を高めている。センサカラー113の嵌合部111eと、ブッシュ115の嵌合部111fを、ねじ軸111の雄ねじ溝111cの溝底径より小さい径にすることにより、転造加工時にできた雄ねじ部111aが加工残りとはならず、均一の径に成形可能となる。また、センサカラー113を嵌合部111eに圧入した後、ねじ軸111の雄ねじ部111aの段部(盛り上がったランド部)に突き当てるようにすれば、これに支持されて倒れを少なく出来る。センサカラー113の嵌合部111eの外径φ1を、ブッシュ115の嵌合部111fの外径φ2より大きくすると、センサカラー113を端部111dから挿入する際、ブッシュ115の嵌合部111fを傷つける恐れが少なくなる。図6を参照して、ねじ軸111がハウジング本体101A内に最も引き込まれた際、センサカラー113とナット部材107が接触すると、ねじ軸111とナット部材107により締め込まれロックする恐れがある為、最大に引き込まれてもセンサカラー113とナット部材107が接触しないようになっていると好ましい。本実施の形態では、ねじ軸111はセンサカラー113がナット部材107に当接する前に樹脂カバー101Bに当接する。
【0061】
図25〜27に示すように、センサ118は、不図示のポテンショメータに連結されたセンサ軸118aを有するセンサ本体118bと、センサ軸118aを所定方向(図27の矢印方向)に付勢するコイルバネ118cと、センサ軸118aの先端に取り付けられた「へ」字状のアーム部118dと、センサ本体118bからの信号を外部に伝達するためのコネクタ部118eとからなる。センサ本体118bは、フランジ部118fと、フランジ部118fに隣接してセンサ軸118aと同軸である円筒状のインロー部118gとを有する。センサ118は、例えば回転式ポテンショメータやロータリエンコーダであって、センサ軸118aの回転角度に応じた信号を出力できるものであり、良く知られているため説明を省略する。尚、図18から明らかであるが、アーム部118dは、インロー部118gの外径より半径方向外方にはみ出している。
【0062】
ハウジング本体101Aには、図15、22に示すように、ねじ軸室101bの軸線と直交する方向に延在し、ねじ軸室101bに連通するようにして、第3の孔101mが形成されている。第3の孔101mは、センサ118のインロー部118と同径である。
【0063】
センサ118をハウジング本体101Aの第3の孔101mに取り付ける際には、O−リングORをインロー部118gの外径に嵌めた状態で挿入するが、ハウジング本体101Aに対しインロー部118gを鉛直方向に向けるとO−リングORが落下する場合がある。しかし、センサ118を傾斜させることにより、O−リングORはインロー部118gに引っかかった状態となり、取り付け時に抜け落ちることが抑制される。尚、アーム部118dはセンサ本体118b内部のコイルバネ118cにより一方向に絶えず押されているため、センサ118がフリー状態である取り付け時にのみ、インロー部118gより突出していればよい。即ち、センサ可動時にアーム部118dがセンサ軸118aを中心に回転した場合には、アーム部118dの少なくとも先端は、インロー部118gの外径より内径側に位置する場合もあるということである。
【0064】
より具体的にセンサ118の組み付け手順を説明すると、まずインロー部118gにO−リングORを組み付けたセンサ118を斜めにして、突出したアーム部118dを先に第3の孔101m内に挿入し、アーム部118dがねじ軸室101b内に進入したら、第3の孔101mとインロー部118gの軸線を一致させて、センサ118を完全に押し込むと、O−リングORが、ハウジング本体101Aの第3の孔101mの周囲に形成されたテーパ状の面取り部101hに当接し、フランジ部118fとの間で、つぶれるように弾性変形するので、密封が有効に行われる。かかる状態で、ビスBをフランジ部101fのねじ孔に挿通して、ハウジング本体101Aのねじ孔に螺合させることで、センサ118の組付けを行うことができる。尚、センサ118を組み付けた状態では、図23に示すように、センサ118のコネクタ部118eが、カバー部材101Bのコネクタ用の連結部101yと同じ側を向いているので、不図示のコネクタを同じ側からそれぞれ差し込むことが出来、配線が容易である。
【0065】
センサ118が組み付けられた状態で、アーム部118dは、その先端をねじ軸111に嵌合したセンサカラー113に当接させており、これによりセンサカラー113は、コイルバネ118cの弾性力によって、常時図6で左方(雄ねじ部111aの段部側)に押し付けられている。即ち、アーム部118dは、ねじ軸111に圧入嵌合されたセンサカラー113が抜けない方向に常時付勢している。このように、センサ118のアーム部118dにかかるコイルバネ118cのばね力を用いて、ねじ軸111に嵌合したセンサカラー113を抜けない方向に押圧することにより、センサカラー113がねじ軸111からずれてセンサ118の計測精度を低下させることを抑制できる。尚、センサカラー113を、ねじ軸11に嵌合する短円筒部と、それから半径方向に延在するフランジ部とから構成して、アーム部118dの先端をそれらの交差部に当接させるようにすると保持が確実となる。
【0066】
図6において、ねじ軸111が軸線方向右方に変位すると、センサカラー113によってセンサアーム118aが押され、ねじ軸118aが回転する。この回転量に応じて、センサ本体118b内のポテンショメータが対応する信号を発生するので、コネクタ部118eを介して信号を受けた外部の制御装置(不図示)は、センサ118が出力するこの信号に基づいて、ねじ軸111の軸線方向変位量を測定することができる。一方、センサ118内部に設けられたコイルバネ118cにより、アーム部118dはセンサカラー113を押圧する方向に付勢されているため、ねじ軸111が逆方向(図6で軸線方向左方)に変位した場合には、アーム118dもそれに追従することとなり、よってセンサ軸118aの回転量に応じて、センサ本体118b内のポテンショメータが対応する信号を発生することとなる。
【0067】
図31は、ハウジング本体101Aにモータ102を組み付ける際の状態を示す図14と同様な図である。図32は、図31の構成をXXXII-XXXII線で切断して矢印方向に見た図である。図33は、モータ102の側面図である。図34は、モータ組み付け用の治具Jの正面図であり、図35は、モータ組み付け用の治具Jの側面図である。
【0068】
モータ102は、図32,33に示すように、回転軸102aを挟んで180度位相で、2つの金属製の平板状の端子102b、102bを突出させている。端子102b、102bの先端は円弧状であり、その根元には、樹脂製のボス102c、102cが形成されている。ボス102c、102cは、後述する中間端子250に端子102bを組み付けたとき、製造誤差などにより寸法バラツキが生じても、短絡を防止する機能を有する。更に、モータ102は、回転軸102aの根元に形成された、回転軸102aと同軸の円筒部102dと、モータ102から軸線直交方向に延在するフランジ部102fとを有している。円筒部102dの外径は、駆動ギヤ103の外径よりも大きい。
【0069】
図34,35に示すように、治具Jは、駆動ギヤ103の外径より大きく且つ円筒部102dの外径に等しい内径を有する大穴J1と、支持軸104の外径に等しい内径を有する小穴J2とを有する。大穴J1が設けられた部位よりも、小穴J2が設けられた部位の方が厚さが厚いと好ましい。大穴J1と小穴J2との芯間距離は、駆動ギヤ103とギヤ105の芯間距離と等しくなっている。
【0070】
モータ102をハウジング本体101Aに取り付ける場合、モータ102のフランジ部102fに設けた貫通穴(不図示)にボルトBTを通し、これをハウジング本体101Aに設けられたねじ穴に螺合させて固定する。その際、ギヤの負荷や摩耗を最適に調整する為に、モータ102の回転軸102aに取り付けた駆動ギヤ103と、それに噛合するギヤ105(図11,12)との芯間距離を、所定の寸法になるように位置決めする必要がある。
【0071】
ここで、モータ102の位置決めについて説明する。駆動ギヤ103を回転軸102aに圧入したモータ102を、図12に示すように、ハウジング本体101Aのモータ室101aに挿入する。かかる状態では、モータ室101aとモータ102との間に隙間があるため、モータ102の位置決めが必要となる。そこで、本実施の形態においては、支持軸104をモータ102の位置決めのために用いる。
【0072】
より具体的には、治具Jの小穴J2を支持軸104に嵌合させ、且つ大穴J1を駆動ギヤ103の外径を通過させて円筒部102dに嵌合させる(図31,32)。これにより、駆動ギヤ103とギヤ105を支持する支持軸104の芯間距離が適切な値となる。かかる状態で、モータ102のフランジ部102fを、ボルトBTを用いてハウジング本体101Aに取り付けることにより、モータ102の位置決めが完了する。その後、治具Jは取り外されて、代わりにギヤ105が組み付けられる。
【0073】
本実施の形態によれば、モータ102をハウジング本体101Aに取り付ける前に、支持軸104をハウジング本体101Aに圧入固定し、その後、支持軸104を基準として、モータ102の回転軸102aが所定の芯間距離になるように加工された治具Jを用いて、モータ102をハウジング本体101Aに対して精度良く位置決めすることができる。その為、駆動ギヤ103の歯先径は、回転軸102aを支持する軸受(不図示)が入るフランジ部102fより小さい径となっている。更に、樹脂製である他のギヤ105,106と異なり、駆動ギヤ103は、例えば鉄系の焼結部品であって、モータ102の回転軸102aに圧入嵌合される。従って、駆動ギヤ102をモータ102の回転軸102aに圧入する際にアキシャル力がかかるが、図33に示すように、かかる回転軸102aはモータケースの後端面より突出しており、この突出部分PJで圧入時のアキシャル力を支持することができる。
【0074】
このようにして、モータ102を組み付けたハウジング本体101Aに対して、図13に示すカバー部材101Bを組み付けると、中間端子250の係合部(雌端子)内に、モータ102の端子102b、102bが進入して、導通が実現することとなる。即ち、カバー部材101Bをハウジング本体101Aに組み付けるのみで、モータ102から連結部材101xまでの配線が可能になる。
【0075】
尚、無段変速機の駆動側プーリ部200及びフォーク部材300については、図1,5を参照して説明したものと同様であるため説明を省略する。
【0076】
次に、無段変速機の動作について説明する。尚、ここでは説明を簡略化するために前進についてのみ説明し、後進については省略する。制御装置は、車速、エンジン回転数、アクセル開度等に基づいて、最適な変速比を選択する。選択した選択比に基づいて、アクチュエータ100’を駆動する。尚、動力を伝達している間中、ベルト211は、固定シーブ203より可動シーブ207が離隔する方向に力を付与しているため、フォーク部材300は常に反時計回りの方向に付勢されている。
【0077】
ここで、制御装置が減速を指示したときは、モータ102に所定の極性の電力が供給され、回転軸102aが所定の方向に回転する。回転軸102aの回転力は、駆動ギヤ103,大ギヤ105a,小ギヤ105b、従動ギヤ106を介してナット部材107に伝達されるので、ナット部材107の回転に応じてねじ軸111が図6で右方へと変位する。ねじ軸111が右方に変位すると、押圧部材117も同方向に変位するので、それに当接しているアーム部301,301の上端が右方に押され、ベルト211の付勢力に抗して、フォーク部材300は図6で時計回りに揺動する。
【0078】
すると、アーム部301,301の下端が、軸受ホルダ209の外フランジ209bを左方に押圧するので、軸受ホルダ209は玉軸受208を介して可動シーブ207を左方に付勢する。このとき、可動シーブ207は回転しているが、フォーク部材300は回転していない。しかしながら、軸受ホルダ209と可動シーブ207との間には、玉軸受208が存在するので、摩擦等が生じず、早期摩耗や動力伝達ロス等を抑制できる。このように軸受ホルダ209を介して付勢されることで、プーリ軸201と共に回転しているスリーブ206に沿って、可動シーブ207が固定シーブ203に接近するように変位する(プーリ溝幅を小さくする)ので、ベルト211は、回転する円錐面203aと円錐面207bの間で挟持されながら、その半径方向外側へと移動する。一方、ベルト211により連結された、不図示の従動側プーリ部では、固定シーブから可動シーブが離隔するように駆動される。従って、駆動プーリ部200側ではベルト211のプーリ半径が大となり、従動プーリ側ではベルト211のプーリ半径が小となるので、入力軸の回転速度に対して出力軸の回転速度が低下し、減速を実現できる。制御装置は、センサ118からの信号に基づいて、所定位置までねじ軸111が変位したことを検知して、モータへの駆動制御を停止する。それにより、可動シーブ207の位置が固定されるので、ベルト211のプーリ半径が固定され、定速状態になる。
【0079】
これに対し、制御装置が増速を指示したときは、モータ102に上述とは逆の極性の電力が供給され、回転軸102aが逆方向に回転する。回転軸102aの回転力は、駆動ギヤ103,大ギヤ105a,小ギヤ105b、従動ギヤ106を介してナット部材107に伝達されるので、ナット部材107の回転に応じてねじ軸111が図6で左方へと変位する。ねじ軸111が左方に変位すると、押圧部材117も同方向に変位する。上述したように、フォーク部材300は、回転するベルト211によって反時計回りに付勢されているから、押圧部材117に当接しているアーム部301,301の上端は、それに追従して右方に変位し、よってフォーク部材300は図6で反時計回りに揺動する。すると、アーム部301,301の下端が右方に変位することで、軸受ホルダ209の抵抗が失せるので、可動シーブ207は、揺動した揺動部材300に制限される位置まで、ベルト211の付勢に従い右方に変位する(プーリ溝幅を大きくする)。これによりベルト211は、回転する円錐面203aと円錐面207bの間で挟持されながら、その半径方向内側へと移動する。一方、ベルト211により連結された、不図示の従動側プーリ部では、固定シーブに可動シーブが近接するように駆動される。従って、駆動プーリ部200側ではベルト211のプーリ半径が小となり、従動プーリ側ではベルト211のプーリ半径が大となるので、入力軸の回転速度に対して出力軸の回転速度が増大し、増速を実現できる。
【0080】
本実施の形態によれば、ボールねじ機構のねじ軸111をプーリ軸201と並列に配置し、揺動するフォーク部材300にて、ねじ軸111の軸線方向変位を可動シーブ207の軸線方向変位に変換しているため、ナット部材107の慣性を抑えることが出来、プーリ幅の高速制御を容易に行える。又、フォーク部材300を介在させることで、ベルト211の付勢力で可動シーブ207が傾いても、ねじ軸111の傾きを招来しないので、疲労寿命等の低下を抑制できる。
【0081】
更に本実施の形態によれば、第1の孔101nから第3の孔101mまで連通しており、第1の孔101nはカバー部材101BとO−リングORにより密封され、第2の孔であるねじ軸室101bはシール116とカバー部材101BとO−リングORにより密封され、第3の孔101mはセンサ118により密封されているので、これによりねじ軸室101bが密封され閉鎖空間となることから、第1の孔101nと支持軸104との加工精度に関わらず、第1の孔101mを通って外部から異物が侵入することが抑制される。
【0082】
図36は、上述した実施の形態にかかる無断変速機を実機に搭載した状態を示す図である。図36において、駆動プーリ部200を含む無断変速機は、板材からなるハウジングHSに覆われている。一方、アクチュエータ100は、ハウジングHSの外部に設けられている。ハウジングHSは、開口SL(2つのスリットであると好ましい)を有している。フォーク部材300が開口SLを通過してハウジングHSの内外に延在しており、上述したようにしてアーム部301,301の上端が、アクチュエータ100の押圧部材117に右面に当接し、アーム部301,301の下端が、駆動側プーリ部200における軸受ホルダ209の外フランジ209bの右面に当接している。アクチュエータ100の駆動時にフォーク部材300が揺動しても、ハウジングHSと干渉することはない。
【0083】
ここで、アクチュエータを無断変速機と共にハウジング内部に収容した場合、不図示のエンジンからの受熱によりモータの性能低下を招きやすく、また作動によるモータ自身の熱を十分に放熱することができない恐れがある。更に、アクチュエータ内部に塵埃等が侵入しやすくなり、ボールねじ機構やセンサへの影響を回避すべく、防塵シールを強固にしなくてはならず、コスト高を招く恐れがある。これに対し、本実施の形態のように、アクチュエータ100をハウジングHSの外部に配置すると、熱の問題を緩和することが出来、また防塵シール等は簡素なもので足り、より低コスト化を図ることができる。
【0084】
図37は、別な実施の形態にかかる無断変速機を実機に搭載した状態を示す図である。図37に示す無断変速機は、固定シーブ203及び可動シーブ207を備えた駆動プーリ部200と、固定シーブ253及び可動シーブ257を備えた従動プーリ部250とを有し、互いに軸線を平行にした駆動プーリ部200と従動プーリ部250とはベルト211により連結され、同期して回転するようになっている。上述した実施の形態と同様な構成を有するアクチュエータ100は、駆動プーリ部200の軸線直交方向に見たときに、駆動プーリ部200と従動プーリ部250との間に配置されている。レイアウト以外については、上述した実施の形態と基本的に同様な構成であるため、詳細は説明しない。本実施の形態のように、アクチュエータ100を、駆動プーリ部200と従動プーリ部250との間の空いたスペースに配置すると、無断変速機の軸線方向長さを短縮でき、コンパクトな無断変速機を提供することができる。
【0085】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、ねじ軸を回転要素とし、ナット部材を軸線方向変位要素としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1の実施の形態である無段変速機の断面図である。
【図2】図1の構成をカバー部材を外した状態で矢印II方向に見た図であり、ギヤ歯を省略して示している。
【図3】図1の構成をカバー部材を外した状態で矢印III方向に見た図である。
【図4】図1の構成を矢印IV方向に見た図であるが、ハウジングは省略している。
【図5】フォーク部材の正面図(a)、側面図(b)及び斜視図(c)である。
【図6】第2の実施の形態である無段変速機の断面図である。
【図7】図6の構成を矢印VII方向に見た図である。
【図8】図7の構成を矢印VIII方向に見た図である。
【図9】図8の構成を矢印IX方向に見た図である。
【図10】図10(a)は、図9の構成を矢印X方向に見た図であり、図10(b)は、図10(a)の構成をXB-XB線で切断して矢印方向に見た図である。
【図11】アクチュエータを図8と同様な方向から見た図である、カバー部材を外して示している。
【図12】図11の構成を矢印XII方向に見た図である。
【図13】カバー部材を内側から見た図である。
【図14】ギヤとセンサを取り外した状態で示す図12と同様な図であるが、モータ及びボールねじ機構を取り付けた状態で示している。
【図15】図4の構成を矢印XV方向に見た図である。
【図16】図15の構成を矢印XVI-XVI線で切断して矢印方向に見た図である。
【図17】図15の構成を矢印XVII-XVII線で切断して矢印方向に見た図である。
【図18】モータを外した状態で示す図14と同様な図である。
【図19】図18の構成をXIX-XIX線で切断して矢印方向に見た図である。
【図20】図18の構成をXX-XX線で切断して矢印方向に見た図である。
【図21】モータを外した状態で示す図20と同様な図である。
【図22】図21の構成をXXII-XXII線で切断して矢印方向に見た図である。
【図23】センサ118を取り付けた状態で示すハウジング101の斜視図である。
【図24】センサ118を取り外した状態で示すハウジング101の斜視図である。
【図25】センサ118の上面図である。
【図26】センサ118の側面図である。
【図27】センサ118の下面図である。
【図28】ねじ軸111の側面図である。
【図29】ねじ軸111にセンサカラー113を取り付けた状態で示す図である。
【図30】図29の構成をXXX-XXX線で切断して矢印方向に見た図である。
【図31】ハウジング本体101Aにモータを組み付ける際の状態を示す図14と同様な図である。
【図32】図31の構成をXXXII-XXXII線で切断して矢印方向に見た図である。
【図33】モータ102の側面図である。
【図34】モータ組み付け用の治具Jの正面図である。
【図35】モータ組み付け用の治具Jの側面図である。
【図36】上述した実施の形態にかかる無断変速機を実機に搭載した状態を示す図である。
【図37】別な実施の形態にかかる無断変速機を実機に搭載した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
100、100’ アクチュエータ
101 ハウジング
101A ハウジング本体
101B カバー部材
101a モータ室
101b ねじ軸室
101d 段部
101e 長孔
101f ストッパ部
101g インロー部
101g 受け部
101h 面取り部
101j ステー
101k ノックピン穴
101k’ ボルト穴
101m 第3の孔
101n 第1の孔
101p 当接部
101q 溝
101r 外周部
101s 段部
101w カバー部
101x 連結部材
101y 連結部
101z カバー部材本体
102 モータ
102a 回転軸
102b 端子
102c ボス
102d 円筒部
102f フランジ部
103 駆動ギヤ
104 中間軸
105a 大ギヤ
105b 小ギヤ
106 従動ギヤ
107 ナット部材
107a 雌ねじ溝
108 玉軸受
109 軸受ホルダ
110 ブッシュ
111 ねじ軸
111a ねじ部
111b 丸軸部
111c 雄ねじ溝
111d 端部
111e 嵌合部
111f 嵌合部
112 ボール
113 センサカラー
114 止め輪
115 ブッシュ
116 シール
117 押圧部材
118 センサ
118a センサアーム
118b 回転板
118c コイルバネ
118d アーム部
118e コネクタ部
118f フランジ部
118g インロー部
119 止め輪
200 駆動プーリ部
201 プーリ軸
201a 雄ねじ部
201b スプライン雄溝
202 玉軸受
203 固定シーブ
203a 円錐面
203b スプライン雌溝
204 ワッシャ
206 スリーブ
206a スプライン雄溝
206 スリーブ
207 可動シーブ
207a 中央筒部
207b 円錐面
207c スプライン雌溝
208 玉軸受
209 軸受ホルダ
209a 円筒部
209b 外フランジ
209c 内フランジ
210 ストッパ
211 ベルト
215 ナット
250 従動プーリ部
253 固定シーブ
257 可動シーブ
300 フォーク部材
301 アーム部
301a 孔
302 架橋部
302a 溝
B ビス
BT ボルト
J 治具
J1 大穴
J2 小穴
OR O−リング
PJ 突出部分
S シャフト
TB チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プーリ軸に固定され一体的に回転する固定シーブと、前記プーリ軸に沿って軸線方向移動可能に支持された可動シーブと、前記固定シーブと前記可動シーブとの間に配置されたベルトと、前記可動シーブを軸線方向に移動させてプーリ溝幅を可変するアクチュエータとを有する無段変速機において、
前記アクチュエータは、電動モータと、前記電動モータが発生した回転力を伝達する減速機構と、前記減速機構を介して前記電動モータの動力を入力する回転要素と、前記回転要素の回転量に応じて軸線方向に変位する軸線方向変位要素と、一端を前記軸線方向変位要素に連結し、他端を前記可動シーブに連結し揺動可能となっている揺動部材とを有することを特徴とする無段変速機。
【請求項2】
前記揺動部材の他端と前記可動シーブとの間には、軸受が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の無段変速機。
【請求項3】
ハウジング本体と、カバー部材とを含むハウジングと、
前記ハウジング本体に取り付けられ、回転軸を有する電動モータと、
前記回転軸から回転力を伝達されるギヤと、前記ギヤから回転力を伝達される回転要素と、前記回転要素の回転運動に応じて軸線方向運動する軸線方向変位要素とを含む駆動する駆動機構と、
前記軸線方向変位要素の軸線方向移動量を検出するセンサと、を有し、
前記ハウジング本体は、前記ギヤの支持軸を嵌合する第1の孔と、前記軸線方向変位要素を収容する第2の孔とを、それらの軸線が互いに平行になるように形成すると共に、前記センサを取り付けるための第3の孔を、前記第2の孔に対して交差させて形成しており、
前記第1の孔から前記第3の孔まで連通しており、前記第2の孔はシールにより密封され、前記第3の孔は前記センサにより密封されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1の孔は、前記ギヤの支持軸を嵌合する部分のみ機械加工することを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記ハウジング本体は金属製であり、前記カバー部材は樹脂製であって、前記ハウジング本体の前記カバー部材に対する当接部と、前記第1の孔の外周部は、同一平面上にあることを特徴とする請求項3又は4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記軸線方向変位要素は、環状のセンサカラーを嵌合しており、前記ハウジング本体に対して円筒状のブッシュを介して支持されており、前記センサカラーが嵌合する部位の外径と、前記ブッシュの嵌合する部位の外径は、前記軸線方向変位要素の雄ねじ溝の溝底径より小さいことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記センサカラーは前記軸線方向変位要素に圧入嵌合されており、前記センサは、アーム部の回転により変位量を測定する回転式ポテンショメータであって、内部のコイルバネによって前記アーム部を、前記軸線方向変位要素に圧入嵌合されたセンサカラーが抜けない方向に付勢していることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記アーム部は、前記センサの前記第3の孔に嵌合するインロー部外径より外方に突出していることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記無断変速機を覆っているハウジングに対して外部に設けられており、前記揺動部材は、前記ハウジングに設けられた開口部を介して延在していることを特徴とする請求項1又は2に記載の無断変速機。
【請求項10】
前記無断変速機は、それぞれ固定シーブ及び可動シーブを有する駆動プーリ部と従動プーリ部とを含み、前記アクチュエータは、前記駆動プーリ部の軸線直交方向に見たときに、前記駆動プーリ部と前記従動プーリ部との間に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の無断変速機。
【請求項11】
前記回転要素はナット又はねじ軸であり、前記軸線方向変位要素はねじ軸又はナットであり、前記ナット及び前記ねじ軸によりボールねじ機構を構成することを特徴とする請求項9又は10に記載の無断変速機。
【請求項12】
前記アクチュエータは、前記回転要素の回転角度を検出する回転式ポテンシオメータを有することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の無断変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2009−79759(P2009−79759A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209690(P2008−209690)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】