説明

無段変速機用ステータアセンブリおよびシフト機構

複数のトラクション遊星アセンブリ(142)を有する無段変速機(CVT)用のステータアセンブリであって、複数の半径方向ガイドスロット(161)を有する第1ステータ(160)と、第1ステータ(160)と同軸の第2ステータ(64)であって、第1ステータ(160)および第2ステータ(164)が互いに対して回転するように構成され、第2ステータ(164)が複数の半径方向に角度をなすガイドスロット(165)を有する、第2ステータ(64)とを備え、第1ステータ(160)および第2ステータ(164)と同軸の反作用プレート(162)と、プレート(162)および第1ステータ(160)に結合された複数の偏心歯車(168)と、偏心歯車(168)の各々に結合されたステータドライバ(166)とをさらに備え、偏心歯車(168)に、反作用プレート(162)に結合するように適合されたカムローブ(170)が設けられ、各偏心歯車(168)に、第2ステータ(164)に結合するように適合された反作用ローブ(172)が設けられ、カムローブ(170)に、反作用ローブ(172)の回転中心からずれた回転中心が設けられることを特徴とする、ステータアセンブリ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、概して変速機に関し、特に、無段変速機(CVT)用の方法、アセンブリおよび構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
入力速度対出力速度の連続可変比を達成する、周知の方法がある。通常、CVTにおいて出力速度対入力速度の速度比を調節する機構は、バリエータとして知られている。ベルト型のCVTでは、バリエータは、ベルトによって結合された2つの調節可能なプーリからなる。シングルキャビティ式トロイダル型CVTにおけるバリエータは、通常、シャフトを中心に回転する2つの部分的トロイダル型トランスミッションディスクと、上記シャフトに対して垂直なそれぞれの軸上で回転し、入力トランスミッションディスクと出力トランスミッションディスクとの間で締め付けられる2つ以上のディスク型パワーローラとを有している。通常、動作時に所望の速度比を達成することができるように、バリエータに対して制御システムが用いられる。
【0003】
本明細書で開示するバリエータの実施形態は、動作中に出力速度対入力速度の所望の比を達成するように調節されるように適合された傾斜可能な回転軸を各々有する、複数の球形の速度調節器(パワー調節器、ボール、遊星、球形歯車またはローラとしても知られる)を利用する球型バリエータに関する。速度調節器は、CVTの長手方向軸に対して垂直な平面において角度的に分散している。速度調節器には、一方の側は入力ディスクが接触し、他方の側は出力ディスクが接触しており、これらの一方または両方が、トルクの伝達のためにローラに締付接触力を加える。入力ディスクは、速度調節器に入力回転速度で入力トルクを加える。速度調節器は、それら自体の軸を中心に回転するに従って、出力ディスクにトルクを伝達する。出力速度対入力速度比は、速度調節器の軸に対する入力ディスクおよび出力ディスクの接触点の半径の関数である。速度調節器の軸をバリエータの軸に対して傾斜させることにより、速度比が調節される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
業界では、性能および動作制御を改善するバリエータおよびその制御システムが依然として必要とされている。本明細書で開示するシステムおよび方法の実施形態は、前記必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載するシステムおよび方法はいくつかの特徴を有し、そのいずれもがその望ましい属性を唯一もたらすものではない。続く特許請求の範囲によって表されている範囲を限定することなく、ここで、そのより顕著な特徴について簡単に説明する。この説明を考慮し、特に「発明を実施するための形態」と題する部分を読むことにより、本システムおよび方法の特徴が従来のシステムおよび方法に優るいくつかの利点をいかに提供するかが理解されよう。
【0006】
本発明の一態様は、長手方向軸を中心にトラクション遊星アセンブリ群が配置されている、無段変速機(CVT)に関する。一実施形態では、CVTは、トラクション遊星アセンブリに結合された第1ステータを有している。第1ステータは、複数の半径方向ガイドスロットを有している。CVTは、トラクション遊星アセンブリに結合された第2ステータを有している。第2ステータは、トラクション遊星アセンブリを案内するように構成された複数の半径方向に角度をなすガイドスロットを有している。CVTは、トラクション遊星アセンブリに結合された反作用プレートと、第1ステータに結合された複数の偏心歯車とを有している。一実施形態では、CVTは、偏心歯車に結合されたステータドライバを有している。第2ステータは、第1ステータに対して回転するように適合されている。代替実施形態では、偏心歯車には、反作用プレートに結合するように適合されたカムローブが設けられている。実施形態によっては、各偏心歯車には、第2ステータに結合するように適合されている反作用ローブが設けられている。ステータドライバの回転は、偏心歯車の回転に対応する。実施形態によっては、CVTは、ステータドライバと同軸のフリーホイールドライバを有することができる。場合によっては、半径方向に角度をなすスロットは、半径方向のスロットに対して或る角度を形成し、その角度は3〜45度の範囲である。角度は20度であってもよい。角度は10度であってもよい。さらに他の実施形態では、CVTは、トラクション遊星アセンブリの各々と接触している第1トラクションリングを有している。CVTは、トラクション遊星アセンブリの各々と接触する第2トラクションリングを有することができる。実施形態によっては、CVTは、トラクション遊星アセンブリの各々と接触しているアイドラアセンブリを有している。アイドラアセンブリを、トラクション遊星アセンブリに各々の半径方向内側に配置することができる。アイドラアセンブリは、第1回転要素および第2回転要素を有している。CVTは、第1トラクションリングおよび第2トラクションリング各々に結合された第1軸方向力発生器アセンブリおよび第2軸方向力発生器アセンブリを有することができる。
【0007】
本発明の一態様は、長手方向軸を中心に複数のトラクション遊星アセンブリが配置されている、無段変速機(CVT)用のステータアセンブリに関する。一実施形態では、ステータアセンブリは、トラクション遊星アセンブリに結合された第1ステータを有している。第1ステータは、複数の半径方向ガイドスロットを有している。ステータアセンブリは、トラクション遊星アセンブリに結合された第2ステータを有している。第2ステータは、トラクション遊星アセンブリを案内するように構成された複数の半径方向に角度をなすガイドスロットを有している。一実施形態では、ステータアセンブリは、トラクション遊星アセンブリに結合された反作用プレートを有している。ステータアセンブリに、第1ステータに結合された複数の偏心歯車を設けることができる。ステータアセンブリは、偏心歯車に結合されたステータドライバを有している。第2ステータは、第1ステータに対して回転するように適合されている。
【0008】
本発明の一態様は、角度的に長手方向軸を中心に複数のトラクション遊星が配置されている、無段変速機(CVT)に関する。一実施形態では、CVTは、トラクション遊星アセンブリの各々に結合された第1ステータを有している。第1ステータは、複数の半径方向に角度をなすスロットを有している。第1ステータは、トラクション遊星アセンブリを案内するように構成されている。CVTはまた、第1ステータに結合されたステータドライバアセンブリも有している。ステータドライバアセンブリは第1ステータに対して同軸である。代替実施形態では、CVTは、トラクション遊星アセンブリの各々に結合された第2ステータを有することができる。第2ステータは、トラクション遊星アセンブリに結合するように適合された複数の半径方向スロットを有することができる。第1ステータを、第2ステータに対して回転するように適合させることができる。ステータドライバアセンブリは、遊星歯車セットを有することができる。ステータドライバアセンブリはプーリを備えている。実施形態によっては、ステータドライバアセンブリは第1ステータを回転させるように構成されている。さらに他の実施形態では、半径方向に角度をなすスロットは、半径方向スロットに対して3〜45度の範囲の角度を形成する。角度は20度であってもよい。角度は10度であってもよい。実施形態によっては、半径方向に角度をなすスロットは湾曲形状を有している。
【0009】
本発明の別の態様は、トラクション遊星アセンブリ群を有する無段変速機(CVT)用のステータドライバアセンブリに関する。ステータドライバアセンブリは、シフトチューブとシフトチューブに結合された歯車セットとを有している。一実施形態では、ステータドライバアセンブリは、歯車セットに結合されたステータを有している。ステータは、トラクション遊星アセンブリに結合するように適合された、複数の半径方向に角度をなすガイドスロットを有している。一実施形態では、シフトチューブの回転は、ステータの回転に対応する。代替実施形態では、ステータドライバアセンブリは、歯車セットに結合されたプーリを有している。プーリの回転は、シフトチューブの回転に対応することができる。歯車セットは、複合遊星歯車セットを有することができる。実施形態によっては、歯車セットは、プラノセントリック(planocentric)歯車セットを有することができる。さらに他の実施形態では、歯車セットは、軌道遊星歯車を有するプラノセントリック(planocentric)歯車セットを組み込むことができる。場合によっては、半径方向に角度をなすスロットは、ステータの半径方向座標に対してある角度を形成し、その角度は3〜45度の範囲である。角度は20度であってもよい。角度は10度であってもよい。
【0010】
本発明の別の態様は、複数のトラクション遊星アセンブリを有する無段変速機(CVT)用のステータアセンブリに関する。一実施形態では、ステータアセンブリは、複数の半径方向スロットを有する第1ステータを有している。ステータアセンブリは、第1ステータと同軸の第2ステータを有している。第1ステータおよび第2ステータは、互いに対して回転するように構成されている。第2ステータは、複数の半径方向に角度をなすガイドスロットを有している。一実施形態では、ステータアセンブリは、第1ステータおよび第2ステータと同軸である反作用部材を有している。ステータアセンブリは、反作用部材および第1ステータに結合された複数の同心歯車を有している。ステータアセンブリはまた、偏心歯車の各々に結合されたステータドライバも有している。
【0011】
本発明の別の態様は、複数のトラクション遊星アセンブリを有する無段変速機(CVT)用のシフト機構に関する。一実施形態では、シフト機構は、CVTの長手方向軸に位置合わせされたシフトチューブを有している。シフト機構に、シフトチューブに動作可能に結合されたシフトアームを設けることができる。シフトアームは第1ガイドスロットを有している。シフト機構は、CVTのメインシャフトに結合された反作用アームを有している。反作用アームは第2ガイドスロットを有している。一実施形態では、シフト機構は、シフトアームおよび反作用アームに結合されたケーブルを有している。ケーブルは、第1ガイドスロットおよび第2ガイドスロットに受け入れられるように構成されたケーブル端部を有している。シフトアームは、反作用アームに対して回転するように適合されている。代替実施形態では、シフト機構は、ケーブルおよび反作用アームに結合されたばねを有している。実施形態によっては、第1ガイドスロットは、第2ガイドスロットから角度をなしている。
【0012】
本発明の別の態様は、スキューベース制御システムを有する無段変速機(CVT)用のシフト機構に関する。シフト機構は、スキューベース制御システムに動作可能に結合されたシフトアームを有している。一実施形態では、シフト機構は、シフトアームに結合された伝達歯車を有している。伝達歯車は、シフトアームと係合するように構成された偏心ガイドボアを有している。シフト機構は、伝達歯車に結合された入力歯車を有している。入力歯車は、伝達歯車を回転させるように構成されている。入力歯車および伝達歯車は、剛性部材に取り付けられている。代替実施形態では、スキューベース制御システムはステータドライバを備えている。ステータドライバは、CVTの第1ステータに結合され、第1ステータは複数の半径方向に角度をなすガイドスロットを有している。
【0013】
本発明の別の態様は、ステータドライバを有する無段変速機(CVT)用のシフト機構に関する。一実施形態では、シフト機構は、ステータドライバに動作可能に結合されたプーリを有している。プーリはスプラインボアを有している。プーリは、ケーブル端部取付インタフェースを有している。シフト機構は、CVTのメインシャフトに動作可能に結合された反作用アームを有している。反作用アームは、ケーブルを受け入れるように構成されている。反作用アームは、プーリに動作可能に結合するように構成されている。代替実施形態では、シフト機構は、反作用アームに結合された割出ワッシャを有している。割出ワッシャは、複数のマーキングを有することができる。実施形態によっては、割出ワッシャはメインシャフトに結合している。シフト機構は、プーリのスプライン内部ボアに結合された遊星歯車セットを有することができる。遊星歯車セットは、ステータドライバに結合されたキャリアを有することができる。さらに他の実施形態では、シフト機構は、反作用アームに結合されたクリップを有することができ、クリップはケージに結合されている。
【0014】
本発明のさらにもう1つの態様は、スキューベース制御システムを有する無段変速機(CVT)用のシフト機構に関する。シフト機構は、CVTのメインシャフトに結合された反作用アームを有している。一実施形態では、シフト機構は、スキューベース制御システムに動作可能に結合されたシフトアームを有している。シフトアームは、反作用アームに対して回転するように構成されている。シフト機構は、シフトアームに結合された第1レバーを有している。シフト機構は、第1レバーに結合されたケーブルを有している。シフト機構はまた、第1レバーに結合されたリンク機構も有している。代替実施形態では、シフト機構は、リンク機構に結合されたばねを有し、ばねは反作用アームに結合されている。
【0015】
別の態様では、本発明は、トラクション遊星アセンブリ群を有する無段変速機(CVT)用のシフト機構に関する。一実施形態では、シフト機構は少なくとも1つのケーブルを有している。シフト機構は、ケーブルに動作可能に結合されたプーリを有している。プーリは、並進し回転するように適合されている。一実施形態では、シフト機構は、プーリに動作可能に結合された反作用部材を有している。反作用部材は、ばねを受け入れるように構成されたポケットを有している。シフト機構は、プーリに結合されたローラを有している。ローラは、ばねと接触するように適合されている。代替実施形態では、プーリはスプライン内部ボアを有している。反作用部材は、プーリのスプライン内部ボアと選択的に係合するように適合されたスプライン周縁部を有している。
【0016】
本発明の一態様は、本発明の一態様は、長手方向軸を中心にトラクション遊星アセンブリ群が配置されている、無段変速機(CVT)に関する。CVTは、トラクション遊星アセンブリに結合された第1ステータを有している。第1ステータは、半径方向に角度をなすガイドスロット群を有している。ガイドスロットは、トラクション遊星アセンブリに結合するように適合されている。一実施形態では、CVTは、トラクション遊星アセンブリに結合された第2ステータを有している。第2ステータは、第1ステータと同軸である。CVTは、第1ステータおよび第2ステータに結合された反作用部材を有している。CVTはまた、第2ステータに動作可能に結合されたガイド部材も有している。ガイド部材は、第2ステータを第1ステータに対して回転させるように構成されている。代替実施形態では、CVTは、ガイド部材に結合されたローラを有し、ローラは第2ステータに結合されている。反作用アームを、長手方向軸からずれている位置を中心に枢動するように構成することができる。
【0017】
本発明の別の態様は、トラクション遊星アセンブリ群を有する無段変速機(CVT)用のシフト機構に関する。一実施形態では、シフト機構は、半径方向に角度をなすガイドスロットを有するステータを有している。シフト機構は、ステータに結合されたばねを有することができる。一実施形態では、シフト機構は、ばねに結合された反作用アームを有している。シフト機構は、ステータに結合されたシフトチューブと、シフトチューブに結合されたプッシュリンクとを有している。一実施形態では、シフト機構は、プッシュリンクに結合された第1リンク機構および第2リンク機構を有している。第1リンク機構はステータに結合されている。第2リンク機構は反作用アームに結合されている。
【0018】
本発明のさらにもう1つの態様は、トラクション遊星アセンブリ群を有する無段変速機(CVT)用のシフト機構に関する。一実施形態では、シフト機構は、半径方向に角度をなすガイドスロットを有するステータを有している。シフト機構は、ステータに結合されたピンを有することができる。一実施形態では、シフト機構は、ステータに結合された従動歯車を有している。従動歯車は、ピンを受け入れるように構成されたスロットを有している。シフト機構はまた、従動歯車に結合されたドライバも有することができる。ドライバは、ステータの回転を容易にするように従動歯車を回転させるように構成されている。別法として、ステータの回転は、CVTの変速比の変化に対応する。
【0019】
本発明の一態様は、無段変速機(CVT)用のシフト機構に関する。一実施形態では、シフト機構は、外周の周囲に形成されたらせん状溝の第1セットが設けられたメインシャフトを有している。シフト機構は、内周に形成されたらせん状溝の第2セットを有するステータを有している。ステータは、複数の半径方向に角度をなすスロットを有している。一実施形態では、シフト機構は、ステータと同軸のシフトチューブを有している。シフト機構は、シフトチューブに結合された複数のローラも有することができる。ローラは、第1らせん状溝および第2らせん状溝を接触させるように構成されている。代替実施形態では、シフトチューブは、メインシャフトに対して軸方向に並進するように適合されている。さらに他の実施形態では、シフトチューブはメインシャフトに対して回転するように適合されている。
【0020】
本発明の一態様は、トラクション遊星アセンブリ群を有する無段変速機(CVT)に関する。一実施形態では、CVTに、複数の半径方向に角度をなすスロットを有する第1ステータが設けられている。CVTは、複数の半径方向のスロットを有する第2ステータを有している。CVTは、第1ステータおよび第2ステータと同軸のシフトチューブを有している。CVTはまた、シフトチューブに結合された複数のローラも有している。代替実施形態では、第1ステータおよび第2ステータは、回転動力を受け取るように適合されている。場合によっては、シフトチューブは、軸方向に並進するように適合されている。他の実施形態では、シフトチューブは、CVTの長手方向軸を中心に回転するように適合されている。実施形態によっては、半径方向に角度をなすスロットは、半径方向スロットに対して或る角度を形成し、その角度は3〜45度の範囲である。角度は20度であってもよく、または10度であってもよい。
【0021】
本発明の別の態様は、複数のトラクション遊星アセンブリを有する無段変速機(CVT)に関する。一実施形態では、CVTは、トラクション遊星アセンブリに結合された第1ステータを有している。CVTは、トラクション遊星アセンブリに結合された第2ステータを有している。第2ステータは第1ステータと同軸である。第2ステータは、第1ステータに対して回転するように構成されている。CVTにはまた、第1ステータに結合されたフライボールガバナが設けられている。代替実施形態では、フライボールガバナの速度の変化は、第1ステータの第2ステータに対する回転に対応する。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、ステータに結合されたトラクション遊星アセンブリ群を有する無段変速機(CVT)用の制御システムを含む。一実施形態では、制御システムは、加圧流体が供給される油圧制御弁を有している。油圧制御弁は、ステータに結合するように適合されている。制御システムは、油圧制御弁と流体連通するオリフィスを有することができる。加圧流体の変化は、ステータの回転位置の変化に対応する。代替実施形態では、制御システムは、油圧制御弁と流体連通する圧力制御弁を有している。場合によっては、油圧制御弁は方向制御弁である。
【0023】
本発明の一態様は、複数のトラクション遊星アセンブリを有する無段変速機(CVT)用のシフト機構に関する。一実施形態では、CVTは、トラクション遊星アセンブリに結合された第1ステータを有している。CVTは、トラクション遊星アセンブリに結合された第2ステータを有している。第2ステータは第1ステータと同軸である。第2ステータは、第1ステータに対して回転するように構成されている。第2ステータは、複数の半径方向に角度をなすガイドスロットを有している。第1ステータおよび第2ステータは、回転動力を受け取るように適合されている。CVTはまた、第1ステータに結合された遊星歯車セットも有している。遊星歯車セットは、第1ステータと第2ステータとの相対的な回転を容易にするように構成されている。代替実施形態では、CVTは、第1ステータに動作可能に結合された偏心歯車群を有している。CVTは、各偏心歯車に結合されたシフトチューブを有することができる。遊星歯車セットはシフトチューブに結合することができる。
【0024】
別の態様では、本発明は、第1ステータおよび第2ステータに結合された複数のトラクション遊星アセンブリを有する無段変速機(CVT)用のシフト機構に関する。シフト機構は、第1ステータに動作可能に結合されたステータドライバを有している。一実施形態では、シフト機構は、スプライン内部ボアを有するプーリを有している。シフト機構は、プーリの内部ボアに結合された複数の遊星歯車を有している。シフト機構はまた、CVTのメインシャフトに動作可能に結合された反作用アームも有している。一実施形態では、シフト機構は、反作用アームに結合された太陽歯車を有している。太陽歯車は、各遊星歯車に結合されている。シフト機構は、遊星歯車に結合されたケージを有することができる。ケージは、ステータドライバに結合されたスプライン内部ボアを有している。プーリは、第1制御ケーブルおよび第2制御ケーブルを受け入れるように適合されている。
【0025】
本発明の別の態様は、複数のトラクション遊星アセンブリを有する無段変速機(CVT)用のステータに関する。一実施形態では、ステータは、中心ボアを有するディスク状本体を有している。ステータは、ディスク状本体の第1面に、複数のガイドスロットが形成されている。ガイドスロットは、角度的に中心ボアを中心に配置されている。各ガイドスロットは、ディスク状本体の中心に対して半径方向に角度をなしている。代替実施形態では、ガイドスロットは湾曲面である。実施形態によっては、中心ボアは、CVTの主軸(main axle)に回転不能に結合するように構成されている。さらに他の実施形態では、各ガイドスロットは、トラクション遊星アセンブリに結合するように適合されている。場合によっては、ガイドスロットの半径方向のずれは、ディスク状本体の半径方向の位置に対する、3〜45度の範囲の角度により近似される。角度は20度であってもよく、10度であってもよい。
【0026】
本発明のもう1つの態様は、長手方向軸に沿って配置された固定リングを有するプラノセントリック歯車セットに関する。一実施形態では、プラノセントリック歯車セットは、固定リングに同軸である出力リングを有している。歯車セットは、第1歯車リングおよび第2歯車リングを有する軌道遊星歯車を有している。第1歯車リングは、第2歯車リングより直径が大きい。軌道遊星歯車は中心ボアを有している。歯車セットはまた、固定リングおよび出力リングに同軸である偏心ドライバも有している。偏心ドライバは、軌道遊星歯車の内部ボアに結合するように適合された偏心ローブ面を有している。代替実施形態では、偏心ドライバの回転は、出力リングの回転に対応する。実施形態によっては、プラノセントリック歯車セットは第2軌道遊星歯車を有している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】スキューベース制御システムを有するボール遊星無段変速機(CVT)の斜視図である。
【図2】図1のCVTの組立分解斜視図である。
【図3】図1のCVTの断面図である。
【図4】図1のCVTのいくつかの構成要素の断面斜視図である。
【図5】図1のCVTのいくつかの構成要素の組立分解断面斜視図である。
【図6】図1のCVTで使用することができる第1ステータの斜視図である。
【図7】図6の第1ステータの別の斜視図である。
【図8】図6の第1ステータの平面図である。
【図8A】図6の第1ステータに設けることができる半径方向に角度をなすスロットの一実施形態の平面図(詳細図A)である。
【図9】図6の第1ステータの断面図である。
【図10】図1のCVTで使用することができる第2ステータの斜視図である。
【図11】図10の第2ステータの別の斜視図である。
【図12】図10の第2ステータの平面図である。
【図13】図10の第2ステータの断面図である。
【図14】図1のCVTで使用することができるタイミングプレートの斜視図である。
【図15】図14のタイミングプレートの断面斜視図である。
【図16】図14のタイミングプレートの詳細図Bである。
【図17】図1のCVTで使用することができるステータドライバアセンブリの斜視図である。
【図18】図17のステータドライバアセンブリの組立分解斜視図である。
【図19】ステータドライバアセンブリの実施形態の斜視図である。
【図20】図19のステータドライバアセンブリの組立分解斜視図である。
【図21】ステータドライバアセンブリの別の実施形態の斜視図である。
【図22】図21のステータドライバアセンブリの組立分解斜視図である。
【図23】スキューベース制御システムを有するCVTの実施形態の断面図である。
【図24】図23のCVTの組立分解断面斜視図である。
【図25】図23のCVTのいくつかの構成要素の斜視図である。
【図26】図23のCVTのいくつかの構成要素の断面斜視図である。
【図27A】図23のCVTのいくつかの構成要素の組立分解断面斜視図である。
【図27B】図23のCVTで使用することができる偏心歯車の平面図である。
【図27C】摺動ブロックおよび図27の偏心歯車の斜視図である。
【図28】図1または図23のCVTで使用することができるシフト機構の斜視図である。
【図29】図28のシフト機構の組立分解斜視図である。
【図30】図1または図23のCVTで使用することができるシフト機構の実施形態の斜視図である。
【図31】図1または図23のCVTで使用することができるシフト機構の別の実施形態の斜視図である。
【図32】図1または図23のCVTで使用することができるシフト機構のさらに別の実施形態の斜視図である。
【図33】図32のシフト機構の組立分解斜視図である。
【図34】図1または図23のCVTで使用することができるシフト機構の実施形態の概略図である。
【図35】図1または図23のCVTで使用することができるシフト機構の別の実施形態の概略図である。
【図36】図1または図23のCVTで使用することができるシフト機構およびハンドルグリップの概略図である。
【図37A】図36のシフト機構の第1部分の平面図である。
【図37B】図36のシフト機構の第2部分の平面図である。
【図38】スキューベース制御システムを有するCVTの実施形態のいくつかの構成要素の部分断面図である。
【図39】図38のCVTで使用することができるシフト機構の平面図である。
【図40】スキューベース制御システムを有するCVTで使用することができるシフト機構の実施形態の概略図である。
【図41】スキューベース制御システムを有するCVTで使用することができるシフト機構の別の実施形態の概略図である。
【図42】スキューベース制御システムを有するCVTで使用することができるシフト機構の実施形態の概略図である。
【図43】図42のシフト機構の断面A−A図である。
【図44】スキューベース制御システムを有するCVTで使用することができるシフト機構の別の実施形態の概略図である。
【図45】スキューベース制御システムおよびフライボールガバナを有するCVTの概略図である。
【図46A】スキューベース制御システムならびにスピードガバナおよびトルクガバナを有するCVTの概略図である。
【図46B】スキューベース制御システムならびにスピードガバナおよびトルクガバナを有するCVTの概略図である。
【図47】スキューベース制御システムを有するCVTで使用することができる油圧制御システムの概略図である。
【図48】スキューベース制御システムを有するCVTを採用する自転車のいくつかの構成要素の概略図である。
【図49】スキューベース制御システムを採用するCVTの実施形態の部分断面斜視図である。
【図50】図49のCVTの断面図である。
【図51】スキューベース制御システムを採用するCVTの別の実施形態の部分断面斜視図である。
【図52】図51のCVTの断面図である。
【図53】スキューベース制御システムおよび遊星歯車セットを有するCVTの実施形態の概略図である。
【図54】スキューベース制御システムおよびアクチュエータシャフトを有するCVTの実施形態の概略図である。
【図55】スキューベース制御システムおよび内部フリーホイール機構を有するCVTの部分断面図である。
【図56】図55のCVTの断面図B−Bである。
【図57】図55のCVTの詳細図Aである。
【図58】図55のCVTで使用することができるフリーホイールばねの別の実施形態である。
【図59】スキューベース制御システムを有するCVTで使用することができる油圧制御システムの概略図である。
【図60】スキューベース制御システムを有するCVTで使用することができる油圧制御システムの別の概略図である。
【図61】スキューベース制御システムを有するCVTで使用することができる油圧制御システムのさらに別の概略図である。
【図62】たとえば図1、図23または図55のCVTで使用することができるシフト機構のさらに別の実施形態の斜視図である。
【図63】図62のシフト機構の斜視図である。
【図64】図62のシフト機構の組立分解斜視図である。
【図65】図62のシフト機構およびCVTの部分断面図である。
【図66】たとえば図1、図23、図55または図62のCVTで使用することができるトラクション遊星キャリアアセンブリの部分断面斜視図である。
【図67】たとえば図1、図23または図55のCVTで使用することができるシフト機構のさらに別の実施形態の斜視図である。
【図68】図67のシフト機構の別の斜視図である。
【図69】図67のシフト機構の組立分解斜視図である。
【図70】図67のシフト機構の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここで、好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図面では、同様の数字は全体を通して同様の要素を指す。以下の説明で用いる用語は、単に、本発明のいくつかの所定の実施形態の詳細な説明に関連して用いられているため、決して限定的にまたは制限的に解釈されるべきではない。さらに、本発明の実施形態は、いくつかの進歩性のある特徴を有することができるが、そのうちのいかなるものも、その所望の属性を唯一もたらすものではなく、記載する本発明を実施するのに必須であるものでもない。本明細書に記載するいくつかのCVT実施形態は、概して、米国特許第6,241,636号明細書、同第6,419,608号明細書、同第6,689,012号明細書、同第7,011,600号明細書、同第7,166,052号明細書、米国特許出願第11/243,484号明細書及び同第11/543,311号明細書、並びにPCT特許出願PCT/IB2006/054911号明細書、同PCT/US2008/068929号明細書、同PCT/US2007/023315号明細書、同PCT/US2008/074496号明細書およびPCT/US2008/079879号明細書に開示されているタイプに関連している。これらの特許および特許出願の各々の開示内容はすべて、参照により本明細書に援用される。
【0029】
本明細書では、「動作的に接続された」、「動作的に結合された」、「動作的に連結された」、「動作可能に接続された」、「動作可能に結合された」、「動作可能に連結された」等の用語は、1つの要素の動作が第2要素の対応する、追従する、または同時の動作または作動をもたらすような要素間の関係(機械的、リンク機構、継手等)を指す。本発明の実施形態を説明するのに前記用語を使用する際には、通常、要素を連結または結合する所定の構造または機構について述べることに留意されたい。しかしながら、特に明記しない限り、前記用語のうちの1つが使用される場合、その用語は、実際のリンク機構または継手が場合によっては当業者に容易に明らかとなるであろう種々の形態をとり得ることを示す。
【0030】
説明のために、本明細書では、「半径方向の」という用語を、変速機またはバリエータの長手軸線に対して垂直な方向または位置を示すために使用する。本明細書では、「軸方向の」という用語は、変速機またはバリエータの主軸または長手方向軸に平行な軸に沿った方向または位置を指す。明確かつ簡潔にするために、同様に符号が付けられた同様の構成要素(たとえば、ワッシャ35Aおよびワッシャ35B)を、単一の符号(たとえばワッシャ35)で総称的に指す場合がある。
【0031】
本明細書中で「トラクション」に言及する場合、それは、動力伝達の支配的なまたは独占的なモードが「フリクション(摩擦)」による応用を排除するものではないことが留意されるべきである。ここでトラクションドライブとフリクションドライブとの範疇的相違を確定しようと試みることなく、概してこれらは動力伝達の異なる様式として理解され得る。トラクションドライブは、通常、1つの要素間に捕らえられた薄い流体層における剪断力によるこれらの要素間の動力の伝達を伴う。これらの応用で使用される流体は、通常、従来の鉱油よりも大きいトラクション係数を示す。トラクション係数(μ)は、接触している構成要素の境界面において利用可能であると考えられる利用可能な最大のトラクション力を表し、利用可能な最大の駆動トルクの測度である。通常、フリクションドライブは、概して2つの要素間の摩擦力によってこれらの要素間で動力を伝達することに関する。本開示の目的で、本明細書に記載するCVTがトラクション応用またはフリクション応用の両方で動作し得ることが理解されるべきである。例えば、CVTが自転車の応用に使用される実施形態では、CVTは、動作中に存在するトルク状態および速度状態に応じて、フリクションドライブとして動作することができる場合もあれば、トラクションドライブとして動作することができる場合もある。
【0032】
本明細書に開示する無段変速機の一態様は、原動機がさまざまな被駆動装置を駆動するドライブシステムに関する。原動機は、たとえば、電気モータおよび/または内燃機関であり得る。本明細書での説明のために、補機類には、原動機が動力を供給することができる任意の機械または装置が含まれる。例示のためであって限定のためではなく、前記機械または装置は、動力取出装置(PTO)、ポンプ、コンプレッサ、発電機、補助電気モータ等であり得る。原動機によって駆動されるように構成された補機類にはまた、オルタネータ、ウォーターポンプ、パワーステアリングポンプ、燃料ポンプ、オイルポンプ、空調コンプレッサ、冷却ファン、スーパーチャージャ、ターボチャージャ、および通常自動車のエンジンによって動力が供給される他の任意の装置が含まれ得る。通常、原動機の速度は、速度または出力要求が変化するに従って変化するが、多くの場合、補機類は、所与の実質的に一定の速度で最適に動作する。本明細書に開示する無段変速機の実施形態を用いて、原動機が動力を供給する補機類に提供される動力の速度を制御することができる。
【0033】
他の状況では、本明細書に開示する無段変速機の本発明の実施形態を用いて、最適なシステム性能を達成するために補機類に提供される速度および/またはトルクを増減させることができる。状況によっては、本明細書に開示する無段変速機の本発明の実施形態を用いて、原動機が低速で動作している時は補機類への速度を上昇させ、原動機が高速で動作している時は補機類への速度を低下させることができる。したがって、補機類の設計および動作を、補機類を1つの実質的に好都合な速度またはより狭い速度範囲で動作させることにより、最適化することができ、それにより、補機類を、最適な速度または速度範囲で十分な性能を提供するために必要であるより大型にする必要がない。
【0034】
本明細書に開示する本発明の実施形態は、略球形の遊星を用い、遊星の各々が、動作中に入力速度対出力速度の所望の比を達成するように調節することができる傾斜可能な回転軸(本明細書では「遊星回転軸」と呼ぶ場合もある)を有する、バリエータおよび/またはCVTの制御に関する。実施形態によっては、前記回転軸の調節は、第2平面における遊星回転軸の角度調節を行うために第1平面における遊星軸の角度をずらし、それによりバリエータの速度比を調節することを含む。第1平面における角度のずれを、本明細書では「スキュー」または「スキュー角」と呼ぶ。一実施形態では、制御システムが、バリエータのいくつかの接触する構成要素間に、第2平面において遊星回転軸を傾斜させる力を発生するように、スキュー角の使用を調節する。遊星回転軸の傾斜により、バリエータの速度比が調節される。バリエータの所望の速度比を達成するスキュー制御システム(本明細書では「スキューベース制御システム」と呼ぶ場合もある)およびスキュー角作動装置の実施形態について説明する。
【0035】
ここで、図1〜図70を参照して、無段変速機(CVT)ならびにその構成要素およびサブアセンブリの実施形態について説明する。図1は、限定されないが、人力車両(たとえば自転車)、小型電動車両(light electrical vehicle)、ハイブリッド人力、電動または内燃機関駆動車両、産業機械、風力タービン等を含む多くの応用で使用することができるCVT10を示す。動力入力と動力シンク(たとえば負荷)との間の機械力伝達の調節を必要とするいかなる技術的応用も、その動力伝達系にCVT10の実施形態を実装することができる。
【0036】
ここで図1〜図3を参照すると、一実施形態では、CVT10は、CVT10の構成要素を構造的に支持するように構成されたハウジング11を有し、概してそれら構成要素を包囲している。CVT10に、たとえば自転車(図示せず)のケーブルアクチュエータと協働するように構成されたシフト機構12を設けることができる。実施形態によっては、CVT10は、入力動力を受け取るように構成されたスプロケット14を有している。一実施形態では、シフト機構12は、シフトチューブ18に結合されたプーリ16を有している。
【0037】
さらに図3を参照すると、CVT10の一実施形態では、入力ドライバ20を、主軸22と同軸に配置することができる。入力ドライバ20を、たとえばスプロケット14または他の好適な継手から入力動力を受け取るように構成することができる。一実施形態では、入力ドライバ20は、第1軸方向力発生器アセンブリ26に結合されるトーションプレート24に結合されている。軸方向力発生器アセンブリ26は、第1トラクションリング28に動作可能に結合されている。第1トラクションリング28は、複数のトラクション遊星30の各々と接触するように構成されている。各トラクション遊星30は、トラクション遊星30の半径方向内側に位置するアイドラ31と接触している。第2トラクションリング32が、トラクション遊星30の各々と接触するように構成されている。一実施形態では、第2トラクションリング32は、第2軸方向力発生器アセンブリ34に結合されている。第2軸方向力発生器アセンブリ34は、第1軸方向力発生器アセンブリ26と実質的に同様であり得る。実施形態によっては、軸方向力発生器アセンブリ26、34は、開示内容がすべて参照により本明細書に援用されるPCT特許出願PCT/US2007/023315号明細書に概して記載されている締付力発生器機構と実質的に同様であり得る。一実施形態では、CVT10に一組のナット33およびワッシャ35A、35Bを設けることにより、主軸22のたとえば自転車フレーム(図示せず)への結合を容易にすることができる。主軸22を、反作用アーム37を介して自転車フレームにさらに結合することができる。
【0038】
CVT10の動作中、入力動力を、たとえばスプロケット14を介して入力ドライバ20に伝達することができる。入力ドライバ20は、トーションプレート24を介して動力を第1軸方向力発生器26に伝達することができる。第1軸方向発生器26は、第1トラクションリング28とトラクション遊星30の各々との間のトラクションまたはフリクション境界面を介して、動力をトラクション遊星30に伝達することができる。トラクション遊星30は、第2トラクションリング32および第2軸方向力発生器34を介して動力をハウジング11に提供することができる。入力速度対出力速度の比のシフト、したがって入力トルク対出力トルクの比のシフトが、トラクション遊星30の回転軸を傾斜させることによって達成される。一実施形態では、トラクション遊星30の回転軸の傾斜は、第1ステータ36を第2ステータ38に対して回転させることによって達成される。
【0039】
ここで図4および図5を参照すると、トラクション遊星30に、内部ボアに受け入れられる遊星軸42が設けられている。実施形態によっては、トラクション遊星30は、遊星軸42を中心に回転可能である。他の実施形態では、遊星軸42は、トラクション遊星30に対して回転しないように固定されており、それにより、遊星軸42およびトラクション遊星30は同時に回転する。一実施形態では、CVT10に、遊星軸42の一端に動作可能に結合されたタイミングプレート40を設けることができる。タイミングプレート40により、トラクション遊星アセンブリ30の全体的な同期が容易になる。CVT10が動作していない時、すなわちトラクション遊星アセンブリ30が回転していない時、タイミングプレート40は、トラクション遊星アセンブリ30をCVT10の動作時と同じ角度位置の近くで概して開始するように保持する。しかしながら、CVT10の大部分の動作状態の間、タイミングプレート40は、トラクション遊星アセンブリ30を案内する際に実質的に受動的である。CVT10に、シフトチューブ18に結合されたステータドライバアセンブリ44を設けることができる。ステータドライバアセンブリ44は第1ステータ36に結合されている。ステータドライバアセンブリ44は、CVT10の長手方向軸を中心とする第1ステータ36の回転を容易にすることができる。
【0040】
ここで図6〜図9に移ると、一実施形態では、第2ステータ38は、中心ボア52を有する実質的ディスク状本体50である。中心ボア52により、第2ステータ38の主軸22への結合が容易になる。ディスク状本体50に、中心ボア52を中心に角度を付けて配置された複数の半径方向に角度をなす湾曲したガイドスロット54を設けることができる。半径方向に角度をなすガイドスロット54の各々は、第2ステータ38の遊星軸42への結合に対応するように寸法が決められている。半径方向に角度をなすガイドスロット54は、図8のページの面で見ると、半径方向作図線から角度がずれている。角度のずれを角度58によって近似することができる。角度58は、半径方向作図線56と作図線60との間に形成されている。図8のページの面で見ると、作図線60は、ガイドスロット54を実質的に二等分にする。実施形態によっては、角度58は3度〜45度である。角度58が小さいと、所与の応用においてシフト率が高速になるが、ステータクロッキング角(ベータ)を非常に小さい範囲で制御しなければならない。角度58が大きいと、所与の応用においてシフト率が低速になるが、ステータクロッキング角(ベータ)がより広い範囲で制御されることになる。実際には、小さい角度58が変速比の変更に対して非常に応答性が高いが、制御しまたは安定化させるのがより困難である可能性があり、大きい角度は変速比の変更に対する応答性が低い可能性があるが、比較的に制御が容易である可能性がある。シフト率が高速であることが望ましい実施形態によっては、角度58はたとえば10度であり得る。変速比のより低速で正確な制御が望ましい他の実施形態では、角度58は約30度であり得る。しかしながら、角度58の前記値は、例示的な一例として与えられるものであり、角度58を、設計者が望むいかなる方法で変更することも可能である。実施形態によっては、角度58は、10〜25度の範囲(間のいかなる角度またはその分数を含む)のいずれの角度であってもよい。たとえば、角度は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25またはその任意の部分であり得る。他の実施形態では、角度58は20度であり得る。一実施形態では、半径方向に角度をなすガイドスロット54を、作図線60が作図線61から距離62だけ直線的にずれているように配置することができる。作図線61は、作図線60に対して平行であり、ディスク状本体50の中心と交差する。図8Aに示すもの等、他の実施形態では、第2ステータ38にガイドスロット53を設けることができる。ガイドスロット53は、ガイドスロット54と実質的に同様であり得る。ガイドスロット53は、図8Aのページの面で見ると、実質的に湾曲した形状を有することができる。ガイドスロット53の曲率を、作図線57によって概して画定することができる。例示の目的で、作図線57を、作図線60に対して接線であるように示すことができる。実施形態によっては、作図線57は半径が一定の曲線である。他の実施形態では、作図線57は、半径が一定でない曲線であってもよい。作図線57の曲率、したがってガイドスロット53の曲率を、CVT10の所望の制御安定性および応答を提供するように構成することができる。
【0041】
ここで図10〜図13を参照すると、一実施形態では、第1ステータ36は、中心ボア72を有する実質的ディスク状本体70である。実施形態によっては、中心ボア72を、ステータドライバアセンブリ44に結合するように構成することができる。ディスク状本体70に、角度的に中心ボア72を中心に配置された複数の湾曲したガイドスロット74を設けることができる。ガイドスロット74は、図12のページの面で見ると、半径方向作図線76に位置合わせされている。実施形態によっては、第1ステータ36に、ガイドスロット54と同様の構造において角度的にずれているガイドスロット74を設けることができる。実施形態によっては、第1トラクションリング28は、CVT10の動作中、トラクションリング32より低いトルクを伝達することができる。用途によっては、第1ステータ36がたとえば第2ステータ38より低いトルクで動作するように、第1ステータ36を第1トラクションリング28に近接して配置することが望ましい場合がある。
【0042】
ここで図14〜図16を参照すると、一実施形態では、タイミングプレート40は、中心ボア82を有する実質的ディスク状本体80である。ディスク状本体80の第1面に、複数のらせん状溝84が形成されている。らせん状溝84は、遊星軸42に動作可能に結合するように構成されている。一実施形態では、らせん状溝84は、ガイドスロット74に対して角度をなしている。実施形態によっては、ガイドスロット74に対するらせん状溝84の角度は、CVT10の長手方向軸から下方に見ると、約40度である。一実施形態では、タイミングプレートにタブ86が設けられている。タブ86により、タイミングプレート40のたとえばステータドライバアセンブリ44への結合が容易になる。実施形態によっては、タイミングプレート40は、ステータドライバアセンブリ44に対して回転が拘束されないように適合されている。
【0043】
ここで図17および図18に移り、かつ再び図5を参照すると、一実施形態では、ステータドライバアセンブリ44は、シフトチューブ18に結合するように配置された太陽歯車90を有する、複合遊星歯車セットを有している。ステータドライバアセンブリ44は、第1リング歯車94および第2リング歯車96に結合された複数の遊星歯車92を有している。第1リング歯車94は主軸(main shaft)22に結合することができ、第2リング歯車96は第1ステータ36に結合することができる。一実施形態では、ステータドライバアセンブリ44はキャリア98(図5)を有している。キャリア98は、タイミングプレート40に結合することができる。キャリア98は、遊星歯車92に結合することができる。太陽歯車90、遊星歯車92ならびに第1リング歯車94および第2リング歯車96の歯の数およびピッチを、第1ステータ36の所望の回転を提供するような大きさとすることができる。一実施形態では、ステータドライバアセンブリ44によって提供される減速は、太陽歯車90の1回転に対してリング歯車96の約0.019回転の範囲である。実施形態によっては、キャリア98の比は、太陽歯車90の1回転に対して約0.68回転である。ステータドライバアセンブリ44では、多くの比の組合せがあり得る。
【0044】
ここで図19および図20を参照すると、一実施形態では、ステータドライバアセンブリ100は、固定リング102、出力リング104および複合軌道遊星歯車106を有する複合プラノセントリック歯車セットを含むことができる。複合軌道遊星歯車106を偏心ドライバ108に結合することができる。偏心ドライバ108に、複合軌道遊星ギア106の内部ボア110と係合するように構成された偏心ローブ面109を設けることができる。一実施形態では、偏心ドライバ108を、たとえばシフトチューブ18によって回転させることができる。実施形態によっては、複合軌道遊星歯車108には、第1歯車112および第2歯車114が設けられている。第1歯車112は固定リング102に結合している。第2歯車114は出力リング104に結合している。一実施形態では、ステータドライバアセンブリ100を、偏心ドライバ108の約1回転に対し軌道遊星歯車106の0.01〜0.05回転という比を提供するように構成することができる。実施形態によっては、比の範囲は、偏心ドライバ108の正の回転により、出力リング歯車104が右回りまたは左回りに回転することができるというものである。比の範囲は、偏心ドライバ108の1回転に対して出力リングギア104の0.01〜0.05回転であり得る。
【0045】
ここで図21および図22を参照すると、一実施形態では、ステータドライバアセンブリ120は、第1軌道遊星歯車124および第2軌道遊星歯車126に結合された固定キャリア122を有するプラノセントリック歯車セット120を有することができる。第1軌道遊星歯車124および第2軌道遊星歯車126は出力リング128に結合する。第1軌道遊星歯車124および第2軌道遊星歯車126を、偏心ドライバ130に結合することができる。一実施形態では、偏心ドライバ130を、たとえばシフトチューブ18に結合することができる。実施形態によっては、偏心ドライバ130に、第1軌道遊星歯車124および第2軌道遊星歯車126それぞれの第1内部ボア132Aおよび第2内部ボア132Bと係合するように構成された偏心ローブ面131A、131Bが設けられている。第1軌道遊星ギア124および第2軌道遊星ギア126それぞれの複数の穴136A、136Bへの固定キャリア122の結合を容易にするために、固定キャリア122に複数のピン134を設けることができる。通常、第1軌道遊星歯車124および第2軌道遊星歯車126に対しわずかな自由度を提供するように、穴136A、136Bは、直径がピン134より大きい。自由度により、第1軌道歯車124および第2軌道歯車126は、第1軌道遊星歯車124および第2軌道遊星歯車126の長手方向軸を中心とする回転を実質的に防止しながら、長手方向軸を中心に周回することができる。第1軌道遊星歯車124および第2軌道遊星歯車126は、出力リング128へのトルク伝達を共有する。偏心ローブ面131を、第1軌道遊星歯車124と第2軌道遊星歯車126との間のバックラッシュを防止するように構成することができる。一実施形態では、ステータドライバアセンブリ120の比の範囲は、偏心ドライバ130の1回転に対して出力リング128が約0.03回転である。
【0046】
ここで図23および図24に移ると、一実施形態では、CVT140は、角度的に主軸144を中心に配置された、複数のトラクション遊星アセンブリ142、たとえば6つのトラクション遊星アセンブリ142を有することができる。主軸144は、概して、CVT140の長手方向軸を画定する。トラクション遊星アセンブリ142は、トラクション太陽アセンブリ146と接触している。トラクション太陽アセンブリ146は、トラクション遊星アセンブリ142の半径方向内側に位置している。トラクション太陽アセンブリ146は主軸144と同軸である。CVT140は、トラクション遊星アセンブリ142と接触している第1トラクションリング148および第2トラクションリング150を有している。一実施形態では、第1トラクションリング148は、第1軸方向力発生器アセンブリ152に結合されている。第1軸方向力発生器アセンブリ152は、入力ドライバリング154に結合されている。入力ドライバリング154は、入力動力を受け取るように構成されている。第2トラクションリング150は、第2軸方向力発生器アセンブリ156に結合されている。一実施形態では、第2軸方向力発生器156は、CVT140のから出力される動力を伝達するように構成されている。
【0047】
さらに図23および図24を参照すると、一実施形態では、CVT140は反作用プレート162に結合された第1ステータ160を有している。CVT140は、第1ステータ160に動作可能に結合されている第2ステータ164を有している。第1ステータ160および第2ステータ164ならびに反作用プレート162は、主軸144と同軸である。一実施形態では、第1ステータ160および反作用プレート162は、主軸144を中心に実質的に回転不能である。第2ステータ164を、第1ステータ160に対して主軸144を中心に回転するように構成することができる。第1ステータ160に、複数のガイドスロット161を設けることができる。ガイドスロット161を、湾曲したガイドスロット74(図12)がステータ36に配置されるのと実質的に同様に、第1ステータ160に配置することができる。第2ステータ164に、複数のガイドスロット165を設けることができる。ガイドスロット165を、ステータ38上の湾曲したガイドスロット54(図8)と実質的に同様に配置することができる。トラクション遊星アセンブリ142の各々は、ガイドスロット161および165に結合する。一実施形態では、トラクション遊星アセンブリ142に、遊星軸支持体143が設けられている。遊星軸支持体143は、図23のページの面で見るとトップハット断面を有している。実施形態によっては、図23に示すように、遊星軸支持体143を一体構成要素として形成することができる。他の実施形態では、遊星軸支持体143を、2つの構成要素、すなわちキャップ143Aおよび143Bに分割することができ、その場合、たとえば、リング143Bは反作用プレート162に結合され、キャップ143Aは、第2ステータ164に結合される。実施形態によっては、リング143BをOリング(図示せず)とすることができ、その場合、遊星軸はOリングを受け入れるように適合される。CVT140の動作中、第1ステータ160に対する第2ステータ164の回転は、トラクション遊星アセンブリ142に対しスキュー状態を誘導し、それによりCVT140の速度比の変更が容易になる。第1ステータ160および第2ステータ164は、トラクション遊星アセンブリ142の各々に結合されている。
【0048】
ここで図25〜図27Bを参照すると、実施形態によっては、CVT140は、主軸144と同軸でありかつそれを中心に回転可能なステータドライバ166を有している。ステータドライバ166を、たとえばケーブルアクチュエータに、プーリ、またはステータドライバ166の主軸144を中心とする回転を容易にする他の好適な継手(図示せず)を介して、動作可能に結合するように構成することができる。一実施形態では、ステータドライバ166は、一組の偏心歯車168に結合している。偏心歯車168に、ステータドライバ166の歯車リング169とインタフェースする歯車の歯(図示せず)を設けることができる。偏心歯車168は、第2ステータ164および反作用プレート162に結合している。偏心歯車168の各々は、反作用ローブ172から延在しているカムローブ170を有している。一実施形態では、偏心歯車168と反作用プレート162との摩擦を低減するために、カムローブ170を耐摩擦スリーブまたはブッシング(図示せず)によって包囲することができる。カムローブ170および反作用ローブ172は、歯車リング174に取り付けられている。カムローブ170の回転中心171は、図27Bの面で見ると、反作用ローブ172の回転中心173から距離Dだけずれている。一実施形態では、距離Dは、約0.5mm〜約5mmである。実施形態によっては、距離Dは約3.1mmである。一実施形態では、カムローブ170は、反作用プレート162に設けられた複数のガイドスロット176に結合している。反作用ローブ172は、第2ステータ164に設けられている複数のガイドボア178に摺動結合している。一実施形態では、CVT140は、1つまたは複数の歯車168を有することができる。実施形態によっては、CVT140は3つの偏心歯車168を有している。
【0049】
さらに図27Aおよび図27Bを参照すると、一実施形態では、第1ステータ160に複数のフィンガ180が設けられている。各フィンガ180からは、反作用部材182が軸方向に延在している。反作用部材182は、反作用プレート162に結合するように構成されている。一実施形態では、反作用部材182は、たとえば圧入により一組の穴184内に挿入されることによって反作用プレート162に結合することができる。反作用部材182は、反作用プレート162を越えて軸方向に延在し、第2ステータ164に形成されている複数のショルダ186と(CVT140の一定の動作条件の下で)接触する。一実施形態では、反作用部材162には複数のクリアランススロット187が設けられている。クリアランススロット187は、概して、ガイドスロット161および165と位置合せされ、トラクション遊星アセンブリ142を収容するように寸法が決められている。一実施形態では、第1ステータ160に、反作用プレート162に形成された複数のスプライン190と係合するように構成されている複数のスプライン189を設けることができる。
【0050】
CVT140の動作中、ステータドライバ166を回転させ、それにより偏心歯車168を回転させることができる。カムローブ170の回転中心171は反作用ローブ172の回転中心173からずれているため、偏心歯車168の回転は、第1ステータ160に対して第2ステータ164を回転させる傾向がある。ずれDは、第2ステータ164から反作用プレート162に力が伝達されるようにするモーメントアームを提供する。したがって、CVT140の動作中に第2ステータ164に付与されるトルクに対し、反作用プレート162が反作用することができる。したがって、ステータドライバ166を回転させるために必要なトルクの大きさは小さい。
【0051】
ここで図27Cを参照すると、一実施形態では、反作用プレート162のガイドスロット176を、摺動ブロック206に結合するように構成することができる。摺動ブロック206は、カムローブ170に結合することができる。一実施形態では、摺動ブロック206は、低摩擦材料からなる。摺動ブロック206は、ガイドスロット176と摺動係合するように適合された平坦面を有することができる。平坦面は、反作用プレート162に対する圧力の軽減を促進し、それはまた摩擦も低下させる。
【0052】
ここで図28および図29に移ると、一実施形態では、シフト機構250を、CVT10、CVT140、またはスキューベース制御システムを有する他の任意の同等のCVTと協働するように構成することができる。一実施形態では、シフト機構250は、たとえば主軸22に結合された反作用アーム252を有している。反作用アーム252は、主軸22に対して実質的に回転不能である。一実施形態では、反作用アーム252には、主軸22と係合するように構成されたスプラインボア253が設けられている。シフト機構250には、たとえばシフトチューブ18に結合されたシフトアーム254が設けられている。一実施形態では、シフトアーム254には、シフトチューブ18と係合するように構成されたスプラインボア255が設けられている。シフトアーム254は、反作用アーム252に対して回転するように構成されている。シフト機構250は、ケーブル256に結合するように構成されている。ケーブル256は、自転車業界で周知であるいかなるタイプのものでもあり得る。ケーブル256にケーブル端部258を設けることができる。ケーブル端部258は実質的に円柱状である。一実施形態では、ケーブル端部258は、反作用アーム252に設けられているガイドスロット260に結合されている。ケーブル端部258は、シフトアーム254に設けられているガイドスロット261に結合されている。ケーブル端部258は、ガイドスロット260、261において摺動するように適合されている。ケーブル端部258を、ばね262に結合することができる。ばね262は反作用アーム252に結合し、それにより、ケーブル端部258をガイドスロット260の一端に向かって付勢する。ケーブル256の移動は、ケーブル端部258をガイドスロット260、261において並進させる傾向があり、それにより、シフトアーム254を反作用アーム252に対して回転させる。それにより、シフトアーム254の回転によって、たとえばシフトチューブ18が回転し、それは、CVT10の変速比をシフトさせる傾向がある。
【0053】
ここで図30を参照すると、一実施形態では、シフト機構280を、CVT10、CVT140、またはスキューベース制御システムを有する他の任意の同等のCVTと協働するように構成することができる。一実施形態では、シフト機構280は、たとえば主軸22に結合された反作用アーム282を有している。反作用アーム282は、主軸22に対して実質的に回転不能である。一実施形態では、反作用アーム282に、反作用アームの標準ケーブル(図示せず)への結合を容易にするように穴284が設けられている。シフト機構280には、ロッカアーム286が設けられている。ロッカアーム286を、その反作用アーム282に対する回転を容易にするようにケーブル(図示せず)に結合するように構成することができる。一実施形態では、ロッカアーム286にはD字型ピボット288が設けられており、それは、ロッカアーム286からシフトチューブドライバ(図示せず)にトルクを伝達するように適合されている。一実施形態では、シフトチューブドライバは、たとえばシフトチューブ18に結合するように適合された歯車であり得る。実施形態によっては、シフトチューブドライバを、シフトチューブ18に結合するように適合されたプーリとすることができる。他の実施形態では、シフトチューブドライバを、ロッカアーム286からシフトチューブ18にトルクを伝達するように適合された、ベルトまたは他の好適な継手とすることができる。
【0054】
ここで図31を参照すると、一実施形態では、シフト機構290を、CVT10、CVT140、またはスキューベース制御システムを有する他の任意の同等のCVTと協働するように構成することができる。シフト機構290に入力歯車292を設けることができ、それは、標準ケーブル(図示せず)にたとえばプーリまたは他のいくつかの好適な継手を介して結合するように適合されている。シフト機構290に、入力歯車292に結合された伝達歯車294が設けられている。入力歯車292にはボア296が設けられている。伝達歯車294にはボア298が設けられている。ボア296、298は、自転車フレーム等の固定部材か、または反作用アーム282(図29には示さず)等の反作用アームに取り付けられるように適合されている。伝達歯車294には偏心ガイドボア300が設けられている。シフト機構290にはシフトアーム302が設けられており、それは、たとえばダウエル(図示せず)を介して偏心ガイドボア300に動作可能に結合されている。一実施形態では、シフトアーム302は、たとえばシフトチューブ18に結合している。たとえばCVTの動作中の変速比のシフトを、入力歯車292を回転させ、それによりボア298を中心に伝達歯車294を回転させることによって達成することができる。伝達歯車294の回転は、シフトアーム302を、偏心ガイドボア300を介して回転させる傾向がある。
【0055】
ここで図32および図33を参照すると、一実施形態では、シフト機構310は、実質的に回転不能な反作用アーム311を有することができる。シフト機構310には、たとえばスプラインボア313を介してシフトチューブ18に結合されたプーリ312が設けられている。プーリ312には、ケーブル端部取付インタフェース314が設けられている。実施形態によっては、プーリ312は偏心形状を有することができる。他の実施形態では、プーリ312は円形形状であってもよい。さらに他の実施形態では、プーリ312の形状は、シフトチューブ18の回転の間の所望の比と、CVT10の結果としての変速比とを提供するように構成されている。反作用アーム311には、標準ケーブルおよびケーブルハウジング(図示せず)と協働するように構成されているケーブルハウジングインタフェース315が設けられている。反作用アーム311にはスプラインボア316が設けられている。一実施形態では、シフト機構310には、スプラインボア316に結合するように構成された割出ワッシャ317が設けられている。割出ワッシャ317は複数の割出マーキング318を有している。割出ワッシャ317は内部ボア319を有することができ、それは、割出ワッシャ317、したがって反作用アーム311が主軸22に対して回転しないように、たとえば主軸22と嵌合するように構成されている。一実施形態では、割出ワッシャ317の内部ボアに、スロットを形成することができる。スロットは、主軸22上にわずかな締りばめまたは摩擦ばめを採用するために、ワイヤまたはプラスチックで作製することができる摩擦ばねタイプの要素(図示せず)を受け入れることができる。割出ワッシャ317は、主軸22上への反作用アーム311の保持に役立つことができ、それにより、CVT10を自転車フレーム内に適合させようとする間に、反作用アーム311が偶発的に落下しない。シフト機構310は、いかなる工具もなしに、たとえば完全なアセンブリとしての自転車から、CVT10が装備されたホイール(図示せず)を取り外すために利点を提供し、したがって、自転車フレームに取り付けられているケーブルとCVT10との分離が可能になる。自転車フレームドロップアウトスロットと自転車フレーム上のケーブル位置に対する方向要件との間の向きが確立されると、ホイールの取外しおよび再取付時に割出マーキング318を用いてその向きを維持することができる。
【0056】
ここで図34を参照すると、一実施形態では、シフト機構320は、たとえば自転車フレーム324に取り付けられた反作用アーム322を有することができる。シフト機構320には、シフトアーム326が設けられている。一実施形態では、シフトアーム326を、たとえばシフトチューブ18に結合することができる。シフトアーム326は、第1ピボット330において第1レバー328に結合されている。第1レバー328は、第2ピボット334において第2レバー332に結合されている。第2レバー332は、第3ピボット336において反作用アーム322に結合されている。一実施形態では、シフト機構320には、第2ピボット334および反作用アーム322に結合されたばね338が設けられている。実施形態によっては、第1ピボット330、第2ピボット334および第3ピボット336は、第1レバー328と第2レバー332との間の相対的な回転を可能にするように構成された共通締結具である。一実施形態では、シフト機構320を、ピボット334において標準ケーブル(図示せず)に結合することができる。標準ケーブルを、(図34の平面に関して)右方向および左方向にピボット334を並進させるように構成することができる。ピボット334の並進は、シフトアーム326を回転させる傾向がある。
【0057】
ここで図35に移ると、一実施形態では、シフト機構350に、たとえば自転車フレーム354に結合された反作用アーム352を設けることができる。反作用アーム352を、ケーブル355およびケーブルスリーブ336に結合するように適合させることができる。一実施形態では、シフト機構350は、たとえばシフトチューブ18に結合されたシフトアーム358を有している。シフト機構350は、第1ピボット362においてシフトアーム358に結合されたレバー360を有している。レバー360は、第2ピボット364においてケーブル355に結合されている。第2ピボット364は、第1ピボット362から遠方の位置においてレバー360の一端に位置している。一実施形態では、シフト機構350には、ピボット368において反作用アーム352に結合されたリンク機構366が設けられている。リンク機構366は、ピボット370においてレバー360に結合されている。ピボット370は、第1ピボット362と第2ピボット364との間に位置している。ケーブル355を引っ張り、それによりレバー360を移動させることができる。レバー360は、ピボット370を中心に回転する傾向があり、それによりシフトアーム358の回転が容易になる。
【0058】
ここで図36〜図37Bを参照すると、一実施形態では、シフト機構400は、ケーブル404を介してハンドルグリップ402に結合することができる。シフト機構400はプーリ406を有している。プーリ406は、反作用部材408に結合するように適合されたスプライン内部ボアを有することができる。一実施形態では、プーリ406は、たとえばシフトチューブ18に動作可能に結合することができる。反作用部材408に、ポケット410を設けることができる。ポケット410は、ばね412を支持するように適合されている。一実施形態では、ばね412はローラ414に結合されている。ばね412は、ローラ414を、プーリ406のスプライン内部ボアに向かって押す傾向がある。ローラ414は、プーリ406に保持力を加え、それにより、プーリ406のスプライン内部ボアを、たとえば位置416において反作用部材408のスプライン周縁部に係合させることが容易になる。一実施形態では、シフト機構400は、たとえばCVT10に近接して配置されている。実施形態によっては、シフト機構400を、ハンドルグリップ402内にまたはそれに近接して配置することができる。
【0059】
CVT10の動作中、たとえば、制御力がケーブル404に加えられることにより、プーリ406の回転が容易になる。制御力は、ケーブル404に張力を誘導し、それは、プーリ406を制御力の方向に変位させる傾向があり、たとえば、プーリ406は、図37Aのページの面で見ると右方向に変位する。例示の目的で、図37Bは、張力のかかっていない位置406’(破線で示す)と比較してケーブル張力が存在する時のプーリ406の位置を示す。プーリ406および反作用部材408は、ケーブル張力が存在する時に位置416において接触せず、それにより、プーリ406は反作用部材408に対して回転することができる。制御力がケーブル404から除去され、張力が緩和されると、ばね412はプーリ406を(図40Aに関して)左方向に付勢し、それにより、位置416においてプーリ406および反作用部材408が係合する。
【0060】
ここで図38および図39に移ると、一実施形態において、CVT450をCVT10と実質的に同様とすることができる。説明の目的で、CVT450とCVT10との相違のみについて説明する。CVT450は、第1ステータ454および第2ステータ456に結合された複数のトラクション遊星アセンブリ452を有している。トラクション遊星アセンブリ452は、アイドラアセンブリ458と接触するように構成されている。一実施形態では、第2ステータ456は、シフト機構460に結合されている。シフト機構460は、第2ステータ456およびガイド部材454と接触しているローラ462を有している。ガイド部材464を、主軸465を中心に回転するように構成することができる。一実施形態では、ガイド部材464はシフトチューブ466に結合されている。シフトチューブ466を、シフトチューブ18と実質的に同様とすることができる。シフト機構460は、ローラ462と接触している反作用アーム468を有することができる。反作用アーム468は、ピボット467を中心に回転することができる。ピボット467を接地アーム468に結合することができる。接地アーム469を主軸465に取り付けることができる。一実施形態では、反作用アーム468は端部470において第1ステータ454に結合する。端部470を、好適な結合手段によって第1ステータ454に固定することができる。実施形態によっては、第1ステータ454と端部470との間の結合は、トラクション遊星アセンブリ452間に配置されたロッド(図示せず)を含む。ロッドを軸方向に配置することにより、第1ステータ454の端部470への結合を容易にすることができる。反作用アーム468に、ローラ462を半径方向に案内するように適合された少なくとも1つの面471を設けることができる。CVT450の動作中、第2ステータ456は、トラクション遊星アセンブリ452からのトルクに反作用する。トルクを、第2ステータ456からローラ462を介して反作用アーム468の面471まで伝達することができる。第1ステータ454と第2ステータ456との相対的な回転を、たとえばシフトアーム472によるガイド部材464の回転によって容易にすることができる。シフトアーム472を、シフトアーム254、シフトアーム302、シフトアーム326または他の任意の好適なシフトアームと実質的に同様とすることができる。
【0061】
再び図38を参照すると、一実施形態では、アセンブリ458は、ともにトラクション遊星アセンブリ452の各々と接触している第1回転要素480および第2回転要素481を有することができる。第1回転要素480および第2回転要素481は、支持チューブ484上の軸受482、483によって支持されている。一実施形態では、支持チューブ484は、軸方向の移動から実質的に固定されている。実施形態によっては、軸受482、483は、主軸22に直接結合されている。他の実施形態では、アイドラアセンブリ458は、主軸22に対して浮遊することができる。
【0062】
ここで図40を参照すると、一実施形態では、シフト機構550は、実質的にステータ38に類似しているステータ552を有することができる。シフト機構550に、シフトチューブ18に実質的に同様であり得るシフトチューブ554が設けられている。シフトチューブ554は、ステータ552と同軸に配置されている。一実施形態では、シフトチューブ554を、プッシュリンク556に結合するように構成することができる。シフトチューブ554とプッシュリンク556との間のインタフェースを、ピン節点または他の好適な継手とすることができる。シフト機構550に、実質的に回転不能であるように適合された反作用アーム558を設けることができる。反作用アーム558は、ばね560を介してステータ552に結合されている。シフト機構550にはリンク機構562が設けられており、それは、第1端においてプッシュリンク556に結合され、第2端において反作用アーム558に結合されている。リンク機構562の各端部は、枢動するように構成されている。シフト機構550にリンク機構564を設けることができ、それは第1端においてプッシュリンク556に結合され、第2端においてステータ552に結合されている。リンク機構564の各端部は枢動するように構成されている。
【0063】
動作中、ステータ552を回転させることにより、変速比の変更を容易にすることができる。シフトチューブ554を、標準ケーブル(図示せず)によって回転させることができ、それは、プッシュリンク556を移動させる傾向がある。プッシュリンク556の移動は、はさみ状の動きでリンク機構562に対してリンク機構564を変位させる傾向があり、それによりステータ552が回転する。ステータ552の回転を、CVTの動作中にステータ552に加えられるトルクの変化によって容易にすることも可能である。たとえば、ばね560は、反作用アーム558をステータ552に結合し、したがって、ステータ552に加えられるトルクの変化により、ばね560が変位する。ばね560の変位の変化は、ステータ552の回転に対応する。したがって、CVTに対する所望の動作トルクを、ばね560に対し適切に寸法を決めかつ予荷重を加えることにより所望の速度比に対して規定することができる。
【0064】
ここで図41に移ると、一実施形態では、シフト機構600は、ステータ38に実質的に類似するステータ602を有することができる。シフト機構600は、たとえばプーリ(図示せず)または他の好適なアクチュエータと協働するように適合されたドライバ604を有することができる。ドライバ604に、従動歯車606と係合する歯車の歯を設けることができる。従動歯車606は、ピン610と係合するように適合されているスロット608を有している。ピン610は、ステータ602に取り付けられている。ドライバ604の回転は、従動歯車606を回転させる傾向がある。従動歯車606の回転は、ピン610に対しステータ602を回転させるように付勢する。したがって、ピン610はスロット608内で摺動する。
【0065】
ここで図42及び図43を参照すると、一実施形態では、CVT620にシフト機構621を設けることができる。CVT620を、CVT10と実質的に同様とすることができる。説明のために、CVT620とCVT10との相違のみについて説明する。シフト機構621は、複数のローラ624を支持するように構成されたシフトチューブ622を有することができる。シフトチューブ622は、軸方向に並進するように適合されている。ローラ624は、メインシャフト628に形成された第1らせん状溝626と係合する。ローラ624は、第1ステータ632に形成された第2らせん状溝630と係合する。一実施形態では、第1らせん状溝626および第2らせん状溝630は高リードである。実施形態によっては、第1らせん状溝626および第2らせん状溝630は略軸方向溝であり得る。第1ステータ632を、ステータ38と実質的に同様とすることができる。シフトチューブ622の軸方向並進は、ローラ624をらせん状溝内で移動させる傾向があり、それにより第2ステータ634に対して第1ステータ632が回転する。一実施形態では、第1らせん状溝626および第2らせん状溝630は異なるリードを有し、それにより、第1ステータ632に加えられるトルクの少なくとも一部を、CVT620の動作中にメインシャフト628に伝達することができる。一実施形態では、メインシャフト628ならびに第1ステータ632および第2ステータ634は、動力入力を受け取りかつ長手方向軸636を中心に回転するように適合されている。実施形態によっては、シフトチューブ622をアクチュエータ(図示せず)に好適に結合することができ、それにより、シフトチューブ622のメインシャフト628に沿った軸方向並進が容易になる。
【0066】
ここで図44を参照すると、一実施形態では、CVT620にシフトチューブ640を設けることができる。シフトチューブ640は、ローラ624に結合するように適合されたスロット642を有することができる。シフトチューブ640を、メインシャフト628を中心に回転するように構成することができる。一実施形態では、シフトチューブ640を好適なアクチュエータに結合することができ、それによりシフトチューブ640の回転が容易になる。シフトチューブ640の回転は、ローラ624を回転させる傾向があり、それによりステータ634、632間の相対的な回転が容易になる。
【0067】
ここで図45に移ると、一実施形態では、CVT660は、特に、トラクション遊星アセンブリ664群と接触している第1トラクションリング661および第2トラクションリング662ならびにアイドラ663を有している。CVT660を、CVT10と実質的に同様とすることができる。説明のために、CVT660とCVT10との相違のみについて説明する。CVT660に、トラクション遊星アセンブリ664に動作可能に結合されている第1ステータ666および第2ステータ668を設けることができる。第1ステータ666および第2ステータ668を、ステータ36、38と実質的に同様に構成することができる。一実施形態では、CVT660に周知のフライボールガバナを設けることができる。説明のために、フライボールガバナをボール670として示す。実施形態によっては、フライボールガバナは、ばね調節および適切な軸受(図示せず)を有することができる。フライボールガバナは、ステータドライバ672およびステータ部材674と接触しているボール670を有することができる。一実施形態では、ステータ666、668は、入力動力を受け取りかつ長手方向軸LAを中心に回転するように適合されている。ボール670は、第1ステータ666および第2ステータ668の速度に比例して半径方向に変位する傾向がある。ボール670の半径方向変位は、ステータドライバ672の軸方向並進に対応することができる。ステータドライバ672は、第2ステータ668とのねじインタフェースを有することができる。ステータドライバ672の軸方向並進により、第1ステータ666に対する第2ステータ668の回転が容易になる。代替実施形態では、フライボールガバナは、第1トラクションリング661と協働するように構成され、それにより、第1トラクションリング661の速度の変化は、第2ステータ668に対して第1ステータ666を回転させる傾向がある。実施形態によっては、第1トラクションリング661を、入力動力を受け取るように構成することができ、第2トラクションリング662を、CVT660からの出力動力を伝達するように構成することができる。
【0068】
ここで図46Aおよび図46Bを参照すると、一実施形態では、CVT700は、特に、トラクション遊星アセンブリ704群と接触している第1トラクションリング701および第2トラクションリング702ならびにアイドラ703を有している。トラクション遊星アセンブリ704を、第1ステータ706および第2ステータ708と動作可能に結合することができる。一実施形態では、第1ステータ706をフライボールガバナ710に結合することができる。フライボールガバナ710を、回転速度の変化に対応して第1ステータ706を回転させるように構成することができる。第2ステータ708を、ばね部材721に結合することができる。実施形態によっては、第1ステータ706および第2ステータ708を、入力出力を受け取るように適合させることができる。一実施形態では、第1トラクションリング701を、入力出力を受け取るように適合させることができる。他の実施形態では、CVT720を、第1トラクションリング721および第1ステータ723に結合されたフライボールガバナ722を有するように構成することができる。第1トラクションリング721および第1ステータ723を、第1トラクションリング701および第1ステータ706それぞれと実質的に同様とすることができる。CVT700またはCVT720の動作中、ばね712は、第2ステータ708から伝達されるトルクに反作用することができる。ばね712は、トルクの大きさに対して変位することができる。第2ステータ708は、ばね712の変位に対応して第1ステータ706に対して回転する傾向がある。したがって、CVTに対する所望の動作トルクを、ばね712に対して適切に寸法を決め予荷重を加えることにより規定することができる。フライボールガバナ710または722のばね712との組合せにより、たとえば移動地上車において望ましい、CVT700または722に対する速度制御およびトルク制御がともに提供される。
【0069】
ここで図47に移ると、一実施形態では、制御システム750を、たとえばCVT10または本明細書で開示するCVT実施形態のいずれかと協働するように構成することができる。制御システム750は、流れ制御弁754と流体連通しているポンプ752を有することができる。流れ制御弁754は、たとえばステータ758を回転させるように適合された継手756を有することができる。流れ制御弁754は、オリフィス760と流体連通することができる。オリフィス760は、流体を流体貯蔵器762に向ける。流体貯蔵器762は、流体をポンプ752に供給することができる。一実施形態では、オリフィス760は固定オリフィスである。実施形態によっては、オリフィス760は可変オリフィスである。動作中、変速比を、流れ制御弁754を用いて調節し維持することができる。ステータ758に加えられるトルクに対し、継手756を介して流れ制御弁754が反作用することができる。代替実施形態では、制御システム750を、CVT10またはスキューベース制御システムを有する任意の同様のCVTに対するトルクリミッタとして機能するように構成することができる。
【0070】
ここで図48を参照すると、一実施形態では、自転車800は、たとえばスポーク802によりホイール801に結合された、CVT10を有することができる。CVT10に、たとえばシフトチューブ18に動作可能に結合するように適合されたシフトアーム804を設けることができる。自転車800は、周知のチェーンテンショナ808に結合されているドライブチェーン806を有することができる。チェーンテンショナ808を、たとえばターンバックル810を介してシフトアーム804に結合することができる。自転車800の運転中、使用者は、ペダル812に力を加え、それにより、チェーン806に振動トルクが伝達される。振動トルクは、チェーン806に対し張力をかけかつ張力を解除する傾向があり、それにより、チェーン806はチェーンテンショナ808を変位させかつ移動させる。チェーンテンション808の移動は、シフトアーム804を回転させる傾向がある。
【0071】
ここで図49および図50に移ると、一実施形態では、CVT900は、主軸904を中心に半径方向に配置された複数のトラクション遊星アセンブリ902を有することができる。CVT900を、CVT140と実質的に同様とすることができる。説明のために、CVT900とCVT140との相違のみについて説明する。一実施形態では、CVT900は、たとえばプーリ906または他の好適な継手により入力動力を受け取るように適合されている。プーリ906を、主軸904に結合することができる。CVT900は、トラクションリング907から動力を伝達するように構成された出力歯車905を有することができる。トラクションリング907は、トラクション遊星アセンブリ902の各々と接触することができる。一実施形態では、主軸904は、第1ステータ908および第2ステータ910に結合されている。第1ステータ908および第2ステータ910を、トラクション遊星アセンブリ902の各々を支持するように構成することができる。一実施形態では、第1ステータ908および第2ステータ910は、入力動力をトラクション遊星アセンブリ902に伝達するように適合されている。第1ステータ908および第2ステータ910は、主軸904とともに回転するように構成されている。第1ステータ908および第2ステータ910は、互いに対して回転するように適合され、それにより、トラクション遊星アセンブリ902に対しスキュー状態を誘導する。スキュー状態により、CVT900の変速比の変更が容易になる。
【0072】
一実施形態では、CVT900は、第1ステータ908に結合されている複数の偏心歯車912を有している。偏心歯車912を、偏心歯車168と実質的に同様とすることができる。偏心歯車912はシフトチューブ914に結合する。シフトチューブ914は、第1リング歯車916および第2リング歯車917を有する複合遊星歯車セットと結合することができ、各リング歯車916、917は複数の遊星歯車918に結合されている。遊星歯車918A、918Bは、共通の軸を共有し、互いに対して自由に回転することができる。シフトチューブ914は、第1太陽歯車920に結合することができる。一実施形態では、第2太陽歯車922は主軸904に結合することができる。第1リング歯車916は、たとえば回転不能ハウジング(図示せず)に結合されている。第2リング歯車917を、モータ(図示せず)等の好適なアクチュエータに結合することができる。CVT900の動作中、第1リング歯車916と第2リング歯車917との相対的な回転は、第1ステータ908と第2ステータ910との相対的な回転を容易にする傾向がある。
【0073】
ここで図51および図52を参照すると、一実施形態では、CVT1000をCVT900と実質的に同様とすることができる。説明のために、CVT1000とCVT900との相違のみについて説明する。CVT1000は、たとえばプーリ906から入力動力を受け取るように構成されている。プーリ906を、メインシャフト1002に結合することができる。一実施形態では、第1トラクションリング907は、メインシャフト1002を中心に実質的に回転不能である。CVT1000は、第2トラクションリング1006から動力を受け取るように構成されている出力歯車1004を有することができる。出力歯車1004はシフトチューブ1008と同軸である。シフトチューブ1008は、第1ステータ908に結合されている。一実施形態では、シフトチューブ1008は第1太陽歯車920に結合されている。実施形態によっては、CVT1000は、第1ステータ908に結合されたばね1010を有することができる。CVT1000の動作中、変速比の変更は、第1ステータ908と第2ステータ910との相対的な回転によって容易になる。第1ステータ908を、シフトチューブ1008の回転を介して第2ステータ910に対して回転させることができる。シフトチューブ1008は、太陽歯車920を介してシフトチューブ914と実質的に同様に動作中に回転する。
【0074】
ここで図53に移ると、一実施形態では、CVT1050をCVT1000と実質的に同様とすることができる。説明のために、CVT1000とCVT1050との相違のみについて説明する。一実施形態では、CVT1050は、たとえばチェーンまたはベルト1056により第1ステータ1054に結合された遊星歯車セット1052を有している。遊星歯車セット1052は、たとえばチェーンまたはベルト1060により第2ステータ1058に結合することができる。遊星歯車セット1052は、複数の遊星歯車1064に結合された第1リング歯車1062を有している。遊星歯車1064は第1太陽歯車1066に結合している。一実施形態では、第1太陽歯車1066は実質的に回転不能である。遊星歯車セット1052は、複数の遊星歯車1070に結合された第2リング歯車1068を有している。遊星歯車1070は第2太陽歯車1072に結合している。第2太陽歯車1072を、好適なアクチュエータ(図示せず)に結合することができる。アクチュエータを、CVT1050の動作中に第2太陽歯車1072を回転させるように適合させることができる。遊星歯車1064および1070をキャリア1074に結合することができる。キャリア1074を、入力動力1076を受け取る(図53において矢印として示す)ように適合させることができる。
【0075】
ここで図54を参照すると、一実施形態では、CVT1100をCVT1000と実質的に同様とすることができる。説明のために、CVT1000とCVT1100との相違のみについて説明する。一実施形態では、CVT1100は第1ステータ1102および第2ステータ1104を有している。第1ステータ1102を、チェーンまたはベルト1108により入力シャフト1106に結合することができる。入力シャフト1106は、入力動力1110を受け取る(図54において矢印として示す)ように適合されている。一実施形態では、第2ステータ1104は、チェーンまたはベルト1114によりシフトチューブ1112に結合するように構成されている。シフトチューブ1112は、シフトチューブドライバ1116に結合されている。シフトチューブドライバ1116は、一組のらせん状スプライン1118によりシフトチューブ1112と嵌合する。一実施形態では、らせん状スプライン1118は高リードである。シフトチューブドライバ1116は、一組の直線状スプライン1120により入力シャフト1106に嵌合する。シフトチューブドライバ1116を、CVT1100の動作中に回転し並進するように構成することができる。一実施形態では、シフトチューブドライバ1116は、アクチュエータシャフト1122に結合するように構成されている。アクチュエータシャフト1122は実質的に回転不能であり得る。アクチュエータシャフト1122を、直線状に並進するように構成することができる。アクチュエータシャフト1122は、複数の軸受1124によりシフトチューブドライバ1116上に支持される。
【0076】
ここで図55〜図58に移ると、一実施形態では、CVT1200を、CVT1000と実質的に同様とすることができる。説明のために、CVT1000とCVT1200との相違のみについて説明する。一実施形態では、CVT1200に、スプロケット14に結合されたフリーホイールドライバ1202が設けられている。スプロケット14を、保持ナット1204によりフリーホイールドライバ1202に取り付けることができる。フリーホイールドライバ1202を、第1軸受1206および第2軸受1208によって支持することができる。一実施形態では、第1軸受1206は、たとえば針状ころ軸受であり得る。実施形態によっては、第2軸受1208は、たとえば玉軸受であり得る。第1軸受1206および第2軸受1208を、たとえばステータドライバ166に結合するように適合させることができる。一実施形態では、フリーホイールドライバ1202は、複数の爪1210と協働するように適合されている。爪1210は、ばね1212に結合されている。一実施形態では、ばね1212を、爪1210の各々に結合するように適合されたねじりばねとすることができる。実施形態によっては、爪1210の各々をばね要素1213(図58)に結合することができる。ばね要素1213を、フリーホイールドライバ1202において保持することができる。爪1210は、トルクドライバ1214と選択的に係合するように構成されている。トルクドライバ1214は複数の歯1215(図57)を有することができる。歯1215は、爪1210と係合するように構成されている。トルクドライバ1214を、たとえば入力ドライバリング154と動作可能に結合することができる。実施形態によっては、CVT1200に、フリーホイールドライバ1202とたとえばシフトアクチュエータプーリ1218との間に配置された第1ダストカバー1216を設けることができる。実施形態によっては、CVT1200に、たとえばスプロケット14とハブシェル11との間に配置された第2ダストカバー1220を設けることができる。
【0077】
CVT1200の動作中、入力トルクは、スプロケット14からフリーホイールドライバ1202に伝達される。フリーホイールドライバ1202は、トルクを第1回転方向において爪1210を介してトルクドライバ1214に伝達する。一定の動作条件下で、トルクドライバ1214は、第2回転方向においてドライバリング154からトルクを受け取ることができ、それは、トルクドライバ1214から爪1210を分離する傾向があり、フリーホイールドライバ1202に前記トルクが伝達されないようにする。
【0078】
ここで図59を参照すると、一実施形態では、制御システム1250を、たとえばCVT10または本明細書で開示するCVT実施形態のいずれかと協働するように構成することができる。制御システム1250は、流れ制御弁1254と流体連通しているポンプ1252を有することができる。流れ制御弁1254は、たとえばステータ1255を回転させるように適合された継手1253を有することができる。流れ制御弁1254は、オリフィス1256と流体連通することができる。オリフィス1256は、流体を流体貯蔵器1257に向ける。一実施形態では、流れ制御弁1254を、圧力制御弁1258と協働するように構成することができる。制御システム1250の動作中、圧力制御弁1258は、流れ制御弁1254の動作圧力を制御する。圧力制御弁1258または流れ制御弁1254の調節は、継手1253を移動させる傾向があり、それによりステータ1255が回転し、変速比の変更が容易になる。
【0079】
ここで図60を参照すると、一実施形態では、制御システム1280を、たとえばCVT10または本明細書に開示するCVT実施形態のいずれかと協働するように構成することができる。制御システム1280は、第1圧力制御弁1284および第2圧力制御弁1286と流体連通しているポンプ1282を有することができる。一実施形態では、第1圧力制御弁1284および第2圧力制御弁1286は、第1圧力チャンバ1288および第2圧力チャンバ1290それぞれと流体連通することができる。第1圧力チャンバ1288および第2圧力チャンバ1290は、第1ピストン1292および第2ピストン1294それぞれに作用するように構成されている。第1ピストン1292および第2ピストン1294は、たとえばステータ1296に結合されている。制御システム1280の動作中、圧力チャンバ1288、1290内の流体圧により、ピストン1292、1294を変位させることができ、それはステータ1296を回転させる傾向があり、それにより、たとえばCVT10の変速比の変更が容易になる。
【0080】
ここで図61に移ると、一実施形態では、制御システム1300を、たとえばCVT10または本明細書に開示するCVT実施形態のいずれかと協働するように構成することができる。制御システム1300は、圧力制御弁1304と流体連通しているポンプ1302を有することができる。ポンプ1302は、方向制御弁1306と流体連通することができる。一実施形態では、方向制御弁1306は、第1圧力チャンバ1308および第2圧力チャンバ1310と流体連通している。実施形態によっては、方向制御弁1306は、サーボ制御4方向制御弁である。第1圧力チャンバ1308および第2圧力チャンバ1310は、第1ピストン1312および第2ピストン1314それぞれに作用するように構成されている。第1ピストン1312および第2ピストン1314は、たとえばステータ1316に結合されている。制御システム1300の動作中、圧力チャンバ1308、1310内の流体圧によりピストン1312、1314を変位させることができ、それはステータ1316を回転させる傾向があり、それによりたとえばCVT10の変速比の変更が容易になる。実施形態によっては、ピストン1312、1314の変位を、方向制御弁1306の弁スプールの位置を制御することによって達成することができる。
【0081】
ここで図62〜図65を参照すると、一実施形態では、シフト機構1350を、たとえばCVT10のシフトチューブ18に結合することができる。シフト機構1350には、スプラインボア1353を有する概して回転不能なハウジング1352が設けられている。スプラインボア1353を、たとえば主軸22に動作可能に結合するように適合させることができる。シフト機構1350には、主軸22を中心に回転可能に配置されたプーリ1354が設けられている。プーリ1354は、スプライン加工された内部ボア1356を有している。一実施形態では、プーリ1354は、複数の遊星歯車1358に結合されている。遊星歯車1358は、主軸22を中心に半径方向に配置されている。遊星歯車1358はケージ1360に結合する。ケージ1360は、ステータドライバ1361に結合するように適合されたスプライン内部ボア1362を有している。ステータドライバ1361は、たとえばステータドライバ166と実質的に同様であり得る。ケージ1360は、遊星ギア1358を受け取るように構成された複数の遊星ポケット1363を有している。遊星ポケット1363は、ケージ1360の周辺部に形成された略円形の切抜きであり得る。
【0082】
一実施形態では、ケージ1360は、クリップ1364によってハウジング1352に結合されている。クリップ1364を、ハウジング1352と係合するように適合された複数のタブ1365を有するように形成することができる。一実施形態では、タブ1365は、ハウジング1352に形成された複数のスロット1366と係合する。組み立てられると、ケージ1360は、ステータドライバ1361に対して一貫した軸方向位置を維持しながら、ハウジング1352に対して回転することができる。一実施形態では、シフト機構1350に、アクスルナット1368が設けられている。アクスルナット1368は、主軸22に結合するように適合されている。一実施形態では、シフト機構1350に、ハウジング1352のスプラインボア1356に結合するように適合された係止ナット1370が設けられている。係止ナット1370は、アクスルナット1368に取り付けられるように適合されている。たとえば、アクスルナット1368に、本体の周辺部に配置された複数の平坦面を設けることができ、係止ナット1370に、その内部ボアの周囲に形成された複数の嵌合雌面を設けることができる。組み立てられると、係止ナット1370は、たとえばステータドライバ1361およびCVT10に対するハウジング1352、したがってシフト機構1350の位置合わせを容易にする。ハウジング1352は、組み立てられると係止ナット1370上の複数の割出マーキング1379と整列する複数のタイミングマーキング1377を有している。自転車フレームドロップアウトスロットと自転車フレーム上のケーブル位置に対する方向要件との間の向きが確立されると、割出マーキング1379を用いて、ホイールの取外しおよび再取付時にその向きを維持することができる。
【0083】
さらに図62〜図65を参照すると、一実施形態では、ハウジング1352にケーブルハウジングストップ1372が設けられている。ケーブルハウジングストップ1372は、ハウジング1352の本体から延在し、たとえばプーリ1354により、標準自転車制御ケーブルの位置合わせおよび結合を容易にするように構成されている。プーリ1354には、ケーブル端部保持タブ1374が設けられている。ケーブル端部保持タブ1374は、ケーブル端部1376を受け入れるように構成されている。ケーブル端部1376を、たとえばねじにより、標準自転車制御ケーブルの一端に取り付けることができる。
【0084】
CVT10の動作中、たとえば、CVT10の比の変更を、標準自転車制御ケーブル(図示せず)に張力を加えることによって達成することができ、それにより、ハウジング1350に対するプーリ1354の回転が容易になる。プーリ1354の回転は、太陽歯車1378を中心として遊星歯車1358を回転させる傾向がある。一実施形態では、太陽歯車1378は、ハウジング1352(図65)に一体的に形成されている。太陽歯車1358の回転は、ケージ1360を回転させる傾向があり、それによりステータドライバ1361が回転する。この構成により、ステータドライバ1361に対してトルクを伝達する機械的利点が提供され、したがってCVT10をシフトさせる労力が低減することが留意されるべきである。
【0085】
ここで図66を参照すると、一実施形態では、トラクション遊星キャリアアセンブリ1400を、本明細書で開示するCVT実施形態の任意のものと使用することができる。トラクション遊星キャリアアセンブリ1400は、たとえばトラクション遊星30を支持するように適合された第1ステータ1402を有することができる。第1ステータ1402は、反作用プレート1404に結合している。反作用プレート1404は、第1ステータ1402と同軸である。第1ステータ1402は、スキューステータ1406に動作可能に結合している。スキューステータ1406は、第1ステータ1402および反作用プレート1404と同軸である。スキューステータ1406は、第1ステータ1402および反作用プレート1404に対して回転するように適合されている。一実施形態では、第1ステータ1402、反作用プレート1404およびスキューステータ1406は、第1ステータ160、反作用プレート162および第2ステータ164とそれぞれ実質的に同様である。この第1ステータ1402に、たとえば主軸144を受け入れるように適合された内部ボア1403が設けられている。反作用プレート1404には、たとえば主軸144を受け入れるように適合された内部ボア1405が設けられている。スキューステータ1406には、たとえば主軸144を受け入れるように適合された内部ボア1407が設けられている。
【0086】
さらに図66を参照すると、一実施形態では、スキューステータ1406は、複数の偏心歯車1408を支持するように適合されている。偏心歯車1408を、たとえばステータドライバ166に結合することができる。偏心歯車1408の各々は、ばね1410を収容するように適合されたポケット1409を有している。ばね1410は、スキューステータ1406に結合するように適合された第1端部1412を有している。ばね1410は、偏心歯車1408に結合するように適合された第2端部1414を有している。CVTの動作中、変速比の変更を、第1ステータ1402に対してスキューステータ1406を回転させることによって達成することができる。スキューステータ1406の回転を、偏心歯車1408を回転させることによって達成することができる。偏心歯車1408は、偏心歯車148が第2ステータ164に結合されているのと実質的に同様にスキューステータ1406に結合している。一実施形態では、ばね1410は、偏心歯車1408に対し、スキューステータ1406をアンダードライブ変速比に対応する位置まで移動させる傾向がある力を加える。一実施形態では、ばね1410を、CVTにおけるかつシフト構成要素における摩擦力に打ち勝つことができる力を提供するような寸法とすることができる。
【0087】
ここで図67〜図69を参照すると、一実施形態では、シフト機構1450を、たとえばCVT10のシフトチューブ18に結合することができる。シフト機構1450に、スプライン内部ボア1453を有する概して回転不能なハウジング1452を設けることができる。スプライン内部ボア1453は、係止ナット1454に結合するように適合されている。係止ナット1454に、嵌合するスプライン周縁部1455が設けられている。係止ナット1454には、アクスルナット1457と係合するように構成された複数の反作用面1456が設けられている。アクスルナット1457は、たとえばねじにより主軸22に結合する。一実施形態では、シフト機構1450は、ハウジング1452に動作可能に結合されたプーリ1458を有している。プーリ1458は、ハウジング1452に対して回転可能である。プーリ1458は、複数の遊星歯車1460に結合するように適合された歯車付き内部ボア1459を有している。遊星歯車1460は、ケージ1462内に支持されている。ケージ1462は、ケージ1360と実質的に同様である。遊星ギア1460は、ハウジング1452のスプライン内部ボア1453の周囲に形成された太陽歯車1461に結合している。一実施形態では、ケージ1462は、たとえばステータドライバ1361等のステータドライバに結合することができるスプライン内部ボア1463を有している。シフト機構1450は、プーリ1458に結合する保持器クリップ1464を有することができる。
【0088】
再び図67を参照すると、一実施形態では、ハウジング1452は、正面1470および背面1472を有することができる。通常、背面1472は、たとえばハブシェル11に近接して配置されており、それにより、シフト機構1450がCVT10上で組み立てられると正面1470が見える。正面1472に、内部ボア1453を中心に半径方向に形成された複数の切欠き1474を設けることができる。正面1474に、内部ボア1453の側面に位置する一組の凹部1475を設けることができる。凹部1475を、係止ナット1454を取り除くための、ねじ回し等の工具を受け入れるように適合させることができる。一実施形態では、ハウジング1452に、正面1470と背面1472との間に配置された第1ケーブルハウジングストップ1476を設けることができる。ハウジング1452に、正面1470と背面1472との間に配置された第2ケーブルハウジングストップ1478を設けることができる。一実施形態では、第1ケーブルハウジングストップ1476は、第2ケーブルハウジングストップ1478に対して略平行である。第1ケーブルハウジングストップ1476および第2ケーブルハウジングストップ1478には各々スロット1480が設けられている。スロット1480により、標準自転車制御ケーブルのハウジング1452への組立てが容易になる。
【0089】
一実施形態では、プーリ1458の周辺部からタブ1482が延在している。タブ1482は、ケーブル保持器キャップ1484に結合するように適合されている。タブ1482は、ケーブル保持器キャップ1484の湾曲部分1488を受け入れるように適合された第1切抜き1486を有することができる。タブ1482に、ケーブル端部ストップ1492を受け入れるように適合された第2切抜き1490を設けることができる。タブ1482に、スロット1487を形成することができる。スロット1487により、第1ケーブル1496および第2ケーブル1500のプーリ1458への結合が容易になる。ケーブル保持器キャップ1484を、クリップ1494によりタブ1482に取り付けることができる。ケーブル保持器キャップ1484は、第1ケーブル1496を受け入れるように適合されている。第1ケーブル1496を、図67〜図70に部分的に示す。第1ケーブル1496は、たとえば止めねじ1497によってケーブル保持器キャップ1484に取り付けられている。止めねじ1497は、穴1498にねじ込まれる。止めねじ1497は、第1ケーブル1496をケーブル保持器キャップ1484(図70)に対して挟みつける。第1ケーブル1496の端部1496Aは、ケーブル保持器キャップ1484を越えて延在することができる。通常、端部1496Aは、ケーブル保持器キャップ1484に近接して切断されている。一実施形態では、止めねじ1502は、第2ケーブル1500をケーブル保持器キャップ1484に部分的固定するように適合されている。ケーブル保持器キャップ1484には、第1ケーブル1496および第2ケーブル1500用の内部導管が設けられている。明確にするために、図67〜図69には、第2ケーブル1500の一部のみを示す。第1ケーブル1496は、プーリ1458の周囲に巻き付き、第1ケーブルハウジングストップ1476においてシフト機構1450から出ることができる。第2ケーブル1500は、プーリ1458の周囲に巻き付き、第2ケーブルハウジングストップ1478においてシフト機構1450から出ることができる。
【0090】
一実施形態では、クリップ1494は、タブ1482に形成されたリップ1493に結合するように適合された屈曲部1504を有する略ばね状部材である。クリップ1494には、屈曲部1504から延在する第1延長部1506が設けられており、クリップ1494は、ケーブル保持器キャップ1484の一部を概して覆うように構成されている。クリップ1494には、屈曲部1504から延在する第2延長部1508が設けられており、クリップ1494は、それを取り除くかまたは組み立てる手段を提供するように適合されている。クリップ1494に、第2ケーブル1500用の隙間を提供するようにスロット1510を設けることができる。
【0091】
組み立てられると、第1ケーブル1496に対し、プーリ1458の第1方向における回転、したがってたとえばアンダードライブ比からオーバードライブ比に向かうCVTの比の変更を容易にする傾向がある力を加えることができる。第2ケーブル1500に対し、プーリ1458の第2方向における回転、したがって、たとえばオーバードライブ比からアンダードライブ比に向かうCVTの比の変更を容易にする傾向がある力を加えることができる。
【0092】
上述したことは、いくつかの構成要素またはサブアセンブリに対して寸法を提供していることが留意されるべきである。言及した寸法または寸法の範囲は、最良の形態等、一定の法的要件に可能な限り従うために提供されている。しかしながら、本明細書に記載した本発明の範囲は、特許請求の範囲の文言によってのみ確定されるべきであり、したがって、指定された寸法または寸法の範囲を特徴とする請求項がない限り、言及した寸法のいずれも、本発明の実施形態に対して限定するものとみなされるべきではない。
【0093】
上述した説明は、本発明のいくつかの実施形態を詳述している。しかしながら、上記の文面がいかに詳細に見えようと、本発明を多くの方法で実施することができることが理解されよう。同様に上述したように、本発明の所定の特徴または態様を説明する時に特定の用語を使用する場合、それは、その用語が、関連する発明の特徴または態様の任意の固有の特性を含むものと限定されるように本明細書において再定義されていることを意味するものとみなされるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトラクション遊星アセンブリを有する無段変速機(CVT)用のステータアセンブリであって、
複数の半径方向ガイドスロットを有する第1ステータと、
前記第1ステータと同軸の第2ステータであって、前記第1ステータおよび前記第2ステータが互いに対して回転するように構成され、前記第2ステータが複数の半径方向に角度をなすガイドスロットを有する、第2ステータと、
前記第1ステータおよび前記第2ステータと同軸の反作用部材と、
前記反作用部材および前記第1ステータに結合された複数の偏心歯車と、
前記偏心歯車の各々に結合されたステータドライバと、
を具備するステータアセンブリ。
【請求項2】
前記偏心歯車に、前記反作用プレートに結合するように適合されたカムローブが設けられている、請求項1に記載のステータアセンブリ。
【請求項3】
各偏心歯車に、前記第2ステータに結合するように適合された反作用ローブが設けられている、請求項2に記載のステータアセンブリ。
【請求項4】
前記カムローブに、前記反作用ローブの回転中心からずれている回転中心が設けられている、請求項3に記載のステータアセンブリ。
【請求項5】
前記カムローブに結合された摺動ブロックであって、前記第2ステータに接触するように配置された摺動ブロックをさらに具備する、請求項2に記載のステータアセンブリ。
【請求項6】
各偏心歯車に結合されたばねであって、前記第1ステータに結合されたばねをさらに具備する、請求項1に記載のステータアセンブリ。
【請求項7】
前記反作用部材が、前記第1ステータと前記第2ステータとの間に配置される、請求項1に記載のステータアセンブリ。
【請求項8】
前記半径方向に角度をなすスロットが、前記半径方向スロットに対して或る角度を形成し、前記角度が3〜45度の範囲である、請求項1に記載のステータアセンブリ。
【請求項9】
前記角度が20度である、請求項8に記載のステータアセンブリ。
【請求項10】
前記角度が10度である、請求項8に記載のステータアセンブリ。
【請求項11】
第1ステータおよび第2ステータに結合された複数のトラクション遊星アセンブリを有する無段変速機(CVT)用のシフト機構であって、
前記第1ステータに動作可能に結合されたステータドライブと、
スプライン内部ボアを有するプーリと、
前記プーリの前記内部ボアに結合された複数の遊星歯車と、
前記CVTのメインシャフトに動作可能に結合された反作用アームと、
前記反作用アームに結合された太陽歯車であって、各遊星歯車に結合された太陽歯車と、
前記遊星歯車に結合されたケージであって、前記ステータドライバに結合されたスプライン内部ボアを有するケージと、
を具備し、
前記プーリが第1制御ケーブルおよび第2制御ケーブルを受け入れるように適合された、シフト機構。
【請求項12】
前記ステータドライバが前記第2ステータに対して前記第1ステータを回転させるように構成された、請求項11に記載のシフト機構。
【請求項13】
前記プーリに結合されたケーブル保持器キャップをさらに具備する、請求項11に記載のシフト機構。
【請求項14】
前記反作用アームが、第1ケーブルハウジングおよび第2ケーブルハウジングを支持するように適合された、請求項12に記載のシフト機構。
【請求項15】
前記ケーブル保持器キャップに取り付けられたクリップをさらに具備する、請求項14に記載のシフト機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37A】
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【図37B】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46A】
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【図46B】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【公表番号】特表2012−524225(P2012−524225A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506182(P2012−506182)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/031100
【国際公開番号】WO2010/120933
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(502252415)フォールブルック テクノロジーズ インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】