説明

無水ランタノイド塩溶液及びその調製方法

本発明は、MX3・zLiAが溶媒中にあり、Mは、ランタンを含めたランタノイド、イットリウム、又はインジウムであり;z>0であり;X及びAは、独立に又は共に一価のアニオンであり、好ましくは、Cl、Br又はIである無水溶液に関する。当該溶液は、MX3又はその水和物と、z当量のLiAとを、水又は親水性溶媒又はそれらの混合溶媒に溶解又は懸濁させ、真空下で溶媒を除去し、得られる粉体を別の溶媒に溶解させることによって容易に調製される。MX3・zLiAの溶液は、例えば、グリニャール試薬のケトン類及びイミン類への付加反応に有利に用いることができる。MX3・zLiAの触媒的な使用も可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランタノイド塩の無水溶液、当該溶液の調製方法、及び当該溶液の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ランタノイド(III)塩は、カルボニル化合物又はイミン誘導体を、有機金属類の1,2付加に対して活性化するために特に用いられている(非特許文献1a)。ランタノイド塩のオキソフィリックな性質は、エノール化や(β−ヒドリド転移による)還元等の競争反応に比較して、1,2−付加反応を促進する(非特許文2a)。ヒドリド錯体のカルボニル基への1,2−付加もまた、促進され得るものであり、ランタノイド塩が存在すると、例えば、二重結合の競争的な還元反応が劇的に減少し得る(非特許文献2d,e)。さらなる応用が、ルイス酸触媒による付加環化反応の分野において発表されている(非特許文献1b)。触媒の活性は、触媒の乾燥、及び特に触媒の溶解性に大きく依存している(非特許文献3、4)。有機溶媒に多量に溶解し得るランタノイド塩の種類は、ごくわずかである(非特許文献5)。
【0003】
現在まで、有機金属化合物の、カルボニル化合物又はイミン誘導体への付加を促進するために、(CeCl3を用いる)Imamoto法が用いられていた。しかし、当該方法は、官能性のグリニャール試薬をカルボニル誘導体へ付加する場合には、使用できない。
【0004】
通常、ハロゲン化ランタノイドは、水分を除くために真空下で加熱される。この操作では、しばしば、不溶な高分子量化したハロゲン化ランタノイドが生じたり、水を完全に除くことができない。通常、ランタノイド塩は、ポリマー構造を形成する傾向にある。このポリマー構造のランタノイド塩は、不溶性であるか、少なくとも溶解性が非常に低い。
【0005】
したがって、これらの塩の無水溶液を容易に調製できることが望まれている。また、有機金属類の、カルボニル化合物又はイミン誘導体への1,2−付加反応において向上した活性を有するハロゲン化ランタノイドの溶液を得ることが望まれている。グリニャール試薬と、エノール化可能な又は立体遮蔽されたカルボニル化合物及びイミン類との反応に、MX3を使用できればさらに有益である。
【0006】
独立形式で記載された請求項の主題は、これらの課題の解決手段を与えるものである。好ましい実施形態については、従属クレームに記載した。
【非特許文献1】a) S. Kobayashi, M. Sugiura, H. W. L. Lam, Chem.Rev. 2002, 102, 2227; b) S. Kobayashi, K. Manabe, Acc. Chem. Res. 2002, 35, 209.
【非特許文献2】a) T. Imamoto, Y. Sugiyura, N. Takiyama, Tetrahedron Lett. 1984, 25, 4233; b) T. Imamoto, N. Takiyama, K. Nakamura, Tetrahedron Lett. 1985, 26, 4763; c) T. Imamoto, Y. Sugiyura, N. Takiyama, T. Hatojima, Y. Kamiya, J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, 4392; c) H. Schumann, M. Glanz, J. Gottfriedsen, S. Dechert, D. Wolff, Pure and Appl. Chem. 2001, 73, 279; d) J.-L. Luche, J. Am. Chem. Soc. 1978, 100, 2226; e) A. L. Gemal, J.-L. Luche, J. Am. Chem. Soc. 1981, 103, 5454
【非特許文献3】V. Dimitrov, K. Koslova, M. Genov, Tetrahedron Lett. 1996, 37, 6787.
【非特許文献4】a) U. Groth, M. Jeske, Angew. Chem. Int. Ed. 2000, 39, 574; b) U. Groth, M. Jeske, Synlett 2001, 129; c) S. Fischer, U. Groth, M. Jeske, T. Schutz, Synlett 2002, 1922; see also d) W.-D. Z. Li, J.-H. Yang, Org. Lett. 2004, 6, 1849; e) D. Tsvelikhovsky, D. Gelman, G. A. Molander, J. Blum, Org. Lett. 2004, 6, 1995; f) M. Shenglof, D. Gelman, G. A. Molander, J. Blum, Tetrahedron Lett. 2003, 44, 8593; g) P. Eckenberg, U. Groth, T. Kohler, Liebigs Ann. Chem. 1994, 673; h) M. Hatano, T. Matsuma, K. Ishkihara, Org. Lett. 2005, 7, 573; i) S. Fukuzawa, T. Fujinami, S. Yamauchi, S. Sakai, J. Chem. Soc. Perkin Trans. I 1986, 1929; j) F. T. Edelmann, D. M. M. Freckmann, H. Schumann, Chem. Rev. 2002, 102, 1851.
【非特許文献5】Y. Y. Novikov, P. Sampson, Org. Lett. 2003, 3, 2263.
【非特許文献6】A. Krasovskiy, P. Knochel, Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 3333.
【発明の開示】
【0007】
本発明者らは、リチウム塩LiA、好ましくはLiClの使用が、金属塩(MX3、M=Ln、Y、In)の無水溶液の調製に有益であることを見出した。
【0008】
これらの金属の無水錯体塩は、リチウム塩の存在下、MX3より容易に調製することができる。この無水塩は、例えば、THFのようなエーテル系溶媒に溶解することができる。この無水塩は、ランタンを含めた全てのランタノイド元素、ならびにイットリウム及びインジウムに適用される。
【0009】
【化1】

【0010】
本発明の第一の局面によれば、MX3・zLiAが溶媒中にある、無水溶液が提供される。ここで、Mは、イットリウム、インジウム、又はランタンを含めたランタノイドであり;z>0であり;X及びAは、独立に又は共に一価のアニオンである。
【0011】
本発明の第二の局面によれば、MX3・zLiAが溶媒中にある無水溶液が、以下の工程を含む方法により調製される。
a)MX3、z当量のLiA、及び必要に応じ第1の溶媒を密に混合する工程;
b)工程a)で作製した混合物から、溶媒及び/又は水を除去する工程;
c)工程b)で作製した粉体に第2の溶媒を加えて、溶液を作製する工程;
ここで、M、X、A及びzは上記と同義である。
【0012】
本発明の第三の局面によれば、MX3・zLiAの無水塩が提供される。ここで、M、X、A及びzは上記と同義である。
【0013】
本発明の第四の局面によれば、化学反応においてのMX3・zLiAの使用方法が提供される。
【0014】
好ましい実施態様では、X及びAは、独立に又は共に、F;Cl;Br;I;CN;SCN;NCO;HalOn(n=3又は4、Halは、Cl、Br及びIから選ばれる);NO3;BF4;PF6;AsF6;SbF6;H;一般式RCO2のカルボキシレート;一般式(R3Si)2Nのジシラジド;一般式SRのチオレート;RP(O)O2;SCOR;一般式RNHのアミン;一般式R2N(Rは下記の定義の通り又はR2Nは環状アルキルアミンを示す)のジアルキルアミン又はジアリールアミン;一般式PR2(Rは下記の定義の通り又はPR2は環状ホスフィンを示す)のホスフィン;OnSR(n=2又は3);又は、NOn(n=2又は3)、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれ、Rは、置換又は無置換のC4−C24アリール、あるいは、B、O、N、S、Se、P又はSiとしてヘテロ原子を1個又は2個以上含むC3−C24ヘテロアリール;直鎖状又は分岐状の、置換又は無置換のC1−C20アルキル;C2−C20アルケニル又はC2−C20アルキニル;又は、置換又は無置換のC3−C20シクロアルキル;又はそれらの誘導体、又はHである。
【0015】
好ましくは、X及びAは、同一種のアニオンであり、最も好ましくはClである。
【0016】
別の好ましい態様によれば、z≧1である。安定な錯体アニオンが形成されると推定できることから、より好ましいzの値は、z≧2である。zは、Mのモル量に対するLiAのモル量である。その一方、トレース量のLiAでも、MX3の溶媒への溶解を促進することができる。従って、本発明によれば、LiAは、いかなる割合であってもよい。無水塩の溶媒への溶解を容易にするために、LiAを、市販のMX3の無水塩に添加することもできる。上記の観点から、さらに好ましい実施態様では、zは、0.5<z<3の範囲にあり、好ましくは、2≦z<3の範囲にある。
【0017】
本発明は、金属塩に適用される。ランタノイド族は、これらの金属の殆どを含む。したがって、金属との用語及びランタノイドとの用語は、本願においては、置き換え可能なものとして使用する。Mは、イットリウム、インジウム、又はランタンを含めたランタノイド、すなわち、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムである。特に好ましいランタノイドは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)及びネオジム(Nd)である。
【0018】
本発明は、化学量論式がMX3となるような一価のアニオンの使用について上記に説明したが、二価、三価又は多価アニオンを使用することもできる。したがって、アニオンとして例えば、スルフェート又はホスフェートを用い、M2(SO43又はMPO4のような塩とすることもできる。
【0019】
本発明は、MX3・zLiAが、MX3・zLiAを溶解可能な溶媒中にある、溶液に適用される。好適な溶媒は、環状、直鎖状又は分岐状の、モノ又はポリエーテル類、チオエーテル類、アミン類、ホスフィン類、O、N、S及びPから選ばれる1個又は2個以上のヘテロ原子をさらに含むそれらの誘導体、好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン(好ましくは、1,4−ジオキサン)、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルスルフィド、ジブチルスルフィド;環状アミド、好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、N−ブチル−2−ピロリドン(NBP);環状、直鎖状又は分岐状の、1個又は2個以上の水素がハロゲンで置換された、アルカン類及び/又はアルケン類、好ましくは、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、CCl4;尿素誘導体類、好ましくは、N,N’−ジメチルプロピレンウレア(DMPU);芳香族、複素芳香族、又は脂肪族の、炭化水素類、好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、ペンタン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン;ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、CS2;又はこれらの組み合わせから選ばれる。
【0020】
また一方、当業者は、無水塩の簡単な溶解試験によって、不当な負担及び創作的活動なく、溶媒を決定することができる。
【0021】
本発明のまた別の好ましい実施態様によれば、本発明の溶媒は、1モル/lを含め、3モル/l以下の濃度でMを含有する。好ましくは、溶媒はMを、0.05〜2モル/l、より好ましくは0.1〜1.5モル/l、さらに好ましくは0.2〜1.3モル/l、最も好ましくは0.3〜0.8モル/lの濃度で含有する。0.1モル/l、0.2モル/l、0.25モル/l、0.33モル/l、0.5モル/l、1.0モル/l、及び2.0モル/lの濃度が特に好ましい。その一方、溶液は、ミリモルの範囲の濃度で調製してもよい。
【0022】
当該溶液は、不活性ガス雰囲気下で、好ましくは、無水不活性ガス雰囲気下で、ランタノイドの活性を失うことなく数ヶ月間保存することができる。さらに、溶液に乾燥剤を添加してもよい。溶媒に不溶ないかなる乾燥剤を使用することができる。当該乾燥剤の例としては、これらに限定されるものではないが、モレキュラーシーブス、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、ビーズ状シリカ、粉体シリカ、酸化アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、及びリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0023】
ここで用いられる「無水」の用語は、水分含有量が低減された塩又は溶液に関するものである。これらの溶液はまた、非水系溶媒として知られている。Mの含有量に対する水分含有量は、できるだけ低いことが好ましい。残存する含有水分は、例えば、グリニャール試薬のケトンへの付加反応を阻害するおそれがある。したがって、水分含有量を最小限まで減らすことが好ましい。しかし、溶液が、残存する水を含む場合であってもなお、本発明の溶液の使用は、過剰の反応物が必要になる場合があるが、反応に対し有益である。通常、溶液に含まれる水分が少ないほど、反応の完結に必要な有機金属試薬は少なくなる。発明のコンセプトは、第一義的には、LiAの添加という手段によってMX3が溶媒中にある無水溶液の調製を可能にすることである。LiAの添加は、ランタノイド塩の溶解性を向上させ、残存する水分の除去を容易にするものである。
【0024】
MX3・zLiAの溶液の調製の一般的な手順は、MX3及びz当量のLiAを密に混合することを含む。当該混合は、固体のMX3及びLiAを混合すること、又は対応する水和物若しくは溶媒付加物を混合することを含む。当該混合は、水又は親水性溶媒又はこれらの混合物の、溶液又は懸濁液の形態で行われてもよい。親水性溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、又はこれらの混合物が挙げられる。当該混合は、スラリー又は分散液の形態で行われてもよい。しかし、固体を混合する場合には、密な混合物を確実に得るために、混合は、機械的な攪拌手段により行うべきである。また、混合物が、溶液、スラリー又は分散液の形態である場合には、混合は、攪拌操作を含むものであってよい。成分の混合は、反応物とイオンの交換が行われるよう激しく行われることが好ましい。反応物又はイオンの交換は、溶媒により促進されるが、これに限られない。
【0025】
得られる混合物より、任意の溶媒及び/又は水を除去する。これは、減圧を利用して行うことができる。減圧は、0.01mmHg程の低さの圧力の高真空であってもよい。任意の溶媒及び/又は水の除去は、機械的攪拌のような攪拌下で行ってもよい。別の好ましい実施態様では、任意の溶媒及び/又は水は、凍結乾燥によって除去される。
【0026】
当該除去を促進するために、混合物を加熱してもよい。さらに混合物を乾燥するために、好ましくは減圧下で、160℃まで、さらには200℃まで加熱してもよい。好ましい実施態様では、混合物は、加熱中攪拌され、さらに別の好ましい実施態様では、数時間以下の時間、異なるレベルで温度を維持しながら、段階的に加熱を行う。一例として、混合物は、40℃で4時間、60℃で4時間、80℃で4時間、100℃で4時間、120℃で4時間、140℃で4時間、160℃で4時間、加熱してよい。このわずかに連続的な及び/又は段階的な温度上昇操作により、高分子量体の形成を避けることができ、この高分子量体は、溶媒への溶解が困難であり、所望の反応において完全に不活性ともなる。なお、高分子量体の形成を避けるために、加熱の途中で固体を粉砕すること、又は連続して機械的攪拌することも、重要である。
【0027】
得られる粉体は、使用するまで、不活性ガス雰囲気下で貯蔵することができる。好ましくは、得られる粉体を室温まで冷却した後、溶媒を添加してMX3・zLiAの溶液を調製してもよい。また、溶媒の添加の前又は後に、乾燥剤を加えてもよい。乾燥剤は、選択した溶媒に不溶性であることが好ましい。乾燥剤は、好ましくは、モレキュラーシーブス、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、ビーズ状シリカ、粉体シリカ、酸化アルミニウム、及びリン酸ナトリウムからなる群より選ばれるが、これらに限られない。乾燥剤を使用前に除去してもよい。
【0028】
溶媒は、MX3・zLiAを溶解可能な溶媒又は混合溶媒から任意に選ぶことができる。好ましい溶媒は、上記の通りである。
【0029】
得られる溶媒は、Mの含有量に対する水分含有量が、15%より低く、10%より低いことが好ましく、5%より低いことがより好ましく、1%より低いことが最も好ましい。
【0030】
溶媒は、得られる溶液が所定の濃度となるような量を添加してもよい。好ましい濃度は、例えば、0.1M溶液、0.2M溶液、0.25M溶液、0.33M溶液、0.5M溶液、又は1.0M溶液である。また一方、当業者は、固体の最大濃度以下の、すなわち、溶解度積に達するまでのいかなる濃度でも、容易に調製できるとわかるだろう。この得られる溶液は、窒素若しくはアルゴンなどの希ガスのような不活性ガス下で、又は上記の乾燥剤を加えることによって、失活させることなく貯蔵することができる。
【0031】
好ましい実施態様では、溶液中に残存する水の量を、モレキュラーシーブス又は他の乾燥剤を添加することによってさらに減少させてもよい。乾燥モレキュラーシーブスは、溶液からさらに水を付着する。モレキュラーシーブス上で溶液を貯蔵することもできる。好ましいモレキュラーシーブスは、4Åのモレキュラーシーブスである。モレキュラーシーブスは、使用前に、例えばろ過によって除去してよい。
【0032】
本発明の別の好ましい実施態様では、残存する水分の量を、溶媒と残存する水の共同除去、例えば、溶媒としてのTHFの共沸蒸留、又は例えばSOCl2を用いたさらなる乾燥によってさらに減少させることができる。得られる粉体は、MX3・zLiAを溶解可能な上記のいかなる溶媒に、再溶解させてよい。溶媒は、出荷コストを減らすために、出荷の前に除去してもよい。使用の前に容易に溶液に戻すことができる。得られる固体又は粉体は、MX3・zLiAを含むものである。この得られる固体又は粉体は、残存溶媒を、塩に溶媒が付加する形態でさらに含有していてもよい。残存溶媒は、塩の溶媒への再溶解を容易にするものである。
【0033】
本発明の溶液は、多くの化学分野において有益である。一例として、反応の種類を選ぶことによって、その有利な特性が得られる。しかし、当業者は、当該溶液を、ランタノイドが用いられる多くの他の分野において使用できることを十分に理解するだろう。したがって、以下の例は本発明の範囲を限定するものとして理解してはならない。
【0034】
得られる溶液は、カルボニル誘導体又はカルボン酸誘導体と、グリニャール試薬、有機リチウム試薬又はヒドリド錯体のような求核剤との反応の促進に有利に用いることができる。当該溶液は、以下のスキーム1に示されるように、グリニャール試薬(1)の、種々のかさ高く容易にエノール化されるケトン(2)への付加を特に促進し、タイプ3の三級アルコールを生成させる。
【0035】
【化2】

【0036】
スキーム1.有機マグネシウム試薬とケトンとの反応生成物(R1、R2及びR3は独立に、置換又は無置換のC4−C24アリール、あるいは、B、O、N、S、Se、P又はSiとしてヘテロ原子を1個又は2個以上含むC3−C24ヘテロアリール;直鎖状又は分岐状の、置換又は無置換のC1−C20アルキル、C2−C20アルケニル又はC2−C20アルキニル;又は、置換又は無置換のC3−C20シクロアルキル;又はそれらの誘導体である。)
【0037】
これらの反応で通常得られる副生物は、ケトンのエノール化に対応する、マグネシウムエノレート4、及びβ−ヒドリド還元で生じるアルコール5である。ランタノイド塩を添加することによって、これらの副反応が最小限に抑えられる。比較例の結果を後記の表1に示す。
【0038】
後記の表1よりわかるように、かさ高いグリニャール試薬又はかさ高いケトン(例えば、表1の1g、1h及び2hの化合物)の反応が顕著に増加している。さらに、ショウノウ(2j)を添加すると、極めてジアステレオ選択的である。
【0039】
シクロヘキセノンなどのα,β−不飽和ケトンの場合、シクロペンチルマグネシウムクロリドなどの二級アルキルマグネシウム化合物の付加は、もっぱらMX3・zLiA、好ましくはLaCl3・2LiClの存在下で進行し、93%の収率で所望の三級アリルアルコール6が生成する。当該塩の不存在下では、観測される唯一の生成物は、77%の収率で単離できるアリルアルコール7である(スキーム2)。
【0040】
【化3】

【0041】
スキーム2.MCl3・2LiCl(MはLa)により促進される、グリニャール試薬のシクロヘキセノンへの1,2−付加
【0042】
金属(III)塩はまた、スキーム3に明確にケトン類に示される、カルボニル誘導体への有機リチウム化合物の付加を促進する。所望のアルコールの実質定量的な収率を達成でき、一方、他の方法では、これよりも悪い結果となった。したがって、n−BuLiのシクロペンタノンのへ付加によって、0℃で、96−98%の収率で所望のアルコールが生成し、一方、Imamoto法を用いると、低温(−78℃)及びより長い反応時間が必要となり、収率も低い。
【0043】
【化4】

【0044】
スキーム3.MCl3・2LiCl(MはLa)により促進される、n−BuLiのシクロペンタノンへの1,2−付加
【0045】
最後に、触媒量(例えば10モル%)のMX3・zLiAでも、グリニャール試薬の、例えば9などの非活性化イミン類への付加の促進には十分である。触媒が無い場合には、アミン10が15%の収率で単離されるが、LaCl3・2LiCl(10モル%)の存在下では、付加生成物10が、84%の収率で得られる。同様に、ビニルマグネシウムクロリドのイミン11への付加によって、87%の収率でビスアリルアミン11が得られる(スキーム4)。ハロゲン化ランタノイドの触媒的な使用が、本発明のランタノイド溶液の使用により可能になる。
【0046】
【化5】

【0047】
スキーム4.グリニャール試薬のイミンへの、LaCl3・2LiCl触媒による付加
【0048】
MX3・zLiAの存在下での、ケトン又はイミンとグリニャール試薬との付加反応の間、使用される溶媒は、無水溶媒である。ランタノイド塩は、色々な方法により、回収できる。例えば、トレース量の水を付加すれば、ランタノイド塩が沈殿を始め、反応混合物から容易に除去することができる。沈殿した塩はリサイクルして用いることができる。
【実施例】
【0049】
実施例1 LaCl3・2LiClのTHF溶液の調製
丸底フラスコで、市販のLaCl3・6H2O(0.10mol、35.3g)をLiCl(0.20mol、8.40g)と混合し、激しく攪拌しながら水(100mL)をゆっくりと加えた。得られたスラリーを、高真空下(0.01mmHg)室温で4時間攪拌した。攪拌は、40℃で4時間、60℃で4時間、80℃で4時間、100℃で4時間、120℃で4時間、140℃で4時間、最後に160℃で4時間、続けた。ゆっくりとした温度上昇及び高効率の攪拌は重要である。得られた固体を室温まで冷却し、合計で333mLになるまでTHFを加えた。次に、モレキュラーシーブス(4Å)を加え、得られた混合物を、室温で1時間激しく攪拌した。最後に、不溶な物質すべて(主に粉砕したモレキュラーシーブス)を、アルゴン雰囲気下で、複合ろ過システム(新たなモレキュラーシーブス/紙)でろ過した。この操作によって、透明で無色のLaCl3・2LiCl溶液が得られ、使用までアルゴン下室温で保存した。
【0050】
YCl3・2LiCl、CeCl3・2LiCl、NdCl3・2LiCl、PrCl3・2LiCl、DyCl3・2LiCl及びErCl3・2LiClもまた、実施例1に準じて首尾よく調製した。
【0051】
以下の表1に、本発明の種々の塩の概要と、THFへのその溶解性を示す。これらの塩は、実施例1において適宜、LaCl3・6H2Oを対応するランタノイド水和物に代え、LiClを対応するリチウム塩に代えることにより(方法A)、あるいは窒素雰囲気下(グローブボックス)で無水塩を混合し、得られる混合物を無水THFに溶解させることにより(方法B)、対応するランタノイド水和物より調製した。場合により、加熱(4時間、50℃)を行った。26の溶液のそれぞれのアリコートについて、EDTA滴定により、溶液のモル濃度を分析した。
【0052】
【表1】

【0053】
1 調製に用いた化学量論。
2 値は、達成可能な最小の溶解度を示す。より高い濃度も可能である。濃度は、メチルチモールブルーを指示薬に用い、ウロトロピン緩衝溶液中、アリコートのEDTA滴定により求めた。
3 産業連携により得られた値。
4 50℃、4時間の加熱を適用。
5 ±0.02;EDTA滴定においてはっきりとした色変化無し。
【0054】
実施例2 ケトン類とイミン類(A)との反応の一般的手順
セプタムとマグネチックスターラーバーを備え、アルゴン気流下の、火炎乾燥したシュレンク管に、LaCl3・2LiClのTHF溶液(0.33M;6.06mL、2.00mmol、1.00当量;イミン類の場合には10モル%のLaCl3・2LiClのTHF溶液のみを用い、空き容積は、無水THFで満たした)を加えた。ケトン(2.00mmol)をニートで加え、得られた混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、グリニャール試薬(THF溶液、2.10mmol、1.05当量)を滴下して加え、反応混合物を同温度で攪拌した。反応率を、反応アリコートのGC分析によりモニターした。反応率が100%に達した後、飽和NH4Cl水溶液(2mL)及び水(2mL)を加えた。水層をエーテル(4×10mL)で抽出し、抽出分を合わせて乾燥(Na2SO4)後、エバポレーターにより減圧濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。
【0055】
実施例3 ケトン(B)との反応の一般的手順
セプタムとマグネチックスターラーバーを備え、アルゴン気流下の、火炎乾燥したシュレンク管に、LaCl3・2LiClのTHF溶液(0.33M;6.06mL、2.00mmol、1.00当量)を0℃で加えた。次に、グリニャール試薬(THF溶液、2.10mmol、1.05当量)を滴下して加え、混合物を同温度で1時間攪拌した。次いで、ケトン(2.00mmol)をニートで加え、得られた反応混合物を、25℃まで加温し、この温度で1時間攪拌した。反応率を、反応アリコートのGC分析によりモニターした。反応率が100%に達した後、飽和NH4Cl水溶液(2mL)及び水(2mL)を加えた。水層をエーテル(4×10mL)で抽出し、抽出分を合わせて乾燥(Na2SO4)後、エバポレーターにより減圧濃縮した。粗残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。
【0056】
【表2−1】

【0057】
【表2−2】

【0058】
【表2−3】

【0059】
[a]ケトンとグリニャール反応との直接の反応で得られた単離収率。[b]Imamoto法によりCeCl3(1.5当量)の存在下で得られた単離収率。[c]Dimitrov法によりCeCl3(1.0当量)の存在下で得られた単離収率。[d]LaCl3・2LiCl(1.0当量)を用いて行った反応。[e]CeCl3・2LiCl(1.0当量)を用いて行った反応。[f]NdCl3・2LiCl(1.0当量)を用いて行った反応。
【0060】
1−イソプロピル−シクロペンタノール(3a)の調製
実施例2に従い、i−PrMgCl(3.30mL;3.30mmol;1.10当量)を、LaCl3・2LiCl(0.33M;9.09mL、3.00mmol、1.00当量)の存在下シクロペンタノン(252mg;3.00mmol)と反応させた。転化は、5分後に完結した(GCモニタリング)。ワークアップ及び注意深く溶媒を減圧下でエバポレーションした後、所望の生成物を、無色油状物として得た(353mg、92%)。分析データは、文献値と一致していることがわかった。
C. S. A. Antunes, M. Bietti, O. Lanzalunga, M. Salamome, J. Org. Chem. 2004, 16, 5281
【0061】
1−イソプロピル−シクロヘキサノール(3b)の調製
実施例2に従い、i−PrMgCl(3.30mL;3.30mmol;1.10当量)を、LaCl3・2LiCl(0.33M;9.09mL、3.00mmol、1.00当量)の存在下シクロヘキサノン(294mg;3.00mmol)と反応させた。転化は、5分後に完結した(GCモニタリング)。ワークアップ及び注意深く溶媒を減圧下でエバポレーションした後、所望の生成物を、無色油状物として得た(418mg、98%)。分析データは、文献値と一致していることがわかった。
C. S. A. Antunes, M. Bietti, O. Lanzalunga, M. Salamome, J. Org. Chem. 2004, 16, 5281.
【0062】
1−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール(3c)の調製
実施例2に従い、i−PrMgCl(1.10mL;1.10mmol;1.10当量)を、LaCl3・2LiCl(0.33M;3.00mL、1.00mmol、1.00当量)の存在下3,4−ジヒドロ−1(2H)−ナフタレノン(146mg;1.00mmol)と反応させた。転化は、5分後に完結した(GCモニタリング)。ワークアップ及び注意深く溶媒を減圧下でエバポレーションした後、所望の生成物を、無色油状物として得た(180mg、95%)。分析データは、文献値と一致していることがわかった。
T. Imamoto, Y. Sugiyura, N. Takiyama, T. Hatojima, Y. Kamiya, J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, 4392.
【0063】
2−ベンジル−3−メチル−1−フェニル−ブタン−2−オール(3d)の調製
実施例2に従い、i−PrMgCl(1.10mL;1.10mmol;1.10当量)を、LaCl3・2LiCl(0.33M;3.0mL、1.00mmol、1.00当量)の存在下1,3−ジフェニルアセトン(210mg;1.00mmol)と反応させた。転化は、5分後に完結した(GCモニタリング)。ワークアップ及び注意深く溶媒を減圧下でエバポレーションした後、所望の生成物を、白色固体(mp=52−53℃)として得た(241mg、95%)。分析データは、文献値と一致していることがわかった。
G. Boche, K. Buckl, D. Martens, D. R. Schneider, Liebigs Ann. Chem. 1980, 7, 1135.
【0064】
4−(1−ベンジル−1−ヒドロキシ−2−フェニル−エチル)−ベンゾイックアシッドエチルエステル(3e)の調製
実施例2に従い、グリニャール試薬1b(エチル−4−ヨードベンゾエート(607mg、2.20mmol、1.10当量)とi−PrMgCl・LiCl(1.0MTHF溶液;2.16mL、2.16mmol、1.08当量)から−20℃でヨウ素−マグネシウム交換(非特許文献6)して新たに調製した。)を、LaCl3・2LiCl(0.33M;6.06mL、2.00mmol、1.00当量)の存在下ジフェニルアセトン(420mg;2.00mmol)と反応させた。粗生成物をヘプタンより再結晶して、4−(1−ベンジル−1−ヒドロキシ−2−フェニル−エチル)−ベンゾイックアシッドエチルエステル(3e)を、無色固体の結晶として得た(662mg、92%)。
mp: 126 - 128℃.
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ[ppm] = 7.94 (d, 2 H, J = 8.45 Hz); 7.34 (d, 2 H, J = 8.45 Hz); 7.15 (m, 6 H); 6.95 (m, 4 H); 4.37 (q, J = 7.14 Hz); 3.32 (d, 2 H, J = 13.48 Hz); 3.13 (d, 2 H, J = 13.48 Hz); 1.99 (s, 1 H); 1.39 (q, J = 7.14 Hz).
13C-NMR (300 MHz, CDCl3): δ[ppm] = 166.6; 150.5; 135.8; 130.6; 129.1; 128.7; 128.0; 126.7; 125.9; 77.2; 60.9; 48.7; 14.3.
MS (EI): m/z (%) = 361 (0.4, [M+H]+); 315 (5); 270 (19); 269 (100); 241 (3); 197 (6); 177 (22); 149 (6); 121 (3); 105 (10); 91 (14); 65 (3).
HR-MS: (C24H24O3) calculated: 361.1804 ([M+H]+) found: 361.1817.
IR (KBr): ν/cm-1 = 3500 (m); 3061 (w); 3030 (w); 2978 (w); 2920 (w); 1700 (vs); 1607 (s); 1571 (w); 1499 (m); 1477(m); 1454 (m); 1405 (m); 1371 (s); 1316 (m); 1283 (vs); 1245 (s); 1204 (m); 1185 (m); 1160 (m); 1132 (s); 1113 (s); 1092 (s); 1066 (w); 1038 (m); 1020 (s); 992 (m); 919 (w); 902 (w); 884 (m); 851 (m); 777 (s); 754 (m); 722 (m), 700 (s); 698 (s); 664 (w).
【0065】
4−(1−ベンジル−1−ヒドロキシ−2−フェニル−エチル)−ベンゾニトリル(3f)の調製
実施例2に従い、グリニャール試薬1c(4−ブロモ−ベンゾニトリル(1.00mmol)とi−PrMgCl・LiCl(1.05mmol、1.05当量)から−20℃で臭素−マグネシウム交換(非特許文献6)して新たに調製した。)を、LaCl3・2LiCl(1.00当量)の存在下ジフェニルアセトン(210mg;1.00mmol)と反応させた。粗生成物をヘプタンより再結晶して、所望の生成物を、白色固体(mp=153℃)として得た(268mg、86%)。分析データは、文献値と一致していることがわかった。
K. Fukui et al. J. Org. Chem. 1972, 37, 3176.
【0066】
4−(1−ヒドロキシ−シクロペンチル)−ベンゾニトリル(3i)の調製
実施例2に従い、グリニャール試薬1c(4−ブロモ−ベンゾニトリル(400mg、2.20mmol、1.10当量)とi−PrMgCl・LiCl(1.0MTHF溶液;2.16mL、2.16mmol、1.08当量)から−20℃で臭素−マグネシウム交換(非特許文献6)して新たに調製した。)を、LaCl3・2LiCl(0.33M;6.06mL、2.00mmol、1.00当量)の存在下シクロペンタノン(168mg;2.00mmol)と反応させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;ペンタン:Et2O,7:3)で精製し、所望の生成物を無色油状物として得た(335mg、95%)。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ[ppm] = 7.57 (s, 4 H); 2.04 (s, 1 H); 1.89 (m, 8 H).
13C-NMR (300 MHz, CDCl3): δ[ppm] = 152.3; 131.9; 125.8; 118.9; 110.2; 83.1; 42.4; 24.0.
MS (EI): m/z (%) = 187 (27, M+); 168 (9); 159 (12); 158 (100); 154 (6); 145 (41); 140 (9); 130 (55); 116 (7); 89 (4); 76 (4); 63 (2); 55 (7); 51 (3).
HR-MS: (C12H13NO) calculated: 187.0997 found: 187.0982.
IR (KBr): ν/cm-1 = 3436 (br); 2964 (s); 2874 (m); 2229 (vs); 1928 (w); 1725 (w); 1608 (s); 1503 (m); 1449 (w); 1402 (m); 1323 (w); 1183 (w); 1092 (w), 1040 (w); 1010 (s); 960 (w); 906 (w); 884 (w); 837 (s); 567 (s).
【0067】
2−(6−ブロモ−ピリジン−2−イル)−1−フェニル−プロパン−2−オール(3j)の調製
実施例2に従い、グリニャール試薬1d(2,5−ジブロモピリジン(391mg、1.65mmol、1.10当量)とi−PrMgCl・LiCl(1.00MTHF溶液;1.62mL、1.62mmol、1.08当量)から−10℃で臭素−マグネシウム交換(非特許文献6)して新たに調製した。)を、LaCl3・2LiCl(0.33M;4.55mL、1.50mmol、1.00当量)の存在下1−フェニル−プロパン−2−オン(201mg;1.50mmol)と反応させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;ペンタン:Et2O,9:1、0.2体積%NEt3)で精製し、所望の生成物を無色油状物として得た(355mg、81%)。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ[ppm] = 7.47 (t, 1 H; J = 7.75 Hz); 7.34 (d, 1 H, J = 7.81 Hz); 7.23 (d, 1 H, J = 7.81 Hz); 7.19 (m, 3 H); 6.98 (m, 2 H); 3.16 (d, 1 H; J = 13.54 Hz); 3.03 (d, 1 H; J = 13.54 Hz); 1.55 (s, 3 H).
13C-NMR (300 MHz, CDCl3): δ[ppm] = 166.7; 140.5; 138.8; 136.6; 130.4; 127.9; 126.5; 126.1; 118.4; 74.8; 49.5; 27.6.
MS (EI): m/z (%) = 292 (0.1, M+); 274 (2); 272 (2); 260 (1); 202 (95); 200 (100); 184 (15); 182 (14); 158 (6); 120 (4); 102 (12); 92 (39); 91 (39); 78 (25); 65 (13); 51 (5).
HR-MS: (C14H15BrNO) calculated: 292.0337 found: 292.0325.
IR (KBr): ν/cm-1 = 4062 (w); 3444 (br); 3085 (m); 3062 (m), 3028 (m); 2977 (m), 2922 (m); 2851 (w); 1950 (w); 1885 (w); 1808 (w); 1674 (w); 1581 (s); 1555 (s); 1496 (m); 1454 (s); 1430 (s); 1400 (s); 1366 (s); 1307 (s); 1232 (m); 1198 (m); 1159 (s); 1128 (s); 1080 (m); 1055 (m); 1031 (w); 987 (m); 951 (m); 909 (w); 872 (w); 797 (s); 781 (s); 739 (s); 702 (s); 676 (m); 659 (m); 643 (m); 624 (w); 566 (m); 465 (m).
【0068】
エチル4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル)−3−ニトロベンゾエート(3k)の調製
実施例2に従い、グリニャール試薬1e(エチル−4−ヨード−3−ニトロベンゾエート(353mg、1.10mmol、1.10当量)とPhMgCl・LiCl(0.95MTHF溶液;1.13mL、1.07mmol、1.07当量)から−50℃でヨウ素−マグネシウム交換(非特許文献6)して新たに調製した。)を、LaCl3・2LiCl(0.33M;3.03mL、1.00mmol、1.00当量)の存在下1−フェニル−プロパン−2−オン(201mg;1.00mmol)と反応させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;ペンタン:Et2O,19:1)で精製し、所望の生成物を黄色油状物質として得た(231mg、73%)。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ[ppm] = 8.20 (m, 2 H); 7.80 (d, J = 8.13 Hz); 7.27 (m, 5 H); 4.40 (q, 2 H, J = 7.11 Hz); 3.66 (s, 1 H); 2.00 (s, 3 H); 1.39 (t, 2 H, J = 7.11 Hz).
13C-NMR (300 MHz, CDCl3): δ[ppm] = 164.1; 145.7; 144.4; 132.4; 131.1; 129.2; 128.4; 127.8; 126.0; 125.3; 112.6; 75.9; 61.9; 42.0; 31.0; 14.2.
MS (EI): m/z (%) = 315 (0.4, M+); 300 (100); 270 (5); 238 (5); 223 (6); 222 (46); 194 (3); 178 (2); 165 (2); 152 (5); 121 (9); 105 (3); 103 (2); 77 (4); 43 (7).
HR-MS: (C17H17NO5) calculated: 315.1107 found: 315.1093.
IR (KBr): ν/cm-1 = 2982 (s); 1724 (vs); 1617 (m); 1542 (vs); 1494 (m); 1448 (m); 1370 (s); 1289 (vs); 1131 (s); 1019 (s); 912 (m); 861 (m); 837 (m); 767 (s); 735 (m); 701 (s); 671 (w).
【0069】
2−(2,4,6−トリメチル−フェニル)−プロパン−2−オール(3l)の調製
表1エントリー12
実施例2に従い、MeMgCl(2.9M;0.76mL、2.2mmol、1.10当量)を、LaCl3・2LiCl(0.33M;6.06mL、2.00mmol、1.00当量)の存在下1−(2,4,6−トリメチル−フェニル)−エタノン(324mg、2.00mmol)と反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製(シリカ;ペンタン:Et2O,9:1)により、所望の生成物を無色結晶固体(mp=106−107℃)として得た(217mg、61%)。
【0070】
表1エントリー13
実施例3に従い、メシチルマグネシウムブロミド(1.20MTHF溶液;1.83mL、2.20mmol、1.10当量)をアルゴン雰囲気下の火炎乾燥したシュレンクフラスコに加え、0℃まで冷却した。この温度でLaCl3・2LiCl(0.33M;6.06mL、2.00mmol、1.00当量)をゆっくりと添加した。得られた混合物を室温まで加温し、4時間攪拌した。次いで、0℃に冷却した後、アセトン(116mg、2.00mmol)を加え、反応系を室温まで加温し、この温度でさらに1時間攪拌した。反応完結に至ると(アリコートのGCモニタリング)、飽和NH4Cl水溶液(2mL)及び水(2mL)を加えた。水層をエーテル(4×10mL)で抽出し、抽出分を合わせて乾燥(Na2SO4)後、エバポレーターにより減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィーによる精製(シリカ;ペンタン:Et2O,9:1)により、所望の生成物を無色結晶固体(mp=106−107℃)として得た(245mg、69%)。
いずれの場合も、分析データは、文献値と一致していることがわかった。
J. W. Timberlake, D. Pan, J. Murray, B. S. Jursic, T. Chen, J. Org. Chem. 1995, 16, 5295.
【0071】
1−tert−ブチル−シクロヘキサノール(3m)の調製
実施例2に従い、t−BuMgCl・LiCl(1.01MTHF溶液;2.18mL、2.20mmol、1.10当量)を、LaCl3・2LiCl(0.33M;6.06mL、2.00mmol、1.00当量)の存在下シクロヘキサノン(178mg;2.00mmol)と反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製(シリカ;ペンタン:Et2O,9:1)により、所望の生成物を無色油状物として得、当該油状物は、冷却後結晶化(mp=49−50℃)を始めた(287mg、92%)。
分析データは、文献値と一致していることがわかった。
C. S. A. Antunes, M. Bietti, O. Lanzalunga, M. Salamome, J. Org. Chem. 2004, 16, 5281.
【0072】
1,7,7−トリメチル−2−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール(3n)の調製
実施例2に従い、PhMgBr・LiCl(1.00MTHF溶液;1.10mL、1.10mmol、1.10当量)を、LaCl3・2LiCl(0.33M;3.03mL、1.00mmol、1.00当量)の存在下1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(152mg;1.00mmol)と反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製(シリカ;ペンタン:Et2O,9:1)により、所望の生成物を白色固体(mp=41−42℃)として得た(211mg、92%)。
分析データは、文献値と一致していることがわかった。
G. Rueedi, H.-J. Hansen, Helv. Chim. Acta, 2004, 87, 1968.
【0073】
1,7,7−トリメチル−2−ピリジン−2−イル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール(3o)の調製
実施例2に従い、2−PyMgCl・LiCl(1.00MTHF溶液;1.10mL、1.10mmol、1.10当量)を、LaCl3・2LiCl(0.33M;3.03mL、1.00mmol、1.00当量)の存在下−20℃で1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(152mg;1.00mmol)と反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製(シリカ;ペンタン:CH2Cl2,5:1)により、所望の生成物を白色固体(mp=60−61℃)として得た(212mg、92%)。分析データは、文献値と一致していることがわかった。
W. A. Herrmann, J. J. Haider, J. Fridgen, G. M. Lobmaier, M. Spiegler, J. Organomet. Chem. 2000, 503, 69.
【0074】
1−シクロペンチル−シクロヘキサ−2−エノール(6)の調製
実施例2に従い、シクロペンチルマグネシウムブロミド(1.00MTHF溶液;2.10mL、2.10mmol、1.05当量)を、LaCl3・2LiCl(0.33M;6.06mL、2.00mmol、1.00当量)の存在下シクロヘキセノン(192mg;2.00mmol)と反応させた。ゲルろ過(シリカ;ペンタン:Et2O,9:1、0.5体積%NEt3)により、1−シクロペンチル−シクロヘキサ−2−エノール(7)を無色油状物として得た(306mg、93%)。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ[ppm] = 5.82 (m, 1 H); 5.65 (brd, 1 H; J = 10.15 Hz).
13C-NMR (300 MHz, CDCl3): δ[ppm] = 131.6; 130.4; 112.6; 71.0; 49.7; 41.7; 34.6; 26.9; 26.5; 26.0; 25.4; 18.7.
MS (EI): m/z (%) = 166 (0.1; M+); 149 (4); 138 (3); 97 (100); 79 (5); 77 (2); 69 (5); 67 (4).
HR-MS: (C11H18O) calculated: 166.1358 found: 166.1363.
IR (KBr): ν/cm-1 = 3430 (br); 3023 (m); 2948 (vs); 2867 (s); 2833 (m); 1647 (w); 1452 (m); 1438 (m); 1402 (w); 1321 (w); 1172 (m); 1099 (w); 1063 (m); 981 (m); 966 (m); 930 (m); 884 (w); 851 (w); 734 (m); 533 (w).
【0075】
1−シクロペンチル−シクロヘキサ−2−エノール(6)の合成の試みとシクロヘキサ−2−エノール(7)の単離
シクロペンチルマグネシウムブロミド(1.00MTHF溶液;2.10mL、2.10mmol、1.05当量)を、0℃でシクロヘキセノン(1.92mg;2.00mmol)の無水THF溶液に加えた。15分後、GC及びGC/MSモニタリングにより、還元生成物であるシクロヘキサノール(7)に完全に転化していることが示された。次いで、飽和NH4Cl水溶液(2mL)及び水(2mL)を加え、水層をエーテル(4×10mL)で抽出した。抽出分を合わせて乾燥(Na2SO4)後、注意深く溶媒を減圧下でエバポレーションした。ゲルろ過(シリカ;ペンタン:Et2O,9:1)により、シクロヘキサ−2−エノール(7)を無色油状物として得た(151mg、77%)。
P. Saravanan, A. DattaGupta, D. Bhuniya, V. K. Singh, Tetrahedron 1997, 53, 1855.
【0076】
1−ブチル−シクロペンタノール(8)の合成
nBuLi(1.00mL;1.50mmol;1.00当量)をLaCl3・2LiCl(0.33M;3.03mL、1.00mmol、1.00当量)の存在下、0℃でシクロペンテノン(84mg;1.0mmol)と反応させた。2分後、飽和NH4Cl水溶液(2mL)及び水(2mL)を加え、水層をエーテル(4×10mL)で抽出した。抽出分を合わせて乾燥した(Na2SO4)。注意深く溶媒を減圧下でエバポレーションして、分析上純粋な1−ブチルシクロペンタノール(8)を無色油状物として得た(139mg、98%)。分析データは、文献値と一致していることがわかった。
C. Walling, A. Padwa, J. Am. Chem. Soc. 1963, 85,1597.
【0077】
(4−メトキシ−フェニル)−(2−メチル−1−フェニル−プロピル)−アミン(9)
実施例2に従い、i−PrMgCl・LiCl(1.00MTHF溶液;1.10mL、1.10mmol、1.10当量)を、LaCl3・2LiCl(0.33M;0.30mL、0.10mmol、0.10当量)の存在下、室温で12時間、4−メトキシ−N−[(E)−フェニルメチリデン]アニリン(9)(212mg;1.00mmol)と反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製により、所望の生成物10を無色油状物として得た(214mg、84%)。分析データは、文献値と一致していることがわかった。
S. Saito, K. Hatanaka, H. Yamamoto, Syn. Lett. 2001, 12, 1859.
【0078】
アリル−(1−ピリジン−3−イル−アリル)アミン(12)
実施例2に従い、ビニルマグネシウムクロリド(1.00MTHF溶液;1.10mL、1.10mmol、1.10当量)を、LaCl3・2LiCl(0.33M;0.30mL、0.10mmol、0.10当量)の存在下、室温で1時間、N−[(E)−3−ピリジニルメチリデン]−2−プロペン−1−アミン(11)(146mg;1.00mmol)と反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製により、所望の生成物12を無色油状物として得た(151mg、87%)。分析データは、文献値と一致していることがわかった。
C. Agami, F. Couty, G. Evano, Tetrahedron: Asymmetry 2000, 11, 4639 - 4644.
【0079】
本発明を、ランタノイド類及び濃度などの具体例を用いながら、上記に詳細に説明したが、本発明を多様に変更でき、広い反応分野に適用できることは当業者に明確であろう。本発明のハロゲン化ランタノイドの溶液は、ランタノイドが効果を有すると知られているいかなる反応にも用いることができる。このような反応には、還元反応、Diels-Alder反応、又はルイス酸を用いた他の反応が挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MX3・zLiAが溶媒中にあり、
Mは、イットリウム、インジウム、及びランタンを含めたランタノイドから選ばれ;
z>0であり;
X及びAは、独立に又は共に一価のアニオンである、無水溶液。
【請求項2】
X及びAは、独立に又は共に、F;Cl;Br;I;CN;SCN;NCO;HalOn(n=3又は4、Halは、Cl、Br及びIから選ばれる);NO3;BF4;PF6;AsF6;SbF6;H;一般式RCO2のカルボキシレート;一般式(R3Si)2Nのジシラジド;一般式SRのチオレート;RP(O)O2;SCOR;一般式RNHのアミン;一般式R2N(Rは下記の定義の通り又はR2Nは環状アルキルアミンを示す)のジアルキルアミン又はジアリールアミン;一般式PR2(Rは下記の定義の通り又はPR2は環状ホスフィンを示す)のホスフィン;OnSR(n=2又は3);NOn(n=2又は3)、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれ、
Rは、置換又は無置換のC4−C24アリール、あるいは、B、O、N、S、Se、P又はSiとしてヘテロ原子を1個又は2個以上含むC3−C24ヘテロアリール;直鎖状又は分岐状の、置換又は無置換のC1−C20アルキル;C2−C20アルケニル又はC2−C20アルキニル;又は、置換又は無置換のC3−C20シクロアルキル;又はそれらの誘導体;又はHである、請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
X及びAが、独立に又は共に、Cl、Br、又はI、好ましくはClである、請求項2に記載の溶液。
【請求項4】
Mが、ランタン、セリウム、ネオジム、及びプラセオジムから選ばれる、先行する請求項のいずれかに記載の溶液。
【請求項5】
zが、0.5<z<3の範囲にあり、好ましくは、2≦z<3の範囲にある、又はzが2以上である、先行する請求項のいずれかに記載の溶液。
【請求項6】
前記溶媒が、塩を溶解するのに適した溶媒である、先行する請求項のいずれかに記載の溶液。
【請求項7】
前記溶媒が、環状、直鎖状又は分岐状の、モノ又はポリエーテル類、チオエーテル類、アミン類、ホスフィン類、O、N、S及びPから選ばれる1個又は2個以上のヘテロ原子をさらに含むそれらの誘導体、好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン(好ましくは、1,4−ジオキサン)、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルスルフィド、ジブチルスルフィド;環状アミド、好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、N−ブチル−2−ピロリドン(NBP);環状、直鎖状又は分岐状の、1個又は2個以上の水素がハロゲンで置換された、アルカン類及び/又はアルケン類、好ましくは、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、CCl4;尿素誘導体類、好ましくは、N,N’−ジメチルプロピレンウレア(DMPU);芳香族、複素芳香族、又は脂肪族の、炭化水素類、好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、ペンタン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン;ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、CS2;又はこれらの組み合わせから選ばれる、先行する請求項のいずれかに記載の溶液。
【請求項8】
前記Mが、3モル/l以下の濃度、好ましくは、0.05〜2モル/lの濃度、より好ましくは0.1〜1.5モル/lの濃度、さらに好ましくは0.2〜1.3モル/l、最も好ましくは0.3〜0.8モル/lの濃度で溶液に含有される、先行する請求項のいずれかに記載の溶液。
【請求項9】
前記溶液が、乾燥剤が添加されて保存されている、先行する請求項のいずれかに記載の溶液。
【請求項10】
前記乾燥剤が、モレキュラーシーブ、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、ビーズ状シリカ、粉体シリカ、酸化アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、及びリン酸ナトリウムから選ばれるリストから選ばれる、請求項9に記載の溶液。
【請求項11】
a)MX3、z当量のLiA、及び必要に応じ第1の溶媒を密に混合する工程;
b)工程a)で作製した混合物から、任意の溶媒及び/又は水を除去する工程;
c)工程b)で作製した粉体に第2の溶媒を加えて、溶液を作製する工程、
を含む、先行する請求項のいずれかに記載の、MX3・zLiAが溶媒中にある無水溶媒の調製方法。
【請求項12】
MX3が、水和物、又は溶媒の付加物の形態にある、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の溶媒が、水、親水性溶媒、又はそれらの混合物より選ばれる、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの工程が、攪拌下で行われる、請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
工程b)の任意の溶媒及び/又は水の前記除去が、減圧下で行われる、請求項11〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
任意の溶媒及び/又は水の前記除去が、加熱しながら行われる、請求項11〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
加熱中、温度が20〜220℃の範囲にある、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
加熱中、温度を段階的又は連続的に上昇させる、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の溶媒が、環状、直鎖状又は分岐状の、モノ又はポリエーテル類、チオエーテル類、アミン類、ホスフィン類、O、N、S及びPから選ばれる1個又は2個以上のヘテロ原子をさらに含むそれらの誘導体、好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン(好ましくは、1,4−ジオキサン)、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルスルフィド、ジブチルスルフィド;環状アミド、好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、N−ブチル−2−ピロリドン(NBP);環状、直鎖状又は分岐状の、1個又は2個以上の水素がハロゲンで置換された、アルカン類及び/又はアルケン類、好ましくは、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、CCl4;尿素誘導体類、好ましくは、N,N’−ジメチルプロピレンウレア(DMPU);芳香族、複素芳香族、又は脂肪族の、炭化水素類、好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、ペンタン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン;ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、CS2;又はこれらの組み合わせから選ばれる、請求項11〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの工程が、不活性ガス雰囲気下で行われる、請求項11〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
式MX3・zLiAで表され、
Mは、イットリウム、インジウム、及びランタンを含めたランタノイドから選ばれ;
z>0であり;
X及びAは、独立に又は共に一価のアニオンである、塩。
【請求項22】
MX3・zLiAが溶媒の付加物の形態にあり、好ましくは、各Mが、1〜6個の溶媒分子を、好ましくは2〜3個の溶媒分子を保持している、請求項21に記載の塩。
【請求項23】
前記溶媒が、環状、直鎖状又は分岐状の、モノ又はポリエーテル類、チオエーテル類、アミン類、ホスフィン類、O、N、S及びPから選ばれる1個又は2個以上のヘテロ原子をさらに含むそれらの誘導体、好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン(好ましくは、1,4−ジオキサン)、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルスルフィド、ジブチルスルフィド;環状アミド、好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、N−ブチル−2−ピロリドン(NBP);環状、直鎖状又は分岐状の、1個又は2個以上の水素がハロゲンで置換された、アルカン類及び/又はアルケン類、好ましくは、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、CCl4;尿素誘導体類、好ましくは、N,N’−ジメチルプロピレンウレア(DMPU);芳香族、複素芳香族、又は脂肪族の、炭化水素類、好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、ペンタン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン;ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、CS2;又はこれらの組み合わせから選ばれる、請求項22に記載の塩。
【請求項24】
zが、0.5<z<3の範囲にあり、好ましくは、2≦z<3の範囲にある、又はzが2以上である、請求項21〜23のいずれかに記載の塩。
【請求項25】
請求項1〜10のいずれかに記載の溶液の化学反応への使用。
【請求項26】
前記化学反応が、求核剤の、カルボニル及び/又はカルボン酸誘導体への付加反応である、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
溶解可能なルイス酸源としての溶液としての請求項25に記載の使用。

【公表番号】特表2009−506971(P2009−506971A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528530(P2008−528530)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065912
【国際公開番号】WO2007/026014
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(505121545)ルードヴィッヒ・マクシミリアンス・ウニベルジテート ミュンヘン (5)
【Fターム(参考)】