説明

無煙ロースター、及びそれが装着されたロースト用テーブル

【課題】食物が焼かれるときに煙の発生を抑えながらも、充分な火力を焼き網全体に均一に送ることができる無煙ロースター、及びそれが装着されたロースト用テーブルを提供する。
【解決手段】1)底面及び側面を有し、上部に熱を放出するための開口部を備える本体ケースと、2)本体ケース内における側面上に着脱自在に設置された燃料箱と、3)燃料箱の下面に形成された複数個の第1通風口と、4)前記第1通風口に対応した前記側面上に形成された第2通風口と、5)開口部直下の底面上に着脱自在に設置された水受けと、を有してなっている。また、ロースト用テーブルは、この無煙ロースターが装着されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無煙ロースター及びそれが装着されたロースト用テーブルに関するもので、より具体的には、食物が焼かれるときに煙の発生を抑えながらも、充分な火力を、しかも均一に食物に与えることができる無煙ロースター及びそれが装着されたロースト用テーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロースターは、食物が載せられた焼き網の下部に位置し、その上部の開口部を通して食物に火力を提供するものである。ロースターの内部には炭火などの燃料が装着されるが、一般の飲食店で主に使われるロースターでは、ロースターの中央底面に燃料が置かれている。すると燃料が、食物が載せられた焼き網の直下になるので、焼かれた食物からの油、肉汁、調味料などが落下し、燃料の上に落ちた油、肉汁、調味料などが不完全燃焼することで煙を発生する。
【0003】
この煙問題を解決するための方法として、発生した煙を排気ダクトや配管を通して外部に強制排気させる方法がある〔例えば、特許文献1参照〕。しかしながら、この方法では煙を完全に排出するのに強力な空気の流れが必要となり、ロースター周囲に不快な風を作り、さらに排気ダクトや配管などの設置及び維持費用が高価であり、飲食店の室内美観を害し、煙の外部排出によって排出口の外での大気汚染を誘発させるという問題が生じる。
【0004】
煙の問題を解決するための別の方法として、食物が焼かれるときの煙の発生を根本的に
抑える方法が提案されており、例えば、焼き物プレート上の肉や魚等の焼き物素材から出る油分が、焼き物プレートの周辺部の貫通孔から、燃料の周囲に落下し、落下した油分を油受け部に受けるように構成した炭火焼コンロ〔特許文献2参照〕、焼き物の直下に油受けを設けるが、油受けを燃料より下に置いて油受けが加熱されないようにされた炭焼きロースター〔特許文献3参照〕などの提案がある。この方法の基本的思想は、食物の油、肉汁、調味料などが燃料上に落ちることを防止することで、煙発生の根本原因を除去することにある。しかし、油受け部も高温に晒されることから煙の発生を完全に抑えるには至らない。また、燃料を焼き網の直下でなく、ロースター内部の側部に設置する方法もあるが、この方法では煙発生の防止という目的は達成できるが、焼き網の中央部分に充分な火力を伝達できないという問題が生じる。その他、ゼオライト粒子を用いて有害成分を吸着除去および消臭するようにしたダクトレス無煙ロースター〔特許文献4参照〕などの提案があるが、充分に抑えられないのが実情である。
【0005】
【特許文献1】特開平08−173327号公報
【特許文献2】特開2007−185323号公報
【特許文献3】実用新案登録3097335号公報
【特許文献4】特開平05−329059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題点を解決すべく本発明の目的は、食物が焼かれるときに煙の発生を抑えながらも、充分な火力を焼き網全体に均一に送ることができる無煙ロースター、及びそれが装着されたロースト用テーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような目的を達成するための本発明に係る無煙ロースターは、1)底面及び側面を有し、上部に熱を放出するための開口部を備える本体ケースと、2)本体ケース内における側面上に着脱自在に設置された燃料箱と、3)燃料箱の下面に形成された複数個の第1通風口と、4)前記第1通風口に対応した前記側面上に形成された第2通風口と、5)開口部直下の底面上に着脱自在に設置された水受けと、を有してなっている。
また、ロースト用テーブルは、上記の無煙ロースターが装着されたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る無煙ロースター及びそれが装着されたロースト用テーブルによると、食物が焼かれるときの煙発生を抑えると共に、充分な火力を焼き網全体に均一に与えることができる。また、燃料箱の搬出入が容易であり、使用の便利性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る無煙ロースター及びそれが装着されたロースト用テーブルの好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るロースト用テーブルの平面図である。
本発明に係るロースト用テーブルは、テーブル100の中央にロースター用開口が設けられ、その下に無煙ロースター200が固定部250によって固定される。テーブル100のロースター用開口には、焼き網受け台300があり、その上に、焼き網(図示してない)が置かれる。ロースター用開口および焼き網受け台300の形状は、特に限定されるものではないが、代表的には四角形または円形である。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る無煙ロースターを示す斜視図、図3は、この無煙ロースターが装着されたロースト用テーブルを示す断面図である。
【0010】
本発明の第1の実施の形態に係る無煙ロースター200は、本体ケース210の中央上部に、熱を排出するための開口部H1を有している。また、底面211を囲む側面にはそれぞれ第1傾斜面212が連結されるが、第1傾斜面212と底面211とは90°より大きく180°より小さい鈍角をなしている。
【0011】
燃料箱220は、炭、褐炭、練炭などの燃料が入れられ、第1傾斜面212上に着脱自在に置かれるようになっており、本体ケース210の開口部H1を通して第1傾斜面212上に設置し、また料理が終わったとき開口部H1を通して取り出すことができる。
【0012】
燃料箱220の下面には、複数の第1通風口H2が形成されており、燃料箱220の下面に対応する第1傾斜面212の領域(第1領域)にも同様複数の第2通風口H3が形成されている。ここで、燃料箱220の下面が第1傾斜面212上に正確に対応するように装着されたとき、第1通風口H2と第2通風口H3が合致して本体ケース210内外を貫通する開口ができて空気が流入するようになる。このために、第1傾斜面212上にはガイド部材215が設けられて、燃料箱220の位置決めに便利にしてある。図4及び図5は、本発明の第1の実施の形態によって第1傾斜面212上に燃料箱220が装着された状態をそれぞれ示す平面図及び断面図である。第2通風口H3は、第1通風口H2と大きさ及び位置で一対一に対応することが好ましい。
【0013】
底面211上には水受け230が配置される。そのため、本体ケース210の前面213には、水受け230を搬出入するための搬出入口H4が形成される。搬出入口H4は、本体ケース210の後面、あるいは横面であってもよい。水受け230は、搬出入口H4を通して水受けガイド214上をスライディングさせて本体ケース210に搬入、取出しができる。
【0014】
搬出入口H4は、水受け230が搬入されたとき、水受け230の側壁によって密閉されるように搬出入口H4と水受け230の側壁は同じ形状及び大きさとし、これにより水受け230が本体ケース210内に搬入されたとき、搬出入口H4が水受け230によって閉鎖された状態になり、外部の空気が前記搬出入口H4を通して本体ケース内には実質的に流入しなくなる。
【0015】
開口部H1、第2通風口H3及び搬出入口H4を除いた本体ケース210の他の部分は、実質的に密閉された構造である。各部分が溶接などによる結合では実質的に隙間はないが、各単位部分がボルトによって結合される場合には、各単位部分の間に意図しない隙間が存在しうることになるが、この場合もここで言う”実質的に密閉された構造”の技術的思想に包含される。すなわち、以下の説明では、上記のような意図していない小さい隙間から本体ケース210内に流入する空気は言及しないことにする。
【0016】
上記のような構造を有する本発明の第1の実施の形態に係る無煙ロースター200の場合、空気の流れ(すなわち対流)によって伝達される燃料の輻射熱が本体ケース210の開口部H1を通して排出される。これと同時に、外部の空気が第1通風口H2及び第2通風口H3を通してのみ本体ケース210の内部に流入する。すなわち、外部の空気が燃料と必ず直接接触した後、本体ケース210の内部に流入して開口部H1を通して排出されるので、充分な火力を焼き網の全体面に均一に伝達することができる。
【0017】
一方、焼き網上の食物からの油、肉汁、調味料などは、燃料箱220上でなく水受け230に落ちるので、落下したものが燃焼することがなく、煙の発生を根源的に抑えることができる。
【0018】
ロースター内部の側部に炭火など燃料を置くことで、煙の発生を抑えようとする従来のロースターでは、焼き網の中央部分に充分な火力を伝達できないという問題点があった。このような問題点を解決するために、本発明者は数多くの実験を繰り返して行った結果、燃料をロースター内部の中央でなく側部に置くことは、焼き網に充分な火力を提供できない原因とはならず、焼き網の中央部分に充分な火力が伝達されない大きな原因は、外部の冷たい空気が燃料を経由せずにロースターの内部に直接流入することにあることを確認した。すなわち、燃料を経由しない冷たい空気が流入してロースター内部の全体温度を減少させ、結果として焼き網に充分な火力を伝達できない原因となる。従って、本発明の大きな特徴の一つは、外部の空気が、燃料と直接接触して加熱された後でロースターの内部に流入することにある。
【0019】
さらに、第1傾斜面212と底面211とが鈍角をなしており、緩い斜面である第1傾斜面212上に燃料箱220が装着されるので、燃料から放出される輻射熱は、本体ケース210の開口部H1に向かうようになる。燃料箱220から放出される輻射熱の方向性を一層向上させるためには、炭などを燃料箱220に積載するとき、炭などを燃料箱220の容器の側面高さより低くすることが好ましい。
【0020】
一方、本発明の第1の実施の形態に係る本体ケース210は、第1傾斜面212の上側に、第1傾斜面212とは鋭角に第2傾斜面216が連結される。第2傾斜面216は、外板216A及び内板216Bでなり、内板216Bは、燃料箱220からの熱を上部の開口部H1に反射する機能を行うことで熱効率を上げている。従って、内板216Bは、熱反射のよい材料、例えば、ステンレススチールによって形成される。一方、第2傾斜面216を外板216Aと内板216Bの二重板構造にすることで、外部との断熱効果が高くなる。さらに、外部との断熱を一層確実に達成するために、本体ケース210は、第2傾斜面216以外の部分においても、空気層を形成するように二重板構造とするのが好ましい。
【0021】
一方、第1の実施の形態によると、開口部H1を通して出る熱を、食物が載せられた焼き網に向かせるために、本体ケース210の上部に熱ガイド240が形成される。熱ガイド240は、ロースター用開口の周りに該当するテーブル100の所定部分と共に焼き網が置かれる焼き網受け台300を支持する機能も担う。
【0022】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るロースト用テーブルを示す断面図である。
第2の実施の形態では、無煙ロースター200’は、以下の点を除けば、第1の実施の形態と同じである。
【0023】
第1の実施の形態に係る本体ケース210は、その側部が第1傾斜面212及び第2傾斜面216となっているが、第2の実施の形態では、本体ケース210’の側部は、底面211’と垂直に連結された垂直面217が形成され、垂直面217と垂直、すなわち底面211’と平行に水平面218が形成され、水平面218に対して鋭角に傾斜面219が連結されている。水平面218上には、燃料箱220’が置かれ、燃料箱220’の下面に形成された複数の第1通風口H2’に対応して水平面218に第2通風口H3’が形成される。従って、第2の実施の形態によると、燃料箱220‘が傾斜していないので、燃料箱220を本体ケース210’内に搬入することが容易になり、利便性が増す効果がある。
【0024】
図7は、本発明の第3の実施の形態に係るロースト用テーブルの断面を簡略に示す図である。
第3の実施の形態に係るロースト用テーブルは、通風調節手段400をさらに含む点を除けば、第1の実施の形態に係るロースト用テーブルと同じである。通風調節手段400は、第1傾斜面212の下部に通風調節板410設置され、通風調節板410から延長された通風調節レバー420がテーブル100面に設置されている。通風調節レバー420の操作で通風調節板410の位置を調節することができ、これにより第1傾斜面212に形成された第2通風口H3を部分的に閉じて、通風量を調節することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係る無煙ロースター及びそれが装着されたロースト用テーブルでは、煙の強制排出のためのダクト及び配管を設置する必要がないので、その設置や維持補修にかかる費用を節約することができる。また、ダクト及び配管の設置が省略されるので、飲食店内部を一層高級に装飾するとともに、飲食店内部を清潔に維持することができる。さらに、これら優れた効果により顧客吸引力の強化につながるので、結果的に飲食店全体の売り上が向上に寄与することになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るロースト用テーブルを示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る無煙ロースターを示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る無煙ロースターが装着されたロースト用テーブルを示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態によって第1傾斜面上に燃料箱が装着された状態を示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態によって第1傾斜面上に燃料箱が装着された状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るロースト用テーブルを示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るロースト用テーブルの断面を簡略に示す図である。
【符号の説明】
【0027】
100; テーブル
200; 無煙ロースター
210; 本体ケース
211,211’; 底面
212; 第1傾斜面
213; 前面
214; 水受けガイド
215; ガイド部材
216; 第2傾斜面
216A; (第2傾斜面の)外板
216B; (第2傾斜面の)内板
217; 垂直面
218; 水平面
219; 傾斜面
220; 燃料箱
230; 水受け
240; 熱ガイド
250; (テーブルと無煙ロースターの)固定部
300; 焼き網受け台
400; 通風調節手段
410; 通風調節板
420; 通風調節レバー
H1; (本体ケース中央上部にある)開口部
H2,H2’; (燃料箱下面にある)第1通風口
H3,H3’; (第1傾斜面にある)第2通風口
H4; (水受けの)搬出入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)底面及び側面を有し、上部に熱を放出するための開口部を備える本体ケースと、2)前記本体ケース内における前記側面上に着脱自在に設置された燃料箱と、3)前記燃料箱の下面に形成された複数個の第1通風口と、4)前記第1通風口に対応した前記側面上に形成された第2通風口と、5)前記開口部直下の前記底面上に着脱自在に設置された水受けと、を有してなることを特徴とする無煙ロースター。
【請求項2】
前記本体ケースは、その前面に前記水受けを搬出入するための水受け搬出入口を備えていることを特徴とする請求項1に記載の無煙ロースター。
【請求項3】
前記本体ケースは、前記開口部、前記第2通風口及び前記水受け搬出入口を除いた部分で実質的に密閉構造となっていることを特徴とする請求項1に記載の無煙ロースター。
【請求項4】
前記水受け搬出入口は、前記水受けが前記本体ケース内に装着されたとき、前記水受けの壁面によって密閉される形状及び大きさであることを特徴とする請求項3に記載の無煙ロースター。
【請求項5】
前記側面には、前記燃料箱を所定場所に正確に装着するためのガイド部材が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の無煙ロースター。
【請求項6】
前記本体ケースの内側上部には、前記燃料箱からの熱が前記開口部を通して抜け出るようにガイドするための熱ガイド部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の無煙ロースター。
【請求項7】
前記側面は、前記底面に対して鈍角をなす斜面である第1傾斜面を有することを特徴とする請求項1に記載の無煙ロースター。
【請求項8】
前記側面は、前記第1傾斜面の上側に前記第1傾斜面に対して鋭角を形成するように連結された斜面である第2傾斜面をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の無煙ロースター。
【請求項9】
前記第2傾斜面は、外板及び内板の二重板構造であることを特徴とする請求項8に記載の無煙ロースター。
【請求項10】
前記内板は、ステンレススチールによって形成されることを特徴とする請求項9に記載の無煙ロースター。
【請求項11】
複数個ある前記第1通風口と複数個ある前記第2通風口のそれぞれは、一対一に対応していることを特徴とする請求項1に記載の無煙ロースター。
【請求項12】
前記側面は、前記底面と垂直に連結された垂直面と、前記垂直面と垂直に連結され、かつ前記底面と平行な水平面と、前記水平面に対して鋭角をなして前記水平面の上側に連結される傾斜面とを含み、前記燃料箱は、前記水平面上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の無煙ロースター。
【請求項13】
中央にロースター用開口部が形成され、その下に請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の無煙ロースターが装着されたことを特徴とするロースト用テーブル。
【請求項14】
前記ロースター用開口部の周りに、焼き網受け台が設置されることを特徴とする請求項13に記載のロースト用テーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−183395(P2008−183395A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205146(P2007−205146)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(507266967)ジョイ マジック カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】