説明

無煙ロースター

【課題】スリットが中心側且つ上向きで、排ガスの吸引流路が上下方向に直線状であるため、仕切り環状壁部への排ガスの衝突度合いが軽い。
【解決手段】トップリング5における内周縁部を中心側への下方傾斜部位17とし、内箱4の上端部位を上方へ漸次拡径させ、仕切り環状壁部15における円周壁部29を、内箱の拡径形状に応じて、中間部に下方縮径状のテーパー面31を形成して、該テーパー面31より下方部位の内径を上方部位より小径にし、トップリング5の内径を内箱4の上方開口径より小径にすると共に、内箱4の上端部をトップリング5の内周縁部より下方とし、排ガス吸引部を、トップリング5の内周縁部と内箱4の上端部との間に形成された排ガス吸引スリット20として、該排ガス吸引スリット20が中心側且つ下向きになり、斜め上方向きの流れを吸引直後に下向きに偏向させる様にし、その後の排ガス吸引流路18が屈曲形状になって、排ガスを被冠部材、仕切り環状壁部15及び内箱4に多く衝突させることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気を導入して高温状態の排ガスを低温化し内部の過熱を防止する排ガス冷却構造を備えた無煙ロースターで、排ガスに含有される油脂類等の吸引直後での除去効率を向上させた無煙ロースターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内外箱等の過熱を防止する無煙ロースターにあっては、テーブル下方に配設した、上方開口部を有する外箱の内部に内箱を配設し、テーブルに形成した開口部の内周面と内箱の上部の隙間の上方に被冠部材を載置し、外箱と内箱の間に形成した吸引空間の上部を、被冠部材の下部に設けた仕切り壁部で内外方部位に区切ると共に、内方部位の排ガス吸引流路に、排ガスの吸引孔を、外方部位の外気吸引流路に外気吸引開口部を形成し、排ガス吸引時に、外気が吸引開口部から外気吸引流路内に吸引されて、外箱の内壁面に沿う様に流れて、内周部位からの高温状態の排ガスが外箱の内壁面に直接接触せず、該内壁面に排ガス中に含有される油脂類等が付着しない様にしたことによって、外箱を過熱させない様にした無煙ロースターの排ガス冷却構造を開発した(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、上記特許文献1に記載の発明は、仕切り壁部が屈曲形状で油脂類等が付着し易いが、特許文献1中の図3〜5に示す様に、載置リングが仕切り壁部になるため、トップリング及び載置リングの両方が排ガスに接触して含有油脂類等が付着し汚れてしまうなど、解決せねばならない課題があった。
【0004】
そこで、本願出願人は、かかる課題を解消すべく、テーブル下方に配設した、上方開口部を有する外箱と、該外箱の内部に配設した内箱とを有し、外箱と内箱の間に形成した吸引空間の上部を内外方部位に区切ると共に、内方部位の排ガス吸引流路に排ガスの吸引孔を、外方部位の外気吸引流路に外気吸引口を形成した排ガス冷却構造を備えた無煙ロースター用の、上記吸引空間の上方に着脱自在に設置するトップリングであって、上記テーブルの開口部の内周面と内箱の上部の隙間の上方に配置する被冠部材と、該被冠部材の内周縁部より下方へ連続形成された、下端部位が内箱の上端部位に重なる内周環状壁部と、該内周環状壁部の外側に配置すると共に上端部を被冠部材の下面に一体化した、上記吸引空間の上方部分を内外方部位に区切る仕切り環状壁部とを有し、上記内周環状壁部における内箱の上端部より上方部位に複数個の排ガス吸引孔を形成したことにより、仕切り環状壁部の内外壁面を垂直状にして抵抗を低減化し排ガス及び外気の流れをスムーズ化して、外箱の内壁面に沿う様に流れる外気の層流が安定すると共に、被冠部材、内周環状壁部及び仕切り環状壁部を一体化して一部品化することで、トップリングの一部材である仕切り環状壁部より外側の載置リングと外箱に排ガスを接触させない様にしている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
尚、本願出願人は、排ガスの吸引構成が、上記特許文献2に記載の発明の内周環状壁部に形成された複数個の排ガス吸引孔ではなく、トップリングの内周縁部に内周環状壁部を形成せずに、トップリングの内周縁部と内箱側の上端部との間に形成されたスリットとした、仕切壁のない無煙ロースターも開発している(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3626953号公報(請求項1、段落番号〔0005〕、図3〜5)
【特許文献2】特開2010−119833号公報(請求項1、図5、7)
【特許文献3】特開平5−220050号公報(図5、6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献2に記載の発明は、外気の層流を安定化すべく、仕切壁が単なる円周壁で、内外壁面を垂直状にしており、これに対向する内箱の外壁面と載置リング又は外箱の内面壁も垂直状であることから、吸引空間の上部の区切られた内外方部位が上下方向の直線流路になり、而も排ガスの吸引孔が垂直な内周環状壁部に形成されているため、排ガスの吸引方向が略水平となり、結果として吸引された排ガスが仕切り環状壁部の上部に衝突した後、その下方が平坦で衝突部分がなく、含有油脂類等の付着量が少なくなってしまって、吸引空間の下流側への排ガス中の含有油脂類等が多く残存してしまう可能性があり、更にトップリングにおける含有油脂類等の付着面は内周環状壁部と仕切り環状壁部との間の狭いスペース内にあるため、洗浄作業が容易でなく、且つ綺麗に仕上がらず、而も時間がかかってしまっていた。
又、上記特許文献3に記載の発明は、スリットが中心側且つ上方へ向いていることから、このスリットを上記特許文献2に記載の発明に採用しても、吸引された排ガスは斜め下向きで吸引後軽く屈曲するだけになるため、吸引された排ガスの仕切り環状壁部への衝突度合いが軽く、含有油脂類等の付着量も自ずと少量になってしまうなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記従来技術に基づく、スリットが中心側且つ上向きで、排ガスの吸引流路が上下方向に直線状であるため、仕切り環状壁部への排ガスの衝突度合いが軽い課題に鑑み、トップリングにおける被冠部材の仕切り環状壁部の内周縁部を、中心側への下方傾斜部位とし、内箱の上端部位を載置調理手段の載置段部を介して拡径し、該載置段部より上方部位を上方へ漸次拡径させ、仕切り環状壁部を、内箱の拡径形状に応じて、中間部に下方縮径状のテーパー面を形成して、該テーパー面より下方部位の内径を上方部位より小径にしたことによって、排ガスの吸引流路を屈曲形状にする様にし、而もトップリングの内径を内箱の上方開口径より小径にすると共に、内箱の上端部をトップリングの内周縁部より下方とし、上記排ガス吸引部を、トップリングの内周縁部と内箱の上端部との間に形成された排ガス吸引スリットとしたことによって、排ガス吸引スリットを中心側且つ下向きにして、斜め上方向きの流れを吸引直後に、下向きに偏向させる様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0009】
要するに本発明は、テーブル下方に配設した、上方開口部を有する外箱と、該外箱の内部に配設した内箱とを有し、外箱と内箱の間に吸引空間を形成し、テーブルの開口部内に設置した載置リングにおける載置段部上にトップリングを着脱自在に着座させ、この載置リングは載置段部の内周縁部より下方へ連続形成されている円周壁部の下端部位を外箱の上方開口部内に位置する様に設置して、テーブルにおける開口部の内周面と外箱の上部との間の隙間を閉鎖し、外箱に排気経路に連通する排気口を形成し、上記トップリングは、上記テーブルの開口部の内周面と内箱の上部の隙間の上方に配置する被冠部材と、該被冠部材の内周縁部より外側に配置すると共に上端部を被冠部材の下面に一体化した、上記吸引空間の上方部分を内外方部位に区切る仕切り環状壁部とを有し、仕切り環状壁部で区切られた吸引空間の内方部位に排ガスの吸引部を、外方部位に外気の吸引部を設けたので、排ガス吸引部から吸引流路内に吸引された、油脂類やオイルミストを含んだ排ガスは、仕切り環状壁部により外箱の内壁面を含む外気吸引流路の内壁面に接触せず、而も外気吸引部から吸引流路内に吸引された外気が外箱の内壁面に沿って流れて層流を形成するため、吸引された排ガスはこの層流に阻まれ、外箱の内壁面に直接接触しない範囲が広がって、外箱の内壁面の汚れが従来に比べ極めて少なくなり、その結果外箱の温度上昇を抑えることが出来ると共に、排ガス中に含有される油脂類等は、日常的に清掃するトップリングにおける仕切り環状壁部の内壁面と内箱の内壁面に付着して、外箱の内壁面における仕切り環状壁部の下端部より上方部位は勿論、下方部位に付着する油脂類等をも極めて少量に抑えて、無煙ロースター内の排気経路内に蓄積する油脂を極めて微量に抑えることが出来るため、例え万一油脂成分の多い食材を載置調理手段上に載置して加熱調理する際に発生する火焔を排ガス吸引部から吸い込んでしまっても、排気経路内への付着油脂に接触する前に消えてしまって、ダクト火災の発生を防止することが出来、よって稼働中におけるファイヤーダンパ等の安全装置の作動による緊急停止を可能な限り回避することが出来る。
又、排ガスと外気とを攪拌するための広いスペースを確保出来るため、排ガスを外気と効率良く攪拌して排ガスの低温化及び稀釈効果を具備させることが出来る。
従って、火災の主要因が無くなって更なる火災防止効果を具備させることが出来る。
又、排ガス中の含有油脂類等の大半はトップリング、具体的には仕切り環状壁部に付着して外箱の内壁面を含む外気吸引流路内面への付着を抑止することが出来るため、清掃作業をより簡単に行うことが出来る。
更に、被冠部材及び仕切り環状壁部は一体であるため、トップリング自体の剛性が向上し変形し難く、取外し後の部品点数は1個だけになるため管理し易く、生産性の向上による生産コストの削減を図ることが出来る。
【0010】
上記トップリングにおける被冠部材の内周縁部を、中心側への下方傾斜部位とし、内箱の上端部位を載置調理手段の載置段部を介して拡径し、該載置段部より上方部位を上方へ漸次拡径させ、トップリングの内径を内箱の上方開口径より小径にすると共に、内箱の上端部をトップリングの内周縁部より下方とし、上記排ガス吸引部を、トップリングの内周縁部と内箱の上端部との間に形成された排ガス吸引スリットとし、仕切り環状壁部を、内箱の拡径形状に応じて、中間部に下方縮径状のテーパー面を形成して、該テーパー面より下方部位の内径を上方部位より小径にしたので、排ガス吸引スリットを中心側且つ下向きにすると共に、トップリングにおける下方傾斜部位により斜め上方に吸引されることで、載置手段の周縁部から上昇する燃焼排ガスが吸引されると、被冠部材における内周縁部の下面と仕切り環状壁部における上端側の内壁面に衝突し、その後下方に偏向され屈曲状の吸引空間の内方部位を通過することで、仕切り環状壁部におけるテーパー面や内箱における拡径部位の外壁面に衝突するため、より多くの油脂類等を付着捕捉することが出来、よって外箱の内壁面における仕切り環状壁部の下端部より下方部位に付着する油脂類等を極めて少量に抑えることが出来るため、深くて清掃性の悪い外箱の内壁面の清掃作業の負担が大きく軽減出来、一般的にはテーブルに固定されている載置リングや外箱の内壁面の清掃頻度を少なくするか、清掃頻度はそのままとしても、清掃時の含有油脂類等の除去作業の容易化により、1回の清掃時間の短縮化を図ることが出来る。
よって、上流側で捕捉出来なかった油脂類の一部が、天板上面より手を差し込んで拭かねばならない着脱不能な外箱の底部に溜まることになるが、外箱の内壁面への油脂類等の付着を防止しつつ、外箱の底面を油溜まりとして油を溜め、而も着脱可能なトップリングの内壁面と、同じく着脱可能な内箱の外壁面への油脂類の付着量が増して、下流への通過量を低減化を図ることが出来るため、清掃部分を限定して清掃面積の狭小化を図ると共に、この部分の汚れ度合いを軽減出来、よって外箱の清掃作業の省力化を図ることが出来る。
又、排ガス吸引スリットから吸引された排ガスは、2箇所で折り曲げられた仕切り環状壁部と内箱の外壁面上部への度重なる衝突によって、トップリングと内箱の外壁面上部への油脂類等の付着機会が多くなっているため、油脂類等がより捕捉し易く成って、下流側の排気経路へ流れ込むことを極力抑えることが出来る。
又、トップリングは着脱可能で、仕切り環状壁部の内側の対向部位には壁が無いことから、被冠部材における内周縁側部位の下面と仕切り環状壁部の内壁面が完全露出することから、清掃具や洗浄液を確実に当てて洗うことが出来るため、洗浄作業を極めて簡単に行うことが出来、更に被冠部材における仕切り環状壁部より内側部位が屈曲形状であるため、トップリングの強度を更に向上させることが出来る。
【0011】
トップリングにおける被冠部材の下方傾斜部位を、トップリングにおける仕切り環状壁部より内側部位に形成された中心側への上方傾斜部位の先端縁部に連続形成したので、トップリング上の横風を中心側且つ上方に若干偏向させることで排ガスの立ち上りを抑えて、排ガスの滞留時間を長くすることが出来るため、排ガス吸引スリットからの吸引量が向上し室内への排ガスの漏出を軽減させることが出来、且つトップリングの強度の更なる向上を図ることが出来る。
【0012】
仕切り環状壁部に付着した油脂類等が液状化し付着面を流下することから、そのままでは仕切り環状壁部の下端から外箱の底部に滴下してしまうが、トップリングにおける仕切り環状壁部の下端部内側に油溜まりを周設したので、付着面を流下する油脂類等が油溜まり部に溜まって滴下を防止してトップリングの洗浄時に回収することが出来るため、外箱の底面を溜まる油の量を更に減らすことが出来、よって外箱の清掃作業の更なる省力化を図ることが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る無煙ロースターの内部構造を一部省略した断面端面図である(実施例1)。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図1の無煙ロースターで使用するトップリングの斜視図である。
【図4】図4のトップリングの要部拡大断面である。
【図5】トップリングの他の実施例の要部拡大断面である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る無煙ロースターにあっては、図1に示す様に、基本的には円形状の開口部1を形成したテーブル2と、該テーブル2の下方に配置した外箱3と、該外箱3の内部に配設した上方開口状の内箱4と、テーブル2における開口部1の内周面と内箱4の上部との間の隙間を閉鎖するトップリング5と、上記内箱4内に配設された加熱部6と、該加熱部6の上方に配置された、焼き網、ロストル等の載置調理手段7とを有し、外箱3と内箱4との間に吸引空間8を形成し、上記外箱3に、排気経路(図示せず)に連通する排気口9を形成している。
【0015】
上記外箱3の上部に、テーブル2の開口部1より小径にし且つ該開口部1と同心位置に上方開口部10を形成し、該上方開口部10の外周側に形成された口縁壁部10a を外箱3の上部に突設し、かかる上方開口部10より上記内箱4を出入自在とし、具体的にはトップリング5を取り外した状態で出入可能となり、外箱3の下部にして上方開口部10とは偏心位置に上記排気口9を形成し、外箱3内の内箱4の側方にして排気口9の外周部位に、上方開口部が閉鎖された円筒状のフィルター11を載置している。
【0016】
上記内箱4にあっては、上端部位を載置調理手段7の載置段部12を介して拡径し、該載置段部12より上方部位を上方へ漸次拡径させ、上端縁部に外側へのカール加工部13を形成している。
又、内箱4の上端部は、外箱3の上方開口部10より上方に突出している。
【0017】
上記トップリング5にあっては、図3、4に示す様に、基本的に、円環板状の被冠部材14と、該被冠部材14の内周縁部より外側に配置すると共に、上端部が被冠部材14に一体化された仕切り環状壁部15とを有し、このトップリング5の内径rを内箱4の上方開口径Rより小径にし、被冠部材14における仕切り環状壁部15より内側部位は、被冠部材14の中心側への上方傾斜部位16と、該上方傾斜部位16の先端縁部より連続形成された、中心側への下方傾斜部位17とで構成されており、この屈曲形状によりトップリング5の剛性が向上する。
【0018】
具体的には、被冠部材14にあっては、上記吸引空間8の上方に配置し、仕切り環状壁部15にあっては、吸引空間8における上方部位を、内方側の排ガス吸引流路18と外方側の外気吸引流路19とに仕切っており、内箱4の上端部をトップリング5の内周縁部より下方とし、排ガス吸引流路18に排ガスの吸引部を、外気吸引流路19に外気の吸引部を夫々形成している。
上記排ガス吸引部を、トップリング5の内周縁部と内箱4の上端部との間に形成された中心側且つ下向きの排ガス吸引スリット20とし、該排ガス吸引スリット20から排ガス吸引流路18内に排ガスを吸引可能にしている。
上記外気吸引部を、外気吸引流路19を構成する、被冠部材14における仕切り環状壁部15より外周部位に形成された複数個の外気吸引口21、21a …とし、該外気吸引口21、21a …により外気吸引流路19内に外気を吸引可能にしている。
又、上記被冠部材14の外周部に着座壁22を垂下形成している。
【0019】
又、上記トップリング5は外周リング5aと内周リング5bの複合材で、外周リング5aにあっては、被冠部材14における仕切り環状壁部15を構成する周壁部材23と、該周壁部材23の上端部に連続形成された、被冠部材14における仕切り環状壁部15より外周部位を構成する鍔部材24とを有し、内周リング5bにあっては、外周リング5aにおける周壁部材23の内側面に密着する嵌込み部材25と、該嵌込み部材25の上端側に連続形成された、被冠部材14における上方傾斜部位16及び下方傾斜部位17を形成する庇部材26とを有している。
つまり、トップリング5における被冠部材14は、外周リング5aにおける鍔部材24と、内周リング5bにおける庇部材26とで構成され、上記鍔部材24に上記外気吸引口21、21a …が形成されている。
【0020】
又、上記トップリング5は、着座壁22をテーブル2の開口部1内に設置した載置リング27における載置段部28上に着座させると共に、該載置段部28の内周縁部より下方へ連続形成されている円周壁部29の下端部位を外箱3の上方開口部10内に位置する様に、即ち口縁壁部10a の内面に重ねる様にして設置して、テーブル2における開口部1の内周面と外箱3の上部との間の隙間を閉鎖する様にし、この円周壁部29の中間部に、内箱4の拡径形状に応じた下方縮径状のテーパー面30を形成して、該テーパー面30より下方部位の径を上方部位より小径とし、これに伴い上記トップリング5における仕切り環状壁部15(外周リング5aにおける周壁部材23)も同様に、中間部に下方縮径状のテーパー面31を形成して、該テーパー面31より下方部位の径を上方部位より小径として、排ガス吸引流路18と外気吸引流路19を屈曲流路にし、特に外気吸引流路19は上方側と下方側の幅を概ね同寸と成って、該外気吸引流路19から流出した外気が外箱の内壁面に沿って流れて形成される層流が安定する。
又、トップリング5における仕切り環状壁部15の下端を、載置リング27における円周壁部29の下端より下方に位置させて、吸引された排ガス中の含有油脂類等が載置リング27に付着しない様にしている。
【0021】
図5に示すトップリング5の他の実施例にあっては、図3、4に示すトップリング5と略同一構成であるが、仕切り環状壁部15の下端部を内側へ折り返して、溝状の油溜まり32が形成されている点において相違する。
【0022】
次に本発明に係る無煙ロースターの作用について説明する。
排気ダクト(図示せず)に作用する吸引力により、複数個の外気吸引口21、21a …から外気吸引流路19内に外気が吸引されて下流側に引かれるが、外箱3の内壁面に沿う様に流れることから、外箱3と排ガス吸引流路18からの高温状態の排ガスの間に外気の層流が形成されて、排ガス吸引スリット20から排ガス吸引流路18に流入した排ガスが外箱3の内壁面に接触せず、その結果外箱3の内壁面に排ガス中に含有される油脂類等が付着せず、外箱3が過熱しない。
【0023】
つまり、排ガス中に含有される油脂類等は、日常的に清掃するトップリング5における仕切り環状壁部15の内壁面及び内箱4の外壁面に付着することになり、その外側の載置リング27の内壁面には付着しない。
具体的には、トップリング5の内周縁部より中心側且つ下方に位置する載置調理手段7からの排ガスは、中心側且つ下向きの排ガス吸引スリット20から排ガス吸引流路18内に吸引されるが、トップリング5における下方傾斜部位17により斜め上方に誘導されて、被冠部材14における内周縁部の下面と仕切り環状壁部15における上端側の内壁面に衝突し、大きく逆U字状に誘導し下方に偏向された後、屈曲した排ガス吸引流路18を通過することで、仕切り環状壁部15におけるテーパー面31や内箱4における拡径部位の外壁面に衝突するため、より多くの油脂類等を付着捕捉することが可能になる。
【0024】
又、図5に示すトップリング5にあっては、仕切り環状壁部10の内壁面に付着した油脂類が、重力や気流におされてそのまま下方へ流下しても、油溜まり32に溜まって下方落せず、外箱3の内面の油脂類による汚れが抑止される。
【0025】
排気経路の通過過程において、高温状態の排ガスが低温状態の外気と混合されて低温化されることから、オイルミストが液化するため、フィルター11や、排気流路中に配置された油脂吸着体(図示せず)、グリスフィルター(図示せず)等により効率良く捕集される。
【0026】
エアコンからの吹出し気流が壁面に反射して、トップリング5の上方に横風が生じるが、トップリング5における上方傾斜部位16により、上記横風を若干上方に偏向させて排ガスの立ち上りを抑えることにより、排ガスの滞留時間を長くして、排ガス吸引スリット20からの排ガスの吸引量をが向上するため、室内への排ガスの漏出を軽減させることが出来る。
【0027】
尚、上記実施例における無煙ロースターにあっては、内箱4と排気口9を偏心位置に配置した、所謂「横引き式無煙ロースター」であるが、図示しないが、内箱の直下に排気口を配置した、所謂「縦引き式無煙ロースター」であっても良く、望ましくは排気口9まで排ガスが横方向に流れる過程で油脂類等が外箱3の底面に落下し易い「横引き式無煙ロースター」とする。
【符号の説明】
【0028】
1 開口部
2 テーブル
3 外箱
4 内箱
5 トップリング
7 載置調理手段
8 吸引空間
9 排気口
10 上方開口部
12 載置段部
14 被冠部材
15 仕切り環状壁部
16 上方傾斜部位
17 下方傾斜部位
20 排ガス吸引スリット
27 載置リング
28 載置段部
29 円周壁部
31 テーパー面
32 油溜まり
r トップリングの内径
R 内箱の上方開口径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブル下方に配設した、上方開口部を有する外箱と、該外箱の内部に配設した内箱とを有し、外箱と内箱の間に吸引空間を形成し、テーブルの開口部内に設置した載置リングにおける載置段部上にトップリングを着脱自在に着座させ、この載置リングは載置段部の内周縁部より下方へ連続形成されている円周壁部の下端部位を外箱の上方開口部内に位置する様に設置して、テーブルにおける開口部の内周面と外箱の上部との間の隙間を閉鎖し、外箱に排気経路に連通する排気口を形成し、上記トップリングは、上記テーブルの開口部の内周面と内箱の上部の隙間の上方に配置する被冠部材と、該被冠部材の内周縁部より外側に配置すると共に上端部を被冠部材の下面に一体化した、上記吸引空間の上方部分を内外方部位に区切る仕切り環状壁部とを有し、仕切り環状壁部で区切られた吸引空間の内方部位に排ガスの吸引部を、外方部位に外気の吸引部を設け、上記トップリングにおける被冠部材の内周縁部を、中心側への下方傾斜部位とし、内箱の上端部位を載置調理手段の載置段部を介して拡径し、該載置段部より上方部位を上方へ漸次拡径させ、トップリングの内径を内箱の上方開口径より小径にすると共に、内箱の上端部をトップリングの内周縁部より下方とし、上記排ガス吸引部を、トップリングの内周縁部と内箱の上端部との間に形成された排ガス吸引スリットとし、仕切り環状壁部を、内箱の拡径形状に応じて、中間部に下方縮径状のテーパー面を形成して、該テーパー面より下方部位の内径を上方部位より小径にしたことを特徴とする無煙ロースター。
【請求項2】
トップリングにおける被冠部材の下方傾斜部位を、トップリングにおける仕切り環状壁部より内側部位に形成された中心側への上方傾斜部位の先端縁部に連続形成したことを特徴とする請求項1記載の無煙ロースター。
【請求項3】
トップリングにおける仕切り環状壁部の下端部内側に油溜まりを周設したことを特徴とする請求項1又は2記載の無煙ロースター。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−85930(P2012−85930A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236975(P2010−236975)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(591031902)シンポ株式会社 (18)
【Fターム(参考)】