無線カード製造方法、及び無線カード
【課題】集合シートに複数枚一体的に集合配置される各アンテナシートのLSIを個別に移動させてその位置を調整できるようにする。
【解決手段】集合シート14及びスペーサシートの少なくとも一方に、アンテナシート8、若しくはLSIの外周部に沿うようにそれぞれスリット11を形成し、スリット11によって仕切られる内側と外側の部位とを弾性連結部17を介して局部的に連結し、集合シート14及びスペーサシートの重ね合せ時において、集合シート14のいずれかのアンテナシート8のLSI2が、スペーサシートの開口部に一致しない場合には、LSI2が開口部に一致するようにスリット11によって仕切られる内側の部位を移動させて弾性連結部17を弾性変形させることにより位置調整する。
【解決手段】集合シート14及びスペーサシートの少なくとも一方に、アンテナシート8、若しくはLSIの外周部に沿うようにそれぞれスリット11を形成し、スリット11によって仕切られる内側と外側の部位とを弾性連結部17を介して局部的に連結し、集合シート14及びスペーサシートの重ね合せ時において、集合シート14のいずれかのアンテナシート8のLSI2が、スペーサシートの開口部に一致しない場合には、LSI2が開口部に一致するようにスリット11によって仕切られる内側の部位を移動させて弾性連結部17を弾性変形させることにより位置調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LSIとアンテナシートを内包する無線カードの製造方法、及び無線カードに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の無線カードは、例えば、図11乃至図15に示すような表、裏のシート101,102、集合シート104、スペーサシート103を用いて製造される。即ち、各シートを図14(a)に示すように表シート101、スペーサシート103、集合シート104,裏シート102の順に重ね合わせたのち、図14(b)に示すように加圧するとともに加熱して一体化する。そして、この一体化したシート層を図12の後述するアンテナシート8の外周部(破線で示す)に沿うように打ち抜くことにより、図14(c)に示すようにカード化する。
【0003】
集合シート104には、図12に示すように、LSI106とこのLSI106に接続されるアンテナ107を有するアンテナシート108が面方向に沿って複数枚一体的に集合配置されている。
【0004】
スペーサシート103には、カード化後の表面の平担性を確保することと、シート積層時におけるLSI106の破壊を防ぐために、図13に示すようにLSI106を嵌合させるための開口部103aが複数形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−346112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したスペーサシート103と集合シート104との重ね合わせ時において、集合シート104に配置される4個のLSI106のうちの一つが例えば、図15(a)に示すように、一致しないことがある。この場合、集合シート104を移動させることにより、LSI106をスペーサシート103の開口部103aに一致させることが可能となる。
【0006】
しかしながら、集合シート104を移動させると、他のLSI106が開口部103aからずれて嵌合できなくなるという問題があった。
【0007】
なお、図15(a)に示すLSI106がスペーサシート103の開口部103aに一致しない状態から加圧、加熱してカード化すると、図15(b)に示すように、表面に凹凸101aが生じたり、LSI106を破壊してしまう虞がある。
【0008】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、集合シートに複数枚一体的に集合配置される各アンテナシートのLSIを個別に移動させてその位置を調整できるようにした無線カード製造方法、及び無線カードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1記載のものは、表シート上に、複数の開口部を有するスペーサシートを重ね合わせる工程と、LSI、及びこのLSIに接続されるアンテナを有するアンテナシートを面方向に複数枚一体的に集合配置する集合シートを、前記スペーサシート上に重ね合わせて前記各アンテナシートのLSIを前記複数の開口部にそれぞれ嵌合させる工程と、前記集合シート上に裏シートを重ね合わせる工程と、前記重ね合わされたシート層を一体化したのち、前記複数枚のアンテナシートの外周部に沿うように切断することによりカード化する工程とを具備し、前記集合シート及びスペーサシートの少なくとも一方に、前記アンテナシート、若しくは前記LSIの外周部に沿うようにそれぞれスリットを形成し、前記スリットによって仕切られる内側と外側の部位を弾性連結部を介して局部的に連結し、前記集合シート及びスペーサシートの重ね合せ時において、前記集合シートのいずれかのアンテナシートのLSIが、前記スペーサシートの開口部に一致しない場合には、前記LSIが前記開口部に一致するように前記スリットによって仕切られる内側の部位を移動させて前記弾性連結部を弾性変形させることにより位置調整する。
【0010】
請求項3記載のものは、表シートと、この表シートに一体的に重ね合わされ、開口部を有したスペーサと、このスペーサに一体的に重ね合わされ、前記開口部に嵌合されるLSI及びこのLSIに接続されるアンテナを有するアンテナシートと、このアンテナシートに一体的に重ね合わされた裏側シートとを具備し、前記表側シートと裏シートの外周側部は、前記スペーサの外周側部を介して密着される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、集合シートに複数一体的に集合配置されるアンテナシートのLSIとスペーサシートの複数個の開口部とを確実に嵌合させることができ、カード表面の平坦化を可能にするとともに、LSIの破棄を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である無線カード1の等価回路を示すものである。
【0013】
この無線カード1はLSI2と、このLSI2に電気的に接続されるアンテナ3と、このアンテナ3に接続される同調コンデンサ4を有して構成されている。
【0014】
この無線カード1はカード外部から供給される電波を電力に変換してLSI2を動作させ、残りの電力でレスポンスを返して非接触でデータ通信を行なうものである。
【0015】
図2は無線カード1を示す側断面図である。
図中7は裏シートで、この裏シート7上にはアンテナシート8が重ね合わされ、このアンテナシート8上にはスペーサ9を介して表シート10が重ね合わされている。アンテナシート8上にはLSI2と、このLSI2に電気的に接続されるアンテナ3が配設されている。スペーサ9には開口部9aが穿設され、この開口部9a内にアンテナシート8のLSI2が嵌合されている。
【0016】
アンテナシート8は、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート基材(以下、PET基材という)12を有し、このPET基材12の一面側に厚さ30μmのアルミニューム箔でアンテナ3を形成するとともに、所定の位置にLSI2を実装したものである。LSI2は、異方性導電ペーストによりフリップチップ方式で実装されている。このLSI2の実装方式は、フリップチップ方式に限られることなく、他の実装方式でも良い。
【0017】
次に、上記した無線カード1の製造方法について説明する。
【0018】
まず、図3〜図5に示すように、表裏のシート10,7、集合シート14、スペーサシート15を用意する。
【0019】
集合シート14は、その面方向に沿って4枚のアンテナシート8を一体的に集合配置している。集合シート14には、各アンテナ3の外周部に沿ってそれぞれスリット11が穿設され、このスリット11によって仕切られる内側と外側の部位が弾性を有する複数の連結部17を介して連結されている。なお、連結部17の形状は蛇腹状でも良く、また、連結部17の形成場所は、集合シート14のコーナー付近でも良い。さらに、連結部17は複数個ずつではなく、1個ずつであっても良い。
【0020】
スペーサシート15には、各アンテナシート8のLSI2を嵌合させるための開口部9aが複数穿設されている。
【0021】
上記したように各シート7,10,14,15を用意したのち、まず、図6(a)に示すように、表シート10をセットしてこの表シート10上にスペーサシート15を重ね合わせる。ついで、図6(b)に示すように、スペーサシート15上に集合シート14を重ね合わせる。このとき、集合シート14の一つのアンテナシート8のLSI2がスペーサシート14の開口部9aと一致しない場合がある。このような場合には、図7(a)に示すように、アンテナシート8を図示矢印で示すように左方向にずらせて図7(b)に示すようにLSI2をスペーサシート15の開口部9aに位置決めして嵌合させる。このアンテナシート8のずらせ時には、集合シート14の連結部7が弾性変形してズレ量が吸収される。従って、他のアンテナシート8のLSI2をずらせることがなく、スペーサシート15の開口部9aに対する嵌合を妨げてしまうことはない。
【0022】
このようにして、各アンテナシートのLSI2をスペーサシート15の開口部9aにすべて嵌合させたのち、図8(a)に示すように集合シート8上に裏シート7を重ね合わせる。
【0023】
こののち、図8(b)に示すように図示しない加圧加熱機構により、積層シートをその上下から加圧するとともに加熱して一体化する。そして、この一体化された積層シートを各アンテナシート8のアンテナ3の外周部(図7(a)の破線で示す)に沿うように切断して図8(c)に示すようにカード化しその製造を終える。
【0024】
なお、スリット11は、スペーサシート15側に設けてもよく、また、集合シート14とスペーサシート15の両方にそれぞれ形成するようにしても良い。
【0025】
図9は本発明の第2の実施の形態を示すものである。
【0026】
上記した第1の実施の形態では、積層シートを切断してカード化する場合、図7(a)に示すようにスリット11の内側に沿うように切断したが、第2の実施の形態では、図9(a)に破線で示すようにスリット11の内部に沿うように切断する。
【0027】
この実施の形態によれば、カード化後においては、図9(b)に示すように、カード1の側面にアンテナシート8の側面が露出することがない。
【0028】
即ち、カード1の外周側面においては、PET−Gである表、裏シート14,10とスペーサ9とが接着し、積層後の密着性を向上することができる。
【0029】
図5は、本発明の第3の実施の形態を示すものである。
【0030】
上記した第1の実施の形態では、スリット11をアンテナシート8のアンテナ3の外周部に沿って形成したが、この第3の実施の形態では、スリット21をLSI2の外周に沿って形成し、スリット21によって仕切られるアンテナシート8の内側と外側の部位を連結部22を介して連結している。
【0031】
この第3の実施の形態においても、上記した実施の形態と同様の作用、効果を得ることができる。
【0032】
なお、この発明は、上述した各実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施の形態である無線カードの等価回路を示す図。
【図2】図1の無線カードを示す側断面図。
【図3】図2の無線カードを構成するための表裏のシートを示す図。
【図4】図2の無線カードを構成するための集合シートを示す図。
【図5】図2の無線カードを構成するためのスペーサシートを示す図。
【図6】図2の無線カードの製造方法を示す図。
【図7】図2の無線カードの製造方法を示す図。
【図8】図2の無線カードの製造方法を示す図。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示す図。
【図10】本発明の第3の実施の形態を示す図。
【図11】従来の無線カード製造時に用いられる表裏のシートを示す図。
【図12】従来の無線カード製造時に用いられる集合シートを示す図。
【図13】従来の無線カード製造時に用いられるスペーサシートを示す図。
【図14】従来の無線カード製造方法を示す図。
【図15】図14の無線カード製造時において集合シートのLSIとスペーサシートの開口部とが一致しない状態でカード化した状態を示す図。
【符号の説明】
【0034】
2…LSI、3…アンテナ、7…裏シート、8…アンテナシート、9a…開口部、10…表シート、11,21…スリット、15…スペーサシート、14…集合シート、17,22…弾性連結部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、LSIとアンテナシートを内包する無線カードの製造方法、及び無線カードに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の無線カードは、例えば、図11乃至図15に示すような表、裏のシート101,102、集合シート104、スペーサシート103を用いて製造される。即ち、各シートを図14(a)に示すように表シート101、スペーサシート103、集合シート104,裏シート102の順に重ね合わせたのち、図14(b)に示すように加圧するとともに加熱して一体化する。そして、この一体化したシート層を図12の後述するアンテナシート8の外周部(破線で示す)に沿うように打ち抜くことにより、図14(c)に示すようにカード化する。
【0003】
集合シート104には、図12に示すように、LSI106とこのLSI106に接続されるアンテナ107を有するアンテナシート108が面方向に沿って複数枚一体的に集合配置されている。
【0004】
スペーサシート103には、カード化後の表面の平担性を確保することと、シート積層時におけるLSI106の破壊を防ぐために、図13に示すようにLSI106を嵌合させるための開口部103aが複数形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−346112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したスペーサシート103と集合シート104との重ね合わせ時において、集合シート104に配置される4個のLSI106のうちの一つが例えば、図15(a)に示すように、一致しないことがある。この場合、集合シート104を移動させることにより、LSI106をスペーサシート103の開口部103aに一致させることが可能となる。
【0006】
しかしながら、集合シート104を移動させると、他のLSI106が開口部103aからずれて嵌合できなくなるという問題があった。
【0007】
なお、図15(a)に示すLSI106がスペーサシート103の開口部103aに一致しない状態から加圧、加熱してカード化すると、図15(b)に示すように、表面に凹凸101aが生じたり、LSI106を破壊してしまう虞がある。
【0008】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、集合シートに複数枚一体的に集合配置される各アンテナシートのLSIを個別に移動させてその位置を調整できるようにした無線カード製造方法、及び無線カードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1記載のものは、表シート上に、複数の開口部を有するスペーサシートを重ね合わせる工程と、LSI、及びこのLSIに接続されるアンテナを有するアンテナシートを面方向に複数枚一体的に集合配置する集合シートを、前記スペーサシート上に重ね合わせて前記各アンテナシートのLSIを前記複数の開口部にそれぞれ嵌合させる工程と、前記集合シート上に裏シートを重ね合わせる工程と、前記重ね合わされたシート層を一体化したのち、前記複数枚のアンテナシートの外周部に沿うように切断することによりカード化する工程とを具備し、前記集合シート及びスペーサシートの少なくとも一方に、前記アンテナシート、若しくは前記LSIの外周部に沿うようにそれぞれスリットを形成し、前記スリットによって仕切られる内側と外側の部位を弾性連結部を介して局部的に連結し、前記集合シート及びスペーサシートの重ね合せ時において、前記集合シートのいずれかのアンテナシートのLSIが、前記スペーサシートの開口部に一致しない場合には、前記LSIが前記開口部に一致するように前記スリットによって仕切られる内側の部位を移動させて前記弾性連結部を弾性変形させることにより位置調整する。
【0010】
請求項3記載のものは、表シートと、この表シートに一体的に重ね合わされ、開口部を有したスペーサと、このスペーサに一体的に重ね合わされ、前記開口部に嵌合されるLSI及びこのLSIに接続されるアンテナを有するアンテナシートと、このアンテナシートに一体的に重ね合わされた裏側シートとを具備し、前記表側シートと裏シートの外周側部は、前記スペーサの外周側部を介して密着される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、集合シートに複数一体的に集合配置されるアンテナシートのLSIとスペーサシートの複数個の開口部とを確実に嵌合させることができ、カード表面の平坦化を可能にするとともに、LSIの破棄を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である無線カード1の等価回路を示すものである。
【0013】
この無線カード1はLSI2と、このLSI2に電気的に接続されるアンテナ3と、このアンテナ3に接続される同調コンデンサ4を有して構成されている。
【0014】
この無線カード1はカード外部から供給される電波を電力に変換してLSI2を動作させ、残りの電力でレスポンスを返して非接触でデータ通信を行なうものである。
【0015】
図2は無線カード1を示す側断面図である。
図中7は裏シートで、この裏シート7上にはアンテナシート8が重ね合わされ、このアンテナシート8上にはスペーサ9を介して表シート10が重ね合わされている。アンテナシート8上にはLSI2と、このLSI2に電気的に接続されるアンテナ3が配設されている。スペーサ9には開口部9aが穿設され、この開口部9a内にアンテナシート8のLSI2が嵌合されている。
【0016】
アンテナシート8は、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート基材(以下、PET基材という)12を有し、このPET基材12の一面側に厚さ30μmのアルミニューム箔でアンテナ3を形成するとともに、所定の位置にLSI2を実装したものである。LSI2は、異方性導電ペーストによりフリップチップ方式で実装されている。このLSI2の実装方式は、フリップチップ方式に限られることなく、他の実装方式でも良い。
【0017】
次に、上記した無線カード1の製造方法について説明する。
【0018】
まず、図3〜図5に示すように、表裏のシート10,7、集合シート14、スペーサシート15を用意する。
【0019】
集合シート14は、その面方向に沿って4枚のアンテナシート8を一体的に集合配置している。集合シート14には、各アンテナ3の外周部に沿ってそれぞれスリット11が穿設され、このスリット11によって仕切られる内側と外側の部位が弾性を有する複数の連結部17を介して連結されている。なお、連結部17の形状は蛇腹状でも良く、また、連結部17の形成場所は、集合シート14のコーナー付近でも良い。さらに、連結部17は複数個ずつではなく、1個ずつであっても良い。
【0020】
スペーサシート15には、各アンテナシート8のLSI2を嵌合させるための開口部9aが複数穿設されている。
【0021】
上記したように各シート7,10,14,15を用意したのち、まず、図6(a)に示すように、表シート10をセットしてこの表シート10上にスペーサシート15を重ね合わせる。ついで、図6(b)に示すように、スペーサシート15上に集合シート14を重ね合わせる。このとき、集合シート14の一つのアンテナシート8のLSI2がスペーサシート14の開口部9aと一致しない場合がある。このような場合には、図7(a)に示すように、アンテナシート8を図示矢印で示すように左方向にずらせて図7(b)に示すようにLSI2をスペーサシート15の開口部9aに位置決めして嵌合させる。このアンテナシート8のずらせ時には、集合シート14の連結部7が弾性変形してズレ量が吸収される。従って、他のアンテナシート8のLSI2をずらせることがなく、スペーサシート15の開口部9aに対する嵌合を妨げてしまうことはない。
【0022】
このようにして、各アンテナシートのLSI2をスペーサシート15の開口部9aにすべて嵌合させたのち、図8(a)に示すように集合シート8上に裏シート7を重ね合わせる。
【0023】
こののち、図8(b)に示すように図示しない加圧加熱機構により、積層シートをその上下から加圧するとともに加熱して一体化する。そして、この一体化された積層シートを各アンテナシート8のアンテナ3の外周部(図7(a)の破線で示す)に沿うように切断して図8(c)に示すようにカード化しその製造を終える。
【0024】
なお、スリット11は、スペーサシート15側に設けてもよく、また、集合シート14とスペーサシート15の両方にそれぞれ形成するようにしても良い。
【0025】
図9は本発明の第2の実施の形態を示すものである。
【0026】
上記した第1の実施の形態では、積層シートを切断してカード化する場合、図7(a)に示すようにスリット11の内側に沿うように切断したが、第2の実施の形態では、図9(a)に破線で示すようにスリット11の内部に沿うように切断する。
【0027】
この実施の形態によれば、カード化後においては、図9(b)に示すように、カード1の側面にアンテナシート8の側面が露出することがない。
【0028】
即ち、カード1の外周側面においては、PET−Gである表、裏シート14,10とスペーサ9とが接着し、積層後の密着性を向上することができる。
【0029】
図5は、本発明の第3の実施の形態を示すものである。
【0030】
上記した第1の実施の形態では、スリット11をアンテナシート8のアンテナ3の外周部に沿って形成したが、この第3の実施の形態では、スリット21をLSI2の外周に沿って形成し、スリット21によって仕切られるアンテナシート8の内側と外側の部位を連結部22を介して連結している。
【0031】
この第3の実施の形態においても、上記した実施の形態と同様の作用、効果を得ることができる。
【0032】
なお、この発明は、上述した各実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施の形態である無線カードの等価回路を示す図。
【図2】図1の無線カードを示す側断面図。
【図3】図2の無線カードを構成するための表裏のシートを示す図。
【図4】図2の無線カードを構成するための集合シートを示す図。
【図5】図2の無線カードを構成するためのスペーサシートを示す図。
【図6】図2の無線カードの製造方法を示す図。
【図7】図2の無線カードの製造方法を示す図。
【図8】図2の無線カードの製造方法を示す図。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示す図。
【図10】本発明の第3の実施の形態を示す図。
【図11】従来の無線カード製造時に用いられる表裏のシートを示す図。
【図12】従来の無線カード製造時に用いられる集合シートを示す図。
【図13】従来の無線カード製造時に用いられるスペーサシートを示す図。
【図14】従来の無線カード製造方法を示す図。
【図15】図14の無線カード製造時において集合シートのLSIとスペーサシートの開口部とが一致しない状態でカード化した状態を示す図。
【符号の説明】
【0034】
2…LSI、3…アンテナ、7…裏シート、8…アンテナシート、9a…開口部、10…表シート、11,21…スリット、15…スペーサシート、14…集合シート、17,22…弾性連結部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表シート上に、複数の開口部を有するスペーサシートを重ね合わせる工程と、
LSI、及びこのLSIに接続されるアンテナを有するアンテナシートを面方向に複数枚一体的に集合配置する集合シートを、前記スペーサシート上に重ね合わせて前記各アンテナシートのLSIを前記複数の開口部にそれぞれ嵌合させる工程と、
前記集合シート上に裏シートを重ね合わせる工程と、
前記重ね合わされたシート層を一体化したのち、前記複数枚のアンテナシートの外周部に沿うように切断することによりカード化する工程とを具備し、
前記集合シート及びスペーサシートの少なくとも一方に、前記アンテナシート、若しくは前記LSIの外周部に沿うようにそれぞれスリットを形成し、前記スリットによって仕切られる内側と外側の部位を弾性連結部を介して局部的に連結し、
前記集合シート及びスペーサシートの重ね合せ時において、前記集合シートのいずれかのアンテナシートのLSIが、前記スペーサシートの開口部に一致しない場合には、前記LSIが前記開口部に一致するように前記スリットによって仕切られる内側の部位を移動させて前記弾性連結部を弾性変形させることにより位置調整することを特徴とする無線カード製造方法。
【請求項2】
前記一体化されたシート層は、前記アンテナシートの外周部に沿うように形成されたスリットに沿って切断されることを特徴とする請求項1記載の無線カード製造方法。
【請求項3】
表シートと、
この表シートに一体的に重ね合わされ、開口部を有したスペーサと、
このスペーサに一体的に重ね合わされ、前記開口部に嵌合されるLSI及びこのLSIに接続されるアンテナを有するアンテナシートと、
このアンテナシートに一体的に重ね合わされた裏側シートと
を具備し、
前記表側シートと裏シートの外周側部は、前記スペーサの外周側部を介して密着されたことを特徴とする無線カード。
【請求項1】
表シート上に、複数の開口部を有するスペーサシートを重ね合わせる工程と、
LSI、及びこのLSIに接続されるアンテナを有するアンテナシートを面方向に複数枚一体的に集合配置する集合シートを、前記スペーサシート上に重ね合わせて前記各アンテナシートのLSIを前記複数の開口部にそれぞれ嵌合させる工程と、
前記集合シート上に裏シートを重ね合わせる工程と、
前記重ね合わされたシート層を一体化したのち、前記複数枚のアンテナシートの外周部に沿うように切断することによりカード化する工程とを具備し、
前記集合シート及びスペーサシートの少なくとも一方に、前記アンテナシート、若しくは前記LSIの外周部に沿うようにそれぞれスリットを形成し、前記スリットによって仕切られる内側と外側の部位を弾性連結部を介して局部的に連結し、
前記集合シート及びスペーサシートの重ね合せ時において、前記集合シートのいずれかのアンテナシートのLSIが、前記スペーサシートの開口部に一致しない場合には、前記LSIが前記開口部に一致するように前記スリットによって仕切られる内側の部位を移動させて前記弾性連結部を弾性変形させることにより位置調整することを特徴とする無線カード製造方法。
【請求項2】
前記一体化されたシート層は、前記アンテナシートの外周部に沿うように形成されたスリットに沿って切断されることを特徴とする請求項1記載の無線カード製造方法。
【請求項3】
表シートと、
この表シートに一体的に重ね合わされ、開口部を有したスペーサと、
このスペーサに一体的に重ね合わされ、前記開口部に嵌合されるLSI及びこのLSIに接続されるアンテナを有するアンテナシートと、
このアンテナシートに一体的に重ね合わされた裏側シートと
を具備し、
前記表側シートと裏シートの外周側部は、前記スペーサの外周側部を介して密着されたことを特徴とする無線カード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−334504(P2007−334504A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163667(P2006−163667)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]