説明

無線セルを接続する無線バックボーン

【課題】無線通信システムを提供する。
【解決手段】ネットワークインタフェース装置と、第1のネットワークを第1の無線通信リンクに連結するための第1の連結装置と、第2のネットワークを第2の無線通信リンクに連結するための第2の連結装置とを含み、第1の無線通信リンク及び第2の無線通信リンクが、ネットワークインタフェース装置に連結されたネットワークバックボーン通信接続を形成してネットワークインタフェース装置と第1の連結装置の間に第1の通信リンクを確立させ、かつネットワークインタフェース装置と第2の連結装置の間に第2の通信リンクを確立させるように配置された通信システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線ネットワーキングは、ローカルエリアネットワークLAN及び広域ネットワークWAN内の両方において益々一般的になっている。
ローカルエリアネットワーク内では、オフィスユーザは、無線LANによってもたらされる柔軟性及び携帯性に慣れてきている。無線WANは、地域社会での使用に向けて提案されているが、現時点では普及に向けて必要とされる性能を供給できていない。
【0003】
無線ネットワーキングの使用及び考え方は、現在、ネットワークセルとしても公知の送信機送信範囲内のクライアントへの無線ネットワーク信号の送受信に送信機が用いられる標準的無線技術に基づいている。ネットワークセルの範囲を拡張するために、送信機からの信号を増幅して再送信し、それによって無線ネットワークの範囲を拡大するために送信機と通信するように構成された無線ネットワークリピータがセル内に置かれる。ネットワークを更に遠くの距離まで延ばすために、付加的なリピータが用いられ、それによってネットワークセルのサイズの拡大をもたらす。長距離においては、リピータを用いて2点間リンクを作り出し、それによってより遠い距離にあるクライアントへのサービスを可能にすることができるが、クライアントは、依然として同じネットワークセルの一部を形成している。
【0004】
上述の技術を使用すると、全ての送信信号がネットワーク全体にわたって同報通信される単一ネットワークが作成される。しかし、これは、ネットワーク容量の劣化及び待ち時間の増大をもたらす可能性がある。これは、全てのネットワークユーザが全ての送信信号へのアクセスを有することを必要とする典型的な無線同報通信目的には適するが、長距離にわたって広がり、かつ特定ユーザ間で高速通信を必要とするコンピュータネットワーク環境では望ましくない。
この状況を改善することが望ましい。
【発明の開示】
【0005】
本発明によると、特許請求の範囲の独立請求項に規定されるような通信システムが提供されるが、ここでそれを参照されたい。本発明の実施形態は、特許請求の範囲の従属請求項に規定されており、これについてもここで参照されたい。
これは、異なるネットワークエンティティ間に無線2点間通信リンクを確立させ、それによってデータへのアクセスを必要としないネットワーク上のデータの同報通信を回避する利点をもたらし、これは、ネットワーク容量(すなわち、帯域幅)の劣化と送信中のデータの待ち時間とを最小にする更に別の利点を有する。
ここで、本発明を添付図面を参照して一例として以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、ネットワークバックボーンとしても公知であるネットワークバックボーン通信接続105通じて、この実施形態ではルータ(すなわち、ゲートウェイ)であるネットワークインタフェース装置104に連結された4つの無線ネットワークセル101、102、103、130を示している。ゲートウェイ104は、ネットワークバックボーン105と外部ネットワーク(示していない)、例えば「インターネット」との間のインタフェースとして作用するが、ゲートウェイ104は、ネットワークバックボーン105を他のネットワークに連結することができると考えられる。
ゲートウェイ104は、第1のスイッチ106を通じてネットワークバックボーン105とインタフェースで接続されており、ここで、ネットワークバックボーン105は、第1の無線通信リンク107、第2の無線通信リンク108、第3の無線通信リンク109、及び第4の無線通信リンク133を含む。
【0007】
この実施形態は、ネットワークバックボーン105が4つの無線通信リンク107、108、109、133を有するように示しているが、ネットワークバックボーン105は、2つの無線通信リンクのみを含むことができ、又は代替的に外部ネットワークへのアクセスを要求する別々のネットワークの数に依存して3つ又はそれよりも多くを含むこともできる。従って、ネットワークバックボーン105は、あらゆる数の無線通信リンクを組み込むことができると考えられる。
【0008】
無線通信リンク107,108、109、133は、ある一定の範囲の距離にわたって拡張するために、無線リンク毎に多くのキロメートルにわたって延びるように配置及び追加することができる。従って、ネットワークバックボーン105は、例えばオフィス環境におけるLAN実施のためのネットワークバックボーン105を提供するために比較的短距離にわたって延びるように配置することができ、又は代替的にWAN実施におけるネットワークバックボーン105を提供するために、例えば、地域社会におけるネットワーキング施設の提供のために長距離にわたって用いることができると考えられる。
【0009】
第1の無線通信リンク107は、スイッチ106に配線された第1の無線送受信機アクセスポイント110を含む。第1の無線送受信機アクセスポイント110には、第2の無線送受信機アクセスポイント111が関連付けられ、ここで、第1の無線送受信機アクセスポイント110と第2の無線送受信機アクセスポイント111は、第1の無線送受信機アクセスポイント110と第2の無線送受信機アクセスポイント111の間に無線2点間通信リンクを確立させるためにブリッジモードで作動するように構成されている。従って、第1の無線送受信機アクセスポイント110と第2の無線送受信機アクセスポイント111は、典型的にはブリッジリンクであることになる。
【0010】
第2の無線通信リンク108は、スイッチ106に配線された第3の無線送受信機アクセスポイント112を含む。第3の無線送受信機アクセスポイント112には、第4の無線送受信機アクセスポイント113が関連付けられ、ここで、第3の無線送受信機アクセスポイント112と第4の無線送受信機アクセスポイント113は、第3の無線送受信機アクセスポイント112と第4の無線送受信機アクセスポイント113の間に無線2点間通信リンクを確立させるためにブリッジモードで作動するように構成されている。
【0011】
第3の無線通信リンク109は、スイッチ106に配線された第5の無線送受信機アクセスポイント114を含む。第5の無線送受信機アクセスポイント114には、第6の無線送受信機アクセスポイント115が関連付けられ、ここで、第5の無線送受信機アクセスポイント114と第6の無線送受信機アクセスポイント115は、第5の無線送受信機アクセスポイント114と第6の無線送受信機アクセスポイント115の間に無線2点間通信リンクを確立させるためにブリッジモードで作動するように構成されている。
【0012】
第4の無線通信リンクは、第10の無線送受信機アクセスポイント131を含み、これは、第6の無線送受信機アクセスポイントと第10の無線送受信機アクセスポイント131の間でデータを通信させるために、第2のスイッチ137を通じて第6の無線送受信機アクセスポイント115に連結されている。第10の無線送受信機アクセスポイント131には、第11の無線送受信機アクセスポイント132が関連付けられ、ここで、第10の無線送受信機アクセスポイント131と第11の無線送受信機アクセスポイント132は、第10の無線送受信機アクセスポイント131と第11の無線送受信機アクセスポイント132の間に無線2点間通信リンクを確立させるためにブリッジモードで作動するように構成されている。
【0013】
第2の無線送受信機アクセスポイント111は、ルータ116に連結され、これは、第1の無線ネットワークセル101の一部を形成し、これには第1の無線ネットワークセル101を形成させる無線ネットワークインタフェースとして作動するように構成された第7の無線送受信機アクセスポイント117が連結されている。更に、第7の無線アクセスポイント117は、ルータ116を通じて第1の無線ネットワークセル101をネットワークバックボーン105に連結するための連結装置として作用する。360°のネットワーク受信可能範囲を可能にするために、第7の無線送受信機アクセスポイント117は、360°全方位アンテナ118を用いるが、他種のアンテナを用いることもできると考えられる。
【0014】
第4の無線送受信機アクセスポイント113は、ルータ119に連結され、これは、第2の無線セル102の一部を形成し、これには第2の無線ネットワークセル102を形成させる無線ネットワークインタフェースとして作動するように構成された第8の無線送受信機アクセスポイント120が連結されている。更に、第8のネットワークアクセスポイント120は、ルータ119を通じて第2の無線ネットワークセル102をネットワークバックボーン105に連結するための連結装置として作用する。360°のネットワーク受信可能範囲を可能にするために、第8の無線送受信機アクセスポイント120は、360°全方位アンテナ121を用いるが、他種のアンテナを用いることもできると考えられる。
【0015】
上述のように、第6の無線送受信機アクセスポイント115は、第2のスイッチ137に連結され、これは、第10の無線送受信機アクセスポイント131に連結されることに加えてルータ122にも連結され、これは、第3の無線セル103の一部を形成する。ルータ122は、第3の無線ネットワークセルを形成させる無線ネットワークインタフェースとして作動するように構成された第9の無線送受信機アクセスポイント123に連結される。更に、第9の無線送受信機アクセスポイント123は、ルータ122を通じて第3の無線ネットワークセル103をネットワークバックボーン105に連結するための連結装置として作用する。360°のネットワーク受信可能範囲を可能にするために、第9の無線送受信機アクセスポイント123は、360°全方位アンテナ124を用いるが、他種のアンテナを用いることもできると考えられる。
【0016】
第11の無線送受信機アクセスポイント132は、ルータ134に連結され、これは、第4の無線セル130の一部を形成し、これには第4の無線ネットワークセル130を形成させる無線ネットワークインタフェースとして作動するように構成された第12の無線送受信機アクセスポイント135が連結されている。更に、第12の無線送受信機アクセスポイント135は、ルータ134を通じて第4の無線ネットワークセル130をネットワークバックボーン通信チャンネル105に連結するための連結装置として作用する。360°のネットワーク受信可能範囲を可能にするために、第12の無線送受信機アクセスポイント135は、360°全方位アンテナ136を用いるが、他種のアンテナを用いることもできると考えられる。
【0017】
ネットワークバックボーン105を拡張するために、第2の無線送受信機アクセスポイント111、第4の無線送受信機アクセスポイント113、及び/又は第6の無線送受信機アクセスポイント115の後にスイッチ(示していない)を設置し、スイッチ(示していない)から付加的な無線通信リンクを作成させることができると考えられる。上述のように、この方法を用いると、あらゆる個数の付加的な無線通信リンクによってネットワークバックボーン通信チャンネル105を拡張することができる。従って、通信リンク107、108、109、133を含むネットワークバックボーン105は、対応するデータを他のネットワークセルに送信することなしにデータを特定のネットワークセルに通信することができ、それによってネットワーク帯域幅を最適化し、待ち時間を低減する。
【0018】
第1の無線ネットワークセル101、第2の無線ネットワークセル102、第3の無線ネットワークセル103、及び第4の無線ネットワークセル130におけるルータ116、119、122、134の使用により、第1の無線ネットワークセル101、第2の無線ネットワークセル102、第3の無線ネットワークセル103、及び第4の無線ネットワークセル130は、これら自体の別々のネットワークアドレスを有することができる。従って、これは、各ネットワークセルに対するユーザの数をネットワークセルの各々に関連付けられたサブネットマスクによって判断することを可能にする。従って、第1の無線ネットワークセル101、第2の無線ネットワークセル102、第3の無線ネットワークセル103、及び第4の無線ネットワークセル130が、255.255.255.0のサブネットマスクを有する場合には、各ネットワークセルは、255ユーザまでをサポートすることができると考えられる。従って、ネットワークセルのサイズが重要でない場合には、ルータ116、119、122、134は、ネットワークから除去することができる。
【0019】
本発明の実施形態の目的に対しては、無線通信リンク107、108、109、133に対して用いられる無線技術は、ネットワークシステムのRF伝送特性に対していくつかの要件を課する「IEEE 802.11」規格に基づいている。例えば、欧州市場では13チャンネルを組み込み、北米市場では11チャンネルを組み込む2.4GHz無線周波数帯域が提供されている。各チャンネルは、22MHzのチャンネル帯域幅を有する。
【0020】
無線ネットワークバックボーン105及び/又は無線ネットワークセルを形成する無線通信リンク間のチャンネル干渉(すなわち、異なる無線リンク間の飛び越し)を回避するために、隣接する無線通信リンク及び/又は無線ネットワークセル間で異なるチャンネル周波数が用いられる。しかし、無線通信リンクの領域内で別の無線通信リンク及び/又はネットワークセルからの信号強度が閾値よりも小さいように別の無線通信リンク及び/又はネットワークセルから十分に離れている無線通信リンク及び/又はネットワークセルに対しては、その別の無線通信リンクの特定チャンネル周波数を再使用することができる。選択される信号強度の閾値は、ネットワーク構成及び帯域幅要件に依存することになる。更に、RF発信源からの距離は、電力レベルが典型的に異なることになるバックボーン通信リンク及び無線ネットワークセルに対して変化することになる。この結果、隣接する無線通信リンクからの干渉を最小にすることができると同時に、利用可能周波数スペクトルの再使用が可能になる。
【0021】
例示的に、第1の無線ネットワークセル101、第2の無線ネットワークセル102、第3の無線ネットワークセル103、第4の無線ネットワークセル130、及びネットワークインタフェース装置104の間に通信リンクを確立させるために、それぞれのネットワーク構成要素にIPアドレスが割り当てられる。例えば、この実施形態の目的に対しては、図1に示すネットワーク構造に割り当てられるIP専用アドレスの範囲は、10.10.0.0であり、ここで、ネットワークバックボーン105の要素は、IP範囲10.10.1.0から10.10.1.12までを用いる。特に、第1の無線送受信機アクセスポイント110は、10.10.1.1を用い、第2の無線送受信機アクセスポイント111は、10.10.1.2を用い、ルータ116の第1の無線通信リンク側は、10.10.1.3を用い、第3の無線送受信機アクセスポイント112は、10.10.1.4を用い、第4の無線送受信機アクセスポイント113は、10.10.1.5を用い、ルータ119の第2の無線通信リンク側は、10.10.1.6を用い、第5の無線送受信機アクセスポイント114は、10.10.1.7を用い、第6の無線送受信機アクセスポイント115は、10.10.1.8を用い、ルータ122の第3の無線通信リンク側は、10.10.1.9を用いる。第4の無線通信リンク133に対しては、第10の無線アクセスポイント131は、10.10.1.10を用い、第11の無線アクセスポイント132は、10.10.1.11を用い、第4の無線通信リンク133に対して関連付けられたルータは、10.10.1.12のIPアドレスを有する。
【0022】
第1の無線ネットワークセル101は、IP範囲10.10.13を用い、ここで、ルータ116の第1のネットワークセル側は、IPアドレス10.10.13.1を有し、第7の無線送受信機アクセスポイント117は、10.10.13.2を用いる。
第2の無線ネットワークセル102は、IP範囲10.10.14を用い、ここで、ルータ119の第2のネットワークセル側は、IPアドレス10.10.14.1を有し、第8の無線送受信機アクセスポイント120は、10.10.14.2を用いる。
【0023】
第3の無線ネットワークセル103は、IP範囲10.10.15を用い、ここで、ルータ122の第3のネットワークセル側は、IPアドレス10.10.15.1を有し、第9の無線送受信機アクセスポイント123は、10.10.15.2を用いる。
第4の無線ネットワークセル130は、IP範囲10.10.16を用い、ここで、ルータ134の第4のネットワークセル側は、IPアドレス10.10.16.1を有し、第12の無線送受信機アクセスポイント135は、10.10.16.2を用いる。
【0024】
第1の無線通信リンク107は、2.412GHzを中心とする周波数を有する第1の802.11割り当てチャンネル上で作動するように構成されている。第2の無線通信リンク108は、第1の無線通信リンク107と比較的近接しており、従って、第2の無線通信リンク108の領域における第1の無線通信リンク107からの信号強度は閾値を超える。この結果、第2の無線通信リンク108は、2.43GHzを中心とする周波数を有する第6の802.11割り当てチャンネル上で作動するように構成されており、それによって第1の無線通信リンク107と第2の無線通信リンク108の間の干渉の不在を確実にする。第3の無線通信リンク109もまた、第1の無線通信リンク107及び第2の無線通信リンク108と比較的近接しており、従って、第3の無線通信リンク109の領域における第1の無線通信リンク107及び第2の無線通信リンク108からの信号強度は閾値を超える。この結果、第3の無線通信リンク109は、2.462GHzを中心とする周波数を有する第11の802.11割り当てチャンネル上で作動するように構成されている。しかし、第4の無線通信リンク133は、第1の無線通信リンク107から十分に離れているために、第1の無線通信リンクからの受信信号は、閾値よりも小さい。従って、第4の無線通信リンク133は、2.412GHzを中心とする周波数を有する第1の802.11チャンネルを用いるように構成されている。
【0025】
上述のように選択されたチャンネル周波数は、良好なチャンネル分離をもたらすように選択されているが、これらのチャンネル周波数は、単なる例示目的のものであり、あらゆる適切なチャンネル周波数を用いることができる。
当業者によって認められるであろうが、上述のIP範囲は、単なる例示のためのものであり、IPアドレスのあらゆる利用可能範囲を用いることができると考えられる。
【0026】
第7の無線送受信機アクセスポイント117、第8の無線送受信機アクセスポイント120、第9の無線送受信機アクセスポイント123、及び第12の無線送受信機アクセスポイント135は、ユーザのそれぞれのネットワークセルにログオンにするユーザに対して適切なIPアドレスを提供するように配置されており、それによってネットワークバックボーン通信チャンネル105を通じてゲートウェイ104と個々のユーザの間に通信リンクを確立させ、それによって1つの無線ネットワークセルからのネットワークトラフィックが、ゲートウェイ104への経路上で別の無線ネットワークセルを通過することを回避する利点をもたらす。
【0027】
更に、上述のネットワーク構造は、ネットワークバックボーン通信チャンネル上に確立された2点間リンクに対してそれぞれのネットワーク装置に関連するメディアアクセス制御アドレスにアドレス指定させるように構成することができる。従って、これは、ネットワークバックボーン通信チャンネル105に連結された未許可のMACアドレスを有する機器を停止させることができるMACフィルタリングの使用を可能にする。
上述の説明では第1の無線ネットワークセル101、第2の無線ネットワークセル102、第3の無線ネットワークセル103、及び第4の無線ネットワークセル130の使用について説明したが、これらのセルの1つ又はそれよりも多くは、有線ネットワークセルとして同等に構成することができると考えられる。
【0028】
ネットワーク通信バックボーン上の通信信頼性を強化するために、ネットワーク通信バックボーンは、「環」を形成するように構成することができ、ここで、ネットワーク通信バックボーンの終端は、そのネットワーク通信バックボーンの先端に連結され、それによってネットワーク通信「リブ」を形成する。
ネットワーク通信バックボーンの終端をネットワーク通信バックボーンの先端に連結することにより、ネットワーク通信バックボーンの1つの要素に異常が発生した場合に、ネットワーク通信バックボーン上でトラフィックを自動的に向け直させ、それによってネットワークが作動状態に留まることを可能にする。
【0029】
重複IPアドレスが許可されず、それによってネットワーク通信バックボーンの一端のネットワーク通信バックボーンの他端への連結が阻止されるTCP/IPネットワークの制限を克服するために、本発明者は、ヘッドルータを用いることにより、この制限を克服してTCP/IPネットワーク通信バックボーンの先端をその終端に連結することが可能であることを理解した。
これは、異なるネットワーク上で2つのネットワーク接続を用いるように配置されたヘッドルータを用いて達成され、ここで、各それぞれのネットワーク接続は、サブルータに連結され、この2つのサブルータは、2重ゲートウェイルータとして作用する。2重ゲートウェイルータを形成するサブルータの各々は、同じネットワーク上のネットワーク接続を有し、それによって一方のサブルータをネットワーク通信バックボーンの一端に連結させ、他方のサブルータをネットワーク通信バックボーンの他端に連結させる。これは、異なるネットワーク、例えば「インターネット」へのゲートウェイとして作用するヘッドルータに、いずれかのサブルータを通じて(すなわち、ネットワーク通信バックボーンの周りのいずれかの方向で)ネットワーク通信バックボーン上に送信させるか、又は代替的にネットワーク通信バックボーンに連結されたユーザが、いずれかのサブルータを通じてヘッドルータにアクセスすることを可能にし、ここで、主要経路は、一般的に最短経路に対応すると考えられる。最短経路に関連付けられた装置に異常が発生した場合には、ヘッドルータへ/からの経路は、自動的に代替経路に変更され、代替的に、これは、サービスエンジニアによって遠隔的に再構成することができるであろう。
【0030】
これは、ヘッドルータ200を通じてネットワーク通信「リブ」が確立される図2に例示している。
図2は、第1のサブルータ201及び第2のサブルータ202に連結されて上述のように2重ゲートウェイルータとして作用するヘッドルータ200(すなわち、2つのネットワーク間のゲートウェイ)を示している。ヘッドルータ200との接続のための第1のサブルータ201のIPアドレスは、10.10.2.1である。ヘッドルータ200との接続のための第2のサブルータ202のIPアドレスは、10.10.3.1である。この結果、ヘッドルータ200は、第1のサブルータ201と第2のサブルータ202を2つの別々のネットワークとして見ている。
【0031】
第1のサブルータ201とヘッドルータ200の間のネットワーク接続に加えて、ブリッジリンクとしても公知である第2のネットワーク接続が、第1のサブルータ201と第1のアクセスポイント203の間で作られ、ここで、第1のサブルータと第1のアクセスポイントの間のIPアドレスは、それぞれ10.10.1.1及び10.10.1.2であり、ネットワーク通信バックボーンの第1の通信リンク205を形成する。第1のアクセスポイント203は、上述の第1の実施形態で説明したアクセスポイントと類似か又は同じ方式でネットワーク通信バックボーンへのアクセスポイントとして作用する。
【0032】
第1のアクセスポイント203の第1のサブルータ201への連結に加えて、第1のアクセスポイント203は、第2のアクセスポイント204にも連結され(すなわち、第2のブリッジリンク)、ここで、第1のアクセスポイント及び第2のアクセスポイントのIPアドレスは、それぞれ10.10.1.2及び10.10.1.3であり、ネットワーク通信バックボーンの第2の通信リンク206を形成する。第2のアクセスポイント204は、第1のアクセスポイント203と類似か又は同じ方式でネットワーク通信バックボーンへのアクセスポイントとして作用する。
【0033】
第2のアクセスポイント204は、更に、第2のサブルータ202に連結され、ここで、第2のアクセスポイント204と第2のサブルータ202の間のIPアドレスは、それぞれ10.10.1.3及び10.10.1.254であり、ネットワーク通信バックボーンの第3の通信リンク207を形成する。
従って、第1、第2、及び第3の通信リンク205、206、207を通じて、第1のサブルータと第2のサブルータの間でIPアドレス10.10.1.1から10.10.1.254まで、ネットワーク通信バックボーンが形成される。ネットワーク通信バックボーンを形成するそれぞれの通信リンク205、206、207は、上述のように無線通信リンクとして又は有線通信リンクとして実施することができる。
ヘッドルータ200が第1のサブルータ201及び第2のサブルータ202に連結されることに加えて、ヘッドルータ200は、外部ネットワーク208、例えば「インターネット」に連結され、それによってそのゲートウェイとしての役割においてネットワーク通信バックボーンと「インターネット」208の間でトラフィックを経路指定する。
【0034】
ネットワーク通信バックボーンの第1のアクセスポイント203と第2のアクセスポイント204の間には、スイッチ208が連結され、これにはネットワーク通信バックボーンに連結された第1のネットワークセル(示していない)の一部を形成する付加的なルータ209(すなわち、第1のネットワークセルルータ)が更に連結される。第1のネットワークセルルータ209は、次に、送受信機アクセスポイント210、例えば無線送受信機アクセスポイントに連結され、これは、上述のように第1のネットワークセルをネットワーク通信バックボーンに連結させる。
【0035】
第1のネットワークセルは、ネットワーク通信バックボーンに対して異なるネットワークを形成するので、第1のネットワークセルには、IPアドレスの異なる範囲が割り当てられる。例えば、第1のネットワークセルルータ209のネットワーク通信バックボーン側には、例えば10.10.1.4のIPアドレスを与え、ルータ209の第1のネットワークセル側には、IPアドレス10.10.4.1を与えることができる。従って、第1のネットワークセルを形成する様々なユーザ装置(示していない)は、次に、ネットワーク通信バックボーン及びヘッドルータ200を通じて、外部ネットワーク、例えば「インターネット」208に連結することができる。
しかし、単一ネットワークセルのみがネットワーク通信バックボーンに連結されるように説明したが、あらゆる適切な数のネットワークセルをネットワーク通信バックボーンに連結することができることに注意すべきである。更に、当業者によって認められるであろうが、ネットワーク通信バックボーンは、あらゆる数の通信リンクから成ることができると考えられる。
【0036】
ヘッドルータ200は、第1のサブルータ201及び第2のサブルータ202の両方を通じてネットワーク通信バックボーンに連結されるので、ヘッドルータ200は、第1のサブルータ201又は第2のサブルータ202のいずれかを通じてネットワーク通信バックボーンへ又はそこからデータを経路指定することができる。従って、第1のネットワークセル上のユーザ装置からヘッドルータ200への経路の一部を形成するネットワーク通信バックボーン内の通信リンクに異常があった場合には、第1のネットワークセルルータ209は、第1のネットワークセル上のユーザ装置と「インターネット」208との間のトラフィックを代替経路を用いるネットワーク通信バックボーンを通じて自動的に誘導するように構成することができる。例示的に、第1のネットワークセルルータ209が、主要経路として第1のサブルータ201を通じてヘッドルータ200にトラフィックを向けるように配置されている場合には、この経路を通じて異常が発生した場合、第1のネットワークセルルータ209は、主要経路上の異常を検出すると同時に第2のサブルータ202にトラフィックを向け直すことになる。
【0037】
例えば、第1のネットワークセル上のユーザ装置が「インターネット」208へのアクセスを望んでおり、第1のネットワークセルルータ209が、第1のサブルータ201にアクセスするように構成されている場合には、第1のネットワークセルルータ209と第1のサブルータ201の間のリンクが失敗した場合、第1のネットワークセルルータ209は、第2のサブルータ202に自動的にアクセスするように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態による通信システムを組み込むネットワークシステムを示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態によるネットワークシステムを示す図である。
【符号の説明】
【0039】
101、102、103、130 無線ネットワークセル
104 ネットワークインタフェース装置
105 ネットワークバックボーン通信接続

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークインタフェース装置と、
第1のネットワークを第1の無線通信リンクに連結するための第1の連結装置と、
第2のネットワークを第2の無線通信リンクに連結するための第2の連結装置と、
を含み、
前記第1の無線通信リンク及び前記第2の無線通信リンクは、前記ネットワークインタフェース装置に連結されたネットワークバックボーン通信接続を形成して該ネットワークインタフェース装置と前記第1の連結装置の間に第1の通信リンクを確立させ、かつ該ネットワークインタフェース装置と前記第2の連結装置の間に第2の通信リンクを確立させるように配置されている、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
複数のユーザに前記ネットワークバックボーン通信接続を通じて前記ネットワークインタフェース装置とそれぞれの通信リンクを確立させるための無線セルを形成するために前記第1の連結装置に連結された第1の無線ネットワークを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
複数のユーザに前記ネットワークバックボーン通信接続を通じて前記ネットワークインタフェース装置とそれぞれの通信リンクを確立させるための無線セルを形成するために前記第2の連結装置に連結された第2の無線ネットワークを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第1の連結装置は、ネットワークブリッジであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第2の連結装置は、ネットワークブリッジであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
ネットワークインタフェース装置が、ルータであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記ネットワークインタフェース装置は、前記ネットワークバックボーン通信接続を「インターネット」に連結するように配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記ネットワークバックボーン通信接続からの分岐を形成させるためのスイッチを更に含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項9】
前記第1の連結装置と前記第1のネットワークの間に連結されて第1のネットワークセルを形成させるように配置された第1のルータを更に含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項10】
前記第2の連結装置と前記第2のネットワークの間に連結されて第2のネットワークセルを形成させるように配置された第2のルータを更に含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項11】
前記第1の無線通信リンク又は第2の無線通信リンクは、通信システムの別の無線通信リンクの信号強度が、該第1の無線通信リンク又は第2の無線通信リンクの領域で所定の閾値よりも小さい時には、該別の無線通信リンクと同じチャンネル周波数で作動するように配置されていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項12】
前記第1の無線通信リンクは、第1のルータを通じて前記第1の連結装置と前記ネットワークインタフェース装置の間に形成され、前記第2の無線通信リンクは、第2のルータを通じて前記第2の連結装置と該ネットワークインタフェース装置の間に形成され、第3の無線通信リンクが、該第1の連結装置と該第2の連結装置の間に確立されており、
前記第1の無線通信リンク、前記第2の無線通信リンク、及び前記第3の無線通信リンクは、ネットワークバックボーン通信接続を形成するように配置されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項13】
前記ネットワークバックボーン通信接続は、TCP/IPプロトコルに従って作動するように配置されていることを特徴とする請求項12に記載の通信システム。
【請求項14】
前記第1のルータは、第1のIPネットワークアドレスを有する第1のネットワーク上で前記ネットワークインタフェース装置と通信するように配置され、前記第2のルータは、第2のIPネットワークアドレスを有する第2のネットワーク上で前記ネットワークインタフェース装置と通信するように配置されていることを特徴とする請求項13に記載の通信システム。
【請求項15】
前記第1のルータは、前記ネットワークバックボーン通信接続の一方の終端を形成するように配置され、前記第2のルータは、該ネットワークバックボーン通信接続の別の終端を形成するように配置されていることを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−515308(P2008−515308A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534068(P2007−534068)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003299
【国際公開番号】WO2006/035192
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(507101738)ニューマン コンセプツ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】