説明

無線タグ回路素子カートリッジ及び印字ラベル作成装置

【課題】カートリッジホルダから外した状態で筐体内部の無線タグ回路素子に対し無線通信を行えるようにし、利便性を向上する。
【解決手段】カートリッジ7は、筐体7Aの内部に設けられ、複数の無線タグ回路素子Toを固定ピッチで配列した基材テープ101を巻回した第1ロール102と、基材テープ101の搬送経路のうち第1ロール102からの送り出し部分から筐体7Aのテープ排出部30までに位置する通信準備領域132において、筐体7A外部の無線タグ通信装置が基材テープ101の無線タグ回路素子Toと通信可能となるように、搬送経路を筐体7Aに近接させる第1近接ローラ130及び第2近接ローラ131とを有し、基材テープ101は、通信準備領域132で1つの無線タグ回路素子Toが近接ローラ130,131によって筐体7Aに近接するように、第1テープロール102に巻回されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部と情報の無線通信が可能な無線タグ回路素子を備えたタグテープを連続的に供給可能な無線タグ回路素子カートリッジ、及び、当該無線タグ回路素子カートリッジを用いて印字ラベルを作成する印字ラベル作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の無線タグとリーダ(読み取り装置)/ライタ(書き込み装置)との間で非接触で情報の読み取り/書き込みを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。
【0003】
例えばラベル状の無線タグに備えられた無線タグ回路素子は、所定の無線タグ情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されて情報の送受信を行うアンテナとを備えており、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても、リーダ/ライタ側よりIC回路部の無線タグ情報に対してアクセス(情報の読み取り/書き込み)が可能であり、既に様々な分野において実用化が進んでいる。
【0004】
上記ラベル状の無線タグ(=無線タグラベル)は、対象物である商品や物品に貼り付けられて用いられる。このとき、その無線タグ回路素子内部に記憶されたタグ情報やこれに対応する物品情報等を、ラベルに印字して使用するようにすれば、ユーザ側から当該情報を視認でき、何かと便利である。そこで、近年、無線タグ回路素子への情報読み取り/書き込みとラベルへの印字とを併せて行い、印字付きの無線タグラベルを作成するタグラベル作成装置が既に提唱されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このタグラベル作成装置では、カートリッジホルダに装着した無線タグ回路素子カートリッジに収納されたタグテープロールよりタグテープを連続的に繰り出す。そして、タグテープに備えられた各無線タグ回路素子のIC回路部に対しアクセスして上記無線タグ情報の読み取り/書き込みを行い、またタグテープに貼り合わせる被印字テープに所定の印字を行うことで、印字付きの無線タグラベルを連続的に生成するようになっている。そして、カートリッジホルダに複数種類の無線タグ回路素子カートリッジを交換して装着可能であることに対応し、無線タグ回路素子カートリッジ自体にも無線タグ回路素子を設け、上記無線タグラベル作成の際に当該(カートリッジの)無線タグ回路素子に対し情報読み取りを行うことで、無線タグラベル作成時における最適通信条件等を取得するようになっている。
【特許文献1】特開2007−108893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、市場に流通する物品に無線タグ回路素子を設け、無線タグ回路素子に情報読み取りを行い物品を管理することは、既に広く行われている。上記無線タグ回路素子カートリッジは、適宜にカートリッジホルダに着脱交換しつつ使用することを前提に、予め複数個・複数種類が用意され、保管・流通される場合が多い。そこで、上記従来技術の無線タグ回路素子カートリッジに設けた無線タグ回路素子にカートリッジ管理用の情報を記憶させ、これを読み取ることによって無線タグ回路素子カートリッジを管理することが考えられる。
【0007】
しかしながら、上記カートリッジ管理用の情報を記録した無線タグ回路素子を別途用意して無線タグ回路素子カートリッジに設ける場合、各無線タグ回路素子とその設置対象の各無線タグ回路素子カートリッジとの対応関係をきちんと管理する必要がある。特に、多くの無線タグ回路素子カートリッジを製造する際には、無線タグ回路素子とその対象の無線タグ回路素子カートリッジとの対応関係が錯誤しやすい。
【0008】
ここで、無線タグ回路素子カートリッジの中には、無線タグラベル作成用の複数の無線タグ回路素子がもともと備えられている。したがって、その無線タグ回路素子を活用して上記カートリッジ管理用の情報を記録し、無線タグ回路素子カートリッジ単体の状態(カートリッジホルダに装着しない状態)でカートリッジ外部より読み取り可能にすれば、無線タグ回路素子と無線タグ回路素子カートリッジとの対応関係に誤りが生じることはなく、カートリッジ単品での取り扱い管理性が向上するはずである。
【0009】
一方、前述のようにタグラベル作成装置において無線タグラベルを作成する際、万が一、無線タグ回路素子に何らかの不具合(損傷、故障等)があり通信不可能であった場合には、作成された無線タグラベルは、使用不可能な不良品となる。したがって、タグラベル作成装置のカートリッジホルダに無線タグ回路素子カートリッジを装着する前に、無線タグ回路素子カートリッジ単品の状態で(カートリッジ外部より)そのような不具合のある無線タグ回路素子が存在しないかどうかを判別できれば、利便性が向上する。
【0010】
上記従来技術においては、上述のように無線タグ回路素子カートリッジをカートリッジホルダから外した状態で無線通信を行えるようにし、無線タグ回路素子の不良品発見やカートリッジ単品の取り扱い管理性向上等の利便性向上を図る点については、特に配慮されていなかった。
【0011】
本発明の目的は、カートリッジホルダから外した状態で筐体内部の無線タグ回路素子に対し無線通信を行えるようにし、利便性を向上できる無線タグ回路素子カートリッジ、及び当該無線タグ回路素子カートリッジを用いる印字ラベル作成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、第1の発明は、印字ラベルを作成するための印字ラベル作成装置のカートリッジホルダに着脱可能に構成された無線タグ回路素子カートリッジであって、外郭を構成する筐体と、前記筐体の内部に設けられ、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグアンテナとを備えた複数の無線タグ回路素子を固定ピッチで配列したタグテープを巻回したタグテープロールと、前記タグテープの搬送経路のうち前記タグテープロールからの送り出し部分から前記筐体の外部への排出口までに位置する通信準備領域において、前記筐体外部の無線タグ通信装置が前記タグテープの前記無線タグ回路素子と通信可能となるように、前記搬送経路を前記筐体に近接させる経路近接手段とを有し、前記タグテープは、前記通信準備領域で1つの前記無線タグ回路素子が前記経路近接手段によって前記筐体に近接するように、前記タグテープロールに巻回されていることを特徴とする。
【0013】
本願第1発明の無線タグ回路素子カートリッジは、筐体内にタグテープロールを備えている。タグテープロールにはタグテープが巻回されており、このタグテープには複数の無線タグ回路素子が所定の固定ピッチで配列されている。このとき、経路近接手段が、タグテープロールから繰り出されるタグテープの搬送経路を筐体に近接させるようになっている。このように搬送経路が近接する結果、タグテープロールの送り出し部分から筐体排出口までに位置する所定の通信準備領域において、タグテープに備えられた無線タグ回路素子に対し筐体外部の無線タグ通信装置から通信可能となる。
【0014】
この結果、(通常は印字ラベル作成装置のカートリッジホルダに装着して用いられる)無線タグ回路素子カートリッジをカートリッジホルダから外した状態でも、筐体内部の無線タグ回路素子に対し無線通信により情報読み取りや情報書き込みを確実に行うことができる。したがって、無線タグ回路素子への情報送受信に基づく利用態様を、(印字ラベルの作成以外にも)無線タグ回路素子の不良品の早期発見や、カートリッジ単品での取り扱い管理等にまで広げることができ、利便性を向上することができる。
【0015】
第2発明は、上記第1発明において、前記経路近接手段は、前記搬送経路に沿って設けられた第1近接ローラ又は第1ピンを備え、前記第1近接ローラ若しくは前記第1ピンにより、前記通信準備領域において1つの前記無線タグ回路素子を前記筐体に近接させることを特徴とする。
【0016】
これにより、搬送経路の上流側部分を第1近接ローラ又は第1ピンで筐体に近接させることで、筐体に近づけた通信準備領域を確実に形成することができる。また、通常の汎用の無線タグ回路素子カートリッジに対し、最小で1つのローラ又はピンを追加するだけで経路近接手段を実現できるので、汎用品からの改良が容易であるという効果もある。
【0017】
第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記経路近接手段は、前記搬送経路に沿って前記第1近接ローラ又は前記第1ピンよりも搬送方向下流側に位置する第2近接ローラ又は第2ピンをさらに備え、前記第1近接ローラ及び第2近接ローラの協働により、若しくは、前記第1ピン及び前記第2ピンの協働により、前記通信準備領域における前記搬送経路のテープ面方向が前記筐体の壁面の面方向と平行になるように、前記搬送経路を前記筐体に近接させることを特徴とする。
【0018】
搬送経路の上流側部分を第1近接ローラ(又は第1ピン)で筐体に近接させるとともに搬送経路の下流側部分を第2近接ローラ(又は第ピン)で筐体に近接させて、テープ面と壁面とを平行とすることで、筐体外の無線タグ通信装置から、通信対象のカートリッジ内の無線タグ回路素子までの距離を最短とすることができる。
【0019】
第4発明は、上記第3発明において、前記無線タグ回路素子の前記タグアンテナは、前記無線タグ通信装置の通信アンテナとの間で電磁誘導により情報の送受を行うループアンテナであることを特徴とする。
【0020】
電磁誘導により情報送受を行うループアンテナは通信干渉を起こしにくい反面、通信距離が比較的短くなる。したがって、上記のように筐体外の無線タグ通信装置からカートリッジ内の無線タグ回路素子までの距離を最短とすることが特に効果的となる。
【0021】
第5発明は、上記第3又は第4発明において、前記経路近接手段は、前記固定ピッチと同一の長さを備えるとともに1枚の前記印字ラベルの作成に対応した前記タグテープの1つの長さ単位が前記搬送経路において所定の搬送位置にあるときに、特定の1つの前記無線タグ回路素子が前記筐体に近接するように、配置されていることを特徴とする。
【0022】
これにより、1つの印字ラベル作成が終了し所定の搬送位置で搬送が停止した状態となるたびに、確実に無線タグ回路素子を通信準備領域において筐体に近接させることができる。
【0023】
第6発明は、上記第5発明において、前記経路近接手段は、前記特定の無線タグ回路素子を備えた前記タグテープの前記長さ単位の搬送方向先端が、前記所定の搬送位置として前記筐体の前記排出口の外部直近のテープ切断用位置に位置するときに、前記特定の無線タグ回路素子が前記筐体に近接するように、配置されていることを特徴とする。
【0024】
これにより、タグテープの搬送が停止して筐体排出口の直近においてタグテープが切断され1つの印字ラベル作成が終了した状態となるたびに、確実に無線タグ回路素子を通信準備領域において筐体に近接させることができる。
【0025】
第7発明は、上記第5又は第6発明において、前記経路近接手段は、前記通信準備領域における前記特定の無線タグ回路素子が、前記無線タグ通信装置の前記通信アンテナの通信領域内に位置するように、前記搬送経路を前記筐体に近接させることを特徴とする。
【0026】
これにより、通信対象となる特定の無線タグ回路素子に対し、無線タグ通信装置から筐体越しに確実に無線通信を行うことができる。
【0027】
第8発明は、上記第3乃至第7発明のいずれかにおいて、前記筐体の外周側のうち前記通信準備領域に対応した位置に設けられ、操作者が前記無線タグ通信装置の通信アンテナを接近させる位置を表示する接近表示部を有することを特徴とする。
【0028】
これにより、操作者が通信アンテナを接近表示部に近づけることで、カートリッジ内において通信準備領域に位置している通信対象の無線タグ回路素子に対し、容易に通信アンテナを接近させることができる。この結果、情報読み取り又は情報書き込みを確実に行うことができる。
【0029】
第9発明は、上記第3乃至第8発明のいずれかにおいて、前記タグテープは、面方向一方側の表面に、前記無線タグ回路素子の配置位置を表す識別子が備えられており、前記筐体は、前記特定の無線タグ回路素子が前記通信準備領域内に位置するときに、前記識別子を前記筐体の外部から視認可能とするための、視認許容部を備えていることを特徴とする。
【0030】
これにより、操作者は、視認許容部より識別子を視認することで、通信対象の無線タグ回路素子がカートリッジ内において通信準備領域に位置していることを確実に把握することができる。この結果、情報読み取り又は情報書き込みを確実に行うことができる。
【0031】
第10発明は、上記第3乃至第9発明のいずれかにおいて、前記筐体は、平面視が四角形となる箱形形状を備えており、前記経路近接手段は、前記搬送経路を、前記四角形の1つの隅部を挟む前記四角形の2辺を構成する前記筐体の2壁面に沿うように、近接させることを特徴とする。
【0032】
これにより、タグテープの搬送経路が、筐体の箱形形状の隅部近傍の広い範囲において筐体の壁面に沿って延びるので、広い範囲にわたって通信準備領域とすることができる。したがって、操作者は、通信対象の無線タグ回路素子に対し、確実に通信アンテナを接近させることができ、情報読み取り又は情報書き込みを確実に行うことができる。
【0033】
第11発明は、上記第3乃至第10発明のいずれかにおいて、前記経路近接手段の前記筐体と反対側に、電磁波を遮蔽可能なシールド手段を設けたことを特徴とする。
【0034】
これにより、無線タグ通信装置から筐体越しに通信対象の無線タグ回路素子と無線通信を行うとき、カートリッジ内の他の無線タグ回路素子に対して誤って情報送受信を行うのを確実に防止できる。
【0035】
第12発明は、上記第3乃至第11発明のいずれかにおいて、前記筐体の内部に設けられ、前記タグテープに貼り合わせられる被印字テープを巻回した被印字テープロールを有することを特徴とする。
【0036】
これにより、タグテープと被印字テープとを貼り合わせた構造の印字ラベルを作成することができる。この場合、例えば被印字テープの上記貼り合わせ側に印字を行うことで、ラベルの貼り付け後は印字面を裏面側として表面側に露出しないようにすることができる。この結果、汚れたりかすれたりすることのない、美観や耐久性に優れた印字を実現することができる。
【0037】
上記目的を達成するために、第13発明は、印字ラベルを作成するための印字ラベル作成装置であって、外郭を構成する筐体と、前記筐体の内部に設けられ、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグアンテナとを備えた複数の無線タグ回路素子を固定ピッチで配列したタグテープを巻回したタグテープロールと、前記タグテープの搬送経路のうち前記タグテープロールからの送り出し部分から前記筐体の外部への排出口までに位置する通信準備領域において前記搬送経路を前記筐体に近接させる経路近接手段とを有し、前記タグテープは、前記通信準備領域で1つの前記無線タグ回路素子が前記経路近接手段によって前記筐体に近接するように、前記タグテープロールに巻回されている、無線タグ回路素子カートリッジを着脱可能なカートリッジホルダと、前記カートリッジホルダから供給される前記タグテープを搬送するための搬送手段と、前記タグテープ、若しくは、前記タグテープに貼り合わされる被印字テープに対し、印字を行う印字手段と、前記タグテープを厚さ方向に切断するための切断手段と、前記タグテープの搬送、前記タグテープ若しくは前記被印字テープへの印字、及び前記タグテープの切断を行って1つの前記無線タグ回路素子を備えた1つの印字ラベルの作成が終了した搬送停止状態で、前記搬送経路において前記1つの無線タグ回路素子に後続する特定の1つの前記無線タグ回路素子が前記カートリッジ内の前記通信準備領域に位置するように、前記搬送手段、前記印字手段、及び前記切断手段を連携して制御する連携制御手段とを有することを特徴とする。
【0038】
本願第13発明に印字ラベル作成装置においては、カートリッジホルダに無線タグ回路素子カートリッジを装着すると、無線タグ回路素子カートリッジからタグテープが供給され、搬送手段によって搬送される。そしてそのタグテープ(又は被印字テープ)に対し印字手段で印字が行われ、その印字後、タグテープを切断手段で切断することで印字付きの印字ラベルが作成される。
【0039】
一方、このようにして印字ラベルを作成する際、連携制御手段の制御により、1つの印字ラベルの作成が終了するごとに、無線タグ回路素子カートリッジにおいて、後続の特定の無線タグ回路素子が通信準備領域に位置している。ここで、通信準備領域では、タグテープロールからの送り出し部分から筐体排出口までにおいて、タグテープの搬送経路が筐体に近接しているため、タグテープに備えられた無線タグ回路素子に対し筐体外部の無線タグ通信装置から通信可能となる。
【0040】
この結果、無線タグ回路素子カートリッジをカートリッジホルダから外した状態でも、筐体内部の無線タグ回路素子に対し無線通信により情報読み取りや情報書き込みを確実に行うことができる。したがって、無線タグ回路素子への情報送受信に基づく利用態様を、(印字ラベルの作成以外にも)無線タグ回路素子の不良品の早期発見や、カートリッジ単品での取り扱い管理等にまで広げることができ、利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、カートリッジホルダから外した状態で無線タグ回路素子カートリッジの筐体内部の無線タグ回路素子に対し無線通信を行えるようにし、利便性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0043】
本発明の第1の実施形態を図1〜図21により説明する。
【0044】
図1は、本実施形態の無線タグ回路素子カートリッジを用いて無線タグラベル(印字ラベル)を作成するタグラベル作成装置(印字ラベル作成装置)を備えた無線タグ生成システムを表すシステム構成図である。
【0045】
図1に示すこの無線タグ生成システムTSにおいて、タグラベル作成装置1は、有線あるいは無線による通信回線NWを介してルートサーバRS、複数の情報サーバIS、端末118a、及び汎用コンピュータ118bに接続されている。なお、端末118a及び汎用コンピュータ118bを総称して以下適宜、単に「PC118」と称する。
【0046】
図2は、上記タグラベル作成装置1の全体構造を表す斜視図である。図2において、タグラベル作成装置1は、上記PC118からの操作に基づき、装置内で印字付き無線タグラベルの作成を行うものである。タグラベル作成装置1は、外郭に略六面体(略立方体)形状の筐体200を有する装置本体2と、この装置本体2の上面(上部)に開閉可能に(又は着脱可能としてもよい)設けられた開閉蓋(蓋体)3とを有している。
【0047】
装置本体2の筐体200は、装置前方側(図2中、左手前側)に位置し、装置本体2内で作成された無線タグラベルT(図1参照)を外部に排出するラベル排出口11を備えた前壁10と、この前壁10のうちラベル排出口11の下方に設けられ下端が回動可能に支持された前蓋12とを備えている。
【0048】
前蓋12は押部13を備えており、この押部13を上方より押し込むことで前蓋12が前方に開放されるようになっている。また、前壁10のうち開閉ボタン4の下方には、タグラベル作成装置1の電源のオン・オフを行う電源ボタン14が設けられている。この電源ボタン14の下方には、装置本体2内に配設された切断機構15(後述の図3参照)を使用者の手動操作で駆動するためのカッター駆動ボタン16が設けられ、このボタン16が押されることで印字済みタグラベル用テープ109(後述の図4参照)を所望の長さにカットして無線タグラベルTを作成するようになっている。
【0049】
開閉蓋3は、装置本体2の図2中右奥側の端部にて回動可能に軸支され、バネ等の付勢部材を介して常時開放方向に付勢されている。そして、装置本体2の上面に開閉蓋3に隣接するように配置された開閉ボタン4が押されることにより、開閉蓋3と装置本体2とのロックが解除され、上記付勢部材の作用により開放される。なお、開閉蓋3の中央側部には、透明カバーで覆われた透視窓5が設けられている。
【0050】
図3は、タグラベル作成装置1の内部の内部ユニット20の構造(但し後述するループアンテナLCは省略)を表す斜視図である。図3において、内部ユニット20は、概略的には、カートリッジ(無線タグ回路素子カートリッジ)7を収納するカートリッジホルダ6と、いわゆるサーマルヘッドである印字ヘッド(印字部)23を備えた印字機構21と、固定刃40及び可動刃41を備えた切断機構(切断手段)15と、固定刃40及び可動刃41のテープ搬送方向下流側に位置し、ハーフカッタ34を備えたハーフカットユニット35とが設けられている。
【0051】
カートリッジ7の上面には、例えば、カートリッジ7内に内蔵されている基材テープ(タグテープ)101のテープ幅、テープの色等を表示するテープ特定表示部8が設けられている。カートリッジ7の構造については後に改めて説明する。また、カートリッジホルダ6には、ローラホルダ25が支持軸29により回動可能に枢支され、切換機構により印字位置(接触位置、後述の図4参照)とリリース位置(離反位置)とに切換可能とされている。このローラホルダ25には、プラテンローラ26及びテープ圧接ローラ28が回転可能に配設されており、ローラホルダ25が上記印字位置に切り換えられたときに、それらプラテンローラ26及びテープ圧接ローラ28が上記印字ヘッド23及びテープ送りローラ27に対し圧接されるようになっている。
【0052】
印字ヘッド23は多数の発熱素子を備えており、カートリッジホルダ6に立設されたヘッド取付部24に取り付けられている。
【0053】
切断機構15は、固定刃40と、金属部材で構成された可動刃41とを備えている。カッターモータ43(後述の図8参照)の駆動力が、カッターハスバギヤ42、ボス50、長孔49を介して可動刃41の柄部46に伝達されて可動刃が回転し、固定刃40とともにカット動作を行う。この切断状態は、カッターハスバギヤ用カム42Aの作用により切り替わるマイクロスイッチ126により検出される。
【0054】
ハーフカットユニット35は、受け台38とハーフカッタ34とが対向して配置され、さらにガイド固定部36Aにより第1ガイド部36と第2ガイド部37とが側板44(後述の図4参照)に取り付けられている。ハーフカッタ34は、所定の回動支点(図示せず)を中心として、ハーフカッターモータ129(後述の図8参照)の駆動力によって回動する。受け台38の端部には受け面38Bが形成されている。
【0055】
図4は、図3に示した内部ユニット20の構造を表す平面図である。図4において、上記カートリッジホルダ6は、カートリッジ7のテープ排出部30より排出されさらに上記ラベル排出口11から排出される印字済みタグラベル用テープ109の幅方向の向きが、鉛直上下方向となるようにカートリッジ7を収納する。
【0056】
また、内部ユニット20には、ラベル排出機構22と、ループアンテナLCとが設けられている。
【0057】
ラベル排出機構22は、切断機構15において切断された後の印字済みタグラベル用テープ109(言い換えれば無線タグラベルT、以下同様)をラベル排出口11(図2参照)より排出するものである。すなわちラベル排出機構22は、テープ排出モータ123(後述の図8参照)の駆動力により回転する駆動ローラ51と、この駆動ローラ51に対して印字済みタグラベル用テープ109を挟んで対向する押圧ローラ52と、印字済みタグラベル用テープ109に設けられた識別子PM(後述の図5参照)を検出するマークセンサ127とを有している。このとき、上記ラベル排出口11の内側には、印字済みタグラベル用テープ109をラベル排出口11へ案内するための第1案内壁55,56及び第2案内壁63,64が設けられている。第1案内壁55,56及び第2案内壁63,64はそれぞれ一体に形成され、上記固定刃40と可動刃41とでカットされた印字済みタグラベル用テープ109(無線タグラベルT)の排出位置において、互いに所定の間隔を隔てられるように配置されている。
【0058】
ループアンテナLCは、押圧ローラ52をその径方向中心に位置させるようにしつつ当該押圧ローラ52の近傍に配置されており、電磁誘導により上記基材テープ101(貼り合わせ後は印字済みタグラベル用テープ109、以下同様)に備えられる無線タグ回路素子Toに対し、無線通信を介しアクセス(情報読み取り又は情報書き込み)を行うようになっている。
【0059】
なお、上記のような読み取り又は書き込みの際、生成された無線タグラベルTの無線タグ回路素子ToのタグIDとそのIC回路部151から読みとられた情報(又はIC回路部151に書き込まれた情報)との対応関係は、前述のルートサーバRSに記憶され、必要に応じて参照できるようになっている。
【0060】
また、テープ送りローラ駆動軸(搬送手段)108及びリボン巻取りローラ駆動軸107は、印字済みタグラベル用テープ109及びインクリボン105(後述)の搬送駆動力をそれぞれ与えるものであり、互いに連動して回転駆動される。
【0061】
図5は、上記カートリッジ7の詳細構造を模式的に表す拡大平面図である。図5において、カートリッジ7は、外郭を構成する筐体7Aと、この筐体7A内に配置され帯状の基材テープ101が巻回されたタグテープロールである第1ロール102(実際は渦巻き状であるが、図では簡略的に同心円状に示す)と、上記基材テープ101と略同じ幅である透明な上記カバーフィルム103(被印字テープ)が巻回された被印字テープロールである第2ロール104(実際は渦巻き状であるが、図では簡略的に同心円状に示す)と、インクリボン105(熱転写リボン、但し被印字テープが感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール211と、印字後のリボン105を巻取るリボン巻取りローラ106と、カートリッジ7のテープ排出部30(排出口)の近傍に回転可能に支持されたテープ送りローラ27とを有する。
【0062】
テープ送りローラ27は、上記基材テープ101と上記カバーフィルム103とを押圧し接着させ上記印字済みタグラベル用テープ109としつつ、図5中矢印Aで示す方向にテープ送りを行う(=圧着ローラとしても機能する)。
【0063】
第1ロール102は、リール部材102aの周りに、長手方向に複数の無線タグ回路素子Toが固定ピッチ(等間隔)で配置された上記基材テープ101を巻回している。基材テープ101はこの例では4層構造となっており(図5中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側(図5中右側)よりその反対側(図5中左側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着層101a、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム101b、適宜の粘着材からなる粘着層101c、剥離紙101dの順序で積層され構成されている。
【0064】
ベースフィルム101bの裏側(図5中左側)には、ループコイル形状に構成され、電磁誘導により情報の送受信を行うループアンテナ152(タグアンテナ)がこの例では一体的に設けられており、無線タグ回路素子Toには、このループアンテナ152及びループアンテナ152に接続され情報を記憶するIC回路部151が備えられている。
【0065】
ベースフィルム101bの表側(図5中右側)には、後にカバーフィルム103を接着するための上記粘着層101aが形成され、またベースフィルム101bの裏側(図5中左側)には、無線タグ回路素子Toを内包するように設けた上記粘着層101cによって上記剥離紙101dがベースフィルム101bに接着されている。
【0066】
なお、上記剥離紙101dは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルTが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層101cにより当該商品等に接着できるようにしたものである。また、この剥離紙101dの表面には、各無線タグ回路素子Toに対応した(及び後述のタグ印字領域PEにも対応した)所定の位置(この例では、搬送方向前方側のループアンテナ152の先端よりさらに前方側の位置)に、搬送制御用の所定の識別子PM(この例では黒塗りの識別子。あるいはレーザ加工等により基材テープ101を貫通する孔を穿孔する等でもよい。又はトムソン型での加工穴等でもよい)が予め設けられている。
【0067】
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回している。第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置された上記リボン供給側ロール211及び上記リボン巻取りローラ106で駆動されるリボン105が、上記印字ヘッド23に押圧されることで当該カバーフィルム103の裏面に接触させられるようになっている。
【0068】
リボン巻取りローラ106及びテープ送りローラ27は、それぞれカートリッジ7外に設けた例えばパルスモータである搬送用モータ119(図3及び後述の図8参照)の駆動力が図示しないギヤ機構を介し上記リボン巻取りローラ駆動軸107及びテープ送りローラ駆動軸108に伝達されることによって連動して回転駆動される。なお、上記印字ヘッド23は、テープ送りローラ27よりカバーフィルム103の搬送方向上流側に配置されている。
【0069】
上記構成において、カートリッジ7が上記カートリッジホルダ6に装着されロールホルダ25が上記リリース位置から上記印字位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド23とプラテンローラ26との間に狭持されるとともに、基材テープ101及びカバーフィルム103がテープ送りローラ27と圧着ローラ28との間に狭持される。そして、搬送用モータ119の駆動力によってリボン巻取りローラ106及びテープ送りローラ27が図5中矢印B及び矢印Cで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述のテープ送りローラ駆動軸108と上記圧着ローラ28及びプラテンローラ26はギヤ機構(図示せず)にて連結されており、テープ送りローラ駆動軸108の駆動に伴いテープ送りローラ27、圧着ローラ28及びプラテンローラ26が回転し、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され、後述する通信準備領域132を経由してテープ送りローラ27へ供給される。一方、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出されるとともに、印刷駆動回路120(後述の図8参照)により印字ヘッド23の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面に、貼り合わせ対象となる基材テープ101上の無線タグ回路素子Toに対応した印字R(タグ印字。後述の図9参照)が印刷される。そして、上記基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記テープ送りローラ27及び圧着ローラ28により接着されて一体化されて印字済みタグラベル用テープ109として形成され、テープ排出部30(図4も参照)よりカートリッジ7外へと搬出される。カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸107の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。
【0070】
そして、上述のように貼り合わされて生成された印字済みタグラベル用テープ109に対し上記ループアンテナLCにより無線タグ回路素子Toに情報読み取り又は書き込みが行われた後、自動的にあるいは上記カッター駆動ボタン16(図2参照)を操作することにより切断機構15によって印字済みタグラベル用テープ109が切断され、無線タグラベルTが生成される。この無線タグラベルTは、その後さらに上記ラベル排出機構22によってラベル排出口11(図2、図4参照)から排出されるようになっている。
【0071】
ここで、本実施形態のカートリッジ7の最大の特徴は、(上記のようにカートリッジホルダ6に装着して無線タグラベルTの作成のために用いる以外に)カートリッジホルダ6から取り外したカートリッジ7単体の状態で、図示しない無線タグ通信装置(リーダ又はライタ)からカートリッジ7内部の無線タグ回路素子Toに対し情報読み取り(又は情報書き込み)を行えるようにした点にある。
【0072】
すなわち、図5において、カートリッジ7には、上記の目的のために、基材テープ101の搬送経路を筐体7Aの内壁に近接させる経路近接手段として機能する第1近接ローラ130及び第2近接ローラ131が設けられている。なお第1近接ローラ130及び第2近接ローラ131については、少なくとも一方をピンで代替する(第1近接ローラに対応する第1ピン、第2近接ローラに対応する第2ピン)こともできる。
【0073】
第1近接ローラ130は、既述の各ローラ27,102,104,107,211と軸が平行(製作誤差は許容)であり、カートリッジ7の筐体7Aの壁面のうち各ローラの軸を支持する最も広い二面を除く細長の壁面(適宜周壁と記載する)のいずれか一面に近接している。本実施形態では印字済みタグラベル用テープ109の排出方向前方側(図5中左側)の周壁の内壁面の近傍に第1近接ローラ130を配置している。但し第1近接ローラ130の役割は基材テープ101の搬送経路をいずれかの周壁に近接させることであるため、図5に示した位置に第1近接ローラ130を配置する必要は必ずしもない。しかし製作容易性を考慮すれば、基材テープ101の搬送経路上において第1ロール102からの送り出し部分からテープ排出部30まで(本例ではテープ送りローラ27まで)の部分の基材テープ101の剥離紙101d側の面が対向する周壁のいずれか、つまり本実施形態では図5中左側か上側の周壁に第1近接ローラ130を近接させることが望ましい。第2近接ローラ131も同様で、本実施の形態では第1近接ローラ130を近接させたのと同じ周壁に第2近接ローラ131を近接させてある。近接ローラ130,131の位置関係については、第1近接ローラ130が基材テープ101の搬送方向の上流側で、第2近接ローラ131がそれよりも下流側に位置している。近接ローラ130,131の間隔は、近接する周壁の長さの範囲内であれば特に制限されないが、望ましくは無線タグ回路素子Toのテープ搬送方向にとった寸法以上とする。これら第1近接ローラ130及び第2近接ローラ131の周壁側に基材テープ101を通して掛けた結果、近接ローラ130,131の協働によって基材テープ101の搬送経路が対向の周壁に近接している。両近接ローラ130,131は搬送される基材テープ101に転接するので、当然ながら基材テープ101の搬送経路に沿った配置になっている。以降、近接ローラ130,131の間の領域であって対向の周壁に近接した領域を「通信準備領域132」とする。なお、必ずしも2つの近接ローラ130,131を設けなくても、第1近接ローラ130のみを設けることもできる。この場合は、(後述する窓133との位置関係上)例えば図5における2つの近接ローラ130,131の中間位置に当該1つのみ設ける第1近接ローラ130を配置することが望ましい。
【0074】
また、基材テープ101の剥離紙101dのうち筐体7Aの壁面との対向面(面方向一方側)には、上記に対応して、各無線タグ回路素子Toに対応した位置に無線タグ回路素子Toの配置位置を表す無線タグ標示(識別子)AMが付されている(後述の図9(b)も参照)。無線タグ標示AMは無線タグ回路素子Toの存在、つまり上記読み取りや書き込みを行う際に無線タグ通信装置の通信アンテナをかざす目標を標示するための案内である。したがって、無線タグ標示AMとして例えばアンテナを模したマーク(後出の図6参照)を印刷する等すれば、操作者が直感的に把握し易い。但し、無線タグ回路素子Toの存在を標示する上ではアンテナマークに限定されず、無線タグ標示AMは、その他の何らかのマーク、無線タグ回路素子Toの存在を伝える文字等、その態様は適宜変更可能であり、また印刷に代えて剥離紙102dを加工(例えば文字や何らかのマークの打ち抜き加工)することで無線タグ回路素子Toの存在を表す構成とすることもできる。また、無線タグ回路素子Toの配置位置に対して必ずしも面方向同一位置である必要はなく、無線タグ回路素子Toの位置に対して所定距離オフセットした位置にあってもよい(操作者が位置を把握できれば足りる)。
【0075】
また、筐体7Aの通信準備領域132が近接する周壁には、通信準備領域132の対向位置、より具体的には後で説明するように通信準備領域132内で停止する無線タグ回路素子Toの対向位置に窓133を備えている。この窓133は通信準備領域132内に無線タグ回路素子Toが位置する場合に、先に説明した無線タグ標示AMを筐体7Aの外部から視認可能とする視認許容部として機能する。窓133としては、筐体7Aの周壁に開けた適当な形状の穴で足りるが、この穴に透明のプラスチックやガラス等といった可視光線透過性の材料で形成されたプレートを取り付けた構成としても良い。窓133の大きさや形状は無線タグ標示AMが視認するのに適当な程度であれば特に限定されないが、一具体例としてテープ搬送方向の寸法が通信準備領域132より小さく無線タグ標示AMより大きな矩形とすることができる。窓133のテープ幅方向の寸法は、例えば基材テープ101のテープ幅と同程度とすることができる。窓133越しに無線タグ標示AMが見える状態のカートリッジ7の外観を図6に例示した。
【0076】
両近接ローラ130,131と周壁の近接の程度は、周壁越し(窓133越し)にかざした筐体7Aの外部の上記無線タグ通信装置の通信アンテナによる通信領域の範囲内とする。つまり、通信準備領域132にある基材テープ101の無線タグ回路素子Toが周壁越しにかざした無線タグ通信装置の通信領域内に納まる構成である。本実施形態では第1近接ローラ130及び第2近接ローラ131と対向周壁との間の距離を等しくしてあり(製作誤差は許容)、通信準備領域132における搬送経路のテープ面方向が筐体7Aの壁面の面方向と平行、つまり通信準備領域132の基材テープ101が対向の周壁と平行になるようにしてある。無線タグ通信装置と無線タグ回路素子Toとの通信距離を安定させるためである。
【0077】
上述したように基材テープ101はカバーフィルム103と貼り合わされた後、筐体7Aから排出され切断されて1枚の無線タグラベルTとして利用可能となるが、作成される各無線タグラベルTは長さが一定であり、その長さは無線タグラベル回路素子Toの配置のピッチ(固定ピッチ)に等しい。以降、「固定ピッチ」と記載した場合、基材テープ101における無線タグ回路素子Toのピッチを指すこととする。本実施形態においては、1枚の無線タグラベルTの作成に対応した1つの長さ単位(=固定ピッチ)分の基材テープ101が搬送経路において所定の搬送位置にあるとき、特定の1つの無線タグ回路素子Toが通信準備領域132に納まり窓133に近接する。ここで言う所定の搬送位置とは、例えば無線タグラベルTが切断された際(搬送停止時)の後続の固定ピッチ分の基材テープ101の位置であり、このとき固定ピッチ分の基材テープ101の搬送方向先端部が筐体7Aのテープ排出部30の(外部直近の)テープ切断用位置に位置する。このように、基材テープ101の搬送が停止している間、通信準備領域132内の1つの無線タグ回路素子Toが窓133に対向して停止し、窓133越しにかざした筐体7Aの外部の無線タグ通信装置が通信準備領域132内の無線タグ回路素子Toと通信可能となる。
【0078】
近接ローラ130,131の筐体7Aの窓133と反対側、すなわち通信準備領域132と第1ロール102の間には、電磁波を遮蔽可能な遮蔽板(シールド手段)134が設けられている。遮蔽板134は窓133越しにかざした無線タグ通信装置からの通信波が通信準備領域132外の無線タグ回路素子Toに届かないようにするためのものである。本実施形態では遮蔽板134を平板状に形成した場合を図に例示しているが、その形状は限定されない。例えば第1ロール102の最大径に沿って円弧状に形成することもできる。このように電磁波の遮蔽専用に遮蔽板134を設ける場合、基材テープ101の残量によらず搬送経路に干渉しないように設置する必要がある(図5中の二点鎖線で示した基材テープ101の搬送経路を参照)。また、遮蔽板134を設置する構成に限らず、例えば基材テープ101の無線タグ回路素子Toを挟んで窓133と反対側にある層(例えばベースフィルム101b)に遮蔽材料を用いることでシールド手段を構成することも考えられる。
【0079】
図7は、上記無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。この図7において、無線タグ回路素子Toは、タグラベル作成装置1のループアンテナLCや上記無線タグ通信装置のアンテナと電磁誘導により非接触で信号の送受信を行う上記ループアンテナ152と、このループアンテナ152に接続された上記IC回路部151とを有している。
【0080】
IC回路部151は、ループアンテナ152により受信された質問波を整流する整流部153と、この整流部153により整流された質問波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部154と、上記ループアンテナ152により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部155に供給するクロック抽出部156と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部157と、上記ループアンテナ152に接続された変復調部158と、上記整流部153、クロック抽出部156、及び変復調部158等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部155とを備えている。
【0081】
変復調部158は、ループアンテナ152により受信された上記タグラベル作成装置1のループアンテナLCからの通信信号の復調を行うとともに、上記制御部155からの返信信号に基づき、ループアンテナ152で受信した質問波を変調し、ループアンテナ152より応答波として再送信する。
【0082】
制御部155は、上記変復調部158により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部157において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部158により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0083】
クロック抽出部156は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部155にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の周波数に対応したクロックを制御部155に供給する。
【0084】
図8は、タグラベル作成装置1の制御系を表す機能ブロック図である。図8において、このタグラベル作成装置1の制御基板(図示せず)上には、制御回路110が配置されている。
【0085】
制御回路110には、内部にタイマ111Aを備え各機器を制御するCPU111と、このCPU111にデータバス112を介して接続された入出力インターフェース113と、CGROM114と、ROM115,116と、RAM117とが設けられている。
【0086】
ROM116には、上記PC118からの操作入力信号に対応させて、印字バッファのデータを読み出して上記印字ヘッド23、搬送用モータ119、テープ排出モータ65を駆動する印字駆動制御プログラム、印字終了した場合に印字済みタグラベル用テープ109を切断位置まで搬送用モータ119を駆動して搬送し、上記カッターモータ43を駆動して印字済みタグラベル用テープ109を切断する切断駆動制御プログラム、切断された印字済みタグラベル用テープ109(=無線タグラベルT)をテープ排出モータ65を駆動してラベル排出口11から強制的に排出するテープ排出プログラム、無線タグ回路素子Toに対する問いかけ信号や書き込み信号などのアクセス情報を生成して送信回路306に出力する送信プログラム、受信回路307から入力された応答信号などを処理する受信プログラム、その他タグラベル作成装置1の制御上必要な各種のプログラムが格納されている。CPU111は、このようなROM116に記憶されている各種プログラムに基づいて各種の演算を行う。
【0087】
RAM117には、テキストメモリ117A、印字バッファ117B、パラメータ記憶エリア117E等が設けられている。テキストメモリ117Aには、PC118から入力された文書データが格納される。印字バッファ117Bには、複数の文字や記号等の印字用ドットパターンや各ドットの形成エネルギ量である印加パルス数等がドットパターンデータとして格納され、印字ヘッド23はこの印字バッファ117Bに記憶されているドットパターンデータに従ってドット印字を行う。パラメータ記憶エリア117Eには、各種演算データや、情報読み取り(取得)が行われた無線タグ回路素子To(前述)のタグ識別情報(タグID)等が記憶される。
【0088】
入出力インターフェース113には、PC118と、印字ヘッド23を駆動するための上記印刷駆動回路120と、搬送用モータ119を駆動するための搬送用モータ駆動回路121と、カッターモータ43を駆動するためのカッターモータ駆動回路122と、ハーフカッターモータ129を駆動するためのハーフカッターモータ駆動回路128と、テープ排出モータ65を駆動するためのテープ排出モータ駆動回路123と、上記ループアンテナLCを介して無線タグ回路素子Toにアクセスする(読取り/書込みを行う)ために、搬送波を発生させるとともに入力される制御信号に基づいて上記搬送波を変調した質問波(送信信号)を出力する送信回路306と、無線タグ回路素子Toから上記ループアンテナLCを介して受信された応答信号の復調を行い出力する受信回路307と、識別子PMを検出する上記マークセンサ127とが接続されている。
【0089】
このような制御回路110を核とする制御系において、PC118を介して文字データ等が入力された場合、そのテキスト(文書データ)がテキストメモリ117Aに順次記憶されるとともに、印字ヘッド23が駆動回路120を介して駆動され、各発熱素子が1ライン分の印字ドットに対応して選択的に発熱駆動されて印字バッファ117Bに記憶されたドットパターンデータの印字を行い、これと同期して搬送用モータ119が駆動回路121を介してテープの搬送制御を行う。また、送信回路306が制御回路110からの制御信号に基づき搬送波の変調制御を行って上記質問波を出力するとともに、受信回路307は制御回路110からの制御信号に基づき復調した信号の処理を行う。
【0090】
図9(a)及び図9(b)は、上述のような構成であるタグラベル作成装置1により無線タグ回路素子Toの情報書き込み(又は読み取り)及び印字済みタグラベル用テープ109の切断が完了し形成された無線タグラベルTの外観の一例を表す図であり、図9(a)は上面図、図9(b)は下面図である。また図10(a)は図9中XA−XA′断面による横断面図を反時計方向に90°回転させた図であり、図10(b)は図9中XB−XB′断面による横断面図を反時計方向に90°回転させた図である。
【0091】
これら図9(a)、図9(b)、図10(a)、及び図10(b)において、無線タグラベルTは、前述した図5に示した4層構造にカバーフィルム103が加わった5層構造となっており、カバーフィルム103側(図10中上側)よりその反対側(図10中下側)へ向かって、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、剥離紙101dで5層を構成している。そして、前述のようにベースフィルム101bの裏側に設けられたループアンテナ152を含む無線タグ回路素子Toがベースフィルム101b及び粘着層101c内に備えられるとともに、カバーフィルム103の裏面に無線タグ回路素子Toの記憶情報等に対応したラベル印字R(この例では無線タグラベルTの種類を示す「RF−ID」の文字)が印刷されている。また剥離紙101dの裏面には、無線タグ回路素子Toの存在を標示する上記無線タグ標示AM(この例ではアンテナを模したマーク)や前掲の識別子PM(この例では黒塗りの■マーク)が印刷されている。
【0092】
また、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101cには、既に述べたように上記ハーフカッタ34によってテープ幅方向に略沿ってハーフカット線HC(但しこの例では前ハーフカット線HC1及び後ハーフカット線HC2の2本)が形成されている。カバーフィルム103のうち、これらハーフカット線HC1,HC2の間に挟まれた領域がラベル印字(タグ印字)Rが行われるタグ印字領域PEとなっている。
【0093】
また、タグラベル作成装置1では、既に述べたように1組の基材テープ101及びカバーフィルム103を用い、これらを貼り合わせた印字済みタグラベル用テープ109によって複数の無線タグラベルTを順次作成するものである。
【0094】
図9(a)において、タグ印字領域PEのテープ長手方向における寸法(ハーフカット線HC1からハーフカット線HC2までの距離)Xは、ラベル印字Rの内容や態様(例えば文字数、フォント等)に応じて可変に設定される。また、テープ先端からハーフカット線HC1までの距離X1、及び、ハーフカット線HC2からテープ後端までの距離X2は、予め所定の値に(この例では固定的に)設定されている(但し後述のように後ハーフカット線HC2を設けない場合もある)。また、剥離紙101dには前述の識別子PMが残存しており、この識別子PMのテープ搬送方向後端とこれに対しオフセットされる無線タグ回路素子Toのテープ搬送方向先端までの距離は、所定値Lとなっている。なお既に述べたように識別子PMとして図10(a)及び図10(b)に示すような黒塗りのマーキングを設けるのに代え、図示を省略するが、識別子PMとして、レーザ加工等により基材テープ101を略貫通する孔を孔設する等でもよい。
【0095】
上記構成のタグラベル作成装置1での無線タグラベルTの作成時における、基材テープ101、カバーフィルム103、及び印字済みタグラベル用テープ109の搬送位置に応じた印字ヘッド23やループアンテナLCの制御の挙動を、図11〜図14を用いて説明する。
【0096】
(A)印字長が比較的長い場合
図11(a)〜図11(n)はそれぞれ、連続的に繰り出される印字済みタグラベル用テープ109の識別子PM、無線タグ回路素子To、ラベル印字Rのタグ印字領域PEと、ループアンテナLC、マークセンサ127、ハーフカットユニット35、切断機構15、印字ヘッド23との位置関係を表す説明図である。なお、図示のように、本実施形態では、基材テープ101において、識別子PMと無線タグ回路素子Toとの間のテープ搬送方向距離Lが、マークセンサ127と印字ヘッド23との間のテープ搬送方向距離Loよりも若干大きくなるように、予め設定されている。
【0097】
まず、図11(a)は、カートリッジ7から印字済みタグラベル用テープ109の繰り出しが開始される前の状態を表している。図示の状態では識別子PMはマークセンサ127によって検出されていない。この状態では、次に作成される無線タグラベルTに対応した上記固定ピッチ分の基材テープ101の先端が切断機構15による切断位置にあり、この固定ピッチ分の基材テープ101に位置する無線タグ回路素子Toが通信準備領域132内に存在する状態である。通信準備領域132の無線タグ回路素子Toはカートリッジ7の筐体7Aの窓133に対向し、カートリッジホルダ6からカートリッジ7を取り外せば窓133から無線タグ標示AMを見ることができる(前述の図6参照)。
【0098】
カートリッジ7をカートリッジホルダ6に装着した後、印字済みタグラベル用テープ109の繰り出しが開始され印字済みタグラベル用テープ109の搬送が開始される(図11(b))。この状態からさらに印字済みタグラベル用テープ109の搬送(言い換えれば基材テープ101及びカバーフィルム103の搬送。以下同様)が進むと、無線タグ回路素子Toのテープ搬送方向先端付近が印字ヘッド23の位置に近づく(図11(c))。ここで、前述のように、L>Loとなっていることから、印字済みタグラベル用テープ109の移動により識別子PMのテープ搬送方向先端がマークセンサ127の位置に到達したとき、カバーフィルム103の無線タグ回路素子Toに対応する位置(基材テープ101の無線タグ回路素子To位置と貼り合わされることとなる位置)が、印字ヘッド23の位置までは到達せず、その少し手前の位置にある。
【0099】
この状態から印字済みタグラベル用テープ109の搬送が少し進むと、カバーフィルム103の無線タグ回路素子Toに対応する位置が印字ヘッド23に到達する(図11(d))。そして、カバーフィルム103のタグ印字領域PEにラベル印字Rの印刷が開始される(図11(e))。この例では、後述の図11(k)〜図11(n)に示すように、比較的長い文字(アルファベット文字「ABCDEFGHIJKLMN」)を印字する場合を例にとっている。
【0100】
上記図11(e)の状態からさらに印字済みタグラベル用テープ109の搬送が進むと、予め設定された前ハーフカット線HC1の位置(前述したように、テープ先端から距離X1の位置。図9参照)が、ハーフカットユニット35の位置に到達する(図11(f))。この状態では前述のように既にマークセンサ127によって識別子PMを検出した後であるため、この位置に来たことの検出は、前述の図11(c)の状態(識別子PM検出開始状態)から印字済みタグラベル用テープ109が所定距離だけ進んだことを検知することによって行う。この検出に対応して、印字済みタグラベル用テープ109の搬送を停止し、ハーフカットユニット35によって前ハーフカット線HC1を形成する(図11(f))。
【0101】
その後、印字済みタグラベル用テープ109の搬送を再開し、上記図11(f)の状態からさらに印字済みタグラベル用テープ109の搬送が進む(図11(g))と、無線タグ回路素子ToがループアンテナLCの位置に到達する(図11(h))。このとき、この例ではラベル印字Rとして前述のように比較的長い文字(「ABCDEFGHIJKLMN」)の印刷を行っていることから、この時点ではまだタグ印字領域PEにおけるすべての印刷が終了していない。このため、印字済みタグラベル用テープ109の搬送及び印刷を一旦停止(中断)させて、その搬送停止状態でループアンテナLCより無線タグ回路素子Toとの無線通信を行った後、搬送及び印刷を再開し(図11(i))、最終的にすべての(「ABCDEFGHIJKLMN」)の印刷を完了させる(図11(j))。
【0102】
上記図11(j)の状態から印字済みタグラベル用テープ109の搬送が進み(図11(k))。さらに印字済みタグラベル用テープ109の搬送が進むと、予め設定された後ハーフカット線HC2の位置(前述したように、テープ後端から距離X2の位置。図9参照)が、ハーフカットユニット35の位置に到達する。この位置に来たことの検出は、上記前ハーフカット線HC2の位置検出と同様、図11(c)の状態から印字済みタグラベル用テープ109が所定距離だけ進んだことを検知することによって行う。この検出に対応して、印字済みタグラベル用テープ109の搬送を停止し、ハーフカットユニット35によって後ハーフカット線HC2を形成する(図11(l))。なお、図示のように、この状態で、後続する基材テープ101の上記固定ピッチ分に配置された無線タグ回路素子Toが、既に上記通信準備領域132内へ進入開始している。
【0103】
上記図11(l)の状態から印字済みタグラベル用テープ109の搬送が進み(図11(m))、さらに印字済みタグラベル用テープ109の搬送が進むと、ラベル印字Rの長さに対応して可変に設定された各無線タグラベルTのタグ印字領域PEのテープ長手方向寸法Xに対応した切断線CL(切断部位)の位置が、切断機構15の位置に到達する。この位置に来たことの検出も、上記同様、図11(c)の状態から印字済みタグラベル用テープ109が所定距離だけ進んだことを検知することによって行う。この検出に対応して、印字済みタグラベル用テープ109の搬送を停止し、切断機構15によって切断線CLにおいて切断を行い(図11(n))、印字済みタグラベル用テープ109の先端側を切り離して無線タグラベルTとする。前述のように、この状態では後続する基材テープ101の上記固定ピッチ分に配置された無線タグ回路素子Toが、上記通信準備領域132に位置している。
【0104】
図12は、上記のようにして完成した無線タグラベルTの例を表す図であり、前述した図9(a)にほぼ相当する図である。無線タグラベルTには、テープ長手方向中央側に無線タグ回路素子Toが配置されるとともにこれに対応するタグ印字領域PEにラベル印字Rがなされている。
【0105】
また、前述のようにタグ印字領域PEの長さはラベル印字Rの態様により変化するが、ラベル印字Rの文字数が多い等によりタグ印字領域PEの長さがある程度より大きくなった場合は、後ハーフカット線HC2は省略され、印字済みタグラベル用テープ109の後端までラベル印字Rが行われるタグ印字領域PEとなる。
【0106】
(B)印字長が比較的短い場合
図13(a)〜図13(n)はそれぞれ、上記図11(a)〜図11(n)と同様、連続的に繰り出される印字済みタグラベル用テープ109の識別子PM、無線タグ回路素子To、ラベル印字Rのタグ印字領域PEと、ループアンテナLC、マークセンサ127、ハーフカットユニット34、切断機構15、印字ヘッド23との位置関係を表す説明図である。この例では、後述の図13(h)〜図13(n)に示すように、比較的短い文字(アルファベット文字「ABCDEFGHIJ」)を印字する場合を例にとっている。
【0107】
まず、図13(a)〜図13(g)は前述の図11(a)〜図11(g)と同様である。すなわち、図13(a)に示す状態からカートリッジ7から印字済みタグラベル用テープ109の繰り出しが開始され(図13(b))、識別子PMの先端がマークセンサ127の位置に到達し(図13(c))、さらにその後搬送が進んでから(図13(d))、カバーフィルム103のタグ印字領域PEにラベル印字Rの印刷が開始される(図13(e))。さらに搬送が進み前ハーフカット線HC1の位置がハーフカットユニット35の位置に到達すると、ハーフカットユニット35によって前ハーフカット線HC1を形成する(図13(f))。そして、印字済みタグラベル用テープ109の搬送を再開し、さらに印字済みタグラベル用テープ109の搬送が進む(図13(g))。
【0108】
すると、この例ではラベル印字Rの文字数が比較的少ないため、無線タグ回路素子ToがループアンテナLCの位置に到達する(後述の図13(i)参照)より前に、ラベル印字Rの印字(「ABCDEFGHIJ」)が先に完了する(図13(h))。
【0109】
その後、搬送が進んで、無線タグ回路素子ToがループアンテナLCの位置に到達することとなる(図13(i))が、上記(A)の場合と異なり、この時点でタグ印字領域PEへのすべての印刷が終了している。このため、印字済みタグラベル用テープ109の搬送を停止(中断)させて、その搬送停止状態でループアンテナLCより無線タグ回路素子Toとの無線通信を行う。その後、印字済みタグラベル用テープ109の搬送を再開(図13(j))する。
【0110】
これ以降の図13(k)〜図13(n)は、上記図11(l)〜図11(n)の流れとほぼ同様である。すなわち上記図13(j)の状態からさらに印字済みタグラベル用テープ109の搬送が進み、ハーフカット線HC2の位置がハーフカットユニット35の位置に到達すると、印字済みタグラベル用テープ109の搬送を停止し、ハーフカットユニット35によって後ハーフカット線HC2を形成する(図13(k))。さらに搬送が進むと(図13(l)、図13(m))、切断線CLの位置が切断機構15の位置に到達すると搬送を停止し、切断機構15によって切断線CLにおいて切断を行い(図13(n))、印字済みタグラベル用テープ109の先端側を切り離して無線タグラベルTとする。
【0111】
図14は、上記のようにして完成した無線タグラベルTの例を表す図であり、上記(A)で前述した図12にほぼ相当する図である。
【0112】
図15は、以上のような制御を行うために上記制御回路110によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【0113】
この図15において、上記PC118を介しタグラベル作成装置1による所定の無線タグラベル作成操作が行われるとこのフローが開始される。まずステップS100で、上記PC118からの操作信号を(通信回線NW及び入出力インターフェース113を介して)入力しこの操作信号に基づき印刷データや無線タグ回路素子Toとの通信データの設定等を行なう準備処理(詳細は後述の図16参照)を実行する。
【0114】
その後、ステップS5に移り、入出力インターフェース113を介し搬送用モータ駆動回路121に制御信号を出力し、搬送用モータ121の駆動力によってテープ送りローラ27及びリボン巻取りローラ106を回転駆動させる。さらに、テープ排出モータ駆動回路123を介してテープ排出モータ65に制御信号を出力し、駆動ローラ51を回転駆動させる。これらにより、第1ロール102から基材テープ101が繰り出されテープ送りローラ27へ供給されるとともに、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出され、これら基材テープ101とカバーフィルム103とが上記テープ送りローラ27及び圧着ローラ28により接着されて一体化されて印字済みタグラベル用テープ109として形成され、カートリッジ7外方向からさらにタグラベル作成装置1外方向へと搬送される。このようにして印字済みタグラベル用テープ109の搬送が開始されると、次のステップS10に移る。
【0115】
ステップS10では、入出力インターフェース113を介し入力されたマーク検出センサ127の検出信号に基づき、印字済みタグラベル用テープ109の上記識別子PMが検出されたかどうかを判定する。識別子PMが検出されるまで判定が満たされずこの手順を繰り返し、検出されたら判定が満たされて次のステップS12に移る。
【0116】
その後、ステップS12において、印字済みタグラベル用テープ109がラベル印字Rを印刷すべき印刷開始位置(タグ印字領域PEの先端位置)まで搬送されたかどうかを判定する。このときの判定は、例えば、上記ステップS10において基材テープ101の識別子PMを検出した後の搬送距離を所定の公知の方法で検出すればよい(パルスモータである搬送用モータ119を駆動する搬送用モータ駆動回路121の出力するパルス数をカウントする等)。印刷開始位置に到達するまで判定が満たされずこの手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて次のステップS15に移る。
【0117】
ステップS15では、入出力インターフェース113を介し印刷駆動回路120に制御信号を出力し、印字ヘッド23を通電して、カバーフィルム103のうち前述したタグ印字領域PE(=基材テープ101に所定ピッチで等間隔で配置された無線タグ回路素子Toの裏面にほぼ貼り合わせることとなる領域)に、ステップS100で生成した印刷データに対応した文字、記号、バーコード等のラベル印字Rの印刷(印刷)を開始する(図11(d)及び図11(e)参照)。
【0118】
その後、ステップS20において、印字済みタグラベル用テープ109が前述した前ハーフカット位置まで搬送されたかどうか(言い換えればハーフカット機構35のハーフカッタ34がステップS100で設定した前ハーフカット線HC1に正対する位置まで印字済みタグラベル用テープ109が到達したかどうか)を判定する。このときの判定も、前述と同様、例えば、上記ステップS10において基材テープ101の識別子PMを検出した後の搬送距離を所定の公知の方法で検出すればよい。前ハーフカット位置に到達するまで判定が満たされずこの手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて次のステップS25に移る。
【0119】
ステップS25では、入出力インターフェース113を介し搬送用モータ駆動回路121及びテープ排出モータ駆動回路123に制御信号を出力し、搬送用モータ119及びテープ排出モータ65の駆動を停止して、テープ送りローラ27、リボン巻取りローラ106、駆動ローラ51の回転を停止する。これにより、カートリッジ7から繰り出された印字済みタグラベル用テープ109が排出方向に移動する過程で、ステップS100で設定した前ハーフカット線HC1にハーフカット機構35のハーフカッタ34が正対した状態で、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び印字済みタグラベル用テープ109の搬送が停止する。またこのとき、入出力インターフェース113を介し印刷駆動回路120にも制御信号を出力し、印字ヘッド23の通電を停止して、上記ラベル印字Rの印刷(印刷)を停止(印刷中断)する。
【0120】
その後、ステップS30で、入出力インターフェース113を介しハーフカッターモータ駆動回路128に制御信号を出力してハーフカッターモータ129を駆動し、ハーフカッタ34を回動させて、印字済みタグラベル用テープ109のカバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、及び粘着層101cを切断して前ハーフカット線HC1を形成する前ハーフカット処理を行う(図11(f)参照)。
【0121】
そして、ステップS35に移り、上記ステップS5と同様にしてテープ送りローラ27、リボン巻取りローラ106、駆動ローラ51を回転駆動させて印字済みタグラベル用テープ109の搬送を再開するとともに、ステップS15と同様にして印字ヘッド23に通電してラベル印字Rの印刷を再開する。
【0122】
その後、ステップS40において、ステップS100において印字内容(印字文字の数、フォント等)に応じて可変に設定した印刷終了位置(後述のステップS130参照)と、ステップS100において操作者より入力された操作信号に含まれるカートリッジ7の種類情報に応じて設定したタグ後端位置(後述のステップS145参照)とに応じて、当該印字済みタグラベル用テープ109について、タグ印字領域PEへのすべてのラベル印字Rの印刷が終了する前に、無線タグ回路素子Toの通信位置(無線タグ回路素子ToがループアンテナLCと正対する位置)となるか(前述の図11(h)の状態)、あるいは無線タグ回路素子Toの通信位置(無線タグ回路素子ToがループアンテナLCと正対する位置)となる前にタグ印字領域PEへのすべてのラベル印字Rの印刷が終了するか(前述の図13(i)の状態)となるかを判定する。
【0123】
例えば印刷しようとするラベル印字Rの長さが比較的長く上記図11(h)の状態となるような位置関係であれば、上記ステップS40の判定が満たされ、ステップS200に移り、長印字ラベル作成処理を行う。すなわち、無線タグ回路素子Toの通信位置(無線タグ回路素子ToがループアンテナLCと正対する位置)まで搬送したら搬送及び印字を停止して情報送受信を行い、その後搬送及び印字を再開して印字を完了させ、後ハーフカット位置で搬送を停止して後ハーフカット線HC2の形成を行う(後述の図17参照)。
【0124】
一方、例えば印刷しようとするラベル印字Rの長さが比較的短く上記図13(i)の状態となるような位置関係であれば、上記ステップS40の判定が満たされず、ステップS300に移り、短印字ラベル作成処理を行う。すなわち、そのまま搬送及び印字を継続してまず印字を完了させた後、さらに搬送して無線タグ回路素子Toの通信位置(無線タグ回路素子ToがループアンテナLCと正対する位置)まで到達したら搬送を停止して情報送受信を行い、後ハーフカット位置で搬送を停止して後ハーフカット線HC2の形成を行う(後述の図18参照)。
【0125】
以上のようにしてステップS200又はステップS300が終了したら、ステップS45に移る(なおこの時点でステップS200又はステップS300において印字済みタグラベル用テープ109の搬送が再開されている)。ステップS45では、印字済みタグラベル用テープ109が前述したフルカット位置まで搬送されたかどうか(言い換えれば切断機構15の可動刃41がステップS100で設定した切断線CLに正対する位置まで印字済みタグラベル用テープ109が到達したかどうか)を判定する。このときの判定も、前述と同様、例えば、上記ステップS10において基材テープ101の識別子PMを検出した後の搬送距離を所定の公知の方法で検出すればよい。フルカット位置に到達するまで判定が満たされずこの手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて次のステップS50に移る。
【0126】
ステップS50では、上記ステップS25と同様にして、テープ送りローラ27、リボン巻取りローラ106、駆動ローラ51の回転を停止して印字済みタグラベル用テープ109の搬送を停止する。これにより、ステップS100で設定した切断線CLに切断機構15の可動刃41が正対した状態で、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び印字済みタグラベル用テープ109の搬送が停止する。
【0127】
その後、ステップS55でカッターモータ駆動回路122に制御信号を出力してカッターモータ43を駆動し、切断機構15の可動刃41を回動させて、印字済みタグラベル用テープ109のカバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、及び剥離紙101dをすべて切断(分断)して切断線CLを形成するフルカット処理を行う(図11(n)参照)。この切断機構15による分断によって印字済みタグラベル用テープ109から切り離され、無線タグ回路素子Toの無線タグ情報が読み取られ(又は無線タグ情報が書き込まれ)かつこれに対応する所定の印字が行われたラベル状の無線タグラベルTが生成される。
【0128】
その後、ステップS60に移り、入出力インターフェース113を介してテープ排出モータ駆動回路123に制御信号を出力し、テープ排出モータ65の駆動を再開して、駆動ローラ51を回転させる。これにより、駆動ローラ51による搬送が再開されて上記ステップS55でラベル状に生成された無線タグラベルTがラベル排出口11へ向かって搬送され、ラベル排出口11からタグラベル作成装置1外へと排出し、このフローを終了する。なお、上記ステップS55の切断処理とステップS60のラベル排出処理とは、連動して行うようにしてもよい。
【0129】
なお、制御回路110の実行する上記図15のフローの制御手順全体が、各請求項記載の連携制御手段を構成する。
【0130】
図16は、上述したステップS100の詳細手順を表すフローチャートである。図16に示すフローにおいて、まずステップS105で、入出力インターフェース113を介し、PC118から入力操作された操作信号を入力(識別)する(操作信号入力手段)。この操作信号には、例えば操作者が指定したラベル印字Rの文字・図柄・模様等やそのフォント(字体、大きさ、太さ等)あるいは文字や数字等のキャラクタのコードデータなどの印刷情報が含まれ、無線タグ回路素子Toへ情報書き込みを行う場合には、当該書き込み情報(少なくとも識別情報としてのタグIDを含む無線タグ情報)も含まれる。ラベル印字Rの操作信号としては、操作者の入力操作が簡単になることから、予め決められている複数種類のパターンの中から選択して得られた選択信号とするのが望ましい。なお、このときの入力信号には、カートリッジホルダ6に装着されたカートリッジ7の種類に関する情報(言い換えれば、基材テープ101内における無線タグ回路素子の配置間隔、基材テープ101のテープ幅等のタグ属性情報)も併せて含まれる。
【0131】
なお、このカートリッジ情報については、カートリッジ7に別途設けた被検出部(例えば凹凸形状等の識別子)を適宜のカートリッジ検出手段(メカニカルスイッチ等の機械的検出を行うものや、光学的検出を行うセンサ、磁気的検出を行うセンサ等)で検出し、この検出信号に基づきカートリッジ7の種類を自動的に検出・検索するようにしてもよい。
【0132】
その後、ステップS110に移り、上記ステップS105で入力された操作信号に基づき、上記印刷情報に対応した印刷データ(ラベル印字Rを行う印刷データ)を作成する。
【0133】
そして、ステップS115において、上記ステップS105で入力された操作信号に基づき、上記書き込み情報に対応した通信データを作成する。なお上述したように、無線タグ回路素子Toへ情報書き込みを行って無線タグラベルTを作成する場合にはこの手順を実行するが、無線タグ回路素子Toに予め記憶された情報の読み取りを行って無線タグラベルTを作成する場合には、この手順は省略してもよい。
【0134】
その後、ステップS120に移り、上述した前ハーフカット線HC1の位置を設定する。この設定は、上記ステップS105で入力された操作信号に基づき、上記カートリッジ情報に対応した前ハーフカット線HC1のテープ上の位置を設定する。すなわち、カートリッジ7の種類によって前述したように基材テープ101内における無線タグ回路素子の配置間隔(言い換えれば切断線CLと切断線CLとの距離、1つの無線タグラベルTの長さ)が一意的に決まり、またこの無線タグラベルTの長さによって前ハーフカット線HC1の位置は(後ハーフカット線HCとは異なり)ラベル印字Rの内容によらず印字済みタグラベル用テープ109先端から一定の位置に予め決められている(例えばテーブルの形で制御回路110の適宜の箇所に記憶されている)。この手順では、このような前提のもと、上記前ハーフカット線HC1の位置をカートリッジ7ごとに予め定められた位置に(固定的に)設定する。
【0135】
そして、ステップS125において、上述した無線タグ回路素子Toによるテープ上の通信位置を設定する。この設定も、上記ステップS120と同様、上記ステップS105で入力された操作信号に基づき、カートリッジ7の種類によって無線タグ回路素子Toの種類(大きさ)及び配置位置は印字済みタグラベル用テープ109先端から一定の位置に予め決められている前提のもと、上記無線タグ回路素子Toの印字済みタグラベル用テープ109における配置位置を、カートリッジ7ごとに予め定められた位置に(固定的に)設定する。
【0136】
その後、ステップS130に移り、上記ステップS110で作成された印刷データに基づき、ラベル印字Rの印刷(印刷)が終了するテープ上の位置を算出する。すなわち、ラベル印字Rの内容によって変化し、印字長さが長くなる場合には印刷終了位置はラベル後端部側に(相対的に)近くなり、印字長さが短い場合には印刷終了位置はラベル前端部側に(相対的に)近くなる。
【0137】
そして、ステップS135において、上述した後ハーフカット線HC2の位置を設定する。この設定は、上記ステップS105で入力された操作信号と、上記ステップS130で算出された印刷終了位置とに基づき、上記カートリッジ情報に対応した後ハーフカット線HC2のテープ上の位置を設定する。すなわち、上記ステップS105で入力された操作信号に基づき、カートリッジ7の種類によって印刷終了位置から後ハーフカット線HC2までの距離は一定に予め決められている前提のもと、上記ステップS130で算出された印刷終了位置に対し当該定められた距離を加える(間に介在させる)形で、テープ上の後ハーフカット線HC2の位置を算出する。
【0138】
その後、ステップS140に移り、印字済みタグラベル用テープ109の切断線CLの位置(フルカット位置)を設定する。この設定も、上記ステップS120と同様、上記ステップS105で入力された操作信号に基づき、カートリッジ7の種類によってラベル大きさは一定に予め決められている前提のもと、印字済みタグラベル用テープ109の切断位置をカートリッジ7ごとに予め定められた位置に(固定的に)設定する。
【0139】
そして、ステップS145において、上述した無線タグ回路素子Toのテープ上の後端位置を設定する。この設定も、上記と同様、上記ステップS105で入力された操作信号に基づき、カートリッジ7の種類によって無線タグ回路素子Toの種類(大きさ)及び配置位置は予め決められている前提のもと、上記無線タグ回路素子Toの印字済みタグラベル用テープ109における後端位置を、カートリッジ7ごとに予め定められた位置に(固定的に)設定する。
【0140】
そして、ステップS150に移り、ステップS135で設定した後ハーフカット線HC2の位置やステップS140で設定した切断線CLの位置が、ステップS145の無線タグ回路素子Toの後端位置よりもラベル後端側であるかどうかを判定する。後ハーフカット線HC2の位置や切断線CLの位置がラベル後端側に設定されていれば判定が満たされ、ステップS160に移る。
【0141】
後ハーフカット線HC2の位置又は切断線CLの位置が無線タグ回路素子Toの後端位置よりもラベル前端側に設定されていた場合、判定が満たされず、ステップS155に移る。ステップS155では、このままでは無線タグ回路素子Toの一部を切断してしまう可能性があることから、これを回避するために、後ハーフカット線HC2の位置及び切断線CLの位置がいずれも無線タグ回路素子Toの後端位置よりもラベル後端側となるように位置修正を行い(再設定)、ステップS170に移る。
【0142】
ステップS170では、後述のループアンテナLCから無線タグ回路素子Toへ通信を行う際、無線タグ回路素子Toからの応答がない場合に通信再試行(リトライ)を行う回数(アクセス試行回数)をカウントする変数M、Nと、通信が成功したかどうかをあらわすフラグFを0に初期化設定し、このルーチンを終了する。
【0143】
図17は、上述したステップS200の詳細手順を表すフローチャートである。図17に示すフローにおいて、まずステップS210で、印字済みタグラベル用テープ109が前述したループアンテナLCとの通信位置まで搬送されたかどうか(言い換えれば上記ステップS125で設定した、ループアンテナLCが無線タグ回路素子To位置と略正対する位置まで印字済みタグラベル用テープ109が到達したかどうか)を判定する。このときの判定も、前述した図15のステップS20と同様、例えば、上記ステップS10において基材テープ101の識別子PMを検出した後の搬送距離を所定の公知の方法で検出すればよい。通信位置に到達するまで判定が満たされずこの手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて次のステップS220に移る。
【0144】
ステップS220では、上記ステップS25と同様にして、テープ送りローラ27、リボン巻取りローラ106、駆動ローラ51の回転を停止し、無線タグ回路素子ToにループアンテナLCが略正対した状態で印字済みタグラベル用テープ109の搬送が停止する。また、印字ヘッド23の通電を停止して、上記ラベル印字Rの印刷(印刷)を停止(中断)する(図11(h)参照)。
【0145】
その後、ステップS400に移り、アンテナLCと無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行い、無線タグ回路素子ToのIC回路部151に対し図16の上記ステップS115で作成した情報を書き込む(又はIC回路部に予め記憶されていた情報を読み取る)情報送受信処理を行う(詳細は後述の図19参照)。
【0146】
その後、ステップS230に移り、上記ステップS400において情報送受信に成功したかどうかを判定する。具体的にはステップS400において通信失敗時には上記フラグF=1となっているはずであることから(後述の図19のステップS437参照)、F=0であるかどうかを判定する。
【0147】
F=1である場合、判定が満たされず、当該無線タグ回路素子Toに対する通信が失敗したとみなされステップS700に移り、当該通信失敗をラベル上で操作者に報知するための所定のエラー処理を行う。
【0148】
一方、F=0である場合、判定が満たされ、当該無線タグ回路素子Toに対する通信は成功したとみなされてステップS240に移る。
【0149】
ステップS240では、図15のステップS35と同様にして、テープ送りローラ27、リボン巻取りローラ106、駆動ローラ51を回転駆動させて印字済みタグラベル用テープ109の搬送を再開するとともに、印字ヘッド23に通電してラベル印字Rの印刷を再開する。
【0150】
なおこのとき、上記ステップS400における通信試行回数(リトライ回数)が多かったり等によりステップS220以降の印字ヘッド23の通電停止時間がある程度長くなってしまった場合には、印字ヘッド23の温度が低下している可能性がある。したがってこれに対応するために、上記ステップS240における印刷再開時に、印字ヘッド23への通電(単位時間当たりのエネルギ量)を通常より大きくしてもよい。
【0151】
上記ステップS240の後、ステップS250に移り、印字済みタグラベル用テープ109が前述した印刷終了位置(上記図16のステップS130で算出)まで搬送されたかどうかを判定する。このときの判定も、前述と同様、例えば、上記ステップS10において基材テープ101の識別子PMを検出した後の搬送距離を所定の公知の方法で検出すればよい。印刷終了位置に到達するまで判定が満たされずこの手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて次のステップS260に移る。
【0152】
ステップS260では、上記図15のステップS25と同様にして、印字ヘッド23の通電を停止して、上記ラベル印字Rの印刷(印刷)を停止する。これによって、タグ印字領域PEに対するラベル印字Rの印刷が完了する(図11(j)参照)。
【0153】
その後、ステップS500に移り、所定の後ハーフカット位置まで搬送した後にハーフカットユニット35のハーフカッタ34によって後ハーフカット線HC2の形成を行う、後ハーフカット処理を行う(詳細は後述の図20参照)。
【0154】
以上のステップS500又は上記ステップS700が終了したら、このルーチンを終了する。
【0155】
図18は、上述したステップS300の詳細手順を表すフローチャートである。図18に示すフローにおいて、まずステップS310で、図17のステップS250と同様、印字済みタグラベル用テープ109が前述した印刷終了位置(上記図16のステップS130で算出)まで搬送されたかどうかを判定する。このときの判定も、ステップS250と同様の手法で行えばよい。印刷終了位置に到達するまで判定が満たされずこの手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて次のステップS320に移る。
【0156】
ステップS320では、上記図17のステップS260と同様にして、印字ヘッド23の通電を停止して、上記ラベル印字Rの印刷を停止する。これによって、タグ印字領域PEに対するラベル印字Rの印刷が完了する(図13(h)参照)。
【0157】
その後、ステップS330に移り、図17のステップS210と同様にして、印字済みタグラベル用テープ109が前述したループアンテナLCとの通信位置まで搬送されたかどうかを判定する。このときの判定もステップS210と同様の手法で行えばよい。通信位置に到達するまで判定が満たされずこの手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて次のステップS340に移る。
【0158】
ステップS340では、上記ステップS220と同様にして、テープ送りローラ27、リボン巻取りローラ106、駆動ローラ51の回転を停止し、無線タグ回路素子ToにループアンテナLCが略正対した状態で印字済みタグラベル用テープ109の搬送を停止させる(図13(i)参照)。
【0159】
その後のステップS400は図17と同一であり、アンテナLCと無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行う情報送受信処理を行う(詳細は後述の図19参照)。
【0160】
その後ステップS350に移り、図17のステップS230と同様にして、F=0であるかどうかによってステップS400の情報送受信に成功したかどうかを判定する。
【0161】
F=1である場合は判定が満たされず、図17と同様、ステップS700に移り所定のエラー処理を行う。F=0である場合、判定が満たされ、当該無線タグ回路素子Toに対する通信は成功したとみなされてステップS360に移る。
【0162】
ステップS360では、図17のステップS240と同様、テープ送りローラ27、リボン巻取りローラ106、駆動ローラ51を回転駆動させて印字済みタグラベル用テープ109の搬送を再開する(図13(j)参照)。
【0163】
その後のステップS500、ステップS600については、図17と同様であるので説明を省略する。
【0164】
図19は、図17及び図18で上述したステップS400の詳細手順を表すフローチャートである。なおこの例では、前述の情報書き込み及び情報読み取りのうち、情報書込みを例にとって説明する。
【0165】
図19に示すフローのまずステップS405において、入出力インターフェース113を介し前述の送信回路306(図8等参照)に制御信号を出力し、無線タグ回路素子Toのメモリ部157に記憶された情報を初期化する「Erase」信号として、所定の変調を行った搬送波をループアンテナLCを介して書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信する。これにより、無線タグ回路素子Toの上記メモリ部157を初期化する。
【0166】
次に、ステップS410において、入出力インターフェース113を介し送信回路306に制御信号を出力し、メモリ部157の内容を確認する「Verify」信号として、所定の変調を行った搬送波をループアンテナLCを介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信し、返信を促す。
【0167】
その後、ステップS415において、上記「Verify」信号に対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号をループアンテナLCを介して受信し、受信回路307(図8等参照)及び入出力インターフェース113を介し取り込む。
【0168】
次に、ステップS420において、上記受信したリプライ信号に基づき、当該無線タグ回路素子Toのメモリ部157内の情報を確認し、メモリ部157が正常に初期化されたか否かを判定する。
【0169】
判定が満たされない場合はステップS425に移ってMに1を加え、さらにステップS430においてM=5かどうかが判定される。M≦4の場合は判定が満たされずステップS405に戻り同様の手順を繰り返す。M=5の場合はステップS435に移り、エラー表示信号を入出力インターフェース113及び通信回線NWを介し上記PC118へ出力し、対応する書き込み失敗(エラー)表示を行わせ、さらにステップS437で前述のフラグF=1にして、このルーチンを終了する。このようにして初期化が不調でも5回までは再試行が行われる。
【0170】
ステップS420の判定が満たされた場合、ステップS440に移り、送信回路306に制御信号を出力し、所望のデータをメモリ部157に書き込む「Program」信号として、所定の変調を行った搬送波をループアンテナLCを介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信し、情報を書き込む。
【0171】
その後、ステップS445において、送信回路306に制御信号を出力し「Verify」信号として所定の変調を行った搬送波をループアンテナLCを介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信し、返信を促す。その後ステップS450において、上記「Verify」信号に対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号をループアンテナLCを介して受信し、受信回路307及び入出力インターフェース113を介し取り込む。
【0172】
次に、ステップS455において、上記受信したリプライ信号に基づき、当該無線タグ回路素子Toのメモリ部157内に記憶された情報を確認し、公知の誤り検出符号(CRC符号;Cyclic Redundancy Check等)を用いて、前述の送信した所定の情報がメモリ部157に正常に記憶されたか否かを判定する。
【0173】
判定が満たされない場合はステップS460に移ってNに1を加え、さらにステップS465においてN=5かどうかが判定される。N≦4の場合は判定が満たされずステップS440に戻り同様の手順を繰り返す。N=5の場合は前述したステップS435に移り、同様にPC118に対応する書き込み失敗(エラー)表示を行わせ、ステップS437で前述のフラグF=1にして、このルーチンを終了する。このようにして情報書き込みが不調でも5回までは再試行が行われる。
【0174】
ステップS455の判定が満たされた場合、ステップS470に移り、送信回路306に制御信号を出力し、「Lock」コマンドとして所定の変調を行った搬送波をループアンテナLCを介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信し、当該無線タグ回路素子Toへの新たな情報の書き込みを禁止する。これにより、書き込み対象とする無線タグ回路素子Toへの無線タグ情報の書き込みが完了する。
【0175】
その後、ステップS480に移り、上記ステップS440で無線タグ回路素子Toに書き込まれた情報と、これに対応して既に印字ヘッド23によりタグ印字領域PEに印字されるラベル印字Rの印字情報との組み合わせを、入出力インターフェース113及び通信回線NWを介し出力され、情報サーバISやルートサーバRSに記憶される。なお、この記憶データは必要に応じてPC118より参照可能に例えば各サーバIS,RSのデータベース内に格納保持される。以上により、このルーチンを終了する。
【0176】
図20は、図17又は図18において上述したステップS500の詳細手順を表すフローチャートである。図20に示すフローにおいて、まずステップS510において、前述のステップS135で設定した後ハーフカット線HC2の位置と、前述のステップS140で設定した切断線CLの位置が、予め定められた所定の距離以上であるかどうかを判定する。後ハーフカット線HC2の位置と切断線CLの位置とが近すぎる場合にはこの判定が満たされず、切断線CLとは別に後ハーフカット線HC2を設けるのは適当ではないとみなされ、このルーチンを終了する。一方、後ハーフカット線HC2の位置と切断線CLの位置とが十分に遠ければこの判定が満たされ、ステップS520に移る。なお、上記ステップS510は、例えば切断線CLと後ハーフカット線HC2の位置が互いに近すぎて切断機構15によるフルカット時にラベルが剥がれてしまったり、あるいは、その剥がれてしまったテープが切断機構15の可動刃41等にくっついてしまい装置の動作に不具合が発生するのを防止するための手順である。
【0177】
ステップS520では、ステップS20と同様、印字済みタグラベル用テープ109が前述した後ハーフカット位置まで搬送されたかどうか(言い換えればハーフカット機構35のハーフカッタ34がステップS135で算出した後ハーフカット線HC2に正対する位置まで印字済みタグラベル用テープ109が到達したかどうか)を判定する。このときの判定は、前述と同様、上記ステップS10において基材テープ101の識別子PMを検出した後の搬送距離を所定の公知の方法で検出すればよい。後ハーフカット位置に到達するまで判定が満たされずこの手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて次のステップS530に移る。
【0178】
ステップS530では、前述のステップS50等と同様、入出力インターフェース113を介し搬送用モータ駆動回路121及びテープ排出モータ駆動回路123に制御信号を出力し、搬送用モータ119及びテープ排出モータ65の駆動を停止して、テープ送りローラ27、リボン巻取りローラ106、駆動ローラ51の回転を停止する。これにより、ステップS135で算出した後ハーフカット線HC2にハーフカット機構35のハーフカッタ34が正対した状態で、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び印字済みタグラベル用テープ109の搬送が停止する。
【0179】
その後、ステップS540に移り、上記ステップS30と同様、ハーフカッターモータ駆動回路128に制御信号を出力してハーフカッタ34を回動させて、印字済みタグラベル用テープ109のカバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、及び粘着層101cを切断して後ハーフカット線HC2を形成する後ハーフカット処理を行う(図11(l)や図13(k)参照)。
【0180】
そして、ステップS550に移り、上記ステップS35と同様にしてテープ送りローラ27、リボン巻取りローラ106、駆動ローラ51を回転駆動させて印字済みタグラベル用テープ109の搬送を再開し、このルーチンを終了する。
【0181】
以上説明したように、本実施形態のカートリッジ7においては、第1ロール102から繰り出される基材テープ101の搬送経路を近接ローラ130,131によって筐体7Aの周壁に近接させて搬送経路上に通信準備領域132を設け、無線タグラベルTが1つ作成されて停止するごとに通信準備領域132に基材テープ101の無線タグ回路素子Toが1つ納まるように構成した。これにより、タグラベル作成装置1に装着されていない状態のときでもカートリッジ7の外部の無線タグ通信装置によって通信準備領域132の無線タグ回路素子Toと確実に通信することができる。
【0182】
この結果、タグラベル作成装置1のカートリッジホルダ6に装着しなくても、例えば汎用的な無線タグ通信装置によって筐体7Aの外部から通信準備領域132内の無線タグ回路素子Toに対して情報読み取りや情報書き込みを行い得る。したがって、カートリッジ7の筐体7A内にある無線タグ回路素子Toの無線タグ通信装置との情報送受信機能の利用の幅を通常の無線タグラベルTの作成以外にも広げることができ、カートリッジ7の単品での取り扱いの幅や利便性を向上させることができる。
【0183】
例えば、前述したように、タグラベル作成装置1に使用されるカートリッジ7としては、通常、複数個又は複数種類が予め用意され、保管・流通される場合が多い。本実施形態のカートリッジ7では、上記のようにカートリッジ7単体の状態で窓133を介し無線タグ通信装置よりカートリッジ7内の無線タグ回路素子Toに対し情報読み取り可能である。そこで、そのカートリッジ7の通信準備領域132に位置する無線タグ回路素子Toにカートリッジ管理用の情報を記憶させておき、これを読み取ることによってカートリッジ7を管理することができる。したがって、操作者の利便性を向上することができる。
【0184】
また、上記したように、固定ピッチ分の基材テープ101中の無線タグ回路素子Toの位置は定まっているので、筐体7A内で待機する搬送経路上の各固定ピッチ分の基材テープ101の無線タグ回路素子Toは毎回ほぼ同じ位置で停止する。本実施形態では、このことを利用し、搬送経路上で無線タグラベルTの作成のたびに無線タグ回路素子To(搬送経路上に複数存在する場合はそのうちのいずれか1つ)が停止する特定部位を上記の如く近接ローラ130,131によって周壁に近づけている。これにより、1つの無線タグラベルTの作成が終了し所定の搬送位置でテープ搬送が停止した状態となるたびに、確実に無線タグ回路素子Toを通信準備領域132において筐体7Aの周壁に近接させることができる。したがって、次の無線タグラベルTを作成するためにカートリッジ7をカートリッジホルダ6に装着する前に(言い換えればカートリッジホルダ6より取り外したカートリッジ7単品の状態で)無線タグ通信装置から情報読み取りを試行し、通信が不可又は不安定な場合は、無線タグ回路素子Toに損傷や故障等の不具合が発生していることがわかる。この結果、当該無線タグ回路素子Toが不良品であること(言い換えれば該カートリッジ7の品質不良)を早期発見することができる。したがって、これによっても操作者の利便性を向上することができる。
【0185】
このとき、本実施形態では特に、筐体7Aの外周側のうち通信準備領域132に対応した位置に、操作者が識別子AMを筐体7A外部から視認可能な視認許容部として、窓133を設けている。これにより、操作者が通信アンテナを窓133に近づけることで、カートリッジ7内で通信準備領域132に位置している通信対象の無線タグ回路素子Toの位置を確実に把握し、容易に通信アンテナを接近させることができる。この結果、無線タグ通信装置からの情報読み取り又は情報書き込みを円滑に行うことができる。また、本実施形態では基材テープ101の無線タグ回路素子Toの対応位置に付した無線タグ標示AMを窓133から視認できる構成としたので、実質的に目標の無線タグ回路素子Toそのものを視認して無線タグ通信装置をかざすことができ、無線タグ回路素子To及び無線タグ通信装置間の通信の確実性も極めて高い。
【0186】
なお、通信準備領域132がどの辺にあるのか、つまり無線タグ通信装置をどの辺にかざせば良いのかを操作者に案内する上では、窓133を設ける必要は必ずしもない。例えば図21のように筐体7Aの通信準備領域132の対応の周壁の外壁面に通信準備領域132の位置に対応させて通信準備領域132の位置を示す標示133Aを設け、無線タグ通信装置の通信アンテナを接近させる位置を表示する接近表示部として機能させることもできる。標示133Aは印刷、シールの貼付、筐体7Aの外壁面の加工の様々な方法で形成することができ、また標示内容も図示したような斜線模様に限らず、その他の適当なマークや文字によるメッセージで適宜通信準備領域132の存在を案内することができる。
【0187】
また、本実施形態では特に、テープ切断位置に後続する固定ピッチ分の基材テープ101内の無線タグ回路素子Toすなわち切断位置から最短距離にある無線タグ回路素子Toを通信準備領域132に納めている。基材テープ101の製作誤差や気温・湿度等によるテープの僅かな伸び等に影響を受け難く、通信準備領域132に精度良く無線タグ回路素子Toを停止させることができる。
【0188】
また、本実施形態では特に、カートリッジ7の筐体7Aの周壁の近傍に周壁に沿って2つの近接ローラ130,131を配置し、近接ローラ130,131の間を通信備領域132とした。このように2つのローラを用いることで搬送経路上に周壁に沿った通信準備領域132を確実に形成することができる。また、最小でこれら2つの近接ローラ130,131を追加するだけで通常の汎用の無線タグ回路素子カートリッジにも経路近接手段を実現できるので、汎用品からの改良が容易であることも大きなメリットである。また、近接ローラ130,131から周壁までの距離をそれぞれ等しくし、通信準備領域132の基材テープ101が周壁と平行になるようにしたことで、筐体7A外の無線タグ通信装置から通信対象である通信準備領域132中の無線タグ回路素子Toまでの距離を最短とし、両者間の通信安定性を確保することができる。これらの効果は、近接ローラ130,131の代わりにピンを用いた場合や搬送経路をガイドするガイド板を用いた場合でも同様に得られる。
【0189】
なお、近接ローラ130,131や代替のピン等を用いて筐体7Aの近傍に通信準備領域132を設ける場合に限られない。すなわち、例えば、通信準備領域内のすべての無線タグ回路素子Toを区別せず同一の情報を書き込む場合や情報消去処理を行う場合等においては、第1ロール102に巻回された状態の複数の無線タグ回路素子Toを含む広い領域(さらに第1ロール102から繰り出された搬送経路上の基材テープ101を含んでもよい)を通信準備領域とすることもできる。
【0190】
また、本実施形態では特に、通信準備領域132の基材テープ101(厳密には無線タグ回路素子To)と周壁(厳密には外壁面)の間の距離を無線タグ回路素子Toと無線タグ通信装置の通信アンテナとの通信領域内の値に設定している。これにより、通信準備領域132の無線タグ回路素子Toに対して外部の無線タグ通信装置から筐体7A越しに安定的に無線通信を行うことができる。
【0191】
また、本実施形態では特に、無線タグ回路素子To側のタグアンテナとして、電磁誘導により情報の送受を行うループアンテナ152を用いている。磁気誘導により情報送受を行うループアンテナは通信干渉を起こし難いので、無線タグ回路素子Toと無線タグ通信装置との間で送受信される情報の信頼性(通信信頼性)を確保することができる。さらに、ループアンテナは通信距離が比較的短くなるため、上記のように筐体7A外の無線タグ通信装置から通信準備領域132の無線タグ回路素子Toまでの距離を最短とすることが特に効果的となる。但し、先に述べたカートリッジ7の利便性向上の効果を得る上では、無線タグ回路素子To側のアンテナ152にループアンテナを用いる必要は必ずしもない。
【0192】
また、本実施形態では特に、近接ローラ130,131の筐体7A(窓133)と反対側に電磁波を遮蔽する遮蔽板134を設けている。これにより、無線タグ通信装置から筐体7A越しに通信対象(通信準備領域132内)の無線タグ回路素子Toと無線通信を行うとき、カートリッジ7内の他の無線タグ回路素子Toに対して誤って情報送受信を行うのを効果的に防止することができる。但し、無線タグ通信回路の通信領域の広さ等によってシールド手段なしでも混信の恐れがない場合、また他の無線タグ回路素子Toとの通信できれば所望の目的が達成される場合にはシールド手段を省略することもできる。
【0193】
また、本実施形態では特に、第2ロール104から巻き出した透明のカバーフィルム103の印字面に基材テープ101を貼り合わせてラミネート構造の無線タグラベルTを作成する。これにより、印字が基材テープ101及びカバーフィルム103で保護され、外部に露出しないようにすることができる。よって、印字面の汚れや印字のかすれを抑制することができ、美観や耐久性に優れた印字を実現することができる。但し、先に述べたカートリッジ7の利便性向上の効果は、ラミネート構造の無線タグラベル作成用のカートリッジに限らず、その他のカートリッジにも本発明は適用した場合にも同様に得られる。本発明の適用対象となるカートリッジの構成の代表的なバリエーションについては後で変形例として紹介する。
【0194】
図22は本発明の第2の実施形態に係る無線タグ回路素子カートリッジの詳細構造を模式的に表す拡大平面図である。図22の図示は図5に対応しており、図22において既出図面と同様の部分には既出図面で用いたのと同符号を付して説明を省略する。
【0195】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、搬送経路を筐体の周壁に平行に近づける代わりに、周壁のコーナー部分に近づけた点である。具体的には、本実施形態のカートリッジ7の筐体7Axは、第1の実施形態と同様に平面視が四角形状の箱形形状に形成されており、この四角形の1つの隅部(図22中の左上のコーナー)の近傍にテープ搬送方向上流側から順に近接ローラ130x、131xを配置し、その隅部を挟む先の四角形の2辺を構成する筐体7Axの2壁面(つまり隣り合う2つの周壁)にテープ搬送経路を沿わせた構成である。
【0196】
その他の点については、第1の実施形態と同様である。また、第1の実施形態における遮蔽板134等のシールド手段を特に図示していないが、必要に応じて設けることもできるし、第1の実施形態で説明したカートリッジの利便性向上の効果を得る上では遮蔽板を設ける必要は必ずしもない。また、第の実施形態における窓133等の接近表示部を図示していないが、必要に応じて設けることができる。コーナー部分を通信準備領域132xと扱うなら、接近表示部を設けなくとも場所自体が特徴的であるので、通信準備領域132xがコーナー部分に対応しているとの認識の下で前述の接近表示部を省略することもできる。
【0197】
本例における基材テープ101の層構造は第1の実施形態と同様であるが、例えば近接ローラ130x,131xの間の領域を通信準備領域132xとする場合、無線タグラベルTの作成のたびにコーナー部分に無線タグ回路素子Toが来るように固定ピッチ(の長さ)や固定ピッチ分の基材テープ101内の無線タグ回路素子Toの位置が予め合わせてある必要がある。通信準備領域132xに停止する無線タグ回路素子Toは切断位置から1つ目のものに限らず、2つ目以降のものとすることもできる。その他の構成は第1実施形態と同様であり、本実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0198】
さらに、本変形例においては、周壁のコーナー付近を通る搬送経路としたことでコーナーを挟む2つの周壁に基材テープ101が広い範囲で沿うので、コーナー以外にも無線タグ通信装置の通信領域内に入る領域(通信準備領域となり得る領域)を搬送経路上に広く確保することができる。この場合、操作者は、通信対象の無線タグ回路素子Toに対し確実に通信アンテナを接近させることができ、情報読み取り又は情報書き込みを確実に行うことができる。無線タグ回路素子Toに対する通信操作に正確性が要求されないこともメリットである。
【0199】
なお、本実施形態と第1の実施形態は適宜組み合わせ可能である。例えば、周壁のコーナーの近傍にテープ搬送方向上流側の第1近接ローラを配置し、かつ第1の実施形態のように第1近接ローラとの間の通信準備領域が周壁と平行になるように下流側の第2近接ローラを周壁に近接させる構成とすることもできる。また、コーナーの近傍にテープ搬送方向下流側の第2近接ローラを配置し、かつ通信準備領域が周壁と平行になるように上流側の第1近接ローラを周壁に近接させる構成とすることもできる。もちろん、これらの組み合わせも可能である。
【0200】
続いて本発明の適用対象となるカートリッジの構成の代表的なバリエーションを変形例として説明する。
【0201】
(1)貼り合わせを行わない場合
すなわち、先に説明した第1及び第2実施形態のように、カバーフィルム103に印字して無線タグ回路素子Toを備えた基材テープ101に貼り合わせるのではなく、タグテープに備えられたカバーフィルムに直接印字するカートリッジに本発明を適用した場合である。
【0202】
図23は、この変形例のカートリッジ7′の概念的構造を表す模式図であり、前述の図5に相当する図である。図5等と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0203】
図23において、カートリッジ7′は、タグテープ101′が巻回された第1ロール102′と、このタグテープ101′をカートリッジ7′外部方向にテープ送りをするテープ送りローラ27′とを有している。
【0204】
第1ロール102′は、リール部材102a′の周りに、長手方向に複数の上記無線タグ回路素子Toが順次形成された帯状の透明な上記タグテープ101′を巻回している。リール部材102a′は、カートリッジ7′の底面に立設されるボス95に回転可能に嵌挿されて収納されている。
【0205】
第1ロール102′に巻き回されるタグテープ101′はこの例では3層構造となっており(図23中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側よりその反対側へ向かって、表面に感熱記録層を持つPET(ポリエチレンテレフタラート)等から成るカバーフィルム101a′、適宜の粘着材からなる粘着層101b′、剥離紙101c′の順序で積層され構成されている。
【0206】
カバーフィルム101a′の裏側には、ループコイル形状に構成され情報の送受信を行う上記ループアンテナ152(タグアンテナ)がこの例では一体的に設けられており、これに接続するように上記IC回路部151が形成され、これらによって無線タグ回路素子Toが構成されている。カバーフィルム101a′の裏側には、上記粘着層101b′によって上記剥離紙101c′がカバーフィルム101a′に接着されている。また、この剥離紙101c′の表面には、上記剥離紙101dと同様、各無線タグ回路素子Toに対応した所定の位置(この例では、搬送方向前方側のアンテナ152の先端よりさらに前方側の位置)に、搬送制御用の所定の識別子(この例では黒塗りの識別子。あるいはレーザ加工等により、前述と同様、タグテープ101′を略貫通する孔を穿孔する等でもよい)PMが設けられている。また剥離紙101c′には第1の実施形態と同じように無線タグ標示AMが付されている。
【0207】
カートリッジ7′がカートリッジホルダ6に装着されローラホルダ25が離反位置から接触位置に移動されると、タグテープ101′が印字ヘッド23とプラテンローラ26との間に狭持されるとともに、テープ送りローラ27とサブローラ28との間に狭持される。そして、テープ送りローラ27、サブローラ28、及びプラテンローラ26が同期して回転し、第1ロール102′からタグテープ101′が繰り出される。
【0208】
この繰り出されたタグテープ101′は、カートリッジ底面に立設されたリールボス91に回転可能に嵌挿された略円筒状のリール(図示せず)にガイドされつつ、開口部94より搬送方向下流側の印字ヘッド23へと供給される。印字ヘッド23は、その複数の発熱素子が前述の印刷駆動回路120(図8参照)により通電され、これによりタグテープ101′のカバーフィルム101a′の表面にラベル印字Rが印刷され、印字済みタグラベル用テープ109′として形成された後、カートリッジ7′外へと搬出される。
【0209】
カートリッジ7′外へ搬出した後、前述のループアンテナLC(図4参照)を介したIC回路部151のアクセス(情報読み取り/書き込み)が行われる。その後の駆動ローラ51(図4参照)による搬送、切断機構15(図4参照)による切断等については上記第1実施形態と同様にして行えば足りるので説明を省略する。
【0210】
なお、ハーフカットユニット(図示せず)については、図3等に記載されたいわゆるラミネートタイプに対応したものとは異なっている。すなわち、図3等に記載された構成は、受け台36が印字ヘッド23側にあり、ハーフカッタ34はプラテンローラ26側にある。これは、作成されたテープの剥離紙とは反対側の面からハーフカットを行うための構成である。しかしながら、本変形例のように感熱テープを用いる場合(図24を用いて後述するラミネートを行わないタイプでインクリボンを使用する場合も同様)は、剥離紙が上記ラミネートタイプとは反対側となる。したがって、剥離紙以外の部分をハーフカットするため、図示していないが受け台36とハーフカッタ34との配置が逆になっている。すなわち、ハーフカッタ34が印字ヘッド23側にあり、受け台36がプラテンローラ26側にある。
【0211】
本変形例においても、タグテープ101′の搬送経路を周壁に近接させるべくタグテープ101′の搬送方向の上流側から順に第1の近接ローラ130′及び第2の近接ローラ131′を周壁の近傍に配置し、近接ローラ130′,131′間を通信準備領域132′としてある。本例ではリールボス91と開口部84との間の周壁(図24中の下側の周壁)に近接ローラ130′,131′を近接させているが、リールボス91と第1ロール102′との間の周壁(図24中の右側の周壁)に近接ローラ130′,131′を近接させる構成とすることもできる。近接ローラ130′,131′の間隔や周壁との距離等については第1実施形態と同様である。また、本例では第1の実施形態と同じく通信準備領域132′のタグテープ101′が周壁と平行になる構成としているが、例えばリールボス91を省略又は移設して第2の実施形態のように搬送経路をコーナーに近接させる構成とすることもできる。
【0212】
また、通信準備領域132′の対向領域には、周壁に窓133′(視認許容部)が設けてあり、通信準備領域132′に待機する無線タグ回路素子Toの標識AMを窓133′から視認することができる。窓133′の詳細については第1の実施形態の窓133と同様であり、また第1の実施形態と同じく窓133′に代えて図21のような標示133A(接近表示部)を設けることもできるし、不要な場合には省略することもできる。また、シールド手段を図示していないが、適宜設けることができる。これらの点も第1及び第2の実施形態と同様である。
【0213】
本変形例においても、筐体7A′の外部から無線タグ通信装置によって通信準備領域132′の無線タグ回路素子Toと通信することができるので、第1の実施形態と同様にカートリッジ7′の利便性を向上させることができる。
【0214】
(2)インクリボンを使用する場合
本変形例では上記のように貼り合わせを行わず、かつインクリボンを使用するカートリッジに本発明を適用する場合を挙げて説明する。
【0215】
図24は、本変形例のカートリッジ7″の概念的構造を表す模式図であり、上記図23や前述の図5に相当する図である。図23や図5等と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0216】
図24において、この変形例のカートリッジ7″は、タグテープ101″が巻回された第1ロール102″を有している。
【0217】
第1ロール102″は、リール部材102a″の周りに、長手方向に複数の上記無線タグ回路素子Toが順次形成された帯状の透明な上記タグテープ101″を巻回している。
【0218】
第1ロール102″に巻き回されるタグテープ101″はこの例では3層構造となっており(図24中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側よりその反対側へ向かって、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム101a″、適宜の粘着材からなる粘着層101b″、剥離紙101c″の順序で積層され構成されている。
【0219】
ベースフィルム101a″の裏側には、ループコイル形状に構成され情報の送受信を行う上記ループアンテナ152(タグアンテナ)がこの例では一体的に設けられており、これに接続するように上記IC回路部151が形成され、これらによって無線タグ回路素子Toが構成されている。ベースフィルム101a″の裏側には、上記粘着層101b″によって上記剥離紙101c″がベースフィルム101a″に接着されている。また、この剥離紙101c″の表面には、上記と同様、各無線タグ回路素子Toに対応した所定の位置(この例では、搬送方向前方側のアンテナ152の先端よりさらに前方側の位置)に、搬送制御用の所定の識別子(この例では黒塗りの識別子。あるいはレーザ加工等により、前述と同様、タグテープ101″を略貫通する孔を穿孔する等でもよい)PMが設けられている。また剥離紙101c”には第1の実施形態や上記(1)の変形例と同じように無線タグ標示AMが付されている。
【0220】
カートリッジ7″がカートリッジホルダ6に装着されローラホルダ25が離反位置から接触位置に移動されると、タグテープ101″及びインクリボン105が印字ヘッド23とプラテンローラ26との間に狭持されるとともに、テープ送りローラ27′とサブローラ28′との間に狭持される。そして、テープ送りローラ27、サブローラ28、及びプラテンローラ26が同期して回転し、第1ロール102″からタグテープ101″が繰り出される。
【0221】
一方このとき、印刷駆動回路120(図8参照)により印字ヘッド23の複数の発熱素子が通電され、タグテープ101″のベースフィルム101a″の表面に、無線タグ回路素子Toの記憶情報に対応したラベル印字Rが印刷され、印字済みタグラベル用テープ109″として形成された後、カートリッジ7″外へと搬出される。
【0222】
カートリッジ7″外へ搬出した後、前述のループアンテナLC(図4参照)を介したIC回路部151のアクセス(情報読み取り/書き込み)が行われる。その後、駆動ローラ51(図4参照)による搬送、切断機構15(図4参照)による切断については上記第1実施形態と同様にして行えば足りるので説明を省略する。またハーフカットユニット35については、前述の図23と同様である。
【0223】
また、本変形例においても、上記(1)変形例と同様に近接ローラ130′,131′や通信準備領域132′、また必要に応じて窓133′やシールド手段等を設けることができるので、記述の実施形態や(1)の変形例に記載したように本発明を適用することができ、相応の効果を得ることができる。
【0224】
なお、以上において、図8、図7等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0225】
また、図15〜図20等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0226】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0227】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0228】
【図1】本発明の第1実施形態の無線タグ回路素子カートリッジを用いて無線タグラベルを作成するタグラベル作成装置を備えた無線タグ生成システムを表すシステム構成図である。
【図2】タグラベル作成装置の全体構造を表す斜視図である。
【図3】タグラベル作成装置の内部の内部ユニットの構造を表す斜視図である。
【図4】図3に示した内部ユニットの構造を表す平面図である。
【図5】カートリッジの詳細構造を模式的に表す拡大平面図である。
【図6】窓越しに無線タグ標示が見えるようにしたカートリッジの外観を表す図である。
【図7】上記無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図8】タグラベル作成装置の制御系を表す機能ブロック図である。
【図9】無線タグラベルの外観の一例を表す上面図及び下面図である。
【図10】図9中XA−XA′断面による横断面図を反時計方向に90°回転させた図、及び、図9中XB−XB′断面による横断面図を反時計方向に90°回転させた図である。
【図11】印字長が長い場合において、印字済みタグラベル用テープの識別子、無線タグ回路素子、ラベル印字と、ループアンテナ、マークセンサ、ハーフカットユニット、切断機構、印字ヘッドとの位置関係を表す説明図である。
【図12】完成した無線タグラベルの例を表す図である。
【図13】印字長が短い場合において、印字済みタグラベル用テープの識別子、無線タグ回路素子、ラベル印字と、ループアンテナ、マークセンサ、ハーフカットユニット、切断機構、印字ヘッドとの位置関係を表す説明図である。
【図14】完成した無線タグラベルの例を表す図である。
【図15】制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図16】ステップS100の詳細手順を表すフローチャートである。
【図17】ステップS200の詳細手順を表すフローチャートである。
【図18】ステップS300の詳細手順を表すフローチャートである。
【図19】ステップS400の詳細手順を表すフローチャートである。
【図20】ステップS500の詳細手順を表すフローチャートである。
【図21】接近表示部を設けたカートリッジの外観を表す斜視図である。
【図22】本発明の第2の実施形態に係る無線タグ回路素子カートリッジの詳細構造を模式的に表す拡大平面図である。
【図23】感熱テープを用いる変形例のカートリッジを表す模式図である。
【図24】貼り合わせを行わず、かつインクリボンを使用する変形例のカートリッジを表す模式図である。
【符号の説明】
【0229】
1 タグラベル作成装置(印字ラベル作成装置)
6 カートリッジホルダ
7 カートリッジ(無線タグ回路素子カートリッジ)
7′ カートリッジ(無線タグ回路素子カートリッジ)
7″ カートリッジ(無線タグ回路素子カートリッジ)
7A 筐体
7A′ 筐体
7Ax 筐体
30 テープ排出部(排出口)
101 基材テープ(タグテープ)
101′ タグテープ
101″ タグテープ
102 第1ロール(タグテープロール)
102′ 第1ロール(タグテープロール)
102″ 第1ロール(タグテープロール)
130 第1近接ローラ(経路近接手段)
130′ 第1近接ローラ(経路近接手段)
130x 第1近接ローラ(経路近接手段)
131 第2近接ローラ(経路近接手段)
131′ 第2近接ローラ(経路近接手段)
131x 第2近接ローラ(経路近接手段)
132 通信準備領域
132′ 通信準備領域
132x 通信準備領域
133 窓(視認許容部)
133′ 窓(視認許容部)
133A 標示(接近表示部)
134 遮蔽板(シールド手段)
151 IC回路部
152 ループアンテナ(タグアンテナ)
AM 無線タグ表示(識別子)
T 無線タグラベル(印字ラベル)
To 無線タグ回路素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字ラベルを作成するための印字ラベル作成装置のカートリッジホルダに着脱可能に構成された無線タグ回路素子カートリッジであって、
外郭を構成する筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグアンテナとを備えた複数の無線タグ回路素子を固定ピッチで配列したタグテープを巻回したタグテープロールと、
前記タグテープの搬送経路のうち前記タグテープロールからの送り出し部分から前記筐体の外部への排出口までに位置する通信準備領域において、前記筐体外部の無線タグ通信装置が前記タグテープの前記無線タグ回路素子と通信可能となるように、前記搬送経路を前記筐体に近接させる経路近接手段とを有し、
前記タグテープは、
前記通信準備領域で1つの前記無線タグ回路素子が前記経路近接手段によって前記筐体に近接するように、前記タグテープロールに巻回されている
ことを特徴とする無線タグ回路素子カートリッジ。
【請求項2】
請求項1記載の無線タグ回路素子カートリッジにおいて、
前記経路近接手段は、
前記搬送経路に沿って設けられた第1近接ローラ又は第1ピンを備え、
前記第1近接ローラ若しくは前記第1ピンにより、前記通信準備領域において1つの前記無線タグ回路素子を前記筐体に近接させる
ことを特徴とする無線タグ回路素子カートリッジ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の無線タグ回路素子カートリッジにおいて、
前記経路近接手段は、
前記搬送経路に沿って前記第1近接ローラ又は前記第1ピンよりも搬送方向下流側に位置する第2近接ローラ又は第2ピンをさらに備え、
前記第1近接ローラ及び第2近接ローラの協働により、若しくは、前記第1ピン及び前記第2ピンの協働により、前記通信準備領域における前記搬送経路のテープ面方向が前記筐体の壁面の面方向と平行になるように、前記搬送経路を前記筐体に近接させる
ことを特徴とする無線タグ回路素子カートリッジ。
【請求項4】
請求項3記載の無線タグ回路素子カートリッジにおいて、
前記無線タグ回路素子の前記タグアンテナは、
前記無線タグ通信装置の通信アンテナとの間で電磁誘導により情報の送受を行うループアンテナである
ことを特徴とする無線タグ回路素子カートリッジ。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の無線タグ回路素子カートリッジにおいて、
前記経路近接手段は、
前記固定ピッチと同一の長さを備えるとともに1枚の前記印字ラベルの作成に対応した前記タグテープの1つの長さ単位が前記搬送経路において所定の搬送位置にあるときに、特定の1つの前記無線タグ回路素子が前記筐体に近接するように、配置されている
ことを特徴とする無線タグ回路素子カートリッジ。
【請求項6】
請求項5記載の無線タグ回路素子カートリッジにおいて、
前記経路近接手段は、
前記特定の無線タグ回路素子を備えた前記タグテープの前記長さ単位の搬送方向先端が、前記所定の搬送位置として前記筐体の前記排出口の外部直近のテープ切断用位置に位置するときに、前記特定の無線タグ回路素子が前記筐体に近接するように、配置されている
ことを特徴とする無線タグ回路素子カートリッジ。
【請求項7】
請求項5又は請求項6記載の無線タグ回路素子カートリッジにおいて、
前記経路近接手段は、
前記通信準備領域における前記特定の無線タグ回路素子が、前記無線タグ通信装置の前記通信アンテナの通信領域内に位置するように、前記搬送経路を前記筐体に近接させる
ことを特徴とする無線タグ回路素子カートリッジ。
【請求項8】
請求項3乃至請求項7のいずれか1項記載の無線タグ回路素子カートリッジにおいて、
前記筐体の外周側のうち前記通信準備領域に対応した位置に設けられ、操作者が前記無線タグ通信装置の通信アンテナを接近させる位置を表示する接近表示部を有する
ことを特徴とする無線タグ回路素子カートリッジ。
【請求項9】
請求項3乃至請求項8のいずれか1項記載の無線タグ回路素子カートリッジにおいて、
前記タグテープは、
面方向一方側の表面に、前記無線タグ回路素子の配置位置を表す識別子が備えられており、
前記筐体は、
前記特定の無線タグ回路素子が前記通信準備領域内に位置するときに、前記識別子を前記筐体の外部から視認可能とするための、視認許容部を備えている
ことを特徴とする無線タグ回路素子カートリッジ。
【請求項10】
請求項3乃至請求項9のいずれか1項記載の無線タグ回路素子カートリッジにおいて、
前記筐体は、
平面視が四角形となる箱形形状を備えており、
前記経路近接手段は、
前記搬送経路を、前記四角形の1つの隅部を挟む前記四角形の2辺を構成する前記筐体の2壁面に沿うように、近接させる
ことを特徴とする無線タグ回路素子カートリッジ。
【請求項11】
請求項3乃至請求項10のいずれか1項記載の無線タグ回路素子カートリッジにおいて、
前記経路近接手段の前記筐体と反対側に、電磁波を遮蔽可能なシールド手段を設けた
ことを特徴とする無線タグ回路素子カートリッジ。
【請求項12】
請求項3乃至請求項11のいずれか1項記載の無線タグ回路素子カートリッジにおいて、
前記筐体の内部に設けられ、前記タグテープに貼り合わせられる被印字テープを巻回した被印字テープロールを有する
ことを特徴とする無線タグ回路素子カートリッジ。
【請求項13】
印字ラベルを作成するための印字ラベル作成装置であって、
外郭を構成する筐体と、前記筐体の内部に設けられ、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグアンテナとを備えた複数の無線タグ回路素子を固定ピッチで配列したタグテープを巻回したタグテープロールと、前記タグテープの搬送経路のうち前記タグテープロールからの送り出し部分から前記筐体の外部への排出口までに位置する通信準備領域において前記搬送経路を前記筐体に近接させる経路近接手段とを有し、前記タグテープは、前記通信準備領域で1つの前記無線タグ回路素子が前記経路近接手段によって前記筐体に近接するように、前記タグテープロールに巻回されている、無線タグ回路素子カートリッジを着脱可能なカートリッジホルダと、
前記カートリッジホルダから供給される前記タグテープを搬送するための搬送手段と、
前記タグテープ、若しくは、前記タグテープに貼り合わされる被印字テープに対し、印字を行う印字手段と、
前記タグテープを厚さ方向に切断するための切断手段と、
前記タグテープの搬送、前記タグテープ若しくは前記被印字テープへの印字、及び前記タグテープの切断を行って1つの前記無線タグ回路素子を備えた1つの印字ラベルの作成が終了した搬送停止状態で、前記搬送経路において前記1つの無線タグ回路素子に後続する特定の1つの前記無線タグ回路素子が前記カートリッジ内の前記通信準備領域に位置するように、前記搬送手段、前記印字手段、及び前記切断手段を連携して制御する連携制御手段と
を有することを特徴とする印字ラベル作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−67204(P2010−67204A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235385(P2008−235385)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】