説明

無線タグ検出システム及び無線タグ通信装置

【課題】複雑なシステムや設定を必要としない簡易な手法で、検出対象の無線タグに近い無線タグ通信装置により確実に当該無線タグの検出を行う。
【解決手段】特定の書籍タグTbとの通信を、依頼元のリーダ100から依頼先のリーダに対し依頼可能な無線タグ検出システムSYであり、ネットワーク接続された各リーダ100A〜100Cは、タグ通信用アンテナ111と、リーダ100のネットワークアドレス情報を記憶したアドレスタグTaとを有し、特定の書籍タグTbのタグIDを指定した情報取得ができなかった場合に、通信可能領域A内に位置するアドレスタグTaから他のリーダ100のアドレス情報を取得し、そのアドレス情報を用いて他のリーダ100に特定の書籍タグTbからの情報取得を依頼し、情報取得結果をネットワーク接続を介し入力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理対象に設けた無線タグを検出することで、管理対象の管理を行う無線タグ検出システム及び無線タグ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、管理対象に無線タグを設け、その無線タグを検出することで管理対象の管理を行うシステムが提唱されている(例えば特許文献1参照)。この従来技術では、店舗に配置された貸し出し対象の物品に対し、無線タグを設けて管理を行う。利用者は、携帯通信端末等を利用して店舗のホームページにアクセスし、目的とする物品の有無や収納位置を問い合わせる。すると、その問い合わせに応じて、店舗内に配置された無線タグ通信装置が、問い合わせ対象の物品に設けられた無線タグの検出を図る。そして、検出結果の可否が、問い合わせへの回答として利用者に送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−182848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、店舗内の各所に収納された物品を検出可能とするために、複数の無線タグ通信装置のうち、利用者からの問い合わせ内容に対応して検出を行うべき無線タグ通信装置が指定され、無線タグ検出が行われる。したがって、それら複数の無線タグ通信装置を連携して制御可能なサーバが必要となる。また、利用者からの問い合わせ対象となる物品の収納位置に応じて、当該収納位置に最も近い検出動作を行うべき無線タグ通信装置を予め特定し、サーバに設定しておく必要がある。
【0005】
以上のように、上記従来技術では複数の無線タグ通信装置及びサーバを含む複雑なシステムを構築すると共に、サーバにおいて複雑な設定が必要であった。
【0006】
本発明の目的は、複雑なシステムや設定を必要としない簡易な手法で、検出対象の無線タグに近い無線タグ通信装置により確実に当該無線タグの検出を行える、無線タグ検出システム及びこれに用いる無線タグ通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、互いにネットワーク接続された複数の無線タグ通信装置を有し、特定の無線タグとの通信を依頼する信号を、依頼元の無線タグ通信装置から依頼先の無線タグ通信装置に対して出力可能とした無線タグ検出システムであって、前記複数の無線タグ通信装置のそれぞれは、無線通信を行う装置アンテナと、当該無線タグ通信装置の前記ネットワーク接続におけるアドレス情報を記憶したアドレス情報用無線タグと、前記特定の無線タグの識別情報を指定して、前記装置アンテナを用いた無線通信により前記特定の無線タグからの情報取得を図る特定情報取得手段と、前記特定情報取得手段により前記特定の無線タグからの情報取得ができたか否かを判定する情報取得判定手段と、前記情報取得判定手段により、前記特定の無線タグからの情報取得ができなかったと判定された場合に、前記装置アンテナの通信範囲内の無線タグからの情報取得を図る不特定情報取得手段と、前記不特定情報取得手段により、前記装置アンテナの通信範囲内の前記アドレス情報用無線タグから、当該他の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたかどうかを判定するアドレス取得判定手段と、前記アドレス取得判定手段により、前記他の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたと判定された場合に、その取得されたアドレス情報を用いて前記ネットワーク接続を介し前記他の無線タグ通信装置にアクセスし、前記特定の無線タグからの情報取得を依頼するタグ通信依頼信号を、依頼先としての前記他の無線タグ通信装置へ出力するタグ通信依頼出力手段と、前記タグ通信依頼出力手段からの前記タグ通信依頼信号に対応した、前記特定の無線タグからの情報取得結果を、前記ネットワーク接続を介し前記依頼先としての他の無線タグ通信装置より入力可能な結果入力手段とを有する。
【0008】
本願第1発明の無線タグ検出システムは、無線タグ通信装置を有している。各無線タグ通信装置には、装置アンテナ及び特定情報取得手段が備えられている。1つの無線タグ通信装置において、装置アンテナにより無線通信が行われ、特定情報取得手段が特定の無線タグの識別情報を指定し、その特定の無線タグから情報取得を図る。情報が取得できたかどうかは、情報取得判定手段によって判定される。特定の無線タグから情報が取得できなかったと判定された場合は、不特定情報取得手段が、通信範囲内の無線タグからの情報取得を図る。
【0009】
このとき、本願第1発明では、各無線タグ通信装置のネットワーク接続でのアドレス情報が、対応するアドレス情報用無線タグに記憶されている。したがって、上記装置アンテナの通信範囲内に他の無線タグ通信装置のアドレス情報を記憶したアドレス情報用無線タグが存在していた場合には、そのアドレス情報用無線タグに記憶されたアドレス情報が、不特定情報取得手段によって取得される。アドレス情報が取得されたとアドレス取得判定手段が判定した場合には、その取得されたアドレス情報を用いて、当該1つの無線タグ通信装置から上記他の無線タグ通信装置へのアクセスが行われる。そして、1つの無線タグ通信装置のタグ通信依頼出力手段が、上記他の無線タグ通信装置に対し、タグ通信依頼信号を出力する。
【0010】
これにより、タグ通信依頼信号を入力した上記他の無線タグ通信装置は、上記と同様、装置アンテナにより無線通信を行い、特定情報取得手段が特定の無線タグの識別情報を指定し、その特定の無線タグから情報取得を図る。情報が取得できた場合には、その情報取得結果をネットワーク接続を介して出力する。上記出力された情報取得結果は結果入力手段により入力される。
【0011】
以上のようにして、本願第1発明においては、1つの無線タグ通信装置が特定の無線タグを検出できなかった場合でも、別の無線タグ通信装置へネットワーク接続を介してタグ通信依頼を行う。これにより、いずれかの無線タグ通信装置によって、検出対象となる特定の無線タグを見つけ出すことができる。また、各無線タグ通信装置の装置アンテナの通信範囲内に位置するアドレス情報用無線タグより順次アドレス情報を取得し、当該取得したアドレス情報に基づき順次アクセスを行う。これにより、ネットワーク接続された複数の無線タグ通信装置のうち、連携して無線タグを検出する無線タグ通信装置を予め指定しておく必要がない。また、各無線タグ通信装置を連携して制御するサーバを設ける必要もない。
【0012】
以上の結果、簡易な手法で、複数の無線タグ通信装置をネットワーク接続を介して次々と連携させ、検出対象の無線タグに近い無線タグ通信装置によって確実に当該無線タグを検出することができる。
【0013】
第2発明は、上記第1発明において、前記複数の無線タグ通信装置のそれぞれは、依頼元である他の無線タグ通信装置の前記タグ通信依頼出力手段からの前記タグ通信依頼信号を入力したかどうかを判定する依頼入力判定手段と、前記依頼入力判定手段により、前記依頼元である他の無線タグ通信装置の前記タグ通信依頼出力手段からの前記タグ通信依頼信号が入力されたと判定された場合に、当該依頼元の無線タグ通信装置に係わる依頼元アドレス情報を記憶する、依頼元アドレス記憶手段とをさらに備え、前記特定情報取得手段は、前記依頼入力判定手段により、前記依頼元である他の無線タグ通信装置の前記タグ通信依頼出力手段からの前記タグ通信依頼信号が入力されたと判定された場合に、前記特定の無線タグの識別情報を指定して、前記装置アンテナを用いた無線通信により当該特定の無線タグからの情報取得を図り、前記情報取得判定手段は、前記特定情報取得手段により前記特定の前記無線タグからの情報取得ができたかどうかを判定し、前記不特定情報取得手段は、前記情報取得判定手段により、前記特定の前記無線タグからの情報取得ができなかったと判定された場合に、前記装置アンテナの通信範囲内の無線タグからの情報取得を図り、前記アドレス取得判定手段は、前記不特定情報取得手段により、前記他の無線タグ通信装置とは別の新たな依頼先となる無線タグ通信装置に係わる前記アドレス情報用無線タグから、当該別の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたかどうかを判定し、前記タグ通信依頼出力手段は、前記アドレス取得判定手段により、前記新たな依頼先としての別の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたと判定された場合に、その取得されたアドレス情報を用いて前記ネットワーク接続を介し前記新たな依頼先としての別の無線タグ通信装置にアクセスし、前記特定の無線タグからの情報取得を依頼するタグ通信依頼信号を、新たな依頼元として、前記新たな依頼先としての別の無線タグ通信装置へ出力することを特徴とする。
【0014】
これにより、依頼元としての1つの無線タグ通信装置が別の無線タグ通信装置を依頼先としてタグ通信依頼を行い、当該別の無線タグ通信装置も検出対象の無線タグを検出できなかった場合であっても、さらに別の無線タグ通信装置を依頼先としてタグ通信依頼を行うことができる。このように複数の無線タグ通信装置をネットワーク接続を介して順次連携させることで、いずれかの無線タグ通信装置によって検出対象となる特定の無線タグを確実に見つけ出すことができる。
【0015】
第3発明は、上記第2発明において、前記複数の無線タグ通信装置のそれぞれの前記タグ通信依頼出力手段は、前記アドレス取得判定手段により、前記新たな依頼先としての別の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたと判定された場合に、その取得されたアドレス情報が、前記依頼元アドレス記憶手段に既に記憶された前記依頼元アドレス情報と一致した場合には、当該無線タグ通信装置を前記新たな依頼先とする対象から除外することを特徴とする。
【0016】
これにより、既に通信範囲内において検出対象の無線タグを見つけられなかった無線タグ通信装置が、再度同じ情報取得動作を行う無駄を、回避することができる。
【0017】
第4発明は、上記第2又は第3発明において、前記依頼元アドレス情報は、前記依頼元となる無線タグ通信装置から前記依頼先である無線タグ通信装置へのタグ通信依頼が繰り返されるたびに、依頼元となった複数の無線タグ通信装置それぞれのアドレス情報が累積されており、前記特定の無線タグの検出に関して依頼先となった複数の無線タグ通信装置のうち、前記特定情報取得手段が前記特定の無線タグより情報を取得した無線タグ通信装置は、前記特定の無線タグの検出に関して依頼元となった複数の無線タグ通信装置のうち、前記依頼元アドレス情報に累積して含まれる複数の無線タグ通信装置それぞれのアドレス情報のうち、累積順に最先の前記アドレス情報を用いて、前記ネットワーク接続を介して、前記特定の無線タグからの情報取得結果を出力し、前記最先の前記アドレス情報に係わる前記無線タグ通信装置に備えられた前記結果入力手段は、前記特定の無線タグより情報を取得した前記無線タグ通信装置からの前記情報取得結果を、前記ネットワーク接続を介して入力することを特徴とする。
【0018】
これにより、情報取得結果の伝達経路を簡素化し、操作者が操作した無線タグ通信装置において迅速に情報取得結果を取得することができる。
【0019】
第5発明は、上記第4発明において、前記複数の無線タグ通信装置は、動作モードとして、省電力モードと通常モードとを切り替えるモード切替手段をさらに備え、前記特定の無線タグの検出に関して依頼元となった前記無線タグ通信装置の前記モード切替手段は、前記タグ通信依頼出力手段が前記タグ通信依頼信号を出力した場合に、前記動作モードを前記通常モードから前記省電力モードへと切り替え、前記最先の前記アドレス情報に係わる前記無線タグ通信装置は、前記モード切替手段が、前記結果入力手段による前記情報取得結果を入力した場合に、前記動作モードを前記省電力モードから前記通常モードへと切り替えることを特徴とする。
【0020】
これにより、他の無線タグ通信装置へタグ通信依頼を行い自らは無線タグから情報取得を行わない無線タグ通信装置を、省電力モードとすることができる。したがって、システム全体の省電力を図ることができる。
【0021】
第6発明は、上記第2乃至第5発明のいずれかにおいて、前記複数の無線タグ通信装置のそれぞれは、前記タグ通信依頼出力手段から依頼先としての他の無線タグ通信装置へ前記タグ通信依頼信号が出力されるごとに1つずつ累積されるカウンタ値を、前記タグ通信依頼信号に対応付けて前記依頼先としての他の無線タグ通信装置へ出力する、カウンタ値出力手段と、前記依頼先としての他の無線タグ通信装置とは別の依頼元としての無線タグ通信装置の前記カウンタ値出力手段から出力された前記カウンタ値を入力し、当該カウンタ値が予め定められたしきい値以上となったかどうかを判定するしきい値判定手段と、前記しきい値判定手段により前記カウンタ値が予め定められたしきい値以上となったと判定された場合には、前記タグ通信依頼出力手段による前記タグ通信依頼信号の出力、若しくは、前記特定情報取得手段による前記特定の無線タグからの情報取得、を中止する中止制御手段とをさらに有することを特徴とする。
【0022】
これにより、検出対象となる無線タグが見つからないまま、各無線タグ通信装置へのタグ通信依頼が順次行われていくとき、ある一定範囲を限度として無線タグ通信装置の連携に歯止めをかけることができる。この結果、あまりにも長時間を要するような無線タグの検出動作を回避することができる。
【0023】
第7発明は、上記第1発明において、前記無線タグ通信装置は、前記アドレス取得判定手段により、前記他の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたと判定された場合に、その取得されたアドレス情報を用いて前記ネットワーク接続を介し前記他の無線タグ通信装置にアクセスし、当該他の無線タグ通信装置の属性情報の出力を依頼する属性出力依頼信号を前記他の無線タグ通信装置へ出力する属性依頼出力手段と、前記属性依頼出力手段からの前記属性出力依頼信号に対応して、前記他の無線タグ通信装置から出力された当該他の無線タグ通信装置の前記属性情報が、タグ通信依頼出力手段によるタグ通信依頼に適した所定の条件を満たすかどうかを判定する第1属性判定手段とをさらに有し、タグ通信依頼出力手段は、前記第1属性判定手段により、前記他の無線タグ通信装置の前記属性情報がタグ通信依頼に適したものであると判定された場合に、前記特定の無線タグからの情報取得を依頼するタグ通信依頼信号を、依頼先として、当該他の無線タグ通信装置へ出力することを特徴とする。
【0024】
これにより、依頼元の無線タグ通信装置は、他の無線タグ通信装置の属性が検出対象の無線タグを探索するのに適合しているかどうかを、事前に確かめることができる。また、ネットワーク接続を介して属性情報を取得することにより、アドレス情報用無線タグは属性情報を記憶する必要がなくなり、無線タグの記憶容量を小さくできる。
【0025】
第8発明は、上記第1発明において、前記アドレス情報用無線タグは、前記アドレス情報とともに、当該アドレス情報用無線タグに係わる前記無線タグ通信装置の属性情報を記憶しており、前記無線タグ通信装置は、前記不特定情報取得手段により、前記他の無線タグ通信装置に係わる前記アドレス情報用無線タグから、当該他の無線タグ通信装置の前記属性情報を取得できたかどうかを判定する属性取得判定手段と、前記属性取得判定手段により、前記他の無線タグ通信装置の前記属性情報を取得できたと判定された場合に、当該属性情報が、タグ通信依頼出力手段によるタグ通信依頼に適した所定の条件を満たすかどうかを判定する第2属性判定手段とをさらに有し、タグ通信依頼出力手段は、前記第2属性判定手段により、前記他の無線タグ通信装置の前記属性情報がタグ通信依頼に適したものであると判定された場合に、前記特定の無線タグからの情報取得を依頼するタグ通信依頼信号を、依頼先として、当該他の無線タグ通信装置へ出力することを特徴とする。
【0026】
これにより、依頼元の無線タグ通信装置は、他の無線タグ通信装置の属性が検出対象の無線タグ通信装置を探索するのに適合しているかどうかを、事前に確かめることができる。また、ネットワーク接続ではなく無線タグから無線通信によって属性情報を取得することにより、ネットワーク接続を確立するための時間が不要となる。この結果、依頼元の無線タグ通信装置は、依頼先の無線タグ通信装置の属性情報を迅速に取得できる。
【0027】
上記目的を達成するために、第9発明は、ネットワークを介して他の無線タグ通信装置と接続された無線タグ通信装置であって、無線通信を行う装置アンテナと、当該無線タグ通信装置の前記ネットワーク接続におけるアドレス情報を記憶したアドレス情報用無線タグと、前記特定の無線タグの識別情報を指定して、前記装置アンテナを用いた無線通信により前記特定の無線タグからの情報取得を図る特定情報取得手段と、前記特定情報取得手段により前記特定の無線タグからの情報取得ができたか否かを判定する情報取得判定手段と、前記情報取得判定手段により、前記特定の無線タグからの情報取得ができなかったと判定された場合に、前記装置アンテナの通信範囲内の無線タグからの情報取得を図る不特定情報取得手段と、前記不特定情報取得手段により、前記装置アンテナの通信範囲内の前記アドレス情報用無線タグから、当該他の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたかどうかを判定するアドレス取得判定手段と、前記アドレス取得判定手段により、前記他の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたと判定された場合に、その取得されたアドレス情報を用いて前記ネットワーク接続を介し前記他の無線タグ通信装置にアクセスし、前記特定の無線タグからの情報取得を依頼するタグ通信依頼信号を、前記他の無線タグ通信装置へ出力するタグ通信依頼出力手段と、前記タグ通信依頼出力手段からの前記タグ通信依頼信号に対応した、前記特定の無線タグからの情報取得結果を、前記ネットワーク接続を介し前記他の無線タグ通信装置より入力可能な結果入力手段とを有することを特徴とする。
【0028】
本願第9発明の無線タグ通信装置は、装置アンテナ及び特定情報取得手段が備えられている。装置アンテナにより無線通信が行われ、特定情報取得手段が特定の無線タグの識別情報を指定し、その特定の無線タグから情報取得を図る。情報が取得できたかどうかは、情報取得判定手段によって判定される。特定の無線タグから情報が取得できなかったと判定された場合は、不特定情報取得手段が、通信範囲内の無線タグからの情報取得を図る。
【0029】
このとき、当該無線タグ通信装置のネットワーク接続でのアドレス情報が、対応するアドレス情報用無線タグに記憶されている。したがって、上記装置アンテナの通信範囲内に他の無線タグ通信装置のアドレス情報を記憶したアドレス情報用無線タグが存在していた場合には、そのアドレス情報用無線タグに記憶されたアドレス情報が、不特定情報取得手段によって取得される。アドレス情報が取得されたとアドレス取得判定手段が判定した場合には、その取得されたアドレス情報を用いて、上記他の無線タグ通信装置へのアクセスが行われる。そして、タグ通信依頼出力手段が、上記他の無線タグ通信装置に対し、タグ通信依頼信号を出力する。
【0030】
これにより、タグ通信依頼信号を入力した上記他の無線タグ通信装置は、上記と同様、装置アンテナにより無線通信を行い、特定情報取得手段が特定の無線タグの識別情報を指定し、その特定の無線タグから情報取得を図る。情報が取得できた場合には、その情報取得結果をネットワーク接続を介して出力する。上記出力された情報取得結果は結果入力手段により入力される。
【0031】
以上のようにして、本願第9発明によれば、1つの無線タグ通信装置が特定の無線タグを検出できなかった場合でも、別の無線タグ通信装置へネットワーク接続を介してタグ通信依頼を行う。これにより、いずれかの無線タグ通信装置によって、検出対象となる特定の無線タグを見つけ出すことができる。また、各無線タグ通信装置の装置アンテナの通信範囲内に位置するアドレス情報用無線タグより順次アドレス情報を取得し、当該取得したアドレス情報に基づき順次アクセスを行う。これにより、ネットワーク接続された複数の無線タグ通信装置のうち、連携して無線タグを検出する無線タグ通信装置を予め指定しておく必要がない。また、各無線タグ通信装置を連携して制御するサーバを設ける必要もない。
【0032】
以上の結果、簡易な手法で、複数の無線タグ通信装置をネットワーク接続を介して次々と連携させ、検出対象の無線タグに近い無線タグ通信装置によって確実に当該無線タグを検出することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、複雑なシステムや設定を必要としない簡易な手法で、検出対象の無線タグに近い無線タグ通信装置により確実に当該無線タグの検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態の無線タグ検出システムの使用態様の一例を表す説明図である。
【図2】リーダの全体外観構造を表す上面図である。
【図3】リーダの機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図4】操作者により操作されたリーダの制御回路が実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図5】ステップS200Aの詳細手順を表すフローチャートである。
【図6】依頼先リーダの制御回路が実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図7】ステップS200Bの詳細手順を表すフローチャートである。
【図8】通信依頼信号の内容を表す概念図である。
【図9】依頼回数に制限を設ける変形例において、依頼先リーダの制御回路が実行する制御手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、管理対象としての書籍に無線タグを設け、当該無線タグを検出することにより書籍の管理を行う場合の実施形態である。
【0036】
本実施形態の無線タグ検出システムSYの使用態様の一例を、図1に示す。無線タグ検出システムSYは、複数個、この例では3つの無線タグ検出装置(以下、単に「リーダ」という)100A,100B,100Cを備えている。
【0037】
リーダ100A〜100Cは、それぞれ携帯型、いわゆるハンディタイプの無線通信装置である。複数の書棚Sには、多数の書籍B1,B2,B3等(以下適宜、単に「書籍B」と総称する)が収納されている。書籍B1,B2,B3を含むすべての書籍Bには、無線タグTb1,Tb2,Tb3等がそれぞれ設けられている。無線タグTb1,Tb2,Tb3(以下適宜「書籍タグTb1」等のように称する)には、当該書籍タグTb1,Tb2,Tb3等が設けられた書籍Bの書籍名、著者名等の書籍情報が記憶されている。リーダ100A〜100Cは、タグ通信用アンテナ111(後述の図2参照)により通信可能領域A1,A2,A3(以下適宜、単に「通信可能領域A」と総称する)をそれぞれ形成し、通信可能領域A内に存在する書籍タグTbと無線通信により情報送受信を行う。
【0038】
また、リーダ100A〜100Cは、ネットワーク通信用アンテナ112を用いて、基地局200と有線又は無線からなる通信回線NWとを介し、互いにネットワーク接続可能となっている。このネットワーク接続には、無線によるLocal Area Network(無線LAN)を用いたアドホック通信や、Bluetooth等を用いてもよい。そして、各リーダ100A〜100Cには、アドレス情報用無線タグ(以下適宜、「リーダタグ」という)Taが設けられている。このリーダタグTaは、当該リーダタグTaが設けられたリーダ100A〜100Cの、上記ネットワーク接続におけるアドレス情報、すなわちIPアドレス等を記憶している。
【0039】
リーダ100の全体外観構造を図2に示し、機能的構成を図3に示す。これら図2及び図3において、リーダ100は、アンテナ部110と、本体部120とを有している。
【0040】
アンテナ部110は、装置アンテナとしてのタグ通信用アンテナ111と、上記ネットワーク通信用アンテナ112とを備えている。上記書籍タグTb及びリーダタグTaは、無線タグ回路部Toを備えている。無線タグ回路部Toは、情報を送受信するタグアンテナ151と情報を記憶するIC回路部150とを備えている。タグ通信用アンテナ111は、上記書籍タグTb及びリーダタグTaに備えられた無線タグ回路素子Toとの無線通信を行う。なお、アンテナ間の干渉が問題になる場合等においては、上記タグ通信用アンテナ111とネットワーク通信用アンテナ112が共にアンテナ部110に設けられるものに限定するものではなく、最適な部分に設けられればよい。
【0041】
本体部120は、各種情報の表示を行う表示部121と、各種操作入力を行う操作部122と、上記無線タグ通信の通信結果に応じて適宜の報知を行うスピーカ123と、高周波回路131と、記憶部132と、無線通信回路134と、制御回路133とを有する。
【0042】
高周波回路131は、タグ通信用アンテナ111を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスすると共に、IC回路部150から読み出された信号を処理する。記憶部132は、各書籍Bの上記書籍情報と、対応する書籍タグTbの識別情報であるタグIDとを、予め関連付けて記憶している。無線通信回路134は、上記ネットワーク通信用アンテナ112、基地局200、回線NWを介し、他のリーダ100へ信号の送信を行うと共に、他のリーダ100から受信した信号を処理する。制御回路133は、上記高周波回路131及び無線通信回路134を含むリーダ100全体の制御を行う。
【0043】
ここで、本実施形態の無線タグ検出システムSYの最も大きな特徴は、リーダ100A〜100Cが互いに連携し、それら3つのうち1つのリーダ(以下適宜、「依頼元リーダ」という)が特定の書籍タグTbを検出できなかった場合でも、別のリーダ(以下適宜、「依頼先リーダ」という)へ通信回線NWを介してタグ通信依頼を行い、いずれかのリーダによって、検出対象となる書籍タグTbを見つけ出すことにある。以下、そのような動作を実行するために、各リーダ100A〜100Cにおいて実行する制御内容を、説明する。
【0044】
なお、以下においては、操作者が、リーダ100Aを操作して書籍タグTbの検出を図る場合を例にとって説明する。
【0045】
リーダ100Aの制御回路133が実行する制御手順を図4に示す。
【0046】
まずステップS101で、例えば操作者が検出したい書籍Bの書籍情報を操作部122に入力することにより、リーダ100Aの制御回路133が記憶部132にアクセスし、当該書籍情報に対応した書籍タグTbのタグIDを取得する。
【0047】
その後、ステップS102で、操作部122における操作者の適宜の操作により、リーダ100Aの制御回路133は、上記ステップS101で取得したタグIDを指定して、当該タグIDで特定される書籍タグTbにタグ通信用アンテナ111より問いかけ信号を送信し、情報取得を図る。このステップS102の手順が、各請求項記載の特定情報取得手段として機能する。
【0048】
ステップS103では、リーダ100Aの制御回路133は、上記ステップS102での問いかけ信号に応じて、対応する書籍タグTbから情報取得ができたかどうかを判定する。このステップS103の手順が、各請求項記載の情報取得判定手段として機能する。例えば操作者が探したい書籍が図1に示す書籍B1であった場合、上記ステップS102での通信対象は通信可能領域A1内にある書籍タグTb1となる。この場合、書籍タグTb1からの応答信号が受信され、ステップS103の判定は満たされるので、ステップS108へ移る。ステップS108では、リーダ100Aの制御回路133は、表示部121に制御信号を出力し、表示部121に目的の書籍タグTb1の検出が成功した旨の適宜の表示を行わせる。その際、公知の送信出力制御による書籍タグTbまでの距離検出、あるいは、タグ通信用アンテナ111の公知の指向性制御による書籍タグTbへの方向、等が検出できた場合には、当該距離や方向も併せて表示してもよい。
【0049】
一方、ステップS103において、書籍タグTbからの応答信号が受信されなかった場合には判定が満たされず、ステップS200Aに移る。
【0050】
ステップS200Aの詳細手順を図5に示す。
【0051】
図5において、まずステップS201で、リーダ100Aの制御回路133は、上記ステップS102と異なりタグIDを指定することなく、タグ通信用アンテナ111より問いかけ信号を送信し、情報取得を図る。このステップS201の手順が、各請求項記載の不特定情報取得手段として機能する。
【0052】
その後、ステップS202では、リーダ100Aの制御回路133は、上記ステップS102での問いかけ信号に応じて、リーダタグTaから情報取得できたかどうかを判定する。リーダタグTaからの情報取得であるか書籍タグTbからの情報取得であるかの判別は、例えばそれぞれのタグIDの違いから識別するようにすればよい。図1に示した例では、リーダ100Aの通信可能領域A1内に、リーダ100Bに設けられたリーダタグTaが位置している。この場合、当該リーダタグaからの応答信号がリーダ100Aのタグ通信用アンテナ111により受信されるので、ステップS202の判定は満たされ、ステップS203へ移る。なお、いずれのリーダタグTaからの応答信号も受信されなかった場合にはステップS202の判定が満たされず、ステップS210において、依頼成功か失敗かを表す依頼フラグFを依頼失敗を表すF=0としてこのルーチンを終了する。
【0053】
ステップS203では、上記ステップS202で取得したリーダタグTaの記憶情報から、リーダ100Bのネットワーク接続におけるアドレス情報を、抽出し取得できたかどうかを判定する。このステップS203の手順が、各請求項記載のアドレス取得判定手段として機能する。リーダ100Bのアドレス情報が取得できなかった場合はステップS203の判定が満たされず、上記ステップS210でF=0として、このルーチンを終了する。リーダ100Bのアドレス情報が取得できた場合はステップS203の判定が満たされ、ステップS204へ移る。
【0054】
ステップS204では、リーダ100Aの制御回路133は、上記ステップS203で取得したアドレス情報を用いて、リーダ通信用アンテナ112、基地局200、通信回線NWを介してリーダ100Bにアクセスし、当該リーダ100Bの属性情報であるリーダ情報を問い合わせる。すなわち、制御回路133は、上記リーダ情報の出力を依頼するための、属性出力依頼信号をリーダ100Bへ出力する。このステップS204の手順が、各請求項記載の属性依頼出力手段として機能する。
【0055】
その後、ステップS205で、リーダ100Aの制御回路133は、上記ステップS203で出力した属性出力依頼信号に対応する応答である、リーダ100Bからのリーダ情報を、通信回線NW、基地局200、及びリーダ通信用アンテナ112を介して入力する。
【0056】
そして、ステップS206で、リーダ100Aの制御回路133は、上記ステップS205で入力したリーダ100Bのリーダ情報が、タグ通信依頼が可能な所定の条件に合致するかどうかを判定する。当該所定の条件とは、例えば、リーダ100Bが書籍タグTbとの送受信可能なプロトコルや各種コマンドに対応しているか、リーダ100Bの使用する帯域幅や送信出力がリーダ100Aと同等であるか、リーダ100Bが、書籍タグTbとの送受信に必要な各種コマンド等に対応しているか、リーダ100Bがその時点において他のジョブを実行中でないか、等が挙げられる。リーダ100BのIPアドレスがリーダ100Aと同じIPアドレスグループであるか、リーダ100Bの管理会社や部門がリーダ100Aと同一であるか、等を含むようにしてもよい。リーダ情報が所定の条件に合致していない場合はステップS206の判定が満たされず、上記ステップS210でF=0としてこのルーチンを終了する。リーダ情報が所定の条件に合致していない場合はステップS206の判定が満たされ、ステップS207に移る。このステップS206の手順が、各請求項記載の第1属性判定手段として機能する。
【0057】
なお、ステップS202で2つのリーダタグTaが検出され、2つのリーダよりリーダ情報を取得できた場合には、上記ステップS206で、それら2つのリーダそれぞれのリーダ情報のうち、上記の所定の条件に対する合致度がより高い方を優先して選択するようにしてもよい。
【0058】
その後、ステップS207で、リーダ100Aの制御回路133は、リーダ100Bに対し、上記ステップS101で取得したタグIDで特定される書籍タグTbからの情報取得を依頼する。具体的には、上記書籍タグTbの情報取得を依頼するタグ通信依頼信号を、リーダ通信用アンテナ112、基地局200、通信回線NWを介し、依頼先リーダとなるリーダ100Bへ出力する。このステップS207の手順が、各請求項記載のタグ通信依頼出力手段として機能する。
【0059】
そして、ステップS208で、リーダ100Aの制御回路133は、上記ステップS207で出力したタグ通信依頼信号に対応する応答である、リーダ100Bからの受付完了応答を、通信回線NW、基地局200、及びリーダ通信用アンテナ112を介して入力できたかどうかを判定する。なお、このステップS208の手順が、各請求項記載の結果入力手段として機能する。受付完了応答をリーダ100Bから入力できなかった場合はステップS208の判定が満たされず、上記ステップS210でF=0としてこのルーチンを終了する。受付完了応答をリーダ100Bから入力できた場合はステップS208の判定が満たされ、ステップS209で上記依頼フラグFを依頼成功を表すF=1として、ステップS211へ移る。
【0060】
ステップS211では、リーダ100Aの制御回路133は、省電力モードであるスリープモードへ移行する。すなわち、各リーダ100は、詳細な説明を省略するが、動作モードとして、スリープモードと通常モードとの2つを備えており、このステップS211では、上記通常モードからスリープモードに切り替わることで省電力を図る。その後、このルーチンを終了する。
【0061】
なお、スリープモードでは、高周波回路131、スピーカ123、記憶部132の回路電源をOFF、表示部121の輝度を下げる、制御回路133のCPUの動作クロックを下げる、といった処理を行う。ステップS106のタグ通信結果入力待ちの最中の強制終了処理が不要の場合、さらに表示部121、操作部122の電源もOFFにする。
【0062】
図4に戻り、以上のようにしてステップS200Aが終了したら、ステップS105へ移る。
【0063】
ステップS105では、リーダ100Aの制御回路133は、上記依頼フラグF=1であるかどうか、すなわち、依頼先のリーダ、前述の例ではリーダ100Bへの、タグ通信依頼処理が成功したかどうかを判定する。依頼処理が失敗しF=0であった場合はステップS105の判定が満たされず、後述のステップS110に進む。依頼処理が成功しF=1である場合はステップS105の判定が満たされ、ステップS106に移る。
【0064】
ステップS106では、リーダ100Aの制御回路133は、依頼先のリーダ、前述の例ではリーダ100Bへ依頼した、特定のタグIDの書籍タグTbからの情報取得の結果が、通信回線NW、基地局200、及びリーダ通信用アンテナ112を介して入力できたかどうかを判定する。情報取得結果が入力されていない場合は判定が満たされずステップS109へ移り、所定のタイムアウト時間が経過するまではステップS106に戻り、情報取得結果が入力されるまで繰り返す。情報取得結果が入力されないままタイムアウト時間が経過した場合はステップS109の判定が満たされ、リーダ100Aの制御回路133は、ステップS110において表示部121に表示制御信号を出力する。表示部121は、目的の書籍タグTbの検出に失敗した旨の適宜の表示を行う。その後、このフローを終了する。
【0065】
一方、ステップS106において、上記情報取得結果が入力された場合は判定が満たされ、ステップS104へ移る。ステップS104では、リーダ100Aの制御回路133は、前述のステップS211で移行していたスリープモードから、再び通常モードに切り替わり復帰する。なお、前述のステップS211とこのステップS106の手順とが、各請求項記載のモード切替手段として機能する。
【0066】
その後、ステップS107で、リーダ100Aの制御回路133は、ステップS106で上記リーダ100Bから入力した、特定のタグIDの書籍タグTbからの情報取得の結果が、取得成功であったかどうかを判定する。情報取得失敗の旨の結果が入力されていた場合は判定が満たされず、前述のステップS110に移り、表示部121に検出失敗の表示を行わせ、このフローを終了する。
【0067】
一方、ステップS107で、情報取得成功の旨の結果が入力されていた場合は判定が満たされ、前述のステップS108に移り、リーダ100Aの制御回路133は表示部121に表示制御信号を出力し、表示部121に検出成功の表示を行わせる。その後、このフローを終了する。
【0068】
次に、リーダ100Bが、上記依頼元リーダとしてのリーダ100Aより前述のステップS200Aにおいて依頼を受け、依頼先リーダとして書籍タグTbの検出を図る場合を例にとり、リーダ100Bの制御回路133が実行する制御手順を図6により説明する。
【0069】
まず、ステップS151で、リーダ100Bの制御回路133は、依頼元リーダ、上記の例ではリーダ100Aからの、リーダ情報を問い合わせる属性出力依頼信号が、通信回線NW、基地局200、リーダ通信用アンテナ112を介して入力されたかどうかを判定する(前述のステップS204参照)。属性出力依頼信号が入力されるまで判定が満たされずループ待機し、属性出力依頼信号が入力されたら判定が満たされ、ステップS152に移る。
【0070】
ステップS152では、リーダ100Bの制御回路133は、上記ステップS151で入力したリーダ情報、すなわち前述のプロトコル、コマンド、帯域幅、送信出力等についての自らの属性を、記憶部132より抽出して取得する。
【0071】
その後ステップS153に移り、リーダ100Bの制御回路133は、上記ステップS152で抽出した自らの属性に係わるリーダ情報を、リーダ通信用アンテナ112、基地局200、通信回線NWを介してリーダ100Aへ出力する(前述のステップS205参照)。その後、ステップS154に移る。
【0072】
ステップS154では、リーダ100Bの制御回路133は、リーダ100Aからの、書籍タグTbの情報取得を依頼するタグ通信依頼信号(前述のステップS207参照)が、通信回線NW、基地局200、リーダ通信用アンテナ112を介して入力されたかどうかを判定する。このステップS154の手順が、各請求項記載の依頼入力判定手段として機能する。タグ通信依頼信号が入力されるまで判定が満たされずループ待機し、タグ通信依頼信号が入力されたら判定が満たされ、ステップS155に移る。
【0073】
ステップS155では、リーダ100Bの制御回路133は、タグ通信依頼の受付を完了した旨の応答信号を、リーダ通信用アンテナ112、基地局200、通信回線NWを介してリーダ100Aへ出力する(前述のステップS208参照)。その後、ステップS163に移る。
【0074】
ステップS163では、依頼元リーダであるリーダ100Aのアドレス情報を依頼元アドレス情報として記憶部132へ記憶する。このステップS154の手順が、各請求項記載の依頼元アドレス記憶手段として機能する。なお、このアドレス情報は、例えば、上記ステップS154でのタグ通信依頼信号に付随する若しくは含まれる形で入力されている。また、この記憶部132へ格納したリーダ100Aのアドレス情報は、後述するように、図6のステップS200Bにおいてリーダ100Bが新たに依頼元リーダとなって上記タグ通信依頼信号をさらに他のリーダ、例えばリーダ100Cへ出力するときに、記憶部132より読み出される。そして、読み出されたリーダ100Aのアドレス情報に対し、上記新たな依頼元リーダであるリーダ100Bのアドレス情報が追加され、2つのリーダ100A,100Bのアドレス情報を含む形でリーダ100Cへ出力され、上記同様にリーダ100Cの記憶部132へ格納される。すなわち、依頼元リーダから依頼先リーダへのタグ通信依頼(ステップS207参照)が繰り返されるたびに、依頼元リーダとなった各リーダ100A〜100Cそれぞれのアドレス情報が、依頼元アドレス情報として累積されて含まれるのである。
【0075】
そして、ステップS156に移り、リーダ100Bの制御回路133は、ステップS154で入力したタグ通信依頼信号に含まれる、検出対象となる書籍タグTbのタグIDを抽出して取得する。
【0076】
その後、ステップS157において、リーダ100Bの制御回路133は、上記ステップS156で取得したタグIDを指定して、当該タグIDで特定される書籍タグTbにタグ通信用アンテナ111より問いかけ信号を送信し、情報取得を図る。このステップS157の手順もまた、各請求項記載の特定情報取得手段として機能する。
【0077】
そして、ステップS158に移り、リーダ100Bの制御回路133は、上記ステップS157での問いかけ信号に応じて、対応する書籍タグTbから情報取得ができたかどうかを判定する。このステップS158の手順もまた、各請求項記載の情報取得判定手段として機能する。
【0078】
例えばリーダ100Aが自らは検出できずリーダ100Bへ検出を依頼してきた書籍が、図1に示す書籍B2であった場合、上記ステップS158での通信対象は通信可能領域A2内にある書籍タグTb2となる。この場合、書籍タグTb2からの応答信号が受信され、ステップS158の判定は満たされるので、ステップS161へ移る。
【0079】
ステップS161では、リーダ100Bの制御回路133は、リーダ通信用アンテナ112、基地局200、通信回線NWを介し、検出目的である書籍タグTb2の検出に成功した旨の結果を出力する。この際、この通信結果は、前述の依頼元アドレス情報に累積して含まれる、過去に依頼元となった各リーダ100A〜100Cそれぞれのアドレス情報のうち、最先の、言い換えれば時間的に最も古いアドレス情報のリーダ100に対して、出力される(上記ステップS208参照)。したがって、上述のように、書籍B2を探したい旨を操作者がリーダ100Aにて入力し、リーダ100Aで検出できずに通信依頼をリーダ100Bへ出力し、リーダ100Bが書籍タグTb2を検出できた場合には、上記通信成功の旨の結果は、リーダ通信用アンテナ112、基地局200、通信回線NWを介し、リーダ100Aへと出力される。また、図6のステップS200Bにおいて後述するように、書籍B3を探したい旨を操作者がリーダ100Aにて入力し、リーダ100Aで検出できずに通信依頼をリーダ100Bへ出力し、さらにリーダ100Bでも検出できずに通信依頼をリーダ100Cへ出力し、リーダ100Cが書籍タグTb3を検出できた場合には、上記通信成功の旨の結果は、リーダ100Cから出力された後、リーダ通信用アンテナ112、基地局200、通信回線NWを介し、リーダ100Bを介することなく、リーダ100Aへと入力されるのである。ステップS161が完了したら、このフローを終了する。
【0080】
一方、ステップS158において、例えばリーダ100Aが自らは検出できずリーダ100Bへ検出を依頼してきた書籍が、図1に示す書籍B3であった場合、上記ステップS158での通信対象は通信可能領域A3内にある書籍タグTb3となる。この場合、書籍タグTb3とリーダ100Bとは通信を行えず、ステップS158の判定は満たされないので、ステップS200Bへ移る。
【0081】
このリーダ100Bの制御回路133が実行するステップS200Bの制御内容を図7に示す。図7に示すフローは、図5を用いて前述したステップS200Aの内容とほぼ同様であり、ステップS203とステップS204との間に、ステップS300を設けた点のみがステップS200Aと異なる。
【0082】
すなわち、図7において、まずステップS201で、リーダ100Bの制御回路133は、タグIDを指定せずに問いかけ信号を送信して情報取得を図り、ステップS202で、リーダタグTaから情報取得できたかどうかを判定する。リーダ100Cに設けられたリーダタグTaからの応答信号が受信されたらステップS202の判定が満たされ、ステップS203でリーダ100CのリーダタグTcからリーダ100Cのアドレス情報を取得したらステップS203の判定が満たされ、ステップS300に移る。
【0083】
ステップS300では、ステップS203で取得したアドレス情報が、過去に依頼元リーダとなったことのあるリーダのアドレス情報であるかどうかを判定する。この判定は、リーダ100Bの制御回路133が、ステップS203で取得したアドレス情報を、上記ステップS163において記憶部132に記憶した依頼元アドレス情報と照合することによって行う。ステップS203で取得したアドレス情報が依頼元リーダとなったリーダのアドレス情報であった場合にはステップS300の判定が満たされ、ステップS210へ移る。ステップS203で取得したアドレス情報が依頼元リーダとなったリーダのアドレス情報でなかった場合にはステップS300の判定が満たされず、ステップS204に移る。
【0084】
リーダ100Bの制御回路133は、上記のようにしてステップS300でリーダ100Cが過去の依頼元リーダでないかのチェックを行った後は、前述と同様、ステップS204で、通信回線NWを介してリーダ100Cにアクセスし、リーダ情報を問い合わせる。リーダ100Bの制御回路133は、ステップS205で、リーダ100Cのリーダ情報を入力し、その内容をステップS206でチェックした後、ステップS207で、リーダ100Cに対し、上記ステップS157で取得したタグIDで特定される書籍タグTb、前述の例では書籍タグTb3の情報取得を依頼する。そして、ステップS208で、リーダ100Bの制御回路133は、リーダ100Cからの受付完了応答の入力をチェックした後、ステップS211でスリープモードへ移行し、このルーチンを終了する。
【0085】
図6に戻り、以上のようにしてステップS200Bが終了したら、ステップS160へ移る。
【0086】
ステップS160では、リーダ100Bの制御回路133は、前述の依頼フラグF=1であるかどうか、すなわち、依頼先のリーダ、前述の例ではリーダ100Cへの、タグ通信依頼処理が成功したかどうかを判定する。依頼処理が失敗しF=0であった場合はステップS160の判定が満たされず、後述のステップS162に進む。依頼処理が成功しF=1である場合はステップS160の判定が満たされ、このフローを終了する。
【0087】
ステップS162では、リーダ100Bの制御回路133は、リーダ通信用アンテナ112、基地局200、通信回線NWを介し、検出目的である書籍タグTb2の検出を、別のリーダ、この例ではリーダ100Cに依頼するのに失敗した旨の結果を、依頼元リーダであるリーダ100Aに出力する。この失敗の旨の結果も、上記ステップS161と同様、リーダ通信用アンテナ112、基地局200、通信回線NWを介し、リーダ100Bを介することなく、リーダ100Aへと入力される。その後、このフローを終了する。
【0088】
なお、以上の図6の説明は、リーダ100Bが、上記依頼元リーダであるリーダ100Aより前述のステップS200Aでの依頼を受け、依頼先リーダとして書籍タグTbの検出を図る場合を例にとり、リーダ100Bの制御回路133が実行する制御手順として説明した。しかしながら、リーダ100Cが、リーダ100Bより前述のステップS200Bでの依頼を受け、依頼先リーダとして書籍タグTbの検出を図る場合においても、リーダ100Cの制御回路133は、上記同様、図6に示す制御手順を実行する。また、上記3つのリーダ100A〜C以外にさらにリーダ100D,100E,100F,・・(いずれも不図示)が設けられている場合に、リーダ100Cから依頼先リーダとしてのリーダ100Dへの通信依頼、リーダ100Dから依頼先リーダとしてのリーダ100Eへの通信依頼、・・と通信依頼を順次重ねていく場合も、同様である。すなわち、いずれのリーダ100C,100D,100Eにおいても、ステップS300で、新たに通信依頼を受けたリーダが過去の依頼元リーダでないかのチェックを行うのである。
【0089】
以上説明したように、本実施形態の無線タグ検出システムSYにおいては、リーダ100Aが目的とする書籍タグTb2を検出できなかった場合でも、別のリーダ100Bへネットワーク接続を介してタグ通信依頼を行う。また、リーダ100Aが目的とする書籍タグTb3を検出できず、リーダ100Bも目的とする書籍タグTb3を検出できなかった場合でも、さらに別のリーダ100Cへのタグ通信依頼が行われる。このようにして、いずれかのリーダ100A〜100Cによって、検出対象となる特定の書籍タグTbを見つけ出すことができる。また、各リーダ100A〜Cに設けたアドレス情報用無線タグTaより順次アドレス情報を取得し、当該取得したアドレス情報に基づき順次リーダ100A〜100C間でそれぞれアクセスを行う。これにより、従来のように、ネットワーク接続された複数のリーダのうち連携して無線タグを検出するリーダを予め指定しておく必要がなく、また、各リーダを連携して制御するサーバを設ける必要もない。以上の結果、本実施形態では、簡易な手法で、複数のリーダ100A〜Cをネットワーク接続を介して次々と連携させ、検出対象の書籍タグTbに近いリーダによって確実に当該書籍タグTbを検出することができる。
【0090】
また、本実施形態では特に、最終的に目的とする書籍タグTbを発見したリーダ100A又は100Bは、当該書籍タグTbの検出に関し最初に操作者による操作入力が行われたリーダ100A、言い換えれば、アドレス情報が依頼元リーダとして依頼元アドレス情報に最先に含まれているリーダ100Aに対し、ネットワークを介して情報取得結果を出力する(ステップS161、ステップS106参照)。これにより、情報取得結果の伝達経路を簡素化し、操作者が最初に操作したリーダ100Aにおいて、迅速に情報取得結果を取得することができる。
【0091】
また、本実施形態では特に、依頼元リーダとしてのリーダ100Aから依頼を受けた依頼先リーダとしてのリーダ100Bの制御回路133や、依頼元リーダとしてのリーダ100Bから依頼を受けた依頼先リーダとしてのリーダ100Cの制御回路133が、図7に示したステップS200Bのタグ通信依頼処理を実行する。その際、リーダ100B若しくは100Cの制御回路133は、ステップS300で、ステップS203で取得したアドレス情報が、過去に依頼元リーダとなったことのあるリーダのアドレス情報であるかどうかを判定する。そして、過去に依頼元リーダとなったことのあるリーダのアドレス情報であった場合には、ステップS207における通信依頼を行わないようにする。これにより、既に通信範囲内において検出対象の無線タグを見つけられなかった無線タグ通信装置が、再度同じ情報取得動作を行う無駄を、回避することができる。
【0092】
また、本実施形態では特に、図5や図7のステップS211において、依頼先リーダとなる他のリーダ100B,100Cへ依頼を済ませた依頼元リーダであるリーダ100A,100Bが、通常モードからスリープモードへと切り替わる。これにより、他のリーダへタグ通信依頼を行い自らは無線タグから情報取得を行わないリーダを、省電力モードとすることができる。したがって、システム全体の省電力を図ることができる。
【0093】
また、本実施形態では特に、依頼元リーダとなるリーダ100A,100Bが、依頼先リーダとなる他のリーダ100B,100Cへ依頼を行う前に、図5や図7のステップS204〜ステップS206において、事前にリーダ情報を取得すると共に、依頼するのにふさわしい属性であるかどうかをチェックする。これにより、依頼先リーダの属性が検出対象の書籍タグTbを探索するのに適合しているかどうかを、事前に確かめることができる。また、ネットワーク接続を介してリーダ情報を取得することにより、各リーダ100A〜100Cに設けられるアドレス情報用無線タグTaは、属性情報を記憶する必要がなくなり、無線タグの記憶容量を小さくすることができる。
【0094】
なお、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。以下、そのような変形例を説明する。
【0095】
(1)依頼先リーダの属性情報をタグ通信により取得する場合
上述したように、上記実施形態では、依頼元リーダとなるリーダ100A,100Bが、依頼先リーダとなる他のリーダ100B,100Cへ依頼を行う前に、図5や図7のステップS204〜ステップS206において、通信回線NWを介して事前にリーダ情報を取得した。しかしながらこれに限られない。すなわち、各リーダ100A〜100Cに設けたアドレスタグTaに、当該リーダ100A〜100Cそれぞれのリーダ情報を記憶させておくようにしてもよい。この場合、依頼元リーダとなるリーダ100A,100Bが図5や図7のステップS202でリーダタグTaより情報を取得した後、ステップS203で、リーダタグTaに記憶されていた上記リーダ情報が取得できたかどうかを判定する。そして、この場合は図5及び図7のステップS204及びステップS205は省略され、ステップS203の判定が満たされたら、リーダ100A,100Bの制御回路133は、ステップS206において、上記リーダタグTaより取得したリーダ情報が、タグ通信依頼が可能な所定の条件に合致するかどうかを判定する。なお、以上において、ステップS203が各請求項記載の属性取得判定手段として機能し、ステップS206が第2属性判定手段として機能する。
【0096】
本変形例においても、上記同様、依頼元リーダとなるリーダ100A,100Bが、依頼先リーダとなる他のリーダ100B,100Cへ依頼を行う前に、依頼先リーダの属性が検出対象の書籍タグTbを探索するのに適合しているかどうかを、事前に確かめることができる。また、上記実施形態のようなネットワーク接続ではなく、書籍タグTbから無線通信によってリーダ情報を取得することにより、ネットワーク接続を確立するための時間が不要となる。この結果、依頼元リーダとなるリーダ100A,100Bは、依頼先リーダとなるリーダ100B,100Cのリーダ情報を迅速に取得できる。
【0097】
なお、ステップS203、ステップS300において、過去に依頼元となったリーダかどうかをタグ通信依頼データに含まれるリーダアドレスで判断しているが、リーダタグのタグIDによって判断しても良い。たとえば、タグ通信依頼データに過去に依頼元となったリーダタグのタグIDを記憶しておき、ステップS201のタグID未指定での通信実行の際に、見つかったタグIDが依頼元となったリーダのタグIDと同じだった場合にはタグ通信依頼を送信しないようにする。これにより、リーダタグのタグメモリ読取(アドレス取得)のステップを省くことができる。
【0098】
(2)依頼回数に制限を設ける場合
すなわち、前述したように、操作者が探したい書籍Bに対応した書籍タグTbがなかなか検出できない場合、複数のリーダ100A,100B,100C,100D,100E,・・において、通信依頼が順次実行されていく。しかしながら、あまりにも多数の通信依頼が順次実行されると、検出に要するための時間が多大になり、弊害が大きい。本変形例はこのような事情に鑑み、通信依頼に回数制限を設ける変形例である。
【0099】
本変形例では、上記のように、通信依頼の依頼回数をカウントする必要がある。このため、依頼元リーダとなるリーダ100A,100B等の制御回路133は、図5や図7のステップS207でタグ通信依頼信号を出力する際、図8に示すように、当該タグ通信依頼信号が出力されるごとに1つずつ累積されるカウンタ値Cを付す。若しくは、リーダ100A,100B等の制御回路133は、当該カウンタ値を、タグ通信依頼信号と対応付けるようにしてもよい。そして、そのような通信依頼信号とカウンタ値Cとを依頼先リーダとなるリーダ100B,100C等へ出力する。なお、その出力に先んじて、リーダ100A,100B等の制御回路133は、上述のように、それまでのカウンタ値Cに1を加えておく。この結果、本変形例におけるステップS207の手順は、各請求項記載のカウンタ値出力手段として機能する。
【0100】
本変形例において、依頼先リーダとなるリーダ100B,100C等の制御回路133が実行する制御手順を、図9に示す。図9において、上記図6に示すステップS158とステップS200Bとの間に、新たにステップS164が設けられ、またステップS164から分岐して新たにステップS165が設けられている。
【0101】
図9において、ステップS154で入力されたタグIDを指定した通信で書籍タグTbから情報が取得できず、ステップS158の判定が満たされなかった場合、新たに設けたステップS164に移る。ステップS164では、前述のステップS154でタグ通信依頼信号とともにカウンタ値Cを取得済みの依頼先リーダとなるリーダ100B,100C等は、当該カウンタ値Cが所定のしきい値、例えば10に達したかどうかを判定する。なお、この手順が、各請求項記載のしきい値判定手段として機能すると共に、中止制御手段としても機能する。過去に複数のリーダ100A,100B,100C,100D,100E,・・において、順次実行された通信依頼の回数が9回以下であった場合には判定が満たされず、ステップS200Bに移り、以降図6と同様の手順を実行する。一方、過去に実行された通信依頼の回数が10回に達していた場合には判定が満たされ、ステップS165に移る。
【0102】
ステップS165では、リーダ100B,100C等の制御回路133は、上記ステップS162と同様にして、リーダ通信用アンテナ112、基地局200、通信回線NWを介し、検出目的である書籍タグTbの検出に失敗した旨の結果を、依頼元リーダであるリーダ100Aに出力する。その後、このフローを終了する。
【0103】
なお、上記ステップS164の判定手順は、上記のようにステップS158とステップS200Bとの間ではなく、ステップS157より前の手順で実行し、ステップS164の判定が満たされない場合には、ステップS157での無線通信を実行しないようにしてもよい。
【0104】
また、上記は通信依頼信号の出力のたびにカウンタ値Cを増大させるようにし、そのカウンタ値Cが所定のしきい値に達したときにそれ以上の通信依頼若しくは書籍タグTbとの通信を防止するようにしたが、これに限られない。すなわち、予め所定の初期値を付与されているカウンタ値Cを通信依頼信号の出力のたびに減少するようにし、そのカウンタ値Cが所定のしきい値以下になったときにそれ以上の通信依頼若しくは書籍タグTbとのを防止するようにしてもよい。
【0105】
また、上記カウンタ値Cを用いずに、タグ通信依頼信号に含まれる依頼元アドレス情報を利用してもよい(図8参照)。前述したように、依頼元アドレス情報には、依頼元となるリーダから依頼先であるリーダへのタグ通信依頼(ステップS207参照)が繰り返されるたびに、依頼元となった各リーダ100A〜100Cそれぞれのアドレス情報が、累積されて含まれる。したがって、そのアドレス情報の数を適宜のタイミングでカウントし、アドレス情報の数が所定のしきい値を超えるようになったら、それ以上の通信依頼若しくは書籍タグTbとのを防止するようにしてもよい。
【0106】
また、一番最初のタグ通信依頼の依頼時間をタグ通信依頼信号に記録しておき、最初の依頼時間からの経過時間が所定のしきい値を超えるようになったら、それ以上の通信依頼もしくは書籍タグTbとのを防止するようにしてもよい。
【0107】
以上のように構成した本変形例によれば、検出対象となる書籍タグTbが見つからないまま、各リーダ100A,100B,100C,100D,・・へのタグ通信依頼が順次行われていくとき、ある一定範囲を限度としてリーダの連携に歯止めをかけることができる。この結果、あまりにも長時間を要するような書籍タグTbの検出動作を回避することができる。
【0108】
(3)読み取り依頼以外の依頼への応用
以上においては、タグ通信依頼信号によって、1つのリーダから他のリーダに対し、特定の書籍タグTbの検出、すなわちタグID等の情報取得を主眼として依頼する場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、設置対象物である所望の物品に取り付ける物品タグに対し、当該物品の管理者やその連絡先等の情報を記憶しておき、管理が変更になった際に、当該情報の書き換えの依頼を行うようにしてもよい。この場合も、書き換えを行うにあたっては、まず当該物品タグを特定しタグIDの読み取りを行わなければならないので、以上述べた実施形態や(1)(2)の変形例の構成及び制御手法を適用でき、同様の効果を得ることができる。
【0109】
(4)その他
以上では、リーダタグTaは、各リーダ100A〜100Cにそれぞれ設けられていたが、これに限られず、それぞれのリーダタグTaに対し読み取りを行うリーダ100A〜Cのタグ通信用アンテナ111の通信可能領域内にあれば足りる。例えば、リーダ100Bのアドレス情報を記憶したリーダタグTaは、リーダ100Bに設けられなくても、リーダ100Aの通信可能領域A1内に位置していれば足りる。すなわち、通信可能領域A1内にありリーダ100Aに読み取られるリーダタグTaが、当該領域A1から遠く離れた倉庫や操作者の外出先などに位置するリーダ100Bのアドレスを情報を記憶していてもよい。このような場合でも、前述と同様の効果を得る。
【0110】
また、以上は無線タグの設置対象物として書籍を例にとって説明したが、これに限られるものではない。また、以上は無線タグ通信装置の一例として、携帯型のリーダ100を例にとって説明したが、これに限られず、据え置き型の無線タグ通信装置に対しても適用できる。
【0111】
なお、以上において、図3に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0112】
また、図4、図5、図6、図7、図9等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0113】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0114】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0115】
100A〜C リーダ(無線タグ通信装置)
111 タグ通信用アンテナ(装置アンテナ)
A 通信可能領域
NW 通信回線
SY 無線タグ検出システム
Ta アドレスタグ(アドレス情報用無線タグ)
Tb 書籍タグ(無線タグ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いにネットワーク接続された複数の無線タグ通信装置を有し、特定の無線タグとの通信を依頼する信号を、依頼元の無線タグ通信装置から依頼先の無線タグ通信装置に対して出力可能とした無線タグ検出システムであって、
前記複数の無線タグ通信装置のそれぞれは、
無線通信を行う装置アンテナと、
当該無線タグ通信装置の前記ネットワーク接続におけるアドレス情報を記憶したアドレス情報用無線タグと、
前記特定の無線タグの識別情報を指定して、前記装置アンテナを用いた無線通信により前記特定の無線タグからの情報取得を図る特定情報取得手段と、
前記特定情報取得手段により前記特定の無線タグからの情報取得ができたか否かを判定する情報取得判定手段と、
前記情報取得判定手段により、前記特定の無線タグからの情報取得ができなかったと判定された場合に、前記装置アンテナの通信範囲内の無線タグからの情報取得を図る不特定情報取得手段と、
前記不特定情報取得手段により、前記装置アンテナの通信範囲内の前記アドレス情報用無線タグから、当該他の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたかどうかを判定するアドレス取得判定手段と、
前記アドレス取得判定手段により、前記他の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたと判定された場合に、その取得されたアドレス情報を用いて前記ネットワーク接続を介し前記他の無線タグ通信装置にアクセスし、前記特定の無線タグからの情報取得を依頼するタグ通信依頼信号を、依頼先としての前記他の無線タグ通信装置へ出力するタグ通信依頼出力手段と、
前記タグ通信依頼出力手段からの前記タグ通信依頼信号に対応した、前記特定の無線タグからの情報取得結果を、前記ネットワーク接続を介し前記依頼先としての他の無線タグ通信装置より入力可能な結果入力手段と
を有することを特徴とする無線タグ検出システム。
【請求項2】
前記複数の無線タグ通信装置のそれぞれは、
依頼元である他の無線タグ通信装置の前記タグ通信依頼出力手段からの前記タグ通信依頼信号を入力したかどうかを判定する依頼入力判定手段と、
前記依頼入力判定手段により、前記依頼元である他の無線タグ通信装置の前記タグ通信依頼出力手段からの前記タグ通信依頼信号が入力されたと判定された場合に、当該依頼元の無線タグ通信装置に係わる依頼元アドレス情報を記憶する、依頼元アドレス記憶手段と
をさらに備え、
前記特定情報取得手段は、
前記依頼入力判定手段により、前記依頼元である他の無線タグ通信装置の前記タグ通信依頼出力手段からの前記タグ通信依頼信号が入力されたと判定された場合に、前記特定の無線タグの識別情報を指定して、前記装置アンテナを用いた無線通信により当該特定の無線タグからの情報取得を図り、
前記情報取得判定手段は、
前記特定情報取得手段により前記特定の前記無線タグからの情報取得ができたかどうかを判定し、
前記不特定情報取得手段は、
前記情報取得判定手段により、前記特定の前記無線タグからの情報取得ができなかったと判定された場合に、前記装置アンテナの通信範囲内の無線タグからの情報取得を図り、
前記アドレス取得判定手段は、
前記不特定情報取得手段により、前記他の無線タグ通信装置とは別の新たな依頼先となる無線タグ通信装置に係わる前記アドレス情報用無線タグから、当該別の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたかどうかを判定し、
前記タグ通信依頼出力手段は、
前記アドレス取得判定手段により、前記新たな依頼先としての別の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたと判定された場合に、その取得されたアドレス情報を用いて前記ネットワーク接続を介し前記新たな依頼先としての別の無線タグ通信装置にアクセスし、前記特定の無線タグからの情報取得を依頼するタグ通信依頼信号を、新たな依頼元として、前記新たな依頼先としての別の無線タグ通信装置へ出力することを特徴とする請求項1記載の無線タグ検出システム。
【請求項3】
前記複数の無線タグ通信装置のそれぞれの前記タグ通信依頼出力手段は、
前記アドレス取得判定手段により、前記新たな依頼先としての別の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたと判定された場合に、その取得されたアドレス情報が、前記依頼元アドレス記憶手段に既に記憶された前記依頼元アドレス情報と一致した場合には、当該無線タグ通信装置を前記新たな依頼先とする対象から除外する
ことを特徴とする請求項2記載の無線タグ検出システム。
【請求項4】
前記依頼元アドレス情報は、
前記依頼元となる無線タグ通信装置から前記依頼先である無線タグ通信装置へのタグ通信依頼が繰り返されるたびに、依頼元となった複数の無線タグ通信装置それぞれのアドレス情報が累積されており、
前記特定の無線タグの検出に関して依頼先となった複数の無線タグ通信装置のうち、前記特定情報取得手段が前記特定の無線タグより情報を取得した無線タグ通信装置は、
前記特定の無線タグの検出に関して依頼元となった複数の無線タグ通信装置のうち、前記依頼元アドレス情報に累積して含まれる複数の無線タグ通信装置それぞれのアドレス情報のうち、累積順に最先の前記アドレス情報を用いて、前記ネットワーク接続を介して、前記特定の無線タグからの情報取得結果を出力し、
前記最先の前記アドレス情報に係わる前記無線タグ通信装置に備えられた前記結果入力手段は、前記特定の無線タグより情報を取得した前記無線タグ通信装置からの前記情報取得結果を、前記ネットワーク接続を介して入力することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の無線タグ検出システム。
【請求項5】
前記複数の無線タグ通信装置は、
動作モードとして、省電力モードと通常モードとを切り替えるモード切替手段をさらに備え、
前記特定の無線タグの検出に関して依頼元となった前記無線タグ通信装置の前記モード切替手段は、前記タグ通信依頼出力手段が前記タグ通信依頼信号を出力した場合に、前記動作モードを前記通常モードから前記省電力モードへと切り替え、
前記最先の前記アドレス情報に係わる前記無線タグ通信装置は、前記モード切替手段が、前記結果入力手段による前記情報取得結果を入力した場合に、前記動作モードを前記省電力モードから前記通常モードへと切り替える
ことを特徴とする請求項4記載の無線タグ検出システム。
【請求項6】
前記複数の無線タグ通信装置のそれぞれは、
前記タグ通信依頼出力手段から依頼先としての他の無線タグ通信装置へ前記タグ通信依頼信号が出力されるごとに1つずつ累積されるカウンタ値を、前記タグ通信依頼信号に対応付けて前記依頼先としての他の無線タグ通信装置へ出力する、カウンタ値出力手段と、
前記依頼先としての他の無線タグ通信装置とは別の依頼元としての無線タグ通信装置の前記カウンタ値出力手段から出力された前記カウンタ値を入力し、当該カウンタ値が予め定められたしきい値以上となったかどうかを判定するしきい値判定手段と、
前記しきい値判定手段により前記カウンタ値が予め定められたしきい値以上となったと判定された場合には、前記タグ通信依頼出力手段による前記タグ通信依頼信号の出力、若しくは、前記特定情報取得手段による前記特定の無線タグからの情報取得、を中止する中止制御手段と
をさらに有することを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項記載の無線タグ検出システム。
【請求項7】
前記無線タグ通信装置は、
前記アドレス取得判定手段により、前記他の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたと判定された場合に、その取得されたアドレス情報を用いて前記ネットワーク接続を介し前記他の無線タグ通信装置にアクセスし、当該他の無線タグ通信装置の属性情報の出力を依頼する属性出力依頼信号を前記他の無線タグ通信装置へ出力する属性依頼出力手段と、
前記属性依頼出力手段からの前記属性出力依頼信号に対応して、前記他の無線タグ通信装置から出力された当該他の無線タグ通信装置の前記属性情報が、タグ通信依頼出力手段によるタグ通信依頼に適した所定の条件を満たすかどうかを判定する第1属性判定手段と
をさらに有し、
タグ通信依頼出力手段は、
前記第1属性判定手段により、前記他の無線タグ通信装置の前記属性情報がタグ通信依頼に適したものであると判定された場合に、前記特定の無線タグからの情報取得を依頼するタグ通信依頼信号を、依頼先として、当該他の無線タグ通信装置へ出力する
ことを特徴とする請求項1記載の無線タグ検出システム。
【請求項8】
前記アドレス情報用無線タグは、前記アドレス情報とともに、当該アドレス情報用無線タグに係わる前記無線タグ通信装置の属性情報を記憶しており、
前記無線タグ通信装置は、
前記不特定情報取得手段により、前記他の無線タグ通信装置に係わる前記アドレス情報用無線タグから、当該他の無線タグ通信装置の前記属性情報を取得できたかどうかを判定する属性取得判定手段と、
前記属性取得判定手段により、前記他の無線タグ通信装置の前記属性情報を取得できたと判定された場合に、当該属性情報が、タグ通信依頼出力手段によるタグ通信依頼に適した所定の条件を満たすかどうかを判定する第2属性判定手段と
をさらに有し、
タグ通信依頼出力手段は、
前記第2属性判定手段により、前記他の無線タグ通信装置の前記属性情報がタグ通信依頼に適したものであると判定された場合に、前記特定の無線タグからの情報取得を依頼するタグ通信依頼信号を、依頼先として、当該他の無線タグ通信装置へ出力する
ことを特徴とする請求項1記載の無線タグ検出システム。
【請求項9】
ネットワークを介して他の無線タグ通信装置と接続された無線タグ通信装置であって、
無線通信を行う装置アンテナと、
当該無線タグ通信装置の前記ネットワーク接続におけるアドレス情報を記憶したアドレス情報用無線タグと、
前記特定の無線タグの識別情報を指定して、前記装置アンテナを用いた無線通信により前記特定の無線タグからの情報取得を図る特定情報取得手段と、
前記特定情報取得手段により前記特定の無線タグからの情報取得ができたか否かを判定する情報取得判定手段と、
前記情報取得判定手段により、前記特定の無線タグからの情報取得ができなかったと判定された場合に、前記装置アンテナの通信範囲内の無線タグからの情報取得を図る不特定情報取得手段と、
前記不特定情報取得手段により、前記装置アンテナの通信範囲内の前記アドレス情報用無線タグから、当該他の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたかどうかを判定するアドレス取得判定手段と、
前記アドレス取得判定手段により、前記他の無線タグ通信装置の前記アドレス情報を取得できたと判定された場合に、その取得されたアドレス情報を用いて前記ネットワーク接続を介し前記他の無線タグ通信装置にアクセスし、前記特定の無線タグからの情報取得を依頼するタグ通信依頼信号を、前記他の無線タグ通信装置へ出力するタグ通信依頼出力手段と、
前記タグ通信依頼出力手段からの前記タグ通信依頼信号に対応した、前記特定の無線タグからの情報取得結果を、前記ネットワーク接続を介し前記他の無線タグ通信装置より入力可能な結果入力手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−70615(P2011−70615A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223543(P2009−223543)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】