無線ネットワークシステム
【課題】無線通信端末が複数ある場合でも全ての無線通信端末の位置を検出することができる無線ネットワークシステムを提供すること。
【解決手段】回転可能な指向性アンテナ26とLCD35とを有する複数の無線通信端末1〜8を具備し、一つの無線通信端末1の指向性アンテナ26を回転させながら他の無線通信端末2〜8の指向性アンテナ26からの端末識別情報を受信し、指向性アンテナ26の向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末1〜8の位置を検出し、全ての無線通信端末1〜8の位置をLCD35に表示する。
【解決手段】回転可能な指向性アンテナ26とLCD35とを有する複数の無線通信端末1〜8を具備し、一つの無線通信端末1の指向性アンテナ26を回転させながら他の無線通信端末2〜8の指向性アンテナ26からの端末識別情報を受信し、指向性アンテナ26の向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末1〜8の位置を検出し、全ての無線通信端末1〜8の位置をLCD35に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワークシステムに関し、より詳細には、参加する端末同士の相対的な位置関係を把握することが可能な無線ネットワークに関する。応用分野としては、Bluetooth(登録商標)や無線LANを使用した無線端末を用いる実会議において、参加者の位置関係を検出することが可能な無線ネットワークシステムがある。
【背景技術】
【0002】
従来から指向性アンテナによって受信された電波に基づいて無線通信端末の位置を検出する無線ネットワークシステムが知られている。例えば、特開平11−178043号公報「位置検出方法」によれば、無線移動局が指向性アンテナを回転させて複数の無線基地局の方向を検出し、それらの方向に基づいて自らの位置を検出することができる。
【0003】
換言すれば、特開平11−178043号公報に記載された無線ネットワークシステムでは、ある無線通信端末(無線移動局)の指向性アンテナによって、他の無線通信端末(無線基地局)の指向性アンテナからの電波を受信し、その受信された電波に基づいて該無線通信端末の位置を検出することができる。
【0004】
また、最近では、無線LANやBluetoothの普及により、一つの会議室内で各会議参加者が携帯型の会議端末(ノートパソコン等)を使用して無線通信による電子会議を行うことが可能となってきている。電子会議では、任意の参加者とデータの送受信を行うため、データの送信先を指定する方法として参加者(端末)の識別アイコンを表示し、そのアイコンを選択することでデータの送信先を指定できると便利であることが知られている。この場合、識別アイコンの表示位置関係を実際に存在する参加者(端末)の位置関係と同じようにすると、さらに便利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開平11−178043号公報に記載された無線ネットワークシステムでは、ある無線通信端末が他の複数の無線通信端末からの電波を受信して自らの位置を検出することができるものの、逆に、ある無線通信端末を基準として他の全ての無線通信端末の位置を検出することはできなかった。
【0006】
従って、特開平11−178043号公報に記載された無線ネットワークシステムでは、無線通信端末が複数ある場合に他の全ての無線通信端末の相対的な位置を検出することができないという問題点があった。即ち、固定的な無線基地局から発信された電波を受信して自らの位置を特定することには有効であるものの、無線LANやBluetooth等のローカルな無線通信を利用する会議室に持ち込まれた任意の位置にある無線通信端末同士の位置関係を判断(検出)することはできないという問題点があった。
【0007】
また、3端末以上の無線通信端末同士の相対的な位置関係を自動的に判断する方法が無いため、全ての参加者(端末)を目視して、参加者(端末)の識別アイコンを実際に存在する参加者(端末)の相対的な位置関係と同じになるように手作業で配置しなければならないという問題点があった。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、複数の無線通信端末によって形成された無線ネットワークシステムにおいて、全ての無線通信端末の相対的な位置関係を判断することができる無線ネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、指向性アンテナによって受信された電波に基づいて無線通信端末の位置を検出する無線ネットワークシステムにおいて、回転可能な指向性アンテナを有する複数の無線通信端末を具備し、第一の無線通信端末の指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第一の無線通信端末から第二の無線通信端末に全ての無線通信端末の位置検出を依頼することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記記載の発明において、第二の無線通信端末は、位置検出の依頼を受信した場合に、その指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記記載の発明において、第二の無線通信端末は、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信し、第一の無線通信端末は、第二の無線通信端末から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の指向性アンテナの向きとに基づいて全ての無線通信端末の位置の検出を試み、全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、全ての無線通信端末の位置を検出することができるまで、全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を残りの無線通信端末に順次送信することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、指向性アンテナによって受信された電波に基づいて無線通信端末の位置を検出する無線ネットワークシステムにおいて、回転可能な指向性アンテナを有する複数の無線通信端末を具備し、第一の無線通信端末が複数の指向性アンテナを具備し、第一の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第一の無線通信端末から第二の無線通信端末に全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を送信し、第二の無線通信端末が複数の指向性アンテナを具備し、第二の無線通信端末は、第二の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出し、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信し、第一の無線通信端末は、第二の無線通信端末から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナの向きとに基づいて全ての無線通信端末の位置の検出を試み、全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、全ての無線通信端末の位置を検出することができるまで、全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を残りの無線通信端末に順次送信することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、指向性アンテナによって受信された電波に基づいて無線通信端末の位置を検出する無線ネットワークシステムにおいて、送信電波の方向を回転可能であって指向範囲を変更可能な指向性アンテナを有する複数の無線通信端末を具備し、指向範囲を最も狭くした状態で第一の無線通信端末の送信電波の方向を回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、送信電波の方向と受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第一の無線通信端末から第二の無線通信端末に全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を送信し、第二の無線通信端末は、指向範囲を最も狭くした状態で第二の無線通信端末の送信電波の方向を回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、送信電波の方向と受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出し、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信し、第一の無線通信端末は、第二の無線通信端末から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の送信電波の方向とに基づいて全ての無線通信端末の位置の検出を試み、全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、全ての無線通信端末の位置を検出することができるまで、全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を残りの無線通信端末に順次送信することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記記載の発明において、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの電波に基づいて第二の無線通信端末の位置と第三の無線通信端末の位置とを区別することができないときには、第二の無線通信端末および第三の無線通信端末のほぼ対角位置に位置する第四の無線通信端末に対して第一の無線通信端末から全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を送信し、第四の無線通信端末は全ての無線通信端末の位置を検出し、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、第一の無線通信端末の指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報が受信され、第二の無線通信端末等から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の指向性アンテナの向きとに基づいて全ての無線通信端末の位置が検出される。このため、無線通信端末が複数ある場合であっても全ての無線通信端末の位置を検出することができる。
【0016】
また、第一の無線通信端末の指向性アンテナの向きと第一の無線通信端末の指向性アンテナが他の無線通信端末の指向性アンテナから受信した端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第二の無線通信端末等の指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報が受信され、第二の無線通信端末等の指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置が検出される。
【0017】
このため、第一の無線通信端末の指向性アンテナによっては全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合であっても、第二の無線通信端末等の指向性アンテナによって全ての無線通信端末の位置を検出することができる。
【0018】
換言すれば、1つの無線通信端末で全ての無線通信端末の位置関係を判断できない場合であっても、複数の無線通信端末が協力して全ての無線通信端末の位置関係を特定するため、例えば無線通信による電子会議を実行する場合に無線ネットワークシステムの利便性が向上する。
【0019】
さらに、この発明によれば、第一の無線通信端末等の指向範囲が最も狭い指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報が受信され、指向性アンテナの向き、その受信された端末識別情報等に基づいて全ての無線通信端末の位置が検出される。このため、指向範囲が比較的広い指向性アンテナによって他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信する場合よりも、全ての無線通信端末の位置を正確に検出することができる。
【0020】
さらに、この発明によれば、第一の無線通信端末の送信電波の方向を回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報が受信され、第二の無線通信端末等から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の送信電波の方向とに基づいて全ての無線通信端末の位置が検出される。このため、無線通信端末が複数ある場合であっても全ての無線通信端末の位置を検出することができる。
【0021】
また、第一の無線通信端末の送信電波の方向と第一の無線通信端末の指向性アンテナが他の無線通信端末の指向性アンテナから受信した端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第二の無線通信端末等の送信電波の方向を回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報が受信され、第二の無線通信端末等の送信電波の方向と受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置が検出される。
【0022】
このため、第一の無線通信端末の指向性アンテナによっては全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合であっても、第二の無線通信端末等の指向性アンテナによって全ての無線通信端末の位置を検出することができる。
【0023】
さらに、指向範囲を最も狭くした状態で第一の無線通信端末等の送信電波の方向を回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報が受信され、送信電波の方向、その受信された端末識別情報等に基づいて全ての無線通信端末の位置が検出される。このため、指向範囲が比較的広くされた指向性アンテナによって他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信する場合よりも、全ての無線通信端末の位置を正確に検出することができる。
【0024】
換言すれば、1つの無線通信端末で全ての無線通信端末の位置関係を判断できない場合であっても、複数の無線通信端末が協力して全ての無線通信端末の位置関係を特定するため、例えば、無線通信による電子会議を実行する場合に無線ネットワークシステムの利便性が向上する。
【0025】
さらに、この発明によれば、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの電波に基づくと第二の無線通信端末の位置と第三の無線通信端末の位置とを区別することができないときには、第二の無線通信端末および第三の無線通信端末のほぼ対角位置に位置する第四の無線通信端末によって全ての無線通信端末の位置が検出される。
【0026】
このため、第一の無線通信端末の指向性アンテナによっては第二の無線通信端末の位置と第三の無線通信端末の位置とを区別することができない場合であっても、第二の無線通信端末の位置と第三の無線通信端末の位置とを確実に区別することができる。
【0027】
より詳細には、第一の無線通信端末によっては第二の無線通信端末および第三の無線通信端末の位置関係を判断できないときには、それらのほぼ対角位置が推測され、その推測された位置にある第四の無線通信端末によって第二の無線通信端末および第三の無線通信端末の位置関係が判断される。
【0028】
換言すれば、複数の無線通信端末が協力して全ての無線通信端末の位置関係を特定する。そのため、全ての無線通信端末の位置関係の判断が容易となり、また判断の信頼性も向上し、無線ネットワークシステムの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、実施の形態1におけるBluetoothネットワークの概略図である。
【図2】図2は、マスター端末およびスレーブ端末として用いられる携帯型表示パッドを表した図である。
【図3】図3は、携帯型表示パッドの内部構成図である。
【図4】図4は、水平面に配置した指向性アンテナの指向範囲を上方から見た図である。
【図5】図5は、実施の形態1におけるBluetooth通信の概略構成図である。
【図6】図6は、従来における端末識別アイコンの表示例を示した図である。
【図7】図7は、マスター端末およびスレーブ端末と指向性アンテナの指向範囲とを示した図である。
【図8】図8は、マスター端末およびスレーブ端末と指向性アンテナの指向範囲とを示した図である。
【図9】図9は、マスター端末およびスレーブ端末と指向性アンテナの指向範囲とを示した図である。
【図10】図10は、スレーブ端末の相対的な位置関係をアイコンので表した図である。
【図11】図11は、「斉藤」から見た無線通信端末のアイコンを表した図である。
【図12】図12は、実施の形態1におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図13】図13は、マスター端末およびスレーブ端末の配置を示した図である。
【図14】図14は、実施の形態2におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図15】図15は、実施の形態2におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図16】図16は、実施の形態3における携帯型表示パッドの内部構成図である。
【図17】図17は、平面アンテナ、電界の振動方向等を示した図である。
【図18】図18は、実施の形態3におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図19】図19は、実施の形態3におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図20】図20は、実施の形態4におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図21】図21は、実施の形態4におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図22】図22は、実施の形態4におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図23】図23は、実施の形態5における携帯型表示パッドの内部構成図である。
【図24】図24は、アダプティブアレイアンテナの内部構成図である。
【図25】図25は、アダプティブアレイアンテナの概観図である。
【図26】図26は、実施の形態5のマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図27】図27は、実施の形態5のマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図28】図28は、実施の形態6におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図29】図29は、実施の形態6におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図30】図30は、実施の形態6におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図31】図31は、実施の形態7におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図32】図32は、実施の形態8におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明するのは一例であり、特に限定するものではない。
【0031】
(実施の形態1)
実施の形態1における無線ネットワークシステムでは、Bluetoothを実装した無線通信端末をBluetoothネットワークで接続し、電子会議を行う態様について説明する。以下、回転機構を伴った一つの指向性アンテナを使用して、ローカルなBluetoothネットワークに接続された無線通信端末の相対的な位置関係を判断(検出)する方法について説明していく。実施の形態1では、位置関係の基準となる無線通信端末から見て、他の全ての無線通信端末がそれぞれ異なる方向に存在している場合を前提としている。
【0032】
図1は、実施の形態1におけるBluetoothネットワークの概略図である。Bluetoothネットワークは、他の無線通信端末の相対的な位置を検出するための基準となるマスター端末1と、マスター端末1を基準として無線ネットワークを形成するスレーブ端末2〜8と、から構成されている。
【0033】
図2は、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8として用いられる携帯型表示パッドを表した図である。携帯型表示パッド10は、液晶表示するLCD35と、LCD35に重ね合わせてタッチ入力により座標入力可能なタッチパネル37と、タッチパネル37上でタッチ入力を行うときに使用するタッチペン11と、から構成される。
【0034】
図3は、携帯型表示パッド10の内部構成図である。携帯型表示パッド10は、CPU20と、メインメモリ21と、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)22と、Bluetoothモジュール23と、アンテナコントローラ24と、アンテナ回転機構25と、指向性アンテナ26と、クロック27と、バスコントローラ28と、ROM(Read Only Memory)29と、PCI(Peripheral Component Interconnect)ブリッジ30と、キャッシュメモリ31と、ハードディスク32と、HD(ハードディスク)コントローラ33と、LCD表示コントローラ34と、LCD35と、タッチパネルコントローラ36と、タッチパネル37と、RTC(Real Time Clock)38と、バッテリ39と、DC−DCコンバータ40と、CPUバス41と、PCIバス42と、Xバス(内部バス)43と、から構成されている。
【0035】
以上の構成について、その動作を説明する。CPU20は、ROM29に記憶された制御処理プログラム、OS(Operating System)や各種のアプリケーションプログラムを実行、処理する。メインメモリ21は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)により構成されており、CPU20のワークエリアとして使用される。UART22は、CPU20とBluetoothモジュール23との間でシリアルデータの授受を行うインターフェイスであり、FIFO(First In,First Out)のスタックやシフトレジスタ等から構成される。
【0036】
Bluetoothモジュール23は、RF部とベースバンド部とから構成されており、Bluetooth規格に準拠した無線通信を実行する。この詳細については後述する。
【0037】
アンテナコントローラ24は、アンテナ回転機構25の駆動制御を行う。アンテナコントローラ24がアンテナ回転機構25の図示しないモータを制御して指向性アンテナ26を任意の角度だけ回転させるとともに、360度の回転をさせることが可能である。アンテナ回転機構25は、水平方向に回転するように実装されている。指向性アンテナ26は、後述する図4に示すような指向性を有する。
【0038】
図4は、水平面に配置した指向性アンテナ26の指向範囲を上方から見た図である。中央に指向性アンテナ26があり、その周りに通信方向の指向性を持った指向範囲が示されている。このような指向性のあるアンテナとしては、例えば、平面型のパッチアンテナがある。パッチアンテナは、主に平面と垂直方向に電波を放射するため、通常、平面が鉛直になるように実装されている。
【0039】
続いて、図3におけるクロック27は、図示しない水晶発振子と分周回路とから構成されており、CPU20やバスコントローラ28の動作タイミングを制御するためのクロックを生成している。バスコントローラ28は、CPUバス41とXバス43とのデータ転送を制御する。ROM29は、電源オン時のシステム立ち上げや各種デバイスの制御を行うためのプログラムが予め書き込まれている。
【0040】
PCIブリッジ30は、キャッシュメモリ31を使用して、PCIバス42とCPU20との間のデータ転送を行う。キャッシュメモリ31は、DRAMより構成されており、PCIブリッジ30により使用される。ハードディスク32は、システムソフトウェア、各種のアプリケーションプログラム、多数のユーザデータ等を記憶している。HDコントローラ33は、IDE(Integrated Device Electronics)インターフェイスにより、ハードディスク32と高速データ転送を行う。
【0041】
LCD表示コントローラ34は、文字やグラフィックデータをD/A(Digital/Analog)変換するとともに、これらのデータをLCD35に表示するための制御を行う。タッチパネルコントローラ36は、タッチパネル37上でタッチペン11のペン先が接触した部分を検出し、その座標を取得する。タッチパネル37は、LCD35と重ね合わせて装着されている。
【0042】
RTC38は、日付時計であり図示しない専用バッテリによりバックアップされて駆動している。バッテリ39は、ニッケル水素電池またはリチウム電池であり、バッテリ39の電源は、DC−DCコンバータ40を介して携帯型表示パッド10に供給される。
【0043】
図5は、実施の形態1におけるBluetooth通信の概略構成図である。Bluetooth通信は、アプリケーション50と、OBEX(OBject EXchange)51と、RFCOMM(RFCOMMunication)52と、SDP(Service Discovery Protocol)53と、LMCE(Link Manager Control Entity)54と、L2CAP(Logical Link Control and Adaptation Protocol)55と、HCI(Host Controller Interface)56と、リンク・マネージャ57と、ベースバンド58と、物理レイヤ(RF)59と、から構成される。
【0044】
図5において、アプリケーション50は、電子会議を実行するためのアプリケーションであり、Bluetoothネットワーク(ピコネット)への接続要求、切断要求や描画データの転送、会議資料のファイル転送の他に、本発明の端末位置を判断するための動作を実行する。OBEX51は、相手端末とOBEXセッションを確立し、オブジェクトプッシュ(描画データの転送)やファイル転送等の通信プロトコルを制御する。
【0045】
RFCOMM52は、後述するL2CAP55上にシリアルポートをエミュレートするためのトランスポートプロトコルである。SDP53は、相手端末との間で使用できるサービスを確認し、それらのサービスの特性を調べる方法をアプリケーションに提供する。
【0046】
LMCE54は、標準的なBluetooth仕様(バージョン1.0B)にはない通信モジュールであるが、実施の形態1では、OBEX51やSDP53のプロトコル以外でアプリケーション50が、リンク・マネージャ57にコマンドを渡すときに使用される。L2CAP55は、上位プロトコル(RFCOMM52)の多重化、データパケット(L2CAPパケット)の分割と組立て等を実行する。
【0047】
HCI56は、ホスト(CPU20)とBluetoothモジュール23との間のインターフェイスであり、HCI API(Application Program Interface)、CPU20とBluetoothモジュール23との間でトランスポートレイヤとして機能するUART22、Bluetoothモジュール23のハードウェアドライバから構成されている。
【0048】
リンク・マネージャ57は、リンクの設定や切断等のリンク制御を行うLMP(Link Manager Protocol)を実行する。ベースバンド58は、物理リンクの確立や各種パケットの送受信等を実行する。物理レイヤ59は、GFSK(Gaussian Frequency Shift Keying)による信号の変調や周波数ホッピングによるスペクトラム拡散通信等を実行する。
【0049】
ここで、Bluetoothの使用周波数帯域は2471〜2497MHz(日本)、ホッピング・チャネル数は23(1MHz間隔)、ホッピング速度は1600ホップ/秒である。また、チャネルは625μsecのタイムスロットに分割され、マスター端末1はパケットの伝送を偶数番号のタイムスロットで開始し、スレーブ端末2〜8はパケットの伝送を奇数番号のタイムスロットで開始する。
【0050】
図5に示したBluetooth通信の概略構成の中で、UARTドライバとBluetoothモジュール23のハードウェアドライバ(HCI56)、リンク・マネージャ57、ベースバンド58および物理レイヤ59は、Bluetoothモジュール23に実装されており、その他のモジュールは、CPU20で実行されるソフトウェアモジュール(タスク)であり、ハードディスク32に実行プログラムとして予め記憶されている。なお、描画データは、OBEX51の代わりに図示しないシリアル通信エンティティを使用したシリアル通信で転送するようにしてもよい。
【0051】
以上の構成において、その動作を説明する。まず、Bluetoothネットワーク(ピコネット)を形成するまでの従来の通信シーケンスについて説明する。従来の通信シーケンスとは、指向性アンテナ26を図示しない無指向性のアンテナに置き換えた場合である。
【0052】
従来の通信シーケンスの基本的な流れとしては、通信可能な状態にある無線通信端末の認識を行うインクワイアリ手順と、物理リンクの確立やパケットの送受信等を実行するベースバンドレイヤのコネクション確立と、リンクの設定や切断等の制御を行うリンク・マネージャ間のコネクション確立と、電子会議端末としての認識を行うSDPコネクションの確立と、描画データ、ファイル転送のプロトコルを制御するOBEXコネクションの確立およびOBEXセッションの確立と、から構成される。
【0053】
先ず、インクワイアリ手順として、マスター端末1は、マスター端末1と通信できる全てのスレーブ端末2〜8を認識する。即ち、マスター端末1は、IDパケットを繰り返し送信し、これを受信したスレーブ端末2〜8は、Bluetoothデバイスアドレス(BD_ADDR)と、自端末のシステムクロック等を含めたFHSパケットを送信する。マスター端末1は、受信したFHSパケットの個数(BD_ADDRの個数)からスレーブ端末の台数を認識する。
【0054】
例えば、マスター端末1は、図1に示した場合、スレーブ端末2〜8の7台を認識する。この認識したスレーブ端末の台数は、メインメモリ21に記憶しておく。
【0055】
以下、ベースバンドレイヤのコネクション確立からOBEXコネクションの確立およびOBEXセッションの確立まで、マスター端末1とスレーブ端末2について説明するが、他のスレーブ端末3〜8についてもそれぞれ同様に順次行っていく。
【0056】
ベースバンドレイヤのコネクション確立として、マスター端末1は、スレーブ端末2と通信コネクションを確立する。マスター端末1は、スレーブ端末2から受信したBD_ADDRの下位アドレス部分であるLAP(Lower Address Part)から導き出される同期ワードを含めたIDパケットを送信する。
【0057】
スレーブ端末2は、BD_ADDRから導出された同期ワードを含むIDパケットを受信すると、該IDパケットで応答する。マスター端末1は、スレーブ端末2の識別番号であるアクティブ・メンバー・アドレス(AM_ADDR)に「1」をセットしたFHSパケットを送信する。
【0058】
スレーブ端末2は、FHSパケットを受信すると、先述のIDパケットで応答する。このとき、スレーブ端末2のシステムクロックは、FHSパケットに含まれているマスター端末1のシステムクロックに同期する。次に、マスター端末1はPOLLパケットを送信し、スレーブ端末2は、NULLパケットで応答する。
【0059】
続いて、リンク・マネージャ間(リンクレイヤ)のコネクション確立として、マスター端末1は、LMP_host_connection_req PDU(Protocol Data Unit)を送信し、スレーブ端末2は、LMP_accepted PDUで応答する。次に、マスター端末1はLMP_features_req PDUを送信し、スレーブ端末2は、LMP_features_res PDUで応答して、該端末の持つ機能についての情報を交換する。マスター端末1はLMP_setup_complete PDUを送信し、スレーブ端末2は、LMP_setup_complete PDUで応答する。
【0060】
ここで、マスター端末1のリンク・マネージャがLMP_name_req PDUを送信し、スレーブ端末2からLMP_name_res PDUを受信したとき、LMP_name_res PDUに含まれているスレーブ端末2の端末名称(パラメータはネーム・フラグメント)を先に取得しているBD_ADDRと対応付けてメインメモリ21に記憶する。
【0061】
続いて、SDPコネクションの確立として、マスター端末1は、サービス・ディスカバリシーケンスを実行する。マスター端末1のアプリケーションは、サービス・ディスカバリ要求をSDPタスクへ出力すると、SDPタスクは、SDP用のコネクションの接続要求(L2CA_ConnectReqイベント)をL2CAPタスクへ出力する。
【0062】
マスター端末1のL2CAPタスクは、接続要求を受信すると、Connection Requestパケットをスレーブ端末2へ送信する。スレーブ端末2のL2CAPタスクは、該パケットを受信すると、L2CA_ConnectIndメッセージをSDPタスクへ出力し、Connection Responseパケットをマスター端末1へ応答する。
【0063】
さらに、マスター端末1のSDPタスクは、コンフィグレーション要求(L2CA_ConfigReqイベント)をL2CAPタスクへ出力する。L2CAPタスクは、該要求を受信すると、サービス品質(QoS:Quality of Service)等のコンフィグレーションパラメータを含んだConfiguration Requestパケットをスレーブ端末2へ送信する。スレーブ端末2のL2CAPタスクは、該パケットを受信すると、L2CA_ConfigIndメッセージをSDPタスクへ出力して、コンフィグレーションパラメータを含んだConfiguration Responseパケットをマスター端末1へ応答する。
【0064】
次に、マスター端末1のSDPタスクは、電子会議サービスであることを表すUUID(サービスの固有識別子)をServiceSearchPatternパラメータに含めたSDP_ServiceSearchRequest PDUとしてスレーブ端末2へ送信し、受信したスレーブ端末2のSDPタスクは、SDP_ServiceSearchResponse PDUをマスター端末1へ応答する。
【0065】
続いて、OBEXコネクションの確立およびOBEXセッションの確立として、マスター端末1のアプリケーション50は、無線接続したスレーブ端末2が電子会議のスレーブ端末であることを確認すると、OBEXタスクへOBEX51用のコネクションの接続要求を出力する。この接続要求は、RFCOMMタスクを介してL2CAPタスクへ出力され、L2CAPタスクは、接続要求を受信すると、Connection Requestパケットをスレーブ端末2へ送信する。
【0066】
スレーブ端末2のL2CAPタスクは、該パケットを受信するとRFCOMMタスクを介してOBEXタスクへL2CA_ConnectIndメッセージを出力し、Connection Responseパケットをマスター端末1へ応答して、OBEXコネクションが確立する。
【0067】
続いて、マスター端末1のOBEXタスクは、Connect要求パケットをスレーブ端末2へ送信し、スレーブ端末2からConnect応答パケットを受信して、OBEXセッションが確立する。
【0068】
以上、マスター端末1とスレーブ端末2との間でOBEXセッションを使用して描画データの転送やファイル転送ができる状態となるまでの通信シーケンスを説明したが、他のスレーブ端末3〜8についても同様である。
【0069】
その後、マスター端末1は、先にメインメモリ21に記憶したスレーブ端末2〜8の端末名称および該BD_ADDRをLCD35へアイコン(端末識別アイコン)で表示する。
【0070】
図6は、従来における端末識別アイコンの表示例を示した図である。従来では、端末識別アイコンは、マスター端末1と接続したスレーブ端末2〜8の順番に基づいて並べられているが、この並び方は、スレーブ端末2〜8の位置関係とは対応していない。このため、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8のユーザは、端末識別アイコンをスレーブ端末2〜8が存在する位置を目視で確認しながらそれぞれ対応するように配置を入れ替えていた。そして、ピコネットに参加するマスター端末1およびスレーブ端末2〜8のユーザは、会議資料ファイルや手書きの描画データ等を転送して電子会議が実行されていた。
【0071】
以上、従来のBluetoothネットワーク(ピコネット)を形成するまでの通信シーケンスについて説明した。以下、本発明を伴った動作について説明していく。
【0072】
マスター端末1は、指向性アンテナ26を回転させながら水平方向の全ての方向に存在するスレーブ端末2〜8をそれぞれ認識する。指向性アンテナ26をデフォルトの回転角度にして、インクワイアリ手順によりマスター端末1と通信できるスレーブ端末を認識する。即ち、マスター端末1は、IDパケットを繰り返し送信し、これを受信したスレーブ端末は、それぞれBluetoothデバイスアドレス(BD_ADDR)、該端末のシステムクロック等を含めたFHSパケットを送信する。
【0073】
マスター端末1は、受信したFHSパケット中のBD_ADDRからスレーブ端末を認識する。例えば、後述する図7に示した場合では、4台のスレーブ端末2〜5を認識する。
【0074】
図7は、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8と指向性アンテナの指向範囲とを示した図である。半円状の囲いが、指向性アンテナ26の指向範囲である。図7の例では、マスター端末1は、スレーブ端末2〜5と通信可能である。この受信したBD_ADDRは指向性アンテナ26の回転角度の情報と対応づけてメインメモリ21に記憶しておく。
【0075】
次に、マスター端末1は、アンテナ回転機構25を駆動して指向性アンテナ26を所定の角度回転(時計回り)し、インクワイアリ手順によりマスター端末1と通信できるスレーブ端末2〜5をそれぞれ認識する。即ち、マスター端末1は、IDパケットを繰り返し送信し、これを受信したスレーブ端末2〜5は、それぞれBluetoothデバイスアドレス(BD_ADDR)、該端末のシステムクロック等を含めたFHSパケットを送信する。
【0076】
マスター端末1は、受信したFHSパケット中のBD_ADDRからスレーブ端末2〜5を認識する。また、この受信したBD_ADDRは指向性アンテナ26の回転角度の情報と対応づけてメインメモリ21へ記憶しておく。このように、指向性アンテナ26が1回転するまで上記の動作を繰り返す。その後、マスター端末1はインクワイアリ手順を実行した所定の角度毎に認識したスレーブ端末2〜8を判断する。
【0077】
図8は、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8と指向性アンテナ26の指向範囲とを示した図である。図8に示した時点(所定の角度の回転を何度か繰り返した時点)では、スレーブ端末2〜5に加えてスレーブ端末6も認識しており、図7の時点で認識したスレーブ端末2〜5と図8の時点で認識したスレーブ端末2〜6とを比較するとスレーブ端末6が新規に認識されているため、スレーブ端末2〜5よりもスレーブ端末6が右側にあると判断できる。
【0078】
図9は、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8と指向性アンテナの指向範囲とを示した図である。図7の時点で認識したスレーブ端末2〜5と図9の時点で認識したスレーブ端末4〜8とを比較すると、スレーブ端末2、3の認識が無くなっているため、スレーブ端末2、3よりもスレーブ端末4、5が右側にあると判断できる。
【0079】
このようにして、スレーブ端末2〜8の相対的な位置関係を判断する。そして、このスレーブ端末の相対的な位置関係の情報とBD_ADDRとをメインメモリ21に記憶しておく。また、マスター端末1は、メインメモリ21に記憶してある指向性アンテナ26の回転角度とスレーブ端末2〜8のBD_ADDRとの対応テーブルを参照する。そして、他の全てのBD_ADDRを含む回転角度へ指向性アンテナ26を回転させていく。
【0080】
マスター端末1は、上述のインクワイアリ手順で認識した7台のスレーブ端末2〜8と順次、通信コネクションを確立する。即ち、従来の動作で説明したように、各スレーブ端末とベースバンドレイヤのコネクションとリンク・マネージャ間(リンクレイヤ)のコネクションを確立する。そして、リンク・マネージャがLMP_name_req PDUを送信し、スレーブ端末2〜8からLMP_name_res PDUを受信すると、LMP_name_res PDUに含まれているスレーブ端末2〜8の端末名称を先に取得しているBD_ADDRと対応付けてメインメモリ21に記憶する。
【0081】
続いて、マスター端末1は、サービス・ディスカバリシーケンスを実行して、無線通信端末が電子会議のスレーブ端末であることを確認する。このとき、無線通信端末が電子会議のスレーブ端末でない場合には、先にBD_ADDRと対応付けてメインメモリ21に記憶したスレーブ端末の端末名称を消去する。そして、OBEXセッションを確立して通信コネクションを確立する。
【0082】
以上により、全てのスレーブ端末2〜8と同様の通信シーケンスを実行し、マスター端末1とスレーブ端末2〜8とからなるBluetoothネットワーク(ピコネット)が形成される。そして、先にメインメモリ21に記憶してある端末の位置関係の情報と端末名称とからスレーブ端末2〜8の端末名称とをその位置関係と対応した順番でLCD35に表示する。この端末名称を端末識別アイコンとして表示した表示例を後述する図10に示す。
【0083】
図10は、スレーブ端末の相対的な位置関係をアイコンで表した図である。このように、アイコンで表したスレーブ端末2〜8の相対的な位置関係が、実際に存在するスレーブ端末2〜8の相対的な位置関係と同じになる。なお、図10では、スレーブ端末の相対的な位置関係を示しており、スレーブ端末の絶対的な位置関係を表すものではない。
【0084】
次いで、マスター端末1は、スレーブ端末2〜8の相対的な位置関係に該端末の位置関係を追加した情報(全ての端末の端末名称を含む)を他の全てのスレーブ端末2〜8へそれぞれ送信する。この位置関係の情報は、OBEXセッションを使用して転送する。この位置関係の情報を受信したスレーブ端末2〜8は、それぞれ該端末の端末名称を基準として全ての端末識別アイコンを相対的な位置関係に基づいてLCD35に表示する。例えば、図10における端末名称「斉藤」の端末では、後述する図11のように表示される。ここで、「議長」とは、マスター端末1の端末名称のことである。
【0085】
図11は、「斉藤」から見たスレーブ端末2〜8のアイコンを表した図である。なお、マスター端末1の端末名称は「議長」である。全てのスレーブ端末2〜8が位置関係の情報を受信すると、電子会議が実行できる状態となる。なお、ファイル等を任意の宛先へ送信する場合、ドラッグ&ドロップ操作の宛先の選択肢として、この端末識別アイコンを利用するようにしてもよい。
【0086】
図12は、実施の形態1におけるマスター端末1の動作を示したフローチャートである。まず、ステップS1において、指向性アンテナがデフォルトの回転角度にセットされる。次いで、ステップS2では、インクワイアリ手順によりスレーブ端末2〜8が認識され、受信されたBD_ADDRが記憶される。ステップS3では、アンテナが1回転したかどうかが判断される。YESのときには、ステップS4に進み、NOのときにはステップS5に進む。ステップS4では、アンテナの回転角度と各位置で受信したBD_ADDRとから全てのスレーブ端末2〜8の位置関係が判断される。ステップS5ではアンテナが所定角度だけ回転され、ステップS2に戻る。
【0087】
ステップS6では、先に記憶した指向性アンテナ26の回転角度とBD_ADDRとの対応テーブルを参照して、全てのBD_ADDRを含む回転角度に指向性アンテナ26が回転させられる。ステップS7では、全てのスレーブ端末2〜8と通信コネクションが確立される。つまり、ピコネットが形成される。ステップS8では、全てのスレーブ端末2〜8の端末名称がその位置関係と対応づけられてLCD35に表示される。ステップS9では、該端末も含めた全ての端末の位置関係情報が全てのスレーブ端末2〜8に送信される。ステップS10では、電子会議が実行される。
【0088】
前述したように実施の形態1によれば、マスター端末1の指向性アンテナ26を回転させながら、スレーブ端末2〜8の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナ26の向きと受信された端末識別情報とに基づいて全てのスレーブ端末2〜8の相対的な位置が検出される。つまり、一つの無線通信端末の指向性アンテナによって他の全ての無線通信端末の指向性アンテナからの電波が受信され、その受信された電波に基づいて全ての無線通信端末の相対的な位置が判断される。
【0089】
また、実施の形態1では、無線通信端末が複数ある場合であっても全ての無線通信端末の相対的な位置を判断することができる。さらに、全ての無線通信端末の位置がLCD35に表示されるため、全ての無線通信端末の位置関係を視覚的に把握することができる。
【0090】
さらに、全ての無線通信端末の位置を検出するために指向性アンテナの向きまたは送信電波の向きを所定角度回転させる毎に、他の無線通信端末の指向性アンテナから端末識別情報を受信する。このため、他の無線通信端末の中でどの無線通信端末から電波を受信したのかを正確に判断することができる。即ち、方向および無線通信端末を正確に判断することができる。
【0091】
(実施の形態2)
以下、本発明における無線ネットワークシステムの実施の形態2について説明する。実施の形態2の構成は、後述する点を除き、図2〜6および図12中のS1〜S5に示した実施の形態1の構成とほぼ同様である。実施の形態1では、指向性アンテナ26を1回転させたときに全てのスレーブ端末の位置関係が判断できる場合を示したが、実施の形態2では、複数のスレーブ端末がマスター端末1から見てほぼ同じ方向に存在し、指向性アンテナ26を1回転させただけでは全てのスレーブ端末の位置関係を判断できない場合について説明する。
【0092】
図13は、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8の配置を示した図である。例えば、マスター端末1とスレーブ端末2〜8とが図13に示すように位置しており、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8がほぼ一直線上にあり、位置関係を判断することができない場合について説明する。
【0093】
インクワイアリ手順から、指向性アンテナ26の回転角度と各回転角度で受信したBD_ADDRとから検出した全てのスレーブ端末の相対的な位置関係を判断するまでの構成および動作は、後述する点を除いて、実施の形態1と同様である。図2〜6および図12中のS1〜S5が、これに該当する。
【0094】
実施の形態2では、図13に示した様に、スレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できない場合、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8のほぼ一直線上でないところに位置するスレーブ端末を推測する。即ち、指向性アンテナ26の回転角度とスレーブ端末のBD_ADDRとの対応テーブルから、マスター端末1から見て通信を行う場合の指向性アンテナ26の回転角度がスレーブ端末7またはスレーブ端末8の場合と異なるスレーブ端末を推測する。
【0095】
図13において、ほぼ一直線上に並ぶマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断する上で、該直線の方向と対向して位置するスレーブ端末の候補としてスレーブ端末3とスレーブ端末4等が挙げられる。このため、スレーブ端末3をマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるスレーブ端末と仮定する。そして、スレーブ端末3と通信できる向きにマスター端末1の指向性アンテナ26を回転させて、スレーブ端末3と通信コネクションを確立する。
【0096】
次いで、マスター端末1は、端末の位置関係を判断する動作を依頼するコマンド(位置関係判断依頼コマンド)をOBEXセッションによりスレーブ端末3へ送信する。なお、この位置関係判断依頼コマンドには、該端末のBD_ADDRを含めて送信する。スレーブ端末3は、位置関係判断依頼コマンドを受信すると、マスター端末1のBD_ADDRをメインメモリ21に記憶して、マスター端末1との通信コネクションを切断する。
【0097】
スレーブ端末3は、実施の形態1におけるマスター端末1と同様に動作して、指向性アンテナ26を回転させながら水平方向の全ての方向に存在するマスター端末1および他のスレーブ端末を認識して、指向性アンテナ26の回転角度と各回転角度で受信したBD_ADDRとから全ての端末の位置関係を判断していく。
【0098】
次に、スレーブ端末3は、メインメモリ21に記憶したマスター端末1のBD_ADDRを基にマスター端末1と通信できる向きに指向性アンテナ26を回転させ、マスター端末1と通信コネクションを確立する。そして、位置関係情報をOBEXセッションによりマスター端末1へ送信する。マスター端末1は、受信した位置関係情報をメインメモリ21に記憶して、スレーブ端末3との通信コネクションを切断する。
【0099】
マスター端末1は、スレーブ端末3から受信した位置関係情報より、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるかどうかをチェックする。ここで、スレーブ端末7とスレーブ端末8との相対的な位置関係を判断できない場合は、スレーブ端末4をマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるスレーブ端末と仮定する。次にスレーブ端末4と通信コネクションを確立し、スレーブ端末3のときと同様に位置関係判断依頼コマンドをOBEXセッションによりスレーブ端末4へ送信する。
【0100】
スレーブ端末4は、位置関係判断依頼コマンドを受信すると、先述のスレーブ端末3と同様の動作を実行して全てのスレーブ端末の位置関係を判断する。そして、位置関係情報をOBEXセッションによりマスター端末1へ送信する。マスター端末1は、受信した位置関係情報をメインメモリ21に記憶して、スレーブ端末3との通信コネクションを切断する。
【0101】
マスター端末1は、スレーブ端末3から受信した位置関係情報より、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるかどうかをチェックする。ここで、スレーブ端末7とスレーブ端末8との相対的な位置関係を判断できない場合、マスター端末1は、さらに、他のスレーブ端末へ位置関係判断依頼コマンドを送信していく。
【0102】
この様にスレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できるまで、上述の動作を繰り返す。マスター端末1がスレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できた場合、先にマスター端末1で判断した位置関係情報と他のスレーブ端末から受信した位置関係情報とを併せて全ての端末の相対的な位置関係情報とする。
【0103】
次いで、マスター端末1は、メインメモリ21に記憶してある指向性アンテナ26の回転角度とスレーブ端末2〜8のBD_ADDRとの対応テーブルを参照して、全てのBD_ADDRを含む回転角度を判断し、その回転角度になるようにアンテナ回転機構25を駆動させていく。マスター端末1は、上述のインクワイアリ手順で認識した7台のスレーブ端末2〜8と順次、通信コネクションを確立して、マスター端末1とスレーブ端末2〜8とから成るBluetoothネットワーク(ピコネット)が形成される。
【0104】
全てのスレーブ端末の位置関係情報と端末名称とから、スレーブ端末2〜8の端末識別アイコンを相対的な位置関係と対応した順番でLCD35に表示する。この端末識別アイコンを表示した表示例は、実施の形態1で示した図10と同様である。
【0105】
マスター端末1は、該端末を含めた全ての端末の位置関係情報および端末名称を全てのスレーブ端末2〜8へそれぞれ送信する。この位置関係の情報を受信したスレーブ端末2〜8は、それぞれ該端末の端末名称を基準として他の全ての端末識別アイコンを相対的な位置関係に基づいてLCD35に表示していく。全てのスレーブ端末が位置関係の情報を受信して、端末識別アイコンが表示されると、電子会議が実行できる状態となる。
【0106】
図14および図15は、実施の形態2におけるマスター端末1の動作を示したフローチャートである。ステップS1〜S5までは、実施の形態1で示した手順と同様である。
【0107】
ステップS21では、全てのスレーブ端末の位置関係が判断できたかどうかが判断される。YESのときにはステップS6に進み、NOのときにはステップS22に進む。ステップS6〜S10までは、実施の形態1で示した手順と同様である。
【0108】
ステップS22では、位置関係を判断できないスレーブ端末に対向するスレーブ端末が推測される。換言すれば、マスター端末1から見て相対的な位置関係を判断できないスレーブ端末が並ぶ方向に対向するように位置するスレーブ端末が推測される。ステップS23では、対向して位置するスレーブ端末へ位置関係判断依頼コマンドを送信し、該スレーブ端末から応答された位置関係情報を受信する。次いでステップS24では、位置関係を判断できなかったスレーブ端末が位置関係を判断できるようになったかどうか判断される。YESのときにはステップS25に進み、NOのときにはステップS26に進む。
【0109】
ステップS25では、受信した位置関係情報と先に該端末で判断した位置関係情報とから全ての端末の位置関係情報を更新し、ステップS6に戻る。ステップS26では、別のスレーブ端末が推測され、ステップS23に戻る。
【0110】
前述したように実施の形態2によれば、マスター端末1は、指向性アンテナ26を回転させてスレーブ端末2〜8の指向性アンテナ26からの端末識別情報を受信して相対的な位置を判断する。さらに、マスター端末1から見て相対的な位置が判断できないスレーブ端末については、相対的な位置関係を判断できないスレーブ端末が並ぶ方向に対向するように位置するスレーブ端末に位置関係情報の判断を依頼する。また、相対的な位置関係の判断においては、端末から受信した端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの指向性アンテナ26の回転角度と、から判断される。
【0111】
このため、スレーブ端末がマスター端末1から見て重複する位置に複数ある場合でも、全てのスレーブ端末の位置を判断することができる。さらに、全てのスレーブ端末の位置がLCD35に表示されるため、全てのスレーブ端末の位置関係を視覚的に把握することができる。
【0112】
さらに、全てのスレーブ端末の位置関係を判断するために指向性アンテナ26の向きを所定角度回転させる毎に、他のスレーブ端末の指向性アンテナ26から端末識別情報を受信することが試みられる。このため、正確にどのスレーブ端末から電波を受信したのかを正確に判断することができる。即ち、どの方向にどのスレーブ端末があるのかを正確に判断することができる。
【0113】
(実施の形態3)
以下、本発明における無線ネットワークシステムの実施の形態3について説明する。実施の形態3の構成は、後述する点を除き、図2〜6および図12中のS1〜S5に示した実施の形態1の構成とほぼ同様である。実施の形態3では、指向範囲(放射角度)の異なる複数の指向性アンテナ46、47が実装されており、回転機構を伴った指向範囲の最も狭い指向性アンテナ47を使用して、ローカルな無線ネットワークに接続されたスレーブ端末の位置関係を判断する。実施の形態3では、位置関係を判断するマスター端末1から見て全てのスレーブ端末が異なった方向に存在している場合について説明する。
【0114】
図16は、実施の形態3における携帯型表示パッドの内部構成図である。主な構成は、実施の形態1における図3で示した携帯型表示パッド10とほぼ同様であるので、ここでは、異なる部分のみを説明する。
【0115】
図16に示した実施の形態3における携帯型表示パッドは、実施の形態1で示した指向性アンテナ26に代わって、アンテナ切替スイッチ44と、アンテナ45と、指向性アンテナ46、47と、を備えている点が異なる。
【0116】
以上の構成において、その動作を説明する。アンテナコントローラ24からの指示に従い、アンテナ切替スイッチ44は、Bluetoothモジュール23との接続をアンテナ45またはアンテナ回転機構25によって駆動される指向性アンテナ46、47へ切り替える。
【0117】
アンテナ45は無指向性であり、例えば、小型ヘリカルアンテナが挙げられる。指向性アンテナ46、47は、それぞれ指向範囲(角度)が異なる平面アンテナであり、「指向性アンテナ46の指向範囲>指向性アンテナ47の指向範囲」とする。ここでは、指向性アンテナ46は±60度の指向性を有し、指向性アンテナ47は±30度の指向性を有する場合を考える。指向性のある平面アンテナとして、例えば、特開平11−330846号公報の図1に記載された平面アンテナが挙げられる。また、端末の位置関係を精度よく判断するためには、指向性アンテナ47の指向範囲をできるだけ狭くするとよい。
【0118】
特開平11−330846号公報の図2に示されたコルゲート溝の深さCL(Corrugation Length)の寸法を変化させることにより、電波の放射面であるE(E−plane)面の指向範囲を変えることができる。このE面は、後述する図17に示すように電界の振動する方向(偏波方向)を含む面のことである。
【0119】
図17は、平面アンテナ、電界の振動方向等を示した図である。図17では、平面アンテナの平面が垂直方向にある場合を示している。指向性アンテナ46と指向性アンテナ47は、E面が水平方向になるように、すなわち平面アンテナの平面が水平方向になるように実装されている。
【0120】
マスター端末1は、無指向性のアンテナ45を使用してインクワイアリ手順により通信可能な全てのスレーブ端末を認識する。即ち、マスター端末1は、IDパケットを繰り返し送信し、これを受信したスレーブ端末はBluetoothデバイスアドレス(BD_ADDR)、自端末のシステムクロック等を含めたFHSパケットをそれぞれマスター端末1へ送信する。マスター端末1は、受信したFHSパケットの個数(BD_ADDRの個数)からスレーブ端末の台数を認識する。
【0121】
実施の形態3では、実施の形態1で示した図1のBluetoothネットワークを例に説明する。認識したスレーブ端末数2〜8と受信したBD_ADDRとは、メインメモリ21に記憶しておく。
【0122】
次に、マスター端末1は、位置関係特定モードになり、Bluetoothモジュール23と指向範囲の最も狭い指向性アンテナ47が接続するようにスイッチ44を切り替え、アンテナ回転機構25を駆動して指向性アンテナ47を所定の角度だけ回転させ、スレーブ端末2〜8との接続を試みる。即ち、マスター端末1は、スレーブ端末2〜8の7台から受信したそれぞれのBD_ADDRについて、該下位アドレスであるLAPから導き出される同期ワードを含めたIDパケットを送信していく。
【0123】
次いで、マスター端末1は、スレーブ端末2〜8に対してそれぞれベースバンドレイヤのコネクション確立を行うが、実施の形態1において示したものと同様であるため、説明は省略する。
【0124】
次いで、マスター端末1は、スレーブ端末2〜8に対してそれぞれリンク・マネージャ間のコネクション確立を行うが、実施の形態1において示したものと同様の手順であるため、手順についての説明は省略する。
【0125】
但し、マスター端末1のリンク・マネージャが、LMP_name_req PDUを送信し、スレーブ端末2〜8からLMP_name_res PDUを受信したとき、マスター端末1は、LMP_name_res PDUに含まれているスレーブ端末2〜8の端末名称と、指向性アンテナ47の回転角度(基準位置からの角度)と、先に取得しているBD_ADDRと、を対応付けてメインメモリ21に記憶していく。
【0126】
次いで、マスター端末1は、スレーブ端末2〜8に対してそれぞれSDPコネクションの確立を行うが、実施の形態1において示したものと同様であるため、説明は省略する。電子会議のスレーブ端末でない場合には、先にBD_ADDRと対応付けてメインメモリ21に記憶した端末名称を消去し、該スレーブ端末との通信コネクションを切断する。
【0127】
さらに、マスター端末1は、残りのスレーブ端末のBD_ADDRから、該下位アドレスであるLAPを抽出し、LAPから導き出される同期ワードを含めたIDパケットを送信して、スレーブ端末からの応答の有無をチェックする。応答があった場合はベースバンドレイヤのコネクション確立から上記SDPコネクションの確立までと同様の動作を実行して、スレーブ端末の端末名称、指向性アンテナ47の回転角度およびBD_ADDRをメインメモリ21に記憶する。そして、上記の動作を繰り返して、インクワイアリ手順時に認識した全てのスレーブ端末について応答の有無をチェックする。
【0128】
応答のチェックが終了すると、指向性アンテナ47を所定の角度だけ回転させて、上記と同様な動作を実行して、インクワイアリ手順時に認識した全てのスレーブ端末について応答をチェックする。以降、指向性アンテナ47が1回転するまで、同様な動作を繰り返す。指向性アンテナ47が1回転すると、指向性アンテナ47の回転角度と各回転角度で受信したBD_ADDRとから全てのスレーブ端末の位置関係を判断する。そして、メインメモリ21に記憶したスレーブ端末の端末名称をその回転角度と対応した順番でLCD35に表示する。
【0129】
この端末名称を端末識別アイコンとして表示した表示例が、実施の形態1で示した図10である。この様にスレーブ端末2〜8の端末識別アイコンの相対的な位置関係が、実際に存在するスレーブ端末の相対的な位置関係と同じになる。なお、図10の例では、スレーブ端末の相対的な位置関係を示しており、スレーブ端末の絶対的な位置を表すものではない。
【0130】
次に、マスター端末1は、Bluetoothモジュール23と無指向性アンテナ45が接続するようにスイッチ44を切り替える。そして、インクワイアリ手順以降からBluetoothネットワーク(ピコネット)を形成するまでの従来の通信シーケンスを実行する。
【0131】
マスター端末1は、該端末を基準としたスレーブ端末2〜8の相対的な位置関係の情報を全てのスレーブ端末2〜8へそれぞれ送信する。この位置関係の情報はOBEXセッションにより転送する。この位置関係の情報を受信したスレーブ端末2〜8は、それぞれ該端末の端末識別アイコンを基準として他の全ての端末識別アイコンを相対的な位置関係に基づいてLCD35に表示する。例えば、実施の形態1で示した図10における端末名称「斉藤」の端末では、図11のように表示される。なお、マスター端末1の端末名称は「議長」である。そして、全てのスレーブ端末が位置関係の情報を受信すると、電子会議が実行できる状態となる。
【0132】
なお、ファイル等を任意の宛先へ送信する場合、ドラッグ&ドロップ操作の宛先の選択肢として、この端末識別アイコンを利用するようにしてもよい。
【0133】
図18および図19は、実施の形態3におけるマスター端末1の動作を示したフローチャートである。ステップS30において、無指向性アンテナ45を使用して、インクワイアリ手順により通信可能な全てのスレーブ端末数N(Nは整数)が認識され、対応するBD_ADDRが記憶される。ステップS31では、指向範囲の最も狭い指向性アンテナ47に切り替えられる。ステップS32ではアンテナ回転機構25を駆動して指向性アンテナ47を所定角度だけ回転する。ステップS33では、k=1とする。
【0134】
次いで、ステップS34では、記憶されたk番目のBD_ADDRの下位アドレスから導き出される同期ワードを含めたIDパケットが送信される。ステップS35では、IDパケットが受信されたかどうかが判断される。YESのときにはステップS36に進み、NOのときにはステップS39に進む。ステップS36では、ベースバンドレイヤのコネクションが確立され、ステップS37ではリンク・マネージャ間のコネクションが確立され、ステップS38では、LMP_name_req PDUが送信され、その応答であるLMP_name_res PDUに含まれたスレーブ端末の端末名称が指向性アンテナ47の回転角度に対応付けて記憶され、ステップS41に進む。
【0135】
一方、ステップS39では、k=Nであるかどうかが判断される。YESのときにはステップS32に戻り、NOのときにはステップS40に進む。ステップS40ではk=k+1とされ、ステップS34に戻る。
【0136】
ステップS41では、サービス・ディスカバリシーケンスが実行される。ステップS42では、相手が電子会議端末であるかどうかが判断される。YESのときにはステップS43に進み、NOのときにはステップS44に進む。ステップS44では、先に記憶された端末名称が消去され、ステップS43に進む。ステップS43では、通信コネクションが切断される。
【0137】
次いで、ステップS45では、k=Nであるかどうかが判断される。YESのときにはステップS46に進み、NOのときにはステップS47に進む。ステップS47では、k=k+1とされ、ステップS34に戻る。一方、ステップS46では、指向性アンテナ47が1回転したかどうかが判断される。YESのときにはステップS48に進み、NOのときにはステップS32に戻る。ステップS48では、指向性アンテナ47の回転角度と各回転角度で受信したBD_ADDRとから全てのスレーブ端末の相対的な位置関係が判断される。
【0138】
次いで、ステップS49では、スレーブ端末の端末名称が回転角度と対応した順番でLCD35に表示される。ステップS50では無指向性アンテナ45に切り替えられる。ステップS51では、各スレーブ端末と接続してピコネットが形成される。ステップS52では、全てのスレーブ端末とマスター端末1との相対的な位置関係情報が全てのスレーブ端末に送信される。ステップS53では、電子会議が実行される。
【0139】
前述したように実施の形態3によれば、マスター端末1の指向性アンテナ47を回転させながら他のスレーブ端末2〜8の指向性アンテナ47からの端末識別情報を受信し、指向性アンテナ47の回転角度と受信した端末識別情報とに基づいて全てのスレーブ端末の相対的な位置関係が判断される。このため、スレーブ端末が複数ある場合でも全てのスレーブ端末の位置関係を判断することができる。
【0140】
さらに、全てのスレーブ端末2〜8の位置がLCD35に表示されるため、全てのスレーブ端末2〜8の位置関係を視覚的に把握することができる。また、マスター端末1の指向範囲が最も狭い指向性アンテナ47を回転させながら他のスレーブ端末2〜8から端末識別情報を受信するため、指向範囲が比較的広い指向性アンテナ46によって他のスレーブ端末2〜8の指向性アンテナからの端末識別情報を受信する場合よりも、全てのスレーブ端末の位置関係を正確に判断することができる。
【0141】
さらに、全てのスレーブ端末2〜8の位置関係を判断するために指向性アンテナ47の向きを所定角度回転させる毎に、他のスレーブ端末2〜8の指向性アンテナ47から端末識別情報を受信することを試みる。このため、他のスレーブ端末2〜8の中でどのスレーブ端末から電波を受信したのかを正確に判断することができる。即ち、どの方向にどのスレーブ端末があるのかを正確に判断することができる。
【0142】
(実施の形態4)
以下、本発明における無線ネットワークシステムの実施の形態4について説明する。実施の形態4の構成は、後述する点を除き、上述した実施の形態3の構成とほぼ同様である。実施の形態3では、アンテナを1回転させた時に全てのスレーブ端末の位置関係が判断できる場合を示したが、実施の形態4では、複数のスレーブ端末がマスター端末1から見てほぼ同じ方向に存在し、アンテナを1回転させただけでは全てのスレーブ端末の位置関係を判断できない場合について説明する。
【0143】
例えば、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8が実施の形態2で示した図13に示すように位置しており、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8がほぼ一直線上にあり、位置関係を判断することができない場合について説明する。
【0144】
インクワイアリ手順から、指向性アンテナ47の回転角度と各回転角度で受信したBD_ADDRとから検出した全てのスレーブ端末の相対的な位置関係を判断するまでの構成および動作は、後述する点を除いて、実施の形態3と同様である。図18および図19のS30〜S48が、これに該当する。
【0145】
実施の形態4では、図13に示した様に、スレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できない場合、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8のほぼ一直線上でないところに位置するスレーブ端末を推測する。即ち、指向性アンテナ47の回転角度とスレーブ端末のBD_ADDRとの対応テーブルから、マスター端末1から見て通信を行う場合の指向性アンテナ47の回転角度がスレーブ端末7またはスレーブ端末8の場合と異なるスレーブ端末を推測する。
【0146】
図13において、ほぼ一直線上に並ぶマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断する上で、該直線の方向と対向して位置するスレーブ端末の候補としてスレーブ端末3とスレーブ端末4等が挙げられる。このため、スレーブ端末3をマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるスレーブ端末と仮定する。そして、スレーブ端末3と通信できる向きにマスター端末1の指向性アンテナ47を回転させて、スレーブ端末3と通信コネクションを確立する。
【0147】
次いで、マスター端末1は、端末の位置関係を判断する動作を依頼するコマンド(位置関係判断依頼コマンド)をOBEXセッションによりスレーブ端末3へ送信する。なお、この位置関係判断依頼コマンドには、該端末のBD_ADDRを含めて送信する。スレーブ端末3は、位置関係判断依頼コマンドを受信すると、マスター端末1のBD_ADDRをメインメモリ21に記憶して、マスター端末1との通信コネクションを切断する。
【0148】
スレーブ端末3は、実施の形態3におけるマスター端末1と同様に動作して、指向性アンテナ47を回転させながら水平方向の全ての方向に存在するマスター端末1および他のスレーブ端末を認識して、指向性アンテナ47の回転角度と各回転角度で受信したBD_ADDRとから全ての端末の位置関係を判断していく。
【0149】
次に、スレーブ端末3は、メインメモリ21に記憶したマスター端末1のBD_ADDRを基にマスター端末1と通信できる向きに指向性アンテナ47を回転させ、マスター端末1と通信コネクションを確立する。そして、位置関係情報をOBEXセッションによりマスター端末1へ送信する。マスター端末1は、受信した位置関係情報をメインメモリ21に記憶して、スレーブ端末3との通信コネクションを切断する。
【0150】
マスター端末1は、スレーブ端末3から受信した位置関係情報より、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるかどうかをチェックする。ここで、スレーブ端末7とスレーブ端末8との相対的な位置関係を判断できない場合は、スレーブ端末4をマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるスレーブ端末と仮定する。次にスレーブ端末4と通信コネクションを確立し、スレーブ端末3のときと同様に位置関係判断依頼コマンドをOBEXセッションによりスレーブ端末4へ送信する。
【0151】
スレーブ端末4は、位置関係判断依頼コマンドを受信すると、先述のスレーブ端末3と同様の動作を実行して全てのスレーブ端末の位置関係を判断する。そして、位置関係情報をOBEXセッションによりマスター端末1へ送信する。マスター端末1は、受信した位置関係情報をメインメモリ21に記憶して、スレーブ端末3との通信コネクションを切断する。
【0152】
マスター端末1は、スレーブ端末3から受信した位置関係情報より、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるかどうかをチェックする。ここで、スレーブ端末7とスレーブ端末8との相対的な位置関係を判断できない場合、マスター端末1は、さらに、他のスレーブ端末へ位置関係判断依頼コマンドを送信していく。
【0153】
この様にスレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できるまで、上述の動作を繰り返す。マスター端末1がスレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できた場合、先にマスター端末1で判断した位置関係情報と他のスレーブ端末から受信した位置関係情報とを併せて全ての端末の相対的な位置関係情報とする。
【0154】
次いで、マスター端末1は、メインメモリ21に記憶してある指向性アンテナ47の回転角度とスレーブ端末2〜8のBD_ADDRとの対応テーブルを参照して、全てのBD_ADDRを含む回転角度を判断し、その回転角度になるようにアンテナ回転機構25を駆動させていく。マスター端末1は、上述のインクワイアリ手順で認識した7台のスレーブ端末2〜8と順次、通信コネクションを確立して、マスター端末1とスレーブ端末2〜8とから成るBluetoothネットワーク(ピコネット)が形成される。
【0155】
全てのスレーブ端末の位置関係情報と端末名称とから、スレーブ端末2〜8の端末識別アイコンを相対的な位置関係と対応した順番でLCD35に表示する。この端末識別アイコンを表示した表示例は、実施の形態1で示した図10と同様である。
【0156】
マスター端末1は、該端末を含めた全ての端末の位置関係情報および端末名称を全てのスレーブ端末2〜8へそれぞれ送信する。この位置関係の情報を受信したスレーブ端末2〜8は、それぞれ該端末の端末名称を基準として他の全ての端末識別アイコンを相対的な位置関係に基づいてLCD35に表示していく。全てのスレーブ端末が位置関係の情報を受信して、端末識別アイコンが表示されると、電子会議が実行できる状態となる。
【0157】
図20〜図22は、実施の形態4におけるマスター端末1の動作を示したフローチャートである。ステップS30〜S48までは、実施の形態3で示したものと同様である。
【0158】
ステップS80では、全てのスレーブ端末の位置関係が判断できたかどうかが判断される。YESの場合には、ステップS49に進み、NOの場合には、ステップS85に進む。ステップS49〜S53までは、実施の形態3で示したものと同様である。
【0159】
一方、ステップS85では、位置関係を判断できないスレーブ端末に対向するスレーブ端末が推測される。換言すれば、マスター端末1から見て相対的な位置関係を判断できないスレーブ端末が並ぶ方向に対向するように位置するスレーブ端末が推測される。ステップS86では、対向して位置するスレーブ端末へ位置関係判断依頼コマンドを送信し、該スレーブ端末から応答された位置関係情報を受信する。
【0160】
次いで、ステップS87では、位置関係を判断できなかったスレーブ端末が位置関係を判断できるようになったかどうかが判断される。YESのときにはステップS88に進み、NOのときにはステップS89に進む。ステップS88では、受信した位置関係情報と先に自端末で判断した位置関係情報とから全ての端末の位置関係情報を更新し、ステップS49に戻る。ステップS89では、別のスレーブ端末が推測され、ステップS86に戻る。
【0161】
前述したように実施の形態4によれば、マスター端末1は、指向性アンテナ47を回転させてスレーブ端末2〜8からの端末識別情報を受信して相対的な位置を判断する。さらに、マスター端末1から見て相対的な位置が判断できないスレーブ端末については、相対的な位置関係を判断できないスレーブ端末が並ぶ方向に対向するように位置するスレーブ端末に位置関係情報の判断を依頼する。また、相対的な位置関係の判断においては、端末から受信した端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの指向性アンテナ47の回転角度と、から判断される。
【0162】
このため、スレーブ端末がマスター端末1から見て重複する位置に複数ある場合でも、全てのスレーブ端末の位置を判断することができる。さらに、全てのスレーブ端末の位置がLCD35に表示されるため、全てのスレーブ端末の位置関係を視覚的に把握することができる。
【0163】
さらに、全てのスレーブ端末の位置関係を判断するために指向性アンテナ47の向きを所定角度回転させる毎に、他のスレーブ端末の指向性アンテナ47から端末識別情報を受信することが試みられる。このため、正確にどのスレーブ端末から電波を受信したのかを正確に判断することができる。即ち、どの方向にどのスレーブ端末があるのかを正確に判断することができる。
【0164】
さらに、全てのスレーブ端末2〜8の位置がLCD35に表示されるため、全てのスレーブ端末2〜8の位置関係を視覚的に把握することができる。また、マスター端末1の指向範囲が最も狭い指向性アンテナ47を回転させながら他のスレーブ端末2〜8から端末識別情報を受信するため、指向範囲が比較的広い指向性アンテナ46によって他のスレーブ端末2〜8の指向性アンテナからの端末識別情報を受信する場合よりも、全てのスレーブ端末の位置関係を正確に判断することができる。
【0165】
(実施の形態5)
以下、本発明における無線ネットワークシステムの実施の形態5について説明する。実施の形態5の構成は、後述する点を除き、上述した実施の形態3の構成とほぼ同様である。実施の形態3では、指向範囲の異なる複数の指向性アンテナ46、47の中から指向範囲の最も狭い指向性アンテナ47を使用して、ローカルな無線ネットワークに接続した端末の位置関係を判断する場合を示したが、実施の形態5では、指向範囲を可変にできるアダプティブアレイアンテナを使用して、端末の位置関係を判断する方法について説明する。実施の形態5では、位置関係を判断する端末から見て、全ての端末が異なった方向に存在している場合に適用する。
【0166】
図23は、実施の形態5における携帯型表示パッドの内部構成図である。主な構成は、実施の形態3における図16で示した携帯型表示パッドとほぼ同様であるので、ここでは、異なる部分のみを説明する。
【0167】
図23に示した実施の形態5における携帯型表示パッドは、実施の形態3で示したアンテナ回転機構25、スイッチ44、無指向性アンテナ45および指向性アンテナ46、47に代わって、指向範囲を可変可能なアダプティブアレイアンテナ60を備えている点が異なる。
【0168】
図24は、アダプティブアレイアンテナ60の内部構成図である。アダプティブアレイアンテナ60は、アンテナ61〜67と、送信電波の電力を制御する重み付け回路アレイ70と、から構成される。また、重み付け回路アレイ70は、各アンテナ61〜67それぞれの送信電波の電力を制御する重み付け回路71〜77と、各アンテナ61〜67から出力される各受信信号を合成する合成器78と、から構成される。
【0169】
以上の構成において、その動作を説明する。アンテナコントローラ24は、送信電波の方向、指向範囲、送信電力を変えるため、アダプティブアレイアンテナ60の重み付け回路アレイ70の中の各重み付け回路を制御する。図24において、送信信号線および受信信号線は、Bluetoothモジュール23と接続され、また、制御信号線は、アンテナコントローラ24と接続されている。アンテナ61〜67は、重み付け回路アレイ60中の重み付け回路71〜77にそれぞれ接続され、後述する図25に示すように配置されている。
【0170】
図25は、アダプティブアレイアンテナ60の概観図である。アンテナ61〜アンテナ67は、送信電波が水平方向により多く放射されるように実装されている。ここで、アンテナコントローラ24、重み付け回路アレイ60、アンテナ61〜アンテナ67は、アダプティブアレイアンテナとして機能する。即ち、アンテナコントローラ24が重み付け回路71〜77の重み付けを制御することで、送信電波の方向、指向範囲、送信電力を可変にすることができる。
【0171】
以上の構成において、その動作について説明する。マスター端末1は、アダプティブアレイアンテナ60を無指向性にして、インクワイアリ手順によりマスター端末1と通信できる全てのスレーブ端末を認識する。その動作の詳細については、実施の形態3で示したインクワイアリ手順において、無指向性アンテナ45を無指向性としたアダプティブアレイアンテナ60に置き換えて実行したものと同様である。
【0172】
次に、マスター端末1は、アダプティブアレイアンテナ60の指向範囲を最も狭くし、電波を放射する方向を回転させるように重み付け回路アレイ70を制御して、スレーブ端末2〜8との接続を試みる。即ち、マスター端末1は、スレーブ端末2〜8の7台から受信したそれぞれのBD_ADDRについて、該下位アドレスであるLAPから導き出される同期ワードを含めたIDパケットを送信していく。また、スレーブ端末の位置関係を精度よく判断するためには、アダプティブアレイアンテナ60の指向範囲をできるだけ狭くするとよい。
【0173】
さらに、ベースバンドレイヤのコネクション確立からピコネットを形成して電子会議が実行できるようになるまでの動作は、実施の形態3で示した動作と以下の点を除き、同様である。異なる点としては、無指向性アンテナ45を無指向性としたアダプティブアレイアンテナ60に置き換えたため、指向性アンテナを回転させるという点が電波を放射する方向を回転させるという点になり、無指向性アンテナに切り替えるという点をアダプティブアレイアンテナ60を無指向性にするという点である。
【0174】
図26および図27は、実施の形態5のマスター端末1の動作を示したフローチャートである。ステップS90において、アダプティブアレイアンテナ60を無指向性にして、インクワイアリ手順により通信可能なスレーブ端末数Nが認識され、NとBD_ADDRが記憶される。ステップS91では、アダプティブアレイアンテナ60の指向範囲が最も狭くされる。
【0175】
次いで、ステップS92では、送信電波の方向を所定角度だけ回転させる。ステップS93では、k=1とされる。ステップS94では、記憶されたk番目のBD_ADDRの下位アドレスから導き出される同期ワードを含めたIDパケットが送信される。ステップS95では、IDパケットが受信されたかどうかが判断される。YESのときには、ステップS96に進み、NOのときには、ステップS99に進む。
【0176】
ステップS96では、ベースバンドレイヤのコネクションが確立され、ステップS97では、リンク・マネージャ間のコネクションが確立される。ステップS98では、LMP_name_req PDUが送信され、その応答であるLMP_name_res PDUに含まれたスレーブ端末の端末名称が送信電波の方向に対応付けて記憶され、ステップS101に進む。ステップS99では、k=Nであるかどうが判断される。YESのときには、ステップS92に戻り、NOのときには、ステップS100に進む。ステップS100では、k=k+1とされ、ステップS94に戻る。
【0177】
ステップS101では、サービス・ディスカバリシーケンスが実行される。ステップS102では、相手が電子会議端末であるかどうかが判断される。YESのときには、ステップS103に進み、NOのときには、ステップS104に進む。ステップS104では、先に記憶されたスレーブ端末の端末名称が消去され、ステップS103に進む。ステップS103では、通信コネクションが切断される。
【0178】
次いで、ステップS105では、k=Nであるか否かが判断される。YESのときには、ステップS106に進み、NOのときには、ステップS107に進む。ステップS107では、k=k+1とされ、ステップS94に戻る。ステップS106では、送信電波の方向が1回転したかどうかが判断される。YESのときには、ステップS108に進み、NOのときには、ステップS92に戻る。ステップS108では、送信電波の方向と各方向で受信したBD_ADDRとから全てのスレーブ端末の位置関係が判断される。
【0179】
次いで、ステップS109では、スレーブ端末の端末識別アイコンが送信電波の回転角度と対応した順番でLCD35に表示される。ステップS110では、アダプティブアレイアンテナ60が無指向性にされる。ステップS111では、スレーブ端末2〜8と接続してピコネットが形成される。ステップS112では、スレーブ端末2〜8とマスター端末1の相対的な位置関係情報がスレーブ端末2〜8へ送信される。ステップS113では、電子会議が実行される。
【0180】
前述したように実施の形態5によれば、マスター端末1のアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を回転させながら、他のスレーブ端末2〜8からの端末識別情報を受信し、アダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向と受信した端末識別情報とに基づいて全てのスレーブ端末の相対的な位置関係が判断される。このため、スレーブ端末が複数ある場合でも全てのスレーブ端末の位置関係を判断することができる。
【0181】
さらに、全てのスレーブ端末2〜8の位置がLCD35に表示されるため、全てのスレーブ端末2〜8の位置関係を視覚的に把握することができる。また、アダプティブアレイアンテナ60の指向範囲を最も狭くして、電波を放射する方向を回転させながら他のスレーブ端末2〜8から端末識別情報を受信するため、指向範囲が比較的広い指向性アンテナによって他のスレーブ端末2〜8の指向性アンテナからの端末識別情報を受信する場合よりも、全てのスレーブ端末の位置関係を正確に判断することができる。
【0182】
さらに、全てのスレーブ端末2〜8の位置関係を判断するためにアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を所定角度回転させる毎に、他のスレーブ端末2〜8から端末識別情報を受信することを試みる。このため、他のスレーブ端末2〜8の中でどのスレーブ端末から電波を受信したのかを正確に判断することができる。即ち、どの方向にどのスレーブ端末があるのかを正確に判断することができる。
【0183】
(実施の形態6)
以下、本発明における無線ネットワークシステムの実施の形態6について説明する。実施の形態6の構成は、後述する点を除き、上述した実施の形態5の構成とほぼ同様である。実施の形態5では、電波を放射する方向を1回転させた時に全てのスレーブ端末の位置関係が判断できる場合を示したが、実施の形態6では、複数のスレーブ端末がマスター端末1から見てほぼ同じ方向に存在し、電波を放射する方向を1回転させただけでは全てのスレーブ端末の位置関係を判断できない場合について説明する。
【0184】
例えば、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8が実施の形態2で示した図13に示すように位置しており、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8がほぼ一直線上にあり、位置関係を判断することができない場合について説明する。
【0185】
インクワイアリ手順から、アダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向と各方向で受信したBD_ADDRとから検出した全てのスレーブ端末の相対的な位置関係を判断するまでの構成および動作は、後述する点を除いて、実施の形態5と同様である。
【0186】
実施の形態6では、図13のようなスレーブ端末7とスレーブ端末8の位置関係を判断できない場合、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8のほぼ一直線上でないところに位置するスレーブ端末を推測する。即ち、アダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向とスレーブ端末のBD_ADDRとの対応テーブルから、マスター端末1から見て通信を行う場合のアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向がスレーブ端末7またはスレーブ端末8の場合と異なるスレーブ端末を推測する。
【0187】
図13において、ほぼ一直線上に並ぶマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断する上で、該直線の方向と対向して位置するスレーブ端末の候補としてスレーブ端末3とスレーブ端末4等が挙げられる。このため、スレーブ端末3をマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるスレーブ端末と仮定する。そして、スレーブ端末3と通信できる向きにマスター端末1のアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を回転させて、スレーブ端末3と通信コネクションを確立する。
【0188】
次いで、マスター端末1は、端末の位置関係を判断する動作を依頼するコマンド(位置関係判断依頼コマンド)をOBEXセッションによりスレーブ端末3へ送信する。なお、この位置関係判断依頼コマンドには、該端末のBD_ADDRを含めて送信する。スレーブ端末3は、位置関係判断依頼コマンドを受信すると、マスター端末1のBD_ADDRをメインメモリ21に記憶して、マスター端末1との通信コネクションを切断する。
【0189】
スレーブ端末3は、実施の形態3におけるマスター端末1と同様に動作して、アダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を回転させながら水平方向の全ての方向に存在するマスター端末1および他のスレーブ端末を認識して、アダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向と各方向で受信したBD_ADDRとから全ての端末の位置関係を判断していく。
【0190】
次に、スレーブ端末3は、メインメモリ21に記憶したマスター端末1のBD_ADDRを基にマスター端末1と通信できる向きにアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を回転させ、マスター端末1と通信コネクションを確立する。そして、位置関係情報をOBEXセッションによりマスター端末1へ送信する。マスター端末1は、受信した位置関係情報をメインメモリ21に記憶して、スレーブ端末3との通信コネクションを切断する。
【0191】
マスター端末1は、スレーブ端末3から受信した位置関係情報より、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるかどうかをチェックする。ここで、スレーブ端末7とスレーブ端末8との相対的な位置関係を判断できない場合は、スレーブ端末4をマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるスレーブ端末と仮定する。次にスレーブ端末4と通信コネクションを確立し、スレーブ端末3のときと同様に位置関係判断依頼コマンドをOBEXセッションによりスレーブ端末4へ送信する。
【0192】
スレーブ端末4は、位置関係判断依頼コマンドを受信すると、先述のスレーブ端末3と同様の動作を実行して全てのスレーブ端末の位置関係を判断する。そして、位置関係情報をOBEXセッションによりマスター端末1へ送信する。マスター端末1は、受信した位置関係情報をメインメモリ21に記憶して、スレーブ端末3との通信コネクションを切断する。
【0193】
マスター端末1は、スレーブ端末3から受信した位置関係情報より、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるかどうかをチェックする。ここで、スレーブ端末7とスレーブ端末8との相対的な位置関係を判断できない場合、マスター端末1は、さらに、他のスレーブ端末へ位置関係判断依頼コマンドを送信していく。
【0194】
この様にスレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できるまで、上述の動作を繰り返す。マスター端末1がスレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できた場合、先にマスター端末1で判断した位置関係情報と他のスレーブ端末から受信した位置関係情報とを併せて全ての端末の相対的な位置関係情報とする。
【0195】
次いで、マスター端末1は、メインメモリ21に記憶してあるアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向とスレーブ端末2〜8のBD_ADDRとの対応テーブルを参照して、全てのBD_ADDRを含む回転角度を判断し、その方向になるようにアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向回転させていく。マスター端末1は、上述のインクワイアリ手順で認識した7台のスレーブ端末2〜8と順次、通信コネクションを確立して、マスター端末1とスレーブ端末2〜8とから成るBluetoothネットワーク(ピコネット)が形成される。
【0196】
全てのスレーブ端末の位置関係情報と端末名称とから、スレーブ端末2〜8の端末識別アイコンを相対的な位置関係と対応した順番でLCD35に表示する。この端末識別アイコンを表示した表示例は、実施の形態1で示した図10と同様である。
【0197】
マスター端末1は、該端末を含めた全ての端末の位置関係情報および端末名称を全てのスレーブ端末2〜8へそれぞれ送信する。この位置関係の情報を受信したスレーブ端末2〜8は、それぞれ該端末の端末名称を基準として他の全ての端末識別アイコンを相対的な位置関係に基づいてLCD35に表示していく。全てのスレーブ端末が位置関係の情報を受信して、端末識別アイコンが表示されると、電子会議が実行できる状態となる。
【0198】
図28〜図30は、実施の形態6におけるマスター端末1の動作を示したフローチャートである。ステップS90〜S108までは、実施の形態5で示した動作と同様である。
【0199】
ステップS140では、全てのスレーブ端末の位置関係が判断できたかどうかが判断される。YESのときには、ステップS109に進み、NOのときには、ステップS145に進む。ステップS109〜S113までは、実施の形態5で示した動作と同様である。
【0200】
一方、ステップS145では、位置関係を判断できないスレーブ端末に対向するスレーブ端末が推測される。換言すれば、マスター端末1から見て相対的な位置関係を判断できないスレーブ端末が並ぶ方向に対向するように位置するスレーブ端末が推測される。ステップS146では、対向して位置するスレーブ端末へ位置関係判断依頼コマンドを送信し、該スレーブ端末から応答された位置関係情報を受信する。
【0201】
次いで、ステップS147では、位置関係を判断できなかったスレーブ端末が位置関係を判断できるようになったかどうかが判断される。YESのときにはステップS148に進み、NOのときにはステップS149に進む。ステップS148では、受信した位置関係情報と先に自端末で判断した位置関係情報とから全ての端末の位置関係情報を更新し、ステップS109に戻る。ステップS149では、別のスレーブ端末が推測され、ステップS146に戻る。
【0202】
前述したように実施の形態6によれば、マスター端末1は、アダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を回転させて、スレーブ端末2〜8からの端末識別情報を受信して相対的な位置関係を判断する。さらに、マスター端末1から見て相対的な位置関係が判断できないスレーブ端末については、相対的な位置関係を判断できないスレーブ端末が並ぶ方向に対向するように位置するスレーブ端末に位置関係情報の判断を依頼する。また、相対的な位置関係の判断においては、端末から受信した端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの指向性アンテナ47の回転角度と、から判断される。
【0203】
このため、スレーブ端末がマスター端末1から見て重複する位置に複数ある場合でも、全てのスレーブ端末の位置を判断することができる。さらに、全てのスレーブ端末の位置がLCD35に表示されるため、全てのスレーブ端末の位置関係を視覚的に把握することができる。
【0204】
さらに、全てのスレーブ端末の位置関係を判断するために、アダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を所定角度回転させる毎に、他のスレーブ端末から端末識別情報を受信することが試みられる。このため、正確にどのスレーブ端末から電波を受信したのかを正確に判断することができる。即ち、どの方向にどのスレーブ端末があるのかを正確に判断することができる。
【0205】
さらに、全てのスレーブ端末2〜8の位置がLCD35に表示されるため、全てのスレーブ端末2〜8の位置関係を視覚的に把握することができる。また、指向範囲を最も狭くしたアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を回転させながら他のスレーブ端末2〜8から端末識別情報を受信するため、指向範囲が比較的広い指向性アンテナによって他のスレーブ端末2〜8の指向性アンテナからの端末識別情報を受信する場合よりも、全てのスレーブ端末の位置関係を正確に判断することができる。
【0206】
(実施の形態7)
以下、本発明における無線ネットワークシステムの実施の形態7について説明する。実施の形態7の構成は、後述する点を除き、上述した実施の形態3の構成とほぼ同様である。実施の形態3では、指向範囲(角度)の異なる複数の指向性アンテナの中で指向範囲の最も狭い指向性アンテナ47を使用して無線ネットワークを構成する全ての端末の位置関係を特定し、無指向性アンテナを使用して電子会議を実行する場合について説明したが、実施の形態7では、全てのスレーブ端末と無線通信するのに必要な指向範囲を有する指向性アンテナを使用する。
【0207】
実施の形態7における携帯型表示パッドと、マスター端末1が、指向性アンテナ47を回転させながら水平方向の全ての方向に存在するスレーブ端末を認識して、アンテナの回転角度と各位置で受信したBD_ADDRとから全てのスレーブ端末の位置関係を判断し、スレーブ端末の端末名称をLCD35に表示するまでの動作とは、実施の形態3と同様である。図18および図19におけるS30〜S49が該当する。
【0208】
ここで、先に指向性アンテナ47を1回転させて認識した全てのスレーブ端末の存在範囲をチェックし(メインメモリ21に記憶されたスレーブ端末のBD_ADDRとアンテナの回転角度との対応テーブルを参照)、実施の形態3における携帯型表示パッドに実装された3個のアンテナの中から、全てのスレーブ端末と通信でき、かつ、指向範囲の最も狭いアンテナを選択する。
【0209】
実施の形態3における携帯型表示パッドに実装されたアンテナは、無指向性アンテナ45が指向性無し、指向性アンテナ46が±60度の指向性、指向性アンテナ47が±30度の指向性を有していることから、全てのスレーブ端末が±60度の範囲内に存在している場合は、アンテナコントローラ24はBluetoothモジュール23と指向性アンテナ46が接続するようにスイッチ44を切り替える。そして、アンテナ回転機構25を全てのスレーブ端末と通信できる角度まで回転させる。
【0210】
実施の形態1で示した従来の動作におけるインクワイアリ手順以降からBluetoothネットワーク(ピコネット)を形成するまでの通信シーケンスを実行し、電子会議を実行開始する。上記の全てのスレーブ端末の位置関係を判断して、それらのスレーブ端末の端末名称をLCD35に表示した以降のマスター端末1の概略動作フローチャートを後述する図31に示す。
【0211】
図31は、実施の形態7におけるマスター端末1の動作を示したフローチャートである。まず、ステップS150において、スレーブ端末のBD_ADDRと指向性アンテナ46の回転角度との対応テーブルを参照して、全てのスレーブ端末の存在範囲が判断される。ステップS151では、全てのスレーブ端末と通信でき、かつ、指向範囲の最も狭い指向性アンテナ46が選択される。ステップS152では、指向性アンテナ46が全てのスレーブ端末と通信できる角度まで回転させる。ステップS153では、各スレーブ端末と接続してピコネットが形成される。ステップS154では、電子会議が実行される。
【0212】
前述したように実施の形態7によれば、マスター端末1の指向性アンテナ47を回転させながら他のスレーブ端末からの端末識別情報を受信し、指向性アンテナ47の向きと受信された端末識別情報とに基づいて全てのスレーブ端末の位置関係が判断される。このため、スレーブ端末が複数ある場合であっても全てのスレーブ端末の位置関係を判断することができる。
【0213】
さらに、指向範囲が比較的広い指向性アンテナによって他のスレーブ端末からの端末識別情報を受信する場合よりも、全てのスレーブ端末の位置関係を正確に判断することができる。
【0214】
また、全てのスレーブ端末の位置関係が判断された後には、他の全てのスレーブ端末と通信可能な指向範囲が最も狭い指向性アンテナ46を使用して他の全てのスレーブ端末との通信が実行される。このため、全てのスレーブ端末の位置関係が判断された後に指向範囲が比較的広い指向性アンテナが使用され、無関係の無線通信に対する電波干渉が起こってしまうのを抑制することができる。
【0215】
(実施の形態8)
以下、本発明における無線ネットワークシステムの実施の形態8について説明する。実施の形態8の構成は、後述する点を除き、上述した実施の形態5の構成とほぼ同様である。実施の形態8では、送信電波を全てのスレーブ端末と無線通信するのに必要な指向範囲、放射方向、送信電力を選択して電子会議を実行する場合について説明する。
【0216】
実施の形態8における携帯型表示パッドの内部構成は、図23に示したものと同様である。また、マスター端末1が、アダプティブアレイアンテナ60の指向範囲を最も狭くして、送信電波の方向を回転させながら水平方向の全ての方向に存在するスレーブ端末を認識して、送信電波の方向と各方向で受信したBD_ADDRとから全てのスレーブ端末の位置関係を判断し、スレーブ端末の端末名称をLCD35に表示するまでの動作は実施の形態5と同様である。図26および図27におけるS90〜S109が該当する。
【0217】
ここで、先に送信電波の方向を1回転させて認識した全てのスレーブ端末の存在範囲をチェックし(メインメモリ21に記憶されたスレーブ端末のBD_ADDRと送信電波の方向との対応テーブルを参照)、全てのスレーブ端末と通信でき、かつ、指向範囲が最も狭くなるように、送信電波の放射方向と指向範囲を定める。初期の動作時よりも小さい所定の送信電力に設定して、再びインクワイアリ手順を実行する。
【0218】
そして、先に認識していた全てのスレーブ端末を認識できるかチェックする。全てのスレーブ端末を認識できた場合は、電波の送信電力をさらに小さくして、再びインクワイアリ手順を実行する。インクワイアリ手順にて先に認識していた全てのスレーブ端末の中で認識できなくなるものが出てくるまで、順次、電波の送信電力を小さくしていく。
【0219】
認識できないスレーブ端末が1つでもある場合、全てのスレーブ端末を認識できるように、電波の送信電力を1つ前の設定に戻す。実施の形態1で示した従来の動作におけるインクワイアリ手順以降からBluetoothネットワーク(ピコネット)を形成するまでの通信シーケンスを実行し、電子会議を実行開始する。上記の全てのスレーブ端末の位置関係を判断して、それらのスレーブ端末の端末名称をLCD35に表示した(図26および図27のS109)以降のマスター端末1の概略動作フローを図32に示す。
【0220】
図32は、実施の形態8におけるマスター端末1の動作を示したフローチャートである。ステップS160において、スレーブ端末のBD_ADDRと送信電波の方向との対応テーブルを参照して、全てのスレーブ端末の存在範囲が判断される。ステップS161では、全てのスレーブ端末と通信でき、かつ、指向範囲が最も狭くなるように送信電波の放射方向と指向範囲が定められる。
【0221】
ステップS162では、送信電力が所定分だけ下げられる。ステップS163では、インクワイアリ手順により全てのスレーブ端末が認識されたかどうかが判断される。YESのときにはステップS162に戻り、NOのときにはステップS164に進む。ステップS164では、送信電力が一つ前の設定に戻される。ステップS165では、各スレーブ端末と接続してピコネットが形成される。ステップS166では、電子会議が実行される。
【0222】
前述したように実施の形態8によれば、マスター端末1のアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を回転させながら他のスレーブ端末からの端末識別情報を受信し、電波を放射する方向と受信された端末識別情報とに基づいて全てのスレーブ端末の位置関係が判断される。このため、スレーブ端末が複数ある場合であっても全てのスレーブ端末の位置関係を判断することができる。
【0223】
さらに、アダプティブアレイアンテナ60の指向範囲を最も狭くし、マスター端末1の電波を放射する方向を回転させながら他のスレーブ端末からの端末識別情報を受信し、電波を放射する方向とその受信した端末識別情報とに基づいて全てのスレーブ端末の相対的な位置関係が判断される。このため、指向範囲が比較的広くされた指向性アンテナによって他のスレーブ端末からの端末識別情報を受信する場合よりも、全てのスレーブ端末の位置関係を正確に判断することができる。
【0224】
また、全てのスレーブ端末の位置関係が判断された後には、アダプティブアレイアンテナ60の指向範囲を全ての無線通信端末の位置関係を判断できる最も狭い状態に設定して他のスレーブ端末との通信が実行される。このため、全てのスレーブ端末の位置関係が判断された後にアダプティブアレイアンテナ60の指向範囲が比較的広くされるのに伴って無関係の無線通信に対する電波干渉が起こってしまうのを抑制することができる。
【0225】
さらに、全てのスレーブ端末の位置関係が判断された後には、送信電力を全てのスレーブ端末と通信が可能な最も小さい送信電力に設定して他のスレーブ端末との通信が実行される。このため、全てのスレーブ端末の位置関係が判断された後に送信電力を抑制することができる。また、全てのスレーブ端末の位置関係が判断された後に送信電波方向が変更されるのに伴って無関係の無線通信に対する電波干渉が起こってしまうのを抑制することができる。
【0226】
上述した実施の形態1〜8では、無線通信手段としてBluetoothを使用した場合を示したが、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11b無線LAN等の他の無線通信手段を使用することもできる。
【符号の説明】
【0227】
1 マスター端末1
2,3,4,5,6,7,8 スレーブ端末
10 携帯型表示パッド
11 タッチペン
25 アンテナ回転機構
26 指向性アンテナ
35 LCD
37 タッチパネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0228】
【特許文献1】特開平11−178043号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワークシステムに関し、より詳細には、参加する端末同士の相対的な位置関係を把握することが可能な無線ネットワークに関する。応用分野としては、Bluetooth(登録商標)や無線LANを使用した無線端末を用いる実会議において、参加者の位置関係を検出することが可能な無線ネットワークシステムがある。
【背景技術】
【0002】
従来から指向性アンテナによって受信された電波に基づいて無線通信端末の位置を検出する無線ネットワークシステムが知られている。例えば、特開平11−178043号公報「位置検出方法」によれば、無線移動局が指向性アンテナを回転させて複数の無線基地局の方向を検出し、それらの方向に基づいて自らの位置を検出することができる。
【0003】
換言すれば、特開平11−178043号公報に記載された無線ネットワークシステムでは、ある無線通信端末(無線移動局)の指向性アンテナによって、他の無線通信端末(無線基地局)の指向性アンテナからの電波を受信し、その受信された電波に基づいて該無線通信端末の位置を検出することができる。
【0004】
また、最近では、無線LANやBluetoothの普及により、一つの会議室内で各会議参加者が携帯型の会議端末(ノートパソコン等)を使用して無線通信による電子会議を行うことが可能となってきている。電子会議では、任意の参加者とデータの送受信を行うため、データの送信先を指定する方法として参加者(端末)の識別アイコンを表示し、そのアイコンを選択することでデータの送信先を指定できると便利であることが知られている。この場合、識別アイコンの表示位置関係を実際に存在する参加者(端末)の位置関係と同じようにすると、さらに便利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開平11−178043号公報に記載された無線ネットワークシステムでは、ある無線通信端末が他の複数の無線通信端末からの電波を受信して自らの位置を検出することができるものの、逆に、ある無線通信端末を基準として他の全ての無線通信端末の位置を検出することはできなかった。
【0006】
従って、特開平11−178043号公報に記載された無線ネットワークシステムでは、無線通信端末が複数ある場合に他の全ての無線通信端末の相対的な位置を検出することができないという問題点があった。即ち、固定的な無線基地局から発信された電波を受信して自らの位置を特定することには有効であるものの、無線LANやBluetooth等のローカルな無線通信を利用する会議室に持ち込まれた任意の位置にある無線通信端末同士の位置関係を判断(検出)することはできないという問題点があった。
【0007】
また、3端末以上の無線通信端末同士の相対的な位置関係を自動的に判断する方法が無いため、全ての参加者(端末)を目視して、参加者(端末)の識別アイコンを実際に存在する参加者(端末)の相対的な位置関係と同じになるように手作業で配置しなければならないという問題点があった。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、複数の無線通信端末によって形成された無線ネットワークシステムにおいて、全ての無線通信端末の相対的な位置関係を判断することができる無線ネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、指向性アンテナによって受信された電波に基づいて無線通信端末の位置を検出する無線ネットワークシステムにおいて、回転可能な指向性アンテナを有する複数の無線通信端末を具備し、第一の無線通信端末の指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第一の無線通信端末から第二の無線通信端末に全ての無線通信端末の位置検出を依頼することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記記載の発明において、第二の無線通信端末は、位置検出の依頼を受信した場合に、その指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記記載の発明において、第二の無線通信端末は、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信し、第一の無線通信端末は、第二の無線通信端末から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の指向性アンテナの向きとに基づいて全ての無線通信端末の位置の検出を試み、全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、全ての無線通信端末の位置を検出することができるまで、全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を残りの無線通信端末に順次送信することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、指向性アンテナによって受信された電波に基づいて無線通信端末の位置を検出する無線ネットワークシステムにおいて、回転可能な指向性アンテナを有する複数の無線通信端末を具備し、第一の無線通信端末が複数の指向性アンテナを具備し、第一の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第一の無線通信端末から第二の無線通信端末に全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を送信し、第二の無線通信端末が複数の指向性アンテナを具備し、第二の無線通信端末は、第二の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出し、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信し、第一の無線通信端末は、第二の無線通信端末から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナの向きとに基づいて全ての無線通信端末の位置の検出を試み、全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、全ての無線通信端末の位置を検出することができるまで、全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を残りの無線通信端末に順次送信することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、指向性アンテナによって受信された電波に基づいて無線通信端末の位置を検出する無線ネットワークシステムにおいて、送信電波の方向を回転可能であって指向範囲を変更可能な指向性アンテナを有する複数の無線通信端末を具備し、指向範囲を最も狭くした状態で第一の無線通信端末の送信電波の方向を回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、送信電波の方向と受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第一の無線通信端末から第二の無線通信端末に全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を送信し、第二の無線通信端末は、指向範囲を最も狭くした状態で第二の無線通信端末の送信電波の方向を回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、送信電波の方向と受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出し、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信し、第一の無線通信端末は、第二の無線通信端末から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の送信電波の方向とに基づいて全ての無線通信端末の位置の検出を試み、全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、全ての無線通信端末の位置を検出することができるまで、全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を残りの無線通信端末に順次送信することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記記載の発明において、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの電波に基づいて第二の無線通信端末の位置と第三の無線通信端末の位置とを区別することができないときには、第二の無線通信端末および第三の無線通信端末のほぼ対角位置に位置する第四の無線通信端末に対して第一の無線通信端末から全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を送信し、第四の無線通信端末は全ての無線通信端末の位置を検出し、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、第一の無線通信端末の指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報が受信され、第二の無線通信端末等から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の指向性アンテナの向きとに基づいて全ての無線通信端末の位置が検出される。このため、無線通信端末が複数ある場合であっても全ての無線通信端末の位置を検出することができる。
【0016】
また、第一の無線通信端末の指向性アンテナの向きと第一の無線通信端末の指向性アンテナが他の無線通信端末の指向性アンテナから受信した端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第二の無線通信端末等の指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報が受信され、第二の無線通信端末等の指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置が検出される。
【0017】
このため、第一の無線通信端末の指向性アンテナによっては全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合であっても、第二の無線通信端末等の指向性アンテナによって全ての無線通信端末の位置を検出することができる。
【0018】
換言すれば、1つの無線通信端末で全ての無線通信端末の位置関係を判断できない場合であっても、複数の無線通信端末が協力して全ての無線通信端末の位置関係を特定するため、例えば無線通信による電子会議を実行する場合に無線ネットワークシステムの利便性が向上する。
【0019】
さらに、この発明によれば、第一の無線通信端末等の指向範囲が最も狭い指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報が受信され、指向性アンテナの向き、その受信された端末識別情報等に基づいて全ての無線通信端末の位置が検出される。このため、指向範囲が比較的広い指向性アンテナによって他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信する場合よりも、全ての無線通信端末の位置を正確に検出することができる。
【0020】
さらに、この発明によれば、第一の無線通信端末の送信電波の方向を回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報が受信され、第二の無線通信端末等から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の送信電波の方向とに基づいて全ての無線通信端末の位置が検出される。このため、無線通信端末が複数ある場合であっても全ての無線通信端末の位置を検出することができる。
【0021】
また、第一の無線通信端末の送信電波の方向と第一の無線通信端末の指向性アンテナが他の無線通信端末の指向性アンテナから受信した端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第二の無線通信端末等の送信電波の方向を回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報が受信され、第二の無線通信端末等の送信電波の方向と受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置が検出される。
【0022】
このため、第一の無線通信端末の指向性アンテナによっては全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合であっても、第二の無線通信端末等の指向性アンテナによって全ての無線通信端末の位置を検出することができる。
【0023】
さらに、指向範囲を最も狭くした状態で第一の無線通信端末等の送信電波の方向を回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報が受信され、送信電波の方向、その受信された端末識別情報等に基づいて全ての無線通信端末の位置が検出される。このため、指向範囲が比較的広くされた指向性アンテナによって他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信する場合よりも、全ての無線通信端末の位置を正確に検出することができる。
【0024】
換言すれば、1つの無線通信端末で全ての無線通信端末の位置関係を判断できない場合であっても、複数の無線通信端末が協力して全ての無線通信端末の位置関係を特定するため、例えば、無線通信による電子会議を実行する場合に無線ネットワークシステムの利便性が向上する。
【0025】
さらに、この発明によれば、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの電波に基づくと第二の無線通信端末の位置と第三の無線通信端末の位置とを区別することができないときには、第二の無線通信端末および第三の無線通信端末のほぼ対角位置に位置する第四の無線通信端末によって全ての無線通信端末の位置が検出される。
【0026】
このため、第一の無線通信端末の指向性アンテナによっては第二の無線通信端末の位置と第三の無線通信端末の位置とを区別することができない場合であっても、第二の無線通信端末の位置と第三の無線通信端末の位置とを確実に区別することができる。
【0027】
より詳細には、第一の無線通信端末によっては第二の無線通信端末および第三の無線通信端末の位置関係を判断できないときには、それらのほぼ対角位置が推測され、その推測された位置にある第四の無線通信端末によって第二の無線通信端末および第三の無線通信端末の位置関係が判断される。
【0028】
換言すれば、複数の無線通信端末が協力して全ての無線通信端末の位置関係を特定する。そのため、全ての無線通信端末の位置関係の判断が容易となり、また判断の信頼性も向上し、無線ネットワークシステムの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、実施の形態1におけるBluetoothネットワークの概略図である。
【図2】図2は、マスター端末およびスレーブ端末として用いられる携帯型表示パッドを表した図である。
【図3】図3は、携帯型表示パッドの内部構成図である。
【図4】図4は、水平面に配置した指向性アンテナの指向範囲を上方から見た図である。
【図5】図5は、実施の形態1におけるBluetooth通信の概略構成図である。
【図6】図6は、従来における端末識別アイコンの表示例を示した図である。
【図7】図7は、マスター端末およびスレーブ端末と指向性アンテナの指向範囲とを示した図である。
【図8】図8は、マスター端末およびスレーブ端末と指向性アンテナの指向範囲とを示した図である。
【図9】図9は、マスター端末およびスレーブ端末と指向性アンテナの指向範囲とを示した図である。
【図10】図10は、スレーブ端末の相対的な位置関係をアイコンので表した図である。
【図11】図11は、「斉藤」から見た無線通信端末のアイコンを表した図である。
【図12】図12は、実施の形態1におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図13】図13は、マスター端末およびスレーブ端末の配置を示した図である。
【図14】図14は、実施の形態2におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図15】図15は、実施の形態2におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図16】図16は、実施の形態3における携帯型表示パッドの内部構成図である。
【図17】図17は、平面アンテナ、電界の振動方向等を示した図である。
【図18】図18は、実施の形態3におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図19】図19は、実施の形態3におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図20】図20は、実施の形態4におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図21】図21は、実施の形態4におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図22】図22は、実施の形態4におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図23】図23は、実施の形態5における携帯型表示パッドの内部構成図である。
【図24】図24は、アダプティブアレイアンテナの内部構成図である。
【図25】図25は、アダプティブアレイアンテナの概観図である。
【図26】図26は、実施の形態5のマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図27】図27は、実施の形態5のマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図28】図28は、実施の形態6におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図29】図29は、実施の形態6におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図30】図30は、実施の形態6におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図31】図31は、実施の形態7におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【図32】図32は、実施の形態8におけるマスター端末の動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明するのは一例であり、特に限定するものではない。
【0031】
(実施の形態1)
実施の形態1における無線ネットワークシステムでは、Bluetoothを実装した無線通信端末をBluetoothネットワークで接続し、電子会議を行う態様について説明する。以下、回転機構を伴った一つの指向性アンテナを使用して、ローカルなBluetoothネットワークに接続された無線通信端末の相対的な位置関係を判断(検出)する方法について説明していく。実施の形態1では、位置関係の基準となる無線通信端末から見て、他の全ての無線通信端末がそれぞれ異なる方向に存在している場合を前提としている。
【0032】
図1は、実施の形態1におけるBluetoothネットワークの概略図である。Bluetoothネットワークは、他の無線通信端末の相対的な位置を検出するための基準となるマスター端末1と、マスター端末1を基準として無線ネットワークを形成するスレーブ端末2〜8と、から構成されている。
【0033】
図2は、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8として用いられる携帯型表示パッドを表した図である。携帯型表示パッド10は、液晶表示するLCD35と、LCD35に重ね合わせてタッチ入力により座標入力可能なタッチパネル37と、タッチパネル37上でタッチ入力を行うときに使用するタッチペン11と、から構成される。
【0034】
図3は、携帯型表示パッド10の内部構成図である。携帯型表示パッド10は、CPU20と、メインメモリ21と、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)22と、Bluetoothモジュール23と、アンテナコントローラ24と、アンテナ回転機構25と、指向性アンテナ26と、クロック27と、バスコントローラ28と、ROM(Read Only Memory)29と、PCI(Peripheral Component Interconnect)ブリッジ30と、キャッシュメモリ31と、ハードディスク32と、HD(ハードディスク)コントローラ33と、LCD表示コントローラ34と、LCD35と、タッチパネルコントローラ36と、タッチパネル37と、RTC(Real Time Clock)38と、バッテリ39と、DC−DCコンバータ40と、CPUバス41と、PCIバス42と、Xバス(内部バス)43と、から構成されている。
【0035】
以上の構成について、その動作を説明する。CPU20は、ROM29に記憶された制御処理プログラム、OS(Operating System)や各種のアプリケーションプログラムを実行、処理する。メインメモリ21は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)により構成されており、CPU20のワークエリアとして使用される。UART22は、CPU20とBluetoothモジュール23との間でシリアルデータの授受を行うインターフェイスであり、FIFO(First In,First Out)のスタックやシフトレジスタ等から構成される。
【0036】
Bluetoothモジュール23は、RF部とベースバンド部とから構成されており、Bluetooth規格に準拠した無線通信を実行する。この詳細については後述する。
【0037】
アンテナコントローラ24は、アンテナ回転機構25の駆動制御を行う。アンテナコントローラ24がアンテナ回転機構25の図示しないモータを制御して指向性アンテナ26を任意の角度だけ回転させるとともに、360度の回転をさせることが可能である。アンテナ回転機構25は、水平方向に回転するように実装されている。指向性アンテナ26は、後述する図4に示すような指向性を有する。
【0038】
図4は、水平面に配置した指向性アンテナ26の指向範囲を上方から見た図である。中央に指向性アンテナ26があり、その周りに通信方向の指向性を持った指向範囲が示されている。このような指向性のあるアンテナとしては、例えば、平面型のパッチアンテナがある。パッチアンテナは、主に平面と垂直方向に電波を放射するため、通常、平面が鉛直になるように実装されている。
【0039】
続いて、図3におけるクロック27は、図示しない水晶発振子と分周回路とから構成されており、CPU20やバスコントローラ28の動作タイミングを制御するためのクロックを生成している。バスコントローラ28は、CPUバス41とXバス43とのデータ転送を制御する。ROM29は、電源オン時のシステム立ち上げや各種デバイスの制御を行うためのプログラムが予め書き込まれている。
【0040】
PCIブリッジ30は、キャッシュメモリ31を使用して、PCIバス42とCPU20との間のデータ転送を行う。キャッシュメモリ31は、DRAMより構成されており、PCIブリッジ30により使用される。ハードディスク32は、システムソフトウェア、各種のアプリケーションプログラム、多数のユーザデータ等を記憶している。HDコントローラ33は、IDE(Integrated Device Electronics)インターフェイスにより、ハードディスク32と高速データ転送を行う。
【0041】
LCD表示コントローラ34は、文字やグラフィックデータをD/A(Digital/Analog)変換するとともに、これらのデータをLCD35に表示するための制御を行う。タッチパネルコントローラ36は、タッチパネル37上でタッチペン11のペン先が接触した部分を検出し、その座標を取得する。タッチパネル37は、LCD35と重ね合わせて装着されている。
【0042】
RTC38は、日付時計であり図示しない専用バッテリによりバックアップされて駆動している。バッテリ39は、ニッケル水素電池またはリチウム電池であり、バッテリ39の電源は、DC−DCコンバータ40を介して携帯型表示パッド10に供給される。
【0043】
図5は、実施の形態1におけるBluetooth通信の概略構成図である。Bluetooth通信は、アプリケーション50と、OBEX(OBject EXchange)51と、RFCOMM(RFCOMMunication)52と、SDP(Service Discovery Protocol)53と、LMCE(Link Manager Control Entity)54と、L2CAP(Logical Link Control and Adaptation Protocol)55と、HCI(Host Controller Interface)56と、リンク・マネージャ57と、ベースバンド58と、物理レイヤ(RF)59と、から構成される。
【0044】
図5において、アプリケーション50は、電子会議を実行するためのアプリケーションであり、Bluetoothネットワーク(ピコネット)への接続要求、切断要求や描画データの転送、会議資料のファイル転送の他に、本発明の端末位置を判断するための動作を実行する。OBEX51は、相手端末とOBEXセッションを確立し、オブジェクトプッシュ(描画データの転送)やファイル転送等の通信プロトコルを制御する。
【0045】
RFCOMM52は、後述するL2CAP55上にシリアルポートをエミュレートするためのトランスポートプロトコルである。SDP53は、相手端末との間で使用できるサービスを確認し、それらのサービスの特性を調べる方法をアプリケーションに提供する。
【0046】
LMCE54は、標準的なBluetooth仕様(バージョン1.0B)にはない通信モジュールであるが、実施の形態1では、OBEX51やSDP53のプロトコル以外でアプリケーション50が、リンク・マネージャ57にコマンドを渡すときに使用される。L2CAP55は、上位プロトコル(RFCOMM52)の多重化、データパケット(L2CAPパケット)の分割と組立て等を実行する。
【0047】
HCI56は、ホスト(CPU20)とBluetoothモジュール23との間のインターフェイスであり、HCI API(Application Program Interface)、CPU20とBluetoothモジュール23との間でトランスポートレイヤとして機能するUART22、Bluetoothモジュール23のハードウェアドライバから構成されている。
【0048】
リンク・マネージャ57は、リンクの設定や切断等のリンク制御を行うLMP(Link Manager Protocol)を実行する。ベースバンド58は、物理リンクの確立や各種パケットの送受信等を実行する。物理レイヤ59は、GFSK(Gaussian Frequency Shift Keying)による信号の変調や周波数ホッピングによるスペクトラム拡散通信等を実行する。
【0049】
ここで、Bluetoothの使用周波数帯域は2471〜2497MHz(日本)、ホッピング・チャネル数は23(1MHz間隔)、ホッピング速度は1600ホップ/秒である。また、チャネルは625μsecのタイムスロットに分割され、マスター端末1はパケットの伝送を偶数番号のタイムスロットで開始し、スレーブ端末2〜8はパケットの伝送を奇数番号のタイムスロットで開始する。
【0050】
図5に示したBluetooth通信の概略構成の中で、UARTドライバとBluetoothモジュール23のハードウェアドライバ(HCI56)、リンク・マネージャ57、ベースバンド58および物理レイヤ59は、Bluetoothモジュール23に実装されており、その他のモジュールは、CPU20で実行されるソフトウェアモジュール(タスク)であり、ハードディスク32に実行プログラムとして予め記憶されている。なお、描画データは、OBEX51の代わりに図示しないシリアル通信エンティティを使用したシリアル通信で転送するようにしてもよい。
【0051】
以上の構成において、その動作を説明する。まず、Bluetoothネットワーク(ピコネット)を形成するまでの従来の通信シーケンスについて説明する。従来の通信シーケンスとは、指向性アンテナ26を図示しない無指向性のアンテナに置き換えた場合である。
【0052】
従来の通信シーケンスの基本的な流れとしては、通信可能な状態にある無線通信端末の認識を行うインクワイアリ手順と、物理リンクの確立やパケットの送受信等を実行するベースバンドレイヤのコネクション確立と、リンクの設定や切断等の制御を行うリンク・マネージャ間のコネクション確立と、電子会議端末としての認識を行うSDPコネクションの確立と、描画データ、ファイル転送のプロトコルを制御するOBEXコネクションの確立およびOBEXセッションの確立と、から構成される。
【0053】
先ず、インクワイアリ手順として、マスター端末1は、マスター端末1と通信できる全てのスレーブ端末2〜8を認識する。即ち、マスター端末1は、IDパケットを繰り返し送信し、これを受信したスレーブ端末2〜8は、Bluetoothデバイスアドレス(BD_ADDR)と、自端末のシステムクロック等を含めたFHSパケットを送信する。マスター端末1は、受信したFHSパケットの個数(BD_ADDRの個数)からスレーブ端末の台数を認識する。
【0054】
例えば、マスター端末1は、図1に示した場合、スレーブ端末2〜8の7台を認識する。この認識したスレーブ端末の台数は、メインメモリ21に記憶しておく。
【0055】
以下、ベースバンドレイヤのコネクション確立からOBEXコネクションの確立およびOBEXセッションの確立まで、マスター端末1とスレーブ端末2について説明するが、他のスレーブ端末3〜8についてもそれぞれ同様に順次行っていく。
【0056】
ベースバンドレイヤのコネクション確立として、マスター端末1は、スレーブ端末2と通信コネクションを確立する。マスター端末1は、スレーブ端末2から受信したBD_ADDRの下位アドレス部分であるLAP(Lower Address Part)から導き出される同期ワードを含めたIDパケットを送信する。
【0057】
スレーブ端末2は、BD_ADDRから導出された同期ワードを含むIDパケットを受信すると、該IDパケットで応答する。マスター端末1は、スレーブ端末2の識別番号であるアクティブ・メンバー・アドレス(AM_ADDR)に「1」をセットしたFHSパケットを送信する。
【0058】
スレーブ端末2は、FHSパケットを受信すると、先述のIDパケットで応答する。このとき、スレーブ端末2のシステムクロックは、FHSパケットに含まれているマスター端末1のシステムクロックに同期する。次に、マスター端末1はPOLLパケットを送信し、スレーブ端末2は、NULLパケットで応答する。
【0059】
続いて、リンク・マネージャ間(リンクレイヤ)のコネクション確立として、マスター端末1は、LMP_host_connection_req PDU(Protocol Data Unit)を送信し、スレーブ端末2は、LMP_accepted PDUで応答する。次に、マスター端末1はLMP_features_req PDUを送信し、スレーブ端末2は、LMP_features_res PDUで応答して、該端末の持つ機能についての情報を交換する。マスター端末1はLMP_setup_complete PDUを送信し、スレーブ端末2は、LMP_setup_complete PDUで応答する。
【0060】
ここで、マスター端末1のリンク・マネージャがLMP_name_req PDUを送信し、スレーブ端末2からLMP_name_res PDUを受信したとき、LMP_name_res PDUに含まれているスレーブ端末2の端末名称(パラメータはネーム・フラグメント)を先に取得しているBD_ADDRと対応付けてメインメモリ21に記憶する。
【0061】
続いて、SDPコネクションの確立として、マスター端末1は、サービス・ディスカバリシーケンスを実行する。マスター端末1のアプリケーションは、サービス・ディスカバリ要求をSDPタスクへ出力すると、SDPタスクは、SDP用のコネクションの接続要求(L2CA_ConnectReqイベント)をL2CAPタスクへ出力する。
【0062】
マスター端末1のL2CAPタスクは、接続要求を受信すると、Connection Requestパケットをスレーブ端末2へ送信する。スレーブ端末2のL2CAPタスクは、該パケットを受信すると、L2CA_ConnectIndメッセージをSDPタスクへ出力し、Connection Responseパケットをマスター端末1へ応答する。
【0063】
さらに、マスター端末1のSDPタスクは、コンフィグレーション要求(L2CA_ConfigReqイベント)をL2CAPタスクへ出力する。L2CAPタスクは、該要求を受信すると、サービス品質(QoS:Quality of Service)等のコンフィグレーションパラメータを含んだConfiguration Requestパケットをスレーブ端末2へ送信する。スレーブ端末2のL2CAPタスクは、該パケットを受信すると、L2CA_ConfigIndメッセージをSDPタスクへ出力して、コンフィグレーションパラメータを含んだConfiguration Responseパケットをマスター端末1へ応答する。
【0064】
次に、マスター端末1のSDPタスクは、電子会議サービスであることを表すUUID(サービスの固有識別子)をServiceSearchPatternパラメータに含めたSDP_ServiceSearchRequest PDUとしてスレーブ端末2へ送信し、受信したスレーブ端末2のSDPタスクは、SDP_ServiceSearchResponse PDUをマスター端末1へ応答する。
【0065】
続いて、OBEXコネクションの確立およびOBEXセッションの確立として、マスター端末1のアプリケーション50は、無線接続したスレーブ端末2が電子会議のスレーブ端末であることを確認すると、OBEXタスクへOBEX51用のコネクションの接続要求を出力する。この接続要求は、RFCOMMタスクを介してL2CAPタスクへ出力され、L2CAPタスクは、接続要求を受信すると、Connection Requestパケットをスレーブ端末2へ送信する。
【0066】
スレーブ端末2のL2CAPタスクは、該パケットを受信するとRFCOMMタスクを介してOBEXタスクへL2CA_ConnectIndメッセージを出力し、Connection Responseパケットをマスター端末1へ応答して、OBEXコネクションが確立する。
【0067】
続いて、マスター端末1のOBEXタスクは、Connect要求パケットをスレーブ端末2へ送信し、スレーブ端末2からConnect応答パケットを受信して、OBEXセッションが確立する。
【0068】
以上、マスター端末1とスレーブ端末2との間でOBEXセッションを使用して描画データの転送やファイル転送ができる状態となるまでの通信シーケンスを説明したが、他のスレーブ端末3〜8についても同様である。
【0069】
その後、マスター端末1は、先にメインメモリ21に記憶したスレーブ端末2〜8の端末名称および該BD_ADDRをLCD35へアイコン(端末識別アイコン)で表示する。
【0070】
図6は、従来における端末識別アイコンの表示例を示した図である。従来では、端末識別アイコンは、マスター端末1と接続したスレーブ端末2〜8の順番に基づいて並べられているが、この並び方は、スレーブ端末2〜8の位置関係とは対応していない。このため、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8のユーザは、端末識別アイコンをスレーブ端末2〜8が存在する位置を目視で確認しながらそれぞれ対応するように配置を入れ替えていた。そして、ピコネットに参加するマスター端末1およびスレーブ端末2〜8のユーザは、会議資料ファイルや手書きの描画データ等を転送して電子会議が実行されていた。
【0071】
以上、従来のBluetoothネットワーク(ピコネット)を形成するまでの通信シーケンスについて説明した。以下、本発明を伴った動作について説明していく。
【0072】
マスター端末1は、指向性アンテナ26を回転させながら水平方向の全ての方向に存在するスレーブ端末2〜8をそれぞれ認識する。指向性アンテナ26をデフォルトの回転角度にして、インクワイアリ手順によりマスター端末1と通信できるスレーブ端末を認識する。即ち、マスター端末1は、IDパケットを繰り返し送信し、これを受信したスレーブ端末は、それぞれBluetoothデバイスアドレス(BD_ADDR)、該端末のシステムクロック等を含めたFHSパケットを送信する。
【0073】
マスター端末1は、受信したFHSパケット中のBD_ADDRからスレーブ端末を認識する。例えば、後述する図7に示した場合では、4台のスレーブ端末2〜5を認識する。
【0074】
図7は、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8と指向性アンテナの指向範囲とを示した図である。半円状の囲いが、指向性アンテナ26の指向範囲である。図7の例では、マスター端末1は、スレーブ端末2〜5と通信可能である。この受信したBD_ADDRは指向性アンテナ26の回転角度の情報と対応づけてメインメモリ21に記憶しておく。
【0075】
次に、マスター端末1は、アンテナ回転機構25を駆動して指向性アンテナ26を所定の角度回転(時計回り)し、インクワイアリ手順によりマスター端末1と通信できるスレーブ端末2〜5をそれぞれ認識する。即ち、マスター端末1は、IDパケットを繰り返し送信し、これを受信したスレーブ端末2〜5は、それぞれBluetoothデバイスアドレス(BD_ADDR)、該端末のシステムクロック等を含めたFHSパケットを送信する。
【0076】
マスター端末1は、受信したFHSパケット中のBD_ADDRからスレーブ端末2〜5を認識する。また、この受信したBD_ADDRは指向性アンテナ26の回転角度の情報と対応づけてメインメモリ21へ記憶しておく。このように、指向性アンテナ26が1回転するまで上記の動作を繰り返す。その後、マスター端末1はインクワイアリ手順を実行した所定の角度毎に認識したスレーブ端末2〜8を判断する。
【0077】
図8は、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8と指向性アンテナ26の指向範囲とを示した図である。図8に示した時点(所定の角度の回転を何度か繰り返した時点)では、スレーブ端末2〜5に加えてスレーブ端末6も認識しており、図7の時点で認識したスレーブ端末2〜5と図8の時点で認識したスレーブ端末2〜6とを比較するとスレーブ端末6が新規に認識されているため、スレーブ端末2〜5よりもスレーブ端末6が右側にあると判断できる。
【0078】
図9は、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8と指向性アンテナの指向範囲とを示した図である。図7の時点で認識したスレーブ端末2〜5と図9の時点で認識したスレーブ端末4〜8とを比較すると、スレーブ端末2、3の認識が無くなっているため、スレーブ端末2、3よりもスレーブ端末4、5が右側にあると判断できる。
【0079】
このようにして、スレーブ端末2〜8の相対的な位置関係を判断する。そして、このスレーブ端末の相対的な位置関係の情報とBD_ADDRとをメインメモリ21に記憶しておく。また、マスター端末1は、メインメモリ21に記憶してある指向性アンテナ26の回転角度とスレーブ端末2〜8のBD_ADDRとの対応テーブルを参照する。そして、他の全てのBD_ADDRを含む回転角度へ指向性アンテナ26を回転させていく。
【0080】
マスター端末1は、上述のインクワイアリ手順で認識した7台のスレーブ端末2〜8と順次、通信コネクションを確立する。即ち、従来の動作で説明したように、各スレーブ端末とベースバンドレイヤのコネクションとリンク・マネージャ間(リンクレイヤ)のコネクションを確立する。そして、リンク・マネージャがLMP_name_req PDUを送信し、スレーブ端末2〜8からLMP_name_res PDUを受信すると、LMP_name_res PDUに含まれているスレーブ端末2〜8の端末名称を先に取得しているBD_ADDRと対応付けてメインメモリ21に記憶する。
【0081】
続いて、マスター端末1は、サービス・ディスカバリシーケンスを実行して、無線通信端末が電子会議のスレーブ端末であることを確認する。このとき、無線通信端末が電子会議のスレーブ端末でない場合には、先にBD_ADDRと対応付けてメインメモリ21に記憶したスレーブ端末の端末名称を消去する。そして、OBEXセッションを確立して通信コネクションを確立する。
【0082】
以上により、全てのスレーブ端末2〜8と同様の通信シーケンスを実行し、マスター端末1とスレーブ端末2〜8とからなるBluetoothネットワーク(ピコネット)が形成される。そして、先にメインメモリ21に記憶してある端末の位置関係の情報と端末名称とからスレーブ端末2〜8の端末名称とをその位置関係と対応した順番でLCD35に表示する。この端末名称を端末識別アイコンとして表示した表示例を後述する図10に示す。
【0083】
図10は、スレーブ端末の相対的な位置関係をアイコンで表した図である。このように、アイコンで表したスレーブ端末2〜8の相対的な位置関係が、実際に存在するスレーブ端末2〜8の相対的な位置関係と同じになる。なお、図10では、スレーブ端末の相対的な位置関係を示しており、スレーブ端末の絶対的な位置関係を表すものではない。
【0084】
次いで、マスター端末1は、スレーブ端末2〜8の相対的な位置関係に該端末の位置関係を追加した情報(全ての端末の端末名称を含む)を他の全てのスレーブ端末2〜8へそれぞれ送信する。この位置関係の情報は、OBEXセッションを使用して転送する。この位置関係の情報を受信したスレーブ端末2〜8は、それぞれ該端末の端末名称を基準として全ての端末識別アイコンを相対的な位置関係に基づいてLCD35に表示する。例えば、図10における端末名称「斉藤」の端末では、後述する図11のように表示される。ここで、「議長」とは、マスター端末1の端末名称のことである。
【0085】
図11は、「斉藤」から見たスレーブ端末2〜8のアイコンを表した図である。なお、マスター端末1の端末名称は「議長」である。全てのスレーブ端末2〜8が位置関係の情報を受信すると、電子会議が実行できる状態となる。なお、ファイル等を任意の宛先へ送信する場合、ドラッグ&ドロップ操作の宛先の選択肢として、この端末識別アイコンを利用するようにしてもよい。
【0086】
図12は、実施の形態1におけるマスター端末1の動作を示したフローチャートである。まず、ステップS1において、指向性アンテナがデフォルトの回転角度にセットされる。次いで、ステップS2では、インクワイアリ手順によりスレーブ端末2〜8が認識され、受信されたBD_ADDRが記憶される。ステップS3では、アンテナが1回転したかどうかが判断される。YESのときには、ステップS4に進み、NOのときにはステップS5に進む。ステップS4では、アンテナの回転角度と各位置で受信したBD_ADDRとから全てのスレーブ端末2〜8の位置関係が判断される。ステップS5ではアンテナが所定角度だけ回転され、ステップS2に戻る。
【0087】
ステップS6では、先に記憶した指向性アンテナ26の回転角度とBD_ADDRとの対応テーブルを参照して、全てのBD_ADDRを含む回転角度に指向性アンテナ26が回転させられる。ステップS7では、全てのスレーブ端末2〜8と通信コネクションが確立される。つまり、ピコネットが形成される。ステップS8では、全てのスレーブ端末2〜8の端末名称がその位置関係と対応づけられてLCD35に表示される。ステップS9では、該端末も含めた全ての端末の位置関係情報が全てのスレーブ端末2〜8に送信される。ステップS10では、電子会議が実行される。
【0088】
前述したように実施の形態1によれば、マスター端末1の指向性アンテナ26を回転させながら、スレーブ端末2〜8の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナ26の向きと受信された端末識別情報とに基づいて全てのスレーブ端末2〜8の相対的な位置が検出される。つまり、一つの無線通信端末の指向性アンテナによって他の全ての無線通信端末の指向性アンテナからの電波が受信され、その受信された電波に基づいて全ての無線通信端末の相対的な位置が判断される。
【0089】
また、実施の形態1では、無線通信端末が複数ある場合であっても全ての無線通信端末の相対的な位置を判断することができる。さらに、全ての無線通信端末の位置がLCD35に表示されるため、全ての無線通信端末の位置関係を視覚的に把握することができる。
【0090】
さらに、全ての無線通信端末の位置を検出するために指向性アンテナの向きまたは送信電波の向きを所定角度回転させる毎に、他の無線通信端末の指向性アンテナから端末識別情報を受信する。このため、他の無線通信端末の中でどの無線通信端末から電波を受信したのかを正確に判断することができる。即ち、方向および無線通信端末を正確に判断することができる。
【0091】
(実施の形態2)
以下、本発明における無線ネットワークシステムの実施の形態2について説明する。実施の形態2の構成は、後述する点を除き、図2〜6および図12中のS1〜S5に示した実施の形態1の構成とほぼ同様である。実施の形態1では、指向性アンテナ26を1回転させたときに全てのスレーブ端末の位置関係が判断できる場合を示したが、実施の形態2では、複数のスレーブ端末がマスター端末1から見てほぼ同じ方向に存在し、指向性アンテナ26を1回転させただけでは全てのスレーブ端末の位置関係を判断できない場合について説明する。
【0092】
図13は、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8の配置を示した図である。例えば、マスター端末1とスレーブ端末2〜8とが図13に示すように位置しており、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8がほぼ一直線上にあり、位置関係を判断することができない場合について説明する。
【0093】
インクワイアリ手順から、指向性アンテナ26の回転角度と各回転角度で受信したBD_ADDRとから検出した全てのスレーブ端末の相対的な位置関係を判断するまでの構成および動作は、後述する点を除いて、実施の形態1と同様である。図2〜6および図12中のS1〜S5が、これに該当する。
【0094】
実施の形態2では、図13に示した様に、スレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できない場合、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8のほぼ一直線上でないところに位置するスレーブ端末を推測する。即ち、指向性アンテナ26の回転角度とスレーブ端末のBD_ADDRとの対応テーブルから、マスター端末1から見て通信を行う場合の指向性アンテナ26の回転角度がスレーブ端末7またはスレーブ端末8の場合と異なるスレーブ端末を推測する。
【0095】
図13において、ほぼ一直線上に並ぶマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断する上で、該直線の方向と対向して位置するスレーブ端末の候補としてスレーブ端末3とスレーブ端末4等が挙げられる。このため、スレーブ端末3をマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるスレーブ端末と仮定する。そして、スレーブ端末3と通信できる向きにマスター端末1の指向性アンテナ26を回転させて、スレーブ端末3と通信コネクションを確立する。
【0096】
次いで、マスター端末1は、端末の位置関係を判断する動作を依頼するコマンド(位置関係判断依頼コマンド)をOBEXセッションによりスレーブ端末3へ送信する。なお、この位置関係判断依頼コマンドには、該端末のBD_ADDRを含めて送信する。スレーブ端末3は、位置関係判断依頼コマンドを受信すると、マスター端末1のBD_ADDRをメインメモリ21に記憶して、マスター端末1との通信コネクションを切断する。
【0097】
スレーブ端末3は、実施の形態1におけるマスター端末1と同様に動作して、指向性アンテナ26を回転させながら水平方向の全ての方向に存在するマスター端末1および他のスレーブ端末を認識して、指向性アンテナ26の回転角度と各回転角度で受信したBD_ADDRとから全ての端末の位置関係を判断していく。
【0098】
次に、スレーブ端末3は、メインメモリ21に記憶したマスター端末1のBD_ADDRを基にマスター端末1と通信できる向きに指向性アンテナ26を回転させ、マスター端末1と通信コネクションを確立する。そして、位置関係情報をOBEXセッションによりマスター端末1へ送信する。マスター端末1は、受信した位置関係情報をメインメモリ21に記憶して、スレーブ端末3との通信コネクションを切断する。
【0099】
マスター端末1は、スレーブ端末3から受信した位置関係情報より、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるかどうかをチェックする。ここで、スレーブ端末7とスレーブ端末8との相対的な位置関係を判断できない場合は、スレーブ端末4をマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるスレーブ端末と仮定する。次にスレーブ端末4と通信コネクションを確立し、スレーブ端末3のときと同様に位置関係判断依頼コマンドをOBEXセッションによりスレーブ端末4へ送信する。
【0100】
スレーブ端末4は、位置関係判断依頼コマンドを受信すると、先述のスレーブ端末3と同様の動作を実行して全てのスレーブ端末の位置関係を判断する。そして、位置関係情報をOBEXセッションによりマスター端末1へ送信する。マスター端末1は、受信した位置関係情報をメインメモリ21に記憶して、スレーブ端末3との通信コネクションを切断する。
【0101】
マスター端末1は、スレーブ端末3から受信した位置関係情報より、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるかどうかをチェックする。ここで、スレーブ端末7とスレーブ端末8との相対的な位置関係を判断できない場合、マスター端末1は、さらに、他のスレーブ端末へ位置関係判断依頼コマンドを送信していく。
【0102】
この様にスレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できるまで、上述の動作を繰り返す。マスター端末1がスレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できた場合、先にマスター端末1で判断した位置関係情報と他のスレーブ端末から受信した位置関係情報とを併せて全ての端末の相対的な位置関係情報とする。
【0103】
次いで、マスター端末1は、メインメモリ21に記憶してある指向性アンテナ26の回転角度とスレーブ端末2〜8のBD_ADDRとの対応テーブルを参照して、全てのBD_ADDRを含む回転角度を判断し、その回転角度になるようにアンテナ回転機構25を駆動させていく。マスター端末1は、上述のインクワイアリ手順で認識した7台のスレーブ端末2〜8と順次、通信コネクションを確立して、マスター端末1とスレーブ端末2〜8とから成るBluetoothネットワーク(ピコネット)が形成される。
【0104】
全てのスレーブ端末の位置関係情報と端末名称とから、スレーブ端末2〜8の端末識別アイコンを相対的な位置関係と対応した順番でLCD35に表示する。この端末識別アイコンを表示した表示例は、実施の形態1で示した図10と同様である。
【0105】
マスター端末1は、該端末を含めた全ての端末の位置関係情報および端末名称を全てのスレーブ端末2〜8へそれぞれ送信する。この位置関係の情報を受信したスレーブ端末2〜8は、それぞれ該端末の端末名称を基準として他の全ての端末識別アイコンを相対的な位置関係に基づいてLCD35に表示していく。全てのスレーブ端末が位置関係の情報を受信して、端末識別アイコンが表示されると、電子会議が実行できる状態となる。
【0106】
図14および図15は、実施の形態2におけるマスター端末1の動作を示したフローチャートである。ステップS1〜S5までは、実施の形態1で示した手順と同様である。
【0107】
ステップS21では、全てのスレーブ端末の位置関係が判断できたかどうかが判断される。YESのときにはステップS6に進み、NOのときにはステップS22に進む。ステップS6〜S10までは、実施の形態1で示した手順と同様である。
【0108】
ステップS22では、位置関係を判断できないスレーブ端末に対向するスレーブ端末が推測される。換言すれば、マスター端末1から見て相対的な位置関係を判断できないスレーブ端末が並ぶ方向に対向するように位置するスレーブ端末が推測される。ステップS23では、対向して位置するスレーブ端末へ位置関係判断依頼コマンドを送信し、該スレーブ端末から応答された位置関係情報を受信する。次いでステップS24では、位置関係を判断できなかったスレーブ端末が位置関係を判断できるようになったかどうか判断される。YESのときにはステップS25に進み、NOのときにはステップS26に進む。
【0109】
ステップS25では、受信した位置関係情報と先に該端末で判断した位置関係情報とから全ての端末の位置関係情報を更新し、ステップS6に戻る。ステップS26では、別のスレーブ端末が推測され、ステップS23に戻る。
【0110】
前述したように実施の形態2によれば、マスター端末1は、指向性アンテナ26を回転させてスレーブ端末2〜8の指向性アンテナ26からの端末識別情報を受信して相対的な位置を判断する。さらに、マスター端末1から見て相対的な位置が判断できないスレーブ端末については、相対的な位置関係を判断できないスレーブ端末が並ぶ方向に対向するように位置するスレーブ端末に位置関係情報の判断を依頼する。また、相対的な位置関係の判断においては、端末から受信した端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの指向性アンテナ26の回転角度と、から判断される。
【0111】
このため、スレーブ端末がマスター端末1から見て重複する位置に複数ある場合でも、全てのスレーブ端末の位置を判断することができる。さらに、全てのスレーブ端末の位置がLCD35に表示されるため、全てのスレーブ端末の位置関係を視覚的に把握することができる。
【0112】
さらに、全てのスレーブ端末の位置関係を判断するために指向性アンテナ26の向きを所定角度回転させる毎に、他のスレーブ端末の指向性アンテナ26から端末識別情報を受信することが試みられる。このため、正確にどのスレーブ端末から電波を受信したのかを正確に判断することができる。即ち、どの方向にどのスレーブ端末があるのかを正確に判断することができる。
【0113】
(実施の形態3)
以下、本発明における無線ネットワークシステムの実施の形態3について説明する。実施の形態3の構成は、後述する点を除き、図2〜6および図12中のS1〜S5に示した実施の形態1の構成とほぼ同様である。実施の形態3では、指向範囲(放射角度)の異なる複数の指向性アンテナ46、47が実装されており、回転機構を伴った指向範囲の最も狭い指向性アンテナ47を使用して、ローカルな無線ネットワークに接続されたスレーブ端末の位置関係を判断する。実施の形態3では、位置関係を判断するマスター端末1から見て全てのスレーブ端末が異なった方向に存在している場合について説明する。
【0114】
図16は、実施の形態3における携帯型表示パッドの内部構成図である。主な構成は、実施の形態1における図3で示した携帯型表示パッド10とほぼ同様であるので、ここでは、異なる部分のみを説明する。
【0115】
図16に示した実施の形態3における携帯型表示パッドは、実施の形態1で示した指向性アンテナ26に代わって、アンテナ切替スイッチ44と、アンテナ45と、指向性アンテナ46、47と、を備えている点が異なる。
【0116】
以上の構成において、その動作を説明する。アンテナコントローラ24からの指示に従い、アンテナ切替スイッチ44は、Bluetoothモジュール23との接続をアンテナ45またはアンテナ回転機構25によって駆動される指向性アンテナ46、47へ切り替える。
【0117】
アンテナ45は無指向性であり、例えば、小型ヘリカルアンテナが挙げられる。指向性アンテナ46、47は、それぞれ指向範囲(角度)が異なる平面アンテナであり、「指向性アンテナ46の指向範囲>指向性アンテナ47の指向範囲」とする。ここでは、指向性アンテナ46は±60度の指向性を有し、指向性アンテナ47は±30度の指向性を有する場合を考える。指向性のある平面アンテナとして、例えば、特開平11−330846号公報の図1に記載された平面アンテナが挙げられる。また、端末の位置関係を精度よく判断するためには、指向性アンテナ47の指向範囲をできるだけ狭くするとよい。
【0118】
特開平11−330846号公報の図2に示されたコルゲート溝の深さCL(Corrugation Length)の寸法を変化させることにより、電波の放射面であるE(E−plane)面の指向範囲を変えることができる。このE面は、後述する図17に示すように電界の振動する方向(偏波方向)を含む面のことである。
【0119】
図17は、平面アンテナ、電界の振動方向等を示した図である。図17では、平面アンテナの平面が垂直方向にある場合を示している。指向性アンテナ46と指向性アンテナ47は、E面が水平方向になるように、すなわち平面アンテナの平面が水平方向になるように実装されている。
【0120】
マスター端末1は、無指向性のアンテナ45を使用してインクワイアリ手順により通信可能な全てのスレーブ端末を認識する。即ち、マスター端末1は、IDパケットを繰り返し送信し、これを受信したスレーブ端末はBluetoothデバイスアドレス(BD_ADDR)、自端末のシステムクロック等を含めたFHSパケットをそれぞれマスター端末1へ送信する。マスター端末1は、受信したFHSパケットの個数(BD_ADDRの個数)からスレーブ端末の台数を認識する。
【0121】
実施の形態3では、実施の形態1で示した図1のBluetoothネットワークを例に説明する。認識したスレーブ端末数2〜8と受信したBD_ADDRとは、メインメモリ21に記憶しておく。
【0122】
次に、マスター端末1は、位置関係特定モードになり、Bluetoothモジュール23と指向範囲の最も狭い指向性アンテナ47が接続するようにスイッチ44を切り替え、アンテナ回転機構25を駆動して指向性アンテナ47を所定の角度だけ回転させ、スレーブ端末2〜8との接続を試みる。即ち、マスター端末1は、スレーブ端末2〜8の7台から受信したそれぞれのBD_ADDRについて、該下位アドレスであるLAPから導き出される同期ワードを含めたIDパケットを送信していく。
【0123】
次いで、マスター端末1は、スレーブ端末2〜8に対してそれぞれベースバンドレイヤのコネクション確立を行うが、実施の形態1において示したものと同様であるため、説明は省略する。
【0124】
次いで、マスター端末1は、スレーブ端末2〜8に対してそれぞれリンク・マネージャ間のコネクション確立を行うが、実施の形態1において示したものと同様の手順であるため、手順についての説明は省略する。
【0125】
但し、マスター端末1のリンク・マネージャが、LMP_name_req PDUを送信し、スレーブ端末2〜8からLMP_name_res PDUを受信したとき、マスター端末1は、LMP_name_res PDUに含まれているスレーブ端末2〜8の端末名称と、指向性アンテナ47の回転角度(基準位置からの角度)と、先に取得しているBD_ADDRと、を対応付けてメインメモリ21に記憶していく。
【0126】
次いで、マスター端末1は、スレーブ端末2〜8に対してそれぞれSDPコネクションの確立を行うが、実施の形態1において示したものと同様であるため、説明は省略する。電子会議のスレーブ端末でない場合には、先にBD_ADDRと対応付けてメインメモリ21に記憶した端末名称を消去し、該スレーブ端末との通信コネクションを切断する。
【0127】
さらに、マスター端末1は、残りのスレーブ端末のBD_ADDRから、該下位アドレスであるLAPを抽出し、LAPから導き出される同期ワードを含めたIDパケットを送信して、スレーブ端末からの応答の有無をチェックする。応答があった場合はベースバンドレイヤのコネクション確立から上記SDPコネクションの確立までと同様の動作を実行して、スレーブ端末の端末名称、指向性アンテナ47の回転角度およびBD_ADDRをメインメモリ21に記憶する。そして、上記の動作を繰り返して、インクワイアリ手順時に認識した全てのスレーブ端末について応答の有無をチェックする。
【0128】
応答のチェックが終了すると、指向性アンテナ47を所定の角度だけ回転させて、上記と同様な動作を実行して、インクワイアリ手順時に認識した全てのスレーブ端末について応答をチェックする。以降、指向性アンテナ47が1回転するまで、同様な動作を繰り返す。指向性アンテナ47が1回転すると、指向性アンテナ47の回転角度と各回転角度で受信したBD_ADDRとから全てのスレーブ端末の位置関係を判断する。そして、メインメモリ21に記憶したスレーブ端末の端末名称をその回転角度と対応した順番でLCD35に表示する。
【0129】
この端末名称を端末識別アイコンとして表示した表示例が、実施の形態1で示した図10である。この様にスレーブ端末2〜8の端末識別アイコンの相対的な位置関係が、実際に存在するスレーブ端末の相対的な位置関係と同じになる。なお、図10の例では、スレーブ端末の相対的な位置関係を示しており、スレーブ端末の絶対的な位置を表すものではない。
【0130】
次に、マスター端末1は、Bluetoothモジュール23と無指向性アンテナ45が接続するようにスイッチ44を切り替える。そして、インクワイアリ手順以降からBluetoothネットワーク(ピコネット)を形成するまでの従来の通信シーケンスを実行する。
【0131】
マスター端末1は、該端末を基準としたスレーブ端末2〜8の相対的な位置関係の情報を全てのスレーブ端末2〜8へそれぞれ送信する。この位置関係の情報はOBEXセッションにより転送する。この位置関係の情報を受信したスレーブ端末2〜8は、それぞれ該端末の端末識別アイコンを基準として他の全ての端末識別アイコンを相対的な位置関係に基づいてLCD35に表示する。例えば、実施の形態1で示した図10における端末名称「斉藤」の端末では、図11のように表示される。なお、マスター端末1の端末名称は「議長」である。そして、全てのスレーブ端末が位置関係の情報を受信すると、電子会議が実行できる状態となる。
【0132】
なお、ファイル等を任意の宛先へ送信する場合、ドラッグ&ドロップ操作の宛先の選択肢として、この端末識別アイコンを利用するようにしてもよい。
【0133】
図18および図19は、実施の形態3におけるマスター端末1の動作を示したフローチャートである。ステップS30において、無指向性アンテナ45を使用して、インクワイアリ手順により通信可能な全てのスレーブ端末数N(Nは整数)が認識され、対応するBD_ADDRが記憶される。ステップS31では、指向範囲の最も狭い指向性アンテナ47に切り替えられる。ステップS32ではアンテナ回転機構25を駆動して指向性アンテナ47を所定角度だけ回転する。ステップS33では、k=1とする。
【0134】
次いで、ステップS34では、記憶されたk番目のBD_ADDRの下位アドレスから導き出される同期ワードを含めたIDパケットが送信される。ステップS35では、IDパケットが受信されたかどうかが判断される。YESのときにはステップS36に進み、NOのときにはステップS39に進む。ステップS36では、ベースバンドレイヤのコネクションが確立され、ステップS37ではリンク・マネージャ間のコネクションが確立され、ステップS38では、LMP_name_req PDUが送信され、その応答であるLMP_name_res PDUに含まれたスレーブ端末の端末名称が指向性アンテナ47の回転角度に対応付けて記憶され、ステップS41に進む。
【0135】
一方、ステップS39では、k=Nであるかどうかが判断される。YESのときにはステップS32に戻り、NOのときにはステップS40に進む。ステップS40ではk=k+1とされ、ステップS34に戻る。
【0136】
ステップS41では、サービス・ディスカバリシーケンスが実行される。ステップS42では、相手が電子会議端末であるかどうかが判断される。YESのときにはステップS43に進み、NOのときにはステップS44に進む。ステップS44では、先に記憶された端末名称が消去され、ステップS43に進む。ステップS43では、通信コネクションが切断される。
【0137】
次いで、ステップS45では、k=Nであるかどうかが判断される。YESのときにはステップS46に進み、NOのときにはステップS47に進む。ステップS47では、k=k+1とされ、ステップS34に戻る。一方、ステップS46では、指向性アンテナ47が1回転したかどうかが判断される。YESのときにはステップS48に進み、NOのときにはステップS32に戻る。ステップS48では、指向性アンテナ47の回転角度と各回転角度で受信したBD_ADDRとから全てのスレーブ端末の相対的な位置関係が判断される。
【0138】
次いで、ステップS49では、スレーブ端末の端末名称が回転角度と対応した順番でLCD35に表示される。ステップS50では無指向性アンテナ45に切り替えられる。ステップS51では、各スレーブ端末と接続してピコネットが形成される。ステップS52では、全てのスレーブ端末とマスター端末1との相対的な位置関係情報が全てのスレーブ端末に送信される。ステップS53では、電子会議が実行される。
【0139】
前述したように実施の形態3によれば、マスター端末1の指向性アンテナ47を回転させながら他のスレーブ端末2〜8の指向性アンテナ47からの端末識別情報を受信し、指向性アンテナ47の回転角度と受信した端末識別情報とに基づいて全てのスレーブ端末の相対的な位置関係が判断される。このため、スレーブ端末が複数ある場合でも全てのスレーブ端末の位置関係を判断することができる。
【0140】
さらに、全てのスレーブ端末2〜8の位置がLCD35に表示されるため、全てのスレーブ端末2〜8の位置関係を視覚的に把握することができる。また、マスター端末1の指向範囲が最も狭い指向性アンテナ47を回転させながら他のスレーブ端末2〜8から端末識別情報を受信するため、指向範囲が比較的広い指向性アンテナ46によって他のスレーブ端末2〜8の指向性アンテナからの端末識別情報を受信する場合よりも、全てのスレーブ端末の位置関係を正確に判断することができる。
【0141】
さらに、全てのスレーブ端末2〜8の位置関係を判断するために指向性アンテナ47の向きを所定角度回転させる毎に、他のスレーブ端末2〜8の指向性アンテナ47から端末識別情報を受信することを試みる。このため、他のスレーブ端末2〜8の中でどのスレーブ端末から電波を受信したのかを正確に判断することができる。即ち、どの方向にどのスレーブ端末があるのかを正確に判断することができる。
【0142】
(実施の形態4)
以下、本発明における無線ネットワークシステムの実施の形態4について説明する。実施の形態4の構成は、後述する点を除き、上述した実施の形態3の構成とほぼ同様である。実施の形態3では、アンテナを1回転させた時に全てのスレーブ端末の位置関係が判断できる場合を示したが、実施の形態4では、複数のスレーブ端末がマスター端末1から見てほぼ同じ方向に存在し、アンテナを1回転させただけでは全てのスレーブ端末の位置関係を判断できない場合について説明する。
【0143】
例えば、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8が実施の形態2で示した図13に示すように位置しており、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8がほぼ一直線上にあり、位置関係を判断することができない場合について説明する。
【0144】
インクワイアリ手順から、指向性アンテナ47の回転角度と各回転角度で受信したBD_ADDRとから検出した全てのスレーブ端末の相対的な位置関係を判断するまでの構成および動作は、後述する点を除いて、実施の形態3と同様である。図18および図19のS30〜S48が、これに該当する。
【0145】
実施の形態4では、図13に示した様に、スレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できない場合、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8のほぼ一直線上でないところに位置するスレーブ端末を推測する。即ち、指向性アンテナ47の回転角度とスレーブ端末のBD_ADDRとの対応テーブルから、マスター端末1から見て通信を行う場合の指向性アンテナ47の回転角度がスレーブ端末7またはスレーブ端末8の場合と異なるスレーブ端末を推測する。
【0146】
図13において、ほぼ一直線上に並ぶマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断する上で、該直線の方向と対向して位置するスレーブ端末の候補としてスレーブ端末3とスレーブ端末4等が挙げられる。このため、スレーブ端末3をマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるスレーブ端末と仮定する。そして、スレーブ端末3と通信できる向きにマスター端末1の指向性アンテナ47を回転させて、スレーブ端末3と通信コネクションを確立する。
【0147】
次いで、マスター端末1は、端末の位置関係を判断する動作を依頼するコマンド(位置関係判断依頼コマンド)をOBEXセッションによりスレーブ端末3へ送信する。なお、この位置関係判断依頼コマンドには、該端末のBD_ADDRを含めて送信する。スレーブ端末3は、位置関係判断依頼コマンドを受信すると、マスター端末1のBD_ADDRをメインメモリ21に記憶して、マスター端末1との通信コネクションを切断する。
【0148】
スレーブ端末3は、実施の形態3におけるマスター端末1と同様に動作して、指向性アンテナ47を回転させながら水平方向の全ての方向に存在するマスター端末1および他のスレーブ端末を認識して、指向性アンテナ47の回転角度と各回転角度で受信したBD_ADDRとから全ての端末の位置関係を判断していく。
【0149】
次に、スレーブ端末3は、メインメモリ21に記憶したマスター端末1のBD_ADDRを基にマスター端末1と通信できる向きに指向性アンテナ47を回転させ、マスター端末1と通信コネクションを確立する。そして、位置関係情報をOBEXセッションによりマスター端末1へ送信する。マスター端末1は、受信した位置関係情報をメインメモリ21に記憶して、スレーブ端末3との通信コネクションを切断する。
【0150】
マスター端末1は、スレーブ端末3から受信した位置関係情報より、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるかどうかをチェックする。ここで、スレーブ端末7とスレーブ端末8との相対的な位置関係を判断できない場合は、スレーブ端末4をマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるスレーブ端末と仮定する。次にスレーブ端末4と通信コネクションを確立し、スレーブ端末3のときと同様に位置関係判断依頼コマンドをOBEXセッションによりスレーブ端末4へ送信する。
【0151】
スレーブ端末4は、位置関係判断依頼コマンドを受信すると、先述のスレーブ端末3と同様の動作を実行して全てのスレーブ端末の位置関係を判断する。そして、位置関係情報をOBEXセッションによりマスター端末1へ送信する。マスター端末1は、受信した位置関係情報をメインメモリ21に記憶して、スレーブ端末3との通信コネクションを切断する。
【0152】
マスター端末1は、スレーブ端末3から受信した位置関係情報より、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるかどうかをチェックする。ここで、スレーブ端末7とスレーブ端末8との相対的な位置関係を判断できない場合、マスター端末1は、さらに、他のスレーブ端末へ位置関係判断依頼コマンドを送信していく。
【0153】
この様にスレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できるまで、上述の動作を繰り返す。マスター端末1がスレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できた場合、先にマスター端末1で判断した位置関係情報と他のスレーブ端末から受信した位置関係情報とを併せて全ての端末の相対的な位置関係情報とする。
【0154】
次いで、マスター端末1は、メインメモリ21に記憶してある指向性アンテナ47の回転角度とスレーブ端末2〜8のBD_ADDRとの対応テーブルを参照して、全てのBD_ADDRを含む回転角度を判断し、その回転角度になるようにアンテナ回転機構25を駆動させていく。マスター端末1は、上述のインクワイアリ手順で認識した7台のスレーブ端末2〜8と順次、通信コネクションを確立して、マスター端末1とスレーブ端末2〜8とから成るBluetoothネットワーク(ピコネット)が形成される。
【0155】
全てのスレーブ端末の位置関係情報と端末名称とから、スレーブ端末2〜8の端末識別アイコンを相対的な位置関係と対応した順番でLCD35に表示する。この端末識別アイコンを表示した表示例は、実施の形態1で示した図10と同様である。
【0156】
マスター端末1は、該端末を含めた全ての端末の位置関係情報および端末名称を全てのスレーブ端末2〜8へそれぞれ送信する。この位置関係の情報を受信したスレーブ端末2〜8は、それぞれ該端末の端末名称を基準として他の全ての端末識別アイコンを相対的な位置関係に基づいてLCD35に表示していく。全てのスレーブ端末が位置関係の情報を受信して、端末識別アイコンが表示されると、電子会議が実行できる状態となる。
【0157】
図20〜図22は、実施の形態4におけるマスター端末1の動作を示したフローチャートである。ステップS30〜S48までは、実施の形態3で示したものと同様である。
【0158】
ステップS80では、全てのスレーブ端末の位置関係が判断できたかどうかが判断される。YESの場合には、ステップS49に進み、NOの場合には、ステップS85に進む。ステップS49〜S53までは、実施の形態3で示したものと同様である。
【0159】
一方、ステップS85では、位置関係を判断できないスレーブ端末に対向するスレーブ端末が推測される。換言すれば、マスター端末1から見て相対的な位置関係を判断できないスレーブ端末が並ぶ方向に対向するように位置するスレーブ端末が推測される。ステップS86では、対向して位置するスレーブ端末へ位置関係判断依頼コマンドを送信し、該スレーブ端末から応答された位置関係情報を受信する。
【0160】
次いで、ステップS87では、位置関係を判断できなかったスレーブ端末が位置関係を判断できるようになったかどうかが判断される。YESのときにはステップS88に進み、NOのときにはステップS89に進む。ステップS88では、受信した位置関係情報と先に自端末で判断した位置関係情報とから全ての端末の位置関係情報を更新し、ステップS49に戻る。ステップS89では、別のスレーブ端末が推測され、ステップS86に戻る。
【0161】
前述したように実施の形態4によれば、マスター端末1は、指向性アンテナ47を回転させてスレーブ端末2〜8からの端末識別情報を受信して相対的な位置を判断する。さらに、マスター端末1から見て相対的な位置が判断できないスレーブ端末については、相対的な位置関係を判断できないスレーブ端末が並ぶ方向に対向するように位置するスレーブ端末に位置関係情報の判断を依頼する。また、相対的な位置関係の判断においては、端末から受信した端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの指向性アンテナ47の回転角度と、から判断される。
【0162】
このため、スレーブ端末がマスター端末1から見て重複する位置に複数ある場合でも、全てのスレーブ端末の位置を判断することができる。さらに、全てのスレーブ端末の位置がLCD35に表示されるため、全てのスレーブ端末の位置関係を視覚的に把握することができる。
【0163】
さらに、全てのスレーブ端末の位置関係を判断するために指向性アンテナ47の向きを所定角度回転させる毎に、他のスレーブ端末の指向性アンテナ47から端末識別情報を受信することが試みられる。このため、正確にどのスレーブ端末から電波を受信したのかを正確に判断することができる。即ち、どの方向にどのスレーブ端末があるのかを正確に判断することができる。
【0164】
さらに、全てのスレーブ端末2〜8の位置がLCD35に表示されるため、全てのスレーブ端末2〜8の位置関係を視覚的に把握することができる。また、マスター端末1の指向範囲が最も狭い指向性アンテナ47を回転させながら他のスレーブ端末2〜8から端末識別情報を受信するため、指向範囲が比較的広い指向性アンテナ46によって他のスレーブ端末2〜8の指向性アンテナからの端末識別情報を受信する場合よりも、全てのスレーブ端末の位置関係を正確に判断することができる。
【0165】
(実施の形態5)
以下、本発明における無線ネットワークシステムの実施の形態5について説明する。実施の形態5の構成は、後述する点を除き、上述した実施の形態3の構成とほぼ同様である。実施の形態3では、指向範囲の異なる複数の指向性アンテナ46、47の中から指向範囲の最も狭い指向性アンテナ47を使用して、ローカルな無線ネットワークに接続した端末の位置関係を判断する場合を示したが、実施の形態5では、指向範囲を可変にできるアダプティブアレイアンテナを使用して、端末の位置関係を判断する方法について説明する。実施の形態5では、位置関係を判断する端末から見て、全ての端末が異なった方向に存在している場合に適用する。
【0166】
図23は、実施の形態5における携帯型表示パッドの内部構成図である。主な構成は、実施の形態3における図16で示した携帯型表示パッドとほぼ同様であるので、ここでは、異なる部分のみを説明する。
【0167】
図23に示した実施の形態5における携帯型表示パッドは、実施の形態3で示したアンテナ回転機構25、スイッチ44、無指向性アンテナ45および指向性アンテナ46、47に代わって、指向範囲を可変可能なアダプティブアレイアンテナ60を備えている点が異なる。
【0168】
図24は、アダプティブアレイアンテナ60の内部構成図である。アダプティブアレイアンテナ60は、アンテナ61〜67と、送信電波の電力を制御する重み付け回路アレイ70と、から構成される。また、重み付け回路アレイ70は、各アンテナ61〜67それぞれの送信電波の電力を制御する重み付け回路71〜77と、各アンテナ61〜67から出力される各受信信号を合成する合成器78と、から構成される。
【0169】
以上の構成において、その動作を説明する。アンテナコントローラ24は、送信電波の方向、指向範囲、送信電力を変えるため、アダプティブアレイアンテナ60の重み付け回路アレイ70の中の各重み付け回路を制御する。図24において、送信信号線および受信信号線は、Bluetoothモジュール23と接続され、また、制御信号線は、アンテナコントローラ24と接続されている。アンテナ61〜67は、重み付け回路アレイ60中の重み付け回路71〜77にそれぞれ接続され、後述する図25に示すように配置されている。
【0170】
図25は、アダプティブアレイアンテナ60の概観図である。アンテナ61〜アンテナ67は、送信電波が水平方向により多く放射されるように実装されている。ここで、アンテナコントローラ24、重み付け回路アレイ60、アンテナ61〜アンテナ67は、アダプティブアレイアンテナとして機能する。即ち、アンテナコントローラ24が重み付け回路71〜77の重み付けを制御することで、送信電波の方向、指向範囲、送信電力を可変にすることができる。
【0171】
以上の構成において、その動作について説明する。マスター端末1は、アダプティブアレイアンテナ60を無指向性にして、インクワイアリ手順によりマスター端末1と通信できる全てのスレーブ端末を認識する。その動作の詳細については、実施の形態3で示したインクワイアリ手順において、無指向性アンテナ45を無指向性としたアダプティブアレイアンテナ60に置き換えて実行したものと同様である。
【0172】
次に、マスター端末1は、アダプティブアレイアンテナ60の指向範囲を最も狭くし、電波を放射する方向を回転させるように重み付け回路アレイ70を制御して、スレーブ端末2〜8との接続を試みる。即ち、マスター端末1は、スレーブ端末2〜8の7台から受信したそれぞれのBD_ADDRについて、該下位アドレスであるLAPから導き出される同期ワードを含めたIDパケットを送信していく。また、スレーブ端末の位置関係を精度よく判断するためには、アダプティブアレイアンテナ60の指向範囲をできるだけ狭くするとよい。
【0173】
さらに、ベースバンドレイヤのコネクション確立からピコネットを形成して電子会議が実行できるようになるまでの動作は、実施の形態3で示した動作と以下の点を除き、同様である。異なる点としては、無指向性アンテナ45を無指向性としたアダプティブアレイアンテナ60に置き換えたため、指向性アンテナを回転させるという点が電波を放射する方向を回転させるという点になり、無指向性アンテナに切り替えるという点をアダプティブアレイアンテナ60を無指向性にするという点である。
【0174】
図26および図27は、実施の形態5のマスター端末1の動作を示したフローチャートである。ステップS90において、アダプティブアレイアンテナ60を無指向性にして、インクワイアリ手順により通信可能なスレーブ端末数Nが認識され、NとBD_ADDRが記憶される。ステップS91では、アダプティブアレイアンテナ60の指向範囲が最も狭くされる。
【0175】
次いで、ステップS92では、送信電波の方向を所定角度だけ回転させる。ステップS93では、k=1とされる。ステップS94では、記憶されたk番目のBD_ADDRの下位アドレスから導き出される同期ワードを含めたIDパケットが送信される。ステップS95では、IDパケットが受信されたかどうかが判断される。YESのときには、ステップS96に進み、NOのときには、ステップS99に進む。
【0176】
ステップS96では、ベースバンドレイヤのコネクションが確立され、ステップS97では、リンク・マネージャ間のコネクションが確立される。ステップS98では、LMP_name_req PDUが送信され、その応答であるLMP_name_res PDUに含まれたスレーブ端末の端末名称が送信電波の方向に対応付けて記憶され、ステップS101に進む。ステップS99では、k=Nであるかどうが判断される。YESのときには、ステップS92に戻り、NOのときには、ステップS100に進む。ステップS100では、k=k+1とされ、ステップS94に戻る。
【0177】
ステップS101では、サービス・ディスカバリシーケンスが実行される。ステップS102では、相手が電子会議端末であるかどうかが判断される。YESのときには、ステップS103に進み、NOのときには、ステップS104に進む。ステップS104では、先に記憶されたスレーブ端末の端末名称が消去され、ステップS103に進む。ステップS103では、通信コネクションが切断される。
【0178】
次いで、ステップS105では、k=Nであるか否かが判断される。YESのときには、ステップS106に進み、NOのときには、ステップS107に進む。ステップS107では、k=k+1とされ、ステップS94に戻る。ステップS106では、送信電波の方向が1回転したかどうかが判断される。YESのときには、ステップS108に進み、NOのときには、ステップS92に戻る。ステップS108では、送信電波の方向と各方向で受信したBD_ADDRとから全てのスレーブ端末の位置関係が判断される。
【0179】
次いで、ステップS109では、スレーブ端末の端末識別アイコンが送信電波の回転角度と対応した順番でLCD35に表示される。ステップS110では、アダプティブアレイアンテナ60が無指向性にされる。ステップS111では、スレーブ端末2〜8と接続してピコネットが形成される。ステップS112では、スレーブ端末2〜8とマスター端末1の相対的な位置関係情報がスレーブ端末2〜8へ送信される。ステップS113では、電子会議が実行される。
【0180】
前述したように実施の形態5によれば、マスター端末1のアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を回転させながら、他のスレーブ端末2〜8からの端末識別情報を受信し、アダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向と受信した端末識別情報とに基づいて全てのスレーブ端末の相対的な位置関係が判断される。このため、スレーブ端末が複数ある場合でも全てのスレーブ端末の位置関係を判断することができる。
【0181】
さらに、全てのスレーブ端末2〜8の位置がLCD35に表示されるため、全てのスレーブ端末2〜8の位置関係を視覚的に把握することができる。また、アダプティブアレイアンテナ60の指向範囲を最も狭くして、電波を放射する方向を回転させながら他のスレーブ端末2〜8から端末識別情報を受信するため、指向範囲が比較的広い指向性アンテナによって他のスレーブ端末2〜8の指向性アンテナからの端末識別情報を受信する場合よりも、全てのスレーブ端末の位置関係を正確に判断することができる。
【0182】
さらに、全てのスレーブ端末2〜8の位置関係を判断するためにアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を所定角度回転させる毎に、他のスレーブ端末2〜8から端末識別情報を受信することを試みる。このため、他のスレーブ端末2〜8の中でどのスレーブ端末から電波を受信したのかを正確に判断することができる。即ち、どの方向にどのスレーブ端末があるのかを正確に判断することができる。
【0183】
(実施の形態6)
以下、本発明における無線ネットワークシステムの実施の形態6について説明する。実施の形態6の構成は、後述する点を除き、上述した実施の形態5の構成とほぼ同様である。実施の形態5では、電波を放射する方向を1回転させた時に全てのスレーブ端末の位置関係が判断できる場合を示したが、実施の形態6では、複数のスレーブ端末がマスター端末1から見てほぼ同じ方向に存在し、電波を放射する方向を1回転させただけでは全てのスレーブ端末の位置関係を判断できない場合について説明する。
【0184】
例えば、マスター端末1およびスレーブ端末2〜8が実施の形態2で示した図13に示すように位置しており、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8がほぼ一直線上にあり、位置関係を判断することができない場合について説明する。
【0185】
インクワイアリ手順から、アダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向と各方向で受信したBD_ADDRとから検出した全てのスレーブ端末の相対的な位置関係を判断するまでの構成および動作は、後述する点を除いて、実施の形態5と同様である。
【0186】
実施の形態6では、図13のようなスレーブ端末7とスレーブ端末8の位置関係を判断できない場合、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8のほぼ一直線上でないところに位置するスレーブ端末を推測する。即ち、アダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向とスレーブ端末のBD_ADDRとの対応テーブルから、マスター端末1から見て通信を行う場合のアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向がスレーブ端末7またはスレーブ端末8の場合と異なるスレーブ端末を推測する。
【0187】
図13において、ほぼ一直線上に並ぶマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断する上で、該直線の方向と対向して位置するスレーブ端末の候補としてスレーブ端末3とスレーブ端末4等が挙げられる。このため、スレーブ端末3をマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるスレーブ端末と仮定する。そして、スレーブ端末3と通信できる向きにマスター端末1のアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を回転させて、スレーブ端末3と通信コネクションを確立する。
【0188】
次いで、マスター端末1は、端末の位置関係を判断する動作を依頼するコマンド(位置関係判断依頼コマンド)をOBEXセッションによりスレーブ端末3へ送信する。なお、この位置関係判断依頼コマンドには、該端末のBD_ADDRを含めて送信する。スレーブ端末3は、位置関係判断依頼コマンドを受信すると、マスター端末1のBD_ADDRをメインメモリ21に記憶して、マスター端末1との通信コネクションを切断する。
【0189】
スレーブ端末3は、実施の形態3におけるマスター端末1と同様に動作して、アダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を回転させながら水平方向の全ての方向に存在するマスター端末1および他のスレーブ端末を認識して、アダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向と各方向で受信したBD_ADDRとから全ての端末の位置関係を判断していく。
【0190】
次に、スレーブ端末3は、メインメモリ21に記憶したマスター端末1のBD_ADDRを基にマスター端末1と通信できる向きにアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を回転させ、マスター端末1と通信コネクションを確立する。そして、位置関係情報をOBEXセッションによりマスター端末1へ送信する。マスター端末1は、受信した位置関係情報をメインメモリ21に記憶して、スレーブ端末3との通信コネクションを切断する。
【0191】
マスター端末1は、スレーブ端末3から受信した位置関係情報より、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるかどうかをチェックする。ここで、スレーブ端末7とスレーブ端末8との相対的な位置関係を判断できない場合は、スレーブ端末4をマスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるスレーブ端末と仮定する。次にスレーブ端末4と通信コネクションを確立し、スレーブ端末3のときと同様に位置関係判断依頼コマンドをOBEXセッションによりスレーブ端末4へ送信する。
【0192】
スレーブ端末4は、位置関係判断依頼コマンドを受信すると、先述のスレーブ端末3と同様の動作を実行して全てのスレーブ端末の位置関係を判断する。そして、位置関係情報をOBEXセッションによりマスター端末1へ送信する。マスター端末1は、受信した位置関係情報をメインメモリ21に記憶して、スレーブ端末3との通信コネクションを切断する。
【0193】
マスター端末1は、スレーブ端末3から受信した位置関係情報より、マスター端末1、スレーブ端末7およびスレーブ端末8の相対的な位置関係を判断できるかどうかをチェックする。ここで、スレーブ端末7とスレーブ端末8との相対的な位置関係を判断できない場合、マスター端末1は、さらに、他のスレーブ端末へ位置関係判断依頼コマンドを送信していく。
【0194】
この様にスレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できるまで、上述の動作を繰り返す。マスター端末1がスレーブ端末7とスレーブ端末8との位置関係を判断できた場合、先にマスター端末1で判断した位置関係情報と他のスレーブ端末から受信した位置関係情報とを併せて全ての端末の相対的な位置関係情報とする。
【0195】
次いで、マスター端末1は、メインメモリ21に記憶してあるアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向とスレーブ端末2〜8のBD_ADDRとの対応テーブルを参照して、全てのBD_ADDRを含む回転角度を判断し、その方向になるようにアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向回転させていく。マスター端末1は、上述のインクワイアリ手順で認識した7台のスレーブ端末2〜8と順次、通信コネクションを確立して、マスター端末1とスレーブ端末2〜8とから成るBluetoothネットワーク(ピコネット)が形成される。
【0196】
全てのスレーブ端末の位置関係情報と端末名称とから、スレーブ端末2〜8の端末識別アイコンを相対的な位置関係と対応した順番でLCD35に表示する。この端末識別アイコンを表示した表示例は、実施の形態1で示した図10と同様である。
【0197】
マスター端末1は、該端末を含めた全ての端末の位置関係情報および端末名称を全てのスレーブ端末2〜8へそれぞれ送信する。この位置関係の情報を受信したスレーブ端末2〜8は、それぞれ該端末の端末名称を基準として他の全ての端末識別アイコンを相対的な位置関係に基づいてLCD35に表示していく。全てのスレーブ端末が位置関係の情報を受信して、端末識別アイコンが表示されると、電子会議が実行できる状態となる。
【0198】
図28〜図30は、実施の形態6におけるマスター端末1の動作を示したフローチャートである。ステップS90〜S108までは、実施の形態5で示した動作と同様である。
【0199】
ステップS140では、全てのスレーブ端末の位置関係が判断できたかどうかが判断される。YESのときには、ステップS109に進み、NOのときには、ステップS145に進む。ステップS109〜S113までは、実施の形態5で示した動作と同様である。
【0200】
一方、ステップS145では、位置関係を判断できないスレーブ端末に対向するスレーブ端末が推測される。換言すれば、マスター端末1から見て相対的な位置関係を判断できないスレーブ端末が並ぶ方向に対向するように位置するスレーブ端末が推測される。ステップS146では、対向して位置するスレーブ端末へ位置関係判断依頼コマンドを送信し、該スレーブ端末から応答された位置関係情報を受信する。
【0201】
次いで、ステップS147では、位置関係を判断できなかったスレーブ端末が位置関係を判断できるようになったかどうかが判断される。YESのときにはステップS148に進み、NOのときにはステップS149に進む。ステップS148では、受信した位置関係情報と先に自端末で判断した位置関係情報とから全ての端末の位置関係情報を更新し、ステップS109に戻る。ステップS149では、別のスレーブ端末が推測され、ステップS146に戻る。
【0202】
前述したように実施の形態6によれば、マスター端末1は、アダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を回転させて、スレーブ端末2〜8からの端末識別情報を受信して相対的な位置関係を判断する。さらに、マスター端末1から見て相対的な位置関係が判断できないスレーブ端末については、相対的な位置関係を判断できないスレーブ端末が並ぶ方向に対向するように位置するスレーブ端末に位置関係情報の判断を依頼する。また、相対的な位置関係の判断においては、端末から受信した端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの指向性アンテナ47の回転角度と、から判断される。
【0203】
このため、スレーブ端末がマスター端末1から見て重複する位置に複数ある場合でも、全てのスレーブ端末の位置を判断することができる。さらに、全てのスレーブ端末の位置がLCD35に表示されるため、全てのスレーブ端末の位置関係を視覚的に把握することができる。
【0204】
さらに、全てのスレーブ端末の位置関係を判断するために、アダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を所定角度回転させる毎に、他のスレーブ端末から端末識別情報を受信することが試みられる。このため、正確にどのスレーブ端末から電波を受信したのかを正確に判断することができる。即ち、どの方向にどのスレーブ端末があるのかを正確に判断することができる。
【0205】
さらに、全てのスレーブ端末2〜8の位置がLCD35に表示されるため、全てのスレーブ端末2〜8の位置関係を視覚的に把握することができる。また、指向範囲を最も狭くしたアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を回転させながら他のスレーブ端末2〜8から端末識別情報を受信するため、指向範囲が比較的広い指向性アンテナによって他のスレーブ端末2〜8の指向性アンテナからの端末識別情報を受信する場合よりも、全てのスレーブ端末の位置関係を正確に判断することができる。
【0206】
(実施の形態7)
以下、本発明における無線ネットワークシステムの実施の形態7について説明する。実施の形態7の構成は、後述する点を除き、上述した実施の形態3の構成とほぼ同様である。実施の形態3では、指向範囲(角度)の異なる複数の指向性アンテナの中で指向範囲の最も狭い指向性アンテナ47を使用して無線ネットワークを構成する全ての端末の位置関係を特定し、無指向性アンテナを使用して電子会議を実行する場合について説明したが、実施の形態7では、全てのスレーブ端末と無線通信するのに必要な指向範囲を有する指向性アンテナを使用する。
【0207】
実施の形態7における携帯型表示パッドと、マスター端末1が、指向性アンテナ47を回転させながら水平方向の全ての方向に存在するスレーブ端末を認識して、アンテナの回転角度と各位置で受信したBD_ADDRとから全てのスレーブ端末の位置関係を判断し、スレーブ端末の端末名称をLCD35に表示するまでの動作とは、実施の形態3と同様である。図18および図19におけるS30〜S49が該当する。
【0208】
ここで、先に指向性アンテナ47を1回転させて認識した全てのスレーブ端末の存在範囲をチェックし(メインメモリ21に記憶されたスレーブ端末のBD_ADDRとアンテナの回転角度との対応テーブルを参照)、実施の形態3における携帯型表示パッドに実装された3個のアンテナの中から、全てのスレーブ端末と通信でき、かつ、指向範囲の最も狭いアンテナを選択する。
【0209】
実施の形態3における携帯型表示パッドに実装されたアンテナは、無指向性アンテナ45が指向性無し、指向性アンテナ46が±60度の指向性、指向性アンテナ47が±30度の指向性を有していることから、全てのスレーブ端末が±60度の範囲内に存在している場合は、アンテナコントローラ24はBluetoothモジュール23と指向性アンテナ46が接続するようにスイッチ44を切り替える。そして、アンテナ回転機構25を全てのスレーブ端末と通信できる角度まで回転させる。
【0210】
実施の形態1で示した従来の動作におけるインクワイアリ手順以降からBluetoothネットワーク(ピコネット)を形成するまでの通信シーケンスを実行し、電子会議を実行開始する。上記の全てのスレーブ端末の位置関係を判断して、それらのスレーブ端末の端末名称をLCD35に表示した以降のマスター端末1の概略動作フローチャートを後述する図31に示す。
【0211】
図31は、実施の形態7におけるマスター端末1の動作を示したフローチャートである。まず、ステップS150において、スレーブ端末のBD_ADDRと指向性アンテナ46の回転角度との対応テーブルを参照して、全てのスレーブ端末の存在範囲が判断される。ステップS151では、全てのスレーブ端末と通信でき、かつ、指向範囲の最も狭い指向性アンテナ46が選択される。ステップS152では、指向性アンテナ46が全てのスレーブ端末と通信できる角度まで回転させる。ステップS153では、各スレーブ端末と接続してピコネットが形成される。ステップS154では、電子会議が実行される。
【0212】
前述したように実施の形態7によれば、マスター端末1の指向性アンテナ47を回転させながら他のスレーブ端末からの端末識別情報を受信し、指向性アンテナ47の向きと受信された端末識別情報とに基づいて全てのスレーブ端末の位置関係が判断される。このため、スレーブ端末が複数ある場合であっても全てのスレーブ端末の位置関係を判断することができる。
【0213】
さらに、指向範囲が比較的広い指向性アンテナによって他のスレーブ端末からの端末識別情報を受信する場合よりも、全てのスレーブ端末の位置関係を正確に判断することができる。
【0214】
また、全てのスレーブ端末の位置関係が判断された後には、他の全てのスレーブ端末と通信可能な指向範囲が最も狭い指向性アンテナ46を使用して他の全てのスレーブ端末との通信が実行される。このため、全てのスレーブ端末の位置関係が判断された後に指向範囲が比較的広い指向性アンテナが使用され、無関係の無線通信に対する電波干渉が起こってしまうのを抑制することができる。
【0215】
(実施の形態8)
以下、本発明における無線ネットワークシステムの実施の形態8について説明する。実施の形態8の構成は、後述する点を除き、上述した実施の形態5の構成とほぼ同様である。実施の形態8では、送信電波を全てのスレーブ端末と無線通信するのに必要な指向範囲、放射方向、送信電力を選択して電子会議を実行する場合について説明する。
【0216】
実施の形態8における携帯型表示パッドの内部構成は、図23に示したものと同様である。また、マスター端末1が、アダプティブアレイアンテナ60の指向範囲を最も狭くして、送信電波の方向を回転させながら水平方向の全ての方向に存在するスレーブ端末を認識して、送信電波の方向と各方向で受信したBD_ADDRとから全てのスレーブ端末の位置関係を判断し、スレーブ端末の端末名称をLCD35に表示するまでの動作は実施の形態5と同様である。図26および図27におけるS90〜S109が該当する。
【0217】
ここで、先に送信電波の方向を1回転させて認識した全てのスレーブ端末の存在範囲をチェックし(メインメモリ21に記憶されたスレーブ端末のBD_ADDRと送信電波の方向との対応テーブルを参照)、全てのスレーブ端末と通信でき、かつ、指向範囲が最も狭くなるように、送信電波の放射方向と指向範囲を定める。初期の動作時よりも小さい所定の送信電力に設定して、再びインクワイアリ手順を実行する。
【0218】
そして、先に認識していた全てのスレーブ端末を認識できるかチェックする。全てのスレーブ端末を認識できた場合は、電波の送信電力をさらに小さくして、再びインクワイアリ手順を実行する。インクワイアリ手順にて先に認識していた全てのスレーブ端末の中で認識できなくなるものが出てくるまで、順次、電波の送信電力を小さくしていく。
【0219】
認識できないスレーブ端末が1つでもある場合、全てのスレーブ端末を認識できるように、電波の送信電力を1つ前の設定に戻す。実施の形態1で示した従来の動作におけるインクワイアリ手順以降からBluetoothネットワーク(ピコネット)を形成するまでの通信シーケンスを実行し、電子会議を実行開始する。上記の全てのスレーブ端末の位置関係を判断して、それらのスレーブ端末の端末名称をLCD35に表示した(図26および図27のS109)以降のマスター端末1の概略動作フローを図32に示す。
【0220】
図32は、実施の形態8におけるマスター端末1の動作を示したフローチャートである。ステップS160において、スレーブ端末のBD_ADDRと送信電波の方向との対応テーブルを参照して、全てのスレーブ端末の存在範囲が判断される。ステップS161では、全てのスレーブ端末と通信でき、かつ、指向範囲が最も狭くなるように送信電波の放射方向と指向範囲が定められる。
【0221】
ステップS162では、送信電力が所定分だけ下げられる。ステップS163では、インクワイアリ手順により全てのスレーブ端末が認識されたかどうかが判断される。YESのときにはステップS162に戻り、NOのときにはステップS164に進む。ステップS164では、送信電力が一つ前の設定に戻される。ステップS165では、各スレーブ端末と接続してピコネットが形成される。ステップS166では、電子会議が実行される。
【0222】
前述したように実施の形態8によれば、マスター端末1のアダプティブアレイアンテナ60の電波を放射する方向を回転させながら他のスレーブ端末からの端末識別情報を受信し、電波を放射する方向と受信された端末識別情報とに基づいて全てのスレーブ端末の位置関係が判断される。このため、スレーブ端末が複数ある場合であっても全てのスレーブ端末の位置関係を判断することができる。
【0223】
さらに、アダプティブアレイアンテナ60の指向範囲を最も狭くし、マスター端末1の電波を放射する方向を回転させながら他のスレーブ端末からの端末識別情報を受信し、電波を放射する方向とその受信した端末識別情報とに基づいて全てのスレーブ端末の相対的な位置関係が判断される。このため、指向範囲が比較的広くされた指向性アンテナによって他のスレーブ端末からの端末識別情報を受信する場合よりも、全てのスレーブ端末の位置関係を正確に判断することができる。
【0224】
また、全てのスレーブ端末の位置関係が判断された後には、アダプティブアレイアンテナ60の指向範囲を全ての無線通信端末の位置関係を判断できる最も狭い状態に設定して他のスレーブ端末との通信が実行される。このため、全てのスレーブ端末の位置関係が判断された後にアダプティブアレイアンテナ60の指向範囲が比較的広くされるのに伴って無関係の無線通信に対する電波干渉が起こってしまうのを抑制することができる。
【0225】
さらに、全てのスレーブ端末の位置関係が判断された後には、送信電力を全てのスレーブ端末と通信が可能な最も小さい送信電力に設定して他のスレーブ端末との通信が実行される。このため、全てのスレーブ端末の位置関係が判断された後に送信電力を抑制することができる。また、全てのスレーブ端末の位置関係が判断された後に送信電波方向が変更されるのに伴って無関係の無線通信に対する電波干渉が起こってしまうのを抑制することができる。
【0226】
上述した実施の形態1〜8では、無線通信手段としてBluetoothを使用した場合を示したが、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11b無線LAN等の他の無線通信手段を使用することもできる。
【符号の説明】
【0227】
1 マスター端末1
2,3,4,5,6,7,8 スレーブ端末
10 携帯型表示パッド
11 タッチペン
25 アンテナ回転機構
26 指向性アンテナ
35 LCD
37 タッチパネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0228】
【特許文献1】特開平11−178043号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指向性アンテナによって受信された電波に基づいて無線通信端末の位置を検出する無線ネットワークシステムにおいて、
回転可能な指向性アンテナを有する複数の無線通信端末を具備し、
第一の無線通信端末の指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第一の無線通信端末から第二の無線通信端末に全ての無線通信端末の位置検出を依頼することを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項2】
第二の無線通信端末は、前記位置検出の依頼を受信した場合に、その指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項3】
前記第二の無線通信端末は、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信し、第一の無線通信端末は、第二の無線通信端末から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の指向性アンテナの向きとに基づいて全ての無線通信端末の位置の検出を試み、全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、全ての無線通信端末の位置を検出することができるまで、全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を残りの無線通信端末に順次送信することを特徴とする請求項2に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項4】
指向性アンテナによって受信された電波に基づいて無線通信端末の位置を検出する無線ネットワークシステムにおいて、
回転可能な指向性アンテナを有する複数の無線通信端末を具備し、
第一の無線通信端末が複数の指向性アンテナを具備し、第一の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第一の無線通信端末から第二の無線通信端末に全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を送信し、第二の無線通信端末が複数の指向性アンテナを具備し、第二の無線通信端末は、第二の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出し、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信し、第一の無線通信端末は、第二の無線通信端末から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナの向きとに基づいて全ての無線通信端末の位置の検出を試み、全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、全ての無線通信端末の位置を検出することができるまで、全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を残りの無線通信端末に順次送信することを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項5】
指向性アンテナによって受信された電波に基づいて無線通信端末の位置を検出する無線ネットワークシステムにおいて、
送信電波の方向を回転可能であって指向範囲を変更可能な指向性アンテナを有する複数の無線通信端末を具備し、
指向範囲を最も狭くした状態で第一の無線通信端末の送信電波の方向を回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、送信電波の方向と受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第一の無線通信端末から第二の無線通信端末に全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を送信し、第二の無線通信端末は、指向範囲を最も狭くした状態で第二の無線通信端末の送信電波の方向を回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、送信電波の方向と受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出し、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信し、第一の無線通信端末は、第二の無線通信端末から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の送信電波の方向とに基づいて全ての無線通信端末の位置の検出を試み、全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、全ての無線通信端末の位置を検出することができるまで、全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を残りの無線通信端末に順次送信することを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項6】
第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの電波に基づいて第二の無線通信端末の位置と第三の無線通信端末の位置とを区別することができないときには、第二の無線通信端末および第三の無線通信端末のほぼ対角位置に位置する第四の無線通信端末に対して第一の無線通信端末から全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を送信し、第四の無線通信端末は全ての無線通信端末の位置を検出し、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項1】
指向性アンテナによって受信された電波に基づいて無線通信端末の位置を検出する無線ネットワークシステムにおいて、
回転可能な指向性アンテナを有する複数の無線通信端末を具備し、
第一の無線通信端末の指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第一の無線通信端末から第二の無線通信端末に全ての無線通信端末の位置検出を依頼することを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項2】
第二の無線通信端末は、前記位置検出の依頼を受信した場合に、その指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項3】
前記第二の無線通信端末は、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信し、第一の無線通信端末は、第二の無線通信端末から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の指向性アンテナの向きとに基づいて全ての無線通信端末の位置の検出を試み、全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、全ての無線通信端末の位置を検出することができるまで、全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を残りの無線通信端末に順次送信することを特徴とする請求項2に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項4】
指向性アンテナによって受信された電波に基づいて無線通信端末の位置を検出する無線ネットワークシステムにおいて、
回転可能な指向性アンテナを有する複数の無線通信端末を具備し、
第一の無線通信端末が複数の指向性アンテナを具備し、第一の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第一の無線通信端末から第二の無線通信端末に全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を送信し、第二の無線通信端末が複数の指向性アンテナを具備し、第二の無線通信端末は、第二の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナを回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、指向性アンテナの向きと受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出し、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信し、第一の無線通信端末は、第二の無線通信端末から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の指向範囲が最も狭い指向性アンテナの向きとに基づいて全ての無線通信端末の位置の検出を試み、全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、全ての無線通信端末の位置を検出することができるまで、全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を残りの無線通信端末に順次送信することを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項5】
指向性アンテナによって受信された電波に基づいて無線通信端末の位置を検出する無線ネットワークシステムにおいて、
送信電波の方向を回転可能であって指向範囲を変更可能な指向性アンテナを有する複数の無線通信端末を具備し、
指向範囲を最も狭くした状態で第一の無線通信端末の送信電波の方向を回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、送信電波の方向と受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、第一の無線通信端末から第二の無線通信端末に全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を送信し、第二の無線通信端末は、指向範囲を最も狭くした状態で第二の無線通信端末の送信電波の方向を回転させながら他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報を受信し、送信電波の方向と受信された端末識別情報とに基づいて全ての無線通信端末の位置を検出し、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信し、第一の無線通信端末は、第二の無線通信端末から送信された全ての無線通信端末の位置情報と、第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの端末識別情報と、その端末識別情報を受信したときの第一の無線通信端末の送信電波の方向とに基づいて全ての無線通信端末の位置の検出を試み、全ての無線通信端末の位置を検出することができない場合には、全ての無線通信端末の位置を検出することができるまで、全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を残りの無線通信端末に順次送信することを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項6】
第一の無線通信端末の指向性アンテナにより受信された他の無線通信端末の指向性アンテナからの電波に基づいて第二の無線通信端末の位置と第三の無線通信端末の位置とを区別することができないときには、第二の無線通信端末および第三の無線通信端末のほぼ対角位置に位置する第四の無線通信端末に対して第一の無線通信端末から全ての無線通信端末の位置検出を依頼する旨を送信し、第四の無線通信端末は全ての無線通信端末の位置を検出し、その検出された全ての無線通信端末の位置情報を第一の無線通信端末に送信することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の無線ネットワークシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2011−47952(P2011−47952A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245561(P2010−245561)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【分割の表示】特願2001−262443(P2001−262443)の分割
【原出願日】平成13年8月30日(2001.8.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【分割の表示】特願2001−262443(P2001−262443)の分割
【原出願日】平成13年8月30日(2001.8.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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