説明

無線メンテナンス・チャネルの電力制御を管理するシステムおよびその方法

【課題】無線通信システムでは、ユーザ(24)と基地局(26)との間に無線チャネル(34,36)が維持される。無線ユーザは、スイッチをオンに切り換えてはいるが、実際にはデータの送信および受信をしないことが多い。したがって、無線ユーザは「アクティブ状態」であって、現在無線トラフィック・チャネルを割当てられて送受信しているか、または「アイドル状態」であって、現在送受信していないことがある。
【解決手段】無線ユーザは、周期的な同期化メッセージ・シーケンスによってアイドル状態が維持されている。無線メッセージの電力レベルを制御する方法は、送信されるデータの存在を判断し、データの存在に応じて同期化メッセージの電力レベルを調整することを含む。アイドル状態に該当する同期化メッセージは、高い電力レベルを使用するアクティブ状態の送信に比べて低い電力レベルを使用する。これにより電力消費および干渉を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムでは、多数の無線チャネルが、ユーザと中央局、例えば基地局またはアクセス・ポイントなどとの間のコネクションを提供する。このようなシステムでは、無線チャネルは一般に、共用する必要がある乏しい資源である。CDMA(符号分割多重アクセス)システムでは、各信号に異なる符号を適用することにより、多数の異なるチャネルが単一の高周波搬送波上を伝送される。しかし、CDMAシステムにおいても、チャネルへのアクセス要求は極めて多いため、基地局は多数のユーザ間でチャネルを割当ておよび切り換える必要がある。
【0003】
無線ユーザは、スイッチをオンに切り換えてはいるが、実際にはデータの送信および受信をしないことが多い。したがって、無線ユーザは、「アクティブ」モードであって、現在無線データ・トラフィック・チャネルを割当てられて送受信しているか、または「アイドル」モードであって、現在送受信していないことがある。アイドル状態のユーザは、例えば、データ・トラフィック伝送を送信または受信した直後であることもあり、このため、さらなる伝送のためにデータ・トラフィック・チャネルを直ぐに要求する可能性が高いと考えられる。したがって、メンテナンス・メッセージを使用して、同期化されているがアイドル状態にユーザを維持することにより、必要とされるときに無線トラフィック・チャネルを容易に割当てることができる。ユーザがチャネルを要求すると、このアイドル状態により、同期化アイドル状態に維持されていないユーザに比べて、ユーザに無線トラフィック・チャネルをすばやく割当てることができる。システムを実現する1つの方法に関するさらに詳細な情報は、本出願の譲受人であるタンティビ・コミュニケーションズ・インコーポレーテッド(Tantivy Communications,Inc.)の米国特許第6,222,832号の、発明の名称「CDMA無線通信システムにおける高度可変データ・レート逆方向リンクのトラフィック・チャネルの高速獲得」(代理人ファイルNo.2479,1008−000)を参照ください。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、メンテナンス・メッセージの周期的なシーケンスを通じて、多数のユーザがアイドル状態に維持される。アイドル状態では、メンテナンス・メッセージは、一般に、時間追跡および電力制御を提供し、アクティブ状態において使用される位相基準情報を必要としない。時間追跡および電力制御信号は、アクティブなデータ・ペイロード伝送中に送信されるメンテナンス・メッセージに比べて少ない電力しか必要としない。しかし、メンテナンス・メッセージは、一般に、アイドルおよびアクティブ状態の両方において、同等の電力レベルで送信される。したがって、メンテナンス・メッセージは、アイドル状態の間の干渉およびバッテリ電力消費を増加させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
無線通信システムでは、多くの場合、同期化メンテナンス・メッセージを使用して時間追跡および電力制御を提供することによって、ユーザをアイドル状態に維持する。本発明によれば、無線メッセージの電力レベルを制御する方法は、同期化メンテナンス・メッセージ(同期化メッセージ)を伝送するメンテナンス・チャネルを定義して、無線アクセス端末から基地局に伝送されるデータの存在を判断することを含む。メンテナンス・チャネルを介してアクセス端末から送信される同期化メッセージの電力レベルは、送信されるデータの存在に応じて調整される。アイドル状態同期化のための同期化メッセージが時間追跡および電力制御信号を提供するのに対し、アクティブ・データ・トラフィック伝送に相当する同期化メッセージは、さらに、データ・トラフィック伝送に対する位相基準を提供する。アイドル状態に相当する同期化メッセージは、高い電力レベルを使用するアクティブ状態伝送に比べて低い電力レベルを使用する。
【0006】
この方法において、システムはデータの存在を監視し、これにより電力レベルを制御して、データが存在しないときには同期化メッセージを低い電力レベルで送信することにより、電力消費および干渉を低減する。
【0007】
より詳細には、データ伝送状態は、逆方向リンク上のデータ・トラフィック・チャネルを介して伝送するデータの存在を示すために、無線アクセス端末において維持される。同期化メッセージの電力レベルはデータ伝送状態に応じて計算される。目標電力レベルは、アイドル状態およびアクティブ状態に対して維持される。同期化メッセージは、該当する電力レベルでアクセス端末から基地局に送信される。基地局からの応答で送信される電力制御メッセージ(返送メッセージ)が、適切な目標電力レベルに近づくように電力レベルを管理する。
【0008】
メンテナンス・チャネル・コネクションが、同期化メッセージの伝送のために維持される。メンテナンス・チャネルは一般に、変調されない信号またはパイロット信号を送信して、同期化を維持する。メンテナンス・チャネルは専用のデータ・トラフィック・チャネルではないため、複数のアクセス端末が単一のメンテナンス・チャネル上に維持され、複数のタイム・スロットを使用する。
【0009】
同期化メッセージは一般に、各アクセス端末から所定の時間間隔で送信される。アイドル状態では、同期化メッセージはゲーティング・レート(gating rate)、つまりゲート回路によって信号をオン(信号を通過)させる割合に従って送信される。アクティブ状態では、該当するデータ・トラフィック伝送に対する位相基準を維持するために、同期化メッセージは連続的に送信される。返送電力制御メッセージが、電力制御グループに従って、電力制御および時間追跡情報を含む同期化メッセージで応答して送信される。
【0010】
アクセス端末は、データ伝送状態のオン(アクティブ)またはオフ(アイドル)を判断し、これにより送信電力を調整する。次に、基地局はデータ伝送状態を判断し、これにより、アクティブ電力制御目標およびアイドル電力制御目標のうちの一つに近づくように電力レベルを制御するために、返送メッセージの情報を調整する。さらに、アクセス端末は、データ伝送状態の変化後の所定の期間は返送メッセージを無視して、基地局によってデータ伝送状態変化の認定および調整ができるようにする。
【0011】
目標電力レベルは、受信信号強度、受信信号品質、搬送波対干渉(C/I)比、および信号対雑音比(SNR)を含む要因を用いて基地局によって決定される。
【0012】
本発明の前述およびその他の目的、特徴、および利点は、添付図面に示す本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明で明らかになるであろう。図面では、同一参照符号は異なる図面においても同一部品を指す。図面は必ずしも縮尺通りでなく、本発明の原理を示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)〜(c)は、無線メンテナンス・チャネルの従来技術のメンテナンス・メッセージの図である。
【図2】本発明による無線通信システムの図である。
【図3】無線アクセス端末と基地局との間におけるメッセージ伝送のための順方向および逆方向リンクを示す図である。
【図4】本発明による無線同期化メッセージの図である。
【図5】アイドルおよびアクティブ電力レベルを示す図である。
【図6】メッセージ伝送のフローチャートである。
【図7】目標電力レベルに従って伝送電力を管理するための電力制御ループのフローチャートである。
【図8】データ伝送状態間の遷移を示すメッセージ伝送シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい実施形態を以下に説明する。
【0015】
本明細書に開示する無線システムは、逆方向リンク・メンテナンス・チャネルを使用して、複数の加入者アクセス端末に対して同期化および他の状態情報を維持する。加入者アクセス端末は、基地局プロセッサに対する無線リンクを提供して、インターネットのようなデータ・ネットワークと通信することによりユーザをサポートする。無線リンクは基地局によって管理される1つ以上の無線チャネルによって提供される。無線チャネルは、データ伝送要求に応じて、基地局によって複数アクセス端末に動的に割当てられ、一般には単一ユーザの専用を維持しない。
【0016】
したがって、アクセス端末がアクティブにデータを送信しないとき、つまり実際にデータを送信しないときは、メンテナンス・チャネルを使用して、アクセス端末を基地局との同期状態に維持する。このようなメンテナンス・チャネルは、同時に複数のアクセス端末を維持できる。この同期化により、アクセス端末がデータ・メッセージを送信または受信するごとに逆方向リンク無線チャネルを設定し、またそれを切り離すのが必要とされることに比べて、データ・トラフィック伝送に必要な際にアクセス端末にデータ・トラフィック・チャネルを容易に割り当てることができる。
【0017】
図1(a)〜(c)は、従来技術で使用されるいくつかの異なるタイプのメンテナンス・メッセージの図である。図1(a)〜(c)を参照して、メンテナンス・メッセージの電力レベルは、3つの異なるゲーティング・レート、1,1/2および1/4のそれぞれについて示されている。アクセス端末がアイドル状態であり、アクティブにデータを送受信していないとき、「データ・オフ/ゲート制御(gated)」期間10に示されるように、メンテナンス・メッセージを送信して、時間追跡および電力制御を維持する。アイドル状態メッセージは連続である必要はない。このメッセージは、20msの電力制御グループ18の期間中、ゲーティング・レート14a〜14cに従って、タイム・スロット方式またはゲート制御方式、つまりゲート回路によって信号をオン/オフする方式によって送信される。図1(a)〜(c)のそれぞれ示されるように、いくつかの異なるゲーティング・レート、つまり信号をオンにする割合が使用されている。「データ・オン」期間12の間、メンテナンス・メッセージは、連続伝送16a〜16cに示されるように連続的に送信される。各電力制御グループ18の間、ゲート制御されたメッセージは、軸20で電力レベルが示されているように、同一電力レベルで送信される。データ・オフ期間10の間に送信されるメンテナンス・メッセージは、時間追跡および電力制御に使用されるため、データ・オン期間12の間に送信されるメンテナンス・メッセージと同一電力レベルで送信される必要はない。データ・オン期間12の間のメンテナンス・メッセージは、該当するデータ・トラフィック・チャネルの位相基準としても使用される。
【0018】
図2は、本発明を用いる無線通信システム22の図である。複数の加入者端末24(アクセス端末)が、無線リンク30を介して基地局プロセッサ26(基地局)と無線通信する。基地局26はまた、アクセス端末24のゲートウェイとして作用するために、有線リンク33を介してインターネット28とも接続されている。アクセス端末24は一般に、総称して顧客構内設備(CPE)32、例えばデスクトップPC32a,32c,PDA(携帯情報端末)32b、無線電話32d、ならびに図示していないが、ラップトップ、ポケベルおよび自動車テレマティックス・デバイスのような他の装置にアクセスする無線インターネットを提供する。なお、アクセス端末24によって提供される無線機能部は、加入者アクセス・ユニットのようなスタンドアロンの装置内にあってもよく、またはCPE32ユニット内に組み込まれていてもよい。いずれにしても、CPEは無線リンク30および基地局26を介してインターネット28と通信可能である。
【0019】
図3は、アクセス端末と基地局との間でメッセージ伝送するための順方向および逆方向リンクを示す。図2および図3を参照して、無線リンクは順方向リンク34および逆方向リンク36の両方を備えることにより、双方向通信を可能にしている。順方向リンクは基地局26からアクセス端末24にメッセージを伝える無線チャネルをサポートし、逆方向リンク36はアクセス端末24から基地局26にメッセージを伝える無線チャネルをサポートする。
【0020】
各アクセス端末24は、逆方向リンク36を介して基地局26に同期化メッセージを周期的に送信する。同期化メッセージは、アクセス端末を少なくともアイドル状態に維持するのに十分な時間追跡および電力制御情報を有し、これによりアクセス端末は基地局26と同期化される。基地局は順方向リンク34を介して電力制御メッセージで応答する。電力制御メッセージは電力制御コマンドを有し、このコマンドにより、後続のメッセージの電力レベルを指示して、アクセス端末24が基地局26との同期化を維持することを可能にする。電力レベルは、基地局の電力レベル・コントローラ38によって、アイドル状態およびアクティブ・データ伝送状態の両方の目標電力レベルを計算して決定される。
【0021】
順方向リンク34および逆方向リンク36はさらに、データ・ペイロードを有する無線メッセージを伝送するデータ・トラフィック・チャネルを備える。データ・トラフィック・チャネルは、アクセス端末24がデータを送信または受信しようとすると、基地局によってアクセス端末24に割当てられる。以下に詳細に述べるデータ伝送状態は、アクセス端末24にデータ・トラフィック・チャネルが割当てられているか否かを示す。データ伝送状態がアクティブのとき、同期化メッセージは、時間追跡および電力制御に加えて、データ・トラフィック・チャネル上を伝送されるメッセージに対して位相基準を提供する。
【0022】
しかし、時間追跡および電力制御に対してのみ使用される同期化メッセージは、アクティブ・データ伝送状態の間に位相基準を提供するのに使用される同期化メッセージほどの大きい電力を必要としない。したがって、本発明によれば、同期化メッセージはアイドル・データ伝送状態では低電力レベルで送信される。同期化メッセージが位相基準に対しても使用される場合に、この同期化メッセージに追加の電力が提供される。したがって、同期化メッセージは、アイドル・データ伝送状態では、アクティブ・データ伝送状態に比べて低電力レベルで送信される。
【0023】
図4は本発明における電力レベルの図である。図4および図2を参照して、アイドル(オフ)データ伝送状態40の間、同期化メッセージはゲーティング・レートに従ってゲート制御方式で送信される。例示として、1/4のゲーティング・レートを示しているが、他のゲーティング・レートを使用することもできる。メッセージの電力レベルは軸44によって示されている。データ伝送状態がアクティブ(オン)42に遷移すると、電力レベル44が増加して、同期化メッセージを位相基準に対しても使用可能にする。
【0024】
前述のように、同期化メッセージは2つの電力レベルのいずれかで送信される。電力レベルは基地局26によって管理され、電力制御メッセージを介してアクセス端末24に伝送される。アクセス端末24は、基地局によって指示された電力レベルで伝送することにより、応答する。基地局26は、アクセス端末が伝送すべき電力レベルを示す、以下で詳しく述べる目標電力レベルを計算する。一般に、電力レベルは実効放射電力をデシベル(dB)で表わすが、別の基準を使用することもできる。その結果、基地局は各データ伝送状態に対して目標電力レベルを維持する。アクティブ目標電力レベルはオン(ON)・データ伝送状態に対応し、アイドル目標電力レベルはオフ(OFF)・データ伝送状態に対応する。
【0025】
図5は、アイドルおよびアクティブの電力レベルを詳細に示す。期間46はオフ・データ伝送状態に相当し、期間48はオン・データ伝送状態に相当する。電力レベル44は同期化メッセージの電力レベルを示す。点線50で示されるアイドル目標電力レベルは、オフ・データ伝送状態の間に同期化メッセージを送信する電力レベルを表わす。点線52で示されるアクティブ目標電力レベルは、オン・データ伝送状態の間に同期化メッセージを送信する電力レベルを表わす。
【0026】
アクセス端末24はアイドルおよびアクティブ目標電力レベル50,52を維持する。基地局26は、電力制御メッセージによって、アクセス端末24から送信されるメッセージの伝送電力を管理する。この電力制御メッセージは、アイドルおよびアクティブ目標電力レベル50,52を調整するために基地局26から送信される。アクセス端末24は、データ伝送状態が変化するときを判断し、アクティブおよびアイドル電力レベル間で切り換え、さらに該当する電力レベルに従って伝送する。基地局26は、データ伝送状態の変化を判断し、これにより電力制御メッセージを調整する。これについては以下に詳細を述べる。
【0027】
データ伝送状態は、伝送がアクティブまたはアイドル電力レベルのいずれで実行されるかに影響を与えるが、別の要因も受信して検知される電力レベルに影響を与える。アクセス端末24から基地局26までの距離、介在物体、他の発生源からの干渉、および他の要因すべてが、無線メッセージの検知電力レベルに影響を与える可能性がある。したがって、基地局26は、受信メッセージの電力レベルを示す受信信号品質を検査し、これにより電力制御メッセージを算出する。アクセス端末24からのメッセージが低すぎる検知電力レベルで受信されている場合、基地局は高い電力レベルで伝送すべきことを示す電力制御メッセージを伝送する。同様に、アクセス端末24からのメッセージが高すぎる検知電力レベルで受信される場合、基地局は低い電力レベルで伝送すべきことを示す電力制御メッセージを伝送する。このように、基地局は目標電力レベルに焦点を合わせて、アクセス端末から伝送されるメッセージの電力レベルを管理する。
【0028】
したがって、アクセス端末24がデータ伝送状態を変更すると、基地局は異なる電力レベルでメッセージを受信する。基地局は電力レベルの変化がデータ伝送状態の変化に起因するものであって、前述の他の要因に起因しないことを判断し、これによりアイドルおよびアクティブ電力レベルの計算を続行する。さらに、電力制御メッセージが一般に、20msごとに16の電力制御グループ、すなわち1.25msごとの電力制御グループに従って送信されるため、基地局はいくつかの制御メッセージが循環するまで、データ伝送状態を判断しなくてもよい。このため、アクセス端末24は、データ伝送状態を切り換えた後の所定期間の間は電力制御メッセージを無視することができる。したがって、アクセス端末は、電力制御メッセージを送信してくる基地局26には構わずに、アクティブおよびアイドル電力レベルの間を切り換えることができる。ただし、この電力制御メッセージは、他の点では電力が低減された同期化メッセージの伝送を阻む可能性がある。
【0029】
図6は、本発明の特定の実施形態による同期化メッセージ伝送のフローチャートである。図2を再度参照して、アクセス端末24は、ステップ100に示すように、トラフィック・チャネル上を伝送される準備のできたデータが存在するか否かを判断する。ステップ102に示すように、これによりデータ伝送状態を設定するか維持するかのチェックが実行される。伝送を待つデータが無い場合、ステップ104に示すように、アクセス端末24はアイドルのデータ伝送状態に入るかまたはアイドルのデータ伝送状態を維持する。伝送を待つデータがある場合、ステップ106に示すように、アクセス端末24はアクティブのデータ伝送状態に入るかまたはアクティブのデータ伝送状態を維持する。
【0030】
アイドル・データ伝送状態では、ステップ108に示すように、アクセス端末24は伝送電力レベルをアイドル目標電力レベルに設定する。次に、ステップ110に示すように、アクセス端末はアイドル状態メッセージのゲーティング・レートを確認する。アイドル・モードでは、メッセージは、例えば1/4,1/2または1のように、ゲート制御され、すなわち周期的に送信される。ゲーティング・レートは、次の同期化メッセージを送信する前の周期的遅延を発生させる。
【0031】
アクティブ・データ伝送状態では、ステップ112に示すように、アクセス端末24は伝送電力レベルをアクティブ目標電力レベルに設定する。次に、ステップ114に示すように、アクセス端末はメッセージを連続するように、つまりゲート制御せずに設定する。
【0032】
次に、ステップ116に示すように、アクセス端末24は同期化メッセージを基地局26に送信する。基地局26は、ステップ118に示すように、同期化メッセージを受信し、ステップ120に示すように、データ伝送状態を判断する。
【0033】
データ伝送状態の判断は、図7を参照して後に詳細に説明する。ステップ122に示すように、判断されたデータ伝送状態を検査するためにチェックを実行する。データ伝送状態がアイドルである場合、ステップ124のように、基地局は新しいアイドル目標電力レベルを計算または維持する。データ伝送状態がアクティブである場合、ステップ126のように、基地局は新しいアクティブ目標電力レベルを計算する。次に、ステップ128に示すように、基地局26は計算した目標電力レベルを示す電力制御メッセージをアクセス端末24に送信する。
【0034】
アクセス端末24は、ステップ130に示すように、新しい目標電力レベルを含む電力制御メッセージを受信する。次に、ステップ132に示すように、アクセス端末24は、ゲーティング・レートに従って次の同期化メッセージを送信する時を確認し、ステップ100に制御を戻す。
【0035】
ゲート制御方式では、アクセス端末24は、ゲーティング・レートに従って周期的に同期化メッセージを送信する。したがって、図4で示したように、アクセス端末24は、各経過時間である1.25msの電力制御グループ期間を1つ以上の間待機し、その後に次の同期化メッセージを送信する。一方、アクティブ・データ伝送状態では、図4に示すように、同期化メッセージは連続的に送信される。
【0036】
図7は、決定された目標電力レベルに従って伝送電力を管理する電力制御ループのフローチャートである。図2も参照して、データ伝送状態の判断が示されている。ステップ150に示すように、基地局26はアクセス端末24から同期化メッセージを受信する。ステップ152に示すように、基地局はアクセス端末におけるデータ伝送状態を判断するのに使用する測定基準を判断する。アクセス端末がデータ伝送状態をアクティブおよびアイドルの間で切り換えるため、基地局は、同期化メッセージを受信すると、そのメッセージから現在のデータ伝送状態を決定する。次に、これにより、基地局26は、電力制御メッセージに反映される目標電力レベルの設定を試みる。
【0037】
次に、ステップ154に示すように、基地局26は同期化メッセージの受信品質レベルを検査して、このメッセーが送信された電力レベル、およびこれよりアイドルまたはアクティブのいずれのデータ伝送状態であるかを判断する。前述のように、アクセス端末24は、データ伝送状態に応じてアイドルまたはアクティブ電力レベルのいずれかで伝送する。しかし、基地局26は、アクセス端末伝送が基地局26で均一に受信されるように、目標電力レベルを調整しようとする。したがって、基地局26はリンク品質測定基準に基づき伝送品質を判断する。受信品質レベルはアクセス端末24によって使用される伝送電力に加えて他の要因、例えば、雑音、干渉、反射などの影響を受けるため、別の測定基準を使用して、受信信号品質を評価し、送信電力レベルを判断することもできる。
【0038】
代わりに、ステップ156に示すように、基地局は周期間隔に従って個別のデータ伝送状態表示を受信することができる。この所定の間隔はゲーティング・レートに従ってもよく、または基地局とアクセス端末によって取り決められた所定の間隔に従うこともできる。これについては、2002年1月8日出願の同時係属の米国特許出願第60/346,527号の、発明の名称「周期間隔に基づくパイロット電力レベルの調整」(代理人ファイルNo.2479.2141-000)に記載されている。前記出願は参照により本出願に引用したものとする。
【0039】
基地局26はまた、ステップ158に示すように、同期化メッセージに組み込まれたデータ伝送状態を受信できる。同期化メッセージに組み込まれた検出可能な信号は基地局で検出され、これを使用して、基地局26において、データ伝送状態および関連する目標電力制御レベルを設定する。
【0040】
別の実施形態では、ステップ160に示すように、基地局はMAC(メディア・アクセス制御)状態を使用して、データ伝送状態を判断する。MAC状態遷移は同期化メッセージ内の信号によって表わされる。基地局はMAC状態変化を検出し、これによりデータ伝送状態を設定する。これについては、2002年1月8日出願の同時係属の米国特許出願第60/346,525号の、発明の名称「MAC状態に基づくパイロット電力レベルの調整」(代理人ファイルNo.2479.2140-000)に記載されている。前記出願は参照により本出願に引用したものとする。
【0041】
別の実施形態では、他の方法を使用して、基地局26でデータ伝送状態の変化を検出できる。したがって、基地局26は同期化メッセージからデータ伝送状態を判断でき、ステップ162に示すように、基地局自体の指標を設定する。ステップ164に示すように、目標電力レベルの決定にこの指標を使用し、目標電力レベルを電力制御メッセージ内に設定する。目標電力レベルに影響を与える他の要因には、受信電力レベルに加えて、C/I(搬送波対干渉)比またはSNR(信号対雑音比)が挙げられる。電力制御メッセージおよび電力制御グループのさらに詳細な検討は、2001年11月30日出願の同時係属の米国特許出願第09/999,172号の、発明の名称「アンテナ制御システムおよび方法」(代理人ファイルNo.2479.2065−002)に記載されている。前記出願は参照により本出願に引用したものとする。アクセス端末24におけるアイドルまたはアクティブのデータ伝送状態に相当する目標電力レベルが決定されると、制御は図6のステップ120に戻る。
【0042】
図8は、データ伝送状態間の遷移を示すメッセージ伝送シーケンス図であり、メンテナンス・チャネルのタイミング図60を示している。複数の同期化メッセージ62a〜62gが、アクセス端末24から基地局26に送信される。これら同期化メッセージを補う複数の電力制御メッセージ64a〜64gが、基地局26からアクセス端末24に送信される。アクセス端末24におけるデータ伝送状態(DT)は斜線66で示され、基地局におけるDT状態は斜線68で示される。初期時刻T=0では、アクセス端末24のDT状態66は斜線70で示すようにアイドル(I)であり、基地局26のDT状態もまた、このユーザに対して、斜線72で示すようにアイドルである。同期化メッセージ62aはアイドル電力レベルに相当する電力レベル(PL)で送信され、同期化情報のみが伝送される必要があるため、ゲート制御(G=Y)されて送信される。基地局26は、電力制御(PC)をアイドル・レベルに維持すべきことを示す電力制御メッセージ64aで応答する。アクセス端末24は電力制御メッセージ64aを受信して、アイドル電力レベルを維持する。次の同期化メッセージ62bもPL=IおよびG=Yで送信され、基地局26は、PC=Iで、電力制御メッセージ64bを応答する。図6および図7に関して先に述べたように、一連のアイドル状態(DT=I)が、点線90に示すように連続することができる。
【0043】
アクセス端末24は、データ・トラフィック・チャネル(図示せず)上を現在送信されようとするデータを検出し、斜線部分74に示すように、DT状態66をアクティブ(オン)に切り換える。次に、同期化メッセージ62cが「A」(アクティブ)の電力レベルで、連続的に(ゲート制御されずに)G=Nで送信される。同期化メッセージを受信すると、基地局26はデータ・トラフィックが存在することを判断し、斜線76に示すように、DT状態68をAに切り換える。基地局は、電力制御がアクティブ・レベル(PC=A)を目標とすることを示す電力制御メッセージ64cで応答する。同期化メッセージ62dはPL=AおよびG=Nで伝送され、電力制御メッセージ64dはPC=Aを要求するものとして受信される。図6および図7に関して先に述べたように、点線92に示すような、一連のアクティブ状態(DT=A)メッセージが連続することができる。その後、このシーケンス62c〜62eの最後のアクティブ状態メッセージに相当する同期化メッセージ62eが送信される。
【0044】
電力制御メッセージ64eが送信され、アクセス端末24は伝送するさらなるデータが現在存在しないことを判断する。したがって、DT状態66は、斜線部78に示すように「I」(アイドル)に切り換わり、同期化メッセージ62fが、PL=IおよびG=Yで送信される。基地局26はメッセージ62fを受信し、現在送信されるデータが存在しないことを判断し、斜線部80に示すように、DT状態68を「I」に切り換える。これに応じて、電力制御メッセージ64fがPC=Iで送信され、アイドル・モード・メッセージ62gおよび64gが順に後に続き、次のアクティブDT状態になるまで、同期化メンテナンス・サイクルを続行する。
【0045】
前述の実施形態は、例示したように、アイドルおよびアクティブの2つの電力制御レベルを含むが、アクセス端末24と基地局26との間に、複数の電力レベルしきい値を維持することもできる。したがって、本発明を使用して、アクセス端末24と基地局26との間の干渉を最小にし、かつ同期化を維持する目的で、各レベルで使用される信号伝送容量レベルに応じて、複数レベルのスタンバイすなわちアイドル状態を設けることができる。
【0046】
当業者には、本明細書で定義された同期化メッセージ電力制御のためのシステムおよび方法は、多くの形式の無線デバイスに適用できることは理解されるであろう。これらの形式には、a)ROMデバイスのような書込み不可能な記憶媒体に永久的に格納された情報、b)フロッピー(登録商標)・ディスク、磁気テープ、CD,RAMデバイス、ならびに他の磁気的および光学的媒体などの書込み可能な記憶媒体に変更可能に格納された情報、またはc)例えばベースバンド信号方式もしくはブロードバンド信号方式を利用して、インターネットもしくは電話モデム回線などの電子的ネットワークにおけるような、通信媒体を介してコンピュータに伝送される情報、が含まれるが、これに限定されるものではない。動作および方法は、プロセッサによって実行可能なソフトウェアにおいて、または搬送波に埋め込まれた命令セットとして実現される。代わりに、動作および方法は、例えばASIC(特定用途向け集積回路)、状態機械、コントローラもしくは他のハードウェア構成要素(ハードウェア装置)、またはハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェア構成要素の組合せのような、ハードウェア構成要素を全体または一部に使用して具体化できる。
【0047】
本発明を好ましい実施形態により図示し、詳細に説明してきたが、当業者には、添付の特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲から逸脱することなく、形態または細部に各種の変更を加えるのが可能であることは理解されるであろう。
【符号の説明】
【0048】
24 無線アクセス端末
26 基地局
38 電力レベル・コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路であって、
第1のチャネルおよび第2のチャネルを送信するように構成された回路であって、前記第1のチャネルはトラフィックデータを搬送し、前記第2のチャネルはトラフィックデータを搬送せず、前記第2のチャネルは前記第1のチャネルが送信されていない時間期間の間送信される、回路と、
前記第1のチャネルに対する第1の電力コマンドと前記第2のチャネルに対する第2の電力コマンドとを受信するように構成された回路であって、前記第1の電力コマンドと前記第2の電力コマンドとは異なる電力コマンドである、回路と、
前記第1の電力コマンドに応じて前記第1のチャネルの送信電力レベルを設定し、前記第2の電力コマンドに応じて前記第2のチャネルに対する送信電力レベルを設定するようにさらに構成された回路と、
を備える、集積回路。
【請求項2】
前記第1のチャネルは、共用チャネルであることを特徴とする請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記第2のチャネルは、加入者ユニットが前記第1のチャネル上で送信すべきデータを有していることのインジケーションを含むことを特徴とする請求項1に記載の集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−59070(P2013−59070A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−235709(P2012−235709)
【出願日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【分割の表示】特願2011−177976(P2011−177976)の分割
【原出願日】平成14年6月11日(2002.6.11)
【出願人】(504407103)アイピーアール ライセンシング インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】