説明

無線中継装置、フレーム構造、無線中継装置の制御方法、及び無線通信システム

【課題】対基地局通信部と対端末局通信部とを互いに離間して配置することなく、正転方式における課題を抑制することが可能な無線中継装置を得る。
【解決手段】記憶部30は、対基地局アンテナ6Xが一以上の基地局から受信している一以上の電波の各々が使用している周波数チャンネルに関する情報を、一以上の基地局の各々に関連付けて記憶する。制御部30は、記憶部31に記憶されている情報に基づいて、対基地局通信部10が受信動作を行っている期間内に対端末局通信部20に対して受信動作を行わせるとともに、対基地局通信部10が送信動作を行っている期間内に対端末局通信部20に対して送信動作を行わせる、第1の通信方式と、対基地局通信部10が受信動作を行っている期間内に、対端末局通信部20に対して受信動作及び送信動作の双方を行わせる、第2の通信方式との一方を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局と端末局との無線通信を中継する無線中継装置、フレーム構造、無線中継装置の制御方法、及び無線中継装置を備えた無線通信システムに関し、特に、屋外基地局と屋内端末局との無線通信を中継する再生型屋内レピータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばWiMAXを用いた無線通信システムにおいては、基地局からの電波が到達し難いエリア(例えば屋内)に端末局が存在する場合にも、基地局と端末局との間の通信状態を確保すべく、無線中継装置が用いられる。
【0003】
無線中継装置は、基地局との間で電波の送受信を行うための対基地局アンテナと、端末局との間で電波の送受信を行うための対端末局アンテナとを有している。再生型の無線中継装置は、対基地局アンテナによって受信した基地局からの電波を一旦復調し、必要な信号のみを変調し、その信号を増幅した後に、対端末局アンテナから端末局に向けて送信する。また、再生型の無線中継装置は、対端末局アンテナによって受信した端末局からの電波を一旦復調し、必要な信号のみを変調し、その信号を増幅した後に、対基地局アンテナから基地局に向けて送信する。このように、無線中継装置を経由することによって、基地局と端末局との間の相互通信が確保される。
【0004】
下記特許文献1には、無線中継装置を備えるPHS通信システムが開示されている。当該無線中継装置は、対基地局アンテナに接続された対基地局通信部と、対移動局アンテナに接続された対端末局通信部とを備える。そして、対基地局通信部の受信タイミングと対端末局通信部の送信タイミングとを一致させ、かつ、対基地局通信部の通信電波と対端末局通信部の通信電波との相互干渉を抑制すべく、ケーブルを用いた有線接続によって対基地局通信部と対端末局通信部とを互いに離間して配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−78065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
WiMAXに対応する無線中継装置においては、対基地局通信部の送信タイミングと対端末局通信部の受信タイミングとを一致させるとともに、対基地局通信部の受信タイミングと対端末局通信部の送信タイミングとを一致させる通信方式(後述の正転方式)が一般的である。
【0007】
ところで、一般家庭内に設置される屋内レピータ等において、対基地局アンテナ及び対端末局アンテナを装置筐体に取り付けて一体型構成を実現しようとした場合には、必然的に、対基地局アンテナと対端末局アンテナとが接近する。そのため、対基地局アンテナと対端末局アンテナとの間のアンテナ間アイソレーションがとれなくなる。
【0008】
従って、この場合には、対基地局アンテナからの送信電波が対端末局アンテナに回り込むことにより、対端末局通信部と端末局との間の通信性能に影響を及ぼすとともに、対端末局アンテナからの送信電波が対基地局アンテナに回り込むことにより、対基地局通信部と基地局との間の通信性能に影響を及ぼすこととなる。
【0009】
ところで、無線中継装置の通信可能エリアを決定する上では、対基地局アンテナからの送信電波が対端末局通信部と端末局との間の通信性能に及ぼす影響が支配的となる場合が多いため、まずはこの影響への対策をとる必要がある。ここで、対基地局通信部の送信電力は基地局によって制御されるため、無線中継装置において自由に設定することはできない。従って、対基地局アンテナからの送信電波が対端末局通信部と端末局との間の通信性能に及ぼす影響を抑制するためには、特に、電波の干渉に起因する対端末局通信部の受信感度の低下(換言すれば最低受信感度の上昇)を抑制するためには、対端末局通信部において、端末局から送信される電波の受信電力の設定値を上げる必要がある。このことは、端末局の送信電力を上げることにつながる。
【0010】
一般的に、端末局の送信電力は基地局の制御によって設定される。基地局は、基地局と端末局との間の伝搬損失等を考慮して端末局の送信電力を適正値に設定する。結果として、端末局からの送信電波が、接続対象ではない基地局(周辺基地局)へ与える影響が回避される。
【0011】
しかしながら、正転方式を採用する無線中継装置と接続している端末局の送信電力は、上記の通り対基地局アンテナからの送信電波が対端末局通信部と端末局との間の通信性能に及ぼす影響を抑制すべく、伝搬損失に応じて設定されるべき適正値に比較して大きな値に設定する必要がある。その結果、端末局の消費電力が大きくなるとともに、無線中継装置の配下の端末局からの送信電波が周辺基地局や周辺端末局に影響を及ぼす可能性が高くなる。
【0012】
また、対端末局アンテナからの送信電波が対基地局通信部と基地局との間の通信性能に及ぼす影響を抑制するためには、対端末局アンテナから対基地局アンテナへの電波の回り込みを抑制すべく、対端末局通信部の送信電力を下げる必要がある。このことは、無線中継装置の通信可能エリアを狭くする方向に作用する。
【0013】
これに対して、上記特許文献1に開示された無線中継装置によると、対基地局通信部と対端末局通信部との間の物理的距離を遠ざけて配置することによってアンテナ間アイソレーションをとることができるため、正転方式における上述の課題を抑制することが可能となる。
【0014】
しかしながら、上記特許文献1に開示された無線中継装置によると、有線接続によって対基地局通信部と対端末局通信部とを互いに離間して配置する必要がある。従って、通信電波の相互干渉の度合いを測定しながら対基地局通信部及び対端末局通信部の各々の設置箇所を選定する必要があり、しかも、両通信部の設置箇所間にケーブルを配線する必要があるため、設置作業が煩雑となってユーザの利便性が低い。また、対基地局通信部を格納するための筐体と対端末局通信部を格納するための筐体とが個別に必要になるとともに、ケーブルも必要となるため、コストの上昇を招く。
【0015】
本発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、対基地局通信部と対端末局通信部とを互いに離間して配置することなく、正転方式における課題を抑制することが可能な、無線中継装置、フレーム構造、無線中継装置の制御方法、及び無線通信システムを得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様に係る無線中継装置は、複数の周波数チャンネルのうちの第1の周波数チャンネルを用いて基地局との間で通信を行うとともに、前記複数の周波数チャンネルのうちの第2の周波数チャンネルを用いて端末局との間で通信を行うことにより、前記
基地局と前記端末局との間の通信を中継する無線中継装置であって、前記基地局との間で電波の送受信を行うための対基地局アンテナと、前記端末局との間で電波の送受信を行うための対端末局アンテナと、前記対基地局アンテナに接続された対基地局通信部と、前記対端末局アンテナに接続された対端末局通信部と、前記対基地局アンテナが一以上の基地局から受信している一以上の電波を前記対基地局通信部で復調することによって得られる、前記一以上の電波の各々が使用している周波数チャンネルに関する情報を、前記一以上の基地局の各々に関連付けて記憶する記憶部と、前記対基地局通信部が送信動作を行っている期間及び受信動作を行っている期間を検出し、前記対端末局通信部に対して送信動作を行わせる期間と受信動作を行わせる期間とを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記情報に基づいて、前記対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に前記対端末局通信部に対して受信動作を行わせるとともに、前記対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に前記対端末局通信部に対して送信動作を行わせる、第1の通信方式と、前記対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に、前記対端末局通信部に対して受信動作及び送信動作の双方を行わせる、第2の通信方式との一方を選択することを特徴とするものである。
【0017】
ここで、「周波数チャンネル」の概念には、周波数帯域が含まれる(以下同様)。
【0018】
第1の態様に係る無線中継装置によれば、記憶部には、対基地局アンテナが一以上の基地局から受信している一以上の電波を対基地局通信部で復調することによって得られる、一以上の電波の各々が使用している周波数チャンネルに関する情報が、一以上の基地局の各々に関連付けられて記憶される。そして、制御部は、記憶部に記憶されている情報に基づいて、第1の通信方式及び第2の通信方式の一方を選択する。第1の通信方式において制御部は、対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に対端末局通信部に対して受信動作を行わせるとともに、対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に対端末局通信部に対して送信動作を行わせる。また、第2の通信方式において制御部は、対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に、対端末局通信部に対して受信動作及び送信動作の双方を行わせる。つまり、第1の通信方式及び第2の通信方式のいずれにおいても、対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に、対端末局通信部に対して受信動作を行わせない。従って、対端末局アンテナが本来受信したい端末局からの送信電波に対して、対基地局通信部からの送信電波が妨害波となる事態を回避することができる。その結果、対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に対端末局通信部に対して受信動作を行わせる場合と比較すると、対基地局アンテナと対端末局アンテナとの間の通信電波の相互干渉の影響が小さくなるため、対基地局通信部と対端末局通信部とを互いに離間して配置する必要がない。また、対基地局通信部から対端末局通信部への電波の干渉の影響が小さいため、対端末局通信部の最低受信感度が上昇することはなく、端末局の送信電力を上げる必要がない。その結果、端末局の消費電力を低減できるとともに、無線中継装置の配下の端末局からの送信電波が周辺基地局や周辺端末局に及ぼす影響を抑制することが可能となる。
【0019】
また、第1の通信方式及び第2の通信方式のいずれにおいても、対基地局通信部が送信動作を行っている期間(つまり基地局が受信動作を行っている期間)内に、端末局に対して送信動作を行わせない。そのため、本来の接続先の基地局ではない周辺基地局に対して、端末局からの送信電波が妨害波となる事態を回避することができる。
【0020】
また、第2の通信方式においては、対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に、対端末局通信部に対して送信動作を行わせる必要がない。従って、基地局が本来受信したい対基地局通信部からの送信電波に対して、対端末局通信部からの送信電波が妨害波となる事態を回避することができる。また、第1の通信方式とは異なり、対端末局通信部の送信電力を対基地局通信部の送信電力と同等にする必要がない。そのため、対端末局通信部からの送信電波が対基地局通信部と基地局との間の通信性能に及ぼす影響、対端末局通信
部からの送信電波が周辺基地局に及ぼす影響、及び無線中継装置に求められる通信可能エリアの広さ等を考慮して、対端末局通信部の送信電力を、対基地局通信部の送信電力に拘わらず任意に設定することが可能となる。
【0021】
本発明の第2の態様に係る無線中継装置は、第1の態様に係る無線中継装置において特に、前記制御部は、前記第2の周波数チャンネルが、前記一以上の基地局のうち前記無線中継装置の接続対象とは異なる基地局である周辺基地局で用いられている周波数チャンネルに対して干渉を生ずる場合には、前記第2の通信方式を選択することを特徴とするものである。
【0022】
第2の態様に係る無線中継装置によれば、制御部は、第2の周波数チャンネルが周辺基地局で用いられている周波数チャンネルに対して干渉を生ずる場合には、第2の通信方式を選択する。第2の通信方式は第1の通信方式に比べて、無線中継装置における通信電波が周辺基地局に及ぼす影響が小さい。従って、第2の周波数チャンネルが、周辺基地局で用いられている周波数チャンネルに干渉を生ずる場合には、第2の通信方式を選択することにより、周辺基地局に及ぼす影響を低減することができる。つまり、第2の通信方式を選択することにより、第1の通信方式を選択した場合のデメリット(即ち、対端末局通信部の送信電力を対基地局通信部の送信電力と同等にする必要があり、また、対基地局通信部の送信動作期間と対端末局通信部の送信動作期間とが重複することに起因して、基地局において、対端末局通信部からの送信電波が対基地局通信部からの送信電波に対して妨害波になるというデメリット)を回避することが可能となる。
【0023】
本発明の第3の態様に係る無線中継装置は、第1の態様に係る無線中継装置において特に、前記制御部は、前記第2の周波数チャンネルが、前記一以上の基地局のうち前記無線中継装置の接続対象とは異なる基地局である周辺基地局で用いられている周波数チャンネルに対して干渉を生じない場合には、前記第1の通信方式を選択することを特徴とするものである。
【0024】
第3の態様に係る無線中継装置によれば、制御部は、第2の周波数チャンネルが、周辺基地局で用いられている周波数チャンネルに対して干渉を生じない場合には、第1の通信方式を選択する。第1の通信方式は第2の通信方式に比べて、周辺基地局に及ぼす影響は大きい反面、対端末局通信部の送信電力を抑える必要がないため、無線中継装置と端末局との通信可能エリアを広げることができる。従って、第2の周波数チャンネルが、周辺基地局で用いられている周波数チャンネルに干渉を生じない場合には、第1の通信方式を選択することにより、広い通信可能エリアを確保することができる。つまり、第1の通信方式を選択することにより、第2の通信方式を選択した場合のデメリット(即ち、対端末局通信部の送信動作期間が対基地局通信部の受信動作期間の一部と重複することに起因して、対端末局通信部の送信電力を抑える必要があるというデメリット)を回避することが可能となる。
【0025】
本発明の第4の態様に係る無線中継装置は、第1の態様に係る無線中継装置において特に、前記制御部は、前記対基地局アンテナが前記無線中継装置の接続対象とは異なる基地局である周辺基地局から電波を受信していない場合には、前記第1の通信方式を選択することを特徴とするものである。
【0026】
第4の態様に係る無線中継装置によれば、制御部は、対基地局アンテナが周辺基地局から電波を受信していない場合には、第1の通信方式を選択する。第1の通信方式は第2の通信方式に比べて、周辺基地局に及ぼす影響は大きい反面、対端末局通信部の送信電力を抑える必要がないため、無線中継装置と端末局との通信可能エリアを広げることができる。従って、対基地局アンテナが周辺基地局から電波を受信しておらず、無線中継装置が周
辺基地局に及ぼす影響を考慮する必要がない場合には、第1の通信方式を選択することにより、広い通信可能エリアを確保することができる。つまり、第1の通信方式を選択することにより、第2の通信方式を選択した場合の上記デメリットを回避することが可能となる。
【0027】
本発明の第5の態様に係るフレーム構造は、無線中継装置と端末局との間で通信されるデータのフレーム構造であって、前記無線中継装置から前記端末局へ送信される下りデータバーストを含むデータが格納される下りサブフレームと、前記端末局から前記無線中継装置へ送信される上りデータバーストを含むデータが格納される上りサブフレームとを備え、前記下りサブフレームのサブフレーム長と、前記上りサブフレームのサブフレーム長との比は、所定の通信規格で定められた範囲内に設定されており、前記下りサブフレームには、前記下りデータバーストが割り当てられていない専用パイロットゾーンが設けられていることを特徴とするものである。
【0028】
第5の態様に係るフレーム構造によれば、下りサブフレームのサブフレーム長と、上りサブフレームのサブフレーム長との比は、WiMAX等の所定の通信規格で定められた範囲内に設定されている。また、下りサブフレームには、下りデータバーストが割り当てられていない専用パイロットゾーンが設けられている。下りデータバーストが割り当てられていない専用パイロットゾーンを設けることにより、当該ゾーンにおいては、無線中継装置から端末局に向けて無出力の送信動作を行わせることができる。
【0029】
本発明の第6の態様に係るフレーム構造は、第5の態様に係るフレーム構造において特に、前記無線中継装置から前記端末局へ送信される前記下りサブフレームの先頭は、前記無線中継装置から前記基地局へ送信される上りサブフレームの先頭に同期しており、前記無線中継装置から前記端末局へ送信される前記下りサブフレームのうち、前記基地局から前記無線中継装置へ送信される下りサブフレームに重複する部分に、前記下りデータバーストが割り当てられていない前記専用パイロットゾーンが設けられていることを特徴とするものである。
【0030】
第6の態様に係るフレーム構造によれば、無線中継装置から端末局に向けての下りサブフレームの先頭を、無線中継装置から基地局に向けての上りサブフレームの先頭に同期させるとともに、無線中継装置から端末局に向けての下りサブフレームのうち、基地局から無線中継装置に向けての下りサブフレームに重複する部分に、下りデータバーストが割り当てられていない専用パイロットゾーンを設けることにより、第1の通信方式を実現するためのフレーム構造を得ることができる。
【0031】
本発明の第7の態様に係るフレーム構造は、第5の態様に係るフレーム構造において特に、前記端末局から前記無線中継装置へ送信される前記上りサブフレームの先頭は、前記基地局から前記無線中継装置へ送信される下りサブフレームの先頭に同期しており、前記無線中継装置から前記端末局へ送信される前記下りサブフレームのうち、前記無線中継装置から前記基地局へ送信される上りサブフレームに重複する部分に、前記下りデータバーストが割り当てられていない前記専用パイロットゾーンが設けられていることを特徴とするものである。
【0032】
第7の態様に係るフレーム構造によれば、端末局から無線中継装置に向けての上りサブフレームの先頭を、基地局から無線中継装置に向けての下りサブフレームの先頭に同期させるとともに、無線中継装置から端末局に向けての下りサブフレームのうち、無線中継装置から基地局に向けての上りサブフレームに重複する部分に、下りデータバーストが割り当てられていない専用パイロットゾーンを設けることにより、第2の通信方式を実現するためのフレーム構造を得ることができる。
【0033】
本発明の第8の態様に係るフレーム構造は、第5〜第7のいずれか一つの態様に係るフレーム構造において特に、前記無線中継装置はWiMAXの通信規格に対応しており、前記専用パイロットゾーンには、PUSC with dedicated pilot,FUSC with dedicated pilot,O-FUSC with dedicated pilot,AMC 1×6 with dedicated pilot,AMC 2×3 with dedicated pilot,AMC 3×2 with dedicated pilotのいずれかが用いられることを特徴とするものである。
【0034】
本発明の第9の態様に係る無線中継装置の制御方法は、基地局との間で電波の送受信を行うための対基地局アンテナと、端末局との間で電波の送受信を行うための対端末局アンテナとを備え、複数の周波数チャンネルのうちの第1の周波数チャンネルを用いて前記基地局との間で通信を行うとともに、前記複数の周波数チャンネルのうちの第2の周波数チャンネルを用いて端末局との間で通信を行うことにより、前記基地局と前記端末局との間の通信を中継する無線中継装置の制御方法であって、(A)前記対基地局アンテナが一以上の基地局から受信している一以上の電波を、前記対基地局アンテナに接続されている対基地局通信部で復調し、それによって得られる、前記一以上の電波の各々が使用している周波数チャンネルに関する情報を、前記一以上の基地局の各々に関連付けて記憶するステップと、(B)前記対基地局通信部が送信動作を行っている期間及び受信動作を行っている期間を検出し、前記対端末局アンテナに接続されている対端末局通信部に対して送信動作を行わせる期間と受信動作を行わせる期間とを制御するステップとを備え、前記ステップ(B)においては、前記ステップ(A)で記憶した前記情報に基づいて、前記対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に前記対端末局通信部に対して受信動作を行わせるとともに、前記対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に前記対端末局通信部に対して送信動作を行わせる、第1の通信方式と、前記対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に、前記対端末局通信部に対して受信動作及び送信動作の双方を行わせる、第2の通信方式との一方が選択されることを特徴とするものである。
【0035】
第9の態様に係る無線中継装置の制御方法によれば、ステップ(A)では、対基地局アンテナが一以上の基地局から受信している一以上の電波が復調され、それによって得られる、一以上の電波の各々が使用している周波数チャンネルに関する情報が、一以上の基地局の各々に関連付けられて記憶される。また、ステップ(B)では、対基地局通信部が送信動作を行っている期間及び受信動作を行っている期間が検出され、対端末局通信部に対して送信動作を行わせる期間と受信動作を行わせる期間とが制御される。そして、ステップ(B)においては、ステップ(A)で記憶した情報に基づいて、第1の通信方式及び第2の通信方式の一方が選択される。第1の通信方式においては、対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に対端末局通信部に対して受信動作を行わせるとともに、対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に対端末局通信部に対して送信動作を行わせる。また、第2の通信方式においては、対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に、対端末局通信部に対して受信動作及び送信動作の双方を行わせる。つまり、第1の通信方式及び第2の通信方式のいずれにおいても、対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に、対端末局通信部に対して受信動作を行わせない。従って、対端末局アンテナが本来受信したい端末局からの送信電波に対して、対基地局通信部からの送信電波が妨害波となる事態を回避することができる。その結果、対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に対端末局通信部に対して受信動作を行わせる場合と比較すると、対基地局アンテナと対端末局アンテナとの間の通信電波の相互干渉の影響が小さくなるため、対基地局通信部と対端末局通信部とを互いに離間して配置する必要がない。また、対基地局通信部から対端末局通信部への電波の干渉の影響が小さいため、対端末局通信部の最低受信感度が上昇することはなく、端末局の送信電力を上げる必要がない。その結果、端末局の消費電力を低減できるとともに、無線中継装置の配下の端末局からの送信電波が周辺基地局や周辺端末局に及ぼす影響を抑制することが可能となる。
【0036】
また、第1の通信方式及び第2の通信方式のいずれにおいても、対基地局通信部が送信動作を行っている期間(つまり基地局が受信動作を行っている期間)内に、端末局に対して送信動作を行わせない。そのため、本来の接続先の基地局ではない周辺基地局に対して、端末局からの送信電波が妨害波となる事態を回避することができる。
【0037】
また、第2の通信方式においては、対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に、対端末局通信部に対して送信動作を行わせる必要がない。従って、基地局が本来受信したい対基地局通信部からの送信電波に対して、対端末局通信部からの送信電波が妨害波となる事態を回避することができる。また、第1の通信方式とは異なり、対端末局通信部の送信電力を対基地局通信部の送信電力と同等にする必要がない。そのため、対端末局通信部からの送信電波が対基地局通信部と基地局との間の通信性能に及ぼす影響、対端末局通信部からの送信電波が周辺基地局に及ぼす影響、及び無線中継装置に求められる通信可能エリアの広さ等を考慮して、対端末局通信部の送信電力を、対基地局通信部の送信電力に拘わらず任意に設定することが可能となる。
【0038】
本発明の第10の態様に係る無線通信システムは、基地局と、複数の周波数チャンネルのうちの第1の周波数チャンネルを用いて前記基地局との間で通信を行うとともに、前記複数の周波数チャンネルのうちの第2の周波数チャンネルを用いて端末局との間で通信を行うことにより、前記基地局と前記端末局との間の通信を中継する無線中継装置とを備える無線通信システムであって、前記無線中継装置は、前記基地局との間で電波の送受信を行うための対基地局アンテナと、前記端末局との間で電波の送受信を行うための対端末局アンテナと、前記対基地局アンテナに接続された対基地局通信部と、前記対端末局アンテナに接続された対端末局通信部と、前記対基地局アンテナが一以上の基地局から受信している一以上の電波を前記対基地局通信部で復調することによって得られる、前記一以上の電波の各々が使用している周波数チャンネルに関する情報を、前記一以上の基地局の各々に関連付けて記憶する記憶部と、前記対基地局通信部が送信動作を行っている期間及び受信動作を行っている期間を検出し、前記対端末局通信部に対して送信動作を行わせる期間と受信動作を行わせる期間とを制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記情報に基づいて、前記対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に前記対端末局通信部に対して受信動作を行わせるとともに、前記対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に前記対端末局通信部に対して送信動作を行わせる、第1の通信方式と、前記対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に、前記対端末局通信部に対して受信動作及び送信動作の双方を行わせる、第2の通信方式との一方を選択することを特徴とするものである。
【0039】
第10の態様に係る無線通信システムによれば、記憶部には、対基地局アンテナが一以上の基地局から受信している一以上の電波を対基地局通信部で復調することによって得られる、一以上の電波の各々が使用している周波数チャンネルに関する情報が、一以上の基地局の各々に関連付けられて記憶される。そして、制御部は、記憶部に記憶されている情報に基づいて、第1の通信方式及び第2の通信方式の一方を選択する。第1の通信方式において制御部は、対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に対端末局通信部に対して受信動作を行わせるとともに、対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に対端末局通信部に対して送信動作を行わせる。また、第2の通信方式において制御部は、対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に、対端末局通信部に対して受信動作及び送信動作の双方を行わせる。つまり、第1の通信方式及び第2の通信方式のいずれにおいても、対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に、対端末局通信部に対して受信動作を行わせない。従って、対端末局アンテナが本来受信したい端末局からの送信電波に対して、対基地局通信部からの送信電波が妨害波となる事態を回避することができる。その結果、対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に対端末局通信部に対して受信動作を行わ
せる場合と比較すると、対基地局アンテナと対端末局アンテナとの間の通信電波の相互干渉の影響が小さくなるため、対基地局通信部と対端末局通信部とを互いに離間して配置する必要がない。また、対基地局通信部から対端末局通信部への電波の干渉の影響が小さいため、対端末局通信部の最低受信感度が上昇することはなく、端末局の送信電力を上げる必要がない。その結果、端末局の消費電力を低減できるとともに、無線中継装置の配下の端末局からの送信電波が周辺基地局や周辺端末局に及ぼす影響を抑制することが可能となる。
【0040】
また、第1の通信方式及び第2の通信方式のいずれにおいても、対基地局通信部が送信動作を行っている期間(つまり基地局が受信動作を行っている期間)内に、端末局に対して送信動作を行わせない。そのため、本来の接続先の基地局ではない周辺基地局に対して、端末局からの送信電波が妨害波となる事態を回避することができる。
【0041】
また、第2の通信方式においては、対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に、対端末局通信部に対して送信動作を行わせる必要がない。従って、基地局が本来受信したい対基地局通信部からの送信電波に対して、対端末局通信部からの送信電波が妨害波となる事態を回避することができる。また、第1の通信方式とは異なり、対端末局通信部の送信電力を対基地局通信部の送信電力と同等にする必要がない。そのため、対端末局通信部からの送信電波が対基地局通信部と基地局との間の通信性能に及ぼす影響、対端末局通信部からの送信電波が周辺基地局に及ぼす影響、及び無線中継装置に求められる通信可能エリアの広さ等を考慮して、対端末局通信部の送信電力を、対基地局通信部の送信電力に拘わらず任意に設定することが可能となる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、対基地局通信部と対端末局通信部とを互いに離間して配置することなく、正転方式における課題を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線通信システムの全体構成を概略的に示す図である。
【図2】無線中継装置の内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】送受信の動作期間についての第1の例を示すタイミングチャートである。
【図4】送受信の動作期間についての第2の例を示すタイミングチャートである。
【図5】送受信の動作期間についての第3の例を示すタイミングチャートである。
【図6】逆転方式におけるフレーム構造の一例を示す図である。
【図7】準正転方式におけるフレーム構造の一例を示す図である。
【図8】制御部による通信方式の選択手法の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0045】
図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信システム1の全体構成を概略的に示す図である。オフィスやユーザの住宅等の建物2内には、屋内レピータ等の無線中継装置3が設置されている。また、建物2内には、ユーザが使用する端末局(又は移動局)4が位置している。端末局4は、WiMAXの通信規格に対応するモバイル機器又はパソコン等である。また、建物2の外部には、無線中継装置3の接続対象である基地局5が設置されている。建物2内に位置する端末局4は、信号の減衰によって基地局5からの送信電波を直接的には受信できておらず、無線中継装置3を介して基地局5との間で通信を行う。なお、図1に示した例では、無線中継装置3の接続対象ではない周辺基地局9が、建物2の外部
に設置されている。無線中継装置3は、周辺基地局9からの送信電波も受信可能である。ここで、「受信可能」とは、受信電波強度が最低受信感度以上である場合のほか、最低受信感度未満である場合も含む。
【0046】
無線中継装置3は、一つの筐体に複数のアンテナが取り付けられた外観構成を有している。図1に示した例では、無線中継装置3は、基地局5のアンテナ8との間で電波の送受信を行うための対基地局アンテナ6Xと、端末局4のアンテナ7との間で電波の送受信を行うための対端末局アンテナ6Yとを有している。なお、対基地局アンテナ6X及び対端末局アンテナ6Yは、それぞれ複数個存在する場合もある。
【0047】
再生型の無線中継装置3は、対基地局アンテナ6Xによって受信した基地局5からの電波を一旦復調し、必要な信号のみを変調し、その信号を増幅した後に、対端末局アンテナ6Yから端末局4に向けて送信する。また、再生型の無線中継装置3は、対端末局アンテナ6Yによって受信した端末局4からの電波を一旦復調し、必要な信号のみを変調し、その信号を増幅した後に、対基地局アンテナ6Xから基地局5に向けて送信する。このように、無線中継装置3を経由することによって、基地局5と端末局4との間の相互通信が確保される。WiMAXにおいては、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)又はOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)等の通信方式を用いて、無線中継装置3、端末局4、及び基地局5の間で通信が行われる。
【0048】
図2は、無線中継装置3の内部構成を概略的に示すブロック図である。無線中継装置3は、対基地局アンテナ6Xに接続された対基地局通信部10と、対端末局アンテナ6Yに接続された対端末局通信部20と、制御部30と、記憶部31とを備えて構成されている。対基地局通信部10は、無線処理部11及びディジタル信号処理部12を有している。対端末局通信部20は、無線処理部21及びディジタル信号処理部22を有している。なお、対基地局アンテナ6X及び対端末局アンテナ6Yがそれぞれ複数個存在する場合には、その数に応じて無線処理部11,12もそれぞれ複数個存在する。
【0049】
対基地局通信部10及び対端末局通信部20はそれぞれ、受信動作及び送信動作を時間的に切り換えて実行することが可能である。具体的に、制御部30は、基地局5から受信した信号に含まれるフレーム同期信号を参照すること等により、基地局5が送信動作を行っている期間(つまり対基地局通信部10が受信動作を行っている期間)と、基地局5が受信動作を行っている期間(つまり対基地局通信部10が送信動作を行っている期間)とを検出する。また、制御部30は、対端末局通信部20に対して送信動作を行わせる期間と受信動作を行わせる期間とを制御する。対基地局通信部10及び対端末局通信部20はそれぞれ、制御部30から入力された制御信号S7に基づいて、スイッチング操作によって受信動作及び送信動作を切り換える。
【0050】
図示は省略するが、無線処理部11は、対基地局アンテナ6X側からこの順に接続された、バンドパスフィルタ、低ノイズ増幅器、高周波増幅器、周波数混合器、中間周波増幅器、IQ復調器、及びADコンバータを備えて構成されている。また、無線処理部21は、ディジタル信号処理部22側からこの順に接続された、DAコンバータ、IQ変調器、中間周波増幅器、周波数混合器、高周波増幅器、電力増幅器、及びバンドパスフィルタを備えて構成されている。
【0051】
基地局5から受信した電波を中継して端末局4に送信する場合には、無線処理部11は、対基地局アンテナ6Xから受信した受信電波を増幅し、復調した後にAD変換することにより、ディジタル信号S1を生成する。ディジタル信号処理部12は、ディジタル信号S1から必要な信号を取り出し、所定の信号処理を施すことにより、ディジタル信号S2を再生する。ディジタル信号処理部22は、ディジタル信号S2に対して所定の信号処理
を施すことにより、送信信号S3を生成する。無線処理部21は、送信信号S3をDA変換し、変調した後に増幅することにより、送信電波を対端末局アンテナ6Yから送信する。
【0052】
一方、端末局4から受信した電波を中継して基地局5に送信する場合には、無線処理部21は、対端末局アンテナ6Yから受信した受信電波を増幅し、復調した後にAD変換することにより、ディジタル信号S4を生成する。ディジタル信号処理部22は、ディジタル信号S4から必要な信号を取り出し、所定の信号処理を施すことにより、ディジタル信号S5を再生する。ディジタル信号処理部12は、ディジタル信号S5に対して所定の信号処理を施すことにより、送信信号S6を生成する。無線処理部11は、送信信号S6をDA変換し、変調した後に増幅することにより、送信電波を対基地局アンテナ6Xから送信する。
【0053】
図3は、OFDMのデータ送受信単位である一つのフレームに関して、基地局5、対基地局通信部10、対端末局通信部20、及び端末局4のそれぞれの送受信の動作期間についての第1の例を示すタイミングチャートである。図3には、対基地局通信部10と対端末局通信部20とが全時刻において逆の送受信動作を実行する方式を示しており、このような方式を本明細書において「正転方式」と称する。正転方式では、時刻T11〜T12の期間内において、基地局5は送信動作を行っており、対基地局通信部10は受信動作を行っており、対端末局通信部20は送信動作を行っており、端末局4は受信動作を行っている。また、時刻T12〜T13の期間内において、基地局5は受信動作を行っており、対基地局通信部10は送信動作を行っており、対端末局通信部20は受信動作を行っており、端末局4は送信動作を行っている。
【0054】
上述したように、正転方式においては、対基地局通信部10の送信動作期間と対端末局通信部20の受信動作期間とが共通するとともに、対基地局通信部10の受信動作期間と対端末局通信部20の送信動作期間とが共通する。従って、対基地局アンテナ6Xからの送信電波が対端末局アンテナ6Yに回り込むことにより、対端末局通信部20と端末局4との間の通信性能に影響を及ぼすとともに、対端末局アンテナ6Yからの送信電波が対基地局アンテナ6Xに回り込むことにより、対基地局通信部10と基地局5との間の通信性能に影響を及ぼす。そして、無線中継装置3の通信可能エリアを決定する上では、対基地局アンテナ6Xからの送信電波が対端末局通信部20と端末局4との間の通信性能に及ぼす影響が支配的となる場合が多いため、電波の干渉に起因する対端末局通信部20の受信感度の低下(換言すれば最低受信感度の上昇)を抑制するために、対端末局通信部20の受信電力を上げるべく端末局4の送信電力を上げる必要がある。その結果、端末局4の消費電力が大きくなるとともに、無線中継装置3の配下の端末局4からの送信電波が周辺基地局9や周辺端末局に影響を及ぼす可能性が高くなる。さらに、対端末局アンテナ6Yからの送信電波が対基地局通信部10と基地局5との間の通信性能に及ぼす影響を抑制するためには、対端末局アンテナ6Yから対基地局アンテナ6Xへの電波の回り込みを抑制すべく、対端末局通信部20の送信電力を下げる必要がある。このことは、無線中継装置3の通信可能エリアを狭くする方向に作用する。以上のような理由により、正転方式は望ましい方式とはいえない。
【0055】
図4は、OFDMのデータ送受信単位である一つのフレームに関して、基地局5、対基地局通信部10、対端末局通信部20、及び端末局4のそれぞれの送受信の動作期間についての第2の例を示すタイミングチャートである。図4には、対基地局通信部10と対端末局通信部20とが同一の送受信動作を実行する方式を示しており、このような方式を本明細書において「逆転方式」と称する。逆転方式では、時刻T21〜T22の期間内において、基地局5は送信動作を行っており、対基地局通信部10は受信動作を行っており、対端末局通信部20と端末局4とは送信動作も受信動作も行っていない。また、時刻T2
2〜T23の期間内において、基地局5は送信動作を行っており、対基地局通信部10は受信動作を行っており、対端末局通信部20は受信動作を行っており、端末局4は送信動作を行っている。また、時刻T23〜T24の期間内において、基地局5は受信動作を行っており、対基地局通信部10は送信動作を行っており、対端末局通信部20は送信動作を行っており、端末局4は受信動作を行っている。
【0056】
逆転方式においては、対基地局通信部10の送信動作期間と対端末局通信部20の送信動作期間とが共通するとともに、対基地局通信部10の受信動作期間と対端末局通信部20の受信動作期間とが共通する。従って、対基地局アンテナ6Xと対端末局アンテナ6Yとの間の電波の回り込みに起因する正転方式の上記課題は、逆転方式では生じない。その結果、対基地局通信部10が送信動作を行っている期間内に対端末局通信部20に対して受信動作を行わせる場合(つまり正転方式)と比較すると、対基地局アンテナ6Xと対端末局アンテナ6Yとの間の通信電波の相互干渉の影響が小さくなるため、対基地局通信部10と対端末局通信部20とを互いに離間して配置する必要がない。つまり、対基地局通信部10と対端末局通信部20とを一つの筐体内に収容して無線中継装置3を構成できるため、設置作業が簡易となってユーザの利便性を向上できるとともに、コストの削減を図ることができる。
【0057】
一方、逆転方式においては、対基地局通信部10の送信動作期間と対端末局通信部20の送信動作期間とが共通する。従って、対基地局アンテナ6Xからの送信電波強度に対して対端末局アンテナ6Yからの送信電波強度を極端に小さくしたのでは、端末局4において対基地局アンテナ6Xからの送信電波が妨害波となるため、電波の干渉によって端末局4の受信感度が低下する。従って、たとえ無線中継装置3の通信エリアが狭くて十分な場合であっても、対端末局アンテナ6Yからの送信電波強度を必要以上に大きくする必要があるため、周辺基地局9や周辺端末局に与える影響が大きくなる。また、対端末局アンテナ6Yからの送信電波強度を極端に大きくしたのでは、基地局5において対端末局アンテナ6Yからの送信電波が妨害波となる。従って、たとえ無線中継装置3の通信エリアが広い場合であっても、基地局5からの対基地局アンテナ6Xの電波受信レベルが高い場合には対端末局アンテナ6Yからの送信電波強度を小さくする必要があるため、無線中継装置3の通信エリアを十分にカバーできない状況が生じ得る。このように逆転方式においては、対基地局通信部10の送信電力と対端末局通信部20の送信電力とを同程度に設定しなければならないという制約がある。その結果、対端末局通信部20からの送信電波が対基地局通信部10と基地局5との間の通信性能に及ぼす影響、対端末局通信部20からの送信電波が基地局5や周辺基地局に及ぼす影響、及び無線中継装置3に求められる通信エリアの広さ等を考慮して、対端末局通信部20の送信電力を、対基地局通信部10の送信電力に拘わらず所望の値に設定することができないというデメリットがある。また、逆転方式には、対基地局通信部10の送信動作期間と対端末局通信部20の送信動作期間とが重複することに起因して、基地局5及び周辺基地局において、対端末局通信部20からの送信電波が対基地局通信部10からの送信電波に対して妨害波になるというデメリットもある。さらに、逆転方式には、対基地局通信部10の送信動作期間と対端末局通信部20の送信動作期間とが重複することに起因して、端末局4において、対基地局通信部10からの送信電波が対端末局通信部20からの送信電波に対して妨害波になるというデメリットもある。
【0058】
図5は、OFDMのデータ送受信単位である一つのフレームに関して、基地局5、対基地局通信部10、対端末局通信部20、及び端末局4のそれぞれの送受信の動作期間についての第3の例を示すタイミングチャートである。図5には、対端末局通信部20の送信動作期間及び受信動作期間の双方が対基地局通信部10の受信動作期間に対応する方式を示しており、このような方式を本明細書において「準正転方式」と称する。準正転方式では、時刻T31〜T32の期間内において、基地局5は送信動作を行っており、対基地局
通信部10は受信動作を行っており、対端末局通信部20は受信動作を行っており、端末局4は送信動作を行っている。また、時刻T32〜T33の期間内において、基地局5は送信動作を行っており、対基地局通信部10は受信動作を行っており、対端末局通信部20は送信動作を行っており、端末局4は受信動作を行っている。また、時刻T33〜T34の期間内において、基地局5は受信動作を行っており、対基地局通信部10は送信動作を行っており、対端末局通信部20と端末局4とは送信動作も受信動作も行っていない。
【0059】
準正転方式を採用することにより、制御部30は、対基地局通信部10が受信動作を行っている期間内に、対端末局通信部20に対して受信動作及び送信動作の双方を行わせる。そのため、対基地局通信部10が送信動作を行っている期間内に、対端末局通信部20に対して受信動作を行わせる必要がない。従って、正転方式で無線中継装置3の通信可能エリアを制限する主要因となっていた、対端末局アンテナ6Yが本来受信したい端末局4からの送信電波に対して、対基地局通信部10からの送信電波が妨害波となる事態を回避することができる。その結果、対基地局通信部10が送信動作を行っている期間内に対端末局通信部20に対して受信動作を行わせる場合(つまり正転方式)と比較すると、対基地局アンテナ6Xと対端末局アンテナ6Yとの間の通信電波の相互干渉の影響が小さくなるため、対基地局通信部10と対端末局通信部20とを互いに離間して配置する必要がない。つまり、対基地局通信部10と対端末局通信部20とを一つの筐体内に収容して無線中継装置3を構成できるため、設置作業が簡易となってユーザの利便性を向上できるとともに、コストの削減を図ることができる。
【0060】
また、対基地局通信部10が送信動作を行っている期間(つまり基地局5が受信動作を行っている期間)内に端末局4が送信動作を行う必要もないため、本来の接続先の基地局5ではない周辺基地局9に対して、端末局4からの送信電波が妨害波となる事態を回避することができる。
【0061】
また、逆転方式とは異なり対基地局通信部10の送信動作期間と対端末局通信部20の送信動作期間とが重ならないため、対端末局アンテナ6Yからの送信電波強度を必要以上に大きくする必要もない。しかも、逆転方式とは異なり基地局5の受信動作期間と対端末局通信部20の送信動作期間とが重ならないため、対端末局通信部20からの送信電波が基地局5及び周辺基地局9に対して妨害波となる事態を回避できる。その結果、無線中継装置3がカバーすべき通信エリアが広い場合には、それに応じて対端末局アンテナ6Yからの送信電波強度を大きく設定することが可能となる。
【0062】
一方、準正転方式においては、対端末局通信部20の送信動作期間が対基地局通信部10の受信動作期間の一部と重複している。そのため、対端末局アンテナ6Yから対基地局アンテナ6Xへの電波の回り込みを抑制するためには、正転方式と同様に対端末局通信部20の送信電力を抑える必要があるというデメリットがある。
【0063】
図6は、逆転方式におけるフレーム構造の一例を示す図である。図6の(A)には、基地局5と無線中継装置3との間で通信されるデータのフレーム構造(図4の最上段のフレーム構造に相当する)を示しており、図6の(C)には、無線中継装置3と端末局4との間で通信されるデータのフレーム構造(図4の上から3段目のフレーム構造に相当する)を示している。また、図6の(B)には、図6の(C)に示すフレーム構造を作成する前段階のフレーム構造を示している。
【0064】
WiMAXにおいては、下りサブフレームのサブフレーム長と、上りサブフレームのサブフレーム長との比が、「35:12」〜「26:21」の範囲内に規定されている。図6の(A)においては、下りサブフレーム(図中に「送信」と付したサブフレーム。以下同様)のサブフレーム長は、OFDMシンボルの29シンボルに相当し、上りサブフレー
ム(図中に「受信」と付したサブフレーム。以下同様)のサブフレーム長は、18シンボルに相当する。
【0065】
図6の(B)においては、下りサブフレームのサブフレーム長はOFDMシンボルの26シンボルに相当し、上りサブフレームのサブフレーム長は21シンボルに相当する。また、図6の(B)においては、無線中継装置3から端末局4に向けての下りサブフレームの先頭が、図6の(A)における無線中継装置3から基地局5に向けての上りサブフレームの先頭に同期している。
【0066】
図6の(C)においては、図6の(B)における無線中継装置3から端末局4に向けての下りサブフレームのうち、図6の(A)における基地局5から無線中継装置3に向けての下りサブフレームに重複する部分(図中に×印を付した8シンボルに相当する部分)に、下りデータバーストが割り当てられていない専用パイロットゾーンが設けられている。WiMAXにおける専用パイロット(dedicated pilot)としては、PUSC with dedicated
pilot,FUSC with dedicated pilot,O-FUSC with dedicated pilot,AMC 1×6 with dedicated pilot,AMC 2×3 with dedicated pilot,AMC 3×2 with dedicated pilotがあるが、どの専用パイロットを使用してもよい。下りデータバーストが割り当てられていない専用パイロットゾーンを設けることにより、当該ゾーンにおいては、無線中継装置3から端末局4に向けて無出力の送信動作を行わせることができる。
【0067】
図7は、準正転方式におけるフレーム構造の一例を示す図である。図7の(A)には、基地局5と無線中継装置3との間で通信されるデータのフレーム構造(図5の最上段のフレーム構造に相当する)を示しており、図7の(C)には、無線中継装置3と端末局4との間で通信されるデータのフレーム構造(図5の上から3段目のフレーム構造に相当する)を示している。また、図7の(B)には、図7の(C)に示すフレーム構造を作成する前段階のフレーム構造を示している。
【0068】
図6の(A)と同様に、図7の(A)においては、下りサブフレームのサブフレーム長は、OFDMシンボルの29シンボルに相当し、上りサブフレームのサブフレーム長は、18シンボルに相当する。
【0069】
図7の(B)においては、下りサブフレームのサブフレーム長はOFDMシンボルの35シンボルに相当し、上りサブフレームのサブフレーム長は12シンボルに相当する。また、図7の(B)においては、端末局4から無線中継装置3に向けての上りサブフレームの先頭が、図7の(A)における基地局5から無線中継装置3に向けての下りサブフレームの先頭に同期している。
【0070】
図7の(C)においては、図7の(B)における無線中継装置3から端末局4に向けての下りサブフレームのうち、図7の(A)における無線中継装置3から基地局5に向けての上りサブフレームに重複する部分(図中に×印を付した18シンボルに相当する部分)に、下りデータバーストが割り当てられていない専用パイロットゾーンが設けられている。上記と同様に、WiMAXにおける専用パイロット(dedicated pilot)としては、PUSC with dedicated pilot,FUSC with dedicated pilot,O-FUSC with dedicated pilot,AMC 1×6 with dedicated pilot,AMC 2×3 with dedicated pilot,AMC 3×2 with dedicated pilotがあるが、どの専用パイロットを使用してもよい。下りデータバーストが割り当てられていない専用パイロットゾーンを設けることにより、当該ゾーンにおいては、無線中継装置3から端末局4に向けて無出力の送信動作を行わせることができる。
【0071】
上述したように、逆転方式及び準正転方式には、それぞれメリット及びデメリットがある。そこで、本実施の形態に係る無線中継装置3においては、状況に応じて逆転方式と準
正転方式とを切り換えて選択する。
【0072】
無線中継装置3には基地局5及び端末局4との通信に使用可能な周波数帯域が割り当てられており、その周波数帯域は、複数(以下の例ではN個。Nは2以上の整数)の周波数チャンネルF1,F2,F3,・・・,FNに分割されている。以下の例では、周波数チャンネルF1→F2→F3→・・・→FNの順に周波数が徐々に高くなるものとする。この場合、周波数チャンネルF1が最低周波数となり、周波数チャンネルFNが最高周波数となる。本実施の形態では、一例としてN=3とし、また、無線中継装置3は、端末局4との通信に周波数チャンネルF1を使用し、基地局5との通信に周波数チャンネルF2又はF3を使用するものとする。なお、周辺基地局9も周波数チャンネルF2又はF3を使用している。
【0073】
図2を参照して、対基地局通信部10は、対基地局アンテナ6Xが一以上の基地局(基地局5及び周辺基地局9を含む)から受信している一以上の電波を復調することにより、周波数チャンネルF2,F3のうち、当該一以上の電波が使用している一以上の周波数チャンネルを特定する。そして、特定した周波数チャンネルに関する情報を、上記一以上の基地局の各々に関連付けて、記憶部31に記憶する。つまり、基地局の識別情報と、各基地局が使用している周波数チャンネルとの対応関係を、記憶部31に記憶する。ここで、「無線中継装置が基地局から電波を受信している」とは、無線中継装置と基地局との間で同期がとれており、無線中継装置が基地局から制御信号を受信しており、かつ、無線中継装置においてRSSI(Received Signal Strength Indication:受信信号強度)を測定可能な状況を意味する。なお、通信品質を表す指標としては、RSSIに代えてCINR(Carrier to Interference-plus-Noise Ratio:搬送波対干渉・雑音比)を用いてもよい(以下同様)。制御部30は、基地局から受信している周波数チャンネルに関する情報を、受信信号情報S8として記憶部31から読み出す。例えば、無線中継装置3が基地局5から周波数チャンネルF2を受信しており、周辺基地局9から周波数チャンネルF3を受信している場合には、周波数チャンネルF2,F3を示す受信信号情報S8が、記憶部31から制御部30に入力される。また、対基地局通信部10は、上記一以上の基地局からの受信信号のRSSI(又はCINR)をそれぞれ測定し、その測定したRSSI(又はCINR)に関する情報を、上記一以上の基地局の各々に関連付けて、記憶部31に記憶する。RSSI(又はCINR)に関する情報は、受信信号情報S8に含まれることにより、制御部30によって記憶部31から読み出される。
【0074】
制御部30は、受信信号情報S8に基づいて、無線中継装置3が採用する通信方式として逆転方式又は準正転方式を選択する。図8は、制御部30による通信方式の選択手法の例を示すフローチャートである。まずステップSP11において制御部30は、接続対象である基地局5のほかに、周辺基地局9から電波を受信しているか否かを、受信信号情報S8に基づいて判定する。
【0075】
無線中継装置3が周辺基地局9から電波を受信していない場合(つまりステップSP11における判定結果が「NO」である場合)は、制御部30は逆転方式を選択する。逆転方式は準正転方式に比べて、周辺基地局9に及ぼす影響は大きい反面、対端末局通信部20の送信電力を抑える必要がないため、無線中継装置3と端末局4との通信可能エリアを広げることができる。従って、対基地局アンテナ6Xが周辺基地局9から電波を受信しておらず、無線中継装置3が周辺基地局9に及ぼす影響を考慮する必要がない場合には、逆転方式を選択することにより、広い通信可能エリアを確保することができる。つまり、逆転方式を選択することにより、準正転方式を選択した場合のデメリット(即ち、対端末局通信部20の送信動作期間が対基地局通信部10の受信動作期間の一部と重複することに起因して、対端末局通信部20の送信電力を抑える必要があるというデメリット)を回避することが可能となる。
【0076】
一方、無線中継装置3が周辺基地局9から電波を受信している場合(つまりステップSP11における判定結果が「YES」である場合)は、次にステップSP12において制御部30は、無線中継装置3が周辺基地局9から受信している電波が周波数チャンネルF3のみであるか否か(換言すれば、周波数チャンネルF2を含まないか否か)を、受信信号情報S8に基づいて判定する。つまり、無線中継装置3が端末局4との通信で使用する周波数チャンネルと、無線中継装置3が周辺基地局9から受信している周波数チャンネルとが、互いに干渉を生じるものであるか否かを判定する。なお、本実施の形態の例では周辺基地局9が使用できるのは周波数チャンネルF2,F3の二つであるが、周辺基地局9が三つ以上の周波数チャンネルを使用可能であってもよく、この場合には、無線中継装置3が端末局4との通信で使用する周波数チャンネルと、無線中継装置3が周辺基地局9から受信している周波数チャンネルとが互いに隣接しているか否かによって、干渉を生じるか否かを判定すればよい。
【0077】
周辺基地局9から受信している電波が周波数チャンネルF3のみである場合(つまりステップSP12における判定結果が「YES」である場合)は、制御部30は逆転方式を選択する。周波数チャンネルF1と周波数チャンネルF3とは互いに隣接しないため、電波の干渉を生じないか、通信性能に影響を与えない程度に小さい。従って、この場合は逆転方式を選択することにより、広い通信可能エリアを確保することができる。つまり、逆転方式を選択することにより、準正転方式を選択した場合の上記デメリットを回避することが可能となる。
【0078】
一方、周辺基地局9から受信している電波が周波数チャンネルF2である場合(つまりステップSP12における判定結果が「NO」である場合)は、制御部30は準正転方式を選択する。無線中継装置3が複数の周辺基地局から周波数チャンネルF2,F3を受信している場合も、制御部30は準正転方式を採用する。準正転方式は逆転方式に比べて、無線中継装置3における通信電波が周辺基地局9に及ぼす影響が小さい。従って、周波数チャンネルF1に隣接する周波数チャンネルF2が周辺基地局9において使用されている場合には、準正転方式を選択することにより、周辺基地局9に及ぼす影響を低減することができる。つまり、準正転方式を選択することにより、逆転方式を選択した場合のデメリット(即ち、対端末局通信部20の送信電力を対基地局通信部10の送信電力と同等にする必要があり、また、対基地局通信部10の送信動作期間と対端末局通信部20の送信動作期間とが重複することに起因して、基地局5及び周辺基地局9において、対端末局通信部20からの送信電波が対基地局通信部10からの送信電波に対して妨害波になるというデメリット)を回避することが可能となる。
【0079】
このように本実施の形態に係る無線中継装置3によれば、記憶部31には、対基地局アンテナ6Xが一以上の基地局から受信している一以上の電波を対基地局通信部10で復調することによって得られる、一以上の電波の各々が使用している周波数チャンネルに関する情報が、一以上の基地局の各々に関連付けられて記憶される。そして、制御部30は、記憶部31に記憶されている情報に基づいて、逆転方式及び準正転方式の一方を選択する。逆転方式において制御部30は、対基地局通信部10が受信動作を行っている期間内に対端末局通信部20に対して受信動作を行わせるとともに、対基地局通信部10が送信動作を行っている期間内に対端末局通信部20に対して送信動作を行わせる。また、準正転方式において制御部30は、対基地局通信部10が受信動作を行っている期間内に、対端末局通信部20に対して受信動作及び送信動作の双方を行わせる。つまり、逆転方式及び準正転方式のいずれにおいても、対基地局通信部10が送信動作を行っている期間内に、対端末局通信部20に対して受信動作を行わせない。従って、対端末局アンテナ6Yが本来受信したい端末局4からの送信電波に対して、対基地局通信部10からの送信電波が妨害波となる事態を回避することができる。その結果、対基地局通信部10が送信動作を行
っている期間内に対端末局通信部20に対して受信動作を行わせる場合(正転方式)と比較すると、対基地局アンテナ6Xと対端末局アンテナ6Yとの間の通信電波の相互干渉の影響が小さくなるため、対基地局通信部10と対端末局通信部20とを互いに離間して配置する必要がない。また、対基地局通信部10から対端末局通信部20への電波の干渉の影響が小さいため、対端末局通信部20の最低受信感度が上昇することはなく、端末局4の送信電力を上げる必要がない。その結果、端末局4の消費電力を低減できるとともに、無線中継装置3の配下の端末局4からの送信電波が周辺基地局9や周辺端末局に及ぼす影響を抑制することが可能となる。
【0080】
また、逆転方式及び準正転方式のいずれにおいても、対基地局通信部10が送信動作を行っている期間(つまり基地局5が受信動作を行っている期間)内に、端末局4に対して送信動作を行わせない。そのため、本来の接続先の基地局5ではない周辺基地局9に対して、端末局4からの送信電波が妨害波となる事態を回避することができる。
【0081】
また、準正転方式においては、対基地局通信部10が送信動作を行っている期間内に、対端末局通信部20に対して送信動作を行わせる必要がない。従って、基地局5が本来受信したい対基地局通信部10からの送信電波に対して、対端末局通信部20からの送信電波が妨害波となる事態を回避することができる。また、逆転方式とは異なり、対端末局通信部20の送信電力を対基地局通信部10の送信電力と同等にする必要がない。そのため、対端末局通信部20からの送信電波が対基地局通信部10と基地局5との間の通信性能に及ぼす影響、対端末局通信部20からの送信電波が周辺基地局9に及ぼす影響、及び無線中継装置3に求められる通信可能エリアの広さ等を考慮して、対端末局通信部20の送信電力を、対基地局通信部10の送信電力に拘わらず任意に設定することが可能となる。
【0082】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
1 無線通信システム
3 無線中継装置
4 端末局
5 基地局
6X 対基地局アンテナ
6Y 対端末局アンテナ
10 対基地局通信部
20 対端末局通信部
30 制御部
31 記憶部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数チャンネルのうちの第1の周波数チャンネルを用いて基地局との間で通信を行うとともに、前記複数の周波数チャンネルのうちの第2の周波数チャンネルを用いて端末局との間で通信を行うことにより、前記基地局と前記端末局との間の通信を中継する無線中継装置であって、
前記基地局との間で電波の送受信を行うための対基地局アンテナと、
前記端末局との間で電波の送受信を行うための対端末局アンテナと、
前記対基地局アンテナに接続された対基地局通信部と、
前記対端末局アンテナに接続された対端末局通信部と、
前記対基地局アンテナが一以上の基地局から受信している一以上の電波を前記対基地局通信部で復調することによって得られる、前記一以上の電波の各々が使用している周波数チャンネルに関する情報を、前記一以上の基地局の各々に関連付けて記憶する記憶部と、
前記対基地局通信部が送信動作を行っている期間及び受信動作を行っている期間を検出し、前記対端末局通信部に対して送信動作を行わせる期間と受信動作を行わせる期間とを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記情報に基づいて、
前記対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に前記対端末局通信部に対して受信動作を行わせるとともに、前記対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に前記対端末局通信部に対して送信動作を行わせる、第1の通信方式と、
前記対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に、前記対端末局通信部に対して受信動作及び送信動作の双方を行わせる、第2の通信方式と
の一方を選択する、無線中継装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2の周波数チャンネルが、前記一以上の基地局のうち前記無線中継装置の接続対象とは異なる基地局である周辺基地局で用いられている周波数チャンネルに対して干渉を生ずる場合には、前記第2の通信方式を選択する、請求項1に記載の無線中継装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2の周波数チャンネルが、前記一以上の基地局のうち前記無線中継装置の接続対象とは異なる基地局である周辺基地局で用いられている周波数チャンネルに対して干渉を生じない場合には、前記第1の通信方式を選択する、請求項1に記載の無線中継装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記対基地局アンテナが前記無線中継装置の接続対象とは異なる基地局である周辺基地局から電波を受信していない場合には、前記第1の通信方式を選択する、請求項1に記載の無線中継装置。
【請求項5】
無線中継装置と端末局との間で通信されるデータのフレーム構造であって、
前記無線中継装置から前記端末局へ送信される下りデータバーストを含むデータが格納される下りサブフレームと、
前記端末局から前記無線中継装置へ送信される上りデータバーストを含むデータが格納される上りサブフレームと
を備え、
前記下りサブフレームのサブフレーム長と、前記上りサブフレームのサブフレーム長との比は、所定の通信規格で定められた範囲内に設定されており、
前記下りサブフレームには、前記下りデータバーストが割り当てられていない専用パイロットゾーンが設けられている、フレーム構造。
【請求項6】
前記無線中継装置から前記端末局へ送信される前記下りサブフレームの先頭は、前記無線中継装置から前記基地局へ送信される上りサブフレームの先頭に同期しており、
前記無線中継装置から前記端末局へ送信される前記下りサブフレームのうち、前記基地局から前記無線中継装置へ送信される下りサブフレームに重複する部分に、前記下りデータバーストが割り当てられていない前記専用パイロットゾーンが設けられている、請求項5に記載のフレーム構造。
【請求項7】
前記端末局から前記無線中継装置へ送信される前記上りサブフレームの先頭は、前記基地局から前記無線中継装置へ送信される下りサブフレームの先頭に同期しており、
前記無線中継装置から前記端末局へ送信される前記下りサブフレームのうち、前記無線中継装置から前記基地局へ送信される上りサブフレームに重複する部分に、前記下りデータバーストが割り当てられていない前記専用パイロットゾーンが設けられている、請求項5に記載のフレーム構造。
【請求項8】
前記無線中継装置はWiMAXの通信規格に対応しており、
前記専用パイロットゾーンには、PUSC with dedicated pilot,FUSC with dedicated pilot,O-FUSC with dedicated pilot,AMC 1×6 with dedicated pilot,AMC 2×3 with dedicated pilot,AMC 3×2 with dedicated pilotのいずれかが用いられる、請求項5〜7のいずれか一つに記載のフレーム構造。
【請求項9】
基地局との間で電波の送受信を行うための対基地局アンテナと、端末局との間で電波の送受信を行うための対端末局アンテナとを備え、複数の周波数チャンネルのうちの第1の周波数チャンネルを用いて前記基地局との間で通信を行うとともに、前記複数の周波数チャンネルのうちの第2の周波数チャンネルを用いて前記端末局との間で通信を行うことにより、前記基地局と前記端末局との間の通信を中継する無線中継装置の制御方法であって、
(A)前記対基地局アンテナが一以上の基地局から受信している一以上の電波を、前記対基地局アンテナに接続されている対基地局通信部で復調し、それによって得られる、前記一以上の電波の各々が使用している周波数チャンネルに関する情報を、前記一以上の基地局の各々に関連付けて記憶するステップと、
(B)前記対基地局通信部が送信動作を行っている期間及び受信動作を行っている期間を検出し、前記対端末局アンテナに接続されている対端末局通信部に対して送信動作を行わせる期間と受信動作を行わせる期間とを制御するステップと
を備え、
前記ステップ(B)においては、前記ステップ(A)で記憶した前記情報に基づいて、
前記対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に前記対端末局通信部に対して受信動作を行わせるとともに、前記対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に前記対端末局通信部に対して送信動作を行わせる、第1の通信方式と、
前記対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に、前記対端末局通信部に対して受信動作及び送信動作の双方を行わせる、第2の通信方式と
の一方が選択される、無線中継装置の制御方法。
【請求項10】
基地局と、
複数の周波数チャンネルのうちの第1の周波数チャンネルを用いて前記基地局との間で通信を行うとともに、前記複数の周波数チャンネルのうちの第2の周波数チャンネルを用いて端末局との間で通信を行うことにより、前記基地局と前記端末局との間の通信を中継する無線中継装置と
を備える無線通信システムであって、
前記無線中継装置は、
前記基地局との間で電波の送受信を行うための対基地局アンテナと、
前記端末局との間で電波の送受信を行うための対端末局アンテナと、
前記対基地局アンテナに接続された対基地局通信部と、
前記対端末局アンテナに接続された対端末局通信部と、
前記対基地局アンテナが一以上の基地局から受信している一以上の電波を前記対基地局通信部で復調することによって得られる、前記一以上の電波の各々が使用している周波数チャンネルに関する情報を、前記一以上の基地局の各々に関連付けて記憶する記憶部と、
前記対基地局通信部が送信動作を行っている期間及び受信動作を行っている期間を検出し、前記対端末局通信部に対して送信動作を行わせる期間と受信動作を行わせる期間とを制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記情報に基づいて、
前記対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に前記対端末局通信部に対して受信動作を行わせるとともに、前記対基地局通信部が送信動作を行っている期間内に前記対端末局通信部に対して送信動作を行わせる、第1の通信方式と、
前記対基地局通信部が受信動作を行っている期間内に、前記対端末局通信部に対して受信動作及び送信動作の双方を行わせる、第2の通信方式と
の一方を選択する、無線通信システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−24143(P2011−24143A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169584(P2009−169584)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】