無線回線接続制御装置、および移動通信ネットワークシステム
【課題】無線通信ネットワークにおける広範囲での過負荷状態の負荷分散や、隣接していないセルに対応する無線基地局の無線チャネルリソースの有効活用を可能にする。
【解決手段】ネットワークシステムを、複数の無線基地局装置2と、複数のアンテナシステム3と、無線回線接続制御装置1とによって構成し、装置1は複数の無線基地局2と複数のアンテナシステム3との接続切替を行う手段4と、ネットワークの負荷状況に対応して手段4の接続切替を制御する手段5とを備える。
【解決手段】ネットワークシステムを、複数の無線基地局装置2と、複数のアンテナシステム3と、無線回線接続制御装置1とによって構成し、装置1は複数の無線基地局2と複数のアンテナシステム3との接続切替を行う手段4と、ネットワークの負荷状況に対応して手段4の接続切替を制御する手段5とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動通信方式に係り、さらに詳しくは複数の無線基地局で構成される移動無線通信ネットワークの内部で任意のセル、あるいは特定のセルやスポットにおける無線チャネル数の不足などの過負荷状態を緩和させるための負荷分散を容易に行うことができる無線回線接続制御装置、およびそのような接続制御装置を備える移動通信ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のTDMA(タイム・ディビージョン・マルチプル・アクセス)方式のセルラーシステム、例えばグローバル・システム フォー モバイルコミュニケーション(GSM)システムや、パーソナル・デジタル・セルラー(PDC)システムなどでは、過負荷状態が生じた場合の対策として無線チャネルの追加や新たな基地局(移動局など)の追加を行うことが必要であった。
TDMAシステムでは、時分割によって各ユーザのデータを送り分けるために接続可能な無線チャネル数は一定であり、また無線パラメータや送信電力を変更してもサービスエリアが若干増大する程度であり、過負荷状態となっているセルの隣接セルから無線リソースの再配分を行おうとしても、そのような配分は周波数割当の制限から基本的には不可能なものであった。したがって特定セル内の過負荷エリアにマイクロセルなどの専用の基地局を置くことが必要となり、新たな周波数が必要であり、かつ過負荷状態が必ずしも頻繁に起こらないような場合には、装置の稼働率も悪く不経済になってしまうという問題点もあった。
【0003】
これに対してCDMA(コード・ディビージョン マルチプル・アクセス)方式のセルラーシステムではコード多重により各ユーザのデータを送り分けるために、接続可能なチャネル数は環境によって変わり、また周波数割当についての制限が存在せず、隣接セルの間でも同一の周波数、すなわち無線チャネルを使用することができ、隣接セルとの間で負荷分散を行うことが可能となる。
【0004】
このような移動通信ネットワークにおける負荷を分散させ、無線基地局の設備の利用効率を高めるための従来技術として次のような文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−205227号公報「無線通信システム」
【特許文献2】特開2000−333257号公報「移動機と無線基地局間のパス設定方式」 特許文献1には、PHSシステムの基地局として無線信号の呼を送受信するだけの複数の無線部と、集中制御局に設けられる複数の変復調部とを切り替え可能な接続装置を介して接続し、各無線ゾーンでの呼の発生数が異なる時間帯ごとにその接続装置による接続切替を行うことによって、変復調部の使用効率を高める無線通信システムが開示されている。
【0006】
特許文献2には、隣接した無線基地局の間にリピータ、すなわち無線中継器を設け、片方の無線基地局に対応するセルが過負荷状態になった場合に、そのリピータを用いて隣接した無線基地局の間で負荷を分散させることにより、呼が少ない無線基地局の通信キャパシティの有効利用を可能とする技術が開示されている。
【0007】
しかしながら特許文献1の方法では、ネットワーク内の集中局に共有対象としての変復調部を設置する必要があり、通常のネットワーク構成のように集中局を持たず、各セルに対応するセルサイト(セルの場所)に無線基地局装置一式が置かれているような通信ネットワークシステムの負荷分散に適用することはできないという問題点があった。
【0008】
また特許文献2のように隣接した無線基地局の間でリピータを用いて負荷分散を行うだけでは、広範囲(複数のセルの集合)において過負荷状態になるような場合には隣接する無線基地局も過負荷状態となり、負荷分散を行うことはできず、またセルの内部で任意の大きさのスポットが過負荷状態になる場合も負荷分散を行うことができず、さらに隣接していない無線基地局のリソースが余っていてもそれを使用することができず、一般的には過負荷時に呼接続に対する規制が必要になり、呼接続率などの通信品質を低下させてしまうという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上述の問題点に鑑み、無線基地局を、例えば無線基地局装置とアンテナシステムとに分け、複数の無線基地局装置と複数のアンテナシステムとの間の接続を任意に切り替え可能とすることによって、広範囲での過負荷状態の負荷分散や、隣接していない他のセルに対応する無線基地局の無線チャネルリソースの有効活用を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
図1は、本発明の無線回線接続制御方式の原理構成ブロック図である。同図は、移動通信ネットワーク内に備えられる無線回線接続制御装置の原理構成を示し、装置1は少なくとも接続切替手段4と切替制御手段5とを備える。
【0011】
接続切替手段4は、複数の無線基地局装置と複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替えるものであり、切替制御手段5は移動通信ネットワーク内の負荷の状況に対応して、接続切替手段4の接続切替を制御するものである。
【0012】
また本発明の無線回線接続制御装置は、複数の無線基地局装置のそれぞれの同一構成部分の複数と、それぞれアンテナシステムが接続され、その同一構成部分を除く各無線基地局装置の残りを構成する残りの構成部分の複数との間の接続を切り替える接続切替手段と、移動通信ネットワーク内の負荷の状況に対応して接続切替手段の接続切替を制御する切替制御手段とを備える。
【0013】
本発明の移動通信ネットワークシステムは、複数の無線基地局装置と、複数のアンテナシステムと、複数の無線基地局装置と複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替える接続切替装置とを備える。
【0014】
発明の実施の形態においては、複数のアンテナシステムの少なくとも一部を移動通信ネットワークシステム内のセルの境界付近に設置すると共に、前記移動通信ネットワークシステムにおいて境界付近にアンテナシステムが設置されたセルが過負荷状態となった時、複数の無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置と、境界付近に設置されたアンテナシステムとを接続させるように、接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることもできる。
【0015】
実施の形態においては、複数のアンテナシステムの少なくとも一部を、過負荷となることが予想されるスポットをカバーできるように設置すると共に、移動通信ネットワークシステムにおいてそのスポットが過負荷となった時、複数の無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置と、そのスポットをカバーできるように設置されたアンテナシステムとを接続させるように接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることもできる。
【0016】
また実施の形態においては、複数のアンテナシステムの少なくとも一部が適応的に指向性を変化できる指向性可変アンテナシステムであり、移動通信ネットワークシステムにおいてシステムのサービスエリア内の任意の位置に過負荷状態のスポットが生じた時、複数の無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置と、指向性可変アンテナシステムとを接続させるように接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることもできる。
【0017】
あるいは実施の形態において、複数のアンテナシステム、および複数の無線基地局装置が移動通信ネットワークを構成する複数のセルにそれぞれ対応するものであり、移動通信ネットワークシステムにおいて一部のセルが過負荷となった時、過負荷となったセルに対応するアンテナシステムと、過負荷になっていないセルに対応する無線基地局装置のうちで、負荷が軽い無線基地局装置とを接続させるように接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることもできる。
【0018】
さらに実施の形態においては、複数の無線基地局装置が移動通信ネットワークシステムを構成するセルに対応する装置と、対応するセルを持たない過負荷対策用の装置とを含むと共に、移動通信ネットワークシステムにおいて過負荷対策用の無線基地局装置の少なくとも一部が、予め過負荷が予想されるセルをカバーするアンテナシステムに接続されるように接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることもできる。
【0019】
また本発明において、ビルや地下街などを含む閉空間内で通信が行われる移動通信ネットワークシステムは、複数の無線基地局装置と、複数のアンテナシステムと、複数の無線基地局装置と複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替える接続切替装置とを備える。
【0020】
また本発明の移動通信ネットワークシステムは、複数の無線基地局装置のそれぞれの同一構成部分の複数と、それぞれアンテナシステムと接続され、同一構成部分を除く、各無線基地局装置の残りを構成する残りの構成部分の複数と、その同一構成部分の複数と残りの構成部分の複数との間の接続を切り替える接続切替装置とを備える。
【0021】
発明の実施の形態においては、アンテナシステムと接続された前述の残りの構成部分の少なくとも一部を移動通信ネットワークのセルの境界付近に設置し、そのセルが過負荷となった時、前述の複数の同一構成部分のうちで負荷の軽い無線基地局装置の同一構成部分と、アンテナシステムと接続された残りの構成部分とを接続させるように制御することもでき、またアンテナシステムと接続された残りの構成部分の少なくとも一部を、過負荷となることが予想されるスポットを含むセル内でそのスポットをカバーできるように設置し、そのスポットが過負荷となった時、複数の同一構成部分のうちで負荷の軽い無線基地局装置の同一構成部分をその残りの構成部分と接続させるように制御することもできる。さらに複数のアンテナシステム、および無線基地局装置が移動通信ネットワークを構成する複数のセルに対応するものであり、一部のセルが過負荷となった時に過負荷となったセルに対応する無線基地局装置内で予備的に設置され、アンテナシステムに接続されている前述の残りの構成部分と、過負荷となっていないセルに対応する無線基地局装置の前述の同一構成部分とを接続させるように制御することもできる。
【0022】
さらに実施の形態においては、ビル内や地下街を含む閉空間内で通信が行われる移動通信ネットワークが、前述の無線基地局装置の同一構成部分の複数と、それぞれアンテナシステムと接続された前述の残りの構成部分の複数と、その同一構成部分の複数と残りの構成部分の複数との間の接続を切り替える接続切替装置とを備えることもできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、隣接セルに限定されること無く、広い範囲でセル間でのリソースの再配分による過負荷状態の解消や、セル内の任意のスポットに対応する負荷分散を行うことができる。また隣接していない無線基地局のリソースを有効活用することができ、設備投資をトータルなトラフィックに応じたものに限定することができ、移動通信ネットワークの建設経費低減などに寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の無線回線接続制御方式の原理構成ブロック図である。
【図2】本発明の無線回線接続制御方式が用いられる通信ネットワークシステムの全体構成ブロック図である。
【図3】リソースコントローラを含むシステム構成例の説明図(その1)である。
【図4】リソースコントローラを含むシステム構成例の説明図(その2)である。
【図5】リソースコントローラを含むシステム構成例の説明図(その3)である。
【図6】リソースコントローラによる制御処理フローチャートである。
【図7】リソースコントローラによるスイッチ切替制御の具体例の説明図である。
【図8】データベース内のリソース割当て情報の格納例である。
【図9】BTSの接続情報の格納例である。
【図10】ATMスイッチの接続情報の格納例である。
【図11】第1の実施例における回線接続制御の説明図である。
【図12】RFヘッドの構成例の説明図である。
【図13】無線基地局の構成例の説明図である。
【図14】第1の実施例における回線接続制御の詳細説明図である。
【図15】第1の実施例におけるリソース確保処理のフローチャートである。
【図16】第1の実施例におけるリソース開放処理のフローチャートである。
【図17】第1の実施例におけるリソース確保シーケンスの説明図である。
【図18】第1の実施例におけるリソース開放シーケンスの説明図である。
【図19】第2の実施例における回線接続制御の説明図である。
【図20】第3の実施例における回線接続制御の説明図である。
【図21】第4の実施例における回線接続制御の説明図である。
【図22】第5の実施例における回線接続制御の説明図である。
【図23】第5の実施例における回線接続制御の詳細説明図である。
【図24】第5の実施例におけるリソース確保処理のフローチャートである。
【図25】第5の実施例におけるリソース開放処理のフローチャートである。
【図26】第5の実施例におけるリソース確保シーケンスの説明図である。
【図27】第5の実施例におけるリソース開放シーケンスの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図2は、本発明の無線回線制御方式が用いられる移動通信ネットワークシステムの全体構成ブロック図である。同図において移動端末11は、アンテナ12を介してアーキテクチャの上では論理的なノードとして扱われるノードB13、物理的な装置としては無線基地局装置BTS(ベース・トランシーバ・ステーション)に接続される。
【0026】
このノードB13は、第3世代移動通信システムの標準仕様作成組織3GPP(サード・ジェネレーション・パートナーシップ・プロジェクト)におけるRAN(ラジオ・アクセス・ネットワーク)としてのUTRAN(ユニバーサル・テレストリアル・RAN)10を構成し、UTRAN10の内部でRNC(ラジオ・ネットワーク・コントロール・エクイップメント、無線ネットワーク制御装置)14とインタフェースIubによって接続され、OMC−R(オペレーション・アンド・メンテナンスセンター−ラジオ)16によって全体的な制御が行われる。
【0027】
UTRAN10内のRNC14は、インタフェースIu−PSによってPS(パケット・スイッチ)コアネットワーク20の内部のSGSN(サービング GPRS サポート・ノード)21、GGSN(ゲートウェイ GPRS サポート・ノード)22を介してインターネット23に接続される。
【0028】
またRNC14は、インタフェースIu−CSによってCS(サーキット・スイッチ)コアネットワーク24の内部のMSC(モバイル・スイッチング・センター)25と接続され、さらにPSTN(公衆交換電話網)26を介して他のモバイルネットワーク27とも接続される。MSC25、およびSGSN21に対しては、移動機の在圏エリア情報などを管理するデータベースとしてのHLR(ホーム・ロケーション・レジスタ)28が接続される。
【0029】
本実施形態においては図2で説明したように、例えばW−CDMAシステムにおいて、アンテナ12とノードB13に相当する無線基地局装置との間で負荷を分散させるために、リソース間の接続を変更可能とすることを最大の特徴とするが、その制御のためにリソースコントローラが用いられる。図3から図5は、このリソースコントローラによるネットワーク制御方式の全体説明図である。
【0030】
図3は、例えば図2のOMC−R16の内部にリソースコントローラ30が備えられる場合の、ノードB13に相当するBTS32とリソースコントローラ30の間のデータの物理的流れの説明図である。同図においてノードB13、すなわちBTS32からのデータは矢印で示される物理的経路にしたがってATM−スイッチ31、RNC14を介してOMC−R16の内部のリソースコントローラ30に与えられる。
【0031】
図3において、実線で示されるシグナリングデータやユーザデータはアンテナ12、スイッチ33、BTS32、ATM−スイッチ31を介してRNC14に与えられる。また点線で示されるオペレーション・メンテナンスデータ、コンフィグレーションデータは、スイッチ33、ATM−スイッチ31、およびRNC14と、OMC−R16との間でやり取りされる。
【0032】
なおリソースコントローラ(RC)30は、RNC14、あるいはATM−スイッチ31の一部として実現されてもよく、あるいは例えばスイッチ33と一体を成す接続制御装置として実現されてもよく、さらに図3で示すように機能を分割する形でOMC−R16とRNC14に付属する形式で実現されてもよい。例えば本発明の特許請求の範囲の請求項1における接続切替手段はスイッチ33に、また切替制御手段はリソースコントローラ30に相当する。
【0033】
図4は、図3のシステム構成における論理的な接続の説明図である。同図においては、点線で示されるオペレーション・メンテナンスデータ、コンフィグレーションデータが各BTS32とOMC−R16との間でもやり取りされるような論理的接続が行われる。
【0034】
図5は、図4と同様に論理的な接続を示すが、図4と異なりATM−スイッチ36によってBTSの一部と、BTSの残りの部分との接続制御が行われる形式となっている。すなわちBTS(BB)35はBTSの内部でベースバンド信号処理部までの構成部分を示し、BTS(RF)37はBTSの内部で後述するRF(ラジオ・フリケンシー)ヘッドの部分を示し、BTS(RF)37がそれぞれアンテナと接続される形式となる。
【0035】
図6はリソースコントローラによるリソース制御処理のフローチャートであり、図7は図5のATM−スイッチ36によるリソース切替の具体例の説明図である。図6において処理が開始されると、まずステップS1でリソース不足がおこっているか否かが判定される。例えば図7に示すようにあるセルに対応するRF1に対して、ATM−スイッチによってBB1が接続されているものとし、このBB1の中のn個のリソースがすべて使用され、セルの負荷に対応できず、リソースが不足していると判定されると、ステップS2でリソース追加処理が開始される。このリソース追加処理ではステップS3で他のBBにリソースの空きがあるか否かが判定され、全く空きのない場合にはリソースの追加割当は不可能なものとして処理を終了する。
【0036】
図7に示すように、例えばBB2内のリソースの内、使用されているリソースはm(<n)個であり、他のリソースが空いていると判定されるとステップS4で割当てBBの決定が行われ、例えばBB2が追加リソースを供給すべきBBとして決定され、ステップS5でそのリソースが確保され、ステップS6でATM−スイッチ、BTS、およびRNC内の各種の設定データが変更され、リソース追加処理を完了する。この時、図7ではBB2からATM−スイッチを介してRF1に至る経路に新たなVCI(B)が割当てられ、経路の接続が行われる。
【0037】
図8から図10は、リソースコントローラに備えられるリソース割当て情報とスイッチ接続情報のデータベースの格納内容の例である。図8は、BTS(BB)に対するリソース割当て情報格納テーブルの格納データの例である。同図においては、図5のBTS(BB)35のNo.1から4のそれぞれに対してどのBTS(RF)37が接続され、経路情報とリソース割当てがどのように行われているかが格納されている。例えば図7で説明したようにNo.1のBTS(BB)には、BTS(RF)のNo.1だけが接続され、その経路に対する経路情報VCI/VPIが6/12、割当リソースが64、そのうちの空きリソースが3であることが格納されており、またBTS(BB)No.2に対しては、同様にBTS(RF)No.2とNo.1との2つが接続されていることが示されている。
【0038】
図9は、BTS(RF)側のリソース割当て、実際にはBTS(BB)との接続情報格納データベースの格納内容の例である。それぞれのBTS(RF)のナンバに対して接続されているBTS(BB)のナンバと、接続情報としてのVCI/VPIの値が格納されている。なおこの格納内容は図8に対応するものであり、図8からこれらのデータを読み取ることも当然可能である。
【0039】
図10は、ATMスイッチにおける接続情報の格納データの例である。接続経路としてのVCI/VPIの値に対して、その経路が接続されているか、すなわち使用されているか否かが格納されている。例えば6/12のVCI/VPIを持つ経路は、図8においてBTS(BB)No.1とBTS(RF)No.1とを結ぶ経路を示し、この経路は接続されている。
【0040】
続いて以上で説明したシステム構成やリソースコントローラによる制御を前提として、本発明における無線回線接続制御の実施例についてさらに詳細に説明する。図11は、第1の実施例における接続制御の説明図である。同図においてはセルが六角形で示され、中心のセル40の周りに6つのセル41から46が存在する。それぞれのセルの内部には、基本的にはそのセルを担当する無線基地局としてそれぞれ無線基地局50から56が設置されている。ここで中央のセル40は無線基地局50の設備だけでは過負荷状態となることが多いセルであり、またそのセル40の中でどの部分(スポット)が過負荷になるかは全く不明なものであるとする。
【0041】
したがって中心のセル40とその周辺のセル41から46のそれぞれとの境界には予め無線信号を出力できるRFヘッド61から66が設置されているものとする。これらのRFヘッド61から66はスイッチ59に接続され、中央のセル40を除く周辺のセル41から46にそれぞれ対応する無線基地局51から56、あるいは他の場所に設置されている基地局のいずれにも接続可能であるものとする。なおスイッチ59は本発明の請求項3における接続切替装置に対応し、また請求項4における切替制御手段はスイッチ59に対して接続切替信号を出力する、前述のリソースコントローラに対応する。
【0042】
図12は、図11におけるRFヘッド61から66の説明図である。無線基地局BTSは図5で説明したように、BTS(BB)35に相当する基地局71と、BTS(RF)37に相当するRFヘッド72とに分割され、これらは接続光ケーブル73によって接続されている。またRFヘッド72にはアンテナ74が接続されている。なお基地局71とRFヘッド72とを通常の同軸ケーブルで接続してもよく、通常のRF伝送を行ってもよいことは当然である。
【0043】
基地局71の内部には、ベースバンド処理までを行うベースバンド(BB)信号処理部75と、電気光変換部76が備えられ、接続光ケーブル73によって接続されるRFヘッド72の内部には光電気変換部77、DA変換部78、および増幅器79が備えられている。なお図12の基地局71は請求項10における基地局装置のそれぞれの同一構成部分に相当し、RFヘッド72は基地局装置の残りの構成部分に相当する。
【0044】
図11においてシステム、例えばOMC−R16によって過負荷箇所58が検出された場合には、周辺の無線基地局の中で負荷の低い無線基地局、例えば52と過負荷箇所をカバーすべきRFヘッド64とを接続するような接続切替信号がスイッチ59に与えられ、無線基地局52が過負荷箇所58をカバーするようにスイッチ59の接続が行われることによって、過負荷状態を解消することができる。負荷を低減させる方法としては、すでに無線基地局51に接続済みの過負荷箇所58にある呼をRFヘッド64を経由して無線基地局52に切り替える方法や、新たに発生する呼をRFヘッド64を介して無線基地局52に接続させる方法などがある。この場合には必要に応じて、移動端末が現在接続されている無線基地局の周辺の無線基地局などを示すネイバーリストや無線周波数などの無線パラメータの変更を同時に行うこともありうる。なお、スイッチ59の設置場所としては、無線基地局のサイト、前述のRNC14や交換局などのようにさまざまな場所が考えられる。
【0045】
図11では、セルの境界にRFヘッドを予め設置しておくものとしたが、例えばアンテナシステムだけをセルの境界に設置することも当然可能である。図13はそのような場合の無線基地局の構成例の説明図である。同図において無線基地局81は、ベースバンド信号処理部75、DA変換部78、および増幅器79を備え、接続ケーブル82によってアンテナ74と接続されている。このアンテナ74だけをセルの境界におき、図11におけると同様にスイッチ59で無線基地局との間の接続の切替を行うことによって前述と同様にセル40の内部の過負荷箇所58における過負荷状態を解消することができる。
【0046】
このように第1の実施例では、他のセルに対応して設置されている無線基地局の無線チャネルリソースの有効活用が可能となり、過負荷状態を緩和するために、例えば集中制御局に機器を設置してその機器を共有する必要はなくなる。
【0047】
第1の実施例についてさらに説明する。第1の実施例において図11の中央のセル40の内部の過負荷箇所58を、セル40の一部ではなく、1つのマイクロセルとして扱うことによってリソース管理や呼制御の管理が容易となる。
【0048】
図14は第1の実施例におけるリソース管理の詳細説明図である。同図においてリソース管理はリソースコントローラ30によって行われ、リソースコントローラ30によりセル40に対応する無線基地局50(BTS B)、セル40と44との境界に設置されたRFヘッド64、無線基地局52(BTS A)、およびATMスイッチ36の制御が行われる。なおリソースコントローラ30は、RNC14に接続されているものとする。
【0049】
図11で説明したように無線基地局52、すなわちBTS AのBB35のリソースの内で、例えばセクタAからセクタCまでが使用中であり、例えばそれぞれRFヘッド37に接続されて使用されているものとし、他のセクタが未使用で、例えば他のRFヘッドに割当可能であるものとする。そこでこの未使用のセクタがATMスイッチ36を介してセル40とセル44との境界にあるRFヘッド64に接続され、セル40側の過負荷箇所58をカバーするために使用される。なおセル40に対応する無線基地局50(BTS B)のリソースは全て使用されており、過負荷箇所のカバーには使用できないものとする。さらにここではBB部のリソースがセクタ毎にあらかじめ割当てられているものとしたが、この割当てをリソースの使用状況に応じてダイナミックに行うことも当然可能である。
【0050】
このように第1の実施例では、過負荷箇所58をセル40、およびセル42と異なるマイクロセルとして取り扱い、各基地局のリソース管理、すなわち無線キャパシティとしてのチャネル数、RFヘッド、BB処理部などの管理が行われることになる。したがってRFヘッド64が接続されるBB35の未使用セクタに対しては、他のセクタと異なる周波数、または同一周波数であっても異なるスクランブリングコード、すなわちセル40とセル42とに対するスクランブリングコードと異なるスクランブリングコードを割当てることが必要となる。ここでは、同一周波数で異なるスクランブリングコードを割当てるものとして以下を説明する。
【0051】
図15、図16は、リソースコントローラによるリソース確保、およびリソース開放の処理フローチャートである。図15はリソース確保処理のフローチャートであり、リソース不足、すなわちあるセルにおける過負荷状態が検出されると、ステップS10でその過負荷箇所に対応する接続先のRFヘッドが確認され、適切なRFヘッドが無い場合には、リソース割当てを行うことができず、処理を終了する。適切なRFヘッド、例えば図11においてセル境界に設けられたRFヘッドが存在する場合には、ステップS12でそのRFヘッドの使用予約が行われる。この予約は実際のリソースの使用に先立って他の条件が確認され、実際にリソースを使用するまでの予約を行うものである。例えば図8で説明したデータベースに予約ビットを立てたり、BBリソースに対しては予約リソースの数を格納することによって予約が行われる。
【0052】
続いてステップS13でBBリソースの空きの確認が行われる。例えば図14では、BTS A側で空きリソースがあるかが確認され、ステップS14で空きリソースが無いと判定された場合にはリソースを割当てることができず、処理を終了し、ステップS12で予約したRFヘッドは開放される。
【0053】
空きリソースがある場合には、ステップS15でBBの空きリソースが予約され、ステップS16でスクランブリングコードの空き、すなわち全く使用されていないスクランブリングコードがあるか否かが確認され、その結果がステップS17で判定され、スクランブリングコードの空きが無い場合には処理を終了し、予約したRFヘッドとBBリソースが開放される。
【0054】
スクランブリングコードの空きがある場合にはステップS18でそのコードの予約が行われ、ステップS19でスイッチ、BTS A、すなわち図14の基地局52、RFヘッド64、およびRNC14における設定データの変更が行われ、リソースが追加される。なお前述のデータベース内の予約ビットや予約リソースの数などの変更も当然行われる。
【0055】
図16は、過負荷状態解消後のリソース開放処理のフローチャートである。図15のリソース確保処理は、ある基地局の無線キャパシティ、すなわちチャネル数が不足する場合、イベントなどのように予め高い負荷が予想される場合、過去のトラフィックデータに基づいて定期的な高負荷が予想される場合などに実行されるが、このようなトリガー要因が解消した場合には、図14で説明したマイクロセルに割当てられたRFヘッド64、BTS A52のBBリソース、およびそれらの間のATMスイッチ36による接続の開放が行われる。
【0056】
図16のリソース開放処理は、図15のリソース確保処理が終了し、リソースの追加が行われた後に直ちに起動され、リソースの使用状態を確認して前述のようなトリガー要因が解消した場合にリソース開放を行うものとする。処理が開始されると、まずステップS21でリソースの使用状況が確認され、ステップS22で追加されたリソースが未使用になったか否かが判定され、未使用になっていない場合にはステップS21以降の処理が繰り返される。
【0057】
未使用になっている場合にはステップS23でリソース不足予測の確認が行われる。これは例えばイベントの開催時間が終了したか否かによって、リソースの不足が今後予測されるか否かが確認され、不足が今後解消されるか否かがステップS24で判定され、まだ解消されない場合にはステップS21以降の処理が繰り返され、解消が確認された場合にはステップS25でスイッチ、BB、およびBTS Aの設定データの変更などが行われ、リソースが開放される。
【0058】
図17、および図18は、リソース確保、およびリソース開放のシーケンスの説明図である。図17は、リソース確保のシーケンスを示し、リソース不足が検出されると、リソースコントローラによってステップS30で接続先のRFヘッドとして適切なものがあるかが確認され、RFヘッドがあると判定されるとそのRFヘッドの予約が行われ、ステップS31でBBの空きリソースの確認が行われ、BTS AにおいてBBリソースの空きがある場合にはそのリソースの予約が行われ、ステップS32でスクランブリングコードの確認が行われ、空きのスクランブリングコードがある場合には、そのコードの予約が行われる。その後スイッチ36、BTS A52、RFヘッド64、RNC14に対して設定データの変更が指示され、リソース確保のシーケンスが完了する。
【0059】
図18は、リソース開放シーケンスの説明図である。前述のようにリソースの追加処理が行われると、リソースコントローラ30によってステップS34で追加リソースの使用状況が確認され、追加されたBTS A52のリソースが未使用であると判定されると、ステップS35でリソース不足の今後の予測が確認され、今後の不足が予測されないと判定されると、スイッチ36、BTS A52、RFヘッド64、およびRNC14に対して設定データの変更が指示され、リソースの開放が完了する。
【0060】
続いて本発明の無線回線接続制御方式の他の実施例について説明する。図19は、第2の実施例の説明図である。この第2の実施例では、あるセル内のある箇所が過負荷となりやすい場所であることが予めわかっており、その部分をカバーできる無線信号を出力可能なRFヘッドが予め設置されていることを前提としている。
【0061】
すなわち、例えばセル43の内部に過負荷となりやすいスポット84が存在し、そのスポットをカバーするためのRFヘッド86が設置され、このRFヘッド86に対してはスイッチ59によって無線基地局50から52、54から56との間で接続を任意に切り替えることができるものとする。
【0062】
システムにおいてスポット84の過負荷状態が検出された場合には、負荷の低い無線基地局、例えば52とRFヘッド86とをスイッチ59によって接続して無線基地局52が過負荷箇所84をカバーすることによって、過負荷スポットにおける負荷を低減させることが可能となる。
【0063】
図20は、第3の実施例の説明図である。この第3の実施例は、指向性を任意の方向に適応的に変化させることができるアンテナ、例えばアダプティブアレーアンテナを用いて大きなセルの範囲内で任意の過負荷スポットをカバーすることによって、その過負荷スポットの負荷を低減させるものである。
【0064】
図20において、例えば中央のセル40の内部に無線基地局50に加えて、さらに出力の大きい無線基地局89を備え、この無線基地局89は図11で説明した7つのセル全体を包むような大きなセル90の内部で任意の位置にある過負荷スポット88の方向に電波を出力することによって、任意の位置にある過負荷スポット88における負荷を低減させることができる。すなわちシステムによって過負荷スポット88が検出されると、アダプティブアレーアンテナの指向性をその方向に向けることによって過負荷スポット88の過負荷状態は解消され、無線基地局54の負荷を低減させることが可能となる。あるいはこのアダプティブアレーアンテナをスイッチによって負荷の軽い無線基地局、例えば基地局52と接続させることも当然可能である。
【0065】
図21は、第4の実施例の説明図である。この第4の実施例においては、予め特定のセルが割当てられていない過負荷対策用の無線基地局設備が備えられ、これらの無線基地局、すなわち図21では過負荷対策用BTS(BB)91から94が無線基地局51から56に加えて、スイッチ59に接続され、スイッチ59には図11におけると同様にセルの境界に備えられたRFヘッド61から66がそれぞれ接続(RF61から63、65、66は図示省略)されているものとする。
【0066】
第4の実施例では、これらセルの境界に設けられた6つのRFヘッドのうち、例えばOMC−R16やリソースコントローラ30によって過去のトラフィックデータに基づいて予測される過負荷スポット、あるいはイベントスケジュールに基づいて予測される過負荷スポット58をカバーできるRFヘッド64に対して、過負荷対策用BTS91から94のいずれか1台、例えば91をスイッチ59によって接続しておき、過負荷スポットにおける負荷を事前に低減可能とするものである。
【0067】
このように第4の実施例では、過負荷対策用BTSは一時的な過負荷が予想されるスポットにおける過負荷状態を事前に低減させるものであり、その過負荷スポットは、例えば日時の変化に対応して変化し、過負荷対策用BTSは、例えば日時によってその一部が使われたり、全部が使われたりするものである。なお図21では、過負荷対策用の基地局装置は4台となっているが、4台に限定されるわけではないことは当然である。
【0068】
最後に第5の実施例について説明する。第5の実施例は、例えばビルの内部や地下街などの閉空間における無線回線接続制御に関する実施例である。図22は、例えばビルの内部の回線接続制御方式の説明図である。同図においてビルの内部はオフィスエリアとコマーシャルエリアとに分かれ、オフィスエリアはセル101と102によって構成され、コマーシャルエリアはセル103と104とによって構成され、各セルの内部のアンテナ111から118はそれぞれ個別にスイッチ108を介して無線基地局105、106のいずれにも接続可能となっているものとする。なお8つのアンテナ111から118は、1本の線でスイッチ108に接続されているように見えるが、実際には右下に示すようにスイッチ108と各アンテナ111から118はそれぞれ個別の線によって接続されているものとする。
【0069】
通常、例えば平日にはオフィスエリアを構成するセル101、102は、無線基地局105によってカバーされ、コマーシャルエリアのセル103、104は、無線基地局106によってカバーされているものとする。
【0070】
週末のようにオフィスエリアでは負荷が減り、コマーシャルエリアでは負荷が増える場合にシステムによってセル103、104の過負荷状態が検出されると、スイッチ108に接続切替信号が送られ、例えば無線基地局105にセル103に対応するアンテナ115と117が追加接続されることによって負荷を低減させ、あるいは無線基地局105にアンテナ115を追加接続して無線基地局106に対応する一部のセル103を無線基地局105と共有させることによって負荷を低減させることができる。
【0071】
前者の場合にはアンテナ115と117に無線基地局105と106の両方が接続されることになり、セル103が無線基地局105と106の両方でカバーされることになる。後者の場合にはアンテナ115に無線基地局105と106の両方が接続され、セル103の一部が2つの無線基地局105と106の両方でカバーされることになる。このような接続の切替に当っては第1の実施例についての説明と同様に、必要に応じてネイバーリストや無線周波数などの無線パラメータの同時変更が必要となる。このように本実施形態では、複数の無線基地局を1つのアンテナに同時に接続することも可能であり、リソースの有効活用における自由度が非常に大きい。
【0072】
なお、図22のスイッチ108は基本的にアナログ信号を分配するものであり、例えば大きなビルでは途中までは光信号で伝送し、例えばCDMA方式のRF部で電気信号に戻すような方式も考えられるが、ここではアナログ信号を適切に分配できればよいものとする。
【0073】
続いて図23から図27を用いて第5の実施例における回線接続制御についてさらに詳細に説明する。図23は、第1の実施例における図14と同様の接続切替制御の詳細説明図である。同図において簡単のため各セルには、アンテナ121から124がそれぞれ1つだけ備えられるものとし、また各アンテナ121から124は、図22に対する説明と同様にスイッチ108にそれぞれ接続されているものとする。
【0074】
前述のようにコマーシャルエリアにおいて過負荷状態が検出されると、通常はオフィスエリアをカバーする無線基地局106が、例えばアンテナ123にも接続される。これによって既存の無線基地局105のエリアに既存の無線基地局106のセルが拡張されることになり、既存の無線基地局106側ではもともとのカバーエリアにさらに無線基地局105のカバーエリアの一部が追加されることになる。このようなリソースの追加は、無線基地局105によってカバーされるエリアの無線キャパシティ、例えばチャネル数が不足する時に行われるものであり、無線基地局106のセルの拡張に当るため、このリソース追加にあたっては、スクランブリングコードとして無線基地局106でもともと用いられていたスクランブリングコードと同一のコードが使用される。このような前提の基に各基地局におけるリソース管理や、スイッチ、BTS、およびRNCに対するデータ設定の変更指示が行われる。
【0075】
図24から図27は、第5の実施例におけるリソース確保、リソース開放の処理フローチャート、およびシーケンスの説明図である。図24はリソース確保処理のフローチャートであり、リソース不足が検出されるとステップS37でリソースの空いているBTSの確認が行われ、ステップS38でそのようなBTSがあるか否かが判定され、無い場合にはリソース割当てを行うことなく処理を終了し、ある場合にはステップS39でスイッチやRNC14の設定変更が行われてリソース追加を終了する。
【0076】
図25はリソース開放処理のフローチャートである。このリソース開放処理は、例えば図24のリソース追加終了直後に起動され、ステップS41でリソース不足の予測が確認され、ステップS42で不足予測有りと判定されるとステップS41の処理が繰り返され、予測無しと判定されるとステップS43でスイッチやRNC14の設定変更が行われて、リソースが開放される。
【0077】
図26は、第5の実施例におけるリソース確保のシーケンスである。同図においてリソースコントローラによってリソース不足が検出されると、ステップS45でBTSの空きリソースの確認が行われ、BTS Aに空きがある場合にはそのリソースに対する予約が行われ、スイッチとRNCなどに対する設定変更が指示されて、リソースの確保が完了する。
【0078】
図27は、リソース開放のシーケンスである。同図においてリソースコントローラによって、ステップS47でリソースの使用状況が確認され、BTS AのBBリソースが使用されていないことが確認されると、ステップS48でリソースの不足予測が確認され、不足の予測が無い場合には、スイッチとRNCなどに対する設定変更が指示され、リソースの開放が完了する。なお第5の実施例では、無線基地局装置すなわちBTSとアンテナとの間の接続をスイッチによって切り替えるものとしたが、例えば第1の実施例と同様にBB処理部までのBTSとRFヘッドとの間の接続を切り替えることも当然可能である。
【0079】
以上詳細に説明したように本発明によれば、従来のリピータを用いる方法では対応することができなかった広い範囲でのリソース再配分を用いた過負荷状態の解消や、セルの内部の任意のスポットにおける負荷分散を行うことができる。さらに隣接していない負荷の低い無線基地局のリソースを有効活用することが可能となり、広い地域のトータルなトラフィックに応じて設備投資を行うことができ、移動通信ネットワークの経済的な構築が可能となる。さらにアダプティブアレーアンテナを利用することによって、過負荷が予想されていない地域(スポット)での過負荷に対しても柔軟に対応でき、顧客サービスの品質向上にも寄与するところが大きい。
【0080】
なお以上の説明ではW−cdma方式を具体例として実施形態を説明したが、本発明はcdma2000やその他の方式でも当然利用可能であり、移動無線通信全般で無線基地局のリソース管理を行う、無線基地局監視装置全般に用いることができる。
【0081】
(付記1) 移動通信ネットワーク内に備えられる無線回線接続制御装置であって、
複数の無線基地局装置と複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替える接続切替手段と、
該移動通信ネットワーク内の負荷の状況に対応して、該接続切替手段の接続切替を制御する切替制御手段とを備えることを特徴とする無線回線接続制御装置。
(付記2) 移動通信ネットワーク内に備えられる無線回線接続制御装置であって、
複数の無線基地局装置のそれぞれの同一構成部分の複数と、それぞれアンテナシステムと接続され、該同一構成部分を除く各無線基地局装置の残りを構成する残りの構成部分の複数との間の接続を切り替える接続切替手段と、
該移動通信ネットワーク内の負荷の状況に対応して、該接続切替手段の接続切替を制御する切替制御手段とを備えることを特徴とする無線回線接続制御装置。
(付記3) 移動通信ネットワークシステムであって、
複数の無線基地局装置と、
複数のアンテナシステムと、
該複数の無線基地局装置と複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替える接続切替装置とを備えることを特徴とする移動通信ネットワークシステム。
(付記4) 前記複数のアンテナシステムの少なくとも一部が、前記移動通信ネットワークシステムのセルの境界付近に設置されると共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、境界付近にアンテナシステムが設置されたセルが過負荷状態となった時、前記複数の無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置と、該境界付近に設置されたアンテナシステムとを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記3記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記5) 前記複数のアンテナシステムの少なくとも一部が、過負荷となることが予想されるスポットをカバーできるように設置されると共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該スポットが過負荷状態となった時、前記複数の無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置と、該スポットをカバーできるように設置されたアンテナシステムとを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記3記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記6) 前記複数のアンテナシステム、および複数の無線基地局装置が、前記移動通信ネットワークを構成するセルにそれぞれ対応するものであり、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、一部のセルが過負荷状態となった時、該過負荷となったセルに対応するアンテナシステムと、過負荷になっていないセルに対応する無線基地局装置のうちで負荷が軽い無線基地局装置とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記3記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記7)前記複数のアンテナシステムの少なくとも一部が、適応的に指向性を変化できる指向性可変アンテナシステムであり、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該システムのサービスエリア内の任意の位置に過負荷状態のスポットが生じた時、該スポットをカバーするように前記指向性を変化させた指向性可変アンテナシステムと、前記無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記3記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記8) 前記複数の無線基地局装置が、前記移動通信ネットワークシステムを構成するセルに対応する装置と、対応するセルを持たない過負荷対策用の装置とを含むと共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該過負荷対策用の無線基地局装置の少なくとも一部が、予め過負荷が予想されるセルをカバーするアンテナシステムに接続されるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記3記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記9) ビル内、地下街を含む閉空間の内部で通信が行われる移動通信ネットワークシステムであって、
複数の無線基地局装置と、
複数のアンテナシステムと、
該複数の無線基地局装置と、複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替える接続切替装置とを備えることを特徴とする移動通信ネットワークシステム。
(付記10) 前記複数のアンテナシステム、および複数の無線基地局装置が、前記移動通信ネットワークを構成するセルにそれぞれ対応するものであり、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、一部のセルが過負荷状態となった時、該過負荷となったセルに対応するアンテナシステムと、過負荷になっていないセルに対応する無線基地局装置のうちで負荷が軽い無線基地局装置とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記9記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記11) 移動通信ネットワークシステムであって、
複数の無線基地局装置のそれぞれの同一構成部分の複数と、
それぞれアンテナシステムと接続され、該同一構成部分を除く、各無線基地局装置の残りを構成する残りの構成部分の複数と、
該同一構成部分の複数と、該残りの構成部分の複数との間の接続を切り替える接続切替手段とを備えることを特徴とする移動通信ネットワークシステム。
(付記12) 前記アンテナシステムと接続された、前記残りの構成部分の少なくとも一部が、前記移動通信ネットワークのセルの境界付近に設置されると共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該境界付近に前記残りの構成部分が設置されたセルが過負荷状態となった時、前記複数の同一構成部分のうちで負荷の軽い同一構成部分と、該境界付近に設置された残りの構成部分とを接続させるように、前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記11記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記13) 前記アンテナシステムと接続された前記残りの構成部分の少なくとも一部が、過負荷となることが予想されるスポットをカバーできるように設置されると共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該スポットが過負荷状態となった時、前記複数の同一構成部分のうちで負荷の軽い無線基地局装置の同一構成部分と、該スポットをカバーできるように設置された残りの構成部分とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記11記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記14) 前記複数のアンテナシステム、および複数の無線基地局装置が、前記移動通信ネットワークを構成するセルにそれぞれ対応するものであり、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、一部のセルが過負荷状態となった時、該過負荷状態となったセルに対応する無線基地局装置内で予備的に設置され、アンテナシステムに接続されている前記残りの構成部分と、過負荷となっていないセルに対応する前記同一構成部分とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記11記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記15) ビル内、地下街を含む閉空間の内部で通信が行われる移動通信ネットワークシステムであって、
複数の無線基地局装置のそれぞれの同一構成部分の複製と
それぞれアンテナシステムと接続され、該同一構成部分を除く、各無線基地局装置の残りを構成する残りの構成部分の複製と、
該同一構成部分の複数と、該残りの構成部分の複数との間の接続を切り替える接続切替手段とを備えることを特徴とする移動通信ネットワークシステム。
(付記16) 前記複数のアンテナシステム、および複数の無線基地局装置が、前記移動通信ネットワークを構成するセルにそれぞれ対応するものであり、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、一部のセルが過負荷状態となった時、該過負荷状態となったセルに対応するアンテナシステムに接続されている前記残りの構成部分と、過負荷となっていないセルに対応する前記同一構成部分とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記15記載の移動通信ネットワークシステム。
【符号の説明】
【0082】
1 無線回線接続制御装置
2 無線基地局装置
3 アンテナシステム
4 接続切替手段
5 切替制御手段
11 移動端末
12、111−118 アンテナ
13 ノードB
14 RNC(ラジオ・ネットワーク・コントロール・エクイップメント)
16 OMC−R(オペレーション・アンド・メンテナンスセンター−ラジオ)
20 PS(パケット・スイッチ)コアネットワーク
24 CS(サーキット・スイッチ)コアネットワーク
30 リソースコントローラ
32 BTS(ベース・トランシーバ・ステーション、無線基地局装置)
35 BTS(BB)
37 BTS(RF)
40−46、101−104 セル
50−56、105、106 無線基地局
58、84 過負荷スポット
59、108 スイッチ
61−66 86 RF(ラジオ・フリケンシー)ヘッド
74 アンテナ
75 BB(ベース バンド)信号処理部
90 大セル
【技術分野】
【0001】
本発明は移動通信方式に係り、さらに詳しくは複数の無線基地局で構成される移動無線通信ネットワークの内部で任意のセル、あるいは特定のセルやスポットにおける無線チャネル数の不足などの過負荷状態を緩和させるための負荷分散を容易に行うことができる無線回線接続制御装置、およびそのような接続制御装置を備える移動通信ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のTDMA(タイム・ディビージョン・マルチプル・アクセス)方式のセルラーシステム、例えばグローバル・システム フォー モバイルコミュニケーション(GSM)システムや、パーソナル・デジタル・セルラー(PDC)システムなどでは、過負荷状態が生じた場合の対策として無線チャネルの追加や新たな基地局(移動局など)の追加を行うことが必要であった。
TDMAシステムでは、時分割によって各ユーザのデータを送り分けるために接続可能な無線チャネル数は一定であり、また無線パラメータや送信電力を変更してもサービスエリアが若干増大する程度であり、過負荷状態となっているセルの隣接セルから無線リソースの再配分を行おうとしても、そのような配分は周波数割当の制限から基本的には不可能なものであった。したがって特定セル内の過負荷エリアにマイクロセルなどの専用の基地局を置くことが必要となり、新たな周波数が必要であり、かつ過負荷状態が必ずしも頻繁に起こらないような場合には、装置の稼働率も悪く不経済になってしまうという問題点もあった。
【0003】
これに対してCDMA(コード・ディビージョン マルチプル・アクセス)方式のセルラーシステムではコード多重により各ユーザのデータを送り分けるために、接続可能なチャネル数は環境によって変わり、また周波数割当についての制限が存在せず、隣接セルの間でも同一の周波数、すなわち無線チャネルを使用することができ、隣接セルとの間で負荷分散を行うことが可能となる。
【0004】
このような移動通信ネットワークにおける負荷を分散させ、無線基地局の設備の利用効率を高めるための従来技術として次のような文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−205227号公報「無線通信システム」
【特許文献2】特開2000−333257号公報「移動機と無線基地局間のパス設定方式」 特許文献1には、PHSシステムの基地局として無線信号の呼を送受信するだけの複数の無線部と、集中制御局に設けられる複数の変復調部とを切り替え可能な接続装置を介して接続し、各無線ゾーンでの呼の発生数が異なる時間帯ごとにその接続装置による接続切替を行うことによって、変復調部の使用効率を高める無線通信システムが開示されている。
【0006】
特許文献2には、隣接した無線基地局の間にリピータ、すなわち無線中継器を設け、片方の無線基地局に対応するセルが過負荷状態になった場合に、そのリピータを用いて隣接した無線基地局の間で負荷を分散させることにより、呼が少ない無線基地局の通信キャパシティの有効利用を可能とする技術が開示されている。
【0007】
しかしながら特許文献1の方法では、ネットワーク内の集中局に共有対象としての変復調部を設置する必要があり、通常のネットワーク構成のように集中局を持たず、各セルに対応するセルサイト(セルの場所)に無線基地局装置一式が置かれているような通信ネットワークシステムの負荷分散に適用することはできないという問題点があった。
【0008】
また特許文献2のように隣接した無線基地局の間でリピータを用いて負荷分散を行うだけでは、広範囲(複数のセルの集合)において過負荷状態になるような場合には隣接する無線基地局も過負荷状態となり、負荷分散を行うことはできず、またセルの内部で任意の大きさのスポットが過負荷状態になる場合も負荷分散を行うことができず、さらに隣接していない無線基地局のリソースが余っていてもそれを使用することができず、一般的には過負荷時に呼接続に対する規制が必要になり、呼接続率などの通信品質を低下させてしまうという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上述の問題点に鑑み、無線基地局を、例えば無線基地局装置とアンテナシステムとに分け、複数の無線基地局装置と複数のアンテナシステムとの間の接続を任意に切り替え可能とすることによって、広範囲での過負荷状態の負荷分散や、隣接していない他のセルに対応する無線基地局の無線チャネルリソースの有効活用を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
図1は、本発明の無線回線接続制御方式の原理構成ブロック図である。同図は、移動通信ネットワーク内に備えられる無線回線接続制御装置の原理構成を示し、装置1は少なくとも接続切替手段4と切替制御手段5とを備える。
【0011】
接続切替手段4は、複数の無線基地局装置と複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替えるものであり、切替制御手段5は移動通信ネットワーク内の負荷の状況に対応して、接続切替手段4の接続切替を制御するものである。
【0012】
また本発明の無線回線接続制御装置は、複数の無線基地局装置のそれぞれの同一構成部分の複数と、それぞれアンテナシステムが接続され、その同一構成部分を除く各無線基地局装置の残りを構成する残りの構成部分の複数との間の接続を切り替える接続切替手段と、移動通信ネットワーク内の負荷の状況に対応して接続切替手段の接続切替を制御する切替制御手段とを備える。
【0013】
本発明の移動通信ネットワークシステムは、複数の無線基地局装置と、複数のアンテナシステムと、複数の無線基地局装置と複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替える接続切替装置とを備える。
【0014】
発明の実施の形態においては、複数のアンテナシステムの少なくとも一部を移動通信ネットワークシステム内のセルの境界付近に設置すると共に、前記移動通信ネットワークシステムにおいて境界付近にアンテナシステムが設置されたセルが過負荷状態となった時、複数の無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置と、境界付近に設置されたアンテナシステムとを接続させるように、接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることもできる。
【0015】
実施の形態においては、複数のアンテナシステムの少なくとも一部を、過負荷となることが予想されるスポットをカバーできるように設置すると共に、移動通信ネットワークシステムにおいてそのスポットが過負荷となった時、複数の無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置と、そのスポットをカバーできるように設置されたアンテナシステムとを接続させるように接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることもできる。
【0016】
また実施の形態においては、複数のアンテナシステムの少なくとも一部が適応的に指向性を変化できる指向性可変アンテナシステムであり、移動通信ネットワークシステムにおいてシステムのサービスエリア内の任意の位置に過負荷状態のスポットが生じた時、複数の無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置と、指向性可変アンテナシステムとを接続させるように接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることもできる。
【0017】
あるいは実施の形態において、複数のアンテナシステム、および複数の無線基地局装置が移動通信ネットワークを構成する複数のセルにそれぞれ対応するものであり、移動通信ネットワークシステムにおいて一部のセルが過負荷となった時、過負荷となったセルに対応するアンテナシステムと、過負荷になっていないセルに対応する無線基地局装置のうちで、負荷が軽い無線基地局装置とを接続させるように接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることもできる。
【0018】
さらに実施の形態においては、複数の無線基地局装置が移動通信ネットワークシステムを構成するセルに対応する装置と、対応するセルを持たない過負荷対策用の装置とを含むと共に、移動通信ネットワークシステムにおいて過負荷対策用の無線基地局装置の少なくとも一部が、予め過負荷が予想されるセルをカバーするアンテナシステムに接続されるように接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることもできる。
【0019】
また本発明において、ビルや地下街などを含む閉空間内で通信が行われる移動通信ネットワークシステムは、複数の無線基地局装置と、複数のアンテナシステムと、複数の無線基地局装置と複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替える接続切替装置とを備える。
【0020】
また本発明の移動通信ネットワークシステムは、複数の無線基地局装置のそれぞれの同一構成部分の複数と、それぞれアンテナシステムと接続され、同一構成部分を除く、各無線基地局装置の残りを構成する残りの構成部分の複数と、その同一構成部分の複数と残りの構成部分の複数との間の接続を切り替える接続切替装置とを備える。
【0021】
発明の実施の形態においては、アンテナシステムと接続された前述の残りの構成部分の少なくとも一部を移動通信ネットワークのセルの境界付近に設置し、そのセルが過負荷となった時、前述の複数の同一構成部分のうちで負荷の軽い無線基地局装置の同一構成部分と、アンテナシステムと接続された残りの構成部分とを接続させるように制御することもでき、またアンテナシステムと接続された残りの構成部分の少なくとも一部を、過負荷となることが予想されるスポットを含むセル内でそのスポットをカバーできるように設置し、そのスポットが過負荷となった時、複数の同一構成部分のうちで負荷の軽い無線基地局装置の同一構成部分をその残りの構成部分と接続させるように制御することもできる。さらに複数のアンテナシステム、および無線基地局装置が移動通信ネットワークを構成する複数のセルに対応するものであり、一部のセルが過負荷となった時に過負荷となったセルに対応する無線基地局装置内で予備的に設置され、アンテナシステムに接続されている前述の残りの構成部分と、過負荷となっていないセルに対応する無線基地局装置の前述の同一構成部分とを接続させるように制御することもできる。
【0022】
さらに実施の形態においては、ビル内や地下街を含む閉空間内で通信が行われる移動通信ネットワークが、前述の無線基地局装置の同一構成部分の複数と、それぞれアンテナシステムと接続された前述の残りの構成部分の複数と、その同一構成部分の複数と残りの構成部分の複数との間の接続を切り替える接続切替装置とを備えることもできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、隣接セルに限定されること無く、広い範囲でセル間でのリソースの再配分による過負荷状態の解消や、セル内の任意のスポットに対応する負荷分散を行うことができる。また隣接していない無線基地局のリソースを有効活用することができ、設備投資をトータルなトラフィックに応じたものに限定することができ、移動通信ネットワークの建設経費低減などに寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の無線回線接続制御方式の原理構成ブロック図である。
【図2】本発明の無線回線接続制御方式が用いられる通信ネットワークシステムの全体構成ブロック図である。
【図3】リソースコントローラを含むシステム構成例の説明図(その1)である。
【図4】リソースコントローラを含むシステム構成例の説明図(その2)である。
【図5】リソースコントローラを含むシステム構成例の説明図(その3)である。
【図6】リソースコントローラによる制御処理フローチャートである。
【図7】リソースコントローラによるスイッチ切替制御の具体例の説明図である。
【図8】データベース内のリソース割当て情報の格納例である。
【図9】BTSの接続情報の格納例である。
【図10】ATMスイッチの接続情報の格納例である。
【図11】第1の実施例における回線接続制御の説明図である。
【図12】RFヘッドの構成例の説明図である。
【図13】無線基地局の構成例の説明図である。
【図14】第1の実施例における回線接続制御の詳細説明図である。
【図15】第1の実施例におけるリソース確保処理のフローチャートである。
【図16】第1の実施例におけるリソース開放処理のフローチャートである。
【図17】第1の実施例におけるリソース確保シーケンスの説明図である。
【図18】第1の実施例におけるリソース開放シーケンスの説明図である。
【図19】第2の実施例における回線接続制御の説明図である。
【図20】第3の実施例における回線接続制御の説明図である。
【図21】第4の実施例における回線接続制御の説明図である。
【図22】第5の実施例における回線接続制御の説明図である。
【図23】第5の実施例における回線接続制御の詳細説明図である。
【図24】第5の実施例におけるリソース確保処理のフローチャートである。
【図25】第5の実施例におけるリソース開放処理のフローチャートである。
【図26】第5の実施例におけるリソース確保シーケンスの説明図である。
【図27】第5の実施例におけるリソース開放シーケンスの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図2は、本発明の無線回線制御方式が用いられる移動通信ネットワークシステムの全体構成ブロック図である。同図において移動端末11は、アンテナ12を介してアーキテクチャの上では論理的なノードとして扱われるノードB13、物理的な装置としては無線基地局装置BTS(ベース・トランシーバ・ステーション)に接続される。
【0026】
このノードB13は、第3世代移動通信システムの標準仕様作成組織3GPP(サード・ジェネレーション・パートナーシップ・プロジェクト)におけるRAN(ラジオ・アクセス・ネットワーク)としてのUTRAN(ユニバーサル・テレストリアル・RAN)10を構成し、UTRAN10の内部でRNC(ラジオ・ネットワーク・コントロール・エクイップメント、無線ネットワーク制御装置)14とインタフェースIubによって接続され、OMC−R(オペレーション・アンド・メンテナンスセンター−ラジオ)16によって全体的な制御が行われる。
【0027】
UTRAN10内のRNC14は、インタフェースIu−PSによってPS(パケット・スイッチ)コアネットワーク20の内部のSGSN(サービング GPRS サポート・ノード)21、GGSN(ゲートウェイ GPRS サポート・ノード)22を介してインターネット23に接続される。
【0028】
またRNC14は、インタフェースIu−CSによってCS(サーキット・スイッチ)コアネットワーク24の内部のMSC(モバイル・スイッチング・センター)25と接続され、さらにPSTN(公衆交換電話網)26を介して他のモバイルネットワーク27とも接続される。MSC25、およびSGSN21に対しては、移動機の在圏エリア情報などを管理するデータベースとしてのHLR(ホーム・ロケーション・レジスタ)28が接続される。
【0029】
本実施形態においては図2で説明したように、例えばW−CDMAシステムにおいて、アンテナ12とノードB13に相当する無線基地局装置との間で負荷を分散させるために、リソース間の接続を変更可能とすることを最大の特徴とするが、その制御のためにリソースコントローラが用いられる。図3から図5は、このリソースコントローラによるネットワーク制御方式の全体説明図である。
【0030】
図3は、例えば図2のOMC−R16の内部にリソースコントローラ30が備えられる場合の、ノードB13に相当するBTS32とリソースコントローラ30の間のデータの物理的流れの説明図である。同図においてノードB13、すなわちBTS32からのデータは矢印で示される物理的経路にしたがってATM−スイッチ31、RNC14を介してOMC−R16の内部のリソースコントローラ30に与えられる。
【0031】
図3において、実線で示されるシグナリングデータやユーザデータはアンテナ12、スイッチ33、BTS32、ATM−スイッチ31を介してRNC14に与えられる。また点線で示されるオペレーション・メンテナンスデータ、コンフィグレーションデータは、スイッチ33、ATM−スイッチ31、およびRNC14と、OMC−R16との間でやり取りされる。
【0032】
なおリソースコントローラ(RC)30は、RNC14、あるいはATM−スイッチ31の一部として実現されてもよく、あるいは例えばスイッチ33と一体を成す接続制御装置として実現されてもよく、さらに図3で示すように機能を分割する形でOMC−R16とRNC14に付属する形式で実現されてもよい。例えば本発明の特許請求の範囲の請求項1における接続切替手段はスイッチ33に、また切替制御手段はリソースコントローラ30に相当する。
【0033】
図4は、図3のシステム構成における論理的な接続の説明図である。同図においては、点線で示されるオペレーション・メンテナンスデータ、コンフィグレーションデータが各BTS32とOMC−R16との間でもやり取りされるような論理的接続が行われる。
【0034】
図5は、図4と同様に論理的な接続を示すが、図4と異なりATM−スイッチ36によってBTSの一部と、BTSの残りの部分との接続制御が行われる形式となっている。すなわちBTS(BB)35はBTSの内部でベースバンド信号処理部までの構成部分を示し、BTS(RF)37はBTSの内部で後述するRF(ラジオ・フリケンシー)ヘッドの部分を示し、BTS(RF)37がそれぞれアンテナと接続される形式となる。
【0035】
図6はリソースコントローラによるリソース制御処理のフローチャートであり、図7は図5のATM−スイッチ36によるリソース切替の具体例の説明図である。図6において処理が開始されると、まずステップS1でリソース不足がおこっているか否かが判定される。例えば図7に示すようにあるセルに対応するRF1に対して、ATM−スイッチによってBB1が接続されているものとし、このBB1の中のn個のリソースがすべて使用され、セルの負荷に対応できず、リソースが不足していると判定されると、ステップS2でリソース追加処理が開始される。このリソース追加処理ではステップS3で他のBBにリソースの空きがあるか否かが判定され、全く空きのない場合にはリソースの追加割当は不可能なものとして処理を終了する。
【0036】
図7に示すように、例えばBB2内のリソースの内、使用されているリソースはm(<n)個であり、他のリソースが空いていると判定されるとステップS4で割当てBBの決定が行われ、例えばBB2が追加リソースを供給すべきBBとして決定され、ステップS5でそのリソースが確保され、ステップS6でATM−スイッチ、BTS、およびRNC内の各種の設定データが変更され、リソース追加処理を完了する。この時、図7ではBB2からATM−スイッチを介してRF1に至る経路に新たなVCI(B)が割当てられ、経路の接続が行われる。
【0037】
図8から図10は、リソースコントローラに備えられるリソース割当て情報とスイッチ接続情報のデータベースの格納内容の例である。図8は、BTS(BB)に対するリソース割当て情報格納テーブルの格納データの例である。同図においては、図5のBTS(BB)35のNo.1から4のそれぞれに対してどのBTS(RF)37が接続され、経路情報とリソース割当てがどのように行われているかが格納されている。例えば図7で説明したようにNo.1のBTS(BB)には、BTS(RF)のNo.1だけが接続され、その経路に対する経路情報VCI/VPIが6/12、割当リソースが64、そのうちの空きリソースが3であることが格納されており、またBTS(BB)No.2に対しては、同様にBTS(RF)No.2とNo.1との2つが接続されていることが示されている。
【0038】
図9は、BTS(RF)側のリソース割当て、実際にはBTS(BB)との接続情報格納データベースの格納内容の例である。それぞれのBTS(RF)のナンバに対して接続されているBTS(BB)のナンバと、接続情報としてのVCI/VPIの値が格納されている。なおこの格納内容は図8に対応するものであり、図8からこれらのデータを読み取ることも当然可能である。
【0039】
図10は、ATMスイッチにおける接続情報の格納データの例である。接続経路としてのVCI/VPIの値に対して、その経路が接続されているか、すなわち使用されているか否かが格納されている。例えば6/12のVCI/VPIを持つ経路は、図8においてBTS(BB)No.1とBTS(RF)No.1とを結ぶ経路を示し、この経路は接続されている。
【0040】
続いて以上で説明したシステム構成やリソースコントローラによる制御を前提として、本発明における無線回線接続制御の実施例についてさらに詳細に説明する。図11は、第1の実施例における接続制御の説明図である。同図においてはセルが六角形で示され、中心のセル40の周りに6つのセル41から46が存在する。それぞれのセルの内部には、基本的にはそのセルを担当する無線基地局としてそれぞれ無線基地局50から56が設置されている。ここで中央のセル40は無線基地局50の設備だけでは過負荷状態となることが多いセルであり、またそのセル40の中でどの部分(スポット)が過負荷になるかは全く不明なものであるとする。
【0041】
したがって中心のセル40とその周辺のセル41から46のそれぞれとの境界には予め無線信号を出力できるRFヘッド61から66が設置されているものとする。これらのRFヘッド61から66はスイッチ59に接続され、中央のセル40を除く周辺のセル41から46にそれぞれ対応する無線基地局51から56、あるいは他の場所に設置されている基地局のいずれにも接続可能であるものとする。なおスイッチ59は本発明の請求項3における接続切替装置に対応し、また請求項4における切替制御手段はスイッチ59に対して接続切替信号を出力する、前述のリソースコントローラに対応する。
【0042】
図12は、図11におけるRFヘッド61から66の説明図である。無線基地局BTSは図5で説明したように、BTS(BB)35に相当する基地局71と、BTS(RF)37に相当するRFヘッド72とに分割され、これらは接続光ケーブル73によって接続されている。またRFヘッド72にはアンテナ74が接続されている。なお基地局71とRFヘッド72とを通常の同軸ケーブルで接続してもよく、通常のRF伝送を行ってもよいことは当然である。
【0043】
基地局71の内部には、ベースバンド処理までを行うベースバンド(BB)信号処理部75と、電気光変換部76が備えられ、接続光ケーブル73によって接続されるRFヘッド72の内部には光電気変換部77、DA変換部78、および増幅器79が備えられている。なお図12の基地局71は請求項10における基地局装置のそれぞれの同一構成部分に相当し、RFヘッド72は基地局装置の残りの構成部分に相当する。
【0044】
図11においてシステム、例えばOMC−R16によって過負荷箇所58が検出された場合には、周辺の無線基地局の中で負荷の低い無線基地局、例えば52と過負荷箇所をカバーすべきRFヘッド64とを接続するような接続切替信号がスイッチ59に与えられ、無線基地局52が過負荷箇所58をカバーするようにスイッチ59の接続が行われることによって、過負荷状態を解消することができる。負荷を低減させる方法としては、すでに無線基地局51に接続済みの過負荷箇所58にある呼をRFヘッド64を経由して無線基地局52に切り替える方法や、新たに発生する呼をRFヘッド64を介して無線基地局52に接続させる方法などがある。この場合には必要に応じて、移動端末が現在接続されている無線基地局の周辺の無線基地局などを示すネイバーリストや無線周波数などの無線パラメータの変更を同時に行うこともありうる。なお、スイッチ59の設置場所としては、無線基地局のサイト、前述のRNC14や交換局などのようにさまざまな場所が考えられる。
【0045】
図11では、セルの境界にRFヘッドを予め設置しておくものとしたが、例えばアンテナシステムだけをセルの境界に設置することも当然可能である。図13はそのような場合の無線基地局の構成例の説明図である。同図において無線基地局81は、ベースバンド信号処理部75、DA変換部78、および増幅器79を備え、接続ケーブル82によってアンテナ74と接続されている。このアンテナ74だけをセルの境界におき、図11におけると同様にスイッチ59で無線基地局との間の接続の切替を行うことによって前述と同様にセル40の内部の過負荷箇所58における過負荷状態を解消することができる。
【0046】
このように第1の実施例では、他のセルに対応して設置されている無線基地局の無線チャネルリソースの有効活用が可能となり、過負荷状態を緩和するために、例えば集中制御局に機器を設置してその機器を共有する必要はなくなる。
【0047】
第1の実施例についてさらに説明する。第1の実施例において図11の中央のセル40の内部の過負荷箇所58を、セル40の一部ではなく、1つのマイクロセルとして扱うことによってリソース管理や呼制御の管理が容易となる。
【0048】
図14は第1の実施例におけるリソース管理の詳細説明図である。同図においてリソース管理はリソースコントローラ30によって行われ、リソースコントローラ30によりセル40に対応する無線基地局50(BTS B)、セル40と44との境界に設置されたRFヘッド64、無線基地局52(BTS A)、およびATMスイッチ36の制御が行われる。なおリソースコントローラ30は、RNC14に接続されているものとする。
【0049】
図11で説明したように無線基地局52、すなわちBTS AのBB35のリソースの内で、例えばセクタAからセクタCまでが使用中であり、例えばそれぞれRFヘッド37に接続されて使用されているものとし、他のセクタが未使用で、例えば他のRFヘッドに割当可能であるものとする。そこでこの未使用のセクタがATMスイッチ36を介してセル40とセル44との境界にあるRFヘッド64に接続され、セル40側の過負荷箇所58をカバーするために使用される。なおセル40に対応する無線基地局50(BTS B)のリソースは全て使用されており、過負荷箇所のカバーには使用できないものとする。さらにここではBB部のリソースがセクタ毎にあらかじめ割当てられているものとしたが、この割当てをリソースの使用状況に応じてダイナミックに行うことも当然可能である。
【0050】
このように第1の実施例では、過負荷箇所58をセル40、およびセル42と異なるマイクロセルとして取り扱い、各基地局のリソース管理、すなわち無線キャパシティとしてのチャネル数、RFヘッド、BB処理部などの管理が行われることになる。したがってRFヘッド64が接続されるBB35の未使用セクタに対しては、他のセクタと異なる周波数、または同一周波数であっても異なるスクランブリングコード、すなわちセル40とセル42とに対するスクランブリングコードと異なるスクランブリングコードを割当てることが必要となる。ここでは、同一周波数で異なるスクランブリングコードを割当てるものとして以下を説明する。
【0051】
図15、図16は、リソースコントローラによるリソース確保、およびリソース開放の処理フローチャートである。図15はリソース確保処理のフローチャートであり、リソース不足、すなわちあるセルにおける過負荷状態が検出されると、ステップS10でその過負荷箇所に対応する接続先のRFヘッドが確認され、適切なRFヘッドが無い場合には、リソース割当てを行うことができず、処理を終了する。適切なRFヘッド、例えば図11においてセル境界に設けられたRFヘッドが存在する場合には、ステップS12でそのRFヘッドの使用予約が行われる。この予約は実際のリソースの使用に先立って他の条件が確認され、実際にリソースを使用するまでの予約を行うものである。例えば図8で説明したデータベースに予約ビットを立てたり、BBリソースに対しては予約リソースの数を格納することによって予約が行われる。
【0052】
続いてステップS13でBBリソースの空きの確認が行われる。例えば図14では、BTS A側で空きリソースがあるかが確認され、ステップS14で空きリソースが無いと判定された場合にはリソースを割当てることができず、処理を終了し、ステップS12で予約したRFヘッドは開放される。
【0053】
空きリソースがある場合には、ステップS15でBBの空きリソースが予約され、ステップS16でスクランブリングコードの空き、すなわち全く使用されていないスクランブリングコードがあるか否かが確認され、その結果がステップS17で判定され、スクランブリングコードの空きが無い場合には処理を終了し、予約したRFヘッドとBBリソースが開放される。
【0054】
スクランブリングコードの空きがある場合にはステップS18でそのコードの予約が行われ、ステップS19でスイッチ、BTS A、すなわち図14の基地局52、RFヘッド64、およびRNC14における設定データの変更が行われ、リソースが追加される。なお前述のデータベース内の予約ビットや予約リソースの数などの変更も当然行われる。
【0055】
図16は、過負荷状態解消後のリソース開放処理のフローチャートである。図15のリソース確保処理は、ある基地局の無線キャパシティ、すなわちチャネル数が不足する場合、イベントなどのように予め高い負荷が予想される場合、過去のトラフィックデータに基づいて定期的な高負荷が予想される場合などに実行されるが、このようなトリガー要因が解消した場合には、図14で説明したマイクロセルに割当てられたRFヘッド64、BTS A52のBBリソース、およびそれらの間のATMスイッチ36による接続の開放が行われる。
【0056】
図16のリソース開放処理は、図15のリソース確保処理が終了し、リソースの追加が行われた後に直ちに起動され、リソースの使用状態を確認して前述のようなトリガー要因が解消した場合にリソース開放を行うものとする。処理が開始されると、まずステップS21でリソースの使用状況が確認され、ステップS22で追加されたリソースが未使用になったか否かが判定され、未使用になっていない場合にはステップS21以降の処理が繰り返される。
【0057】
未使用になっている場合にはステップS23でリソース不足予測の確認が行われる。これは例えばイベントの開催時間が終了したか否かによって、リソースの不足が今後予測されるか否かが確認され、不足が今後解消されるか否かがステップS24で判定され、まだ解消されない場合にはステップS21以降の処理が繰り返され、解消が確認された場合にはステップS25でスイッチ、BB、およびBTS Aの設定データの変更などが行われ、リソースが開放される。
【0058】
図17、および図18は、リソース確保、およびリソース開放のシーケンスの説明図である。図17は、リソース確保のシーケンスを示し、リソース不足が検出されると、リソースコントローラによってステップS30で接続先のRFヘッドとして適切なものがあるかが確認され、RFヘッドがあると判定されるとそのRFヘッドの予約が行われ、ステップS31でBBの空きリソースの確認が行われ、BTS AにおいてBBリソースの空きがある場合にはそのリソースの予約が行われ、ステップS32でスクランブリングコードの確認が行われ、空きのスクランブリングコードがある場合には、そのコードの予約が行われる。その後スイッチ36、BTS A52、RFヘッド64、RNC14に対して設定データの変更が指示され、リソース確保のシーケンスが完了する。
【0059】
図18は、リソース開放シーケンスの説明図である。前述のようにリソースの追加処理が行われると、リソースコントローラ30によってステップS34で追加リソースの使用状況が確認され、追加されたBTS A52のリソースが未使用であると判定されると、ステップS35でリソース不足の今後の予測が確認され、今後の不足が予測されないと判定されると、スイッチ36、BTS A52、RFヘッド64、およびRNC14に対して設定データの変更が指示され、リソースの開放が完了する。
【0060】
続いて本発明の無線回線接続制御方式の他の実施例について説明する。図19は、第2の実施例の説明図である。この第2の実施例では、あるセル内のある箇所が過負荷となりやすい場所であることが予めわかっており、その部分をカバーできる無線信号を出力可能なRFヘッドが予め設置されていることを前提としている。
【0061】
すなわち、例えばセル43の内部に過負荷となりやすいスポット84が存在し、そのスポットをカバーするためのRFヘッド86が設置され、このRFヘッド86に対してはスイッチ59によって無線基地局50から52、54から56との間で接続を任意に切り替えることができるものとする。
【0062】
システムにおいてスポット84の過負荷状態が検出された場合には、負荷の低い無線基地局、例えば52とRFヘッド86とをスイッチ59によって接続して無線基地局52が過負荷箇所84をカバーすることによって、過負荷スポットにおける負荷を低減させることが可能となる。
【0063】
図20は、第3の実施例の説明図である。この第3の実施例は、指向性を任意の方向に適応的に変化させることができるアンテナ、例えばアダプティブアレーアンテナを用いて大きなセルの範囲内で任意の過負荷スポットをカバーすることによって、その過負荷スポットの負荷を低減させるものである。
【0064】
図20において、例えば中央のセル40の内部に無線基地局50に加えて、さらに出力の大きい無線基地局89を備え、この無線基地局89は図11で説明した7つのセル全体を包むような大きなセル90の内部で任意の位置にある過負荷スポット88の方向に電波を出力することによって、任意の位置にある過負荷スポット88における負荷を低減させることができる。すなわちシステムによって過負荷スポット88が検出されると、アダプティブアレーアンテナの指向性をその方向に向けることによって過負荷スポット88の過負荷状態は解消され、無線基地局54の負荷を低減させることが可能となる。あるいはこのアダプティブアレーアンテナをスイッチによって負荷の軽い無線基地局、例えば基地局52と接続させることも当然可能である。
【0065】
図21は、第4の実施例の説明図である。この第4の実施例においては、予め特定のセルが割当てられていない過負荷対策用の無線基地局設備が備えられ、これらの無線基地局、すなわち図21では過負荷対策用BTS(BB)91から94が無線基地局51から56に加えて、スイッチ59に接続され、スイッチ59には図11におけると同様にセルの境界に備えられたRFヘッド61から66がそれぞれ接続(RF61から63、65、66は図示省略)されているものとする。
【0066】
第4の実施例では、これらセルの境界に設けられた6つのRFヘッドのうち、例えばOMC−R16やリソースコントローラ30によって過去のトラフィックデータに基づいて予測される過負荷スポット、あるいはイベントスケジュールに基づいて予測される過負荷スポット58をカバーできるRFヘッド64に対して、過負荷対策用BTS91から94のいずれか1台、例えば91をスイッチ59によって接続しておき、過負荷スポットにおける負荷を事前に低減可能とするものである。
【0067】
このように第4の実施例では、過負荷対策用BTSは一時的な過負荷が予想されるスポットにおける過負荷状態を事前に低減させるものであり、その過負荷スポットは、例えば日時の変化に対応して変化し、過負荷対策用BTSは、例えば日時によってその一部が使われたり、全部が使われたりするものである。なお図21では、過負荷対策用の基地局装置は4台となっているが、4台に限定されるわけではないことは当然である。
【0068】
最後に第5の実施例について説明する。第5の実施例は、例えばビルの内部や地下街などの閉空間における無線回線接続制御に関する実施例である。図22は、例えばビルの内部の回線接続制御方式の説明図である。同図においてビルの内部はオフィスエリアとコマーシャルエリアとに分かれ、オフィスエリアはセル101と102によって構成され、コマーシャルエリアはセル103と104とによって構成され、各セルの内部のアンテナ111から118はそれぞれ個別にスイッチ108を介して無線基地局105、106のいずれにも接続可能となっているものとする。なお8つのアンテナ111から118は、1本の線でスイッチ108に接続されているように見えるが、実際には右下に示すようにスイッチ108と各アンテナ111から118はそれぞれ個別の線によって接続されているものとする。
【0069】
通常、例えば平日にはオフィスエリアを構成するセル101、102は、無線基地局105によってカバーされ、コマーシャルエリアのセル103、104は、無線基地局106によってカバーされているものとする。
【0070】
週末のようにオフィスエリアでは負荷が減り、コマーシャルエリアでは負荷が増える場合にシステムによってセル103、104の過負荷状態が検出されると、スイッチ108に接続切替信号が送られ、例えば無線基地局105にセル103に対応するアンテナ115と117が追加接続されることによって負荷を低減させ、あるいは無線基地局105にアンテナ115を追加接続して無線基地局106に対応する一部のセル103を無線基地局105と共有させることによって負荷を低減させることができる。
【0071】
前者の場合にはアンテナ115と117に無線基地局105と106の両方が接続されることになり、セル103が無線基地局105と106の両方でカバーされることになる。後者の場合にはアンテナ115に無線基地局105と106の両方が接続され、セル103の一部が2つの無線基地局105と106の両方でカバーされることになる。このような接続の切替に当っては第1の実施例についての説明と同様に、必要に応じてネイバーリストや無線周波数などの無線パラメータの同時変更が必要となる。このように本実施形態では、複数の無線基地局を1つのアンテナに同時に接続することも可能であり、リソースの有効活用における自由度が非常に大きい。
【0072】
なお、図22のスイッチ108は基本的にアナログ信号を分配するものであり、例えば大きなビルでは途中までは光信号で伝送し、例えばCDMA方式のRF部で電気信号に戻すような方式も考えられるが、ここではアナログ信号を適切に分配できればよいものとする。
【0073】
続いて図23から図27を用いて第5の実施例における回線接続制御についてさらに詳細に説明する。図23は、第1の実施例における図14と同様の接続切替制御の詳細説明図である。同図において簡単のため各セルには、アンテナ121から124がそれぞれ1つだけ備えられるものとし、また各アンテナ121から124は、図22に対する説明と同様にスイッチ108にそれぞれ接続されているものとする。
【0074】
前述のようにコマーシャルエリアにおいて過負荷状態が検出されると、通常はオフィスエリアをカバーする無線基地局106が、例えばアンテナ123にも接続される。これによって既存の無線基地局105のエリアに既存の無線基地局106のセルが拡張されることになり、既存の無線基地局106側ではもともとのカバーエリアにさらに無線基地局105のカバーエリアの一部が追加されることになる。このようなリソースの追加は、無線基地局105によってカバーされるエリアの無線キャパシティ、例えばチャネル数が不足する時に行われるものであり、無線基地局106のセルの拡張に当るため、このリソース追加にあたっては、スクランブリングコードとして無線基地局106でもともと用いられていたスクランブリングコードと同一のコードが使用される。このような前提の基に各基地局におけるリソース管理や、スイッチ、BTS、およびRNCに対するデータ設定の変更指示が行われる。
【0075】
図24から図27は、第5の実施例におけるリソース確保、リソース開放の処理フローチャート、およびシーケンスの説明図である。図24はリソース確保処理のフローチャートであり、リソース不足が検出されるとステップS37でリソースの空いているBTSの確認が行われ、ステップS38でそのようなBTSがあるか否かが判定され、無い場合にはリソース割当てを行うことなく処理を終了し、ある場合にはステップS39でスイッチやRNC14の設定変更が行われてリソース追加を終了する。
【0076】
図25はリソース開放処理のフローチャートである。このリソース開放処理は、例えば図24のリソース追加終了直後に起動され、ステップS41でリソース不足の予測が確認され、ステップS42で不足予測有りと判定されるとステップS41の処理が繰り返され、予測無しと判定されるとステップS43でスイッチやRNC14の設定変更が行われて、リソースが開放される。
【0077】
図26は、第5の実施例におけるリソース確保のシーケンスである。同図においてリソースコントローラによってリソース不足が検出されると、ステップS45でBTSの空きリソースの確認が行われ、BTS Aに空きがある場合にはそのリソースに対する予約が行われ、スイッチとRNCなどに対する設定変更が指示されて、リソースの確保が完了する。
【0078】
図27は、リソース開放のシーケンスである。同図においてリソースコントローラによって、ステップS47でリソースの使用状況が確認され、BTS AのBBリソースが使用されていないことが確認されると、ステップS48でリソースの不足予測が確認され、不足の予測が無い場合には、スイッチとRNCなどに対する設定変更が指示され、リソースの開放が完了する。なお第5の実施例では、無線基地局装置すなわちBTSとアンテナとの間の接続をスイッチによって切り替えるものとしたが、例えば第1の実施例と同様にBB処理部までのBTSとRFヘッドとの間の接続を切り替えることも当然可能である。
【0079】
以上詳細に説明したように本発明によれば、従来のリピータを用いる方法では対応することができなかった広い範囲でのリソース再配分を用いた過負荷状態の解消や、セルの内部の任意のスポットにおける負荷分散を行うことができる。さらに隣接していない負荷の低い無線基地局のリソースを有効活用することが可能となり、広い地域のトータルなトラフィックに応じて設備投資を行うことができ、移動通信ネットワークの経済的な構築が可能となる。さらにアダプティブアレーアンテナを利用することによって、過負荷が予想されていない地域(スポット)での過負荷に対しても柔軟に対応でき、顧客サービスの品質向上にも寄与するところが大きい。
【0080】
なお以上の説明ではW−cdma方式を具体例として実施形態を説明したが、本発明はcdma2000やその他の方式でも当然利用可能であり、移動無線通信全般で無線基地局のリソース管理を行う、無線基地局監視装置全般に用いることができる。
【0081】
(付記1) 移動通信ネットワーク内に備えられる無線回線接続制御装置であって、
複数の無線基地局装置と複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替える接続切替手段と、
該移動通信ネットワーク内の負荷の状況に対応して、該接続切替手段の接続切替を制御する切替制御手段とを備えることを特徴とする無線回線接続制御装置。
(付記2) 移動通信ネットワーク内に備えられる無線回線接続制御装置であって、
複数の無線基地局装置のそれぞれの同一構成部分の複数と、それぞれアンテナシステムと接続され、該同一構成部分を除く各無線基地局装置の残りを構成する残りの構成部分の複数との間の接続を切り替える接続切替手段と、
該移動通信ネットワーク内の負荷の状況に対応して、該接続切替手段の接続切替を制御する切替制御手段とを備えることを特徴とする無線回線接続制御装置。
(付記3) 移動通信ネットワークシステムであって、
複数の無線基地局装置と、
複数のアンテナシステムと、
該複数の無線基地局装置と複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替える接続切替装置とを備えることを特徴とする移動通信ネットワークシステム。
(付記4) 前記複数のアンテナシステムの少なくとも一部が、前記移動通信ネットワークシステムのセルの境界付近に設置されると共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、境界付近にアンテナシステムが設置されたセルが過負荷状態となった時、前記複数の無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置と、該境界付近に設置されたアンテナシステムとを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記3記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記5) 前記複数のアンテナシステムの少なくとも一部が、過負荷となることが予想されるスポットをカバーできるように設置されると共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該スポットが過負荷状態となった時、前記複数の無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置と、該スポットをカバーできるように設置されたアンテナシステムとを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記3記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記6) 前記複数のアンテナシステム、および複数の無線基地局装置が、前記移動通信ネットワークを構成するセルにそれぞれ対応するものであり、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、一部のセルが過負荷状態となった時、該過負荷となったセルに対応するアンテナシステムと、過負荷になっていないセルに対応する無線基地局装置のうちで負荷が軽い無線基地局装置とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記3記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記7)前記複数のアンテナシステムの少なくとも一部が、適応的に指向性を変化できる指向性可変アンテナシステムであり、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該システムのサービスエリア内の任意の位置に過負荷状態のスポットが生じた時、該スポットをカバーするように前記指向性を変化させた指向性可変アンテナシステムと、前記無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記3記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記8) 前記複数の無線基地局装置が、前記移動通信ネットワークシステムを構成するセルに対応する装置と、対応するセルを持たない過負荷対策用の装置とを含むと共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該過負荷対策用の無線基地局装置の少なくとも一部が、予め過負荷が予想されるセルをカバーするアンテナシステムに接続されるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記3記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記9) ビル内、地下街を含む閉空間の内部で通信が行われる移動通信ネットワークシステムであって、
複数の無線基地局装置と、
複数のアンテナシステムと、
該複数の無線基地局装置と、複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替える接続切替装置とを備えることを特徴とする移動通信ネットワークシステム。
(付記10) 前記複数のアンテナシステム、および複数の無線基地局装置が、前記移動通信ネットワークを構成するセルにそれぞれ対応するものであり、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、一部のセルが過負荷状態となった時、該過負荷となったセルに対応するアンテナシステムと、過負荷になっていないセルに対応する無線基地局装置のうちで負荷が軽い無線基地局装置とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記9記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記11) 移動通信ネットワークシステムであって、
複数の無線基地局装置のそれぞれの同一構成部分の複数と、
それぞれアンテナシステムと接続され、該同一構成部分を除く、各無線基地局装置の残りを構成する残りの構成部分の複数と、
該同一構成部分の複数と、該残りの構成部分の複数との間の接続を切り替える接続切替手段とを備えることを特徴とする移動通信ネットワークシステム。
(付記12) 前記アンテナシステムと接続された、前記残りの構成部分の少なくとも一部が、前記移動通信ネットワークのセルの境界付近に設置されると共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該境界付近に前記残りの構成部分が設置されたセルが過負荷状態となった時、前記複数の同一構成部分のうちで負荷の軽い同一構成部分と、該境界付近に設置された残りの構成部分とを接続させるように、前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記11記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記13) 前記アンテナシステムと接続された前記残りの構成部分の少なくとも一部が、過負荷となることが予想されるスポットをカバーできるように設置されると共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該スポットが過負荷状態となった時、前記複数の同一構成部分のうちで負荷の軽い無線基地局装置の同一構成部分と、該スポットをカバーできるように設置された残りの構成部分とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記11記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記14) 前記複数のアンテナシステム、および複数の無線基地局装置が、前記移動通信ネットワークを構成するセルにそれぞれ対応するものであり、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、一部のセルが過負荷状態となった時、該過負荷状態となったセルに対応する無線基地局装置内で予備的に設置され、アンテナシステムに接続されている前記残りの構成部分と、過負荷となっていないセルに対応する前記同一構成部分とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記11記載の移動通信ネットワークシステム。
(付記15) ビル内、地下街を含む閉空間の内部で通信が行われる移動通信ネットワークシステムであって、
複数の無線基地局装置のそれぞれの同一構成部分の複製と
それぞれアンテナシステムと接続され、該同一構成部分を除く、各無線基地局装置の残りを構成する残りの構成部分の複製と、
該同一構成部分の複数と、該残りの構成部分の複数との間の接続を切り替える接続切替手段とを備えることを特徴とする移動通信ネットワークシステム。
(付記16) 前記複数のアンテナシステム、および複数の無線基地局装置が、前記移動通信ネットワークを構成するセルにそれぞれ対応するものであり、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、一部のセルが過負荷状態となった時、該過負荷状態となったセルに対応するアンテナシステムに接続されている前記残りの構成部分と、過負荷となっていないセルに対応する前記同一構成部分とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする付記15記載の移動通信ネットワークシステム。
【符号の説明】
【0082】
1 無線回線接続制御装置
2 無線基地局装置
3 アンテナシステム
4 接続切替手段
5 切替制御手段
11 移動端末
12、111−118 アンテナ
13 ノードB
14 RNC(ラジオ・ネットワーク・コントロール・エクイップメント)
16 OMC−R(オペレーション・アンド・メンテナンスセンター−ラジオ)
20 PS(パケット・スイッチ)コアネットワーク
24 CS(サーキット・スイッチ)コアネットワーク
30 リソースコントローラ
32 BTS(ベース・トランシーバ・ステーション、無線基地局装置)
35 BTS(BB)
37 BTS(RF)
40−46、101−104 セル
50−56、105、106 無線基地局
58、84 過負荷スポット
59、108 スイッチ
61−66 86 RF(ラジオ・フリケンシー)ヘッド
74 アンテナ
75 BB(ベース バンド)信号処理部
90 大セル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信ネットワークシステムであって、
複数の無線基地局装置と、
複数のアンテナシステムと、
該複数の無線基地局装置と複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替える接続切替装置と、
を備えることを特徴とする移動通信ネットワークシステム。
【請求項2】
前記複数のアンテナシステムの少なくとも一部が、前記移動通信ネットワークシステムのセルの境界付近に設置されると共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、境界付近にアンテナシステムが設置されたセルが過負荷状態となった時、前記複数の無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置と、該境界付近に設置されたアンテナシステムとを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信ネットワークシステム。
【請求項3】
前記複数のアンテナシステムの少なくとも一部が、過負荷となることが予想されるスポットをカバーできるように設置されると共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該スポットが過負荷状態となった時、前記複数の無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置と、該スポットをカバーできるように設置されたアンテナシステムとを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信ネットワークシステム。
【請求項4】
前記複数のアンテナシステム、および複数の無線基地局装置が、前記移動通信ネットワークを構成するセルにそれぞれ対応するものであり、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、一部のセルが過負荷状態となった時、該過負荷となったセルに対応するアンテナシステムと、過負荷になっていないセルに対応する無線基地局装置のうちで負荷が軽い無線基地局装置とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信ネットワークシステム。
【請求項5】
前記複数のアンテナシステムの少なくとも一部が、適応的に指向性を変化できる指向性可変アンテナシステムであり、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該システムのサービスエリア内の任意の位置に過負荷状態のスポットが生じた時、該スポットをカバーするように前記指向性を変化させた指向性可変アンテナシステムと、前記無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信ネットワークシステム。
【請求項6】
前記複数の無線基地局装置が、前記移動通信ネットワークシステムを構成するセルに対応する装置と、対応するセルを持たない過負荷対策用の装置とを含むと共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該過負荷対策用の無線基地局装置の少なくとも一部が、予め過負荷が予想されるセルをカバーするアンテナシステムに接続されるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信ネットワークシステム。
【請求項7】
ビル内、地下街を含む閉空間の内部で通信が行われる移動通信ネットワークシステムであって、
複数の無線基地局装置と、
複数のアンテナシステムと、
該複数の無線基地局装置と、複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替える接続切替装置と、
を備えることを特徴とする移動通信ネットワークシステム。
【請求項8】
移動通信ネットワークシステムであって、
複数の無線基地局装置のそれぞれの同一構成部分の複数と、
それぞれアンテナシステムと接続され、該同一構成部分を除く、各無線基地局装置の残りを構成する残りの構成部分の複数と、
該同一構成部分の複数と、該残りの構成部分の複数との間の接続を切り替える接続切替装置と、
を備えることを特徴とする移動通信ネットワークシステム。
【請求項1】
移動通信ネットワークシステムであって、
複数の無線基地局装置と、
複数のアンテナシステムと、
該複数の無線基地局装置と複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替える接続切替装置と、
を備えることを特徴とする移動通信ネットワークシステム。
【請求項2】
前記複数のアンテナシステムの少なくとも一部が、前記移動通信ネットワークシステムのセルの境界付近に設置されると共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、境界付近にアンテナシステムが設置されたセルが過負荷状態となった時、前記複数の無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置と、該境界付近に設置されたアンテナシステムとを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信ネットワークシステム。
【請求項3】
前記複数のアンテナシステムの少なくとも一部が、過負荷となることが予想されるスポットをカバーできるように設置されると共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該スポットが過負荷状態となった時、前記複数の無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置と、該スポットをカバーできるように設置されたアンテナシステムとを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信ネットワークシステム。
【請求項4】
前記複数のアンテナシステム、および複数の無線基地局装置が、前記移動通信ネットワークを構成するセルにそれぞれ対応するものであり、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、一部のセルが過負荷状態となった時、該過負荷となったセルに対応するアンテナシステムと、過負荷になっていないセルに対応する無線基地局装置のうちで負荷が軽い無線基地局装置とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信ネットワークシステム。
【請求項5】
前記複数のアンテナシステムの少なくとも一部が、適応的に指向性を変化できる指向性可変アンテナシステムであり、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該システムのサービスエリア内の任意の位置に過負荷状態のスポットが生じた時、該スポットをカバーするように前記指向性を変化させた指向性可変アンテナシステムと、前記無線基地局装置のうちで負荷の軽い無線基地局装置とを接続させるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信ネットワークシステム。
【請求項6】
前記複数の無線基地局装置が、前記移動通信ネットワークシステムを構成するセルに対応する装置と、対応するセルを持たない過負荷対策用の装置とを含むと共に、
前記移動通信ネットワークシステムにおいて、該過負荷対策用の無線基地局装置の少なくとも一部が、予め過負荷が予想されるセルをカバーするアンテナシステムに接続されるように前記接続切替装置を制御する切替制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信ネットワークシステム。
【請求項7】
ビル内、地下街を含む閉空間の内部で通信が行われる移動通信ネットワークシステムであって、
複数の無線基地局装置と、
複数のアンテナシステムと、
該複数の無線基地局装置と、複数のアンテナシステムとの間の接続を切り替える接続切替装置と、
を備えることを特徴とする移動通信ネットワークシステム。
【請求項8】
移動通信ネットワークシステムであって、
複数の無線基地局装置のそれぞれの同一構成部分の複数と、
それぞれアンテナシステムと接続され、該同一構成部分を除く、各無線基地局装置の残りを構成する残りの構成部分の複数と、
該同一構成部分の複数と、該残りの構成部分の複数との間の接続を切り替える接続切替装置と、
を備えることを特徴とする移動通信ネットワークシステム。
【図1】
【図2】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図11】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図11】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−130062(P2012−130062A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−40591(P2012−40591)
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【分割の表示】特願2010−106166(P2010−106166)の分割
【原出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【分割の表示】特願2010−106166(P2010−106166)の分割
【原出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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