説明

無線基地局

【課題】本発明は、無線端末と無線基地局との間の無線ネットワークにおけるセキュリティ性を向上させることが可能な無線基地局を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明による無線基地局は、無線監視カメラ101と無線通信を行う無線通信部201と、無線監視カメラ101宛の通信データを蓄積する通信データ蓄積部208と、通信データ蓄積部208が通信データを蓄積しているか否かを示す情報を有するビーコンフレームを無線監視カメラ101に送信するビーコンフレーム送信部212と、無線監視カメラ101から通信データの送信を要求する送信要求フレームを受信したときに通信データを無線監視カメラ101に送信する通信データ送信部213と、無線監視カメラ101からの送信要求フレームを受信しないときに代理送信要求フレームを送信する代理送信要求フレーム送信部214とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力モードを有する無線端末と無線通信を行う無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信規格の一つであるIEEE802.11により標準化された省電力モードを有する端末局(ステーション)は、基地局(アクセスポイント)と無線通信する必要がないときはスリープ状態となり、消費電力を抑えることができる。
【0003】
端末局は、基地局に対して接続関係を要求するAssociation Requestフレームによってスリープ状態の期間、すなわち無線通信が可能であるアウェイク状態になる期間を指定する。一方、基地局は、端末局から受信したAssociation Requestフレームによって、端末局がスリープ状態であるのかアウェイク状態であるのかを判断することが可能である。判断の結果、端末局がアウェイク状態であるときは端末局に対して端末局宛の通信フレームを送信し、スリープ状態であるときは端末局宛の通信フレームをバッファする。
【0004】
基地局が端末局宛の通信フレームをバッファしているとき、基地局は端末局宛の通信フレームをバッファしている旨を、端末局に対して定期的に送信しているBeaconフレームを用いて通知する。Beaconフレームを受信した端末局は、自局宛の通信フレームが基地局にてバッファされているのかどうかを判断する。このとき、端末局は基地局から送信される全てのBeaconフレームを受信せずに、基地局に対して送信したAssociation Requestフレーム内のListen Intervalフィールドにて指定した周期に従ってBeaconフレームを受信する。Listen Intervalフィールドにて指定されるListen Interval値は、端末局がスリープ状態になる期間をBeaconフレームが送信される間隔(ビーコン間隔)の倍数で指定する。
【0005】
このようなIEEE802.11により標準化された省電力モードの無線通信において、従来では、無線端末の低消費電力化を図るために、無線基地局から無線端末に対して送信するビーコン信号に無線端末宛の通信データが存在する旨を示す情報を含めて送信し、無線端末から通信データの送信要求を受信した場合に通信データを送信する省電力モードの無線通信システム、および無線基地局がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2006−67244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、省電力モードで動作しているときのセキュリティ機能について記載されておらず、第三者に通信状況を観測される恐れがあり、無線端末と無線基地局との間の無線通信におけるセキュリティ性の低下を引き起こすという問題がある。
【0008】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、無線端末と無線基地局との間の無線ネットワークにおけるセキュリティ性を向上させることが可能な無線基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明による無線基地局は、無線端末と無線通信を行う無線通信手段と、無線端末宛の通信データを蓄積する通信データ蓄積手段と、通信データ蓄積手段が通信データを蓄積しているか否かを示す情報を有するビーコンフレームを無線端末に送信するビーコンフレーム送信手段と、無線端末から通信データの送信を要求する送信要求フレームを受信したときに通信データを無線端末に送信する通信データ送信手段と、無線端末からの送信要求フレームを受信しないときに代理送信要求フレームを送信する代理送信要求フレーム送信手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通信データ蓄積手段が通信データを蓄積しているか否かを示す情報を有するビーコンフレームを無線端末に送信するビーコンフレーム送信手段と、無線端末から通信データの送信を要求する送信要求フレームを受信したときに通信データを無線端末に送信する通信データ送信手段と、無線端末からの送信要求フレームを受信しないときに代理送信要求フレームを送信する代理送信要求フレーム送信手段とを備えるため、無線端末と無線基地局との間の無線ネットワークにおけるセキュリティ性を向上させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態について、図面を用いて以下に説明する。
【0012】
まず初めに、本発明の前提となる技術について説明する。
【0013】
図4は、従来による端末局と基地局との間におけるIEEE802.11規格における無線通信の一例を示す図である。図4に示すように、端末局は省電力モードであり、Listen Intervalフィールドにて指定されるListen Interval値は3に指定されている。
【0014】
時間T400、T401、T402、T403、T404において、基地局は端末局に対してBeaconフレームを一定の間隔で送信している。端末局は、Listen Interval値が3に指定されているため、Beaconフレームの2つおきに起動、すなわちアウェイク状態になる。例えば図4では、時間T401、T404のときに送信されるBeaconフレームに合わせて端末局がアウェイク状態になる。
【0015】
端末局に送信されるBeaconフレームには、TIM(Traffic Indication Map)という、アクセスポイントである基地局がどのステーション宛のデータフレームをバッファリングしているのかを示すデータが含まれている。
【0016】
例えば、時間T400とT401との間のT405において、端末局宛の通信データが発生したとする。この場合、時間T401にて送信されるBeaconフレーム内のTIMフィールドでは、端末局宛の通信データを基地局がバッファしている旨を示している。従って、端末局は、時間T401でBeaconフレームを受信した後に、基地局がバッファしている通信データを取得する。
【0017】
具体的には、Beaconフレームを受信した端末局(時間T401)は、PS−Poll(Power Save−Poll)フレーム(送信要求フレーム)を基地局に送信し、基地局にてバッファされている端末局宛の通信データを送信するよう要求する(時間T406)。PS−Pollフレームを受信した基地局は、バッファしていた通信データを端末局に送信する(時間T407)。通信データを受信した端末局は、正常に受信したことを示すACK(ACKnowledgement)フレームを基地局に送信してスリープ状態になる(時間T408)。
【0018】
図4に示すような従来の省電力モードの無線通信では、基地局が端末局宛の通信データをバッファしている場合とバッファしていない場合とでは、端末局と基地局との間における無線通信量が異なる。具体的には、図4に示すように、端末局宛の通信データを基地局がバッファしている場合は、Beaconフレームが送信された直後に基地局と端末局との間でPS−Pollフレーム、Data転送用フレーム、ACKフレームが通信されるが、端末局宛の通信データを基地局がバッファしていない場合は、基地局から端末局にBeaconフレームが送信された直後に基地局と端末局との間で通信が行われない。
【0019】
一般的に、無線通信は暗号化されている場合が多いが、各通信パケットの宛先アドレス、送信元アドレス、通信パケットの種類などが含まれるヘッダ部分は暗号化されずに、データが格納されているペイロード部分のみが暗号化されている。無線ネットワークに参加していない第三者は、基地局と端末局との間で通信されるPS−Pollフレーム、データフレーム、ACKフレームの各通信パケットのペイロードの内容を解読することができない。しかし、このような通信パケットが通信されているのかどうか、あるいはこれらの通信パケットの通信量は、暗号を解読せずに観測が可能である。従って、無線ネットワークに参加していない第三者は、基地局における無線端末宛の通信データのバッファ状況について把握することが可能である。
【0020】
このように、無線ネットワークに参加していない第三者によって無線端末や無線基地局における状況を観測されることは、無線端末や無線基地局のセキュリティ性の低下を引き起こすため問題となる。
【0021】
本発明は、上記の問題を解決し、無線ネットワークに参加していない第三者が無線通信を観測しても無線端末と無線基地局との間の通信状況を把握できなくなり、無線ネットワークのセキュリティ性を向上させることが可能である。以下に、本発明の実施形態について説明する。
【0022】
〈実施形態〉
図1は、本発明の実施形態による無線監視カメラシステムのネットワーク構成図である。図1に示すように、本実施形態による無線監視カメラシステムは、無線監視カメラ101(無線端末)および監視モニター装置102(無線基地局)を備えており、無線監視カメラ101と監視モニター装置102とは無線ネットワーク103によって無線通信されている。
【0023】
図2は、本発明の実施形態による監視モニター装置102の構成図である。図2に示すように、監視モニター装置102は、監視カメラ101と無線ネットワーク103を介して無線通信を行う無線通信部201(無線通信手段)と、無線監視カメラ101から受信した画像を表示する画像表示部202と、無線監視カメラ101との通信を要求するために外部からの入力操作を受け付ける操作入力部203と、無線監視カメラ101との無線通信を制御する無線通信制御部204とを備える。
【0024】
無線通信制御部204は、無線監視カメラ101宛の通信データを蓄積する通信データ蓄積部208(通信データ蓄積手段)と、通信データ蓄積部208が通信データを蓄積しているか否かを示す情報を有するBeacon(ビーコン)フレームを無線監視カメラ101に送信するビーコンフレーム送信部212(ビーコンフレーム送信手段)と、無線監視カメラ101から通信データの送信を要求する送信要求フレームを受信したときに通信データを無線監視カメラ101に送信する通信データ送信部213(通信データ送信手段)と、無線監視カメラ101からの送信要求フレームを受信しないときに代理送信要求フレームを生成する代理送信要求フレーム生成部209と、代理送信要求フレーム生成部209にて生成された代理送信要求フレームを送信する代理送信要求フレーム送信部214(代理送信要求フレーム送信手段)と、無線監視カメラ101との無線通信におけるエラーレートを計測するエラーレート計測部210(エラーレート計測手段)と、無線監視カメラ101から通知される、無線監視カメラ101がBeaconフレームを受信する間隔情報に従って、無線監視カメラ101が受信するBeaconフレームを特定する無線端末受信ビーコン特定部211(無線端末受信ビーコン特定手段)と、代理通信パケットの出力電力を決定する代理通信出力電力決定部205と、代理通信パケットの出力タイミングを決定する代理通信出力タイミング決定部206と、代理通信パケットを生成する代理通信パケット生成部207とから構成される。
【0025】
図3は、本発明の実施形態による無線監視カメラ101の構成図である。図3に示すように、無線監視カメラ101は、無線監視カメラ101の周囲を撮影する撮影部301と、撮影部301と接続され無線ネットワーク103を介して監視モニター装置102と無線通信を行う無線通信部303と、無線通信部303による無線通信を制御する無線通信制御部302と、撮影部301、無線通信制御部302、無線通信部303に動作電源を供給するバッテリー304とから構成される。
【0026】
無線監視カメラ101は、例えば玄関などの屋外に設置され、撮像部301によって周囲の状況等を撮影している。また、監視モニター装置102は、例えば屋内のリビングルームに設置され、家屋内の家人が操作入力部203を操作することによって無線監視カメラ101を制御し、無線監視カメラ101が撮影した画像を画像表示部202に表示させることによって監視することができる。
【0027】
次に、本発明による無線監視カメラシステムの動作について詳細に説明する。
【0028】
本実施形態による無線ネットワーク103は、IEEE802.11に準拠した無線ネットワークである。無線監視カメラ101の無線通信制御部302は無線通信部303を制御し、バッテリー304の消耗を防いで稼働時間を長くするためにIEEE802.11で規定されている省電力モード(Power Save Mode)で動作させるようにする。
【0029】
無線監視カメラ101は、監視モニター装置102との無線通信を行う必要がないときはスリープ状態となって消費電力を抑える。無線監視カメラ101の無線通信制御部302は監視モニター装置102に対して、接続関係を要求するためのAssociation Requestフレーム内のListen Interval値に任意の値を指定し、スリープ状態である期間、すなわち無線通信が可能であるアウェイク状態になる期間を通知する。無線監視カメラ101は、監視モニター装置102に通知したListen Interval値に従って周期的にアウェイク状態になり、監視モニター装置102のビーコンフレーム送信部212から送信されるBeaconフレームを受信する。
【0030】
無線監視カメラ101の周囲の状況を監視モニター装置102の画像表示部202に表示させて確認したい場合において、ユーザーは監視モニター装置102の操作入力部203を操作する。ユーザーからの指示に従い、操作入力部203は無線通信制御部204に対して、監視映像データの送付を指示するコマンドを無線監視カメラ101に送信するように指示する。操作入力203による送信指示は無線監視カメラ101宛にした通信パケットの送信要求であり、無線監視カメラ101が省電力モードで動作している場合は監視モニター装置102の通信データ蓄積部208に一時的にバッファされる。監視モニター装置102の無線通信制御部204はBeaconフレームのTIMフィールドに、監視モニター装置102が無線監視カメラ101宛の通信データをバッファしている旨を示す値を設定して、監視モニター装置102のビーコンフレーム送信部212から無線通信部201を介してBeaconフレームを送信する。
【0031】
無線監視カメラ101は、Listen Interval値にて指定した周期に従ってアウェイク状態になり、アウェイク状態のときに無線通信部303からBeaconフレームを受信する。無線通信制御部302では、受信したBeaconフレームのTIMフィールドを解析して、無線監視カメラ101宛の通信データが監視モニター装置102の通信データ蓄積部208にてバッファされていることを認識する。無線通信制御部302は、監視モニター装置102宛のPS−Pollフレームを無線通信部303から送信することによって、監視モニター装置102の通信データ蓄積部208がバッファしている通信データを無線監視カメラ101に送信するよう要求する。監視モニター装置102において、無線通信部201によってPS−Pollを受信したことを通知された無線通信制御部204は、通信データ蓄積部208でバッファしている通信データを通信データ送信部213から無線通信部201を介して無線監視カメラ101に送信する。
【0032】
無線監視カメラ101は、監視モニター装置102から送信された通信データを無線通信部303で受信する。無線通信部303で受信した通信データには、無線監視カメラ101の周囲の撮影と撮影したデータを監視モニター装置102に送信する命令が含まれている。監視モニター装置102によって命令された無線監視カメラ101の無線通信制御部302は、省電力モードを解除し、撮像部301を起動して撮影を開始する。撮影部301にて撮影された映像データは、無線通信部303から監視モニター装置102に送信される。監視モニター装置102では、無線通信部201にて映像データを受信し、画像表示部202に映像データを表示する。
【0033】
無線監視カメラ101が撮影している周囲映像の画像表示部202への表示を停止したい場合には、ユーザーは操作入力部203を操作する。操作入力部203の操作によって、監視モニター装置102の通信データ送信部213から無線通信部201を介して無線監視カメラ101に対して、撮影停止を命令するコマンドを含んだ通信データが送信される。通信データを無線通信部303で受信した無線監視カメラ101は、撮影部301での撮影を停止して省電力モードを再開する。このような動作によって、ユーザーから要求される無線監視カメラ101の周囲映像の確認要求に応答する。
【0034】
しかし、上記の動作では、ユーザーが監視モニター装置102の操作入力部203を操作した直後に、無線監視カメラ101と監視モニター装置102との間における無線通信量が増加する。具体的には、ユーザーが操作入力部203を操作してビーコンフレーム送信部212から無線通信部201を介してBeaconフレームを送信した直後に、Beaconフレームを受信した無線監視カメラ101から監視モニター装置102にPS−Pollフレームが送信され、PS−Pollフレームを受信した監視モニター装置102の通信データ送信部213から無線通信部201を介して無線監視カメラ101に通信データが送信されることによって、無線監視カメラ101と監視モニター装置102との間における無線通信量が増加する。従って、無線ネットワーク103の電波を受信することが可能な位置に存在する第三者は、無線監視カメラ101と監視モニター装置102との間における無線通信量の変化を容易に検出することができる。このように、ユーザーが操作入力部203を操作したことが第三者に判別されることは、無線ネットワーク103のセキュリティー性に問題がある。
【0035】
このような問題を解決するために本実施形態では、第三者が容易に無線通信量の変化を検出できないようにする。具体的に、監視モニター装置102は、無線監視カメラ101がスリープ状態である期間において、ビーコンフレーム送信部212から無線通信部201を介して無線監視カメラ101にBeaconフレームを送信した直後に、監視モニター装置102自らがPS−Pollフレーム、データ(Data)フレーム、ACKフレームを送信する。このときに監視モニター装置102自らが送信したPS−Pollフレーム、データフレーム、ACKフレームを代理通信パケットとする。なお、代理PS−Pollフレームは代理送信要求フレーム生成部209で生成され、代理データフレームおよび代理ACKは代理通信パケット生成部207で生成される。
【0036】
ここで、代理送信要求フレーム生成部209での代理PS−Poll(代理送信要求フレーム)の生成について説明する。
【0037】
通常のPS−Pollフレーム(送信要求フレーム)について、実際の送信機器は無線監視カメラ101であるため、送信元のアドレスが無線監視カメラ101のアドレス、宛先アドレスが監視モニター装置102のアドレスとなる。代理送信要求フレーム生成部209では、無線監視カメラ102にて生成されるPS−Pollフレームと同様に、送信元アドレスが無線監視カメラ101のアドレス、宛先アドレスが監視モニター装置102のアドレスである代理PS−Pollフレームを生成する。
【0038】
次に、代理通信パケット生成部207での代理データフレームと代理ACKフレームの生成について説明する。
【0039】
通常のデータフレームおよび代理データフレームは、送信元のアドレスが監視モニター装置102のアドレス、宛先アドレスが無線監視カメラ101のアドレスである。代理通信パケット生成部207では、送信元アドレスが監視モニター装置102のアドレス、宛先アドレスが無線監視カメラ101のアドレスである代理データフレームを生成する。
【0040】
通常のACKフレームは、通常のPS−Pollフレームと同様に、送信元アドレスが無線監視カメラ101のアドレス、宛先アドレスが監視モニター装置102のアドレスである。代理通信パケット生成部207では、送信元アドレスが無線監視カメラ101のアドレス、宛先アドレスが監視モニター装置102のアドレスである代理ACKフレームを生成する。
【0041】
図6は、本発明の実施形態による通常PS−Pollフレームおよび代理PS−Pollフレームの送信元アドレス、送信先アドレス、実際に無線送信する送信機器を示す図である。図6に示すように、代理送信要求フレーム生成部209で生成された代理PS−Pollフレームは、送信元アドレスが無線監視カメラ101のアドレスとなるように設定しているが、実際に送信する送信機器は監視モニター装置102である。
【0042】
図7は、本発明の実施形態による通常データフレームおよび代理データフレームの送信元アドレス、送信先アドレス、実際に無線送信する送信機器を示す図である。図7に示すように、代理通信パケット生成部207で生成された代理データフレームは、送信元アドレスと実際に送信する送信機器がともに監視モニター装置102である。
【0043】
図8は、本発明の実施形態による通常ACKフレームおよび代理ACKフレームの送信元アドレス、送信先アドレス、実際に無線送信する送信機器を示す図である。図8に示すように、代理通信パケット生成部207で生成された代理ACKフレームは、送信元アドレスが無線監視カメラ101のアドレスとなるように設定しているが、実際に送信する送信機器は監視モニター装置102である。
【0044】
図5は、本発明の実施形態による無線監視カメラ101と監視モニター装置102との間における無線通信の一例を示す図である。図5に示すように、監視モニター102は、時間T500、T501、T502、T503、T504においてBeaconフレームを送信する。無線監視カメラ101は、Listen Interval値が3に設定されており、Beaconフレームの2つおきにアウェイク状態となり、アウェイク状態になったときにBeaconフレームを受信している。
【0045】
無線監視カメラ101は、監視モニター装置102のビーコンフレーム送信部212から送信されたBeaconフレームを受信し、受信したBeaconフレーム内のTIMフィールドを確認することによって、無線監視カメラ101宛の通信データが監視モニター装置102の通信データ蓄積部208にバッファされていることを認識する(時間T501)。無線監視カメラ101は、通信データ蓄積部208にバッファされている通信データの無線監視カメラ101への送信を要求するために、監視モニター装置102に対してPS−Pollフレームを送信する(時間T506)。PS−Pollフレームを受信した監視モニター装置102は、通信データ蓄積部208でバッファしていた無線監視カメラ101宛のデータフレームを通信データとして通信データ送信部213を介して送信する(時間T507)。無線監視カメラ101は、監視モニター装置102から送信された通信データを正常に受信すると、その旨を通知するためにACKフレームを監視モニター装置102に送信する(時間T508)。
【0046】
一方、時間T500、T502、T503では、監視モニター装置102から無線監視カメラ101にBeaconフレームは送信されるが、無線監視カメラ101はスリープ状態であってBeaconフレームを受信しないため、監視モニター装置102からBeaconフレームを送信した後に無線監視カメラ101からPS−Pollフレームが送信されない。
【0047】
また、時間T504では、無線監視カメラ101はアウェイク状態であり、監視モニター装置102のビーコンフレーム送信部212から送信されてきたBeaconフレームを受信するが、無線監視カメラ101宛の通信データが監視モニター装置102の通信データ蓄積部208にバッファされていないため、Beaconフレーム内のTIMフィールドに設定されていない。このような場合、無線監視カメラ101はBeaconフレームを受信した後に、PS−Pollフレームを送信することなくスリープ状態になる。
【0048】
上記のことから、時間T500、T502、T503、T504では、無線監視カメラ101は、監視モニター装置102から受信したBeaconフレームの後に、監視モニター装置102にPS−Pollフレームを送信しない。そのため、時間T500、T502、T503、T504にてビーコンフレーム送信部212から送信されたBeaconフレームの後は、監視モニター装置102の代理送信要求フレーム生成部209で生成された代理送信要求フレームを代理送信要求フレーム送信部214から無線通信部201を介して送信したり、代理通信パケット生成部207にて生成された代理通信パケットを無線通信部201から送信したりする。
【0049】
例えば、時間T502における監視モニター装置102のビーコンフレーム送信部212から無線監視カメラ101へのBeaconフレームの送信後は、監視モニター装置102の代理送信要求フレーム送信部214から無線通信部201を介して代理PS−Pollフレームが送信され(時間T509)、無線通信部201から代理データフレームが送信され(時間T510)、無線通信部201から代理ACKフレームが送信される(時間T511)。
【0050】
なお、本実施形態では図5に示すように、監視モニター装置102のビーコンフレーム送信部212から無線監視カメラ101にBeaconフレームを送信した後に、無線監視カメラ101からPS−Pollフレームの送信がない場合には、必ず監視モニター装置102から代理PS−Pollフレーム、代理データフレーム、代理ACKフレームを送信していた。しかし、監視モニター装置102から送信した全てのBeaconフレームに対して、無線監視カメラ101による通常のPS−Pollフレームか、または監視モニター装置102による代理PS−Pollフレームのいずれかが送信される必要はない。
【0051】
例えば、無線監視カメラ101は、監視モニター装置102に予め通知したAssociation Requestフレーム内のListen Interval値に従って、周期的にアウェイク状態になってビーコンフレーム送信部212からのBeaconフレームを受信するが、このとき、無線監視カメラ101が監視モニター装置102にPS−Pollフレームを送信しない場合に限り、監視モニター装置102から無線監視カメラ101に代理PS−Pollフレーム、代理データフレーム、代理ACKフレームを送信するようにしてもよい。
【0052】
無線監視カメラ101から通知される、無線監視カメラ101がBeaconフレームを受信する間隔情報に従って、無線監視カメラ101が受信するBeaconフレームを特定する無線端末受信ビーコン特定部211を備えることによって、無線端末受信ビーコン特定部211にて無線監視カメラ101がBeaconフレームを受信したと判定し、かつ無線監視カメラ101からのPS−Pollフレームを受信しないときに代理PS−Pollフレームを送信するようにしてもよい。
【0053】
また、監視モニター装置102の代理送信要求フレーム送信部214は、ビーコンフレーム送信部212から無線通信部201を介してBeaconフレームを送信してから所定の時間内に無線監視カメラ101からPS−Pollフレームを受信しないときに代理PS−Pollフレームを送信するようにしてもよい。
【0054】
無線ネットワーク103を傍受する第三者は、無線監視カメラ101から送信されるPS−Pollフレーム等の通信パケットと、監視モニター装置102から送信される代理PS−Pollフレーム等の通信パケットとの送信電力の差を観測することによって、無線監視カメラ101から送信される通信パケットを見分ける可能性がある。このような問題の対策として、監視モニター装置102の無線通信制御部204に、無線監視カメラ101との無線通信におけるエラーレートを計測するエラーレート計測部210(エラーレート計測手段)を備え、無線監視カメラ101と監視モニター装置102との間における送信出力を、エラーレート計測部210で計測されたエラーレートが予め定められたエラーレート以下になる範囲内で代理通信出力電力決定部205にて変化させて出力してもよい。また、無線監視カメラ101と監視モニター装置102との間における送信出力を、エラーレート計測部210で計測されたエラーレートが予め定められたエラーレート以下になる範囲内で代理通信出力電力決定部205にてランダムに変化させて出力してもよい。
【0055】
無線ネットワーク103を傍受する第三者は、無線監視カメラ101から送信されるPS−Pollフレーム等の通信パケットと、監視モニター装置102から送信される代理PS−Pollフレーム等の通信パケットとの変調方式の違いを観測することによって、無線監視カメラ101から送信される通信パケットを見分ける可能性がある。このような問題の対策として、無線監視カメラ101と監視モニター装置102との間における変調方式を、エラーレート計測部210で計測されたエラーレートが予め定められたエラーレート以下になる範囲内で代理通信出力タイミング決定部206にて変化させて出力してもよい。また、無線監視カメラ101と監視モニター装置102との間における変調方式を、エラーレート計測部210で計測されたエラーレートが予め定められたエラーレート以下になる範囲内で代理通信出力タイミング決定部206にてランダムに変化させて出力してもよい。
【0056】
以上のことから、無線監視カメラ101が監視モニター装置102から送信されたBeaconフレームを受信した後に、監視モニター装置102に対して送信要求フレームを送信しない場合であっても、無線監視カメラ101が送信する送信要求フレームと同等の代理送信要求フレームを監視モニター装置102から送信されるため、無線ネットワークに参加していない第三者が無線通信を観測しても無線端末と無線基地局との間の通信状況を把握できなくなり、無線ネットワークのセキュリティ性を向上させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、省電力モードを有する無線端末と無線通信を行う無線基地局に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態による無線監視カメラシステムのネットワーク構成図である。
【図2】本発明の実施形態による監視モニター装置の構成図である。
【図3】本発明の実施形態による無線監視カメラの構成図である。
【図4】従来による端末局と基地局との間における無線通信の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態による無線監視カメラと監視モニター装置との間における無線通信の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態による通常PS−Pollフレームおよび代理PS−Pollフレームの送信元アドレス、送信先アドレス、実際に無線送信する送信機器を示す図である。
【図7】本発明の実施形態による通常データフレームおよび代理データフレームの送信元アドレス、送信先アドレス、実際に無線送信する送信機器を示す図である。
【図8】本発明の実施形態による通常ACKフレームおよび代理ACKフレームの送信元アドレス、送信先アドレス、実際に無線送信する送信機器を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
101 無線監視カメラ、102 監視モニター装置、103 無線ネットワーク、201 無線通信部、202 画像表示部、203 操作入力部、204 無線通信制御部、205 代理通信出力電力決定部、206 代理通信出力タイミング決定部、207 代理通信パケット生成部、208 通信データ蓄積部、209 代理送信要求フレーム生成部、210 エラーレート計測部、211 無線端末受信ビーコン特定部、212 ビーコンフレーム送信部、213 通信データ送信部、214 代理送信要求フレーム送信部、301 撮影部、302 無線通信制御部、303 無線通信部、304 バッテリー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末と無線通信を行う無線通信手段と、
前記無線端末宛の通信データを蓄積する通信データ蓄積手段と、
前記通信データ蓄積手段が前記通信データを蓄積しているか否かを示す情報を有するビーコンフレームを前記無線端末に送信するビーコンフレーム送信手段と、
前記無線端末から前記通信データの送信を要求する送信要求フレームを受信したときに前記通信データを前記無線端末に送信する通信データ送信手段と、
前記無線端末からの前記送信要求フレームを受信しないときに代理送信要求フレームを送信する代理送信要求フレーム送信手段と、
を備える、無線基地局。
【請求項2】
前記代理送信要求フレームは、宛先アドレスが無線基地局であり、送信元アドレスが前記無線端末であることを特徴とする、請求項1に記載の無線基地局。
【請求項3】
前記無線端末との無線通信におけるエラーレートを計測するエラーレート計測手段をさらに備え、前記無線端末と前記基地局との間における送信出力を、前記エラーレートが予め定められたエラーレート以下になる範囲内で変化させることを特徴とする、請求項1に記載の無線基地局。
【請求項4】
前記無線端末と前記基地局との間における送信出力は、前記エラーレートが予め定められたエラーレート以下になる範囲内でランダムに変化させることを特徴とする、請求項3に記載の無線基地局。
【請求項5】
前記無線端末と前記基地局との間における変調方式は、前記エラーレートが予め定められたエラーレート以下になる範囲内で変化させることを特徴とする、請求項3に記載の無線基地局。
【請求項6】
前記無線端末と前記基地局との間における変調方式は、前記エラーレートが予め定められたエラーレート以下になる範囲内でランダムに変化させることを特徴とする、請求項3に記載の無線基地局。
【請求項7】
前記代理送信要求フレーム送信手段は、前記ビーコンフレームを送信してから所定の時間内に前記無線端末から前記送信要求フレームを受信しないときに前記代理送信要求フレームを送信することを特徴とする、請求項1に記載の無線基地局。
【請求項8】
前記無線端末から通知される、前記無線端末が前記ビーコンフレームを受信する間隔情報に従って、前記無線端末が受信する前記ビーコンフレームを特定する無線端末受信ビーコン特定手段をさらに備え、前記無線端末受信ビーコン特定手段にて前記無線端末が前記ビーコンフレームを受信したと判定し、かつ前記無線端末からの前記送信要求フレームを受信しないときに前記代理送信要求フレームを送信することを特徴とする、請求項1に記載の無線基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−219083(P2009−219083A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63570(P2008−63570)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】