説明

無線情報機器活用システム、無線情報機器活用方法、および活用プログラム

【課題】RFIDリーダライタ等の無線情報機器を利用した無線情報機器システムにおいて、各店舗において複数のサービスを低コストで提供する。
【解決手段】センタ用コンピュータ10と店舗システム20とを備え、店舗システム20は、制御部201と、動作モード検出部202と、通信部203と、RFIDリーダライタ210とを有する。動作モード検出部202は、RFIDリーダライタ210から読み出された情報に基づいて、顧客を識別する顧客用RFIDタグとサービスを特定するサービス用RFIDタグとが組み合わされてかざされたか否かを検出することによって、その顧客に対し実施するサービスに対応した動作モードを検出する。制御部201は、動作モード検出部202によって検出された動作モードおよび動作モードを検出した際に読み出された情報に基づいて、特定されるサービスを実施するための処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線で情報媒体から情報を読み出す無線情報機器を利用する無線情報機器活用システム、無線情報機器活用方法、および活用プログラムに関し、特に、複数のサービスを提供する無線情報機器活用システム、無線情報機器活用方法、および活用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線で情報媒体に記憶される情報を読み書きする無線情報機器を利用した無線情報機器活用システムには、例えば、RFID(Radio Frequency IDentification)などの自動認識システムがある。近年、RFIDタグやその他関連機器の低価格化に伴い、RFIDなどの自動認識システムを利用した顧客向けサービスが各種検討されている。
【0003】
例えば、来客時に、店舗に設置されたRFIDリーダに予め配布しておいたRFIDタグをかざしてもらい、RFIDタグに記憶されている顧客の識別情報から顧客情報を取得して、顧客の携帯電話機向けに動画配信や割引クーポン券配信をするサービスや、RFIDタグに記憶されている金額データによる精算や、来店ポイントによる割引サービスなどが考えられる。
【0004】
このようなRFIDタグを用いた自動認識技術において、顧客毎や店舗毎に異なるサービスを提供しようとした場合、従来の自動認識システムの多くでは、顧客を識別する情報とサービスを特定する情報とを対応づけて記憶させることによって実現している。
【0005】
特許文献1には、テーマパーク等の娯楽施設への入場者に対して各種言語によるサービスを提供できるサービス情報提供システムが記載されている。特許文献1に記載のサービス情報提供システムでは、画像保管サーバにユーザのユーザIDを、ユーザの使用言語および提供するサービス内容を表すサービス情報の種類と関連づけて登録しておく。無線タグにユーザIDを記憶し、無線タグが送信したユーザIDに基づいて、画像保管サーバは、ユーザIDに対応するユーザの言語によるサービス情報を提供する。
【0006】
【特許文献1】特開2004−355087号公報(段落0033−0043)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、例えば、複数のフランチャイズチェーン店からなるコンビニエンスストア等の各店舗において、RFIDタグを用いた顧客サービスを提供する無線情報機器活用システムを考える。図4は、来店した顧客の携帯電話機向けに情報配信サービスを行う無線情報機器活用システムの構成例を示す概念図である。図4に示す無線情報機器活用システムは、顧客93が所有する携帯電話機931と、予め顧客に配布されたRFIDタグ932と、店舗92に設置されるRFIDリーダ921と、店舗を管理するセンタ91(具体的には、センタに設置されるサーバ装置)とから構成される。ここでは、無線情報機器として、RFIDリーダ921を用いる。
【0008】
なお、図示省略しているが、RFIDリーダ921は、センタ91に設置されるサーバ装置と通信ネットワークを介して接続される店舗端末に接続され、店舗端末を介してRFIDタグから読み出した情報をセンタに送信する。また、RFIDタグ932は、携帯電話機用のストラップに内蔵された形で配布することが考えられる。図5は、携帯電話機931に携帯電話機用ストラップに内蔵されたRFIDタグ932(以下、RFID内蔵ストラップ932という。)が取り付けられている例を示す説明図である。
【0009】
このような無線情報機器活用システムは、例えば、次のように動作する。まず、RFID内蔵ストラップ932を配布する際に入会処理として顧客の携帯電話機用電子メールアドレスを入手し、センタ91側(サーバ装置が備えるデータベース等)で、配布したRFID内蔵ストラップ932に記憶されている識別情報と入手した電子メールアドレスとを対応づけて顧客情報として記憶しておく。そして、顧客93が店舗92に設置されているRFIDリーダ921にRFID内蔵ストラップ932をかざすと、RFIDリーダ921は、RFID内蔵ストラップ932に記憶されている識別情報を読み出し、センタ91に送信する。識別情報を受信したセンタ91は、顧客情報から受信した識別情報に対応する電子メールアドレスを取得し、電子メールを送信することによって情報配信やクーポン券配信等のサービスを行う。
【0010】
このように複数の店舗で顧客向けサービスを提供する場合には、各店舗において、通常の顧客向けサービス以外にも、例えば、新規入会の手続や特別な顧客向けサービスが行えることが好ましい。
【0011】
例えば、特許文献1に記載のサービス情報提供システムを、複数の店舗を有するフランチャイズチェーン店に適用することによって、店舗毎や顧客毎に複数のサービスを切り替えて提供することが可能である。しかしながら、特許文献1に記載のサービス情報提供システムでは、顧客を管理するセンタ側(画像保管サーバ)でサービスを特定するための情報(使用言語や、顧客の属性を示す情報)を管理するため、提供するサービスが制限されてしまう、または新規サービスの導入にコストがかかってしまうという問題点がある。
【0012】
例えば、同じ顧客に対してその時々の条件でサービスを切り替えて提供しようとした場合、その時々の条件に基づいて判断できるような情報をサーバ側に登録しておくか、サーバ側に送らなければならず、センタ側のデータベースやセンタとの間のインタフェースに用いられるデータ構造の範囲内に制限される。また、例えば、ある店舗が新規にサービスを提供しようとした場合、そのサービスを特定するためにデータベースの変更やインタフェースの変更が生じると、全店舗の操作端末を変更しなければならない可能性もある。
【0013】
従って、複数の店舗において複数の顧客向けサービスを提供するためには、サーバ側でサービスを特定するための全情報を管理するのではなく、必要に応じて、店舗側から提供するサービスを指定できる必要がある。ただし、各店舗において、サービスを指定するための機器を別途用意しなければならない場合には、店舗への導入コストが高くなってしまう。また別途機器を用意しなくても、運用方法が複雑な場合には、運用を行うための説明、誤操作された際のリカバリ等のコストが発生し、運用コストがかかってしまうという問題がある。なお、サービスを指定するための機器には、切替スイッチ付きRFIDリーダや、サービス選択機能付きアプリケーションが稼働する店舗端末等、人手を介して切り替えるような機器も含まれる。
【0014】
そこで、本発明では、複数の顧客向けサービスを、低コストで提供することができる無線情報機器活用システム、無線情報機器活用方法、および活用プログラムを提供することを目的とする。
【0015】
より具体的には、複数の店舗において複数の顧客向けサービスを、各店舗で別途機器を用意することなく、簡単に、かつわかりやすい運用方法で提供できる無線情報機器活用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明による無線情報機器活用システムは、無線で情報媒体から情報を読み出す無線情報機器を用いてサービスを提供する無線情報機器活用システムであって、無線情報機器が読み出した情報に基づいて、情報媒体が組み合わされて用いられたか否かを検出する情報媒体検出手段(例えば、動作モード検出部202)と、情報媒体検出手段が検出した組み合わせおよび組み合わされた情報媒体に記憶された情報に基づいて、提供するサービスを特定するサービス特定手段(例えば、制御部201)とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、情報媒体検出手段は、無線情報機器が、同時にまたは所定の時間以内に情報を読み出した場合に、情報を読み出された情報媒体が組み合わされて用いられたことを検出してもよい。
【0018】
また、情報媒体検出手段は、サービス対象者を識別する識別情報を記憶した対象者用情報媒体と、サービスを特定する特定情報を記憶したサービス用情報媒体とが組み合わされて用いられたか否かを検出し、サービス特定手段は、情報媒体検出手段によって対象者用情報媒体とサービス用情報媒体とが組み合わされて用いられたことが検出された場合に、サービス用情報媒体に記憶された特定情報に基づいて特定されるサービスを提供することを決定し、対象者用情報媒体とサービス用情報媒体とが組み合わされて用いられたことが検出されなかった場合には、予め定められているサービスを提供することを決定してもよい。
【0019】
また、無線で情報媒体から情報を読み出す無線情報機器を用いてサービスを提供する無線情報機器活用システムであって、無線情報機器と接続される店舗端末と、店舗端末と通信ネットワークを介して接続される管理装置とを備え、店舗端末は、無線情報機器が読み出した情報に基づいて、情報媒体が組み合わされて用いられたか否かを検出する情報媒体検出手段と、情報媒体検出手段が検出した組み合わせおよび組み合わされた情報媒体に記憶された情報に基づいて、提供するサービスを特定するサービス特定手段と、サービス特定手段によって特定されたサービスを要求する旨の情報を管理装置に送信するサービス要求手段とを有し、管理装置は、店舗端末からの要求に応じて、サービスを実行するサービス実行手段を備えていてもよい。
【0020】
また、本発明による無線情報機器活用方法は、無線で情報媒体から情報を読み出す無線情報機器を用いてサービスを提供する無線情報機器活用方法であって、無線情報機器が読み出した情報に基づいて、情報媒体が組み合わされて用いられたか否かを検出するステップと、検出した組み合わせおよび組み合わされた情報媒体に記憶された情報に基づいて、提供するサービスを特定するステップとを備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明による無線情報機器活用プログラムは、無線で情報媒体から情報を読み出す無線情報機器と接続されるコンピュータに、無線情報機器が読み出した情報に基づいて、情報媒体が組み合わされて用いられたか否かを検出する処理、および検出した組み合わせおよび組み合わされた情報媒体に記憶された情報に基づいて、提供するサービスを特定する処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、情報媒体検出手段によって検出される情報媒体の組み合わせ、および組み合わされた情報媒体に記憶された記憶内容に応じて、複数のサービスを切り替えて提供することができるので、低コストで複数の顧客向けサービスを実現できる。
【0023】
具体的には、各店舗でサービスを切り替えるための機器を別途用意することなく、切り替えて提供したいサービスに対応した情報媒体を用意し、必要時にかざすだけでよいので、簡単に、かつわかりやすい運用方法で実現できる。また、センタ側でサービスを特定するための情報を全て管理する必要がないので、各店舗において、より自由度の高いサービスが提供できるうえ、新規サービスを導入するためのコストがサービスを提供しない店舗にまで及ぶこともない。従って、複数の顧客向けサービスを低コストで実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態による無線情報機器活用システムの構成例を示すブロック図である。図1に示す無線情報機器活用システムは、例えば来店した顧客の携帯電話機向けに情報配信等の顧客向けサービスを行う無線情報機器活用システムであって、センタに設置されるセンタ用コンピュータ10と、センタ用コンピュータ10と通信ネットワークを介して接続される店舗システム20とを備える。なお、図1では、1つの店舗システム20を示しているが、店舗システムはサービスを提供する店舗の数に応じていくつであってもよい。ここで、店舗は、例えば複数のフランチャイズチェーン店からなるコンビニエンスストアの一店舗であり、センタは、それらのフランチャイズチェーン店を総括する本部などである。
【0025】
センタ用コンピュータ10は、例えば、店舗システム20から送信される情報に基づいて顧客向けサービスを実行する。なお、センタ用コンピュータ10は、店舗システム20から送信される情報に基づいて、個々の店舗における利用状況等の顧客分析やマーケティング用のデータを作成してもよい。また、センタ用コンピュータ10は、顧客に配布したRFIDタグに記憶されている識別情報と顧客に関する情報とを対応づけて管理するための顧客情報を記憶する記憶装置を含む。センタ用コンピュータ10は、例えば、データベースを備えたサーバ装置等の情報処理装置である。
【0026】
店舗システム20は、制御部201と、動作モード検出部202と、通信部203と、RFIDリーダライタ210とを有する。なお、RFIDリーダライタ210は、RFID制御部211と、RFIDアンテナ部212とを含む。店舗システム20は、顧客が所持するRFIDタグがRFIDリーダライタ210にかざされた際に、RFIDタグに記憶されている情報を読み出して、来店情報としてセンタに通知するとともに、必要に応じて、その顧客に提供するサービスを指定して要求するシステムである。
【0027】
店舗システム20は、例えば、制御部201と、動作モード検出部202と、通信部203とを備えるパーソナルコンピュータと、アンテナを内蔵したRFIDリーダライタ装置とが、専用ケーブルで接続されるシステムである。また、例えば、パーソナルコンピュータとセンタ用コンピュータ10とがインターネット等の通信ネットワークを介して接続される。
【0028】
制御部201は、店舗システム20の全体的な制御を行う。具体的には、制御部201は、RFIDリーダライタ210に対し、RFIDタグとの通信を行うよう起動をかけることによって、RFIDリーダライタ210が読み出した情報を受信し、センタ用コンピュータ10に通信部203を介して送信する。また、RFIDリーダライタ210に対し、新たな情報を書き込むよう要求する場合もある。また、本実施の形態においては、制御部201は、動作モード検出部202との間で提供するサービスを特定するための処理を行う。従って、制御部201は、RFIDリーダライタ210が読み出した情報だけでなく、必要に応じて、特定したサービスを要求する旨の情報と組み合わせてセンタ用コンピュータ10に送信する。
【0029】
動作モード検出部202は、RFIDリーダライタ210が読み出した情報に基づいて、そのときの顧客に対し実施するサービスを特定する。具体的には、顧客を識別するための識別情報が記憶された顧客用RFIDタグとサービスを特定するためのサービス情報が記憶されたサービス用RFIDタグとが組み合わされてかざされたか否かを検出することによって、その顧客に対し実施するサービスに対応した動作モードを検出する。なお、動作モードは、予め顧客用RFIDタグとサービス用RFIDタグとの組み合わせ毎に割り振られているものとする。図2は、RFIDリーダライタ210に、サービス用RFIDタグ22と、顧客用RFIDタグ32とを組み合わされてかざす場合の実施例を示す説明図である。
【0030】
なお、サービス用か顧客用か等、どの種別のRFIDタグがかざされたかは、読み出した情報から識別できるものとする。例えば、全種別のRFIDタグに共通の記憶領域を設け、その記憶領域に、何用かを示すタグ種別情報を記憶しておけばよい。
【0031】
なお、制御部201、動作モード検出部202は、例えばプログラムに従って動作するCPUによって実現される。また、通信部203は、例えばハードウェアの通信装置と、プログラムに従って動作するCPUとによって実現される。
【0032】
RFID制御部211は、RFIDリーダライタ210の全体的な制御を行う処理部である。具体的には、RFID制御部211は、上位機器(ここでは、制御部201)からの要求に従って、RFIDアンテナ部212を用いて、RFIDタグから情報を読み込む、または書き込む。RFIDアンテナ部212は、RFIDタグに対し電波の受け渡しを行う。
【0033】
なお、本発明において、RFIDリーダライタ210は、通信エリア内に複数のRFIDタグが存在する場合にも、RFIDタグからのデータ同士の衝突を防止したり、または衝突した場合であっても情報を識別することができるアンチコリジョン機能(マルチリード機能とも呼ばれる)を有しているものとする。
【0034】
RFID制御部211は、例えばRFIDリーダライタ装置が備えるプロセッサユニットによって実現される。なお、プロセッサユニットには、デコーダ、エンコーダ、メモリを含む。また、RFIDアンテナ部212は、例えばハードウェアの無線通信装置によって実現される。
【0035】
次に、本実施の形態の動作について説明する。ここでは、顧客が店舗を訪問した際に予め配布されたRFIDタグをRFIDリーダライタにかざすと、来店ポイントを加算するとともに、最新の商品情報を顧客の携帯電話機向けに配信するサービスを提供する場合を例に説明する。本実施の形態では、情報配信サービスとして、通常の顧客向けサービスと、特定の顧客向け(例えば、高額商品購入者向け)サービスのいずれかを切り替えて提供する場合を例にとって説明する。特定の顧客向けサービスとしては、通常の顧客向けサービスよりも付加価値のある、例えば、通常より大きな割合の割引クーポンや特殊な動画の配信サービス等が考えられる。
【0036】
まず、店舗を訪れる顧客に対しあらかじめ会員登録を行い、顧客の携帯電話機の電子メールアドレスと、顧客に配布するRFIDタグに記憶される識別IDとを対応づけて、顧客情報としてセンタ用コンピュータ10が備えるデータベースに記憶しておく。従って、顧客用RFIDタグには、少なくとも識別IDと来店ポイントとが記憶される。また、各店舗には、予め、提供するサービスを特定するためのサービスIDが記憶されたサービス用RFIDタグが配布される。本実施の形態では、各店舗には、少なくとも特定の顧客向けサービスを示すサービスIDが記憶されたサービス用RFIDタグが配布される。
【0037】
また、店舗に設置されたRFIDリーダライタ210は、常に、通信エリア内にいるRFIDタグから情報を読み出すよう制御される。例えば、店舗システム20制御部201からの起動命令を受けて、RFIDリーダライタ210のRFID制御部211が、周期的に、読み出し要求を示す無線信号を送信するようRFIDアンテナ部212を制御することによって、RFIDアンテナ部212の通信エリア内にいるRFIDタグと交信可能にする。RFIDアンテナ部212の通信エリア内にいるRFIDタグは、RFIDアンテナ部212から送信される無線信号を受信し、要求に従ってデータメモリの読み出しを行い、結果を応答信号にして返信する。RFID制御部211が、RFIDアンテナ部212を介してRFIDタグから返信された応答信号を受信することで、RFIDタグに記憶された情報を読み出す。また、RFID制御部211は、読み出した情報を制御部201に送信する。
【0038】
店舗システム20の制御部201は、RFIDリーダライタ210にRFIDタグがかざされると、RFID制御部211から読み出した情報を受信する。制御部201は、RFID制御部211から受信した情報から、顧客用RFIDタグがかざされたことを検出すると、動作モード検出部202によって検出される動作モードに応じた動作を行う。制御部201は、例えば、RFID制御部211から受信した情報を動作モード検出部202にも転送されるよう制御した上で、RFID制御部211から受信した情報から、顧客用RFIDタグがかざされたことを検出した場合には、動作モード検出部202に現在の動作モードまたは実施するサービスを問い合わせる。または、動作モード検出部202が、自律的に動作モードを検出し、制御部201に通知してもよい。
【0039】
動作モード検出部202は、RFIDリーダライタ210が読み出した情報に基づいて、顧客用RFIDタグとサービス用RFIDタグとが組み合わされてかざされたか否かを検出することによって、その顧客に対し実施するサービスに対応した動作モードを検出する。また、動作モード検出部202は、検出した動作モードおよびその際サービス用RFIDタグから読み出された情報に基づいて、その顧客に対し実施するサービスを特定してもよい。
【0040】
動作モード検出部202は、例えば、RFIDリーダライタ210のマルチリード機能により読み出された情報に基づいて、RFIDアンテナ部212に、サービス用RFIDタグと顧客用RFIDタグとが同時にかざされたことを検出した場合には、サービス指定モードであるとして、その際サービス用RFIDタグから読み出されたサービスIDに基づいて、実施するサービスを特定してもよい。また、例えば、顧客RFIDタグがかざされた前後一定時間以内にサービス用RFIDタグがかざされたことを検出した場合にも、サービス指定モードであることを検出してもよい。また、例えば、顧客用RFIDタグがかざされた前後一定時間以内にサービス用RFIDタグがかざされたことを検出しなかった場合には、通常モードであるとして、通常のサービスを実施することを決定してもよい。
【0041】
例えば、図2に示すように、予め定められた金額よりも高額の商品を購入した顧客が顧客用RFIDタグ32をかざす際に、店員が、特定の顧客向けサービスを示すサービスIDが記憶されたサービス用RFIDタグ22をかざすことによって、動作モード検出部202は、特定の顧客向けサービスを実施することを決定する。なお、サービス用RFIDタグで特定されるサービス以外にも通常の処理と異なるサービスを行う場合には、各サービスに対応したRFIDタグを用意すればよい。なお、ここでいうサービスには、顧客に提供するサービスだけでなく、サービスを提供するためにセンタ側に要求する処理も含まれる。例えば、顧客情報を登録する入会処理をセンタ側に要求する入会処理サービスであってもよい。
【0042】
各サービスに対応したRFIDタグとして、複数あるサービスそれぞれに対応したサービスIDを記憶したサービス用RFIDタグを用意するだけでなく、例えば、かざされた際に行う処理毎に、異なる種別のサービス用RFIDタグを用意してもよい。異なる種別のサービス用RFIDタグの例としては、金額に応じて複数段階ある付加サービスをサービスIDで特定して要求する付加サービス用RFIDタグと、入会処理サービスを要求する入会用RFIDタグを用意することも考えられる。複数の種別のサービス用RFIDタグを用意する場合、動作モード検出部202は、顧客用RFIDタグと各サービス用RFIDタグとの組み合わせ毎に割り振られた動作モードを検出すればよい。
【0043】
動作モード検出部202は、動作モードを検出すると、動作モードを検出した旨の情報を制御部201に送信する。なお、動作モード検出部202は、動作モードを検出した際サービス用RFIDタグから読み出された情報を含めて送信してもよい。制御部201は、動作モード検出部202によって検出された動作モードに応じた処理を行う。
【0044】
図3に示す例では、金額に応じた付加サービスIDを記憶した付加サービス用RFIDタグと入会用RFIDタグとが用意された店舗システム20における動作の一例を示している。動作モード検出部202は、RFIDリーダライタ210が読み出した情報に基づいて、顧客用RFIDタグがかざされたか否かを検出する(ステップS1)。動作モード検出部202は、顧客用RFIDタグがかざされたことを検出した場合には(ステップS1のYes)、顧客用RFIDタグと組み合わされて他の種類のRFIDタグがかざされたか否かを確認する。動作モード検出部202は、まず、付加サービス用RFIDタグが組み合わされてかざされたか否かを確認する(ステップS2)。
【0045】
動作モード検出部202は、付加サービス用RFIDタグが組み合わされてかざされたことを検出すると(ステップS2のYes)、その顧客に対する動作モードが付加サービスを実施する動作モードであることを検出する。そして、動作モード検出部202は、付加サービスを実施する動作モードを検出した旨の情報を制御部201に送信する。なお、動作モード検出部202は、動作モードを検出した際に読み出された情報(付加サービス用RFIDタグに記憶されている付加サービスIDや顧客用RFIDタグに記憶されている識別情報)を含めて送信してもよい。
【0046】
制御部201は、動作モード検出部202から、付加サービスを実施する動作モードを検出した旨の情報を受信すると、所定の付加サービスを実施するための処理を行う(ステップS3)。制御部201は、例えば、動作モードが検出された際に読み出された付加サービスIDと識別IDとを含む付加サービス要求を、通信ネットワークを介してセンタ用コンピュータ10に送信する。
【0047】
センタ用コンピュータ10は、店舗システム20から付加サービス要求を受信すると、付加サービス要求に含まれる付加サービスIDによって指定された付加サービスを、識別IDが示す顧客に対し提供する。センタ用コンピュータ10は、例えば、センタ用コンピュータ10が備えるデータベースに記憶されている顧客情報から、付加サービス要求に含まれる識別IDに対応づけられた顧客の電子メールアドレスを取得する。そして、最新の商品情報とともに予め付加サービスIDに対応づけれられたサービス情報(例えば、特別な動画や高い割合の割引クーポン券)を本文に含む電子メールを作成し、取得した電子メールアドレス宛に送信する。なお、付加サービスがメール配信サービス等顧客情報を用いるようなサービスでない場合には、店舗システム20内で処理することも可能である。
【0048】
また、動作モード検出部202は、付加サービス用RFIDタグが組み合わされてかざされたことを検出しなかった場合には(ステップS2のNo)、入会用RFIDタグが組み合わされてかざされたか否かを確認する(ステップS4)。動作モード検出部202は、入会用RFIDタグが組み合わされてかざされたことを検出すると(ステップS4のYes)、その顧客に対する動作モードが入会処理サービスを実施する動作モードであることを検出する。そして、動作モード検出部202は、入会処理サービスを実施する動作モードを検出した旨の情報を制御部201に送信する。なお、動作モード検出部202は、動作モードを検出した際に読み出された情報(入会用RFIDタグに記憶されている情報や顧客用RFIDタグに記憶されている識別情報)を含めて送信してもよい。
【0049】
制御部201は、動作モード検出部202から、入会処理サービスを実施する動作モードを検出した旨の情報を受信すると、所定の入会処理サービスを実施するための処理を行う(ステップS5)。制御部201は、例えば、動作モードが検出された際に読み出された情報識別IDを含む入会処理要求を、通信ネットワークを介してセンタ用コンピュータ10に送信する。
【0050】
センタ用コンピュータ10は、店舗システム20から入会処理要求を受信すると、入会処理要求に含まれる識別IDと顧客との対応付け処理を行う。例えば、センタ用コンピュータ10は、入会処理要求を受信すると、その入会処理要求の送信元である店舗システム20が有する端末に、顧客情報を登録するための登録画面の画面情報を送信してもよい。
【0051】
店舗システム20が有する端末は、登録画面の画面情報を受信すると、登録画面を表示し、会員登録に必要な顧客情報(例えば、顧客の携帯電話機の電子メールアドレス)を入力させる。そして、端末は、顧客の画面操作に従って、入力された顧客情報をセンタ用コンピュータ10に送信する。センタ用コンピュータ10は、端末から受信した顧客情報と、その際の識別IDとを対応づけてデータベースに記憶することによって、入会処理を行う。
【0052】
また、動作モード検出部202は、いずれのサービス用RFIDタグも組み合わされてかざされたことを検出しなかった場合には(ステップS4のNo)、その顧客に対する動作モードは、通常のサービスを実施する動作モードであることを検出する。そして、動作モード検出部202は、通常のサービスを実施する動作モードを検出した旨の情報を制御部201に送信する。なお、動作モード検出部202は、動作モードを検出した際に読み出された情報(顧客用RFIDタグに記憶されている識別情報)を含めて送信してもよい。
【0053】
制御部201は、動作モード検出部202から、通常のサービスを実施する動作モードを検出した旨の情報を受信すると、所定の通常サービスを実施するための処理を行う(ステップS6)。制御部201は、例えば、動作モードが検出された際に読み出された識別IDを含む来客情報を、通信ネットワークを介してセンタ用コンピュータ10に送信する。
【0054】
センタ用コンピュータ10は、店舗システム20から来客情報を受信すると、来客情報に含まれる識別IDによって示される顧客に対し、通常のサービスを実施する。センタ用コンピュータ10は、来客情報を受信すると、センタ用コンピュータ10が備えるデータベースに記憶されている顧客情報から、来客情報に含まれる識別IDに対応づけられた顧客の電子メールアドレスを取得する。そして、最新の商品情報を本文に含む電子メールを作成し、取得した電子メールアドレス宛に送信する。なお、通常のサービスがメール配信サービス等の顧客情報を用いるようなサービスでない場合には、店舗システム20内で処理することも可能である。
【0055】
なお、本例では、その時々の購入金額に応じてサービスを切り替えて提供する場合を例に説明したが、特定の顧客向けにサービスを切り替えて提供するような場合には、例えば、サービス用RFIDタグを顧客用RFIDタグに付属させて取り付けられるような形状(例えば、携帯電話機用ストラップに取り付けられるキーホルダー等)にして顧客に配布してもよい。
【0056】
以上のように、本実施の形態によれば、複数のサービスを切り替えて提供するために、各店舗で別途機器を用意することなく、また、サービスを特定するためのRFIDタグを用意してかざすだけでよいので、簡単に、かつわかりやすい運用方法で実現することができる。また、センタ側でサービスを特定するための情報を全て管理する必要がないので、各店舗においてより自由度の高いサービスが提供できるうえ、新規サービスを導入するためのコストがサービスを提供しない店舗にまで及ぶこともない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、量販店等の店舗や商店街の店舗において複数の顧客向けサービスを提供するような、無線情報機器を用いる自動認識システムに好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施の形態による無線情報機器活用システムの構成例を示すブロック図。
【図2】RFIDリーダライタの実施例を示す説明図。
【図3】無線情報機器活用システムの動作例を示すフローチャート。
【図4】情報配信サービスを行う無線情報機器活用システムの構成例を示す概念図。
【図5】RFID内蔵ストラップの例を示す説明図。
【符号の説明】
【0059】
10 センタ用コンピュータ
20 店舗システム
201 制御部
202 動作モード検出部202
203 通信部
210 RFIDリーダライタ
211 RFID制御部
212 RFIDアンテナ部
22 サービス用RFIDタグ
32 顧客用RFIDタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線で情報媒体から情報を読み出す無線情報機器を用いてサービスを提供する無線情報機器活用システムであって、
無線情報機器が読み出した情報に基づいて、情報媒体が組み合わされて用いられたか否かを検出する情報媒体検出手段と、
前記情報媒体検出手段が検出した組み合わせおよび組み合わされた情報媒体に記憶された情報に基づいて、提供するサービスを特定するサービス特定手段と
を備えたことを特徴とする無線情報機器活用システム。
【請求項2】
情報媒体検出手段は、無線情報機器が、同時にまたは所定の時間以内に情報を読み出した場合に、情報を読み出された情報媒体が組み合わされて用いられたことを検出する請求項1記載の無線情報機器活用システム。
【請求項3】
情報媒体検出手段は、サービス対象者を識別する識別情報を記憶した対象者用情報媒体と、サービスを特定する特定情報を記憶したサービス用情報媒体とが組み合わされて用いられたか否かを検出し、
サービス特定手段は、前記情報媒体検出手段によって対象者用情報媒体とサービス用情報媒体とが組み合わされて用いられたことが検出された場合に、サービス用情報媒体に記憶された特定情報に基づいて特定されるサービスを提供することを決定し、対象者用情報媒体とサービス用情報媒体とが組み合わされて用いられたことが検出されなかった場合には、予め定められているサービスを提供することを決定する請求項1または請求項2記載の無線情報機器活用システム。
【請求項4】
無線で情報媒体から情報を読み出す無線情報機器を用いてサービスを提供する無線情報機器活用システムであって、
無線情報機器と接続される店舗端末と、前記店舗端末と通信ネットワークを介して接続される管理装置とを備え、
前記店舗端末は、
無線情報機器が読み出した情報に基づいて、情報媒体が組み合わされて用いられたか否かを検出する情報媒体検出手段と、
前記情報媒体検出手段が検出した組み合わせおよび組み合わされた情報媒体に記憶された情報に基づいて、提供するサービスを特定するサービス特定手段と、
前記サービス特定手段によって特定されたサービスを要求する旨の情報を前記管理装置に送信するサービス要求手段とを有し、
前記管理装置は、
店舗端末からの要求に応じて、サービスを実行するサービス実行手段
を備えたことを特徴とする無線情報機器活用システム。
【請求項5】
無線で情報媒体から情報を読み出す無線情報機器を用いてサービスを提供する無線情報機器活用方法であって、
無線情報機器が読み出した情報に基づいて、情報媒体が組み合わされて用いられたか否かを検出するステップと、
検出した組み合わせおよび組み合わされた情報媒体に記憶された情報に基づいて、提供するサービスを特定するステップと
を備えたことを特徴とする無線情報機器活用方法。
【請求項6】
無線で情報媒体から情報を読み出す無線情報機器と接続されるコンピュータに、
無線情報機器が読み出した情報に基づいて、情報媒体が組み合わされて用いられたか否かを検出する処理、および
検出した組み合わせおよび組み合わされた情報媒体に記憶された情報に基づいて、提供するサービスを特定する処理
を実行させるための無線情報機器活用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−249554(P2007−249554A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71565(P2006−71565)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】