説明

無線送信装置、制御プログラムおよび集積回路

【課題】非連続な周波数帯域を用いた伝送を行なう通信システムにおいて、必要最低限のMPRを適用する送信電力制御を行なう。
【解決手段】システム帯域内に少なくとも一つのスペクトルを割り当てると共に、送信電力制御を行なう無線送信装置であって、帯域割り当て情報に基づいて、スペクトルを非連続なクラスタに分割する分割部1051と、前記スペクトルまたはクラスタを割り当てる周波数帯域に応じて、スペクトルまたは各クラスタの送信電力を決定する電力制御量決定部1055と、前記スペクトルまたは各クラスタに対して、前記決定された送信電力で送信電力制御を行なう電力制御部1053と、前記送信電力制御されたスペクトルまたは各クラスタを前記帯域割り当て情報に基づいて、いずれかの周波数帯域に割り当てる割当部1057と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信電力制御の技術に関し、特に、必要以上のMPR(Maximum Power Reduction)を適用することを防ぐことができる無線送信装置、制御プログラムおよび集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
第3.9世代の携帯電話の無線通信システムであるLTE(Long Term Evolution)システムの標準化がほぼ終了し、最近では第4世代の無線通信システムの候補として、LTEシステムをより発展させたLTE−A(LTE-Advanced、IMT-Aなどとも称する。)の標準化が行なわれている。
【0003】
LTEシステムのアップリンク(移動局から基地局への通信)では、PAPR(Peak to Average Power Ratio)特性が良好となるスペクトルを連続的な周波数帯域に割り当てるDFT−S−OFDM(Discrete Fourier Transform Spread Orthogonal Frequency Division Multiplexing、SC-FDMAとも称される。)が採用されている。LTE−Aシステムでは、DFT−S−OFDMに加えて、クラスタ化した信号スペクトルを非連続な周波数帯域に配置するClustered DFT−S−OFDM(ダイナミックスペクトル制御(DSC:Dynamic Spectrum Control)、DFT-S-OFDM with SDC(Spectrum Division Control)とも呼称される。)を採用することが決定している。
【0004】
さらに、ピークデータレートを向上するために広帯域化することも決定しており、LTEシステムで使用するシステム帯域をコンポーネントキャリア(CC:Component Carrier,Primary Component Carrier,Secondary Component Carrierとも呼称される。)とし、複数CCを同時送信するキャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)を行なうことも決定している。アップリンクにおけるCAでのデータ伝送は、CC毎にそれぞれDFTにより生成した周波数信号を割り当てるマルチキャリア伝送のN×DFT−S−OFDMが採用されている。
【0005】
LTE−Aのアップリンクの伝送方式として採用されたClustered DFT−S−OFDMでは、1CC内で非連続にスペクトルを配置し、伝搬路の良い周波数を使用することで周波数選択ダイバーシチ利得が得られるため、周波数利用効率が向上する。一方、N×DFT−S−OFDMでは、非連続の周波数帯域にスペクトルを配置することになる複数のCCでの同時送信を行なうため、広帯域伝送を実現でき、ピークデータレートの向上が可能となる。
【0006】
しかしながら、このような非連続な周波数帯域を用いたデータ伝送では、特に離れた周波数帯域にスペクトルを配置する場合、帯域外輻射が大きくなることが問題となる(非特許文献1参照)。LTEシステムのアップリンクで連続的な周波数帯域でのデータ伝送が前提となっていることから、送信電力制御(TPC:Transmit Power Control)も連続的な周波数帯域による伝送に対して最適化されている。この帯域外輻射の問題は、この送信電力制御の方法をClustered DFT−S−OFDMやN×DFT−S−OFDMに適用することで生じる。このTPCに関して、非連続な周波数帯域によるデータ伝送に適した方法の検討が行なわれている。例えば、非連続に周波数帯域を用いる場合に、信号を割り当てる周波数の間隔により、MPR(Maximum Power Reduction)を変える方法などである(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】R1-101720, “LS on Simultaneous PUSCH and PUCCH and Clustered SC-FDMA”, RAN4.
【非特許文献2】R1-102033, “Influence of UE power back-off to system performance for clustered PUSCH transmission”, Panasonic
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、現在検討されている帯域外輻射の問題を解決するTPCは、非連続となる周波数帯域の間隔のみしか考慮されておらず、割り当て周波数帯域を考慮していないことから必要以上のMPRを適用してしまう可能性があり、通信品質が劣化する問題があった。
【0009】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、非連続な周波数帯域を用いた伝送を行なう通信システムにおいて、必要最低限のMPRを適用する送信電力制御を行なう無線送信装置、制御プログラムおよび集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の無線送信装置は、システム帯域内に少なくとも一つのスペクトルを割り当てると共に、送信電力制御を行なう無線送信装置であって、前記システム帯域内で、前記スペクトルを割り当てる周波数帯域に応じて、それぞれ異なる送信電力制御を行なうことを特徴とする。
【0011】
このように、システム帯域内で、前記スペクトルを割り当てる周波数帯域に応じて、それぞれ異なる送信電力制御を行なうので、帯域外輻射を軽減する必要最低限度の電力のみを下げることが可能となる。その結果、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことが可能となる。
【0012】
(2)また、本発明の無線送信装置は、前記システム帯域内で、スペクトルを分割した複数の部分スペクトルの少なくとも一つを割り当てる周波数帯域に応じて、それぞれ異なる送信電力制御を行なうことを特徴とする。
【0013】
このように、システム帯域内で、スペクトルを分割した複数の部分スペクトルの少なくとも一つを割り当てる周波数帯域に応じて、それぞれ異なる送信電力制御を行なうので、帯域外輻射を軽減する必要最低限度の電力のみを下げることが可能となる。その結果、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことが可能となる。
【0014】
(3)また、本発明の無線送信装置は、帯域割り当て情報に基づいて、スペクトルを非連続なクラスタに分割する分割部と、前記スペクトルまたはクラスタを割り当てる周波数帯域に応じて、スペクトルまたは各クラスタの送信電力を決定する電力制御量決定部と、前記スペクトルまたは各クラスタに対して、前記決定された送信電力で送信電力制御を行なう電力制御部と、前記送信電力制御されたスペクトルまたは各クラスタを前記帯域割り当て情報に基づいて、いずれかの周波数帯域に割り当てる割当部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
このように、スペクトルまたはクラスタを割り当てる周波数帯域に応じて、スペクトルまたは各クラスタの送信電力を決定し、前記スペクトルまたは各クラスタに対して、前記決定された送信電力で送信電力制御を行ない、前記送信電力制御されたスペクトルまたは各クラスタを帯域割り当て情報に基づいて、いずれかの周波数帯域に割り当てるので、帯域外輻射を軽減する必要最低限度の電力のみを下げることが可能となる。その結果、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことが可能となる。
【0016】
(4)また、本発明の無線送信装置は、前記スペクトルを割り当てる周波数帯域が、前記システム帯域の端部に近づくほど、大きく送信電力を下げることを特徴とする。
【0017】
このように、スペクトルを割り当てる周波数帯域が、前記システム帯域の端部に近づくほど、大きく送信電力を下げるので、帯域外輻射を軽減する必要最低限度の電力のみを下げることが可能となる。その結果、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことが可能となる。
【0018】
(5)また、本発明の無線送信装置は、システム帯域内に少なくとも二つのスペクトルを割り当てる場合、前記各スペクトルを割り当てる周波数帯域間の帯域幅が大きいほど、送信電力を下げることを特徴とする。
【0019】
このように、システム帯域内に少なくとも二つのスペクトルを割り当てる場合、前記各スペクトルを割り当てる周波数帯域間の帯域幅が大きいほど、送信電力を下げるので、帯域外輻射を軽減する必要最低限度の電力のみを下げることが可能となる。その結果、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことが可能となる。
【0020】
(6)また、本発明の無線送信装置は、システム帯域であるコンポーネントキャリア内に、スペクトルを複数に分割したクラスタを非連続的に割り当てる場合、前記クラスタを割り当てる周波数帯域またはリソースブロック毎に、送信電力を決定することを特徴とする。
【0021】
このように、システム帯域であるコンポーネントキャリア内に、スペクトルを複数に分割したクラスタを非連続的に割り当てる場合、前記クラスタを割り当てる周波数帯域またはリソースブロック毎に、送信電力を決定するので、帯域外輻射を軽減する必要最低限度の電力のみを下げることが可能となる。その結果、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことが可能となる。
【0022】
(7)また、本発明の無線送信装置は、システム帯域であるコンポーネントキャリアを複数用いるキャリアアグリゲーションを行なう場合であって、スペクトルを複数に分割したクラスタを非連続的に割り当てる場合、クラスタを割り当てる周波数帯域が、コンポーネントキャリアに含まれない周波数帯域に近づくほど、大きく送信電力を下げることを特徴とする。
【0023】
このように、システム帯域であるコンポーネントキャリアを複数用いるキャリアアグリゲーションを行なう場合であって、スペクトルを複数に分割したクラスタを非連続的に割り当てる場合、クラスタを割り当てる周波数帯域が、コンポーネントキャリアに含まれない周波数帯域に近づくほど、大きく送信電力を下げるので、複数のコンポーネントキャリアを伝送に用いるキャリアアグリゲーションにおいて、隣接するコンポーネントキャリア全体をシステム帯域とみなして送信電力制御を行なうことができる。これにより、帯域外輻射を軽減する必要最低限度の電力のみを下げることが可能となる。その結果、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことが可能となる。
【0024】
(8)また、本発明の無線送信装置は、システム帯域であるコンポーネントキャリアを複数用いるキャリアアグリゲーションを行なう場合であって、スペクトルを連続的に割り当てる場合、スペクトルを割り当てる周波数帯域が、コンポーネントキャリアに含まれない周波数帯域に近づくほど、大きく送信電力を下げることを特徴とする。
【0025】
このように、システム帯域であるコンポーネントキャリアを複数用いるキャリアアグリゲーションを行なう場合であって、スペクトルを連続的に割り当てる場合、スペクトルを割り当てる周波数帯域が、コンポーネントキャリアに含まれない周波数帯域に近づくほど、大きく送信電力を下げるので、複数のコンポーネントキャリアを伝送に用いるキャリアアグリゲーションにおいて、隣接するコンポーネントキャリア全体をシステム帯域とみなして送信電力制御を行なうことができる。これにより、帯域外輻射を軽減する必要最低限度の電力のみを下げることが可能となる。その結果、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことが可能となる。
【0026】
(9)また、本発明の無線送信装置は、同一スペクトルで送信電力の下げ幅が異なることを特徴とする。
【0027】
このように、同一スペクトルで送信電力の下げ幅が異なるので、帯域外輻射を軽減する必要最低限度の電力のみを下げることが可能となる。その結果、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことが可能となる。
【0028】
(10)また、本発明の無線送信装置は、前記送信電力制御を、データ信号または参照信号の少なくとも一方に対して行なうことを特徴とする。
【0029】
このように、送信電力制御を、データ信号または参照信号の少なくとも一方に対して行なうので、帯域外輻射を軽減する必要最低限度の電力のみを下げることが可能となる。その結果、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことが可能となる。
【0030】
(11)また、本発明の制御プログラムは、システム帯域内に少なくとも一つのスペクトルを割り当てると共に、送信電力制御を行なう無線送信装置の制御プログラムであって、帯域割り当て情報に基づいて、スペクトルを非連続なクラスタに分割する処理と、前記スペクトルまたはクラスタを割り当てる周波数帯域に応じて、スペクトルまたは各クラスタの送信電力を決定する処理と、前記スペクトルまたは各クラスタに対して、前記決定された送信電力で送信電力制御を行なう処理と、前記送信電力制御されたスペクトルまたは各クラスタを前記帯域割り当て情報に基づいて、いずれかの周波数帯域に割り当てる処理と、前記システム帯域内で、前記スペクトルを割り当てる周波数帯域に応じて、それぞれ異なる送信電力制御を行なう処理と、の一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴とする。
【0031】
このように、スペクトルまたはクラスタを割り当てる周波数帯域に応じて、スペクトルまたは各クラスタの送信電力を決定し、前記スペクトルまたは各クラスタに対して、前記決定された送信電力で送信電力制御を行ない、前記送信電力制御されたスペクトルまたは各クラスタを帯域割り当て情報に基づいて、いずれかの周波数帯域に割り当てるので、帯域外輻射を軽減する必要最低限度の電力のみを下げることが可能となる。その結果、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことが可能となる。
【0032】
(12)また、本発明の集積回路は、無線送信装置に実装されることによって、前記無線送信装置に複数の機能を発揮させる集積回路であって、帯域割り当て情報に基づいて、スペクトルを非連続なクラスタに分割する機能と、前記スペクトルまたはクラスタを割り当てる周波数帯域に応じて、スペクトルまたは各クラスタの送信電力を決定する機能と、前記スペクトルまたは各クラスタに対して、前記決定された送信電力で送信電力制御を行なう機能と、前記送信電力制御されたスペクトルまたは各クラスタを前記帯域割り当て情報に基づいて、いずれかの周波数帯域に割り当てる機能と、前記システム帯域内で、前記スペクトルを割り当てる周波数帯域に応じて、それぞれ異なる送信電力制御を行なう機能と、の一連の機能を、前記無線送信装置に発揮させることを特徴とする。
【0033】
このように、スペクトルまたはクラスタを割り当てる周波数帯域に応じて、スペクトルまたは各クラスタの送信電力を決定し、前記スペクトルまたは各クラスタに対して、前記決定された送信電力で送信電力制御を行ない、前記送信電力制御されたスペクトルまたは各クラスタを帯域割り当て情報に基づいて、いずれかの周波数帯域に割り当てるので、帯域外輻射を軽減する必要最低限度の電力のみを下げることが可能となる。その結果、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことが可能となる。
【発明の効果】
【0034】
本発明を適用することにより、必要以上のMPR(Maximum Power Reduction)を適用することを防ぎ、通信品質の劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る送信装置の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るマッピング部105の構成の一例を示すブロック図である。
【図3A】周波数領域の信号の割り当ての例を示す図である。
【図3B】周波数領域の信号の割り当ての例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る参照信号生成部107の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る1本の受信アンテナ201を有する受信装置である基地局の構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るデマッピング部217の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るCPOS(i)の決定方法の一例を説明するための図である。
【図8】本発明の第1の実施形態において、表1のクラスタの割り当てによる送信電力制御を行なった場合について示す図である。
【図9A】本発明の第1の実施形態に係る式(4)の送信電力制御を示す図である。
【図9B】本発明の第1の実施形態に係る式(4)の送信電力制御を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る送信装置の構成例を示すブロック図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る周波数領域の信号を割り当てた一例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係るCC信号受信部407Xの構成例を示すブロック図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係るクラスタ単位もしくは、RB単位での送信電力制御を説明するための図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る送信装置が周波数領域の信号を割り当てた一例を示す図である。
【図16A】本発明の第3の実施形態において、式(3)と表1を用いた送信電力制御を行なった一例について示す図である。
【図16B】本発明の第3の実施形態において、式(3)と表1を用いた送信電力制御を行なった一例について示す図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る送信電力制御について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、データ伝送を行なう送信装置を移動局とし、データを受信する受信装置を基地局とする伝送のアップリンクについて説明するが、ダウンリンク(基地局から移動局へ伝送)にも適用可能である。
【0037】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る送信装置の一例を示すブロック図である。ただし、本発明を説明するのに必要な最小限のブロック図としている。図1の送信装置では、受信装置より通知された制御情報を制御情報受信部101で受信する。制御情報には、データ伝送に用いる帯域割当情報や変調方式などが含まれる。また、この制御情報には、図1では省略されている符号化部で用いる符号化率の情報やTPCの制御量の情報が含まれても良い。制御情報受信部101は、受信した制御情報に含まれる変調多値数に関する情報を変調部103に入力し、帯域割当情報をマッピング部105と参照信号生成部107に入力する。変調部103は、誤り訂正符号化が施された符号ビットが入力され、QPSK(Quaternary Phase Shift Keying;四相位相偏移変調)、16QAM(16-ary Quadrature Amplitude Modulation;16直交振幅変調)などの変調のうち、制御情報受信部101より通知された変調多値数の変調を施す。変調部103から出力された変調シンボルをFFT部109で時間領域から周波数領域のデータ信号に変換し、変換されたデータ信号をマッピング部105へ出力する。
【0038】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るマッピング部105の構成の一例を示すブロック図である。マッピング部105は、制御情報受信部101から入力される帯域割当情報を基に、周波数領域の信号を非連続な周波数帯域に割り当てるクラスタに分割する。ただし、帯域割当情報により連続的な周波数帯域を用いた伝送を行なう場合には、分割部1051は入力信号をそのまま電力制御部1053に入力する。一方、電力制御量決定部1055は各クラスタが割り当てられる周波数帯域により、各クラスタの送信電力を決定する。ここで、送信電力の詳細な決定方法は後述する。また、分割された周波数領域信号のクラスタは、電力制御部1053において電力制御量決定部1055で決定された送信電力にし、割当部1057に出力する。割当部1057は、送信電力制御されたクラスタを制御情報として通知された帯域割当の情報に基づいて割り当てる。
【0039】
図3A、図3Bは、周波数領域の信号の割り当ての例を示す図である。図3A、図3Bはそれぞれ連続、非連続な帯域割当をした場合であり、LTEのDFT−S−OFDMでは図3Aの割当を行なう。また、LTE−Aで採用されたClustered DFT−S−OFDMは、図3Bの割当となる。このように帯域割当を行なった信号をマッピング部105から出力する。IFFT部115は、周波数領域のデータ信号を、時間領域の送信信号に変換し、この時間領域の信号を参照信号多重部117に対して出力する。参照信号多重部117は、時間領域において送信信号に対して参照信号生成部107から出力された参照信号を多重する処理を行なう。本例では、時間領域で参照信号を多重する構成としたが、周波数領域で参照信号を多重する構成としても良い。
【0040】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る参照信号生成部107の構成の一例を示すブロック図である。参照信号生成部107では、入力された送受信装置で既知の参照信号に対して、分割部1071から割当部1077までデータ信号と同様の処理を施す。割当部1077から出力された信号は、IFFT部1079で周波数領域から時間領域の信号に変換され、この時間領域の信号を参照信号生成部107より出力する。
【0041】
図1に戻り、参照信号が多重された信号は、送信処理部111でCP(Cyclic Prefix;サイクリックプレフィックス)が挿入され、D/A(Digital/Analog;ディジタル/アナログ)変換でアナログの信号に変換された後に無線周波数にアップコンバートされる。アップコンバートした後に、PA(Power Amplifier)で送信電力に増幅された後に送信アンテナ113から送信される。本例における送信装置は、アップリンクとして説明していることから移動局の例で説明したが、ダウンリンクでは基地局が送信装置になる。基地局が送信装置の場合には、制御情報受信部101では受信装置より制御情報として伝搬路情報を受信し、帯域割当などの制御情報を決定する。また、帯域割当などの制御情報を受信装置へ通知する為の制御情報送信部が図1に追加され、決定された制御情報が変調部103やマッピング部105に使用される。
【0042】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る1本の受信アンテナ201を有する受信装置である基地局の構成例を示すブロック図である。ただし、受信アンテナ201は複数有していても良い。受信装置では、送信装置からの信号を受信アンテナ201で受信し、受信処理部203においてベースバンド周波数にダウンコンバートし、A/D変換を行なうことでディジタル信号に変換し、ディジタル信号からサイクリックプレフィックスを除去する。受信処理部203から出力された信号は、参照信号分離部205で参照信号とデータ信号に分離され、参照信号は伝搬路推定部207へ、データ信号はFFT部209へ出力される。
【0043】
伝搬路推定部207は、送受信装置で既知の参照信号により、伝搬路の周波数応答を推定し、推定した伝搬路特性を制御情報生成部211と等化部213に出力する。制御情報生成部211は、送信装置がデータを送信する際の、帯域割当(周波数帯域の割当情報)、符号化率、変調方式、TPCの制御量などを決定する。制御情報送信部215は、決定した周波数帯域の割当情報、符号化率、変調方式、TPCの制御量等からなる制御情報を、フィードバックするための信号に変換し、変調部、無線部および送信アンテナを介して送信装置に通知する。また、制御情報生成部211は、周波数帯域の割当情報をデマッピング部217に入力する。一方、参照信号分離部205によって分離されたデータ信号は、FFT部209において時間領域の信号から周波数領域の信号に変換された後、デマッピング部217に出力される。
【0044】
図6は、本発明の第1の実施形態に係るデマッピング部217の構成例を示すブロック図である。図6のように、データ抽出部2171は、内部に記憶されている送信装置に対して前に通知した帯域割当情報に基づいて、FFT部209から入力された周波数領域の受信信号から、受信信号を抽出する。ここで、Clustered DFT−S−OFDMの様な非連続な周波数帯域に割り当てられたクラスタを抽出した場合はクラスタを結合部2173で結合し、出力する。また、DFT−S−OFDMのような連続的な周波数帯域を割り当てられた信号の受信処理では、結合部2173は何も行なわずにそのまま信号を出力する。
【0045】
等化部213は、デマッピング部217から出力された信号を、伝搬路推定部207から入力された伝搬路特性により、無線伝搬路の歪みを補償する等化処理を行ない、IFFT部219に出力する。ここで、等化処理は、MMSE(Minimum Mean Square Error)規範に基づく重みやZF(Zero Forcing)重み等を乗算するなどのことである。等化部213から入力された信号は、IFFT部219により周波数領域の信号から時間領域の信号に変換される。復調部221では、制御情報生成部211で伝搬路特性に基づいて決定し、送信装置へ通知した変調多値数の情報が記憶されており、変調多値数の情報を基にシンボルの復調を施し、符号ビットを得る。以上の処理により、送信装置より送信された符号ビットの受信処理を行なう。連続的な周波数帯域をデータ伝送に用いるDFT−S−OFDMにおける送信電力制御を式(1)に示す。
TXTOTAL=Min{PMAX,TXOP+TXCL} …(1)
【0046】
式(1)において、TXOPは送信装置が判断するオープンループTPCであり、使用するリソースブロック数やパスロス等が含まれている。ここで、リソースブロック(RB:Resource Block)とは、12サブキャリアをグループ化したものである。TXCLは制御情報で通知されるクローズドループTPCである。PMAXは送信装置の最大送信電力である。また、Minは{}内で小さい値を選ぶものとする。
【0047】
Clustered DFT−S−OFDMのような非連続な周波数帯域を使用する場合に、式(1)の送信電力制御を行なうと、各々のクラスタの送信電力は式(2)となる。
TX(i)=10log10(TX’TOTAL×{CSIZE(i)/NRB}) …(2)
【0048】
式(2)は、i番目のクラスタの送信電力であり、CSIZE(i)はi番目のクラスタの帯域幅であり、NRBはすべてのクラスタの合計した帯域幅である。また、TX’TOTALは、次式より表される。
TX’TOTAL=10^(TXTOTAL/10) …(2’)
【0049】
ただし、A^BはAを底とし、Bを冪指数とする冪乗の演算を示す。ここで、本実施形態における電力制御量決定部1055では、クラスタ毎の送信電力を式(3)で決定する。
TX(i)=10log10(TX’TOTAL×{CSIZE(i)/NRB})−CPOS(i) …(3)
ただし、CPOS(i)は、i番目のクラスタの帯域割当によって、決定される。
【0050】
図7は、本発明の第1の実施形態に係るCPOS(i)の決定方法の一例を説明するための図である。図7は、データの伝送に用いることができるシステム帯域Aを帯域B、帯域C、帯域D、…とシステム帯域の端から、帯域幅に応じて決定されているものとする。このような場合、よりシステム帯域の端にクラスタを配置すると3次高調波による帯域外輻射の問題が大きくなるため、CPOS(i)を決定方法の一例として、表1の様にする。ただし、C>C>Cとする。
【0051】
【表1】


図8は、本発明の第1の実施形態において、表1のクラスタの割り当てによる送信電力制御を行なった場合について示す図である。ここで、クラスタの帯域幅であるクラスタサイズのCSIZE(i)は、RBの整数倍とする。本図では、第1のクラスタが帯域Bに割当が行なわれるため、送信電力をC下げる。また、同様に第2、第3のクラスタは送信電力をC下げ、第4のクラスタは送信電力をC下げる。ここで、システム帯域Aの中心付近の周波数帯域では帯域外輻射の影響は小さいため、電力を下げなくても良い。例えば、帯域D、帯域Dでは、C=0としても良い。また、クラスタが帯域B、Cに跨って割り当てる場合には、RBインデックスの最小値もしくは最大値、平均値のいずれかにより決定しても良いし、システム帯域の最も端に近いRBインデックスの値から決めても良い。また、CPOS(i)はクラスタ単位での送信電力制御において、送信電力を下げるのみではなく、CPOS(i)<0とする送信電力を上げる制御をしても良い。例えば、システム帯域の端に割り当てるクラスタには、送信電力を下げ、システム帯域の端以外に割り当てるクラスタは送信電力を上げることをしても良い。
【0052】
POS(i)の決定方法は、上記の例に限らず、式(4)により決定しても良い。
POS(i)=Max{0,CPMAX+(−1)α×β×RBidx(i)}…(4)
【0053】
ただし、Max{A,B}はAとBで大きい値を選ぶものとし、CPMAXは1クラスタ当たりで下げる電力の最大値であり、図8ではCに相当する。RBidx(i)はクラスタを割り当てるRBインデックスとする。クラスタのRBインデックスは、クラスタが複数のRBから構成される場合、最小値もしくは最大値、平均値のいずれかにより決定しても良いし、システム帯域の最も端に近いRBインデックスの値から決めても良い。αは、表2で定義される。
【0054】
【表2】


TOTALは、システム帯域A内のRB数とする。βは、式(5)で表される値とする。
β=|CPMAX−MRPMIN|/MRPRB …(5)
【0055】
ただし、MRPMINは1クラスタ当たりで下げる電力の最小値であり、MRPRBはCPMAXだけ電力を下げる必要のあるシステム帯域の端のRBからMRPMINを適用するRBまでのRB数とする。そのため、βは、1RB当たりの送信電力制御量の差分を表す。
【0056】
図9A、図9Bは、本発明の第1の実施形態に係る式(4)の送信電力制御を示す図である。電力制御量決定部1055は、図9A、図9Bのように制御し、βはCPOS(i)の傾きの絶対値となる。図9Bにおけるmは、NTOTAL/2である。また、式(4)の送信電力制御の場合に、クラスタで同一のCPOS(i)である必要はなく、RB単位で送信電力制御しても良い。RB単位で送信電力制御をする場合は、式(6)を適用する。
POS(i,k)=Max{0,CPMAX+(−1)α×β×RBidx(i,k)}
…(6)
【0057】
POS(i,k)は、i番目のクラスタ内におけるk番目のRBインデックスの送信電力制御する値であり、RBidx(i,k)は、i番目のクラスタ内におけるk番目のRBインデックスである。
【0058】
本実施形態では、シングルキャリアのスペクトルを非連続な周波数帯域に割り当てるClustered DFT−S−OFDMにおける例について説明したが、OFDM等のマルチキャリア伝送にも適用可能である。また、本実施形態では、常にクラスタ単位での送信電力制御を行なう例について説明したが、式(1)の送信電力制御を適用し、式(1)で所定の電力以上となる場合や、クラスタがシステム帯域の端に割り当てられた場合、クラスタ数が所定の数以下の場合などの限定的な場合のみに式(3)と、式(4)もしくは、式(6)のいずれかによる送信電力制御を適用してもよい。また、本実施形態では、1CC内で非連続な帯域割り当ての場合にクラスタ単位での送信電力制御の例について説明したが、連続的な帯域割り当ての場合に、スペクトルの一部である部分スペクトル単位で本実施形態の送信電力制御を適用して良い。
【0059】
以上の様にクラスタの割り当てもしくは、クラスタを割り当てるRBにより、それぞれ異なる送信電力制御を適用し、帯域外輻射を軽減する必要最低限の電力のみ下げることができる。そのため、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことができる。
【0060】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、複数のCCを同時送信するCAと、1CC内でシングルキャリアのスペクトルを非連続な周波数帯域に割り当てるClustered DFT−S−OFDMを併用する場合について説明する。
【0061】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る送信装置の構成例を示すブロック図である。図10における送信装置では、複数のCCに対して伝送を行なう構成であり、本実施形態では、伝送に用いるCC数を簡単の為に2として、CC#1とCC#2の構成される場合について説明する。変調部303−1には、CC#1を用いて伝送を行なう符号化されたデータビットが入力され、変調部303−2はCC#2を用いて伝送を行なう符号化されたデータビットが入力されるものとする。変調部303−1から参照信号多重部317−1までの処理と、変調部303−2から参照信号多重部317−2までの処理が図1の変調部103から参照信号多重部117までの処理と同様のため、説明を省略する。
【0062】
信号加算部319には、参照信号多重部317−1よりCC#1を用いて伝送を行なう参照信号が多重された時間領域の信号が入力され、参照信号多重部317−2よりCC#2を用いて伝送を行なう参照信号が多重された時間領域の信号が入力される。入力されたCC#1とCC#2の信号は、信号加算部319でej2πftを乗算後に加算され、送信処理部311で送信処理部111と同様の処理が施され、送信アンテナ313より送信される。ただし、ej2πftのfは各CCの周波数分だけシフトするものである。
【0063】
図11は、本発明の第2の実施形態に係る周波数領域の信号を割り当てた一例を示す図である。各CCで周波数領域の信号を分割してクラスタ化し、非連続な周波数帯域を割り当て、伝送を行なう。
【0064】
図12は、本発明の第2の実施形態に係る受信装置の構成例を示すブロック図である。受信装置では、複数のCCに配置された信号を受信アンテナ401で受信し、受信処理部403で受信処理部203と同様の処理を施す。参照信号分離部405では、受信処理部403より入力された複数のCCで伝送された信号から参照信号を分離し、CC#1で伝送された参照信号をCC信号受信部407Xに出力し、CC#2で伝送された参照信号をCC信号受信部407Yに出力する。また、参照信号分離部405で分離されたデータ信号は、FFT部409に入力され、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換された後に、CC#1で伝送されたデータはCC信号受信部407Xに出力され、CC#2で伝送されたデータはCC信号受信部407Yに出力される。
【0065】
図13は、本発明の第2の実施形態に係るCC信号受信部407Xの構成例を示すブロック図である。CC信号受信部407XとCC信号受信部407Yは同様の処理を行なうため、ここではCC信号受信部407Xのみを示す。CC信号受信部407Xでは、CC#1で伝送された参照信号とデータがそれぞれ伝搬路推定部501とデマッピング部503へ入力される。伝搬路推定部501から制御情報送信部507では、伝搬路推定部207から制御情報送信部215と同様の処理を施す。また、デマッピング部503から復調部513においても、デマッピング部217から復調部221と同様の処理を施し、復調データを得る。
【0066】
図14は、本発明の第2の実施形態に係るクラスタ単位もしくは、RB単位での送信電力制御を説明するための図である。図14は、伝送可能な周波数帯域をCC#1とCC#2とし、それぞれのCCは隣接する周波数帯域とする。この場合、CC#1の周波数帯域もしくはCC#2の周波数帯域以外への3次高調波による帯域外輻射を、式(3)の送信電力制御により低減する。ただし、複数のCCによる伝送を行なう場合には、CPOS(i)の決定方法が第1の実施形態と異なる。本実施形態では、図14に示す通りに隣接するCC#1の周波数帯域とCC#2の周波数帯域をシステム帯域とみなし、帯域B、帯域C、帯域D、…とシステム帯域の端から帯域幅に応じて表(1)の様にCPOS(i)を決定する。ただし、C>C>Cとする。
【0067】
POS(i)の決定方法は、上記の例に限らず、式(4)により決定しても良い。式(4)のクラスタのRBインデックスは、クラスタが複数のRBから構成される場合、最小値もしくは最大値、平均値のいずれかにより決定しても良いし、システム帯域の最も端に近いRBインデックスの値から決めても良い。また、式(4)の送信電力制御の場合に、クラスタで同一のCPOS(i)である必要はなく、式(6)のRB単位での送信電力制御としても良い。
【0068】
本実施形態では、シングルキャリアのスペクトルを非連続な周波数帯域に割り当てるClustered DFT−S−OFDMにおける例について説明したが、OFDM等のマルチキャリア伝送にも適用可能である。以上の様に複数のCCを伝送に用いるCAの場合において、隣接するCC全体をシステム帯域と見なし、クラスタの割り当てもしくは、クラスタを割り当てるRBにより、それぞれ異なる送信電力制御を適用し、帯域外輻射を軽減する必要最低限の電力のみ下げることができる。そのため、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことができる。
【0069】
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、複数のCCを伝送に用い、1CC内でシングルキャリアのスペクトルを連続的に割り当てるN×DFT−S−OFDMにおける場合について説明する。本実施形態における送信受信装置の構成例は、第2の実施形態と同様に図10と図12となる。
【0070】
図15は、本発明の第3の実施形態に係る送信装置が周波数領域の信号を割り当てた一例を示す図である。送信装置は、CC内でDFT−S−OFDMによるシングルキャリア伝送を行なうが、同時に複数のCCを使用するため、マルチキャリア伝送となる。本実施形態における送信電力制御に式(3)を適用するが、本実施形態ではクラスタ化を行なわないため、CSIZE(i)=NRBとなり、式(7)となる。
TX(i)=10log10(TX’TOTAL)−CPOS(i) …(7)
【0071】
また、CPOS(i)を図14のように帯域B、帯域C、帯域D、…とシステム帯域の端から帯域幅に応じて表(1)を用いて決定する。CPOS(i)の決定方法は、上記の例に限らず、式(4)により決定しても良い。式(4)のRBインデックスは、連続的なDFT−S−OFDMの信号が複数のRBから構成される場合、最小値もしくは最大値、平均値のいずれかにより決定しても良いし、システム帯域の最も端に近いRBインデックスの値から決めても良い。また、式(4)の送信電力制御の場合に、DFT−S−OFDMの信号で同一のCPOS(i)である必要はなく、式(6)のRB単位での送信電力制御としても良い。
【0072】
図16A、図16Bは、本発明の第3の実施形態において、式(3)と表1を用いた送信電力制御を行なった一例について示す図である。図16Aは、送信電力制御を行なっていない場合であり、図16Bは式(3)と表1を用いた送信電力制御を行なった場合である。本実施形態では、DFT−S−OFDMの信号の一部である部分スペクトル単位でCPOS(i)を適用するため、連続的に割り当てられたDFT−S−OFDMの信号に対し、本図のように一律でない送信電力制御が行なわれる。CC#1の周波数帯域に割り当てられた周波数領域の信号では、帯域Bに割り当てられている部分スペクトルがCPOS(i)=Cだけ電力を下げ、帯域Cに割り当てられている部分スペクトルはCPOS(i)=Cだけ電力を下げる。
【0073】
本実施形態では、図16Bの様に、割り当て周波数帯域により異なる送信電力制御を適用し、同一スペクトルでも部分スペクトル単位でC、C、Cのいずれかを適用したが、これに限らない。例えば、同一スペクトルでもRB単位で送信電力制御を行なうのではなく、連続的なスペクトルの割り当てで最もシステム帯域の端のRBの送信電力制御を行なっても良い。その一例として、連続的な割当でCとCを適用する帯域にスペクトルを割り当てる場合には、C>Cであることから最も電力を下げる量が大きいCを連続的なスペクトルに一律で適用する、などである。また、部分スペクトル単位の送信電力制御ではなく、式(6)によるRB単位でCPOS(i)を決定する送信電力制御を行なっても良い。
【0074】
以上の様に複数のCCを伝送に用いるCAの場合において、隣接するCC全体をシステム帯域と見なし、連続的なスペクトルを割り当てRBにより、それぞれ異なる送信電力を適用し、帯域外輻射を軽減する必要最低限の電力のみ下げることができる。そのため、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことができる。
【0075】
[第4の実施形態]
第4の実施形態では、1CC内で非連続な周波数帯域に割り当てるClustered DFT−S−OFDMの送信電力制御において、クラスタを割り当てる周波数帯域とクラスタ間の帯域幅により送信電力制御を行なう一例について説明する。本実施形態では、1CCの場合について説明するが、CAの場合にも同様に適用可能である。本実施形態における送信受信装置の構成例は、1CCの場合は図1と図5と同様であり、CAの場合には図10と図12と同様になる。
【0076】
図17は、本発明の第4の実施形態に係る送信電力制御について説明するための図である。図17では、第1〜第4のクラスタを割り当て、クラスタ(i)とクラスタ(j)の間の帯域幅をWijと表す。例えば、第1のクラスタと第2のクラスタの間隔の帯域幅はW12となる。3次高調波による帯域外輻射の問題は、システム帯域の端に割り当てが行なわれ、さらにクラスタ間の帯域幅が広い場合により影響が大きくなる。そのため、本実施形態における送信電力制御は式(3)に加えて、さらにクラスタの間隔の帯域幅も考慮するC(i)を追加した式(8)により行なう。
TX(i)=TX’TOTAL×{CSIZE(i)/NRB}−CPOS(i)+C(i)
…(8)
【0077】
ここで、CPOS(i)を図17のように帯域B、帯域C、帯域D、…とシステム帯域の端から帯域幅に応じて表1を用いて決定する。また、C(i)は、i番目のクラスタとその他のクラスタとの帯域幅Wijの中で最も小さい値のmin(Wij)により表3で決定する。
【0078】
【表3】


ただし、C(i)は、常に|CPOS(i)|>|C(i)|を満たすものとし、CW1=0<CW2<CW3となるように送信電力制御量を決定する。γ、γ、γは、クラスタ間の帯域幅により送信電力制御を行なう閾値とし、クラスタ間の帯域幅が広い場合に帯域外輻射の問題が大きく影響するため、1>γ>γ>γ>0を満たす。例えば、γ=0.5、γ=0.3であれば、クラスタ間の帯域幅がシステム帯域の50%以上となる場合には(CPOS(i)−CW1)だけ送信電力を下げ、クラスタ間の帯域幅がシステム帯域の30%以上かつ半分未満の場合に(CPOS(i)−CW2)だけ送信電力を下げる。また、min(Wij)は、jをj≠iを満たす任意のクラスタとした場合のWijの最小値である。例えば、図17の様にW13>W23>W34をみたす場合にはmin(W3j)=W34となる。このように、システム帯域の端にクラスタが割り当てられ、クラスタ間の帯域幅がより広い場合に、より送信電力を下げるように制御を行なう。
【0079】
式(8)のCPOS(i)の決定方法は、表1の方法に限らず、式(4)を適用しても良い。式(4)のクラスタのRBインデックスは、クラスタが複数のRBから構成される場合、最小値もしくは最大値、平均値のいずれかにより決定しても良いし、システム帯域の最も端に近いRBインデックスの値から決めても良い。また、式(4)の送信電力制御の場合に、クラスタで同一のCPOS(i)である必要はなく、式(6)のRB単位での送信電力制御としても良い。
【0080】
本実施形態では、シングルキャリアのスペクトルを非連続な周波数帯域に割り当てるClustered DFT−S−OFDMにおける例について説明したが、OFDM等のマルチキャリア伝送にも適用可能である。また、1CCにおける実施形態について説明したが、複数のCCを伝送に用いるCAにも適用可能であり、複数の隣接するCCをシステム帯域と見なし、本実施形態の送信電力制御を行なっても良い。
【0081】
以上の様にクラスタの割り当てもしくは、クラスタを割り当てるRBと、クラスタ間の帯域幅により、それぞれ異なる送信電力制御を適用し、帯域外輻射を軽減する必要最低限の電力のみ下げることができる。そのため、非連続な周波数帯域を用いた伝送時に、必要以上に電力を下げることによる通信品質の低下を防ぐことができる。
【0082】
本発明に関わる移動局装置および基地局装置で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。
【0083】
また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。
【0084】
また、上述した実施形態における移動局装置および基地局装置の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。移動局装置および基地局装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0085】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
101 制御情報受信部
103 変調部
105 マッピング部
107 参照信号生成部
109 FFT部
111 送信処理部
113 送信アンテナ
115 IFFT部
117 参照信号多重部
201 受信アンテナ
203 受信処理部
205 参照信号分離部
207 伝搬路推定部
209 FFT部
211 制御情報生成部
213 等化部
215 制御情報送信部
217 デマッピング部
219 IFFT部
221 復調部
301 制御情報受信部
303−1、303−2 変調部
305−1、305−2 マッピング部
307 参照信号生成部
309−1、309−2 FFT部
311 送信処理部
313 送信アンテナ
315−1、315−2 IFFT部
317−1、317−2 参照信号多重部
319 信号加算部
401 受信アンテナ
403 受信処理部
405 参照信号分離部
407X、407Y CC信号受信部
409 FFT部
501 伝搬路推定部
503 デマッピング部
505 制御情報生成部
507 制御情報送信部
509 等化部
511 IFFT部
513 復調部
1051 分割部
1053 電力制御部
1055 電力制御量決定部
1057 割当部
1071 分割部
1073 電力制御部
1075 電力制御量決定部
1077 割当部
1079 IFFT部
2171 データ抽出部
2173 結合部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム帯域内に少なくとも一つのスペクトルを割り当てると共に、送信電力制御を行なう無線送信装置であって、
前記システム帯域内で、前記スペクトルを割り当てる周波数帯域に応じて、それぞれ異なる送信電力制御を行なうことを特徴とする無線送信装置。
【請求項2】
前記システム帯域内で、スペクトルを分割した複数の部分スペクトルの少なくとも一つを割り当てる周波数帯域に応じて、それぞれ異なる送信電力制御を行なうことを特徴とする請求項1記載の無線送信装置。
【請求項3】
帯域割り当て情報に基づいて、スペクトルを非連続なクラスタに分割する分割部と、
前記スペクトルまたはクラスタを割り当てる周波数帯域に応じて、スペクトルまたは各クラスタの送信電力を決定する電力制御量決定部と、
前記スペクトルまたは各クラスタに対して、前記決定された送信電力で送信電力制御を行なう電力制御部と、
前記送信電力制御されたスペクトルまたは各クラスタを前記帯域割り当て情報に基づいて、いずれかの周波数帯域に割り当てる割当部と、を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の無線送信装置。
【請求項4】
前記スペクトルを割り当てる周波数帯域が、前記システム帯域の端部に近づくほど、大きく送信電力を下げることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の無線送信装置。
【請求項5】
システム帯域内に少なくとも二つのスペクトルを割り当てる場合、前記各スペクトルを割り当てる周波数帯域間の帯域幅が大きいほど、送信電力を下げることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の無線送信装置。
【請求項6】
システム帯域であるコンポーネントキャリア内に、スペクトルを複数に分割したクラスタを非連続的に割り当てる場合、前記クラスタを割り当てる周波数帯域またはリソースブロック毎に、送信電力を決定することを特徴とする請求項4記載の無線送信装置。
【請求項7】
システム帯域であるコンポーネントキャリアを複数用いるキャリアアグリゲーションを行なう場合であって、スペクトルを複数に分割したクラスタを非連続的に割り当てる場合、クラスタを割り当てる周波数帯域が、コンポーネントキャリアに含まれない周波数帯域に近づくほど、大きく送信電力を下げることを特徴とする請求項4記載の無線送信装置。
【請求項8】
システム帯域であるコンポーネントキャリアを複数用いるキャリアアグリゲーションを行なう場合であって、スペクトルを連続的に割り当てる場合、スペクトルを割り当てる周波数帯域が、コンポーネントキャリアに含まれない周波数帯域に近づくほど、大きく送信電力を下げることを特徴とする請求項4記載の無線送信装置。
【請求項9】
同一スペクトルで送信電力の下げ幅が異なることを特徴とする請求項8記載の無線送信装置。
【請求項10】
前記送信電力制御を、データ信号または参照信号の少なくとも一方に対して行なうことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の無線送信装置。
【請求項11】
システム帯域内に少なくとも一つのスペクトルを割り当てると共に、送信電力制御を行なう無線送信装置の制御プログラムであって、
帯域割り当て情報に基づいて、スペクトルを非連続なクラスタに分割する処理と、
前記スペクトルまたはクラスタを割り当てる周波数帯域に応じて、スペクトルまたは各クラスタの送信電力を決定する処理と、
前記スペクトルまたは各クラスタに対して、前記決定された送信電力で送信電力制御を行なう処理と、
前記送信電力制御されたスペクトルまたは各クラスタを前記帯域割り当て情報に基づいて、いずれかの周波数帯域に割り当てる処理と、
前記システム帯域内で、前記スペクトルを割り当てる周波数帯域に応じて、それぞれ異なる送信電力制御を行なう処理と、の一連の処理を、コンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化したことを特徴とする制御プログラム。
【請求項12】
無線送信装置に実装されることによって、前記無線送信装置に複数の機能を発揮させる集積回路であって、
帯域割り当て情報に基づいて、スペクトルを非連続なクラスタに分割する機能と、
前記スペクトルまたはクラスタを割り当てる周波数帯域に応じて、スペクトルまたは各クラスタの送信電力を決定する機能と、
前記スペクトルまたは各クラスタに対して、前記決定された送信電力で送信電力制御を行なう機能と、
前記送信電力制御されたスペクトルまたは各クラスタを前記帯域割り当て情報に基づいて、いずれかの周波数帯域に割り当てる機能と、
前記システム帯域内で、前記スペクトルを割り当てる周波数帯域に応じて、それぞれ異なる送信電力制御を行なう機能と、の一連の機能を、前記無線送信装置に発揮させることを特徴とする集積回路。




【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−4829(P2012−4829A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137639(P2010−137639)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】