説明

無線通信システム、中継局装置及び無線通信方法

【課題】中継局装置によって無線ネットワークコーディングを行う場合に、スループットをより向上させることができる無線通信システムを提供する。
【解決手段】中継局装置は、受信した前記パケットから情報と、情報の種別を示す種別情報を抽出し、記憶部に関連付けて記憶する。記憶制御部は、無線局のいずれかからパケットを受信した際、記憶された種別情報と、該パケットから抽出された種別情報とに基づいて判定し、同じ種別情報に関連付けられた情報が前記記憶部に存在しないと判定される第1状態の場合に、該パケットから抽出された情報と種別情報とを関連付けて記憶部に記憶させ、同じ種別情報に関連付けられた情報が記憶部に存在すると判定される第2状態の場合に、記憶された情報を記憶部から出力する。符号化部は、第2状態の場合、記憶部から出力された情報と、パケットから抽出された情報とに基づいて符号化した情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継局装置を用いて無線局間の無線通信を中継する無線通信システム、中継局装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信のサービスエリアを簡易に拡張できる無線通信手段として、無線局間の通信を、中継局を介して行うマルチホップ無線通信システムがある。中継局を介することによりサービス提供エリアが拡大されるだけでなく、各無線局間の通信距離が短縮されるため、送信電力の削減が可能となる。しかし、中継局が多段接続されると、周波数・伝送時間等のリソースを複数の中継局でシェアすることになり、スループットのボトルネックが生じることからシステム全体のスループットが低下する問題がある。
ここで、中継伝送時のデータ伝送効率を向上する技術としてネットワークコーディング(NC)技術が注目を集めている(例えば、非特許文献1参照)。NCとは、中継局が複数の無線局から受信した信号を重畳して同報送信することで効率的に信号伝送を実現する技術である。中継局からの信号を受信した無線局は、受信信号から自身が保持している信号を除去し、送信元の局からの信号を取り出すことができる。NCを行うことにより、中継局−各無線局間の情報伝送に必要とされる信号送信回数を低減できることから、スループットが向上する。無線LAN(Local Area Networks)などのCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)に基づいた無線通信システムへのNC技術導入も検討されている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-206778号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Sachin Katti, Hariharan Rahul, et al.,“XORs in The Air: Practical Wireless Network Coding,” in Proc. ACM SIGCOMM 2006, Pisa, Italy, pp.243-254 Sep.2006.
【非特許文献2】C.H. Huang et al., “Performance analysis of a two-hop wireless relay network with CSMA/CA and network coding,” in Proc. ITC-CSCC 2009, July 2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IEEE802.11無線LANに基づいて動作するAlice & Bobトポロジの無線通信システム(図5)に、NC技術を適用する場合について説明する。NCにおける信号の重畳手法は、線形符号化などが適用される。ここでは、線形符号化に排他的論理和(XOR)を適用する。以降、無線局Aが送る情報をa、無線局Bが送る情報をbと称する。
【0006】
無線局Aが情報aを変調して生成したパケットA1を中継局装置Rへ送信する場合を例示する(図6)。
中継局装置Rは、パケットA1を送受信部111により受信し、復調部112aにより情報aへと復調する。情報aを入力された情報記憶制御部114aは、記憶部12に情報bが存在するかどうかを判定する。
情報bが存在しない場合、情報aは送信元情報と関連付けられて記憶部12に記憶され、その後中継局装置Rは他のパケットを受信するまで待機を行う。一方情報bが存在する場合、情報記憶制御部114aは情報bを出力する。その後、情報長調整部115において情報a及びbの長さを同一とし、線形符号化部116において情報aと情報bとのXORを取ることにより情報xを生成する。情報xは変調部117によりパケットX1へと変換される。パケットX1は、送受信部111により無線局A及びBに対して同報送信される。
【0007】
無線局Bが情報bを変調して生成したパケットB1を中継局装置Rへ送信する場合も同様の動作を行う。
中継局装置Rは、パケットB1を送受信部111により受信し、復調部112bにより情報bへと復調する。情報bを入力された情報記憶制御部114bは、記憶部12に情報aが存在するかどうかを判定する。
情報aが存在しない場合、情報bは送信元情報と関連付けられて記憶部12に記憶され、その後中継局装置Rは他のパケットを受信するまで待機を行う。一方情報aが存在する場合、情報記憶制御部114bは情報aを出力する。その後、情報長調整部115において情報a及びbの長さを同一とし、線形符号化部116において情報aと情報bとのXORを取ることにより情報xを生成する。情報xは変調部117によりパケットX1へと変換される。パケットX1は、送受信部111により無線局A及びBに対して同報送信される。
【0008】
中継局装置Rからの信号を受信した無線局Aでは、パケットX1を復調して得られる情報xと既知の情報aとのXORを取ることにより、所望の情報bが復号される。無線局Bにおいても、X1を復調して得られる情報xと既知の情報bとのXORを取ることにより、所望の情報aが復号される。
【0009】
ここで、例えばIP(インターネットプロトコル)においては、情報長を既定の上限値以下の範囲で任意に設定することが可能である。このIPレイヤと、下位レイヤ(データリンクレイヤならびに・物理レイヤ)の間で透過性を持たせたEthernet (登録商標)においても、上位レイヤが可変情報長をサポートするIPなどを前提にしているため、同様に情報長は可変であり、Ethernet(登録商標)の無線版的位置づけであるIEEE802.11系無線LANシステムにおいても、同様に可変情報長を前提としている。したがって、無線システムで伝送される情報長は必ずしも一定ではない。
【0010】
このため、NCを行うには、対象となる2つの情報の長さを一定とする必要がある。先に説明した例においても、NCにより生成される情報X1の長さは、情報aと情報bのうち情報長が長いものと等しくなるよう調整される。例えば、情報aの方が情報bより長いとすると、情報bに対してはNCを行う前段階において、情報を持たないビット系列(以後、調整用ビットと称する)を付加するゼロパディング等の処理により、情報長をaと同一にした上でNCを行う。
この様子を図7に示す。この際生じる調整用ビットは情報を含んでいない。このため、NCの効率が低下し、スループットが低下するという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、無線局間の無線中継を行う中継局装置を備え、パケット単位で無線信号の送受信を行う無線通信システムにおいて、中継局装置によってNCを行う場合に、スループットをより向上させることができる無線通信システム、中継局装置及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、無線局間の無線中継を行う中継局装置と、前記中継局装置を介して異なる情報量を含むパケットの無線信号の送受信を行う複数の無線局を備えた無線通信システムであって、前記無線局及び前記中継局装置は、パケット単位で無線信号の送受信を行い、前記中継局装置は、受信した前記パケットから情報と、前記情報の種別を示す種別情報を抽出する情報抽出部と、前記情報と前記種別情報とを関連付けて記憶する記憶部と、前記無線局のいずれかから前記パケットを受信した際、前記記憶された種別情報と、該パケットから抽出された種別情報とが一致せず、前記同じ種別情報に関連付けられた情報が前記記憶部に存在しないと判定される第1状態の場合に、該パケットから抽出された前記情報と前記種別情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させ、前記記憶された種別情報と、該パケットから抽出された種別情報とが一致して、前記同じ種別情報に関連付けられた情報が前記記憶部に存在すると判定される第2状態の場合に、前記記憶された情報を前記記憶部から出力する記憶制御部と、前記第2状態の場合、前記記憶部から出力された情報と、前記パケットから抽出された情報とに基づいて符号化した情報を生成する符号化部と、前記符号化部が出力する情報よりパケットを生成して出力する出力部とを備えることを特徴とする無線通信システムである。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記情報抽出部は、前記受信したパケットから前記情報、前記種別情報、及び、前記情報の送信元を示す送信元情報と、前記情報の宛先を示す宛先情報との少なくともいずれか一方を抽出し、前記記憶部は、前記情報、前記種別情報、及び、前記送信元情報と前記宛先情報の少なくともいずれか一方を関連付けて記憶し、前記記憶制御部は、前記パケットから抽出された前記送信元情報又は前記宛先情報と、前記記憶された前記送信元情報又は前記宛先情報とに基づいて判定を行い、前記記憶された情報の宛先と前記パケットの宛先とが一致した場合、前記記憶された情報の送信元と前記パケットの送信元とが一致した場合、又は、前記第1状態と判定された場合に、前記パケットから抽出された前記情報、前記種別情報、及び、前記送信元情報と前記宛先情報の少なくともいずれか一方を関連付けて前記記憶部に記憶させることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記記憶制御部は、前記パケットから抽出された前記送信元情報及び前記宛先情報と、前記記憶された前記送信元情報及び前記宛先情報とに基づいて判定を行い、前記記憶された情報の宛先と前記パケットの送信元とが一致し、該情報の送信元と該パケットの宛先とが一致した前記第1状態と判定された場合に、前記パケットから抽出された前記情報、前記種別情報、及び、前記送信元情報と前記宛先情報の少なくともいずれか一方を関連付けて前記記憶部に記憶さることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記記憶制御部は、前記パケットから抽出された前記送信元情報又は前記宛先情報と、前記記憶された前記送信元情報又は前記宛先情報とに基づいて判定を行い、前記記憶された情報の宛先と前記パケットの送信元とが一致し、該情報の送信元と該パケットの宛先とが一致した前記第2状態と判定された場合に、該情報を前記記憶部から出力することを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、上記発明において、前記種別情報は、前記情報の長さに応じた分類を示すことを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、上記発明において、前記種別情報は、前記第1の無線局と前記第2の無線局との通信に要求される伝送品質を示すことを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、上記発明において、前記要求される伝送品質を示す種別情報は、アクセスカテゴリを示す情報であることを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、無線局間の無線中継を行う中継局装置と、前記中継局装置を介して異なる情報量を含むパケットの無線信号の送受信を行う複数の無線局を備えた無線通信システムにおける中継局装置であって、前記無線局及び前記中継局装置は、パケット単位で無線信号の送受信を行うものであり、受信した前記パケットから情報と、前記情報の種別を示す種別情報を抽出する情報抽出部と、前記情報と前記種別情報とを関連付けて記憶する記憶部と、前記無線局のいずれかから前記パケットを受信した際、前記記憶された種別情報と、該パケットから抽出された種別情報とが一致せず、前記同じ種別情報に関連付けられた情報が前記記憶部に存在しないと判定される第1状態の場合に、該パケットから抽出された前記情報と前記種別情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させ、前記記憶された種別情報と、該パケットから抽出された種別情報とが一致して、前記同じ種別情報に関連付けられた情報が前記記憶部に存在すると判定される第2状態の場合に、前記記憶された情報を前記記憶部から出力する記憶制御部と、前記第2状態の場合、前記記憶部から出力された情報と、前記パケットから抽出された情報とに基づいて符号化した情報を生成する符号化部と、前記符号化部が出力する情報よりパケットを生成して出力する出力部とを備えることを特徴とする中継局装置である。
【0020】
また、請求項9に記載の発明は、無線局間の無線中継を行う中継局装置と、前記中継局装置を介して異なる情報量を含むパケットの無線信号の送受信を行う複数の無線局を備えた無線通信方法であって、 前記無線局及び前記中継局装置は、パケット単位で無線信号の送受信を行い、前記中継局装置は、受信した前記パケットから情報と、前記情報の種別を示す種別情報を抽出し、前記情報と前記種別情報とを関連付けて記憶部に記憶させ、前記無線局のいずれかから前記パケットを受信した際、前記記憶された種別情報と、該パケットから抽出された種別情報とが一致せず、前記同じ種別情報に関連付けられた情報が前記記憶部に存在しないと判定される第1状態の場合に、該パケットから抽出された前記情報と前記種別情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させ、前記記憶された種別情報と、該パケットから抽出された種別情報とが一致して、前記同じ種別情報に関連付けられた情報が前記記憶部に存在すると判定される第2状態の場合に、前記記憶された情報を前記記憶部から出力し、前記第2状態の場合、前記記憶部から出力された情報と、前記パケットから抽出された情報とに基づいて符号化した情報を生成し、前記符号化された情報よりパケットを生成して出力することを特徴とする無線通信方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、中継局装置は、受信した前記パケットから情報と、情報の種別を示す種別情報を抽出し、記憶部に関連付けて記憶する。記憶制御部は、無線局のいずれかからパケットを受信した際、記憶された種別情報と、該パケットから抽出された種別情報とに基づいて判定し、同じ種別情報に関連付けられた情報が前記記憶部に存在しないと判定される第1状態の場合に、該パケットから抽出された情報と種別情報とを関連付けて記憶部に記憶させ、同じ種別情報に関連付けられた情報が記憶部に存在すると判定される第2状態の場合に、記憶された情報を記憶部から出力する。符号化部は、第2状態の場合、記憶部から出力された情報と、パケットから抽出された情報とに基づいて符号化した情報を生成する。
本発明を、NCを用いた中継伝送へ適用することにより、中継局でNCが行われる2つの情報の長さが近しくなるため、効率的なNCが行われることとなり、従来の手法に比べてスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による無線通信システムを示すブロック図である。
【図2】中継局装置における通信制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】具体的な動作を示すタイミングチャートである。
【図4】本実施形態を適用した場合のスループットと伝送速度の関係を示す図である。
【図5】Alice & Bobトポロジの無線通信システムを示すブロック図である。
【図6】従来技術における中継局装置における通信制御部の構成を示すブロック図である。
【図7】従来技術における無線通信システムの動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明による無線通信システムの実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態における無線通信システムを示すブロック図である。
図1に示す無線通信システム1は、中継局装置R、無線局A及び無線局Bから構成されている。中継局装置Rは、無線局A及びB間の無線中継を行う。無線局Aと無線局Bは、中継局装置Rを介して無線信号の送受信を行う。なお、無線局Aと無線局Bは、直接情報のやり取りが不可能な位置に設置されていると仮定する。
【0024】
図1に示す中継局装置Rは、無線信号の送受信を行うための通信制御部11と、無線局Aや無線局Bから受信した情報を記憶するための記憶部12とを備えている。記憶部12は情報を記憶する際、その情報の種別、及び無線局Aから送信された情報と無線局Bから送信された情報を区別する送信元情報を、情報と関連付けて記憶する。
図1は中継局装置Rが送信元情報や宛先情報を情報と関連付けて記憶させる機能を備えていない場合の例であり、記憶部12は図1の例のように、無線局Bから受信した無線局A宛の情報を記憶するためのバッファA13と、無線局Aから受信した無線局B宛の情報を記憶するためのバッファB14とを有する必要がある。送信元情報や宛先情報や種別情報を情報と関連付けて記憶させる機能が、通信制御部11又は記憶部12に備わっている場合には、記憶部12の中には情報を記憶するためのバッファ13があれば良い。これとは別に、種別情報を情報と関連付けて記憶させる機能を備えていない場合、記憶部12は、種別情報ごとのバッファを有する必要がある。
また図1の例では、送信元がわかれば宛先も判別される。例えば、あるパケットの送信元が無線局Aの場合、このパケットの宛先は無線局Bと判別される。しかし、複数の無線局が存在する場合には、送信元から宛先が判別できない。このため記憶部12は情報を記憶する際、その情報の種別と送信元情報に加えて、宛先情報を情報と関連付けて記憶する必要がある。
【0025】
また、無線局Aは、無線信号の送受信を行うための通信制御部21と、中継局装置Rを介して無線局B宛に送信した情報を記憶するためのバッファ23を有する記憶部22とを備えている。無線局Bは、無線信号の送受信を行うための通信制御部31と、中継局装置Rを介して無線局B宛に送信した情報を記憶するためのバッファ33を有する記憶部32とを備えている。
【0026】
以上の構成で、図1の中継局装置Rは、無線局Aから受信した無線局B宛のパケット41に含まれる情報「a」を一旦バッファB14に記憶した後、所定のタイミングで読み出して無線局B宛に送信し、また無線局Bから受信した無線局A宛のパケット42に含まれる情報「b」を一旦バッファA13に記憶した後、所定のタイミングで読み出して無線局A宛に送信することで、無線信号を中継する。
【0027】
その際、中継局装置Rは、無線局Aから無線局B宛のパケット41(情報「a」)を受信した場合に、バッファA13内に無線局Bから無線局A宛の情報「b」が存在していたときには、情報「a」と情報「b」とで排他的論理和の演算処理を行ってコーディングパケット43を生成する。そして、生成したコーディングパケット43を、無線局Aと無線局Bとに向けて送信する(ブロードキャストする)。また、中継局装置Rは、無線局Bから無線局A宛のパケット42(情報「b」)を受信した場合に、バッファB14内に無線局Aから無線局B宛の情報「a」が存在していたときには、情報「a」と情報「b」とで排他的論理和の演算処理を行ってコーディングデータパケット43を生成する。そして、生成したコーディングパケット43を、無線局Aと無線局Bとに向けて送信する(ブロードキャストする)。コーディングパケット43の情報は、「a xor b 」となる(なお、本明細書では排他的論理和を「xor」で表しているが、図1では「○」の中に「+」を記した記号で表している)。
【0028】
一方、無線局Aは、中継局装置Rへ無線局B宛のパケット41(情報「a」)を送信した際に、送信したパケット41をバッファ23内に記憶している。そして、中継局装置Rからコーディングパケット43(情報「a xor b 」)を受信した場合、バッファ23内のパケット41とコーディングパケット43とで排他的論理和の演算処理を行って、無線局Bが無線局A宛に送信したパケット42の情報「b」を復号する。すなわち、a xor(a xor b )=bの演算処理によって、情報「b」が求められる。また、無線局Bは、中継局装置Rへ無線局A宛のパケット42(情報「b」)を送信した際に、送信したパケット42をバッファ33内に記憶している。そして、中継局装置Rからコーディングパケット43(情報「a xor b 」)を受信した場合、バッファ33内のパケット42とコーディングパケット43とで排他的論理和の演算処理を行って、無線局Aが無線局B宛に送信したパケット41の情報「a」を復号する。すなわち、b xor(a xor b )=aの演算処理によって、情報「a」が求められる。
【0029】
他方、中継局装置Rは、無線局Aから無線局B宛のパケット41(情報「a」)を受信した場合に、バッファA13内に無線局Bから無線局A宛のパケット42(情報「b」)がないときには、パケット41がバッファB14に一旦記憶される。そして、中継局装置Rは、所定の待機時間経過後に、バッファB14に記憶されているパケット41内の情報「a」を含むパケット45を生成して無線局Bに向けて送信する。また、中継局装置Rは、無線局Bから無線局A宛のパケット42(情報「b」)を受信した場合に、バッファB14内に無線局Aから無線局B宛のパケット41(情報「a」)がないときには、パケット42がバッファA13に一旦記憶される。そして、中継局装置Rは、所定の待機時間経過後に、バッファA13に記憶されているパケット42内の情報「b」を含むパケット44を生成して無線局Aに向けて送信する。
【0030】
また、図1に示す本実施形態の無線局A、無線局B及び中継局装置Rは、CSMA/CAに基づいてパケット単位で無線信号の送受信を行う。各パケットは、情報種別などを示すヘッダ部と伝送する情報を割り当てる情報部からなる。
【0031】
無線通信システム1では様々な情報が伝送される。伝送される情報は、伝送速度や伝送遅延などの特性に要求される品質レベルに応じて、「音声」や「ベストエフォート」といった複数のカテゴリに分類される。このカテゴリをアクセスカテゴリ(AC)と呼ぶ。例えばIEEE802.11eでは、以下の4種類のACが規定されている。
【0032】
・AC_BK: バックグラウンド・トラフィック、
・AC_BE: ベストエフォート・トラフィック、
・AC_VI: ビデオ伝送、
・AC_VO: 音声
【0033】
同じACのパケットは、類似のアプリケーションが使用すると考えられることから、情報部に割り付けられる長さについて近い値が選択される場合が多くなる。
本実施形態では、中継局装置Rが同じACのパケット同士でNCを行う。同じACのパケット同士でNCを行うことにより、NCが行われる2つの情報長のばらつきが減少して、スループットが向上する。
【0034】
図2は、本実施形態に示す中継局装置における通信制御部の構成を示すブロック図である。
中継局装置Rの通信制御部11は、送受信部111、復調部112、情報種類判別部113、情報記憶制御部114、情報長調整部115、線形符号化部116及び変調部117を備える。
【0035】
送受信部111は、無線局に対して送信する無線信号を生成し、アンテナを介して送信する。また、送受信部111は、無線局から送信された無線信号を受信する。
復調部112は、受信した無線信号を復調し、受信パケットを生成する。
情報種類判別部113は、受信パケットに含まれる情報の情報種別示す情報種別情報を抽出し、その情報種別情報に基づいて情報種別を判定する。この情報種別を示す情報種別情報としては、例えば、前述のACを示すAC情報とすることができる。
【0036】
情報記憶制御部114は、復調部112によって抽出された情報と、情報種類判別部 113によって抽出された情報種別情報と、送信元情報を関連付けて、記憶部12に記憶させる。
情報記憶制御部114は、一方の無線局から受信したパケットの情報及び情報種別情報が入力されると、記憶部12内に他方の無線局から受信した同じ種別の情報があるか否かを情報種別情報に基づいて判定し、同じ種別の情報がないと判定した場合に、受信した情報を記憶部12に記憶する。情報記憶制御部114は、同じ種別の情報があると判定した場合、受信した情報を記憶部12に記憶させず、同じ情報種別と判定された記憶部12内の情報を情報長調整部115に出力する。
【0037】
情報長調整部115は、一方の無線局からの受信信号として、先に受信して情報記憶制御部114に記憶されていた情報と、他方の無線局からの受信信号として、後に受信した受信パケットに含まれる情報とが、同じ長さとなるように調整する。この調整は、例えば情報長の短い情報に対してゼロパディング等の処理により調整用ビットを付加することで行われる。
【0038】
線形符号化部116は、供給された2つの情報の線形符号化処理を行う。線形符号化方式の一例として、排他的論理和(XOR)演算処理による方法がある。なお、線形符号化方法は、XOR演算処理による方法に限らず他の方法を選択することも可能である。
変調部117は、線形符号化処理された符号化情報を変調して変調信号を生成し、送受信部111に供給する。
【0039】
以下に、本実施形態に示す中継局装置の動作を説明する。
無線局Aから中継局装置Rに対して信号が送信される場合を考える。無線局Aから送信されたパケットA1を送受信部111により受信し、復調部112により情報aへと復調する。情報aの情報種別として、情報種類判別部113によりACが判別される。以降、情報aのACをAC(a)と称する。同様に、無線局Bから中継局装置Rに伝送された信号の情報を情報b、そのACをAC(b)と称することとする。
【0040】
情報a及びAC(a)が入力された情報記憶制御部114は、自身の記憶部に記憶された情報bの中でACがAC(a)と同一のものが存在するか否かを判定する。情報bの中でACがAC(a)と同一のものが存在しなければ、情報aは情報記憶制御部114に保持され、中継局装置Rはその後無線局Aから他のパケットを受信するまで待機を行う。
一方情報bの中でACがAC(a)と同一のもの(情報b’)が存在すれば、情報記憶制御部114はこの情報b’を出力する。その後、情報長調整部115により情報a及びb’の長さを同一とし、線形符号化部116において情報aと情報b’とのXORを取ることにより情報xを生成する。情報xは変調部117によりパケットX1へと変換される。パケットX1は、送受信部111により無線局A及びBに対して同報送信される。無線局Bから中継局装置Rに対して信号が送信された場合も同様の動作を行う。
【0041】
図3は、具体的な動作を示すタイミングチャートである。
この図に示すタイミングチャートでは、送信される信号同士の衝突は生じないものとし、説明を簡単化するためにCSMA/CAで行われる衝突回避のためのメカニズムについての説明は省略する。
図3(a)では、送信される信号を2種類のAC(AC_BEとAC_VO)に分けて示す。
縦軸側に示される(A)と(B)、及び(R)は、それぞれ無線局AとB、及び中継局装置Rを示す。
【0042】
2種類のACは、一方がAC_BEであり、他方がAC_VOである。AC_BEは、主にデータを伝送するベストエフォート型の情報を示すカテゴリであり、情報長を長くすることにより伝送効率を高めている。それに反し、AC_VOは、主に音声を伝送するリアルタイム型の情報を示すカテゴリであり、情報長を短くすることにより要求される品質を確保している。
また、このタイミングチャートの説明では、無線信号固有の復調処理、変調処理に係る説明を省略する。
初期状態では、2種類のACに係る情報は、記憶部12には記憶されていないものとする。
【0043】
中継局装置Rは、無線局AからACがAC_BEであるパケットA1を受信する。受信したパケットA1に基づいて、情報a1及びAC(AC_BE)が入力された情報記憶制御部114は、記憶部12に無線局Bから受信してACがAC_BEの情報が存在するか否かを判定する。記憶部12には、AC_BEの情報はないため、情報a1とAC(AC_BE)と送信元情報(A)が関連付けられ記憶される。
【0044】
続いて、中継局装置Rは、無線局BからACがAC_VOであるパケットB1を受信する。受信したパケットB1に基づいた情報b1及びAC(AC_VO)が入力された情報記憶制御部114は、記憶部12に無線局Aから受信してACがAC_VOの情報が存在するか否かを判定する。記憶部12には、AC_VOの情報はないため、情報b1とAC(AC_VO)と送信元情報(B)が関連付けられ記憶される。
【0045】
中継局装置Rは、無線局AからACがAC_VOであるパケットA2を受信する。受信したパケットA2に含まれる情報a2及びAC(AC_VO)が入力された情報記憶制御部114は、記憶部12に送信元が無線局BでありACがAC_VOの情報が存在するか否かを判定する。記憶部12には、情報b1及びAC(AC_VO)が関連付けられ記憶されていることから、情報記憶制御部114は、情報b1を出力し、記憶されていた情報を消去する。
情報長調整部115は、入力される情報b1及び情報a2の情報長を同一とする。線形符号化部116は、情報b1と情報a2に基づいて情報x1を生成する。変調部117は情報x1からパケットX1を生成し、信号の送信要求を行う。
【0046】
続いて、中継局装置Rは、無線局BからACがAC_BEであるパケットB2を受信する。受信したパケットB2に含まれる情報b2及びAC(AC_BE)が入力された情報記憶制御部114は、記憶部12に送信元が無線局AでありACがAC_ BEの情報が存在するか否かを判定する。記憶部12には、情報a1及びAC(AC_ BE)が関連付けられ記憶されていることから、情報記憶制御部114は、情報a1を出力し、記憶されていた情報を消去する。
情報長調整部115は、入力される情報a1及び情報b2の情報長を同一とする。線形符号化部116は、情報a1と情報b2に基づいて情報x2を生成する。変調部117は情報x2からパケットX2を生成し、信号の送信要求を行う。
【0047】
本実施形態によれば、ACを考慮せずに任意の長さの情報同士を組み合わせて送信する図3(b)に比べ、同じACの情報同士でのみNCを行うことで、NCの対象となる2つの情報長が近しいものとなり、調整用ビットが減少するため、図3(b)に示した従来手法と比べて短い時間での情報伝送が可能となり、スループットが改善する。
【0048】
本実施形態における効果を示すため、一例として、無線局A、無線局B及び中継局装置Rで構成される無線伝送システムを所謂「バックホール回線」として使用した場合について定量評価する。単位時間内に無線局A及びBが受信する情報量の合計をスループットと定義し、これを評価する。無線局A及びBのバッファには、常に送信パケットが存在し、また各局はCSMA/CAに基づき送信を行うと想定する。各局は互いにキャリアセンスが可能とし、隠れ端末問題は発生しないとする。この状況下でのスループットは、非特許文献2の理論式に基づいて求められる。
評価の簡単化のため、ACはAC_VO及びAC_BEの2カテゴリとし、無線局A及びBにはこれらのカテゴリに基づいたパケットが等しい確率で入力されると仮定する。情報長は、AC_VOの場合160 byte(バイト)、AC_BEの場合1500 byteに固定とし、ACが同じであれば情報長も等しいと簡単化して評価を行う。
【0049】
図4は、本実施形態を適用した場合のスループットと伝送速度の関係を示す図である。
この図に示されるグラフの縦軸は、スループット(Mbps)を示し、横軸が伝送速度(Mbps)を示す。
グラフS1は、本実施形態を適用した場合のスループットを示す。グラフS2は、従来方式を適用した場合のスループットを示す。
グラフS1によって示される本実施形態では、NCが行われる各情報の長さが揃っているため、調整用ビットが存在せず、従来方式と比べて約10%スループットが向上する。
従来方式の場合、ACの異なるパケット同士でもNCが行われる。このときゼロパディングにより調整用ビットが付加されるため、スループットが低くなる。
【0050】
(第2実施形態)
構成する無線局の数を増やした構成について説明する。
図に示した無線通信システム1では、中継局装置Rと通信する無線局の数は2局として説明したが、中継局装置Rと通信する無線局を、無線局A,B、Cなどのように3局以上となる場合が想定される。
3局以上の無線局の通信を中継局装置Rが中継する場合には、中継局装置Rでは、任意に組み合わせて符号化処理することができない条件が発生する。その組合せの制限条件は、各無線局からのパケットの送信元、宛先に依存する条件となる。
【0051】
例えば、符号化された情報を受信して復号処理を行える無線局は、先に中継局装置に送信した情報を無線局が保持していることが必要である。また、中継局装置において、無線局が保持している情報と同じ情報に基づいて符号化したものでなければ、無線局では符号化された情報を復号できない。
したがって、中継局装置で行われる符号化の組合せでは、送信元と宛先が相互に一致した組合せであることが必要になる。つまり、記憶部12に記憶された情報の宛先と、後から受信したパケットの送信元とが一致し、さらに、記憶された情報の送信元と後から受信したパケットの宛先とが一致することが必要とされる。そのため、一致しない場合には、符号化処理が行えないことから、記憶部12に一時記憶し、後に受信したパケットとの組合せを試みる。その組合せを判定するために、情報記憶制御部114は、受信したパケットから抽出された情報、種別情報、送信元情報及び宛先情報を関連付けて記憶部12に記憶させる。そして、情報記憶制御部114は、記憶部12に記憶された情報の宛先と受信したパケットの送信元とが一致し、記憶された情報の送信元と該パケットの宛先とが一致したと判定された場合に、記憶された情報を記憶部12から出力する。情報記憶制御部114は、記憶部12に記憶された情報の送信元及び宛先と、受信したパケットの宛先及び送信元とが一致ししているか否かの判定は、それぞれ対応する送信元情報及び宛先情報に基づいて行う。
【0052】
また、別の観点で条件を整理すると、符号化処理した情報を、それぞれの送信元と異なる無線局に送付しても、受信した情報をその無線局は復号が行えない。
さらに、同じ送信元から送信された情報同士を符号化しそれぞれの宛先として設定される無線局に送付されても、受信した無線局では復号することができない。
そのため、情報記憶制御部114は、記憶部12に記憶された情報の宛先と受信したパケットの宛先とが一致した場合や、記憶部12に記憶された情報の送信元と前記パケットの送信元とが一致した場合について、受信したパケットの情報を符号化する情報が記憶部12に記憶されていないと判定する。情報記憶制御部114は、送信元情報及び宛先情報に基づいて判定する。そして、情報記憶制御部114は、第1実施形態に示した情報種別による判定に加え、上記の送信元情報及び宛先情報に基づいた判定により、受信したパケットから抽出された情報、種別情報、及び、送信元情報と宛先情報の少なくともいずれか一方を関連付けて記憶部12に記憶させることとしてもよい。
【0053】
2局の無線局(無線局A、B)とする場合には、中継局装置が中継するパケットの送信元、宛先は、相補の関係にあり、送信元情報、宛先情報の少なくともいずれか一方から他方の情報を容易に判定できる。
複数の無線局が存在する場合であっても、送信元情報、宛先情報以外の情報によって無線局を特定することができ、2局の場合に限定できる場合には、第1実施形態のように送信元情報、宛先情報を用いることなくNC技術を適用することができる。
例えば、送信元情報、宛先情報以外の情報の例としては、無線局の位置情報、受信電界強度、無線局からの送信信号のチャネル(周波数)などがある。
【0054】
なお、受信したパケットに含まれる情報の送信元情報及び宛先情報は、その情報に付与された管理情報として情報と一体化されたパケットによって送信される。この場合、送信元情報及び宛先情報の抽出は、復調部112によって行うことができる。
あるいは、情報の送信元情報及び宛先情報は、その情報の一部として含まれた構造で構成されてもよい。この場合、送信元情報及び宛先情報の抽出は、情報種類判別部113によって行うことができる。
【0055】
なお、本発明の情報抽出部は、復調部112、情報種類判別部113を含む。また、本発明の記憶部は、記憶部12に相当する。また、本発明の記憶制御部は、情報記憶制御部114に相当する。また、本発明の符号化部は、情報長調整部115、線形符号化部116を含む。また、本発明の出力部は、変調部117に相当する。
【0056】
なお、本発明の実施の形態は上記に限定されず、例えば中継局装置Rや無線局A、Bは、他の電子機器などに組み込まれる形で構成されていてもよい。
また、アクセス制御方式は、CSMA/CAという名称に限定されず、同様の機能、すなわちパケット間隔による優先制御とキャリア感知による衝突回避機能を備えた多重アクセス方式であれば、他の付加機能を備えるようなものであっても適用可能である。また、図3に示すパケットフローにおいては、中継局装置Rが受信したパケットに限られず、通信制御に用いられるRTSパケット、CTSパケット、ACKパケット等の制御パケットに対しても適用することができる。
【0057】
また、上述の中継局装置R、無線局A及び無線局Bは、内部あるいは組み合わせされる電子機器の内部に、コンピュータシステムを有して構成することができる。そして、上述したネットワークコーディングに係る処理などは、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われるようにすることができる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0058】
R…中継局装置、A、B…無線局、11…通信制御部、12…記憶部、
111…送受信部、112…復調部(抽出部)、113…情報種類判別部(抽出部)、
114…情報記憶制御部、115…情報長調整部(符号化部)、
116…線形符号化部(符号化部)、117…変調部(出力部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線局間の無線中継を行う中継局装置と、前記中継局装置を介して異なる情報量を含むパケットの無線信号の送受信を行う複数の無線局を備えた無線通信システムであって、
前記無線局及び前記中継局装置は、パケット単位で無線信号の送受信を行い、
前記中継局装置は、
受信した前記パケットから情報と、前記情報の種別を示す種別情報を抽出する情報抽出部と、
前記情報と前記種別情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記無線局のいずれかから前記パケットを受信した際、前記記憶された種別情報と、該パケットから抽出された種別情報とが一致せず、前記同じ種別情報に関連付けられた情報が前記記憶部に存在しないと判定される第1状態の場合に、該パケットから抽出された前記情報と前記種別情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させ、
前記記憶された種別情報と、該パケットから抽出された種別情報とが一致して、前記同じ種別情報に関連付けられた情報が前記記憶部に存在すると判定される第2状態の場合に、前記記憶された情報を前記記憶部から出力する記憶制御部と、
前記第2状態の場合、前記記憶部から出力された情報と、前記パケットから抽出された情報とに基づいて符号化した情報を生成する符号化部と、
前記符号化部が出力する情報よりパケットを生成して出力する出力部と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記情報抽出部は、
前記受信したパケットから前記情報、前記種別情報、及び、前記情報の送信元を示す送信元情報と、前記情報の宛先を示す宛先情報との少なくともいずれか一方を抽出し、
前記記憶部は、
前記情報、前記種別情報、及び、前記送信元情報と前記宛先情報の少なくともいずれか一方を関連付けて記憶し、
前記記憶制御部は、
前記パケットから抽出された前記送信元情報又は前記宛先情報と、前記記憶された前記送信元情報又は前記宛先情報とに基づいて判定を行い、
前記記憶された情報の宛先と前記パケットの宛先とが一致した場合、前記記憶された情報の送信元と前記パケットの送信元とが一致した場合、又は、前記第1状態と判定された場合に、前記パケットから抽出された前記情報、前記種別情報、及び、前記送信元情報と前記宛先情報の少なくともいずれか一方を関連付けて前記記憶部に記憶させる
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記記憶制御部は、
前記パケットから抽出された前記送信元情報及び前記宛先情報と、前記記憶された前記送信元情報及び前記宛先情報とに基づいて判定を行い、
前記記憶された情報の宛先と前記パケットの送信元とが一致し、該情報の送信元と該パケットの宛先とが一致した前記第1状態と判定された場合に、前記パケットから抽出された前記情報、前記種別情報、前記送信元情報及び前記宛先情報を関連付けて前記記憶部に記憶させる
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記記憶制御部は、
前記パケットから抽出された前記送信元情報又は前記宛先情報と、前記記憶された前記送信元情報又は前記宛先情報とに基づいて判定を行い、
前記記憶された情報の宛先と前記パケットの送信元とが一致し、該情報の送信元と該パケットの宛先とが一致した前記第2状態と判定された場合に、該情報を前記記憶部から出力する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記種別情報は、前記情報の長さに応じた分類を示す
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記種別情報は、前記第1の無線局と前記第2の無線局との通信に要求される伝送品質を示す
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記要求される伝送品質を示す種別情報は、アクセスカテゴリを示す情報である
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項8】
無線局間の無線中継を行う中継局装置と、前記中継局装置を介して異なる情報量を含むパケットの無線信号の送受信を行う複数の無線局を備えた無線通信システムにおける中継局装置であって、
前記無線局及び前記中継局装置は、パケット単位で無線信号の送受信を行うものであり、
受信した前記パケットから情報と、前記情報の種別を示す種別情報を抽出する情報抽出部と、
前記情報と前記種別情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記無線局のいずれかから前記パケットを受信した際、前記記憶された種別情報と、該パケットから抽出された種別情報とが一致せず、前記同じ種別情報に関連付けられた情報が前記記憶部に存在しないと判定される第1状態の場合に、該パケットから抽出された前記情報と前記種別情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させ、
前記記憶された種別情報と、該パケットから抽出された種別情報とが一致して、前記同じ種別情報に関連付けられた情報が前記記憶部に存在すると判定される第2状態の場合に、前記記憶された情報を前記記憶部から出力する記憶制御部と、
前記第2状態の場合、前記記憶部から出力された情報と、前記パケットから抽出された情報とに基づいて符号化した情報を生成する符号化部と、
前記符号化部が出力する情報よりパケットを生成して出力する出力部と
を備えることを特徴とする中継局装置。
【請求項9】
無線局間の無線中継を行う中継局装置と、前記中継局装置を介して異なる情報量を含むパケットの無線信号の送受信を行う複数の無線局を備えた無線通信方法であって、
前記無線局及び前記中継局装置は、パケット単位で無線信号の送受信を行い、
前記中継局装置は、
受信した前記パケットから情報と、前記情報の種別を示す種別情報を抽出し、
前記情報と前記種別情報とを関連付けて記憶部に記憶させ、
前記無線局のいずれかから前記パケットを受信した際、前記記憶された種別情報と、該パケットから抽出された種別情報とが一致せず、前記同じ種別情報に関連付けられた情報が前記記憶部に存在しないと判定される第1状態の場合に、該パケットから抽出された前記情報と前記種別情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させ、
前記記憶された種別情報と、該パケットから抽出された種別情報とが一致して、前記同じ種別情報に関連付けられた情報が前記記憶部に存在すると判定される第2状態の場合に、前記記憶された情報を前記記憶部から出力し、
前記第2状態の場合、前記記憶部から出力された情報と、前記パケットから抽出された情報とに基づいて符号化した情報を生成し、
前記符号化された情報よりパケットを生成して出力する
ことを特徴とする無線通信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate